JP5535894B2 - 地中障害物の撤去方法とこれに用いる地中障害物の撤去用吊上げ装置 - Google Patents

地中障害物の撤去方法とこれに用いる地中障害物の撤去用吊上げ装置 Download PDF

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Description

この発明は、円筒状のケーシングと、前記ケーシング内に挿入する吊上げ装置を用い、地中障害物である既成杭やコンクリート製の既成基礎を効率よく撤去することができる地中障害物の撤去方法と、この撤去方法の施工に用いる地中障害物の撤去用吊上げ装置に関する。
例えば、各種構造物の建て替え工事においては、構造物の解体後に地中に残る古い既成杭(場所打ち杭)や既成基礎を地中から撤去し、新たな構造物の構築に備えるようにしなければならない。
従来、地中障害物である既成杭を撤去するための方法は、既成杭の外側を円筒状のケーシングで掘進して前記ケーシングを建て込み、このケーシングの掘進によってケーシングの内周側を円筒状に掘削し、ケーシングの内周と既成杭との間に掘削空間を形成し、次にケーシングを回転させ、このケーシングに設けた切断刃によって前記掘削空間で囲まれた既成杭を切断し、切断後の既成杭をケーシング内に挿入した吊上げ装置で掴んで吊上げることにより取出し、このような作業を順次繰り返すことによって既成杭を撤去するようにしている。(例えば、特許文献1参照)。
また、別の撤去方法としては、既成杭の外側を円筒状のケーシングで掘削して前記ケーシングを建て込み、前記ケーシングの掘削長さを既成杭よりも長くすることで既成杭の外周と地盤の縁を切り、この既成杭をケーシング内に挿入した吊上げ装置で掴んで吊上げ、既成杭を地上で保持して地上に出た部分を切断し、切断部分を吊上げ装置で掴んで撤去すると既成杭を切断長さ分だけ吊上げ、このような切断と吊上げを繰り返すことにより撤去するようにする(例えば、特許文献2参照)。
上記のような撤去方法の施工に際して用いる一般的な吊上げ装置としては、クレーン等のワイヤで吊下げ保持される支持部材に、この支持部材の上下方向の軸心を挟む両側で一対となる挟持アームを必要組数だけ取付け、前記各挟持アームを油圧シリンダで開閉させ、各挟持アームを下部先端の掴み爪が閉じるように作動させることでテトラの円軸状部分を掴むようにした構造になっている(例えば、特許文献3参照)。
特開2009−2056号公報 特開平10−252065号公報 特許第2553000号公報
ところで、上記した吊上げ装置を円筒状のケーシングと併用し、ケーシング内部に吊上げ装置を挿入し、ケーシング内の既成杭を掴んで撤去する撤去方法においては、ケーシングの内径によって吊上げ装置の使用できる大きさが制限を受けることになる。
上記ケーシングの径には規格があり、例えば、地中障害物が既成杭であれば、既成杭の外径に近い内径のケーシングを選択し、更に、ケーシングに設けたインナービットの切削量をできるだけ少なくし、掘進時の能率向上とコストの低減を図るようにする必要がある。
このため、上記吊上げ装置は、各挟持アームをケーシングの内周と既成杭の間に挿入するときに、各挟持アームが進入するために必要とする空間を少なくするために、各挟持アームをケーシングの内径に沿う略垂直にした掴み姿勢にする必要がある。
また、重量のある被吊上げ物を吊上げるときに、挟持アームを大きく開いたり閉じた状態で被吊上げ物を掴んで吊上げると、下向きの吊下げ荷重と掴み爪の掴み力の関係が不安定となり、構造的に強固な掴み力を得るのが困難になるため、各挟持アームを略垂直にした掴み姿勢は安定した掴み力を得る姿勢の一つである。
上記吊上げ装置は、各挟持アームを略垂直にした状態において、一対となる挟持アームの外側面間の距離が最小外径となるのが構造上の特徴であり、このため、地中障害物である既成杭を撤去する場合、円筒状のケーシングを用い、その内部に吊上げ装置を挿入する撤去方法では、ケーシングの内径によって吊上げ装置の使用できる大きさが制限を受けることになる。
即ち、地中に埋設された既成杭には直径の異なる複数種類があり、掘進により既成杭の外側を囲むように地中に進入させるケーシングも、既成杭の直径に合わせて内径の異なる複数種類が使用されることになり、このため、従来の撤去方法では、吊上げ装置もケーシングの内径に合わせて複数種類を用意するようにしなければならず、吊上げ装置の種類が増えることで設備コストが嵩むだけでなく、格納や現場への輸送にも不便であるという問題がある。
また、上記のような、既成杭の外側をケーシングで掘進して囲み、ケーシングの内周と既成杭の間に円筒状の掘削空間を形成し、ケーシング内に挿入した吊上げ装置の挟持アームを前記掘削空間に進入させ、この状態で挟持アームを閉じて既成杭を掴むことにより吊上げる撤去方法においては、ケーシングの内周面と既成杭との間に挟持アームを挿入することができるだけの十分な幅の掘削空間を形成しなければならず、このため、ケーシングによる掘進時にケーシングの内径側における掘削量を多く設定しなければならず、掘削量に比例して掘削コストも上昇するという問題がある。
更に、既成杭の外側をケーシングで掘進すると、ケーシングによる掘削時に発生する掘削ガラで掘削空間が埋められることになり、このため、前記掘削ガラがネックとなり、実際の施工現場においては、ケーシング内に挿入した吊上げ装置の挟持アームを掘削空間に進入させる作業が困難になり、従来の撤去工法の施工には多くの問題がある。
そこで、この発明の課題は、ケーシングでの掘削量をできるだけ少なくすることで掘削コストの低減を可能にし、ケーシングの内部に形成された掘削空間を掘削ガラが埋めていても、ケーシング内の地中障害物を確実に掴んで撤去することができる地中障害物の撤去方法と、この撤去方法を効率よく実施できると共に、掴み径の変更による最小外径の変化により、単一の基本構造を用いて異なる内径のケーシングに対して対応することができ、これにより、種類数の削減が図れる吊上げ装置を提供することにある。
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、クレーン等のワイヤで吊下げ保持される支持部材に、下部先端に設けた掴み爪がこの支持部材の上下方向の軸心に向く配置で複数の挟持アームを取付け、前記挟持アームを伸縮駆動機で開閉させるようにした吊上げ装置と、この吊上げ装置を挿入する円筒状のケーシングを用い、地中障害物に対してケーシングを直接又はその周囲を所定の深度まで掘進させ、このケーシング内に前記吊上げ装置を挿入し、挿入位置で前記挟持アームを開き方向に作動させることでケーシングに対して吊上げ装置を固定化し、この状態で、このケーシングと共に吊上げ装置を回転させながら押し込み、挟持アームの掴み爪によってケーシング内に位置する地中障害物の外周又はその周囲を上端から所定長さにわたって削り込み、これによって前記ケーシングの内周と地中障害物の間に挟持アームを進入させ、ケーシングの回転と押し込みの停止後に挟持アームを閉じ方向に作動させ、掴み爪で前記ケーシング内に位置する地中障害物を掴み、この後、吊上げ装置でケーシング内に位置する地中障害物を吊り上げてケーシング外に取出すようにしたものである。
請求項2の発明は、地中障害物に対して直接又はその周囲を所定の深度まで掘進するケーシング内に挿入し、前記ケーシングに対して固定化した状態で、このケーシングと共に回転させながら押し込むようにする地中障害物の撤去用吊上げ装置であり、クレーン等のワイヤで吊下げ保持される支持部材に、下部先端に設けた掴み爪がこの支持部材の上下方向の軸心に向く配置で複数の挟持アームを、伸縮駆動機で開閉動するように取り付けた構造を有し、前記各挟持アームの下部先端に設けた掴み爪が、ケーシング内の地中障害物に対して回動と軸方向に移動することによって前記地中障害物の外周や周囲を削り込む刃物機能を備えている構造としたものである。
請求項3の発明は、上記挟持アームの下部先端に設けた掴み爪の刃物機能は、この掴み爪に取付けた切削ビットで形成されているようにしたものである。
請求項4の発明は、上記支持部材に対する挟持アームの取付けが、前記支持部材に複数の取付け孔を挟持アームの開閉方向に沿って設け、前記挟持アームに設けた取付け腕を枢止する取付け孔を選ぶことにより位置調整自在となっているものである。
請求項5の発明は、上記挟持アームは、この挟持アームの開閉方向に沿う寸法の大きさが異なる複数種類が用意され、支持部材に対して大きさの異なる挟持アームを選択して取付けることができるようにしたものである。
請求項6の発明は、上記挟持アームの下部先端側の外面に、ケーシング内に挿入した状態で挟持アームを開き方向に作動させることにより、ケーシングの内周面に当接することでケーシングに対して固定化するためのグリップ部が設けられているようにしたものである。
請求項7の発明は、上記挟持アームは、支持部材の上下方向の軸心を挟んで対向する配置で支持部材に取付けた両側の挟持アームを一対とし、この一対の挟持アームを前記支持部材に複数組取付け、一対となる挟持アームは上下の長さが等しく、各組ごとに挟持アームの上下の長さを異なるようにしたものである。
請求項8の発明は、上記挟持アームは、支持部材に対して複数が取付けられ、前記各挟持アームの上下の長さを異なるようにしたものである。
請求項9の発明は、上記挟持アームの下部先端に設けた掴み爪の切削ビットは、挟持アームの開閉方向に沿う切削幅を、上下の長さが短い挟持アームが最も広くなるよう、挟持アームの長さごとに異なるようにしたものである。
ここで、上記吊上げ装置における支持部材は、上端にスイベル機構を介してクレーンのワイヤを結合する吊下げ軸の下端に水平の支持梁と上端に水平腕とを設けて形成され、前記支持梁の上下軸線を挟む両端に位置させた挟持アームの取付け腕をこの支持梁にピンで結合し、前記挟持アームの上端と水平腕を結合する油圧シリンダの伸縮によって、ピンを支点に挟持アームを揺動させるようになっている。
上記挟持アームの支持梁に対する取付け構造は、上下に長い挟持アームの中間部に、開閉方向の内側に向けて突出する取付け腕を設け、この取付け腕を支持部材に設けた支持梁に嵌合し、取付け腕と支持梁の嵌合部分を、支持梁に形成した取付け孔を用いてピンで結合することにより取付けた構造となり、挟持アームはピンを支点として揺動可能となり、前記ピンによる取付けに際して、前記支持梁に設けた取付け孔を選ぶことにより、挟持アームを略垂直にした掴み姿勢における外径寸法を複数段に変化させることができることになる。
また、取換え用として用意される複数の挟持アームは、少なくとも、挟持アームの中間部に設けた取付け腕の長さが異なるものであり、取付け腕の長いものを用いれば、各挟持アームを略垂直にした掴み姿勢における一対となる挟持アームの外側面間の距離が大きくなって大径のケーシングに対応することができ、逆に、取付け腕の短いものを用いれば、各挟持アームを略垂直にした掴み姿勢における一対となる挟持アームの外側面間の距離が小さくなって小径のケーシングに対応することができる。この場合、取付け腕の長さに対して挟持アームの上下方向の長さ寸法は自由に設定できる。
上記吊上げ装置の平面的な外径は、一対となる挟持アームの開閉角度によって変化するが、一対の挟持アームが略垂直となる掴み姿勢にしたときの平面的な外径が最小となり、上記取付け孔を用いた取り付け位置の変更又は大きさの異なる挟持アームの取換えによって、上記平面的な最小外径を調整することができ、取り付け位置の変更と大きさの異なる挟持アームの取換えを併用することにより、最小外径の調整範囲の種類数を倍増させることができ、これによって、掴み径の変化が広範になるだけでなく、一台で多種類のケーシングの内径の変化に広範に対応することができる。
この発明によると、ケーシング内に吊上げ装置を挿入して地中障害物を撤去する方法において、挟持アームの下部先端に設けた掴み爪に地中障害物の外周や周囲を削り込む刃物機能を付与した吊上げ装置を用いることにより、地中障害物の外周や周囲を削り込んで掴み代を確保することができ、ケーシング内周とその内部の地中障害物の間に、挟持アームを挿入することができる掘削空間を予め確保する必要がなく、掘削空間を狭くできることにより、地中障害物をケーシングで掘進する場合のケーシング内周側での掘削量を少なくでき、地中障害物の撤去におけるケーシングの掘進能率の向上と、掘進に要するコストの削減を図ることができる。
また、ケーシング内に吊上げ装置を挿入して地中障害物を撤去する場合に、ケーシングの内周面とその内側に位置する地中障害物との間に生じた掘削空間に掘削ガラが存在していても、挟持アームの掴み爪の回転により地中障害物の外周や周囲を上端から削り込むことにより、掘削ガラを共回りさせたり上方に逃がしながら、ケーシングの内周面とその内側に位置する地中障害物との間に挟持アームを進入させることができ、従って、掘削ガラの特別な対処を講じることなく地中障害物を掴んで能率よく撤去することができる。
更に、吊上げ装置は、挟持アームの略垂直にした掴み姿勢における平面的な外径を変更することができるので、内径の異なる多種類のケーシングに対して単一の構造で広範に対応することができ、地中障害物の撤去において、吊上げ装置の種類数の削減により設備コストの低減が図れる。
また、挟持アームの長さが異なる組み合わせとし、この挟持アームの先端に設けた掴み爪の切削ビットにおける挟持アームの開閉方向に沿う切削幅を、上下の長さが短い挟持アームが最も広くなるよう、挟持アームの長さごとに異なるようにすると、地中障害物の切削時に幅の狭い切削ビットから先に削り込んでいくので、切削抵抗の発生を少なくすることができ、地中障害物の切削が効率よく行えることになる。
(a)はこの発明に係る地中障害物の撤去用吊上げ装置の挟持アームを略垂直にした掴み姿勢の状態を示す一部縦断正面図、(b)は同じく吊上げ装置のスイベル機構を拡大した縦断正面図 (a)はこの発明に係る地中障害物の撤去用吊上げ装置をケーシング内に挿入した状態を示す横断平面図、(b)は前記吊上げ装置において、支持部材に対する挟持アームの取り付け構造を示す部分的な正面図、(c)は取り付け孔に対する補強詰め物の分解斜視図、(d)は補強詰め物の使用状態を拡大した横断平面図 (a)は地中障害物の撤去用吊上げ装置の支持部材に対する挟持アームの取り付け構造を示す分解斜視図、(b)は挟持アームの外面で下部先端側に設けるグリップ部の凹凸面の形状を示す正面図 地中障害物の撤去用吊上げ装置において、挟持アームを略垂直にした掴み姿勢における外径の変化をケーシング内に挿入した状態で示し、(a)は外径を大径に設定した縦断正面図、(b)は外径を中径に設定した縦断正面図、(c)は外径を小径に設定した縦断正面図 (a)は地中障害物の撤去用吊上げ装置において、各挟持アームの長さが異なるようにした例を示すケーシング内に挿入した状態の拡大した縦断正面図、(b)は各挟持アームの先端掴み爪とこれに設けた切削ビットの関係を直線状に並べた状態で示す縦断正面図 地中障害物の撤去用吊上げ装置において、挟持アームを略垂直にした掴み姿勢における外径を変化させるための取換え方式に用いる挟持アームを示し、(a)は大きな挟持アームの正面図、(b)は小さな挟持アームの正面図 この発明の地中障害物の撤去用吊上げ装置を用いた地中障害物の撤去方法を示す施工状態の縦断正面図 (a)は地中障害物の撤去方法に用いるケーシングの下部構造を示す縦断正面図、(b)は(a)の矢印b−bでの横断平面図、(c)は(a)の矢印c−cでの横断平面図、(d)は(a)の矢印d−dでの横断平面図、(e)はケーシングの内周面に設けたインナービットの配列を直線的にした場合の並び状態を示す縦断面図 (a)は地中障害物とその下に位置する既成杭の位置関係を示す平面図、(b)は地中障害物の一例を示す一部縦断正面図 コンクリート基礎構造物である地中障害物とその撤去方法に用いるケーシングの掘進位置の関係を示し、(a)はコンクリート基礎構造物の柱と梁の部分に対するケーシングの掘進位置の関係を示す横断平面図、(b)はコンクリート基礎構造物のコーナ部分に対するケーシングの掘進位置の関係を示す横断平面図、(c)は既成杭に対するケーシングの掘進位置の関係を示す横断平面図、(d)は既成杭に対するケーシングの掘進位置の関係を示す他の例の横断平面図
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
この発明の地中障害物の撤去方法は、地中障害物に対して掘進させる円筒状のケーシング17と、このケーシング17内に挿入する吊上げ装置1を用いて実施される。
上記吊上げ装置1は、図1と図2のように、クレーン等のワイヤで吊下げ保持される支持部材2に複数の挟持アーム3を取付け、各挟持アーム3は支持部材2の上下軸心に対して下端部が接近離反する方向に揺動する開閉自在となり、この各挟持アーム3を伸縮駆動機であるモータ駆動による伸縮ジャッキや油圧シリンダ4で開閉させ、各挟持アーム3の下部先端に掴み爪5が設けられ、この掴み爪5は、挟持アーム3がケーシング17の内周面に対して後述するグリップ部でグリップした固定状態で、地中障害物に対して回動と軸方向に移動することによって地中障害物の外周や周囲を削り込む刃物機能を備えた構造になっている。
上記支持部材2に対する挟持アーム3の取付け数は、二個以上であれば数及び偶数、奇数は限定されないが、好ましい例として、図示の場合は、支持部材2の上下方向の軸心を挟む両側で一対となる挟持アーム3を二組取付け、合計四個の挟持アーム3で被吊上げ物を四方から掴むようにした構造を示している。
上記支持部材2は、上端にクレーンのワイヤを結合する吊環6がスイベル機構7を介して取付けられ、上下方向に長い角軸を用いた吊下げ軸8と、この吊下げ軸8の下端に設けた水平の支持梁9と、吊下げ軸8の上端に設けた水平腕10とで形成され、前記支持梁9と水平腕10は共に平面二又状となり、吊下げ軸8から平面的に四方へ直角の配置となって突出し、各支持梁9に挟持アーム3が取付けられ、同一の水平軸線に並ぶ支持梁9の両端に位置する挟持アーム3が対向状となって一対となる。
各挟持アーム3は、図2のように、上下に長く厚みのある板状に形成され、上端寄りの中間部の位置に相手挟持アーム3側に突出する取付け腕11が一体に設けられ、二又状となる支持梁9の間に前記取付け腕11を挿入し、支持梁9と取付け腕11を抜き差し可能なピン12で結合することにより、挟持アーム3はピン12を支点として揺動自在となるよう取付けられている。
各挟持アーム3の上端とその直上に位置する水平腕10が油圧シリンダ4で結合され、この油圧シリンダ4を伸縮させることにより挟持アーム3が揺動し、一対となる挟持アーム3は掴み爪5を設けた下端の間隔が開閉することになる。
上記したスイベル機構7は、図1(a)に示すように、吊環6と支持部材2を相対的に回転可能とし、吊上げ装置1がケーシング17と共に回転しても油圧シリンダ4の伸縮操作が支障なく行えるようにするためのものである。
上記吊上げ装置1において、各挟持アーム3は、油圧シリンダ4の伸縮によって開閉動することになるが、各挟持アーム3をケーシング17の内周と地中障害物の間に挿入するとき、各挟持アーム3が進入するために必要とする空間を少なくすることができる好ましい姿勢は、図1(a)に示すように、挟持アーム3を略垂直にした掴み姿勢である。
上記挟持アーム3は、このような略垂直にした掴み姿勢における掴み径が段階的に調整できるようになっており、その掴み径の調整は、支持梁9に対して挟持アーム3の取付け位置を変更する第1の方式と、この第1の方式に加え、大きさの異なる挟持アーム3を用意しておき、必要な大きさの挟持アーム3と取り換える方式を併用した第2の方式とがある。
取付け位置を変更する第1の方式は、図1乃至図4に示すように、上記支持梁9の長さ方向に沿って複数の取付け孔14を設け、支持梁9に対して挟持アーム3を取付け腕11に設けた孔11aを用いてピン12で取付けに際して、前記取付け孔14を選ぶことにより、一対となる挟持アーム3の配置間隔を複数段に変化させ、挟持アーム3の略垂直にした掴み姿勢における掴み径を調整できることになる。
図示の例では、支持梁9に対して二個の取付け孔14を設け、一対となる挟持アーム3の両側配置間隔、即ち略垂直にした掴み姿勢の掴み径を二段階に変化させることができるようにした例を示しているが、支持梁9に設ける取付け孔14の数は三個以上でもよく、一対となる挟持アーム3の両側配置間隔を三段階以上に変化させるようにすることもできる。
上記支持梁9に設けた取付け孔14において、挟持アーム3の取付けに使用していない取付け孔14は、図2(b)乃至(d)のように補強詰め物15で塞ぎ、取付け孔14を設けたことによる支持梁9の強度低下を防ぐようにすることができる。
この補強詰め物15は、取付け孔14に丁度嵌る外径を有する二枚の金属円板15a間にゴム等の弾性体15bを挟み、これをボルト15cで結合して形成され、補強詰め物15を取付け孔14に挿入した状態でボルト15cを締め付け、金属円板15a間の弾性体15bを取付け孔14内で拡径させることで取付け孔14に固定するようになっている。
次に、挟持アーム3の取り換えを併用した第2の方式は、開閉方向に沿う寸法の大きさが異なる複数種類の挟持アーム3、具体的には、取付け腕11の長さが異なる図6(a)のような大形挟持アーム3と、図6(b)のような小形挟持アーム3のように、大きさの異なる複数種類の挟持アーム3を用意し、支持部材2に対して前記大きさの異なる挟持アーム3を選択して取付けるようにしたものである。
この第2の方式に用いる挟持アーム3の上下の長さや開閉方向の幅寸法は、挟持アーム3の大きさに合わせて異なるようにしても、また、大きさに関係なく同じであってもよく、この第2の方式による大きさの異なる挟持アーム3の取り換えと、上記した第1の方式による取付け位置の変更とを併用すれば、取付け孔14の数と挟持アーム3の種類数の倍数だけ挟持アーム3の掴み径を多段に調整できることになる。
図4は、吊上げ装置1を内径の異なるケーシング17に合わせるため、第1と第2の方式を併用して挟持アーム3の略垂直にした掴み姿勢における掴み径を大中小の三段階に調整してケーシング内に挿入した例を示し、図4(a)は最も外側に位置する取付け孔14に大形の挟持アーム3を取付け、上記掴み径が最大の場合を示し、また、図4(b)は内側に位置する取付け孔14に大形の挟持アーム3を取付け、掴み径が中間の場合を示し、図4(c)は内側に位置する取付け孔14に小形の挟持アーム3を取付け、掴み径が最小の場合を示している。
上記吊上げ装置1は、両側に突出する支持梁9の端部に挟持アーム3が外方に張り出すように取り付けられた構造になっているので、図1のように、一対となる挟持アーム3が上下に略垂直にした掴み姿勢にあるとき、一対となる挟持アーム3の外側面間の間隔が吊上げ装置1の平面形状の最小外径となり、このような一対となる挟持アーム3は、略垂直にした掴み姿勢から油圧シリンダ4が収縮すると下端が両側に開き、油圧シリンダ4が伸長すると下端が掴み方向に閉じることになり、前記した各油圧シリンダ4は、個々に挟持アーム3を揺動させることにより、掴み方向に対しては、挟持アーム3の下端が支持部材2の上下軸心を超えて相手挟持アーム側に位置するような揺動角度を与えることができるようになっている。
このようにすることで、円形柱状の被吊上げ物だけでなく、平面的に偏心形状や異形形状になっている被吊上げ物でも掴むことができることになる。
ここで、吊上げ装置1の平面的な外径は、各挟持アーム3を略垂直にした掴み姿勢にしたときが最小となり、この状態から各挟持アーム3が開けば平面的な外径が大きくなり、また、各挟持アーム3の上端側の外面は、取付け腕11に設けた孔11aを中心とする円弧になっているので、上記の状態から各挟持アーム3が閉じても平面的な最小外径に変化はなく、このため、上記第1の方式による取付け孔14を用いた挟持アーム3の取り付け位置の変更又は、この第1の方式と大きさの異なる挟持アーム3の取換えを併用した第2の方式による挟持アーム3の掴み径の変更により、吊上げ装置1の平面的な最小外径を変化させることができる。
なお、上記した吊上げ装置1における挟持アーム3の平面的な外径の変更と、吊上げ装置1の掴み径の変更は構造的に同じことである。
上記各挟持アーム3の下部先端に設けた掴み爪5は、揺動方向に向けて突出し、内向きの尖った爪先で被吊上げ物を掴むことができると共に、この掴み爪5に付与した刃物機能は、掴み爪5の一面側に固定した切削ビット16によって形成されている。
この切削ビット16は、掴み爪5の下端部と同じような位置になる下縁と、挟持アーム3の開閉方向内側に臨む縦縁が刃先となり、図示の場合、前記切削ビット16における刃先の内側端部と掴み爪5の掴み部分となる尖った先端が一致し、挟持アーム3に対して切削ビット16は、吊上げ装置1を被吊上げ物に対して回転させた場合に回転方向の前面側となる面に固定されている。
上記吊上げ装置1において、複数の挟持アーム3の上下の長さは、全ての挟持アーム3の上下長さを等しくする場合、図1(a)のように、一対となる挟持アーム3は上下長さを等しくし、各組ごとに上下長さを異なるようにする場合、図5のように、全ての挟持アーム3の上下長さを異なるようにする場合の選択が可能である。
挟持アーム3に上下長さの異なる組み合わせを採用する場合、各挟持アーム3の下部先端に設けた掴み爪5の切削ビット16は、図5のように、挟持アーム3の開閉方向に沿う切削幅を、上下の長さが短い挟持アーム3が最も広くなるよう、挟持アーム3の長さごとに段階的に異なるようにし、回転による地中障害物の切削時に生じる抵抗の発生を少なくし、切削効率を向上させるようにしている。
上記吊上げ装置1を用いて地中障害物を撤去する場合、円筒状のケーシング17が併用され、このケーシング17を地中障害物に対して直接又はその周囲を所定の深度まで掘進させ、このケーシング17内に前記吊上げ装置1を挿入し、ケーシング17に対して吊上げ装置1を固定化した状態で、ケーシング1に回転と推力を与え、地中障害物の外周を切削ビット16によって削り込むことで細くなった掴み代を加工することになる。
このように、ケーシング17に対して吊上げ装置1を固定化するため、各挟持アーム3の先端側の外面には、ケーシング17の内周面に対して摩擦力及び固定力の増大を図るグリップ部18が形成され、また、ケーシング17の内周面には上下軸方向に点在もしくは長いフランジ状の回転伝達部材19が固定され、ケーシング17の回転時にこの回転伝達部材19が挟持アーム3に対して回転方向に係合することにより、吊上げ装置1に回転を効率よく伝えるようにしている。
上記グリップ部18は、図3(b)に示すように、ケーシング17の内周面に対する圧接する面が摩擦の大きな凹凸面18aに形成され、ケーシング17の回転と推力が挟持アーム3へ確実に伝達されるようにしている。
なお、ケーシング17の回転と推力を吊上げ装置1へより確実に伝達するため、図7に一点鎖線で示すように、吊上げ装置1の上部に、ケーシング17の内周面に対して突っ張り状態で圧接可能な固定手段23を別途設けるようにすることができるが、ケーシング17に圧接させるグリップ部18でケーシング17に対する挟持アーム3の必要な固定力が得られる場合、当然ながら、このような固定手段23や上記回転伝達部材19は省略することができる。
上記地中障害物とは、既成杭やコンクリート製の既成基礎であり、これらを撤去する工法は、地中障害物に対してケーシング17を直接掘進させるか、地中障害物の外側をケーシング17で囲むように掘進させ、この後、ケーシング17の内部に吊上げ装置1を挿入し、挟持アーム3を開くように作動させることでケーシング17に対して吊上げ装置1を固定化し、この状態でケーシング17に回転と推力を与え、ケーシング17内に位置する地中障害物を上端から所定長さにわたって切削し、地中障害物の外周を切削ビット16によって削り込むことで細くなった掴み代を形成し、切削後に回転と押し込み推力を停止して挟持アーム3を閉じるように作動させ、各挟持アーム3の掴み爪5で掴み代を掴み、吊上げ装置1で地中障害物を吊上げてケーシング17の外に撤去するものである。
ここで、地中障害物が既成杭の場合、その直径には幾つかの種類があり、従って、既成杭の外側を掘進するために用いるケーシング17も既成杭の直径に合わせた内径のものが使用され、このため、ケーシング17内に挿入して既成杭を撤去する吊上げ装置1は、ケーシング17の内径に合わせて平面的な外径が適合するものを用意しなければならない。
上記既成杭の撤去に用いるケーシング17の直径に関しては、製作や強度、取り扱い等の観点から上限に制約があり、このため、ケーシング17と既成杭の直径の関係は、例えば、直径3mとなる最大径の杭に用いるケーシング17はその内径が既成杭の外径と略同一となり、既成杭が最大径よりも小径のものである場合は、先端ビット20の掘削内径が既成杭の外周に接近するような、既成杭よりも少し大径の内径を有するケーシング17が用いられることになる。
従って、ケーシング17で既成杭を掘進する場合、既成杭にケーシング17を同軸心状に外嵌させた状態で、最大径の既成杭ではケーシング17の先端ビット20やインナービット21が既成杭の外周を直接削り取ることによって掘進し、最大径よりも小径の既成杭では、ケーシング17の先端ビット20によって既成杭の周囲地盤を掘削することになり、何れにおいても、既成杭が傾斜しているような場合は、垂直のケーシング17で掘進していくと、ケーシング17の先端ビット20は既成杭の外周を直接削り取ることになる。
吊上げ装置1における平面的な外径は、挟持アーム3の開閉角度によって変化するが、図1(a)のように、各挟持アーム3を略垂直にした掴み姿勢で平面的な外径が最小となり、吊上げ装置1はこのような最小外径の姿勢でケーシング17内に挿入し、ケーシング17内で挟持アーム3を少し開くように作動させることで吊上げ装置1をケーシング17に固定化することになり、このため、吊上げ装置1は、上記取付け孔14とピン12を用いた挟持アーム3の取り付け位置の変更と、大きさの異なる挟持アーム3の取換えを併用することにより、平面的な最小外径を変化させることができるので、内径の異なるケーシング17に対して広範に対応することができることになる。
上記ケーシング17は、上下に長い鋼製の円筒状となり、図8のように、その下部先端に複数の先端ビット20と内周面に上記した回転伝達部材19が設けられ、更に必要に応じて下部先端側の内周面に複数のインナービット21が設けられ、図7で示したように、ケーシング17は地上に設置したケーシングドライバー22で垂直に保持されて回転と推進力及び引抜き力が付与され、既成杭の外周面を直接削り取るか、既成杭を軸方向に沿って分断したり、既成杭の周囲地盤を円筒状に掘削することになる。
ケーシング17の先端側内周面に設ける各インナービット21は、図8(a)と(c)及び(e)のように、ケーシング17の内周から中心に向けて突出し、ケーシング17に対して周方向に複数が所定の間隔で配置され、しかも、各インナービット21は軸方向に位置を違えた配置になり、ケーシング17の回転方向に沿って順次軸方向の上部に位置するものほど半径方向への突出量が大きくなるように設定され、このようなインナービット21の配列により、ケーシング17を回転させて掘削を行うと、既成杭とケーシング17の間に円筒状の掘削空間を掘削することになる。
ところで、上記ケーシング17で既成杭を直接掘進したりその周囲地盤を掘進し、このケーシング17によって周囲地盤の崩壊を防ぎながら既成杭を囲み、ケーシング17内に吊上げ装置1を挿入して既成杭を撤去する場合や既成基礎を掘進する場合、挟持アーム3の掴み爪5に設けた切削ビット16がインナービットの役目をすることになるので、上記インナービット21は、これを省くか、設ける場合もできるだけ突出量を小さく設定し、ケーシング17による掘削量を少なくすることで、ケーシング17の掘進に要するコストの低減を図っている。
このケーシング17はファストケーシングであり、地上に設置したケーシングドライバー22により回転と推進力及び引抜力が付与され、掘進の進行と共に上部ケーシングを順次継ぎ足すことにより必要な長さにして使用する。
次に、この発明の吊上げ装置1を用い、地中障害物を撤去する撤去方法を説明する。
図7は地中障害物がコンクリート製の既製基礎aである場合の撤去方法を示し、既成基礎aの上に設置したケーシングドライバー22に、所定径のケーシング17を建て込み、この状態でケーシング17に回転と推進力を与え、ケーシング17の先端ビット20とインナービット21で既成基礎aを掘進し、ケーシング17による掘進が既成基礎aを貫通するまで行う。
ケーシング17が回転と推進力で既成基礎aに進入すると、先端ビット20とインナービット21が既成基礎aを円筒状に掘削することで、ケーシング17の内部に円軸状の基礎bが形成され、この円軸状の基礎bは先端ビット20とインナービット21の切削によって外径が決定されるが、切削量を多くすると過大な掘削トルクが必要になるため、ケーシング17の内周面との間に回転伝達部材19が収まる程度の比較的狭い掘削空間が生じる外径になるよう、先端ビット20とインナービット21が設定されている。
既成基礎aに対してケーシング17が所定深さまで進入すると、ケーシング17の回転と推進力を停止し、クレーンで吊下げた吊上げ装置1をケーシング17内に挿入し、略垂直の掴み姿勢にした挟持アーム3の下端を円軸状の基礎bの上端に臨ませ、この位置で油圧シリンダ4を収縮させ、挟持アーム3を拡開させて内張り状にすると、グリップ部18がケーシング17の内周面に圧接することで、ケーシング17に対して吊上げ装置1は同軸心状の配置で固定化される。
この状態でケーシング17に回転と押し込みの推進力を与えると、内部の吊上げ装置1もグリップ部18での固定化と、回転伝達部材19と挟持アーム3の係合により一体に回転すると共に軸方向に移動し、挟持アーム3の下端に設けた切削ビット16が円軸状の基礎bの外周を上端から切削していく。
上記ケーシング17の内周とその内部に位置する円軸状の基礎bの間に形成された掘削空間には掘削ガラが存在するが、挟持アーム3の下端に設けた切削ビット16が円軸状の基礎bの外周を上端から切削していくことにより、掘削空間に掘削ガラが存在していても回転によってこれを共回りさせると共に一部を上方に逃がしながら下降していき、従って、円軸状の基礎bに対する切削が支障なく行えることになり、掘削ガラの処理に要する工程と手間を省くことができる。
上記のように、挟持アーム3の下端に設けた切削ビット16で円軸状の基礎bの外周を上端から切削していくことにより、図7で示すごとく、ケーシング17内に位置する円軸状の基礎bの上端部が小径部になり、この小径部とケーシング17の内周との間に挟持アーム3が進入し、前記小径部が吊上げ装置1による掴み代cとなり、前記円軸状の基礎bを所定の長さだけ切削すると、ケーシング17の回転と推進力を停止させる。
このように、ケーシング17内に位置する円軸状の基礎bを上端から切削していくことにより、ケーシング17と円軸状の基礎bの間に挟持アーム3を進入させることができ、従って、切削ビット16がインナービットの役目をし、ケーシング17の掘進によって挟持アーム3を挿入できるような幅の掘削空間を予め確保する必要がなくなり、ケーシング17による内径側の掘削量を少なくすることで掘進効率の向上と駆動トルクの省力化を図ることができる。
次に、吊上げ装置1は、油圧シリンダ4の伸張によって各挟持アーム3を閉じる方向に作用させると、各挟持アーム3はケーシング17の内周から離れることになり、掴み爪5が前記掴み代cを周囲から掴み、この状態で吊上げ装置1をクレーンで引上げるようにすれば、掴み爪5で掴み代cが掴まれた円軸状の基礎bが吊上げられ、ケーシング17の外に取出されることになる
ここで、コンクリート製の既成基礎aは、図9のように、平面的に主基礎とこれをつなぐ梁基礎で矩形の枠状になっており、このため、既成基礎aの撤去においては、図10(a)と(b)のように、上記ケーシング17による掘進位置を平面的にラップするように場所を変えて施していくことにより、全体を撤去するものである。
また、ケーシング17内に形成される上記基礎bは必ずしも円軸にならない場合があり、吊上げ装置1は、各挟持アーム3が個々に独立して開閉すると共に、掴み爪5の内側へ向けての作動範囲は、油圧シリンダ4のストロークによって制約を受けるものの、支持部材2の上下軸心を反対側に通過することができるようになっているので、円軸状の基礎b以外の平面的に偏心したり異形となる形状でも支障なく掴むことができる。
また、撤去せんとする地中障害物が既成杭a1の場合、図10(d)のように、ケーシング17を既成杭a1と同軸心の配置で立て込み、このケーシング17を回転と推力で所定深さまで掘進させ、既成杭a1の周囲地盤を掘削してケーシング17で既成杭a1を囲んだ状態で、前記ケーシング17内に吊上げ装置1を挿入し、挟持アーム3の下端が既成杭a1の上端に臨む位置で挟持アーム3を拡開作動させてケーシング17に固定化し、この状態でケーシング17に回転と推力を与え、吊上げ装置1の切削ビット16で既成杭a1の外周を上端から所定長さにわたって削り込み、既成杭a1の上端に小径となった掴み代を加工し、所定長さを削り込んだ時点でケーシング17の回転と推力を停止する。
なお、既成杭a1の外径とこれに建て込むケーシング17の内径の条件によって、ケーシング17の内径側における掘削は、既成杭1aの周囲地盤だけを掘削する場合と、周囲地盤を含めて既成杭a1の外周面を直接掘削場合がある。
上記ケーシング17内の既成杭a1の重量が吊り上げ装置1の吊り上げ能力にある場合、吊上げ装置1の挟持アーム3を閉じるように作動させ、掴み爪5で上記掴み代を掴んだ状態で吊上げ装置1を引上げれば、ケーシング17内の既設杭a1を吊上げて取出すことができる。
また、ケーシング17内の既成杭a1が長くてその重量が吊り上げ装置1の吊り上げ能力を超える場合、ケーシング17による掘進後、吊上げ装置1を挿入する前、又は、吊上げ装置1の挿入後に、ケーシング17を回転と推力を停止し、ケーシング17と既成杭a1の間に形成された掘削空間に楔等を打ち込んだ状態でケーシング17を回転させ、これによって既成杭a1に衝撃を加えることにより、既成杭a1を途中の位置で折断させるようにし、既成杭a1が折れるとケーシング17の回転を止め、吊上げ装置1の挟持アーム3を閉じるように作動させ、掴み爪5で上記掴み代を掴んだ状態で吊上げ装置1を引上げれば、ケーシング17内の折り取った既設杭a1を吊上げて取出すようにし、上記のような工程の繰り返しによって、既成杭a1を所定長さごとに上から順次除去することでその全長を撤去することができる。
上記のようにして既成杭a1の全長を撤去すると、ケーシング17内を流動化防止土で埋め戻し、その後地中からケーシング17を抜き取るようにする。
また、上記した既成杭a1の折断を容易に行えるようにする別の方法として、図10(c)のように、既成杭a1に対してケーシング17を平面から見て既成杭a1を複数に分断するように掘進させれば、分断による小形化及び分断部分への楔等の打ち込みにより、折断作業が容易となり、上記と同様にケーシング17内の分断した既成杭a1を吊上げ撤去することができる。
上記のように、この発明の吊上げ装置1は、各挟持アーム3を略垂直にした掴み姿勢における外径を変更できるので、多種類のケーシング17の直径の変化に対して一台で対応することができ、挟持アーム3の先端掴み爪5は、吊上げ装置1を回転させることで切削ビット16により地中障害物を切削して掴み代を形成することができ、これにより、挟持アーム3の切削ビット16がインナービットの役目をし、ケーシング17で地中障害物を直接又はその周囲を掘進するとき、内径側での掘削量を少なくすることができる。
1 吊上げ装置
2 支持部材
3 挟持アーム
4 油圧シリンダ
5 掴み爪
6 吊環
7 スイベル機構
8 吊下げ軸
9 支持梁
10 水平腕
11 取付け腕
11a 孔
12 ピン
13 ピン
14 取付け孔
15 補強詰め物
15a 金属円板
15b 弾性体
15c ボルト
16 切削ビット
17 ケーシング
18 グリップ部
18a 凹凸面
19 回転伝達部材
20 先端ビット
21 インナービット
22 ケーシングドライバー
23 固定手段
a 既成基礎
b 円軸状の基礎
c 掴み代
a1 既成杭

Claims (9)

  1. クレーン等のワイヤで吊下げ保持される支持部材に、下部先端に設けた掴み爪がこの支持部材の上下方向の軸心に向く配置で複数の挟持アームを取付け、前記挟持アームを伸縮駆動機で開閉させるようにした吊上げ装置と、この吊上げ装置を挿入する円筒状のケーシングを用い、
    地中障害物に対してケーシングを直接又はその周囲を所定の深度まで掘進させ、このケーシング内に前記吊上げ装置を挿入し、挿入位置で前記挟持アームを開き方向に作動させることでケーシングに対して吊上げ装置を固定化し、この状態で、このケーシングと共に吊上げ装置を回転させながら押し込み、挟持アームの掴み爪によってケーシング内に位置する地中障害物の外周又はその周囲を上端から所定長さにわたって削り込み、これによって前記ケーシングの内周と地中障害物の間に挟持アームを進入させ、ケーシングの回転と押し込みの停止後に挟持アームを閉じ方向に作動させ、掴み爪で前記ケーシング内に位置する地中障害物を掴み、この後、吊上げ装置でケーシング内に位置する地中障害物を吊り上げてケーシング外に取出すようにする地中障害物の撤去方法。
  2. 地中障害物に対して直接又はその周囲を所定の深度まで掘進するケーシング内に挿入し、前記ケーシングに対して固定化した状態で、このケーシングと共に回転させながら押し込むようにする地中障害物の撤去用吊上げ装置であり、
    クレーン等のワイヤで吊下げ保持される支持部材に、下部先端に設けた掴み爪がこの支持部材の上下方向の軸心に向く配置で複数の挟持アームを、伸縮駆動機で開閉動するように取り付けた構造を有し、前記各挟持アームの下部先端に設けた掴み爪が、ケーシング内の地中障害物に対して回動と軸方向に移動することによって前記地中障害物の外周や周囲を削り込む刃物機能を備えている地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  3. 上記挟持アームの下部先端に設けた掴み爪の刃物機能は、この掴み爪に取付けた切削ビットで形成されている請求項2に記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  4. 上記支持部材に対する挟持アームの取付けが、前記支持部材に複数の取付け孔を挟持アームの開閉方向に沿って設け、前記挟持アームに設けた取付け腕を枢止する取付け孔を選ぶことにより位置調整自在となっている請求項2又は3に記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  5. 上記挟持アームは、この挟持アームの開閉方向に沿う寸法の大きさが異なる複数種類が用意され、支持部材に対して大きさの異なる挟持アームを選択して取付けることができるようにした請求項2乃至4の何れかに記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  6. 上記挟持アームの下部先端側の外面に、ケーシング内に挿入した状態で挟持アームを開き方向に作動させることにより、ケーシングの内周面に当接することでケーシングに対して固定化するためのグリップ部が設けられている請求項2乃至5の何れかに記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  7. 上記挟持アームは、支持部材の上下方向の軸心を挟んで対向する配置で支持部材に取付けた両側の挟持アームを一対とし、この一対の挟持アームを前記支持部材に複数組取付け、一対となる挟持アームは上下の長さが等しく、各組ごとに挟持アームの上下の長さを異なるようにした請求項2乃至6の何れかに記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  8. 上記挟持アームは、支持部材に対して複数が取付けられ、前記各挟持アームの上下の長さを異なるようにした請求項2乃至7の何れかに記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
  9. 上記挟持アームの下部先端に設けた掴み爪の切削ビットは、挟持アームの開閉方向に沿う切削幅を、上下の長さが短い挟持アームが最も広くなるよう、挟持アームの長さごとに異なるようにした請求項7又は8に記載の地中障害物の撤去用吊上げ装置。
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