JP2024518433A - 化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防及び治療 - Google Patents

化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防及び治療 Download PDF

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Abstract

本開示は、メテオリン、ならびに化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防及び/または治療におけるその使用に関する。化学療法剤による治療の結果として生じる神経障害性疼痛は、患者にメテオリンを投与することにより治療することができる。メテオリンはまた、化学療法剤による治療の結果として神経障害性疼痛が発生することを防ぐために予防的治療に用いることもできる。【選択図】なし

Description

本発明は、メテオリン、ならびに化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防及び/または治療におけるその使用に関する。
がんは、世界中の主要な死因の1つであり、新規の化学療法戦略を実施するための多大な努力にもかかわらず、これらの疾患は依然として主要な健康上の懸念であり、毎年何百万もの新たな症例が報告されている。
化学療法による治療はがん生存率の改善につながるが、重篤な副作用の原因となることも多く、がん患者の生活の質を大幅に低下させる。
白金系薬剤、タキサン、及びビンカアルカロイドなどの重要な抗がん剤は、末梢神経系に神経毒性を引き起こし、それによってアロディニア、痛覚過敏、及び自発痛などの症状を伴う神経障害性疼痛を引き起こすことが知られている。化学療法誘発性神経障害性疼痛(CINP)は、化学療法の最も重篤な副作用の1つである。CINPは、治療の中止後何年も続く可能性がある副作用を伴う長期にわたる不快感を患者にもたらし、がん生存者の生活の質を低下させる。したがって、化学療法誘発性神経障害及び疼痛は、抗がん剤の最も頻度の高い非血液学的用量制限副作用である。高すぎる用量では、副作用が、それを投与された人に耐えられないものとなり、一方、低用量では、根底にあるがん/疾患の効果的な治療が得られない。その結果、多くの抗がん剤の効力は、ほとんどの患者にとって副作用が許容できる用量では最適ではない。したがって、化学療法治療のCINP症状は、化学療法用量の減少または治療の中止につながる可能性があり、その結果として生存率の低下につながる。
化学療法誘発性神経障害性疼痛を予防または治療するための安全かつ効果的な治療法は、依然として、承認された治療法が存在しない、アンメットな臨床的ニーズである。ガバペンチン、三環系抗うつ薬、及びオピオイドなどの慢性疼痛状態に対して通常使用される薬剤は、有効性が低く、多くの副作用を伴う。
したがって、化学療法誘発性神経障害性疼痛を治療するための、好ましくは副作用がない、または軽微な副作用しかない、患者の全般的な健康に影響を及ぼさない予防的及び治療的戦略が非常に必要とされている。
メテオリンは、ニューロンの生存因子であることがこれまでに実証されている内因性タンパク質である(WO2005/095450)。WO2012/041328には、神経損傷の動物モデルにおける知見に基づいた、アロディニア、痛覚過敏、自発痛、及び幻肢痛の治療のためのメテオリンの使用が記載されている。
本開示の発明者らは、驚くべきことに、化学療法治療の前に、それと同時に、またはそれと間欠的にメテオリンを投与すると、化学療法誘発性神経障害性疼痛(CINP)が予防されることを見出した。したがって、化学療法と併せてメテオリンを投与することで、CINPを予防することができる。CINPは化学療法の重篤な副作用であり、その症状は、患者に長期にわたる不快感をもたらすことに加えて、化学療法剤の投与量の減少または治療の中断を余儀なくさせる可能性もあり、結果として生存率の低下につながる。したがって、本発明は、神経障害性疼痛の発生リスクが低減された、より高用量の化学療法剤の使用を可能にすることにより、がん治療を改善するための手段を提供する。
一態様において、本発明は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療または予防に使用するための単離されたポリペプチドであって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドに関する。
第2の態様において、本発明は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療または予防に使用するための単離された核酸分子であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列、
b.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、単離された核酸分子に関する。
さらなる態様において、本発明は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療または予防に使用するためのベクターであって、請求項1~6のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、ベクターに関する。
さらなる態様において、本発明は、後根神経節におけるグルタミンシンテターゼ発現の減少を必要とする対象において、後根神経節におけるグルタミンシンテターゼ発現を減少させるための方法であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列、
b.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与し、
それにより後根神経節におけるグルタミンシンテターゼの発現を減少させることを含む、方法に関する。
さらなる態様において、本発明は、後根神経節におけるコネキシン43発現の減少を必要とする対象において、後根神経節におけるコネキシン43発現を減少させるための方法であって、
a.配列番号3のアミノ酸配列、
b.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与し、
それにより後根神経節におけるコネキシン43の発現を減少させることを含む、方法に関する。
試験デザインの予防パラダイム。rmメテオリン0.5mg/kgまたは1.8mg/kgを、1、3、5、7、及び9日目(D1、D3、D5、D7、及びD9)に皮下投与した。パクリタキセルを、2、4、6、及び8日目(D2、D4、D6、及びD8)に腹腔内投与した。パクリタキセル(PTX);腹腔内(i.p.);皮下(s.c.);脊髄(SC);後根神経節(DRG)。 メテオリンは、成体C57Bl6Jマウスにおけるパクリタキセル誘発性機械的過敏症を予防する。後肢の足引込み閾値(PWT)を、ベースライン(BL)で、次いで57日目まで実験期間を通して定期的に、von Freyフィラメントを使用して測定した。パクリタキセル治療の前に、0.5mg/kg(灰色四角)または1.8mg/kg(黒三角)のrmメテオリン(MTRN)またはビヒクル(n=8群)(白色円)の皮下注射を行い、次いで矢印で示されるように各治療の次の4回の追加注射を行った。機械的過敏症の発生は、ビヒクル処理と比較して、rmメテオリン(0.5mg/kg及び1.8mg/kg)によって実質的に予防された。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001、****p<0.0001対ビヒクル(分散分析混合効果モデルに続いてTukey事後検定)。データは平均±SEMとして示す。 メテオリンは、パクリタキセル誘発性の、サテライトグリア細胞密度の上昇及びギャップ結合形成を予防する。 雌マウスに、パクリタキセル(4mg/kg、腹腔内)を隔日で4日にわたり2、4、6、8日目に投与し、それと交互に1、3、5、7、9日目にrmメテオリン(0.5mg/kgまたは1.8mg/kg、皮下)またはビヒクルを注射した(図1に示すとおり)。24日目にマウスを屠殺し、後根神経節(DRG)組織を摘出し、ペリフェリン(神経細胞体の同定に使用-図示せず)、グルタミンシンテターゼ(GS)、及びコネキシン43(Con43)に対する抗体を用いて免疫組織化学的処理を行った。平均灰色強度(MGI)を、μm当たりの各抗体ごとの特異的染色の関数として表した。*p<0.05、**p<0.01対ビヒクル(一元配置分散分析及びTukey多重比較)。データは平均±SEMとして示す。 先制メテオリン治療は、パクリタキセル誘発性の後肢表皮内神経線維の喪失を防止する。雌マウスに、パクリタキセル(4mg/kg、腹腔内)を隔日で4日にわたり2、4、6、及び8日目(D2、D4、D6、及びD8)に投与し、それと交互に1、3、5、7、及び9日目(D1、D3、D5、D7、及びD9)にrmメテオリン(0.5mg/kgまたは1.8mg/kg、皮下)またはビヒクルを注射した。PGP9.5発現を、基底膜の通過が見られたIENF(矢印)の数から計算される表皮内神経線維(IENF)密度を計算するための特異的マーカーとして用い、表皮の幅(mm)に対して正規化した。*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001(一元配置分散分析(対ビヒクル)及びTukey多重比較)。データは平均±SEMとして示す。 試験デザインの治療パラダイム。パクリタキセルを、2、4、6、及び8日目(D2、D4、D6、及びD8)に雄及び雌のマウスの別々のコホートに腹腔内投与した。rmメテオリン0.5mg/kgまたは1.8mg/kgを、10、12、14、16、及び18日目(D10、D12、D14、D16、及びD18)に皮下投与した。パクリタキセル(PTX);腹腔内(i.p.);皮下(s.c.);脊髄(SC);後根神経節(DRG)。 メテオリンは、成体C57Bl6Jマウスにおけるパクリタキセル誘発性機械的過敏症を逆転させる。 図5の試験プランに従って、雄及び雌のマウスの別々のコホートに、4mg/kgのパクリタキセル(PTX)を隔日で腹腔内注射し、累積投与量を16mg/kgとした(灰色ボックス)。PWTを、ベースライン(BL)で、次いで54日目まで実験期間を通して定期的に、von Freyフィラメントを使用して測定した。パクリタキセル治療の後に、矢印によって示される時点で、0.5mg/kg(灰色四角)または1.8mg/kg(黒三角)のrmメテオリン(MTRN)またはビヒクル(n=各姓8群)の反復皮下注射を5回行った。 雄及び雌の治療群についてデータを組み合わせた。機械的過敏症は、ビヒクル治療と比較して、rmメテオリン治療(0.5mg/kg及び1.8mg/kg)により軽減され、より速やかに消失した。*p<0.05;**p<0.01;***p<0.001、****p<0.0001対ビヒクル(分散分析混合効果モデルに続いてTukey事後検定)。データは平均±SEMとして示す。 メテオリンは、パクリタキセル誘発性の、サテライトグリア細胞密度の上昇及びギャップ結合形成を逆転させる。 雌マウス(上部パネル)または雄マウス(下部パネル)に、パクリタキセル(4mg/kg、腹腔内)を隔日で4日にわたり2、4、6、8日目に投与した。その後、rmメテオリン(0.5mg/kgまたは1.8mg/kg、皮下)またはビヒクルを、10、12、14、16、18日目(図5に示すとおり)に投与した。24日目にマウスを屠殺し、後根神経節(DRG)組織を摘出し、ペリフェリン(神経細胞体の同定に使用-図示せず)、グルタミンシンテターゼ(GS)、及びコネキシン43(Con43)に対する抗体を用いて免疫組織化学的処理を行った。平均灰色強度(MGI)を、μm当たりの各抗体ごとの特異的染色の関数として表した。*p<0.05、**p<0.01対ビヒクル(一元配置分散分析及びTukey多重比較)。データは平均±SEMとして示す。 メテオリンのCLUSTAL W(1.82)多重配列アラインメントを示す。ヒト(配列番号2)、ラット(配列番号8)、及びマウス(配列番号5)由来のメテオリン前駆体のアラインメント。 メテオリンのCLUSTAL W(1.82)多重配列アラインメントを示す。ヒト(配列番号3)、ラット(配列番号9)、及びマウス(配列番号6)由来の成熟メテオリンのアラインメント。 メテオリンのCLUSTAL W(1.82)多重配列アラインメントを示す。ヒト、マウス、及びラット配列で完全に保存された残基から生成された成熟メテオリンのコンセンサス配列(配列番号11)。Xは、DNAによりコードされた21個の天然に存在するアミノ酸のいずれかを表す。
定義
本明細書で使用される場合、「生体適合性カプセル」は、カプセルが、宿主哺乳動物に移植された場合に、カプセルの拒絶を生じるか、または例えば分解によってカプセルが作動不能に至るのに十分な有害な宿主応答を誘発しないことを意味する。
本明細書で使用される場合、「コード配列」は、転写及び翻訳されてポリペプチドになるポリヌクレオチド配列である。
本明細書で使用される場合、「発現ベクター」という用語は、それらが作動可能に連結されている遺伝子の発現を指示することが可能なベクターを指す。一般に、組換えDNA技法において有用な発現ベクターは、プラスミドの形態であることが多い。
本明細書で使用される場合、「免疫隔離カプセル」は、カプセルが哺乳動物宿主に移植された場合に、そのコア内の細胞に対する宿主の免疫系の悪影響を最小限に抑えることを意味する。
「哺乳動物プロモーター」とは、哺乳動物細胞内で機能することができるプロモーターを意図する。
本明細書で使用される「メテオリン」とは、任意の種、特に、チンパンジー、ウシ、ヒツジ、ブタ、マウス、ウマ、及び好ましくは、ヒトなどの哺乳動物から得られ、天然、合成、半合成、または組換え型の任意の供給源由来の実質的に精製されたメテオリンのアミノ酸配列を有するポリペプチドを指す。この用語はまた、これらの種のいずれかから得られたメテオリンの生物学的に活性なフラグメント、ならびに生物学的に活性なそれらの配列バリアント及び翻訳後修飾を受けたタンパク質も指す。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結された」という用語は、目的のヌクレオチド配列が、ヌクレオチド配列の発現を可能にする様式で(例えば、in vitro転写/翻訳系において、またはベクターが宿主細胞に導入される場合は宿主細胞において)、組換え発現ベクター内の調節配列(複数可)に連結されていることを意味することが意図されている。
本明細書で使用される場合、「調節配列」という用語は、プロモーター、エンハンサー、及び他の発現制御エレメント(例えば、ポリアデニル化シグナル)を含むように意図される。
「配列同一性」:高レベルの配列同一性は、第1の配列が第2の配列に由来する可能性を示す。アミノ酸配列同一性は、2つのアラインメントされた配列間で同一のアミノ酸配列を必要とする。したがって、参照配列と70%のアミノ酸同一性を共有する候補配列は、アラインメント後、候補配列中のアミノ酸の70%が参照配列中の対応するアミノ酸と同一であることを必要とする。同一性は、コンピューター解析、例えば、限定されないが、ClustalWコンピューターアラインメントプログラム(Higgins D.,Thompson J.,Gibson T.,Thompson J.D.,Higgins D.G.,Gibson T.J.,1994.CLUSTAL W:improving the sensitivity of progressive multiple sequence alignment through sequence weighting,position-specific gap penalties and weight matrix choice.Nucleic Acids Res.22:4673-4680)及び当該文献で提案されているデフォルトパラメータによって決定することができる。ClustalWソフトウェアは、European Bioinformatics Instituteのhttp://www.ebi.ac.uk/clustalwからClustalW WWW Serviceとして利用することができる。このプログラムをデフォルト設定で使用して、クエリポリペプチドと参照ポリペプチドの成熟(生物活性)部分をアラインメントする。完全に保存された残基の数を数え、参照ポリペプチドの長さで割る。
ClustalWアルゴリズムは、ヌクレオチド配列をアラインメントするために同様に使用することができる。配列同一性は、アミノ酸配列について示したのと同様の方法で計算することができる。
本明細書で使用される「対象」という用語は、メテオリンポリペプチドもしくはポリヌクレオチド、治療用細胞、または生体適合性カプセルが投与され得る任意の哺乳動物を意味すると解釈される。本発明の方法による治療が特に意図される対象としては、ヒト、ならびに非ヒト霊長類、ヒツジ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、イヌ、ネコ、ウサギ、モルモット、ハムスター、アレチネズミ、ラット、及びマウス、ならびにこれらの宿主に由来するまたはこれらから発生した臓器、腫瘍、及び細胞が含まれる。
「治療」は、治癒的治療及び/または寛解治療を含む様々な方法で行うことができる。治癒的治療とは一般に、治療個体に既に存在する臨床状態の治癒を目的とする。寛解治療とは一般に、個体において既存の臨床状態を改善するために治療することを意味する。
本明細書で使用される場合、「予防」という用語は、臨床状態を予防すること、または状態に罹るリスクを低減すること、または状態の程度を低減することを指す。予防は、本明細書では予防的治療または先制治療とも呼ばれ得る。
本明細書で使用される場合、「ベクター」という用語は、結合している別の核酸を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの1つの種類は「プラスミド」であり、付加的なDNAセグメントをライゲートすることができる環状二本鎖DNAループを指す。本明細書では、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターの最も一般的に使用される形態であるため、互換的に使用され得る。しかしながら、本発明は、そのような発現ベクターの他の形態、例えば同等の機能を果たすウイルスベクター(例えば、複製欠損レトロウイルス、アデノウイルス、及びアデノ随伴ウイルス)などを含むことが意図される。
化学療法及び神経障害性疼痛
化学療法は、がん治療の一種であり、1つ以上の抗がん剤を用いてがんの全身治療を行う。化学療法による治療は、延命につながるが、重篤な副作用の原因にもなる。化学療法における抗腫瘍剤は、急速に分裂するがん細胞を排除するように設計されているが、末梢神経系などの健康な構造も損傷する可能性がある。
化学療法によるより重篤な副作用の1つは化学療法誘発性神経障害性疼痛であり、これは、化学療法の神経毒性によって引き起こされる末梢神経系及び/または中枢系の機能不全に由来するいくつかの形態の疼痛を含む疼痛のカテゴリーである。神経障害性疼痛の症状としては、灼熱感、刺痛、電気、ピン及び針、錯感覚、異常感覚、硬直、四肢の痺れ、身体の歪み感、アロディニア(通常は無害な刺激によって誘発される痛み)、痛覚過敏(疼痛に対する異常な感受性)、ヒペルパチー(疼痛刺激が停止した後も長く持続する過剰な疼痛反応)、及び自発痛が挙げられる。
CINPは、化学療法を受けている患者の30%~40%を悩ませている。これらの症状の有病率は、化学療法の完了後最初の1ヶ月間で68.1%と最も高いが、30%もの患者が依然として化学療法の完了後6ヶ月経ってもCINP症状を報告している。症状の重症度は、一般に、投与された治療薬の用量に比例しており、症状の重症度によっては化学療法用量の低減が正当なものとなり得る。
CINPは、以下に限定されるものではないが、卵巣癌、乳癌、消化管癌、例えば食道癌、膵臓癌、白血病、ホジキン病、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、精巣癌、膀胱癌、肺癌、及び多発性骨髄腫を含む様々ながん適応症の化学療法治療から生じ得る。したがって、一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、卵巣癌、乳癌、食道癌、膵臓癌、白血病、ホジキン病、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、精巣癌、膀胱癌、肺癌、または多発性骨髄腫の化学療法治療によって誘発される。別の実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、卵巣癌、乳癌、食道癌、膵臓癌、白血病、ホジキン病、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、精巣癌、膀胱癌、または多発性骨髄腫の化学療法治療によって誘発される。
CINPは、以下に限定されるものではないが、白金系抗がん剤、例えばカルボプラチン、シスプラチン、及びオキサリプラチン;タキサン、例えばパクリタキセル及びドセタキセル;エポチロン、例えばイキサベピロン;ビンカアルカロイド、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、及びビノレルビン;プロテアソーム阻害剤、例えばボルテゾミブ;ならびに免疫調節抗がん剤、例えばサリドマイドを含む様々な抗がん剤によって誘発され得る。したがって、一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、白金系抗がん剤、タキサン、エポチロン、ビンカアルカロイド、プロテアソーム阻害剤、及び免疫調節抗がん剤からなる群から選択される抗がん剤での治療により誘発される。
一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、白金系抗がん剤での治療によって誘発される、例えばカルボプラチン、シスプラチン、及び/またはオキサリプラチンでの治療によって誘発される。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、タキサンでの治療によって誘発される、例えばパクリタキセル及び/またはドセタキセルでの治療によって誘発される。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、エポチロンでの治療によって誘発される、例えばイキサベピロンでの治療によって誘発される。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、ビンカアルカロイドでの治療によって誘発される、例えばビンクリスチン、ビンブラスチン、及び/またはビノレルビンでの治療によって誘発される。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、プロテアソーム阻害剤での治療によって誘発される、例えばボルテゾミブでの治療によって誘発される。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、免疫調節抗がん剤での治療によって誘発される、例えばサリドマイドでの治療によって誘発される。
抗がん剤は、単剤治療として、または抗がん剤が別の抗がん剤と組み合わせて投与される併用治療レジメンで与えられ得る。
化学療法誘発性神経障害性疼痛は、最初は急性疼痛症候群として現れ、薬剤投与中または投与直後に感覚症状が生じ、化学療法治療サイクルを繰り返した後に慢性神経障害へと進行する。感覚症状の持続期間に関しては、急性神経障害は一般に治療と治療との間に治まるが、慢性神経障害は数ヶ月または数年持続し得、がん生存者の生活の質を大幅に低下させる。
CINPから生じる症状は様々であり得、これには灼熱感、刺痛、電気、ピン及び針、錯感覚、異常感覚、硬直、四肢の痺れ、身体の歪み感、アロディニア、痛覚過敏、ヒペルパチー、及び/または自発痛が含まれる。したがって、一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、灼熱感、刺痛、電気、ピン及び針、錯感覚、異常感覚、硬直、四肢の痺れ、身体の歪み感、アロディニア、痛覚過敏、ヒペルパチー、及び/または自発痛をもたらす。
一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、灼熱感、刺痛、電気、ピン及び針、錯感覚、異常感覚、硬直、四肢の痺れ、身体の歪み感をもたらす。
一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、アロディニア、痛覚過敏、ヒペルパチー、及び/または自発痛をもたらす。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、アロディニアをもたらす。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、痛覚過敏をもたらす。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、ヒペルパチーをもたらす。一実施形態において、化学療法誘発性神経障害性疼痛は、自発痛をもたらす。
化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防
化学療法誘発性神経障害性疼痛を予防または治療するための安全かつ効果的な治療法は、依然としてアンメットな臨床的ニーズである。ガバペンチン、三環系抗うつ薬、及びオピオイドなどの慢性疼痛状態に対して通常効果的な薬剤は、有効性が低く、多くの副作用を伴う。
したがって、化学療法誘発性神経障害性疼痛を治療するための、好ましくは患者の全般的な健康に影響を及ぼさない軽微な副作用しかない予防的及び治療的戦略が非常に必要とされている。本発明は、化学療法治療を受けている対象へのメテオリンの投与によるCINPの治療及び/または予防を提供する。したがって、一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防に使用するためのメテオリンに関する。一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療に使用するためのメテオリンに関する。
一実施形態において、本開示は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防に使用するための単離されたポリペプチドであって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドを提供する。
一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防のための方法であって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドの治療有効量を
それを必要とする対象に
投与することを含む、方法に関する。
一実施形態において、本開示は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防のための医薬を製造するための単離されたポリペプチドであって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドの使用を提供する。
本開示の実施例1、2、及び3で実証されるように、化学療法剤の投与前に及び/またはそれと間欠的にメテオリンを投与することより、化学療法誘発性神経障害性疼痛の逆転が得られる。したがって、好ましい実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防に使用するためのメテオリンに関する。
一実施形態において、本開示は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防に使用するための単離されたポリペプチドであって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドを提供する。
一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防のための方法であって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む単離されたポリペプチドの治療有効量を
それを必要とする対象に
投与することを含む、方法に関する。
一実施形態において、本開示は、対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防のための医薬を製造するための単離されたポリペプチドであって、
i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、単離されたポリペプチドの使用を提供する。
一実施形態において、治療の治療効果は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の少なくとも1つの症状を改善する。少なくとも1つの症状は、灼熱感、刺痛、電気、ピン及び針、錯感覚、異常感覚、硬直、四肢の痺れ、身体の歪み感、アロディニア、痛覚過敏、ヒペルパチー、及び/または自発痛からなる群から選択され得る。一実施形態において、治療の治療効果は、灼熱感、刺痛、電気、ピン及び針、錯感覚、異常感覚、硬直、四肢の痺れ、身体の歪み感からなる群から選択される少なくとも1つの症状を改善する。一実施形態において、治療の治療効果は、アロディニア、痛覚過敏、ヒペルパチー、及び/または自発痛からなる群から選択される少なくとも1つの症状を改善する。
一実施形態において、治療の治療効果は、アロディニアを改善する。一実施形態において、アロディニアは、温覚アロディニア、冷感アロディニア、温熱性アロディニア、及び/または機械的アロディニアである。
一実施形態において、治療の治療効果は、痛覚過敏を改善する。一実施形態において、痛覚過敏は、機械的痛覚過敏である。
一実施形態において、治療の治療効果は、ヒペルパチーを改善する。
一実施形態において、治療の治療効果は、自発痛を改善する。
投与及び製剤
メテオリンポリペプチドは、医学的に許容される任意の方法で投与することができる。これは静脈内、血管内、動脈内、皮下、筋肉内、腫瘍内、腹腔内、心室内、硬膜外、髄腔内、脳室内、脳内、または経鼻もしくは局所などのその他など、非経口的な経路による注射を含んでもよい。デポー注射または分解性インプラントなどの手段による徐放投与もまた、特に本発明に含まれる。
本発明によるメテオリンの投与は、以下を含む任意の適切な送達手段を用いて達成することができる:注射(皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、髄腔内、または他の適した部位のいずれか);ポンプ(例えば、Annals of Pharmacotherapy,27:912(1993);Cancer,41:1270(1993);Cancer Research,44:1698(1984)参照、本明細書に参照により組み込まれる);マイクロカプセル化(例えば、米国特許第4,352,883号;同第4,353,888号;及び同第5,084,350号参照、本明細書に参照により組み込まれる);徐放性ポリマーインプラント(例えば、Sabel、米国特許第4,883,666号参照、本明細書に参照により組み込まれる);カプセル化細胞(「生体適合性カプセル」参照);非カプセル化細胞移植片(例えば、米国特許第5,082,670号及び同第5,618,531号参照、いずれも本明細書に参照により組み込まれる);及び吸入。
投与は、製剤の定期的なボーラス注射によるものでもよく、または体外(例えば、静脈内バッグ)もしくは体内(例えば、生分解性インプラント、バイオ人工臓器、メテオリン産生細胞の生体適合性カプセル、または移植されたメテオリン産生細胞のコロニー)のリザーバからの静脈内もしくは腹腔内投与によってより連続的に行われてもよい。例えば、US4,407,957、5,798,113、及び5,800,828参照、いずれも本明細書に参照により組み込まれる。
局所送達は、1本以上の動脈へのカテーテルを介した送達などの手段によるものであり得る。本発明の一実施形態において、局所送達は、カプセル化細胞(「生体適合性カプセル」のセクションに記載)を用いた送達を含む。さらなるタイプの局所送達は、遺伝子治療ベクターの局所送達を含み、これは通常注射される。
本発明の好ましい実施形態において、投与は、非経口注射、好ましくは皮下注射または髄腔内注射である。
本発明の化合物を原料化学物質として投与することは可能であるが、それらを医薬製剤の形態で提示することが好ましい。医薬製剤は、例えばRemington:The Science and Practice of Pharmacy 2005,Lippincott,Williams&Wilkinsに記載のものなど、従来の手法により調製することができる。
「薬学的に許容される担体」という用語は、メテオリンポリペプチドと組み合わせてその適用を促進する、天然または合成の1つ以上の有機または無機成分を意味する。適切な担体には滅菌生理食塩水が含まれるが、薬学的に許容されることが知られている他の水性及び非水性の等張性滅菌溶液及び滅菌懸濁液が当業者に知られている。
本発明の化合物は非経口投与用に製剤化することができ、アンプル、プレフィルドシリンジ、少量点滴、または複数回用量容器において、任意選択で防腐剤を添加して、単位用量形態で提供され得る。該組成物は、油性または水性ビヒクル中の懸濁液、溶液、またはエマルジョンの形態、例えば水性ポリエチレングリコール溶液の形態をとることができる。油性または非水性担体、希釈剤、溶媒、またはビヒクルの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油(例えばオリーブ油)、及び注射可能な有機エステル(例えばオレイン酸エチル)が挙げられ、防腐剤、湿潤剤、乳化剤または懸濁剤、安定剤及び/または分散剤などの薬剤を含んでもよい。あるいは、活性成分は、滅菌固体の無菌単離によって、または溶液からの凍結乾燥によって得られる粉末形態であってもよく、使用前に好適なビヒクル、例えば滅菌パイロジェンフリー水で構成される。
「有効量」とは、疾患状態、変性状態、または損傷状態の進行を改善または遅延させることができる量を指す。有効量は、個別に決定することができ、部分的に、治療される症状及び求める結果についての考慮に基づく。有効量は、そのような因子を使用し、そして通常の実験のみを使用して当業者によって決定され得る。
リポソーム系は、単層ベシクル、多層ベシクル、または安定多膜(stable plurilamellar)ベシクルの任意の種類であり得、当業者に周知の方法に従って、例えば米国特許第5,169,637号、同第4,762,915号、同第5,000,958号、または同第5,185,154号の教示に従って調製及び投与され得る。加えて、本発明の新規なポリペプチド及び他の選択されたポリペプチドを、リポタンパク質として、リポソームへの結合を増強するために、発現させることが望ましい場合がある。組換えメテオリンタンパク質は、例えばCHO細胞から免疫親和性クロマトグラフィーまたは他の任意の簡便な方法によって精製され、次いでリポソームと混合して、それらに高効率で組み込まれる。リポソームカプセル化タンパク質は、細胞成長を刺激する任意の効果についてin vitroで試験することができる。
メテオリンポリペプチドの投与が必要な任意の疾患または障害の治療に適した放出特性を有する製剤において、メテオリンポリペプチドの徐放投与が望まれる場合には、メテオリンポリペプチドのマイクロカプセル化が企図される。持続性放出のための組換えタンパク質のマイクロカプセル化は、ヒト成長ホルモン(rhGH)、インターフェロン(rhIFN-)、インターロイキン-2、及びMN rgp120で成功している。Johnson et al.(1996);Yasuda(1993);Hora et al.(1990);Cleland,(1995),pp.439-462;WO97/03692,WO96/40072,WO96/07399;及び米国特許第5,654,010号。
これらのタンパク質の徐放性製剤は、生体適合性及び広範な生分解性特性から、ポリ-乳酸-グリコール酸(PLGA)ポリマーを使用して開発した。PLGAの分解産物である乳酸及びグリコール酸は、ヒト体内で迅速に排出され得る。さらに、このポリマーの分解性は、その分子量及び組成に応じて、数ヶ月から数年まで調整することができる。Lewis,“Controlled release of bioactive agents from lactide/glycolide polymer,”in:M.Chasin and R.Langer(Eds.),Biodegradable Polymers as Drug Delivery Systems(Marcel Dekker:New York,1990),pp.1-41。
本発明の一実施形態において、メテオリンを含む組成物が企図される。該組成物は、本明細書に記載される単離されたポリペプチド、本明細書に記載される単離された核酸、本明細書に記載されるメテオリンをコードする発現ベクター、本明細書に記載されるメテオリンを発現する細胞株、または本明細書に記載されるメテオリンを分泌する生体適合性カプセルを含み得る。
投与量
全身投与のための様々な投与レジメンが企図される。一実施形態において、メテオリンポリペプチドを含む製剤を対象に投与する方法は、1回当たり、対象の体重1kg当たり1μg~10,000μgの用量でメテオリンを投与することを含む。別の実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり1μg~7,500μgである。さらなる実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり1μg~5,000μgである。異なる実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり1μg~2,000μgである。さらに別の実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり1μg~1,000μgである。さらに別の実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり1μg~700μgである。より好ましい実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり5μg~500μgである。最も好ましい実施形態において、用量は、1回当たり、対象の体重1kg当たり10μg~100μgである。好ましい実施形態において、治療される対象はヒトである。
特定の用量及び送達の方法に関する手引きは、文献に提供されており、例えば、WO02/78730及びWO07/100898を参照のこと。動物実験に用いた用量に基づくヒト等価用量の計算に対する手引きは、Reagan-Shaw et al.,FASEB J,22,659-661(2007)に提供されている。
投与される用量は、治療される個体の年齢、体重及び状態、ならびに投与経路、剤形及びレジメン、ならびに所望の結果に対して慎重に調整する必要があり、正確な投与量は、診療医によって決定されるべきである。
本発明の一実施形態において、投与は毎日繰り返される。別の実施形態において、投与は、週に少なくとも1~3回、例えば週に2~5回、例えば週に3~6回繰り返される。
一実施形態において、投与は、1日1回、2日に1回、3日に1回、4日に1回、5日に1回、6日に1回、または7日に1回繰り返される。好ましい実施形態において、投与は2日に1回繰り返される。
一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療を提供する。したがって、一実施形態において、投与は、神経障害性疼痛の症状の発症後に開始される。
一実施形態において、ポリペプチドの投与は、化学療法治療の開始後、例えば化学療法治療の開始の1日後、例えば2日後、例えば3日後、例えば4日後、例えば5日後、例えば8日後、例えば12日後に開始される。別の実施形態において、ポリペプチドの投与は、化学療法治療の開始後、例えば化学療法治療の開始の1週間後、例えば2週間後、例えば3週間後に開始される。
一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の予防を提供する。したがって、一実施形態において、神経栄養性ポリペプチドは、化学療法治療の前に、それと同時に、またはそれと間欠的に投与される。
一実施形態において、投与は、化学療法治療を開始する前に開始される。
一実施形態において、投与は、化学療法治療の開始の少なくとも1日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも2日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも3日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも6日前、または少なくとも1週間前に開始される。
一実施形態において、神経栄養性ポリペプチドは、化学療法治療の開始と同日、または化学療法治療の開始の少なくとも1日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも2日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも3日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも1週間前に投与される。
化学療法治療は、多くの場合、所定の間隔、例えば週に1回、2週間に1回、例えば3週間に1回、例えば月に1回の抗がん剤の複数回投与で構成される。一実施形態において、神経栄養性ポリペプチドは、抗がん剤の各投与と併せて投与される、例えば、抗がん剤の各投与が行われる前に、それと同時に、またはそれと間欠的に投与される。
他の実施形態において、メテオリンは比較的長い投与間隔で投与される。比較的長い投与間隔は、投与間に少なくとも2日あること、例えば投与間に少なくとも3日あること、例えば週に2回の投与を含むことが意図される。より好ましくは、長い投与間隔は、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも3週間、例えば少なくとも4週間、または少なくとも1ヶ月間である。
比較的長い投与間隔は、投与間に少なくとも2日あること、例えば投与間に少なくとも3日あること、例えば週に2回の投与が意図される。より好ましくは、長い投与間隔は、少なくとも1週間、例えば少なくとも2週間、より好ましくは少なくとも3週間、例えば少なくとも4週間、または少なくとも1ヶ月間である。
別の方法で表現すると、投与間隔は、メテオリンポリペプチドを1回投与した後、次の用量が投与される際に、当該ポリペプチドが治療される対象の血清中でもはや検出できない程度に長い。別の実施形態において、血清レベルは、10ng/mL未満、例えば5ng/mL未満、より好ましくは1ng/mL未満、例えば0.5ng/mL未満、例えば0.1ng/mL未満である。
いくつかの実施形態において、長い投与範囲の前に、より頻繁なメテオリンの初期投与、例えば、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、または4日に1回が行われる。この初期投与スケジュールは、例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、9日間、11日間、14日間、21日間またはそれ以上にわたって維持してもよい。この投与スケジュールの完了後、例えば上記のように、メテオリンはより低い頻度で投与され得る。
したがって、一態様において、本発明は、神経障害性疼痛の治療を必要とするヒト対象において神経障害性疼痛を治療する方法であって、対象に、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を含む治療有効量の神経栄養性ポリペプチドを投与することを含み、該投与が、週に3回またはより低頻度である、方法に関する。
好ましくは、投与は毎週またはより低頻度な投与である。さらにより好ましくは、投与は隔週またはより低頻度な投与である。
別の方法で表現すると、投与間隔は、メテオリンポリペプチドを1回投与した後、次の用量が投与される際に、当該ポリペプチドが治療される対象の血清中でもはや検出できない程度に長い。別の実施形態において、血清レベルは、10ng/mL未満、例えば5ng/mL未満、より好ましくは1ng/mL未満、例えば0.5ng/mL未満、例えば0.1ng/mL未満である。
いくつかの実施形態において、メテオリンの初期投与は、例えば、1日2回、1日1回、2日に1回、3日に1回、または4日に1回である。この投与スケジュールは、例えば、2日間、3日間、4日間、5日間、6日間、7日間、9日間、11日間、14日間、21日間またはそれ以上にわたって維持してもよい。この投与スケジュールの完了後、例えば上記のように、メテオリンはより低い頻度で投与され得る。
メテオリン
本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療における、メテオリンタンパク質として同定されるポリペプチド及び当該タンパク質をコードするポリヌクレオチドの使用に関する。一実施形態において、送達は、分泌された生物学的に活性なメテオリン及び/またはそのホモログを対象に送達するためのカプセルの使用によるものが企図される。メテオリンタンパク質は、ヒト(配列番号2)、マウス(配列番号5)、及びラット(配列番号8)、ならびに他の様々な種において同定されている。
ヒトメテオリンは、293アミノ酸の前駆体として存在し、プロセシングされて少なくとも1つの生物学的に活性なペプチドを生成することができる。メテオリンは、神経系及び眼、特に脳の小領域において高レベルで発現する。マウス(配列番号5)及びラット(配列番号8)のメテオリン前駆体は291アミノ酸からなり、ヒトメテオリンタンパク質(配列番号2)との配列同一性(%)はそれぞれ80.3及び80.2である(図8を参照のこと)。
ヒトメテオリンは23アミノ酸のN末端シグナルペプチド配列を含み、これは配列モチーフARA-GYにおいて切断される。このシグナルペプチド切断部位はSignalP法によって予測される。マウスメテオリンのN末端は、N末端シークエンシングによって検証されている(Jorgensen et al.,2009)。
表1は、全長ヒトメテオリンとマウス及びラット配列との間の配列同一性(%)を示す。図8aのアラインメントを参照のこと。
Figure 2024518433000001
表2は、N末端シグナルペプチドの除去後のヒトメテオリンとマウス及びラット配列との間の配列同一性(%)を示す。図8bのアラインメントを参照のこと。
Figure 2024518433000002
完全に保存された残基に基づいて、成熟メテオリンのコンセンサス配列を導出することができ(配列番号11、図8c)、配列中、Xは、DNAによりコードされた21個の天然に存在するアミノ酸のいずれかから独立して選択される。好ましい実施形態において、バリアントメテオリンはコンセンサス配列を含む。
メテオリンの生物学的機能の1つは、Jorgensen et al.(2009)及びNishino et al.(2004)に記載されているように、解離した後根神経節(DRG)の培養において神経突起伸長を誘発する能力である。
システインの保存性が高いことから、これらの残基は生物活性タンパク質の二次構造及び三次構造において重要な役割を果たすと予想される。システインの1つ以上は、分子内及び/または分子間ジスルフィド架橋の形成に関与し得る。
メテオリンポリペプチド
全長メテオリン、実質的に全長メテオリン、及びプロメテオリンに加えて、本発明は、ポリペプチドの生物学的に活性なバリアントを提供する。メテオリンポリペプチドまたはフラグメントは、神経栄養性など、本明細書に記載される天然に存在するメテオリンの生物学的活性を示す場合、生物学的に活性である。本発明は、本明細書で定義されるメテオリンに関すると理解されるべきである。
本発明は、アロディニア、痛覚過敏、及び/または自発痛の治療方法に使用するための単離されたポリペプチド分子に関し、該ポリペプチドは、
a)配列番号3、6、及び9からなる群から選択されるアミノ酸配列、
b)配列番号3、6、及び9からなる群から選択されるアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、上記配列番号に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、ならびに
c)a)またはb)のいずれかの少なくとも50個の連続したアミノ酸の生物学的に活性なフラグメントであって、上記配列番号に対して少なくとも70%同一である、フラグメント
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一実施形態において、本発明は、以下:
i)配列番号2のAA30~AA288であり、かつ一方または両方の末端に天然配列よりも1~5個の余分なアミノ酸を有するポリペプチドである、配列番号2のAA25~AA293までのもの;
ii)配列番号8のAA28~AA286であり、かつ一方または両方の末端に天然配列よりも1~5個の余分なアミノ酸を有するポリペプチドである、配列番号8のAA23~AA291までのもの;
iii)配列番号5のAA31~AA289であり、かつ一方または両方の末端に天然配列よりも1~5個の余分なアミノ酸を有するポリペプチドである、配列番号5のAA26~AA294までのもの;及び
iv)上記ポリペプチドのバリアントであって、選択された配列において指定される任意のアミノ酸が異なるアミノ酸に変化するが、ただし、配列中のアミノ酸残基のうち20個以下がそのように変化する、上記ポリペプチドのバリアント
からなる群から選択される単離されたポリペプチドに関する。
好ましくは、生物学的活性は神経栄養性活性である。神経栄養的に活性なバリアントは、WO2005/095450に前述された1つ以上の他のin vitro及び/またはin vivoの神経栄養性アッセイ、特にDRGアッセイを参照することによって定義され得る。
好ましい生物学的活性は、Jorgensen et al.(2009)に記載されたDRGアッセイにおけるのと実質的に同じ応答を誘発する能力である。このアッセイでは、DRG細胞を全長ヒトメテオリンコード配列(配列番号3)の存在下で成長させる。DRGアッセイにおける実質的に同じ応答とは、DRG細胞からの神経突起伸長が、Jorgensen et al.(2009)に記載されたDRGアッセイで得られた数の少なくとも20%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%であることを意図する。メテオリンのフラグメントまたはバリアントの生物学的活性はまた、天然に存在するメテオリン(配列番号3)の生物学的活性よりも高い場合がある。
バリアントは、アミノ酸配列において、または配列に関係しない様式において、またはその両方において、天然に存在するメテオリンとは異なり得る。アミノ酸配列におけるバリアント(「配列バリアント」)は、天然に存在するメテオリンの1つ以上のアミノ酸が、異なる天然アミノ酸、アミノ酸誘導体、または非天然アミノ酸で置換された場合に生成される。特に好ましいバリアントには、その配列が野生型配列と、典型的にはタンパク質またはペプチドの二次構造及び三次構造及び疎水的な性質に対して最小限の影響しか及ぼさない1つ以上の保存的及び/または半保存的アミノ酸置換により異なる、天然に存在するメテオリン、または天然に存在するメテオリンの生物学的に活性なフラグメントが含まれる。バリアントはまた、1つ以上の非保存的アミノ酸の置換、欠失、または挿入により異なり、メテオリンの生物学的活性を破壊しない配列を有してもよい。図8のClustal Wアラインメントは、どのアミノ酸残基が、タンパク質の生物学的活性に実質的に影響を及ぼすことなく置換可能かを予測するために使用することができる。好ましい実施形態において、バリアントメテオリン配列は、配列番号11を有するコンセンサス配列を含む。
以下の群(Clustal W、「強い」保存群)内の置換は、本発明の意味における保存的置換として考慮されるべきである
-S,T,A;N,E,Q,K;N,H,Q,K;N,D,E,Q;Q,H,R,K;M,I,L,V;M,I,L,F;H,Y;F,Y,W。
以下の群(Clustal W、「弱い」保存群)内の置換は、本発明の意味における準保存的置換として考慮されるべきである
-C,S,A;A,T,V;S,A,G;S,T,N,K;S,T,P,A;S,G,N,D;S,N,D,E,Q,K;N,D,E,Q,H,K;N,E,Q,H,R,K;V,L,I,M;H,F,Y。
本発明内の他のバリアントは、ペプチドの安定性を向上させる改変を有するものである。そのようなバリアントは、例えばペプチド配列中に1つ以上の(ペプチド結合を置換する)非ペプチド結合を含んでもよい。天然に存在するL-アミノ酸以外の残基、例えばD-アミノ酸、または天然に存在しないもしくは合成アミノ酸、例えばベータアミノ酸もしくはガンマアミノ酸を含むバリアント、及び環状バリアントも含まれる。L-アミノ酸の代わりにD-アミノ酸をポリペプチドに組み込むと、プロテアーゼに対する耐性が増大する場合がある。例えば、US5,219,990を参照のこと。スプライスバリアントは、特に本発明に含まれる。
所与の置換の結果を確実に予測できない場合、誘導体は、容易に、本明細書に開示される方法に従って、好ましくはJorgensen et al.,Characterization of meteorin-An evolutionary conserved neurotrophic factor,J Mol Neurosci 2009 Sep;39(1-2):104-116に記載のDRGアッセイを使用してアッセイされ、神経栄養活性の有無を判定され得る。
一実施形態において、ポリペプチドは、配列番号3、6、及び9からなる群から選択される配列の天然に存在する対立遺伝子バリアントである。このポリペプチドは、配列番号1、4、及び7からなる群から選択される核酸配列と単一ヌクレオチド異なる核酸配列が翻訳されたものであるアミノ酸配列を含み得る。
本明細書に記載されるバリアントポリペプチドは、一実施形態において、選択された配列において指定される任意のアミノ酸が保存的置換をもたらすように変更されているポリペプチドを含む。
本発明の範囲内のバリアントは、一実施形態において、ヒト、マウス、またはラットのメテオリン(配列番号3、6及び9)と少なくとも70%の同一性を有するアミノ酸配列を有するタンパク質及びペプチドを含む。より好ましくは、配列同一性は、少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%である。
好ましい実施形態において、バリアントメテオリンの配列同一性は、ヒトメテオリンポリペプチド(配列番号3)を参照して決定する。
一実施形態において、バリアントは、配列番号3に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。
一実施形態において、好ましいバリアントは、配列番号6に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。
一実施形態において、好ましいバリアントは、配列番号9に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むタンパク質を含む。
神経栄養性ポリペプチドは、好ましくは、配列番号3のアミノ酸配列に対して少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する。
一実施形態において、神経栄養性ポリペプチドは、配列番号11のコンセンサス配列を含む。
好ましくは、神経栄養性ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列に対して7、28、59、95、148、151、161、219、243、及び265の位置にシステイン残基を有する。
一実施形態において、メテオリンの好ましいバリアントは、50~270アミノ酸、より好ましくは75~270アミノ酸、より好ましくは90~270アミノ酸、より好ましくは100~270アミノ酸、より好ましくは125~270アミノ酸、より好ましくは150~270アミノ酸、より好ましくは175~270アミノ酸、より好ましくは200~270アミノ酸、より好ましくは225~270アミノ酸、より好ましくは250~270アミノ酸を含むタンパク質を含む。
一実施形態において、バリアントメテオリンは、対応する位置において、図8中で完全に保存されているとして印(*)を付けられている残基を含み、より好ましくは、バリアントメテオリンはまた、対応する位置において、図8中で強く保存されているとして印を付けられている残基も含み(強く保存されている群は、S,T,A;N,E,Q,K;N,H,Q,K;N,D,E,Q;Q,H,R,K;M,I,L,V;M,I,L,F;H,Y;F,Y,Wを含む)、より好ましくは、バリアントメテオリンはまた、対応する位置において、図8中でより保存されていないとして印を付けられている残基も含む(より保存されていない群は、C,S,A;A,T,V;S,A,G;S,T,N,K;S,T,P,A;S,G,N,D;S,N,D,E,Q,K;N,D,E,Q,H,K;N,E,Q,H,R,K;V,L,I,M;H,F,Yを含む)。特に、保存されたシステインは、バリアントメテオリン中の対応する位置に位置していなければならないことが企図される。したがって、一実施形態において、バリアントメテオリン配列は、配列番号3のアミノ酸配列に対して、7、28、59、95、148、151、161、219、243、及び265の位置にシステイン残基を有する。
一実施形態において、神経栄養性ポリペプチドは、配列番号11のコンセンサス配列を含む。コンセンサス配列は、図8に示されるようにヒト、マウス、及びラットメテオリン中に保存されたアミノ酸残基を含む。好ましくは、神経栄養性ポリペプチドは、配列番号3のアミノ酸配列に対して7、28、59、95、148、151、161、219、243、及び265の位置にシステイン残基を有する。
非配列修飾には、例えば、天然に存在するメテオリンの一部のin vivoもしくはin vitroでの化学的誘導体化、及びアセチル化、メチル化、リン酸化、カルボキシル化、PEG化、またはグリコシル化が含まれ得る。タンパク質の置換基を置き換えることが可能であるのと同様に、タンパク質に結合した官能基を、類似の特徴によって特徴づけられる基で置換することも可能である。そのような修飾は一次配列を変化させない。これらは最初は保存的となる。すなわち置き換えられる基は、元の基とほぼ同じサイズ、形状、疎水性、及び電荷を有することになる。
末端アミノ酸を含む多くのアミノ酸は、グリコシル化及び他の翻訳後修飾などの天然プロセスによって、または当該技術分野で周知の化学修飾技法によって、所与のポリペプチドにおいて修飾され得る。本発明のポリペプチドにおいて存在し得る公知の修飾のうち、いくつか例を挙げると、アセチル化、アシル化、ADPリボシル化、アミド化、フラビンの共有結合、ヘム部分の共有結合、ポリヌクレオチドまたはポリヌクレオチド誘導体の共有結合、脂質または脂質誘導体の共有結合、ホスファチジルイノシトールの共有結合、架橋、環化、ジスルフィド結合形成、脱メチル化、共有結合架橋の形成、システインの形成、ピログルタミン酸の形成、ホルミル化、ガンマカルボキシル化、糖化、グリコシル化、GPIアンカー形成、水酸化、ヨウ素化、メチル化、ミリストイル化、酸化、タンパク質プロセシング、リン酸化、プレニル化、ラセミ化、セレノイル化、硫酸化、転移RNAが媒介するアミノ酸のタンパク質への付加、例えばアルギニル化、及びユビキチン化である。
このような修飾は当業者に周知であり、科学文献に詳細に記載されている。いくつかの特に一般的な修飾、例えばグリコシル化、脂質結合、硫酸化、グルタミン酸残基のガンマカルボキシル化、水酸化、及びADPリボシル化は、例えばCreighton(1993)などの最も基本的な教科書に記載されている。この題材に関して多数の詳細な総説が入手可能であり、例えばWold,F.(1983);Seifter et al.(1990)、及びRattan et al.(1992)で提供されるものなどが挙げられる。
加えて、当該タンパク質はタンパク質タグを含んでもよく、その後の精製、及び任意選択でエンドペプチダーゼを用いたタグの除去を可能にする。タグは、その後のタグの除去を容易にするためにプロテアーゼ切断部位を含んでもよい。アフィニティタグの非限定的な例としては、ポリhisタグ、GSTタグ、HAタグ、Flagタグ、C-mycタグ、HSVタグ、V5タグ、マルトース結合タンパク質タグ、セルロース結合ドメインタグが挙げられる。産生及び精製のために好ましくは、タグはポリhisタグである。好ましくは、タグはタンパク質のC末端部分に存在する。
他の哺乳動物細胞型での組換え産生におけるタンパク質の分泌を増加させるために、メテオリンの天然のシグナル配列を置き換えてもよい。
修飾は、ペプチド骨格、アミノ酸側鎖、及びアミノまたはカルボキシル末端など、ポリペプチド内のあらゆる場所で生じ得る。実際に、共有結合修飾によるポリペプチド内のアミノ基もしくはカルボキシル基または両方のブロッキングは、天然に存在するポリペプチド及び合成ポリペプチドにおいて一般的であり、そのような修飾は本発明のポリペプチドにも同様に存在し得る。
ポリペプチドに生じる修飾は多くの場合、その作製方法に依存する。例えば、クローニングされた遺伝子を宿主で発現させることにより作製されたポリペプチドの場合、修飾の性質及び程度は、大部分において、宿主細胞の翻訳後修飾能力及びポリペプチドアミノ酸配列中に存在する修飾シグナルによって決定される。例えば、グリコシル化は、E.coliなどの細菌宿主では発生しない場合が多い。したがって、グリコシル化が望まれる場合には、ポリペプチドはグリコシル化する宿主、一般的には真核細胞で発現されるべきである。昆虫細胞は、哺乳動物細胞と同じ翻訳後グリコシル化を行うことが多く、この理由から、特に天然のグリコシル化パターンを有する哺乳動物タンパク質を効率的に発現するために昆虫細胞発現系が開発された。他の修飾についても同様の考慮が当てはまる。
所与のポリペプチド中のいくつかの部位において、同じ種類の修飾が同じまたは異なる程度存在し得ることは理解されるであろう。また、所与のポリペプチドは、多くの種類の修飾を含んでもよい。
一般に、本明細書で使用される場合、ポリペプチドという用語は、全てのそのような修飾、特に宿主細胞でポリヌクレオチドを発現することによって合成されたポリペプチド中に存在する修飾を包含する。
メテオリンヌクレオチド配列
本発明は、例えばヒトcDNAヌクレオチド配列(配列番号1及び10)、マウスcDNA配列(配列番号4)、及びラットcDNA配列(配列番号7)などの、メテオリンをコードするゲノムDNA及びcDNAの医学的用途を提供する。
これらの配列のバリアントも本発明の範囲内に含まれる。
本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防方法に使用するための単離された核酸分子に関し、該核酸分子はポリペプチドをコードする核酸配列を含み、該ポリペプチドは、
i.配列番号3のアミノ酸配列、
ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、配列バリアント、及び
iii.i)またはii)の少なくとも50個の連続したアミノ酸の生物学的に活性なフラグメントであって、配列番号3に対して少なくとも70%同一である、フラグメント
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
一実施形態において、本発明は、化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療及び/または予防方法に使用するための、ポリペプチドをコードする単離された核酸分子に関し、該ポリペプチドは、
i)配列番号2のAA30~AA288であり、かつ一方または両方の末端に天然配列よりも1~5個の余分なアミノ酸を有するポリペプチドである、配列番号2のAA25~AA293までのもの;
ii)配列番号8のAA28~AA286であり、かつ一方または両方の末端に天然配列よりも1~5個の余分なアミノ酸を有するポリペプチドである、配列番号8のAA23~AA291までのもの;
iii)配列番号5のAA31~AA289であり、かつ一方または両方の末端に天然配列よりも1~5個の余分なアミノ酸を有するポリペプチドである、配列番号5のAA26~AA294までのもの;及び
iv)上記ポリペプチドのバリアントであって、選択された配列において指定される任意のアミノ酸が異なるアミノ酸に変化するが、ただし、配列中のアミノ酸残基のうち20個以下がそのように変化する、上記ポリペプチドのバリアント
からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む。
核酸分子は、天然に存在する対立遺伝子の核酸バリアントのヌクレオチド配列を含んでもよい。
本発明の核酸分子は、バリアントポリペプチドをコードしてもよく、該バリアントポリペプチドは、天然に存在するポリペプチドバリアントのポリペプチド配列を有する。
一実施形態において、核酸分子は、配列番号1、4、7、及び10からなる群から選択される核酸配列と単一ヌクレオチド異なる。
好ましくは、コードされたポリペプチドは、配列番号3からなる群から選択される配列に対して少なくとも60%の配列同一性、好ましくは少なくとも65%の配列同一性、より好ましくは少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは75%の配列同一性、より好ましくは少なくとも80%の配列同一性、より好ましくは少なくとも85%の配列同一性、より好ましくは少なくとも90%の配列同一性、より好ましくは少なくとも95%の配列同一性、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有し、より好ましくは、当該ポリペプチドは当該配列番号からなる群から選択される配列を有する。当該配列はヒトメテオリンを構成する。
好ましい実施形態において、コードされたポリペプチドは、配列番号11を有するコンセンサス配列を含む。
好ましい実施形態において、コードされたポリペプチドは、配列番号3に対して少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有し、より好ましくは、当該ポリペプチドは配列番号3の配列を有する。
一態様では、核酸分子は、
a)配列番号1、4、7、及び10からなる群から選択されるヌクレオチド配列、
b)配列番号1、4、7、及び10からなる群から選択されるヌクレオチド配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有するヌクレオチド配列、ならびに
c)配列番号1、4、7、及び10からなる群から選択される配列の少なくとも150個の連続したヌクレオチドの核酸配列、
からなる群から選択されるヌクレオチド配列を含む。
一実施形態において、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、配列番号1として提示されたポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも60、より好ましくは少なくとも65%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する。
一つの好ましい実施形態において、本発明の単離されたポリヌクレオチドは、配列番号10として提示されたポリヌクレオチド配列に対して、少なくとも50%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも98%の配列同一性を有する。
一実施形態において、本発明の好ましい単離されたポリヌクレオチドバリアントは、150~900核酸、より好ましくは175~900核酸、より好ましくは200~900核酸、より好ましくは225~900核酸、より好ましくは250~900核酸、より好ましくは300~900核酸、より好ましくは350~900核酸、より好ましくは400~900核酸、より好ましくは450~900核酸、より好ましくは500~900核酸、より好ましくは550~900核酸、より好ましくは600~900核酸、より好ましくは650~900核酸、より好ましくは700~900核酸、より好ましくは750~900核酸、より好ましくは800~900核酸、より好ましくは850~900核酸を含む。
単離されたポリヌクレオチドの好ましい群には、ヒトメテオリンcDNA配列である配列番号1及び10が含まれる。一般に、cDNA配列は、ゲノム配列よりも大幅に短く、より容易に適切な発現ベクターに挿入され、in vivoまたはex vivoにおいて産生細胞またはヒト細胞に形質導入/トランスフェクトされる。
加えて、本発明のヌクレオチド配列は、これらの配列の誘導体である配列を含む。本発明はまた、これらの配列の1つまたはこれらの配列の1つの誘導体を包含するベクター、リポソーム及び他のキャリアビヒクルも含む。本発明はまた、メテオリンcDNA、好ましくはヒトメテオリンcDNAから転写及び翻訳されたタンパク質も含み、限定されないが、ヒトメテオリン及び誘導体及びバリアントを含む。
E.coli、酵母種、チャイニーズハムスター、ベビーハムスター、昆虫、真菌、及びヒトを含むがこれらに限定されない選択された宿主細胞における発現を増強するためにコドン最適化核酸分子も企図される。
バリアント核酸は、最新の変異誘発方法により作製することができる。コード配列をヒトからマウス、ラットまたはチンパンジーのものとシャッフルする方法も企図される。
バリアント核酸は、ヒトメテオリンに存在するアミノ酸と、マウスまたはラットメテオリンに存在する対応する位置のアミノ酸とを、このアミノ酸がヒトメテオリンに存在するものとは異なる場合に、交換することにより作製される。
ウイルスベクター
大まかに言えば、遺伝子治療は、新たな遺伝物質を患者の細胞に導入し、その結果、患者に治療効果をもたらすことを目的としている。そのような効果としては、広範囲の疾患、障害、及び他の状態の治療または予防が挙げられる。
ex vivo遺伝子治療アプローチは、単離された細胞(幹細胞、神経前駆細胞及びグリア前駆細胞、ならびに胎児幹細胞を含むが、これらに限定されない)の改変を含み、その後、これらの細胞は、患者に注入されるか、グラフトされるか、または他の方法で移植される。例えば、米国特許第4,868,116号、同第5,399,346号、及び同第5,460,959号を参照のこと。in vivo遺伝子治療は、in vivoで宿主患者組織を直接的に標的とすることを目的とする。
遺伝子導入ベクターとして有用なウイルスとしては、パポバウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、及びレトロウイルスが挙げられる。適切なレトロウイルスには、HIV、SIV、FIV、EIAV、MoMLVからなる群が含まれる。適切なレトロウイルスのさらなる群には、HIV、SIV、FIV、EAIV、CIVからなる群が含まれる。好ましいウイルスベクターの別の群には、アルファウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、HSV、コロナウイルス、ウシパピローマウイルス、Mo-MLVからなる群が含まれ、好ましくはアデノ随伴ウイルスである。
神経系の障害の治療のための好ましいウイルスは、レンチウイルス及びアデノ随伴ウイルスである。どちらの種類のウイルスも細胞分裂なしにゲノムに組み込まれることができ、どちらの種類も、前臨床動物試験において、神経系、特に中枢神経系の適応について試験されている。
AAVの調製方法は、当該技術分野において説明されており、例えば、US5,677,158がある。US6,309,634及びUS6,683,058には、中枢神経系へのAAVの送達の例が記載されている。
好ましくは、レンチウイルスベクターは、複製欠損レンチウイルス粒子である。そのようなレンチウイルス粒子は、5’レンチウイルスLTR、tRNA結合部位、パッケージングシグナル、融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドシグナルに作動可能に連結されたプロモーター、第2鎖DNA合成起点、及び3’レンチウイルスLTRを含むレンチウイルスベクターから産生され得る。レンチウイルスの調製及び神経細胞へのin vivo投与のための方法は、US20020037281(Methods for transducing neural cells using lentiviral vectors)に記載されている。
レトロウイルスベクターは、ヒト臨床治験で最も一般的に使用されるベクターであるが、その理由は、それらは7~8kbを有し、また細胞に感染し、その遺伝物質を高効率で宿主細胞に安定に組み込ませる能力を有するためである。例えば、WO95/30761;WO95/24929を参照のこと。オンコウイルス亜科は、患者への外因性核酸配列の導入及び組み込みのために、少なくとも1回の標的細胞増殖を必要とする。レトロウイルスベクターは、患者のゲノムにランダムに組み込まれる。レトロウイルスは、神経系の幹細胞を標的にするために使用することができ、それは、神経系(特にCNS)の他の細胞において細胞分裂がごくわずかしか起きないためである。
3つのクラスのレトロウイルス粒子が説明されてきた;エコトロピックはマウス細胞に効率的に感染することができ、アンフォトロピックは多くの種の細胞に感染することができる。第3のクラスには、ウイルスを産生した種とは別の種の細胞に感染することができるゼノトロピックレトロウイルスが含まれる。分裂細胞のゲノムにのみ組み込まれる能力により、レトロウイルスは、発生研究における細胞系譜の標識、及びがんまたは腫瘍への治療遺伝子または自殺遺伝子の送達に魅力的なものとなっている。
ヒト患者で使用する場合、レトロウイルスベクターは複製欠損性でなければならない。これにより、標的組織における感染性レトロウイルス粒子のさらなる生成が防止され、その代わり、複製欠損ベクターは、標的細胞ゲノムに安定的に組み込まれた「捕獲」導入遺伝子になる。典型的には、複製欠損ベクターでは、gag、env、及びpol遺伝子が(ウイルスゲノムの残りの大部分と共に)除去されている。この除去されたウイルス遺伝子の代わりに異種DNAが挿入される。異種遺伝子は、内因性異種プロモーター、標的細胞において活性である別の異種プロモーター、またはレトロウイルス5’LTR(該ウイルスLTRは多様な組織において活性である)の制御下にあり得る。典型的には、レトロウイルスベクターは、約7~8kbの導入遺伝子容量を有する。
複製欠損レトロウイルスベクターは、複製及びアセンブリに必要なウイルスタンパク質を、トランスで、例えば遺伝子操作されたパッケージング細胞株から、提供される必要がある。パッケージング細胞が複製能力のあるウイルス及び/またはヘルパーウイルスを放出しないことが重要である。これは、ウイルスタンパク質を、Ψシグナルを欠如するRNAから発現させること、ならびに別個の転写単位からgag/pol遺伝子及びenv遺伝子を発現させることによって達成される。加えて、一部の第2及び第3世代レトロウイルスにおいて、5’LTRはこれらの遺伝子の発現を制御する非ウイルスプロモーターで置換されており、3’プロモーターは近位プロモーターのみを含むように最小化されている。これらの設計は、複製能力を有するベクターまたはヘルパーウイルスの産生につながる組換えの可能性を最小限に抑える。
発現ベクター
本発明に使用するメテオリンポリペプチドを組換え発現させるためのベクターの構築は、当業者に詳細な説明を必要としない従来の技法を用いて達成することができる。しかしながら、概説として、当業者は必要に応じてManiatis et al.(1982)を参照することができる。発現ベクターは、医療用途のメテオリンポリペプチドを組換え産生するための産生細胞を生成するために、及び裸の(naked)治療またはカプセル化治療のためのメテオリンポリペプチドを分泌する治療用細胞を生成するために使用され得る。
簡潔に言えば、組換え発現ベクターの構築は、標準的なライゲーション技法を用いる。構築されたベクターにおいて配列が正しいことを確認するための解析のため、遺伝子は、例えばMessing,et al.(1981)の方法、Maxam, et al.(1980)の方法、または当業者に知られている他の適切な方法を使用してシークエンシングされる。
切断されたフラグメントのサイズ分離は、例えばManiatis, et al.(pp.133-134,1982)に記載されている従来のゲル電気泳動を使用して行われる。
効率的な発現ベクターの生成のために、発現ベクターは、コードされた遺伝子を正しいリーディングフレームで発現させるために必要な調節配列を含むべきである。遺伝子の発現は、転写、翻訳、または翻訳後レベルで制御される。転写開始は、遺伝子発現における初期の、かつ重要な事象である。これはプロモーター及びエンハンサー配列に依存し、これらの配列と相互作用する特定の細胞因子の影響を受ける。多くの遺伝子の転写ユニットは、プロモーター及びいくつかの場合ではエンハンサーまたは調節エレメントからなる(Banerji et al.(1981);Corden et al(1980);及びBreathnach and Chambon(1981))。レトロウイルスの場合、レトロウイルスゲノムの複製に関与する制御エレメントは、長鎖末端反復(LTR)に存在する(Weiss et al.(1982))。モロニーマウス白血病ウイルス(MLV)及びラウス肉腫ウイルス(RSV)のLTRは、プロモーター及びエンハンサー配列を含む(Jolly et al.(1983);Capecchi et al.(1991)。他の強力なプロモーターには、サイトメガロウイルス(CMV)及び他の野生型ウイルスプロモーターに由来するものが含まれる。
いくつかの非ウイルスプロモーターのプロモーター及びエンハンサー領域も記載されている(Schmidt et al.(1985);Rossi and deCrombrugghe,(1987))。静止細胞における導入遺伝子の発現を維持及び増大させる方法には、I型コラーゲン(1及び2)を含むプロモーター(Prockop and Kivirikko(1984);Smith and Niles(1980);de Wet et al.(1983))、SV40及びLTRプロモーターの使用が含まれる。
本発明の一実施形態によれば、プロモーターは、ユビキチンプロモーター、CMVプロモーター、JeTプロモーター(US6,555,674)、SV40プロモーター、伸張因子1アルファプロモーター(EF1-アルファ)、RSV、CAGからなる群から選択される構成的プロモーターである。誘導性/抑制性プロモーターの例としては、Tet-On、Tet-Off、ラパマイシン誘導性プロモーター、Mx1、Mo-MLV-LTR、プロゲステロン、RU486が挙げられる。
好ましいプロモーターの群には、CAG、CMV、ヒトUbiC、JeT、SV40、RSV、Tet制御性プロモーター、Mo-MLV-LTR、Mx1、Mt1、及びEF-1アルファが含まれる。
導入遺伝子の発現を促進するためにウイルスプロモーター及び非ウイルスプロモーターを使用することに加えて、エンハンサー配列を使用して導入遺伝子の発現レベルを増加させてもよい。エンハンサーは、その天然遺伝子だけでなく、いくつかの外来遺伝子の転写活性も高めることができる(Armelor(1973))。例えば、本発明では、コラーゲンエンハンサー配列をコラーゲンプロモーター2(I)と共に使用して、導入遺伝子の発現を増加させることができる。加えて、SV40ウイルスで見出されるエンハンサーエレメントを用いて、導入遺伝子の発現を増加させることができる。このエンハンサー配列は、Gruss et al.(1981);Benoist and Chambon(1981)、及びFromm and Berg(1982)(これらの全ては参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている72塩基対のリピートからなる。このリピート配列は、様々なプロモーターと連続して存在する場合、多くの異なるウイルス遺伝子及び細胞遺伝子の転写を増加させることができる(Moreau et al.(1981))。
さらなる発現増強配列としては、ウッドチャック肝炎ウイルス転写後調節エレメント、WPRE、SP163、CMVエンハンサー、及びニワトリβグロビンインスレーター、または他のインスレーターが挙げられるが、これらに限定されない。
細胞株
一態様において、本発明は、本発明によるベクターで遺伝子改変された単離された宿主細胞に関する。
本発明はまた、裸の細胞またはカプセル化細胞を通じたメテオリンの生体送達(biodelivery)に適した細胞に関し、該細胞はメテオリンを過剰発現するように遺伝子改変され、生物活性メテオリンポリペプチドを局所的に送達するために患者に移植され得る。このような細胞は、広義には治療用細胞と呼ぶことができる。
ex vivo遺伝子治療の場合、細胞の好ましい群には、神経細胞、神経前駆細胞、神経始原細胞(progenitor cell)、神経幹細胞、ヒトグリア幹細胞、ヒト前駆細胞、幹細胞、及び胎児細胞が含まれる。
カプセル化の場合、好ましい細胞には、ARPE-19細胞などの網膜色素上皮細胞、ヒト不死化線維芽細胞、及びヒト不死化アストロサイトが含まれる。
ARPE-19細胞株は、カプセル化細胞ベースの送達技術にとって優れたプラットフォーム細胞株であり、また非カプセル化細胞ベースの送達技術にも有用である。ARPE-19細胞株は頑強である(すなわち、この細胞株は中枢神経系または眼内環境での移植などの厳しい条件下で生存可能である)。ARPE-19細胞は、治療目的の物質を分泌するように遺伝子改変することができる。ARPE-19細胞は、比較的長い寿命を有する。ARPE-19細胞は、ヒト由来である。さらに、カプセル化されたARPE-19細胞は良好なin vivoデバイス生存率を有する。ARPE-19細胞は、有効量の成長因子を送達することができる。ARPE-19細胞は、宿主免疫反応をほとんど誘発しない。さらに、ARPE-19細胞は、非腫瘍原性である。ARPE-19細胞の培養及びカプセル化の方法は、US6,361,771に記載されている。
別の実施形態において、治療用細胞株は、ヒト線維芽細胞株、ヒトアストロサイト細胞株、ヒト中脳細胞株、及びヒト内皮細胞株からなる群から選択され、好ましくは、TERT、SV40T、またはvmycで不死化される。
細胞外マトリックス
本発明はさらに、哺乳動物の神経系に移植される前に、細胞外マトリックス上にてin vitroで細胞を産生するメテオリンを培養することを含む。移植前にマイクロキャリアへ細胞を事前接着させることは、移植細胞の長期生存力を高め、長期の機能的効果を提供するためである。
細胞外マトリックスを構成し得る材料としては、in vitroインキュベーション後に細胞が接着し、その上で細胞が成長でき、かつ毒性反応、または移植された細胞を破壊し得る、もしくはそうでなければ細胞の生物学的活性もしくは治療的活性を阻害し得る炎症性反応を生じることなく、哺乳動物体内に移植することができる材料が挙げられる。このような材料は、合成または天然の化学物質であってよく、または生物由来の物質であってもよい。
マトリックス材料としては、ガラス及び他の酸化ケイ素、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリウレタン、ポリアルギン酸塩、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、アクリロニトリルポリマー、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリペンテン、ナイロン、アミラーゼ、天然及び修飾ゼラチンならびに天然及び修飾コラーゲン、天然及び修飾多糖類、例えばデキストラン及びセルロース(例えば、ニトロセルロース)、寒天、及びマグネタイトが挙げられるが、これらに限定されない。吸収性または非吸収性の材料のいずれも使用することができる。当該技術分野で周知の細胞外マトリックス材料も意図される。細胞外マトリックス材料は、商業的に入手してもよく、またはこのようなマトリックスを分泌する細胞を増殖させ、分泌細胞を除去し、移植される細胞をマトリックスと相互作用及び接着させることによって調製してもよい。移植される細胞がその上で成長するか、または細胞がそれと共に混合されるマトリックス材料は、RPE細胞の常在性の産物であり得る。したがって、例えば、マトリックス材料は、移植されるRPE細胞によって産生及び分泌される細胞外マトリックスまたは基底膜材料であり得る。
細胞の接着、生存、及び機能を改善するために、固体マトリックスは、任意選択でその外面を、細胞の接着、成長、または生存を促進する当該技術分野で公知の因子でコーティングされてもよい。そのような因子としては、細胞接着分子、細胞外マトリックス、例えば、フィブロネクチン、ラミニン、コラーゲン、エラスチン、グリコサミノグリカン、もしくはプロテオグリカン、または成長因子が挙げられる。
あるいは、移植された細胞が接着している固体マトリックスが多孔質材料で構成されている場合、成長または生存促進因子(複数可)をマトリックス材料に組み込ませ、in vivo移植後にそこから徐放させてもよい。
支持体の構成は、好ましくはビーズのような球状であるが、円柱状、楕円形、平らなシートまたはストリップ、針またはピン形状などであってもよい。支持マトリックスの好ましい形態は、ガラスビーズである。別の好ましいビーズは、ポリスチレンビーズである。
ビーズのサイズは、直径約10μm~1mmの範囲であればよく、好ましくは約90μm~約150μmである。様々なマイクロキャリアビーズの説明については、例えば、Fisher Biotech Source 87-88,Fisher Scientific Co.,1987,pp.72-75;Sigma Cell Culture Catalog,Sigma Chemical Co.,St,Louis,1991,pp.162-163;Ventrex Product Catalog,Ventrex Laboratories,1989(これらの参考文献は参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。ビーズのサイズの上限は、移植された細胞の機能を妨げ得るか、または周囲組織に損傷を引き起こし得る、望ましくない宿主反応をビーズが刺激することによって定められ得る。ビーズのサイズの上限は、投与方法によって定めてもよい。このような制限は、当業者によって容易に決定可能である。
実施例1:メテオリンによる先制治療によりPTX誘発性神経障害性疼痛を逆転させる
材料及び方法:
平均体重23gの雌ICR/C57Bl6Jマウス(各群n=8)を3群に分けた;1:パクリタキセル(PTX)及びビヒクル、2:PTX及びrmメテオリン(0.5mg/kg)、3:PTX及びrmメテオリン(1.8mg/kg)。図1に示すように、ビヒクル(ダルベッコPBS)またはrmメテオリン(0.5mg/kgまたは1.8mg/kg)のいずれかを、インスリンシリンジ(30G)を使用して隔日(D1、D3、D5、D7、及びD9)、皮下注射した。Kholepher-エタノール(1:1)中のPTXをダルベッコPBSで希釈し、4mg/kgの用量を隔日(D2、D4、D6、及びD8)、合計16mg/kgの用量で腹腔内注射により投与した。実験開始前に、マウスを2時間にわたって透明なアクリル製行動チャンバーに馴化させた。機械的アロディニアの代替マーカーとして、足引込み閾値(PWT)を、ベースラインで、次いで隔日で、較正されたvon Freyフィラメントを使用して57日目まで試験した。24日目に、治療群ごとに4匹の動物を安楽死させ、組織学的染色を行った(結果は実施例2にまとめられている)。群間の統計分析は、混合効果ANOVAを用いて行った。全てのデータは平均値+/-SEMで表し、p<0.05を有意とした。
結果:
図2に示すように、4日目に、全てのマウスで、PTX治療によって誘発された頑強な機械的アロディニアが発生した。rmメテオリンの間欠投与を継続すると、PWTの増加が0.5mg/kg(灰色四角)及び1.8mg/kg(黒三角)の両方で、それぞれ10日目及び8日目に観察された。その後、0.5mg/kg及び1.8mg/kg用量でのPWTの完全な逆転が、それぞれ20日目(P<0.001)及び16日目(P<0.0001)に得られた。この効果は、実験期間を通して実質的に維持された。しかしながら、32日目以降は、ビヒクル治療マウスにおいてPWTが徐々にベースラインレベルに向けて増加し始め、このことは、PTXマウスにおけるメテオリン媒介性のPWTの逆転が35日目までしか有意に続かなかったことを示唆している。
結論:
rmメテオリンの反復皮下注射による先制治療により、投与開始後数日以内にパクリタキセル誘発性機械的アロディニアが用量依存的に逆転した。さらに、メテオリン治療は8日目までに完了したが、この逆転は継続し、それにより神経障害性過敏症の再発が予防された。
実施例2:メテオリンによる先制治療により後根神経節内の過興奮性マーカーのパクリタキセル誘発性免疫組織化学的変化が予防される
材料及び方法:
マウスをイソフルラン(4%)で麻酔し、断頭により安楽死させた。組織をドライアイス上にてO.C.Tで瞬間凍結し、DRGの切片(20μm)をSuperFrost Plusスライド(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)に載置した。次いで、これらを氷冷した10%ホルマリン中で15分間固定し、続いて50%、70%、100%とエタノールのパーセントを増加させて5分間インキュベートした。次いで、スライドをブロッキング溶液(0.1Mのリン酸緩衝液(PB)中10%の正常ヤギ血清、0.3%のTriton-X100)に移し、1時間、室温で穏やかに揺動/撹拌した。切片をブロッキング溶液で希釈した一次抗体(ペリフェリン、グルタミンシンテターゼ、コネキシン43)中で、3時間、室温または4℃で一晩インキュベートした。切片を0.1MのPBで5回洗浄し、次いでDAPIを含むブロッキング溶液で希釈した二次抗体中で、1時間室温でインキュベートした。切片を0.1MのPBで5回洗浄し、スライドガラス上に載置し、Prolong Gold Antifade(Thermo Fisher Scientific,P36930)を使用してカバースリップにより覆い、マニキュア液でシールした。画像はOlympus FluoView 1200共焦点顕微鏡を使用して撮影した。治療群ごとに3~4匹の動物から得られた免疫組織化学的画像の分析は、Cellsens(Olympus)を使用して行った。
結果:
神経障害性損傷後のサテライトグリア細胞と神経細胞体との間の結合性の増加は、DRG組織内の電気的結合及び興奮性の増加に寄与し、これがひいては神経障害性疼痛の徴候として現れる。図3は、サテライトグリア細胞の特異的マーカーであるグルタミンシンテターゼ酵素(GS)のパクリタキセル(PTX)媒介性発現がrmメテオリン治療によって減少したことを示している。コネキシン43は、損傷後のDRGニューロンの過興奮性に重要な寄与を果たす重要なギャップ結合タンパク質である(Kim et al.,2016)。図3は、DRG組織内のペリフェリン染色された神経細胞体をカプセル化したPTX誘発性コネキシン43発現が、rmメテオリンを用いた先制治療によって防止されたことを示す。
結論:
グルタミンシンテターゼ及びコネキシン43は、行動性神経障害性過敏症に関連するDRG組織内で発生するPTX誘発性過興奮性変化の代替マーカーである。rmメテオリンの反復皮下注射後の両タンパク質の発現減少は、神経細胞-グリア細胞結合の減少が、CINPの鎮痛を媒介するためにrmメテオリンが標的とする潜在的な病態生理学的機序であることを示唆している。
実施例3:メテオリンによる先制治療によりパクリタキセル治療した雌マウスの皮膚内の表皮内神経線維の喪失が防止される。
材料及び方法:
皮膚切片を、10%ホルマリン溶液に24時間後固定し、続いて30%スクロース溶液に48時間入れた。クライオスタットを使用して20μmの皮膚切片を切断し、続いて0.2MのHCl中0.15mg/mlのペプシンを用いて抗原賦活化工程を行った。切片を0.1MのPBで3回洗浄し、一次抗体溶液(PGP9.5)に移し、表皮内神経線維(IENF)の染色を容易にするために実施例2に記載される免疫組織化学処理を行った。Cellsensソフトウェアを使用した画像の分析を、実施例2の材料及び方法に記載されるように実施した。
結果:
マウスでのパクリタキセルによる治療は、頑強な行動性痛覚過敏の発生に加えて、マウスの足蹠の皮膚からのIENFの喪失をもたらす(Singhmar et al.,2018)。これは、いくつかの臨床的な神経障害性疼痛状態におけるIENFの対応する喪失を反映している。図4は、0.5mg/kg及び1.8mg/kg用量両方のrmメテオリンで治療したマウスにおいて、表皮の基底膜を通過するIENFが、ビヒクル処置マウスよりも長く、かつ強く染色されたことを示す。
結論:
rmメテオリンの反復皮下注射による先制治療により、パクリタキセルで治療した雌マウスの後肢皮膚を神経支配するIENFの喪失が防止され、これはCINPにおけるrmメテオリンの疾患修飾作用を反映している。
実施例4:メテオリンによる介入治療はパクリタキセル誘発性神経障害性疼痛を逆転させる
材料及び方法:
成体ICR/C57Bl6Jマウス(各群n=7~8)を、図5に表す2つの同一デザイン実験に使用した。第1の実験では雌(体重27g)を使用し、第2の実験では雄(体重34g)を使用した。Kholepher-エタノール(1:1)中のPTXをダルベッコPBSで希釈し、図5に示すように、4mg/kgの用量を隔日(D2、D4、D6、及びD8)、合計16mg/kgの用量で腹腔内注射により投与した。10日目にマウスを3群に分けた;パクリタキセル(PTX)及びビヒクル、PTX及びrmメテオリン(0.5mg/kg)、PTX及びrmメテオリン(1.8mg/kg)。ビヒクル(ダルベッコPBS)またはrmメテオリン(0.5mg/kgまたは1.8mg/kg)のいずれかを、インスリンシリンジ(30G)を使用して隔日(Day10、D12、D14、D16、及びD18)、皮下注射した。実験開始前に、マウスを2時間にわたって透明なアクリル製行動チャンバーに馴化させた。較正されたvon Freyフィラメントを使用して、機械的アロディニアを隔日(注射なしの日)に試験した。全てのマウスがベースラインに達するまで、マウスのコホートで機械的アロディニアを試験した。24日目に、治療群ごとに4匹の動物を安楽死させ、組織学的染色を行った。群間の統計分析は、混合効果ANOVAを用いて行った。全てのデータは平均値+/-SEMで表し、p<0.05を有意とした。
結果:
雌マウス及び雄マウスを用いた別個の介入実験のデータを、分析のために組み合わせた。図6に示すように、最初のPTX注射後、マウスは既に後肢の機械的アロディニアを発症し始めている。4回目のPTX注射後、PWTの減少は9日目までに最大値に達した。rmメテオリンの最初の注射後、0.5mg/kgと1.8mg/kgの両治療群では、ビヒクル治療群と比較してPWTの有意な逆転が示された。この逆転は、rmメテオリン治療期間中を通じて、またその中止後にも継続した。注目すべきことに、rmメテオリンで治療したマウスでは、PTX誘発性機械的アロディニアの逆転が48日目まで続いた。
結論:
低用量及び高用量両方のrmメテオリンの反復皮下注射による介入治療は、パクリタキセル誘発性機械的アロディニアを投与開始後数日以内に完全に逆転させた。さらに、rmメテオリン治療は18日目までに完了したが、この逆転は継続し、それにより神経障害性過敏症の再発が予防された。
実施例5:メテオリンによる介入治療は後根神経節内の過興奮性マーカーのパクリタキセル誘発性免疫組織化学的変化を逆転させる
材料及び方法:
24日目に、ビヒクル皮下注射(n=3)またはrmメテオリン皮下注射(0.5mg/kg及び1.8mg/kg、各群n=3)のいずれかで予め治療した雌(合計n=9)及び雄(合計n=9)のPTXマウスからDRG組織を採取し、ペリフェリン(図示せず)、グルタミンシンテターゼ、及びコネキシン43の免疫組織化学を実施し、実施例2に記載のように分析した。
結果:
神経障害性損傷後のサテライトグリア細胞と神経細胞体との間の結合性の増加は、DRG組織内の電気的結合及び興奮性の増加に寄与し、これがひいては神経障害性疼痛の徴候として現れる。図7は、サテライトグリア細胞の特異的マーカーであるグルタミンシンテターゼ酵素(GS)のパクリタキセル媒介性発現が雌及び雄両方のマウスでrmメテオリン治療によって減少したことを示している。コネキシン43は、損傷後のDRGニューロンの過興奮性に重要な寄与を果たす重要なギャップ結合タンパク質である(Kim et al.,2016)。図7は、DRG組織内のペリフェリン染色された神経細胞体をカプセル化したPTX誘発性コネキシン43発現が、雌及び雄両方のマウスでrmメテオリンを用いた治療によって減少したことを示す。
結論:
グルタミンシンテターゼ及びコネキシン43は、行動性神経障害性過敏症に関連するDRG組織内で発生するPTX誘発性過興奮性変化の代替マーカーである。rmメテオリンの介入反復皮下注射後の両タンパク質の発現減少は、神経細胞-グリア細胞結合の減少が、雌及び雄両方のマウスでCINPの鎮痛を媒介するためにrmメテオリンが標的とする潜在的な病態生理学的機序であることを示唆している。
配列の概要
配列番号1:ヒトメテオリンcDNA
配列番号2:ヒトメテオリン全長アミノ酸配列
配列番号3:シグナルペプチドを有しないヒトメテオリンアミノ酸配列
配列番号4:マウスメテオリンcDNA
配列番号5:マウスメテオリン全長アミノ酸配列
配列番号6:シグナルペプチドを有しないマウスメテオリンアミノ酸配列
配列番号7:ラットメテオリンcDNA
配列番号8:ラットメテオリン全長アミノ酸配列
配列番号9:シグナルペプチドを有しないラットメテオリンアミノ酸配列
配列番号10:ヒトコドン最適化DNA配列
配列番号11:成熟メテオリンのコンセンサス配列

ヒトメテオリンcDNA(1109塩基対;CDS=118-999)(配列番号1)
>gi|34147349|ref|NM_024042.2|ホモサピエンス機能未知タンパク質MGC2601(MGC2601),mRNA
Figure 2024518433000003
ヒトメテオリン全長アミノ酸配列(配列番号2)
>IPI00031531.1 REFSEQ_NP:NP_076947 TREMBL:Q9UJH9
ENSEMBL:ENSP00000219542 Tax_Id=9606 C380A1.2.1(新規タンパク質)
Figure 2024518433000004
シグナルペプチドを有しないヒトメテオリンタンパク質(配列番号3)
Figure 2024518433000005
マウスメテオリンcDNA、1363塩基対、CDS 84..959(配列番号4)
NM_133719. Mus musculusメテオリン[gi:56550040]
Figure 2024518433000006
マウスメテオリン全長アミノ酸配列(配列番号5)
ref|NP_598480.1|メテオリン[Mus musculus]
Figure 2024518433000007
シグナルペプチドを有しないマウスメテオリンタンパク質(配列番号6)
Figure 2024518433000008
ラットメテオリンcDNA(1026塩基対;CDS=1-876)(配列番号7)
>gi|34870570|ref|XM_213261.2|1810034B16Rikタンパク質に類似したRattus norvegicus(LOC287151),mRNA
Figure 2024518433000009
ラットメテオリン全長アミノ酸配列(配列番号8)
>IPI00369281.1|REFSEQ_XP:XP_213261|ENSEMBL:ENSRNOP00000026676
Figure 2024518433000010
シグナルペプチドを有しないラットメテオリンタンパク質(配列番号9)
Figure 2024518433000011
構築物pCAn.メテオリン及びpT2.CAn.メテオリンに存在するコドン最適化メテオリンヌクレオチド配列(配列番号10)
Figure 2024518433000012
成熟メテオリンのコンセンサス配列(配列番号11)
Figure 2024518433000013
Xは、DNAによってコードされ得る21個のアミノ酸のいずれかである。
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Claims (42)

  1. 対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療または予防に使用するための単離されたポリペプチドであって、
    i.配列番号3のアミノ酸配列、及び
    ii.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、前記配列バリアント、
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、前記単離されたポリペプチド。
  2. 前記ポリペプチドが、化学療法治療と同時にまたは間欠的に投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  3. 前記ポリペプチドの投与が、化学療法治療の開始より前に開始される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  4. 前記ポリペプチドの投与が、化学療法治療の開始の少なくとも1日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも2日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも3日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも4日前、少なくとも5日前、または少なくとも1週間前に開始される、請求項3に記載の使用のためのポリペプチド。
  5. 前記ポリペプチドが、化学療法の各投与と併せて投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  6. 前記ポリペプチドが、化学療法治療の開始と同日、または化学療法治療の開始の少なくとも1日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも2日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも3日前、例えば化学療法治療の開始の少なくとも4日前、少なくとも5日前、少なくとも1週間前に投与される、請求項5に記載の使用のためのポリペプチド。
  7. 前記化学療法治療が、白金系薬剤、タキサン、エポチロン、ビンカアルカロイド及び半合成類似体、プロテアソーム阻害剤、または免疫調節薬、またはそれらの組み合わせの投与を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  8. 前記白金系薬剤が、カルボプラチン、シスプラチン、またはオキサリプラチンである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  9. 前記タキサンがパクリタキセルまたはドセタキセルである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  10. 前記エポチロンがイキサベピロンである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  11. 前記ビンカアルカロイドがビンクリスチンまたはビンブラスチンである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  12. 前記半合成類似体がビノレルビンまたはエリブリンである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  13. 前記プロテアソーム阻害剤がボルテゾミブである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  14. 前記免疫調節薬が、サリドマイドまたはレナリドマイドである、請求項7に記載の使用のためのポリペプチド。
  15. 治療される前記対象が、卵巣癌、乳癌、食道癌、膵臓癌、白血病、ホジキン病、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、精巣癌、膀胱癌、または多発性骨髄腫に罹患している、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  16. 前記ポリペプチドが、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは90%、より好ましくは95%、より好ましくは98%の配列同一性を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  17. 前記ポリペプチドが、配列番号11のコンセンサス配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  18. 前記ポリペプチドが、配列番号3のアミノ酸配列に対して7、28、59、95、148、151、161、219、243、及び265の位置にシステイン残基を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  19. 前記ポリペプチドが、バリアントポリペプチドであり、任意のアミノ酸置換が保存的置換である、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  20. 前記ポリペプチドが、少なくとも1つの分子内ジスルフィド架橋を形成することができる、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  21. 前記治療が、アロディニア、痛覚過敏、または自発痛の改善をもたらす、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  22. 前記アロディニアが温覚アロディニアである、請求項21に記載の使用のためのポリペプチド。
  23. 前記温覚アロディニアが冷感アロディニアまたは温熱性アロディニアである、請求項22に記載の使用のためのポリペプチド。
  24. 前記アロディニアが機械的アロディニアである、請求項21に記載の使用のためのポリペプチド。
  25. 前記痛覚過敏が機械的痛覚過敏である、請求項21に記載の使用のためのポリペプチド。
  26. 治療される前記対象が、哺乳動物、好ましくは霊長類、より好ましくはヒトである、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  27. 前記ポリペプチドが全身投与によって投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  28. 前記ポリペプチドが、非経口注射、好ましくは皮下注射または髄腔内注射によって投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  29. 前記ポリペプチドが、1μg/kg体重~10,000μg/kg体重、例えば1μg/kg体重~7,500μg/kg体重、例えば1μg/kg体重~5,000μg/kg体重、例えば1μg/kg体重~2,000μg/kg体重、例えば1μg/kg体重~1,000μg/kg体重、例えば1μg/kg体重~700μg/kg体重、例えば5μg/kg体重~500μg/kg体重、例えば10μg/kg体重~100μg/kg体重の用量で投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  30. 前記ポリペプチドが、週少なくとも1~3回、例えば週2~5回、例えば週3~6回投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  31. 前記ポリペプチドが隔日で投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  32. 前記ポリペプチドが毎日投与される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  33. 前記ポリペプチドの投与が、神経障害性疼痛の症状の発症後に開始される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  34. 前記ポリペプチドの投与が、化学療法治療の開始後に開始される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  35. 前記ポリペプチドの投与が、化学療法治療の開始後、例えば化学療法治療の開始の1日後、例えば2日後、例えば3日後、例えば4日後、例えば5日後、例えば8日後、例えば12日後に開始される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  36. 前記ポリペプチドの投与が、化学療法治療の開始後、例えば化学療法治療の開始の1週間後、例えば2週間後、例えば3週間後に開始される、先行請求項のいずれか1項に記載の使用のためのポリペプチド。
  37. 対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療または予防に使用するための単離された核酸分子であって、
    a.配列番号3のアミノ酸配列、
    b.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、前記配列バリアント、
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸配列を含む、前記単離された核酸分子。
  38. 対象における化学療法誘発性神経障害性疼痛の治療または予防に使用するためのベクターであって、請求項1~20のいずれかに記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む、前記ベクター。
  39. 核酸分子に作動可能に連結されたプロモーターをさらに含む、請求項35に記載の使用のためのベクター。
  40. 前記ベクターが、アルファウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、バキュロウイルス、HSV、コロナウイルス、ウシパピローマウイルス、及びMo-MLVからなる群から選択され、好ましくはアデノ随伴ウイルスである、請求項38または39のいずれかに記載の使用のためのベクター。
  41. 後根神経節におけるグルタミンシンテターゼ発現の減少を必要とする対象において、後根神経節におけるグルタミンシンテターゼ発現を減少させるための方法であって、
    a.配列番号3のアミノ酸配列、
    b.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、前記配列バリアント、
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与し、
    それにより後根神経節におけるグルタミンシンテターゼの発現を減少させることを含む、前記方法。
  42. 後根神経節におけるコネキシン43発現の減少を必要とする対象において、後根神経節におけるコネキシン43発現を減少させるための方法であって、
    a.配列番号3のアミノ酸配列、
    b.配列番号3のアミノ酸配列の生物学的に活性な配列バリアントであって、配列番号3に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、前記配列バリアント、
    からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むポリペプチドを投与し、
    それにより後根神経節におけるコネキシン43の発現を減少させることを含む、前記方法。
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