JP3291758B2 - 非水溶媒二次電池およびその電極材料 - Google Patents

非水溶媒二次電池およびその電極材料

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    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の目的】
【0002】
【産業上の利用分野】本発明は、非水溶媒二次電池(以
下単に二次電池とする)に関し、特に高容量で充放電特
性にすぐれ、かつ信頼性の高い二次電池及びその電極材
料に関する。
【0003】
【従来の技術】高容量の二次電池としてリチウム二次電
池の開発が注目されており、電極材料として種々の物質
が検討されている。しかし、電極容量と充放電特性の両
者を満足する物質は見つかっていない。たとえば、ポリ
アセチレンなどの導電性高分子は、特にリチウムイオン
のドープ能力と充放電サイクルの安定性に問題がある。
【0004】またリチウム金属を負極電極に用いた場合
には、次の理由により充放電サイクル特性が極めて悪
い。すなわち、電池の放電時に負極体からイオンとなっ
て電解液中に移動したLiが充電時に負極体に電析する
とき、充放電サイクルの反復に伴ないデンドライト状と
なるからである。デンドライト状Liは極めて高活性な
ため、電解液を分解し、電池の充放電サイクル特性を劣
化させる。加えて、このデンドライド状Liが成長する
と、最後にはセパレータを貫通して正極体に達して短絡
を引き起すため、充放電サイクル寿命も短い。
【0005】一方、有機化合物を焼成した炭素質物を担
持体とし、これにLiまたはLiを主体とするアルカリ
金属を担持させた物質を負極電極として用いることも提
案されている。この構成では、リチウムイオンが炭素結
晶の層間あるいは非晶部の芳香環網の広がりに包含され
るため、リチウムが電析してもデンドライド状にならな
い。そのため、負極電極の充放電サイクル特性は飛躍的
に向上したが、満足のいく電極容量は得られていない。
【0006】本発明の目的は、電極容量の大きい、充放
電サイクル特性にすぐれた負極電極材料を提供すること
にある。また、本発明の別の目的は、この負極電極材料
と特定の電解液との組み合わせにより、容量が大きく充
放電サイクル特性にすぐれ、また信頼性の高い二次電池
を提供することにある。
【0007】
【発明の構成】
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の電極材料は、
を形成する炭素質物と、この表面に形成される表層の炭
素質物との、少なくとも2相の多相構造を有する炭素質
物粒子であって、該炭素質物粒子は、X線広角回折によ
る(002)面の面間隔d002、核を形成する炭素質
物に対応する3.35Å以上3.37Å以下のピーク
と、表層の炭素質物に対応する3.38Å以上3.75
Å以下のピークとを有し、波長5145Åのアルゴンイ
オンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析におい
て、下記R値が0.11以上1.0以下であり、比表面
積(Sm2/g)と真密度(ρg/cm3)とがS≦41
−15ρを満たす炭素質物である。 R=IB/IA(ラマンスペクトルにおいて、1580〜
1620cm-1の範囲にピークPAを有し、1350〜
1370cm-1の範囲にピークPB を有し、PA の強度
をIA , PB の強度をIB とする)
【0009】また、本発明による二次電池は再充電可能
な正極と、再充電可能な負極と、電解質塩を溶解してな
る非水電解液とを兼ね備えた二次電池であって、該負極
が請上記の炭素質物を50〜98重量%含み、電解液が
下記(2)を満たす電解液であることを特徴とする。 (2)エチレンカーボネートを5vol%以上、60v
ol%未満、環状エーテルないし鎖状エステル化合物を
3vol%以上85%以下含有した混合溶媒に、アルカ
リ金属塩ないし4級アルキルアンモニウム塩を溶解して
なる電解液。
【0010】
【実施例】本発明の電極材料は、核を形成する炭素質物
(N)と、この核の表面に形成される表層の炭素質物
(S)の少なくとも2相の多相構造を有する炭素質物で
ある。この多相炭素質物は、多相構造に対応して、X線
広角回折において少なくとも2つの回折ピークを有す
る。すなわち、核の炭素質物(N)に対応するX線広角
回折のピークとして、002面の面間隔d002 が3.3
5Å以上3.37Å以下、好ましくは3.35Å以上
3.37Å以下、より好ましくは3.35Å以上3.3
6Å以下であるピークを有する。また、このピークに対
応するC軸方向の結晶子の大きさ(Lc)が好ましくは
200Å以上、より好ましくは300Å以上、さらに好
ましくは600Å以上、とくに好ましくは750Å以
上、最も好ましくは800Å以上1000Å以下であ
る。
【0011】また、表層の炭素質物(S)に対応するX
線広角回折のピークとしてd002 が3.38Å以上3.
75Å以下、より好ましくは3.39Å以上3.70Å
以下、さらに好ましくは3.40Å以上3.65Å以
下、とくに好ましくは3.41Å以上3.60Å以下、
最も好ましくは3.45Å以上3.60Å以下であるピ
ークを有する。またこのピークに対応するLcが、好ま
しくは300Å以下、より好ましくは250Å以下、さ
らに好ましくは12Å以上220Å以下、とくに好まし
くは15Å以上200Å未満、最も好ましくは17Å以
上150Å以下である。
【0012】なお、X線広角回折図のピークは、各ピー
クのプロファイルを非対称ピアソンVII関数で近似
し、ガウス−ジョルダン法を適用した最小二乗法により
分離した。分離した2つのピークのピーク強度比I
(3.43 )/I(3.35 3.39) は0.002以上、好ま
しくは0.005以上0.080以下、より好ましくは
0.008以上0.050以下、さらに好ましくは0.
010以上0.030未満、とくに好ましくは0.01
5以上0.029以下である。ここでI(3.43 ) はd
002 が3.43Å以上のピークのピーク強度であり、I
(3.35 3.39) はd002 が3.35Å以上3.39Å以
下のピークのピーク強度である。
【0013】また、2θ(回折角)=25.0°での回
折強度I(2θ=25 °) の、I(3.353.38) に対する比
(2θ=25 °) /I(3.35 3.38) は、好ましくは0.
002以上0.080以下、より好ましくは0.005
以上0.050以下、さらに好ましくは0.008以上
0.030未満、特に好ましくは0.010以上0.0
29以下、最も好ましくは0.012以上0.028未
満である。
【0014】また、核となる炭素質物(N)がさらに2
相以上からなる時は、X線広角回折においてd002
3.35Å以上3.37Å未満の領域に2つ以上のピー
クを有する。同様に、表層となる炭素質物がさらに2相
以上からなる時は、X線広角回折においてd002 が3.
38Å以上の領域に2つ以上のピークを有する。この場
合d002 が3.38Å以上のピークのピーク強度の和を
ΣI(3.38 )、d002 が3.35Å以上3.37Å未
満のピークのピーク強度の和をΣI(3.3 5 3.37) とす
ると、両者の強度比ΣI(3.38 ) /ΣI(3.35
3.37) は、前述の単層構造の場合と同じ値の範囲である
ことが好ましい。
【0015】さらに、I(3.38 , 積分強度) をd002
が3.38Å以上のピークの積分強度の総和、I(3.35
3.37,積分強度) をd002 が3.35Å以上3.37
Å以下のピークの積分強度の総和とすると、両者の比I
(3.38 〜,積分強度) /I(3 .35 3.37,積分強度)
好ましくは0.001以上0.80以下、より好ましく
は0.002以上0.60以下、さらに好ましくは0.
003以上0.50以下、特に好ましくは0.004以
上0.40以下、最も好ましくは0.005以上0.3
0以下である。
【0016】さらに本発明の電極材料は、波長5145
Åのアルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクト
ル分析において、次の様なスペクトルの特徴を有する。
以下、とくに断らない限り、スペクトル及びピークは同
条件によるラマンスペクトルである。
【0017】すなわち、式(1)で示されるR値が0.
11以上1.0以下、好ましくは0.15以上0.90
以下、より好ましくは0.20以上0.80以下、さら
に好ましくは0.30以上0.75以下、とくに好まし
くは0.35以上0.70以下、最も好ましくは0.4
0以上0.60以下である。 R=IB /IA (1) ただし、IA はラマンスペクトルにおいて、1580〜
1620cm-1の範囲に存在するピークPA の強度、IB
は1350〜1370cm-1の範囲に存在するピークPB
の強度である。
【0018】ラマンスペクトルには、表層を形成する炭
素質物(S)の微細構造が寄与する。すなわち、PA
芳香環網面の広がりが積層して成長、形成される結晶構
造に対応して観察されるピークであり、PB は乱れた非
晶構造に対応したピークである。両者のピーク強度
B ,IA の比R(=IB /IA )は、炭素質物、すな
わち炭素質粒子、炭素質繊維などの表層における非晶構
造部分の割合が大きいほど大きな値を示す。
【0019】また、PA の位置は結晶部分の完全性の度
合によって変化する。本発明に用いる炭素物質のPA
位置は、前述のように1580〜1620cm-1である
が、好ましくは1580〜1610cm-1、より好ましく
は1590〜1600cm-1の範囲である。
【0020】ピークの半値半幅は、炭素質物の高次構造
が均一であるほど狭い。本発明に用れる炭素質物のPA
の半値半幅は、好ましくは8cm-1以上55cm-1以下、よ
り好ましくは10cm-1以上50cm以下、さらに好ましく
は11〜40cm-1、とくに好ましくは12〜30cm-1
ある。PB は通常、1360cm-1にピークを有する。P
B の半値半幅は、好ましくは20cm-1以上、より好まし
くは20〜120cm-1、さらに好ましくは25〜110
cm-1、とくに好ましくは30〜100cm-1、最も好まし
くは30〜90cm-1である。
【0021】また、本発明の電極材料は、式(2)で示
されるG値が0.11以上、好ましくは0.20以上
1.50以下、より好ましくは0.25以上1.30以
下、さらに好ましくは0.30以上1.10以下、とく
に好ましくは0.35以上0.80以下、最も好ましく
は0.40以上0.60以下である。
【0022】
【数1】
【0023】本発明の電極材料の真密度は2.05g/
cc以上で、好ましくは2.08g/cc以上、より好まし
くは2.10g/cc以上2.20g/cc以下、さらに好
ましくは2.12g/cc以上2.20g/cc以下、とく
に好ましくは2.13g/cc以上2.19g/cc以下、
最も好ましくは2.14g/cc以上2.18g/cc以下
である。この炭素質物の真密度は、表層と核を包含する
多相構造に含まれる炭素質物全体の平均の真密度として
与えられる。
【0024】また、本発明の電極材料は、比表面積S
(m2/g)と真密度(ρ/cm3)とが、S≦41−15
ρを満たす。好ましくはS≦40−15ρ、より好まし
くはS≦39−15ρ、さらに好ましくはS≦38−1
5ρ、特に好ましくはS≦36−15ρ、最も好ましく
はS≦38−15ρを満たす。
【0025】また、本発明の電極材料は、体積平均粒径
が好ましくは2μm以上80μm以下、好ましくは4μ
m以上60μm以下、より好ましくは5μm以上50μ
m以下、さらに好ましくは6μm以上40μm以下、と
くに好ましくは7μm以上35μm以下である。
【0026】さらに、本発明に用いられる炭素質物は、
ESCA等の分析において、表面の酸素/炭素原子比が
好ましくは0.25以下、より好ましくは0.20以
下、さらに好ましくは0.15以下、とくに好ましくは
0.10以下、最も好ましくは0.07以下である。
【0027】また、示差熱分析においても、上述の多相
構造に応じて、少なくとも2個の発熱ピークが重なっ
た、幅広い温度領域での発熱挙動を示す。好ましくは、
100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好
ましくは200℃以上、とくに好ましくは250℃以上
500℃以下、最も好ましくは280℃以上400℃以
下の温度領域で発熱挙動を示す。
【0028】発熱ピークの終了端温度が好ましくは80
0℃以上、より好ましくは810℃以上、さらに好まし
くは820℃以上980℃以下、とくに好ましくは83
0℃以上970℃以下、最も好ましくは840℃以上9
50℃以下である。発熱ピークの開始端温度が、好まし
くは700℃以下、より好ましくは680℃以下、さら
に好ましくは550℃以上680℃以下、とくに好まし
くは570℃以上670℃以下、最も好ましくは580
℃以上650℃以下である。
【0029】また、発熱ピーク温度が好ましくは650
℃以上840℃以下、より好ましくは660℃以上83
5℃以下、さらに好ましくは670℃以上830℃以
下、特に好ましくは680℃以上820℃以下、最も好
ましくは690℃以上810℃以下である。
【0030】さらに、この炭素質物は、内部に細孔を有
することが好ましい。全細孔容積及び後述の平均細孔半
径は、定容法を用いて、いくつかの平衡圧力下で試料へ
の吸着ガス量(ないしは脱離ガス量)を測定しながら、
試料に吸着しているガス量を測定することにより求め
る。全細孔容積は、細孔が液体窒素により充填されてい
ると仮定して、相対圧力 P/PO =0.995で吸着したガスの全量から求め
る。 P :吸着ガスの蒸気圧(mmHg) PO :冷却温度での吸着ガスの飽和蒸気圧(mmHg)
【0031】吸着した窒素ガス量(Vads )より、下記
(A)式を用いて細孔中に充填されている液体窒素量
(Vliq )に換算することで、全細孔容積を求める。 Vliq =(Patm ・Vads ・Vm )/RT (A) ここで、Patm とTはそれぞれ大気圧力(Kgf /cm2
と絶対温度(K)であり、Rは気体常数である。Vm
吸着したガスの分子容積(窒素では34.7cm 3 /mol
) である。
【0032】本発明に用いる炭素質物は、上述のように
して求めた全細孔容積が好ましくは1.5×10-3ml/
g以上、より好ましくは1.6×10-3ml/g以上、1
0×10-2ml/g以下、さらに好ましくは1.7×10
-3以上9×10-2ml/g以下、とくに好ましくは1.8
×10-3以上9×10-2ml/g以下、最も好ましくは
1.9×10-3以上7×10-2ml/g以下である。特
に、細孔半径が10Å〜300Åの範囲において、上記
全細孔容積を有することが好ましい。
【0033】平均細孔半径(γp )は、上述の(A)式
より求めたVliq と、BET法で得られた比表面積Sか
ら、下記(B)式を用いて計算することで求める。な
お、ここで細孔は円筒状であると仮定する。 γp =2Vliq /S (B) このようにして、窒素ガスの吸着から求めた炭素質物の
平均細孔半径(γp )は、8〜100Åであることが好
ましい。より好ましくは10〜80Å、さらに好ましく
は12〜60Å、とくに好ましくは14〜40Åであ
る。
【0034】さらに、本発明に用いられる炭素質物は、
水銀ポロシメーターによる細孔容積が、好ましくは0.
02ml/g以上5ml/g以下、より好ましくは0.03
ml/g以上4ml/g以下、さらに好ましくは0.04ml
/g以上3ml/g以下、とくに好ましくは0.05ml/
g以上2ml/g以下、最も好ましくは0.06ml/g以
上1.8ml/g以下である。
【0035】(電極材料の合成)前述したとおり、本発
明による電極材料は、核となる炭素質物(N)と、表層
を構成する炭素質物(S)とから構成される。
【0036】炭素質物(N)は、粒子状ないし繊維状で
あり、好ましくは粒子状である。粒子状の場合、その体
積平均粒径が好ましくは2μm以上30μm以下、より
好ましくは5μm以上24μm以下、さらに好ましくは
6μm以上22μm以下、とくに好ましくは8μm以上
20μm未満、最も好ましくは10μm以上18μm以
下である。
【0037】一方、繊維状の場合は、平均直径が20μ
m以下、好ましくは18μm以下、より好ましくは15
μm以下、さらに好ましくは14μm以下、とくに好ま
しくは0.1μm以上12μm以下、最も好ましくは
0.2μm以上10μm以下である。炭素質物(N)の
比表面積U(N)は、好ましくは70m2/g以下、より
好ましくは50m2/g以下、さらに好ましくは0.1m2
/g以上30m2/g以下、とくに好ましくは1.0m2
g以上20m2/g以下、最も好ましくは1.2m2/g以
上15m2/g以下である。
【0038】炭素質物(N)は、(A)有機化合物を、
不活性ガス流中又は真空中において、300〜3000
℃、好ましくは500〜3000℃の温度で加熱するこ
とによって分解し、炭素化と黒鉛化を行う方法、(B)
カーボンブラック、コークスなどの炭素質物をさらに加
熱して炭素化を適当に進める方法、(C)人造黒鉛、天
然黒鉛、気相成長黒鉛ウィスカーをそのまま用いる方法
により得ることができる。
【0039】方法(A)における有機化合物としては、
ナフタレン、フェナンスレン、アントラセン、トリフェ
ニレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリ
レン、ペンタフェン、ペンタセンのような、3員環以上
の単環炭化水素化合物が互いに2個以上縮合してなる縮
合多環式炭化水素化合物;又は上記化合物のカルボン
酸、カルボン酸無水物、カルボン酸イミドのような誘導
体;上記各化合物の混合物を主成分とする各種のピッ
チ;インドール、イソインドール、キノリン、イソキノ
リン、キノキサリン、フタラジン、カルバゾール、アク
リジン、フェナジン、フェナントリジンのような、3員
環以上の複素単環化合物が互いに少なくとも2個以上結
合するか、または1個以上の3員環以上の単環炭化水素
化合物と結合してなる縮合複素環化合物;上記各化合物
のカルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸イミドの
ような誘導体;さらにベンゼン、トルエン、キシレンの
ような芳香族単環炭化水素、またそれらのカルボン酸、
カルボン酸無水物、カルボン酸イミドのような誘導体、
例えば1,2,4,5−テトラカルボン酸、その二無水
物又はそのジイミドなどの誘導体を挙げることができ
る。
【0040】上述のピッチについてさらに詳述すると、
ナフサの分解の際に生成するエチレンヘビーエンドピッ
チ、原油ピッチ、コールピッチ、アスファルト分解ピッ
チ、ポリ塩化ビニル等を熱分解して生成するピッチなど
を例として挙げることができる。また、これらの各種の
ピッチをさらに不活性ガス流下などで加熱し、キノリン
不溶分が好ましくは80%以上、より好ましくは90%
以上、さらに好ましくは95%以上のメソフェーズピッ
チにして用いることができる。
【0041】さらに、プロパン、プロピレンのような脂
肪族の飽和又は不飽和の炭化水素や、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、塩素化ポリ塩化ビニルなどのハロ
ゲン化ビニル樹脂、ポリ(α−ハロゲン化アクリロニト
リル)などのアクリル樹脂、ポリアセチレン、ポリフェ
ニレンビニレンなどの共役系樹脂のような有機高分子を
も用いることができる。
【0042】この様にして合成した炭素質物(N)に表
層の炭素質物(S)を形成するには、たとえば(1)核
となる炭素質物(N)の表面上に、有機化合物を被覆し
た後炭素化し、表層の炭素質物(S)を形成する方法、
(2)炭素質物(N)の表面上に有機化合物を炭素化し
て炭素質物(S)を形成しそのまま炭素質物(N)の比
表面積U(N)の1/2以下の比表面積(U)を有する
炭素質物の粒子とする方法、(3)炭素質物(N)の表
面上に有機化合物を炭素化して炭素質物(S)を形成し
た後、粉砕工程を行う方法のいずれかを用いることがで
きる。この際、いずれの方法においても、多層構造炭素
質物の比表面積Uを、核の炭素質物(N)の比表面積U
(N)の1/2以下とする。すなわち、U(N)≧2
U、好ましくは、U(N)≧3Uである。
【0043】また、方法(1)はさらに以下の3通りに
細分化することができる。 (1−1)比較的低分子の有機化合物を有機溶媒に溶か
し、これと炭素質物(N)を混合する。加熱により、有
機溶媒を蒸発させ、炭素質物(N)の表面上に有機化合
物を被覆した後に加熱炭素化する。その後、加熱、分解
して表層の炭素質物を形成する。有機化合物としてはベ
ンゼン、トルエンなどの芳香族単環炭化水素、ナフタレ
ン、フェナンスレン、アントラセン、トリフェニレン、
ピレン、クリセン、ナフタセン、ピセン、ペリレン、ペ
ンタフェン、ペンタセンのような縮合多環式炭化水素の
カルボン酸、カルボン酸無水物、カルボン酸イミドのよ
うな誘導体、インドール、イソインドール、キノリンの
ような3員環以上の複素多環化合物のカルボン酸、カル
ボン酸無水物、カルボン酸イミドのような誘導体を用い
ることができる。
【0044】(1−2)炭素質物(N)の表面を有機高
分子化合物で被覆し、その後固相で熱分解して炭素質物
を形成させる。有機高分子としては、セルロース;フェ
ノール樹脂;ポリアクリロニトリル、ポリ(α−ハロゲ
ン化アクリロニトリル)などのアクリル系樹脂;ポリア
ミドイミド樹脂;ポリアミド樹脂;などを用いることが
できる。 (1−3)炭素質物(N)の表面を縮合多環式炭化水
素、複素多環化合物等で被覆する。その後加熱し、液相
で表層の炭素質物(S)を形成させる。縮合多環式炭化
水素としては、前述のピッチを用いることが好ましい。
特にこの方法では、メソフェーズと呼ばれる液晶状態を
経由して炭素化を進め、炭素質物(S)を形成すること
が好ましい。
【0045】表層を形成するための、熱分解温度は、通
常は核となる炭素質物を合成する温度より低く、300
〜2,000℃が好ましい。なお、核となる炭素質物
(N)の表面に、有機化合物を被覆する時、核の炭素質
物(N)の比表面積U(N)の1/2以下の比表面積と
なる迄、被覆した後、炭素化するのが好ましい。より好
ましくは1/3以下、さらに好ましくは1/4以下、と
くに好ましくは1/5以下、最も好ましくは1/6以下
である。
【0046】また、核となる炭素質物(N)の合成で、
内核を合成し、その上に外核を合成して多段階で多相の
核となる炭素質物を合成することができる。同じよう
に、表層となる炭素質物の合成で、内表層を合成し、そ
の上に外表層を合成して多段階で多相の表層となる炭素
質物を合成することができる。
【0047】こうして得られた多相構造の炭素質物にお
いて、核の部分と表層の部分との割合は、核が好ましく
は35重量%以上90重量%以下、より好ましくは40
重量%以上85重量%以下、さらに好ましくは45重量
%以上80重量%以下、とくに好ましくは50重量%以
上75重量%以下、最も好ましくは55重量%以上70
重量%以下である。
【0048】また、表層が、好ましくは10重量%以上
65重量%以下、より好ましくは15重量%以上60重
量%以下、さらに好ましくは20重量%以上55重量%
以下、とくに好ましくは25重量%以上50重量%以
下、最も好ましくは30重量%以上45重量%以下であ
る。
【0049】また核を包む表層の厚みは、好ましくは1
00Å〜5μm、より好ましくは200Å〜4μm、さ
らに好ましくは300Å〜3μm、とくに好ましくは5
00Å〜2μm、最も好ましくは700Å〜1.5μm
である。
【0050】(二次電池の構成)次に、本発明の電極材
料を用いた二次電池の実施例を説明する。二次電池は、
再充電可能な正極と、再充電可能な負極を有し、両者の
間に電解液を保持するセパレーターが介在している。
【0051】(負極電極の形成)負極電極は、本発明の
電極材料のみで形成することも、また、電極材料と、ア
ルカリ金属と合金可能な金属あるいはアルカリ金属の合
金との混合物で形成することもできる。
【0052】アルカリ金属と合金可能な金属、好ましく
はリチウム金属と合金可能な金属としては、例えばアル
ミニウム(Al)、鉛(Pb)、亜鉛(Zn)、スズ
(Sn)、ビスマス(Bi)、インジウム(In)、マ
グネシウム(Mg)、ガリウム(Ga)、カドミウム
(Cd)、銀(Ag)、ケイ素(Si)、ホウ素
(B)、アンチモン(Sb)等が挙げられ、好ましくは
Al、Pb、In、BiおよびCdであり、さらに好ま
しくはAl、Pb、Inであり、とくに好ましくはA
l、Pbであり最も好ましくはAlである。
【0053】アルカリ金属の合金、好ましくはリチウム
金属の合金としては、合金の組成(モル組成)をLix
M(xは金属Mに対するモル比)と表わすとすると、M
としては上述の金属が用いられる。また、xは0<x≦
9を満たすことが好ましく、より好ましくは0.1≦x
≦5であり、さらに好ましくは0.5≦x≦3であり、
とくに好ましくは0.7≦x≦2である。
【0054】また、活物質の合金(Lix M)として、
一種又は二種以上の合金を用いることができる。活物質
と合金可能な金属としては、上記の金属Mの一種または
二種以上を用いることができる。アルカリ金属と合金可
能な金属ないしアルカリ金属の合金は、本発明の炭素質
物との混合物中、好ましくは3重量%以上60重量%以
下、より好ましくは5重量%以上50重量%以下、さら
に好ましくは7重量%以上45重量%以下、とくに好ま
しくは10重量%以上40重量%以下、最も好ましくは
12重量%以上35重量%以下である。また、この混合
物の混合形態は、炭素質物中に、アルカリ金属と合金可
能な金属ないしアルカリ金属の合金と、炭素質物(N)
とが包含されている形態が最も好ましい。
【0055】本発明に用いる炭素質物は、通常、高分子
結着剤と混合して電極材料とし、ついで電極の形状に成
形される。高分子結着剤としては、次のようなものが挙
げられる。 ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレ
フタレート、芳香族ポリアミド、セルロースポリフッ化
ビニリデンなどの樹脂状高分子。 スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタ
ジエンゴム、エチレン・プロピレンゴムなどのゴム状高
分子。 スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合
体、その水素添加物、スチレン・イソプレン・スチレン
ブロック共重合体、その水素添加物などの熱可塑性エラ
ストマー状高分子。 シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチ
レン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィ
ン(炭素数2又は4〜12)共重合体などの軟質樹脂状
高分子。 アルカリ金属イオン、とくにLiイオンのイオン伝
導性を有する高分子組成物。
【0056】上述ののイオン伝導性高分子組成物とし
ては、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシ
ド、ポリエピクロロヒドリン、ポリホスファゼン、ポリ
フッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどの高分子
化合物に、リチウム塩又はリチウムを主体とするアルカ
リ金属塩を複合させた系、あるいは、さらにこれにプロ
ピレンカーボネート、エチレンカーボネート、γ−ブチ
ロラクトンなどの高い誘電率を有する有機化合物を配合
した系を用いることができる。ポリホスファゼンは、側
鎖にポリエーテル鎖、とくにポリオキシエチレン鎖を有
するものが好ましい。
【0057】このようなイオン伝導性高分子組成物の室
温におけるイオン伝導率は、好ましくは10-8S・cm-1
以上、より好ましくは10-6S・cm-1以上、さらに好ま
しくは10-4S・cm-1以上、とくに好ましくは10-3
・cm-1以上である。本発明に用いる炭素質物と上述の高
分子結着剤との混合形態としては、各種の形態をとるこ
とができる。すなわち、単に両者の粒子が混合した形
態、繊維状の結着剤が炭素質物の粒子に絡み合う形で混
合した形態、又は上記のゴム状高分子、熱可塑性エラス
トマー、軟質樹脂、イオン伝導性高分子組成物などの結
着剤の層が炭素質物の粒子の表面に付着した形態などが
挙げられる。
【0058】繊維状の結着剤を用いる場合、該結着剤の
繊維の直径は、好ましくは10μm以下、より好ましく
は5μm以下のフィブリル(極細繊維)であり、フィブ
リッド状(触手状の超極細フィブリルを有する粉状体)
であることがとくに好ましい。炭素質物と結着剤との混
合割合は、炭素質物100重量部に対して、結着剤が好
ましくは0.1〜30重量部、より好ましくは0.5〜
20重量部、さらに好ましくは1〜10重量部である。
【0059】本発明に用いる炭素質物は、前述の結着剤
との混合物;あるいはさらに上述のような活物質と合金
を形成しうる金属又は活物質と該金属との合金を配合し
てなる混合物からなる電極材料とし、該電極材料をその
まま、ロール成形、圧縮成形などの方法で電極の形状に
成形して、電極成形体を得ることができる。あるいは、
これらの成分を溶媒中に分散させて、金属製の集電体な
どに塗布してもよい。電極成形体の形状は、シート状、
ペレット状など、任意に設定できる。
【0060】このようにして得られた電極成形体に、活
物質であるアルカリ金属、好ましくはリチウム金属を、
電池の組立に先立って、又は組立の際に担持させること
ができる。担持体に活物質を担持させる方法としては、
化学的方法、電気化学的方法、物理的方法などがある。
たとえば、所定濃度のアルカリ金属カチオン、好ましく
はLiイオンを含む電解液中に電極成形体を浸漬し、か
つ対極にリチウムを用いて、この電極成形体を陽極にし
て電解含浸する方法、電極成形体を得る過程でアルカリ
金属の粉末、好ましくはリチウム粉末を混合する方法な
どを適用することができる。
【0061】あるいは、リチウム金属と電極成形体を電
気的に接触させる方法も用いられる。この場合、リチウ
ム金属と電極成形体中の炭素質材料とを、リチウムイオ
ン伝導性高分子組成物を介して接触させることが好まし
い。このようにしてあらかじめ電極成形体に担持される
リチウムの量は、担持体1重量部あたり、好ましくは
0.030〜0.250重量部、より好ましくは0.0
60〜0.200重量部、さらに好ましくは0.070
〜0.150重量部、とくに好ましくは0.075〜
0.120重量部、最も好ましくは0.080〜0.1
00重量部である。このような炭素質材料を用いた本発
明の電極は、通常、二次電池の負極として用い、セパレ
ーターを介して正極と対峙させる。
【0062】(正極電極の形成)正極体の材料は、とく
に限定されないが、たとえば、Liイオンなどのアルカ
リ金属カチオンを充放電反応に伴って放出もしくは獲得
する金属カルコゲン化合物からなることが好ましい。そ
のような金属カルコゲン化合物としては、バナジウムの
酸化物、バナジウムの硫化物、モリブデンの酸化物、モ
リブデンの硫化物、マンガンの酸化物、クロムの酸化
物、チタンの酸化物、チタンの硫化物及びこれらの複合
酸化物、複合硫化物などが挙げられる。好ましくはCr
3 8 、V25 、V6 13、VO2 、Cr2 5 、M
nO2 、TiO2 、MoV2 8 ;TiS2 、V
2 5 、MoS2 、MoS3 、VS2 、Cr0.250.75
2 、Cr0. 5 0.5 2 などである。また、LiCo
2 、WO3 などの酸化物;CuS、Fe0.250.75
2 、Na0.1 CrS2 などの硫化物;NiPS3 、Fe
PS3などのリン、イオウ化合物;VSe2 、NbSe
3 などのセレン化合物などを用いることもできる。
【0063】また、ポリアニリン、ポリピロールなどの
導電性ポリマーや、比表面積が10m2/g以上、好まし
くは100m2/g以上、さらに好ましくは500m2/g
以上、とくに好ましくは1000m2/g以上、最も好ま
しくは2000m2/g以上の炭素質物を正極に用いるこ
とができる。さらに、比表面積が10m2/g以上、好ま
しくは100m2/g以上、さらに好ましくは500m2
g以上、特に好ましくは1000m2/g以上、最も好ま
しくは2000m2/g以上の炭素質物を正極に用いるこ
とができる。
【0064】(電解液の調製)電解液を保持するセパレ
ーターは、一般に保液性に優れた材料、例えばポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィンの不織布を使
用することができる。
【0065】電解液としては、エチレンカーボネートを
5vol%以上60vol%未満、鎖状エーテルないし
環状エーテルないし鎖状エステル化合物を3vol%以
上85vol%以下含有し、プロピレンカーボネートを
30vol%以上含有しない混合溶媒に、アルカリ金属
塩ないし4級アンモニウム塩を溶解させてなる電解液を
用いる。
【0066】電解質としては、LiClO4 ,LiPF
6 ,LiAsF6 ,LiBF4 ,LiSO3 CF3 ,L
iN(SO2 CF3 2 、などのアルカリ金属塩、テト
ラアルキルアンモニウム塩等を用いることができる。ア
ルカリ金属塩が好ましい。濃度は、0.2モル/l以下
が好ましく、0.3モル/l以上1.9モル/l以下が
より好ましい。
【0067】電解質を溶解させる溶媒は、少なくとも2
種の溶媒からなる混合溶媒を用い、そのうちの1つは、
エチレンカーボネートであり、混合溶媒中のエチレンカ
ーボネートは、5vol%以上60vol%未満、好ま
しくは7vol%以上50vol%未満、より好ましく
は10vol%以上45vol%以下、さらに好ましく
は12vol%以上40vol%以下、特に好ましくは
15vol%以上40vol%以下である。
【0068】また、混合溶媒中にエーテル化合物、鎖状
エーテルないし環状エーテルないし鎖状エステル化合物
を含有することができ、混合溶媒中のこれら化合物は、
3vol%以上85vol%以下、好ましくは10vo
l%以上85vol%以下、より好ましくは15vol
%以上80vol%以下、さらに好ましくは18vol
%以上70vol%以下、とくに好ましくは20vol
%以上60vol%以下、最も好ましくは30vol%
以上50vol%以下である。
【0069】鎖状エーテル化合物の例としては、1,2
−ジメトキシエタン、環状エーテル化合物の例としては
クラウンエーテル(12−crown−4等)、1,
2,ジメチルテトラヒドロフラン、ジオキソラン、テト
ラヒドロフラン等をあげることができる。鎖状エステル
化合物としては、ジエチルカーボネートなどをあげるこ
とができる。
【0070】また、混合溶媒中に30vol%未満のプ
ロピレンカーボネートを含有することができる。混合溶
媒中のプロピレンカーボネートは25vol%未満が好
ましく、20vol%未満がより好ましく、10vol
%未満がさらに好ましく、5vol%未満が特に好まし
く、含有しないことが最も好ましい。さらに、エチレン
カーボネート、プロピレンカーボネート以外の環状エス
テル化合物、たとえばγ−ブチロラクトン等を含有する
ことができる。この場合、混合溶媒中の割合は、70v
ol%以下が好ましく、50vol%以下がより好まし
く、30vol%以下がさらに好ましい。
【0071】このようにして構成された二次電池、たと
えば、正極に金属カルコゲン化合物を用い、負極に本発
明の炭素質物を用いた二次電池では、負極電極におい
て、充電時に活物質イオン(とくにリチウムイオンが好
ましい)がドープされ、放電時に活物質イオンが放出さ
れることによって充放電の電極反応が進行する。正極に
おいては充電時に正極体より活物質イオンが放出され、
放電時に活物質イオンがドープされて、充放電の電極反
応が進行する。
【0072】また、正極に上述の導電性高分子ないしは
比表面積の大きな炭素質物を用い、負極に本発明の炭素
質物を用いた二次電池では、負極電極においては充電時
に、電解液中のカチオンがドープされ、放電時には負極
体中のカチオンが放出されて、充放電の電極反応が進行
する。一方、正極においては、充電時に、電解液中のア
ニオンがドープされ、放電時には、正極体中のアニオン
が放出されて、充放電の電極反応が進行する。
【0073】本発明の炭素質物を負極に用いた二次二次
電池は、二次電池容量と長期の充放電サイクル特性のバ
ランスと安全性にすぐれた特性を発揮する。なお、本発
明において、X線広角回折、密度等の各測定は、下記方
法により実施した。
【0074】X線広角回折 (1)(002)面の面間隔(d002 )及び(110)
面の面間隔(d110 )炭素質物が粉末の場合はそのま
ま、微小片状の場合にはめのう乳鉢で粉末化し、炭素質
物に対して約15重量%のX線標準用高純度シリコン粉
末を内部標準物質として混合して試料セルにつめる。グ
ラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を
線源とし、反射式ディフラクトメーター法によって広角
X線回折曲線を測定する。曲線の補正には、いわゆるロ
ーレンツ、偏光因子、吸収因子、原子散乱因子等に関す
る補正は行なわず次の簡便法を用いる。即ち(00
2)、及び(110)回析に相当する曲線のベースライ
ンを引き、ベースラインからの実質強度をプロットし直
して(002)面、及び(110)面の補正曲線を得
る。この曲線のピーク高さの3分の2の高さに引いた角
度軸に平行な線が回析曲線と交わる線分の中点を求め、
中点の角度を内部標準で補正し、これを回析角の2倍と
し、CuKα線の波長λとから式(3)のブラッグ式に
よってd002 及びd 110 を求める。
【0075】
【数2】 λ:1.5418Å θ、θ’:d002 、d110 に相当する回析角
【0076】(2)c軸及びa軸方向の結晶子の大き
さ: Lc;La 前項で得た補正回析曲線において、ピーク高さの半分の
位置におけるいわゆる半価巾βを用いてc軸及びa軸方
向の結晶子の大きさを次式より求める。
【0077】
【数3】 形状因子Kには0.90を用いた。λ、θ及びθ’につ
いては前項と同じ意味である。
【0078】真密度 湯浅アイオニクス社製マルチピクノメーターを用いヘリ
ウムガスでのガス置換法を用いて測定した。
【0079】(実施例1) (1)負極電極の形成 X線広角回折において、真密度が2.25g/cc、d
002 が3.36Å、平均粒径17μm、比表面積が8.
7m2/gの炭素質物を、ピッチ(縮合多環炭化水素化合
物の混合物)をトルエン溶媒に溶解させた溶液中で攪拌
させながら加熱して、ピッチをこの炭素質物の粒子の表
面上に被覆した。
【0080】次に、窒素流下、20℃/min の昇温速度
で1400℃迄昇温し、1400℃で30分保持して炭
素化し、多相構造の炭素質物粒子を形成した後、軽く粉
砕して平均粒径24μmの粒子とした。測定の結果、核
となる炭素質物100重量部に対し、表層の炭素質物の
割合は40重量部であった。また、アルゴンイオンレー
ザー光(5145Å)を用いたラマンスペクトル分析に
おいて、前記Rが0.47であった。
【0081】真密度は2.17g/cc、BET比表面積
は1.9m2/gであった。X線広角回折においてd002
が3.36Åと3.48Åの2つのピークを有し、両者
のピーク強度比(I3.49Å/I3.36Å)は0.015で
あった。また、定容法を用いて測定した細孔径10Å以
上300Å以下の範囲における全細孔容積は2.0×1
-2ml/gであった。
【0082】この炭素質物94重量部にポリエチレン6
重量部を混合して、直径16mmのペレット状に圧縮成形
した。これを真空中で130℃に加熱、乾燥して負極電
極を成形した。
【0083】(2)正極電極の形成 V2 5 −P2 5 500mg、ポリテトラフルオロエチ
レン25mg、カーボンブラック25mgを混練しシート化
した後、直径16mmのペレット電極を形成した。
【0084】(3)二次電池セルの形成と二次電池性能
評価 二次電池セルの組み立てに先立ち、1.0モル/リット
ルのLiClO4 を含むエチレンカーボネート(40v
ol%)/ジエチルカーボネート(60vol%)溶液
中において、リチウム金属を対極として正極電極を1.
2mAで15時間予備充電した。同様にして負極電極も
1.2mAで7時間予備充電した。
【0085】そして、LiClO4 をエチレンカーボネ
ート(40vol%)とジエチルカーボネート(60v
ol%)の混合溶媒に1モル/リットル量溶解させた電
解液を含浸させたポリプロピレン製セパレーターを両極
間に介在させ、二次電池セルを形成した。この二次電池
セルを10℃の恒温槽中に置き、両極間を1.5mAの
定電流で3.3V迄充電し1.8V迄放電する操作を繰
り返した。2サイクル目と20サイクル目の特性を表1
に示した。
【0086】(比較例1) (1)負極電極の形成 X線広角回折において、真密度が2.25g/cc、d
002 が3.35Å、LCが1000Å以上、ラマンスペ
クトル分離においてR値がほぼ0であり、平均粒径が1
7μmの単相構造を有する黒鉛粒子を94重量%、ポリ
エチレン6重量%と混合し、実施例1と同様に負極電極
を形成した。 (2)正極電極の形成 実施例1と同様にして正極電極を形成した。 (3)二次電池セルの構成と評価 実施例1と同様にして二次電池セルを構成し、その二次
電池特性を評価し、表1にまとめた。
【0087】(比較例2)1モル/lのLiClO4
エチレンカーボネート(30vol%)とプロピレンカ
ーボネート(70vol%)に溶解した電解液を用い、
他の構成は実施例1と同一の二次電池セルを構成した。
二次電池特性を評価し、表1にまとめた。
【0088】
【表1】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−192167(JP,A) 特開 平5−121066(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/02 H01M 4/58 H01M 10/40

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(1)を満足する炭素質物からなる
    電極材料。 (1)核を形成する炭素質物と、この表面に形成される
    表層の炭素質物との、少なくとも2相の多相構造を有す
    る炭素質物粒子であって、該炭素質物粒子は、X線広角
    回折による(002)面の面間隔d002、核を形成す
    る炭素質物に対応する3.35Å以上3.37Å以下の
    ピークと、表層の炭素質物に対応する3.38Å以上
    3.75Å以下のピークとを有し、波長5145Åのア
    ルゴンイオンレーザー光を用いたラマンスペクトル分析
    において、下記R値が0.11以上1.0以下であり、
    比表面積(Sm2/g)と真密度(ρg/cm3)とがS
    ≦41−15ρを満たす炭素質物。 R=IB/IA(ラマンスペクトルにおいて、1580〜
    1620cm-1の範囲にピークPAを有し、1350〜
    1370cm-1の範囲にピークPB を有し、PA の強度
    をIA , PB の強度をIB とする)
  2. 【請求項2】 再充電可能な正極と、再充電可能な負極
    と、電解質塩を溶解してなる非水電解液とを兼ね備えた
    二次電池であって、該負極が請求項1記載の炭素質物を
    50〜98重量%含み、電解液が下記(2)を満たす電
    解液であることを特徴とする二次電池 (2)エチレンカーボネートを5vol%以上、60v
    ol%未満、環状エーテルないし鎖状エステル化合物を
    3vol%以上85%以下含有した混合溶媒に、アルカ
    リ金属塩ないし4級アルキルアンモニウム塩を溶解して
    なる電解液。
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