JP2504940B2 - 非水溶媒二次電地の負極電極 - Google Patents

非水溶媒二次電地の負極電極

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JP2504940B2
JP2504940B2 JP60007042A JP704285A JP2504940B2 JP 2504940 B2 JP2504940 B2 JP 2504940B2 JP 60007042 A JP60007042 A JP 60007042A JP 704285 A JP704285 A JP 704285A JP 2504940 B2 JP2504940 B2 JP 2504940B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (利用分野) 本発明は、軽量でエネルギー密度、最大出力密度が高
く、無公害な電池の製造を可能ならしめる電極を低コス
トで工業的に生産可能な非水溶媒二次電池の負極電極に
関する。
(従来技術) 近年、電池の高性能化に向けた研究開発の動きは激し
い。その一つに、炭素質材料を電極として電気化学的ド
ーピングを利用した再充電可能な二次電池の研究があ
る。たとえば負極にLi金属を、正極に黒鉛を用いた場
合、黒鉛層間に充電でC1O4 -、BF4 -などの陰イオンをド
ープすることができ、この時に生ずる起電力を利用して
電池として応用できる。放電時には、黒鉛層間からこれ
らのイオンが脱ドープされ、電流が取り出せる。こうし
て充放電の繰り返しができる二次電池として使用できる
(電気化学46,438(1978)など)。
しかし、この場合には、黒鉛層間にドープされたイオ
ンどうしの反発のためか、ドープ量に限度があり、エネ
ルギー密度も低いものであって、正極として黒鉛は不充
分である。また負極としてのLi金属は、充放電のサイク
ルを繰り返すにつれて、Li金属電極上に成長するデンド
ライトのために充放電のサイクル数を上げることができ
ず、負極として不充分である。
また、黒鉛を負極として用いた場合、Li+イオンなど
の陽イオンを層間にドープすることができるが、電解液
中で非常に不安定であり、電解液とも反応するなど、電
極材として不適である(J.Electrochem.Society.125,68
7(1978))。
また、市販の活性炭素繊維を両極に用いた電池が、特
開昭58-35881号公報に提案されている。しかし、特開昭
55-99714号公報に活性化炭素繊維を両極に用いた電気二
重層容量が提案されているように、電荷の蓄積及び放出
をイオンのドーピング、脱ドーピングで行うというより
は、むしろ活性炭電極と溶液の界面に正負の電荷が極め
て短い距離を隔てて相対して分布する電気二重層を利用
したものであり、エネルギー密度が上がらず、また、自
己放電がしやすくて長時間放電に耐えず、電圧の平坦性
も得られぬなどの、いくつかの重要な問題点を有してい
る。
一方、ポリアセチレンなどの導電性高分子を電極とし
て電気化学的ドーピングを利用した再充電可能な二次電
池の研究にも、多大の関心が寄せられている。たとえば
特開昭57-121168号公報には、アセチレン重合体を用い
た電池が提案されている。しかし、ポリアセチレンは空
気中で酸化劣化するなど不安定であり、溶媒に含まれる
微量の水分や酸素と反応して劣化し、電極としての安定
性に劣る。とくに負極として用いたポリアセチレンは電
解液中での劣化が激しい。
したがって、ポリアセチレンを両極に用いた電池は、
自己放電が激しく、また、充放電の電荷効率も悪く、高
性能で高信頼性の電池を得るのが難しい。負極電極とし
てLi金属を用い、ポリアセチレンを正極電極として用い
た電池では、充放電における電荷効率などの問題が、両
極にポリアセチレンを用いた電池と比較して改良される
が、この場合もやはり充放電過程を重ねるにつれて、Li
金属電極上に成長するデンドライトのために、充放電の
サイクル数を上げることができない等の問題がある。
(発明の概要) こうした現状に鑑み、本発明者らは、軽量で高エネル
ギー密度、高最大出力密度の無公害な二次電池の開発に
は、イオンのドーピング、脱ドーピンに対し安定で、か
つ多量のイオンをドープできる良好な負極電極が重要で
あること、とりわけ負極電極として優れた性能を有する
材料の開発が最大のポイントであるとの認識に立ち、優
れた負極電極用材料の開発に鋭意努力してきた。その結
果、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、ピッチを熱焼成して得られた下記
(1)、(2)を満足する擬黒鉛構造を有する炭素質材
料からなり、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はテ
トラアルキルアンモニウムないしその陽イオンがドープ
されている非水溶媒二次電池の負極電極である。
(1) 水素/炭素原子の原子比が0.01以上0.10以下で
あること。
(2) X線広角回折における(002)面の面間隔d002
が3.405Å以上3.620Å以下、c軸方向の結晶子の大きさ
(Lc)が11.2Å以上55Å以下、(110)面の面間隔d110
の2倍の距離(2d110)が2.455Å以下であること。
本発明の電極は、負極電極として用いた時に優れた電
池性能を発揮する。
(発明の具体的説明) 本発明において、負極電極とは、充電時に外部電源の
陰極に接続されている電子が送り込まれ、かつ陽イオン
がドープされる電極側の電極のことである。
本発明の電極に用いる炭素質材料の合成原料として用
いられるピッチは、原油の分解時に生成する原油ピッ
チ、ナフサの分解時に生成するエチレンヘビーエンドピ
ッチ、アスファルト分解時に生成するアスファルト分解
ピッチ、あるいは石炭の熱分解時に生成するコールピッ
チなど、炭素と水素からなる化合物の混合物であり、実
質的にキノリン不溶分を含まない等方性ピッチである。
この等方性ピッチを不活性ガス流下で加熱することで、
メソフェーズ含有率を上げてから、本発明に用いるピッ
チとして使用することもできる。本発明に用いるピッチ
は、これを熱焼成して生成する電極材料の充放電特性、
及び電極としての機械的強度のバランスから、通常はメ
ソフェーズ含有率0〜60%のものが用いられる。メソフ
ェーズ含有率は、室温における偏光顕微鏡観察によって
求めたもので、試料であるピッチの偏光顕微鏡視野中の
異方性部分の面積の占める比率を示すものである。
本発明の電極に用いる炭素質材料は、上述のピッチを
熱焼成して得られる。
ピッチは、熱焼成する前に200〜400℃の温度で、空気
等の活性雰囲気下に加熱する不融化処理を施すのが好ま
しい。
熱焼成は、真空中、あるいは不活性ガス(窒素、アル
ゴン等)流、酸化性ガス(空気等)流、又は両者の混合
ガス流下に実施される。通常は真空下、又は不活性ガス
流下で熱焼成される。
熱焼成温度は生成する高分子共役系の水素/炭素原子
の原子比に密接に関連しており、この原子比が0.01以上
0.10以下となるように熱焼成温度が選択される。通常は
500〜3,000℃、好ましくは1,000〜2,800℃、更に好まし
くは1,500〜2,700℃の温度で熱焼成される。
熱焼成する前の前記材料は粉状、粒状、など延伸を伴
わない各種の形態で用いられる。
本発明の電極に用いる炭素質材料は、熱焼成した後水
蒸気により賦活化する方法、熱焼成する前の形態を多孔
質とする方法など、公知の手段により比表面積を増加さ
せて用いるのが好ましい。
本発明の電極に用いる炭素質材料の比表面積は、好ま
しくは10m2/g以上、更に好ましくは100m2/g以上、とく
に好ましくは1,000m2/g以上である。
本発明の電極に用いる炭素質材料は、元素分析から求
められる水素/炭素原子の原子比が0.01〜0.10である。
水素/炭素原子の原子比が0.10を越えると、負極電極材
料として充放電過程における過電圧が大きくなり、良好
な充放電特性が得られない。
さらに本発明の電極に用いる炭素質材料は、X線広角
回折を用いて定量化される擬黒鉛構造において、(00
2)面の面間隔d002が3.405Å以上3.620Å以下、好まし
くは3.410Å以上3.620Å以下、更に好ましくは3.415Å
以上3.620Å以下、また、c軸方向の結晶子の大きさ(L
c)が11.2Å以上55Å以下、好ましくは11.2Å以上50Å
以下、更に好ましくは11.2Å以上45Å以下のものが望ま
しい。
さらに本発明の電極に用いる炭素質材料は、(110)
面の面間隔(d110)の2倍の距離(2d110)が2.455Å以
下であり、また、a軸方向の結晶子の大きさ(La)が17
Å以上、好ましくは19Å以上、更に好ましくは21Å以上
のものが望ましい。
また、本発明の電極に用いる炭素質材料は、電子スピ
ン共鳴スペクトル(23℃で測定)の一次微分吸収曲線か
ら求められるg値が1.97000〜2.0200の範囲にシグナル
を有し、かつそのシグナルの線幅(ΔHpp)が好ましく
は100ガウス以上、更に好ましくは200ガウス以上、特に
好ましくは300ガウス以上であるか、電子スピン共鳴ス
ペクトル(23℃で測定)の一次微分吸収曲線から求めら
れるg値が1.9700〜2.0200の範囲に、シグナルの線幅
(ΔHpp)が好ましくは100ガウス未満、更に好ましくは
200ガウス未満、特に好ましくは300ガウス未満であるシ
グナルを有しないものを用いることが望ましい。
場合によっては、2つ以上の電子スピン共鳴スペクト
ルのシグナルを有することもあるが、その場合、そのう
ちの少なくとも1つのシグナルのg値が1.9700〜2.0200
の範囲にあり、そのシグナルの線幅が100ガウス以上の
ものが望ましい。
また、電子スピン共鳴スペクトル(23℃で測定)の一
次微分吸収曲線のシグナルの線幅が極度に広がって、そ
のシグナルの判別が難しくなる場合がある。この場合、
電子スピン共鳴スペクトル(23℃で測定)の一次微分吸
収曲線のg値が1.9700〜2.0200の範囲に、シグナルの線
幅が100ガウス未満であるシグナルを有しないことが望
ましい。
本発明の電極に用いる炭素質材料は上述の擬黒鉛構造
を有し、いわゆる黒鉛にまで発達した規則的な積層構造
を有しない。
このような炭素質材料は、単独で、あるいは炭素繊維
などの導電材、補強材等を加えた形で各種の形状に成形
して、電極として用いられる。
本発明の電極を用いた電池は以下のような構成を有す
る。すなわち負極には擬黒鉛構造の炭素質材料を主な活
物質として用いる。正極には活性化炭素繊維など、正極
電極材料として比較的良好な特性を有する電極材料が選
ばれる。
電解質としてはLiClO4、LiCl、LiPF6、KCNS、NaPF6
LiBF4、N(Bu)4ClO4、N(Bu)4Clなどのアルカリ金
属塩、アルカリ土類金属塩、又はテトラアルキルアンモ
ニウム塩を、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、アセトニトリル、γ−ブチロラクトン、ジメチ
ルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、グライム類など、一般に電池
に用いられる有機溶媒の一種又は二種以上の混合溶媒に
溶解させたものを通常は用いる。分解電圧の高い溶媒を
用いるという観点からは、有機溶媒としてプロピレンカ
ーボネート、エチレンカーボネートなどが好ましい。ま
た、液漏れのないコンパクトな電池を得るためには、常
温あるいは電池の使用温度で固体の電解質を用いるのが
好ましい。
上記の構成からなる電池の両極に、外部電源により一
定電圧をかけて、あるいは定電流が流れるように電圧を
規制するなどして充電操作を行うと、正極には陰イオン
が、負極には陽イオンがドープされて、それぞれP型電
極,N型電極となり、この両極に生じる起電力を利用し
て、電池として使用することができる。放電時には、各
電解質イオンはそれぞれの電極から脱ドープされ、電流
が取り出せる。こうした充電、放電のサイクルを繰り返
すことにより、二次電池として使用することができる。
また、ドープ量の異なるN型電極どうしを用いても起
動力を生ずるが、その起動力は両極にP型、N型電極を
用いた場合に比べて低いものとなる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。な
お元素分析、電子スピン共鳴スペクトル、X線広角回折
の測定は、下記の方法により実施する。
〔元素分析〕
サンプルを120℃で約15時間減圧乾燥後、ドライボッ
クス内において、ホットプレート上で100℃にして1時
間減圧乾燥し、アルゴン中でアルミニウムカップにサン
プリングして、パーキンエルマー240C型元素分析計を用
いて測定した。
〔電子スピン共鳴スペクトル〕
電子スピン共鳴の一次微分吸収スペクトルは、JEOL JES
-FE IX ESRスペクトルメーターを用い、Xバンドで測定
する。粉末状の試料はそのまま、微小片状試料はメノウ
乳鉢で粉末化して、外径2mmの毛細胞に入れ、さらに毛
細胞を外径5mmのESR管に入れる。高周波磁場の変調幅を
6.3ガウスとする。以上すべて空気雰囲気下、23℃で行
う。一次微分吸収スペクトルのピーク間の線幅(ΔHp
p)は▲M2+ n▼/MgO標準試料を用いて決定する。
(X線広角回折) 本発明において採用する(002)面の面間隔d002、c
軸方向の結晶子の大きさLc、(110)面の面間隔d110
a軸方向の結晶子の大きさLaは、下記の方法で測定し
た。
(1) (002)面の面間隔d002 試料が粉末の場合はそのまま、微小片状の場合にはメ
ノウ乳鉢で粉末化し、試料に対して約15重量%X線標準
用高純度シリコン粉末を内部標準物質として加え混合
し、試料セルに詰め、グラファイトモノクロメーターで
単色化したCuK線を線源とし、反射式ディフラクトメー
ター法によって広角X線回折曲線を測定する。曲線の補
正には、いわゆるローレンツ、偏光因子、吸収因子、原
子散乱因子等に関する補正は行わず、次の簡便法を用い
る。
すなわち、(002)回折に相当する曲線のベースライ
ンを引き、ベースラインからの実質強度をプロットして
直して(002)面の補正曲線を得る。この曲線のピーク
高さの3分の2の高さに引いた角度軸に平行な線が回折
曲線と交わる線分の中点を求め、中点の角度を内部標準
で補正し、これを回折角の2倍とし、CuKα線の波長λ
とから、次式のプラッグ式によってd002を求める。
λ:1.5418Å θ:回折角 (2) c軸方向の結晶子の大きさ:Lc 前項で得た補正回折曲線において、ピーク高さの半分
の位置におけるいわゆる半値幅βを用いて、c軸方向の
結晶子の大きさを、次式により求める。
形状因子Kについては種々議論もあるが、K=0.90を
用いる。λ、θについては前項と同じ意味である。
(3) (110)面の面間隔d110 上記d002の測定法に準じた。
(4) a軸方向の結晶子の大きさLa 上記(Lc)の測定法に準じた。
実施例1 ピッチを電気加熱炉にセットし、窒素流下20℃/分の
速度で1,200℃まで昇温した。さらに窒素流下に1,200℃
で1時間保持した。こうして得られた試料の元素分析か
ら求めた水素/炭素の原子比は0.04、X線広角回折から
求めた(002)面の面間隔d002は3.50Å、c軸方向の結
晶子の大きさ(Lc)は24.0Å、(110)面の面間隔d002
の2倍の距離2d002は2.43Å、a軸方向の結晶子の大き
さ(La)は19.4Åであった。
〔上記試料を負極電極に用いた電池〕
上記試料8mgを55メッシュの白金製金網に包み、一方
の電極とした。また、セルロース系活性炭素繊維フェル
ト(東洋紡社製KF-1600)8mgを同様に55メッシュの白金
製金網に包み、もう一方の電極とした。両電極間に0.5m
mの厚みのグラスファイバー濾紙を隔膜としておき、全
体を、濃度1モル/リットルのLiClO4のプロピレンカー
ボネート溶液に浸した。両電極間に白金線をリード線と
してつないだ。ポテンショスタット/ガルバノスタット
(北斗電工社製HA-501)の陰極に上記試料を白金製金網
に包んだ電極を、また、陽極にセルロース系活性炭素繊
維フェルトを白金製金網に包んだ電極を接続し、両電極
間に0.15mAの一定電流を流して、クーロンメーター指示
値で3.00のクーロンの電荷を充電した時点で充電を打ち
切った。充電時の平均電圧は3.2Vであった。その後、回
路をオープンにしたまま30分間放置したが、セル電圧は
充電直後に比し0.03V低下したにとどまった。その後、1
kΩの抵抗を両極間につないで定抵抗放電を実施したと
ころ、セル電圧が1.0Vになるまでに放電した電荷量は2.
10クーロンであった。また、放電時の平均セル電圧は2.
7Vであった。
上述の充電及び放電の操作を繰り返したところ、5回
目の充電量3.00クーロン、平均セル電圧3.1Vに対し、放
電電荷量2.15クーロン、平均セル電圧2.6Vであった。6
回目の充電後、15時間放置した後、1kΩの定抵抗放電を
実施したところ、充電電荷量3.00クーロン、平均セル電
圧3.0Vに対し、放電電荷量1.7クーロン、平均セル電圧
は2.1Vであった。
比較例1 市販のフェノール活性炭素繊維(日本カイノール社製
ACN-504)の元素分析から求めた水素/炭素の原子比を
表1に示した。水素/炭素原子は0.230であった。
この市販のフェノール活性炭素繊維(日本カイノール
社製ACN-504)8mgを負極に用いた以外はすべて実施例1
と同様の方法で電池を構成し、実施例1と同様の方法で
充電した。クーロンメーター指示値で3.00クーロンの電
荷を充電した時点で充電を打ち切った。充電時の平均セ
ル電圧は3.5Vであった。その後、回路をオープンにした
まま30分間放置したが、セル電圧は充電直後に比し0.3V
低下した。その後、1kΩの抵抗を両極間につないで定抵
抗放電を実施したところ、セル電圧が1.0Vになるまでに
放電した電荷量は1.50クーロンであった。また、放電時
の平均セル電圧は2.1Vであった。
上述の充電及び放電の操作を繰り返したところ、5回
目の充電量3.00クーロン、平均セル電圧3.4Vに対し、放
電電荷量1.50クーロン、平均セル電圧2.1Vであった。6
回目の充電後15時間放置した後、1kΩの定抵抗放電を実
施したところ、充電電荷量3.00クーロン、平均セル電圧
は3.4Vに対し放電電荷量1.20クーロン、平均セル電圧は
1.7Vであった。
比較例2 グラファイト質炭素繊維の元素分析から求めた水素/
炭素の原子比を表1に、電子スピン共鳴スペクトルの一
次微分吸収曲線を第3図に、X線広角回折から求めた
(002面)の面間隔d002、及びc軸方向の結晶子の大き
さ(Lc)を表2に示した。これらのデータより、上記試
料の水素/炭素原子比は0.040以下、電子スピン共鳴ス
ペクトルから求めたg値が2.003のシグナルの半値値
(ΔHpp)は50ガウスであった。また、X線広角回折か
ら求めた(002)面の面間隔d002は3.402Å、c軸方向の
結晶子の大きさ(Lc)は165Åであった。
〔上記試料を負極電極に用いた電池〕
上記試料8mgを負極電極に用いた以外はすべて実施例
1と同様の方法で電池を構成し、実施例1と同様の方法
で充電した。クーロンメーター指示値で3.00クーロンの
電荷を充電した時点で充電を打ち切った。充電時の平均
セル電圧は4.2Vであった。その後、回路をオープンにし
たまま30分間放置したが、セル電圧は充電直後に比べて
1.5V低下した。その後、1kΩの抵抗を両極間につないで
定抵抗放電を実施したところ、セル電圧が1.0Vになるま
でに放電した電荷量は1.20クーロンであった。また、放
電時の平均セル電圧は2.0Vであった。
上述の充電及び放電の操作を繰り返したところ、5回
目の充電量3.00クーロン、平均セル電圧4.0Vに対し、放
電電荷量1.16クーロン、平均セル電圧1.9Vであった。6
回目の充電後15時間放置した後、1kΩの定抵抗放電を実
施したところ、充電電荷量3.00クーロン、平均セル電圧
4.2Vに対し放電電荷量は1.00クーロン、平均セル電圧は
1.2Vであった。
〔実施例1、と比較例1、2の比較〕 実施例1、及び比較例1、2の過電圧(充電直後のセ
ル電圧と回路をオープンにして30分放置後のセル電圧の
差)及び充放電の電荷効率 を表3に示した。
実施例1、のサンプルは比較例1、2に比べて過電圧
が小さく、1サイクル、5サイクル、6サイクル(15時
間放置後)の充放電の電荷効率のいづれもが高く、電池
性能として優れていることがわかる。
実施例2、比較例3 実施例1と同様の条件でピッチから得られた炭素質材
料(実施例2)、及びポリアクリロニトリル繊維を1,00
0℃まで昇温し、さらに窒素流下に1,000℃に1時間保持
して得られた炭素質材料(比較例3)を用いて、電池を
構成した。これらの電池について、それぞれ実施例1と
同様の充放電サイクル試験を行い、30サイクル目の電荷
効率を求めた。その結果を表4に示す。
この結果より、ピッチを焼成して得た、本発明の範囲
の結晶構造及び原子比を有する炭素質材料を負極として
用いた電池は、30サイクルの充放電の後も、アクリロニ
トリル繊維を1,000℃で焼成して得られた炭素質材料を
用いた電池に比べて、30サイクルの充放電の後も、優れ
た電荷効率を有することがわかる。
フロントページの続き (72)発明者 伊坪 明 四日市市東邦町1番地 三菱油化株式会 社樹脂研究所内 (56)参考文献 特開 昭58−93176(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ピッチを焼成して得られた下記(1)、
    (2)を満足する擬黒鉛構造を有する炭素質材料からな
    り、アルカリ金属、アルカリ土類金属、又はテトラアル
    キルアンモニウムないしその陽イオンがドープされてい
    る非水溶媒二次電池の負極電極。 (1) 水素/炭素原子の原子比が0.01以上0.10以下で
    あること。 (2) X線広角回折における(002)面の面間隔d002
    が3.405Å以上3.620Å以下、c軸方向の結晶子の大きさ
    (Lc)が11.2Å以上55Å以下、(110)面の面間隔d110
    の2倍の距離(2d110)が2.455Å以下であること。
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