JP2516408B2 - 被覆顆粒を含む錠剤 - Google Patents

被覆顆粒を含む錠剤

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JP2516408B2 JP63205380A JP20538088A JP2516408B2 JP 2516408 B2 JP2516408 B2 JP 2516408B2 JP 63205380 A JP63205380 A JP 63205380A JP 20538088 A JP20538088 A JP 20538088A JP 2516408 B2 JP2516408 B2 JP 2516408B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、被覆顆粒を水溶性高分子又は酸可溶性高分
子で2重にコーティングしたのち圧縮成型した錠剤に関
するものであり、更に詳細には、被覆顆粒を含む医薬品
組成物を圧縮成型したときに被覆顆粒の被膜の破壊を防
止した、2重被覆顆粒を含む錠剤に関する。
〔従来の技術及びその課題〕
顆粒に腸溶性、酸可溶性あるいは不溶性の被膜を施
し、味・匂いの隠蔽、徐放性等の各種の機能を付加する
ことは広く一般に行われている。この被覆顆粒はそのま
まで、あるいは、硬質ゼラチンカプセルや軟質ゼラチン
カプセルに充填されて供されるが、圧縮成型して錠剤と
した場合には、そのときの圧縮力によって被膜が破壊さ
れその機能を失ったり、変化したりすることが多い。そ
のために、錠剤型の徐放性製剤を調製する場合には、あ
らかじめ圧縮による被膜の破壊を予測して、不溶性の高
分子等でコーティングすることにより、更に放出を押え
た顆粒を製した後、圧縮成型して錠剤とすることが行わ
れている。しかし、圧縮成型時の被膜の破壊は、被膜の
状態、非被覆部の性質等に左右され、その予測は非常に
困難であるため、得られた錠剤の放出特性は予め予測し
たものと異なることが多い。
〔課題を解決するための手段〕
かかる実情において、本発明者は被覆顆粒を圧縮成型
した場合の被膜の破損に関し、鋭意研究を行った結果、
被覆顆粒を水溶性高分子又は酸可溶性高分子でコーティ
ングし圧縮成型した錠剤は、被覆顆粒の特性・機能を損
なわずに、被膜の破壊を防止できることを見い出し、本
発明を完成した。
すなわち、本発明は、不溶性高分子、腸溶性高分子ま
たはワックス類の1種または2種以上からなる被膜によ
ってコーティングされた被覆顆粒を含有する医薬品組成
物を圧縮成型して得られる錠剤において、被覆顆粒が更
に該被覆顆粒に対し15〜50重量%の水溶性高分子又は酸
可溶性高分子の保護被膜でコーティングされたものであ
ることを特徴とする被覆顆粒を含む錠剤を提供するもの
である。
本発明で使用される水溶性高分子又は酸可溶性高分子
は、生体内へ投与された場合に実質的に被覆顆粒の被膜
の機能を変化させずに、圧縮加工するときの圧縮力に耐
えうるように被覆顆粒を保護する役割を有する。したが
って、本発明で使用される保護被膜は、上記役割を果た
し得るような水溶性高分子又は酸可溶性高分子であれば
よく、特に限定されないが、好ましい具体例として、水
溶性高分子としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロ
ース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロー
ス、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、
ゼラチン等があげられ、酸可溶性高分子としては、アミ
ノアルキルメタアクリレートコポリマーE、ポリビニル
アセタールジエチルアミノアセテート等があげられる。
これら高分子は単独であるいは2種以上を混合して用い
てもよく、生体内へ投与された場合に実質的に被覆顆粒
の被膜の機能をさまたげることなく、圧縮加工するとき
の圧縮力の耐え得るように被覆顆粒を保護することがで
きれば、腸溶性、水不溶性の高分子又はワックス類と混
合して用いてもよい。
本発明の錠剤を製するには、まず、被覆顆粒を常法に
より水溶性高分子又は酸可溶性高分子でコーティングし
2重の被覆顆粒を製する。その際に、必要に応じて適当
な可塑剤、滑沢剤、着色剤等を加えることができる。次
いで、その2重の被覆顆粒を、必要に応じて適当な賦形
剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、賦香剤、安定化
剤等を含む従来公知の打錠用組成物と混合し圧縮成型す
ることで製造される。
また、被覆顆粒の被膜が徐放性あるいは腸溶性の被膜
であり、投与後早期にある程度の血中濃度を得るために
は、保護被膜あるいは非被覆顆粒部に活性医薬品を配合
することができる。
更に、本発明の錠剤は、通常用いられている方法によ
り、有核錠、多層錠、フィルムコーティング錠、糖衣錠
とすることができる。
〔作用及び効果〕
かくして得られた本発明の被覆顆粒を含む錠剤は、水
溶性高分子又は酸可溶性高分子コーティングの作用によ
り、圧縮成型処理されても被覆顆粒の皮膜の機能を損な
うことがなく、所期の効果を得ることができるものであ
る。
〔実施例〕
以下に本発明の実施例を示し、本発明を詳細に説明す
る。
実施例1 裸顆粒aの製造: ジクロフェナクナトリウム800g、コーンスターチ400g
を混合し微粉砕し、微粉末を得る。28〜35メッシュに整
粒した白糖600gを芯としてヒドロキシプロピルセルロー
ス25gをエチルアルコール475gに溶解した液を掛けなが
ら、微粉末を転動造粒し、球形顆粒を製し、55℃にて3
時間乾燥する。この乾燥顆粒の16メッシュを通過し、35
メッシュを通過しないものを裸顆粒aとする。
実施例2 被覆顆粒bの製造: 実施例1で製した裸顆粒a 800gを流動層コーティン
グ装置に入れ、下記の組成のコーティング液2746gで常
法に従ってスプレーコーティングを行い、被覆顆粒bを
製する。このものの被覆量は裸顆粒に対し23%であっ
た。
組 成 % メタアクリル酸コポリマーL 6.5 タルク 0.2エチルアルコール 93.3 合 計 100.0 実施例3 2重の被覆顆粒cの製造: 実施例2で製した被覆顆粒b 500gを流動層コーティ
ング装置に入れ、下記の組成のコーティング液1389gで
常法に従ってスプレーコティングを行い、2重の被覆顆
粒cを製する。このものの被覆量は被覆顆粒bに対し20
%であった。
組 成 % ヒドロキシプロピルメチルセルロース 6.5 マクロゴール6000 0.5 タルク 0.2 エチルアルコール 66.8精製水 27.0 合 計 100.0 実施例4 本発明錠剤の製造 結晶セルロース240g、コーンスターチ25g、乳糖 172.
5gの混合末に10%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロ
ースの50%エチルアルコール溶液125gを加えて練合し、
常法により顆粒を製した。次いで、この顆粒203.6g、実
施例3で得た2重の被覆顆粒c168.4g、カルボキシメチ
ルセルロースカルシウム20g、ステアリン酸マグネシウ
ム4g、タルク4gを均一に混合したのち圧縮成型し、1錠
当たり重量400mg、直径10mmの本発明錠剤を製した。
実施例5 比較錠剤の製造: 結晶セルロース240g、コーンスターチ25g、乳糖 172.
5gの混合末に10%(w/w)のヒドロキシプロピルセルロ
ースの50%エチルアルコール溶液125gを加えて練合し、
常法により顆粒を製した。次いで、この顆粒203.6g、実
施例2の被覆顆粒b 140.3g、乳糖28.1g、カルボキシメ
チルセルロースカルシウム20g、ステアリン酸マグネシ
ウム4g、タルク4gを均一に混合したのち圧縮成型し、1
錠当たり重量400mg、直径10mmの錠剤を製した。
実施例6 実施例4で得られた本発明錠剤、実施例5で得られた
比較錠剤、被覆顆粒bの溶出を溶出液として試験開始か
ら30分間まではpH4.5の試験液を用い、30分後から60分
間ではpH6.8の試験液(日本薬局方−第11改正、第2
液)を用い、回転バドル法(日本薬局方−第11改正)10
0r.p.mで測定した。その結果を表1に示した。本発明錠
剤は、比較錠剤のように被膜の破壊が見られないばかり
でなく、比較顆粒剤と同じ溶出特性を示している。
実施例7 裸顆粒dの製造: テオフィリン800g、コーンスターチ375g、28〜35メッ
シュに整粒した白糖600g及びヒドロキシプロピルセルロ
ース25gをエチルアルコール475gに溶解した液を用い、
実施例1と同様な方法で裸顆粒dを得た。
実施例8 被覆顆粒eの製造: 実施例7で製した裸顆粒d 800gを流動層コーティン
グ装置に入れ、下記の組成のコーティング液1684gで常
法に従ってスプレーコーティングを行い、被覆顆粒eを
製する。このものの被覆量は裸顆粒に対し8%であっ
た。
組 成 % エチルセルロース 2.7 ポリビニルピロリドン K30 0.9 タルク 0.2エチルアルコール 96.2 合 計 100.0 実施例9 本発明で用いる2重の被覆顆粒fの製造: 実施例8で製した被覆顆粒e 600gを流動層コーティ
ング装置に入れ、下記の組成のコーティング液2000gで
常法に従ってスプレーコーティングを行い、2重の被覆
顆粒fを製する。このものの被覆量は被覆顆粒eに対し
20%であった。
組 成 % ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート 6.0 エチルアルコール 47.0アセトン 47.0 合 計 100.0 実施例10 本発明錠剤の製造: 2重の被覆顆粒f 147.8g、結晶セルロース150g、乳糖
46.2g、ステアリン酸マグネシウム3g、タルク3gを均一
に混合したのち圧縮成型し、1錠当たり重量350mg、直
径9mmの本発明錠剤を製した。
実施例11 比較錠剤の製造: 被覆顆粒e123.2g、結晶セルロース150g、乳糖70.8g、
ステアリン酸マグネシウム3g、タルク3gを均一に混合し
たのち圧縮成型し、1錠当たり重量350mg、直径9mmの錠
剤を製した。
実施例12 実施例10で得られた本発明錠剤、実施例11で得られた
比較錠剤、被覆顆粒eの溶出を溶出液としてpH1.2の液
を用い、回転バドル法(日本薬局方−第11改正)、100
r.p.mで測定した。その結果を表2に示した。本発明錠
剤は、比較顆粒とほぼ同じ溶出特性を示し、比較錠剤の
ように放出速度が変化していない。
実施例13 裸顆粒gの製造 セファレキシン1400g、乳糖160g、精製白糖200g、結
晶セルロース200gの混合末に、ヒドロキシプロピルセル
ロース40gをエチルアルコール760gに溶解した液を加え
て練合する。この練合物を円筒造粒機を用いて造粒した
後、マルメライザーを用いて、球状の顆粒を製し、55℃
にて2時間乾燥する。この乾燥顆粒のうち、16メッシュ
を通過し、35メッシュを通過しないものを裸顆粒gとす
る。
実施例14 被覆顆粒hの製造: 実施例13で製した裸顆粒g 800gを流動層コーティン
グ装置に入れ、実施例2の組成のコーティング液3582g
で常法に従ってスプレーコーティングを行って被覆顆粒
hを製する。このものの被覆量は裸顆粒gに対して30%
であった。
実施例15 2重の被覆顆粒iの製造: 実施例14で製した被覆顆粒h 400gを流動層コーティ
ング装置に入れ、実施例3の組成のコーティング液1111
gで常法に従ってスプレーコーティングを行い、2重の
被覆顆粒iを製する。このものの被覆量は被覆顆粒hに
対し20%であった。
実施例16 本発明錠剤の製造: セファレキシン700g、乳糖90g、精製白糖200gの混合
末に、ヒドロキシプロピルセルロース10gをエチルアル
コール190gに溶解した液を加え練合し、55℃にて2時間
乾燥し、常法により顆粒を製した。次いで、この顆粒5
3.6g、実施例15の2重の被覆顆粒i195g、結晶セルロー
ス143.4g、ステアリン酸マグネシウム4g、タルク4gを均
一に混合したのち圧縮成型し、1錠当たり重量800mg、
直径13mmの本発明錠剤を製した。
実施例17 比較錠剤の製造: セファレキシン700g、乳糖90g、精製白糖200gの混合
末に、ヒドロキシプロピルセルロース10gをエチルアル
コール190gに溶解した液を加え練合し、55℃にて2時間
乾燥し、常法により顆粒を製した。次いで、この顆粒5
3.6g、実施例14の被覆顆粒h 162.5g、結晶セルロース14
3.4g、乳糖32.5g、ステアリン酸マグネシウム4g、タル
ク4gを均一に混合したのち圧縮成型し、1錠当たり重量
800mg、直径13mmの錠剤を製した。
実施例18 比較顆粒剤の製造: 裸顆粒g10.7g、被覆顆粒h32.5gを混合したのち、432m
gに分包し顆粒剤を製した。
実施例19 実施例16で得られた本発明錠剤、実施例17で得られた
比較錠剤、実施例18で得られた比較顆粒剤の溶出を溶出
液として試験開始から30分まではpH1.2の試験液(日本
薬局方−第11改正、第1液)を用い、30分後から60分間
ではpH6.8の試験液(日本薬局方−第11改正、第2液)
を用い、回転パドル法(日本薬局方−第11改正)100r.
p.mで測定した。その結果を表3に示した。本発明によ
る錠剤の溶出特性は比較顆粒剤に比べあまり変化してい
ないのに対して、比較錠剤で溶出特性が大きく変化して
いる。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】不溶性高分子、腸溶性高分子またはワック
    ス類の1種または2種以上からなる被膜によってコーテ
    ィングされた被覆顆粒を含有する医薬品組成物を圧縮成
    型して得られる錠剤において、被覆顆粒が更に該被覆顆
    粒に対し15〜50重量%の水溶性高分子又は酸可溶性高分
    子の保護被膜でコーティングされたものであることを特
    徴とする被覆顆粒を含む錠剤。
  2. 【請求項2】被覆顆粒中に活性医薬品を含む請求項1記
    載の錠剤。
  3. 【請求項3】被覆顆粒及び非被覆顆粒部に活性医薬品を
    含む請求項1記載の錠剤。
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