JP2517594B2 - 繊維分散型超電導線の製造方法 - Google Patents

繊維分散型超電導線の製造方法

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JP2517594B2 JP62111368A JP11136887A JP2517594B2 JP 2517594 B2 JP2517594 B2 JP 2517594B2 JP 62111368 A JP62111368 A JP 62111368A JP 11136887 A JP11136887 A JP 11136887A JP 2517594 B2 JP2517594 B2 JP 2517594B2
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  • Superconductors And Manufacturing Methods Therefor (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、核融合炉用トロイダルマグネット、粒子加
速器用マグネット、超電導発電機用マグネット等に利用
される繊維分散型超電導線の製造方法に関する。
「従来の技術」 所定成分のCu−Nb−Sn3元合金を溶製した場合、銅合
金基地内にNbの樹枝状晶が分散した組織を有し、しかも
加工性が高いインゴッドを得ることができる。そしてこ
のインゴットに線引加工等を施して強加工すると、Nbの
繊維が多数密接して銅合金基地内に分散配列したインサ
イチュロッドを得ることができ、この製法は、従来、い
わゆるインサイチュ(In−situ)法として知られてい
る。そして、前記インサイチュロッドに拡散熱処理を施
すことにより内部のSnとNbを反応させてNb3Sn超電導金
属間化合物を生成させ、繊維分散型超電導線を製造する
ことがなされている。
ところで、前述のように構成された超電導線は単独で
は電流容量も小さく、しかも別途に安定化材を必要とす
るために、従来、実用的には第2図(A)〜(E)に示
すように加工を施し、安定化材を付設して大容量化する
ことがなされている。
即ち、第2図(A)に示すインサイチュロッド1を用
いて第2図(E)に示す大容量型超電導線Bを製造する
するには、まず、インサイチュロッド1を第2図(B)
に示すように所望の直径まで縮径してインサイチュ線2
を作製し、その外面にSnメッキ層3を形成して第2図
(C)に示すメッキ複合線4を作製する。次いでこのメ
ッキ複合線4に拡散熱処理を施すことによってインサイ
チュロッド1の内部に繊維状のNb3Sn超電導金属間化合
物を生成させ、繊維分散型Nb3Sn超電導線5を製造す
る。そして、この超電導線5をCu製あるいはAl製の安定
化材6の外方に、編み組み状態て配置してハンダ等の金
属系接着材7で固定し、第2図(E)に示す大容量型超
電導線Bを製造するのである。
一方、従来、多心化した超電導線として第3図に示す
ように、Snからなるコアー材8をインサイチュロッド9
の内部に複合して複合線10を作製し、この複合線10を安
定化材11の内部に複数集合して製造された超電導線12、
あるいは、第4図に示すように、Snからなる芯材13の周
囲にインサイチュロッド14を配し、これらを安定化材15
の内部に集合してなる超電導線16が知られている。
「発明が解決しようとする問題点」 第2図(E)に示す構造の大容量型超電導線Bを製造
する場合には、加工性の悪いNb3Snを生成させた後に超
電導線5を編み組みして集合し、金属系接着材7で固定
して大容量化する必要があるために、編み組み加工する
際に、各超電導線5に機械的応力を付加して歪を生じさ
せてしまい、この歪によって各超電導線5の超電導特性
が劣化する問題があった。
ところで、第2図(C)に示すメッキ複合線4に拡散
熱処理を施す場合、Snメッキ層3の溶け落ちを防止する
必要がある。このため従来、前記拡散熱処理時には、Sn
メッキ層3のSnがインサイチュ線2の内部に拡散するま
で低温度で熱処理を施し、その後に高温度でNb3Sn生成
用の拡散熱処理を施す必要があり、熱処理時間が長くな
る問題を有していた。
一方、第3図と第4図に示す構造の超電導線12,16に
あっては、線材の断面積に対してSnからなる芯材8,13の
断面積割合が大きく、拡散熱処理時に、芯材8,13の表面
にボイドを生じ易いために、後に施す機械加工の際に、
外力に対する特性劣化を生じ易い問題があった。
本発明は、前記問題に鑑みてなされたもので、インサ
イチュロッドを用いて超電導線を製造する場合、縮径時
の機械的応力により従来生じていた超電導特性の劣化を
防止でき、電流容量の高い超電導線を製造することがで
き、拡散熱処理の処理時間の短縮化をなしえるととも
に、拡散熱処理時に内部にボイドを生じることのない繊
維分散型超電導線の製造方法を提供することを目的とす
る。
「問題点を解決するための手段」 本発明は前記問題点を解消するために、超電導金属間
化合物を構成する2種以上の金属元素の内、少なくとも
1つの元素からなる繊維を基地の内部に形成してなるイ
ンサイチュロッドを用い、前記インサイチュロッドの外
周に、前記金属間化合物を構成する2種以上の金属元素
の内、残りの金属元素からなるか、あるいは残りの金属
元素を含有するテープを被せて被覆複合線を作製し、次
に、前記被覆複合線を複数本集合し、これらを前記超電
導金属間化合物を構成する元素の拡散を防止する元素か
らなる管体に挿入した後に、この管体の外側に安定化パ
イプを被せ、更に、縮径加工を施して所望の直径の超電
導素線を作製し、次いでこの超電導素線に拡散熱処理を
施し、前記薄肉部材を構成する元素を拡散させて前記繊
維を構成する元素と反応させ、超電導金属間化合物を生
成させるものである。
「作用」 安定化パイプの内側の管体の内部に複数の被覆複合線
を挿入した後に拡散熱処理を施すために、従来方法で行
っていたメッキ層の溶け落ちを防止する低温の熱処理を
行うことなく拡散熱処理を施すことができ、熱処理時間
を短縮できる。また、縮径加工により所望の直径に加工
した後に拡散熱処理を施してNb3Snを生成させるため
に、超電導線に機械的応力による歪を付加することなく
多心化することができ、縮径時に良好な加工性を維持す
ることができる。更に、管体に収納する被覆複合線の本
数を増加することにより大容量の超電導線を容易に製造
することができる。
以下に本発明を更に詳細に説明する。
第1図(A)〜(G)は、Nb3Sn系超電導線の製造に
適用した本発明の一実施例を示すもので、第1図(A)
〜(G)に示す加工を施すことによって第1図(G)に
示す繊維分散型Nb3Sn超電導線Tを製造することができ
る。
前記繊維分散型Nb3Sn超電導線Tを製造するには、ま
ず第1図(A)に示すインサイチュロッド20を作製す
る。このインサイチュロッド20を作製するには、銅合金
基地あるいは銅基地内にNbの樹枝状晶が分散した組織を
有するCu−Nb−Sn3元合金、あるいは、Cu−Sn合金イン
ゴットを溶製し、このインゴットに線引加工を施してNb
デンドライトを繊維状に密接させることにより製造す
る。このインサイチュロッド20はNbの繊維21が多数密接
して基地22内に分散配列した構造である。
次に、前記インサイチュロッド20に中間焼鈍処理を施
しつつ第1図(B)に示すように縮径してインサイチュ
線20′を作製し、更にその表面にSnテープ23を被覆し、
第1図(C)に示す被覆複合線24を作製する。
次に、前記被覆複合線24を複数本集合し、更に、第1
図(E)に示すように、NbまたはTaからなる拡散バリア
用の管体25を被せ、更に管体25にCuまたはAlからなる安
定化パイプ27を被せて複合線28を作製する。
そして、前記複合線28に縮径加工を施して製造すべき
超電導線Tとほぼ同じ直径を有する第1図(F)に示す
超電導素線29を作製する。
ここで前記各縮径工程においては、内部にNb3Sn超電
導金属間化合物を生成させていない状態で加工し、しか
も、インサイチュロッド1は本来良好な加工性を有して
いるために、断線等のトラブルを起こすことなく縮径加
工することができる。
そして次に、前記超電導素線29に拡散熱処理(500〜8
50℃程度に20〜300時間程度加熱する熱処理)を施し、S
nテープ23のSnを拡散させて銅合金基地22の内部のNb繊
維21とSnを反応させてNb3Sn超電導金属間化合物を生成
させることにより、第1図(G)に示す繊維分散型Nb3S
n超電導線Tを製造する。
以上説明したような方法を実施して繊維分散型Nb3Sn
多心超電導線Tを製造した場合、被覆複合線24を管体25
と安定化パイプ27の内部に挿入するために、拡散熱処理
時にSnテープ23の溶け落ちを防止する必要はなくなる。
この点において従来方法においては、Snメッキ層の溶け
落ちを防止するために、拡散熱処理の前段階で低温度に
長時間加熱することによりSnメッキ層を基地の内部に拡
散させる熱処理を施す必要があり、その後でNb3Sn生成
用拡散熱処理を施していたために、熱処理時間が長くな
っていたが、本実施例においては前記低温度の熱処理が
不要になるために熱処理時間の短縮化をなしうる。な
お、Snテープ23の厚さを調節することによって超電導線
Tに含有させるSn量を制御できるために、所望量のSnを
含有した超電導線Tを製造することができる。
また、繊維分散型Nb3Sn超電導線Tを製造するにあた
り、被覆複合線24を多数本、管体25の内部に配して縮径
した後に拡散熱処理を施すために、従来の大容量化法の
ように超電導金属間化合物生成後に編み組み加工を行う
必要がなくなり、超電導特性の劣化を生じることがなく
なる。更に、管体25の内部に挿入する被覆複合線24の数
を任意に選定できるために、管体25の内部に多数の被覆
複合線24を挿入することによって超電導線を容易に大容
量化できる効果がある。
一方、インサイチュ線2の外周に被覆するSnテープ23
の横断面積は、超電導線Tの横断面積に対して極めて小
さい値であるために、拡散熱処理によりボイドを生じる
ことはなくなり、ボイドによる超電導特性の劣化は生じ
ない。
ところで、前記実施例においては、Nb3Sn系超電導線
の製造に本発明を適用した例について説明したがV3Ga等
その他の化合物系超電導線に本発明を適用しても良いの
は勿論である。
「実施例」 Nb40重量%を含有した外形50mmのインサイチュロッド
を誘導加熱溶解法によって作製し、スウェージング加工
と線引加工を施して直径3mmのインサイチュ線を作製し
た。このインサイチュ線に純Snテープ(厚さ0.5mm)を
被覆し、ロール成形により隙間なく密着させて被覆複合
線を作製した。この被覆複合線を7本束ね、内径13mm、
外形14mmのNb管の内部に集合し、更に、安定化材となる
内径15mm、外形18mmの安定化パイプの内部に挿入し、全
体を縮径して最終線径1mmの超電導素線を得た。この超
電導素線を600℃に150時間加熱する拡散熱処理を施し、
内部にNb3Sn超電導金属間化合物を生成させて超電導線
を得た。
この超電導線の超電導特性を測定したところ、10T
(ステラ)の磁界における臨界電流値240Aで臨界電流密
度として950A/mm2を示し、良好な特性を得ることができ
る。
「発明の効果」 以上説明したように本発明によれば以下に説明する効
果を奏する。
(1)管体内部に任意の数の被覆複合線を挿入すること
ができるために、多数の被覆複合線を管体内部に挿入し
て超電導線を製造することによって大容量の超電導線を
容易に製造できる効果がある。
(2)インサイチュロッドに被着するテープの厚さを自
由に選択できるために、所望の厚さのテープを用いるこ
とによって超電導金属間化合物を構成する金属元素を所
望の量添加することができ、所望の特性を有する超電導
線を製造できる効果がある。
(3)被覆複合線を管体に挿入した後に所望の直径にな
るまで縮径加工を施し、後に拡散熱処理を施すために、
拡散熱処理前の縮径工程において、内部にNb3Sn超電導
金属間化合物を生成していない状態で加工することがで
き、しかも、インサイチュロッドが本来良好な加工性を
有しているために、断線等のトラブルを起こすことなく
縮径加工することができ、機械的応力による歪のない構
造の超電導線を製造することができる。
(4)管体内部に被覆複合線を挿入するために、熱処理
時にテープの溶け落ちが生じることはない。このため本
発明方法によれば、従来Nb3Sn生成用の拡散熱処理以前
にSnメッキの溶け落ちを防止するために行っていた低温
度における熱処理を省略することができるようになり、
熱処理時間の短縮化をなしうる。
(5)超電導線の内部にテープを複合するものであり、
超電導線の横断面積に対するテープの割合は極めて小さ
いために、拡散熱処理時にボイドを生じることもなくな
り、ボイドによる機械特性劣化のおそれも生じない。
【図面の簡単な説明】
第1図(A)〜(G)は、本発明方法の一例を示すもの
で、第1図(A)はインサイチュロッドの横断面図、第
1図(B)はインサイチュ線を示す横断面図、第1図
(C)は被覆複合線を示す横断面図、第1図(D)はイ
ンサイチュ線を集合してパイプの内部に挿入した状態を
示す横断面図、第1図(E)はパイプの外部に管体と安
定化パイプを被せた状態を示す横断面図、第1図(F)
は超電導素線の横断面図、第1図(G)は超電導線の横
断面図、第2図(A)〜(E)は従来方法の一例を示す
もので、第2図(A)はインサイチュロッドの横断面
図、第2図(B)はインサイチュ線の横断面図、第2図
(C)は被覆複合線の横断面図、第2図(D)は超電導
線の横断面図、第2図(E)は大容量型超電導線の横断
面図、第3図は従来の超電導線の一構造例を示す横断面
図、第4図は従来の超電導線の他の構造例を示す横断面
図である。 T……超電導線、 20……インサイチュロッド、 21……Nbの繊維、22……基地、 25……管体、27……安定化パイプ、 29……超電導素線。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超電導金属間化合物を構成する2種以上の
    金属元素の内、少なくとも1つの元素からなる繊維を基
    地の内部に形成してなるインサイチュロッドを用い、前
    記インサイチュロッドの外周に、前記金属間化合物を構
    成する2種以上の金属元素の内、残りの金属元素から構
    成されるか、あるいは、残りの金属元素を含有するテー
    プを被せて被覆複合線を作製し、次に、前記被覆複合線
    を複数本集合し、これらを前記超電導金属間化合物を構
    成する金属元素の拡散を防止する元素からなる管体に挿
    入した後に、この管体の外側に安定化パイプを被せ、更
    に、縮径加工を施して所望の直径の超電導素線を作製
    し、次いでこの超電導素線に拡散熱処理を施し、前記テ
    ープの金属元素を拡散させて前記繊維を構成する元素と
    反応させ、超電導金属間化合物を生成させることを特徴
    とする繊維分散型超電導線の製造方法。
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