JP2506526B2 - 地下空間掘削壁面覆工方法 - Google Patents

地下空間掘削壁面覆工方法

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JP2506526B2
JP2506526B2 JP4044444A JP4444492A JP2506526B2 JP 2506526 B2 JP2506526 B2 JP 2506526B2 JP 4044444 A JP4044444 A JP 4044444A JP 4444492 A JP4444492 A JP 4444492A JP 2506526 B2 JP2506526 B2 JP 2506526B2
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正保 由雄
秀武 石崎
久 竹中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は大深度地下に半球状の
ドーム状空間を構築するに当たり、その掘削壁面を覆工
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、地下空間を構築するに当たって
は、掘削による掘削壁面の応力開放によって掘削壁面に
クラックが入り壁面の崩落につながる危険性があるの
で、掘削壁面は掘削後に早急にコンクリートなどを用い
て覆工することが不可欠の技術とされ、掘削作業と同時
進行的に掘削壁面の覆工が行われる。
【0003】掘削壁面の一般的な覆工方法としては、作
業者の手作業によって掘削壁面と所定の距離を隔てて型
枠を組みながらバッチ的にコンクリート、モルタルなど
のライニング材料(以下、ライニング材料という)を打
設して後、一定期間を放置・養生(硬化)を待ってから
型枠を取り外し、場所を移動して再組み立てを行ってラ
イニング材料を打設していく方式で施工される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、大深度地下
(一般に、地下50mm以上をいう) に半球状をなすドー
ム状の大きな自由空間(以下、ドーム状空間という)を
構築するには、ドーム状空間構築現場まで立坑を設け、
一度に空間全体を掘削するのではなく、ドーム状空間の
天盤とされる立坑下部から立坑を中心に予定する深さの
ドーム状空間を縦方向に段階状に分けた掘削、いわゆる
ベンチカット段を下方に向けて順次に掘削していき、各
掘削ベンチカット段ごとに掘削と壁面覆工を繰り返しな
がら構築する施工法が提案されている。
【0005】上記するように半球状のドームを構築する
のに、ベンチカット段を下方に向けて順次に掘削する場
合、各ベンチカット段の掘削断面は階段状に下に行くほ
ど広がった形状になる。したがって、各ベンチカット段
において下方に向けて拡径されて傾斜した掘削壁面、つ
まり、オーバハング状に傾斜した掘削壁面の全面に対し
て型枠を組んでライニング材料を打設して掘削壁面をい
っぺんに覆工することは技術的に困難な面がある。
【0006】また、大深度地下にドーム状空間を構築す
る場合、たとえ、掘削はベンチカット段の掘削であって
も、深度的に掘削壁面の崩落の危険性が大きくなるた
め、水没環境下における掘削が有効とされ、水没環境下
において掘削がなされる場合には、掘削壁面の覆工も水
没環境下における作業となる。しかし、没環境下、特に
高水圧とされる大深度のドーム状空間の掘削現場には作
業者が直接に出入りして作業に従事することはほとんど
できないために、水中、泥水中において遠隔操作により
稼動する水中作業機を用いた無人化施工が求められる。
【0007】この発明は上述の点に鑑みなされたもので
あって、大深度地下に対してドーム状空間を構築するに
当たって水没環境下において無人化施工を可能にした地
下空間掘削壁面覆工方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めのこの発明の要旨とするところは、半球状のドーム状
空間を構築するのに、ドーム状空間構築現場まで立坑を
設け、構築すべきドーム状空間を縦方向に段階状に分け
たベンチカット段を、ドーム状空間の天盤とされる立坑
下部から下方に向けて順次に掘削していき、各掘削ベン
チカット段ごとに掘削と壁面覆工を繰り返しながらドー
ム状空間を構築する施工法において、掘削された各ベン
チカット段の掘削壁面に対するベンチカット段覆工壁
を、ベンチカット段の中央に水平旋回中心を持ち、掘
削壁面に対面して全周的に水平旋回移動可能な型枠を用
い、該型枠と掘削壁面との間にライニング材料を投入し
てその硬化を図りつつ型枠を横移動させて現場打ちで形
成されるリング状単位覆工体の複数個を積み重ねで構成
し、上下するベンチカット段の境界におけるベンチカッ
ト段覆工壁の継目部分は、上位ベンチカット段覆工壁の
内周面の下方への延長面より内側に下位ベンチカット段
覆工壁の端面を位置させ段付き結合にしたことを特徴
とする地下空間掘削壁面覆工方法にある。
【0009】
【作用】掘削されたベンチカット段の掘削壁面に対し、
型枠を掘削壁面に対面させライニング材料を投入して硬
化を図りつつ型枠を横移動させてリング状単位覆工体を
現場打ちで形成する。このリング状単位覆工体の複数個
を積み重ね状に形成してベンチカット段覆工壁を構成す
る。
【0010】ベンチカット段覆工壁が構成されると、下
段のベンチカット段の掘削とベンチカット段覆工壁によ
る掘削壁面覆工がなされる。ここで後から構成される下
位ベンチカット段覆工壁の端面を、上位ベンチカット
段覆工壁の内周面の下方への延長面より内側に位置させ
て段付き結合とし、下位ベンチカット段の掘削時には、
地山が全周で上位ベンチカット段覆工壁を支持するの
で、安定した状態で下位ベンチカット段の掘削および掘
削壁面覆工が行われる。
【0011】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面を参照しなが
ら説明する。
【0012】図1はこの発明の施工要領を説明する概略
全体図、図2はこの発明の実施に用いる型枠の斜視図で
ある。
【0013】この発明を実施するには、予め設けた立坑
Aより掘削されたベンチカット段Bに投入され、立坑A
直下の地底に旋回中心制御可能にセットされる作業機1
が用いられる。
【0014】作業機1は水没環境下で稼動するように設
計され、かつ、全ての動作は地上支援設備(図示せず)
からの遠隔操作で行われるようになっている。
【0015】作業機本体2は地底に旋回中心制御可能に
セットするためのアウトリガー3を備えた基台4上で全
周を水平旋回動自在に装着され、作業機本体2には伸縮
・起伏自在なブーム5を装備し、ブーム5の先端に無方
向的回動を許容する自由関節を有する関節部材6を介し
て型枠7を取着している。
【0016】型枠7は、掘削壁面Cに平行状に対面する
主型枠8と、この主型枠8の前端部に直角状に配装さ
れ、一端縁が掘削壁面Cに当接される妻型枠9と、主型
枠8の中間上部にあって上下方向に回動自在に配装した
フロート型枠10を主要構成とし、ブーム5から延びる
供給管11の先端に取着したトレミー管12を型枠7内
に臨ませて設けて型枠7にライニング材料を投入するよ
うにしており、型枠7はブーム5の伸縮・起伏動、作業
機本体2の旋回動および関節部材6部における適切な回
動によって所定の作業位置へ移動して掘削壁面Cに対面
させられるようにしている。
【0017】この発明において、掘削されたベンチカッ
ト段Bの掘削壁面Cを覆工するベンチカット段覆工壁D
は複数のリング状単位覆工体dの積み重ねで構成され
る。
【0018】次に上記する作業機を用いてリング状単位
覆工体の形成要領を説明する。
【0019】図3 (a) , (b) , (c) はリング状単
位覆工体を形成する概略工程図である。なお、この図3
においては掘削壁面Cおよび掘削壁面Cに平行状に対面
する型枠7の主型枠8は図示を省略している。
【0020】(a) 型枠7をベンチカット段底部B′
のリング状単位覆工体打設開始位置にセットする。ここ
で、フロート型枠10は垂直位を採り妻型枠9と対面し
ている。
【0021】この状態でトレミー管12からライニング
材料を型枠7内に投入する。ライニング材料としては、
当然ながら水中ライニング材料が用いられ、トレミー管
12に至る直前に液状急結剤を添加混合して硬化時間の
短縮が図られるようになっている。従って、型枠7内に
投入されたライニング材料の硬化は経時的にトレミー管
12から離れた型枠7後部や下側から急速に進行する。
【0022】なお、急結剤を練り込んだ水中ライニング
材料を地上から圧送し、型枠投入後硬化が開始されるよ
うな材料でも同様の機能は果たせる。
【0023】(b) 型枠7に対するライニング材料の
充填量が所定のレベルに達し、充填レベルセンサー13
がこれを検知すると、フロート型枠10が上昇して水平
位を採る。ここでそれまでフロート型枠10によって支
持されていた型枠7内のライニング材料が支えを失って
後方に流れるが、フロート型枠10部位ではすでにライ
ニング材料の硬化が始まっているので大きく拡散するよ
うなことはない。
【0024】こうして充填レベルが低下した分に対して
はライニング材料が引き続いて投入され、再び充填量が
所定のレベルに達して充填レベルセンサー13がこれを
検知し、また、型枠7後部においてライニング材料が硬
化するのに合わせて型枠7を移動させてライニング材料
を継続的に投入する。
【0025】(c) 上記のようにしてライニング材料
の投入とその硬化を図りつつ型枠7を移動させ掘削壁面
Cを一周して元のリング状単位覆工体打設始端部まで到
達すると、妻型枠9を後退させて主型枠8をすでに硬化
しているリング状単位覆工体打設始端部の側面に移動さ
せて未硬化部とをつなぎ、このつなぎ部に必要なライニ
ング材料を投入してこれが硬化すると一つのリング状単
位覆工体dが完成する。
【0026】なお、このリング状単位覆工体dを形成す
る過程で、フロート型枠10はリング状単位覆工体dの
上面部を均らし、また、フロート型枠10下面に設けた
凸部10aによってリング状単位覆工体dの上面中央部
に溝条を形成し、後から積み重ね状に形成される上位リ
ング状単位覆工体dとの結合を堅牢なものにする。
【0027】上記のようにして形成される複数のリング
状単位覆工体dの積み重ねでベンチカット段覆工壁Dは
構成されるが、下向きに順次に構成される各ベンチカッ
ト段覆工壁Dの継目部分においては、掘削壁面Cの仰角
に応じて上位ベンチカット段覆工壁Dを下位ベンチカッ
ト段覆工壁D′が支持する必要からベンチカット段覆工
壁Dの厚みは半径方向の厚みを上端向けに漸次薄くする
形状とするのが好ましいが、ベンチカット段覆工壁Dの
高さが低い場合(3〜5m程度)には壁厚を等厚にして
も問題はない。
【0028】また、上位ベンチカット段覆工壁Dが完成
すると、下位ベンチカット段の掘削および掘削壁面覆工
が同一要領で行われるが、この下位ベンチカット段の掘
削時には、地山が全周で上位ベンチカット段覆工壁Dを
支持する。また、下位ベンチ カット段の掘削壁面覆工が
終了した後、上下するベンチカット段の境界におけるベ
ンチカット段覆工壁Dの継目部分で、下位ベンチカット
段覆工壁D′の外端面は、上位ベンチカット段覆工壁D
の内周面の下方への延長面より内側に位置して段付き結
合にする。
【0029】
【発明の効果】上記構成からなるこの発明によれば、つ
ぎのような効果を奏する。
【0030】(1) 大深度地下にドーム状空間を構築
するに当たって、ドーム状空間を縦方向に段階状に分
け、下方に向けて順次に掘削されるベンチカット段ごと
の掘削壁面覆工壁が、現場打ちされる複数個のリング状
単位覆工体の積み重ねで構成され、このリング状単位覆
工体は、水中、泥水中における遠隔操作により稼動する
作業機を用いて無人化施工で形成可能にしたから、作業
者がアプローチできないような場所での掘削壁面覆工を
省力化して能率よく施工することができる。
【0031】(2) 上下するベンチカット段の境界に
おけるベンチカット段覆工壁の継目部分で、下位ベンチ
カット段覆工壁の端面は、上位ベンチカット段覆工壁
の内周面の下方への延長面より内側に位置して段付き結
合にしたから、下位ベンチカット段の掘削時には、地山
が全周で上位ベンチカット段覆工壁を支持して安定性が
高く、下位ベンチカット段の掘削および掘削壁面覆工上
から特別の施策を必要とせず作業を簡素化し、また、上
下するベンチカット段覆工壁間の結合も堅固にしてドー
ム状空間の覆工壁として優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の施工要領を説明する概略全体図で
ある。
【図2】 この発明の実施に用いる型枠の斜視図であ
る。
【図3】 (a) , (b) , (c) はリング状単位覆工
体を形成する概略工程図である。
【符号の説明】
1…作業機 2…作業機本体 5…ブーム 7…型枠 8…主型枠 9…妻型枠 10…フロート型枠 12…トレミー管 A…立坑 B…ベンチカット段 C…掘削壁面 D…ベンチカット段覆工壁 d…リング状単位覆工体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石崎 秀武 東京都港区芝浦1丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (72)発明者 竹中 久 東京都港区芝浦1丁目2番3号 清水建 設株式会社内 (56)参考文献 特開 平2−266097(JP,A) 特開 平4−41900(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 半球状のドーム状空間を構築するのに、
    ドーム状空間構築現場まで立坑を設け、構築すべきドー
    ム状空間を縦方向に段階状に分けたベンチカット段を、
    ドーム状空間の天盤とされる立坑下部から下方に向けて
    順次に掘削していき、各掘削ベンチカット段ごとに掘削
    と壁面覆工を繰り返しながらドーム状空間を構築する施
    工法において、掘削された各ベンチカット段の掘削壁面
    に対するベンチカット段覆工壁を、ベンチカット段の中
    央に水平旋回中心を持ち、掘削壁面に対面して全周的
    に水平旋回移動可能な型枠を用い、該型枠と掘削壁面と
    の間にライニング材料を投入してその硬化を図りつつ型
    枠を横移動させて現場打ちで形成されるリング状単位覆
    工体の複数個を積み重ねで構成し、上下するベンチカッ
    ト段の境界におけるベンチカット段覆工壁の継目部分
    は、上位ベンチカット段覆工壁の内周面の下方への延長
    面より内側に下位ベンチカット段覆工壁の端面を位置
    させ段付き結合にしたことを特徴とする地下空間掘削壁
    面覆工方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2589566B2 (ja) * 1989-04-06 1997-03-12 株式会社フジタ トンネル覆工機の自動制御システム
JP2561968B2 (ja) * 1990-06-07 1996-12-11 株式会社大林組 大深度地下空間の施工方法

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