JP2517771B2 - 大気圧プラズマ表面処理法 - Google Patents

大気圧プラズマ表面処理法

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Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、大気圧プラズマによる表面処理方法に関す
る。更に詳しくは、本発明は、大気圧下の高安定性グロ
ー放電プラズマを用い、比較的低温で、薄膜形成および
/または表面改質を行う表面処理法に関する。
従来より、低圧グロー放電プラズマによる製膜法や表
面改質法が広く知られており、実用化されて来た。この
低圧グロー放電プラズマによる表面処理法としては、室
温で気体の有機化合物の気体のプラズマ化による薄膜形
成および/または表面改質を行う、所謂有機プラズマ方
法があることは知られている。
たとえば、真空容器内において炭化水素気体をプラズ
マ励起し、シリコン基板またはガラス基板等の表面とア
モルフアス炭素膜を析出形成する方法や、エチレン等の
α,β−不飽和炭化水素気体をプラズマ励起して被処理
体の表面と重合体膜を形成する方法などがある。
しかしながら、上記のような従来の低圧グロー放電プ
ラズマによる表面処理法は、装置内をいづれも1×10-5
〜1×10-3torr程度の真空下に保つことが必要であり、
このため連続処理を行う工業的設備には莫大な額の設備
投資を必要とし、処理コストが高くなるという大きな欠
点があった。
本発明の共同発明者は、従来技術のこのような欠点を
克服するため、常温で気体の炭化水素気体等の反応性気
体をヘリウム等の不活性気体と混合して、大気圧下でプ
ラズマ励起させて被処理体の表面処理を行う方法を提案
した(特願昭63−138630号)。この方法では、優れた特
性と機能を有する表面処理法が大気圧下で実施可能とな
ったが、被処理体の材質が金属である場合アーク放電が
発生しがちであるという欠点を有することがその後明ら
かとなった。
本発明の共同発明者は、従来技術の上記欠点を更に改
善した特願昭63−202977号を提案した。この発明では、
上部電極の表面を固体誘電体で被覆した固体誘電体被覆
電極を用いることにより、被処理体に金属を用いた場合
でもアーク放電の発生が生せず、安定したグロー放電プ
ラズマにより被処理体の表面処理を行うことができるよ
うになった。
上記特願昭63−202977号では、エチレンやCF4等のよ
うな常温で気体の化合物の反応性気体を用いる場合に
は、大気圧下可成り安定したグロー放電プラズマにより
表面処理を行ないうるが、常温で液体の化合物の反応性
気体を用いて薄膜形成および/または表面改質を行う場
合、安定したグロー放電プラズマを得ることが極めて困
難であった。
本発明は、特願昭63−202977号の大気圧プラズマ表面
処理法において、テトラメチルシラン、スチレンまたは
キシレンのような、常温で液体の化合物を反応性気体源
として用いても極めて安定なグロー放電プラズマを容易
に得ることができる新規な大気圧プラズマ表面処理法の
提供を目的とするものである。
本発明は対向する電極の少くとも一方の、好ましくは
両方の、電極の表面に固体誘電体を配設してなる誘電体
被覆電極を有するプラズマ反応装置と、常温で気体の不
活性気体、常温で液体または固体の化合物の反応性気体
及び常温で液体の有機溶媒の不活性気体を導入し、大気
圧下でプラズマ励起を行って、対向する電極間に位置す
る被処理体の表面処理を行うことを特徴とする、大気圧
プラズマによる表面処理法が提供される。なお、上記反
応性気体は必要に応じ2種以上の混合物を用いてもよ
い。
本発明の大気圧プラズマ表面処理法によれば、従来使
用が極めて困難であるか乃至は不可能であった常温で液
体または固体の化合物を反応性気体源として用い、大気
圧プラズマ表面処理を行うことが始めて可能となった。
それ故、本発明は、大気圧プラズマ表面処理技術の応用
範囲を飛躍的に拡大することを可能としたもので、今後
のプラズマ表面処理技術の分野に多大の貢献をなすもの
である。
本発明の詳細及び効果は以下の記載により更に明らか
となるであろう。
第1図は本発明の表面処理法に用いられるプラズマ反
応装置の1例である。
第1図において、パイレックス製のベルジヤー(1)
は、内部と高電圧を印加する上部電極(2)と下部電極
(3)を有している。この上部電極(2)の表面には、
ガラス、セラミック、プラスチック等の、好ましくは耐
熱性の、固体誘電体(4)を設けてある。一方、アース
側の下部電極(3)の上に表面処理すべき被処理体
(5)を設置する。
He等の不活性気体、テトラメチルシラン等の常温で液
体である化合物の反応性気体及びメチルエチルケトン
(以下「MEK」ということあり)のような常温で液体で
ある有機溶媒の不活性気体を混合した混合気体が、気体
導入口(6)より、第2図に示した複数の開孔(7)を
有する多孔管(8)に導入され、開孔(7)から被処理
体(5)に対して均一に分散供給される。反応後未反応
気体及び不活性気体等は排出口(9)より排出される。
下部電極(3)には温度センサー(図示せず)が埋設
されており、且つ、必要に応じ冷却水入口(10)及び冷
却水出口(11)により供給される冷却水によって、下部
電極(3)を所定温度に維持する。この下部電極(3)
はアースされており、また必要に応じ内部に加熱ヒータ
ー(図示せず)を内蔵していてもよい。
He等の常温で気体の不活性気体は、流量計(12)から
シリカゲル等の脱水器(13)を経て蒸発筒(14)に入
る。蒸発筒(14)は内筒(15)を有する二重構造をなし
ており、内筒(15)の外表面は加熱用ヒーター(16)に
よって覆われていて、内蔵する温度センサー(図示せ
ず)により所定温度に保持される。テトラメチルシラン
のような反応性気体源である常温で液体(又は固体)の
化合物は、MEKのような有機溶媒に溶解され、この溶液
が内筒(15)の漏斗状上部開口部(17)に位置する細管
(18)から一定流量で注入され、内筒(15)の内壁に沿
って流下する間に加熱されて蒸発する。このようにして
反応性気体、He等の不活性気体及びMEK等の有機溶媒の
不活性気体の混合気体が気体導入口(6)、多孔管
(8)を経て、均一に被処理体の表面に送られる。
一方、上部電極(2)と下部電極(3)には高周波の
高電圧が印加されていて安定なグロー放電が起きている
ので、テトラメチルシランのような化合物の反応性気体
はプラズマ励起され、被処理体の表面に薄膜形成および
/または表面改質が有効に行なわれる。
本発明では、反応性気体源が常温で液体又は常温で固
体の化合物である点に一つの特徴を有する。
このような常温で液体である化合物の例としては、ヘ
キサン、ヘプタン、オクタン、ノナン等の脂肪族炭化水
素、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水
素、1,1,1−トリクロロメタン、パークロロエチレン等
のハロゲン化炭化水素類、シクロヘキサン、シクロオク
タン等の環状脂肪族炭化水素類、スチレン、エチレン、
メチルメタアクリル酸等のα,β−不飽和炭化水素類、
エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n
−ブタノール、イソブタノール等のアルコール類、1,4
−ジオキサン、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ等
のエーテル類、酢酸エチル、アセト酢酸エチル等のエス
テル類、ベンズアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブ
チルアルデヒド等のアルデヒド類、酢酸、プロピオン
酸、酪酸等のカルボン酸類、トリエチルアミン、ジエチ
ルアミン、ジエタノールアミン等のアミン類、ジメチル
スルホキシド類の有機硫黄化合物類、テトラメチルシラ
ン、トリメチルクロロシラン等の有機珪素化合物等を挙
げることができるが、その他被処理体の表面とプラズマ
励起状態で反応性の有機化合物及びプラズマ励起状態で
重合膜形成性の化合物も、本発明の表面処理法において
反応性気体源として用い得ることは、上記の例示が多種
類の化合物に及ぶことよりも明らかである。
一方、反応性気体源である常温で固体の化合物として
は、安息香酸、ナフタレン(dl−カンフアー)等の芳香
族有機化合物類及び無水マレイン酸、無水コハク酸等の
酸無水物類を挙げることができる。
更に、本発明においては、反応性気体源である常温で
液体または固体の化合物を、反応時不活性の気体に蒸発
される、有機溶媒に溶解して用いる点にも一つの特徴を
有する。このようにグロー放電下のプラズマ励起を生じ
る反応条件下において、被処理体の表面処理反応に、気
体状態で実質的に不活性な或る種の有機溶媒の存在する
ことが本発明者によって始めて発見された。このような
有機溶媒としては、MEK、アセトン及びメチルイソブチ
ルケトンのような各アルキル部分の炭素原子数が独立し
て1〜6のジアルキルケトン類を例示することができ
る。
反応性気体源の化合物の上記有機溶媒中溶液の濃度
は、該化合物の種類、被処理体の種類その他の条件によ
って、適宜選択することができるが、一般的には約0.01
〜50重量%、好ましくは約1〜20重量%が採用し得る。
一方、常温で気体の不活性気体としては、He、Ne、A
r、N2等を例示することができる。
本発明の表面処理法においては、プラズマ反応装置に
導入される混合気体中の常温で気体の不活性気体、反応
性気体、有機溶媒の不活性気体の各割合は、反応性気体
の種類、被処理体の表面、グロー放電条件等によって適
宜選択されるが、一般に常温で気体の不活性気体の濃度
は60〜99.99容量%、好ましくは80〜99.9容量%、反応
性気体の濃度は5〜0.0001容量%、好ましくは2〜0.00
1容量%、有機溶媒の不活性気体の濃度は35〜0.01容量
%、好ましくは18〜0.1容量%が採用されることができ
る。
なお、本発明の大気圧プラズマ表面処理法において
は、プラズマ反応装置に導入される気体混合物中の水分
は好ましくは可及的少なく除去しておくことが必要であ
る。
本発明の大気圧プラズマ表面処理法では、グロー放電
により反応性気体を励起し、高エネルギーのプラズマを
形成する。このプラズマの形成は高電圧の印加により行
なうが、この際印加する電圧の値は、被処理体の表面の
性状や表面処理の時間等に応じて適宜決められるが、一
般的には、例えば1000V〜6000Vの電圧を採用することが
できる。
なお電源の周波数は、被処理体の材質が金属の場合に
は低圧プラズマで使用される13.56MHzでも問題は無い
が、被処理体がプラスチックのように耐熱性の低い場合
には1〜1000KHzの周波数の採用が好適である。
本発明の大気圧プラズマ表面処理法は、前述のように
1×10-5〜1×10-3torrといった真空を必要としない点
に大きな特徴の一つがあるが、更に処理温度が従来の一
般的CVD法の例えば400〜800℃のような高温を必要とせ
ず、極めて低温で表面処理が行なえる点にも重要な特徴
がある。即ち、本発明では、表面処理の温度がアース側
の電極の温度で表わした場合、室温〜150℃、好ましく
は室温〜80℃、最も好ましくは40〜60℃に保持すること
ができる。本発明では、このような比較的低温の表面処
理温度が採用されるので、プラスチックのような耐熱性
の低い材質の被処理体にも容易に表面処理を行うことが
できる。
本発明の表面処理の対象とされる被処理体の材質とし
ては、プラスチック、ガラス、合成繊維布帛、天然繊維
布帛、紙、セラミックス、金属、木材等を例示すること
ができる。
本発明のプラズマ表面処理法は、大気圧下の反応装置
を用いることができ、しかも従来の大気圧プラズマ表面
処理法では用いることのできなかった、常温で液体又は
固体の化合物の気体を反応性気体として用いることが可
能となり且つ高度に安定なグロー放電プラズマーを、ア
ーク放電の発生無しに、容易に得ることができると同時
に、処理温度も室温〜150℃と低温で済むといった優れ
た効果を奏する。
本発明の表面処理法は、上記のように優れた効果を奏
するので、下記のような多くの用途を有するものであ
る。即ち、印刷適性の改善、接着性の向上、染色性の改
善、耐染性の賦与、静電防止性の向上(導電性の賦
与)、紫外線や赤外線の透過防止膜の生成、絶縁性膜の
生成等のように前記被処理体の多方面の表面特性の改質
が本発明によって工業的に容易に行うことが可能となっ
た。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明する。
実施例1 電極の直径40mm 電極間の距離10mm 上部電極に直径70mm、厚み0.1mmの雲母板を接着して
誘電体被覆電極とした。
被処理体としてポリエステルの布帛を使用し、希ガス
はHeガス、有機化合物はテトラメチルシランを使用し
た。
テトラメチルシランは沸点26℃の化合物でこれをメチ
ルエチルケトンに10%混合した即ち MEK 90部 テトラメチルシラン 10部 この溶液を細管より微滴として滴下した。
ヘリウムガスの流量は3000cc/minである。滴下時のヒ
ーター温度は100℃とした。
放電条件は50000Hz、電圧3000V、電流は約30mAであ
る。
この条件で電極間にグロー放電を発生させながら、テ
トラメチルシランのMEK溶液を滴下した。滴下量は0.2ml
で、速度は0.04ml/minである。この間グロー放電は安定
で放電の停止やアーク放電を起すことはなかった。
滴下を終ったら直ちにポリエステル布帛を取り出しメ
チルバイオレットの0.2%水溶液に浸漬した。ポリエス
エル布帛はメチルバイオレットのようなトリフエニルメ
タン系の色素には全く染色されないが、プラズマ処理を
した直径40mmの円部分は染色され、水洗しても色落ちは
見られない。
これは明らかにプラズマによるテトラメチルシランの
分子内反応物が生成して、極めて染着し易い被膜を形成
していることが判る。
又同一条件でポリ塩化ビニールの厚さ0.5mmのものを
基板として行ったが、直径40mmの円状に透明な被覆の形
成が認められ、セロテープでも密着は完全であった。且
つその表面は親水性となり著しい水に対する接触角の変
化が起った。
ちなみにPVC表面の水に対する接触角は72゜、プラズ
マ処理面は18゜である。
実施例2 電極の直径40mm 電極間の距離8mm 上部電極及び下部電極に厚み0.1mm、直径70mmの雲母
板を接着して誘電対被覆電極とした。被処理体としてナ
イロンの布帛を使用し、希ガスはHeガス、有機化合物と
して沸点146℃のスチレンを使用した。
スチレンはメチルエチルケトンに MEK 95部 スチレン 5部 の割合に混合し、ヒーター温度200℃で細管より滴下し
た。滴下量は0.3mlで、速度は0.03ml/minである。
放電の条件は50000Hz、電圧4000V、電流は40mAであ
る。
Heガスの流速は4000cc/minとした。
スチレンの蒸気を混入している間はグロー放電は極め
て安定であった。
終了後、直ちにナイロン布帛を取り出したが、水に浸
漬すると処理された直径40mmと更に周囲5〜6mm即ち45
〜46mmの円は全く水にしみ込まず疎水性を示した。
実施例1と同様に0.2%のメチルバイオレット水溶液
に浸漬した所、プラズマ処理された45〜46mmの円状部分
は染色されず、それ以外の部分は染色された。
従ってスチレンの場合著しく疎水性の高い反応物又は
重合物の被膜を生成したことをたしかめることができ
た。
実施例3 電極の直径40mm 電極間の距離10mm 上部と下部の電極に厚み0.1mmの雲母板を接着して誘
電対被覆電極とした。
被処理体としては、厚み0.2mmのポリエステルシート
を使用し希釈用不活性ガスはHe、有機化合物として沸点
約250℃の安息香酸を使用した。安息香酸は100℃以上で
昇華する性質があり、沸点以下であってもミストとして
MEKの蒸気に含まれて導入できる。
メチルエチルケトン 95部 安息香酸 5部 の割合に混合し安息香酸を溶解する。
透明に溶解した所でヒーターの温度200℃で細管より
滴下した。
滴下量は0.2mlで、滴下速度は0.2ml/4分30秒である。
ヘリウムの流速は3.6/min、周波数は50000Hz、電圧40
00V、電流は20mAで滴下中グロー放電は安定であった。
終了後取り出して直径40〜42mmの円状に銀色に光る反応
物被膜の生成が認められ、セロテープによる密着は良好
であった。
安息香酸は水に溶解するが、本被膜は疎水性を示し水
には全く溶解しない。明らかにプラズマ中で分子内の反
応を起したものと考えられる。
実施例4 電極の直径 40mm 電極間の距離 9mm 上部電極に厚さ0.3mmのポリエステルシートをゴム系
の接着剤で接着し、誘電体被覆電極とした。尚ポリエス
テルシートは直径80mmである。
被処理体として厚さ0.5mmのポリカーボネート板を使
用し、不活性ガスとしてHeを用いた。
有機化合物として常温で固体のdlカンフアー(樟脳)
を使用した。dlカンフアーは約210℃で昇華する化合物
であるが、これもMEKに溶解して200℃のヒーター温度で
反応容器中に導入した。
メチルエチルケトン 95部 dlカンフアー 5部 これを混合して溶解し、透明な溶液を細管より流速3,
600cc/minのヘリウム中にヒーター温度200℃で滴下し
た。
滴下量は0.2mlで0.2ml/5分の速度で滴下した。滴下中
グロー放電は極めて安定であった。
終了後、ポリカーボネート板を取り出したが、直径50
〜60mmの円状に薄膜を形成し、これは美しい青色の干渉
色を持ち、ポリカーボネート板に対する密着性は極めて
良好であった。dlカンフアーは水に溶解する為に、粉末
を水面に浮かすと溶解しながら運動するが、本実施例の
被膜は水に溶解しない。
実施例5 実施例2と全く同様の方法で、芳香族炭化水素キシレ
ンによる薄膜形成を行った。被処理体はポリエステルを
使用したが、極めて撥水性の強い円形薄膜を作った。
実施例6 実施例2と全く同様の方法で、メチルメタクリル酸メ
チルによる薄膜形成を行った。被処理体はナイロンの布
帛を使用したが、撥水性の円形部分を形成し、実施例2
と全く変らない現象を見せた。
実施例7 実施例3と全く同様の方法で、メチルエチルケトンの
代りにアセトンを使用し、有機化合物としては硫黄化合
物のジメチルスルホキシドを使用した。被処理体はポリ
エステルシートである。
本被膜は極めて親水性の強い被膜を形成し、水の中に
基板を浸漬して引き上げた時、円形の反応薄膜部分のみ
水に濡れ、他の部分は全く濡れを認めなかった。
実施例8 実施例4と全く同様の方法で、アルコール類のベンジ
ルアルコールによる薄膜形成を行った。被処理体として
はポリカーボネートを用いた。
この場合極めて疎水性の強い薄膜を形成した。
実施例9 実施例3と全く同様な方法で、フエノール類の石灰酸
(フエノール)で薄膜形成を行った。
被処理体としてナイロンの布帛を用いたが、これも極
めて撥水性の強い円形薄膜を形成した。
実施例10 実施例2と全く同様の方法で、アルデヒド類のベンズ
アルデヒドによる薄膜形成を行った。被処理体としてポ
リエステルシートを用いたが、黄色の薄膜を形成し、こ
れは親水性であり、水の中に浸漬し引き上げた時円形の
部分のみ水が付着した。
実施例11 実施例2と全く同様の方法で、ハロゲン化炭化水素の
1,1,1−トリクロルエタンの薄膜形成を行った。被処理
体としてポリエステルシートを用いたが、この場合も親
水性の薄膜が生成した。
実施例12 実施例2と全く同様の方法で、アミン化合物のトリエ
チルアミンの薄膜を形成した。
ポリエステルシートに極めて密着のよい青色の蛍光を
もつ親水性の薄膜を生成した。
実施例13 実施例3と全く同様の方法で、酸無水物である無水マ
レイン酸で薄膜形成を行った。
被処理体としてはポリエステルシートを使用して、や
や密着は悪いが撥水性の強い薄膜を形成した。
実施例14 実施例3と全く同様の方法で、エーテル類の1,4−ジ
オキサンの薄膜形成を行った。
ポリエステルシートに極めて良く密着する親水性の薄
膜が生成する。
実施例15 実施例3と全く同様の方法で、カルボン酸の氷酢酸の
薄膜形成を行った。
ポリエステルシートに極めて密着のよい親水性の薄膜
を形成した。
実施例16 実施例2と全く同様の方法で、脂肪族炭化水素のヘプ
タンの薄膜を形成した。
ポリエステルシートに極めて密着のよい親水性の薄膜
を形成した。
比較例1 実施例1と全く同じ方法で、MEKのみを使用して薄膜
の形成を行った。被処理体として塩化ビニルの0.5mm厚
のものを使用した。
かすかに薄膜の形成は認めたが、水にすべて溶解し、
洗ったものは膜のこん跡も認められず、他の有機化合物
が親水性に示しても、水には溶解しないのに比して大き
い差が認められた。
比較例2 実施例1と全く同じ方法で、アセトンのみを使用した
被処理体としてポリエステルシートを用いた。
これも比較例1と全く同様で他の有機化合物と大きい
差が認められた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の反応装置の一例を示した断面図で
あり、第2図は、該反応装置で用いられる多孔管の平面
図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小駒 益弘 埼玉県和光市下新倉843―15 (56)参考文献 特開 平2−15171(JP,A) 特開 平1−306569(JP,A) 特開 平3−241739(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】対向する電極の少くとも一方の電極の表面
    に固体誘電体を配設してなる誘電体被覆電極を有するプ
    ラズマ反応装置に、常温で気体の不活性気体、常温で液
    体または常温で固体の化合物の反応性気体及び常温で液
    体の有機溶媒の不活性気体を導入し、大気圧下プラズマ
    励起を行って、対向する電極の間に位置する被処理体の
    表面処理を行うことを特徴とする大気圧プラズマによる
    表面処理法。
  2. 【請求項2】該表面処理がアース側電極の温度:室温〜
    150℃で行なわれる特許請求の範囲第1項記載の表面処
    理法。
  3. 【請求項3】常温で液体の有機溶媒がケトン類である特
    許請求の範囲第1項記載の表面処理法。
  4. 【請求項4】ケトン類は各アルキル部分の炭素原子数が
    独立して1〜6のジアルキルケトンである特許請求の範
    囲第3項記載の表面処理法。
  5. 【請求項5】ケトン類はメチルエチルケトン又はアセト
    ンである特許請求の範囲第4項記載の表面処理法。
  6. 【請求項6】被処理体の材質がプラスチック、ガラス、
    布帛、紙、セラミックス及び金属からなる群より選ばれ
    る材質である特許請求の範囲第1〜5項の何れかに記載
    の表面処理法。
  7. 【請求項7】対向する2つの電極のそれぞれの表面に固
    体誘電体を配設してなる特許請求の範囲第1〜6項の何
    れかに記載の表面処理法。
JP2029436A 1990-02-13 1990-02-13 大気圧プラズマ表面処理法 Expired - Lifetime JP2517771B2 (ja)

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