JP2024523606A - 曲げ疲労強度に優れた低圧電極箔の製造方法 - Google Patents

曲げ疲労強度に優れた低圧電極箔の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法は、第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔の脱脂作業を行い、第1アルミニウム箔を予備電解、電解腐食、洗浄、乾燥焼結し、アルミニウム系スラリーが第1アルミニウム箔に塗布され、表裏面に一次スラリー層を形成し、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔が一次スラリー層に貼り付けられて複合アルミニウム箔を形成し、複合アルミニウム箔を冷間圧延し、複合アルミニウム箔を加熱・冷却して製品を得るステップを含む。実際の製造・成形においては、中間コア層となる電極箔を十分にエッチングしたままとしたため、作製工程の変更による低圧電極箔の静電容量の大幅な低下を回避できる。また、実際の実験データによれば、全体の厚みが変わらないと前提として、この方法で作製した低圧電極箔の方が曲げ疲労強度が優れていることがわかった。
【選択図】なし

Description

本発明は、電極箔製造技術の分野に属し、特に、曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法に関する。
電子部品製品の大容量化、小型化への要求は日々高まっている。実際の製造においては、曲げ亀裂の発生による寿命低下を避けるため、電極箔の高静電容量を前提とした良好な曲げ疲労強度を確保する必要がある(成形準備や組立工程では電極箔を複数回曲げて評価する必要がある)。
過去の製造経験によると、電極箔の静電容量を増加させるには、その表面を完全に腐食して、より深い腐食穴を形成する必要がある。例えば、中国特許第2021110678726は、固体アルミニウム電解コンデンサ用電極箔の製造方法が開示されている。具体的に、アルミニウム箔を酸性溶液に浸漬し、高周波パルス電流を印加させ、第1回電解腐食、第2回電解腐食を順次に行い、第1回電解腐食および第2回電解腐食を少なくとも3回繰り返した後、純水洗浄および化学溶液洗浄を行い、そして、純水で洗浄して高温熱処理および冷却を行うステップを行っている。初期の酸エッチング処理と前電解を組み合わせることで、アルミニウム箔の表面に形成される初期腐食点の分布均一性が効果的に改善され、その後の電食の均一性が大幅に向上することができ、電極箔の表面に深い腐食穴を形成することができる。これによって、電極箔の静電容量を大幅に向上させるという設計目標を達成することができている。
しかし、理論常識によれば、電極箔の静電容量と曲げ疲労強度は性質相反するパラメータであり、電極箔の表面に残存する腐食穴は、曲げ疲労強度に影響を与え、深さが深くなるほど、曲げ疲労強度は急激に低下になる。したがって、高容量特性と高い曲げ疲労強度特性が両立できる電極箔をいかに作製するかは、産業界において解決すべき緊急の技術課題となっている。
上記の従来技術の問題点および欠点を考慮して、本発明の設計者は、関連情報を収集し、多くの側面を評価および検討し、さらに、この業界で長年の研究開発経験を持つ技術者によって実験と修正を続けることで、最終的に、曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法を見出した。
上述した技術的な問題を解決するために、本発明によって提供される曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法は、第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔の脱脂作業を行う、ステップS1と、ステップS1で得られた前記第1アルミニウム箔を酸性溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行う、ステップS2と、ステップS2で得られた前記第1アルミニウム箔に対して電解腐食作業を行う、ステップS3と、ステップS3で得られた前記第1アルミニウム箔を洗浄し、乾燥を行う、ステップS4と、アルミニウム系スラリーを、ステップS4で得られた前記第1アルミニウム箔の表面および裏面に均一に塗布し、前記アルミニウム系スラリーが完全に固化・焼結するまで昇温工程を行い、前記第1アルミニウム箔の表面および裏面に一次スラリー層を形成する、ステップS5と、前記第2アルミニウム箔、前記第3アルミニウム箔はそれぞれステップS5で得られた前記一次スラリー層に貼り付けられて複合アルミニウム箔を形成する、ステップS6と、ステップS6で得られた前記複合アルミニウム箔を冷間圧延する、ステップS7と、ステップS7で得られた前記複合アルミニウム箔をオーブンに入れ、高温熱処理を行う、ステップS8と、ステップS8で得られた複合アルミニウム箔を冷却し、製品を得る、ステップS9と、を含む。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS5では、前記アルミニウム系スラリーは、アルミニウム粉末とバインダーとが混合撹拌されて得られたものである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、前記バインダーは、ポリエチレングリコールと無水エタノールとを混合したものである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、前記アルミニウム粉末の平均粒子径D50は、2~5μmに制御され、前記ポリエチレングリコールの平均分子量は、300~800に制御される。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS5では、塗布された前記第1アルミニウム箔をオーブンに入れて加熱焼結し、焼結条件は、温度が300~500℃であり、時間が60~180sである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS5は、ステップS51を更に含み、前記一次スラリー層が成形された後、ステップS51では、前記アルミニウム系スラリーが前記一次スラリー層に均一に塗布され且つ昇温固化・焼結処理を行い、前記第1アルミニウム箔の表面および裏面に二次スラリー層を形成する。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS6では、ステップS5で得られた前記第1アルミニウム箔の表面および裏両に、前記第2アルミニウム箔と前記第3アルミニウム箔とが予めに貼り付けられ、前記第2アルミニウム箔と前記第3アルミニウム箔に対して、予備電解および電解腐食を行う。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS1では、前記第1アルミニウム箔、前記第2アルミニウム箔、および前記第3アルミニウム箔を、質量百分率濃度0.1~0.5%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、動作条件は、温度が30~60℃であり、時間が60~180sである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS1では、前記第1アルミニウム箔、前記第2アルミニウム箔、および前記第3アルミニウム箔を有機溶媒に浸漬し、前記有機溶媒は、シンナー、テレビン油、アルコール、ガソリン、および灯油のいずれか1つである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS2では、使用される前記酸性溶液は、質量百分率濃度0.1~0.5%のリン酸水溶液であり、動作条件は、温度が20~50℃であり、時間が30~120sであり、前記高周波数パルス電流の周波数が10~20KHzに制御される。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS3では、ステップS2で得られた前記第1アルミニウム箔を、塩酸、硫酸、シュウ酸の混合溶液に浸漬して、一回目の電解腐食を行い、動作条件は、温度が30~60℃であり、電流が正弦波交流電であり、周波数が40~70Hzであり、時間が60~200sであり、その後、前記第1アルミニウム箔を塩酸、硫酸、シュウ酸の混合溶液に浸漬して二回目の電解腐食を行い、動作条件は、温度が30~60℃であり、電流が方形波交流電流であり、周波数が40~70Hzであり、時間が100~400sである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS3では、前記一回目の電解腐食および前記二回目の電解腐食の繰り返し回数が2回以上である。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS4では、ステップS3で得られた前記第1アルミニウム箔を水道水に入れて100~200s洗浄し、その後、質量百分率濃度2~8%の硝酸溶液に入れて洗浄し、動作条件は、温度が40~80℃であり、時間が100~300sであり、次に、純水に入れて300~600s洗浄し、最後に、オーブンに入れて乾燥・焼結し、動作条件は、温度が85~100℃であり、時間が40~60sである。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、ステップS8では、オーブンの動作条件は、温度が300~500℃に制御され、時間が60~180sに制御される。
本発明で開示される技術的解決策のさらなる改良として、前記第1アルミニウム箔の厚さが80~100μmに制御され、前記第2アルミニウム箔および前記第3アルミニウム箔の厚さが5~10μmに制御される。
低電圧電極箔の伝統的な製造方法と比較して、本発明で開示される技術的解決策では、まず、製造された低電圧電極箔は5つの異なる機能性領域を有し、低電圧電極箔の厚さ方向に沿って観察が行われば、電圧電極箔は、表面光箔層、焼結層、電極箔中央コア層、焼結層、光箔層を順に備えている。実際の製造および成形では、中央コア層として使用される電極箔が完全にエッチングされたままであるため、成形プロセスの変更による低電圧電極箔の静電容量の大幅な低下が効果的に回避されることができる。さらに、実際の実験データによれば、全体の厚さが変わらないという前提で、積層構造は一体構造よりも曲げ疲労強度が優れているため、成形準備または組み立てプロセス中に複数回の曲げによる初期亀裂の発生を回避することができる。
本発明の理解を深めるために、以下の実施例を参照して本発明を詳細に説明する。これらの実施例は本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の保護範囲を限定するものではない。また、本説明に使用される手法は汎用の手法である。
実施例1
S1:純度99.98%、厚さ100μmの第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、0.5wt%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する(動作条件:温度が50℃であり、時間が60sである)。
S2:ステップS1で得られた第1アルミニウム箔を、0.25wt%のリン酸水溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行う(動作条件:温度が40℃であり、時間が40sであり、周波数14KHzである)。
S3:ステップS2で得られた第1アルミニウム箔を、9.0wt%塩酸、1.0wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に浸漬し、第1回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が正弦波交流電流であり、電流密度が0.9A/cmであり、周波数が45Hzであり、時間が90sである)。その後、8.0wt%塩酸、0.9wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液にさらに浸漬し、第2回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が方形波交流電流であり、電流密度0.5A/cmであり、周波数が55Hzであり、時間が65sである)。
なお、初期の酸エッチング処理および予備電解によって、アルミニウム箔の表面に形成される初期腐食点の分布の均一性が効果的に改善され、後工程の電解腐食の均一性が大幅に改善され、最終的には、電極箔の容量の一貫性を向上させることができる。
S4:ステップS3で得られた第1アルミニウム箔を水道水で120s洗浄し、5wt%硝酸溶液に入れて洗浄する(動作条件:温度が50℃であり、時間が120sである)。その後、純水再び洗浄する(時間が360sである)。最後に、オーブンに入れて乾燥する(動作条件:温度が95℃であり、時間が60sである)。
S5:ステップS4で得られた第1アルミニウム箔を、アルミニウム系スラリーに浸漬して、両面にコーティング層を形成し、350℃のオーブンで5分間焼成して、第1アルミニウム箔の表裏両面を焼結して一次スラリー層を形成する。
このステップでは、アルミニウム系スラリーは、アルミニウム粉末、ポリエチレングリコール、無水エタノールを質量比15:2:1で均一に混合してなるものである。アルミニウム粉末の平均粒子径D50は2~5μmに制御され、ポリエチレングリコールの平均分子量は、400に制御される。
S6:純度99.98%、厚さ10μmの第2アルミニウム箔および第3アルミニウム箔をそれぞれステップS5で得られた一次スラリー層に貼り付けて複合アルミニウム箔を形成する。
S7:ステップS6で得られた複合アルミニウム箔を冷間圧延し、冷間圧延の供給速度を80m/h、圧力を15Mpa以下に制御する。
S8:ステップS7で得られた複合アルミニウム箔をオーブンに入れて、高温熱処理を行う。オーブンの動作条件は、温度が350℃であり、時間が90sである。
S9:ステップS8で得られた複合アルミニウム箔を冷却して製品を形成する。
実施例2
S1:純度99.98%、厚さ100μmの第1アルミニウム箔、および純度99.98%、厚さ10μmの第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、0.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する(動作条件:温度が50℃であり、時間が60sである)。
S2:ステップS1で得られた第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、0.25wt%のリン酸水溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行う(動作条件:温度が40℃であり、時間が40sであり、周波数が14KHzである)。
S3:ステップS2で得られた第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、9.0wt%塩酸、1.0wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に浸漬して、第1回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が正弦波交流電であり、電流密度が0.9A/cmであり、周波数が45Hzであり、時間が90sである)。その後、8.0wt%塩酸、0.9wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に入れ、第2回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が方形波交流電流であり、電流密度が0.5A/cmであり、周波数が55Hzであり、時間が65sである)。
S4:ステップS3で得られた第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を水道水で120sすすき、その後、5wt%硝酸溶液で洗浄する(動作条件:温度が50℃であり、時間が120sである)。その後、純水で360s洗浄し、最後に、オーブンに入れて、温度95℃、時間60sで焼結する。
S5:ステップS4で得られた第1アルミニウム箔をアルミニウム系スラリーに浸漬し、両面にコーティング層を形成する。その後、温度350℃のオーブンにおいて5分間焼結し、第1アルミニウム箔の表裏両面を焼結して一次スラリー層を形成する。
このステップでは、アルミニウム系スラリーは、アルミニウム粉末、ポリエチレングリコール、無水エタノールを質量比15:2:1で均一に混合してなるものである。アルミニウム粉末の平均粒子径D50が2~5μmに制御され、ポリエチレングリコールの平均分子量が400に制御される。
S6:ステップS4で得られた第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、それぞれ、ステップS5で得られた一次スラリー層に貼り付けて複合アルミニウム箔を形成する。
S7:ステップS6で得られた複合アルミニウム箔を冷間圧延し、冷間圧延の供給速度を80m/h、圧力を15Mpa以下に制御する。
S8:ステップS7で得られた複合アルミニウム箔をオーブンに入れて、高温熱処理を行う。オーブンの動作条件は、温度が350℃に制御され、時間が90sに制御される。
S9:ステップS8で得られた複合アルミニウム箔を冷却し、製品を得る。
実施例2と実施例1との主な相違点は、第2アルミニウム箔と第3アルミニウム箔にも予備電解および電解腐食処理が施され、製造された低圧電極箔の電容量をさらに増加させるための良好な基礎が築かれたが、曲げ疲労強度が若干低下する傾向がある。
実施例3
S1:純度99.98%、厚さ100μmの第1アルミニウム箔、および純度99.98%、厚さ10μmの第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を0.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬する(動作条件:温度が50℃であり、時間が60sである)。
S2:ステップS1で得られた第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、および第3アルミニウム箔を0.25wt%のリン酸水溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行う(動作条件:温度が40℃であり、時間が40sであり、周波数が14KHzである)。
S3:ステップS2で得られた第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、9.0wt%塩酸、1.0wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に浸漬し、第1回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が正弦波交流電であり、電流密度が0.9A/cmであり、周波数が45Hzであり、時間が90sである)。その後、8.0wt%塩酸、0.9wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に浸漬して第2回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が方形波交流電流であり,電流密度が0.5A/cmであり、周波数が55Hzであり、時間が65sである)。
S4:ステップS3で得られた第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を水道水で時間120s洗浄し、その後、5wt%硝酸溶液で洗浄する(動作条件:温度が50℃であり、時間が120sである)。そして、純水で時間360s洗浄し、最後に、オーブンに入れる(動作条件:温度が95℃であり、時間が60sである)。
S5:ステップS4で得られた第1アルミニウム箔をアルミニウム系スラリーに浸漬し、両面にコーティング層を形成する。その後、温度350℃のオーブンで5分間焼結して第1アルミニウム箔表裏両面に一次スラリー層を形成する。
このステップでは、アルミニウム系スラリーは、アルミニウム粉末、ポリエチレングリコール、無水エタノールを、質量比15:2:1で混合してなるものである。アルミニウム粉末の平均粒子径D50が2~5μmに制御され、ポリエチレングリコールの平均分子量が400に制御される。
S6:一次スラリー層の外表面にアルミニウム系スラリーを塗布し、温度350℃のオーブンで5分間焼結して、一次スラリー層の外表面に、二次スラリー層を形成する。
S7:ステップS4で得られた第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔を、ステップS6で得られた二次スラリー層に貼り付けて複合アルミニウム箔を形成する。
S8:ステップS7で得られた複合アルミニウム箔を冷間圧延し、且つ冷間圧延の供給速度が80m/hに制御され、圧力が15Mpa以下に制御される。
S9:ステップS8で得られた複合アルミニウム箔をオーブンに入れて、高温熱処理を行う。オーブンの動作条件は、温度が350℃に制御され、時間が90sに制御される。
S10:ステップS9で得られた複合アルミニウム箔を冷却し、製品を得る。
実施例3と実施例2との主な相違点は、アルミニウム系スラリー層の厚さの増加である(二次スラリー層の増設によるものである)。アルミニウム系スラリーの昇温焼結過程において、熱の作用によりスラリー内部に多数の孔が形成されることが知られている。したがって、アルミニウム系スラリー層の厚さが厚くなると、製造・成形された低圧電極箔の静電容量は高くなるが、第2電極箔、第3電極箔および第1電極箔の接合に一定の影響を与え、曲げ疲労強度が若干低下する。
製造された低圧電極箔は、5つの異なる機能ゾーンを備えており、低圧電極箔の厚さ方向に沿って観察すると、表面光箔層、焼結層、電極箔中央コア層、焼結層、光箔層を順次に備えている。実際の製造および成形では、中央コア層として使用される電極箔がエッチング処理を実施されたので、成形プロセスの変更による低圧電極箔の静電容量の大幅な低下が効果的に回避されることができる。さらに重要なことは、実際の実験データによれば、全体の厚さが変わらないという前提で、積層構造は一体構造よりも曲げ疲労強度が優れているため、成形プロセスまたは組み立てプロセス中に曲がるリスクを回避でき、繰り返しの曲げにより早期にクラックが発生することも回避できる。
ここでは、次の点について説明する。
1)アルミニウム系スラリーは、アルミニウム粉末、ポリエチレングリコール、無水エタノールを均一に混合してなるのが好ましい。ポリエチレングリコールおよび無水エタノールはどちらも流動性が良く、且つ分子量が比較的に小さいことが知られており、アルミニウム系スラリーの塗布に優れた流動性を与え、成形後の一次スラリー層および二次スラリー層の均一性を確保し、各領域の厚さが一定するよう維持されるのに有利である。
2)好ましくは、浸漬によって、アルミニウム系スラリーを第1アルミニウム箔または一次スラリー層に塗布する。これは工業的に連続生産の要件に適している。さらに、複数回の浸漬は、コーティング層の厚さを調整することができ、異なる製品の電容量(異なるコンデンサー製品)を得ることができる。
3)第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔は、冷間圧延によって、第1アルミニウム箔に一体化に固定され、これにより、実際の製造成形プロセスおよび実際使用中に、第1アルミニウム箔の表面に焼結されて形成された一次スラリー層および二次スラリー層が外力によって剥離することを回避できる。また、冷間圧延方式は、低圧電極箔全体の引張強度(抗引張延伸性能)をある程度向上させることができ、後続の巻き取りプロセス中に引張力によって引き裂かれるのを防ぐことができる。
本発明の技術的解決策によってもたらされる有益な効果をより分かりやすく理解するために、以下、比較例を挙げて説明する。
比較実験1:
1、純度99.98%、厚さ100μmのアルミニウム箔を、0.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、(動作条件:温度が50℃であり、時間が60sである)、S1を得る。
2、S1を、0.25wt%のリン酸水溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行い(動作条件:温度が40℃であり、時間が60sであり、周波数が14KHzである)、S2を得る。
3、S2を、9.0wt%塩酸、1.0wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に入れて、第1回電解腐食を行い(動作条件:温度が50℃であり、電流が正弦波交流電であり、電流密度が1.0A/cmであり、周波数が45Hzであり、時間が100sである)、8.0wt%塩酸、0.9wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に浸漬して第2回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が方形波交流電流であり、電流密度0.6A/cmであり、周波数が55Hzであり、時間が60sである)。第1回電解腐食および第2回電解腐食を5回繰り返してS3を得る。
4、S3を水道水に入れて時間120s洗浄し、さらに、5wt%硝酸溶液で洗浄する(動作条件:温度が50℃であり、時間が120sである)。そして、純水に入れて360s洗浄し、最後に、オーブンに入れて焼結し(動作条件:温度が95℃であり、時間が60sである)、製品を得る。
比較実験2:
1、純度99.98%、厚さ100μmのアルミニウム箔を、0.5wt%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し(動作条件:温度が50℃であり、時間が60sである)、S1を得る。
2、S1を、0.25wt%のリン酸水溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行い(動作条件:温度が40℃であり、時間が40sであり、周波数が14KHzである)、S2を得る。
3、S2を、9.0wt%塩酸、1.0wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に浸漬し、第1回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が正弦波交流電であり、電流密度が0.9A/cmであり、周波数が45Hzであり、時間が90sである)。そして、8.0wt%塩酸、0.9wt%硫酸、1.0wt%シュウ酸の混合溶液に入れて第2回電解腐食を行う(動作条件:温度が50℃であり、電流が方形波交流電流であり、電流密度が0.5A/cmであり、周波数が55Hzであり、時間が65sである)。第1回電解腐食および第2回電解腐食を5回繰り返してS3を得る。
4、S3を水道水に入れて120s洗浄し、さらに、5wt%硝酸溶液に入れて洗浄する(動作条件:温度が50℃であり、時間が120sである)。その後、純水に入れて360s洗浄し、最後に、オーブンで焼結し(動作条件:温度が95℃であり、時間が60sである)、製品を得る。

表1は、実施例1~3および比較実験1~2で得られた低圧電極箔の電容量および耐屈曲性の試験結果を示している。
開示された実施形態に関する説明により、当業者は本発明を製造または使用することができる。これらの実施形態に対する様々な修正は当業者には容易であり、本明細書で定義される一般原理は、本発明の精神または範囲から逸脱することなく他の実施形態で実施することができる。したがって、本発明は、発明の詳細に示される実施形態に限定されるものではなく、その原理および特徴と一致する最も広い範囲も含まれている。

Claims (15)

  1. 第1アルミニウム箔、第2アルミニウム箔、第3アルミニウム箔の脱脂作業を行う、ステップS1と、
    ステップS1で得られた前記第1アルミニウム箔を酸性溶液に浸漬し、高周波数パルス電流を印加して予備電解を行う、ステップS2と、
    ステップS2で得られた前記第1アルミニウム箔に対して電解腐食作業を行う、ステップS3と、
    ステップS3で得られた前記第1アルミニウム箔を洗浄し、乾燥を行う、ステップS4と、
    アルミニウム系スラリーを、ステップS4で得られた前記第1アルミニウム箔の表面および裏面に均一に塗布し、前記アルミニウム系スラリーが完全に固化・焼結するまで昇温工程を行い、前記第1アルミニウム箔の表面および裏面に一次スラリー層を形成する、ステップS5と、
    前記第2アルミニウム箔、前記第3アルミニウム箔はそれぞれステップS5で得られた前記一次スラリー層に貼り付けられて複合アルミニウム箔を形成する、ステップS6と、
    ステップS6で得られた前記複合アルミニウム箔を冷間圧延する、ステップS7と、
    ステップS7で得られた前記複合アルミニウム箔をオーブンに入れ、高温熱処理を行う、ステップS8と、
    ステップS8で得られた複合アルミニウム箔を冷却し、製品を得る、ステップS9と、
    を含むことを特徴とする曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  2. ステップS5では、前記アルミニウム系スラリーは、アルミニウム粉末とバインダーとが混合撹拌されて得られたものである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  3. 前記バインダーは、ポリエチレングリコールと無水エタノールとを混合したものである、ことを特徴とする請求項2に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  4. 前記アルミニウム粉末の平均粒子径D50は、2~5μmであり、前記ポリエチレングリコールの平均分子量は、300~800である、ことを特徴とする請求項3に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  5. ステップS5では、塗布された前記第1アルミニウム箔をオーブンに入れて加熱焼結し、焼結条件は、温度が300~500℃であり、時間が60~180sである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  6. ステップS5は、ステップS51を更に含み、前記一次スラリー層が成形された後、ステップS51では、前記アルミニウム系スラリーが前記一次スラリー層に均一に塗布され且つ昇温固化・焼結処理を行い、前記第1アルミニウム箔の表面および裏面に二次スラリー層を形成する、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  7. ステップS6では、ステップS5で得られた前記第1アルミニウム箔の表面および裏両に、前記第2アルミニウム箔と前記第3アルミニウム箔とが予めに貼り付けられ、前記第2アルミニウム箔と前記第3アルミニウム箔に対して、予備電解および電解腐食を行う、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  8. ステップS1では、前記第1アルミニウム箔、前記第2アルミニウム箔、および前記第3アルミニウム箔を、質量百分率濃度0.1~0.5%の水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、動作条件は、温度が30~60℃であり、時間が60~180sである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  9. ステップS1では、前記第1アルミニウム箔、前記第2アルミニウム箔、および前記第3アルミニウム箔を有機溶媒に浸漬し、前記有機溶媒は、シンナー、テレビン油、アルコール、ガソリン、および灯油のいずれか1つである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  10. ステップS2では、使用される前記酸性溶液は、質量百分率濃度0.1~0.5%のリン酸水溶液であり、動作条件は、温度が20~50℃であり、時間が30~120sであり、前記高周波数パルス電流の周波数が10~20KHzである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  11. ステップS3では、ステップS2で得られた前記第1アルミニウム箔を、塩酸、硫酸、シュウ酸の混合溶液に浸漬して、一回目の電解腐食を行い、動作条件は、温度が30~60℃であり、電流が正弦波交流電であり、周波数が40~70Hzであり、時間が60~200sであり、その後、前記第1アルミニウム箔を塩酸、硫酸、シュウ酸の混合溶液に浸漬して二回目の電解腐食を行い、動作条件は、温度が30~60℃であり、電流が方形波交流電流であり、周波数が40~70Hzであり、時間が100~400sである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  12. ステップS3では、前記一回目の電解腐食および前記二回目の電解腐食の繰り返し回数が2回以上である、ことを特徴とする請求項11に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  13. ステップS4では、ステップS3で得られた前記第1アルミニウム箔を水道水に入れて100~200s洗浄し、その後、質量百分率濃度2~8%の硝酸溶液に入れて洗浄し、動作条件は、温度が40~80℃であり、時間が100~300sであり、次に、純水に入れて300~600s洗浄し、最後に、オーブンに入れて乾燥・焼結し、動作条件は、温度が85~100℃であり、時間が40~60sである、ことを特徴とする請求項12に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  14. ステップS8では、オーブンの動作条件は、温度が300~500℃であり、時間が60~180sに制御される、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
  15. 前記第1アルミニウム箔の厚さが80~100μmであり、前記第2アルミニウム箔および前記第3アルミニウム箔の厚さが5~10μmである、ことを特徴とする請求項1に記載の曲げ疲労強度が良好な低圧電極箔の製造方法。
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