JP2501536Y2 - 吸気分配装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、ディーゼルエンジン、ガソリンエンジン等
の多気筒エンジンの吸気分配装置に関するものである。

［従来の技術］ シリンダヘッド内にスワール発生機構を有する吸気ポ
ート（例えばヘリカルポート）を備えたエンジンにおい
ては、箱形の吸気カバー等のチャンバにより前記吸気ポ
ート入口を覆うものが近年多くなっている。

前記吸気ポートにより生ずるスワールの強弱は、前記
吸気チャンバ入口よりヘリカルポートへの吸気流の進入
方向の角度によって左右される。即ち、第６図に示すよ
うに吸気がＡの矢印のように進行する場合は、ヘリカル
ポートの角度と一致するためスワールは強化されるが、
反対のＣの方向では逆に弱くなり、Ｂ方向ではＡ、Ｃの
中間のスワール強さとなる。

特に多気筒エンジンに前記箱形吸気チャンバを使用す
る場合は、吸気口が１個で４乃至８個の吸気ポートがあ
るので、各吸気ポート毎に適正な吸気進入角度とするこ
とは非常に難しい。よって出力の低下やスモークの発生
およびエンジン出力のアンバランス等の問題があった。

この対策として、実開昭56−149030号公報及び実開昭
59−148435号公報等により第７図に示すような、シリン
ダ１の一側面２からシリンダに到る吸気ポート３の入口
部に吸気チャンバ４内においてスワール制御板５や偏向
部を設けることが提案されている。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしこれら実開昭公報に開示されたものは、夫々の
吸気ポートごとに制御板等を設けなければならず部品点
数の増加および工数増となり、また取付時の位置合せと
角度の調整等の作業性が悪いという問題がある。

またスワール制御板を設けたことにより、この制御板
が逆に吸気流の円滑な流れを阻害するという新たな事態
を発生せしめていた。

更に、吸気口から入り直進した吸気が進行前面にある
シリンダヘッド側面等に当たって跳ね返り、後から入っ
てきた吸気流と衝突して乱流を発生させる点については
何ら改善することができない。

従って、本考案の目的は、吸気流を前記乱流の発生な
しに円滑に螺旋状の流れとして各吸気ポートに導き、且
つ部品点数、工数の増加を来すことのない吸気分配装置
を提供することにある。

［問題点を解決するための手段］ 前記目的を達成するために、本考案によればシリンダ
ヘッド内にスワール発生機構を有する複数の吸気ポート
を備えたエンジンにおける前記シリンダヘッド側面に、
箱形の一方を開口し、該開口側と対向する閉塞側の中央
に吸気入口をもつ吸気チャンバを、前記吸気ポート入口
を覆うよう装着するとともに、該チャンバの底部上に、
吸気入口より突入する吸気を分流し、吸気チャンバ内で
螺旋流を生ぜしめる断面がほぼ三角形状のスワールガイ
ドを設けたことを特徴とする吸気分配装置が提供され
る。

［作用］ 本考案は上記のように構成したので、吸気チャンバの
吸気入口から入った吸気は、吸気チャンバ内をやや斜め
下に向かって直進し、シリンダヘッドの側面から前記吸
気チャンバの底面にかけて激しく衝突せんとする。

しかし、本考案に係るスワールガイドによって左右に
分流されつつ直進し、後からの吸気流とは衝突しないで
乱流化せず、且つスワールガイドの斜面を降下して底部
において方向を変えられ、纏まった旋回流となって吸気
チャンバ内をスムーズに、スピードを落とすことなく、
左右の吸気ポートへと螺旋を描いて進行する。従って、
各吸気ポート毎への吸気流の進入角度を略均一とし、こ
れにより吸気ポート内へ衝突せずに進入して、シリンダ
内スワールを均一且つ強化せしめる。

［実施例］ ４気筒ディーゼルエンジンに適用した本考案実施例を
第１図乃至第５図により説明する。

７は合成樹脂製の本考案に係る一方が開口、他方が閉
塞した箱形の吸気チャンバで、エンジンのシリンダヘッ
ド８の吸気ポート９側の側面8aに、ボルト・ナット（図
示せず）により前記吸気ポート９入口を覆うように装着
されている。

10は吸気入口で、前記吸気チャンバ７の閉塞側の中央
上方に取り付けられている。

11はスワールガイドで、前記吸気チャンバ７内におけ
る前記吸気入口10からの吸気の進入方向前方位置に、吸
気チャンバ７の底部7aから突出して一体的に形成されて
いる。前記スワールガイド11は、例えば硬質プラスチッ
ク製で断面が山形状の中空体に形成され、長手方向の一
端が前記吸気入口10を設けた閉塞側に、また他端が開口
側で前記シリンダヘッド側面8aに当接するように、略同
じ高さで前記吸気チャンバ７内部を上方部が連通する２
室に分割するように設けられている。

以上の構成において、吸気入口10より進入した吸気流
12は直進し、第１図または第４図に示すように、前記ス
ワールガイド11の両斜面11aにより左右に分流されつつ
直進し、前記シリンダヘッド側面8aおよび前記吸気チャ
ンバ７の底部7aに衝突するが、ここで吸気チャンバ７の
外周に沿うように方向を変えられて旋回流となり、前記
吸気チャンバ７の内部を左右方向に進行して各吸気ポー
ト９に吸引される。

なお、前記実施例では、スワールガイド11を吸気チャ
ンバ７と一体的に形成したが、別体として接着等によっ
て一体化してもよい。また、第５図に示すように、吸気
流が最も強く当たる部分、例えばシリンダヘッド側面8a
に相当する部分にまで延長するとともに、曲率面11bを
形成すれば、より一層の方向付けが可能となり、理想と
する旋回・螺旋流を生ぜしめることができる。

更に、前記実施例のスワールガイド11では、その断面
形状を頂角が略60°の三角形状に近い形状としたが、そ
の両斜面を曲面としてもよい。

［考案の効果］ 以上のように、本考案吸気分配装置は、シリンダヘッ
ド内にスワール発生機構を有する複数の吸気ポートを備
えたエンジンにおける前記シリンダヘッド側面に、箱形
の一方を開口し、該開口側と対向する閉塞側の中央に吸
気入口をもつ吸気チャンバを、前記吸気ポート入口を覆
うよう装着するとともに、該チャンバの底部上に、吸気
入口より突入する吸気を分流し、吸気チャンバ内で螺旋
流を生ぜしめる断面がほぼ三角形状のスワールガイドを
設けたことを特徴とするので、吸気流は従来例のように
吸気流同士がぶつかり合い乱流を起こすこともなく、直
進流が分流されてそのままスムーズに螺旋状の流れとな
る。よって、吸気流の流入時の速度は阻害されることな
く、そのまま螺旋流となって吸気ポートへ吸気される。

この結果、吸気ポート入口での吸気流の進入角度はシ
リンダヘッドに対して略直角に近い状態にすることがで
きるので、従来例のような制御板を用いなくともスワー
ル比を各シリンダとも略同程度に近づけることができ、
エンジンの出力バランスを格段に向上せしめる効果があ
る。

また、従来例のようなスワール制御板を各吸気ポート
毎に必要としないので、部品点数が減りコストの低減と
生産性を向上し得る効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は、本考案吸気分配装置の水平断面図、第２図
は、第１図Ａ−Ａ断面相当図、第３図は、本考案装置の
開口側、即ちシリンダヘッド側から見た斜視図、第４図
は、本考案装置内の吸気流の状態を示す縦断面図、第５
図は、本考案装置の他の実施例を示す縦断面図、第６図
は、ヘリカルポートにおける吸気方向とスワールの関係
を説明する図、第７図は、従来例の吸気マニホールドの
概略平面図である。 １、８…シリンダヘッド、３、９…吸気ポート、４、７
…吸気チャンバ、５…スワール制御板、11…スワールガ
イド、12…吸気流。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】シリンダヘッド内にスワール発生機構を有
   する複数の吸気ポートを備えたエンジンにおける前記シ
   リンダヘッド側面に、箱形の一方を開口し、該開口側と
   対向する閉塞側の中央に吸気入口をもつ吸気チャンバ
   を、前記吸気ポート入口を覆うよう装着するとともに、
   該チャンバの底部上に、吸気入口より突入する吸気を分
   流し、吸気チャンバ内で螺旋流を生ぜしめる断面がほぼ
   三角形状のスワールガイドを設けたことを特徴とする吸
   気分配装置。