JP2500882B2 - 吸水性を有する皮革様熱可塑性ポリエステル系樹脂シ―ト及びその製造方法 - Google Patents

吸水性を有する皮革様熱可塑性ポリエステル系樹脂シ―ト及びその製造方法

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JP2500882B2
JP2500882B2 JP3252192A JP25219291A JP2500882B2 JP 2500882 B2 JP2500882 B2 JP 2500882B2 JP 3252192 A JP3252192 A JP 3252192A JP 25219291 A JP25219291 A JP 25219291A JP 2500882 B2 JP2500882 B2 JP 2500882B2
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孝明 平井
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Sekisui Plastics Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、熱可塑性ポリエステ
ル系樹脂(以下、これをPATという。)を材料として
作った皮革様のシート及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】合成樹脂で作られた皮革様シートは既に
知られている。皮革様合成樹脂シートは、一般に人工皮
革といわれている。従来の人工皮革は、繊維で作られた
基布層の上に、発泡した合成樹脂の表面層を付着させ
て、両者を一体としたものが多かった。このように基布
層が必要とされた理由は、発泡した樹脂層だけでは皮革
に匹敵するような性質、とくに引張強度を付与すること
ができなかったからである。従来の人工皮革は、基布層
を用いたために、基布層と樹脂層とが剥がれるという問
題を生じ、また製造工程も複雑になるという欠点があっ
た。
【0003】これまで、人工皮革を作るのに用いられて
きた合成樹脂は、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン
系樹脂が多かった。それは、これらの樹脂がある程度の
柔軟性を示し、また発泡させることも容易だったからで
ある。そのほか、ポリアミド樹脂も使用できるとされた
が、これは発泡させることが困難であるため、人工皮革
として広く用いられるには至らなかった。それ以外の樹
脂は、初めから人工皮革を作るに適しないと考えられ、
又は発泡させることが困難であったために、人工皮革の
製造に用いられることはなかった。
【0004】他方、PATは、一旦これを繊維にしたの
ち、これを交させてこれを基布層の代わりとして人工皮
革の製造に用いられてきた。しかし、PATを人工皮革
の樹脂層として用いることはなかった。それは、PAT
が発泡させ難いからであった。さらに詳しくいえば、そ
の理由は、PATが硬くて柔軟性に乏しい上に結晶性で
あって、加熱時に固体から急激に粘度の低い液体に変わ
る特性を持つので、発泡を行うに適した粘度を示す温度
領域が狭く、従って発泡時の温度調節が困難だからであ
り、また発泡の原動力となる気体をすぐに放出してしま
うので、発泡させにくいからである。
【0005】しかし、発泡剤を含んだPATを押出機か
ら大気中に押し出すと、低い倍率ではあるが、発泡する
ことは、知られている。その発泡倍率は通常2倍以下で
あり、シート状に押し出せば比較的大きく発泡させるこ
とができるが、それでも発泡倍率は4倍位である。そこ
で、これをさらに大きく発泡させようとする試みがなさ
れた。
【0006】特開昭55ー2045号公報は、発泡剤を
含んだPATを減圧した領域へ押し出して、高倍率に発
泡させる方法を記載している。この公報では、22倍か
ら32倍に発泡した円形断面の発砲体が得られた、と報
告されている。しかし、この方法は、減圧領域を構成す
ることが困難である、という欠点を持っている。とく
に、人工皮革を作る場合にはこの方法の実施は困難とな
る。その理由は、PATをシート状で押し出すと、押し
出されたシートは、発泡のために表面に凹凸を生じたり
大きく変形したりするので、このような不規則な形状の
ものを連続的に通過させるような減圧領域を構成するこ
とが容易でなくなるからであり、とくにシート状のもの
に対して減圧シールを十分なものとすることは困難だか
らである。
【0007】他方、スチレン系樹脂で作られた発泡板に
ついては、これを屈曲すると柔軟性に富んだものとなる
ことが知られている。それは、特公昭63ー60705
号公報に記載されている。しかし、この公報は、樹脂を
スチレン系樹脂に限っているので、PATの発泡板につ
いては何の教示もしていないし、またこうして得られた
柔軟な発泡板が、緩衝材、断熱材、又は充填剤として曲
げて用いるに適したものとなると教えるだけで、皮革と
なるものについては全く教えていない。
【0008】本発明者は、一般に発泡させにくいとされ
て来たPATを発泡させて、人工皮革を作ろうと企て
た。そのために、本発明者は、PATを大気中へ押し出
して発泡させることを試みた。その結果、PATを適当
な条件の下に押し出すと、約4倍に発泡したシートが得
られることを知った。さらに、本発明者は、得られた発
泡シートに水蒸気などを接触させてシートを加熱する
と、シートはさらに膨れて、高倍率にしかも均一微細に
発泡したシートとなることを見出した。
【0009】また、本発明者は、こうして得られた均一
微細に発泡したPATシートを、常温でロール間に挟ん
で圧縮すると、シートは柔軟性を増し、ここに皮革様の
柔軟で引張強度、引裂強度の強い強靱なシートが得られ
ることを見出した。さらに、本発明者は、シートをロー
ル間に挟んで圧縮する代わりに、シートを屈曲させたり
揉んだりしても、同様に皮革様のシートが得られること
を確認した。
【0010】また、本発明者は、上述のようにして得ら
れた皮革様シートの構造を探究した。その結果、皮革様
シートは、均一微細に発泡しているとともに、気泡壁が
特殊な状態にあって、しかもシート全体が特異な柔軟度
を持つものであることを確認した。ここで、均一微細に
発泡しているというのは、気泡が実質的に1mm以下の直
径を持った小さなものであり、また気泡壁が100ミク
ロン以下の小さな厚みを持った状態にあることを意味し
ている。また、気泡壁が特殊な状態にあるというのは、
気泡壁の少なくとも一部が不規則に屈曲しながら延びて
いることを意味している。また、シート全体が特異な柔
軟度を持つというのは、ガーレー式柔軟度試験による柔
軟度が20000mg以下の小さな値を持つことを意味し
ている。
【0011】このような柔軟性、引張強度及び引裂強度
の点ではかなり改良された皮革様PATシートは特開平
3ー153342号公報に記載されている。しかしなが
ら、この改良されたシートも吸水性および通気性の点で
は天然の皮革からはほど遠いものであった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、PATを
発泡させて得られたシートだけで、あらゆる点で皮革に
匹敵するような性質を持ったシートを得ようとするもの
である。即ち、この発明の課題は、PATの発泡シート
からなる天然の皮革の外観及び性質を持ったシートを提
供することである。
【0013】また、この発明の他の課題は、PATの発
泡シートからなる柔軟で且つ強靱な天然皮革の性質を持
ったシートを提供することである。また、この発明の更
に他の課題は、PATの発泡シートからなる通気性、吸
水性のある天然皮革の性質を持ったシートを提供するこ
とである。また、この発明の他の課題は、柔軟で且つ強
靱な天然皮革の性質を持ったPAT発泡シートの容易な
製造方法を提供することである。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めの手段として、この発明は、物の発明と方法の発明と
を含んでいる。これを具体的にいえば、この発明は熱可
塑性ポリエステル系樹脂からなる均一微細に発泡したシ
ートであって、独立気泡は実質的に1mm以下の直径を持
ち、連続気泡率が30〜80%であり、気泡壁が実質的
に100ミクロン以下の厚みを持っており、しかも各気
泡を構成する気泡壁が不規則に屈曲して延びて、シート
としての柔軟度がガーレー式試験で、20000mg以下
となっていることを特徴とする、吸水性を有する皮革様
熱可塑性ポリエステル系樹脂シート、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂からなる均一微細に発泡したシートであっ
て、独立気泡は実質的に1mm以下の直径を持ち、気泡壁
が実質的に100ミクロン以下の厚みを持った発泡シー
トを材料とし、上記発泡シートに圧縮又は屈曲の力を与
えて、各気泡を構成する気泡壁を不規則に屈曲して延び
た状態にし、続いて強アルカリ溶液に浸漬することによ
り連続気泡化することを特徴とする、吸水性を有する皮
革様熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法、熱
可塑性ポリエステル系樹脂からなる均一微細に発泡した
シートであって、独立気泡は実質的に1mm以下の直径を
持ち、気泡壁が実質的に100ミクロン以下の厚みを持
った発泡シートを材料とし、上記発泡シートを強アルカ
リ溶液に浸漬することにより連続気泡化し、続いて各気
泡を構成する気泡壁を不規則に屈曲して延びた状態にす
ることを特徴とする、吸水性を有する皮革様熱可塑性ポ
リエステル系樹脂シートの製造方法、熱可塑性ポリエス
テル系樹脂からなる均一微細に発泡したシートであっ
て、独立気泡は実質的に1mm以下の直径を持ち、気泡壁
が実質的に100ミクロン以下の厚みを持った発泡シー
トが、発泡剤を含んだ熱可塑性ポリエステル系樹脂を押
し出しにより発泡させて発泡シートとし、押し出された
直後の高温にある発泡シートを樹脂の結晶化度が30%
以下の一次発泡シートとし、一次発泡シートを60℃以
上に加熱して発泡させた二次発泡シートであり、これに
アルカリ溶液処理及び圧縮又は屈曲の力を与える処理を
施すことを特徴とする吸水性を有する皮革様熱可塑性ポ
リエステル系樹脂シートの製造方法、上記の製造方法に
おいて、強アルカリ溶液が、pH12.5以上である吸水
性を有する皮革様熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの
製造方法、である。
【0015】次に発明を具体的に説明する。この発明で
用いることのできるPATとは、芳香族のジカルボン酸
に、二価アルコールを反応させて得られた高分子量の鎖
状ポリエステルである。ジカルボン酸としては、テレフ
タール酸が最も多く用いられているが、イソフタール
酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸が用いられること
もある。そのほか、ジフェニルエーテルジカルボン酸、
ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシジカル
ボン酸が用いられることもある。他方、二価アルコール
としては、エチレングリコールが主として用いられる
が、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンジメチ
ロール、トリシクロデカンジメチロール、2,2ービス
(4ーβーヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、
4,4′ービス(βーヒドロキシエトキシ)ジフェニル
スルホン、ジエチレングリコールを用いたものもある。
このようなPATは市販されている。この発明では、市
販されているPATを用いることができる。
【0016】上述のPATのうち、この発明で用いるに
適したものは、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートエラ
ストマー、非結晶性ポリエステル、ポリシクロヘキサン
テレフタレートなどである。これらの樹脂は、単独で又
は混合して用いることができる。また、これらの樹脂に
PAT以外の樹脂を混合して用いることもできる。他の
樹脂を混合する場合には、他の樹脂はPATよりも少な
くする。
【0017】皮革様シートは、独立気泡が均一微細に発
泡したものでなければならない。このことは、気泡の大
きさ、気泡壁の厚み、シートの密度などで規定すること
ができる。独立気泡の大きさは実質的に1mm以下、好ま
しくは500ミクロン以下である。ここで、実質的に1
mm以下というのは、大部分の気泡が1mm以下の大きさで
あることを意味し、1mm以上の大きさの気泡が絶対にあ
ってはならないことを意味するのではない。気泡壁の厚
みも同様であって、気泡壁の厚みは実質的に100ミク
ロン以下、好ましくは50ミクロン以下、さらに好まし
くは20ミクロン以下である。また、気泡の大きさは気
泡壁の厚みよりも大きいのか一般である。密度は1.1
g/cc以下、好ましくは0.8g/cc以下、さらに好ましく
は0.15〜0.5g/ccの範囲である。また、この発明
に係る皮革様シートの大きな特徴は、連続気泡率が30
〜80%であるということである。
【0018】この発明に係る皮革様シートのまた別の大
きな特徴は、気泡壁が不規則に屈曲して延びているとい
うことである。このことは、これを拡大して見ると、一
層明瞭である。図1は、従来のやや改良された、この発
明の基となった特開平3ー153342号公報に記載さ
れた皮革様PAT発泡シートを厚み方向に切断して模型
的に拡大して示したものである。図1において、1、
2、3・・・・・は何れも1つの気泡を示し、11、1
2、13・・・・・は、それぞれの気泡を区画する気泡
壁を示している。気泡壁11、12、13・・・・・
は、何れもその厚みの数倍にも及ぶ大小さまざの振幅を
持って屈曲している。その屈曲の中には、紙を折り返し
た場合のように尖った。1つの屈曲もあれば、紙を手の
中で無造作に押し潰して広げた場合のような、多数の皺
から成る部分もある。その気泡壁は、ところどころで裂
かれて、亀裂を生じている。図2は、この発明に係る皮
革様PAT発泡シートを厚み方向に切断した気泡構造を
示す約35倍の拡大顕微鏡写真である。図2は、気泡壁
の屈曲とともに、この発明の特徴である気泡が連続化さ
れていることを示している。これに対し、従来の改良前
の発泡シートは、厚み方向の断面を拡大して示すと、図
3のとおりである。図3において、21、22、23・
・・・・は何れも1つの気泡であり、31、32、33
・・・・・は、それぞれの気泡を画する気泡壁である。
気泡壁31、32、33は多少彎曲する程度であって屈
曲していない。
【0019】また、この発明に係る皮革様シートは、柔
軟度の点でも従来のPAT発泡シートと異なっている。
例えば、ブタンを発泡剤として発泡させて得られたポリ
エチレンテレフタレートであって、坪量が400g /
m2 、厚みが1.50mm、密度が0.27g/ccの普通の
PAT発泡シートは、その柔軟度をガーレー式柔軟度試
験により測定すると、48326mgの柔軟度を示す。こ
れに対し、この発明に係る皮革様シートで、坪量が39
7g/m2、厚みが1.29mm、密度が0.31g/ccの皮革
様シートは、16751mg柔軟度を示している。さら
に、色々なPATシートについて同様な試験を行うと、
従来のPAT発泡シートは柔軟度が40,000mg以上
であるのに対し、この発明に係る皮革様シートは柔軟度
が20000mg以下であることが確認された。従って、
この発明に係る皮革様PAT発泡シートは、ガーレー式
柔軟度が20000mg以下であるという点で特異であ
る。
【0020】なお、ガーレー式柔軟度試験法は特開平3
ー294306号公報に記載されている。次に、この発
明に係る吸水性を有する皮革様PAT発泡シートの製造
方法について説明する。その製造方法は、前述のよう
に、PATから成る均一微細に発泡したシートであっ
て、実質的に1mm以下の直径の気泡を持ち、気泡壁が実
質的に100ミクロン以下の厚みを持った発泡シートを
材料とし、樹脂のガラス転移以下の温度で、この発泡シ
ートに圧縮又は屈曲の力を与えて、気泡壁を波状に屈曲
して延びた状態にすることを特徴とする方法である。
【0021】この製造方法で材料とされる発泡シート
は、どのような製造方法によって作られたものであって
もよい。例えば、前述の特開昭55ー2045号公報の
教示に従って、PATシートを減圧領域で発泡させて均
一微細に発泡したPATシートが得られれば、これを材
料とすることもできる。しかし、好ましいのは、次に述
べるように、発泡を2回にわたっておこなう方法であ
る。
【0022】発泡を2回にわたって行う方法は、発泡材
を含んだ高温のPATを、シート状に押し出した直後に
急冷して一次発泡シートとし、その後一次発泡シートを
60℃以上に加熱してさらに発泡させ、二次発泡シート
を得る方法である。PATを押し出すには、これまで行
われてきたように、PATを押出機に入れて溶融すると
ともに、押出機の途中から発泡剤を圧入して混練し、こ
の混練物を押出機に取り付けた口金からシート状に成形
して出すようにすればよい。口金から押し出す際には、
シート横断面の形状を円環状としても、又は一直線状に
してもよい。円環状とした場合には、あとでこれを切り
開いて平坦なシートとする。
【0023】押し出した直後のシートを急冷するのは、
一次発泡シートの結晶化度を30%以下の低い値とする
ためである。急冷する温度は、PATのガラス転移点以
下とする。この発明では、こうして得られた二次発泡シ
ートが、実質的に1mm以下の均一微細な気泡を持ち、且
つその気泡を構成する気泡壁が実質的に100ミクロン
以下の薄いものとなって、よく発泡していることを利用
して、PATのガラス転移点以下の温度において、二次
発泡シートを圧縮または屈曲させ、これによって気泡壁
を不規則に屈曲した状態にするのである。
【0024】均一微細に発泡したPATシートを圧縮ま
たは屈曲させるには、色々な方法を用いることができ
る。例えば圧縮するには、圧縮方向はシートの厚み方向
であっても、長さ方向であっても、幅方向であてもよ
い。しかし、圧縮しやすいのは厚み方向である。厚み方
向の圧縮は,シートを部分的に圧縮しても、全体的に圧
縮してもよいが、好ましいのは部分的に圧縮することで
ある。また、PAT発泡シートを屈曲するには、屈曲方
向が何れの方向であってもよいが、好ましいのは長さ方
向と幅方向とであり、そのうちでも好ましいのは長さ方
向である。また、圧縮または屈曲は、単純にその1つを
行うというのではなくて、それらを適当に組み合わせて
行うことが望ましい。
【0025】工業的実施方法として好ましい方法は、P
AT発泡シートを多数のロールに通して、圧縮または屈
曲を組み合わせて連続的に行う方法である。例えば表面
に凹凸の付されたエンボスロールに通して、シート表面
を部分的に圧縮したり、対をなす多数のロール間に通し
て、シートを厚み方向に部分的に圧縮するとともに、長
さ方向にも伸長したり若しくはたるませたり、又は多数
のロール間にジグザグに通して、シートを長さ方向に屈
曲するとともに、長さ方向に伸長したりもしくはたるま
せたりする方法である。
【0026】上述の圧縮または屈曲は、PAT発泡シー
トがPATのガラス転移点以下にある状態で、行うこと
が必要である。PATのガラス転移点は、PATを構成
するジカルボン酸と2価アルコールとの種類によって異
なるが、大雑把に言えば、30〜90℃の範囲内にあ
る。したがって、通常はPAT発泡体を60℃以下の温
度で、圧縮または屈曲する。
【0027】PATは、高温で加水分解しやすい樹脂で
あるから、これを押出機から押し出して発泡させる場合
には、予めこれを乾燥することが望ましい。乾燥には例
えば除湿乾燥機を用いるのかよい。その場合の乾燥条件
は、例えば露点がー30℃の空気を160℃に加熱して
おき、この空気中にPATを約4時間露出するという程
度で足りる。
【0028】発泡としては、色々なものを用いることが
できる。大別すると、PATの軟化点以上の温度で分解
してガスを発生する固体化合物や、加熱するとPAT内
で気化する液体や、加圧下でPATに溶解させ得る不活
性な気体など、その何れをも用いることができる。上記
の固体化合物は、例えば、アゾジカルボンアミド、ジニ
トロソペンタメチレンテトラミン、ヒドラゾカルボンア
ミド、重炭酸ナトリウムなどである。PAT中で気化す
る液体は、例えば、ヘキサン、ペンタン、ブタンのよう
な飽和脂肪族炭化水素、シクロヘキサンのような飽和脂
環族炭化水素、ベンゼン、キシレンのような芳香族炭化
水素、塩化メチレン、フレオン(登録商標)のようなハ
ロゲン化炭化水素である。不活性な気体は、例えば、二
酸化炭素、窒素などである。そのほか、発泡剤として
は、特開昭59ー135237号公報が教えるように、
高分子量の鎖状芳香族ポリカーボネートを用いることも
できる。
【0029】発泡剤が混入され軟化したPATが、口金
から押し出されると,PATは発泡する。この発泡は、
この発明における一次発泡であって、得られた発泡体は
一次発泡シートである。一次発泡シートはひくい発泡倍
率にとどまり、通常高い密度を持ったものとなる。その
発泡倍率は、発泡体の形状によって異なるが、せいぜい
5倍程度である。この発明では、こうして得られた一次
発泡シートが、作られた直後であってまだ高温にある間
に、これを急冷してPATのガラス転移点以下の温度に
する。
【0030】一次発泡シートは、急冷されると結晶とな
る暇がなくて個化するから、結晶化度が低いものとな
る。結晶化度は、急冷の程度によって異なる。例えば、
冷却媒体の種類、冷却媒体の温度、冷却媒体との接触状
況などによって異なる。押出によって作られた一次発泡
シートに、常温の水を直接接触させて冷却したような場
合には、一次発泡シートは結晶化度が数%ないし10数
%となり、通常30%以下となる。しかし、押し出しに
よって作られた一次発泡シートを金型に導いて形を整え
るような場合に、金型を強制的に冷却しないときには、
発泡シートが急冷されないから、結晶化度は30%以上
となる。とくに肉厚形状の一次発泡シートは、結晶化度
が30%以上となる。だから、押出機によって一次発泡
シートを作る場合には、一次発泡シートを強制冷却した
金型に沿って進行させて急冷する。
【0031】一次発泡シートの急冷を有効にするには、
一次発泡シートがその体積に比べて、大きな表面積を持
つようになるべく厚みを薄くすることが望ましい。すな
わち、なるべく幅を大きくして厚みを薄くし、厚みを1
0mm以下、とくに3mm以下とすることが望ましい。その
場合、シートが円筒状にされているときには、円筒の内
部にマンドレルを設け、シートをマンドレルに沿って進
行させるようにし、且つ、マンドレルを水で冷却すると
ともに、マンドレルの長さをなるべく長くする。他方、
シートが平板状にされているときには、対をなすロール
の間にシートを挟んで冷却しながら進行させるように
し、且つ、ロールを水で冷却するとともに、ロールの直
径をなるべく大きくする。こうして、一次発泡シートの
結晶化度を30%以下に押さえる。
【0032】一般に、樹脂の結晶化度は、密度、X線回
折像、核磁気共鳴吸収スペクトルなどによって測定する
ことができるが、樹脂発泡シートはその中に気泡を包蔵
しているために、これらの方法によって結晶化度を測定
することができない。従って、PATの一次発泡シート
では、融解熱量と、冷結晶化熱量を測定するというよう
な、熱的方法によらなければならない。その原理は、P
AT発泡シートを定速で加熱していくと、初めに結晶が
増大し、その後に融解するが、結晶の増大時には発熱
し、融解時には融解熱を吸収するので、この特性を利用
するのである。具体的には、結晶化に際して発せられる
冷結晶化熱量と、融解の際に吸収される融解熱量とを測
定し、これを完全結晶の標準品が示す融解熱量と対比し
て、結晶化度を算出する。
【0033】実際にPAT発泡体の冷結晶化熱量と、融
解熱量とを測定するには、示差走査熱量測定法によるこ
とが望ましい。これについては、特開平3ー15334
2号公報に記載されている。この発明では、結晶化度が
30%以下のPAT一次発泡シートを用いて、これを2
回目の発泡に供する。これが二次発泡である。二次発泡
の際には、これを60℃以上に加熱する。加熱手段は格
別限定されていない。伝導による加熱でも、輻射による
加熱でも、対流による加熱でも、高周波電力による加熱
でも、何れも用いることができる。また加熱媒体もとく
にPATを侵すものでなけれは、何れをも用いることが
できる。そのうちで、好ましい加熱方法は、PATの一
次発泡体を加熱された金属または空気に接触させ、又は
水蒸気若しくは加熱された水に接触させて、加熱する方
法である。
【0034】二次発泡時の加熱時間は、PATの性質、
及び形状、加熱媒体の種類及び温度によって適当に定め
る。一般に、加熱媒体の温度が低い場合には、加熱時間
を長くし、逆に温度が高い場合には、加熱時間を短くす
る。また、発泡体の肉厚が大きい場合には、加熱時間を
長くし、逆に肉厚が小さい場合には加熱時間を短くす
る。
【0035】金属板に接触させて一次発泡体を加熱する
場合には、金属板は60〜200℃の温度とし、5秒以
上接触させるのが好ましい。また、一次発泡体を空気に
接触させて加熱する場合には、一次発泡体をオーブンに
入れ、オーブン内温度を100〜230℃の温度とし
て、10秒〜5分間加熱するのが望ましい。金属板や空
気によって加熱する場合には、一次発泡後直ちに二次発
泡をおこなうことを避け、一次発泡後少なくとも24時
間、通常3日間位放置してのち、二次発泡させることが
望ましい。
【0036】これに対し、水蒸気または加熱された水に
接触させて一次発泡体を加熱する場合には、一次発泡後
直ちに二次発泡させることができる。この場合、水蒸気
または水は60℃〜125℃の温度とし、接触時間を1
0秒〜10分とする。125℃を越えた水蒸気または水
は、一次発泡体を分解させるおそれがあるので、使用を
避けたほうがよい。
【0037】PAT発泡体を水蒸気または水と接触させ
るには、種々の態様を採ることができる。これらについ
ては、特開平3ー153342号公報に記載されてい
る。PAT発泡体を60℃以上の水または水蒸気に接触
させて加熱すると、PAT発泡体は大きく二次発泡して
体密度の発泡体となる。一般に、空気加熱よりも水また
は水蒸気による加熱の方が大きく発泡させやすい。水又
は水蒸気によれば、二次発泡の倍率は小さくても1.3
倍であり、大きい場合には4倍以上になる。しかも、発
泡を均一に行うことができ、得られた二次発泡体は微細
で均一な気泡を持ったものとなる。こうして、良質の低
密度発泡体を得ることができる。
【0038】この発明の実施にあたっては、PATの中
に種々の添加物を入れることができる。例えば、気泡調
整剤として少量のタルク粉末、帯電防止剤、顔料、難燃
剤を加えたり、PATの溶融特性を改善するために、無
水ピロメリット酸のような酸二無水物、ジグリシジルテ
レフタレートのようなエポキシ化合物又は周期律表I
a、IIa族の金属酸化物又は炭酸ナトリウム等を、
0.5〜5重量%、単独又は混合して加えることができ
る。
【0039】また、この発明方法の実施の際に、得られ
た二次発泡体を高温例えは200℃以上に保持して、P
ATの結晶化度を高め、これによって耐熱性の一層向上
した二次発泡体を得ることもできる。こうして得た二次
発泡シートを前述のように圧縮、又は屈曲して、皮革様
PAT発泡シートとするのである。
【0040】更に、この発明においては、PATの発泡
シート又は皮革様シートに吸水性や通気性を与えるため
に、該シートをアルカリ溶液に浸漬する。これらのアル
カリ溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カル
シウム、炭酸ナトリウム、燐酸ナトリウム、燐酸カリウ
ム等の水酸塩、炭酸塩、燐酸塩がある。これらのアルカ
リ溶液はpH12.5以上の溶液が好ましく、80〜10
0℃に加熱すると、20分〜30分間の浸漬で連続気泡
率45%〜80%となる。発泡シートの場合は、その
後、圧縮又は屈曲して皮革様PAT発泡シートとする。
【0041】さらに、上述の方法により得られたシート
の表面を、サンドペーパー、ブラシ、ヤスリなどで擦る
ことにより、バックスキン状の皮革様シートにすること
もできる。また、表面に金属蒸着、塗装を行うこともで
きる。また、このシートに圧縮又は屈曲を施す前または
後に、着色フィルム、金属蒸着フィルムを積層すること
もできる。
【0042】
【実施例】次に実施例を挙げて、この発明のすぐれてい
る所以を具体的に説明する。以下において単に部という
のは重量部の意味である。 実施例1 (一次発泡シートの製造)PATとしてポリエチレンテ
レフタレート(帝人社製、商品名TR8580)を用
い、下記の組成物を作った。
【0043】 PAT 100部 タルク 0.6部 無水ピロメリット酸 0.3部 炭酸ナトリウム 0.1部 上記の組成物を65mmΦの押出機に入れ、押出機の供給
部温度を280℃とし、圧縮部の温度を285℃とし、
溶融部の温度とヘッド部の温度とを何れも275℃と
し、金型の温度を270℃として、スクリュ回転数25
rpm とした。また、押出機の途中から、発泡剤としてブ
タンを1.3部の割合で圧入して、押出した。口金は円
環状のものを用い、口径60mmΦでスリット幅を0.4
mmとした。また、口金の先には、直径が205mmΦで長
さが740mmのプラグを設け、これを25℃の水で急冷
した。こうして得た発泡シートを切り開いて平坦なシー
トとし、これを一旦ロール状に巻き取り、これを一次発
泡シートとした。一次発泡シートは、坪量が400g/
m2、厚みが1.50mm、密度が0.27g/ccで、気泡の
大きさは平均320ミクロン、気泡壁の厚みは平均して
およそ30ミクロンであった。また、一次発泡シートの
結晶化度は8%で、柔軟度は48326mgであった。 (二次発泡シートの製造)その後、一次発泡シートを1
00℃の水蒸気に5分間接触させてさらに発泡させ、こ
れを室温に放置して冷却し、二次発泡シートを得た。二
次発泡シートは、坪量が400g/m2、厚みが5.6mm、
密度が0.07g/ccで、気泡の大きさは平均560ミク
ロン、気泡壁の厚みは平均しておよそ20ミクロンであ
った。また、この二次発泡しーとの柔軟度は58488
mgであった。 (二次発泡シートの処理)上で得た二次発泡シートを柔
軟なものとするために、室温25℃でエンボスロールに
より圧縮した。エンボスロールとしては直径14cmのも
のを対をなして対向させ、ロール間の間隙を0.3mmと
した。ロール表面には、幅が0.2mm、深さが0.5mm
の溝が、ロールの軸方向及び円周方向に何れも1mm間隔
で設けられていた。また、ロールの回転速度は3rpm と
して、その間に二次発泡シートを1回だけ通した。
【0044】こうして圧縮された二次発泡シートは、良
好な皮革様シートであった。皮革様シートは、その物性
を測定すると、坪量が404g/m2、厚みが1.56mm、
密度(0.25g/ccで、最大点引張強度が4.90kg/c
m 、破断点引張伸びが3.96%、最大時引裂強度が
1.12kg、柔軟度が12118mgであった。また、手
で引き裂いても破れなかった。 (アルカリ溶液による処理)上記のようにして得られた
皮革様シートを100℃、水酸化ナトリウム水溶液(3
0重量%水溶液)に20分間浸漬した。得られた皮革様
シートの連続気泡率は76%で吸水率は134%であっ
た。 実施例2 (一次発泡シートの製造)PATとしてポリエチレンフ
タレート(帝人社製、商品名TR8580)を用い、下
記の組成物を作った。
【0045】 PAT 100部 タルク 0.6部 無水ピロメリット酸 0.30部 炭酸ナトリウム 0.1部 上記の組成物を65mmΦの押出機に入れ、押出機の供給
部温度を280℃、圧縮部の温度を285℃、溶融部の
温度を270℃、ヘッド部の温度を275℃、口金の温
度を270℃として、スクリュウ回転数25rpm とし
た。また、押出機の途中から発泡剤としてブタンを1.
1重量部の割合で圧入して押し出した。口金は円環状の
ものを用い、口径60mmΦでスリット幅を0.44mmと
した。また、口金の先には、直径205mmΦで長さが7
40mmのプラグを設け、これを25℃の水で急冷した。
こうして得た発泡シートを切り開いて平坦なシートと
し、これを一旦ロール状に巻き取り、これを一次発泡体
とした。一次発泡は、厚みが1.1mm、密度が0.30
g/ccであった。 (アルカリ溶液による処理)上記発泡シートを80℃、
水酸化ナトリウム水溶液(30重量%水溶液)に30分
間浸漬した。発泡シートに含浸された水酸化ナトリウム
水溶液は多量の水で水洗して除去した。得られた発泡シ
ートの連続気泡率は48%、吸水率は54%であった。
なお、アルカリ溶液で処理しなかったものは、連続気泡
率は4%、吸水率は0.7%であった。 (二次発泡シートの製造)アルカリ処理した一次発泡シ
ートを100℃の水蒸気に3分間接触させて更に発泡さ
せて二次発泡シートを得た。
【0046】二次発泡シートは、厚みが3.8mm、密度
が0.087g/cc、結晶化度は22%であった。この発
泡シートの厚み方向に切断した気泡構造を図4に示す。 (二次発泡シートの処理)この二次発泡シートを柔軟な
ものとする為に、実施例1で用いたエンボスロールに2
回通した。そのときのロールの回転速度は同じく3rpm
とした。
【0047】得られた皮革様シートは、柔軟性に富んだ
ものとなった。得られた皮革様シートは、坪量が326
8g/m2、厚みが1.3mm、密度が0.25g/cc、柔軟度
は7976mgであった。 実施例3 (一次発泡シートの製造)実施例2と同様にして製造し
た。 (二次発泡シートの製造)一次発泡シートを100℃の
水蒸気に5分間接触させて更に発泡させ、これを室温に
放置して冷却し、二次発泡シートを得た。この二次発泡
シートは、坪量が330g/m2、厚みが4.1mm、密度が
0.08g/ccであった。(一次発泡シートと二次発泡シ
ートの製造の間隔は2週間であった。) (二次発泡シートの処理)上で得た二次発泡シートを柔
軟なものとするために、エンボスロールにより圧縮し
た。エンボスロールとしては直径14cmのものを対をな
して対向させ、ロール間の間隔を0.3mmとした。ロー
ル表面には、幅が0.2mm、深さが0.5mmの溝が、ロ
ールの軸方向及び円周方向に何れも1mm間隔で設けられ
ていた。また、ロールの回転速度は3rpm として、その
間に二次発泡シートを一回だけ通した。 (アルカリ溶液による処理)このようにして得られた皮
革様シートを実施例2と同じ方法でアルカリ処理しさら
に、上記と同じ方法でエンボスロールにより圧縮処理し
た。この皮革様シートの厚み方向に切断した気泡構造を
図5に示す。
【0048】こうして得られた発泡シートの密度は0.
25g/cc、連続気泡率は63%、吸水率は92%であっ
た。柔軟度は7608mgであった。なお、吸水率はJI
SK7209 A法に準拠して試験片の元の質量と吸水
前後の質量増加分の比から計算し、連続気泡率はAST
M D2856に準拠して計算した。
【0049】
【発明の効果】この発明によれば、皮革様PAT発泡シ
ートは、均一微細に発泡して、独立気泡が実質的に1mm
以下の直径の気泡を持ち、気泡壁が実質的に100ミク
ロン以下の厚みを持っているので、天然の皮革のような
外観を呈している。しかも、PATを材料とした発泡シ
ートであって、各気泡を構成する気泡壁が不規則に屈曲
して延びて、シートとしての柔軟度がガーレー式試験
で、20000mg以下となっているので、あたかも天然
皮革のような強度と感触とを持ったものとなっている。
また、この発明の皮革様PAT発泡シートは、連続気泡
率が30〜80%であるので通気性と吸水性に優れてい
て、天然皮革に極めて類似した性質を持っている。その
上に、この皮革様シートは、PATだけで作られている
ので、製造が容易であるという特色を持っている。その
ために、この発明の皮革様シートは、天然皮革に代わる
ものとして広い用途が見込まれる。この点でこの発明は
裨益するところが大きい。
【0050】また、この発明によれば、PATからなる
均一微細に発泡したシートであって、実質的に1mm以下
の直径の気泡を持ち、気泡壁が実質的に100ミクロン
以下の厚みを持った発泡シートを材料とし、PATのガ
ラス転移点以下の温度で、発泡シートに圧縮または屈曲
の力を与えることにより、容易に気泡壁を不規則に屈曲
した状態にすることができ、これによって皮革様PAT
発泡シートを容易に作ることができる。したがって、皮
革様シートを連続的に容易に、しかも安価に供給できる
こととなる。この点で、この発明に係る製造方法は裨益
するところが大きい。
【0051】さらに、この発明方法によれば、発泡剤を
含んだPATを押し出しにより発泡させて発泡シートと
し、押し出された直後の高温にある発泡シートをPAT
のガラス転移点以下に急冷して、PATの結晶化度が3
0%以下の一次発泡体とするので、一次発泡シートは結
晶化度が低いものとなり、したがってこれを再び加熱し
て発泡させ易い。このような一次発泡シートを60℃以
上に加熱し発泡させて二次発泡シートとするので、二次
発泡シートは高倍率によく発泡したものとなる。したが
って、二次発泡シートは、均一微細に発泡し、実質的に
1mm以下の直径の気泡を持ち、気泡壁が実質的に100
ミクロン以下の厚みを持ったものとなる。このような二
次発泡シートを材料とし、PATのガラス転移点以下の
温度で、発泡シートに圧縮または屈曲の力を与えるか
ら、前述のように、容易に皮革様シートを作ることがで
きる。したがって、皮革様シートを連続的に、しかも一
層容易に安価に供給することができる。この点で、この
発明に係る製造方法は、裨益するところが大きい。
【0052】また、この発明によれば、皮革様シートま
たは中間の発泡シートをアルカリ溶液に浸漬することに
より連続気泡化され、皮革様シートに通気性および吸水
性を容易に与えることができる。通気性および吸水性の
あるシートは天然皮革の性質により類似したものとな
る。また、この発明による皮革様PAT発泡シートは、
ミシン針等の縫い目から亀裂が生ずることなく、十分な
縫合強度が得られる。よって、この皮革様PAT発泡シ
ートを縫合加工することにより簡単に袋、鞄、衣服など
を制作することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の基礎となった、従来のやや改良され
た皮革様PAT発泡シートを厚み方向に切断した模型的
断面拡大図である。
【図2】この発明の皮革様PAT発泡シートを厚み方向
に切断した気泡構造を示す35倍の拡大顕微鏡写真であ
る。
【図3】従来の未改良のPAT発泡シートを厚み方向に
切断した模型的断面拡大図である。
【図4】この発明の工程において、アルカリ処理後二次
発泡させた未圧縮のPAT発泡シートを厚み方向に切断
した気泡構造を示す35倍の拡大顕微鏡写真である。
【図5】この発明の工程において、二次発泡シートをエ
ンボスロールによって圧縮処理し、さらにアルカリ溶液
による処理を施した皮革様PAT発泡シートを厚み方向
に切断した気泡構造を示す35倍の拡大顕微鏡写真であ
る。
【符号の説明】
1、2、3 気泡 11、12、13 気泡壁 21、22、23 気泡 31、32、32 気泡壁
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 67:02 C08L 67:02

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる均
    一微細に発泡したシートであって、独立気泡は実質的に
    1mm以下の直径を持ち、連続気泡率が30〜80%であ
    り、気泡壁が実質的に100ミクロン以下の厚みを持っ
    ており、しかも各気泡を構成する気泡壁が不規則に屈曲
    して延びて、シートとしての柔軟度がガーレー式試験
    で、20000mg以下となっていることを特徴とする、
    吸水性を有する皮革様熱可塑性ポリエステル系樹脂シー
    ト。
  2. 【請求項2】 熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる均
    一微細に発泡したシートであって、独立気泡は実質的に
    1mm以下の直径を持ち、気泡壁が実質的に100ミクロ
    ン以下の厚みを持った発泡シートを材料とし、上記発泡
    シートに圧縮又は屈曲の力を与えて、各気泡を構成する
    気泡壁を不規則に屈曲して延びた状態にし、続いて強ア
    ルカリ溶液に浸漬することにより連続気泡化することを
    特徴とする、請求項第1項記載の吸水性を有する皮革様
    熱可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
  3. 【請求項3】 熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる均
    一微細に発泡したシートであって、独立気泡は実質的に
    1mm以下の直径を持ち、気泡壁が実質的に100ミクロ
    ン以下の厚みを持った発泡シートを材料とし、上記発泡
    シートを強アルカリ溶液に浸漬することにより連続気泡
    化し、続いて各気泡を構成する気泡壁を不規則に屈曲し
    て延びた状態にすることを特徴とする、請求項第1項記
    載の吸水性を有する皮革様熱可塑性ポリエステル系樹脂
    シートの製造方法。
  4. 【請求項4】 熱可塑性ポリエステル系樹脂からなる均
    一微細に発泡したシートであって、独立気泡は実質的に
    1mm以下の直径を持ち、気泡壁が実質的に100ミクロ
    ン以下の厚みを持った発泡シートが、発泡剤を含んだ熱
    可塑性ポリエステル系樹脂を押し出しにより発泡させて
    発泡シートとし、押し出された直後の高温にある発泡シ
    ートを樹脂の結晶化度が30%以下の一次発泡シートと
    し、一次発泡シートを60℃以上に加熱して発泡させた
    二次発泡シートである、請求項第2項又は第3項記載の
    吸水性を有する皮革様熱可塑性ポリエステル系樹脂シー
    トの製造方法。
  5. 【請求項5】 強アルカリ溶液がpH12.5以上である
    請求項第2項又は第3項記載の吸水性を有する皮革様熱
    可塑性ポリエステル系樹脂シートの製造方法。
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