JP2515345Y2 - 可動体の案内装置 - Google Patents

可動体の案内装置

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JP2515345Y2
JP2515345Y2 JP679391U JP679391U JP2515345Y2 JP 2515345 Y2 JP2515345 Y2 JP 2515345Y2 JP 679391 U JP679391 U JP 679391U JP 679391 U JP679391 U JP 679391U JP 2515345 Y2 JP2515345 Y2 JP 2515345Y2
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康生 新野
哲郎 渋川
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この考案は、工作機械のテーブル
などの可動体の案内装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の一般的な可動体の案内装置を図
3,図4について説明する。
【0003】この可動体の案内装置は、ベッド1に固定
案内体2が設けられ、この案内体2は、1組の横(左
右)方向案内部材3と、左,右2組の上下方向案内部材
4,5とを主要部材とし、これらを固定することによっ
て構成されている。
【0004】横方向案内部材3はベッド1上に相互間隔
を設けて固定され、対向面に長手方向に沿う案内面3a
が形成されている。
【0005】また、上下方向の案内部材4,5は、下案
内部材5が横方向案内部材3の左右方向外側に配置され
てベッド1上に取付部材9を介して固定され、下案内部
材5上にスペーサ6を介して上案内部材4が固定され、
案内部材4,5のスペーサ6から左右方向内側に突出し
た部分の対向面に長手方向に沿う案内面4a,5aが形
成されている。
【0006】テーブルなどの可動体7には、1つの下方
突出部7aと、2つの横方向突出部7bとが形成されて
いる。可動体7の下方突出部7aは横方向案内部材3間
に配設され、これらの案内面3aと下方突出部7aの両
側面に設けた摺動面7cとが摺動自在に対向されてい
る。前記横方向突出部7bは上,下案内部材4,5間に
配設され、これらの案内面4a,5aと横方向突出部7
bの上,下面に設けた摺動面7d,7eとが摺動自在に
対向されている。案内部材3,4,5の各々の案内面3
a,4a,5aと可動体7の各々の摺動面7c,7d,
7eとの間には静圧軸受8がそれぞれ設けられており、
可動体7は固定案内体2の長手方向すなわち前後方向に
移動可能に静圧軸受8の潤滑油を介して案内支持されて
いる。前述のように構成された可動体の案内装置は、可
動体7の運動精度が案内部材3,4,5の取付面の精
度、および前記案内面3a,4a,5aの精度に依存し
ている。
【0007】しかし、案内部材の前記取付面および案内
面の精度向上には、仕上げ加工精度の向上が必要であ
り、このためには熟練した技術と長い時間とを要する。
【0008】また、このようにしても、組付時に生じる
案内部材の変形によって案内面が変形し、可動体の運動
精度が低下する。
【0009】そこでこの考案の出願人は、特願平1−3
21188号(平成1年12月11日出願)に示す可動
体の案内装置を先に提案した。
【0010】この可動体の案内装置は、図5,図6に示
すように、上案内部材4の長手方向に複数の案内面調整
機構10が一定間隔で配設されている。
【0011】案内面調整機構10は、上案内部材4に切
欠部11が案内面4aと直角に形成され、切欠部11は
上案内部材4の案内面4aと反対側に開口されている。
【0012】切欠部11の対向側面にナット12がそれ
ぞれ溶接固定され、これらのナット12に調整ボルト1
3の頭部13b両側部に形成した互いに逆向きのねじ部
13aがそれぞれねじ嵌合されている。
【0013】前述した構成の案内面調整機構10は、調
整ボルト13を回動操作して切欠部11の幅(左右)寸
法を増減させることにより、案内面4aの形状を凹凸変
形させて、高い平面度に調整できる。
【0014】前記作用によって、上案内部材4をスペー
サ6にボルト締め固定した時に生じた案内面4aの変形
を補正し、可動体7の運動精度を高めることができる。
【0015】また、上案内部材4をスペーサ6に組み付
けた後に、案内面調整機構10の前記操作によって可動
体7の運動精度を調整できるので、上案内部材4の組み
付け状態を予想して案内面4a、スペーサ6の取付面6
aの仕上げ精度を極端に高くする必要もない。
【0016】なお、以上の説明は、一方の上案内部材4
について述べたが、他方の上案内部材にも前記と同様に
案内面調整機構を設けて案内面を調整する。そして、下
案内部材、横方向の案内部材も前記と同様に案内面調整
機構を設けて案内面を調整できる。
【0017】
【考案が解決しようとする課題】出願人が先に提案した
可動体の案内装置は、案内面調整機構による案内部材に
設けた切欠部の幅寸法の増減によって、案内部材の案内
面を凹凸変形させているので、切欠部の幅寸法変化に対
する案内面の変化が急になり、案内面の微細な調整が困
難である。
【0018】また、案内面調整機構のナットが案内部材
に設けた切欠部の対向側面に固定されているので、切欠
部の幅寸法の変形量が大きくなるにつれて、間隔調整ボ
ルトの軸心に対する前記ナットの中心の傾斜角度が大き
くなり、前記ボルトの回動操作が困難となり、遂に操作
が不能になるという問題点があった。
【0019】この考案は、前述した問題点を解決して出
願人が先に提案した可動体の案内装置の利点を損なわず
に、この案内装置の案内部材の案内面を微細に調整で
き、これによって、案内面の平面精度および可動体の運
動精度をさらに向上させ得る、可動体の案内装置の提供
を目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】この考案は、固定案内体
の案内部材に静圧軸受を介して可動体の摺動面を案内支
持させた可動体の案内装置において、前記案内部材の長
手方向に一定間隔で配設した案内面調整機構を、前記案
内部材に、案内面と反対側の面に開口する中央切欠部お
よび両側切欠部を案内面と直角に設け、前記中央切欠部
および両側切欠部の間に1対の弾性変形部を形成し、こ
れらの弾性変形部の案内面と反対側の端部に、案内面と
直角な面に対し揺動可能にナットを係合保持させ、1対
の弾性変形部に調整ボルトを掛け渡し、この調整ボルト
の両側部に形成した互いに逆向きのねじ部を前記ナット
にそれぞれねじ嵌合させた構成にしたものである。
【0021】
【作用】この考案による可動体の案内装置は、案内面調
整機構の調整ボルトを回動操作し、中央切欠部の幅寸法
を増減させることによって、案内部材の弾性変形部を弾
性変形させつつ案内部材の案内面を、凹凸変形させるこ
とができる。このため、弾性変形部の弾性変形によって
案内面に作用する負荷の集中を軽減でき、案内面を緩や
かに凹凸変形させて微細に変形させることができる。従
って、先に提案した案内装置よりも、高い平面精度に案
内面を調整でき、可動体の運動精度も一層高くできる。
【0022】また、1対の弾性変形部の案内面と反対側
の端部に、案内面と直角な面に対し揺動可能にナットを
係合保持させたので、弾性変形部の変形量が大きくなる
につれて、弾性変形部と前記ナットに両側部がねじ嵌合
した調整ボルトとの角度が大きく変化しても、調整ボル
トの軸心と前記ナットの中心とが常に一直線状に保たれ
る。従って、弾性変形部の変形量が大きくなっても、前
記ボルトを小さい力で容易に回動操作することができ
る。
【0023】さらに、先に提案した案内装置と同様に、
固定案内体の組立後に、案内部材の案内面の調整ができ
るので、先に提案した案内装置と同様に、案内面や、案
内部材およびこれを支持固定する他部材の対向面を極端
に高い精度に仕上げ加工する必要がなく、案内面などの
加工が容易にできる。
【0024】
【実施例】以下、この考案の一実施例につき、図1,図
2を参照して説明する。図1,図2において、図3,図
4と同符号は対応する部分を示し、14は一方の横方向
案内部材3の長手方向複数個所に一定間隔で配設された
案内面調整機構であり、次のように構成されている。
【0025】すなわち、横方向の案内部材3の案内面3
aと反対側の部分に、中央切欠部15と両側切欠部16
とが形成され、これらの切欠部15,16は、案内面3
aと反対側の面にそれぞれ開口され、側面15a,16
aが、案内面3aと直角に形成されている。また、中央
切欠部15は両側切欠部16よりも深さおよび幅寸法が
大きく形成されている。
【0026】中央切欠部15と両側切欠部16との間に
は1対の弾性変形部17が形成され、弾性変形部17の
案内面3aと反対側の端部に係合溝17aが形成されて
いる。係合溝17aにはナット18が案内面3aと直角
な面に対し後述するように揺動可能に係合されている。
【0027】ナット18は、両端部に設けたフランジ部
18a間に外形横断面角形の係合部18bが形成され、
係合部18bが係合溝17aに係合されて弾性変形部1
7に対する回動が拘束されていると共に、フランジ部1
8aに弾性変形部17が挟まれて弾性変形部17に対す
る軸方向移動も拘束されている。
【0028】1対の弾性変形部17に係合されたナット
18には、調整ボルト19の両側端部に形成した互いに
逆向きのねじ部19aがねじ嵌合され、ねじ部19aの
端部が両側切欠部16に突き出している。
【0029】前記ボルト19は、案内面3aと平行に中
央切欠部15を横切って配置され、中央部に設けた六角
形の頭部19bの両側に軸部が突出し、軸部にねじ部1
9aが形成されている。
【0030】なお、案内面調整機構14は、中央切欠部
15の幅方向中心線20の両側部分が左右対称に構成さ
れている。
【0031】さらに、横方向の案内部材3には上下方向
に貫通する多数のボルト通し孔3bが適所に形成され、
これらの通し孔3bに上方が通された固定ボルト21に
よってベッド(図示省略)に案内部材3が締め付け固定
される。
【0032】以上のように構成された実施例の案内装置
は、案内部材3をベッドに固定する固定ボルト21を僅
かに緩めた仮締め状態で、案内面調整機構14の調整ボ
ルト19の頭部19bに工具をかけて前記ボルト19を
回動操作する。
【0033】この操作によって、中央切欠部15の幅方
向寸法を増減させることにより、1対の弾性変形部17
を弾性変形させ、この弾性変形によって中央切欠部15
の中心線20の案内面3a側延長上の点22を中心とし
て案内面3aを凹凸変形させることができる。
【0034】すなわち、図1の鎖線に示すように、中央
切欠部15の幅を広くすると、案内面3aが凹弧状に変
形する。この場合に、弾性変形部17の存在によって調
整ボルト19の1回転当りの案内面3aの変形量を小さ
くすることができるので、案内面3aが緩やかに変形し
、案内面3aをミクロン単位の微細量変形させること
が容易にでき、高い平面精度に調整できる。
【0035】また、中央切欠部15の幅を狭くすると、
案内面3aが凸弧状に変形し、この場合にも弾性変形部
17の変形によって案内面3aが緩やかに変形し、案内
面3aを微細量変形させることができ、高い平面精度に
調整できる。
【0036】さらに、弾性変形部17の変形量が大きく
なるにつれて、弾性変形部17と調整ボルト19との角
度が直角から変化するが、前記ボルト19にねじ嵌合し
ているナット18は弾性変形部17に揺動可能に係合し
ているため、ボルト19の軸心とナット18の中心とが
一直線状に保たれる。従って、弾性変形部17の変形量
が大きくなっても、ボルト19を小さい力で容易に回動
操作することができ、案内面3aの変形量を大きくする
ことが可能になる。
【0037】以上、横方向の案内部材3に設けた1つの
案内面調整機構14による調整について説明したが、案
内部材3の長手方向に設けた複数の案内面調整機構14
を必要に応じて操作することで、案内面3aを全長にわ
たって調整し、案内面3a全体の平面精度を高くする。
その後、固定ボルト21を本締めして案内部材3をベッ
ドに固定する。
【0038】なお、以上の説明は、一方の横方向の案内
部材3について述べたが、他方の横方向の案内部材およ
び上,下案内部材も前記と同様に案内面調整機構を設け
て案内面を調整できる。
【0039】また、この実施例の前述した以外の構成
は、図3,図4に示す従来の案内装置と同様であるが取
付部材を省略し下案内部材をベッドに直接固定してもよ
い。
【0040】
【考案の効果】以上説明したように、この考案は、固定
案内体の案内部材に静圧軸受を介して可動体の摺動面を
案内支持させた可動体の案内装置において、前記案内部
材の長手方向に一定間隔で配設した案内面調整機構を、
前記案内部材に、案内面と反対側の面に開口する中央切
欠部および両側切欠部を案内面と直角に設け、前記中央
切欠部および両側切欠部の間に1対の弾性変形部を形成
し、これらの弾性変形部の案内面と反対側の端部に、案
内面と直角な面に対し揺動可能にナットを係合保持さ
せ、1対の弾性変形部に調整ボルトを掛け渡し、この調
整ボルトの両側部に形成した互いに逆向きのねじ部を前
記ナットにそれぞれねじ嵌合させた構成にしたので、次
の効果が得られる。すなわち、この考案による可動体の
案内装置は、案内面調整機構の調整ボルトを回動操作
し、中央切欠部の幅寸法を増減させることによって、案
内部材の弾性変形部を弾性変形させつつ案内部材の案内
面を、凹凸変形させることができる。このため、調整ボ
ルトの操作量に対する案内面の変形量を小さくでき、案
内面を緩やかに凹凸変形させて微細に変形させることが
できる。従って、先に提案した案内装置よりも、高い平
面精度に案内面を調整でき、可動体の運動精度も一層高
くできる。
【0041】また、1対の弾性変形部の案内面と反対側
の端部に、案内面と直角な面に対し揺動可能にナットを
係合保持させたので、弾性変形部の変形量が大きくなる
につれて、弾性変形部と前記ナットに両側部がねじ嵌合
した調整ボルトとの角度が大きく変化しても、調整ボル
トの軸心と前記ナットの中心とが常に一直線状に保たれ
る。従って、弾性変形部の変形量が大きくなっても、前
記ボルトを小さい力で容易に回動操作することができ
る。
【0042】さらに、固定案内体の組立後に、案内部材
の案内面の調整ができるので、先に提案した案内装置と
同様に、案内面や、案内部材およびこれを支持固定する
他部材の対向面を極端に高い精度に仕上げ加工する必要
がなく、案内面などの加工が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この考案の一実施例による可動体の案内装置を
示した部分平面図である。
【図2】図1のA矢視側面図である。
【図3】従来例の可動体の案内装置を示した概略横断面
図である。
【図4】図3の拡大部分図である。
【図5】この考案の先立つ提案による可動体の案内装置
を示した部分側面図である。
【図6】図5の拡大部分図である。
【符号の説明】
1 べッド 2 固定案内体 3 横方向の案内部材 4,5 上,下案内部材 3a,4a,5a 案内面 7 可動体 7c,7d,7e 摺動面 8 静圧軸受 14 案内面調整機構 15 中央切欠部 16 両側切欠部 17 弾性変形部 17a 係合溝 18 ナット 18a フランジ部 18b 係合部 19 調整ボルト 19a ねじ部 19b 頭部

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿う案内面がある複数の案内
    部材を有した固定案内体と、前記案内面と摺動自在にそ
    れぞれ対向する摺動面によって前記固定案内体に案内支
    持させた可動体と、前記案内面および摺動面の間にそれ
    ぞれ設けた静圧軸受とを備えた可動体の案内装置におい
    て、前記案内部材の長手方向に複数の案内面調整機構を
    一定間隔で配設し、これらの案内面調整機構は、前記案
    内部材に、案内面と反対側の面に開口する中央切欠部お
    よび両側切欠部を案内面と直角に設け、前記中央切欠部
    および両側切欠部の間に1対の弾性変形部を形成し、こ
    れらの弾性変形部の案内面と反対側の端部に、案内面と
    直角な面に対し揺動可能にナットを係合保持させ、1対
    の弾性変形部に調整ボルトを掛け渡し、この調整ボルト
    の両側部に形成した互いに逆向きのねじ部を前記ナット
    にそれぞれねじ嵌合させてなることを特徴とした可動体
    の案内装置。
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