JP2502087B2 - 歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラス - Google Patents

歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラス

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JP2502087B2
JP2502087B2 JP62087077A JP8707787A JP2502087B2 JP 2502087 B2 JP2502087 B2 JP 2502087B2 JP 62087077 A JP62087077 A JP 62087077A JP 8707787 A JP8707787 A JP 8707787A JP 2502087 B2 JP2502087 B2 JP 2502087B2
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crystallized
crystallization
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重義 小林
恒夫 真鍋
正純 重松
直樹 杉本
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラスに関す
るものである。
[従来の技術] 従来、リン酸塩ガラスを結晶化することにより得られ
る結晶化ガラスを歯科材料や人工骨等に応用することが
検討されている。
リン酸塩ガラスは、例えば所定の組成になるように調
合された原料を仮焼後白金ルツボ中で溶融することによ
り得られている。このガラスを、鋳造法等で成形後、熱
処理を行って結晶化することにより、結晶化ガスラ材料
が得られている。
[発明の解決しようとする問題点] しかしながら、化学組成が同一になるように原料を調
合しているにもかかわらず、溶融するバッチによって、
ガラスの結晶化が不均一で、そのため結晶化ガラスの外
観、機械的強度、化学的耐久性などの性質が大きくばら
つき、適正な物性の材料を得ることが困難であった。
[問題点を解決するための手段] 本発明者は、この種のガラスにおける結晶化の不均一
の原因を探索したところ、リン酸塩ガラスには、ケイ酸
塩ガラスに比べて多量の水が含有されており、この水の
濃度が、製造条件のわずかな違いで大きく変化するた
め、ガラスの粘度特性などが変化して、結晶化温度や結
晶化速度が大きく変動するのが原因であることを確認し
た。そしてガラス中の水(OH基)の濃度を特定の範囲に
制御することによって、機械的強度や化学的耐久性ある
いは歯科材料として使用する場合特に要求される透明感
のある外観などが、安定して得られることを見出した。
この水(OH基)の濃度は、直接的数値として表現する
ことが困難であるが、ガラスの赤外腺透過スペクトルの
波長3.45μm付近に現われるOH基に起因する吸収の大き
さから間接的に定量することが可能である。例えば、波
長2.5μmにおける透過率を基準として波長3.45μmの
透過率を測定することにより水分量を定めることができ
る。
かくして、本発明は歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラ
スにおいて厚さtmmのガラス板の、波長2.5μm(4000cm
-1)の赤外光の透過率をA%、波長3.45μm(2900c
m-1)の赤外光の透過率をB%と置いたとき、 βOH=−ln(B/A)/t・・・・・・式(l) で表わされるOH基に起因する吸光度が0.5〜4mm-1である
歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラスを提供するにある。
本発明において結晶性ガラスは、結晶化処理を施すこ
とにより内部に結晶が折出しうるガラス素材、および結
晶化後の素材すなわち結晶化ガラスの何れも意味するも
のである。
本発明のリン酸塩ガラスは、前記OH基に起因する吸光
度βOHが0.5〜4mm-1であることが必要である。βOHが0.
5mm-1に満たない場合は、結晶化時のガラスの粘度が高
くなるため、結晶化による体積収縮によって、結晶化ガ
ラス中に生じる内部応力をガラス相の粘性流動によって
緩和することが困難になる。その結果、結晶化ガラスに
クラックが生じるかもしくは残留応力が生じて著しく機
械的強度が低下する。
逆にβOHが4mm-1を超える場合は、結晶化時に結晶部
分から排出される水が過剰になるため、残留ガラス相に
水が濃縮され一部は蒸発して気泡の生成を来たす。その
結果、結晶化ガラスの外観が不透明になり歯科材料とし
て適さなくなるだけでなく、機械的強度や化学的耐久性
も劣化する。
リン酸塩ガラス中のOH基の量を制御する方法としては
ガラス溶融温度、溶融時間の制御による方法がある。こ
の方法においては溶融温度が高いほどまた溶融時間が長
いほどガラス中のOH基が低減する。しかし、このような
方法ではOH基の低減とともにリン酸分の揮発も生じてし
まい、ガラス中のOH基濃度を上記βOHで4mm-1以下にす
るような条件下でガラス中のリン酸の濃度を目的の濃度
に制御するのは難しい。
本発明者は、ガラス中のリン酸分の濃度の低減を生じ
る事なくガラス中のOH基の濃度を再現性良く制御する方
法として気体によるバブリング法および結晶化ガラスの
再溶融法が好ましい事を見出した。
気体によるバブリング法としては、例えば溶融状態の
ガラスに、ガラスと反応しないガス(例えばN2,O2,Ar,
He,空気およびこれらの混合物)を30〜180分吹き込んで
リン酸ガラス中の水を、すみやかに揮発せしめて、その
温度における水の平衝濃度に安定化せしめる手段が挙げ
られる。又、結晶化ガラスの再溶融法としては、例えば
一度固定したガラスを、そのガラスの結晶化温度乃至は
その温度から200℃上の温度で5〜24時間熱処理を行
い、できるだけ結晶化せしめた後粉砕しこれを再び溶融
しガラス化せしめる手段が挙げられる。
本発明のリン酸塩ガラスとしては、好適にはリン酸カ
ルシウム系ガラスが挙げられる。他にリン酸マグネシウ
ム系、リン酸ストロンチウム系単独もしくは、これらの
混合系ガスラにも適用できる。またこれらに対し、添加
剤として20モル%以下のAl2O3,Ce2O3,La2O3または15
モル%以下のLi2O,Na2O,K2Oが含まれていても良い。A
l2O3,Ce2O3,La2O3が20モル%を超える場合は水分量が適
切であっても結晶化時のガラス粘度が高くなり、結晶化
ガラスにクラックが生じて強度が低くなる虞れがあるの
で好ましくない。Li2O,Na2O,K2Oが15モル%を超える
場合は、水分量が適切であっても、結晶化ガラスの化学
的耐久性が低くなる虞れがあるので好ましくない。
[発明の効果] 本発明は、リン酸塩ガラス中の水の含有量を一定にす
ることにより、ガラスを結晶化した際の機械的強度や化
学的耐久性を高い水準で安定化させる効果がある。特に
歯科材料として使用する時に要求される天然歯に似た透
明感を出す効果がある。その上、結晶化温度や結晶化速
度が安定化するため、結晶化時間が一定となり結晶化の
ばらつきを考慮して不必要に長時間の熱処理を行う必要
がなくなる。その結果製造時間を実質的に短縮させる効
果がある。
[実施例] 実施例1 ガラス化後、水以外の成分がP2O550モル%、CaO 48モ
ル%、Al2O32モル%になるように化学薬品のH3PO4,Ca
CO3,Al(OH)3を調合して200gの原料バッチを作った。こ
れにイオン交換水を50ml加えよく攪拌して均一なスラリ
ーを調製した。これを400℃で5時間仮焼した後解砕
し、白金ルツボに移して1300℃の電気炉に入れて、均一
なガラス融液を得た。
次に融液中に白金製のパイプを挿入し1300℃の温度に
保ったままO2ガスを300ml/分の流量で15分間吹き込ん
だ。その後10分間静置して脱泡後、鉄板上に流し出して
ガラスを得た。
このガラスを1mm厚の板状に成形し表面を光学研摩し
て赤外透過スペクトルを測定し、式(1)によりβOH
求め、示差熱分析によりガラス転移点を求めた。さらに
ガラスを白金ルツボに入れて1200℃で溶融し歯科用の金
属鋳造と同様の方法で2mmφ×25mmの円柱状に鋳造成形
した後、鋳型中、700℃で20時間結晶化処理を行った。
得られた結晶化ガラスについて曲げ強度の測定と外観の
観察を行った結果を表1に示す。
実施例2 実施例1と同じ手段で得たガラス融液中に白金パイプ
を挿入し、1300℃に保ったままN2ガスを300ml/分の流量
で120分間吹き込んだ。その後10分間静置して脱泡後、
鉄板上に流し出してガスラを得た。
このガラスについて実施例1と同様にして得たβOH
ガラス転移点、結晶化ガラスの曲げ強度と外観を第1表
に示した。
実施例3 実施例1と同じ手段で得たガラス融液を、鉄板上に流
し出し、ガラス化後、750℃で20時間熱処理して結晶化
ガラスを得た。次にこれを粒径2〜3mm程度になるまで
粉砕し再び白金ルツボに入れた、1300℃で30分間溶融し
た、その後この融液を鉄板上に流し出してガラスを得
た。
このガラスについて実施例1と同様にして得たβOH
ガラス転移点、結晶化ガラスの曲げ強度と外観を第1表
に示した。
比較例 実施例1と同様にして得られたガラス融液をガスを吹
き込む処理をすることなくただちに鉄板上に流し出して
ガスラを得た。
このガラスについて実施例1と同様にして得たβOH
ガラス転移点、結晶化ガラスの曲げ強度と外観を第1表
に示した。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラスにおい
    て厚さtmmのガラス板の、波長2.5μm(4000cm-1)の赤
    外光の透過率をA%、波長3.45μm(2900cm-1)の赤外
    光の透過率をB%と置いたとき、βOH=−ln(B/A)/t
    で表わされるOH基に起因する吸光度が、0.5〜4mm-1であ
    る歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラス。
JP62087077A 1987-04-10 1987-04-10 歯科材料用リン酸塩系結晶性ガラス Expired - Lifetime JP2502087B2 (ja)

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JPS63252942A JPS63252942A (ja) 1988-10-20
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