JP2517855B2 - ポリ(キノリンジイル)重合体、その製造法及び利用法 - Google Patents

ポリ(キノリンジイル)重合体、その製造法及び利用法

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JP2517855B2
JP2517855B2 JP3234809A JP23480991A JP2517855B2 JP 2517855 B2 JP2517855 B2 JP 2517855B2 JP 3234809 A JP3234809 A JP 3234809A JP 23480991 A JP23480991 A JP 23480991A JP 2517855 B2 JP2517855 B2 JP 2517855B2
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G61/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carbon-to-carbon link in the main chain of the macromolecule
    • C08G61/12Macromolecular compounds containing atoms other than carbon in the main chain of the macromolecule
    • C08G61/122Macromolecular compounds containing atoms other than carbon in the main chain of the macromolecule derived from five- or six-membered heterocyclic compounds, other than imides

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は縮合複素環化合物である
キノリンから2ヵ所の水素原子を除いた2価の残基を反
復構成単位としてなり、可溶性を示し、優れた耐熱性及
び電気化学的に活性を有するポリ(キノリンジイル)重
合体及びその製造法並びに利用に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香環が連続して結合した構造を有する
ポリ(アリーレン)[例えば、ポリ(p−フェニレ
ン)、ポリ(2, 5- チエニレン)、ポリ(1, 4- ナ
フチレン)]は一般に優れた耐熱性を有する。また、そ
れらのポリ(アリーレン)と電子受容体(AsF5等)や電
子供与体(リチウム、ナトリウム等)との付加体は導電
性を有しかつ一次電池や二次電池用の活物質としての利
用可能な性質を備えることが知られている[例えば、
「高分子」34巻、848 頁(1985)]。また、主鎖に沿っ
た連続するπ共役系を有し且つ複素六員環単位よりなる
基、例えば2, 5- ピリジンジイル基を反復構成単位と
する重合体を還元して生成された導電性物質が特開平1-
210420号に提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来提案され
た殆どのポリ(アリーレン)は有機溶剤に対する溶解性
が小さくかつ不融である場合が多いため利用法も限ら
れ、それらの特徴ある機能を引き出すうえにおける問題
点となっている。また前記のポリ(アリーレン)につい
ては、分子構造を工夫することにより、従来のポリ(ア
リーレン)にはない物性を備えた物質の開発が望まれて
いる。例えば、従来のポリ(アリーレン)とは異なる酸
化・還元電位を持ったポリ(アリーレン)を得ることが
できれば、それを活物質あるいは電極材として従来のポ
リマーバッテリー[例えば「電気化学及び工業物理化
学」54巻、 306頁(1986)]とは異なる特徴を備えたポ
リマーバッテリーが得られる。
【0004】本発明は、これらの状況のもと、新しい分
子構造を有するポリ(アリーレン)を探索すべく鋭意研
究の結果完成したものである。
【0005】本発明の目的は、優れた耐熱性を有しかつ
有機溶媒に可溶で、偏光解消度、電気化学的酸化還元電
位のコントロール可能な新規なポリ(アリーレン)、特
にポリ(キノリンジイル)重合体を提供するにある。
【0006】本発明の別の目的はこのような新規なポリ
(キノリンジイル)重合体を、繊維、フィルム等の成形
体、エレクトロクロミック素子、電池の活物質又は電
極、n型半導体、等として利用するにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的は、縮合複素環
化合物であるキノリンから2ヵ所の水素原子を除いて誘
導されるキノリン−5,8−ジイルを反覆構成単位と
し、次の化4、
【化4】 (但し式中、nは少なくとも5の整数である)で表され
るポリ(キノリンジイル)重合体によって達成される。
ここで、重合度(n)が5未満ではポリマーとしての十
分な機能を発揮することができない。また、本発明者等
は、後述の製造法によって重合度(n)が 200程度のも
のまでの本発明重合体とその優れた特性並びに有用性と
を実験的に一応確認したが、 200程度を越える重合度の
ものの調製及びその利用も技術的に当然期待される。
【0008】上記化4の重合体は、縮合複素環化合物で
あるキノリンの5位及び8位の水素原子をハロゲンに置
換した、次の化5式、
【化5】 (但し、式中、Xはハロゲンを表す)で示されるキノリ
ンジハライドをゼロ価ニッケル化合物と反応させること
によって製造される。
【0009】又、このような重合体は上記化5で示され
るキノリンジハライド化合物をニッケル化合物の存在下
で電解還元することによっても製造することができる。
【0010】本発明の新規なポリ(キノリン−5,8−
ジイル)重合体は、その優れた特性を利用して繊維また
はフィルム、エレクトロクロミック素子、電池の活物質
または電極に適用され、又この重合体を還元剤又は電気
化学的ドーピングにより還元してn型半導体として利用
することができる。
【0011】
【作用】本書中で、「ポリ(アリーレン)」とは例え
ば、 ポリ(p- フェニレン)又はポリ(1, 4- ナフ
チレン)のように芳香環を反復構成単位とする重合体を
意味し、又「芳香環」は例えばベンゼン環のような芳香
族炭化水素の環の他にピリジンやチオフェン等の複素環
をも含む。
【0012】本発明にかかるポリ(キノリンジイル)重
合体は、化5で示されるキノリン−5,8−ジハライ
ド、例えばキノリン−5,8−ジクロライド又はジブロ
マイドに有機溶媒中において等モル以上のゼロ価ニッケ
ル化合物を加えて反応させ、脱ハロゲン化することによ
って取得される。好適な反応温度は室温〜約80℃の間に
あり、約24時間程度で反応は完結する。上記有機溶媒と
しては例えば、N, N-ジメチルホルムアミド、アセト
ニトリル、トルエン、テトラヒドロフラン等が適用可能
である。
【0013】ゼロ価ニッケル化合物はハロゲン化芳香族
化合物よりハロゲンをとり、芳香族基間のカップリング
反応を起こさせる[例えば、「シンセシス」(Synthesi
s),736 頁(1984)参照]。この反応は次の化7で表わ
される。
【0014】
【化6】 Ar-X + Ar′-X + NiLm → Ar-Ar ′+ NiX2Lm (ここで、Ar及びAr′は芳香族基を、Xはハロゲン原子
を、Lは中性配位子を表し、従って、NiLmはゼロ価ニッ
ケル化合物を表す。)
【0015】従って、分子内に2個のハロゲンを有する
芳香族化合物、例えばキノリンジハライドに等モル以上
のゼロ価ニッケル化合物を反応させると、次の化7及び
化8に示す脱ハロゲン化反応によって重合体が得られる
のである。
【0016】
【化7】 2・X-Ar″-X + NiLm → X-Ar″-Ar ″-X + NiX2Lm
【化8】 [ここで、X-Ar″-X はキノリンジハライド(Xはハロ
ゲン)を示す。]
【0017】上述の反応において、ゼロ価ニッケル化合
物は、重合反応を行う直前に反応系で(いわゆる in si
tuで)合成したものをそのまま用いることも、又は予め
合成単離したものを用いることもできる。かかるゼロ価
ニッケル化合物は例えば、中性配位子存在下での還元反
応又は配位子交換反応によって生成するニッケル錯体で
あり、その中性配位子としては、1, 5- シクロオクタ
ジエン、2, 2′- ビピリジン、トリフェニルホスフィ
ン等を例示することができる。
【0018】又、別の方法として、上記化5のキノリン
ジハライドを2価のニッケル化合物の共存下で電解還元
反応させると、脱ハロゲン化反応によって化4に示すキ
ノリンジイル重合体を得ることができる。即ち、2価ニ
ッケル化合物は電解槽中で電解還元すれば化9の反応に
よってゼロ価ニッケル化合物が生成する。
【0019】
【化9】 [Ni11Lm]2+ + 2e → Ni0Lm
【0020】従って、分子内に2個のハロゲンを有する
芳香族化合物、即ちキノリンジハライドを2価ニッケル
化合物の存在下で電解還元すると化9の反応並びに引き
続き反応系内に生ずる Ni0Lmが関与する化10〜化12に示
す反応により化4の重合体が得られるのである。電解は
通常次の条件で行うことが出来る。即ち、例えばN,N-
ジメチルホルムアミド若しくはアセトニトリルを溶媒
として使用し、支持電解質として過塩素酸テトラエチル
アンモニウム若しくはテトラエチルアンモニウムテトラ
フルオロボレートを溶解して電解液とし、電極には白金
電極、ITO透明電極、若しくは黒鉛電極を使用する。
電解液にキノリンジハライド及び2価ニッケル錯体を溶
解し、2価ニッケル化合物の還元電位[例えばトリス
(2, 2-ビピリジン)ニッケル塩では−1.7V(Ag/Ag
+ に対して)]で電解還元を行う。
【0021】
【化10】 Ni0Lm + X-Ar″-X → X-Ni11Lm-Ar ″-X
【0022】
【化11】 2・X-Ni11Lm- Ar″-X+2e→ X- Ar″- Ar″-X+ Ni0Lm+ 2X -
【0023】
【化12】
【0024】[ここで、 X- Ar″-Xはキノリンジハライ
ド(Xはハロゲン)を示す。]
【0025】上記ニッケル化合物は、重合反応を行う前
に予め合成単離したものを用いても、又は電解槽中で直
接、ニッケルあるいはニッケル化合物から合成したもの
をそのまま用いても良い。かかるニッケル化合物として
は、例えばトリス (2 , 2′- ビピリジン)ニッケルブ
ロマイド[Ni(bpy)3Br2 ]、ジブロモビス(トリフェニ
ルホスフィン)ニッケル[NiBr2(PPh3)2]等が挙げられ
る。
【0026】
【実施例】以下、本発明を更に具体的かつ詳細に実施例
について説明する。
【0027】実施例1 無水のビス(アセチルアセトナト)ニッケル[Ni(acac)
2 と略称する]44mmol、1, 5- シクロオクタジエン
(114.8 mmol)を 100mlのトルエンに溶解して、65.6mm
olのトリエチルアルミニウムのトルエン溶液40mlを滴下
し反応させてゼロ価ニッケル錯体であるビス(1, 5-
シクロオクタジエン)ニッケル[Ni(cod)2と略称する]
を合成した。このNi(cod)2をトルエンから再結晶した。
【0028】このNi(cod)24mmolを30mlのN, N- ジメ
チルホルムアミドに溶解し、4mmolの1, 5- シクロオ
クタジエン及び2, 2′- ビピリジンを加え、さらに4
mmolの 5, 8−ジブロモキノリンを加えて、60℃の反
応温度で24時間反応させた。この反応により ポリ(キ
ノリン−5, 8- ジイル)の赤黄色の粉状重合物が得ら
れた。この粉状重合物を濾別して取り出した後、ニッケ
ル化合物等の不純物を除くために、下記の(イ)から
(ヘ)の物質を用いて下記の順に各々数回粉状重合物を
洗浄した。
【0029】(イ)アンモニア水(29%)、(ロ)メタ
ノール、(ハ)エチレンジアミン四酢酸ナトリウムの温
水溶液(pHを3に調整)、(ニ)アンモニア水、(ホ)
温水、(ヘ)メタノール
【0030】以上の洗浄が終わった後に粉状重合物を真
空ラインを用いて乾燥した。この重合物の元素分析値は
炭素84.3%、水素 4.0%、窒素10.9%、臭素 0.0%であ
り、化13、
【化13】 を反復構成単位とする重合体の計算値(炭素85.0%、水
素 3.9%、窒素11.6%)とほぼ一致した。元素分析にお
ける観測値と計算値との間の差は、主にこの重合物が高
い熱安定性を有しており、元素分析に際して完全燃焼さ
せることが容易でないことによると思われる。本実施例
における重合体の収率は92%であった。
【0031】上記の重合体は、ギ酸に可溶であった。そ
のため、この重合体のギ酸溶液について光散乱法により
分子量を測定したところ、重量平均分子量11,000(重合
度約87)を有する重合体であることが判った。
【0032】また、上記重合体の赤外吸収スペクトルは
下記の吸収を示した。
【0033】3028 m,1623 m,1577 s, 1498 vs,1456
m,1375 s,1354 m,1235 w,1197w ,1150 m,1054
m,954 vs,838 s ,788 vs,679 m ,499 w , 419
w.(数字はcm-1数を示した吸収位置を示す。w,m,
s,vsはそれぞれ弱い吸収、中位の吸収、強い吸収、非
常に強い吸収を示す。)上記の測定結果はいずれもKBr
ペレット中でのものである。
【0034】また、上記重合体のギ酸溶液は、紫外、可
視スペクトルにおいて約345 ,320,260 nm付近に比較
的シャープでかつ明瞭な山形を示す吸収極大を示した。
【0035】更に、上記重合体は高い熱安定性を示し
た。熱重量分析の結果、重量減少は約300 ℃において初
めて僅かに観測された。窒素下900 ℃までの加熱におい
て重量減少の割合は約18%であった。
【0036】参考例 実施例1において5, 8- ジブロモキノリンの代わりに
4, 7- ジクロロキノリンを用いた他は、同様な操作を
行い、ポリ(キノリン−4, 7- ジイル)の白黄色粉状
重合物を得た。この粉状重合物を濾別して取り出した
後、ニッケル化合物等の不純物を除くために、下記の
(イ)から(ヘ)の物質を用いて下記の順に各々数回粉
状重合物を洗浄した。
【0037】(イ)アンモニア水(29%)、(ロ)メタ
ノール、(ハ)エチレンジアミン四酢酸ナトリウムの温
水溶液(pHを3に調整)、(ニ)アンモニア水、(ホ)
温水、(ヘ)メタノール
【0038】以上の洗浄が終わった後に粉状重合物を真
空ラインを用いて乾燥した。この重合物の元素分析値は
炭素83.5%、水素 4.2%、窒素10.9%、塩素 0.0%であ
り、化14、
【化14】 を反復構成単位とする重合体の計算値(炭素85.0%、水
素 3.9%、窒素11.6%)とほぼ一致した。元素分析にお
ける観測値と計算値との間の差は、主にこの重合物が高
い熱安定性を有しており、元素分析に際して完全燃焼さ
せることが容易でないことによると思われる。本参考例
における重合体の収率は98%であった。
【0039】上記の重合体は、ギ酸及びクロロホルムに
可溶であった。そのため、この重合体のクロロホルム溶
液ゲルパーメイションクロマトグラフ(GPC)により分子
量を測定したところ、数平均分子量 7,900(重合度約6
2)を有する重合体であることが判った。
【0040】また、上記重合体の赤外吸収スペクトルは
下記の吸収を示した。
【0041】3042 m,1614 s,1577 s,1558 s,1490
m,1450 w,1444 m,1411 m,1373 w,1292 w,1186
w,1151 w,1057 m, 953 w, 892 s,824 vs, 796
m, 781 s, 683 s, 613 m, 452 w.(数字はcm-1
を示した吸収位置を示す。w,m,s,vsはそれぞれ弱
い吸収、中位の吸収、強い吸収、非常に強い吸収を示
す。)上記の測定結果はいずれもKBrペレット中でのも
のである。
【0042】また、上記重合体のギ酸溶液は、紫外、可
視スペクトルにおいて約340 ,280nm付近に比較的シャ
ープでかつ明瞭な山形を示す吸収極大を示した。
【0043】更に、上記重合体は高い熱安定性を示し
た。熱重量分析の結果、重量減少は約320 ℃において初
めて僅かに観測された。窒素下900 ℃までの加熱におい
て重量減少の割合は約17%であった。
【0044】実施例2 レーザー光の光散乱法により、実施例1で得たポリ( キ
ノリン- 5, 8- ジイル)及び参考例で得たポリ (キノ
リン- 4, 7- ジイル)重合体のギ酸溶液について、そ
れぞれ偏光解消度を求めた。偏光解消度ρのうちρv
る値は、下記の数1および数2により重合体の長軸方向
の分極率(α1)及び重合体の短軸方向の分極率(α2)と
関係付けられる。
【数1】
【数2】 従って、α1 ≫α2 の条件では、 δ2 =1となり、ρ
v は1/3となる。
【0045】実施例1で得たポリ (キノリン- 5, 8-
ジイル)及び参考例で得たポリ(キノリン- 4, 7- ジ
イル)重合体についてのρv の値はそれぞれρv ≧0.3
3,ρv ≦0.01の値を示した。このように、ポリ(キノ
リン- 5, 8- ジイル)の ρv が非常に大きい事実
は、高分子主鎖に沿っての分極率(α1 )が非常に大き
いことを示しており、ポリマーの構造が剛直な線状であ
ることを示している。これに対し、ポリ(キノリン-
4, 7- ジイル)のρv が非常に小さい事実は、重合体
の長軸方向の分極率(α1)と短軸方向の分極率(α2)に
差が殆どないことを示しており、ポリマーの構造がラン
ダムコイル状であることしめしている。尚、ρv の測定
はいずれも重合体のギ酸溶液について行った。
【0046】実施例3 実施例1で得たポリ (キノリン- 5, 8- ジイル)重合
体のギ酸溶液を白金板上にひろげ、ギ酸を蒸発法及び真
空乾燥法により除くことにより重合体のフィルムを得
た。この重合体フィルムについて0.1mol/lの(C2H5)4NCl
O4を含むアセトニトリル溶液中でサイクリックボルタモ
グラムを測定した。その結果、当該重合体は、Ag/Ag +
に対して約−2.5Vでドーピングされ、逆方向の掃引にお
いては約−2.3V(Ag/Ag + に対しての電位)で脱ドープ
されることが分かった。ドーピングに際しては重合体
は、明瞭な色変化を示し、脱ドーピングに際しては逆の
変色が見られた。このような、電気化学的挙動及び変色
現象は、本発明の重合体特にポリ(キノリン−5,8−
ジイル)重合体が電気化学的に活性で、バッテリー用電
極及びエレクトロクロミズムを示す材料として使用可能
なことを示している。
【0047】また、本発明のポリ (キノリン- 5, 8-
ジイル)重合体で得られたドーピング、脱ドーピング電
位は、、ポリ(p−フェニレン)およびポリ (ピリジン
- 2, 5- ジイル)で得られる電位とほぼ同じ値であっ
た。ポリ(p−フェニレン)およびポリ (ピリジン-
2, 5- ジイル)はこの電位でn型にドーピングされる
代表的な化合物であり、また本発明の重合体はポリ(p
−フェニレン)およびポリ (ピリジン- 2, 5- ジイ
ル)と基本的に類似のπ共役系を持つので、上記電気化
学的ドーピングにおいてもn型へのドーピングが起こっ
ているものと考えられる。また、本発明のポリ (キノリ
ン- 5, 8- ジイル)重合体を、ソジウムナフタリド
(ナフタレンとナトリウムの反応物)を含む溶液に浸す
と、赤黄色から濃色へと変色し、電気化学的ドーピング
における場合と同様の色の変化が見られた。
【0048】更に、ポリ(キノリン−5,8−ジイル)
重合体を圧縮成形して得られたサンプルについて導電率
を測定したところ、3.2×10-9Scm-1(ジーメン
ス毎センチメートル)であったが、ソジウムナフタリド
との反応によりNa−ドープした後に圧縮成形して得ら
れた固形物は、室温において3.5×10-4Scm-1
導電性を有する半導体であることが分かった。ソジウム
ナフタリドはπ共役系高分子をn型にドーピングさせる
代表的な化合物であり、上記電気化学的ドーピングと同
様n型ドーピングが起こっているものと考えられる。
【0049】
【発明の効果】本発明のポリ(キノリン−5,8−ジイ
ル)重合体は、耐熱性を有し、有機溶媒に可溶であるか
ら、適宜な有機溶媒に溶かして得られる溶液を利用して
繊維、フィルム等への乾式成形が可能である。又、その
構造によって偏光解消度、電気化学的酸化還元電位をコ
ントロールすることができるなど、従来のポリアリーレ
ンにない優れた特性を有する。
【0050】又、本発明の方法によれば、脱離基である
ハロゲン基の結合位置によりモノマーの結合位置を正確
に決めることが出来、結合位置の制御された反覆構成単
位よりなるホモポリキノリンを合成することができる。
即ち、5, 8- ジブロモキノリンより前記実施例1の方
法に準じて得た重合体のIRスペクトルを図1に示す。同
図において縮合複素環であるキノリン環に特有の吸収が
見られる。この吸収ピークはモノマーのスペクトルと良
い一致を示した。又、得られたポリマーはギ酸やクロロ
ホルム等に可溶であり、その 1H- NMR スペクトルでは
7-10ppmにキノリン環プロトンのピークが観測された。
又、13C- NMR でも、120-160 ppm にキノリン環カーボ
ンのピークが観察された。これらの結果から、結合位置
を制御したポリキノリン類が得られることが分かる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法によって得られた各重合体のIRス
ペクトルを示す線図である。

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 縮合複素環化合物であるキノリンから2
    ヵ所の水素原子を除いて誘導されるキノリン−5,8−
    ジイルを反復構成単位とし、次の化1、 【化1】 (但し、式中nは少なくとも5の整数である)で表され
    るポリ(キノリンジイル)重合体。
  2. 【請求項2】 キノリンの5位及び8位の水素原子をハ
    ロゲンに置換した、次の化2、 【化2】 (式中、Xはハロゲンを表す)で示されるキノリンジハ
    ライドをゼロ価ニッケル化合物と反応させることを特徴
    とする次式化3、 【化3】 (式中、nは5以上の整数である)で表されるポリ(キ
    ノリンジイル)重合体の製造法。
  3. 【請求項3】 キノリンの5位及び8位の水素原子をハ
    ロゲンに置換した、前記化2(式中、Xはハロゲンを表
    す)で示されるキノリンジハライド化合物をニッケル化
    合物の存在下で電解還元することを特徴とする前記化3
    (式中、nは5以上の整数である)で表されるポリ(キ
    ノリンジイル)重合体の製造法。
  4. 【請求項4】 前記化1で示されるポリ(キノリンジイ
    ル)重合体よりなる繊維またはフィルム。
  5. 【請求項5】 前記化1で示されるポリ(キノリンジイ
    ル)重合体よりなるエレクトロクロミック素子。
  6. 【請求項6】 前記化1で示されるポリ(キノリンジイ
    ル)重合体よりなる電池の活物質または電極。
  7. 【請求項7】 前記化1で示されるポリ(キノリンジイ
    ル)重合体を還元剤又は電気化学的ドーピングにより還
    元してなるn型半導体。
JP3234809A 1991-09-13 1991-09-13 ポリ(キノリンジイル)重合体、その製造法及び利用法 Expired - Lifetime JP2517855B2 (ja)

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