JP2501691B2 - 抵抗溶接方法及びその装置 - Google Patents

抵抗溶接方法及びその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気抵抗溶接に係わる抵
抗溶接方法及びその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】スポット溶接などの電気抵抗溶接では、
対向する上下一対の電極で被溶接物を押圧し所定の時
間、電流を通じて溶接を行うもので広く利用されてい
る。この場合、図7に示すように電極チップ1,2は直
接電極ホルダー5,6に固着される場合と、シャンク
3,4を介して電極ホルダーに固着される場合とがあ
り、電極ホルダー5,6はアーム7,8に固着されて使
用される。このような電極周辺の構成で溶接する場合、
被溶接材料が一般の冷延鋼板であれば充分な連続打点性
(電極寿命)を示すが、亜鉛めっき鋼板を始めとする各
種表面処理鋼板の溶接では、打点数の増加に伴い、銅系
材料からなる電極チップと鋼板のめっき金属とが合金化
して、電極先端部(鋼板との接触部)が損耗・拡大す
る。このため電流密度が低下し所定のナゲットが形成さ
れなくなり、電極チップのドレッシングあるいは交換ま
での時間(打点数)を短縮せざるを得なくなることか
ら、生産性の低下が余儀なくされていた。
【0003】これら難点を解消する手段として、例えば
特開昭61−293679号公報、実開昭61−679
78号公報などが知られているが、この装置の場合電極
加圧軸と直角方向に電極回転軸を設け、この回転軸の周
囲に複数本の電極チップを埋設あるいはリング状電極を
取り付け、これを間欠的に回転させて溶接するものであ
るが、これらは設備的に大がかりなものとなり、さらに
その構造上、被溶接物の形状にかなりの制約が生じるな
どの難点があった。
【0004】従来のこのような溶接方法および装置の問
題点を解消するために、めっき鋼板などの溶接において
連続打点性の高い抵抗溶接方法とその装置が特開平2−
220784号公報によって開示された。その構造を図
8に示す。図8は上記実施例の回動機能を有する電極部
特にシャンク3の態様例を示す。
【0005】電極チップ1は回動電極ホルダー(Aシャ
ンク)13に固着され、該Aシャンクは電極部の中心軸
11を回転軸として回動させるため連結スリーブ16を
介して、回動しない固定電極ホルダー(Bシャンク)1
4と連結され、Bシャンクは電極ホルダー5に固着され
る。電極部の中心部に、その先端が電極チップ1内で開
口している水冷パイプ15が配設されているが、該水冷
パイプ15を通じて電極チップ1を冷却する水が外部に
漏洩しないように、Aシャンク13とBシャンク14の
連結部はO(オー)リング17でシールされている。ま
たAシャンク13と連結スリーブ16とは回転、摺動す
るため充分な通電性を確保出来るような連結状態になっ
ている。そして、電極チップ1およびAシャンク13を
回動させるため、Aシャンク13にウオームホイールH
を取り付けウオームWでAシャンク13を回転させてい
る。
【0006】この装置は以上の構造になっているので該
装置内に取付けられた駆動装置によりAシャンク13が
回動し、これに伴い電極チップが一定角度回転して新し
い接触面(通電面)を形成し、順次この動作を繰返えす
ことにより接触面を次々に移動させ、電極の接触回数
(連続打点数)を飛躍的に向上することができる効果を
有している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記装置
は電極チップを回動する駆動機構を該溶接装置に内在せ
しめているため、その構造が複雑となり、メンテナンス
の点で問題が生じる場合があった。本発明はかかる問題
点を解決するもので極めて簡潔な構造の抵抗溶接装置及
びその溶接方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために、対向する一対の電極部の両方又は一方の電
極チップの先端部表面を被溶接物に接触し、かつ上記電
極チップを電極中心軸の回りに間欠的に回動させて前記
接触面を順次移動して溶接する抵抗溶接方法において、
前記電極チップを保持する回動電極ホルダーを系外から
の入力例えば、手動又は回動付与装置等によって回動す
ることにより、前記電極チップを所定角度回動せしめる
抵抗溶接方法及び対向する一対の電極部の両方又は一方
の電極部中心軸を電極加圧軸に対し傾斜した状態で配設
するとともに該電極部の電極チップを保持する回動電極
ホルダーの外周部に回動連結部を設け、且つ前記電極部
の系外に該回動連結部を回動させる回動付与機構を配設
した抵抗溶接装置を提供するものである。
【0009】以下、本発明に関し、図面を参照しながら
詳細に説明する。
【0010】
【実施例】図1に本発明の一実施態様を示す(但し、対
向する上下一対の装置の内、上部の態様のみ記載)。被
溶接物Sに対する電極加圧軸10に対し、電極Aの中心
軸11を所定の角度θで傾斜させておく。電極チップ1
及びAシャンク13、Bシャンク14を含む電極部を電
極中心軸11を回転軸として矢印Xの方向に間欠的に所
定角度ずつ回動させる。
【0011】電極中心軸11を加圧中心軸10に対して
角度θで傾斜させるために、本実施態様ではアーム7を
曲げてBシャンク14を固着している。図2に本発明の
回動機能を有する電極部、特にAシャンク13の態様例
を示す。本実施態様ではAシャンク13に固着した回動
連結部18をスパナかけとした例であり、従って回動付
与機構19として図3に示すように移動スパナを使用し
ている。該図ではスパナかけ18を6角にし、回動角度
αを60°にした例を示す。
【0012】すなわち、電極チップ1を回動するに当
り、移動スパナ19を移動してAシャンク13のスパナ
かけ部18に装着し、その嵌合部19Aで保持したまま
電極中心軸に対し角度αだけ移動スパナ19を回転す
る。回転終了後移動スパナ19をスパナかけ部18から
外す。他の実態例として、図4に示すような押圧式レン
チ20を回動付与機構に使用する。押圧式レンチ20を
移動してその把持部20Aで回動連結部18をつかみ、
角度αだけ回転する。回転終了後押圧式レンチ20は回
動連結部18を開放し元の位置に戻る。上記回動連結部
18は円形でもよく、またAシャンク13の外周部を回
動連結部に用いてもよい。
【0013】また、図示しないが、回動連結部をラチェ
ット状にし、これを外部に設けた回転用治具の往復動作
によって所定角度回転させるようにしてもよい。次に電
極部Dの固定電極ホルダー14が回動機構に連結されて
回動し、回動電極ホルダー13が固定機構(回動付与機
構に相当)に保持されて回動しない場合について説明す
る。
【0014】すなわち、上記作動を実現する実施態様と
して、電極部Dを多関節型溶接ロボット21に載置した
実施例がそれに該当する。溶接ロボット21は、図5に
示すように基台23上に設置したロボットアーム24及
び25がロボットアーム回転部26Aを介して連絡さ
れ、更にロボットアーム25及び28がロボットアーム
回動部27Aを介して連結され、次いで、同様にロボッ
トアーム28,29,30,31、及び32がロボット
アーム回転部26B,26C及び同回動部27B,27
C等によって連結されて、ロボットアーム32に固設さ
れたガンホルダー33が自在にその位置を移動できるよ
うに構成されている。ガンホルダー33はロボット回転
部26Dを介してアーム支持部34を回転自在に連結し
ており、該アーム支持部34の先端にはアーム7,8を
介して電極チップ1,2が配設されている。35はエア
シリンダーでアーム7を回動させる作用をなす。36は
トランスである。従って、電極部Dが回動機構、すなわ
ちガンホルダー33に連結され、所望の位置に配設され
る。
【0015】電極チップ1の回動は次のようにして行わ
れる。所定の点数を溶接した電極チップ1が装着されて
いるAシャンク13のスパナかけ部18を適当な位置に
固設した固定スパナ(この場合、固定スパナが回動付与
機構に相当する)に挿入し嵌合する。しかるのち一連の
ロボットアームを図6に示す点線の位置に移動し、すな
わち電極中心軸11に対し角度αだけ回動し、これによ
り電極部DのBシャンク14を角度α分回動せしめる。
回転終了後、Aシャンク13を引抜いてスパナかけ部1
8を開放し、次いで、ロボットアームを元の位置(図6
実線の位置)に戻す。
【0016】この動作により、電極チップ1は角度αだ
け回転することになる。以上説明したように、Aシャン
クに回動連結部を設けることで、該Aシャンクを系外回
動付与機構により所定の角度回動することができるの
で、当該抵抗溶接機を極めて簡潔な構造で構成すること
ができる。
【0017】
【発明の効果】本発明は抵抗溶接に適用して従来の溶接
作業と何ら変わることなく溶接でき、しかも打点数の増
加に伴う電極の損耗は接触部が移動しつつ整形されるた
め確実な大きさのナゲットを形成することができるとと
もに従来溶接法に比べ連続打点数を飛躍的に増加せしめ
ることができ、しかもかかる操作が簡潔な構造で達成で
きるので、産業利用上多大な効果をもたらすものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抵抗溶接装置の電極部の概略を示す正
面図である。
【図2】図1のシャンク部分の拡大一部断面正面図であ
る。
【図3】本発明の作用を示す一実施例の概略図である。
【図4】本発明の作用を示す他の実施例の概略図であ
る。
【図5】本発明の他の実施例を示す概略正面図である。
【図6】図5に示す実施例の平面図である。
【図7】従来の電極部周辺装置の態様を示す正面図であ
る。
【図8】従来のシャンク部分の拡大一部断面正面図であ
る。
【符号の説明】
1,2…電極チップ 3,4…シャンク 5,6…電極ホルダー 7,8…アーム 9,10…加圧軸 11…電極中心軸 12…アーム中心軸 13…Aシャンク 14…Bシャンク 15…水冷パイプ 16…連結スリーブ 17…オーリング 18…スパナかけ部 19…スパナ 20…押圧式レンチ 21…溶接ロボット 22…台座 23…基台 24,25,28,29,30,31,32…ロボット
アーム 26A,26B,26C,26D…ロボットアーム回転
部 27A,27B,27C…ロボットアーム回動部 33…ガンホルダー 34…アーム保持部 35…エアシリンダー 36…トランス

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する一対の電極部の両方又は一方の
    電極チップの先端部表面を被溶接物に接触し、かつ上記
    電極チップを電極中心軸の回りに間欠的に回動させて前
    記接触面を順次移動して溶接する抵抗溶接方法におい
    て、前記電極チップを保持する回動電極ホルダーを系外
    からの入力によって回動することにより、前記電極チッ
    プを所定角度回動せしめることを特徴とする抵抗溶接方
    法。
  2. 【請求項2】 対向する一対の電極部の両方又は一方の
    電極部中心軸を電極加圧軸に対し傾斜した状態で配設す
    るとともに該電極部の電極チップを保持する回動電極ホ
    ルダーの外周部に回動連結部を設け、且つ前記電極部の
    系外に該回動連結部を回動させる回動付与機構を配設
    し、而して前記回動連結部の回動を介して前記電極チッ
    プを前記電極部中心軸を回転軸として所定角度回動せし
    めるようにしたことを特徴とする抵抗溶接装置。
  3. 【請求項3】 前記回動連結部が4角以上12角以下の
    スパナかけであり、且つ前記回動付与機構が移動スパナ
    である請求項2記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記回動連結部がラチェットであり、且
    つ前記回動付与機構がラチェット回転用冶具である請求
    項2記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記電極チップを支持する固定電極ホル
    ダーが回動機構に連結され、且つ前記回動付与機構が固
    定スパナである請求項2記載の装置。
  6. 【請求項6】 前記回動機構が多関節型溶接ロボットに
    付属するガンホルダーである請求項5記載の装置。
  7. 【請求項7】 前記回動連結部が断面円形であり、かつ
    前記回動付与機構が押圧式レンチである請求項2記載の
    装置。
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