JP2516700B2 - 温度測定装置の断線検出回路 - Google Patents

温度測定装置の断線検出回路

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JP2516700B2 JP2174129A JP17412990A JP2516700B2 JP 2516700 B2 JP2516700 B2 JP 2516700B2 JP 2174129 A JP2174129 A JP 2174129A JP 17412990 A JP17412990 A JP 17412990A JP 2516700 B2 JP2516700 B2 JP 2516700B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は温度測定装置の断線検出回路に関し、特に、
マイクロコンピュータが搭載されてインテリジェント化
された温度測定装置における、熱電対等の温度検出素子
や電気配線の断線を検出する断線検出回路の改善に関す
るものである。
〔従来の技術〕
プロセスの温度を検出する場合、検出端として一般に
熱電対や測温抵抗体等の温度検出素子が用いられた温度
測定装置が使用される。熱電対は熱起電力を利用して温
度測定を行い、測温抵抗体は例えば白金や銅の如き金属
における周囲温度変化による抵抗値の変化を捕えて温度
測定を行う。
温度測定装置において、熱電対の場合、数mVから数10
mVの微小な熱起電力を高精度の直流増幅器で増幅し、信
号絶縁を施してプロセス統一信号(DC4〜20mA又はDC1〜
5V)等に変換して出力したり、A/D変換及びディジタル
処理を施して各種の伝送信号に変換する。また測温抵抗
体の場合には、測温抵抗体に電流を流し、温度に対応し
た抵抗値の変化を電圧値に変換して取出し、増幅を行
い、各種信号処理を施す。
ところで、温度測定装置における熱電対や測温抵抗体
は温度測定のため高温にさらされたり、温度サイクルを
与えられたりするので、断線する可能性が存在する。そ
こで、従来の温度測定装置では、プロセスの安全性を保
つため、熱電対等の断線を迅速に検出できるように断線
検出回路を設け、断線が起きた時には警報を発するよう
に構成されていた。
従来の断線検出回路の構成例を第6図に基づいて説明
する。
第6図において、1は熱電対、2,3は一対の入力端子
であり、抵抗4(抵抗値RS)とコンデンサ5(容量値
CS)とで入力フィルタ回路が構成される。6は断線検出
用の電流を流すための直流電源(VB)、7は断線検出用
電流を制限する抵抗(RB)、8はフィルタ回路の出力を
増幅する増幅器である。以上の構成において、熱電対1
又はその途中の電気配線で断線状態が発生すると、電源
6からの電流が抵抗7,通過してコンデンサ5に与えら
れ、ここで充電が行われる。コンデンサ5の端子電圧は
徐々に上昇し、これに応じて増幅器8の出力電圧も増加
する。増幅器8の出力が所定のレベルに至って断線が起
きたと判断される。
〔発明が解決しようとする課題〕
先ず上記の断線検出回路のフィルタ回路について説明
する。抵抗4とコンデンサ5からなるフィルタ回路は信
号線に重畳された誘導ノイズを除去するためのもので、
通常、数10msから数10msの時定数を有し、温度測定装置
では必要不可欠なものである。またフィルタ回路の後段
に配設された増幅器8は、通常0〜2mVの信号を0.1%以
下の精度で増幅する機能が要求される。この増幅器に
は、近年低ドリフトでオフセット電圧及び電流の小さい
演算増幅器を用いている。このような演算増幅器では入
力オフセット電流温度ドリフトは、例えば数10pA(ピコ
アンペア)という低い値に押えられている。
ところで測定電圧が0〜2mVで精度が0.1%である場
合、演算増幅器8の入力オフセット電流温度ドリフトを
例えば10pA/℃、入力抵抗RSを20kΩとすると、入力抵抗
でどのように調整しても、周囲温度が10℃変化すると2
μVの変化が生じ、上記測定範囲に対して0.1%の誤差
が生じることになる。更に、実際面では、その他に入力
オフセット電圧温度ドリフトがあり、誤差要因として一
層大きな影響を与える。このため、第6図で示されたフ
ィルタ回路では、必要な時定数を得るに当たって、抵抗
4の抵抗値RSはできる限り小さい値を選択し、コンデン
サ5の容量値CSを大きくするように構成するのが一般的
である。
次に断線検出のために流す電流について説明する。熱
電対から温度計測回路までの配線は熱電対素線で行うの
が望ましいが、高価であるので補償導線という線材を用
いるのが普通である。かかる配線が長距離で配設される
場合を考慮し、温度測定装置は500Ω程度の信号源抵抗
を許容して精度を確保する必要があり、この信号源抵抗
の許容値で断線検出用の電流値が決定される。測定電圧
の範囲が上記と同様に0〜2mVで、許容値を例えば500Ω
とし且つ断線電流が4nAであるとすると、信号抵抗源に
より2μVの電圧降下が生じ、0.1%の誤差となる。
上記のように、抵抗4の抵抗値RS、フィルタ回路の時
定数、断線検出用電流値の各制限から第6図に示された
回路要素RS,CS,RB,VBが決定される。諸条件を考慮してR
Sは4.7kΩ、CSは約21μF、RBは47MΩ、VBは約0.19Vに
設定される。このような数値に設定した状態で、熱電対
が断線した場合を考える。この断線では、初期条件とし
て入力電圧を0mV、測定範囲の110%である2.2mVで断線
を検出するものとする。断線が発生したとき、電源6か
らの電流は定電流となって、コンデンサ5に流れ込み、
充電が行われる。断線が検出されるまでに要する時間は
tは、 (CS×2.2mV)/4nA の式により、約12s(秒)となる。
従来の温度測定装置の断線検出回路の回路構成では、
断線を検出するまで長い時間を要し、且つ断線検出のた
めの電圧が徐々に変化するという特性を有している。こ
のため、熱電対で断線が起き、これを検出すべく温度測
定装置の出力が徐々に増加すると、温度測定装置の出力
を取込んで制御動作を行うプロセス制御装置は、プロセ
スの温度が上がったと判断し、温度を下げる操作を実行
する可能性が存在する。かかる操作を実行すると、実際
のプロセスの温度が低下し、プロセスを乱し、製品が不
良品となる。
上記の問題を解決するためプロセス制御装置の側で入
力される信号に対して警報点を設定し、温度測定装置の
出力が徐々に上昇したとき、この警報により上記操作を
保留する等の対策を施すことができるが、この場合には
警報点まで至る時間が長くかかるために完全な対策とは
ならない。
また上記の断線検出方法では、温度の測定範囲が変更
されたとき、入力電圧範囲が変更することになるが、仮
にこの入力電圧範囲を0〜20mVとして断線時の動作を考
えると、回路定数が前のままであるとすると、振切れる
間での時間が10倍の120sとなる。従って、測定範囲によ
って検出電流を変更する必要が生じる。
以上の説明で明らかなような従来の温度測定装置の断
線検出回路では、電流検出素子の断線検出の高速化につ
いて十分配慮されておらず、且つこれが誤情報をもたら
すという不具合が存在した。
本発明の目的は、熱電対等の温度検出素子及び電気配
線における断線を迅速に且つ正確に検出できる温度測定
装置の断線検出回路を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
本発明に係る第1の温度測定装置の断線検出回路は、
少なくとも1個の温度検出素子と、温度検出素子の出力
信号のノイズを除去するフィルタ回路と、フィルタ回路
の出力信号を増幅する第1の増幅器と、第1の増幅器の
出力信号に基づき温度情報を取出すように構成された温
度測定装置において、温度検出素子とフィルタ回路との
間に設けられたスイッチ手段と、温度検出素子に断線検
出用直流電流を供給する直流電源回路と、温度検出素子
の端子に接続された第2の増幅器を備え、断線検出時に
はスイッチ手段をオフ状態にして前記第2の増幅器の出
力で断線状態を検出するように構成される。
本発明に係る第2の温度測定装置の断線検出回路は、
少なくとも1個の温度検出素子と、温度検出素子の出力
信号のノイズを除去するフィルタ回路と、フィルタ回路
の出力信号を増幅する増幅器と、増幅器の出力信号に基
づき温度情報を取出すように構成された温度測定装置に
おいて、温度検出素子とフィルタ回路との間に設けられ
たスイッチ手段と、温度検出素子に断線検出用電流を供
給する電源回路と、温度検出素子の端子に接続された比
較器を備え、断線検出時にはスイッチ手段をオフ状態に
して比較器の出力で断線状態を検出するように構成され
る。
本発明に係る第3の温度測定装置の断線検出回路は、
前記第2の構成において、増幅器の出力信号をディジタ
ル化するA/D変換器と、A/D変換器の出力信号と比較器の
出力信号を入力して温度測定又は断線検出の信号処理を
行うと共にスイッチ手段の動作を制御するディジタル信
号処理手段を備え、ディジタル信号処理手段により温度
測定処理と断線検出処理を選択して行うように構成され
る。
本発明に係る温度測定装置の断線検出回路は、前記の
第3の構成において、複数の温度検出素子を有し、各温
度検出素子の入力端子部に接続切換え手段を設け、ディ
ジタル信号処理手段で接続切換え手段の切換え動作を制
御し、温度検出素子の出力信号を選択して取込むように
構成することができる。
また本発明に係る温度測定装置の断線検出回路は、前
記の各構成において、温度検出素子の端子と電源回路の
出力端子との間に他のスイッチ手段を設け、電源回路の
出力端子に第2の増幅器又は比較器の入力端子を接続す
るように構成することができる。
〔作用〕
本発明に係る温度測定装置の断線検出回路では、温度
測定のための信号取出しルートと、熱電対等の温度検出
素子の断線検出を行う信号取出しルートとを別々とし、
そのために、温度検出素子と入力フィルタ回路との間に
スイッチ手段を介設し、このスイッチ手段で温度検出素
子とフィルタ回路との間を温度測定時には接続し、断線
検出時には切離す回路構成とした。かかる構成によっ
て、断線が起きた時、断線状態を表す信号を取出すよう
に構成された第2の増幅器の出力端で、検出信号を急速
に立ち上がらせることが可能となり、迅速に断線か否か
の判定を行うことができる。また第2の増幅器の代わり
に比較器を用いた場合にも、断線検出信号を迅速に得ら
れる。
温度検出素子を複数有する場合には、ディジタル信号
処理手段に取込む検出信号を接続切換え手段で選択する
ように構成される。
また、断線検出電流を流すための電源回路の出力端子
と温度検出素子との間に他のスイッチ手段を介設し、温
度測定時には前記他のスイッチ手段をオフ状態にするこ
とによって断線検出電流を温度検出素子に流さないよう
にし、信号源抵抗に起因する誤差をなくすようにする。
〔実施例〕 以下に、本発明の実施例を添付図面に基づいて説明す
る。
第1図に基づき温度測定装置の断線検出回路の第1実
施例を説明する。第1図において、第6図に示した要素
と同一の要素には同一の符号を付している。第1図にお
いて、1は温度検出素子である熱電対、2及び3は入力
端子、4は抵抗、5はコンデンサで、4と5で入力フィ
ルタ回路が形成される。6は断線検出用の直流電流を供
給する直流電源、7は当該電流の値を設定する抵抗、8
は増幅器である。以上の回路要素の結線構造は前述した
構造と同じである。かかる構造に対して、更に2個のア
ナログスイッチ9,10と増幅器(又は、後述するように比
較器)11が追加される。アナログスイッチ9は入力端子
2と抵抗4との間に介設され、アナログスイッチ10は入
力端子2と抵抗7との間に介設される。また、増幅器11
は抵抗7の下流側端子の電圧を入力し、これを増幅する
機能を有している。増幅器11の出力に断線検出信号が取
出される。アナログスイッチ9,10のオン・オフ動作は図
示しない制御手段によって行われる。アナログスイッチ
10については、断線検出用電流による信号源抵抗の電圧
降下が無視されるときには、これを設ける必要がない。
次に第1図の回路の動作について説明する。温度測定
時には、アナログスイッチ9をオンにして抵抗4とコン
デンサ5によるフィルタ回路を経由して熱電対1の熱起
電力が増幅器8に入力される。増幅器8の出力に温度測
定信号が取出される。このとき他のアナログスイッチ10
はオン・オフいずれの状態でも良い。断線を検出すると
きには、アナログスイッチ9をオフにし、且つアナログ
スイッチ10をオンにする。アナログスイッチ9をオフに
すると、フィルタ回路の充電用コンデンサ5が電源6か
ら切離されるため、入力端子2の電圧は、断線が起きて
いる場合には電源6の電圧まで急速に立ち上がり、断線
が起きていない場合には熱電対1の熱起電力の値と同じ
で、高々約100mVとなる。このようにアナログスイッチ1
0をオンにした状態で、アナログスイッチ9をオンから
オフへ切換えると、断線が発生しているときには、増幅
器11の出力端にて、入力端子2での電圧状態に基づき迅
速に断線検出を行うことができる。
上記の場合において、入力フィルタ回路に含まれるコ
ンデンサ5については無視することができるが、熱電対
1の電気配線の線間容量を無視することができない場合
がある。配線が長くなり、線間容量が大きくなる場合に
は、断線検出電流を大きくして、断線時の断線時の電圧
の立上がりを早くする必要がある。前述の通り、アナロ
グスイッチ10は必ずしも設ける必要がないが、断線検出
電流を大きくする場合にはアナログスイッチ10を設け
て、信号源抵抗による誤差をなくすようにする必要があ
る。
例えば線間容量が100pF/m、長さが100mの電気配線の
場合、集中定数として合計すると、104pFとなる。この
とき増幅器11における断線検出電圧を200mVとし、断線
検出電流を4nAとしたとき、検出時間は0.5s(秒)とな
る。これを短くするには、断線検出電流を増加すれば良
く、例えば検出時間を5msとするためには、断線検出電
流を100倍の400nAとし、アナログスイッチ10を5ms以上
オンにして断線の判定を行う必要がある ただし、上記の如く断線検出電流を増加した場合、信
号源抵抗の電圧降下による誤差が線間容量によって保持
されるので、これが信号源抵抗により放電されるまで温
度測定を行わないにする必要がある。この放電時間につ
いては、例えば線間容量104pF、信号源抵抗500Ωとする
と、その時定数は5μsである。放電時間は、断線検出
電圧である200mVから最小レンジ2mVの0.1%である2μ
Vまで放電するのに要する時間として求められる。放電
時間をtとすると、 2μV=200mV×e の関係が成り立ち、上記式に数値を代入すると、tは5
7.5×10-6sとして求められる。従って、時定数の12倍以
上の放電時間だけ待って温度測定すれば、誤差は無視す
ることができる。
次に、第2図によって本発明の第2実施例を説明す
る。この実施例では、マイクロコンピュータを含み、リ
ニアライズ処理等を行うインテリジェント化された温度
測定装置の断線検出回路が示されている。第2図中、第
1図に示された同一の要素には同一の符号を付してい
る。符号1〜11に示される要素及びそれらの結線構造は
前記実施例の場合と全く同じである。12はマルチプレク
サであり、温度測定信号増幅用の増幅器8と断線検出信
号増幅用の増幅器11の出力信号のうちいずれか一方の取
込みを選択する。13はA/D変換器、14はマイクロコンピ
ュータ及び周辺回路を含むディジタル信号処理部、15は
D/A変換器である。ディジタル信号処理部14は、マルチ
プレクサ12と、アナログスイッチ9,11に制御信号を与
え、それらの動作を制御する。16はアナログ出力端子、
17は通信端子である。本回路における断線検出の動作
は、アナログスイッチ9,10のオン・オフ動作を適宜に制
御して行われ、これについては、前記実施例で説明した
ものと同じである。この実施例では、アナログスイッチ
9,10のオン・オフ動作はディジタル信号処理部14によっ
て制御されるように構成されている。
上記構成を有する断線検出回路による断線検出動作で
は、ディジタル信号処理部14から与えられるディジタル
制御信号により、アナログスイッチ10をオン状態とし、
断線検出時間(例えば5ms)だけ待ち、マルチプレクサ1
2にて増幅器11側に切換え、A/D変換器13を経由して増幅
器11の出力信号を入力する。このとき、予め設定された
断線検出レベルより入力信号が大きいときには、断線処
理を行い、入力信号よりも小さいときには、回路の接続
関係を切換えて続いて温度測定処理に移行する。温度測
定処理に移行するときには、同じくディジタル信号処理
部14の制御信号により、先ず、アナログスイッチ10をオ
フし、入力電気配線の線間容量のチャージが放電するの
を待ってアナログスイッチ9をオンにすると共に、マル
チプレクサ12で増幅器8側への切換えを行い、A/D変換
器13を経由してその出力信号を入力する。
前記実施例では、温度測定装置による温度測定前に迅
速に断線状態であるか否かを検査し、断線処理を行うこ
とができる。本実施例では、断線検出時に必要に応じて
各種の出力処理を行うことができる。例えば、断線時に
即座にアナログ出力を振り切らせる、あるいはアナログ
出力を0Vとする、あるいは通信機能付きのものでは温度
測定データを保留させ、断線警報を通信データに含ませ
るなど、を考えることができる。
更に発明による断線検出回路の特徴として、マルチレ
ンジタイプの温度測定装置に適用することができる点を
挙げることができる。すなわち、本発明による断線検出
回路では、断線検出用の電流の値を大きくとることがで
きるので、レンジが変ったときにも検出電流を変更する
必要がなく、断線検出を高速に且つ正確に行うことがで
きる。
第3図は本発明の第3実施例の回路例を示す。この実
施例では、前記第2の実施例の構成において、断線検出
信号増幅用の前記増幅器11を比較器18と置き換えた構成
になっている。動作は基本的に第2実施例の断線検出回
路の動作を同じである。比較器18の出力は直接にディジ
タル信号処理部14に入力されるように構成され、そのた
めにマルチプレクサ12は不要となった。本発明による断
線検出回路では、前述の如く断線検出電流を大きくとる
ことができるので、本実施例のように断線検出を比較器
18で行うことが可能となる。また比較器18の出力は“H"
又は“L"で良いので、比較器18の出力にとってA/D変換
器13は必要ない。かかる構成によれば、ハードウェア及
びソフトウェアをより簡単に構成することができる。更
に電気配線が短く、その線間容量が小さい現場設置型の
温度測定装置では、アナログスイッチ10を省略すること
ができるので、回路の構成は更に簡単になる。
次に第4図に基づいて本発明による断線検出回路の第
4実施例について説明する。この実施例では、本発明に
係る断線検出回路を、多点測定として構成された温度測
定装置に適用した例を示している。この実施例では、第
4図に示すように、n個の熱電対1(1)〜1(n)を
有している。従って、入力端子2,3の対はn個の熱電対
のそれぞれに対応してn個存在する。図中(n)はチャ
ンネルを示す。MPXはチャンネルセレクトのマルチプレ
クサであり、このマルチプレクサも各熱電対に対応して
n個設けられる。多点の測定においては、それぞれの熱
電対が異なる熱起電力を出力するので、チャンネル間絶
縁を必要とし、そのため両切りのマルチプレクサMPX
(1)〜MPX(n)が設けられる。各マルチプレクサの
後の回路構成は、例えば第3図の回路構成と同じであ
る。ただし、ディジタル信号処理部14から各チャンネル
に対応するマルチプレクサ駆動信号S1〜Snが出力される
構成、D/A変換器15が多点の変換器構成となっている点
が異なる。
上記実施例の構成によれば、温度測定のレンジが変更
されても、回路変更されることなく、高速に且つ確実に
断線検出を行うことができる。本発明に係る断線検出回
路の構成は、特に多点のマルチレンジタイプの温度測定
装置に応用した場合に効果が発揮される。
また多点の温度測定装置に本発明に係る断線検出回路
を適用して場合、2つの動作方法を考えることができ
る。第1の動作方法は、第2図及び第3図の実施例と同
様な動作を各チャンネルごとに行う方法である。この動
作方法の場合には、先ず第1チャンネルの断線検出を行
い、次に温度測定を行い、次にリニアライズ処理等のデ
ィジタル処理を行い、最後に次のチャンネルに移るとい
う動作方法となる。この動作方法において、ディジタル
信号処理中に次のチャンネルの断線検出を行うように構
成することも可能である。これによって、断線検出を行
い且つ高速の処理が可能となる。また第2の動作方法
は、温度測定前にすべてのチャンネルの断線検出を行う
という動作方法である。この動作方法では、予め実際に
接続されているチャンネル及び断線しているチャンネル
が判明しているので、不要なチャンネルの温度測定を省
略することができるという利点があり、マイクロコンピ
ュータによる処理を少なくし、その負荷の軽減を図るこ
とができる。
上記の各実施例では温度検出素子として熱電対の場合
のみを説明したが、本発明による断線検出回路は、測温
抵抗体をの出力信号を入力するように構成された温度測
定装置にも適用することができる。第5図は当該適用例
である第5の実施例を示している。
第5図において、21は測温抵抗体であり、2,3,3′は
入力端子、4,4′は抵抗、5,5′はコンデンサ、8,22は増
幅器、23は増幅器8,22の出力を選択するマルチプレク
サ、24は測温抵抗体用電源である。その他の構成に関し
ては、前記実施例で説明した構成と同じであり、同一要
素には同一の符号を付し、その説明を省略する。次に本
実施例による回路の温度測定原理を説明する。
第5図に示すように、測温抵抗体21に駆動電流I0を流
し、アナログスイッチ9をオンし且つアナログスイッチ
10をオフして、増幅器22及び8の出力電圧e1,e2を求め
ると、 e1=G1×(R0+Rt+2r0)×I0 e2=G1×r0×I0 となる。ここで、R0は0℃のときの測温抵抗体の抵抗
値、Rtは温度変化による抵抗の変化分、r0は配線抵抗、
G1は増幅器8,22の利得であり、説明の便宜上簡単化のた
め等しいものとした。e1,e2からRtの項を取出すことに
より、温度データが得られる。そこで、e1−e2を計算す
ると、 e1−e2=G1×(R0+Rt)×I0=G1×R0×I0+G1×Rt×I0 となる。ここでG1,R0,I0は既知であるから、ディジタル
信号処理部14のデータとして予め用意しておくことによ
り消去することができ、結果としてRtに比例したG1×Rt
×I0を得ることができる。
上記の如き構成を有する測温抵抗体を温度検出素子と
して利用する温度測定装置では、3線式の測温抵抗体入
力回路であるため、3箇所の断線について調べる必要が
ある。先ず、入力端子2に接続される線が断線した場合
には、コンデンサ5′が定電流I0により急速に充電さ
れ、e1が振り切れるので、e1を測定することにより断線
が検出される。次に入力端子3′に接続される線が断線
した場合には、前記各実施例で説明した断線検出回路に
よる断線の検出が実行される。最後に入力端子3に接続
される線が断線したときには、コンデンサ5,5′が共に
電源24の定電流I0により急速に充電されるので、容易に
断線を検出することができる。
〔発明の効果〕
以上の説明で明らかなように、本発明によれば、少な
くとも1個の熱電対等の温度検出素子を有する温度測定
装置において、入力フィルタ回路を切離して直流電源か
らの直流電流により、断線検出を行えるように構成した
ため、簡単な構成でありながら、熱電対等の断線検出を
迅速に且つ正確に行うことができ、プロセスを乱すこと
なく安全に断線検出を行うことができる。また複数の温
度検出素子を有する多点測定式の温度測定装置に好適な
構成を有し、入力レンジが変更されても、回路定数を変
えることなく高速且つ確実に断線を検出することがで
き、マルチレンジタイプの温度測定装置への応用が容易
であり、多点入力タイプの温度測定装置を簡単に構成す
ることができる。また比較器を利用して断線検出回路部
を構成した場合には、信号処理部に断線の有無の事実を
直接に入力することができ、信号処理部の構成が簡易化
され、処理速度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る断線検出回路の第1実施例を示す
回路図、第2図は同回路の第2実施例を示す回路図、第
3図は同回路の第3実施例を示す回路図、第4図は同回
路の第4実施例を示す回路図、第5図は同回路の第5実
施例を示す回路図、第6図は従来の断線検出回路の回路
図である。 〔符号の説明〕 1……熱電対(温度検出素子) 2,3……入力端子 4……抵抗 5……コンデンサ 6……電源 7……抵抗 8……第1の増幅器 9,10……アナログスイッチ 11……第2の増幅器(又は比較器) 12……マルチプレクサ 13……A/D変換器 14……ディジタル信号処理部 18……比較器

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも1個の温度検出素子と、前記温
    度検出素子の出力信号のノイズを除去するフィルタ回路
    と、前記フィルタ回路の出力信号を増幅する第1の増幅
    器と、前記第1の増幅器の出力信号に基づき温度情報を
    取出すように構成された温度測定装置の断線検出回路に
    おいて、前記温度検出素子と前記フィルタ回路との間に
    設けられたスイッチ手段と、前記温度検出素子に断線検
    出用直流電流を供給する直流電源回路と、前記温度検出
    素子の端子及び前記直流電源に接続された第2の増幅器
    を備え、断線検出時には前記スイッチ手段をオフ状態に
    して前記第2の増幅器の出力で断線状態を検出するよう
    にしたことを特徴とする温度測定装置の断線検出回路。
  2. 【請求項2】少なくとも1個の温度検出素子と、前記温
    度検出素子の出力信号のノイズを除去するフィルタ回路
    と、前記フィルタ回路の出力信号を増幅する増幅器と、
    前記増幅器の出力信号に基づき温度情報を取出すように
    構成された温度測定装置の断線検出回路において、前記
    温度検出素子と前記フィルタ回路との間に設けられたス
    イッチ手段と、前記温度検出素子に断線検出用直流電流
    を供給する直流電源回路と、前記温度検出素子の端子及
    び前記直流電源に接続された比較器を備え、断線検出時
    には前記スイッチ手段をオフ状態にして前記比較器の出
    力で断線状態を検出するようにしたことを特徴とする温
    度測定装置の断線検出回路。
  3. 【請求項3】請求項2記載の温度測定装置の断線検出回
    路において、前記増幅器の出力信号をディジタル化する
    A/D変換器と、前記A/D変換器の出力信号と前記比較器の
    出力信号を入力して温度測定又は断線検出の信号処理を
    行うと共に前記スイッチ手段の動作を制御するディジタ
    ル信号処理手段を備え、前記ディジタル信号処理手段に
    より温度測定処理と断線検出処理を選択して行うように
    したことを特徴とする温度測定装置の断線検出回路。
  4. 【請求項4】請求項3記載の温度測定装置の断線検出回
    路において、複数の前記温度検出素子を有し、各温度検
    出素子の端子部に接続切換え手段を設け、前記ディジタ
    ル信号処理手段で前記接続切換え手段の切換え動作を制
    御し、前記温度検出素子の出力信号を選択して取込むよ
    うにしたことを特徴とする温度測定装置の断線検出回
    路。
  5. 【請求項5】請求項1〜4記載の温度測定装置の断線検
    出回路において、前記温度検出素子の端子と前記直流電
    源回路の出力端子との間に他のスイッチ手段を設け、前
    記電源回路の出力端子に前記第2の増幅器又は比較器の
    入力端子を接続するようにしたことを特徴とする温度測
    定装置の断線検出回路。
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