JP2516124Y2 - ディスクのチャッキング装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この考案は情報を記録した、ある
いは情報を記録しうるディスク（光学式、静電式、光磁
気式など）の記録または再生装置におけるディスクのチ
ャッキング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】上記チャッキング装置はモータによって
回転駆動されるターンテーブルと、このターンテーブル
へ密着するように移動付勢されるチャックディスクとか
らなり、ターンテーブルとチャックディスクとの間にデ
ィスクを挟持して回転する。

【０００３】チャックディスクとターンテーブル方向へ
付勢する構造は、通常ターンテーブルを鉄等の磁性体と
すると共に、チャックディスクに永久磁石を固定して、
この磁石の磁力によってチャックディスクがターンテー
ブルへ吸引、吸着するようになっている。

【０００４】また、通常ターンテーブル側がシャーシに
固定であり、チャックディスクはターンテーブル方向へ
移動自在な枠部材などに、僅かに遊びを持たせた状態で
支持されている。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】上記のようなチャッキ
ング装置において、ターンテーブルの回転軸は軸受（ミ
ニチュアベアリング等）によって支持されているが、こ
の回転軸と軸受との間にはどうしても微小なすきまがあ
り、ターンテーブル上に載置したディスク中心とターン
テーブルの回転中心とが完全に一致していない限りは、
ディスクが回転した際に回転軸には首振り振動を起こす
力が働き、ディスクの回転中心がぶれるという不具合が
ある。ディスクが適正な（中心のぶれない）回転をしな
い場合、ピックアップのトラッキングが外れやすくなっ
たり、トラッキングの正確さが低下するという欠点にな
る。この考案は上記欠点を簡単な構造で解消しようとす
るものである。

【０００６】この考案は、ターンテーブルと該ターンテ
ーブル方向へ移動付勢されたチャックディスクとの間に
ディスクを挟んで回転するチャッキング装置であり、上
記ターンテーブルは回転軸に嵌合されたテーブル部材と
該テーブル部材と一体になったディスクの中心孔に嵌合
するカバー板とからなり、上記チャックディスクはター
ンテーブルに対して昇降動作する枠部材によって上下左
右方向に遊動自在に支承されたチャックディスク盤から
なり、該チャックディスク盤と枠部材とに、それぞれ永
久磁石を固定して磁力の反発力によりチャックディスク
盤を枠部材に対して下方付勢すると共に、チャックディ
スク盤側の永久磁石位置と枠部材側の永久磁石位置を左
右方向においてずらして設け、磁力の反発力によりチャ
ックディスク盤を左右の一定方向へも付勢することを提
案するものであり、チャックディスク盤側の磁石と枠部
材側の磁石固定位置をずらすかわりに、あるいはそれに
加えて、枠部材側に別の永久磁石を設けて該磁石の磁力
によりチャックディスク盤を左右の一定方向へ付勢する
ようにしてもよい。

【０００７】

【実施例】図３はこの考案のチャッキング装置を備えた
ディスクプレーヤの全体斜視図であり、本体(1)と、こ
の本体(1)から進退自在に突出するディスクのトレイ(2)
とからなっている。トレイ(2)上面には各種大きさのデ
ィスク(3)を載置しうる複数の異なった径の円形凹所
（図３では最大径のもののみ示している）(4)が形成し
てあり、この円形凹所(4)にディスク(3)を載置した後、
トレイ(2)を本体(1)内に収容すれば、ディスク(3)の中
心孔(3a)が本体内のターンテーブル(5)と、チャックデ
ィスク(6)位置にもたらされるようになっている。(7)は
チャックディスク(6)を支持する上下動自在な枠部材で
ある。

【０００８】次に図１に基づいてチャッキング装置を詳
細に説明する。この例のターンテーブル(5)はモータ(8)
に直結の回転軸(9)に嵌入固定したプラスチック製のテ
ーブル部材(10)と、このテーブル部材(10)の上面を覆う
ように嵌め込んだ同じくプラスチック製のカバー板(11)
とからなり、カバー板(11)は、その上面３ヶ所から下方
へ延びる弾性爪片(11a)がテーブル部材(10)の上部にあ
けた窓孔(10a)に突入係合することによってテーブル部
材(10)に一体連結されている。

【０００９】カバー板(11)の直径はディスクの中心孔(3
a)と同一に設定してあり、ディスク(3)をテーブル部材
(10)上に載置した際、ディスク中心孔(3a)が該カバー板
(11)にすきまなく正確に嵌まり込んでディスク(3)の位
置決めがなされる。(12)は回転軸(9)の軸受である。

【００１０】次にチャックディスク(6)について説明す
ると、この例のチャックディスク(6)は前記枠部材(7)の
下面に固定した板金製のディスク支持板(13)と、このデ
ィスク支持板(13)にあけた円形開口(13a)からその下部
がターンテーブル(5)方向へ露出したプラスチック製
の、チャックディスク盤(14)と、このチャックディスク
盤(14)上面に固定した永久磁石(15)と、枠部材(7)下面
に固定した永久磁石(16)とからなっている。(17)はヨー
クである。

【００１１】上記永久磁石(15)(16)は共に同一径のドー
ナツ状で、互いに対向した面が同極（Ｎ極とＮ極あるい
はＳ極とＳ極）となるようになっており、かつその中心
位置が左右方向に若干ずらされている。

【００１２】また、前記回転軸(9)はカバー板(11)の中
心から所定長さ上方へ突出する長さとしてあり、上記チ
ャックディスク盤(14)の中心には回転軸(9)上端に嵌入
しうる円筒部(14a)が形成してあり、カバー板(11)の中
心には上記円筒部(14a)を案内して回転軸(9)にうまく進
入するようにするガイド部(11b)が形成してある。

【００１３】従って、上記例のチャッキング装置は、枠
部材(7)がターンテーブル(5)から上方大きく離れた位置
（鎖線）では永久磁石(15)(16)同士の反発力により、チ
ャックディスク盤(14)が前記ディスク支持盤(13)に押し
当てられているが、枠部材(7)がターンテーブル(5)へ接
近すると、まず前記円筒部(14a)がカバー板(11)のガイ
ド部(11b)に案内されて回転軸(9)上端に嵌入し、チャッ
クディスク盤(14)下面の外周がディスク(3)面に当接す
る。そして、さらに枠部材(7)が下降すると、チャック
ディスク盤(14)のフランジ部(14b)とディスク支持盤(1
3)との間に間隙が生じ、ディスク盤(14)は永久磁石(15)
(16)同士の反発力によってのみディスク(3)に押し当て
られる。

【００１４】この後、回転軸(9)が回転を開始すると、
ディスク盤(14)はターンテーブル(5)およびディスク(3)
と共に回転するが、ディスク盤(14)は枠部材(7)側のど
こにも接触せず軽快に回転する。また、永久磁石(15)(1
6)同士の反発力により、ディスク盤(14)はディスク(3)
を常に適正な圧力により押圧し、ディスク(3)のスリッ
プなどがなく、しかも、永久磁石(15)(16)同士の中心が
ずらされているので、ディスク盤(3)には常に左右の一
定方向への側圧がかかるので、このディスク盤(14)に嵌
合している回転軸(9)にもこの側圧が伝わり、回転軸(9)
の回転時のガタつきが解消される。つまり、回転軸(9)
は軸受(12)に対して常に一定方向に押圧されながら回転
するので、回転軸(9)の首振りが解消されるのである。

【００１５】また、上述のようにして行ったディスクの
挟持は、枠部材(7)をターンテーブル(5)から離れる上方
へ移動させれば解除される。その際、チャックディスク
盤(14)のフランジ部(14b)が支持板(13)によって係合支
持されて上方へ持上げられ、円筒部(14a)の回転軸(9)へ
の嵌入が抜き出される。

【００１６】なお、図２に示したように上記永久磁石(1
5)(16)の位置をずらすことなく同一位相に取付けた場合
にも磁石(16)の側方に別の永久磁石(20)を取付けておけ
ば同様の作用効果を奏することができる。この場合の永
久磁石(20)は、永久磁石(15)に対する面が永久磁石(15)
と同極であってもよいし、異なった極であってもよい。

【００１７】

【考案の効果】以上のように、この考案に係るチャッキ
ング装置によれば、冒頭に述べた回転軸のふれを可及的
に低減することができ、ディスクの記録、再生時のトラ
ッキングをより正確になすことができる。また、構造も
簡単である。

【図面の簡単な説明】

【図１】この考案に係るディスクのチャッキング装置の
縦断側面図である。

【図２】同じく他の実施例の縦断側面図である。

【図３】ディスクプレーヤの全体斜視図である。

【符号の説明】

(1) ディスク (5) ターンテーブル (6) チャックディスク (9) 回転軸 (15) 永久磁石 (16) 永久磁石

Claims (2)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ターンテーブルと該ターンテーブル方向へ
   移動付勢されたチャックディスクとの間にディスクを挟
   んで回転するチャッキング装置であり、上記ターンテー
   ブルは回転軸に嵌合されたテーブル部材と該テーブル部
   材と一体になったディスクの中心孔に嵌合するカバー板
   とからなり、上記チャックディスクはターンテーブルに
   対して昇降動作する枠部材によって上下左右方向に遊動
   自在に支承されたチャックディスク盤からなり、該チャ
   ックディスク盤と枠部材とに、それぞれ永久磁石を固定
   して磁力の反発力によりチャックディスク盤を枠部材に
   対して下方付勢すると共に、チャックディスク盤側の永
   久磁石位置と枠部材側の永久磁石位置を左右方向におい
   てずらして設け、磁力の反発力によりチャックディスク
   盤を左右の一定方向へも付勢したことを特徴とするディ
   スクのチャッキング装置。
2. 【請求項２】ターンテーブルと該ターンテーブル方向へ
   移動付勢されたチャックディスクとの間にディスクを挟
   んで回転するチャッキング装置であり、上記ターンテー
   ブルは回転軸に嵌合されたテーブル部材と該テーブル部
   材と一体になったディスクの中心孔に嵌合するカバー板
   とからなり、上記チャックディスクはターンテーブルに
   対して昇降動作する枠部材によって上下左右方向に遊動
   自在に支承されたチャックディスク盤からなり、該チャ
   ックディスク盤と枠部材とに、それぞれ永久磁石を固定
   して磁力の反発力によりチャックディスク盤を枠部材に
   対して下方付勢すると共に、枠部材側には別の永久磁石
   を設け、該磁石の磁力によりチャックディスク盤を左右
   の一定方向へも付勢したことを特徴とするディスクのチ
   ャッキング装置。