JP2503605B2 - 赤外線センサ - Google Patents

赤外線センサ

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JP2503605B2
JP2503605B2 JP63230343A JP23034388A JP2503605B2 JP 2503605 B2 JP2503605 B2 JP 2503605B2 JP 63230343 A JP63230343 A JP 63230343A JP 23034388 A JP23034388 A JP 23034388A JP 2503605 B2 JP2503605 B2 JP 2503605B2
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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、赤外線領域の光信号を電気信号に変換する
赤外線センサに関する。
(従来の技術) 従来の技術としてショットキ障壁型赤外線センサにつ
いて説明する。
第4図はショットキ障壁型赤外線センサの一例の縦断
面図であり、金属・p型半導体ショットキ接触構造を有
する裏面照射型のものである。この赤外線センサは、両
面とも鏡面に磨かれたp型単結晶Si基板27に形成されて
いる。該基板27の赤外光37の入射面すなわち裏面には反
射防止膜36が施されており、表面には光電変換領域とな
る白金モノシリサイド(PtSi)膜28が設けられている。
このPtSi膜28の周囲には、電界集中を緩和するためn型
ガードリング29が施されている。PtSi膜28の周辺の基板
表面は熱酸化膜(SiO2)31で覆われ、さらにPtSi膜28上
及び熱酸化膜31上がCVD法等で形成されたシリコン酸化
物(SiO,SiO2)あるいはシリコン窒化物(SiN,Si3N4
ど)等から成る絶縁膜32で覆われている。また、PtSi膜
28を透過した赤外光を再利用するため、絶縁膜32上のPt
Si膜28と対向する部分にアルミニウム等の金属反射膜34
が設けられている。ここに構成されるp型単結晶Si基板
27/PtSi膜28/絶縁膜32/金属反射膜34の多層構造で光学
的共振状態を生み出し、センサの使用波長帯域における
中心波長の赤外光で生ずる定在波の腹がPtSi膜28の部分
に来るように、絶縁膜32の厚さが最適設計されている。
このPtSi膜28において、光電変換によって発生した光信
号電荷をセンサ外部に取り出すため、PtSi膜28の一部と
オーミック接触するn+型コンタクト領域30が設けられ、
ここからアルミニウム等の金属配線33が引き出されてい
る。センサの表面側最外部はパッシベーション膜35で覆
われている。
なお、金属・n型半導体ショットキ接触構造の場合に
は、半導体の導電型がp型→n型、n型→p型のように
入れ替わる。また、表面照射型のセンサでは基板裏面の
反射防止膜36及び表面側の金属反射膜34が無く、表面の
絶縁膜32及びパッシベーション膜35が反射防止膜の役割
も果たすようになる。
この従来例の赤外線センサは、シリコン集積回路製造
プロセスを利用でき、アレイ化が容易なので、固体の赤
外線イメージセンサの受光部に応用される。この受光部
は光信号電荷を金属配線で直接読み出す構造ではなく、
電子走査・読み出し機構によって光信号電荷が読み出さ
れる構造になっている。
なお、PtSi・p型単結晶Si構造によって形成されるシ
ョットキ障壁は、0.2〜0.25eV程度と低く、室温では熱
励起によりショットキ障壁を横切ることのできるキャリ
アが多く、それに伴って暗電流が大きいので、PtSi・p
型単結晶Si・ショットキ障壁型赤外線センサは液体窒素
温度付近に冷却して使用される。このショットキ障壁型
赤外線センサの金属材料や半導体材料が異なることによ
り、ショットキ障壁がさらに小さい場合には、暗電流が
増加するので、より低温で動作させる必要があり、逆に
ショットキ障壁がもっと大きい場合には、暗電流が減少
するので、さほど冷却しなくてよい。すなわち、各場合
のショットキ障壁に対応する冷却温度で使用される。
次に、ショットキ障壁型赤外線センサの動作原理につ
いて、第5図(a),(b)を用いて説明する。第5図
(a),(b)はショットキ障壁型赤外線センサのエネ
ルギー帯構造及び光電変換機構を示しており、(a)は
金属・p型半導体ショットキ接触の場合、(b)は金属
・n型半導体ショットキ接触の場合である。第5図にお
いては、赤外光54及び55の入射方向は裏面照射型の場合
に対応している。表面照射型の場合には金属側から入射
する。半導体40(または46)(p型単結晶Si基板27に相
当)の禁制帯幅Eg以上のエネルギーを持つ光は、半導体
内の入射面近傍においてほとんど吸収されてしまうが、
禁制帯幅Egより小さいエネルギーの光(このような光は
通常赤外光)では、その光エネルギーを吸収して半導体
40(または46)の価電子帯41(または47)中の電子が伝
導帯43(または49)へ帯間遷移する確率が無いので、半
導体40(または46)中をほとんど損失なく透過し、金属
39(または45)(PtSi膜28に相当)に入射する。金属39
(または45)内ではフェルミ準位Ef下が電子で満たされ
ており、ここへ赤外光が入射すると電子はその光エネル
ギーhv(h:プランク定数、v:光の振動数)を吸収し、フ
ェルミ準位下からフェルミ準位上の空準位へ遷移してホ
ット電子51(または53)とホットホール50(または52)
を形成する。これらホット電子51(または52)とホット
ホール50(または52)は再結合するまで金属39(または
45)中を運動する。この運動の発生確率は、あらゆる方
向においてほぼ等しい。
第5図(a)の構造では、ホットホール50が運動中金
属・p型半導体界面に達し、ショットキ障壁ΦSBを越え
てp型半導体40中へ注入されると、金属39中に取り残さ
れたホット電子51とp型半導体40中へ注入されたホット
ホールとが信号電荷となる。
一方、第5図(b)の構造では、ホット電子53が運動
中金属・n型半導体界面に達し、ショットキ障壁ΦSB
越えてn型半導体46中へ注入されると、金属45中に取り
残されたホットホール52とn型半導体46中へ注入された
ホット電子とが信号電荷となる。
表面照射型の場合や禁制帯幅Eg以上のエネルギーを持
つ光を透過する程度に半導体を薄膜化あるいは薄板化し
た裏面照射型の場合、利用可能な光エネルギーの上限は
禁制帯幅Egより大きくなる。このとき、半導体におい
て、価電子帯から伝導帯への電子の光励起によって生成
される自由電子・ホール対も信号電荷に寄与する。
第5図(a)の構造におけるホットホールならびに同
図(b)の構造におけるホット電子が寿命の尽きるまで
に移動する距離と比べて金属が薄くなると、半導体基板
と逆方向に運動する該ホットホールならびに該ホット電
子のうちにも金属・絶縁物界面によって反射され、半導
体基板方向へ移動して金属・半導体界面に達し、ショッ
トキ障壁ΦSBを越えて半導体中へ注入されるものも現れ
てくる。また、金属・半導体界面に達した該ホットホー
ルならびに該ホット電子のうち、ショットキ障壁ΦSB
り大きいエネルギーを持ったものでも、量子力学的効果
により、ある確率で反射されるのであるが、これらのう
ちにも、金属・半導体界面と金属・絶縁物界面とで反射
を繰り返すうちに、ショットキ障壁ΦSBを越えて半導体
中へ注入されるものも現れてくる。
これらの現象は、第5図(a)の構造におけるホット
ホールならびに同図(b)の構造におけるホット電子の
半導体への注入確率を向上させる効果を持ち、金属が薄
い程顕著となる。ただし、金属が薄くなると、赤外光の
吸収の確率が低下するので、金属の厚さには量子効率に
対して最適値が存在する。このため、ショットキ障壁型
赤外線センサにおいて、ショットキ接触を成す金属電極
は、通常最適値程度に薄膜化されている。
(発明が解決しようとする課題) このようなショットキ障壁型赤外線センサには、次の
ような欠点がある。
(1)光電変換領域である金属膜は、通常多結晶である
ため、ホットホールやホット電子の散乱中心となる結晶
粒界や格子欠陥が高密度で存在している。なお、半導体
材料が単結晶シリコンの場合によく利用される金属膜と
して、PtSiのようにエピタキシャルシリサイドと呼ばれ
る配向性の強いものもあるが、このエピタキシャルシリ
サイドにも基板との間に格子不整合があり、それに起因
する応力を緩和するため、結晶粒界や格子欠陥が発生し
ているので、状況は通常の金属膜の場合と顕著な相違が
ない。ホットホールやホット電子は散乱によって持って
いるエネルギーの一部を失うので、結晶粒界や格子欠陥
が高密度で存在することは、ホットホールやホット電子
の寿命を縮める要因となる。
(2)前述のように、金属・半導体界面と金属・絶縁物
界面との間のホットホールやホット電子の多重反射の効
果は、金属膜が薄い程大きいが、金属膜厚の低下に伴っ
て、金属膜内の赤外線吸収率が減少する。すなわち、こ
れら二つの作用は、金属膜厚に対して相反する特性を示
す。従って、金属膜厚を最適値程度にしても、どちらの
作用も充分に活用し切ることができない。
(3)金属と半導体とのショットキ接触は一種のヘテロ
接合であり、その界面にホットホールやホット電子の捕
獲中心となる界面準位が高密度で存在する。これによ
り、金属・p型半導体ショットキ接触においてはホット
ホールの半導体への注入効率を、また、金属・n型半導
体ショットキ接触においてはホット電子の半導体への注
入効率をそれぞれ低下させる。
(4)このセンサが利用できるのは、裏面照射型の場
合、半導体の禁制帯幅をEgとすると、 ΦSB<hv<Eg …(1) の範囲のエネルギーhvを持つ光であるが、金属において
は、フェルミ準位下には電子が、また、フェルミ準位上
には空準位が各々広いエネルギー範囲に渡って存在して
いるので、このエネルギー範囲にある光を吸収しても、
金属・p型半導体ショットキ接触においては、一部の光
エネルギーがショットキ障壁ΦSB以下のエネルギーしか
持たないホットホールを励起するのに費やされ、また、
金属・n型半導体ショットキ接触においては、一部の光
エネルギーがショットキ障壁ΦSB以下のエネルギーしか
持たないホット電子を励起するのに費やされる。
この現象は、金属・p型半導体ショットキ接触におい
ては、 Ef‐ΦSB≦Ee≦Ef …(2) の範囲のエネルギー準位Eeにある電子が光エネルギー
hvを吸収して遷移した場合に生じ、また、金属・n型半
導体ショットキ接触においては、 Ef‐hv<Ee′≦Ef‐hv+ΦSB …(3) の範囲のエネルギー準位Ee′にある電子が光エネルギ
ーhvを吸収して遷移した場合に生じる。これらの状況は
第5図(a),(b)にも示されている。
ショットキ障壁ΦSB以下のエネルギーしか持たない上
記のホットホールならびにホット電子においても、トン
ネル効果により半導体中へ注入される確率が完全に零と
はならない。しかし、この注入過程による効率は極めて
悪く、注入される上記のホットホールならびにホット電
子は微々たるものであるので、(2),(3)式の条件
に該当する電子の励起によって吸収される光エネルギー
はほとんど無駄になる。
なお、(1)式から明らかなように、禁制帯幅Egが大
きい半導体材料から成るセンサでは、検出可能な波長域
が可視領域に及ぶものもある。また、表面照射型の場合
や禁制帯幅Eg以上のエネルギーを持つ光を透過する程度
に半導体を薄膜化あるいは薄板化した裏面照射型の場
合、利用可能な光エネルギーの上限は禁制帯幅Egより大
きくなる。
(5)センサの遮断波長を決定付けるショットキ障壁
は、金属と半導体の組合わせでほとんど決定してしまう
ので、センサの遮断波長を任意の値に設定できない。
(課題を解決するための手段) 前述の問題点を解決するために本発明の赤外線センサ
は、第1導電型半導体から成る光電変換領域と、この光
電変換領域より不純物濃度が低い第1導電型半導体から
成るキャリア注入領域と、これら光電変換領域とキャリ
ア注入領域との間に存在し、不純物濃度がこのキャリア
注入領域より低い第1導電型半導体か、真性半導体か、
あるいは少なくとも動作条件下で完全空乏化状態となる
第2導電型半導体から成るポテンシャル障壁領域とから
構成されるホモ接合構造を基本単位センサとし、光電変
換領域をA,ポテンシャル障壁領域をB,キャリア注入領域
をCとするとき、前記光電変換領域を2層以上含み、か
つ、(…ABCBABCBABC…)の順序の多層構造から成る受
光部を有する。
(作用) 本発明の赤外線センサにおける基本単位センサによっ
て動作原理を説明する。第2図(a),(b)に基本単
位センサのエネルギー帯構造及び光電変換機構を示す。
第2図(a)は第1導電型をp型,第2導電型をn型と
する場合、同図(b)は第1導電型をn型,第2同導電
型をp型とする場合である。第2図において、赤外光24
及び25はキャリア注入領域側から入射しているが、これ
は光電変換領域側からの入射でもかまわない。
第2図(a)の構造では、光電変換領域8はp型半導
体から、また、キャリア注入領域10は光電変換領域8よ
りアクセプタ不純物濃度が低いp型半導体から成り、こ
れら領域8,10の間に存在するポテンシャル障壁領域9は
アクセプタ不純物濃度がキャリア注入領域10より低いp
型半導体か、真性半導体か、あるいは少なくとも動作条
件下で完全空乏化状態となるn型半導体から成り立って
いるので、各領域間に価電子帯11中のホールに対して障
害となるポテンシャル障壁が形成される。特に、光電変
換領域8における価電子帯11中のホール20に対するポテ
ンシャル障壁はΦである。
一方、第2図(b)の構造では、電変換領域14はn型
半導体から、また、キャリア注入領域16は光電変換領域
14よりドナ不純物濃度が低いn型半導体から成り、これ
ら領域14,16の間に存在するポテンシャル障壁領域15は
ドナ不純物濃度がキャリア注入領域16より低いn型半導
体か、真性半導体か、あるいは少なくとも動作条件下で
完全空乏化状態となるp型半導体から成り立っているの
で、各領域間に伝導帯19中の自由電子に対して障害とな
るポテンシャル障壁が形成される。特に、光電変換領域
14における伝導帯19中の自由電子22に対するポテンシャ
ル障壁はΦである。
入射した光のエネルギーが半導体材料の禁制帯幅Eg
り小さい場合、通常このような光は赤外光であるが、こ
れは半導体中における電子のエネルギー帯間遷移を利用
して吸収させることはできない。しかしながら、自由キ
ャリア吸収を利用すれば、吸収させることが可能とな
る。この吸収は自由キャリア濃度が低い場合には、ほと
んど無視し得るものなので、キャリア注入領域10(また
は16)の不純物濃度を低濃度にし、それに比べて光電変
換領域8(または14)の不純物濃度を充分に高濃度にし
ておけば、吸収はほとんど光電変換領域8(または14)
のみで起こる。
第2図(a)の構造の場合には、光電変換領域8にお
いて赤外光24の吸収によって価電子帯11のホール20が励
起され、ホットホール21となる。このホットホール21が
ポテンシャル障壁Φを越えてポテンシャル障壁領域9
を通過し、キャリア注入領域10に注入されると光信号出
力が得られる。
第2図(b)の構造の場合には、光電変換領域14にお
いて赤外光25の吸収によって伝導帯19の自由電子22か励
起され、ホット電子23となる。このホット電子23がポテ
ンシャル障壁Φを越えてポテンシャル障壁領域15を通
過し、キャリア注入領域16に注入されると、光信号出力
が得られる。
なお、第2図(a)及び(b)においては、光電変換
領域は非縮退状態として描いてあるが、さらに不純物濃
度が高濃度となり、光電変換領域が縮退状態になった場
合でも本発明は有効であり、そのときには、フェルミ準
位Efが、(a)の構造では価電子帯内に入り込み、
(b)の構造では伝導帯内に入り込んだ状態になる。
本発明の赤外線センサの受光部は、第3図(a),
(b)に示すように、以上述べた基本単位センサが複数
段積層した構造になっている。第3図には代表として、
第1導電型がp型,第2導電型がn型の場合が描かれて
いる。光電変換領域をA,ポテンシャル障壁領域をB,キャ
リア注入領域をCとするとき、前記光電変換領域を2層
以上含み、かつ、(…ABCBABCBABC…)の順序の多層構
造から成る受光部である。ホットホール26(第1導電型
がn型,第2導電型がp型の場合にはホット電子)は光
電変換領域Aから、それと接合する二つのポテンシャル
障壁領域Bを経て、二つのキャリア注入領域Cへ注入さ
れる。
以上のような構成の本発明の赤外線センサにおいて
は、次のようにショットキ障壁型赤外線センサの持つ問
題点が解決される。
(1)本赤外線センサの光電変換領域は、他の領域と同
種の半導体から成り立っているので、そのセンサの素材
として単結晶半導体を用いることによって、光電変換領
域を再結晶することができる。この場合、ショッキ障壁
型赤外線センサの光電変換領域(金属膜)に比べ、ホッ
トホールやホット電子の散乱中心が極く低密度の光電変
換領域であり、ホットホールやホット電子は長寿命とな
る。
(2)本赤外線センサの受光部は、基本単位センサが複
数段積層した構造になっているので、各光電変換領域を
ホットホールやホット電子の多重反射の効果が充分に現
れる程度に薄くしても、トータルの厚さを厚くして赤外
光の吸収率を大きくできる。例えば、不純物濃度が約10
20cm-3のSiから成る光電変換領域は、厚さを400nmから1
00nmに減じると、ホットホールやホット電子の多重反射
の効果により、吸収される赤外光が同じと仮定したと
き、感度が約10倍になるが、実際には赤外光の吸収率が
減少するので、これほどの向上はしない。5μmの波長
の赤外光の吸収率に着目すると、厚さ400nmでは約0.4で
あるが、100nmでは約0.12となる。しかし、100nmの光電
変換領域を2段にすればトータル吸収率は約0.23にな
り、もし4段設けるならば、吸収率は厚さ400nmの場合
と同レベルになるので、多重反射の効果がダイレクトに
感度向上に反映される。従って、どちらの作用も充分に
活用し切ることができる。
(3)本赤外線センサの受光部の全ての領域は、同種の
半導体から成るホモ接合構造なので、原理的には各接合
界面はホットホールやホット電子の捕獲中心となる界面
準位を皆無にすることができる。従って、各領域界面に
は光電変換領域からキャリア注入領域へのホットホール
やホット電子の注入効率を低下させる要因が無い。
(4)本赤外線センサの光電変換領域は、自由キャリア
の分布するエネルギー範囲が極く限られているので、ポ
テンシャル障壁に相当するエネルギーより大きいエネル
ギーを持つ光を吸収したにもかかわらず、p型の光電変
換領域の場合におけるポテンシャル障壁Φ以下のエネ
ルギーを持つホットホールの励起や、n型の光電変換領
域の場合におけるポテンシャル障壁Φ以下のエネルギ
ーを持つホット電子の励起に、その光エネルギーが費や
される現象は、各々の構造に対応するショットキ障壁型
赤外線センサにみられた類似の現象に比べて大幅に抑制
される。
(5)本赤外線センサにおいては、遮断波長を決定付け
るポテンシャル障壁ΦあるいはΦの大きさを、ポテ
ンシャル障壁領域の導電型,ポテンシャル障壁領域の厚
さ,光電変換領域とポテンシャル障壁領域とキャリア注
入領域との間の不純物濃度のバランス,及びバイアス条
件によって、零〜pn接合の拡散電位に相当するエネルギ
ー程度の間で任意に制御可能なので、センサの遮断波長
の設定における自由度が極めて大きい。
なお、本赤外線センサもショットキ障壁型赤外線セン
サの場合と同様に、ポテンシャル障壁が小さいことに起
因して、室温において暗電流が大きい場合には、冷却し
て使用しなければならない。
(実施例) 次に本発明の実施例について図面を参照して詳細に説
明する。
第1図は本発明の一実施例を示す縦断面図構造図であ
り、金属配線部分も表示してある。この図は厚さ方向が
かなり誇張されている。金属配線を施していない部分に
ついては、第1図のような階段状の構造である必要はな
い。
この実施例はSiを半導体材料とし、第1導電型をp
型、第2導電型をn型としている。p型Si基板1の表面
にエピタキシャルSi層が形成されており、該エピタキシ
ャルSi層は光電変換領域をA,ポテンシャル障壁領域をB,
キャリア注入領域をCとするとき、基板側からBABCBABC
BABCの構造を有している。基板1は最終的にはキャリア
注入領域となる。基板1と接しているポテンシャル障壁
領域Bの周囲を取り囲むように、基板1内にn+型ガード
リング2が設けてあり、他のポテンシャル障壁領域Bに
ついては、それらの周囲を取り囲むようにキャリア注入
領域C内にn+型ガードリング2が設けてある。各キャリ
ア注入領域C内と基板1には、金属配線6とオーミック
コンタクトを形成するためのp+型コンタクト領域3が設
けてある。一方の金属配線6は光電変換領域A及びn+
ガードリング2とオーミックコンタクトを形成してい
る。n+型ガードリング2に配線するのは、エネルギー帯
間遷移で伝導帯に自由電子が発生し、ポテンシャル障壁
領域における伝導帯のポテンシャル極小部分に入り込ん
だ場合に、それを速やかに取り除くためなので、光電変
換領域Aとn+型ガードリング2に別々に配線する構造で
もかまわない。他方の金属配線6はp+型コンタクト領域
3とオーミックコンタクトを形成している。
次に、本実施例の構造の製法例を示す。n+型ガードリ
ング2とp+型コンタクト領域3の形成が終わったp型Si
基板1上に、分子線エピタキシー法でBABC構造を形成す
る。n+型ガードリング2とp+型コンタクト領域3を、イ
オン注入法と、注入不純物の拡散がほとんど無く結晶性
回復と不純物の活性化が良好に成される条件の熱処理で
形成する。電気炉で熱処理する場合は900℃、10〜15分
程度行うとよい。他にランプアニール、電子ビームアニ
ール、レーザアニール等の方法を使うとよい。その後、
写真蝕刻技術によって熱酸化膜(SiO2)4上のBABC構造
Si膜の不用部分、すなわち、受光部以外の部分に堆積さ
れたBABC構造Si膜を除去する。次に、再び分子線エピタ
キシー法でBABC構造を形成し、前述の方法でn+型ガード
リング2とp+型コンタクト領域3を設けた後、写真蝕刻
技術によって2段目のBABC構造Si膜の不用部分を除去す
る。本実施例では、同様にしてBABC構造を3段形成し、
p型Si基板1上にBABCBABCBABC構造Si膜が実現される。
シリコン酸化物(SiO,SiO2)あるいはシリコン窒化物
(SiN,Si3N4など)等から成る絶縁膜5をCVD法あるいは
スパッタ法で形成し、コンタクトホールを開け、金属配
線6を施す。さらにパッシベーション膜7を形成し、ス
ルーホールを開けて本実施例は完成する。
本実施例はBABC構造が3段であるが、該構造の製造法
を繰り返すことによって、さらに多層のものも形成可能
である。また、BABCBABCBABC構造Si膜部分のパッシベー
ション膜上に金属反射膜を設け、裏面に反射防止膜を施
した裏面照射型センサを製造することもできる。また、
上述の実施例では基板1をキャリア注入領域として用い
ているが、用いなくてもよい。本発明の赤外線センサ
は、上述の実施例の第1導電型と第2導電型のpとnと
が入れ替わったものも成り立つことはもちろんであり、
原理的にSi以外の半導体材料を用いることも可能であ
る。また基板は半導体基板に限らずサファイア基板等で
もよい。さらに、本発明の赤外線センサのアレイと電子
走査回路とを組み合せたモノリシックあるいはハイブリ
ッドのイメージセンサも実現出来る。
(発明の効果) 以上説明したように、本発明によれば、ショットキ障
壁型赤外線センサに見られるような問題点を持たず、高
感度で、しかも半導体材料の禁制帯幅に相当する波長よ
り長い任意の遮断波長を具備した赤外線センサを提供で
きる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の金属配線部分を含んだ縦断
面構造図である。第2図(a),(b)は本発明の赤外
線センサにおける基本単位センサのエネルキー帯構造及
び光電変換領域機構の説明図で、(a)は第1導電型を
p型,第2導電型をn型とする場合、(b)は第1導電
型をn型,第2導電型をp型とする場合である。第3図
(a),(b)は第1導電型をp型,第2導電型をn型
とする場合を例とする本発明の赤外線センサの受光部構
造を示す図で、(a)は層構成、(b)はエネルキー帯
構造である。第4図は従来のショットキ障壁型赤外線セ
ンサの一例の縦断面図である。第5図(a),(b)は
ショットキ障壁型赤外線センサのエネルギー帯構造及び
光電変換機構の説明図で、(a)は金属・p型半導体シ
ョットキ接触の場合、(b)は金属・n型半導体ショッ
トキ接触の場合である。 A,8,14……光電変換領域、B,9,15……ポテンシャル障壁
領域、C,10,16……キャリア注入領域、1,27……p型単
結晶Si基板、2……n+型ガードリング、3……p+型コン
タクト領域、4,31……熱酸化膜(SiO2)、5,32……絶縁
膜、6,33……金属配線、7,35……パッシベーション膜、
11,17,41,47……価電子帯、12,18,42,48……禁制帯、1
3,19,43,49……伝導帯、20……ホール、21,26,50,52…
…ホットホール、22……自由電子、23,51,53……ホット
電子、24,25,37,54,55……赤外光、28……PtSi膜、29…
…n型ガードリング、30……n+型コンタクト領域、34…
…金属反射膜、36……反射防止膜、38,44……絶縁物、3
9,45……金属、40……p型半導体、46……n型半導体。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】第1導電型半導体から成る光電変換領域
    と、この光電変換領域より不純物濃度が低い第1導電型
    半導体から成るキャリア注入領域と、これら光電変換領
    域とキャリア注入領域との間に存在し、不純物濃度がこ
    のキャリア注入領域より低い第1導電型半導体か、真性
    半導体か、あるいは少なくとも動作条件下で完全空乏化
    状態となる第2導電型半導体から成るポテンシャル障壁
    領域とから構成されるホモ接合構造を基本単位センサと
    し、光電変換領域をA,ポテンシャル障壁領域をB,キャリ
    ア注入領域をCとするとき、前記光電変換領域を2層以
    上含み、かつ、(…ABCBABCBABC…)の順序の多層構造
    から成る受光部を有することを特徴とする赤外線セン
    サ。
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