JP2508881Y2 - 脱穀機の穀稈入口上部カバ― - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 産業上の利用分野 本考案は自脱コンバインに搭載された脱穀機の穀稈入
口を覆う上部カバーの改良に関するものである。

従来の技術 自脱型のコンバインは、前処理部で刈取られた圃場の
立毛穀稈を揚上搬送体で連続的に揚上搬送し、その終端
部から搬送穀稈を脱穀機の扱口に沿って架設したフイー
ドチェン側に継送し、該フイードチェンと挟扼レール間
で穀稈の株元部を挟持しながら穂先側を穀稈入口から穀
稈出口にいたる扱室内に通過させる過程で扱胴の回転に
よる打撃作用等で脱粒処理するようになっている。この
時、扱室内では扱胴回転に伴って藁屑や塵埃が大量に発
生し、一部の塵埃や穀粒等が穀稈入口から扱室外に飛散
すため穀稈入口部にゴム製の飛散防止カバーを設け、且
つ穀稈入口上方を覆う状態で防塵用の入口上部カバーを
設けたりして対処している。

考案が解決しようとする課題 しかしながら、防塵性を高めるためには、入口上部カ
バーを前方に延出しただけでは不十分で、穀稈入口の前
面側を別に設けた飛散防止カバー等で更に覆うことも考
えられるが、脱穀機の穀稈入口部分の掃除や穀稈入口か
ら脱穀機内部を掃除、点検する時には上部入口上部カバ
ーや飛散防止カバーが障害となる問題がある。

課題を解決するための手段 そこで、本考案は、コンバインに搭載された脱穀機に
該脱穀機の穀稈入口の上方を覆う入口上部カバーを設
け、該入口上部カバーの下方には上記穀稈入口の下側か
ら前方に向けて穀稈入口案内板を突設したものにおい
て、上記入口上部カバーを上記穀稈入口の上部を覆う位
置と、穀稈入口の上部から上方に離間した位置とに上下
移動切換自在に構成すると共に、上記入口上部カバーの
下面側に可撓性部材からなる飛散防止カバーを取り付け
て前記穀稈入口の前面側を覆うように垂下し、該飛散防
止カバーの下縁を上記穀稈入口案内板の上面に臨ませる
ことにより、上述の問題点を解決しようとするものであ
る。

作用 穀稈は株元部をフィードチェンと挟扼レールとの間で
挟持移送されながら、穂先部が穀稈入口から扱室内に入
り、回転する扱胴により脱粒処理されるが、この時、扱
室内では扱胴回転に伴って塵埃が大量に発生する。そし
て、この塵埃や穀粒等が脱穀入口から扱室外に飛散しよ
うとするが、穀稈入口の上方を覆う入口上部カバーと、
該入口上部カバーの下面側に垂下して穀稈入口の前面側
を覆うと共に下縁を穀稈入口案内板の上面に臨ませた飛
散防止カバーとにより、上記塵埃や穀粒等の機外への飛
散がよく防止される。

また、脱穀機の穀稈入口付近の掃除や、穀稈入口から
脱穀内部の掃除、点検を行う場合は、入口上部カバーを
上方に移動させて穀稈入口の上部から上方に離間した位
置（退避位置）に切り換える。すると入口上部カバーと
一体で飛散防止カバーも上動して穀稈入口の前面から退
避するから、上記掃除，点検作業に際して入口上部カバ
ーはもとより飛散防止カバーも障害となることが殆どな
く、かかる作業を能率良く行うことができる。

実施例 本考案の構成を図面に示された一実施例により説明す
れば、１はクローラ型走行機体２に搭載された脱穀機、
３は揚上搬送体４及び刈刃、引起し装置（図示せず）等
からなる前処理部で、前処理部３で刈取られた立毛穀稈
は揚上搬送体４で揚上搬送され、その終端部からフイー
ドチェン５に受継され、該フイードチェン５と挟扼レー
ル６間に株元部を挟持されながら穀稈入口7aから扱室７
内に搬送され、扱室７内で扱胴８により脱粒処理された
後の排稈出口7bから出て排ワラチェン９で機外へ排出さ
れるようになっている。一方、扱室７の受網10を漏下し
た処理物は選別部11で比重・風選別された後、精粒は１
番螺旋12で、穂切れ粒等の２番物は２番螺旋13で機体一
側に移送され、精粒は図示外のホッパ等に貯溜され、２
番物は２番還元筒14で扱室７又は選別部11に還元されて
再処理されるようになっている。そして動力はエンジン
15の出力プーリ15aからベルト伝動により圧風ファン1
6、１番螺旋12、２番螺旋13及び扱胴８の駆動ギヤボッ
クス17、フイードチェン５等に伝達され脱穀各部を駆動
するように構成されている。Ｆは吸引ファンである。

18は脱穀クラッチ19を入切する操作レバーで、ワイヤ
20を介して脱穀クラッチ19のテンションプーリ19aに連
結されている。そして、脱穀クラッチ系統の途中に２番
口13aの底板（掃除蓋）21を組込み、脱穀クラッチ19をO
Nにした時、該脱穀クラッチ19に連動して開閉蓋21が掃
除口21aを２番螺旋13の直下方から選別移送方向前方に
退避した閉位置に自動的に変移するように構成されてお
り、これにより掃除蓋21の閉め忘れを確実に防止し得る
ようにしている。即ち、操作レバー18をクラッチ入り側
に操作した時、ワイヤ20の掃除蓋対応位置に固定したフ
ック22が掃除蓋21に開口した長孔21bの一端縁を押すた
め掃除蓋21が閉側に移動し、また、掃除蓋21の閉操作は
把手23を手で押して行うようになっている。

ところで、脱穀機１の穀稈入口7a部には該穀稈入口7a
部の上方を覆う状態で入口上部カバー24が設けられてお
り、該入口上部カバー24は少なくともフイードチェン５
の移送始端部近傍まで延出されている。そして入口上部
カバー24の基端側は脱穀機１のシリンダカバー1aにヒン
ジ25で蝶着されており、入口上部カバー24は上記ヒンジ
25を中心に上下に回動することにより上下移動切換自在
で、第４図に実線で示す下降して前記穀稈入口7aの上部
を覆う位置（脱穀作業位置）と、第４図に仮想線で示す
穀稈入口7aの上部から上方に離間して退避した位置（メ
ンテナンス位置）とに切換可能に構成されている。また
入口上部カバー24は穂先側部分24aと株元側部分24bに２
分割されると共に、株元側部分24bはヒンジ25aを介し穂
先側部分24aに開閉自在に枢着されている。尚、穂先側
部分24aと株元側部分24bの稈身方向の幅員割合は約3:1
となっており、穂先側部分24aが株元側部分24bよりも幅
広くしてある。27,27aは入口上部カバー24の裏面に止着
垂下されたゴム等の可撓性部材からなる飛散防止カバー
で、該飛散防止カバー27,27aは穀稈入口7aの前面側を覆
うように設けられていると共に、飛散防止カバー27,27a
の下縁は、穀稈入口7aの下側から前方に向けて突設され
た穀稈入口案内板30の上面に臨んでいる。28,28aは入口
上部カバー24の固定具である。

尚、上記固定具28,28aの取付位置及び個数は入口上部
カバー24の形状、大きさ及び深さ等を考慮して適宜選定
し得る。

上記の構成において、通常の刈取脱穀作業時は、入口
上部カバー24を下降した脱穀作業位置とすることで、穀
稈入口7aの上方が入口上部カバー24で覆われ、しかも、
該入口上部カバー24の下面側に垂下すると共に下縁を穀
稈入口案内板30の上面に臨ませた飛散防止カバー27,27a
で穀稈入口7aの前面側が覆われるから、扱室７内で発生
した塵埃や穀粒等の脱穀機入口側からの機外飛散がよく
防止される。

また、手扱作業は、機体の進行及び前処理部３を停止
させ（エンジン15は駆動）、フイードチェン５や扱胴
６、選別部11その他の脱穀各部を駆動させた状態で行な
う。この手扱作業時には、カバー固定具28を外し、第３
図に示すように入口上部カバー24の株元側部分24bをヒ
ンジ25aを中心にして上方に回動させる。これにより通
常の刈取作業時にフイードチェン５の上方を覆っていた
入口上部カバー24の株元側部分24bが穂先側部分24aの上
方に折畳状に退避するので脱穀機１の穀稈入口7a部にお
いてフイードチェン５へ穀稈をかませる作業空間が通常
作業時よりも増加する。そのため、刈取穀稈の株元を手
で持ちながらフイードチェン５に穀稈を供給する手扱作
業は入口上部カバー24に邪魔されることなく容易且つ円
滑に行なうことができる。

尚、入口上部カバー24の株元側部分24bを開放して
も、穂先側部分24aは穀稈入口7a部上方を覆っており、
しかも、該穂先側部分24aが株元側部分24bよりも広幅に
設定されていることと相俟って入口上部カバー24による
防塵効果はさほど減殺されることはない。

また、脱穀機１の穀稈入口7a付近の掃除や、穀稈入口
7aから脱穀内部の掃除、点検を行う場合は、第４図仮想
線で示すように、入口上部カバー24を上方へ移動退避さ
せたメンテナンス位置に切り換える。すると入口上部カ
バー24に取り付けられた飛散防止カバー27,27aも一体で
上動して穀稈入口7aの前面から退避するから、上記掃
除、点検作業に際して入口上部カバー24はもとより飛散
防止カバー27,27aも障害となることが殆どなく、かかる
作業を能率良く容易に行うことができる。

考案の効果 本考案は、コンバインに搭載された脱穀機に該脱穀機
の穀稈入口の上方を覆う入口上部カバーを設け、該入口
上部カバーの下方には上記穀稈入口の下側から前方に向
けて穀稈入口案内板を突設したものにおいて、上記入口
上部カバーを上記穀稈入口の上部を覆う位置と、穀稈入
口の上部から上方に離間した位置とに上下移動切換自在
に構成すると共に、該入口上部カバーの下面側に可撓性
部材からなる飛散防止カバーを取り付けて前記穀稈入口
の前面側を覆うように垂下し、該飛散防止カバーの下縁
を上記穀稈入口案内板の上面に臨ませたことにより、通
常の刈取脱穀作業時は、扱室内で発生した塵埃等の脱穀
機入口側からの機外飛散を防止し防塵性が向上するもの
でありながら、入口上部カバーを上方へ移動切換させる
と飛散防止カバーも一体で上動して穀稈入口の前面から
退避するから、脱穀機の穀稈入口付近の掃除や、穀稈入
口から脱穀内部の掃除、点検を行う場合、入口上部カバ
ーはもとより飛散防止カバーが障害になることが少な
く、かかる作業を能率良く容易に行うことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は要部の斜視図、第２図は通常の刈取作業時にお
ける入口上部カバーの斜視図、第３図は手扱作業時にお
ける入口上部カバーの斜視図、第４図は本考案を装備し
た脱穀機の縦断側面図、第５図は脱穀クラッチと掃除蓋
の連動構成を示す斜視図である。 １…脱穀機、５…フイードチェン、７…扱室、7a…穀稈
入口、24…入口上部カバー、24a…カバー穂先側部分、2
4b…カバー株元側部分。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】コンバインに搭載された脱穀機に該脱穀機
   の穀稈入口の上方を覆う入口上部カバーを設け、該入口
   上部カバーの下方には上記穀稈入口の下側から前方に向
   けて穀稈入口案内板を突設したものにおいて、上記入口
   上部カバーを上記穀稈入口の上部を覆う位置と、穀稈入
   口の上部から上方に離間した位置とに上下移動切換自在
   に構成すると共に、上記入口上部カバーの下面側に可撓
   性部材からなる飛散防止カバーを取り付けて前記穀稈入
   口の前面側を覆うように垂下し、該飛散防止カバーの下
   縁を上記穀稈入口案内板の上面に臨ませたことを特徴と
   する脱穀機の穀稈入口上部カバー。