JP2508862Y2 - コンバインにおける前処理部のスタンド装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、茎稈の収穫作業をするコンバインにおける
前処理部のスタンド装置に関するものである。

［従来技術及び考案が解決しようとする課題］ 一般に、この種コンバインにおいては、圃場に植立し
た茎稈の刈取りをする前処理部が設けられるが、この前
処理部は、前処理部自体の点検整備、あるいは機体本体
前部側の点検整備等のため、機体本体から取外せるよう
になつている。

ところで前処理部の底面は、機構上、平面になつてい
ないため、機体本体から外されたままでは安定性に欠
け、そこで従来、別途スタンドを用意しておき、このス
タンドで機体本体から外された前処理部の起立支持をす
るようになつていた。しかるにこのものでは、スタンド
をいちいち持ち運びする必要があつて面倒かつ煩雑であ
るうえに、スタンドが無い場合には、前処理部を安定的
に起立支持することができないという欠点がある。

そこで例えば、実開昭63−158125号公報に示す如くス
タンドを前処理部に組付けたものが提唱されている。し
かるにこのものは、前処理部フレームにスタンドを揺動
自在に枢着したものであつて構造も複雑で、しかもスタ
ンド高さの調整ができず、前処理部の安定した起立支持
は平坦地しかできないという問題が有り、改善する必要
がある。

［課題を解決する手段］ 本考案は、上記の如き実情に鑑み、これらの欠点を一
掃することができるコンバインにおける前処理部のスタ
ンド装置を提供することを目的として創案されたもので
あつて、機体本体に対して刈刃を備えた前処理部を着脱
自在に装着してなるコンバインにおいて、前記前処理部
後下部の左右には、上下方向に貫通する螺子孔が開設さ
れたスタンド支持部を形成する一方、スタンドの一端側
には前記螺子孔に適合した螺子部を形成して、スタンド
を、スタンド支持部に対して上側から螺入せしめた収納
姿勢と下側から螺入せしめた作用姿勢とに選択切換え自
在で、かつ螺子部のスタンド支持部に対する螺入量調整
によりスタンド高さの調整ができるように構成したこと
を特徴とするものである。

そして本考案は、この構成によつて、機体本体から外
された前処理部を、構造簡単でしかもスタンド高さの調
整をして安定した起立支持が出きるようにしたものであ
る。

［実施例］ 次に、本考案の一実施例を図面に基づいて説明する。
図面において、１はコンバインの機体本体であつて、該
機体本体の前部に着脱自在に取付けられる前処理部２に
本考案のスタンド装置３が組付けられている。

つまり機体本体１の機体フレーム1a前部からは、前処
理部支持フレーム４が前方に突出する状態で植設されて
おり、その上端部には支持プレート4aが一体的に設けら
れているが、支持プレート4aには、先端部に螺子溝5aが
刻設された位置決めピン５が突設されると共に螺子孔６
が穿設されている。

一方、前処理部２における前処理部フレーム2aの下部
からは、前処理部２への動力入力軸（図示せず）を内装
するカバー筒７が後上方に向けて突設されているが、該
カバー筒７の上端部に一体的に設けられた左右方向を向
く回動筒８は、ホルダ９に自由回動自在に軸支されてい
る。このホルダ９には、後側ほど末広がり状に拡開した
位置決め用の凹溝9aとボルト貫通孔9bとが形成されてお
り、そして凹溝9aに前記ピン５を係合した仮保持状態で
ボルト10を貫通孔9bと螺子孔６に貫通し、ピン５および
ボルト10をナツト止めすることによつて前処理部２の取
付け支持ができるようになつており、この状態で、さら
に前記カバー筒７と、機体フレーム1aに支持される油圧
シリンダ11の先端部とをピン11aで止めることによつて
前処理部２の機体本体１への取付けができる構成になつ
ている。

前記前処理部フレーム2aには、側面視において略Ｌ字
形をしたプレート12が一体的に取付けられており、この
プレート12には、デバイダ13を取付けるため前方に突出
する取付けフレーム14の基端部が一体的に固着される
が、プレート14の下板部上面には背高のスタンド支持体
15が一体的に固着されており、この支持体15とプレート
14とを上下に貫通するようにして螺子孔15aが形成され
ている。

16は六角柱状体によつて形成されるスタンドであつ
て、該スタンド16の一端部には前記螺子孔15aに丁度螺
合する螺子部16aが刻設されている。そして前処理部２
が機体本体１に取り付けられた使用状態では、螺子部16
aをスタンド支持体15に対して上側から螺合取付けした
収納姿勢に保持することによつて、スタンド16がプレー
ト12によつて前および下側が保護される状態でプレート
12に収納取付けされるよう設定されている。一方、前処
理部２を機体本体１から取外す場合には、前処理部２を
適宜高さまで上昇せしめた状態で、スタンド支持体15か
ら外したスタンド16を、プレート12の下側から螺合取付
けして作用姿勢にし、この姿勢状態で前処理部２を地面
に降ろせば良いことになるが、このときスタンド16の螺
子量を出没調整することによつて、機体本体１から取外
された前処理部２を、取付けフレーム14とスタンド16と
が接地する安定した姿勢に起立支持されるよう調整でき
る構成になつている。

叙述のごとく構成された本考案の実施例において、メ
ンテナンス等のため前処理部２を機体本体１から取外す
にあたり、前述したように前処理部２を持ち上げた状態
で、スタンド支持体15に対して起立した収納姿勢になつ
ているスタンド16を外して、スタンド支持体15に対して
下側から適宜位置まで螺入して予備取付けをする。この
状態で前処理部２を取付けフレーム14が接地する位置ま
で下げ、この状態でスタンド16が、ガタのない安定姿勢
で接地するようスタンド支持体15に対して上下方向に出
没調整をする。このとき実施例のスタンド16は六角柱状
態であるから、必要ならスパナ等の汎用工具を用いての
調整作業ができるという利点がある。

この様にして取付けフレーム14とスタンド16とが接地
した安定状態にできたら、ピン11aを抜いて油圧シリン
ダ11をカバー筒７から離脱すると共に、ピン５を緩め、
さらにボルト10を抜き取り、そうした後、機体本体１を
後進させることによつて前処理部２の取外しが出きるこ
とになる。また前処理部２の取付けは、前記逆作業によ
つてできることになる。

この様に、本考案においては、機体本体１から取外さ
れた前処理部２は、スタンド16を用いて安定支持するこ
とができるが、このスタンド16は、スタンド支持体15に
対して上側から螺入することによつて収納姿勢に、また
下側から螺入することによつて作用姿勢に簡単に選択切
換えすることができ、しかも作用姿勢において、螺入量
の調整によつてスタンド高さの調整が自在にできること
となり、地面に凹凸に対応した安定姿勢での起立支持が
簡単かつ確実にできることになる。

しかもこのものでは、前述したようにスタンド調整が
成された状態で、機体本体１を後退させることによつて
前処理部２を機体本体１から簡単に離脱できるが、前処
理部２を離脱作業とは逆作業によつて機体本体に取付け
るに際し、位置決め用の凹溝9aが後側ほど拡開している
ので、機体本体を前進しながらのピン５の凹溝9aへの係
合作業が容易になつて、前処理部取付け作業が容易にな
るという利点がある。

そしてこの様にして前処理部２が機体本体１に取付け
られたら、スタンド16を収納姿勢にすることになるが、
該収納姿勢になつたスタンド16は、取付けフレーム14が
取付けられるプレート12を有効に利用して前および下側
が保護されるため、ここに藁屑等が絡んでしまうことを
効果的に回避できるという利点もあつて都合が良い。

［作用効果］ 以上要するに、本考案は叙述の如く構成されたもので
あるから、前処理部を機体本体から取外すに際し、上側
からスタンド支持部に螺入保持されているスタンドを外
して下側から螺入し、そしてこの螺入量を調整してスタ
ンドをガタのない状態にすることによつて、仮令地面が
凹凸であつたり傾斜していたとしても、前処理部を安定
した起立姿勢に支持することができる。しかもこの様に
スタンド高さの調整が自在なスタンドでありながら、そ
のスタンド高さ調整作業は下側からの螺入量調整で良
く、そのうえスタンドの収納姿勢と作用姿勢との姿勢切
換えは、スタンドをスタンド支持部に対して上下からの
選択螺入によつて行うことができることになつて、著し
い作業性の改善が計れると共に、スタンド装置の構造の
大幅な簡略化が計れることになる。

【図面の簡単な説明】

図面は、本考案に係るコンバインにおける前処理部のス
タンド装置の実施例を示したものであつて、第１図はコ
ンバインの全体斜視図、第２図はコンバインの前部拡大
側面図、第３図はスタンド装置の拡大側面図、第４図は
前処理部の取付け支持部を取外した状態を示す要部斜視
図である。 図中、１は機体本体、２は前処理部、12はプレート、14
は取付けフレーム、15はスタンド支持体、16はスタンド
である。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】機体本体に対して刈刃を備えた前処理部を
   着脱自在に装着してなるコンバインにおいて、前記前処
   理部後下部の左右には、上下方向に貫通する螺子孔が開
   設されたスタンド支持部を形成する一方、スタンドの一
   端側には前記螺子孔に適合した螺子部を形成して、スタ
   ンドを、スタンド支持部に対して上側から螺入せしめた
   収納姿勢と下側から螺入せしめた作用姿勢とに選択切換
   え自在で、かつ螺子部のスタンド支持部に対する螺入量
   調整によりスタンド高さの調整ができるように構成した
   ことを特徴とするコンバインにおける前処理部のスタン
   ド装置。