JP2507677Y2 - クレ―ン付トラックの転倒防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案は、トラックにクレーンを搭載したクレーン付
トラックの転倒防止装置に関する。

（従来の技術） 従来、トラックにクレーンを搭載したクレーン付トラ
ックにおいて、クレーン作業時の転倒を防止するものと
しては、例えば、クレーンのブームの長さ、ブームの起
伏角度、ブームの旋回位置、アウトリガーの張出長さ等
を検出する検出器をそれぞれ設け、これら検出器で検出
された情報をもとに、転倒モーメント及び安定モーメン
トを計算して両者を比較し、転倒モーメントの方が大き
くなった時にクレーン作業を停止するように構成された
ものが提供されている。

（考案が解決しようとする課題） ここで、クレーン付トラックにおいては、トラックの
荷台に積荷を積んだ状態でクレーン作業を行う場合が多
々あり、この場合、荷台に積み込まれた積荷の重さによ
りブームの安全領域が変化することは勿論のこと、荷台
に積み込まれた積荷の荷重分布によってもブームの安全
領域がかなり変化する。例えば、重い作業機械が荷台の
隅に置かれていた場合には、作業機械が置かれている側
へ転倒する危険が大きくなる。しかし、積荷の荷重分布
を把握することは非常に困難で、ましてこれを加味して
ブームの作動を制御するには制御が複雑になり非常に困
難なものであった。

このため、従来のものでは、確実な転倒防止を図るこ
とが期待できず安全面で信頼性に欠けるという問題があ
った。

そこで、本考案は、クレーン付トラックが転倒する際
には、地面に接地したアウトリガーのジャッキが浮き上
がりそして転倒するという過程をとる点に着目し、ジャ
ッキによりクレーン付トラックを支持した時にかかって
いるアウトリガーの負荷を検出し、アウトリガーにかか
る負荷が予め設定された設定値よりも小さくなった時
に、警報を発したりクレーン作業を停止することで、簡
単な構成でしかも転倒を確実に防止する転倒防止装置を
提供することを目的とする。

（課題を解決するための手段） 本考案のクレーン付トラックの転倒防止装置は、車体
枠上に荷箱が搭載されるとともに、荷箱の前方にクレー
ン装置が搭載され、クレーン装置の下方には先端にジャ
ッキを備え荷箱の両側方向に張出自在なアウトリガーが
設けられてなるクレーン付トラックにおいて、前記アウ
トリガーは、本体と、この本体内に張出自在に挿入され
た張出部とからなり、上記本体には、ジャッキにより車
体を支持した際に該ジャッキを介して上方に押圧された
張出部と当接する接触子を有するリミットスイッチが設
けられるとともに、上記本体と張出部との間には該張出
部を下方に付勢する付勢部材が設けられてなり、車体の
転倒手前の段階において、張出部を上方に押圧する負荷
が減少することに伴い、上記付勢部材の付勢力で張出部
を下方に押圧してリミットスイッチを切り換え、該リミ
ットスイッチの切り換わりに基づいて少なくとも警報手
段により警報を発するように構成されたものである。

（作用） クレーン付トラックが転倒する際においては、まず、
地面に接地したアウトリガーのジャッキが浮き上がり、
そしてクレーン付トラックが転倒するという過程をとる
ため、ジャッキでクレーン付トラックを支持した時にア
ウトリガーの張出部にかかる負荷により該張出部が上方
に押圧されてリミットスイッチの接触子と当接した状態
になり、転倒手前の段階において、張出部を上方に押圧
する負荷が減少することに伴い、張出部が下方に移動し
てリミットスイッチが切り換わった時に、少なくとも警
報手段を作動させる。ここで、ジャッキが浮き上がり始
めた時には、付勢部材によりアウトリガーの張出部を下
方に付勢しているので、張出部が確実に下方に移動し、
これによってリミットスイッチは転倒手前の段階におい
て確実に切り換わる。

（実施例） 以下、本考案の一実施例を図面を参照して説明する。

第１図は本考案に係るクレーン付トラックの概略構成
を示している。

第１図において、１はクレーン付トラックの車体枠で
あって、車体枠１上には荷箱２が載置されるとともに、
荷箱２と運転席３との間にクレーン装置５が搭載されて
いる。

クレーン装置５は、旋回自在な旋回ポスト６と、旋回
ポスト６の上端部に起伏自在に枢支された伸縮自在なブ
ーム７と、図示しないウインチに巻回されたワイヤによ
りブーム７の先端に吊り下げ配置されたフック８とから
構成され、ウインチの巻き上げ及び繰り出し作動により
フック８が昇降自在になされている。

さらに、前記クレーン装置５の下方の車体枠１には左
右両側方に張出自在に構成されたアウトリガー10が配設
されている。

アウトリガー10は、第２図及び第３図に示すように、
車体枠１の幅方向に固設された本体11と、この本体11内
に挿入され側方に張出自在な張出部12とからなり、張出
部12の先端には第１図に示すような伸縮自在なジャッキ
13が垂設されている。よって、アウトリガー10の張出部
12を側方に張り出した後、ジャッキ13を伸長させてジャ
ッキ13の下端部を地面に接地させることで、クレーン付
トラックを安定的に支持することができる。

本体11には、第２図及び第３図に示すような負荷検出
器20が設けられている。リミットスイッチ20が設けられ
ている。リミットスイッチ20は、ジャッキ13でクレーン
付トラックを支持した時にこのジャッキ13を介して張出
部12にかかる負荷を検出するものである。

このリミットスイッチ20は、その本体部21が本体11の
側面に固設された取付部材15に固設されている。本体部
21に垂設された接触子22は、ジャッキ13でクレーン付ト
ラックを支持した時に張出部12の上面と当接して上方に
撓むように構成されており、この上方への撓み量により
張出部12にかかる負荷を検出することができる。

前記リミットスイッチ20は、その接触子22が張出部12
の上面に当接して上方に撓んだ状態から張出部12に作用
する負荷が減少して撓みが元に戻される過程における所
望の段階で切り換わり、この切り換わりによってブザー
などの警報手段を作動させる。この設定は、車体の大き
さやクレーンの能力に応じて張出部12の上面に対する接
触子22の位置と、後述するバネ部材30の付勢力とにより
適宜に設定すればよい。

一方、本体11の取付部材15と張出部12の上面との間に
はバネ部材（付勢部材）30が介装されている。バネ部材
30は環状に形成されたもので、バネ部材30の中央開口31
には取付部材15の通孔16に挿通された円柱体32が挿入さ
れている。そして、このバネ部材30は、張出部12の張出
動作時において円柱体32により常に取付部材15の下方に
保持されながらこの円柱体32とともに張出部12の上面を
摺動する。

次にこのように構成されたクレーン付トラックの転倒
防止装置の動作について説明する。

クレーン作業を開始するにあたって、まず、アウトリ
ガー10の張出部12を側方に張り出した後、ジャッキ13を
伸長させてジャッキ13の下端部を地面に接地させ、これ
によりクレーン付トラックを安定的に支持する。この
時、張出部12にはジャッキ13がクレーン付トラックを支
持することにともなってこの張出部12を上方に押圧する
負荷がかかる。これによりバネ部材30が圧縮され、張出
部12の上面がリミットスイッチの接触子22と当接してこ
の接触子22が上方に撓む。

この後、クレーン装置５を作動させて適宜なクレーン
作業を行う。

ここで、クレーン作業時においてクレーン付トラック
が転倒する場合、まずジャッキ13が浮き上がりそしてク
レーン付トラックが転倒するという過程をとる。このよ
うにジャッキ13が浮き上がり始めると張出部12にかかる
負荷が減少し、これにより張出部12は圧縮されたバネ部
材30の反発力によって下方（負荷を軽減させる方向）に
押圧される。これにより張出部12の上面に当接して上方
に撓んだ接触子22が元の状態に徐々にもどり、所定の状
態に戻った時、つまり負荷が予め設定された設定値より
も小さくなった時にリミットスイッチ20が切り換わり、
この切り換わりによって警報手段を作動させブザーなど
の警報を発する。また、警報手段を作動させるとともに
クレーン装置５の作動を停止するようにしてもよい。

（考案の効果） 以上述べたように、本考案のクレーン付トラックの転
倒防止装置は、リミットスイッチによる検出の有無のみ
によって転倒の危険を検出し、この検出を確実に行うよ
うに付勢部材を設けたものであり、リミットスイッチの
接触子と張出部との当接や、付勢部材による張出部の下
方への付勢という主に機械的な要素によって転倒を検出
しており、複雑な回路構成を必要とせず簡単な構成によ
りしかも確実に転倒を防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はクレーン付トラックの概略構成を示す側面図、
第２図はリミットスイッチの取付け状態を示す側面図、
第３図は同正面図である。 １…車体枠 ２…荷箱 ５…クレーン装置 10…アウトリガー 11…本体 12…張出部 13…ジャッキ 20…リミットスイッチ 30…バネ部材（付勢部材）

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】車体枠上に荷箱が搭載されるとともに、荷
   箱の前方にクレーン装置が搭載され、クレーン装置の下
   方には先端にジャッキを備え荷箱の両側方向に張出自在
   なアウトリガーが設けられてなるクレーン付トラックに
   おいて、 前記アウトリガーは、本体と、この本体内に張出自在に
   挿入された張出部とからなり、上記本体には、ジャッキ
   により車体を支持した際に該ジャッキを介して上方に押
   圧された張出部と当接する接触子を有するリミットスイ
   ッチが設けられるとともに、上記本体と張出部との間に
   は該張出部を下方に付勢する付勢部材が設けられてな
   り、車体の転倒手前の段階において、張出部を上方に押
   圧する負荷が減少することに伴い、上記付勢部材の付勢
   力で張出部を下方に押圧してリミットスイッチを切り換
   え、該リミットスイッチの切り換わりに基づいて少なく
   とも警報手段により警報を発するように構成されたこと
   を特徴とするクレーン付トラックの転倒防止装置。