JP2519085Y2 - スピーカ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本考案はオーディオ機器としてのスピーカに関するも
のである。

「従来の技術およびその課題」 従来一般のスピーカの構造を第３図および第４図に示
す。これらの図に示すスピーカは、たとえば車載用スピ
ーカとして使用される小型のものであって、符号１は背
面板1aと側面板1bとが一体成形された形状の樹脂製のエ
ンクロージャー（キャビネット）、２はそのエンクロー
ジャー１の前面に取り付けられるバッフル、３はそのバ
ッフル３に取り付けられるスピーカユニットである。そ
のスピーカユニット３はコーン型のものであって、コー
ン形状の振動板４、ボイスコイル５、センターキャップ
６、フレーム７、マグネット８、ヨーク９、トッププレ
ート10とによって構成され、フレーム７の周縁部がバッ
フル２に対してネジ止めされることでそのバッフル２に
取り付けられるようになっている。また、符号11は意匠
とスピーカユニット３の保護とを兼ねてバッフル２を覆
うように取り付けられるネット（金網）であり、12はそ
のネット11を取り付けるためにバッフル２に設けられた
取付部である。

ところで、上記のような従来のスピーカは、第４図に
示すように、スピーカユニット３をバッフル２に対して
少なくとも４本のネジ13…により取り付け、次いでその
バッフル２をエンクロージャー１に対して少なくとも４
本のネジ14…により取り付けることで組み立てられるの
であるが、そのように多数のネジ13…,14…を用いて組
み立てることは手間がかかるし、しかも、エンクロージ
ャー１内の気密を保持するためにそれら多数のネジ13
…,14…を十分にきつく締め付ける必要があるので、そ
の作業は面倒なものであった。

本考案は上記の事情に鑑みてなされたもので、より容
易に組み立てることのできるスピーカを提供することを
目的とするものである。

「課題を解決するための手段」 本考案のスピーカは、エンクロージャーと、そのエン
クロージャーの前面側に取り付けられるスピーカユニッ
トから構成されるものであって、前記スピーカユニット
は、そのフレームにこのスピーカのバッフルを構成する
バッフル部が一体に成形されているとともに、該バッフ
ル部の背面側周縁部と前記エンクロージャーの前面側に
は互いに凹凸嵌合する突条と溝とが形成され、前記スピ
ーカユニットは、前記エンクロージャーの背面側を貫通
するネジがそのスピーカユニットの背面側に螺子込まれ
ることによって、該スピーカユニットの背面と前記エン
クロージャーの背面との間に間隔が確保された状態で、
かつ前記バッフル部の背面側周縁部がエンクロージャー
に対して押圧されて前記突条と溝とが凹凸嵌合した状態
で、前記エンクロージャーに対して取り付けられている
ことを特徴とするものである。

「作用」 本考案のスピーカは、スピーカユニットのフレームに
バッフル部が一体に成形されているので、そのスピーカ
ユニットをエンクロージャーに取り付けるのみで組み立
てが完了する。そして、そのスピーカユニットのエンク
ロージャーに対する取り付けを、エンクロージャーの背
面板を貫通させたネジの先端をスピーカユニットの背面
側に螺子込むことにより、バッフル部をエンクロージャ
ーに対して押圧してそれらの双方に形成した突条と溝と
を凹凸嵌合させようにし、これにより、スピーカユニッ
トは少数（少なくとも１本）のネジで強固に、かつエン
クロージャー内の気密を保持した状態で取り付けられ
る。しかも、エンクロージャーに対するスピーカユニッ
トの取り付けを、スピーカユニットの背面とエンクロー
ジャーの背面との間に間隔を確保した状態で、つまりそ
れらを当接させない状態で行なうので、ネジによる締め
付けを行なった際にはストッパに相当するものがないか
らスピーカユニットはエンクロージャー側に自由に引き
寄せられていき、その結果、バッフル部の背面側周縁部
はエンクロージャー前面に対して強固に押圧されてそれ
らが自ずと完全に密着することになり、突条と溝とを凹
凸嵌合させることとも相俟って、パッキン材等のシール
手段を用いずとも十分なシール性能を自ずと確保し得
る。さらには、エンクロージャーに対してスピーカユニ
ットを取り付ける際には、突条と溝とを凹凸嵌合させる
ことで自ずとスピーカユニットの位置決めがなされてネ
ジ孔の位置がネジの位置に自ずと合致することになり、
螺子込み作業を容易に行ない得る。

「実施例」 以下、本考案の一実施例を第１図および第２図を参照
して説明する。

本実施例のスピーカは、第３図に示した従来のスピー
カと同様に車載用として使用される小型のものであっ
て、背面板1a、側面板1bとが一体に成形された樹脂製の
エンクロージャー１と、そのエンクロージャー１に対し
て取り付けられるスピーカユニット20とから構成され、
従来のスピーカにおけるバッフル２は省略されたものと
なっている。

上記スピーカユニット20は、フレーム21、振動板22、
ボイスコイル23、センターキャップ24、マグネット25、
ヨーク26、トッププレート27とによって構成されるコー
ン型のものであるが、そのフレーム21は樹脂製とされて
いるとともに、バッフル部21aが一体に成形されたもの
となっている。すなわち、このフレーム21は、従来のス
ピーカユニット３におけるフレーム７と、エンクロージ
ャー１の前面に取り付けられるバッフル２とが予め一体
に成形された形状とされたものである。したがって、こ
のスピーカユニット20を用いることで従来のスピーカに
おけるバッフル２は不要となり、このスピーカユニット
20をエンクロージャー１に取り付けるのみで組み立てが
完了するものとなっている。

そして、このスピーカユニット20のエンクロージャー
１に対する取り付けは、１本のネジ30をエンクロージャ
ー１の背面板1aを貫通させてその先端をスピーカユニッ
ト20の背面側中央部のフレーム21およびヨーク26に螺子
込むことで行なわれるようになっており、そのネジ30を
締め付けることによってフレーム21のバッフル部21a周
縁部がエンクロージャー１の前端面に対して押圧され
て、スピーカユニット20はエンクロージャー１に対して
強固に固定されるようになっている。そして、この際、
第２図に示すように、バッフル部21aの背面側に形成さ
れている突条21bがエンクロージャー１の前端面に形成
されている溝1c内に入り込み、これによってエンクロー
ジャー１内の気密が保持されるようになっている。

また、フレーム21のバッフル部21aには、スピーカユ
ニット20の前面を覆うネット31を取り付けるための取付
部21cも一体に成形されており、第２図に示すように、
その取付部21cに形成されている溝21d内にネット31の周
縁部がシール材32により着脱可能な状態で嵌め込まれる
ようになっている。

なお、第１図において符号21eは、振動板22の背面側
に生じる背圧をエンクロージャー１内に逃がすためにフ
レーム21に形成されている開口部である。また、符号33
は振動板22のエッジを保護するためのガスケットである
が、このガスケット33は不要であれば省略しても良い。

上記構成のスピーカは、フレーム21にバッフル部21a
が一体に成形されたスピーカユニット20を用い、しか
も、それを１本のネジ30によってエンクロージャー１に
取り付けるようにしたので、従来のスピーカにおけるバ
ッフル２が不要となって部品点数が削減されるととも
に、従来のスピーカに比して組み立て作業が極めて簡単
になる、という利点がある。

また、スピーカユニット20のバッフル部21aの背面側
周縁部に形成した突条21bとエンクロージャー１に前端
面に形成した溝1cとを凹凸嵌合させるようにしたので、
スピーカユニット20を取り付ける際にはそれら突条21a
と溝1cとを凹凸嵌合させることで自ずとスピーカユニッ
ト20の位置決めがなされることになり、したがってネジ
孔の位置がネジ30の螺子込み位置に自ずと合致して螺子
込み作業を容易に行ない得る。

さらに、エンクロージャー１に対するスピーカユニッ
ト20の取り付けを、スピーカユニット20の背面とエンク
ロージャー１の背面との間に間隔を確保した状態で、つ
まりそれらを当接させない状態で行なうようにしたの
で、ネジ30による締め付けを行なった際にはストッパに
相当するものが一切なく、スピーカユニット20はエンク
ロージャー１の背面側に自由に引き寄せられていくこと
になる。したがって、バッフル部21aの背面側周縁部は
エンクロージャー１前端面に対して強固に押圧されてそ
れらは自ずと完全に密着し、突条21bと溝1cとを凹凸嵌
合させることとも相俟って、パッキン材等のシール手段
を用いずとも十分なシール性能を自ずと確保でき、エン
クロージャー１の気密性を十分に保持できるものであ
る。

なお、フレーム21にバッフル部21aを一体に成形する
限りにおいてスピーカユニット20の形状等は適宜変更し
て良いし、また、エンクロージャー１の形状もその背面
板1a側からスピーカユニット20を締め付けて取り付ける
ことができる限りにおいて適宜変更して良い。また、上
記では、１本のネジ30によってスピーカユニット20を取
り付けるようにし、通常はそれで十分であるが、スピー
カユニット20の口径が大きいような場合においては複数
本のネジを用いるようにしても良い。

「考案の効果」 以上で詳細に説明したように、本考案のスピーカは、
スピーカユニットのフレームにこのスピーカのバッフル
を構成するバッフル部を一体に成形し、かつ、そのスピ
ーカユニットを、その背面側にエンクロージャーの背面
板を貫通するネジを螺子込むことによってエンクロージ
ャーに取り付ける構成としたので、従来のスピーカにお
けるバッフルが不要となって部品点数を削減できるとと
もに、極めて容易に組み立てることができる、という効
果を奏する。

また、バッフル部とエンクロージャーに形成した突条
と溝とを凹凸嵌合させることでスピーカユニットをエン
クロージャーに対して取り付けるようにしたので、その
凹凸嵌合により自ずとシール性能を確保し得てエンクロ
ージャーの気密性を保持できるとともに、スピーカユニ
ットを取り付ける際にはスピーカユニットの位置決めが
自ずとなされて螺子込み作業を容易に行ない得るという
利点がある。

さらに、エンクロージャーに対するスピーカユニット
の取り付けを、スピーカユニットの背面とエンクロージ
ャーの背面との間に間隔を確保した状態で行なうように
したので、ネジによる締め付けの際にスピーカユニット
は自由に引き寄せられていき、バッフル部の背面側周縁
部がエンクロージャーの前面に対して強固に押圧されて
それらは自ずと完全に密着し、したがって突条と溝とを
凹凸嵌合させることとも相俟ってパッキン材等のシール
部材を用いずともエンクロージャーの気密性をより一層
確保できるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例のスピーカの概略構成を示す
断面図、第２図は第１図におけるII部の拡大図である。 第３図および第４図は従来一般のスピーカの概略構成を
示すもので、第３図は断面図、第４図は正面図である。 １……エンクロージャー、1a……背面板、1c……溝、20
……スピーカユニット、21……フレーム、21a……バッ
フル部、21b……突条、30……ネジ。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エンクロージャーと、そのエンクロージャ
   ーの前面側に取り付けられるスピーカユニットから構成
   されるスピーカであって、前記スピーカユニットは、そ
   のフレームにこのスピーカのバッフルを構成するバッフ
   ル部が一体に成形されているとともに、該バッフル部の
   背面側周縁部と前記エンクロージャーの前面側には互い
   に凹凸嵌合する突条と溝とが形成され、前記スピーカユ
   ニットは、前記エンクロージャーの背面側を貫通するネ
   ジがそのスピーカユニットの背面側に螺子込まれること
   によって、該スピーカユニットの背面と前記エンクロー
   ジャーの背面との間に間隔が確保された状態で、かつ前
   記バッフル部の背面側周縁部がエンクロージャーに対し
   て押圧されて前記突条と溝とが凹凸嵌合した状態で、前
   記エンクロージャーに対して取り付けられていることを
   特徴とするスピーカ。