JP2500824C - - Google Patents

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JP2500824C
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fluorocarbon
silane compound
coating film
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、ホットプレートや炊飯器などの電化製品や、自動車、産業機器、複
写機のロール等の耐熱性、耐候性、耐摩耗性コーティングを必要とする機器など
に用いる、フロロカーボン系ポリマーコーティング膜及びその製造方法に関する
ものである。 【0002】 【従来の技術】 従来より広く用いられているフロロカーボン系ポリマーのコーティング膜の製
造方法は、一般に、Al(アルミニウム)基材などの表面をワイヤブラシや化学
エッチング等で荒し、さらにプライマー等を塗布した後、ポリ4フッ化エチレン
等のフロロカーボン系微粉末を、エタノール等に懸濁させた塗料を塗布し乾燥後
、400℃程度で1時間程度ベーキング(加熱焼き付け処理)を行い、基材表面
にフロロカーボン系ポリマーを焼き付ける方法が用いられてきた。このような従
来法においては、プライマーとしては、ポリイミド樹脂やエポキシ樹脂などが主
として用いられてきた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、前記従来の方法では製造が容易である反面、ポリマーと基材は
単にアンカー効果でのみ接着されているに過ぎないため、基材との密着性に限界
があり、ホットプレートや炊飯器などの電化製品や自動車、産業機器等の耐熱性
、耐候性、耐摩耗性コーティングを必要とする機器に用いるフロロカーボン系コ
ーティング膜としては機械的強度等の性能が不十分であった。とくに接着力が低
く、耐剥離強度も低いという課題があった。 【0004】 本発明は、前記従来技術の課題を解決するため、基材と密着性がよく、接着強
度と耐剥離強度の高いフロロカーボン系コーティング膜およびその製造方法を提
供することを目的とする。 【0005】 【課題を解決するための手段】 前記目的を達成するため、本発明のフロロカーボン系コーティング膜は、表面
に活性水素基を含むか又は活性水素基を含むように処理された基材の最表面に形
成されたフロロカーボン系ポリマー層を含むコーティング膜であって、前記ポリ
マー層を構成している分子は、SiXsCl4-s(XはH、sは0、1又は2)で
表される架橋剤を用いて反応させた無機シロキサン結合を介して3次元的に架橋
されており、かつ前記ポリマー層は基材の表面と共有結合を介して結合されてい
ることを特徴とする。 また、本発明のフロロカーボン系コーティング膜は、表面に活性水素基を含む
か又は活性水素基を含むように処理された基材の表面に、少なくとも内層膜とし
て無機シロキサンポリマー層が形成され、その表面にさらに表層膜としてフロロ
カーボン系ポリマー層が形成された積層コーティング膜であって、前記基材の表
面にSiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2及びCl-(SiCl2O)nSiCl3
(但し式中のnは整数)から選ばれる少なくとも一種のクロロシリル基を含む無
機シラン化合物を接触させて前記基材表面の活性水素基と無機シラン化合物のク
ロル基との間で脱塩化水素反応させ、その後水分と反応させてシラノール基を含
む内層膜を形成し、その表面に前記フロロカーボン系ポリマー層を構成している
分子を前記内層膜のシラノール基に反応させて共有結合により結合させることに
より、前記基材の表面と内層膜は共有結合によって化学吸着され、かつ前記内層
膜と表層膜とは共有結合によって結合されていることを特徴とする。 【0006】 また前記構成においては、基材の表面と内層膜との共有結合と、内層膜と表層
膜との共有結合が、ともにシロキサン結合(−Si−O−)であることが接着強
力を向上させることから好ましい。 【0007】 また前記構成においては、内層膜がシロキサン系単分子吸着膜であることが、
内層膜の膜厚を薄くするために好ましい。 また前記構成においては、基材が金属、セラミックス、プラスチックス、ガラ
スから選ばれる少なくとも一つの材料であることが、フッ素ポリマーのコーティ ング材料として好ましい。 【0008】 また前記構成においては、基材の表面が活性水素基を含む材料か又は活性水素
基を含むように処理された材料であることが、内層膜を効率よく形成させるため
に好ましい。 【0009】 次に、本発明のフロロカーボン系コーティング膜の第1番目の製造方法は、表
面に活性水素基を含む基材表面に、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含む
シラン化合物と、架橋剤であるSiXsCl4-s(XはH、sは0、1又は2)を
含有する非水系の溶媒を塗布し、前記基材表面の活性水素基と前記シラン化合物
のクロル基との間で脱塩化水素反応させるとともに無機シロキサン結合を介して
3次元的に架橋する工程と、水分を含む雰囲気中で加水分解処理する工程と、加
熱するベーキング工程とを含むことを特徴とする。 前記方法においては、塗布工程の前に表面に活性水素基を含む基材表面を、ク
ロロシリル基を含む無機シラン化合物を含有する非水系溶媒に接触させる接触工
程を含むことが好ましい。 【0010】 また、本発明のフロロカーボン系コーティング膜の第2番目の製造方法は、表
面に活性水素基を含む基材を、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2及びCl
-(SiCl2O)nSiCl3(但し式中のnは整数)から選ばれる少なくとも一種
のクロロシリル基を含む無機シラン化合物を接触させて、前記基材表面の活性水
素基と無機シラン化合物のクロル基との間で脱塩化水素反応させる工程と、前記
基材上の過剰な前記無機シラン化合物を非水系溶媒で洗浄除去する洗浄工程と、
その後水分と反応させて無機シロキサン内層膜を形成する工程と、フロロカーボ
ン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含有する非水系の溶媒を塗布する
工程、またはフロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含む化合物を含有する
溶媒を塗布する工程を経た基材を加熱するベーキング工程を含むことを特徴とす
る。 【0011】 前記第1〜2番目の製造方法においては、基材が予め酸素を含む雰囲気中でプ
ラズマ処理したプラスチックであることが、内層膜を効率よく形成する上で好ま
しい。 【0012】 また前記第2番目の製造方法においては、クロロシリル基を含む無機シラン化
が、SiCl4、SiHCl3、SiH2Cl2又はCl-(SiCl2O)nSi
Cl3(但し式中のnは整数、好ましくは1〜3の整数)の何れかを含むことが
、内層膜を効率よく形成する上で好ましい。 【0013】 また前記第1〜2番目の製造方法においては、フロロカーボン基とクロロシリ
ル基とを含むシラン化合物が、CF3−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p
但し式中のnは0または整数、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、
またはこれらのフッ素誘導体、シリコン若しくは酸素原子を含む炭化水素置換基
、mは0又は1、XはH,アルキル基,アルコキシ基,含フッ素アルコキシ基又
は含フッ素アルキル基、pは0、1又は2)であることが、表層膜を効率よく形
成させるために好ましい。 【0014】 また前記第1〜2番目の製造方法においては、フロロカーボン基とアルコキシ
シシリル基とを含むシラン化合物が、CF3−(CF2n−(R)m−SiYq
OA)3-q(但し式中のnは0または整数、Rはアルキル基、アルケニル基、ア
ルキニル基、またはこれらのフッ素誘導体、シリコン若しくは酸素原子を含む炭
化水素置換基、mは0又は1、YはH,アルキル基,アルコキシ基,含フッ素ア
ルコキシ基又は含フッ素アルキル基、OAはアルコール基若しくはアルコキシ基
で、AはHまたはアルキル基、qは0、1又は2)であることが、表層膜を効率
よく形成させるために好ましい。 【0015】 また前記第2番目の製造方法においては、フロロカーボン基とクロロシリル基
とを含むシラン化合物を含有する非水系の溶媒中に、SiXsCl4-s(但し式中
のXはH又はアルキル基、sは0又は1)を添加することが、表層膜の硬度を 調整する上で好ましい。 【0016】 また前記第2番目の製造方法においては、フロロカーボン基とアルコキシシリ
ル基とを含むシラン化合物を含有する溶媒中に、SiYt(OA)4-t(但し式中
のYはアルキル基、OAはアルコール基若しくはアルコキシ基で、AはHまたは
アルキル基、tは0、1又は2)を添加することが、表層膜の硬度を調整する上
で好ましい。 【0017】 また前記第1〜2番目の製造方法においては、フロロカーボン基とクロロシリ
ル基とを含むシラン化合物を含有する非水系の溶媒、又はフロロカーボン基とア
ルコキシシシリル基とを含むシラン化合物を含有する溶媒の何れかの中に、予め
フロロカーボン系ポリマーの微粒子を分散させることが、フロロカーボン系コー
ティング膜の密着強度を高める上で好ましい。 【0018】 【作用】 前記本発明の構成によれば、基材の最表面に形成されたフロロカーボン系ポリ
マー層を含むコーティング膜であって、前記ポリマー層が基材の表面と共有結合
を介して結合されていることにより、基材と密着性がよく、接着強力と耐剥離強
度の高いコーティング膜を達成できる。 前記本発明の構成において、基材の表面に少なくとも内層膜(シロキサンポリ
マー層)と表層膜(フロロカーボン系ポリマー層)とが形成され、基材表面と内
層膜、および内層膜と表層膜はいずれも共有結合によって化学結合されているこ
とにより、基材と密着性がよく、接着強力と剥離強度の高いフロロカーボン系ポ
リマーコーティング膜とすることができる。またフロロカーボン系ポリマーコー
ティング膜は、薄膜で均一厚さに形成できるとともに、高密度でピンホール無く
形成できる。 【0019】 次に、本発明の第1番目の製造方法によれば、まず、表面に活性水素基を含む
基材表面に、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含有す る非水系の溶媒を塗布する工程、またはフロロカーボン基とアルコキシシリル基
とを含むシラン化合物を含有する溶媒を塗布したのち基材表面を加熱する工程を
用いてフロロカーボン系コーティング膜を形成する。または、塗布工程の前に表
面に活性水素基を含む基材をクロロシリル基とを含む物質を含有する非水系溶媒
に接触させて、脱塩化水素反応によって内層膜を形成する。すなわち、クロロシ
リル基(−SiCl)を基材表面の例えば水酸基(−OH)と反応させ、脱塩化
水素反応によって基材表面に強固な化学結合性のシラノール基(−SiOH)を
多数持つ薄膜を基材上に形成する。次に、フロロカーボン基とクロロシリル基と
を含むシラン化合物を含有する非水系の溶媒、またはフロロカーボン基とアルコ
キシシリル基とを含むシラン化合物を含有する溶媒の何れかを塗布する塗布工程
と、ベーキング(熱処理)工程において、脱塩化水素反応または脱アルコール反
応により外層膜を形成する。すなわち、−SiO−結合を介して化学結合された
フロロカーボン系コーティング膜を作成する。したがって、効率よく合理的にフ
ロロカーボン系ポリマーコーティング膜を製造することができる。 【0020】 さらに、本発明の第2番目の製造方法は、第1番目の製造方法において、基材
をクロロシリル基を含む物質を含有する非水系溶媒に接触させる接触工程の後に
、基材上の過剰な前記物質を非水系溶媒で洗浄除去する洗浄工程を付加したので
、内層膜を単分子膜に形成できる。すなわち、接触工程において、基材表面の水
酸基と物質のクロロシリル基とを反応させた後、非水系有機溶媒を用い前記基材
上に残った未反応の余分なクロロシリル基を複数個含む物質を洗浄除去する洗浄
工程を行なうと、空気中の水分または水洗により、基材上の−OH基と結合した
物質だけがシラノール基(−SiOH)を含むポリシロキサン系単分子膜を形成
できる。 【0021】 【実施例】 本発明に使用できる表面に水酸基を含む基材としては、金属,非金属物質、プ
ラスチック(ポリマー)、ガラスまたはセラミックなどを用いることができる。 【0022】 本発明は基材上に形成された親水性基(−OH基、−NH基など)とクロロシ
リル基とを反応させるため、基材が金属の場合は、酸化され易いアルミニウム,
銅又は鉄等の所謂卑金属が好ましい。 【0023】 また非金属としては、シリコン等が挙げられ、セラミックスとしてはケイ素系
、アルミナ系、チタニウム系、ジルコニウム系など各種のものが適用できる。 さらに、プラスチックのような酸化膜を持たない物質であれば、予め表面処理
により親水性化して供される。表面処理の手法としては、酸素を含むプラズマ雰
囲気で、例えば100Wで20分間の処理やコロナ処理等通常の手法が挙げられ
る。もっともポリアミドやポリウレタンなどは−NH基を有しているので、とく
に表面処理は必要ではない。イミド基(−NH)は、クロロシリル基(−SiC
l)と脱塩化水素反応するからである。 【0024】 またクロロシリル基を含む物質としては、SiCl4、またはSiHCl3、S
iH2Cl2、Cl−(SiCl2O)n−SiCl3(但しnは整数、)等を用い
ることが可能である。特にCl−(SiCl2O)n−SiCl3のように、クロ
ロシリル基を複数固有する物質を用いると、表面のシラノール基の数が多くなる
ため親水化の効果が大きく好ましい。 【0025】 フロロカーボン基及びクロロシリル基を含むシラン化合物としては、たとえば
CF3−(CF2n−(R9m−SiXpCl3-p(但しnは0または整数、Rは
アルキル基(好ましくはC1〜C25)、又はアルケニル基、アルキニル基、また
はこれらのフッ素誘導体、シリコン若しくは酸素原子を含む置換基、mは0又は
1、XはH,アルキル基(好ましくはメチル基),アルコキシ基(好ましくはメ
トキシ基、エトキシ基),含フッ素アルコキシ基または含フッ素アルキル基等の
置換基、pは0、1または2)等が使用できる。 【0026】 またフロロカーボン基及びアルコキシシリル基を含むシラン化合物としては、
たとえばCF3−(CF2n−(R)m−SiYq(OA)3-q(但しnは0 または整数(好ましくは1〜25)、Rはアルキル基(好ましくは1〜25)、
又はアルケニル基、アルキニル基、またはこれらのフッ素誘導体、シリコン若し
くは酸素原子を含む置換基、mは0又は1、YはH,アルキル基(好ましくはメ
チル基),アルコキシ基(好ましくはメトキシ基、エトキシ基),含フッ素アル
コキシ基または含フッ素アルキル基などの置換基、OAはアルコール基若しくは
アルコキシ基、qは0、1または2)を用いることが可能である。 【0027】 さらに、形成されたフロロカーボン系コーティング膜の硬度を調節するために
は、架橋剤を添加することにより達成できる。すなわち、フロロカーボン基とク
ロロシリル基を含むシラン化合物を含有する非水系の溶媒の場合は、架橋剤とし
て、SiXsCl4-s(XはH、sは0、1又は2)を添加して用い、フロロカー
ボン基とアルコキシシラン基とを含む化合物を含有する溶媒の場合は、架橋剤と
してSiYt(OA)4-t(Yはアルキル基などの置換基、OAはアルコール基若
しくはアルコキシ基(ただし、AはHまたはアルキル基)、tは0、1または2
)を用いることで、作成されたフロロカーボン系コーティング膜内の3次元架橋
密度が調整でき、フロロカーボン系コーティング膜の硬度を制御できる。 【0028】 さらにまた、フロロカーボン基及びクロロシリル基を含むシラン化合物を含有
する非水系の溶媒中、またはフロロカーボン基及びアルコキシシリル基を含むシ
ラン化合物を含有する溶媒中に、既にポリマー化されたフロロカーボン系ポリマ
ーの微粒子を分散させておくことにより、従来のフロロカーボン系塗膜と同様の
塗布を行なっても、フロロカーボンチェーンとシロキサン結合及びフロロカーボ
ン系ポリマーの分子鎖とが、分子レベルで絡み合うことにより、従来のものに比
べきわめて密着性の高いフロロカーボン系コーティング膜を作成できる作用効果
がある。 【0029】 本発明は下記の用途など広く適用できる。すなわち、基材が金属、セラミック
スまたはプラスチック、木材、石材からなる材料に適用できる。表面は塗料など
で塗装されていても良い。一例として下記のものを挙げる。 (A) 刃物の例:包丁、鋏、ナイフ、カッター、彫刻刀、剃刀、バリカン、鋸、カ
ンナ、ノミ、錐、千枚通し、バイト、ドリルの刃、ミキサーの刃、ジューサーの
刃、製粉機の刃、芝刈り機の刃、パンチ、押切り、ホッチキスの刃、缶切りの刃
、または手術用メス等。 (B) 針の例:鍼術用の針、縫い針、ミシン針、畳針、注射針、手術用針、安全ピ
ン等。 (C) 窯業製品の例:陶磁器製、ガラス製、セラミックス製またはほうろうを含む
製品等。例えば衛生陶磁器(例えば便器、洗面器、風呂等)、食器(例えば、茶
碗、皿、どんぶり、湯呑、コップ、瓶、コーヒー沸かし容器、鍋、すり鉢、カッ
プ等)、花器(水盤、植木鉢、一輪差し等)、水槽(養殖用水槽、鑑賞用水槽等
)、化学実験器具(ビーカー、反応容器、試験管、フラスコ、シャーレ、冷却管
、撹拌棒、スターラー、乳鉢、バット、注射器)、瓦、タイル、ほうろう製食器
、ほうろう製洗面器、ほうろう製鍋。 (D) 鏡の例:手鏡、姿見鏡、浴室用鏡、洗面所用鏡、自動車用鏡(バックミラー
、サイドミラー)、ハーフミラー、ショーウィンドー用鏡、デパートの商品売り
場の鏡等。 (E) 成形用部材の例:プレス成形用金型、注型成形用金型、射出成形用金型、ト
ランスファー成形用金型、真空成形用金型、吹き込み成形用金型、押し出し成形
用ダイ、インフレーション成形用口金、繊維紡糸用口金、カレンダー加工用ロー
ルなど。 (F) 装飾品の例:時計、宝石、真珠、サファイア、ルビー、エメラルド、ガーネ
ット、キャッツアイ、ダイヤモンド、トパーズ、ブラッドストーン、アクアマリ
ン、サードニックス、トルコ石、瑪瑙、大理石、アメジスト、カメオ、オパール
、水晶、ガラス、指輪、腕輪、ブローチ、ネクタイピン、イヤリング、ネックレ
ス、貴金属装飾製品、白金、金、銀、銅、アルミ、チタン、錫あるいはそれらの
合金やステンレス製、メガネフレーム等。 (G) 食品成形用型の例:ケーキ焼成用型、クッキー焼成用型、パン焼成用型、チ
ョコレート成形用型、ゼリー成形用型、アイスクリーム成形用型、オーブン皿、
製氷皿等。 (H) 調理器具の例:鍋、釜、やかん、ポット、フライパン、ホットプレート、焼
き物調理用網、油切り、タコ焼きプレート等。 紙の例:グラビア紙、撥水撥油紙、ポスター紙、高級パンフレット紙等 (I) 樹脂の例:ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリ
エステル、アラミド、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポ
リフェニレンスルフィド、フェノール樹脂、フラン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ
樹脂、ポリウレタン、ケイ素樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、アクリル酸エ
ステル樹脂、ポリアセタール、ポリフェンレンオキサイド等 (J) 家庭電化製品の例:テレビジョン、ラジオ、テープレコーダー、オーディオ
、CD、冷凍関係機器の冷蔵庫、冷凍庫、エアコン、ジューサー、ミキサー、扇
風機の羽根、照明器具、文字盤、パーマ用ドライヤー等。 (K) スポーツ用品の例:スキー、釣竿、棒高跳び用のポール、ボート、ヨット、
ジェットスキー、サーフボード、ゴルフボール、ボーリングのボール、釣糸、魚
網、釣り浮き等。 (L) 乗り物部品に適用する例: (1) ABS樹脂:ランプカバー、インストルメントパネル、内装部品、オートバ
イのプロテクター (2) セルロースプラスチック:自動車のマーク、ハンドル (3) FRP(繊維強化樹脂):外板バンパー、エンジンカバー (4) フェノール樹脂:ブレーキ (5) ポリアセタール:ワイパーギヤ、ガスバルブ、キャブレター部品 (6) ポリアミド:ラジエータファン (7) ポリアリレート:方向指示レンズ、計器板レンズ、リレーハウジング (8) ポリブチレンテレフタレート:リヤエンド、フロントフェンダ (9) ポリアミノビスマレイミド:エンジン部品、ギヤボックス、ホイール、サス
ペンジョンドライブシステム (10)メタクリル樹脂:ランプカバーレンズ、計器板とカバー、センターマーク (11)ポリプロピレン:バンパー (12)ポリフェニレンオキシド:ラジエーターグリル、ホイールキャップ (13)ポリウレタン:バンパー、フェンダー、インストルメントパネル、ファン (14)不飽和ポリエステル樹脂:ボディ、燃料タンク、ヒータハウジング、計器板 (M) 事務用品の例:万年筆、ボールペン、シャープペンシル、筆入れ、バインダ
ー、机、椅子、本棚、ラック、電話台、物差し、製図用具等。 (N) 建材の例:屋根材、外壁材、内装材。屋根材として窯瓦、スレート瓦、トタ
ン(亜鉛メッキ鉄板)など。外壁材としては木材(加工木材を含む)、モルタル
、コンクリート、窯業系サイジング、金属系サイジング、レンガ、石材、プラス
チック材料、アルミ等の金属材料など。内装材としては木材(加工木材を含む)
、アルミ等の金属材料、プラスチック材料、紙、繊維など。 (O) 石材の例:花コウ岩、大理石、みかげ石等。たとえば建築物、建築材、芸術
品、置物、風呂、墓石、記念碑、門柱、石垣、歩道の敷石など。 (P) 楽器および音響機器の例:打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、木管楽器、金管楽器
などの楽器、およびマイクロホン、スピーカなどの音響機器等。具体的には、ド
ラム、シンバル、バイオリン、チェロ、ギター、琴、ピアノ、フルート、クラリ
ネット、尺八、ホルンなどの打楽器、弦楽器、鍵盤楽器、木管楽器、金管楽器な
どの楽器、およびマイクロホン、スピーカ、イヤホーンなどの音響機器。 (Q) その他、魔法瓶、真空系機器等、あるいは電力送電用碍子またはスパークプ
ラグ等の撥水撥油防汚効果の高い高耐電圧性絶縁碍子等。 【0030】 以下、実施例を図1〜図16を用いて説明する。 実施例1 図1に示すように、親水性基体1としてガラスを用意した。 【0031】 この基材1に、クロロシリル基を含む物質としてCl−(SiCl2O)2−S
iCl3を用い、クロロホルム溶媒に1重量パーセント溶解したものを塗布する
と、基材1表面には親水性の−OH基が置換されているので、表面で脱塩酸反応
が生じ、例えば下記式(化1)に示すように、分子が−SiO−結合を介して基
材1表面に固定される。 【0032】 【化1】 【0033】 その後、水分を含む雰囲気中で乾燥させると、基材1と反応していない−Cl
基は、水と反応して脱塩酸反応し、図2に示すようなポリシロキサン塗膜2が形
成された。なお、このときできたポリシロキサン塗膜2は、基材1界面で−Si
O−の化学結合(共有結合)を介して結合されているので剥がれにくいものとな
る。また、ここでポリシロキサンの塗膜2は、表面に−SiOH結合を数多く持
つ。そこでさらに、フロロカーボン基とクロロシラン基とを含む化合物として、
CF3CH2O(CH215SiCl3(界面活性剤)を用い、これを2wt%程度
の濃度で非水系の混合溶媒に溶かした。非水系の混合溶媒としては、80wt%
n−ヘキサデカン、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホルム溶液を用いた
。前記溶液を塗布した状態を図3に示す。 【0034】 次に表面に−SiOH結合を数多く持つポリシロキサン塗膜2の形成された基
材1を、水分を含む雰囲気中で200℃、30分間程度ベーキングを行なうと、
図4に示したように、ポリシロキサン塗膜2は表面に−OH基が露出しているた
め、フッ素を含むクロロシラン系界面活性剤のクロロシリル基(−SiCl)と
単分子吸着膜の水酸基(−OH基)とが脱塩酸反応して表面に下記式(化2)で
示す結合が生成された。 【0035】 【化2】 【0036】 次に前記クロロホルムで洗浄すると、ポリシロキサン塗膜2の形成された基材
1の表面に残存している前記未反応界面活性剤が除去される。次に、純水による
洗浄を行うと、前記式(化2)のクロ基(−Cl)が加水分解されて、シラノ
ール基(−SiOH)が生成する。これを下記式(化3)に示す。 【0037】 【化3】 【0038】 次に、シラノール基(−SiOH)が隣のシラノール基との間で脱水縮合反応
を起こし、シロキサン結合(−SiO−)によって架橋する。これを下記式(化
4)に示す。 【0039】 【化4】 【0040】 (但しnは1以上の自然数を示す。) このようにして、10〜20μm厚さのフロロカーボン系コーティングポリマ
ー膜3が形成できた。 【0041】 なお、このポリマー膜3は、碁番目試験を行なっても全く剥離することがなか
った。 このときまた、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含
有した非水系の溶媒中に、化合物の架橋剤として例えば、SiCl4を3重量パ
ーセント添加しておくと、前記式(化2)の結合がSi(−O−)4の結合を介
して3次元的に架橋されて、SiCl4を添加してない場合に比べ、約2倍の硬
度のフロロカーボン系コーティングポリマー膜3が製造できた。 【0042】 また、同様のコーティングをフロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラ
ン化合物を含有した非水系の溶媒に、フロロカーボン系ポリマーとして例えばポ
リ4フッ化エチレンの微粒子を、20wt%分散添加すると、硬度は従来並とな
ったが、従来のものに比べて極めて密着性の優れたフロロカーボン系コーティン
グ膜が製造できた。 【0043】 実施例2 図5に示すように親水性基材1を、実施例1と同様に用意した。 この基材1に、実施例1と同じクロロシリル基を含む物質としてCl−(Si
Cl2O)2−SiCl3を含有する、クロロホルム溶媒に1重量パーセント溶解
した溶液の非水系溶媒に、1時間程度浸漬すると、基材1表面には親水性の−O
H基が存在するので表面で脱塩酸反応が生じ、前記式(化1)のように分子が吸
着固定された。 【0044】 その後、非水系の溶媒例えばクロロホルムで洗浄し、さらに水で洗浄すると、
基材1と反応していないCl−(SiCl2O)2−SiCl3分子は除去され、
基材1表面に図6および下記式(化5〜6)のように、ポリシロキサン単分子膜
4が得られた。 【0045】 【化5】 【0046】 【化6】 【0047】 なお、このときできた単分子膜4は、基材1とは−SiO−の化学結合を介し
て化学結合(共有結合)されているので容易に剥がれることは無い。 また、得られた単分子膜4は、表面に−SiOH結合を数多く持つ。 【0048】 そこでさらに、CF3(CF27(CH22SiCl3のようなフロロカーボン
基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を2wt%程度の濃度で非水系混合溶
媒(80wt%n−ヘキサデカン、12wt%四塩化炭素、8wt%クロロホル
ム)に溶かし、この溶液を前記表面にSiOH結合を数多く持つ単分子膜4の形
成された基材1表面に塗布すると、図7に示すように−SiCl結合が単分子膜
4の−SiOH基とが反応し、水分を含む雰囲気中で処理すると図8または下記
式(化7)のように、反応が進行した。なお、式(化7)においては、前記式(
化2〜4)のように反応は逐次的に進行する。 【0049】 【化7】 【0050】 得られたフッ素系ポリマー膜5は、10〜20μm厚さであり、内層のポリシ
ロキサン単分子膜4と化学結合した状態で形成できた。 なお、この塗膜は碁番目試験を行なっても全く剥離することがなかった。 【0051】 このときまた、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含
有した非水系の溶媒中に、化合物の架橋剤としてSiCl4を15重量パーセン
トしておいた場合、約5倍の硬度のフロロカーボン系コーティング膜が製造でき
た。 【0052】 また、同様のコーティングを例えばポリ4フッ化エチレン等のフロロカーボン
系ポリマーの微粒子を、20wt%程度分散添加したフロロカーボン基とクロロ シリル基とを含むシラン化合物を含有した非水系の溶媒を用いて行なった場合、
硬度は従来並となったが、従来に比べて極めて密着性の優れたフロロカーボン系
ポリマーコーティング膜が製造できた。 【0053】 さらにまた、上記実施例ではフロロカーボン系界面活性剤としてCF3CH2
(CH215SiCl3およびCF3(CF27(CH22SiCl3を用いたが、
アルキル鎖部分に炭素−炭素の二重結合や三重結合基を付加したり組み込んでお
けば、塗膜形成後5メガラド(Mrads)程度の電子線照射で架橋できるので
、さらに10倍程度の硬度の塗膜も容易に得られる。 【0054】 また、フロロカーボン系界面活性剤としては、上記のもの以外にも下記の化合
物(界面活性剤)などを使用できる。 CF3(CH22Si(CH32(CH215SiCl3, F(CF24(CH22SiCl32(CH29SiCl3, CF3COO(CH215SiCl3等が利用できた。 【0055】 実施例3 図9に示すように、実施例1と同様に親水性基材11を用意した。 この基材11上に、例えばクロロホルム溶媒のような非水系溶媒に、トリクロ
ロシリル基を含む物質を1重量パーセント溶解したものに浸漬して引き上げた。
ここで、例えばクロロシリル基を複数個含む物質として、Cl−(SiCl2
2−SiCl3を用いると、基材11表面には親水性の−OH基がされているの
で、表面で脱塩酸反応が生じ、前記(化1)に示すように−SiO−結合を介し
て基材11に固定された。 【0056】 その後、水分を含む雰囲気中で乾燥させると、基材11と反応していない−S
i−Cl基のClが、水と反応して脱塩酸反応し、図10に示すようなポリシロ
キサン塗膜12が形成された。なお、このときできたポリシロキサン塗膜12は
、基材11界面で−SiO−の化学結合(共有結合)を介して化学吸着されてい るので剥がれにくい。また、形成されたポリシロキサン塗膜12は、表面に−S
iOH結合を数多く持つ。 【0057】 そこでさらに、図11に示したように、CF3CH2O(CH215Si(OC
33のようなフロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシラン化合物を
、数パーセントの濃度で含有したエタノール等のアルコール溶媒に10wt%程
度の溶解した溶液を塗布し、200℃、30分程度ベーキング(加熱処理)を行
なうと、ポリシロキサン塗膜12は表面に−OH基が露出しているため、フッ素
を含むアルコキシシラン系界面活性剤のアルコキシ基と−OH基が脱アルコール
反応して、図12または次式(化8)に示したような結合が生成され、10〜2
0μm厚さのポリマー膜13が製造できた。なお、式(化8)においては、前記
式(化2〜4)のように反応は逐次的に進行する。 【0058】 【化8】 【0059】 得られたポリマー膜13は碁番目試験を行なっても剥離することがなかった。 またこのとき、フロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシラン化合物
を含有した溶媒中に化合物の架橋剤として例えば、Si(OCH34を5重量パ
ーセント)しておけば、前記(化2)に示したような結合がSi(O−)4の結
合を介して3次元的に架橋されて、Si(OCH34を添加してない場合に比べ
約2倍の硬度のポリマー膜が製造できた。 【0060】 また、同様のコーティングをフロロカーボン系ポリマーとしてポリ4フッ化エ チレンの微粒子を20%分散添加した、フロロカーボン基とアルコキシリル基と
を含むシラン化合物を混ぜた溶媒を用いて行なった場合、硬度は従来並となった
が、従来に比べて極めて密着性の優れたポリマー膜が製造できた。 【0061】 実施例4 図13に示したような親水性基材11を、実施例3と同様にクロロシリル基を
含む物質としてCl−(SiCl2O)2−SiCl3を、例えばクロロホルム溶
媒に1重量パーセント溶解した非水系溶媒に1時間程度浸漬する。 【0062】 基材11表面には親水性のOH基があるので、表面で脱塩酸反応が生じ、前記
(化1)に示したようにに分子が吸着固定された。 その後、非水系の溶媒例えばクロロホルムで洗浄、さらに水で洗浄すると、基
材11と反応していないCl−(SiCl2O)2−SiCl3分子は除去され、
基板表面に図14または前記(化3〜4)に示したようなポリシロキサン単分子
膜14が得られる。 【0063】 なお、このときできた単分子膜14は、基材11と−SiO−の化学結合を介
して結合されているので、剥がれることが無い。 また、得られた単分子膜14は表面に−SiOH結合を数多く持つ。 【0064】 さらに、フロロカーボン基及びアルコキシシリル基とを含むシラン化合物とし
て例えばCF3(CF27(CH22Si(OC253を2wt%程度の濃度で
溶かしたメタノール溶液を調整した溶液を用い、表面に−SiOH結合を数多く
持つ単分子膜の形成された基材11表面に塗布し(図15)、200℃、30分
程度ベーキングを行なうと、図16または次式(化9)に示したような結合が生
成され、10〜20ミクロン厚さのポリマー膜15が形成できた。なお、式(化
9)においては、前記式(化2〜4)のように反応は逐次的に進行する。 【0065】 【化9】【0066】 得られたポリマー膜15は、内層のポリシロキサン14単分子膜と化学結合し
た状態で形成されているので碁番目試験を行なっても剥離することがなかった。 このときまた、フロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシラン化合物
を含有した溶媒中に前記化合物の架橋剤としてSi(OC374を10重量パ
ーセント添加しておいた場合、約4倍の硬度のフロロカーボン系コーティング膜
が製造できた。 【0067】 また、同様のコーティングをフロロカーボン系ポリマーとしてポリ4フッ化エ
チレンの微粒子を20%分散添加した、フロロカーボン基とアルコキシリル基と
を含むシラン化合物を含有した非水系の溶媒を用いて行なった場合、硬度は従来
並となったが従来に比べて極めて密着性の優れたフロロカーボン系コーティング
膜が製造できた。 さらにまた、上記実施例3及び4では、最表面に形成すべきフッ素およびジメ
チルシリレンまたは酸素原子またはカルボキシを含む単分子吸着膜作成用の試薬
として、CF3CH2O(CH2)15Si(OCH3)3及びCF3(CF2)7(CH2)2Si
(OC25)3を用いたが、アルキル鎖部分に炭素ー炭素の二重結合又は三重結合
基を付加したり組み込んでおけば、塗膜形成後5メガラド程度の電子線照射で架
橋できるので、さらに10倍程度の硬度の塗膜も容易に得られる。 【0068】 また、フロロカーボン基とクロロシラン基若しくはフロロカーボン基とアルコ
キシシリル基とを含むシラン化合物としては上記実施例1〜4で挙げた化合物以 外にも、例えば、CF3(CH22Si(CH32(CH215Si(OCH33
,F(CF24(CH22Si(CH32(CH29Si(OCH33若しくは
CF3COO(CH215Si(OC253等が利用できた。 【0069】 以上述べてきたように、本発明の実施例によれば、表面に水酸基を含む基体を
、クロロシリル基とを含むシラン物質を含有する非水系溶媒に接触させる接触工
程、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含有する非水系
の溶媒、またはフロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシラン化合物を
含有する溶媒の何れかを塗布する塗布工程、接触工程と塗布工程とを経た基体を
加熱するベーキング工程を含むフロロカーボン系コーティング膜の製造方法であ
るため、親水性基体表面に撥水撥油性膜の優れたフロロカーボン系コーティング
膜を、基体と強固に化学結合した状態で、高密度にピンホール無く、かつ均一な
厚みで、非常に薄く形成できる。従って、耐久性の極めて高い高性能フロロカー
ボン系コーティング膜を得ることができる。 【0070】 【発明の効果】 以上説明した通り、本発明によれば、表面に活性水素基を含むか又は活性水素
基を含むように処理された基材の最表面に形成されたフロロカーボン系ポリマー
層を含むコーティング膜であって、前記ポリマー層が基材の表面と共有結合を介
して結合されているので、基材と密着性がよく、接着強力と耐剥離強度の高いコ
ーティング膜を提供できる。また、基材の表面に少なくとも内層膜(無機シロキ
サンポリマー層)と表層膜(フロロカーボン系ポリマー層)とが形成され、基材
表面と内層膜、および内層膜と表層膜はいずれも共有結合によって化学結合され
ていると、基材と密着性がよく、接着強力と剥離強度の高いフロロカーボン系ポ
リマーコーティング膜とすることができる。またフロロカーボン系ポリマーコー
ティング膜は、薄膜で均一厚さに形成できるとともに、高密度でピンホール無く
形成できる。 【0071】 次に、本発明の第1番目の製造方法によれば、まず、表面に活性水素基を含む 基材表面に、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含有す
る非水系の溶媒を塗布する工程、またはフロロカーボン基とアルコキシシラン基
とを含む化合物を含有する溶媒を塗布したのち基材表面を加熱することによりフ
ロロカーボン系コーティング膜を形成する。または、塗布工程の前に表面に活性
水素基を含む基材をクロロシリル基を含む物質を含有する非水系溶媒に接触させ
る接触工程において、脱塩化水素反応によって内層膜を形成する。すなわち、ク
ロロシリル基(−SiCl)を基材表面の例えば水酸基(−OH)と反応させ、
脱塩化水素反応によって基材表面に強固な化学結合性のシラノール基(−SiO
H)を多数持つ薄膜を基材上に形成する。次に、フロロカーボン基とクロロシラ
ン基とを含む化合物を含有する非水系の溶媒、またはフロロカーボン基とアルコ
キシシラン基とを含む化合物を含有する溶媒の何れかを塗布する塗布工程と、ベ
ーキング(熱処理)工程において、脱塩化水素反応または脱アルコール反応によ
り外層膜を形成する。すなわち、−SiO−結合を介して化学結合されたフロロ
カーボン系コーティング膜を作成する。したがって、効率よく合理的にフロロカ
ーボン系ポリマーコーティング膜を製造することができる。 【0072】 さらに、本発明の第2番目の製造方法は、第1番目の製造方法において、基材
をクロロシリル基を含む物質を含有する非水系溶媒に接触させる接触工程の後に
、基材上の過剰な前記物質を非水系溶媒で洗浄除去する洗浄工程を付加したので
、内層膜を単分子膜に形成できる。すなわち、接触工程において、基材表面の水
酸基と物質のクロロシリル基とを反応させた後、非水系有機溶媒を用い前記基材
上に残った未反応の余分なクロロシリル基を複数個含む物質を洗浄除去する洗浄
工程を行なうと、空気中の水分または水洗により、基材上の−OH基と結合した
物質だけがシラノール基(−SiOH)を含むポリシロキサン系単分子膜を形成
できる。
【図面の簡単な説明】 【図1】 本発明の実施例1の基材表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図2】 本発明の実施例1の基材表面に内層膜を化学吸着させた段階の分子レベルまで
拡大した工程断面図である。 【図3】 本発明の実施例1の内層膜の表面に表層膜の前駆体をコーテイングさせた段階
の分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図4】 本発明の実施例1の内層膜の表面に表層膜を形成した段階の分子レベルまで拡
大した工程断面図である。 【図5】 本発明の実施例2の基材表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図6】 本発明の実施例2の基材表面に内層膜を化学吸着させた段階の分子レベルまで
拡大した工程断面図である。 【図7】 本発明の実施例2の内層膜の表面に表層膜の前駆体をコーティングさせた段階
の分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図8】 本発明の実施例2の内層膜の表面に表層膜を形成した段階の分子レベルまで拡
大した工程断面図である。 【図9】 本発明の実施例3の基材表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図10】 本発明の実施例3の基材表面に内層膜を化学吸着させた段階の分子レベルまで
拡大した工程断面図である。 【図11】 本発明の実施例3の内層膜の表面に表層膜の前駆体をコーティングさせた段階
の分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図12】 本発明の実施例3の内層膜の表面に表層膜を形成した段階の分子レベルまで拡 大した工程断面図である。 【図13】 本発明の実施例4の基材表面を分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図14】 本発明の実施例4の基材表面に内層膜を化学吸着させた段階の分子レベルまで
拡大した工程断面図である。 【図15】 本発明の実施例4の内層膜の表面に表層膜の前駆体をコーティングさせた段階
の分子レベルまで拡大した工程断面図である。 【図16】 本発明の実施例4の内層膜の表面に表層膜を形成した段階の分子レベルまで拡
大した工程断面図である。 【符号の説明】 1、11 基材 2、12 ポリシロキサン塗膜(内層膜) 3、5、13、15 フロロカーボン系ポリマーコーティング膜(表層膜) 4、14 ポリシロキサン単分子膜(内層膜)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 表面に活性水素基を含むか又は活性水素基を含むように処理さ
    れた基材の最表面に形成されたフロロカーボン系ポリマー層を含むコーテイング
    膜であって、前記ポリマー層を構成している分子は、SiXsCl4-s(XはH、
    sは0、1又は2)で表される架橋剤を用いて反応させた無機シロキサン結合を
    介して3次元的に架橋されており、かつ前記ポリマー層は基材の表面と共有結合
    を介して結合されていることを特徴とするフロロカーボン系コーティング膜。 【請求項2】 表面に活性水素基を含むか又は活性水素基を含むように処理さ
    れた基材の表面に、少なくとも内層膜として無機シロキサンポリマー層が形成さ
    れ、その表面にさらに表層膜としてフロロカーボン系ポリマー層が形成された積
    層コーティング膜であって、前記基材の表面にSiCl4、SiHCl3、SiH
    2Cl2及びCl-(SiCl2O)nSiCl3(但し式中のnは整数)から選ばれる
    少なくとも一種のクロロシリル基を含む無機シラン化合物を接触させて前記基材
    表面の活性水素基と無機シラン化合物のクロル基との間で脱塩化水素反応させ、
    その後水分と反応させてシラノール基を含む内層膜を形成し、その表面に前記フ
    ロロカーボン系ポリマー層を構成している分子を前記内層膜のシラノール基に反
    応させて共有結合により結合させることにより、前記基材の表面と内層膜は共有
    結合によって化学吸着され、かつ前記内層膜と表層膜とは共有結合によって結合
    されていることを特徴とするフロロカーボン系コーティング膜。 【請求項3】 基材の表面と内層膜との共有結合と、内層膜と表層膜との共有
    結合が、ともにシロキサン結合(−Si−O−)である請求項2に記載のフロロ
    カーボン系コーティング膜。 【請求項4】 内層膜が、無機シロキサン系化学吸着単分子膜である請求項2
    に記載のフロロカーボン系コーティング膜。 【請求項5】 基材が、金属、セラミックス、プラスチックス、ガラスから選
    ばれる少なくとも一つの材料である請求項1又は2に記載のフロロカーボン系コ
    ーティング膜。 【請求項6】 表面に活性水素基を含む基材表面に、フロロカーボン基とクロ
    ロシリル基とを含むシラン化合物と、架橋剤であるSiXsCl4-s(XはH、s
    は0、1又は2)を含有する非水系の溶媒を塗布し、前記基材表面の活性水素基
    と前記シラン化合物のクロル基との間で脱塩化水素反応させるとともに無機シロ
    キサン結合を介して3次元的に架橋する工程と、水分を含む雰囲気中で加水分解
    処理する工程と、加熱するベーキング工程とを含むフロロカーボン系コーティン
    グ膜の製造方法。 【請求項7】 塗布工程の前に表面に活性水素基を含む基材表面を、クロロシ
    リル基を含む無機シラン化合物を含有する非水系溶媒に接触させる接触工程を含
    む請求項6に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製造方法。 【請求項8】 表面に活性水素基を含む基材を、SiCl4、SiHCl3、S
    iH2Cl2及びCl-(SiCl2O)nSiCl3(但し式中のnは整数)から選ば
    れる少なくとも一種のクロロシリル基を含む無機シラン化合物を接触させて、前
    記基材表面の活性水素基と無機シラン化合物のクロル基との間で脱塩化水素反応
    させる工程と、前記基材上の過剰な前記無機シラン化合物を非水系溶媒で洗浄除
    去する洗浄工程と、その後水分と反応させて無機シロキサン内層膜を形成する工
    程と、フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を含有する非水
    系の溶媒を塗布する工程、またはフロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含
    む化合物を含有する溶媒を塗布する工程を経た基材を加熱するベーキング工程を
    含むことを特徴とするフロロカーボン系コーティング膜の製造方法。 【請求項9】 基材が、金属、ガラスまたはセラミックである請求項6、7又
    は8に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製造方法。 【請求項10】 基材が、予め酸素を含む雰囲気中でプラズマ処理したプラス
    チックである請求項6、7又は8に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製
    造方法。 【請求項11】 クロロシリル基を含む無機シラン化合物が、SiCl4、S
    iHCl3、SiH2Cl2又はCl-(SiCl2O)nSiCl3(但し式中のnは
    整数)の何れかを含む請求項7に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製造
    方法。 【請求項12】 フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物が
    、CF3−(CF2n−(R)m−SiXpCl3-p(但し式中のnは0または整数
    、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはこれらのフッ素誘導体
    、シリコン若しくは酸素原子を含む炭化水素置換基、mは0又は1、XはH,ア
    ルキル基,アルコキシ基,含フッ素アルコキシ基又は含フッ素アルキル基、pは
    0、1又は2)である請求項6又は8に記載のフロロカーボン系コーティング膜
    の製造方法。 【請求項13】 フロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシラン化合
    物が、CF3−(CF2n−(R)m−SiYq(OA)3-q(但し式中のnは0ま
    たは整数、Rはアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、またはこれらのフッ
    素誘導体、シリコン若しくは酸素原子を含む炭化水素置換基、mは0又は1、Y
    はH,アルキル基,アルコキシ基,含フッ素アルコキシ基又は含フッ素アルキル
    基、OAはアルコール基若しくはアルコキシ基で、AはHまたはアルキル基、q
    は0、1又は2)である請求項8に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製
    造方法。 【請求項14】 フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を
    含有する非水系の溶媒中に、SiXsCl4-s(但し式中のXはH、sは0又は1
    )を添加する請求項8に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製造方法。 【請求項15】 フロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシラン化合
    物を含有する溶媒中に、SiYt(OA)4-t(但し式中のYはアルキル基、OA
    はアルコール基若しくはアルコキシ基で、AはHまたはアルキル基、tは0、1
    又は2)を添加する請求項8に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製造方
    法。 【請求項16】 フロロカーボン基とクロロシリル基とを含むシラン化合物を
    含有する非水系の溶媒、又はフロロカーボン基とアルコキシシリル基とを含むシ
    ラン化合物を含有する溶媒の何れかの中に、予めフロロカーボン系ポリマーの微
    粒子を分散させる請求項6又は8に記載のフロロカーボン系コーティング膜の製
    造方法。

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