JP2515351Y2 - 立軸ポンプ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、雨水または汚水排出用
ポンプの如く、先行待機運転が要求される立軸ポンプに
係り、特に水位の高低に拘らず一定速度で運転が行われ
る全水位全速運転式の立軸ポンプに関する。

【０００２】

【従来の技術】この種の立軸ポンプの従来の一例を図２
に示す。図２において、給水槽１内に設置したケーシン
グ２に、羽根車３を有する垂直な回転軸４が設けられて
いる。また、ケーシング２の下端に吸込口５が開設さ
れ、この吸込口５部の羽根車３近傍に、空気導入用の吸
気管６が接続されている。この吸気管６の吸気端６ａ
は、取水最高水位Ａよりも高いポンプ室内の大気中に、
吸気弁７を介して開口されている。

【０００３】そして、給水槽１内の水位が例えばＢで示
す位置まで低下して、スロート部８の流速Ｖｓによる動
圧分だけ静圧が低下し、スロート部８の圧力Ｐｓが大気
圧より小さくなった場合、吸気弁７が開となるように設
定されている。これにより、吸気管６を介して吸込口５
に空気が自然吸入され、ポンプ揚水量が減少して、水面
からの空気吸込渦の発生を防止して全水位全速運転が行
われるようになっている。なお、９は案内羽根である。

【０００４】ところで、このようにスロート部８の動圧
が大きく、吸気管６の吸気端６ａが大気開放されている
従来の立軸ポンプでは、不要な吸気によって揚水性能の
低下を招くおそれがあるため、設定低水位Ｂよりも高い
水位から吸気を開始するとともに、吸気弁７にて抵抗を
与えるようになっている。しかしながら、このように吸
気管抵抗を増大させる構成では、スロート部８近傍まで
水位が低くなった場合に、吸気量が大きく減少して、ポ
ンプ振動が増大することがあった。

【０００５】これに対し、図３に示すように、吸気管６
の吸気端６ａを立ち上げた後、給水槽１内の吸気開始水
位Ｂ位置まで垂下させ、吸気弁を設ける必要なく、必要
とする吸気量を確保できるようにしたものも開発されて
いる。

【０００６】ところが、このような構成では、低水位時
に吸気管６の吸気端６ａが水面部で開口することから、
水面部位で浮遊する異物が吸引され、吸気管６が閉塞す
る不具合が生じるおそれがある。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】以上述べたように、従
来技術において、吸気管６の吸気端６ａが大気開放され
ている図２の立軸ポンプでは、吸気弁７によって吸気管
抵抗が増大し、ポンプ振動が増大する場合があった。ま
た、吸気管６の吸気端６ａが低水位時の水面部に開口す
る図３の立軸ポンプでは、水面部位で浮遊する異物が吸
引され、吸気管６が閉塞する不具合が生じるおそれがあ
った。

【０００８】本考案は、このような従来技術の課題を解
決するためになされたもので、不要な吸気によるポンプ
性能低下やポンプ振動の増大のおそれがなく、しかも異
物の詰りによる吸気管の閉塞等の不具合も生じることが
なく、吸気作用が確実に行える立軸ポンプを提供するこ
とを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、本考案は、ケーシング下端の吸込口の羽根車近傍
に吸気管を接続し、この吸気管からの自然吸気によって
低水位時も全速運転を可能とした立軸ポンプにおいて、
前記吸気管を管内の液流れが生じない高位置まで立上げ
た後、この吸気管を頂部から下向きに折曲してその吸気
端を給水槽の設定低水位位置に開口させるとともに、こ
の吸気端の周囲に隙間をあけて両端開口状の筒体を同軸
的に設け、この筒体の下端部に吸液可能なストレーナを
設けるとともに、この筒体の上端部を取水可能な最高水
位よりも高い位置に開口させたものである。

【００１０】

【作用】上記の手段によれば、吸込口から流入した雨水
や汚水等は、ケーシング内を介して外部に排出される。
そして、吸気管の吸気端は、吸気が必要な低水位位置に
開口しているので、水位がこれより低い場合にだけ吸気
が行われる。この場合、吸気端位置にストレーナが設け
られているので、水面部位の異物はトレーナで止めら
れ、吸気管には流入しない。なお、ストレーナが異物に
よって抵抗大となることはあり得るが、この場合には筒
体の上端開口部から吸気し得るので、吸気量の不足は起
こらない。

【００１１】一方、水位が吸気端より高くなった場合に
は、ストレーナの開口部を介して給水槽内の水が吸気管
に吸引される。つまり、高水位では吸気が行われず、空
気混入の影響を受けることがないので、ケーシングの吸
込口から規定の揚水が行われ、所定の揚水性能が得られ
る。この場合、吸気管は管内の液流れが生じない高位置
まで立上がっているので、ストレーナからの流水量は極
めて僅かであり、吸液に伴うストレーナへの目詰りも防
止される。

【００１２】したがって、本考案によれば、不要な吸気
によるポンプ性能低下やポンプ振動の増大のおそれがな
く、また給水槽の水面部位に浮遊している異物の詰りに
よる吸気管の閉塞等の不具合も生じることがなく、吸気
作用が確実に行える。

【００１３】

【実施例】以下、図１を参照して本考案の一実施例につ
いて詳細に説明する。なお、図１において、図２、図３
に示した従来例の構成と同一部分には同一の符号を使用
するものとする。

【００１４】図１において、給水槽１内に設置したケー
シング２に、羽根車３を有する垂直な回転軸４が設けら
れている。また、ケーシング２の下端には吸込口５が開
設され、この吸込口５部の羽根車３近傍に、空気導入用
の吸気管６が接続されている。ここまでの構成は図２、
図３に示した従来例と同一である。

【００１５】そして、本実施例によれば、吸気管６は、
管内の液流れが生じない高位置Ｃまで立上がった後、頂
部から下向きに折曲し、その吸気端６ａは給水槽１の設
定低水位Ｂ位置に開口している。また、この吸気端６ａ
の周囲には吸気可能な隙間をあけて、両端開口状の筒体
１０が同軸的に設けられ、この筒体１０の下端部に吸液
可能なストレーナ１１が設けられている。また、筒体１
０の上端部は取水可能な最高水位Ａよりも高い位置に開
口している。

【００１６】このような構成によると、吸込口５から流
入した雨水や汚水等は、ケーシング２のスロート部８を
経て羽根車３によって加圧され、案内羽根９を通って吐
出される。吸気管６の吸気端６ａは、吸気が必要な低水
位Ｂ位置に開口しているので、水位がＢより低い場合に
だけ吸気が行われる。この場合、吸気端６ａの位置にス
トレーナ１１が設けられているので、水面部位の異物は
このトレーナ１１で止められ、吸気管６には流入しな
い。なお、ストレーナ１１が異物によって抵抗大となる
ことはあり得るが、この場合には筒体１０の上端開口部
から吸気し得るので、吸気量の不足は起こらない。

【００１７】一方、水位がＢよりも高い場合には、スト
レーナ１１の開口部を介して給水槽１内の水が吸気管６
に吸引される。つまり、Ｂより高い水位では吸気が行わ
れず、空気混入の影響を受けることがないので、ケーシ
ング２の吸込口５から規定の揚水が行われ、所定の揚水
性能が得られる。この場合、吸気管６は管内の液流れが
生じない高位置Ｃまで立上がっているので、ストレーナ
１１からの流水量は極めて僅かであり、吸液に伴うスト
レーナ１１への目詰りも防止される。なお、ストレーナ
１１が多少目詰り状態となっても機能を損うこともな
い。上記のことより、吸込み給水槽１への流入水に異物
が混入していても、吸気管６としての機能が損われるこ
とはなく、全水位に亘って健全なポンプ運転が行える。

【００１８】

【考案の効果】以上述べたように、本考案によれば、立
軸ポンプにおいて、不要な吸気によるポンプ性能低下や
ポンプ振動の増大のおそれがなく、また給水槽の水面部
位に浮遊している異物の詰りによる吸気管の閉塞等の不
具合も生じることがなく、吸気作用が確実に行えるとい
う優れた作用効果が奏される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例に係る立軸ポンプを示す断面
図である。

【図２】従来の立軸ポンプの一例を示す断面図である。

【図３】従来の立軸ポンプの他の例を示す断面図であ
る。

【符号の説明】

１ 給水槽 ２ ケーシング ３ 羽根車 ４ 回転軸 ５ 吸込口 ６ 吸気管 ６ａ 吸気端 ８ スロート部 ９ 案内羽根 １０ 筒体 １１ ストレーナ Ａ 取水可能な最高水位 Ｂ 低水位 Ｃ 管内液流れが生じない高位置

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ケーシング下端の吸込口の羽根車近傍に吸
   気管を接続し、この吸気管からの自然吸気によって低水
   位時も全速運転を可能とした立軸ポンプにおいて、前記
   吸気管を管内の液流れが生じない高位置まで立上げた
   後、この吸気管を頂部から下向きに折曲してその吸気端
   を給水槽の設定低水位位置に開口させるとともに、この
   吸気端の周囲に隙間をあけて両端開口状の筒体を同軸的
   に設け、この筒体の下端部に吸液可能なストレーナを設
   けるとともに、この筒体の上端部を取水可能な最高水位
   よりも高い位置に開口させたことを特徴とする立軸ポン
   プ。