JP2505218B2 - アポリポタンパクa―1に対して特異性を有するモノクロ―ナル抗体又はそのパラト―プ含有ポリペプチド部分並びにそれを使用する診断装置 - Google Patents

アポリポタンパクa―1に対して特異性を有するモノクロ―ナル抗体又はそのパラト―プ含有ポリペプチド部分並びにそれを使用する診断装置

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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明はアポリポタンパクA−Iに関し、特に液体試
料中のアポリポタンパクA−Iを分析するために有用な
モノクローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペプチ
ド部分及びかかる分析を行うための診断装置に関する。
発明の背景 A.アテローム性動脈硬化症とリポタンパク類 アテローム性動脈硬化症は動脈壁に蓄積したコレステ
ロール及び他の脂質がかさばった斑を形成して血流を妨
害し、ひいては凝血塊を形成し、動脈を遮断、心臓発作
や心拍動のような閉塞性の血栓症や塞栓症を引き起こす
病気である。米国におけるすべての死の50%まではアテ
ローム性動脈硬化症及びそれに派生する合併症による。
ヒトアテローム性動脈硬化症はコレステロールをはじ
めとする選ばれた脂質及び細胞の動脈壁への蓄積として
定義され、時の経過と共に閉塞性病巣を形成する。アテ
ローム性動脈硬化症の病因は多くの因子によるが、多く
の臨床的、病原面的、遺伝的及び実験的証拠はリポタン
パク代謝の異常がアテローム性動脈硬化症の進展に寄与
していることを暗示している。これらの脂質はリポタン
パク類と称せられる脂質−タンパク質複合体として血流
中で運ばれる。
アテローム性動脈硬化症、特に冠状動脈症(CAD)と
して知られるその一態様は健康に関する主な問題であ
る。アテローム性動脈硬化症及びそれと関連した血管の
病気は1983年に983,000の死ももたらした。CAD単独でも
すべての形態の癌よりも多くの死を毎年もたらしてい
る。米国では毎年100万以上の心臓発作が起こり、その
結果50万以上の人が死んでいる。直接的な健康管理費用
としてCADは米国に年に600億ドル以上の支出を要せしめ
ている。この莫大な犠牲はCADを食事療法、行動修正
(自動運動)、特別の療法剤でコントロールできるよう
にするために、CADに向う危険のある特定の母集団(pop
ulations)を特定する方法に注意を向けさせた。
CADにおけるコレステロールの大きな関わりあいゆえ
に、この分子及びそれと関連した血漿タンパクが精力的
に研究された。コレステロール関連血漿リポタンパク粒
子の4つの主なクラスが明らかにされた。これらは腸又
は肝臓に源を発している。これらの粒子はコレステロー
ル及びトリグリセライドをはじめとする中性脂肪の輸送
に関与している。すべてのクラスの血漿リポタンパクは
その脂質−タンパク質複合体に関連したアポリポタンパ
クを有している。アポリポタンパク類はこれらのリポタ
ンパクの機能において必須の役割を果している。
最初のクラスはキロミクロン類である。これらはリポ
タンパク中もっとも大きく、トリグリセライドに富んで
いる。キロミクロン類の起源部位は腸である。
アポリポタンパク類は一群のキロミクロン類の中で量
的には小さな比率しか有さないが、アポリポタンパクA
−I、A-II及びA-IVは報告によるとキロミクロン類と密
接な関わりを有し、これらのAアポリポタンパク類の腸
内合成が見い出された。キロミクロン類は又アポリポタ
ンパクB-48を含有している。Aアポリポタンパク類のキ
ロミクロン補体の多くは失われており、一方C及びEア
ポリポタンパク類はキロミクロン類をインビトロで血漿
や高密度リポタンパク(HDL)にさらすときに得られ
る。Aアポリポタンパク類(アポA)の腸内生産は脂肪
吸収及びキロミクロン形成以外の因子によって制御され
得る。
リポタンパク類の次のクラスは超低密度リポタンパク
類、すなわちVLDLである。VLDL粒子はトリグリセライド
代謝及びこれらの脂質の肝臓からの輸送に関与する。ア
ポリポタンパク類である、アポB-100及びアポEがVLDL
粒子の主な構成成分である。
第3のリポタンパクは低密度リポタンパク(LDL)と
呼ばれ、VLDLの異化代謝の特定産物である。
LDL粒子中で優勢的なアポリポタンパクはアポリポタン
パクB-100、すなわちアポB-100である。
今では古典的なFraminghamの研究(1971)の結果はCA
Dの危険性と血清コレステロールレベルとの間の相関関
係を明らかにした。この研究は又低密度リポタンパク
(LDL)コレステロールの水準があがるとCADの危険性も
増大することを示した。最近、the Lipid Research Cli
nics Coronary Primary Prevention Trial(脂質研究ク
リニック冠状初期防止試験)(1984)によって行われた
研究は血漿水準のコレステロールとLDLコレステロール
とを食事療法と薬物との組合せ養生によって減ずること
ができ、この血漿コレステロールの軽減により、CAD死
亡率が減少することを明らかにした。
LDLは血漿中における主たるコレステロール運搬リポ
タンパクである。LDLはその油性の芯が約1500分子の、
その各々がエステル結合によって長鎖脂肪酸に結合して
いるコレステロールより構成された大きな球状粒子であ
る。このコレステロールエステルの芯はリン脂質、非エ
ステル化コレステロール分子及び単分子アポリポタンパ
クB-100よりなる層によって取りまかれている。リン脂
質は親水性の頭が外側になるように配列しており、それ
によってLDLが血液又は細胞外流体中で水和懸濁液とし
て存在することを可能としている。
コレステロールは特別のLDL受容体を通してLDLの形で
細胞に供給され、細胞のコレステロール代謝をコントロ
ールできる場所である、リソソーム中でLDL粒子からと
きはなたれる。細胞内コレステロールの蓄積は3つのプ
ロセスを調整する。
第1に、該蓄積はコレステロール生合成経路の1工程
を触媒する酵素であるHMG COAリダクターゼの合成を止
めることによって、細胞自身のコレステロール製造能力
を減少させる。酵素の抑制によって、細胞はLDLの受容
体経由取込みに由来する外部コレステロールに依存する
ようになる。
第2にLDL由来コレステロールが入ってくるとリポタ
ンパクアセチルトランスフェラーゼとよばれる酵素が活
性化され細胞内のコレステロール貯蔵が促進される。こ
の酵素は過剰のコレステロール分子に脂肪酸をエステル
化させてコレステロールエステルを製造する。このエス
テルは貯蔵小滴中に置かれる。
第3にそしてもっとも重要なことであるが、細胞内へ
のコレステロールの蓄積は細胞が新しいLDL受容体を合
成することをやめさせるフィードバック機構を働かせ
る。細胞はそれによって、十分なコレステロールが細胞
中にもち込まれて細胞の種々の要求に適合するように
し、他方受容体の過負荷にならないよう外部受容体の定
員(complement)を調整する。例えば活発に分裂してい
る繊維芽細胞は新しい膜物質を必要とするので、LDL受
容体の最大定員である約40,000/cellを維持している。
増殖していない細胞中では入ってくるコレステロールは
蓄積をはじめるので、フィードバック機構が受容体製造
を減じ、受容体の定員が10分の1ぐらいに減ぜられる。
一方、別の循環リポタンパクである高密度リポタンパ
ク(HDL)粒子は低められたアテローム性動脈硬化症の
危険性しか有さない高められたコレステロールの状態に
関係している。アポリポタンパクA−Iは構造タンパク
質でHDL粒子の配位子である。HDLの量はアテローム性動
脈硬化症の予見された傾向と逆の相関関係を与える。
高密度リポタンパク(HDL)は2つの主なアポリポタ
ンパクである、アポリポタンパクA−I(アポA−I)
及びアポリポタンパクA-II(アポA-II)を含有してい
る。アポA−Iはすべての霊長目動物のHDLの主たるタ
ンパク成分である。すべてのHDL粒子はアポA−Iを含
有しており、ゆえにHDLの免疫定量は通常アポA−Iの
定量を含んでいた。HDL粒子の約80%は又アポA-IIを含
有しているが、アポA-IIしか有さないHDL粒子は未だ記
述されていない。
アポA−Iの1つの機能は血漿酵素であるレシチン−
コレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)の賦
活化である。この酵素はHDL上の遊離コレステロール
を、肝臓へ輸送するために、エステル化するのに必要と
される。アポA−I不存在下では血中コレステロールは
エステル化されず、もってコレステロールは血中から除
去されない。HDL代謝におけるアポA-IIの特定の役割は
未だ定義されていない。
多くの研究によって高められたHDL水準は減ぜられたC
ADの傾向と相関することが明らかとなった。ある著者ら
はHDLがコレステロールを動脈壁のような周辺部位(per
ipheral sites)からコレステロールを除去するものと
推定し、抗動脈硬化性をHDLに帰結せしめている。HDLコ
レステロールのより高い濃度は比較的正常の代謝、及び
心臓血管病のより低い発生率及び/又は減ぜられた激し
さと関連している。他方、LDLコレステロールの高めら
れた水準は脂質の異常代謝及びCADの増加した危険性と
相関している。高脂血症(血中に過剰の脂質)の患者や
CADに対する特別の危険性を有している患者の適切な管
理のために、LDL及びHDLコレステロールの水準を頻繁に
測定することが望ましい。今日までのHDLコレステロー
ルの分析は、HDLの血中レベルを定量するのにやっかい
かつ不正確であった。
B.リポタンパクの構造及び機能 コレステロールが血漿中で遊離しては存在せず、リポ
タンパクによって身体の組織部位に輸送されることを理
解することは大切である。コレステロールは指示された
細胞合成や食事によって得られる。しかしながらコレス
テロールは宿主からは肝臓によってしか除去されない。
肝臓ではコレステロールは胆汁酸にかえられ分泌され
る。
キロミクロンはコレステロール及びトリグリセライド
を引き続く処理のために肝臓を運ぶが、LDLはコレステ
ロールを冠状動脈をはじめとする肝臓外の組織に運搬す
る。よって、リポタンパクであるLDL/アポBは周辺組織
への「悪玉」コレステロールの蓄積と関連している。逆
にいうと、リポタンパクHDL/アポAは「善玉」コレステ
ロールを組織から除去して分泌のため肝臓に返してい
る。
歴史的にみるとリポタンパクを単離し性格づけるため
の多くの系が開発されてきた。これらの技術は通常リポ
タンパク粒子の物理化学的性質に基づいている。2つの
もっとよく用いられる技術は超遠心分離及び電気泳動で
ある。
分画密度勾配超遠心分離(differential density gra
dient ultracentrifugation)はリポタンパク類が他の
血漿タンパク類より軽い又は密度が低いという事実を利
用しており、キロミクロン(もっとも軽いリポタンパ
ク)、VLDL、LDL及びHDLを相互分離することは時間がか
かってやっかいではあるが比較的簡単である。電気泳動
技術は高脂血症患者の分類に有用であった。しかしなが
ら、これらの技術は通常の臨床試験所で容易に行う訳に
はいかない。
血中コレステロール又はトリグリセライドの単なる定
量は医師にどのリポタンパクがこれらの脂質を運んでい
るか及びそれらのリポタンパクの定量についての情報を
与えないことが分るであろう。
C.血漿リポタンパク類 血漿リポタンパク類の4つのメインのクラス、すなわ
ちキロミクロン、VLDL、LDL及びHDLが定義されたが、そ
れらの中に明らかにサブクラスが存在する。すべてのリ
ポタンパクは腸又は肝臓又はその両方にその起源を有し
ており、擬ミセル構造(pseudomicellar structure)を
有しているようである。中性脂質、特にコレステロール
及びトリグリセライドは表面極性成分であるアポリポタ
ンパク及びリン脂質との相互反応を通して溶解した安定
な形態でリポタンパクの芯中に維持される。
エステル化されないコレステロールも又これらの複合
物中に存在する。その極性は中性脂質類(コレステロー
ルエステル及びトリグリセライド)とより極性なアポリ
ポタンパク類及びリン脂質類との中間に位置し、芯中に
も表面にも見い出される。
アポリポタンパク類、非エステル化コレステロール及
びリン脂質よりなる外側表面はコレステロールエステル
及びトリグリセライドよりなる水不溶性芯を取り囲み、
これらの非極性脂質を水性環境から保護している。この
一般的構造概念は低角度X線散乱研究(low-angle X-ra
y scattering studies)及び種々の探針(probes)をリ
ポタンパク類の構造を調べるために用いた他の物理的方
法によって支持されている。血漿リポタンパク類の重要
な機能は中性血漿脂質の可溶化及び輸送である。
D.アポリポタンパク アポリポタンパクは血漿リポタンパクの脂質除去タン
パクであって、単離した完全なリポタンパクを有機溶
媒、洗剤又はカオトロピック剤で処理することによって
得られる。リポタンパクとして捕らえられたタンパクの
すべてが必ずしも脂質輸送についての役割をもっている
訳ではない。適切な例は、急性期反応物(acute phase
reactants)である血清アミロイドAタンパクがHDLに結
合して血漿中で輸送されるという最近の認識である。こ
れらの低分子量タンパクは炎症状態でアポ−HDLの30%
まで含まれ得るが、それらが特定脂質の輸送を受けもっ
ているかどうか疑わしい。
HDL粒子中に存在するアポリポタンパクA−I(アポ
A−I)は本発明で関心の的となるタンパク質である。
アポA−Iについて以下に議論する。
アポA−Iはすべての霊長目動物のHDLの主たるタン
パク成分であり、すべてのHDL粒子中に存在し、HDL粒子
あたり多数、例えば約7〜8分子存在する。報告による
とアポA−Iはキロミクロン、VLDL及びLDL中には比較
的少量存在し、又はHDLのタンパク質の約60〜80%を構
成する。
アポA−Iは243〜245残基の1本鎖よりなり、シスチ
ン、システイン、ロイシン又は炭水化物を含有せず、い
くつかの異性形態(isoforms)で存在する。アポA−I
は脂質のない状態で約55%がα−ヘリックス構造をと
り、リン脂質を結合させるとα−ヘリックス構造は約75
%に増加する。このアポリポタンパクの11のヘリックス
残基よりなるくり返しサイクルが同定された。これらの
単位は単一の先祖代々の鎖を表わすことが示唆された。
この鎖は遺伝子複製によって22残基の繰返し単位を与え
た。これらの単位は密接な配列相同性を有しており、タ
ンパクの脂質結合領域を表わすものと信じられている。
前述したごとく、アポA−IはLCAT、すなわちコレス
テロール及びホスファチジルコリンのそれぞれコレステ
ロールエステル及びリゾホスファチジルコリンへの変換
を触媒する血漿酵素の有力な活性化物質である。アポA
−Iの特定の脂質結合領域がLCATを活性化することが見
い出された。この活性は脂質結合の性質と関連する。前
述したごとく、肝臓及び腸がアポA−Iを合成するが、
血漿合計含量へのそれぞれの貢献及びアポA−I生産を
調節する因子がはっきりしていない。
典型的には、血漿アポA−Iの約90%以上がHDLと関
連し、約1%以下がVLDL及びLDLと関連し、約10%以下
が血漿のリポタンパクのない分画と関連している。各々
の粒子タイプでのアポA−Iの量はデータを発表する人
々によって異なっているが、これは粒子の分離に用いた
技術の差によるものであろう。
HDLの主たるタンパク構成成分であるアポA−Iの測
定は臨床上重要である。多くの研究の結果CAD被経者で
はアポA−I水準が減じていることが明らかとなった。
この観察はこの患者群における血漿アポA−Iの保護的
役割を強調している。
いくつかの研究の結果はアポA−I水準を正確に測定
することによって異常脂質代謝、アテローム性動脈硬化
症及び特にCADに対する個々人の予後を予見することが
できることを示している。しかしながら、その正確精密
な測定の困難さのみゆえに、アポA−I単独量は異常脂
質代謝に対するマーカーとして利用できなかった。比較
的高いアポA−I水準が正常脂質代謝と関連し、比較的
低いアポA−I水準が異常脂質代謝及びCADと関連する
とはいっても、正常人とCADをもつ人との間のはっきり
した境界線については未だ報告されていない。
前記したごとく、アポA−Iを臨床上有用な免疫測定
系、例えば放射線免疫測定法(RIA)、酵素結合免疫測
定法(ELISA)、電気免疫測定法(EIA)、放射免疫拡散
法(RID)又は免疫比濁法(INA)によって正確精密に定
量することは極端に困難であることが知られている。例
えばSteinberg et al.,Clin.Chem.29/3、415〜426(198
3)の第1表によると種々の技術を用いて得られた値が
ばらついていることが分る。
分析の困難さについて述べられた理由の1つはアポリ
ポタンパクA−I分子が大きな生化学的に異種な粒子の
部分として血漿及び血清中に存在し、分子抗原部位(エ
ピトープ)のいくつかが隠され遮蔽されていることであ
る。従って、ある研究者らは通常隠されているエピトー
プが遮蔽をとかれ免疫反応に参加できるようにするた
め、試料に遮蔽解放処理を行った。
Steinberg et al.,Clin.Chem.29、415〜426(1983)
は血漿や血清などの血液試料を尿素、テトラメチル尿素
及びグアニジンのような変性剤やドデシル硫酸ナトリウ
ム及びポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレ
ート(ツイーン20)のような界面活性剤で処理し、52℃
で3時間及び37℃で2時間加熱し、エタノールとジエチ
ルエーテル、メタノールとジエチルエーテル、クロロホ
ルムとメタノールのような混合有機溶媒で脱脂質するこ
とによって遮蔽を解く方法を論じている。別の特定の遮
蔽解放処理はMaciejko et al.,Clin.Chem.28、199〜204
(1982)(界面活性剤)、Koren et al.,Clin Chim.Act
a.147、85〜95(1985)(有機溶媒)、及びBury et a
l.,Clin.Chem.31、247〜251(1985)(37℃、2時間)
によって報告された研究に見い出される。
上記研究者の幾人か及び他の研究者は血漿や血清中で
存在するときのアポA−Iのみかけの異種性(apparent
heterogenicity)をさけるためにポリクローナル抗体
標品を用いた。すなわちMaciejko et al.,Clin Chem.2
8、199〜204(1982)、Koren et al.,Clin Chem.Acta14
7、85〜95(1985)、Bury et al.,Clin Chem.31、247〜
251(1985)、及びFesmire et al.,Clin Chem.30、712
〜716(1984)参照。臨床的に有用な定量的免疫測定に
おけるポリクローナル抗体の使用はもちろんいくつかの
動物からの血清の使用に伴う抗体活性の差及び異なるバ
ッチの血清による免疫特異性の差によるデメリットを伴
う。
さらに、Kottke et al.,Mayo Clin.Proc.61、313〜32
0(1986)は色々な男性についてアポリポタンパクA−
I、A-II及びB、HDLコレステロール、トリグリセライ
ド、及び年令を調査し、これら6つの指標のすべてがCA
D患者を無症候コントロールから正確に識別するのに必
要であるとしている。これらの研究者は測定にあたり放
射線免疫測定法を用いた。
Kottkeらの報文によると、ポリクローナル抗体、抗体
−試料維持時間16時間、及び遮蔽解放界面活性剤処理が
アポA−IのRIA測定にあたって利用された。報文によ
るとモノクローナル抗体がアポBのRIA測定にあたって
用いられた。Kottkeらは1標準偏差内で重なりあわな
い、正常人及びCAD患者の平均アポA−I値を報告し
た。
一方、ここで用いられたモノクローナル抗体又はその
パラトープ含有ポリペプチド部分はさておき、他の研究
者はHDL粒子及びアポA−Iと実質的に等しく免疫反応
し、又試料中の実質上すべてのアポA−Iと免疫反応す
るモノクローナル抗体について何ら記載していない。Cu
rtiss et al.,J.Biol.Chem.200、2982〜2998(1985)は
アポA−I及びHDLとほぼ等しく免疫反応するが、分析
した試料中に存在することが知られている放射能標識し
たアポA−I又はHDLの約60%しか免疫沈殿させること
ができないA−I−7と称せられる1つのモノクローナ
ル抗体を報告している。
E.アポA−Iに対する試薬としてのモノクローナル抗体
又はそのパラトープ含有ポリペプチド部分 ヒト血液試料におけるアポA−Iの存在を分析するた
めの試薬としての、モノクローナル抗体又はそのパラト
ープ含有ポリペプチド部分(以下、単にパラトピック分
子という)の使用は、一旦入手するとこれらの試薬は一
定の品質で比較的大量に生産でき、ポリクローナル抗体
に付随するばらつきの問題を回避できるので魅力的であ
る。しかしながら、かかる分析系の成分としての特定の
モノクローナルパラトピック分子の使用に対し不利に作
用する沢山の因子がある。
パラトピック分子の典型としてのモノクローナル抗体
の使用について、モノクローナル抗体はターゲットとす
る抗原の抗原的異質性ゆえにあまりに免疫特異的すぎて
有用でないとされている、例えば、アポA−I分析にお
いて有用であることが見い出された、通常のポリクロー
ナル抗体含有抗血清の特異性は大部分又はすべての抗原
性タンパク質の抗原決定基に結合する数百数千の異なっ
た抗体の合意によっている。その結果、抗原の多形性、
グリコシル化の異質性、わずかな変性又は他の反応によ
る抗原の構造の小さな変化は通常ポリクローナル結合に
殆ど影響を与えない。同様にポリクローナル抗血清から
の抗体のより大きな又はより小さなサブセットが修飾さ
れ又は変性された抗原に通常結合する。
他方、モノクローナル抗体は通常抗原分子の1つの抗
原決定基(エピトープ)に結合する。もし何らかの理由
によってその決定基が変化すると、抗体は結合を続ける
ことができたりできなくなったりする。このことが問題
なのか利点なのかは個々の場合による。本ケースにおい
てはもしモノクローナル抗体をアポリポタンパクの診断
用分析に用いるなら、アポリポタンパクの小さな抗原性
変化は大きな誤差を招来する。
第2に、その特定の特異性ゆえにモノクローナル抗体
(Mab)の成功的使用はしばしば標的抗原へのその親和
性による。例えば液相中に存在するあるMabが液相及び
固相抗原と結合するのに有用であるに十分な親和性を有
していても、その同じ抗体が固相−結合抗体として有用
でないことがある。
上記の問題点はモノクローナル抗体の使用にあたって
一般的なことである。従って当業者はモノクローナル抗
体をテストし、使うべき分析系にそれを性格づけること
が必須だということを認識している。この点について
(Toding,James W.,Monoclonal Antibodies:“Principl
es and Practice",Academic Press,New York(1983)、
pages40〜46参照。
本発明の短い概要 本発明は特定のハイブリドーマによって分泌される、
アポリポタンパクA−Iと免疫的に反応するパラトピッ
ク分子、液体試料中におけるアポリポタンパクA−Iも
しくはHDLの存在を分析する方法、及び特に液体血液試
料についてその方法を行うのに有用な特にキット型式の
診断装置に関する。
本発明の1つの面はATCC寄託番号HB9200、HB9201、HB
9202、HB9203及びHB9204を有するハイブリドーマ群から
選ばれたハイブリドーマを使用する。即ち、本発明はこ
れらのハイブリドーマの各々によって分泌され、アポリ
ポタンパクA−Iと反応するパラトピック分子に関す
る。これらのパラトピック分子は好ましくはまるごとの
モノクローナル抗体である。
本発明の別の面は液体試料中のアポリポタンパクA−
Iの存在を分析する方法である。この方法は分析すべき
液体試料を有効量の、前述の5つのパラトピック分子の
1つと混合して混合物を形成させる工程を含む。この混
合物を生物学的分析条件下でパラトピック分子が試料中
に存在するアポリポタンパクA−Iと免疫反応するに十
分な、予め決めた時間保持し、免疫反応物を形成させ
る。ついで免疫反応物の存在を測定し、もって原試料中
のアポリポタンパクA−Iの存在を測定する。本発明の
実施態様において、パラトピック分子は好ましくは表示
手段(indicating means)としての機能を発揮できるよ
うに結合した放射性元素を含有する。そして試料中のア
ポリポタンパクの存在は混合物の残余から免疫反応物を
分離し、発せられた放射線を分析することによって測定
することができる。
分析方法の別の態様によれば、第1のパラトピック分
子を混合物形成前に固体マトリックスに結合して固体支
持体を形成する。固体支持体の非特異性タンパク結合部
位をブロックする。液体試料の混合後に生成する免疫反
応物は固相−結合免疫反応物として固体支持体に結合し
ている。この態様においては固相−結合免疫反応物の存
在を第2のパラトピック分子の使用によって測定するこ
とが好ましい。
すなわち、液相の第2のパラトピック分子を上記第1
の混合物と混合して第2の混合物を生成させる。これら
第2のパラトピック分子はアポリポタンパクA−Iと免
疫反応し、前述したパラトピック分子から選ばれるが、
第1の混合物中で用いられている分子でなく、又第2の
パラトピック分子の免疫反応は第1のパラトピック分子
の免疫反応によって実質上ブロックされず又阻害されな
い。これら第2のパラトピック分子は好ましくは酵素で
ある表示手段に作用できるように結合される。
生成した第2の混合物を生物分析条件下で第2の表示
手段結合パラトピック分子が混合物中に存在するアポリ
ポタンパクA−Iと免疫反応するに十分な、予め設定し
た時間保持する。両パラトピック分子の混合及び免疫反
応物の生成の後の固相及び液相を分離し、固相中の表示
手段−結合アポリポタンパクA−Iを測定し、もって試
料中のアポリポタンパクA−Iの存在を測定する。
本発明のパラトピック分子は又液体試料、特に血清も
しくは血漿のような液体血液試料中のアポリポタンパク
A−Iの量を定量的に分析するのに有用である。定量分
析を望む場合、上記に概要を示したと一般的に同様な工
程によって行われる。
すなわち、既知量の分析すべき液体試料を、アポリポ
タンパクA−Iと免疫反応し、ATCC寄託番号HB9200もし
くはHB9201を有するハイブリドーマの1つより分泌され
る第1のパラトピック分子を固相に結合させた固体マト
リックスより本質的になる固体支持体と混合して固液混
合物を形成する。固体支持体表面の非特異性タンパク結
合部位をブロックする。固液相混合物を生物分析条件下
に最初のパラトピック分子が試料中に存在する実質上す
べてのアポリポタンパクA−Iと免疫反応するのに十分
な、予め定められた時間保持する。
上記液体試料のアポリポタンパクA−Iをさらにアポ
リポタンパクA−Iと免疫反応し、ATCC寄託番号HB9200
もしくはHB9201を有するハイブリドーマの1から分泌さ
れるが最初の混合物中では使用されておらず、酵素表示
手段と結合した、液相中の第2のパラトピック分子と混
合して第2混合物を形成させる。この段階で用いられる
パラトピック分子は最初の混合段階で述べた2つの残り
の方である。
第2の混合物を生物分析条件下に第2の表示手段結合
パラトピック分子がこの試料中の実質上すべてのアポリ
ポタンパクA−Iと免疫反応物を生成するに十分な、予
め設定した時間保持する。上記混合及び保持工程で生じ
た固相と液相とを分離し、固相中の表示手段結合アポリ
ポタンパクA−I含有免疫反応物の量ひいては試料中の
アポリポタンパクA−Iの量を測定する。
上記分析方法の2つの混合工程を実質上同時に行い、
又2つの保持工程を一緒に行うのが特に好ましい。これ
らの工程を実質上同時でかつ一緒に行わない場合は、最
初の保持工程の終了時点の固相と液相とを第2の混合前
に分離するのが好ましい。この場合第2の混合で用いる
アポリポタンパクA−Iは最初の保持工程で生成した固
相結合免疫反応物中に存在するアポリポタンパクA−I
である。
液体試料中のアポリポタンパクA−Iの存在の測定に
使用するのに好適な代表的にはキット形態の診断装置は
本発明の別の面を構成する、1つの態様によれば、その
装置は前述のハイブリドーマの1つによって分泌され、
少なくとも1つの分析を行うに足る量のパラトピック分
子を含有する容器よりなる。さらに好ましくは診断装置
はさらに上記パラトピック分子に直接結合するか、上記
パラトピック分子とアポリポタンパクA−Iとの免疫反
応を示すことができる別の分子に結合した表示手段を含
有することができる。
もっとも好ましくは、診断装置は液体血液試料中のア
ポリポタンパクA−Iの量を測定するのに用いられる。
かかる診断装置は、アポリポタンパクA−Iと免疫反応
し、ATCC寄託番号HB9200もしくはHB9201を有するハイブ
リドーマの1つによって分泌されるパラトピック分子を
それに結合させた固体マトリックスより本質的になる固
体支持体を含有する第1の容器を含む。この固体支持体
の非特異的タンパク結合部位はブロックされている。こ
の系はさらにアポリポタンパクA−Iと免疫反応し、AT
CC寄託番号HB9200もしくはHB9201を有するハイブリドー
マの1つによって分泌されるが最初の容器のハイブリド
ーマによって分泌されず、酵素表示手段に結合したパラ
トピック分子を含有する第2の容器を含む。
本発明はいくつかの利益及び利点を有する。
かかる利益及び利点の1つは本発明が血清、血漿のよ
うな液体血液中に存在する実質上すべてのアポリポタン
パクA−IもしくはHDL粒子と免疫反応することができ
る試薬を提供することである。
本発明の別の利益及び利点はこれらのパラトピック分
子の使用によってアポリポタンパクA−IもしくはHDL
の定量分析ができることである。
本発明のさらに別の利益及び利点は本発明の2つのハ
イブリドーマによって分泌される特に好ましいパラトピ
ック分子の使用によって、血液試料中に存在するアポリ
ポタンパクA−Iの量を定量するための、高度に正確か
つ精密な分析を行うことができることである。
本発明のさらに別の利益及び利点は以下に述べる本発
明の詳細な記述から当業者が容易に見い出すことができ
るであろう。
発明の詳細な開示 I.議論 A.定義 「抗体」は抗原と特異的に結合することができる免疫
グロブリンとよばれるグリコシル化タンパク質の群の一
員である分子をいう。抗体は抗原の抗原決定基と抗体の
抗体結合部位との間の特異的、免疫学的相互結合作用に
よって抗原と結合する。
「抗体結合部位」とは抗原と特異的に結合する、H鎖
及びL鎖の可部領域及び超可変領域なりなる、抗体分子
の構造部分をいう。Jerne,Ann.Immunol.(Inst.Pasteu
r)、125C、373〜389(1974)の命名に従って、抗体結
合部位を通常ここでは「パラトープ」(paratope)と称
する。
抗体の抗体結合部位含有(パラトープ含有)ポリペプ
チド部分はパラトープを含有し抗原に結合する抗体分子
の部分をいい、例えば抗体のFab、Fab′、F(ab′)
及びF(v)部分を包含する。抗体のFab及びF(a
b′)部分は実質上完全な抗体をよく知られた方法に
よってそれぞれパパイン及びペプシンを用いてタンパク
質加水分解することによって調製する。例えばTheofilo
polus and Dixonへの米国特許第4,342,566参照。抗体の
Fab′部分も又よく知られており、F(ab′)部分の
2つのH鎖部のジスルフィド結合をメルカプトエタノー
ルで還元し、得られるタンパクメルカプタンをヨードア
セタミドのような試薬でアルキル化することによって生
産される。完全な抗体が好ましく、本発明のパラトピッ
ク分子の例示として用いる。
「抗原」は歴史的に抗体が結合する独立体(entity)
を表わすものとして、又抗体の生産を誘導する独立体を
表わすものとして用いられてきた。最近の用法によれば
抗原は抗体が結合する独立体の意味に限定して用いら
れ、他方「免疫原」が抗体生産を誘導する独立体の意味
に用いられる。ここで論議される独立体が免疫原的及び
抗原的の両方を意味する場合、一般に抗原と称すること
にする。
「抗原決定基」は抗体結合部位が免疫学的に結合する
抗原の実際の構造部分をいう。Jerneの命名では抗原決
定基を「エピトープ」と再定義している。
「生物的に活性な」とは、他の一般的もしくは有効な
能力がその分子にあるかもしれないが、少なくとも抗原
もしくは特異性抗原結合部位に特異的に結合する、タン
パク質性分子の能力をいう。抗体結合部位を含有するパ
ラトピック分子の生物的活性は水性媒体中少なくとも生
理的なpH及びイオン強度でパラトープ(抗体結合部位)
とそのエピトープ(抗原決定基)とを混合したとき両者
の免疫反応によって免疫反応物が生成することによって
実証される。好ましくは生物活性は生物分析条件下、す
なわち本発明で有用なパラトピック分子がエピトープ
(抗原決定基)に結合する、約5〜約9までのpH蒸留水
のそれから約1Mの塩化ナトリウムのそれまでのイオン強
度及び約4〜約45℃までの温度の条件下で生ずる。本発
明で有用なパラトピック分子はすべて生物的に活性であ
る。
「エライサ」は試料中の抗原もしくは抗体を検出し又
はその量を定量するのに、固相に結合した抗原もしくは
抗体、及び酵素−抗体複合体もしくは酵素−抗原複合体
を用いる、酵素結合抗体免疫吸着アッセイを意味する。
エライサ技術についての記述はD.P.Siteら、“Basic an
d Clinical Immunology"4版、22章(1982)、Lange Med
ical Publication(ロスアルトス、CA)発行;及び米国
特許第3,654,090、3,850,752及び4,016,043にみられ
る。これらの記述を参考にここに加入する。
「酵素」はそれに対ししばしば特異的である基質に触
媒作用によってある変化を促進し又は生ずることができ
るタンパク質を意味する。
ここで用いられる「免疫反応物」は免疫反応の生産
物、すなわち抗体もしくはパラトープを含有する分子が
抗原に免疫的に結合するときに生成する実体(entity)
を意味する。従って免疫反応物は分子間に形成される特
異的複合物である。
「表示手段」、「酵素表示手段」又は「標識」はここ
では種々の文法形式において相互変換的に用いられ、免
疫反応物の存在を表示する検出可能な信号の生成に直接
又は間接に関与する単一原子、分子及び酵素を包含す
る。抗体に結合し、又は抗体に入れることができる、実
質上いかなる表示手段も本発明では有用であり、かかる
表示手段は単独でもしくは別の試薬との組合せで用いる
ことができる。かかる表示群又は標識はそれ自身免疫化
学でよく知られており、新規なパラトピック分子、方法
及び/又は系と共に用いられる限りに本発明の一部を構
成する。酵素表示手段と結合したパラトピック分子は本
発明では酵素結合パラトピック分子と称する場合があ
る。
本発明における「丸ごとの抗体」(whole antibody)
は、細胞によって分泌される完全な、そっくりそのまま
の分子をエピトープとの免疫反応という生物活性に必要
なパラトープを含有する他の、より小さな分子から区別
するために用いる。
「モノクローナル抗体」(Mab)はただ1種の抗体分
子を分泌するハイブリドーマのクローンによって生産さ
れる抗体であり、パラトピック分子は、モノクローナル
抗体又はそのパラトープ含有ポリペプチド部分としてこ
こでは定義する。ハイブリドーマ細胞は抗体産生細胞と
ミエローマもしくは他の自己永続性細胞系とを融合した
ものである。かかる抗体ははじめKohler and Milstein,
Nature、256、495〜497(1975)によって記述された。
この記述を参考として本発明に加入する。
「パラトピック分子」は、モノクローナル抗体の結合
部位を含有する一群の分子を表し、丸ごとのモノクロー
ナル抗体、並びに実質上丸ごとのモノクローナル抗体及
びモノクローナル抗体の抗体結合部位を含有する部分等
のパラトープ含有ポリペプチド部分を包含する。AI-1
0、AI-11、AI-12、AI-13及びAI-14と名づけられた丸ご
とのモノクローナル抗体は、パラトープを含有する丸ご
との抗体の部分と同様に、本発明のパラトピック分子で
ある。「パラトピック分子」は上記モノクローナル抗体
の抗体結合部位を含有する包括的生物活性分子を意図す
るときに用いられるが、AI-10、AI-11、AI-12、AI-13及
びAI-14という用語はハイブリドーマHB9200、HB9201、H
B9202、HB9203又はHB9204によって生産される特定の丸
ごとの抗体が意図されるときに用いられる。
「分泌する」及び「産生する」は当分野ではしばしば
相互変換的に用いられ、それから抗体分子が得られる細
胞に関して用いられる。しかしながら抗体産生細胞はそ
れらをとりまく環境中へ抗体分子を分泌しないかもしれ
ない。本発明であげたハイブリドーマ細胞は抗体を環境
中へ分泌する。それでも当分野で用いられる用語に従っ
て本発明では、かかる細胞も「抗体産生」細胞と称する
場合があり、又その抗体を「産生された」と称する場合
がある。本発明においては上記抗体のパラトープ含有ポ
リペプチド部分についても同様に「産生された」又は
「分泌された」というが、かかる分子はそれ自身「産生
され」又は「分泌された」抗体から調製されることを理
解すべきである。
「上清液」(supernate又はsupernatant)は、細胞が
培養されるインビトロの液体培地に関する。本発明で関
心のあるハイブリドーマの培養によって産生されたモノ
クローナル抗体は培養培地環境に分泌される。従ってこ
れらの細胞についての培養培地上清液はパラトピック分
子の1つの好ましい取得源であり、よく知られた技術に
よりハイブリドーマ細胞から容易に分離して得ることが
できる。かかる技術の例は低速遠心分離であり、これに
よって液体培地から細胞を沈殿させる。パラトピック分
子は又ハイブリドーマ組織を導入した実験動物の腹水腫
瘍流体(腹水流体)から得ることもできる。両方法につ
いては後述する。本発明で3種以上の抗原及びパラトピ
ック分子成分を混合して免疫反応混合物を生成させる場
合に用いる「実質上同時に」はそれらの成分のいずれか
2つの混合後約15分以内好ましくは約5分以内にすべて
の成分を存在させ1つの混合物へ混合することを意味す
る。
パラトピック分子とその抗原であるアポリポタンパク
A−Iとを免疫反応させて免疫反応物を生成させること
に関して本発明で用いる「実質上すべて」はパラトピッ
ク分子が過剰に存在する場合にパラトピック分子が溶液
中に存在する抗原の約90%と免疫反応することを意味す
る。
B.ハイブリドーマ及びパラトピック分子 本発明は5つのハイブリドーマによって分泌されるパ
ラトピック分子に関する。これらのパラトピック分子は
アポリポタンパクA−Iと免疫反応する。アポリポタン
パクA−I分子は本発明ではしばしばアポA−Iと称せ
られる。
5つのハイブリドーマ中実験室番号H91H4.2H8及びH10
3D8.1D11のハイブリドーマ、及びAI-10及びAI-11とそれ
ぞれ命名した分泌パラトピック分子が特に好適である。
パラトピック分子AI-10及びAI-11の各々はアポリポタン
パクA−I上の大事に取り扱われた抗原決定基と免疫反
応し、又流体相RIAの125I-HDL粒子の少なくとも約90%
と免疫反応する。第1図及び2図から分かるごとく、パ
ラトピック分子AI-10及びAI-11は共にアポA−Iと結合
するが、実質上お互いの結合を妨害しない。
5つのハイブリドーマの各々は特許手続上の微生物の
寄託の国際的承認に関するブダペスト条約に従ってアメ
リカンタイプカルチャーコレクション(ATCC)、ロック
ヴィレ、MDに1986年9月16日に寄託された。実験室命
名、パラトピック分子の命名及びそれらのクラス、及び
ATCC寄託番号を以下に示す。
上記寄託はブダペスト条約の要求にそって行われた。
すなわち寄託期間は寄託の日から30年、寄託機関での寄
託についての最後の要求から5年、又はこの出願からの
特許の有効期間のうちもっとも長い期間である。ハイブ
リドーマは寄託機関で非生存状態になったら補充しなけ
ればならず、又この出願からの特許の発行以後はATCCか
ら公衆に入手可能な状態にされる。
Curtiss及びEdgington,J.Biol.Chem.,260、2982〜299
3(1985)はヒトHDLの免疫化学的異質性、及びそのパラ
トピック分子がアポA−Iと免疫反応する3つのハイブ
リドーマの調製について報告している。AI-4、AI-7及び
AI-9と名づけられたこれらのパラトピック分子は各々、
液体相RIA中でヒトアポA−I及びヒトHDL粒子と免疫反
応したが、異なる免疫反応性を示した。
この報文で報告された研究によると抗体過剰下での
125I-HDLを用いた、液体相、RIA間接免疫沈殿免疫活性
は、合計トリクロロ酢酸沈殿放射能標識%としてAI-4約
44%、AI-7約61%及びAI-9約32%であった。流体相RIA
中における単離された125I−アポA−Iに対するAI-4、
AI-7及びAI-9の最大免疫反応は報文によるとAI-4及びAI
-7について約60%、及びAI-9について約30%であった。
これらのパラトピック分子の2又は3種の組合せによ
っても標識HDLを100%免疫沈殿させることはできなかっ
た。しかしながら、これらのパラトピック分子のいずれ
か2つとアポリポタンパクA-IIに対するパラトピック分
子との組合せは沈殿性125I-HDLの100%と免疫反応する
ことができた。
後に結果の部で議論するごとく、ここに開示するハイ
ブリドーマのヒトHDL及びヒトアポA−Iとの免疫活性
はCurtiss and Edgington,J.Biol.Chem .,260、2982〜
2993(1985)で報告された免疫活性よりかなり向上して
いる。液体相RIA中のHDLに対するこれらの最大免疫活性
125I-HDLの約60%と免疫反応すると報告されたAI-7の
最大免疫活性よりも約30%以上大きい。
本発明のハイブリドーマはマウス脾細胞と非分泌性マ
ウスミエローマ系P3×63Ag8.653.1細胞との3つの別個
の融合によって調製された。新鮮なそのままのヒトHDL
又は新鮮なグルタルアルデヒド−架橋ヒトHDLを免疫源
として用いた。
C.方法 本発明の方法によって、液体試験中のアポリポタンパ
クA−Iの存在、及び望まれる場合は量が測定される。
液体試料は水性のものであり、水単独、塩組成物、又は
緩衝液又は血液試料等の体流体を包含する。
アポA−I又はHDLの定量分析が望まれる液体血液試
料がしばしば本発明の方法の対象となる。試料は血清で
も血漿でもよく、これらを用いて得られる結果には統計
上差異がない。実際問題として、後にこの方法を用いて
得られた結果では血清及び血漿の分析から得られた平均
値を用いている。血清又は血漿のいずれを用いたかに拘
らず、液体血液試料は、好ましくは、この分野で知られ
ているように少なくとも約12時間絶食した人から得られ
ている。かかる血液試料を「絶食」試料と称する。血清
又は血漿を定量分析の液体試料として使う場合、かかる
試料のアポA−Iを測定する場合に通常行われる、遮蔽
をとく処理(an unmasking treatment)を試料に施す必
要はないことをここに注記する。
血漿や血清のような液体血液試料を用いて、特に好適
なエライサ法によって正確かつ精密な結果が得られるこ
とは驚くべきことである。というのはこれらの試料物質
は分析を妨害すると予想されるタンパク質、脂質及び他
の化合物を含有しているからである。例えばMaggio,Enz
yme-Immunoassay,CRC Press,Inc.Boca Raton,FL,1980、
page65参照。
定量的測定に関しては、アポリポタンパクA−Iの量
を予め設定した量の液体試料を用いて測定する。液体試
料が血漿や血清のような液体血液試料のときアポA−I
の測定に際し通常用いられる、遮蔽解放処理は必要な
い。すなわち試料をかかる遮蔽解放処理を行わずに用い
ることができる。
定量分析を望む場合、分析者が用いる液体試料の容量
を知ることは重要でない。しかしながらもちろん、用い
る試料容積及びアポA−I濃度は用いた試薬を圧倒する
ほど高くてはいけないし、実際的でないほど少量のアポ
A−Iの存在を求めるほど小さいものであってもならな
い。例えば正確かつ精密な定量測定は約10〜約200ngの
アポA−Iを含有する試料を用いてエライサ法によりル
ーチンに行うことができる。かくのごとく定量測定はご
く少量のアポA−Iで行うことができる。
一般的には本方法は分析しようとする液体試料と有効
量の前述の5つのパラトピック分子よりなる群から選ば
れるパラトピック分子とを混合して混合物を生成させる
工程を包含する。混合物を生物分析条件下にパラトピッ
ク分子が試料中に存在するアポリポタンパクA−Iと免
疫反応して免疫反応物を生成するのに十分な、予め設定
された時間保持する。ついで免疫反応物の存在を測定
し、それによってもとの試料中のアポリポタンパクA−
Iの存在を測定する。
上記分析はよく知られた、固体相分析でも液体相分析
でも他の免疫分析でもよいことを理解すべきである。典
型的な液相及び固相分析を例示的に以下に説明する。さ
らに固相分析では競合する、アポA−I(HDL)又はパ
ラトピック分子を固体相に結合することができる。
免疫反応物の存在は多くの方法によって測定でき、そ
れらの各々は代表的にはここに記述するような表示手段
を用いる。
本発明においては、パラトピック分子は好ましくは表
示手段として放射性元素を含有し、もとの試料中のアポ
リポタンパクA−Iの存在は免疫反応物を混合物の残余
から分離し、それから発せられる放射能を分析すること
によって測定される。
分析方法の別の態様において、混合前に第1のパラト
ピック分子を固体マトリックスに結合させて固定支持体
を形成させる。固体支持体の非特異性タンパク結合部位
をブロックする。混合後に生ずる免疫反応物を固相結合
免疫反応物として固体支持体に結合させる。本態様にお
いては後で議論するごとく、固相結合免疫反応物の存在
を第2パラトピック分子である表示手段含有分子の使用
によって測定するのが好ましい。この場合、液相の表示
手段含有分子を上記第1混合物と混合して第2混合物を
生成させる。
これらの表示手段含有分子は、第1のパラトピック分
子の免疫反応によって実質上ブロックされない、アポリ
ポタンパクA−Iの第2のエピトープと免疫反応する。
かかる表示手段含有分子は前述のパラトピック分子から
選ばれるが、第1の混合物で用いた分子とは異なる分子
である。パラトピック分子の特に有用な一対はATCC受入
れ番号HB9200及びHB9201を有するハイブリドーマによっ
て分泌されるものである。これら第2のパラトピック分
子は好ましくは酵素である表示手段に作用できるように
結合する。結合する表示手段はここに述べるごとくいか
なる表示手段であってもよい。
生成した第2の混合物を生物分析条件下に第2の表示
手段結合パラトピック分子が混合物中のアポリポタンパ
クA−Iと免疫反応するに十分な、予め設定した時間保
持する。両パラトピック分子の混合とそれらの免疫反応
物の生成後、固体相と液体相とを分離する。ついで固相
中の表示手段結合アポリポタンパクA−Iの存在を測定
し、もって試料中のアポリポタンパクA−Iの存在を測
定する。固相結合パラトピック分子、アポA−I抗原及
び標識結合第2パラトピック分子の間で生成した免疫反
応物を本発明ではサンドイッチ免疫反応物という場合が
ある。
前にも述べたごとく、本発明のパラトピック分子は又
液体試料、特に血清もしくは血漿のような液体血液試料
中のアポリポタンパクA−Iの量を定量的に分析するの
に有用である。定量結果を望む場合、上記固相分析につ
いて概観したと同様の一般的手法が用いられる。
すなわち、アポリポタンパクA−Iの定量分析におい
て、予め設定した既知量の、脱遮蔽処理をしていない血
漿もしくは血清のような血液試料とアポA−Iと免疫反
応する、本質的に固相結合第1パラトピック分子を有す
る固体マトリックスよりなる固体支持体とを混合して第
1の固相液相混合物を形成させる。これらの固相結合第
1パラトピック分子は試料中に予想されるアポA−Iの
量より過剰に存在し、ATCC寄託番号HB9200又はHB9201を
有するハイブリドーマの1つによって分泌される。固体
支持体表面の非特異性タンパク結合部位は混合に先立っ
てブロックする。
第1の固液相混合物を生物分析条件下に第1パラトピ
ック分子が既知の少量の試料中のアポリポタンパクA−
Iと免疫反応して、試料中に存在する事実上すべてのア
ポリポタンパクA−Iを含有する固相結合免疫反応物を
生成するに十分な、予め設定した時間保持する。
試料のアポA−IをアポA−Iと免疫反応して第2の
混合物を与える液相第2パラトピック分子と混合する。
これら第2のパラトピック分子はATCC寄託番号HB9200又
はHB9201を有するハイブリドーマの1つによって分泌さ
れるが、第1の混合物中で用いたものではない。これら
第2のパラトピック分子は酵素表示手段結合している。
すなわち、この工程で用いるパラトピック分子は第1の
混合工程であげた2つのパラトピック分子の残りであ
る。
第2の混合物を生物分析条件下に第2の酵素結合パラ
トピック分子が既知の少量の試料中の実質上すべてのア
ポリポタンパクA−Iを含有するサンドイッチ免疫反応
物を生成するのに十分な、予め設定した時間保持する。
両パラトピック分子の混合、及び両パラトピック分子と
アポA−Iとの免疫反応物の生成の後の固相と液相とを
すすぎによって分離し、固相中の表示手段結合アポリポ
タンパクA−I含有サンドイッチ免疫反応物の量を測定
する。2つのパラトピック分子の各々が既知少量の試料
中の実質上すべてのアポA−Iと免疫反応し、又パラト
ピック分子の少なくとも1つがアポA−I上の非交差反
応性で保存されたエピトープと免疫反応するので、免疫
反応物中の酵素結合アポA−Iの定量が既知少量の試料
中のアポリポタンパクA−Iの定量を与えることにな
る。試料中のアポリポタンパクA−Iの量は既知少量の
液体試料の最初に用いた予め設定された量をもとに容易
に計算することができる。
上に論じたアポリポタンパクA−Iの固相分析は、す
でに述べたごとく混合及び保持工程の各々を引き続いて
行うこともできるし、2つの混合工程を実質上同時に、
かつ2つの保持工程を一緒にして行うこともできる。
工程を順次行う場合には、固相結合パラトピック分子
を混合し、混合物を、酵素表示手段結合パラトピック分
子及び得られる混合物の保持に先立って保持するのが好
ましい。好ましい、順次工程に従う場合には、液体酵素
表示手段結合パラトピック分子を混合し、混合物を保持
するに先立って、固相と液相を分離し、分離を確実にす
るため固相をすすぎ洗いするのが好ましい。
適当な試料と酵素表示手段結合パラトピック分子とを
最初に混合することもできる。この方法による場合には
固相結合パラトピック分子の混合に先立って相の分離は
しなくてよい。
もっとも好ましくは、固相結合パラトピック分子、液
体試料及び酵素表示手段結合パラトピック分子を別々に
実質上同時に混合し、得られる固液相混合物を保持す
る。すなわち、混合物を固相結合パラトピック分子が実
質上すべてのアポA−Iと固相結合免疫反応物を形成
し、液相酵素表示手段結合パラトピック分子も試料中の
実質上すべてのアポA−Iと免疫反応するのに十分な時
間保持する。生成する免疫反応物を固相結合サンドイッ
チ免疫反応物という。液相も又存在する。
上述してきたそれぞれの分析において、2つのパラト
ピック分子のいずれを固相結合パラトピック分子として
用いても同様な結果が得られる。しかしながら、本発明
で論ずる、アポリポタンパクA−Iについての大部分の
研究は固相マトリックスに結合させた、ATCC寄託番号HB
9200(AI-10)を有するハイブリドーマによって分泌さ
れる分子を用いて行った。
上記各方法で有用な典型的固体マトリックスは当該分
野でよく知られており、例えばFalcon Microtest III F
lexible Assay Plates(Falcon Plastics,Oxnard,CA)
の名のもとに販売されている96穴微量力価プレート(a
96-well microtiter plate)、又はImmulon I及びII(D
ynatech,Alexandria,VA)の名のもとに販売されている
微量力価条片(a microtiter strip)のような、一列に
12穴を有する微量力価条片などの固体マトリックスを包
含する。微量力価条片やプレートは透明のプラスチック
材料、好ましくはポリ塩化ビニルやポリスチレンでつく
られる。本発明の上述の方法で使用し得る別の固体マト
リックスはAbbott Laboratories,North Chicago,ILから
販売されている直径約1μm〜約5mmのポリスチレンビ
ーズ;いかなる手頃な大きさでのポリスチレン製の管、
棒状物又はパドル状物;及びポリスチレンラテックスで
あって、ポリスチレン粒子が約1μmの大きさを有し、
ラテックスの残りの部分より遠心分離によって分離され
得るポリスチレンラテックスを包含する。
固体マトリックスは又Pharmacia Fine Chemicals,Pis
cataway,NJで製造されているセファデックスG-25、50、
100、200等の架橋デキストラン;Pharmacia Fine Chemic
alsで製造されているセファロース6B、Ch6B、4B、Ch46
等のアガロース及び架橋アガロースなどの種々の物質で
つくることができる。
表示手段は本発明のパラトピック分子又は有用な抗原
に直接結合させることができ、又別個の分子よりなるこ
ともできる。表示手段はヤギもしくはウサギ抗マウス抗
体のような、本発明のパラトピック分子に結合する抗体
などの別個の分子であってもよい。本発明でタンパクA
と呼ばれることもあるスタフィロコッカス・アウレウス
タンパクAも又非結合分子表示体もしくは標識手段とし
て用いることができる。この表示体もしくは標識手段に
対して、本発明の丸ごとのもしくは実質上丸ごとのパラ
トピック分子、すなわちタンパクAが結合する、パラト
ピック分子のFc領域部を有する分子が用いられる。かか
る使用においてはタンパクA自身が放射性元素やフルオ
ロクロム(fluorochrome)色素のような標識を有してい
る。
放射性元素は特に有用な標識である。本発明で用いる
ことができる典型的な放射能標識剤はγ線を発する放射
性元素である。γ線を発する124I、125I、128I、131I、
132I及び51Crのような元素がγ線放出放射性元素表示群
を形成する。他の有用な表示群は陽電子を発する11C、
18F、15O及び13Nのような元素である。発せられた陽電
子は混合物中の電子と出会うとγ線を生ずる。
放射性パラトピック分子は代表的には、米国特許第4,
381,292号に記述されているようにして、パラトピック
分子を単離し、これに上記のもしくは別の適当な放射性
元素の1つを標識することによってつくることができ
る。典型的表示標識手段は螢光性標識剤であり、このも
のは抗体もしくは抗原にそれらを変性させることなく化
学的に結合して、有用な免疫螢光性トレーサーであるフ
ルオロクロム(色素)を形成する。適当な蛍光性標識剤
はフルオレセインイソシアネート(FIC)、フルオレセ
インイソチオシアネート(FITC)、ジメチルアミノ−ナ
フタレン−S−スルオニルクロリド(DANSC)、テトラ
メチルローダミンイソチオシアネート(TRITC)、リサ
ミン(lissamine)ローダミンB200スルホニルクロリド
(RB200SC)等のフルオロクロムである。免疫螢光分析
技術についてはDeLula,“Immunofluorescence Analysi
s"Antibody As A Tool,Marchalonis et al.,eds.,John
Wiley & Sons,Ltd.,pp.189〜231(1982)に記載されて
おり、これを参考に本発明中に加入する。
酵素は特に好適な表示手段である。酵素を用いる場
合、好ましくは本発明のパラトピック分子に直接結合さ
せて複合体を形成させる。パラトピック分子に結合させ
る有用な酵素分子又は他の表示手段は作用できるように
(operatively)結合すべきである。すなわち酵素や他
の標識の機能は結合やパラトピック分子によって実質上
損われてはならないし、又酵素や他の標識が結合するパ
ラトピック分子の機能もその結合や酵素もしくは他の標
識の存在によって実質上損われてはならない。
酵素表示手段は西洋わさびパーオキシダーゼ(HRP
O)、グルコースオキシダーゼ等の生物活性酵素であ
る。よく知られているごとく、表示手段がHRPOやグルコ
ースオキシダーゼのような酵素である場合には抗体−抗
原複合物が生成したことを顕在化するために別の試薬を
要する。HRPOのための別の試薬は過酸化水素及びジアミ
ノベンジジンのような酸化色素プレカーサーである。グ
ルコースオキシダーゼに関して有用な別の試薬はグルコ
ース及び2,2′−アジノ−ジ−(3−エチルベンズチア
ゾリン−6−スルホン酸)(ABTS)である。
酵素をパラトピック分子に働けるように結合して複合
体を生成させる技術は当分野でよく知られている。典型
的技術はMaggio,Enzyme-Immunoassay,Chapter 4 by Kab
akoff,CRC Press,Boca Raton,FL,pages71〜104(1980)
で論ぜられている。
ハイブリドーマ上清液や腹水から得られたものとして
のパラトピック分子をそのまま用いることもできるが、
精製したパラトピック分子を利用することが好ましい。
パラトピック分子の精製についてはいくつかの手段が
当分野でよく知られているが、代表的にはクロマトグラ
フィーを利用する。本発明についてより抜きの精製技術
はファーストプロテイン液体クロマトグラフィー(Fast
protein liquid chromatography)(FPLC)である。
酵素結合パラトピック分子複合物を流体相中で混合物
に供給する。これらの分子は代表的には水性組成物中に
溶解する。代表的な組成物は、本発明で用いる典型的な
精製モノクローナル抗体含有組成物の場合と同様、希釈
剤としてリン酸緩衝食塩水(PBS)を包含する緩衝塩を
含有する。希釈した復水流体も又有用である。
前に述べたごとく、固相支持体表面の非特異性タンパ
ク結合部位はブロックする。固相結合パラトピック分子
は、吸着又は他のよく知られた付着手段によって固体マ
トリックスに結合している。ウシ、ウマ又は他の血清ア
ルブミンのような、分析を妨害せず、またヒトアポA−
Iで汚染されていないタンパク質の水溶液を固体相と混
合して、パラトピック分子含有固体支持体表面の、パラ
トピック分子によって占拠されていないタンパク質結合
部位に、混合したタンパク質を吸着させる。
代表的なタンパク質水溶液はpH7.1-7.5のPBS中の約3
〜約10重量%のウシ血清アルブミンを包含する。タンパ
ク質水溶液−固体支持体混合物は代表的には37℃で少な
くとも1時間保持し、ついで固相をすすいで非結合タン
パク質を除去する。
すべに述べたごとく、液体血液試料は血漿又は血清で
ある。後で個々的に記述する、分析における直線関係を
得るために、試料は使用前に約1:2,500から約1:20,00
0、さらに好ましくは約1:5000に希釈するのが好まし
い。より小さい希釈度を用いると混合物にあまりに多く
のアポリポタンパク抗原を与え、分析結果の直線性を損
うのみならず、抗原に対する固相結合パラトピック分子
の過剰性を低め又はなくすことになる。約1:20,000より
大きい使用は精密性を減ずる傾向がある。
保持時間は、周囲室度(約20〜25℃)で最低約30分を
用いる限り、結果において殆ど変化なく広範囲に変化さ
せることができる。最低30分の保持時間を用いる場合、
保持混合物はその間攪拌して、アポリポタンパクA−I
抗原とパラトピック分子との間の実質上完全な免疫反応
を確保するのが好ましい。室温で1時間以上というよう
なより長い保持時間を用いる場合は攪拌を要しない。攪
拌は約100rpmで回転するジャイロシェーカー(gyro-sha
ker)によって供給される。定量法で用いられる各分析
は室温で約30〜約60分のパラトピック分子−試料混合物
保持時間を用いて行うことができる。
免疫反応物中のアポリポタンパクA−I抗原の量は分
離した酵素結合アポリポタンパク含有固相と予め設定し
た量の視覚化剤もしくは試薬の混合によって測定され
る。酵素表示手段としてHRPOを用いる場合、水性媒体中
の過酸化水素と酸化色素プレカーサー〔例えばO−フェ
ニレンジアミン(OPD)〕のような視覚化剤を分離した
固相結合免疫反応物と混合する。混合物を生物分析条件
下に周囲温度で少なくとも約30分のような予め設定され
た時間保持して発色を進行させる。ついで発色の進行を
4N硫酸のような停止試薬を添加して停止させる。よく知
られているごとく、組成物の光学密度を読み、標準曲線
値と比較してアポリポタンパクの量を決定する。
従って、一旦固体支持体及び液体試料を調製すると、
定量分析を室温で約1時間で行うことができる。すなわ
ちパラトピック分子及び試料から生じた混合物の攪拌を
伴う30分の保持時間及び発色進行のためのさらに30分の
保持時間である。実際問題として、各使用の直前に固体
支持体を調製する必要はなく、ここに述べるごとくかか
る支持体は使用前に調製し、少なくとも1ヵ月間は湿ら
せてカバーして通常の冷蔵条件下に保存することができ
る。
アポA−I定量分析ではエライサで得られた光学密度
値をそれに対して比較してアポリポタンパクの濃度を計
算する標準(standard)を用いる。この分析では第2の
標準を用いる。すなわち、標準として特定のHDL又はア
ポA−Iを用いるより、プールされたヒトHDLを標準と
して用いる。第2の標準を用いるのは貯蔵された第1の
アポリポタンパクやHDLが比較的不安定なためである。K
ottke及び共同研究者も第1標準として使用した精製ア
ポA−Iの劣化を見い出し、アポA−Iに対するポリク
ローナル血清を用いてそれらのRIA中の第2標準を用い
た。Au et al.,Clin.Chem.32、1394〜1397(1986)。
第2標準はHDL(アポA−I)を含有する凍結乾燥し
た、プールしたヒト絶食血漿として供給され、使用前に
再構成される。各標準はそれ自体第1のHDLもしくはア
ポA−I標準に対して標準化される。典型的手順は物質
及び方法の部(the Materials and Methods Section)
にアポリポタンパクA−Iについて説明する。
D.診断装置 本発明は、前述の方法を実践するのに用いることがで
きる、典型的にはキットの形をした、診断装置も考慮し
ている。その装置は、前述のアポA−Iと免疫反応を起
こすパラトピック分子の1つを含む容器を有している。
その容器はアポA−Iの検定を少なくとも1回行うに十
分な量の、それらパラトピック分子を含んでいる。
さらに好ましくは、その検定装置は、上記パラトピッ
ク分子と実効的に直接結びついている、もしくは、アポ
A−Iと上記パラトピック分子との免疫反応を知らせる
ことができるその他の分子と結びついている指示手段を
含む。
最も好ましくは、その装置は、液体血液試料中に存在
するアポA−Iを定量するのに適している。そのような
装置は、基本的に、アポA−Iと免疫反応を起こすパラ
トピック分子を結合し、そしてその表面の非特異的タン
パク質結合部位がブロックされている固体マトリックス
からなる固体支持体を含む第1の容器を含んでいる。
さらに、この装置は、アポA−Iと免疫反応を起こす
酵素結合パラトピック分子結合物を複合体第2の容器を
含有している。定量的なアポA−Iの測定に関してこれ
までに議論してきたように、同じ2つのパラトピック分
子が本装置で使用される。
上述の診断装置の固相マトリクスは、これまでに議論
してきた、どの固相マトリクスも使用することができ
る。前述の12穴ストリップや96穴マイクロプレートのよ
うなマイクロタイターウェルは特に好ましい。固体支持
体上の非特異的結合部位は、以前に議論した方法でブロ
ックした。固体マトリックスは、本態様の固相結合パラ
トピック分子のための容器を構成することができる。酵
素結合パラトピック分子のための典型的容器は、ガラス
もしくは、ポリエチレン又はポリプロピレンでできたバ
イアル又は瓶である。典型的固体マトリクスとしてマイ
クロプレート、固相結合パラトピック分子として全モノ
クローナル抗体AI-10、液体血液試料として血清、そし
て、HRPOに結合した全モノクローナル抗体AI-11を用い
た、より好ましい典型的なキット型の診断装置は、次に
示すものを含んでいる; a)非特異的タンパク質結合部位をブロックし、そし
て、血清試料中のアポリポタンパク質A−Iを検定する
のに十分な量のモノクローナル抗体AI-10を結合したマ
イクロプレートからなる固体支持体。
b)血清試料中に存在するアポA−Iの量を検定するの
に十分な量存在するHRPOに実効的に結合しているモノク
ローナル抗体AI-11を含む水溶液を含む、単独容器。
最も好ましくは、診断装置は上記成分及び以下に示す
ものを1つ以上含む;(i)既知濃度の過酸化水素、
(ii)OPDのような観察可能な酸化的色素前駆体、(ii
i)発色反応を抑える、4N硫酸のような停止剤溶液、(i
v)検定に使用する乾燥型又は液体型の1つ以上のバッ
ファ、(v)標準参照曲線を作成するための物質、及び
(vi)本検定を行うための説明書。上に列挙した各成分
は少なくとも1回の検定をするのに十分な量、その診断
装置中に存在し、そして、これらの成分は適当に別々に
容器されている。
II.結果 以前に示したように、登録された各ハイブリドーマに
よって分泌されるパラトピック分子は、HDL及びアポA
−Iの両方と免疫反応を起こす。HDL及びアポA−I
と、それらのパラトピック分子との免疫反応に対し、液
相中で得られた結果は、全トリクロロ酢酸沈殿化125I-H
DLに対するパーセンテージとして、以下の表1A及び1Bに
示した。
上記表1A中のデータから読み取ることができるよう
に、本発明のパラトピック分子は、カーチス(Curtis
s)及びエジントン(Edgington)により、1985年、ジャ
ーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Bio
l.Chem.)、260巻、2982〜2993頁に報告された抗体より
もはるかに125I-HDLとの免疫反応を起こす。また、上記
データは、カーチス(Curtiss)及びエジントン(Edgin
gton)により報告された同じ抗原に対する免疫反応性と
比較して、125I−アポA−Iと一般的に高い免疫反応性
を示した。さらに、研究により、標準物質の年令が、得
られる結果に大きな効果をもちうることが示された。
また、血液試料中のアポA−Iのイライザ測定におい
て、本発明のAI-10及びAI-11と比較して、カーチス(Cu
rtiss)及びエジントン(Edgington)の三種の抗−アポ
A−I及び抗−アポA-IIモノクローナルのいくつか組合
せを用いた研究を行った。
全んどのこれらの比較は、同等の結果を与えた。しか
し、いくつかの試料、特にCAD患者由来の血液試料は、
ここに述べられている検定及び他の方法により行なわれ
た検定と比較して、異常な結果を与えた。カーチス(Cu
rtiss)及びエジントン(Edgington)のモノクローナル
の2つの組合せに対し、これらの同等の、及び異常な結
果のいくつかを表2に示した。
上記データは、本発明のパラトピック分子の使用が、
異常試料中のカーチス(Curtiss)及びエジントン(Edg
ington)の抗体を用いて得られた結果と異なる結果を与
えることを示している一方、これらのデータは、その結
果が正しいことを示してはいない。下記の表3にまとめ
られたデータは、本発明のパラトピック分子を用いて得
られたデータが、カーチス(Curtiss)及びエジントン
(Edgington)抗体を用いて得られたデータと比較し
て、これら異常試料に対し、正しいことを説明してい
る。
表3にまとめたデータは、30人の正常で無症候性のヒ
ト(15名の男性及び15名の女性)に由来する血清及び、
または血漿及びここで述べられている定性的サンドイッ
チ検定法を用いて得られた。また、その検定は、2つの
市販のRIA(RIA-I及びRIA-II)及び2つの市販のRID(R
ID-I及びRID-II)を用いて行った。各供与者由来の試料
は各検定法で測定した。
上記まとめから読みとれるように、本発明のイライザ
法を用いて得られた平均値は、2つのRIA(低値側)及
び2つのRID(高値側)の中間の値である。このよう
に、本発明のイライザ法を用いて得られた結果の一般的
な正当性から、AI-10及びAI-11を用いて得られた表2中
のデータは本当に正しいように思える。
他のいかなる検定法と同様に、本発明の検定法は、標
準試料を使用する。イライザ検定法では、1次のアポA
−I又はHDL標準物質を使用することができるが、簡単
さと、正確さのため、好ましい態様では2次のHDL標準
物質が使用された。
用いられた第2の標準物質は、何人かの提供者からプ
ールした空腹時の血漿から得た。ここで、典型的には20
人の提供者からの血漿プールを用いた。2次の標準物質
は、それ自身、1次の標準物質に対し、標準化した。通
常、保存するには不安定であるということで、1次のア
ポA−I標準物質は使用されない。精製タンパク質又
は、そのタンパク質のグルタミン又はアスパラギン残基
は脱アミノ化することができると考えられるている。1
次標準物質として使用された時、同様のことが精製した
HDLについても起こることが考えられている。
本発明の定量的イライザ法において、2次標準物質を
用いて得られたデータの正当性をさらに確認するため
に、固相結合AI-10及びHRPO結合AI-11を、種々の市販の
アポA−I標準物質とともに用いて、一連のイライザ法
を行った。これらの結果を以下の表4に示した。
表4のデータを横に比較してみると分るように、全て
の標準物質について得られた結果は同じであった。ま
た、メロイ(Meloy)標準物質を用いて得られた値は、
一般的に言って、他の標準物質を用いて得られた値よ
り、いくぶんか近いことを見てとれる。さらに、メロイ
(Meloy)標準物質の提供者により示された値は、独立
した分析により見い出された値の約半分であったことを
注意しておく。
一連の測定は、本発明の定量検定の再現性(変動係
数)を確かめるため、上記市販標準物質を用い、約3ケ
月の期間に渡って行った。変動係数は約11〜13パーセン
トであることが分った。
本発明の検定を行うに当り、アポA−Iと、他のパラ
トピック分子との免疫反応を知らせる、指示手段結合パ
ラトピック分子が使用された。HDL粒子当り、1個以上
のアポA−I分子が存在するので、正確で精密な定量検
定結果を得るため、固相結合パラトピック分子及び指示
手段結合パラトピック分子が、アポA−I上の異なるエ
ピトープと必ず免疫反応するのかどうかは明確ではな
い。しかし、両パラトピック分子が全ての試料のアポA
−I又はHDLと実質的に免疫反応することができる限
り、その2つのタイプのパラトピック分子の各々が別の
パラトピック分子の免疫反応を阻害することがないこと
が望しい。
図1及び2の競合免疫酵素測定法から見てとれるよう
に、HRPO標識AI-10は、アポA−I及びHDLと免疫反応す
る。図1のデータは、標識したAI-10とアポA−Iとの
免疫反応が未標識のAI-10の存在により阻害されるが、
未標識のAI-11の存在によっては阻害されないことを示
している。図2は、固相抗原としてHDLを用いたのと同
様の結果を示している。また、HRPO標識AI-11を未標識
のAI-10と、及びAI-11を抗原としてアポA−I及びHDL
と用いることにより、同等の結果が得られた。
125I-HDL及び125I−アポA−Iを用いた付加的液相結
合研究がトサオ(Tsao)等により、(1982年)ジャーナ
ル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(J.Biol.Che
m.)257巻、15222〜15228頁に一般的に述べられているR
IA技術を用いて行なわれた。これらの研究の結果は、ト
リクロロ酢酸(TCA)により沈殿可能な全放射活性のパ
ーセンテージとして以下の表5に示した。
表5のデータは、使用した液相検定法において、放射
能標識したHDLに対する、全AI-10及びAI-11の比較的高
い結合能を示している。また、それらのデータは、アポ
A−Iの相対的不安定性及び低い結合性も反映してい
る。アポリポプロティンA−Iの相対的不安定性が、先
に議論したように、アポA−I検定における第二の標準
物質として、凍結乾燥した血漿プールの使用を必要とさ
せている。また上記データはAI-11がHDL粒子に対するよ
りもアポA−Iに対して、より低い結合性を示してい
る。にもかかわらず、表4におけるのと同様に、より複
雑な技術により得られたデータを、アポA−Iに対しイ
ライザ法を用いて得られたデータと比較すると、イライ
ザ法が検定した試料中に存在する実質的に全てのアポA
−I(HDL)を定量的に検出することが示される。
さらに、これまでに述べてきた、そして、これから材
料と方法のセクションでより詳しく述べられるように、
この検定法を用いて得られた結果は、以下に議論されて
いる。96穴のマイクロプレートのウェルを固体マトリク
スとして用いた。モノクローナル抗体全体は、固相結合
第一パラトピック分子として用いた。固体支持体表面上
の非特異的タンパク質結合部位は、BSAでブロックし
た。HRPO−結合モノクローナル抗体全体は、第二及び第
四のパラトピック分子として、観察可能な酸化的色素前
駆体としてのOPDと共に用いた。
アポA−Iの検定は、CADの経験のない37名の無症候
性のヒトに対して行った。これらの人は“正常人”と呼
ぶことにする。
アポA−I値は、液体血液試料として、希釈した血漿
及び血清を用いて得た。これらの値は、2つの試料源の
間で統計的に有意な差は示されず、使用に当って平均化
した。
“正常人”の結果を23名の男性及び14名の女性を別け
た値、及び合せた値として、以下の表6に示した。診療
的にCADを保有していると診断された42名の男性の血清
及び血漿から得られたアポA−Iの同様のまとめも、表
6に示した。
上記のデータを見直し、そして、コトク(Kottke)等
が、マヨ クリニカル プロシージャ(Mayo Clin.Pro
c.)、61巻、313〜320頁に報告したデータと、これらの
データを比較してみると、上記検定におけるアポA−I
に対する正常人とCAD患者の平均値は、コトク(Kottk
e)等により報告されたものと同じである。両タイプの
検定法で同じ標準偏差が得られた。
この結果の同一性はいくつかの理由で驚くべきことで
ある。第1に、コトク(Kottke)等の研究者は、彼等の
検定に対し、界面活性剤(トウィーン20)によるアンマ
スキング処理を用いているのに対し、本液体血液試料で
は、そのような処理は行なわなかった。第2に、コトク
(Kottke)等のグループは、ここで用いたイライザ法よ
り、より正確であると一般的に考えられている放射性免
疫検定法を用いている。ボラー(Voller)等、1976年ブ
レチン・イン・ワールド・ヘルス・オーガニゼーション
(Bull,World Health Organ.)53巻、55〜65頁)。
第3に、相対的に異種のアポA−Iと、うまく免疫反
応を起こすことのできると通常考えられているポリクロ
ーナル抗体をコトク(Kottke)等は用いているのに対
し、ここでは、モノクローナル抗体を用いている。第4
に、コトク(Kottke)等のグループは、彼等のポリクロ
ーナル抗体と、アポA−Iとの免疫反応のために、16時
間、室温に維持しているが、ここでは、室温で30分間と
いう条件を採用している。
III.材料と方法 A.リポプロティン 本研究では、地方血液銀行(CA、サン・ディエゴ・サ
ン・ディエゴ血漿センター)における正常な絶食提供者
の血液のプラズマオレシスにより得られた血漿から、リ
ポプロティンを単離した。その目的のために、そのよう
にして得られた血漿を最終濃度が、5ミリモラー(mM)
ベンズアミジン、1mMジイソプロピルフルオロホスフェ
ート、10mMエチレンジアミンテトラアセチック・アシッ
ド(EDTA)、ミリリットル当り10ミリグラム(10mg/m
l)の大豆トリプシン・インヒビター及びミリリットル
当り10,000ユニットのアプロチニンとなるよう調整し
た。それから、密度調整として固体のシュウ化カリウム
(KBr)を用いた連続超遠心により、この調整した血漿
からリポプロティンを単離した。
第1に、その調整血漿を、約200,000xgで18から24時
間遠心した。団体KBrを、密度がミリリットル当り1.063
グラム以上になるまで下層に加えた。その混合物を1.06
3g/mlの密度のKBrを含む0.1%EDTA溶液の下に重層し、2
00,000xgで48時間以上遠心した。
再び下層を回収し、密度が1.21g/ml以上になるまで団
体KBrを加えた。その調整層を、密度1.21g/mlのKBrを含
む0.1%EDTA溶液の下に重層し、さらに200,000xgで48時
間以上遠心した。
その後、最上層を回収し、その密度が1.063g/ml以上
になるまで団体のKBrを加えた。その調整最上層を、密
度1.063g/mlのKBrを含む0.1%EDTA溶液の下に重層し、
さらに、200,000xgで48時間以上遠心した。
中間層を回収し、そして、その密度が1.21g/ml以上と
なるまで固体KBrを加えた。この調整中間層を密度1.21g
/mlのKBrを含む0.1%EDTA溶液の下に重層し、そして、3
00,000xgで48時間以上遠心した。
最上層を回収し、1.063から1.21g/mlの密度に相当す
る物質を高密度リポタンパク(HDL)と命名した。その
回収したHDLを150mM NaCl、1m EDTA、0.005%アルファ
ートコフェロール、及び5mMベンズアミジンを含むリポ
プロティンバッファ(LLB)に対し透析し、そして、そ
の保存は、無菌条件下でわずか21日間とした。
B.アポプロティンA−Iの単離 アポプロティンA−I(アポA−I)は、高速液体ク
ロマトグラフィーを用いたサイズ分画と、それに続く、
キノシタ(Kinoshita)等(1983年、ジャーナル・オブ
・バイオケミストリー(J.Biochem.)94巻、615〜617
頁)の操作により、脱脂したHDL(以下に議論する)か
ら精製した。約30mgのエーテル:エタノール脱脂HDL
を、200マイクロリットルの0.1%ラウリル硫酸ナトリウ
ム(SDS)、0.1Mリン酸ナトリウム(pH7.0)に溶解し、
そして、スフェロゲル−TSK3000SWHPLCカラム(CA、フ
ラートン(Fullerton)、ベックマン・インスツルメン
ト・インク(Beckman Instruments Inc.))によりサイ
ズ分画し、そしてマイナス20℃で精製したアポA−Iを
含む画分を保存した。
C.パラトピック分子の生成 5種のパラトピック分子は、ここで議論されている標
準融合プロトコールを用いて、免疫化Bal b/c ByJマウ
ス(CA、ラ・ジョラ(La Jolla)、スクリップス・クリ
ニック・アンド・リサーチ・ファンデーション・ビバリ
ウム(Scripps Clinic and Research Foundation Vivar
ium))由来の脾臓細胞の3度の別々の融合から得られ
た。培養液の上清を収穫し、そして以下に述べるよう
に、まず固相によりスクリーニングし、さらに陽性なら
ば、液相放射性免疫検定により再スクリーニングした。
全てのハイブリドーマを、限定希釈により、少なくとも
2度クローン化し、そして、液体窒素中で凍結保存し
た。
簡便に、Bal b/c ByJマウスを完全フロイントアジュ
バント(CFA)中の免疫原としてのヒトのHDLで腹膜注射
(i.p.)により免疫化し、つづいて不完全フロイントア
ジュバント(IFA)を用いて、各約三週間をおいて、第
二及び第三の免疫化を行った。ハイブリドーマAI-10(A
TCC HB 9200)だけに対しては、そのHDLをまずグルタル
アルデヒドで交叉結合し、そしてその後、最初にCFA中
のインターフェロン−ガンマ(IFN−γ)500ユニットと
共に注射して、そして、引き続くIFA免疫化において
は、IFN−γなしで注射した。グルタルアルデヒドで交
叉結合させたHDLをリン酸緩衝食塩水中、最終濃度0.04
パーセントのグルタルアルデヒドと新鮮なHDLを、20℃
で18時間反応させることにより調製した。ハイブリドー
マAI-11、AI-12、AI-13及びAI-14(ATCC HB9201、HB920
2、HB9203及びHB9204)に対する免疫には、本来のHDLを
用いた。全ての場合、最後のアジュバント含有免疫化後
の約3ケ月、そのマウスは、正規の生理食塩水中の本来
のHDLの追加免疫静脈注射を受け、そして、1日後、第
二の同様の追加免疫注射を受けた。
そのように処理した動物を最後の追加免疫の約3日
後、犠牲とし、そして、各々のマウスの脾臓を収穫し
た。そして、脾臓細胞懸濁液を調製した。それから、脾
臓細胞を、23℃、1000rpm、10分間の遠心により、脾臓
細胞懸濁液から抽出した。上清の除去後、その細胞のペ
レットを5mlの冷NH4Cl溶解バッファ中に再懸濁し、そし
て約10分間インキュベートした。
その溶解懸濁液に、10mlのダルベコ(Dulbecco)修正
イーグル・メディアム(DMEM)(ギブコ(Gibco))及
びHEPES(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペリ
ジン−エタンスルホン酸)バッファを加え、そして、そ
の混合物を23℃、1000rpm、約10分間遠心した。
その上清をデカンテーションし、そのペレットを、15
mlのDMEM及びHEPESに再懸濁し、そして23℃、1000rpm、
約10分間遠心した。上記の操作をくり返した。
それから、ペレットを5mlのDMEM及びHEPESに再懸濁し
た。その脾臓細胞懸濁液の部分標本を計数のために取り
除いた。
融合は、非分泌マウスミエローマ細胞系列P3×63Ag8,
653.1、P3×63Ag8,653系列のサブクローン(ATCC)を用
いて、次に示す方法で行った。約1対10又は、約1対5
の、脾臓細胞に対するミエローマの比を用いて、十分な
量のミエローマ細胞をペレットへと遠心し、15mlのDMEM
及びHEPESで2度洗浄し、そして23℃、1000rpm、10分間
の遠心を行った。
脾臓細胞及びミエローマ細胞を、15mlの丸底管内で合
わせた(ファルコン(Falcon))。その細胞混合物を、
23℃で、1000rpm、10分間遠心した。そして、その上清
を吸引により取除いた。その後、約37℃で、200μlの3
0パーセント(重量/体積)のポリエチレングリコール
(分子量4000)水溶液(PEG、MD、バルチモア(Baltimo
re)ATCC)を、激しく撹拌しながら1mlピペットで加
え、そのペレットを破壊した。そして、細胞を15から30
秒間穏やかに混合した。その細胞混合物を700rpmで4分
間遠心した。
PEGを加えた時から約8分後、細胞をみださないよう
に、そのペレットに5mlのCMMプラスHEPESバッファをゆ
っくりと加えた。1分後、生成した混合物を1mlピペッ
トを使って分散し、さらに4分間インキュベートした。
この混合物を1000rpmで、7分間遠心した。そして上清
をデカンテーションし、5mlのHT(ヒポキサンチン/チ
ミジン)培地をゆっくりとそのペレットに注ぎ、そし
て、その混合物を、乱すことなく5分間維持した。それ
からそのペレットを、大きな塊りに壊し、さらにその最
終的な細胞懸濁液を、7.5mlのHT培地を予め入れておい
たT75フラスコ(フラスコ当り2.5ml)に移した。生成し
た細胞懸濁液を37℃でインキュベートし、その融合細胞
を生育させた。24時間後、そのフラスコに10mlのHT培地
を加え、6時間後、0.3mlの0.04mMアミノプテリンを加
えた。融合後48時間後に、そのフラスコに10mlのHAT
(ヒポキサンチン/アミノプテリン/チミジン)培地を
加えた。
融合後3日後、生育可能細胞を、ケネット(Kennet
t)等がカレント・トップ・マイクロビオル・イムノル
(Curr.Top.Microbiol.Immunol.)81巻、77頁(1978)
に報告したように、HATバッファー中、ウェル当り、約
2×104個の生育可能細胞(計768ウェル)となるよう
に、96穴の組織培養プレートに捲いた。その細胞を、融
合後7日後、HAT培地で生育させ、そして、その後は、
必要に応じて、4〜5日間隔でHT培地で生育させた。生
育を顕微鏡で追跡し、そして、抗体を含む培養上清を14
日後に、カーチス(Curtiss)及びエジントン(Edgingt
on)が1982年、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケ
ミストリー(J.Biol.Chem.)257巻、15213〜15221頁に
述べているように、固相放射性免疫検定法(RIA)によ
って、HDL特異的抗体産生を検定するために収集した。
そのように調製した抗−HDL抗体を産生するハイブリ
ドーマをスクリーニングし、検定し、そして、それらの
生育能力を測定した。本発明のハイブリドーマを、その
培養培地中への抗−HDL抗体を分泌する約30のハイブリ
ドーマ培養物からスクリーニングした。
D.パラトピック分子の調製と精製 0.3mlのミネラルオイルで感作され、そして、3〜50
×105ハイブリドーマ細胞を腹腔内に注射した、10週令
のBalb/cマウスから、腹水液を得た。腹水の発生のため
の平均時間は9日間であった。23℃、15,000xg、15分間
の遠心による透明化につづいて、各ハイブリドーマから
作られた腹水液をプールし、−20℃で保存した。
5個の各ハイブリドーマからの精製したパラトピック
分子を、カラムの説明書に従って、10mMトリス(pH8.
0)中で0→0.5モル(M)のNaCl勾配を用いた、ファル
マシア・モノ・Q HR5/5アニオン交換カラム(ファルマ
シア・ファイン・ケミカルス、NJ、ピスカタウェイ(Pi
scataway))を使用して、高速タンパク質液体クロマト
グラフィーにより調製した。精製したモノクローナル抗
体をアミコン(Amicon)の撹拌限外濾過セルを用いて1m
g/mlの濃度まで濃縮し、PBS(リン酸緩衝生理食塩水、p
H7.2)に対し透析し、−70℃に保存した。
カーチス(Curtiss)及びエジントン(Edgington)に
より(1985年)ジャーナル・オブ・バイナロジカル・ケ
ミストリー(J.Biol.Chem.)260巻、2982〜2993頁に報
告されたように、モノクローナル抗体AI-4、AI-7、AI-9
及びAII-1を調製した。
E.放射性ヨウ素化 HDL、アポ−A−I及び免疫化学的に精製したヤギの
抗−マウスIgの放射性ヨウ素化は、エンザイモビーズ、
ヨウ素化操作法及びバイオラド(CA、バーリンガム(Bu
rlingame))から入手したエンザイモビーズを用いて、
酵素的に行った。そのエンザイモビードヨウ素化は、以
下に述べる固相放射性免疫検定法に対し、抗原及び抗体
を特徴づけるのに利用した。
F.リポプロティンの溶剤による脱脂 必要に応じ、リポプロティンを、有機的抽出により脱
脂し、脱脂リポプロティンと呼んだ。この目的のため、
分析すべきリポプロティンをpH7.5の0.01パーセントEDT
A溶液に対し、一晩透析した(約18時間)。
生成した試料を0.003パーセントEDTAに対し、約12時
間透析し、そしてチューブ当り、10〜20ミリグラムのタ
ンパク質を凍結乾燥した。各チューブに対し、4℃で、
無水アルコール:無水エーテル(1:1)35mlを加え、で
きた混合物を攪拌した。
混合後、その溶液を−20℃で20分間、インキュベート
した。さらにその溶液を0℃で1000rpm30分間の遠心を
行い、その上清をデカンテーションした。
上述のエタノール・エーテル抽出をあと2回、計3回
行った。さらに、4℃において、35mlの無水エーテルを
その試料に加え、そして、−20℃に30分間保持した。そ
の試料を、−20℃で1000xg、30分間の遠心を行い、その
上清をデカンテーションにより廃棄した。そのペレット
を窒素ガスを用いて乾燥した。
G.定量的アポA−I(HDL)サンドイッチイライザ法 1.アポA−Iの一次標準物質:HDL及び単離したアポリポ
プロティンA−Iの定量 HDL画分(1.063〜1.21g/ml)を、標準的超遠心技術に
より、プールしたヒトの血漿から得、PBSに対し透析し
た。さらに0.45ミクロン・アクロディスク・フィルター
・ユニットで濾過することにより除菌し、そして、4℃
で保存した。そのHDL画分のタンパク質含量をBSAを標準
物質とした。修正ローリー(Lowry)タンパク質検定法
により測定した。そのHDL画分の三種の希釈物について
2度づつ分析を行い、標準曲線の線形部分範囲内での測
定値を確保した。例えばHDL画分の1:5、1:10及び1:20希
釈物で行ない、通常のタンパク質濃度は、5〜10mg/ml
の範囲にあった。さらに長期保存するために、そのHDL
画分を1〜2mg/mlのタンパク質濃度となるように、PBS
で希釈した。希釈後、再び、そのタンパク質濃度を1:
2、1:5及び1:10希釈についてローリー検定法で確かめ
た。それから希釈したHDL画分を小分けし、4℃に保存
した。
いくつかの市販元から、単離したアポリポプロティン
A−Iを入手することができる。製造業者は、通常、タ
ンパク質含量や純度を提供しているが、タンパク質濃度
は、常にローリー法で確かめ、必要なら、これらの結果
に基づいて調整した。アポA−I調製の希釈は、以前の
セクションで述べたように行った。その調製物を小分け
し、そして、製造業者により示された方法に従がい保存
した。
さらに、そのHDLそして、またはアポA−I調製物を
アポA−Iイライザ法(以後述べられる)において、未
知試料(1:5000希釈)として検定した。完全な標準物質
セット、定性コントロール及びHDLそして、またはアポ
A−I調製物の希釈物を含む、1日当り、最低2枚の検
定プレートを5日間に渡って検定した。HDLそして、ま
たはアポA−Iに対して得られた、イライザ法による測
定値は、ローリータンパク質検定法による値と20%の誤
差範囲で一致していた。もし、この値が設定限界を越え
ていたなら、ローリー検定法をくり返し、その定められ
たタンパク質濃度を確認した。その値がそれでも異なる
場合は、その調製物の老朽化又は汚染が通常指示され、
一次標準物質として使用するのにふさわしいとは思えな
かった。
また、一次標準物質の純度は、分析用のラウリル硫酸
ナトリウム−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法:SDS-P
AGEにより測定した。
2.アポA−Iイライザ法二次標準物質の調製及び値の割
振り a.凍結乾燥した血漿標準物質の調製、 新鮮な血漿又は血清を、一晩絶食した少なくとも10名
のノルモリピデミック(normolipidemic)なヒトから採
取した。
フェルボトミーは、非外傷性静脈穿刺により、EDTA、
2ナトリウムを含む滅菌チューブを用いて行った。その
試料を4℃で、1500xg、30分間遠心した。そして、その
血漿を、清潔でしっかりとキャップした試験管に移し、
そして、4℃にわずか24時間保存した。等量の試料と合
わせ、0.5mlの部分標本を酸洗浄したウィートン(Wheat
on)の5ml血清バイアルに移し、そして一晩(約16〜18
時間)凍結乾燥した。そのバイアルをシールし、4℃で
保存した。
b.凍結乾燥した血漿標準物質の再構成 バイアルを再構成前に室温に戻した。アルミニウム・
リングとストッパーを除き、バイアル中の真空を開放し
た。精密なピペットを用いて、乾燥、プールした標準物
質を、2回の0.5ml蒸留水をバイアルの壁にゆっくり分
配することにより再構成した。再びストッパーをして、
そのバイアルをすばやく3〜4回振り混ぜ、少なくとも
30分間室温に放置した。その標準物質を、完全に溶解す
るのに、激しく撹拌せず、おだやかに振り混ぜた。
c.アポA−I二次標準物質の値の割り振り 凍結乾燥した二次標準物質のアポA−I値をキャリブ
レーターとして一次標準物質(HDL又はアポA−I)を
用いたアポA−Iイライザ法で測定した。このイライザ
検定操作をここで述べる。
凍結乾燥した二次標準物質を、少なくとも10日間、1
日当り、最少2個の検定プレートについて、3度未知試
料として検定を行い。最小20個の値(三度の平均)を得
た。二次標準物質について得られた全ての値を平均し、
そしてそのアポA−I値をデシリットル当りのミリグラ
ム数(mg/dl)で示した。
一度、その値の割振りをしてしまうと、その二次標準
物質を、一次標準物質曲線を使って、同様のイライザ法
で検定した標準曲線を、完全なコントロールのセットを
用いて作ることに使うことができる。一次及び二次の標
準曲線の検定は、5日間にわたって、1日当り最小限2
個の検定96穴プレートについて行った。一度、その値の
割振りが受け入れられれば、標準曲線が作られ、5日間
にわたって、現在受け入れられているロットの凍結乾燥
した標準物質をつかって、同じイライザプレートについ
て検定される。
3.一般的検定法 単離したAI-10分子を、各ウェル当り、ミリリットル
当り5マイクログラムの濃度でAI-10を含む、pH9.0の重
炭酸バッファ、0.15mlを加えることによって、ポリスチ
レンマイクロプレート(CA、サンタ・アナ(Santa An
a)、アービン・サイエンティフィック(Irvin Scienti
fic)、ナンク・イムノプレート1(Nunc-Immuno Plate
1)のウェルの壁に固定した。そのプレートを4℃に18
時間維持し、そして、0.1%のBSA及び0.05%ポリエチレ
ン(20)ソルビタン・モノラウレート(トウィーン(Tw
een)20)を含むPBSで3度洗浄した。それから、残留す
る非特異的結合部位を各ウェル中に10%BSAを含む0.2ml
のPBSを加え、37℃で1時間その混合物を維持し、つい
で洗浄することにより、ブロックした。そのように調製
したウェルを加湿室に保存した場合、調製後約1ケ月ま
で使用することができた。
標準コントロール溶液として使用するために、1.0〜
0.031μg/mlの濃度範囲となるよう、ヒトのHDLをPBSで
希釈した。以前に記したように、アポA−Iは保存に関
し、比較的不安定であることが分ったが一方、HDLは比
較的保存に関し安定であるために、いくつかの検定にお
いて、ヒトのアポA−IよりもむしろヒトのHDLを標準
物質として用いた。血漿(又は血清)試料をPBSで1:500
0に希釈した。
標準試料もしくは試料50μlを各々三個ウェル中で混
合した。その後約5分以内に、HRPO標識化したAI-11パ
ラトピック分子を含む50μlのPBSを各ウェル中に加え
混合した。免疫反応混合物を25℃に30分間維持した。未
結合の物質を上述した方法に従い洗浄することによりウ
ェルから分離した。HRPO標識を含む固相固定したサンド
イッチ免疫反応物を、新しく調製した基質溶液(3%の
H2O2及び0.67mg/mlのO−フェニレンジアミンを含む蒸
留水)0.1mlを加えることにより検定した。
4.段階的アポA−I HDLサンドイッチイライザ法 次のステップは、アポリポプロティンA−Iサンドイ
ッチイライザ法を行うことである。市販のコントロール
を添付説明書に従がい脱イオン水で再構成した。
そのコントロールをおだやかに振り混ぜ、そして20〜
30分間室温に維持し、完全に溶解した。
a.試料及びコントロール 試料及びコントロールをPBSで1:5000に希釈した。一
連の希釈は、次のように行った。
20μl試料+1.98mlPBS(1:100); 40μlの上記希釈液+1.96mlPBS(1:5000) b.標準物質の希釈 単離したアポA−I(HDL)標準物質を4μg/mlとな
るようPBSで希釈した。それから、0.031μg/mlまでの2
倍の連続希釈を行った。例えば、868μg/ml含有の86052
7と命名したHDL調製物を用いて次のように。
4μg/ml=46μl+9.954ml PBS(1:217); 2μg/ml=1ml上記溶液+1mlPBS; そして、0.031μg/mlまで2倍希釈を続ける。
c.HRPO標識AI-11の希釈 PBS中の1:5000希釈したAI-11HRPO結合物抗体を用い
た。その希釈は次のように行った。
20μl+1.98mlPBS(1:100); そして、 240μlの上記溶液+11.76mlPBS(1:5000) 光を遮断するためにフォイルでカバーせよ。この量
は、2つのプレートに対し十分なものである。
d.3パーセント過酸化水素 30パーセントの過酸化水素(H2O2)を蒸留水で1:10に
希釈した。
e.O−フェニレンジアミン基質 15mlの蒸留水に1個のO−フェニレンジアミン(OP
D)錠剤(シグマ、ケミカル、(Sigma Chemical Co.)
セントルイス(St.Louis)、MO)、を溶かし、62.5μl
の3パーセントH2O2を加えた。光から保護するためフォ
イルでカバーをする。基質は使用前その都度新しく調製
した。
5.検定手順 a.室温付近(20〜22℃)で少なくとも20分間抗体結合イ
ライザプレートを平衡化した。バッグからプレートを取
り出し、逆さにすることで、ウェル中に残存するバッフ
ァを除いた。ウェル中を300μlの洗浄バッファ(0.1%
BSA及び0.05%トウィーン20を含むPBS(pH7.2)で満た
し、そして、10分間維持した。プレートを逆さにしてバ
ッファを除き、そして、ペーパータオルによって、プレ
ートを乾燥させた。検定の間、10分以上、ウェルを空の
ままにしてはならない。
b.各3個、50μlの標準物質又は試料をウェルに加え
る。
0μg/mlの標準物質は50μlのPBSを用いた。50μl
希釈HDL標準物質を標準ウェルに加えた(0.031、0.06
2、0.125、0.25、0.50、1.0μg/ml)。
50μlの希釈コントロール及び患者からの試料を各々
のウェルに加える。
c.全てのウェルに、ウェル当り50μlのHRPO結合抗体を
加える。
d.プレートをアルミニウムホイルで包み、そして、室温
付近(約20〜25℃)で30分間、ジャイロ−シェイカー
(約100RPM)の上に置いた。
e.ウェルを、ウェル当り300μlの洗浄バッファで満た
し、それからプレートを逆さにしてバッファを除く。も
う2回、計3回洗浄をくり返した。三回の洗浄のあとペ
ーパータオルでプレートを乾燥させた。プレートを乾燥
したままにしてはならない。
f.ウェル当り100μlの新しく調製したOPD基質を加え、
室温で30分間発色させた。
g.全てのウェルに4Nの硫酸50μlを加えて反応を停止し
た。492nmのO.D.値を測定した。
I.血漿試料及びリポプロティンの定量 血漿試料は、サンディエゴVA病院の、心臓カテライゼ
ーション研究室からの、冠状動脈病の20名の患者から入
手した。加えて、血漿を、37名の正常人から入手した。
血液を、1.5mg/mlのエチレンジアミンテトラ酢酸塩
(EDTA)を含むチューブに採取し、そして4℃で遠心し
た。
全血漿コレステロール及びトリグリセライドを、アボ
ットABA-200バイクロミック・アナライザー、及びベー
リンガー・マンハイムのハイ・パーフォーマンス・コレ
ステロール剤236691及びアボット・ラボラトリーズ・ト
リグリセライド剤を用い、標準診療室で、新鮮な血漿試
料について測定した。LDL−及びHDL−コレステロール
を、(1974年)、ガバーメント・プリント・オフ(Gov.
Print.Off.)、ワシントンD.C.第2版、HEW発刊番号75-
628(NIH)、脂質研究診療手順(Lipid Research Clini
c Procedures)に述べられている技術を用いて測定し
た。
定量的アポリポプロティンA−I検定法は、TX、フレ
ンズウッド(Friends wood)、アイソテックス・ダイア
グノスティクス・インク(Isotex Diagnostics,Inc.)M
E、ポートランド(Portland)、ベントレックス、ラボ
ラトリーズ・インク(Ventrex Laboratories,Inc.)C
A、バーリンガム(Burlingame)、タゴ・インク(Tago
Inc.)及びCA、ラ・ジョラ(La Jolla)、カルバイオケ
ム−ベーリング(Calbiochem-Behring)から提供される
市販の検定キットを用いても行った。各キットに付いて
いる説明書に従って検定を行った。
アポA−Iに対する定量的イライザ研究は、すでに述
べてきたように、提供者から入手した血清又は血漿試料
について、もしくは、研究調製物を譲ってもらったり、
又は、市販業者から入手した試料について、ここで述べ
られている方法に従って行った。これらの市販試料は、
VA、スプリングフィールド(Springfield)のメロイ・
ラボラトリース(Meloy Laboratories);CA、ラ・ジョ
ラ(La Jolla)のスクリップス・ラボラトリース(Scri
pps Laboratories);PA、マルバーン(Malvern)オメガ
/クーパー・バイオメディカル・インク(Omega/Cooper
Biomedical Inc.);OH、アクロン(Akron)のアイソラ
ブ・ラブ(Iaolab Lab);CA、ラ・ジョラ(La Jolla)
のカルバイオケム−ベーリング(Calbiochem-Behrin
g);GA、アトランタ(Atlanta)、疾病コントロールセ
ンター(the Centers for Diseas Control)を通して得
られるインターナショナル・ユニオン・オブ・イムノロ
ジカル・スタンダーズ(International Union of Immun
ological Standards)(IUIS);及びCA、エル・セグン
ド(El Segundo)のケミコン・インターナショナル・イ
ンク(Chemicon International、Inc.)から入手した。
ギフト試料は、NJ、ラリタン(Raritan)のオルト・ダ
イアグノスティック・システムズ・インク(Ortho Diag
nostics Systems、Inc.)の好意によった。アポA−I
標準物質は、メロイ・ラボラトリーズ(Meloy Laborato
ries)、スクリップス・ラボラトリーズ(Scripps Labo
ratories)及びケミコン・インターナショナル(Chemic
on International)から入手した。
J.液相125I標識抗原RIA AI-10、AI-11、AI-12、AI-13及びAI-14により結合さ
れた125I-HDL粒子及びアポA−Iの割合を測定するため
に、液相RIAを用いた(カーチス(Curtiss)とエジント
ン(Edgington)(1985年)ジャーナル・オブ・バイオ
ロジカル・ケミストリー(J.Biochem.Chem.)260巻、29
82-2993頁)。0.1mlの放射性ヨウ素化した抗原(HDL又
はアポリポプロティンA−I)に、0.1mlのリン酸緩衝
食塩水(pH7.2)及びマウス・ハイブリドーマ培養液又
は腹水液を1/50正常マウス血清でいろいろに希釈したも
の0.1mlを加えた。また全てのバッファも5%デキスト
ラン(分子量40,000)を含む。4℃、18時間後、沈殿化
のための第2抗体0.1mlを加えた。4℃、4時間のイン
キュベーシュン後、2mlの冷PBSを加え、そしてそのチュ
ーブを4℃で2000xg、30分の遠心をした。その上清をデ
カンテーションし、そして、そのペレットの125I活性を
ガンマ線計数器で測定した。最高の沈殿化放射性活性を
第二抗体を100%TCAと置き換えることにより測定した。
非特異的結合の沈殿化放射性活性最小値は、その特異的
ハイブリドーマ抗体を、同じH鎖類の無関係なハイブリ
ドーマ抗体と置き換えることにより測定した。
データは次のように計算した。
ここで“平均”とは、与えられた特異的抗体量の存在下
において沈殿する平均放射性活性、“NSB"とは本発明の
特異的パラトピック分子を、同じH鎖類の、無関係なハ
イブリドーマ抗体と置き換えることにより測定した、非
特異的に結合した沈殿化放射性活性量、及び“TCA"はTC
A沈殿化の放射性活性最高値を示している。
K.AI-10及びAI-11に対する競合免疫酵素測定検定法。
フレキシブルなポリビニルクロライド製のマイクロプ
レートを5μg/mlのHDL又は精製アポA−Iを含む、0.2
mlのリン酸緩衝食塩水(PBS)を用い、4℃、18時間
(一晩)でコーティングした。そのウェルを、リットル
当り1.0gのBSA及び0.5mlのトウィーン20を含む、0.3ml
のPBSで3回洗浄した。ウェルの残存する結合部位をリ
ットル当り30 BSAを含む0.2mlのPBSをウェルに入れ、室
温(20〜25℃)で約1時間インキュベートすることによ
りブロックした。それからそのウェルを洗浄バッファで
3度洗浄した。そしてそのプレートは直ちに使用した。
ホースラディッシュ・パーオキシダーゼと結合した0.
375μg/mlのAI-10を含むPBS(0.05ml)を、0〜8.0μg/
mlの未結合AI-10又は未結合のAI-11モノクローナル抗体
を含む0.05mlのPBSで予めコーティングしたウェル中で
インキュベートした。インキュベーション時間は、室温
で3時間である。それからウェルを洗浄バッファで3度
洗浄し、そして、O−フェニレンジアミン基質を含む0.
1mlのPBSを全てのウェルに加え、室温(20〜25℃)で30
分間インキュベートした。その発色反応を全てのウェル
に4N硫酸0.05ml加えることにより停止し、そして、各ウ
ェルの光学密度(O.D.)をダイナテク(Dynatech)96−
穴プレート読み取り器を用い、490ナノメーターで測定
した。
アポA−Iでコーティングしたプレートの結果を図1
に示し、そして、HDLでコーティングしたプレートの結
果を図2に示した。未標識AI-11分子の21倍の増加はHDL
又はアポA−Iへの結合に対し、有意に競合することは
なかった。この研究を、同濃度の未標識AI-10及びAI-11
とともにパーオキシダーゼで標識したAI-11を用いて繰
り返し、同様の結果を与えている。
本発明は、好ましい態様に関して述べられている。そ
して、当業者にとっては、公開されている事柄の修正そ
して、または変化は、ここで述べられている発明の範囲
を逸脱することなしに行なうことができることは明白で
あろう。
【図面の簡単な説明】
第1図は既知の一定量(0.375μg/ml)の西洋わさびパ
ーオキシダーゼ(HRPO)標識AI-10分子の増加量の非標
識化AI-10(▲)及びAI-11(■)分子の存在下での、固
相−結合試薬アポリポタンパクA−Iと免疫反応する能
力を示す図面である。縦軸は光学密度を表わし、横軸は
加えた非標識化競合モノクローナル抗体のμgである。 この図面は免疫反応混合物中の非標識化AI-10分子の量
を増していくと、固相免疫反応物として結合した標識AI
-10の量が減ずることを示している。すなわちアポA−
Iに対し、非標識AI-10は標識AI-10と競合する。 この図面は又非標識AI-11分子の量を増しても固相免疫
反応物として結合した標識AI-10分子の量は意味のある
程度には減じないことを示している。すなわち、非標識
AI-11分子はアポリポタンパクA−Iへの結合に際し標
識AI-10分子と競合しない。 第2図は固相結合抗原としてHDLを用い、又一定量(0.3
75μg/ml)HRPO標識AI-10分子、及び非標識AI-11分子
(■)及びAI-10分子(▲)を用いて得られた第1図と
同様な結果を示す。従ってAI-10及びAI-11モノクローナ
ル抗体分子は、単一のアポA−I分子に立体的に他方の
結合と競合せず、又他方の結合を阻害せずに結合するこ
とができるほど十分に、アポリポタンパクA−Iもしく
はHDLの表面で隔てられた異なるエピトープに結合す
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12P 21/08 (C12P 21/08 (C12P 21/08 C12R 1:91) C12R 1:91) 9281−4B C12N 15/00 C (56)参考文献 特開 昭60−253871(JP,A) 特開 昭62−58997(JP,A) 国際公開86/4144(WO,A) 国際公開86/5493(WO,A) Nature,256(1975)p.495− 497 Clinical Chemistr y,29[3](1983)p.415−426

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ATCC寄託番号HB 9200、9201、9202、9203
    及び9204を有するハイブリドーマからなる群から選択さ
    れるハイブリドーマによって分泌され、試料に含まれる
    高密度リポタンパク(HDL)の85.9〜100%と免疫沈殿す
    ることを特徴とするモノクローナル抗体又はそのパラト
    ープ含有ポリペプチド部分。
  2. 【請求項2】液体試料中のアポリポタンパクA−1の存
    在を測定するための使用に適する診断装置であって、 ATCC寄託番号HB 9200、9201、9202、9203及び9204を有
    するハイブリドーマからなる群から選択されるハイブリ
    ドーマによって分泌され、前記液体試料に含まれる高密
    度リポタンパク(HDL)の85.9〜100%と免疫沈殿するモ
    ノクローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペプチド
    部分を含有する容器を含み、 前記モノクローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペ
    プチド部分が、アポリポタンパクA−1の存在の一回の
    測定をするのに十分な量で存在することを特徴とする診
    断装置。
  3. 【請求項3】更に、表示手段を含むことを特徴とする特
    許請求の範囲第2項記載の診断装置。
  4. 【請求項4】液体血液試料中に存在するアポリポタンパ
    クA−1の量を測定するための使用に適した診断装置で
    あって、 (1)ATCC寄託番号HB 9200、9201、9202、9203及び920
    4を有するハイブリドーマからなる群から選択されるハ
    イブリドーマによって分泌されかつ試料に含まれる高密
    度リポタンパク(HDL)の85.9〜100%と免疫沈殿する第
    1のモノクローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペ
    プチド部分を有する固体マトリックスから本質的になる
    固体支持体を含む第1の容器であって、前記支持体の非
    特異的タンパク結合部位がブロックされている前記第1
    の容器、及び (2)ATCC寄託番号HB 9200、9201、9202、9203及び920
    4を有するハイブリドーマからなる群から選択されるハ
    イブリドーマによって分泌されかつ試料に含まれる高密
    度リポタンパク(HDL)の85.9〜100%と免疫沈殿する第
    2のモノクローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペ
    プチド部分を含む第2の容器であって、前記第2のモノ
    クローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペプチド部
    分が、前記第1のモノクローナル抗体又はそのパラトー
    プ含有ポリペプチド部分とは異なり、かつ前記第2のモ
    ノクローナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペプチド
    部分が表示手段に結合している、前記第2の容器、 を含有し、前記第1及び第2のモノクローナル抗体又は
    そのパラトープ含有ポリペプチド部分が、アポリポタン
    パクA−1の存在の一回の測定をするのに十分な量で存
    在することを特徴とする診断装置。
  5. 【請求項5】前記第1のモノクローナル抗体又はそのパ
    ラトープ含有ポリペプチド部分が、ATCC寄託番号HB 920
    0を有するハイブリドーマによって分泌されるモノクロ
    ーナル抗体又はそのパラトープ含有ポリペプチド部分で
    あることを特徴とする特許請求の範囲第4項記載の診断
    装置。
JP62245736A 1986-09-29 1987-09-29 アポリポタンパクa―1に対して特異性を有するモノクロ―ナル抗体又はそのパラト―プ含有ポリペプチド部分並びにそれを使用する診断装置 Expired - Lifetime JP2505218B2 (ja)

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