JP2506393B2 - 延 縄 - Google Patents

延 縄

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JP2506393B2
JP2506393B2 JP62315010A JP31501087A JP2506393B2 JP 2506393 B2 JP2506393 B2 JP 2506393B2 JP 62315010 A JP62315010 A JP 62315010A JP 31501087 A JP31501087 A JP 31501087A JP 2506393 B2 JP2506393 B2 JP 2506393B2
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準一 吉中
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は延縄、すなわち海洋においてスケソウ鱈等で
代表される魚類を釣るための縄状物(一般に幹縄、枝縄
に区別される)及び類似の使用法により用いられる縄に
関する。
<従来の技術> 延縄としては従来、天然の短繊維(ラミー)から成る
紡績糸を撚り合せたものが用いられている。このものは
滑りにくいことによるハンドリング性や風合、沈降性等
において極めて良好であるが、耐屈曲疲労性、単位重量
当りの強度(引張り強力及び結節強力)が低く、これら
の欠点を補うために太くせねばならず高価格になるとい
う問題点を有していた。
近年の漁船の省力化、大型化にともない延縄の強力向
上が望まれており、その対応として合成繊維のフイラメ
ント糸より成る延縄が商品化されているが、このものは
単位重量当りの強度の点ではすぐれているものの、フイ
ラメント糸が用いられていることにより前述のハンドリ
ング性や風合い、滑り難さ、沈降性等の諸性能において
は不十分である。
上記両者の長所を兼ね備えた延縄として、撚り糸構成
を、芯部に合成繊維にフイラメント糸を用い、その回り
を紡績糸で包み込んだいわゆる包撚延縄も用いられてい
るが、このものはハンドリング性や風合に関しては良好
な性能を示すものの沈降性、滑り難さ、結節強力に関し
ては十分でない。
<発明が解決しようとする問題点> 本発明者等は上記延縄に要求される諸性能を満足させ
るべく鋭意研究を行なつた結果、ハンドリング性、風合
い、耐屈曲疲労性、耐摩耗性、沈降性、滑り難さ、およ
び単位重量当りの強度が極めて良好な延縄を得ることに
成功したものである。
<問題点を解決するための手段> 本発明は前述のラミー糸または、フイラメント糸より
成る延縄、フイラメント糸と紡績糸の両者を用いた包撚
延縄が有している問題を解決する手段として、芯繊維束
に強力成分となる高強力繊維を用い、その回りを短繊維
よりなる鞘成分を配したいわゆるコアーヤーンを用い、
このコアーヤーンと高比重繊維とを交撚して得られる縄
を用いることを特徴とするものである。高比重繊維を用
いる理由としては沈降性を早め、また風によるふかれを
小さくして、魚喰いを良好にすることにある。
ここでいう高比重繊維とは、金属または金属化合物
(例えば鉛、銅、亜鉛、硫酸バリウム、酸化銅、亜酸化
鉛、酸化鉛等)と合成高分子からなる繊維であつて、比
重が1.5〜2.5のものをいう。繊維の断面構造は均一練込
みであつてもあるいは海島、サイドバイサイド、芯鞘等
の不均一分布のいずれでも良い。
またここでいうコアーヤーンは、芯繊維束の回りを短
繊維より成る鞘繊維で被覆しており、そしてこの鞘を構
成する単繊維が鞘を構成する他の単繊維と実質的に撚り
合わされることなく覆つているコアーヤーンであつて、
次式で示される被覆率(%)を満足するものが好まし
い。
被覆率が上式を満足しない場合、同一被覆率を得るた
めには鞘繊維の体積比率を上げる必要があり、コアーヤ
ーンとしての強度が下ることになる。
該コアーヤーンの芯繊維束は前述の通り主として強度
を分担する成分であり、高強度の繊維が用いられるが、
中でも合成繊維フイラメント糸(長繊維からなる糸)を
用いるのがより好ましい。
該コアーヤーンの鞘を構成する短繊維は通常の紡績に
用いられる平均繊維長38mm以上のスライバーまたは粗糸
が用いられるが、いわゆるトウ紡績(パーロツク方式、
コンバーター方式と言われるもの)あるいは梳毛紡に用
いられる平均繊維長が70〜300mmのスライバーまたは粗
糸を用いることが好ましく、平均繊維長が70〜300mmの
短繊維を鞘成分として用いれば鞘成分が芯成分より抜け
にくくなり、後加工における工程通過性が大巾に改良さ
れ、さらに延縄に必要な適当な毛羽となりより好まし
い。
コアーヤーン中に占める鞘成分の体積比率が30%以下
の場合には短繊維に起因するハンドリング性、風合い、
耐摩耗性、滑り難さ、耐屈曲疲労性が十分でなく、また
該体積比率が90%以上であれば強度が不足し好ましくな
い。より好ましくは該体積比率が45〜80%のものであ
る。
コアーヤーンを構成する芯繊維束としては、ポリエス
テル繊維、ナイロン繊維、ビニロン繊維、アクリル繊
維、ポロオレフイン繊維、アラミド繊維、ポリアリレー
ト繊維等の合成繊維が用いられるが、中でもポリエステ
ル繊維ナイロン繊維、ビニロン繊維が好適に用いられ
る。また高比重繊維やステンレス繊維等と引揃えて入れ
ても良い。
鞘を構成する短繊維としてはポリエステル繊維、ビニ
ロン繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリオレフイ
ン繊維等の合成繊維、綿、麻等の天然繊維が用いられる
が、中でもポリエステル繊維、ビニロン繊維、ナイロン
繊維が好適に用いられる。
コアーヤーンを構成する芯繊維の単繊維デニールとし
て0.7〜10デニール、また芯を構成する繊維束の総デニ
ールとしては75〜1000デニールが引張り応力分散性や製
造のし易さ等の点で好ましい。また鞘部に用いられる繊
維は単繊維デニールが1〜15デニールのものが好まし
い。
なお本発明に用いられるコアーヤーンにおいて、鞘を
構成する単繊維は鞘を構成する他の単繊維と実質的に撚
り合わされていないことが必要であり、もし鞘繊維が加
撚されて単繊維同志が一体化して鞘繊維単独で糸となつ
ている場合には、芯繊維との剥離が生じやすく、耐摩耗
性が不十分となる。このことについて詳細に説明する
と、鞘繊維同志で加撚されている場合には加撚された繊
維束(ヤーンなど)の単繊維は撚によつて動きを制限さ
れ(どちらかと言えば動けない状態となっている)るた
め芯繊維と入り交わつて絡合性が向上することがなく、
故に芯繊維は芯繊維、鞘繊維は鞘繊維として別々にヤー
ンを構成するところから鞘繊維は動き易いこととなる。
鞘繊維が実質的に撚り合わされていなければ鞘繊維を構
成する単繊維が芯繊維と入り交わって絡合性が向上し鞘
成分剥離の少ない糸となり得る。摩擦力をより強く受け
る延縄としては鞘成分剥離が少ないことが必須である。
すなわち強力保持成分である芯成分が剥離により露出し
たのでは芯繊維はダメージを受け易く、縄状物としては
不適当であると言える。
本発明の延縄を構成する高比重繊維の単繊維デニール
としては5〜100デニールが、そしてこの繊維を500〜30
00デニールの糸として用いるのが好ましい。また高比重
繊維を構成する高分子としては、通常の合成繊維に用い
られている高分子、たとえばナイロン、ポリエステル、
アクリロニトリル、ポリオレフイン等が用いられる。延
縄中に占める高比重繊維の割合としては5〜50重量%が
好ましい。そして延縄の見掛け比重としては、1.35〜1.
75が好ましく、1.35未満の場合には充分な沈降性が得ら
れず、逆に1.75を越える場合には延縄の強度が低下する
こととなる。より好ましくは1.40〜1.70である。また高
比重繊維の比重としては1.5〜2.5、特に1.7〜2.2が好ま
しい。なお高比重繊維の比重は見掛け比重ではなく、真
の比重である。
次に本発明を図により説明する。
第1図は本発明に用いるコアーヤーン(被覆率≒100
%)1の断面を模式的に表わしたものであり、2は芯繊
維束を構成する繊維の単繊維を示し、3は鞘を構成する
単繊維を示す。
第2図は本発明に用いるコアーヤーン(被覆率≒100
%)1の側面図であり、コアーヤーン1の表面が鞘繊維
3で被覆されている状態を示す。
第3図の延縄4の断面図、第4図は延縄4の側面図で
あり、これら図中、5は延縄4を構成する撚り糸を、6
は撚り糸5を構成するコアーヤーンを、7は撚り糸中の
高比重繊維をそれぞれ示す。
第5図は従来の包撚延縄の撚り糸の断面図であり、図
中8は芯糸(例えばポリエステルフイラメント1000d/96
f)を、9は側糸(例えばビニロン紡績糸5′S/1)を示
す。
第6図は高比重繊維束7とコアーヤーン1からなる延
縄の撚り糸の断面図である。この第5図および第6図を
用いて本発明の延縄について説明すると第5図に従来の
包撚延縄を構成する撚り糸の断面図を示す。8がフイラ
メント糸で側糸9は紡績糸である。この撚り糸の場合に
は従来の紡績糸のみの場合に比し強度、耐屈曲疲労性が
大きく向上することとなる。しかし強度成分である繊維
(主としてフイラメント糸が使用される)が大きな束と
なつており屈曲を受けた場合単繊維間の摩擦により繊維
がダメージを受け強度が低下することとなる。
第6図に示すように高比重繊維束7と芯に高強力繊維
を使用したコアーヤーン1を撚り糸成分として用いた延
縄の場合には強度成分となる芯繊維束が小さな束として
全体に均一に分散して存在するため繊維間摩耗が極度に
軽減されることとなり、したがつて耐摩耗性が優れた性
能を示すこととなる。
コアーヤーンの被覆率は次の方法により求める。
糸をパネルに平行に捲きつけ、万能投影器または顕微
鏡などによつて表面写真をとり、その写真の上に透明な
紙をおいて糸の外周をトレースし、かつ芯繊維の露出し
ている部分を詳細に記入する。然るのち糸の外周に沿つ
て紙を切り取りその重さを測定してW0として、次いで芯
繊維が露出している部分を切り取つてその重量を測定し
W1とする。被覆率は によつて求められる。
但しトレースするコアーヤーンの試長は、その糸の撚が
100回出現する長さをいう。則ち なおコアーヤーン中に占める鞘繊維の体積比率とは、
一定長さのコアーヤーンを構成する全繊維の体積に占め
る鞘繊維の体積の割合のことであり、該体積は重量をそ
れぞれの密度で割ることにより得られる。
実施例 i)コアーヤーンの作製 単繊維デニールが1drのビニロントウ(トータルデニ
ール100万dr)をパーロック方式によりけん切し、短繊
維の平均繊維長が110mmのスライバーを得た。該スライ
バーを通常の紡績工程を通した後、リング精紡機に供給
し、撚りをかける直前に芯繊維束となるポリエステルフ
イラメント500d/96fを供給し鞘繊維体積比率50%、繊度
1000drのコアーヤーンを作製した。このときの撚数は5T
/inで撚方向は右撚である。
ii)延縄の作製 上記コアーヤーンと、鉛化合物とポリエチレンテレフ
タレートとのブレンドからなる高比重繊維束(比重2.0
2,1200dr/48fからなる)を交撚し下記の縄構成で延縄を
作製し性能を測定した。性能測定結果を第1表に示す。
測定条件 直径、目付、強力:JIS−L−1033。
Wetマサツ抵抗:第7図に示すように直径18φのドラ
ムの軸方向に延縄を並べ、それと直角方向に荷重をつけ
た延縄をインストロンを使用し10cm/分の速度で引張り
抵抗値とする。尚Wet条件は25℃×16hr浸漬。
見掛比重:試料20gを束ねて重量を測定し、その試料
を常温水中で測定し計算により見掛比重とする。
Wet沈降速度:試料20cm長を常温(25℃)の水槽に入
れ1m間を通過する時間を読みとる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明を構成するコアーヤーンの一例の断面
図、第2図はその側面図である。第3図は本発明の延縄
の断面図、第4図はその側面図である。第5図は包撚延
縄の撚り糸の断面図、第6図は本発明の延縄の撚り糸断
面図である。第7図はWet摩擦抵抗測定装置の斜視図で
ある。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】コアーヤーンと高比重繊維との撚り合わせ
    物よりなる延縄。
  2. 【請求項2】コアーヤーンが、芯繊維束の回りを短繊維
    より成る鞘繊維で被覆されており、かつこの鞘を構成す
    る単繊維が鞘を構成する他の単繊維と実質的に撚り合わ
    されることなく芯繊維束の回りを覆つており、かつ下記
    式で示される被覆率(%)を満足している特許請求の範
    囲第1項記載の延縄。
  3. 【請求項3】高比重繊維が金属または金属化合物と合成
    高分子からなる繊維で、かつその比重が1.5〜2.5である
    特許請求の範囲第1項または第2項記載の延縄。
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