JP2512508Y2 - タレ防止機能を備えた噴射釦体 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、特に使用後のタレ防止機能を備えた高粘性
物用容器用の噴射釦体に関するものである。

〔従来の技術〕

従来の、クリーム状（例えばシャンプー，リンス等）
の高粘性物を噴出させるものとしては実開昭64-53084号
公報がある。

これは、押しボタンの昇降によってシリンダ内の高粘
性物を所定量噴出させるものであり、シリンダの一部に
備えた一次弁と、押しボタンと連動しかつ当該シリンダ
の内壁に沿って摺動するピストンに備えた二次弁との相
互作用を利用したものである。

すなわち、押しボタンを押圧するに従ってシリンダ内
部の容積は小さくなり、これに伴って二次弁のみが開放
され、シリンダ内部の高粘性物を噴出させる。次に、弾
性体によって押しボタンが通常の位置に戻るに従ってシ
リンダ内の容積は大きくなり、これに伴って一次弁のみ
が開放され、容器内の内容物をシリンダ内に吸引させ
る。

上記のとおり、押しボタンの押圧を繰り返すことによ
り連続して内容物を所定量づつ噴出させるものである。

また、特開昭62-251369号公報には、容器の搬送もし
くは展示等の際に容器本体内の液体がノズル部の吐出口
より外部にこぼれないように、ノズル本体内に設けられ
た当接面が封止部材を押圧する一次弁の閉塞状態を確実
にするためにノズルヘッド32を押し下げロック爪38によ
りロックすることができるものが記載されている。しか
し、噴出後のノズルの噴出口付近に残存している内容物
のタレを防止する点については記載されていない。

〔考案が解決しようとする課題〕

以上のように、従来のものは、噴出後の噴出口付近に
内容物が残存しているのでタレが生じやすく、このタレ
のために噴出口付近が汚損されることになる問題点を有
している。

そこで本考案は、噴出口付近に残存する内容物によっ
て生じるタレを防止するようにした噴出手段を提供する
ことを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本考案は、上記課題を解決するものであり、容器本体
との間に一次弁を備えたシリンダの内周面に沿って摺動
し、かつ第１の弾性体によって上方向に付勢される筒状
のピストンと、当該ピストンに設けられ、かつ噴出口及
びこれに続く吸引用空間部が形成された噴射釦と、上端
部が前記吸引用空間部に位置する状態で前記ピストンの
内周面に沿って摺動するように取り付けられ、かつ第２
の弾性体によって下方向に付勢された二次弁とを有する
噴射釦体において、 前記二次弁として、前記上端部から略筒状の形で伸び
その途中には前記ピストンに対する係止部を備え、かつ
これより下方に所定長だけの周面部分を持つ閉鎖部と、
この下方に続いて形成されて前記シリンダと前記吸引用
空間部とを連通させるための連通路とからなるものを用
い、使用後、前記二次弁が前記第２の弾性体によって復
帰する際、前記閉鎖部が前記ピストンに当接して前記シ
リンダと前記吸引用空間部との間が遮断された後も当該
二次弁が前記所定長だけ下方に移動し、前記吸引用空間
部が更に広がることにより、前記噴出口付近に残存して
いる内容物が当該吸引用空間部の方に吸引されるように
したものである。

〔作用〕

本考案においては、噴射釦を押圧してピストンを下降
させることにより二次弁が（ピストンに対して）上昇
し、二次弁に設けられた連通路を介して噴射釦の噴出口
とシリンダ内部とが連通して通常の使用状態となる。一
方、使用後は、噴射釦（ピストン）の上昇とともに二次
弁が（ピストンに対して）下降しシリンダと吸引用空間
部との間が遮断されて連通路は閉塞状態となり、その後
も弾性体により下方向に付勢されてピストンに対しる係
止部に到達するまでの所定長さだけ下降して元の状態に
復帰する。そのため、二次弁の上端部が入りこんでいる
（噴射釦の）吸引用空間の容積が更に増加することにな
り、噴出口付近に残存している内容物は前記吸引用空間
部の方へ吸引される。

〔実施例〕

本考案の実施例を図面を参照して説明する。

第１図及び第２図において、 １は、容器本体である。

２は、シリンダで、容器本体１に取り付けられ、内容物
７を容器本体１内部より流入させるための一次弁2aを下
部に備えている。

３は、ピストンで、シリンダ２の内周面に沿って上下に
摺動し、かつ第１の弾性体3aによって上方に付勢され、
上部には開口部3bが形成されている。

４は、噴射釦で、ピストン３に取り付けられ、噴出口4a
と、これに連続する吸引用空間部4bが形成されている。

５は、二次弁で、上端が吸引用空間部4bに位置する状態
でピストン３の内周面に沿って上下に摺動するように開
口部3bに取り付けられ、かつ第２の弾性体5aによって下
方に付勢される。また、前記上端部から略筒状の形で伸
びその途中にはピストン３に対する係止部5cと、下方に
所定長だけの周面部分を持つ閉鎖部5dと、この下方に続
いて形成されてシリンダ２内部と吸引用空間部4bとを連
通させるための連通路5bとが形成されている。

６は、収容袋体で、容器本体１の内部に備えられ、かつ
内容物７を収容しており、シリンダ２内部に内容物７を
流入させるための便宜を図るものである。

７は、高粘性の内容物である。

ここで、第１図の状態から噴出釦４を押圧し、ピスト
ン３を第１の弾性体3aの付勢力に抗して下方に移動させ
ると、シリンダ２内部の内容物７は、一次弁2aが閉鎖さ
れていることにより二次弁５を上方に押圧する。

その際、二次弁５は第２の弾性体5aの付勢力に抗して
上動し、さらに噴射釦４を押圧すると、第２図に示すと
おり、二次弁５は閉鎖部5dの所定長Ｌを越えて上方に移
動し、連通路5bによりシリンダ２内部と吸引用空間部4b
とを連通させるので、シリンダ２内部の内容物７は連通
路5b,吸引用空間部4b,を経て噴出口4aより噴出される。
（第２図中実線矢印） 次に、第２図に示す状態から噴射釦４の押圧を解放す
ると、まずピストン３は、第１の弾性体3aによって上動
する。これに伴って二次弁５は第２の弾性体5aによって
下降し、閉鎖部5dがピストン３に当接して連通路5bは閉
鎖され、シリンダ２内部と吸引用空間部4bとは遮断され
る。更に二次弁５は、ピストン３に対する係止部5cに達
するまでの所定長Ｌだけ下降する。

続いて、さらにピストン３が上動して、縮小している
シリンダ２内の容積が通常の容積に戻ることによって、
一次弁2aは開放されるとともに、収納袋体６内部の内容
物７はシリンダ２内部に吸引される。（第１図中点線矢
印） このように、二次弁５は連通路5bを閉鎖した後も、所
定長Ｌだけ下降し、この下降により吸引用空間部4bの容
積が増加していくため、これにより噴出口4a付近に残存
している内容物７は吸引用空間部4bの方に吸引されるこ
とになる。また、二次弁４による噴出口4a付近の内容物
７の吸引量は、所定長Ｌの長短によって決定し、Ｌが長
くなれば吸引量は増加し、逆にＬが短くなると吸引量は
減少する。

〔考案の効果〕

本考案は以上のように構成されており、二次弁により
シリンダ内部と吸引用空間部とが遮断された後も、吸引
用空間部が更に広がることにより、噴出口付近の残存内
容物を吸引用空間部へ吸引して、残存内容物のタレが生
ずるのを防ぐことができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の使用していない状態を示す断面図、第
２図は噴射釦を押圧した使用状態を示す断面図である。 １……容器本体 ２……シリンダ 2a……一次弁 ３……ピストン 3a……第１の弾性体 3b……開口部 ４……噴射釦 4a……噴出口 4b……吸引用空間部 ５……二次弁 5a……第２の弾性体 5b……連通路 5c……係止部 5d……閉鎖部 ６……収容袋体 ７……内容物 Ｌ……所定長

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】容器本体との間に一次弁を備えたシリンダ
   の内周面に沿って摺動し、かつ第１の弾性体によって上
   方向に付勢される筒状のピストンと、当該ピストンに設
   けられ、かつ噴出口及びこれに続く吸引用空間部が形成
   された噴射釦と、上端部が前記吸引用空間部に位置する
   状態で前記ピストン内周面に沿って摺動するように取り
   付けられ、かつ第２の弾性体によって下方向に付勢され
   た二次弁とを有する噴射釦体において、 前記二次弁として、前記上端部から略筒状の形で伸びそ
   の途中には前記ピストンに対する係止部を備え、かつこ
   れより下方に所定長だけの周面部分を持つ閉鎖部と、こ
   の下方に続いて形成されて前記シリンダと前記吸引用空
   間部とを連通させるための連通路とからなるものを用
   い、 使用後、前記二次弁が前記第２の弾性体によって復帰す
   る際、前記閉鎖部が前記ピストンに当接して前記シリン
   ダと前記吸引用空間部との間が遮断された後も当該二次
   弁が前記所定長だけ下方に移動し、前記吸引用空間部が
   更に広がることにより、前記噴出口付近に残存している
   内容物が当該吸引用空間部の方に吸引されることを特徴
   とするタレ防止機能を備えた噴射釦体。