JP2502148B2 - 非分離型レ―ザ磁気免疫測定方法及び測定装置 - Google Patents

非分離型レ―ザ磁気免疫測定方法及び測定装置

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JP2502148B2 JP1101311A JP10131189A JP2502148B2 JP 2502148 B2 JP2502148 B2 JP 2502148B2 JP 1101311 A JP1101311 A JP 1101311A JP 10131189 A JP10131189 A JP 10131189A JP 2502148 B2 JP2502148 B2 JP 2502148B2
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Description

【発明の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 本発明は、抗原抗体反応を利用した免疫測定方法及び
装置に関するものである。更に詳述するならば、本発明
は極めて微量の検体から特定の抗体または抗原を定量的
に検出可能なレーザ磁気免疫測定方法及び測定装置に関
するものである。
「従来の技術及びその課題」 後天性免疫不全症候群、成人T細胞白血病等のような
新型ウイルス性疾病、あるいは各種管の早期検査法とし
て、抗原抗体反応を利用した免疫測定法の開発が、現
在、世界的規模で推進されている。
従来から知られる一次反応を利用した微量免疫測定法
としては、ラジオイムノアッセイ(以下、RIA法と記
す)、酸素イムノアッセイ(EIA)、蛍光イムノアッセ
イ(FIA)法等が既に実用化されている。これらの方法
は、それぞれアイソトープ、酵素、蛍光物質を標識とし
て付加した抗原または抗体を用い、これと特異的に反応
する抗体または抗原の有無を検出する方法である。
ところが、RIA法は高い検出感度を有しているもの
の、標識に放射性物質を使用するために、その実施につ
いては多くの制約がある。また、EIA法及びFIA法はいず
れも実施についての制約がRIA法に比べて少なく、その
実施は容易であるが、感度が低く、精密な定量的測定が
困難であった。
本発明者らは、上記の免疫測定法の欠点を克服すべ
く、上記方法とは原理を異にするレーザ免疫測定法等の
研究を行ない、その成果を先に特願昭61−224567、61−
252427、61−254264、62−22062、62−22063、62−1527
91、62−152792、62−184902、62−264319、62−26748
1、63−6050、63−102912、63−102913、63−102915、6
3−102917、63−102918、63−156519、63−156520とし
てレーザ磁気免疫測定法及び測定装置並びに検体調整方
法についての発明を18件特許出願している。これらの新
しい免疫測定方法においては、標識材料として磁性体微
粒子を用いて傾斜磁界中で磁気標識された検体を局部濃
縮し、該局部濃縮点にレーザ光を照射して検体からの干
渉光、散乱光、透過光、回折光等の出射光を検出してい
る点に特徴があり、アイソトープを用いないでピコグラ
ムの超微量検出が可能である。
ところで、このようなレーザ磁気免疫測定法において
は、標識材料としての磁性体微粒子に1つの抗原あるい
は抗体を付加した磁性体標識体と、この磁性体標識体と
検体たる抗体あるいは抗原とを抗原抗体反応させた磁気
標識免疫複合体とを磁力や遠心力などを作用させて、予
め未反応の磁性体標識体を分離・除去した後に磁気標識
免疫複合体を検出するようにしている。この分離・除去
操作は比較的煩わしいものであり、この操作を行なわず
に磁気標識免疫複合体のみを識別できれば、そのメリッ
トは計り知れない。
一般に、上述のレーザ磁気免疫測定法並びにRIA法、E
IA法、FIA法等の現在実用されている、標識法は検出感
度を向上させる代わりに、検体の調整の際、未反応の標
識体を除去するため、洗浄を繰り返し行なう煩わしさが
あった。一方、非標識法である微粒子凝集法(PA)は検
体調整が簡便ではあるが感度が著しく低い欠点があっ
た。従って、標識法において、未反応の標識材料を分離
・除去しないで、検体のみを選択的に検出することがで
きれば、そのメリットは計り知れない。
本発明者らは、先に、未反応の該磁性標識体を分離す
る必要が無い非分離型レーザ磁気免疫測定法を研究し、
特願昭63−102914として特許出願した。この特許は標識
材料に超常磁性微粒子を用いる点に特徴があり、抗原抗
体反応した磁性体標識体の磁気特性が超常磁性から強磁
性に相転移することに着目して、定められた局部濃縮点
に到達する時間差から磁気標識免疫複合体のみを識別す
る方法である。本発明者らはその後の研究によって、強
磁性微粒子を用いた場合でも未反応の磁性体標識体から
磁気標識免疫複合体を識別できる方法を見いだし、先に
発明した方法を一般化することができ本発明を完成させ
た。
なお、磁性微粒子を用いた非分離型の免疫測定法とし
て、本発明者らの発明時期に相前後して以下のような3
件の特許出願があることが分かった。いずれも、下記の
ように本発明とは原理が異なるものである。
1)武者利光氏の発明による特願昭60−257545「磁界を
用いた免疫反応の検出法」においては、磁性体粒子を磁
界により変位させながら、偏光された輻射線を投射し、
その微粒子の抗原抗体反応によって生じる散乱光の偏光
面の変化から免疫反応を検出する方法である。測定方法
は詳述されているが、実際の抗原抗体反応に適用した実
施例が記述されておらず、検出感度等は不明である。
2)軽部征夫、石井知機両氏の発明による特願昭61−13
0506「抗原・抗体濃度測定法」並びに特願昭61−235841
「抗原・抗体固定化磁気微粒子の懸濁液及び懸断液を使
用する抗原・抗体濃度測定法」においては、磁界を適用
して抗原−抗体−磁気微粒子結合体を生成させ、次に磁
界を停止して、未反応の抗体または抗原を固定化した磁
気微粒子を試料液中に分散させ、次に、試料液中に懸濁
する前記凝集塊濃度を測定する方法である。検出感度は
約50μg/mlである。
以下のように、本発明に関連する上記の特許は原理が
異なるのみならず、特に後者の発明の方法は検出感度が
本発明よりも約6桁低い。
本発明の目的は、RIA法以上の検出感度並びに精度を
有志ながら、検体調整が簡便で、かつ実施上の制限のな
い新規な測定方法及び測定装置を提供することにある。
「課題を解決するための手段」 本発明に従えば、抗原抗体反応を利用して特異的に磁
気標識した検体にレーザ光を照射し、該検体からの出射
光を検出するレーザ磁気免疫測定法において、 未反応の磁性体標識体と、検体と反応した磁性体標識
体と検体との結合体である磁気標識免疫複合体とが混合
している溶液に、一方向の傾斜磁界を作用させて、該未
反応の磁性体標識体と該磁気標識免疫複合体の磁気泳動
能の相違を利用することによって、該混合溶液の中から
該磁気標識免疫複合体を分離または濃縮せずに識別・定
量することを特徴とする非分離型レーザ磁気免疫測定法
が提供される。
また、一方向の傾斜磁界を発生させる傾斜磁界発生装
置と、該傾斜磁界発生装置の内部に置かれた磁気泳動管
と、レーザ光線を該磁気泳動管の高磁界側の定められた
位置に導く入射光学系と、磁気標識免疫複合体からのレ
ーザ散乱あるいは透過あるいは反射あるいは干渉光ある
いは回折光等の出射光を受光する光学系と、該出射光の
時間応答特性解析部と、該磁気泳動管の低磁界側の入口
に抗原抗体反応後の検体並びに磁性体標識体の混合溶液
を注入する機構と、該磁気泳動管を洗浄後、非磁性体溶
媒を注入する機構とが少なくとも具備されている非分離
型レーザ磁気免疫測定装置であって、磁気泳動で検体が
通過する位置にレーザ光を照射して出射光の時間応答特
性から該未反応の磁性体標識体と該磁気免疫複合体の混
合溶液の中から該磁気標識免疫複合体を分離または濃縮
せずに識別・定量することを特徴とする非分離型レーザ
磁気免疫測定装置が提供される。
「作用」 本発明に従う非分離型レーザ磁気免疫測定方法は、標
識物質として超常磁性体、強磁性体のいずれも使用で
き、該磁性微粒子に1つの抗原あるいは抗体を付加して
得られた磁性体標識体を用いている。
本測定法の原理を説明する。一般に、静止溶液中に置
かれた磁性体を傾斜磁界中に置くと、磁性体は磁気吸引
力によって磁界の最も高い部分に移動しようとする。こ
の時の磁性体の運動方程式は次のように表わされる。
ただし、Jは磁性体の流れ、nは磁性体の密度、Fmは磁
気力(Fm=1/2・VχgradH2、vは磁性体の体積、χは
磁化率、Hは磁界)、ηは粘度、aは磁性体の直径、k
はボルツマン定数、Tは絶対温度である。
磁性体の運動は外部磁界強度、溶液温度、溶液粘度、
磁性体の磁気モーメント、密度、粒径等の影響を受け
る。磁気力は磁性体の体積と磁化率の積に比例する。従
って強磁性体微粒子の粒子径が非常に小さくなると容易
磁化方向は熱運動のためランダムになり、強磁性体から
超常磁性に相転移することが知られている。例えば、マ
グネタイトは粒径が10nm以下になると強磁性体から超常
磁性体に変化する。超常磁性標識体のみが含まれた溶液
を一方向の傾斜磁界中に置くと、ブラウン運動が盛んな
ため磁界の最大点に集まるためには長時間を要する。し
かし、検体と該超常磁性標識体とを抗原抗体反応させて
生じる超常磁性標識検体は、該超常磁性標識体よりも粒
子径が大きなため、ブラウン運動が活発でなくなる。従
って、該超常磁性標識検体を濃縮用傾斜磁界中に設置す
ると、超常磁性標識体よりも短時間で濃縮が行なわれ
る。先に、本発明者らが特願昭63−102914はこの現象を
利用したものであった。
一方、磁性体が強磁性体の場合、ブラウン運動の影響
はあまい考慮する必要はなく、代わりに、磁性体の磁気
モーメントと該磁性体が溶液中を磁気泳動する際に溶液
から受ける粘性抵抗が支配的になる。本発明の原理は、
抗原抗体反応後の磁気標識免疫複合体と未反応磁性標識
抗体との間の磁気モーメント、粘性抵抗の違いに着目し
て、磁気泳動の過渡特性から磁気標識免疫複合体と未反
応磁性標識抗体とを識別する、新たしい方法である。言
うまでもなく、磁気泳動後の定常状態においては、両者
とも磁界の最も高い部分に集結しているため両者を識別
することは出来ない。
以上説明したように、本発明の方法は、検体と前記超
常磁性標識体とを直接抗原抗体反応させる、いわゆる、
直接法のみならず、既知の抗原又は抗体を非磁性微小球
の表面に固相化しておき、この非磁性微小球と検体とを
抗原抗体反応させた後、前記磁性体標識体を加え、該検
体と該磁性体標識体とを抗原抗体反応させる、いわゆる
サンドイッチ法にも、本発明は非常に効果的である。
これら本発明の特徴的な構成によって、従来のRIA
法、EIA法、FIA法、及び本発明者らが先に発明したレー
ザ磁気免疫測定法等で、不可避であった未反応の標識体
を洗浄・分離する行程が不用となる。このような特徴の
ため、検出感度を低下させることなく測定の自動化を極
めて容易にする。
以下に図面を参照して本発明をより具体的に詳述する
が、以下に示すものは本発明の一実施例に過ぎず、本発
明の技術的範囲を何等制限するものではない。
「実施例」 実施例1 第1図は本発明の第1の実施例を説明する、検体調整
工程を説明する模式的に示す図であって、(a)は緩衝
液注入工程、(b)は磁性体標識抗体注入工程、(c)
はインキュベーション工程である。本実施例においては
実験上安全性の高い不活化したインフルエンザウイルス
を用いて本発明の非分離型レーザ磁気免疫測定法の原理
確認の目的で実施した。
1はインフルエンザウイルス、2はPBS緩衝液、3は
磁性体標識抗体、3−1は未反応の該磁性体標識抗体、
4は磁気標識免疫複合体、10は検体容器である。
ホルマリンにより不活化処理し、超遠心法により精製
したインフルエンザウイルス(A/石川(H3N2))1にPB
S緩衝液2を注入して200mlのウイルス浮遊液を作製し、
これにデキストランで被覆した平均粒径20nmのマグネタ
イトからなる磁性微粒子に、ウサギを免疫して得られた
インフルエンザウイルスに対する高度免疫血清から単離
したIgG抗体を該デキストランに共有結合して得られた
磁性体標識抗体3を25μl加え、35℃で2時間のインキ
ュベーションを行い、ウイルスを磁気標識した。該イン
キュベーション工程後の検体容器10の中には磁気標識免
疫複合体4と未反応磁性標識抗体3−1とが存在してい
る。なお、デキストラン被覆磁性微粒子の作製はRobert
S.Moldayの米国特許第4452773号記載の“MAGNETIC IRO
N−DEXTRAN MICROSPHERES"の方法によった。
第2図は本発明の装置の概略を説明する側面図であっ
て、11は溶媒兼洗浄液収容容器、12は検体移送用マイク
ロポンプ、13は容器兼洗浄液移送用マイクロポンプ、14
は磁気泳動管、15は廃液収容溶液、16はサンプルオート
チェンジャー、20は電磁石、21は傾斜磁界発生用磁極、
21−1は該傾斜磁界発生用磁極の低磁界側、21−2は該
傾斜磁界発生用磁極の高磁界側、22は該電磁石及び該傾
斜磁界発生用磁極に設けられた光学系導入のための貫通
穴、30はレーザ光源、31は透過光検出器、32は散乱光収
束レンズ、33は光電子増倍管、34は電子回路である。
透明ガラス製の磁気泳動管14は電磁石20と傾斜磁界発
生用磁極21の間に挿入、固定されている。該傾斜磁界発
生用磁極はテーパー型の形状をしているから、磁気空隙
長は図の右側へ行くほどが狭くなっている。すなわち、
該磁極の左側が高磁界側で、右側が低磁界側である。本
実施例の装置では低磁界側は7kG、高磁界側は12kG、該
磁気泳動管の全長は40mmであった。該磁気泳動管の内部
に置かれた磁性体は低磁界側から、高磁界側へ磁気吸引
されるから、該磁気泳動管の長さ方向に沿って左から右
へ磁気泳動することになる。該磁気泳動管の低磁界側の
端面には検体及び溶媒兼洗浄液の導入管が取り付けら
れ、検体移送マイクロポンプ12、溶媒兼洗浄液移送用マ
イクロポンプ13によって、検体及び溶媒兼洗浄液が該磁
気泳動管に注入される。該磁気泳動管の高磁界側の端面
には測定の終了した検体を排出するためのチューブが取
り付けられ、該チューブの他端は廃液収容容器に導かれ
ている。次に、測定のための光学系を説明する。
波長632.8nm、出力5mWのHe−Neレーザ光源30から出射
されたレーザ光は直径1.5mmの貫通穴22を通って前記磁
気泳動管に入射し、該磁気泳動管からの透過光は再び該
貫通光を通ってSiフォトダイオード製の透過光検出器31
に入る。該透過光検出器の出力は電子回路34によって該
透過光の時間応答特性が解析される。一方、該磁気泳動
管中の磁気標識免疫複合体4及び未反応磁性体標識抗体
からの散乱光は散乱光収束レンズによって光電子増倍管
33に導かれる。該光電子増倍管の出力は電子回路34によ
って該散乱光の時間応答特性が解析される。
次に、本装置の操作手順を説明する。第1図で説明し
た検体調整の終った検体容器10をサンプルオートチェン
ジャー16にセットする。マイクロポンプ13を作動させ
て、該磁気泳動管に溶媒兼洗浄液を注入して該磁気泳動
管を該溶媒で満たした後、検体移送用マイクロポンプ12
を作動させて第1の検体を該磁気泳動管に注入する。次
に、電磁石に通電し、磁気泳動開始時点からの透過光ま
たは散乱光の時間応答を記録・解析する。測定終了後、
該電磁石を停止し、マイクロポンプ13を作動させて該磁
気泳動管中の検体を排除、洗浄する。サンプルオートチ
ェンジャーを作動して第2の検体を該磁気泳動管に注入
する。このようにして、複数の検体を自動的に測定する
ことが出来る。
第3図はウイルスが存在する検体からのデータ、第4
図は検体と同一の処理等を行なっているがウイルスが存
在しない検体対照のデータであって、散乱光量の時間変
化を測定したものである。検体が存在する場合、検体か
らの散乱光量は電磁石を励磁すると直ちに増大し、再び
減少する。散乱光量の変化はレーザ照射位置を磁気泳動
によって通過した磁気標識免疫複合体の量に比例してい
る。これに対して、検体対照からの散乱光量は時間経過
とともに極わずか増大するのみである。このように、散
乱光量の時間変化を検出し、検体対照の散乱光量を差し
引くことによって、検体のみを定量することが出来る。
なお、検体対照は、必要に応じて実施すればよく、例え
ば、一連の検体の測定前に一度測定しておき、この結果
をメモリー上に蓄えておく方法が好ましい。
本発明の方法を用いれば、従来ウイルス培養が必要で
あった、インフルエンザウイルスを簡単な検体調整で直
接検出できる。本実施例では、1ml当り100個程度存在す
るインフルエンザウイルスを測定することが出来た。
以上説明したように、本実施例は磁気泳動管の途中で
あって、検体が通過する位置にレーザ光を照射し、散乱
光や透過光を検出する方法を取っているが、本実施例の
変形例として、磁界が最も高い検体の濃縮位置をレーザ
照射する方法でもよい。ただし、濃縮位置をレーザ照射
し散乱光を検出する方法においては、検体の濃度が高く
なると散乱体積が増え、光散乱機構がレーレ散乱からミ
ー散乱に変わるため、定量性に若干問題を生じることが
ある。
実施例2 白血病や癌への適用の可能性を調べるために、細胞検
出のモデル実験として、実験上安全性の高いEBウイルス
を感染させたB細胞リンパ球の検出実験を行なった。EB
ウイルス感染リンパ球はバーキットリンパ腫由来のATCC
CCL−86 RAJI細胞を、比較対照として健康人由来の非
感染リンパ球Bri7を用いた。これらのリンパ球は10%FB
Sを含むRPM11640で培養した。
本実施例では、超常磁性体標識抗体を使用した。該超
常磁性体標識抗体は実施例1と同じ方法で作製し、強磁
性体粒子を除去するために、遠心分離にかけ上清に残っ
た平均粒径9nmのデキストラン被覆磁性微粒子にANT−E.
B.V.−VCA(BIOSOFT,CLONE:F3.23)なるモノクローナル
抗体を該デキストラン表面に共有結合させ、未反応の該
抗体をゲルクロマトグラフィーで除去した後、20mモル
のボレートバッファー(pH8.5)に分散させる方法で作
製した。前記EBウイルス感染リンパ球及び比較対照の非
感染リンパ球にPBS緩衝液を注入して200mlの該リンパ球
浮遊液を作製し、これに上記超常磁性体標識抗体を50μ
l加え、35℃で2時間のインキュベーションを行なっ
た。この後、実施例1で説明した本発明の装置で散乱光
の時間応答性を測定した結果、1ml当り80個程度存在す
るEBウイルス感染リンパ球を検出することが出来た。こ
れに対して、検体対照の散乱光の時間応答性と、該非感
染リンパ球を加えない超常磁性体標識抗体のみの散乱光
の時間応答性との間には有意の差は見られなかった。
「発明の効果」 以上詳述のように、本発明に従うレーザ磁気免疫測定
方法及び測定装置は、未反応の磁性体標識抗体を磁気標
識免疫複合体から分離することなく、極めて効率的に超
高感度な抗原抗体反応検査を実施出来る。更に、標識体
として用いる磁性微粒子は、放射線あるいは毒性の点で
は問題なく、検体に対して安定なものを容易に入手でき
る。
この発明に従うレーザ磁気免疫測定装置は、上記実施
例で説明したウイルスの直接検出の他に、癌細胞等の細
胞診断や各種感染症の抗体検査にも適用できる。また、
従来RIA法が適用されていたペプチドホルモン等の種々
のホルモンあるいは種々の酵素、ビタミン、薬剤などの
測定にも応用することが可能である。従って、従来は限
定された施設でRIA法によらなければ実施できなかった
精密な測定を、一般的な環境で広く実施できる。さら
に、集団検診等のような一般的な状況で、各種のウイル
ス、癌等のスクリーニング検査等の精密な測定が広く実
施できれば、癌あるいはウイルス性疾患等の早期診断が
可能となり、有効な早期治療を的確に実施することが可
能となる。このように、本発明が医学・医療の分野で果
たす効果は計り知れない。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の第1の実施例を説明する、検体調整工
程を説明する模式的に示す図であって、(a)は緩衝液
注入工程、(b)は磁性体標識抗体注入工程、(c)は
インキュベーション工程、第2図は本発明の装置の概略
を説明する側面図、第3図がウイルスが存在する検体か
らのデータ、第4図は検体と同一の処理等を行なってい
るがウイルスが存在しない検体対照のデータである。 1……インフルエンザウイルス、2……PBS緩衝液、3
……磁性体標識抗体、3−1……未反応の該磁性体標識
抗体、4……磁気標識免疫複合体、10……検体容器、11
……溶媒兼洗浄液収容容器、12……検体移送用マイクロ
ポンプ、13……容器兼洗浄液移送用マイクロポンプ、14
……磁気泳動管、15……廃液収容容器、16……サンプル
オートチェンジャー、20……電磁石、21……傾斜磁界発
生用磁極、21−1……該傾斜磁界発生用磁極の低磁界
側、21−2……該傾斜磁界発生用磁極の高磁界側、22…
…貫通穴、30……レーザ光源、31……透過光検出器、32
……散乱光収束レンズ、33……光電子増倍管、34……電
子回路。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 星野 光利 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 星野 坦之 東京都千代田区内幸町1丁目1番6号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 水谷 弘子 東京都渋谷区宇田川町6番11号 (56)参考文献 特開 昭60−122374(JP,A) 特開 昭64−29768(JP,A)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】抗原抗体反応を利用して特異的に磁気標識
    した検体にレーザ光を照射し、該検体からの出射光を検
    出するレーザ磁気免疫測定法において、 未反応の磁性体標識体と、検体と反応した磁性体標識体
    と検体との結合体である磁気標識免疫複合体とが混合し
    ている溶液に、一方向の傾斜磁界を作用させて、該未反
    応の磁性体標識体と該磁気標識免疫複合体の磁気泳動能
    の相違を利用することによって、該混合溶液の中から該
    磁気標識免疫複合体を分離または濃縮せずに識別・定量
    することを特徴とする非分離型レーザ磁気免疫測定方
    法。
  2. 【請求項2】一方向の傾斜磁界を発生させる傾斜磁界発
    生装置と、該傾斜磁界発生装置の内部に置かれた磁気泳
    動管と、レーザ光線を該磁気泳動管の高磁界側の定めら
    れた位置に導く入射光学系と、磁気標識免疫複合体から
    のレーザ散乱あるいは透過あるいは反射あるいは干渉光
    あるいは回折光等の出射光を受光する光学系と、該出射
    光の時間応答特性解析部と、該磁気泳動管の低磁界側の
    入口に抗原抗体反応後の検体並びに磁性体標識体の混合
    溶液を注入する機構と、該磁気泳動管を洗浄後、非磁性
    体溶媒を注入する機構とが少なくとも具備されている非
    分離型レーザ磁気免疫測定装置であって、磁気泳動で検
    体が通過する位置にレーザ光を照射して出射光の時間応
    答特性から該未反応の磁性体標識体と該磁気免疫複合体
    の混合溶液の中から該磁気標識免疫複合体を分離または
    濃縮せずに識別・定量することを特徴とする非分離型レ
    ーザ磁気免疫測定装置。
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