JP2507708B2 - 熱間加工性にすぐれた快削ステンレス鋼 - Google Patents
熱間加工性にすぐれた快削ステンレス鋼Info
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- JP2507708B2 JP2507708B2 JP60223278A JP22327885A JP2507708B2 JP 2507708 B2 JP2507708 B2 JP 2507708B2 JP 60223278 A JP60223278 A JP 60223278A JP 22327885 A JP22327885 A JP 22327885A JP 2507708 B2 JP2507708 B2 JP 2507708B2
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Description
発明の目的
本発明は、Te含有快削ステンレス鋼の改良に関する。
SUS403で代表されるマルテンサイト系ステンレス鋼の
被削性を改善することを目的として、Ｓを添加したSUS4
16をはじめとする、種々の快削元素を単独または複合添
加した鋼が開発されている。たとえば出願人は、Ｓ＋Pb
を添加したDSR16FおよびＳ＋Pb＋Teを添加したDSR16FA
などの鋼種を開発し、生産している。このTeの添加は、
それ自体のもたらす被削性の改善を加えて、ＳやSeの添
加によって生成するサルファイド、セレナイドの形態を
制御することを意図したものである。ところが、Teの添
加は熱間加工性を低下させるという難点があり、この快
削ステンレス鋼の加工法が制約され、ひいては用途が限
定される。
被削性を改善することを目的として、Ｓを添加したSUS4
16をはじめとする、種々の快削元素を単独または複合添
加した鋼が開発されている。たとえば出願人は、Ｓ＋Pb
を添加したDSR16FおよびＳ＋Pb＋Teを添加したDSR16FA
などの鋼種を開発し、生産している。このTeの添加は、
それ自体のもたらす被削性の改善を加えて、ＳやSeの添
加によって生成するサルファイド、セレナイドの形態を
制御することを意図したものである。ところが、Teの添
加は熱間加工性を低下させるという難点があり、この快
削ステンレス鋼の加工法が制約され、ひいては用途が限
定される。
本発明の目的は、上記の問題を解決し、Te含有快削ス
テンレス鋼の高い被削性を維持したまま熱間加工性を改
善した鋼を提供することにある。 発明の構成
テンレス鋼の高い被削性を維持したまま熱間加工性を改
善した鋼を提供することにある。 発明の構成
【問題点を解決するための手段】 本発明の熱間加工性にすぐれたマルテンサイト系の快
削ステンレス鋼は、C:0.4％以下、Si:1.0％以下、Mn:1.
5％以下およびCr:11.5〜14.0％に加えて、S:0.4％以下
およびSe:0.3％以下の１種または２種、ならびにTe:0.3
％以下、B:0.001〜0.010％およびPb:0.3％以下を含有
し、残余が実質的にFeからなる組成を有する。
削ステンレス鋼は、C:0.4％以下、Si:1.0％以下、Mn:1.
5％以下およびCr:11.5〜14.0％に加えて、S:0.4％以下
およびSe:0.3％以下の１種または２種、ならびにTe:0.3
％以下、B:0.001〜0.010％およびPb:0.3％以下を含有
し、残余が実質的にFeからなる組成を有する。
上記の合成組成において、ＣからCrまでの成分の添加
量は、JIS G 4303に定められた低炭素および中炭素マル
テンサイト系ステンレス鋼、すなわちSUS403、410、420
J,4220J2などの規格値を基礎として定めたものである
が、各成分の作用と組成の限定理由を記せば、つぎのと
おりである。 C:0.4％以下 必要な強度を確保するため存在させる。0.4％を超え
ると靱性が低下する。 Si:1.0％以下 脱酸剤として加える。多量になると靱性にとってマイ
ナスにはたらくので、1.0％までとする。 Mn:1.5％以下 脱酸剤となるほか、ＳとともにMnSを形成して被削性
を高める。しかし、MnSはステンレス鋼本来の使命であ
る耐食性にとっては好ましくない存在であるし、過大な
Mnは焼入硬化性を低下させるので、1.5％を上限とす
る。 Cr:11.5〜14.0％ 耐食性を担う元素であり、焼入性を高める。この目的
で11.5％以上を添加するが、14.0％を超えて添加しても
効果が増大しない。 ＳからTeに至る元素は、いずれも被削性に関与する。そ
の作用と組成の限定理由は、つぎのとおりである。 S:0.4％以下 上記したように、MnSなどのサルファイドを形成して
被削性を向上させる。0.4％を超える添加は、熱間加工
性および耐食性を損う。 Se:0.3％以下 Ｓと同様であって、セレナイドを形成して被削性を高
めるが、0.3％を上回る添加は、やはり熱間加工性と耐
食性に有害である。 Te:0.3％以下 前記したように、それ自身で被削性を改善するととも
に、サルファイト、セレナイドの形態制御の機能を示
す。多量になると巨大偏析が生じやすくなる点はPbに似
ており、同じ理由で0.3％の上限を設けた。 B:0.001〜0.010％、 Te含有快削ステンレス鋼の熱間加工性が、Ｂの添加に
より良好になることが本発明のポイントである。この効
果は、0.001％以上の添加により得られ、0.005％以上の
添加が好ましい。0.01％を超えると、効果が飽和すると
ともに脆化をひきおこす。 Pb:0.3％以下 単独で微細粒状に分布して被削性の向上に役立つ。多
量の添加は巨大偏析を伴いやすく、製品使用上好ましく
ないだけでなく、圧延加工時のモメ割れの原因となるか
ら、0.3％までとする。
量は、JIS G 4303に定められた低炭素および中炭素マル
テンサイト系ステンレス鋼、すなわちSUS403、410、420
J,4220J2などの規格値を基礎として定めたものである
が、各成分の作用と組成の限定理由を記せば、つぎのと
おりである。 C:0.4％以下 必要な強度を確保するため存在させる。0.4％を超え
ると靱性が低下する。 Si:1.0％以下 脱酸剤として加える。多量になると靱性にとってマイ
ナスにはたらくので、1.0％までとする。 Mn:1.5％以下 脱酸剤となるほか、ＳとともにMnSを形成して被削性
を高める。しかし、MnSはステンレス鋼本来の使命であ
る耐食性にとっては好ましくない存在であるし、過大な
Mnは焼入硬化性を低下させるので、1.5％を上限とす
る。 Cr:11.5〜14.0％ 耐食性を担う元素であり、焼入性を高める。この目的
で11.5％以上を添加するが、14.0％を超えて添加しても
効果が増大しない。 ＳからTeに至る元素は、いずれも被削性に関与する。そ
の作用と組成の限定理由は、つぎのとおりである。 S:0.4％以下 上記したように、MnSなどのサルファイドを形成して
被削性を向上させる。0.4％を超える添加は、熱間加工
性および耐食性を損う。 Se:0.3％以下 Ｓと同様であって、セレナイドを形成して被削性を高
めるが、0.3％を上回る添加は、やはり熱間加工性と耐
食性に有害である。 Te:0.3％以下 前記したように、それ自身で被削性を改善するととも
に、サルファイト、セレナイドの形態制御の機能を示
す。多量になると巨大偏析が生じやすくなる点はPbに似
ており、同じ理由で0.3％の上限を設けた。 B:0.001〜0.010％、 Te含有快削ステンレス鋼の熱間加工性が、Ｂの添加に
より良好になることが本発明のポイントである。この効
果は、0.001％以上の添加により得られ、0.005％以上の
添加が好ましい。0.01％を超えると、効果が飽和すると
ともに脆化をひきおこす。 Pb:0.3％以下 単独で微細粒状に分布して被削性の向上に役立つ。多
量の添加は巨大偏析を伴いやすく、製品使用上好ましく
ないだけでなく、圧延加工時のモメ割れの原因となるか
ら、0.3％までとする。
下記の合成組成（重量％）のマルテンサイト系ステン
レス鋼を製造した。（Ａは比較例、Ｂは本発明） 供試材について、強度および硬さを測定してつぎの結
果を得た。NO. 引張強度（kgf/mm2） ブリネル硬度HB Ａ 73.8 229 Ｂ 72.3 217 下記の条件で被削性試験を行なった。 切削回数の増加に伴う加工部の寸法太りを、第１図に
示す。それらから、本発明に従う供試材Ｂの被削性がす
ぐれていることがわかる。 別に、供試材のミクロ組織を観察したところ、供試材
Ａでは介在物が延伸されていたが、Ｂでは球状化されて
おり、Teの添加による介在物形態の制御が行なわれてい
ることを確認できた。 次に、下記の合金組成のマルテンサイト系ステンレス
鋼を製造した。（Ｃは比較例、Ｄは本発明） 熱間圧延加工性の指標としてグリーブル試験の絞り値
をえらび、供試材A,CおよびＤについて試験した。その
結果を第２図に示す。 図のグラフから、供試材ＡにTeを添加した場合に相当
する供試材Ｃはグリーブル絞り値が低く、1250〜1300℃
の高温においてもなお加工性がよくないこと、およびこ
れにＢを添加した供試材Ｄにおいては改善がみられ、グ
リーブル絞り値が1250℃以上の温度においては、おおむ
ね満足できるレベルに達していることがわかる。 発明の効果 本発明の快削ステンレス鋼は、Teの添加による被削性
の向上という効果を享受しつつ、それがもたらす熱間加
工性の低下をＢの適量の添加により改善したものであ
る。従って、加工法に制約を受けることなく、機械構造
用部品をはじめとする種々の製品をこの材料から製造す
ることができる。
レス鋼を製造した。（Ａは比較例、Ｂは本発明） 供試材について、強度および硬さを測定してつぎの結
果を得た。NO. 引張強度（kgf/mm2） ブリネル硬度HB Ａ 73.8 229 Ｂ 72.3 217 下記の条件で被削性試験を行なった。 切削回数の増加に伴う加工部の寸法太りを、第１図に
示す。それらから、本発明に従う供試材Ｂの被削性がす
ぐれていることがわかる。 別に、供試材のミクロ組織を観察したところ、供試材
Ａでは介在物が延伸されていたが、Ｂでは球状化されて
おり、Teの添加による介在物形態の制御が行なわれてい
ることを確認できた。 次に、下記の合金組成のマルテンサイト系ステンレス
鋼を製造した。（Ｃは比較例、Ｄは本発明） 熱間圧延加工性の指標としてグリーブル試験の絞り値
をえらび、供試材A,CおよびＤについて試験した。その
結果を第２図に示す。 図のグラフから、供試材ＡにTeを添加した場合に相当
する供試材Ｃはグリーブル絞り値が低く、1250〜1300℃
の高温においてもなお加工性がよくないこと、およびこ
れにＢを添加した供試材Ｄにおいては改善がみられ、グ
リーブル絞り値が1250℃以上の温度においては、おおむ
ね満足できるレベルに達していることがわかる。 発明の効果 本発明の快削ステンレス鋼は、Teの添加による被削性
の向上という効果を享受しつつ、それがもたらす熱間加
工性の低下をＢの適量の添加により改善したものであ
る。従って、加工法に制約を受けることなく、機械構造
用部品をはじめとする種々の製品をこの材料から製造す
ることができる。
第１図は、本発明の快削ステンレス鋼の被削性の試験結
果を、比較材のそれとともに示すグラフである。 第２図は、本発明の快削ステンレス鋼の熱間圧延加工性
の指標としてえらんだグリーブル絞り値を、比較材のそ
れとともに示すグラフである。
果を、比較材のそれとともに示すグラフである。 第２図は、本発明の快削ステンレス鋼の熱間圧延加工性
の指標としてえらんだグリーブル絞り値を、比較材のそ
れとともに示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−110656（ＪＰ，Ａ) 特開 昭57−63668（ＪＰ，Ａ) 特開 昭59−208055（ＪＰ，Ａ) 特開 昭60−152661（ＪＰ，Ａ)
Claims (1)
- 【請求項１】C:0.4％以下、Si:1.0％以下、Mn:1.5％以
下およびCr:11.5〜14.0％に加えて、S:0.4％以下および
Se:0.3％以下の１種または２種、ならびにTe:0.3％以
下、B:0.001〜0.010％およびPb:0.3％以下を含有し、残
余が実質的にFeからなる熱間加工性にすぐれたマルテン
サイト系の快削ステンレス鋼。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60223278A JP2507708B2 (ja) | 1985-10-07 | 1985-10-07 | 熱間加工性にすぐれた快削ステンレス鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP60223278A JP2507708B2 (ja) | 1985-10-07 | 1985-10-07 | 熱間加工性にすぐれた快削ステンレス鋼 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPS6283452A JPS6283452A (ja) | 1987-04-16 |
| JP2507708B2 true JP2507708B2 (ja) | 1996-06-19 |
Family
ID=16795620
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP60223278A Expired - Fee Related JP2507708B2 (ja) | 1985-10-07 | 1985-10-07 | 熱間加工性にすぐれた快削ステンレス鋼 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP2507708B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JP5135918B2 (ja) * | 2006-10-03 | 2013-02-06 | 大同特殊鋼株式会社 | マルテンサイト系快削ステンレス鋼 |
Family Cites Families (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPS5763668A (en) * | 1980-10-04 | 1982-04-17 | Daido Steel Co Ltd | Free cutting austenite stainless steel |
| JPS57110656A (en) * | 1980-12-29 | 1982-07-09 | Daido Steel Co Ltd | Free cutting austenite stainless steel |
| JPS59208055A (ja) * | 1983-05-13 | 1984-11-26 | Kawasaki Steel Corp | 継目無鋼管用マルテンサイト系ステンレス鋼 |
| JPS60152661A (ja) * | 1984-01-23 | 1985-08-10 | Daido Steel Co Ltd | 食品機器用含Ｂｉオーステナイト系ステンレス快削鋼 |
-
1985
- 1985-10-07 JP JP60223278A patent/JP2507708B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JPS6283452A (ja) | 1987-04-16 |
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Legal Events
| Date | Code | Title | Description |
|---|---|---|---|
| LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |