JP2024522826A - 手すり及び手すりの製造方法 - Google Patents

手すり及び手すりの製造方法 Download PDF

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マンドル,ダーヴィト
アルトファー,フロリアン・カール
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センペリット アクチェンゲゼルシャフト ホールディング
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    • B66B23/00Component parts of escalators or moving walkways
    • B66B23/22Balustrades
    • B66B23/24Handrails

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  • Escalators And Moving Walkways (AREA)

Abstract

動く歩道、エスカレータなどの案内要素に取り付け可能な手すり(1)は、その輪郭方向(C)に沿って実質的に一定の断面を有してる。上記手すり(1)は、上記案内要素上に配置され得る胴部(2)と、上記胴部(2)上に配置された被覆層(3)とを備える。上記被覆層(3)は熱可塑性エラストマーを含む。更に、上記手すり(1)を製造する方法が提供される。

Description

本発明は、手すり及びその手すりの製造方法に関する。
手すりは、エスカレータや動く歩道に設置され、エスカレータや動く歩道を利用する人に対する支援を行う。エスカレータや動く歩道の手すりは通常、ゴム又はプラスチックで作られたC字型の手すりである。それら手すりは、エスカレータの階段若しくは動く歩道のパレットの速度、又は最大で2%速い速度で規制に従って運行されなければならず、且つ案内部との最大間隔は8mm未満でなければならない。周囲条件に関係なく数百万回の曲げサイクルを考慮すると、手すりは、良好な引張挙動、高い引裂抵抗、及び高い寸法安定性を備えていなければならない。
近年、手すりの技術的性能及び外観に対する要求が高まっている一方で、同時にコスト圧力が上昇し、材料、複雑さ、構成部品の品質、及び設計の面での節約によって対抗がなされている。都市化の傾向は、より多くの人々がエスカレータや動く歩道によってより速く運ばれなければならないことを意味する。システムの稼働時間は劇的に増加しており、且つ多くのアプリケーションが24時間年中無休で稼働している。また、建築家や運営者は、エスカレータの利用と運用に関してこれまで以上に高い基準を設定しており、運用条件もこれまで以上に厳しくなっている。例えば、エスカレータは大きなガラス壁の後ろや、天候から保護されていない屋外に設置されている。更に、大気汚染、高い周囲温度、異常気象などの環境は、手すりの耐久性に悪影響を及ぼす。同時に、見た目に対する要求も高まっている。
更に、手すりの寸法は、数年間使用した後においても、要求される狭い公差範囲内に維持されなければならない。牽引は、湿った又は乾いた状態においても常に制御可能でなければならず、且つ環境汚染が手すりの性能に悪影響を及ぼしてはならない。手すりの機能は、ひび割れや磨耗によって損なわれてはならず、老化防止剤が表面を汚染してはならない。更に、人口密度が高く個人の交通量が多い場所における窒素酸化物の高濃度、高湿度、温度変化、設置コストを節約するための曲げ半径の小ささ、メンテナンスの手間等が、手すりの性能を更に制限し、手すりの設計、製造、及び材料での改善が求められている。
従来のゴム製手すりは、ゴム及び繊維若しくは織物の1以上の内層を有し、上記内層は、横方向の剛性と寸法安定性を向上させている。最上層は、例えばSBRポリマーで構成されることがよくある。全ての層は、プレス金型で加硫される前に、一緒にサンドイッチ構造に結合される。一方、従来のプラスチック手すりは、通常、プラスチック化合物から作られる。
ゴム製の手すりは、耐久性が高く、耐用年数にわたって優れた性能を発揮する。しかし、より高温でオゾン濃度が高い地域での使用においては、老化防止成分が、手すりの表面に浮き上がり、利用者の手を汚す可能性がある。
プラスチック製の手すりは、光沢のある表面を提供するが、動的に変形しにくいので、動的挙動において及び一部のタイプのエスカレーターでの使用において欠点がある。
ゴム製手すりが、現在最も一般的に設置されている。そのような手すりは、正と負の両方の曲げ方向に非常に柔軟であり、良好な動的挙動及び良好な耐摩耗性を備えている。しかし、それら手すりは、高温、直射日光下、又はオゾン汚染の高い屋外状態では限界がある。そのような状況下においては、ゴム製手すりの保護成分は、手すりの表面を過度に汚してしまい、このことは、特に夏場での否定的な顧客の意見につながる。ゴム製手すりいおいて、保護成分の量を減らすこと又は他の成分を使用することは、ゴム製手すりの耐久性及び耐用年数を大幅に低下させる可能性がある。
プラスチック製手すりは、光沢のある表面のため、近年ますます人気が高まっている。しかし、曲げ剛性の増加は、特に後ろに曲げるとき(負の曲げ)、小さな手すり牽引車輪を備えたエスカレータのプラスチック製手すりの牽引性能に影響を与える。これは、手すりが硬いほどより多くの曲げ力が必要となり、牽引力の損失及びエネルギー消費量の増加につながるためである。もう1つの欠点は、エスカレータの手すりヘッド及びエスカレータの戻り部分でのローラーが破損するリスクが増加することである。何故なら、手すりが常に案内ローラーの曲げ曲線に従うとは限らないためである(同じ荷重を支えるのに接触点が少なくなると、接触圧力が増大し破損のリスクが高くなる)。
従来技術の手すりはいずれも、効率的な運用を保証しながら、ストレスの多い環境条件下を含めて無制限の使用性を提供するものはない。既知の解決策には、何らかの欠点がある。
従って、本発明の目的の1つは、増大する要求に耐えることができ、外観が改善され、耐久的で効率的な運用の新たな可能性を与えるエスカレータ及び動く歩道のための手すりを提供することである。そのような手すりを製造するための方法もまた提供される。
本発明は、請求項1の特徴を有する手すり及び請求項15の特徴を有するそのような手すりの製造方法によって、これらの目的を解決する。好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
本発明の1態様は、案内要素に取り付け可能又は取り付けられる動く歩道、エスカレーターなどのための手すりであって、その輪郭方向に沿ってほぼ一定の断面を有する手すりを提供する。上記手すりは、好ましくは、案内要素上に配置可能、又は案内要素上に配置される胴部を備えている。手すりは、好ましくは、上記胴部上に配置される被覆層を備えている。上記被覆層は、好ましくは熱可塑性エラストマーを含んでいる。
従来技術のゴム製手すりでは、手すり表面とプラスチック層との間の接続が十分な接着性(接着力又は付着力)を持たないので、そのままではプラスチック層を施与することができない。言い換えると、プラスチックとゴムの間の接着性が弱く、手すりに必要な接着力が得られない。この理由のために、現在は、ゴム製手すり上のプラスチック層の代わりに、プラスチック製手すりが使われている。一般的なプラスチック製の手すりは、ゴムよりもはるかに安定しているプラスチック素材からその安定性を引き出しているので、胴部を必要としない。ここで胴部を提供することは不必要であり、何の利点ももたらさない。むしろ、これはコスト上の欠点を伴なう。何故なら、これは処理が複雑であり且つそのような組み合わせからは利点が明らかでないからである。
一般的な手すりと比較して、本発明による手すりは、ゴム製手すりの有利な動的挙動とプラスチック製手すりの有利な表面特性を提供する。このことは、本発明による手すりが、周囲の気候状態に関係なく、すべてのエスカレーター及び動く歩道(小さな曲げ半径を有するものを含む)で使用できることを意味する。好ましくは、上記被覆層は、熱可塑性エラストマーを含み、より容易に胴部へ施与され得て、同時に既知のプラスチック製手すりと同様の環境要因に対する耐性を有する。
上記手すりは、本質的に一定の断面を有し、輪郭方向に沿って延在している。このことは、上記手すりが、動く歩道又はエスカレーターの上に立っている人(使用者)に確実な把持物を提供するように、案内要素に対して輪郭方向に移動することを可能にする。上記手すりの移動中、上記手すりは、案内要素(例えば、レール)によって案内されうる。上記案内要素は、上記手すりが正方向(即ち上方)及び負方向(即ち下方)に曲げられうる。この目的のために、上記手すりは、上記案内要素を少なくとも部分的に囲みうる。好ましくは、上記手すりは、輪郭方向を横断する断面においてC字形を有し、上記案内要素を部分的に取囲んでいる。従って、上記手すりは、上記案内要素に取り付けられうるか、又は取り付け可能である。従って、上記手すりは、輪郭方向を横断する断面においてC字形を有しうる。上記手すりの輪郭方向に沿った断面は、ほぼ一定又は一様でありうる。これはまた、最大15%までの製造公差に起因する偏差も含む。上記手すりの断面は、2つの湾曲した端部区間と、これら端部区間をつなぐ平坦な中央区間とに分けられうる。端部区間は、手すりの断面の重心を通る軸に関して対称でありうる。これにより、手すりの製造は特に容易になる。手すりは、終わりや始まりのない連続した円周要素として設計されうる。従って、手すりは、案内要素に加えて多数の偏向ローラを介して偏向され、及び/又は、曲げられるうる(正及び負方向に)ように設計されうる。手すりを曲げやすくすること(即ち、曲げ抵抗を低くすること)は、上記手すりを駆動するのに必要なエネルギーを有意に削減する。上記被覆層は、上記手すりの表面上に少なくとも部分的に配置されうる。例えば、上記被覆層は、上記胴部の所々に埋め込まれることができ、上記胴部とともに、例えば使用者が掴むことができる平坦な表面を形成する。特に、上記被覆層は、胴部が断面において曲げられ又は湾曲している領域において、胴部に取り付けられていることが有利である。これにより、一方では材料が節約され、他方では手すりに快適な感触が与えられる。追加又は代替として、上記被覆層は、胴部上の部分的な突起として設けられうる。例えば、上記被覆層は、輪郭方向に沿う細長い板状要素として延在しうる。これは、利用者が握ることができる被覆層の表面が粗くされた表面を有しうることを意味する。この肌理は、断面において、例えば湾曲の形を取りうる。その結果、利用者の手と手すりとの間の接触面積が減らされ、このことは利用者の衛生意識を向上させうる。好ましくは、上記被覆層は、案内要素とは反対側の手すりの側面を覆うように手すり上に配置される。これにより、手すりが環境要因から確実に保護される。1実施形態において、上記最上層は、利用者が握ることができる複数の湾曲を有する表面を形成するように設計されうる。これは、手すりが利用者に特に安全な把持を提供できることを意味している。
上記手すりの断面の端部領域は、例えば、中央領域よりも0.3~0.8倍薄くされうる。この比率が上記手すりの曲げ力を有利に低減し、同時に上記手すりの横方向の十分な安定性を確保することが判明した。これにより、上記手すりの駆動エネルギーを低減するとともに、突発的な横力が加わった場合でも上記手すりの安定した案内を保証しうる。更に、上記手すりは、直径500mm未満の駆動ローラー、及び/又は、案内ローラーと一緒に用いられうるように設計できる。巻き角100~270°を実現可能である。上記手すりに懸かる単位面積当たりの力(即ち、張力)が軽減されるので、上記手すりの耐久性が向上する。好ましくは、駆動ローラー、及び/又は、案内ローラーは、400mm未満の直径を有しうる。本発明による手すりの容易に達成できる高い柔軟性によって、エネルギー効率の高い使用が、これらの小さな直径でも有利に可能である(即ち、この場合、上記巻き角も達成されうる)。従って、上記手すりは、その頭部に駆動装置を備えるエスカレーター(例えば、交通エスカレーター)に関して有利に用いられうる。上記手すりの頭部において、駆動ローラの周りの上記手すりの巻き角は、一般に大きい。
上記手すりの胴部は、少なくとも3つの異なる層を備えることができ、輪郭方向に沿って、及び輪郭方向に対して横方向に手すりに安定性を与えるように設計されうる。特に、上記胴部は、案内要素と接触させることができる摺動層を有しうる。上記摺動層は、手すりと案内要素との間の摩擦を最小限に抑えうる。上記摺動層は、例えば、テフロン(登録商標)又は他の摺動材料で作製されうる。これにより、手すりの駆動に必要なエネルギーは更に削減される。更に、上記胴部は、引張要素(引張部材)を備え得、その引張要素は、鋼、ポリマー、又はカーボン繊維で作られた伸張制動機でありうる。上記引張要素が張力を吸収できるため、手すりの可能な最大の伸びが、用いられた引張要素に応じて達成されうる。上記引張要素は、耐用年数にわたって手すりの輪郭方向の伸びを確実に制限することができる。上記引張要素は、手すりの断面の中央領域にのみ設けられうる。これは、端部区間は容易に持ち上げられることができ、且つ手すり全体の重量は低く抑えられうることを意味する。上記胴部は更に、少なくとも1つの内側層(例えば、ゴム、熱可塑性エラストマー、織物、又はそれらの組み合わせを含む一次層)を含んでいてもよい。更に、上記胴部は、二次層(特にゴム、及び/又は、熱可塑性エラストマーを含む被覆部)を有しうる。上記二次層は、例えば、引張部材が一次層と二次層との間に挿入されるように、引張部材を覆うことができる。上記一次層は、上記胴部とは別の層であり得、製造中に上記胴部にのみ接着される。上記層は、独立した、とりわけ本質的に安定した要素でありうる(即ち、上記層は、特に何らかの方法で施与される材料ではない)。同じことが上記二次層にも当てはまる。従って、上記引張部材による損傷(特に、摺動層に対する)は、回避されうる。これは、上記胴部の十分な安定性を確保する。
上記伸張制動機(即ち、特に張力要素)と摺動層とは、1つの層に統合されうる。このことは、上記胴部の設計が簡単になり、製造が容易になることを意味する。伸張制動機と摺動層との統合は、長い手すりよりも引張力が一層弱い比較的短い手すりに特に適している。
好ましくはサンドイッチ構造として設計される上記胴部は、例えばゴム製手すりで一般的であるような手すりの動的挙動を可能にする。好ましくは、胴部であってその構造及び製造がゴム製手すり用の胴部に対応するものが、用いられうる。これは、半製品や生産プロセスの複雑さの増大が回避されうることを意味する。ゴム製手すりとの特に異なる点の1つは、熱可塑性エラストマー(TPE)が上記最上層に用いられうることである。上記被覆層は、標準的な製造プロセス(例えば、圧縮成形、鋳造、浸漬、散布、塗装、及び/又は押出成形)を用いて上記胴部に対して施与されうる。上記被覆層は、上記胴部の上側層に対して施与されうる。
別の実施形態において、胴部は、その胴部から突出する少なくとも1つの要素を有することができ、この要素は、上記被覆層の反対側の上記胴部の側に配置される。上記突出要素は、突出方向に先細になる要素として(例えば、楔として)設計されうる。更に、上記突出要素は、手すりがその上で案内される案内要素と接触するように設計されうる。その結果、上記案内要素上での手すりの案内を改善することができる。
上記胴部の表面は、コード又は繊維(例えば、カーボン、ポリアミド、ポリエステル)などの被覆された及び/又は処理された織物から構成されうる。可能な処理には、レゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム、イソシアネート、接着剤などのコーティングが含まれる。
透明な被覆層素材の場合、胴部は別の機能を持つ可能性がある。例えば、上記胴部は、手すりの動作状態(例えば、上記手すりの速度、温度)に応じて光信号を発する光源を備えうる。上記光信号は、透明な被覆層を通して見られうる。多数のLEDを上記胴部内に設けることができ、それらLEDは、例えばそれら光の色によって手すりの温度及び/又は速度を示す。更に、上記光源によって人の流れを制御することもできる。例えば、信号機と同様の光信号は、エスカレーターや動く歩道に乗るときに、手すりは待機している通行人に乗る許可の合図を送るように、使用されうる。また、上記手すりの移動方向を矢印等の模様で表示することも可能である。更に、光信号は、人々が動く歩道やエスカレーター上で関係する距離規則を遵守するために守るべき間隔を指示すために用いられうる。上記の機能のために、上記手すりは、利用者に転送するために対応する情報を記録するセンサーを有しうる。更に、上記手すりは、上記センサーから得られた情報に基づいて光源を制御するように設計された制御ユニットを有しうる。それらは、温度センサー、及び/又は、動きセンサーでありうる。
上記被覆層の材料の厚さは、手すりの計画された用途に依存してよい。材料の厚さは、数マイクロメートルから12mmの範囲内にあることが好ましい。これに関連して、上記手すりは、環境要因(例えば、紫外線曝露、オゾン曝露、大きな温度変動など)に対する耐性という点で所望の特性を備え、且つまた、十分に柔軟であり、駆動ローラーの半径が小さくても効率的に使用されることが示されている。被覆層の材料厚さと手すりの曲げ半径との比は、0.005~0.0125の範囲にあることが好ましい。この領域において、手すりの縦方向及び横方向の剛性と柔軟性との間に最適な比率があることが判明した。これは、手すりを駆動するのに必要なエネルギーを最小限に抑えながら、手すりが駆動ローラー及び案内ローラー上で安全に案内されうることを意味している。この場合、曲げ半径は、手すりが損傷なく(即ち、塑性変形なく)、且つ手すりの耐用年数を縮めることなく、100°~270°の巻き角で巻き付けることができる仮想円の半径である。これは、コンパクトな動く歩道やエスカレーターで手すりを用いる場合に、非常に小さな案内ローラーや駆動ローラーがよく用いられるので、特に重要である。上記被覆層は、エスカレーターや動く歩道を使用するときに利用者に安全で快適な支えを提供できる。上記被覆層の材料厚さと手すりの曲げ半径との上記の比は、0.005~0.0075の範囲にあることが好ましい。これに関連して、特に効率的な操作が、C字形状断面の手すりを用いることで実現できる。何故なら、手すりの形状が安定性を高め且つより薄い被覆層が効率的な運用を保証するからである。
熱可塑性エラストマー(TPE)は、室温で従来のエラストマーと同様に振舞う特殊なプラスチックであるが、熱が加えられると塑性変形する可能性があり、従って熱可塑性の挙動を示す。他のエラストマーは、例えば、化学的に広い網目で架橋された空間的網状の分子が含む。そのようなエラストマーの架橋は、材料を分解することなく溶解される可能性はない。対照的に、熱可塑性エラストマーは、弾性ポリマー鎖が熱可塑性材料に組み込まれた材料でありうる。これは、熱可塑性エラストマーを、高せん断力、加熱、その後の冷却の組み合わせを含む純粋な物理的プロセスにおいて処理されことを可能にする。時間を要し且つ温度に敏感な加硫を含む化学的架橋は、他のエラストマーのように必要ではないが、熱可塑性エラストマーは、その特殊な分子構造のせいでゴム弾性特性を示しうる。従って、被覆層の曲げ抵抗は低減されうる。熱可塑性エラストマーは、いくつかの領域において物理的な架橋点(二次原子価力又は微結晶) を有し、加熱されると高分子分解なしに溶解する。従って、熱可塑性エラストマーは、他のエラストマーよりも加工がはるかに容易である。これは、被覆層が、手すりの使用後も容易にリサイクルされうることを意味し、手すりの全体的なライフサイクル評価を向上させる。
上記手すりは、例えば、手すりの表面を継続的に清掃する動く歩道やエスカレーターで用いられうる。これは、耐性のある被覆層によって実現されうる。これは、本発明による手すりの長い耐用年数は、たとえ手すりが継続的に清掃されたとしても、維持できることを意味する。特にCovid-19のパンデミックの状況において、手すりの表面は、ウイルスや細菌による汚染を軽減するために、継続的なUV光源で処理されうる。そのような清掃装置はエスカレーターの帰還部において用いられうる。
従って、本発明は、手すりが設けられたエスカレーターや動く歩道の効率的な運用を可能にしながら、環境要因に対する耐性が高い手すりを提供することができる。この特性は、熱可塑性エラストマーを含む被覆層と組み合わた胴部を用いることによって達成されうる。この組み合わせの効果は驚くべきものである。何故なら、熱可塑性エラストマーで作られた被覆層が、本質的に高い安定性を備えているために、実際には安定化(例えば胴部による)を必要としないからである。胴部は、通常、手すりに必要な安定性を与えるために、柔らかい又はゴム様の被覆層のためにのみ必要である。
好ましくは、熱可塑性エラストマーはポリウレタンを含んでいる。
ポリウレタンは、ポリイソシアネートとポリオールの選択に応じて、異なる特性を持つことができる。ポリウレタンは、被覆層の抵抗を高めるために、未発泡状態で用いられうる。ポリウレタンの密度は、1000~1250kg/mの間で変化しうる。このようにして、最上層に必要な安定性が達成されうる。更に、ポリウレタンは、胴部との良好な接着特性を備えうるため、胴部に施与されると有利になる。ポリウレタンはまた、溶剤、化学薬品、風化に対する耐性に優れている。
本発明の1実施形態において、少なくとも中央領域において1.5~3.5mmの材料厚さを有するポリウレタン被覆層が提供される。上記被覆層は、75~85ShAのショア(Shore)硬度を有しうる。ショア硬度は、ISO48-4:2018に従って測定されうる。この場合、上記手すりの横方向剛性は、ゴム製手すりに比べて20%以上高められうる。特に、上記被覆層は、端部区間でにおいても中央領域と同じ材料厚さを有しうる。これにより、端部区間の剛性を高めることができ、運転中に手すりが案内要素から抜け出るのを防ぐことができる。更に、上記手すりはポリウレタンを用いているため柔軟性が高いため、縦方向の剛性は、同等の樹脂製手すりに比べて40%以上低減されうる。これにより、手すりを運転する際の損失が少なくなり、より効率的な運転が可能となる。
好ましくは、上記胴部は、上記被覆層に面する一次層と上記手すりの輪郭方向に延在する引張要素とを有している。
上記一次層は、上記胴部の上側層でありうる。上記一次層は、上記被覆層に直接接続されうる。従って、上記一次層は、上記被覆層と上記胴部との間の接続部を形成するように設計されうる。上記一次層は、織物で作成されうる。この場合、上記一次層は、上記胴部全体の安定性に貢献しうる。好ましくは、上記一次層は、TPE及び/又はゴム(例えばゴム複合製品)を含む。この場合、5N/mm以上の粘着力が得られる。更に、容易に入手可能な標準的な半製品(例えば、ゴム製手すりの製造に用いられる種類のもの)が、上記胴部の製造に使用されうる。これは、手すり生産の効率性及び有効性が高いレベルで維持されうることを意味する。
上述の物質による一次層の処理への追加又はその代替として、上記一次層は、上記被覆層に面するその上側面を粗くされうる。上記肌理は、定義された粗さで作成できる。例えば、上記肌理は、刻み目(窪み)及び/又は穴を含みうる。これは、胴部と被覆層の間の接着力に対して、さらなるプラスの効果を持つ可能性がある。
更に、上記一次層は、ゴム引き織物でありうる。このゴム引き織物は、上記一次層の内部安定性を高めるために加硫されうる。更に、このゴム引き織物は、胴部に対する被覆層の信頼性の高い接着を確保するために、接着促進物(例えば、上記仕上げ面の1つ又はそれらの組み合わせ)を有しうる。ゴム引き生地は、また他の素材で膨潤させられうる。この目的のために、ゴム引き生地は、膨潤性材料を含みうるか、又は材料で膨潤されうる。これにより、胴部と最上層の間に信頼性の高い接続が提供される。ゴム引きの最上層を膨潤させるために用いられる物質 (特に溶媒) の選択は、ハンセン(Hansen)溶解度パラメータシステムを用いて最適化されうる。ハンセン溶解度パラメータは、3次元溶解度パラメータである。それらは、ロンドン相互作用から生じる分散成分(δD)、双極子相互作用からの成分(δP)、及び水素結合の成分(δH)を含む。好ましくは、その物質のパラメータδD、δP及びδHが、被覆層(被覆層は、例えばポリウレタンを含む場合)及び胴部(即ち、被覆層に面する胴部の最上層)の材料の溶解度パラメータの+/-4の範囲内にある物質が用いられる。これは、最上層と胴部との間の確実な保持を確保するように、幅広い膨潤性材料が利用可能であることを意味する。より好ましくは、用いられるべき物質の溶解度パラメータは、2つの溶解度パラメータの間にある。これに関連して、たとえ手すりが小さな半径のローラーの周りを案内されていたとしても、胴部と最上層との間の特に良好な把持が達成されることが判明した。更に、用いられるべき材料の溶解度パラメータは、胴部(例えば、胴部の最上層)の材料と被覆層の材料の平均値が、これら2つの材料の溶解度パラメータの差の±半分の範囲内にあることが好ましい。。この場合、被覆層がポリウレタンを含む場と、胴部と被覆層との特に良好な把持が達成されうる。
補強のために、上記一次層は、手すりの輪郭方向に対して直角に補強を提供する横方向補強材を有しうる。この横方向補強材は、繊維、コード、及び/又は織物を含みうる。これにより、案内要素上での手すりの確実な案内が保証される。
好ましくは、上記一次層はエラストマーで作られ、上記引張要素は上記一次層に埋め込まれている。
従って、上記一次層は、上記引張要素を完全に取り囲むエラストマー挿入物として形成されうる。この場合の利点は、半製品の加工が簡素化されることである。上記張力要素はまた、上記一次層から遮蔽又は保護されているので、上記手すりの他の要素への損傷をも防ぐ。例えば、上記引張要素と上記摺動層との間の接触は、上記摺動層を保護するための追加の層を設ける必要なしに効果的に防止されうる。
好ましくは、上記一次層は、上記手すりの輪郭方向に対して横方向の繊維強化材を有し、この繊維強化材は、好ましくは、ガラス、カーボン、ポリアミド、及び/又はポリエステルを含んでいる。
上述したように、これにより、上記一次層の、ひいては手すり全体の、横方向安定性が向上し、案内要素上で手すりを確実に案内することが可能になる。好ましくは、上記一次層は、両端部領域のみに上記繊維強化材を有する。これにより、特に上記端部領域が強化され得、横荷重に対する手すりの耐性を高くし、手すりが不用意に引き抜かれることを防止する。その結果、手すりは、案内要素、案内ローラー、及び駆動ローラー上で更に確実に案内されることができる。
好ましくは、上記一次層は、少なくとも上記被覆層に面する側に多数の穴を有している。
上記穴は、上記被覆層に面する一次層の側の刻み目でありうる。これは、胴部と被覆層との間の機械的接着を向上させる。更に、上記穴は、一次層を貫通する貫通穴であってもよい。これは、穴の作成を容易にし、手すりの製造工程の効率を向上させる。更に、既に上で述べた利点は、上記穴(上記一次層の肌理)によって達成されうる。
好ましくは、上記一次層は、ゴム引き布地、特に加硫布地から形成されている。上記一次層は、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム若しくはスチロールブタジエンゴム、及び/又は、ポリブタジエンゴムを含むことが好ましい。
加硫は、十分な安定性を有する安定した結合を形成することができる。更に、上記胴部全体が、上記一次層に加えて加硫されうる。これは、上記胴部の個々の構成要素が、互いに容易に結合されうることを意味する。上記一次層をCR(クロロプレンゴム)、NR(天然ゴム)、SBR(スチレンブタジエンゴム)、及び/又は、BR(ポリブタジエンゴム)で処理することは、特に上記被覆層がポリウレタンを含んでいる場合に,上記胴部と上記被覆層との間に良好な接着を与える。更に、そのような胴部又は一次層は、構造的調整をすることなく、既存の工作機械で製造若しくは加工されうる。これは、手すりの製造が非常に簡単で費用効果が高いことを意味する。
好ましくは、上記一次層は、上記被覆層に面する側に表面肌理(特に、輪郭方向及び/又は輪郭方向に対して横方向に刻み目)を有する。
上記表面肌理は、被覆層に面する一次層の表面を粗くされた肌理でありうる。例えば、刻み目、隆起領域、又はこれら2つの組み合わせを設けることができる。上記刻み目は、一次層の表面肌理の一例である。上記刻み目は、細長い刻み目の形態(例えば、1又は複数の溝の形態)を取りうる。隆起領域は、材料の突起の形状をして一次層から突き出うる。輪郭方向に沿って力が生じた場合に、被覆層の胴部に対する接着を確実にするために、手すりの輪郭方向を横切る細長い刻み目及び/又は隆起領域を一次層に設けることができる。追加又は代替として、輪郭方向に対して横方向に力が作用した場合に、被覆層の胴部への接着を確実にするために、一次層の輪郭方向に刻み目を設けることができる。好ましくは、上記刻み目は、輪郭方向に対して0°より大きく90°より小さい角度で傾斜している。この場合、最上層の胴部へ接着は、輪郭方向に対して横方向に及び輪郭方向に沿って力が作用する場合にも、確保されうる。上記刻み目はまた、輪郭方向に対して30°から60°の間の角度を有することが好ましい。これに関連して、たとえ手すりが半径400mm未満で偏向(例えば、駆動ローラーによって)されたとしても、被覆層の胴部への最適な接着が達成されることが判明した。
好ましくは、上記一次層は、上記被覆層に面する側に接着促進物、特にポリウレタンに優しい仕上げ面を有する挿入体を有する。
接着促進物は、不混和性の物質間の界面に緊密な物理的又は化学的結合を形成する物質である。これは、たとえ被覆層と胴部が異なる素材で作られていたとしても、被覆層が胴部に効果的に取り付けられうることを意味する。特に、一次層は、レゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム、イソシアネート、及び/又は接着剤を含んでいてもよい。好ましくは、一次層は、被覆層と胴部との間に5N/mm以上の接着力(剥離強度又は粘着力としても知られる)を提供する仕上げ面を有している。これは、最上層と胴部が、手すりの耐用年数にわたって確実に接着されることを保証する。特に、胴部は、レゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL)、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム及び/又はイソシアネート、又は接着剤で処理されうる。この場合、特にポリウレタン被覆層は、胴部に有利に取り付けられうる。上述のコーティングのいずれか1つが用いられるならば、被覆層と胴部との間のに少なくとも5N/mmの接着力が達成されうる。これは、高レベルの環境ストレスにさらされる手すりに対してであっても、胴部と被覆層との間で確実な把持を保証する。更に、化学反応性の「ホットメルトフィルム(hot melt film)」が、胴部と被覆層の間に接着力を作り出すために用いられうる。上記フィルムは、被覆層に面する胴部の側に設けられ、胴部及び被覆層と一緒に加硫されうる。このフィルムは、溶剤を含まず且つ材料価格が安いという利点がある。また処理も早くて簡単である。これは、異なる複数の材料が、容易に接合されうることを意味する。
好ましくは、手すりは、案内要素と接触できるように、胴部に配置された摺動層を有する。
言い換えれば、上記摺動層は、周囲に面する(即ち、他の層によって覆われていない)ように手すりに設けらることができ、その結果、案内要素上に配置されうる。上記摺動層は、胴部上に設けられることが好ましい。これにより、被覆層を完成した胴部に取り付けるだけで済むので、作業段階が簡素化される。既述のように、上記摺動層は、手すりと案内要素との間の摩擦を低減することができ、その結果、手すりの効率的な運用が可能となる。上記摺動層は、引張要素が上記摺動層と被覆層との間に位置するように手すり上に配置されうる。
好ましくは、上記胴部は、二次層を備えており、上記引張要素は上記一次層と上記二次層との間に挿入される。。
上記二次層は、上記一次層と同じ方法で設計されうる。これは、手すりに対称的な曲げ荷重分布を与え、手すりの全体的な耐用年数を延長させる。それにもかかわらず、上記二次層は、上記一次層から例えば別の層(例えば、引張要素)によって分離された別個の層であってもよい。上記二次層はまた、摺動層を引張要素との直接接触から保護することもできる。これは、摺動層の耐久性を確実にする。
好ましくは、一次層及び/又は上記二次層は、織物構造又はベルト構造を含む。
これは、上記一次層及び/又は上記二次層の強度を高めうる。特に、手すり全体の引張強度が増大させられうる。それにも関わらず、上記織物又はベルト構造は十分な弾性を提供でき、手すりは、運転中にほとんどエネルギーを消費せずに、上記案内要素及び/又は上記案内若しくは駆動ローラーに適合されうる。
好ましくは、上記引張要素は、鋼、アラミド、ガラス繊維及び/又は炭素繊維を含む。
従って、引張強度の高い手すりの提供が可能であり、その結果、非常に長い手すりさえも用いることが可能になる。アラミド、ガラス繊維及び/又は炭素繊維は、比較的軽量であるという更なる利点を有し、これは手すり運行の全体的な効率を向上させる。更に、これらの材料は、胴部との加工が容易であるため、手すりの製造が簡略化されうる。
本発明の別の態様によれば、手すり(特に、先行請求項のいずれか1項に記載の手すり)の製造方法が提供され、この方法は以下の工程:胴部を提供すること、及び圧縮成形、鋳造、浸漬、塗装及び/又は押出によって上記胴部に被覆層を施与すること、ここで、上記被覆層は熱可塑性エラストマーを含む、を包含している。
これは、既存の胴部が手すりを製造するために用いられうることを意味する。換言すれば、上記胴部は別個に製造されうる。上記胴部は、例えば、供給ロールからそれを巻き戻すことによって提供されうる。これにより、上記胴部の保管が容易になる。胴部は完全加硫状態で供給可能である。その後、上記胴部は送り込み(infeed)装置に供給されうる。上記送り込み装置は、上記胴部に事前に張力を与える。これは、上記被覆層を正確に施与することを不可能にするところの、胴部のたるみ(sagging)を防止する(即ち、上記被覆層の材料厚さの望ましくない変動が、防がれうる)。その後、上記胴部は、予熱器内に供給されうる。上記胴部は、その後の押出中に押出された材料が急激に冷えないように予熱されうる。これは、被覆層と胴部との間の材料結合が必要な接着力を持たなくなることを意味する。この工程により、被覆層と胴部との間の少なくとも5N/mmの接着力が達成されうる(この点に関し上述のコメントも参照)。その後、上記胴部は、押出機に供給されうる。上記押出機は、上記胴部の断面全体にわたり上記被覆層を作るために、十字押出ヘッドを備えうる。更に、上記被覆層の所望の材料厚さを達成するために、上記被覆層を実際に押し出す前に、熱可塑性エラストマーの上記押出機への供給速度が上記胴部の供給速度の関数として設定できるように、上記押出機は校正可能である。上被覆層が胴部に施与されると、このようにして形成された手すりは、冷却槽内に送り込まれる。次に、手すりは、上記被覆層の表面を滑らかで清潔にするためビードリムーバ内で処理されうる。この後、上記手すりがドラム巻き取り機に巻き取られる前に、フィルム施与段階、及び/又は、ラベル貼り付け段階が続く。
上記装置の全ての機能と利点は、上記方法にも同様に適用され、その逆も同様である。夫々の機能は、それら機能に関連する複数の利点を統合するために他の機能と組み合わせられうる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の1実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の或る別の実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の或る別の実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の或る別の実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の或る別の実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の或る別の実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の或る別の実施形態による手すりの概略の斜視図である。 本発明の1実施形態による手すりの輪郭方向を横断する概略の断面図である。 本発明の1実施形態による手すりの輪郭方向を横断する概略の断面図である。 本発明の1実施形態による手すりの輪郭方向を横断する概略の断面図である。 本発明の1実施形態による手すりの輪郭方向を横断する概略の断面図である。
図1は、本発明の1実施形態に係る手すり1の概略の斜視図である。図1においては、手すりの1つの層が、図を簡略化するために切り取られている。
手すり1は、胴部(carcass:カーカス)2と、それに取り付けられた被覆層3とを備えている。胴部2は、張力を吸収するための引張要素6、一次層4、及び摺動層9を備えている。手すり1は、輪郭方向Cに延在している。手すり1の輪郭方向Cに対して横断する断面は、ほぼ一定である。これにより、手すり1を輪郭方向Cに動かす(即ち、案内し且つ駆動する)ことができる。本実施形態において、引張要素6(張力部材としても知られる)は鋼製である。しかし、それは、手すり1の重量を軽減するために、アラミド、ガラス繊維、又はカーボンで作製されることも可能である。引張要素6は、一方で手すりに構造的安定性を与えるとともに、他方で手すりにかかる引張力を吸収及び伝達するように機能する。摺動層9は、案内要素(図示せず)と接触するように設計されている。案内要素は、手すり1が設けられるエスカレータ又は動く歩道の案内レール、案内ローラ、及び/又は駆動ローラであってもよい。一次層4は、牽引要素6を覆い、特に胴部に一定の体積を与えるように設計されている。このことは、一次層4の体積(即ち寸法)を変えることによって、手すり1を必要な寸法に適合させることができることを意味する。対照的に、被覆層3の体積を変えることは、狭い制限内でのみ可能である。もし被覆層3の厚さが厚過ぎると、手すり1全体が非常に硬くなってしまう。これにより、手すり1を駆動するのに必要なエネルギーが増加することになる。更にこれにより、輪郭方向Cと直交する手すりの正及び負の曲げ方向において曲げ抵抗が変化することになり、手すり1の動作中に不都合が生じることになる。被覆層3は、熱可塑性エラストマーを含み、これにより手すり全体が環境要因に対して非常に耐性が高くなる。更に、輪郭方向Cを横断する手すり1の輪郭(即ち断面)において、手すり1は平坦な中央領域12と2つの湾曲した端部領域13を有する。従って、手すり1の断面はC字形状である。端部領域13は、手すり1の輪郭の重心を通る軸に関して対称である。明瞭化のために、端部領域13及び中央領域12は、以下の図においてはラベルを付けられていない。
図2は、本発明の別の実施形態による手すり1の概略の斜視図である。 図2に示された手すり1は、図1に示された手すり1とは、一次層4が表面肌理8を有する点で異なる。表面肌理8は、被覆層3と胴部2との間の接続を改善しうる。その結果、手すり1は、全体として長い耐用年数を有しうる。本実施形態において、表面構造は、輪郭方向に延在し且つ輪郭方向Cを横断する8つの細長いくぼみを含む。くぼみの一部は直線であり、一部は湾曲している。これは、被覆層3と胴部2との間の接着力をさらに高めうる。このようにして、本実施形態においては、被覆層3と胴部2との接着力が、機械的手段により高められている。
図3は、本発明の別の実施形態による手すり1の概略の斜視図である。 図3に示された手すり1は、図1及び図2に示された手すり1とは、一次層が、被覆層3と胴部2との間の接着力を高める仕上げ面10を有する点で異なっている。これは、少なくとも5N/mmの接着力が達成されるように、被覆層3の熱可塑性エラストマーと相互作用する少なくとも1つの物質を一次層に施与することによる化学結合によって達成される。本実施形態において、一次層4は、少なくとも被覆層3に面する側にレゾルシノールホルムアルデヒドラテックス(RFL)を有する。更に別の実施形態において、一次層4は、ポリ塩化ビニル(PVC)、熱可塑性エラストマー(TPE)、ゴム及び/又はイソシアネート又は接着剤を含む。このようにして、本実施形態においては、化学的手段により被覆層3と胴部2との接着力を高めている。 特に、上述した機械的手段との組み合わせは、接着力を更に高める上で有利である。
図4は、本発明の別の実施形態による手すり1の概略の斜視図である。図4に示された手すり1は、一次層が胴部2と被覆層3との間の接着力を増大させるための穴7を有する点で、前述の実施形態とは異なっている。穴7は、被覆層3と胴部2との間の接着力を高めるために、機械的手段を使用する別の例を表している。
図5は、本発明の別の実施形態による手すり1の概略の斜視図である。図5に示された手すり1は、引張要素6が一次層4に埋め込まれている点において、前述の実施形態とは異なっている。一次層はエラストマーを含んでいる。好ましくは、一次層は、全体がエラストマーから形成されている。従って、一次層4は、被覆層3との高い接着力を有し、且つ引張要素6と一緒に有利に製造することができる。別の実施形態において、一次層4は、繊維、コード、及び/又は、織物を備えた横方向の補強材を有している。これにより、特に輪郭方向Cに対して横方向に作用する力に関して、手すり1の強度が増大する。
図6は、本発明の別の実施形態による手すり1の概略の斜視図である。図6に示された手すり1は、一次層4が輪郭方向Cに対して横方向の繊維強化材11を有する点において、前述の実施形態と異なっている。上記実施形態におけると同様に、これは、変形に対する手すり1の抵抗を増大させる。従って、手すりは、案内要素上を特に確実に案内されうる。本実施形態いおいて、一次層4の繊維強化材11はガラス繊維を含んでいる。図示されていない別の実施形態において、繊維強化材11は、炭素繊維、ポリアミド繊維、及び/又は、ポリエステル繊維を含んでいる。
図7は、本発明の別の実施形態による手すり1の概略の斜視図である。図7に示された手すり1は、二次層5が胴部2内に設けられている点で前述の実施形態とは異なっている。二次層は、引張要素6が一次層4の間に挿入されるように設けられている。このようにして、本実施形態の胴部2は、一次層4、二次層5、引張要素6、及び摺動層9から形成されている。
二次層5は、一次層2と同じ方法で設計されうる。特に、二次層5は、図2~4に示された実施形態の一次層4の他の特徴を有しうる。従って、二次層5は、上述の仕上げ面10、繊維強化材11、及び/又は、表面肌理8を有しうる。
図8は、本発明の1実施形態による手すり1の輪郭方向Cを横断する概略の断面図である。手すり1は、図1に示された手すり1に本質的に対応する。図8は、胴部2を概略的にのみ且つ簡略化された形で示している。図8はまた、中央領域12及び隣接する2つの端部領域13を示している。本実施形態においては、被覆層3は、胴部2の片側面上で胴部2を完全に覆っている。
図9は、本発明の別の実施形態による手すり1の輪郭方向Cを横断する概略の断面図である。図9に示された手すり1は、本質的に図8に示された手すり1に対応するが、本実施形態の手すり1が胴部2から案内要素に向かって突出する楔14を有する点が異なる。これにより、楔14が案内要素と係合し、案内要素による手すり1の案内が改善される。更に、手すり1の端部区間13にかかる横方向の荷重を軽減することができ、端部区間13の凹凸を少なくすることができる。楔14は、胴部2と同じ材料で作られうる。
図10は、本発明の別の実施形態による手すり1の輪郭方向Cを横断する概略の断面図である。図10に示された手すり1は、本質的に図8に示される手すり1に対応するが、本実施形態の手すり1は、胴部2の上に多数の湾曲部が設けられた被覆層3を有する点が異なる。この実施形態においては、手すり1はまた、輪郭方向Cに沿って一定の断面を有している。従って、湾曲部は、輪郭方向に沿って帯状に延在している。これにより、使用者が把持する被覆層3の表面は、粗くされた表面を持ちうる。
図11は、本発明の別の実施形態による手すり1の輪郭方向Cを横断する概略の断面図である。図11に示された手すり1は、本質的に図8に示された手すり1に対応するが、本実施形態の手すり1は、輪郭方向Cに対して横断する断面において胴部2上の所々にのみ設けられている被覆層3を有する点が異なる。被覆層3は、胴部2上の突起部又は湾曲部として中央領域12の2点で設けられる。被覆層3が胴部2と同じ高さの又は平坦な表面を形成し、使用者が掴むことができるように、被覆層3は胴部上の(特に端部領域13における)更に4つの点で存在する。本実施形態において、環境に曝された胴部2の表面の半分以上が被覆層3によって覆われている。従って、被覆層3の材料を節約しつつ、手すり1の環境要因に対する高度の耐性を達成することができる。
更に、別の実施形態を形成するために、個々の実施形態を互いに組み合わせることができる。
1 手すり
2 胴部
3 被覆層
4 一次層
5 二次層
6 引張要素
7 穴
8 表面肌理
9 摺動層
10 仕上げ面
11 繊維補強材
12 中央領域
13 端部領域
14 楔
C 輪郭方向

Claims (15)

  1. 動く歩道、エスカレータなどの案内要素上に取付け可能な手すり(1)であって、前記手すり(1)は、その輪郭方向(C)に沿ってほぼ一定の断面を有し、前記手すり(1)は、
    前記案内要素上に配置されうる胴部(2)、及び
    前記胴部(2)上に配置された被覆層(3)を備え、前記被覆層(3)は熱可塑性エラストマーを含む、手すり(1)。
  2. 前記熱可塑性エラストマーは、ポリウレタンを含む、請求項1に記載の手すり(1)。
  3. 前記胴部(2)は、少なくとも3つの異なる層を備え、且つ前記手すり(1)に、前記輪郭方向(C)に沿う安定性、及び前記輪郭方向(C)に対する横方向への安定性を与えるように設計される、請求項1~2のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  4. 前記胴部(2)は、前記被覆層(3)に面する一次層(4)、及び前記手すり(1)の輪郭方向(C)に延在する引張要素(6)を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  5. 前記一次層(4)は、エラストマーから形成され、且つ前記引張要素(6)は、前記一次層(4)に埋め込まれる、請求項4に記載の手すり(1)。
  6. 前記一次層(4)は、前記手すり(1)の前記輪郭方向(C)に対して横方向の繊維補強材(11)を有し、前記繊維補強材(11)は、好ましくは、ガラス、カーボン、ポリアミド、及び/又は、ポリエステルを含む、請求項4叉は5のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  7. 前記一次層(4)は、少なくとも前記被覆層(3)に面する側に多数の穴(7)を含む、請求項4~6のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  8. 前記一次層(4)は、ゴム引き布地、特に加硫布地から形成され、
    且つ前記一次層(4)は、クロロプレンゴム、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、及び/又は、ポリブタジエンゴムを含む、請求項4~7のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  9. 前記一次層(4)は、前記被覆層(3)に面する側に表面肌理(8)、特に前記輪郭方向(C)に刻み目、及び/又は前記輪郭方向(C)に対して横方向に刻み目を有する、請求項4~8のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  10. 前記一次層(4)は、前記被覆層(3)に面する側に接着促進物、特にポリウレタンに優しい仕上げ面を有する挿入体、を有する、請求項4~9のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  11. 前記手すり(1)は、前記案内要素と接触できるように前記胴部(2)上に配置された摺動層(9)を備える、請求項1~10のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  12. 前記胴部(2)は、前記引張要素(6)が前記一次層(4)と前記二次層(5)との間に挿入されるように二次層(5)を備える、請求項4~11のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  13. 前記一次層(4)及び/又は二次層(5)は、織物構造又はストリップ構造を含む、請求項4~12のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  14. 前記引張要素(6)は、鋼、アラミド、ガラス繊維及び/又はカーボン繊維を含む、請求項4~13のいずれか1項に記載の手すり(1)。
  15. 手すり(1)、特に請求項1~14のいずれか1項に記載の手すり(1)、を製造する方法であって、以下の工程:
    ‐ 胴部(2)を提供すること、
    ‐ 前記胴部(2)に対する、圧縮成形、鋳造、浸漬、塗装及び/又は押出成形による被覆層(3)を施与すること、ここで、前記被覆層(3)は熱可塑性エラストマーを含む、
    を包含する前記方法。
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