JP2511481Y2 - 鋼管杭打設装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は鋼管杭打設装置に関するものである。

［従来の技術］ 第２図は吊下げ式の杭打ハンマ１による鋼管杭２の打
込み作業の一例を示し、杭打ハンマ１は、クレーンより
垂下させたワイヤロープ３の上端部を連結したシリンダ
４と、該シリンダ４の下端に設けられ且つ鋼管杭２の上
端部を打撃して該鋼管杭２を地中に打込むためのアンビ
ル５とから主に構成されており、該アンビル５は、シリ
ンダ４に内装されたピストン（図示せず）によって打撃
されるようになっている。

シリンダ４の下端部には、前記アンビル５を周方向に
取囲み且つ下方へ向って延びるスリーブ６が装着されて
いる。

スリーブ６の内径寸法は、該スリーブ６が鋼管杭２に
外嵌できるように形成されていて、打込み作業時には、
鋼管杭２の下端部を地表７に配設した構造物８に穿設さ
れた孔９に挿入して鋼管杭２を垂直に立設するととも
に、杭打ハンマ１を下降させて鋼管杭２の上端部に前記
スリーブ６を外嵌させた後、杭打ハンマ１を作動させて
鋼管杭２を地中に打込む。

［考案が解決しようとする課題］ しかし、上述した従来方式による打込み作業では、第
２図に示す如く、スリーブ６の下端が構造物８の上面に
当接してしまうと、それ以上、鋼管杭２を打下げること
ができない。

従って、鋼管杭２の長さは、地中及び構造物８に打込
まれる長さに、構造物８上面側に打残される長さＸを加
えた長さを必要とする。

このため、鋼管杭２が打止まりの状態となったなら
ば、杭打ハンマ１を上昇させた後、鋼管杭２の構造物８
上面側に打残された部分を切断しなければならず、鋼管
杭２の打込み本数が多い場合には、鋼管杭２を切断する
のに要する時間が多くなり、また、多量のスクラップが
発生する。

本考案は上述した実情に鑑みてなしたもので、鋼管杭
をその上端部まで打込めるようにすることを目的として
いる。

［課題を解決するための手段］ 上記目的を達成するため、本考案の鋼管杭打設装置に
おいては、ピストンを内装したシリンダ４の下端部に前
記ピストンにより打撃力が付与されるアンビル５を有し
且つ該アンビル５の外径がシリンダ４の外径よりも大き
く形成された杭打ハンマ１と、シリンダ４の下端部及び
アンビル５を周方向に取り囲み且つ打設すべき鋼管杭２
に内接可能な筒状の杭打用アダプタ本体13と、杭打ハン
マ１のアンビル５の下面が当接するように杭打用アダプ
タ本体13の下端部に形成した打撃力受部14と、杭打用ア
ダプタ本体13を鋼管杭２の中空部21に上方から挿入した
際に鋼管杭２の上端面に当接し得るように杭打用アダプ
タ本体13の上端部に形成した打撃力伝達部16と、杭打ハ
ンマ１のシリンダ４に外接するように杭打用アダプタ本
体13の上端部に取り付けられたスペーサ18とを備えてい
る。

［作用］ 本考案の鋼管杭打設装置では、杭打ハンマ１のアンビ
ル５の打撃力を、打設すべき鋼管杭２に嵌入された杭打
用アダプタ本体13の下端部の打撃力受部14、杭打用アダ
プタ本体13、該杭打用アダプタ本体13の上端部の打撃力
伝達部16を介して鋼管杭２の上端面に伝達し、鋼管杭２
を地中に打込む。

また、杭打ハンマ１を吊り上げると、該杭打ハンマ１
の上昇によりアンビル５の上面が杭打用アダプタ本体13
に取り付けられているスペーサ18に当接し、杭打用アダ
プタ本体13が杭打ハンマ１とともに移動する。

［実施例］ 以下、本考案の実施例を図面を参照しつつ説明する。

第１図は本考案の鋼管杭打設装置の一実施例を示すも
のであり、図中第２図と同一の符号を付した部分は同一
物を表している。

第１図に示す鋼管杭打設装置は、杭打ハンマ１と、ス
ペーサ18と、杭打用アダプタ24とを備えている。

杭打ハンマ１のアンビル５の外径は、シリンダ４の外
径よりも大きく形成されている。

杭打用アダプタ24は、筒状の杭打用アダプタ本体13
と、該杭打用アダプタ本体13の下端部に形成された打撃
力受部14及び案内部15bと、杭打用アダプタ本体13の上
端部に形成された打撃力伝達部16及び案内部15aとによ
って構成されている。

杭打用アダプタ本体13は、打設すべき鋼管杭２の中空
部21に挿入可能な外部形状を有している。

また、杭打用アダプタ本体13の中空部22には、杭打ハ
ンマ１のアンビル５及びシリンダ４が挿入されるように
なっている。

打撃力受部14は、杭打ハンマ１を杭打用アダプタ本体
13の中空部22に上方から挿入した際に、杭打ハンマ１の
アンビル５の下面に当接するように杭打用アダプタ本体
13の下端部に設けられている。

案内部15a,15bは、杭打用アダプタ本体13を打設すべ
き鋼管杭２の中空部21に挿入した際に、鋼管杭２の内側
面に内接して杭打用アダプタ本体13を鋼管杭２に対して
同軸に位置させるように、杭打用アダプタ本体13の上端
部及び下端部に設けられている。

打撃力伝達部16は、打設すべき鋼管杭２に上方から杭
打用アダプタ本体13を嵌入した際に、鋼管杭２の上端面
に当接するように杭打用アダプタ本体13の上端部に設け
られている。

スペーサ18は、杭打ハンマ１のシリンダ４に対して同
軸に外嵌し得られ且つ前記杭打用アダプタ本体13に対し
て同軸に内接し得る２つの割環状の支持部17を有してお
り、該支持部17は、杭打用アダプタ本体13の上端面にボ
ルト19によって固着されるようになっている。

第１図に示す鋼管杭打設装置を用いて鋼管杭２の打込
み作業を行うときには、２つの割環状の支持部17を有す
るスペーサ18を、杭打ハンマ１のシリンダ４に外嵌させ
る。

また、杭打用アダプタ本体13の中空部22に、上方から
杭打ハンマ１のアンビル５及びシリンダ４の下端部を挿
入して、打撃力受部14にアンビル５の下面を当接させ、
スペーサ18をボルト19によって杭打用アダプタ本体13の
上端面に固着する。

次いで、鋼管杭２の下端部を地表７に配設した構造物
８の孔９に挿入して鋼管杭２を垂直に立設させるととも
に、杭打ハンマ１を吊り上げ、鋼管杭２の上端部に杭打
用アダプタ24を嵌入して打撃力伝達部16を鋼管杭２の上
端面に当接させる。

この状態で杭打ハンマ１を作動させると、アンビル５
の打撃力は、打撃力受部14、杭打用アダプタ本体13、打
撃力伝達部16、スペーサ18を経て鋼管杭２の上端面に伝
達され、これにより、鋼管杭２が地中に打込まれる。

このとき、スペーサ18により、杭打用アダプタ本体13
が杭打ハンマ１及び鋼管杭２と同軸に位置しているの
で、アンビル５から鋼管杭２の上端面に対して打撃力が
垂直に且つ均一に作用する。

鋼管杭２の上端面が構造物８の上面と同一レベルにな
る打止まり状態になったならば、杭打ハンマ１の作動を
停止させて該杭打ハンマ１を上昇させるとともに、杭打
用アダプタ23を鋼管杭２より抜き出し、鋼管杭２と構造
物８とを溶接等によって固着する。

また、打撃力伝達部16及びスペーサ18の外径を構造物
８の孔９の内径よりも小さくしておけば、鋼管杭２の上
端面を構造物８の表面よりも下方へ打込むこともでき
る。

このように、第１図に示す鋼管杭打設装置では、鋼管
杭２に特別な加工を施すことなく、該鋼管杭２を構造物
８の上面と同一レベル、あるいは同一レベル以下になる
まで打込むことができるので、鋼管杭２の長さを短くし
て材料費の低減を図ることができ、また、杭打ち作業後
に鋼管杭２の余剰部分を切断する必要もなくなるので、
スクラップの発生を抑止するとともに、作業効率が向上
する。

更に、第１図に示す鋼管杭打設装置では、鋼管杭２の
打込み作業が完了した後、杭打ハンマ１を上昇させる
と、スペーサ18の支持部17の下面にアンビル５の周縁部
上面が当接して杭打用アダプタ24が杭打ハンマ１に吊り
下げられた状態になるので、杭打ハンマ１とともに杭打
用アダプタ24を移動することができ、より作業効率を向
上させることができる。

なお、本考案の鋼管杭打設装置は上述した実施例にの
み限定されるものではなく、本考案の要旨を変更しない
範囲において種々の変更を加え得ることは勿論である。

［考案の効果］ 以上述べたように、本考案の鋼管杭打設装置において
は、下記のような種々の優れた効果を奏し得る。

（１）鋼管杭２に特別な加工を施さなくても、該鋼管杭
２を完全に打込むことができるので、作業に際して用意
する鋼管杭２の長さを従来に比べて短くすることがで
き、材料費の低減を図ることが可能になる。

（２）打込み作業後に鋼管杭２の打残り部分を切断しな
くてもよいので、スクラップの発生が抑止される。

（３）作業に際して用意する鋼管杭２の長さを短くする
ことができるので、作業時に搬送する鋼管杭２の総重量
が減少し、輸送コストを低減することが可能になる。

（４）杭打ハンマ１を上昇させると、スペーサ18にアン
ビル５の上面が当接して杭打用アダプタ本体13が杭打ハ
ンマ１に吊り下げられた状態になるので、杭打ハンマ１
とともに杭打用アダプタ本体13を移動することができ、
作業効率が向上する。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の鋼管杭打設装置の一実施例を示す一部
破断正面図、第２図は従来方式による鋼管杭の打込み作
業を示す一部破断正面図である。 図中、１は杭打ハンマ、２は鋼管杭、４はシリンダ、５
はアンビル、13は杭打用アダプタ本体、14は打撃力受
部、16は打撃力伝達部、18はスペーサ、21は鋼管杭の中
空部を示す。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ピストンを内装したシリンダ（４）の下端
   部に前記ピストンにより打撃力が付与されるアンビル
   （５）を有し且つ該アンビル（５）の外径がシリンダ
   （４）の外径よりも大きく形成された杭打ハンマ（１）
   と、シリンダ（４）の下端部及びアンビル（５）を周方
   向に取り囲み且つ打設すべき鋼管杭（２）に内接可能な
   筒状の杭打用アダプタ本体（13）と、杭打ハンマ（１）
   のアンビル（５）の下面が当接するように杭打用アダプ
   タ本体（13）の下端部に形成した打撃力受部（14）と、
   杭打用アダプタ本体（13）を鋼管杭（２）の中空部（2
   1）に上方から挿入した際に鋼管杭（２）の上端面に当
   接し得るように杭打用アダプタ本体（13）の上端部に形
   成した打撃力伝達部（16）と、杭打ハンマ（１）のシリ
   ンダ（４）に外接するように杭打用アダプタ本体（13）
   の上端部に取り付けられたスペーサ（18）とを備えてな
   ることを特徴とする鋼管杭打設装置。