JP2512980B2 - 電子レンジ調理用密封容器貼着用ラベル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は食品を収容する密封容器に貼着するラベルに
関し、特に密封容器内に食品を収容した状態で電子レン
ジで加熱調理するとき発生する蒸気を放出するための孔
を容器の蓋又は袋に自動的に開口するための電子レンジ
調理用密封容器貼着用ラベルに関する。

〔従来の技術〕

プラスチックや紙等で作られた密封容器中の食品を電
子レンジで加熱調理するばあい、密封容器で包装された
状態で加熱できると便利である。電子レンジで密封容器
中の食品が加熱されると水蒸気の発生のため容器内の圧
力が高まり容器が破裂する。このとき容器内の食品が外
部に飛散することがある。また密封容器の蓋を除いて食
品を加熱すると食品よりの水分の気散が大きく、食品が
変質する。そこで上記問題を解決するために密封容器中
の食品を電子レンジで加熱するとき、容器の蓋を自動的
に開口する手段が提案されている。特開昭61−69576号
に提案された技術によると、容器の蓋に非金属性のマイ
クロ波吸収粒子からなる付着層が設けられる。また米国
特許4,210,674号に開示された技術によると導電性材料
が容器の蓋に設けられ、上記導電性材料の寸法形状はマ
イクロ波の吸収に適するように合わされる。このように
して蓋に設けられたマイクロ波吸収物質により蓋を加熱
溶融して開口する手段が提案されていた。

ところで、電子レンジおよびマイクロ波調理庫におい
ては、庫内に定在波が立ち、庫内のマイクロ波強度が均
一でなく分布を有している。上記従来技術のマイクロ波
を吸収し、発熱する発熱物質だけによる方法ではマイク
ロ波強度の弱い領域に発熱物質が置かれた場合、発熱量
が不十分で蓋が開口されないことがある。またマイクロ
波の弱い領域でも開口させるため、発熱物質を大きくし
た場合、それがマイクロ波強度の強い領域に置かれると
大きな穴が開き、食品からの水分の気散が大きく、食品
が変質する。そこで、マイクロ波調理庫内でマイクロ波
に曝されたとき一定時間後に確実に一定の大きさの孔を
開けるために密封容器の熱可塑性プラスチックの蓋に金
属箔よりなるリングを埋め込み、その一部に電気抵抗の
高い部分を形成する技術が特開昭62−271864号に示され
ている。この場合はリングに沿って誘導電流が流れ、こ
れにより電気抵抗の高い部分が発熱し、その下方の蓋体
が溶融して穿孔部を生じるため安定した開口が可能とな
る。しかしながら薄くて大きい円形のリングを蓋に積層
することは面倒で製造コストが高くなる。また円形リン
グをラベルとして容器の蓋に貼着するとしてもラベルは
大きなものとなりコスト高であるのみならず貼着作業も
容易ではない。また、リングに接触している発熱体が、
発熱により容器の蓋を溶融開口し、リングから離れる瞬
間に電気放電が発生し、使用者に不安を与えたり、容器
に損傷を与えることがある。

〔発明が解決しようとする課題〕 本発明は上記従来技術の問題点を解決するためになさ
れたもので、絶縁性フレキシブルシートよりなる蓋によ
り密封された容器又は絶縁性フレキシブル材よりなる袋
状密封容器を電子レンジ中でマイクロ波に曝した時、前
記蓋又は袋を一定時間後に確実に開口し、またコストが
安く、更に前記蓋に貼着の容易な電子レンジ調理用密封
容器貼着用ラベルを提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

マイクロ波を集中させる直線帯状導電体層と、この導
電体層の端部に3.5mm以内の距離で近接して（非接触状
態で）併置されマイクロ波エネルギーを熱に変換する発
熱体層とをラベルに含ませ、該ラベルを密封容器の絶縁
性フレキシブルシートよりなる蓋又は絶縁性フレキシブ
ル材よりなる袋に貼着する。

前記ラベルには基層、接着剤層、直線状導電体層およ
び発熱体層が積層されており、直線状導電体層の長さは
20mm以上でかつ表面抵抗率は１Ω／□以下である。

〔作用〕

導電体層は長いため強度分布のあるマイクロ波の定在
波内におかれても安定してマイクロ波エネルギーを発熱
体層に集中させる。発熱体層はマイクロ波エネルギーを
熱に変換する物質すなわち高抵抗である導電性物質、誘
電体、磁性体のいずれかまたはそれらの組合せで作られ
ており、マイクロ波エネルギーを抵抗損失、誘電損失ま
たは磁気損失により熱に変換し容器の蓋又は袋の一部お
よびラベルを溶融して開口する。このとき、導電体層と
発熱体層は近接して非接触であるため、電気放電を発生
させずに開口することができる。ラベルの基層はラベル
に適度の剛性をもたせ、剥離層よりの剥離や蓋への貼着
作業を容易にする。接着剤層はラベルを蓋又は袋に粘着
させる。

〔実施例〕

以下本発明の実施例を図面を参照して説明する。本発
明の第１の実施例であるラベルは第１図に示すように基
層１の上に導電体層２および発熱体層３が積層され、導
電体層２および発熱体層３を包むように保護層４が積層
されている。発熱体層３は導電体層２の端部に後述する
ように０〜3.5mmの距離で接触または近接して併置され
ている。基層１の下には接着剤層５が積層され、接着剤
層５には剥離層６が仮着されている。基層１はラベルに
適度の剛性を与える厚みの熱可塑性プラスチックシー
ト、熱硬化性プラスチックシート、紙材などの単層また
はラミネートされたシートである。導電体層２は表面抵
抗率が１Ω／□となるような薄膜が形成されるものであ
れば何でもよく、例えば金属箔、溶射膜、導電性塗膜な
どが利用できる。表面抵抗率が１Ω／□以上であると、
それ自体がマイクロ波を吸収し発熱してマイクロ波を集
中させるアンテナとしての作用が不充分である。これ
は、マイクロ波領域に金属片を導入すると、金属表面で
マイクロ波が反射することによって金属表面に渦電流が
流れ、これにより金属片の両端が強電界となってあたか
もマイクロ波が集中するアンテナとして作用するが、表
面抵抗が大きい場合は渦電流による抵抗加熱によって発
熱するためである。導電体層２の長さｌは20mm以上であ
ることが必要であり、20mm未満では電子レンジ内の電界
分布の影響を受けてマイクロ波の集中が不安定なものと
なる。これは、マイクロ波が表面抵抗の小さい金属表面
で反射するとき、入射波と反射波との合成により反射面
から1/4波長の位置で電界強度が最大、1/2波長の位置で
電界強度が最小となる定在波が立つためで、マイクロ波
の漏洩を防ぐために内壁が全て金属で覆われている電子
レンジ内では安在波が立っており、マイクロ波の強度は
均一ではないそこで、導電体層２を電子レンジ内に導入
した場合、導入した位置のマイクロ波強度によってマイ
クロ波の集中量が異なり、また導電体層２の長さによっ
てもマイクロ波の集中量が異なることが考えられる。そ
こで、電子レンジ内のどの位置でもマイクロ波を集中
し、発熱体層３を発熱できる導電体層２の長さを検討し
た結果、この長さが決定された。導電体層２の両端の形
状は直線、曲線、多角形またはそれらの組合せでも良
い。

発熱体層３はマイクロ波を吸収して発熱する物質であ
ればよく、例えば磁気損失の大きいフェライト、強磁性
合金や誘電損失の大きいチタン酸バリウム等の比誘電率
の大きな物質更には抵抗損失の大きい導電性塗膜、導電
性プラスチック、真空蒸発着膜等が用いられる。抵抗損
失の大きい物質の場合は表面抵抗率が11Ω／□以上であ
ることが望ましく、11Ω／□以下であるとマイクロ波を
吸収するだけでなく反射するため発熱作用が低下する。
発熱体の形状は円形、多角形またはそれらの組合せでも
良い。導電体層２と発熱体層３の距離Ｃは3.5mm以内で
あることが必要であり、距離Ｃが3.5mmを越えると開口
に十分な発熱量が得られない。これは、導電体層２をマ
イクロ波領域に導入すると、前述したように導電体層２
の両端にマイクロ波が集中して強電界となり、これによ
って発熱体層３が発熱することを見い出したためであ
る。この理由は、例えば発熱体層３として誘電体を用い
た場合、誘電体をマイクロ波領域に導入したときに発生
する熱量Ｑはマイクロ波の周波数をｆ、物質の比誘電率
をε_ｒ、物質の誘電体損失角をtanδ、電界強度をＥ、
定数をＫとすると、“Ｑ＝Ｋ×ｆ×ε_ｒ×tanδ×E²"と
なり、電界強度Ｅの２乗に比例して発熱量Ｑが増加する
ためである。

集中したマイクロ波の強度（電界強度）は端部に近い
ほど強く、導電体層２の長さにもよるが、最小長さによ
る電子レンジ内のマイクロ波の弱い位置でマイクロ波集
中位置を測定し距離Ｃを決定した。この距離Ｃより遠い
位置では導電体層２に集中したマイクロ波の電界強度が
小さくなるため発熱体層３を加熱することができない。
保護層４は導電体層および発熱体層３を保護するための
もので絶縁性プラスチックシートや塗膜が用いられ導電
体層２、発熱体層３および基層１に接着または融着また
は塗布される。接着剤層５はアクリル系の貼着剤や通常
ラベルに使用されている他の粘着剤でもよい。剥離層６
は接着剤層５を保護するためのものでプラスチックを主
体とした低接着性のフィルムまたは表面処理したフィル
ムあるいは紙を主体とした離型紙または紙にプラスチッ
クがコーティングされているものでも良い。

上記構成のラベルは第２図に示すように誘電体層２と
発熱体層３の周囲にわたり基層１に切目７が入れられて
おり、剥離層６の上部を切目７に沿って剥がし、接着剤
層５により密封容器の蓋または袋に貼着される。使用者
に本ラベルの目的を知らせるために適当な表示をするこ
とが望ましいが、そのための印刷は導電体層２に直接し
ても良くまた保護層４に行っても良い。

第３図に示す本発明の第２の実施例は基層１が保護層
の機能を兼ねており導電体層２と発熱体層３は基層１と
接着剤層５の間に積層される。その他の構成および作用
は第１の実施例と同様である。

第４図に示す本発明の第３の実施例は接着剤層５がホ
ットメルトタイプの接着剤であり、容器の蓋または袋に
ラベルを重ね基層１の上から加熱体を圧接することによ
り接着剤層が軟化し蓋に粘着し剥離層６、導電体層２、
発熱体層３が基層１から離れ容器の蓋または袋に貼着さ
れる。

具体例 次に本発明の第１の実施例を更に具体化したものを説
明する。

（具体例−１） 基層１として厚み25μの２軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムが用いられこの上に導電体層２として
導電性銀ペーストが長さ45mm厚み５μに塗布されその表
面抵抗率は0.2Ω／□であった。発熱体層３は基層１の
上にシルク印刷法により導電性カーボンペーストの薄膜
（膜厚:3μ、表面抵抗率:400Ω／□）が設けられた。保
護層４として厚み25μの２軸延伸ポリエチレンテレフタ
レートフィルムが基層１にウレタン系接着剤により接着
された。接着剤層５としてアクリル系溶剤タイプのもの
が用いられ、剥離層６としてポリエチレンラミネートグ
ラシン紙が用いられた。

内容量200gのポリプロピレン製カップに米飯およびカ
レーを入れポリエステル／ナイロン／ポリプロピレン積
層体で作られた蓋で密封し、該蓋に上記ラベルを貼着し
出力500wの電子レンジ（ナショナル電子レンジNE−M20
0）内でマイクロ波に曝して開口試験を行った。結果は
容器の位置を変えた場合でも一定して約20秒で開口し蒸
気が噴出した。

（具体例−２） ポリエステル／ナイロン／ポリプロピレン積層体を包
材として使用し、ポリプロピレンを内側にして外寸170
×130mmの袋状容器を作成し、内容物として米飯を200g
充填密封した。具体例１に用いたラベルと同じ構成のラ
ベルを被着し出力500Wの電子レンジ（ナショナル電子レ
ンジNE−M200）内でマイクロ波に曝して開口試験を行っ
た。結果は袋の位置を変えた場合でも10〜30秒で開口し
蒸気が噴き出し、袋が破裂することはなかった。

本発明の実施例は上記のように構成されているが発明
はこれに限られず例えば、発熱体層と導電体層とが同一
平面上になく基層の上面と下面に別れて積層されても良
い。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明による電子レンジ調理用密
封容器貼着用ラベルは帯状であるので容器の蓋への貼着
が容易でありまた製造コストも安い。更にアンテナの機
能を有する導電体層が20mmと長く、マイクロ波エネルギ
ーを集中させるので電子レンジ内の位置に拘らず安定し
て開口が行われる。また、導電体層と発熱体層は非接触
であるため、電気放電が発生せず、使用者に不安を与え
たり、容器に損傷を与えることがない。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の第１の実施例を示す断面図、第２図は
同平面図、第３図は本発明の第２の実施例を示す断面
図、第４図は本発明の第３の実施例を示す断面図であ
る。 １……基層、２……導電体層、３……発熱体層、４……
保護層、５……接着剤層、６……剥離層、７……切目。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭62−271864（ＪＰ，Ａ) 実開 平１−119335（ＪＰ，Ｕ) 実開 昭62−110174（ＪＰ，Ｕ) 特公 平２−49986（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (4)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】絶縁性フレキシブルシートよりなる蓋によ
   り密封された容器又は絶縁性フレキシブル材よりなる袋
   状密封容器を電子レンジ中でマイクロ波に曝したとき、
   前記蓋又は袋の一部を加熱溶融して開口する為のラベル
   であって、基層、接着剤層、長さ20mm以上かつ表面低効
   率が１Ω／□以下である直線帯状導電体層および該直線
   帯状導電体層の端部に3.5mm以内の距離で近接して併置
   されたマイクロ波エネルギーを熱に変換する物質よりな
   る発熱体層とが積層されてなることを特徴とする電子レ
   ンジ調理用密封容器貼着用ラベル。
2. 【請求項２】前記基層上に前記直線帯状導電体層および
   前記発熱体層を積層し、前記直線帯状導電体層および前
   記発熱体層を包むように保護層を積層し、前記基層下に
   積層されている前記接着剤層により前記剥離層が仮着さ
   れていることを特徴とする請求項１記載の電子レンジ調
   理用密封容器貼着用ラベル。
3. 【請求項３】前記基層下に前記直線帯状導電体層および
   前記発熱体層を積層し、前記直線帯状導電体層および前
   記発熱体層を包むように前記接着剤層を積層し、該接着
   剤層により前記剥離層が仮着されていることを特徴とす
   る請求項１記載の電子レンジ調理用密封容器貼着用ラベ
   ル。
4. 【請求項４】前記基層下に仮着された剥離層、該剥離層
   下に前記直線帯状導電体層および前記発熱体層が積層さ
   れ、前記直線帯状導電体層および前記発熱体層を包むよ
   うにホットメルト接着剤層が積層されてなることを特徴
   とする請求項１記載の電子レンジ調理用密封容器貼着用
   ラベル。