JP2024515712A - 液状のモノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物及びそれらの製造方法 - Google Patents

液状のモノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

高濃度のモノアルキル化されたPANA、低レベルのジアルキル化されたPANA、及び1質量%未満の非置換PANAを含む、液状のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン(PANA)組成物が開示されている。この新規な組成物は、プロピレンのオリゴマーを用いたPANAの制御されたアルキル化、及びそれに続く、少なくとも1種の第2のオレフィンを用いたアルキル化によって調製することができる。

Description

ある種のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミンは、各種の燃料及び潤滑剤、たとえば鉱油及び合成油のための抗酸化剤として周知である。たとえば、ジイソブチレンを用いたN-フェニル-α-ナフチルアミン(PANA)の触媒アルキル化から誘導されるN-p-t-オクチル-フェニル-α-ナフチルアミンは、市販されている結晶性粉体の形態にある抗酸化剤である。ジイソブチレンを用いてPANAを触媒法アルキル化することによる、p-オクチル化されたα-又はβ-PANAの調製は、(特許文献1)に記載されている。(特許文献2)にさらに記載されているように、その反応生成物は、固体の形態であるが、その理由は、その反応生成物を高い純度、且つ低微粉固形物で得るためには、溶媒中で再結晶が必要であるからである。液状添加剤に比較して、固体の形態にある添加剤は望ましくなく、典型的には、使用する際に、追加の工程及び安全に関する手段が必要となり、貯蔵及び取扱いの点で、不便で、低効率であるという難点を有している。
(特許文献3)では、液状の形態にある抗酸化剤の利点を認識しており、α-又はβ-PANAをプロピレンのトリマーと反応させることによる、液状のモノp-アルキル化されたPANA組成物(これは、分岐状のアルケン異性体、主としてプロピレンをオリゴマー化することにより誘導されるノネンの分岐状の異性体の、複雑な混合物である)を調製する方法が開示されている。(特許文献1)に記載されているモノ-第三級アルキル化されたPANAとは異なって、(特許文献3)に開示されているノニル化されたα-又はβ-PANAには、多くの非対称のノニル基を含めて、各種の立体配置を有する分岐状のノニル置換基が含まれており、(特許文献3)では、これが反応生成物の結晶化を防止すると記述している。
(特許文献4)には、PANAを、プロピレンのテトラマー及びプロピレンのペンタマーと反応させることによる、液状のモノp-アルキル化されたα-PANA組成物を調製する方法が開示されている。その特許には、そのようにして得られたアルキル化されたPANA組成物が、プロピレン又はイソブチレンのダイマー又はトリマーを用いてアルキル化されたPANAに比較して、潤滑油中での酸化により形成される分解生成物の溶解度が改良されることが理由で、スラッジを形成する傾向が低いと記載されている。
(特許文献5)が認識するところでは、モノp-アルキル化されたPANAが、合成のエステル潤滑剤の中での有用な抗酸化剤であり、そしてさらには、Vanlube(登録商標)9317のようなオリゴマー系アミン抗酸化剤を製造するための2つの重要な原料の1つであるが、それに対して、ジ-アルキル化されたPANAは、そのようなことができない。その公刊物では、クレー触媒の存在下に、オレフィンを用いて、アルキル化されていないフェニルアミンをアルキル化することにより、アルキル化されたフェニルナフチルアミン組成物を製造する方法を開示している。そのアルキル化されたジフェニルアミン組成物には、5質量%以下のアルキル化されていないPANA及び5質量%以下のポリアルキル化されたPANAが含まれている。その公開特許では、1つの特定の実施例(実施例3)において、ガスクロマトグラフィーで測定して、2%のPANA及び95%を超えるモノ-ノニルPANAを含む、液状のアルキル化されたPANAの調製が記載されている。その公開特許に開示された手順を繰返すことにより比較実験を実施したが、達成されたモノ-ノニルPANAの最高純度は91%であった。
ここで説明し、示したように、(特許文献4)及び(特許文献3)に開示されているような、公知の、プロピレンのオリゴマーを用いたPANAのアルキル化は、ジイソブチレンを用いたPANA触媒法アルキル化に比較して、比較的に、より低い濃度のモノ-アルキル化されたPANA、より高い濃度のジ-アルキル化されたPANA、及びより高い濃度の残存未反応PANAを有する組成物を与える。典型的には、これら公知の、プロピレンのオリゴマーを用いたPANAのアルキル化では、プロピレンのトリマーを使用した場合では、93質量%未満のモノ-アルキル化されたPANA、そしてプロピレンのテトラマーを使用した場合では90質量%未満のモノアルキル化されたPANAが含まれる、反応生成物の混合物が得られる。従って、非置換及び置換のPANAの合計質量を基準にして、4質量%を超える(多くの場合、5質量%を超える)ジ-アルキル化されたPANA、プロピレンのトリマーを使用した場合で2質量%を超える残存非置換PANA、そしてプロピレンのテトラマーを使用した場合で5質量%を超える残存非置換PANAが含まれる。それとは対照的に、(特許文献2)に開示されている、ジイソブチレンを用いたPANAのアルキル化から誘導された組成物には、95質量%以上のモノ-オクチルα-PANA及び2質量%以下(多くの場合、1質量%未満)の非置換PANAが含まれる。
米国特許第3,414,618号明細書 国際公開第2010/017030A1号パンフレット 英国特許第1,552,720号明細書 米国特許第4,770,802号明細書 国際公開第01/23343A号パンフレット
非置換PANAは、ますます、環境及び安全の面で注目の的となってきている。さらには、PANAは、固体であり、多くの一般的に使用される基油の中への溶解度が低く、そして、酸化された際にスラッジを形成する傾向がある。工業界には、非置換PANAの含量レベルが低い、液状の形態にあるアルキル化されたα-PANA製品を製造するという、未達の必要性が存在している。さらには、本開示に従って、当該技術分野において公知の液状のアルキル化されたα-PANA組成物に比較して、より高い比率のモノ-アルキル化されたα-PANA(すなわち、より低い比率のジ-アルキル化されたα-PANA)を含む、液状の形態にあるアルキル化されたα-PANA組成物を製造して、抗酸化性能を増大或いは最大化させることが望ましい。
本開示の組成物及び製造方法は、これらのニーズに適合し、当該技術分野の、上述の限界を克服する。具体的には、本開示のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物には、組成物の中の非置換及び置換のPANAの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%(多くの場合、97質量%を超える)のモノアルキル化されたPANAの混合物、及び1質量%未満(多くの場合、0.7質量%未満)の非置換のPANAが含まれる。その組成物の中のモノアルキル化されたPANAの濃度がこのように、より高いこと(すなわち、その組成物の中の非置換PANA、及び過アルキル化された(特に、ジアルキル化された)PANAの両方の比率が低いこと)によって、より高い濃度の非置換PANAの望ましくない影響が回避されると共に、ジアルキル化されたPANAの比率が低いことが理由で、その組成物の抗酸化性能が増大又は最大化される。それに加えて、ここで開示された組成物の中での望ましいモノアルキル化されたPANAの濃度の高さが、市販されている結晶性のモノ-p-t-オクチル化されたPANAの高い純度レベルと同等であり、さらに、重要なことには、本開示の組成物は、周囲温度(ambient temperature)で液体であるという利点を有している。
本開示の液状のアルキル化されたPANA組成物は、本明細書に記載されているようにして、2種の異なったオレフィンのアルキル化物質、すなわち、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物、それに続けての、本明細書に記載されている、少なくとも1種の第2のオレフィン、たとえばジイソブチレン及び/又はα-メチルスチレンを用いた、PANAの触媒法アルキル化によって調製することができる。プロピレンのオリゴマーによって最初にアルキル化される非置換PANAと、第2のオレフィンによってアルキル化される残存の非置換PANAの量との比率を制御して、そのようにして得られるアルキル化されたPANA組成物が、その組成物の中の非置換及び置換のPANAの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%のモノアルキル化されたPANAの混合物及び1質量%未満の非置換PANAを含み、そして周囲温度で液体であるようにする。本明細書においてさらに詳しく説明するように、第1のアルキル化反応において、プロピレンのトリマー、テトラマー、及び/又はペンタマーを用いてアルキル化されたPANAを適切な量で生成させると、望ましくない、高レベルの過アルキル化された(特にはジアルキル化された)PANAを生成させることなく、液状の形態にある最終的な反応生成物の混合物を安定化させるであろう。第2のアルキル化反応において、本明細書に記載されているようにして、少なくとも1種の第2のオレフィンを用いて残存の未反応PANAをアルキル化させると、そのような残存のPANAを、モノアルキル化されたPANAに選択的に転化させて、本開示に記載されているように、その反応生成物の混合物の中での、非置換PANA及び過アルキル化された(特には、ジアルキル化された)PANAの両方が低レベルとなるであろう。
本出願を通して、単数の名詞は、特に断らない限り、1つ又は複数を意味している。
本開示の目的のためには、「モノアルキル化された」PANAは、PANA(すなわち、N-アルキル-フェニル-α-ナフチルアミン)のフェニル環の上でのモノアルキル置換を指している。
1つの態様においては、本開示は、以下のものを含むアルキル化されたPANA組成物を目的としている:
その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%、たとえば、少なくとも97質量%、又は少なくとも98質量%の、以下のものの混合物:
(a)式Iで表される、モノアルキル化されたPANAの異性体の混合物:
(式中、Rは、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物から誘導される、分岐状のアルキルを表す)、及び
(b)式IIで表される、少なくとも1種のモノアルキル化されたPANA:
[式中、Rは、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物からは誘導されていない式IIIの基であるか、又は、式IVの基である:
(式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC1~12アルキル(たとえば、C1~8アルキル又はC1~4アルキル)であり、そしてRは、H、又は直鎖状若しくは分岐状のC1~12アルキル(たとえば、C1~8アルキル又はC1~4アルキルである))];並びに
その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、1質量%未満、たとえば、0.7質量%未満の、非置換PANA(ここで、その組成物は、周囲温度において液体である)。
多くの実施形態においては、その組成物の中の非置換及び置換のPANAの合計質量を基準にして、97質量%又はそれ以上が、上述の成分(a)と(b)との混合物である。
多くの場合、その組成物中に非置換PANAが、その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして0.7質量%以下、たとえば、0.6質量%以下、0.5質量%以下で存在している。
典型的には、その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、4質量%以下、たとえば3質量%未満、2質量%以下、又は1質量%以下が、過アルキル化されたPANA、特にはジアルキル化されたPANAである。
上記のように、成分(a)は、式I:
(式中、Rは、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物から誘導される、分岐状のアルキルを表す)
で表される、モノアルキル化されたPANAの異性体の混合物である。
当該技術分野で理解されているように、そして本明細書で使用するとき、「プロピレンのトリマー」、「プロピレンのテトラマー」、及び「プロピレンのペンタマー」のそれぞれは、プロピレンをオリゴマー化することにより誘導される分岐状のアルケン異性体の複雑な混合物である。プロピレンのトリマー、テトラマー、及びペンタマーは、それぞれ、C-、C12-、及びC15-異性体が主体となっている。当該技術分野では理解されるであろうが、ある程度の量の他の長さの炭素鎖が、プロピレンのトリマーの場合においてはC異性体の他に(たとえばC及びC10)、プロピレンのテトラマーの場合においてはC12異性体の他に(たとえばC11及びC13)、そしてプロピレンのペンタマーの場合においてはC15異性体の他に(たとえばC14及びC16)が存在している可能性がある。本開示に好適なプロピレンのトリマー、テトラマー、及びペンタマーは公知であり、市場で入手することが可能であるか、又は公知のオリゴマー化方法によって調製することができる。多くの場合、少なくとも60質量%、少なくとも70質量%、少なくとも80質量%、又はそれより多量のプロピレンのオリゴマーが、C異性体(プロピレンのトリマーの場合)、C12異性体(プロピレンのテトラマーの場合)、又はC15異性体(プロピレンのペンタマーの場合)であろう。
式Iで表されるモノアルキル化されたPANAの異性体の混合物の中のRの実質的に全部(たとえば、その異性体の混合物の、少なくとも97質量%、98質量%、又はそれ以上)が、次式のように、窒素に結合されたフェニル環のパラ位にあると考えられる。
多くの実施形態においては、式Iの中のRが、プロピレンのトリマー及びプロピレンのテトラマーから選択されるアルケン異性体の混合物から誘導される分岐状のアルキルを表している。多くの場合、そのアルケン異性体の混合物が、プロピレンのテトラマーである。
式Iで表される、モノアルキル化されたPANAの異性体の混合物である成分(a)は、それ自体、周囲温度において液体である。このことは、各種の立体配置(それらの多くは、非対称である)を有する混合物における、分岐状のアルキル置換基の異性体的性質に帰せられる。
成分(b)は、先に挙げたように、式II:
[式中、Rは、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物からは誘導されていない式IIIの基であるか、又は、式IVの基である:
(式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC1~12アルキル(たとえば、C1~8アルキル又はC1~4アルキル)であり、そしてRは、H、又は直鎖状若しくは分岐状のC1~12アルキル(たとえば、C1~8アルキル又はC1~4アルキルである))]で表される、少なくとも1種の、モノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミンである。
多くの場合、Rは、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、又はt-ブチルから選択される。多くの実施形態においては、Rがt-ブチルである。
多くの場合、Rは、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、sec-ブチル、イソブチル、又はt-ブチルから選択される。多くの実施形態においては、Rは、H及びメチルから選択される。多くの場合、RがHである。
多くの実施形態においては、Rが、以下のものから選択される。
たとえば、多くの場合、Rは主としてt-オクチルである、すなわち、Rが、成分(b)のモノアルキル化されたPANAの50質量%より大、たとえば60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又はそれ以上のt-オクチルである。
成分(b)は、典型的にはそれ自体、周囲温度において固体である。
ある種の実施形態においては、式Iの中のRが、プロピレンのトリマー及び/又はプロピレンのテトラマーから誘導される分岐状のアルキルを表し、そして式IIの中のRが、t-オクチル及び2-フェニル-2-プロピルから選択され、たとえば、Rが主としてt-オクチルである。
混合物の中での成分(a)対成分(b)の質量比を選択して、そのアルキル化されたPANA組成物が周囲温度で液体であるようにする。本開示の目的のためには、「周囲温度」は20~25℃の範囲の温度を意味している。ここで開示されたアルキル化されたPANA組成物に関連して本明細書で使用するとき、「液体」という用語は、周囲温度で少なくとも30日間貯蔵した後でも、液状の形態で留まっている液状の物理的形態を指している。典型的には、本開示のアルキル化されたPANA組成物は、周囲温度で、60日以上、多くの場合90日以上、たとえば180日以上、270日以上、又は2年以上液状の形態に留まっている。典型的には、そのアルキル化されたPANA組成物は、たとえば10℃、5℃、0℃、又はそれ以下のような低温、たとえば、0℃~、5℃~、又は10℃~60℃の広い温度範囲で、液状の形態に留まっている。
本開示のアルキル化されたPANA組成物における、成分(b)対成分(a)の質量比を調節して、その組成物の液状の性質及び性能(特には、酸化制御性)を最適化させることも可能である。たとえば、その比率を最適化させて、所望の液状の組成物を達成させながらも、最適な酸化制御性のための、アルキル化されたPANA組成物における高い窒素含量(N質量%)を維持又は最大化させることも可能である。一般的に、その組成物の中の成分(b)対成分(a)の最適化された比率は、式IとIIとの具体的な化学に依存する。典型的には、成分(b)が、成分(a)に対して質量で、少しでも超えないようにする。多くの実施形態においては、成分(b)の質量が、その混合物の中の成分(a)の質量とほぼ同じか、又はそれよりも少ない。たとえば、多くの実施形態においては、式IIで表されるモノアルキル化されたPANA(すなわち、成分(b))の、式Iで表されるモノアルキル化されたPANAの異性体の混合物(すなわち、成分(a))に対する質量比が、約1.2:1~約0.15:1、たとえば、約1:1~約0.15:1、たとえば約1:1~約0.25:1、約0.85:1~約0.25:1、又は約0.7:1~約0.4:1である。
ある種の実施形態においては、式Iの中のRが、プロピレンのテトラマーから誘導される分岐状のアルキルを表し、式IIの中のRが、t-オクチル及び2-フェニル-2-プロピルから選択され(たとえば、Rがt-オクチルである)、そして式IIで表される、モノアルキル化されたPANA(すなわち、成分(b))の、式Iで表される、モノアルキル化されたPANAの異性体の混合物(すなわち、成分(a))に対する質量比が、約0.85:1~約0.25:1、たとえば約0.7:1~約0.4:1である。
本開示のアルキル化されたPANA組成物は、典型的には100℃で60cSt未満、特には100℃で、多くの場合、50cSt未満、40cSt未満、又は30cSt未満の、ASTM D445に従った動粘度を有している。
本明細書に開示されているのはさらに、本開示のアルキル化されたPANA組成物を製造するためのプロセスである。
1つの態様においては、アルキル化されたPANA組成物を製造するためのプロセスには、
(i)非置換のPANA、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物、並びに酸性アルキル化触媒を含む反応混合物を反応させて、モノアルキル化されたPANAの異性体の混合物及び残存の非置換PANAを含む中間反応混合物を形成させるステップ、及び
(ii)式Va、Vb、及びVI:
[式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC1~12アルキル(たとえば、C1~8アルキル又はC1~4アルキル)であり、そしてRは、H、又は直鎖状若しくは分岐状のC1~12アルキル(たとえば、C1~8アルキル又はC1~4アルキルである)]のオレフィンから選択される、少なくとも1種の第2のオレフィン
を中間反応混合物に添加して、酸性アルキル化触媒の存在下に、中間反応混合物を反応させて、アルキル化されたPANA組成物を製造するステップ、
を含み、
ここで、ステップ(i)におけるアルケン異性体の混合物によってアルキル化された反応混合物の中の非置換PANAの比率、及びステップ(ii)における、第2のオレフィンによってアルキル化された残存の非置換PANAの量を制御して、そのようにして得られるアルキル化されたPANA組成物が、
(1)その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%、たとえば、少なくとも97質量%、又は少なくとも98質量%の、モノアルキル化されたPANAの混合物を含み、
(2)その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、1質量%未満、たとえば、0.7質量%未満又は0.5質量%未満の非置換PANAを含み、そして
(3)周囲温度において液体である、
ようにする。
上記のように、多くの実施形態においては、その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、そのようにして得られるアルキル化されたPANA組成物の、97質量%、98質量%、又はそれ以上が、モノアルキル化されたPANAの混合物である。
多くの場合、そのようにして得られる組成物の中の非置換PANAは、その組成物の中の非置換及び置換のPANAの合計質量を基準にして、1質量%以下、たとえば0.7質量%以下、0.6質量%以下、又は0.5質量%以下の量で存在している。
典型的には、その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、そのようにして得られる組成物の4質量%以下、たとえば、3質量%未満、2質量%以下が、過アルキル化されたPANA、特にはジアルキル化されたPANAである。
上記のステップ(i)及び(ii)のアルキル化反応は、酸性触媒によって触媒反応をさせるフリーデル-クラフツタイプの反応である。ステップ(i)及び(ii)で使用される酸性アルキル化触媒が同一である必要はないが、多くの場合、同一である。本開示が特定のタイプの酸性アルキル化触媒に限定される訳ではなく、フリーデル-クラフツタイプの反応のための、広く各種のそのような触媒が、そのような触媒の混合物も含めて、当該技術分野では公知である。たとえば、適切な触媒としては、酸性クレー、及び金属のハロゲン化物、たとえばAlCl、ZnCl、FeCl、SnCl、TiClなどが挙げられる。そのプロセスで、酸性クレー触媒を使用するのが好ましい。酸性クレー触媒では、モノアルキル化されたPANAの形成を好適に容易とすることに加えてさらに、低着色の反応生成物を作成し、そして容易に除去できるということが期待される。その酸性クレー触媒が、酸で活性化されたモンモリロナイトであるのが好ましい。
好適な酸性クレーの例としては、以下のものが挙げられる:酸で活性化された、ベントナイトに基づくクレー、たとえばF-20X、F-24X、及びF-25X(EP Engineered Clays製)、及びTonsil(登録商標)(Clariant製)、並びに酸で活性化されたフィロケイ酸塩、たとえば、Fulcat(登録商標)の名称で市販されており、たとえばFulcat(登録商標)-22B、-22F、及び-435(BYK division of ALTANA製)である。
ステップ(i)においては、非置換PANA、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物、並びに酸性アルキル化触媒を含む反応混合物を反応させて、モノアルキル化されたPANAの異性体の混合物及び残存の非置換PANAを含む中間反応混合物を形成させる。その反応混合物の中のアルケン異性体の混合物は、本明細書に記載されているように、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、プロピレンのペンタマー、又はそれらの各種組合せであってよい。多くの実施形態においては、そのアルケン異性体の混合物が、プロピレンのトリマー及びプロピレンのテトラマーから選択される。多くの場合、そのアルケン異性体の混合物が、プロピレンのテトラマーである。
中間反応混合物の中に形成されるモノアルキル化されたPANAの異性体の混合物は式Iで表され、本明細書では、成分(a)として記載されている。以下においてさらに詳しく説明するが、ステップ(i)の反応混合物の中の非置換PANAのほんの一部が、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及び/又はプロピレンのペンタマーによってアルキル化され、従って、ステップ(i)におけるアルキル化で形成された中間反応混合物の中に、かなりの量の残存の非置換PANAが残る。
ステップ(ii)において、その中間反応混合物に、少なくとも1種の第2のオレフィンが添加され、その中間反応混合物が、酸性アルキル化触媒の存在下に反応して、アルキル化されたPANA組成物を形成する。その少なくとも1種の第2のオレフィンは、式Va、Vb、及びVI:
(式中のR及びRは、先の式III及びIVにおけるR及びRに相当する)
のそれらから選択される。式Va、Vb、及びVIのオレフィンは公知であり、市場で入手することが可能であるか、及び/又は公知の方法によって調製することができる。
多くの場合、その少なくとも1種の第2のオレフィンは、ジイソブチレン、α-メチルスチレン、又はそれらの各種組合せである。多くの実施形態においては、その第2のオレフィンがジイソブチレンである。たとえば、多くの場合、第2のオレフィンの、少なくとも50質量%、たとえば60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、98質量%以上、又はそれ以上が、ジイソブチレンである。多くの実施形態においては、その第2のオレフィンがジイソブチレンである。
いくつかの実施形態においては、そのアルケン異性体の混合物が、プロピレンのトリマー及び/又はプロピレンのテトラマーであり、そしてその少なくとも1種の第2のオレフィンが、ジイソブチレンである。
第1のアルキル化反応からの中間反応混合物の中に存在する過剰のプロピレンのオリゴマーは、多くの場合、少なくとも1種の第2のオレフィンを添加するより前に、その中間反応混合物から、(たとえば、多くの場合真空下でのストリッピング又は蒸留により)除去し、プロセスの中で再利用するためにリサイクルさせてもよい。別な方法として、その少なくとも1種の第2のオレフィンが、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物よりも反応性が高いので、第2のオレフィンを添加するより前に中間反応混合物から過剰のプロピレンのオリゴマーを除去することなく、そのプロセスを実施することも可能である。
ステップ(ii)におけるアルキル化に触媒作用を与えるために、その中間反応混合物に対して、追加の酸触媒を添加してもよい。ステップ(i)からの酸触媒を、少なくとも1種の第2のオレフィンを添加するより前に、その中間反応混合物から(たとえば濾過により)除去してもよいが、除去が必須という訳ではない。ステップ(i)からの触媒を、第2のオレフィンを添加するより前に、その中間反応混合物から除去するのであれば、その中間反応混合物に、追加の酸触媒を添加して、ステップ(ii)におけるアルキル化に触媒作用を与える。そのプロセスの中で再利用するために、その酸触媒をリサイクルさせてもよい。
ステップ(ii)においては、式Va、Vb、及びVIのオレフィンから選択される少なくとも1種の第2のオレフィンが、中間反応混合物の中の残存の非置換PANAと、効率的且つ選択的に反応して、式IIで表されるモノアルキル化されたPANA(本明細書で成分(b)として記載されている)が形成される。
ここで重要なことであるが、ステップ(i)においてアルケン異性体の混合物によってアルキル化された反応混合物の中の非置換PANAと、ステップ(ii)において、少なくとも1種の第2のオレフィンによってアルキル化された残存の非置換PANAの量との比率を制御して、そのようにして得られるアルキル化されたPANA組成物が、
(1)その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%、たとえば、少なくとも97質量%、又は少なくとも98質量%のモノ-アルキル化されたPANAの混合物(すなわち、先に述べた成分(a)及び成分(b)の混合物)を含み、そして
(2)その組成物の中の、非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、1質量%未満、たとえば、0.7質量%未満又は0.5質量%未満の非置換PANAを含み、そして
(3)周囲温度において液体である、
ようにする。
具体的には、ステップ(i)において、アルケン異性体の混合物によってアルキル化された反応混合物の中の非置換PANAの比率を制御して、最終的なアルキル化されたPANA組成物が、周囲温度でにおいて液体であるようにし、そして過アルキル化(over-alkylated)された(特には、ジアルキル化された)PANAの生成を制限するが、その生成は、典型的には、プロピレンのオリゴマーを用いたPANAのアルキル化の最終段階で、PANAがますます転化されている場合に起きることが見出されている。これに関連して、反応混合物の中の非置換PANAの十分な割合のものが、アルケン異性体の混合物によってアルキル化されると、(次いで、ステップ(ii)において、少なくとも1種の第2のオレフィンを用いたアルキル化の後で形成される)最終的なアルキル化されたPANA組成物が、確かに、周囲温度において液体となるであろう。しかしながら、プロピレンのオリゴマーによってアルキル化された非置換PANAの比率が十分に高くないと、ジアルキル化されたPANAの生成をもたらし、そのことが、(次いで、ステップ(ii)において、第2のオレフィンを用いたアルキル化の後に形成される)最終反応生成物が、モノアルキル化されたPANAを95質量%未満でしか含まない原因となるであろう。
ステップ(ii)において、その中間反応混合物の中の残存の非置換PANAが、少なくとも1種の第2のオレフィンによってアルキル化されて、そのようにして得られるアルキル化されたPANA組成物の中の非置換PANAの濃度が、その最終組成物の中の置換及び非置換のPANAの合計質量を基準にして、1質量%未満、たとえば、0.7質量%未満、又は0.5質量%未満であるようになる。
多くの場合、反応混合物の中の非置換PANAの、少なくとも40%、たとえば少なくとも45%、少なくとも50%、又は少なくとも55%、且つ85%以下、多くの場合80%以下、たとえば75%以下、又は70%以下が、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物によってアルキル化される。ある種の実施形態においては、そのアルケン異性体の混合物がプロピレンのトリマーであり、そしてそのプロピレンのトリマーによってアルキル化された反応混合物の中の非置換PANAの比率が、少なくとも40%、たとえば少なくとも45%、少なくとも50%、又は少なくとも55%、且つ、85%以下、たとえば80%以下、又は75%以下である。ある種の実施形態においては、そのアルケン異性体の混合物がプロピレンのテトラマーであり、そしてそのプロピレンのテトラマーによってアルキル化された反応混合物の中の非置換PANAの比率が、少なくとも40%、たとえば少なくとも45%、少なくとも50%、又は少なくとも55%、且つ、80%以下、たとえば75%以下、又は70%以下である。
プロピレンのオリゴマーによってアルキル化することが可能であり、さらには、(上限の場合においては)ジアルキル化されたPANAの生成を十分に抑制し、(下限の場合においては)液状の最終反応生成物が確保できるような、非置換PANAの比率の精確な上限及び下限は、そのアルキル化反応で使用される特定のアルケン異性体の混合物及び少なくとも1種の第2のオレフィンの素性(そのようなオレフィンは、本明細書において製造される、式Iのモノ-アルキル化されたPANAの異性体の混合物及び式IIのモノ-アルキル化されたPANAの特定の化学物質を支配する)、さらには触媒のタイプ、並びに反応条件、たとえば反応温度に応じて変化するであろう。
一般的には、その反応条件、たとえば、温度、圧力、反応成分の濃度などは、当該技術分野で公知の他の同様なフリーデル・クラフツ反応で使用される条件と同様である。好適な反応条件の例としては、以下で記述されるものが挙げられるが、それらに限定される訳ではない。
多くの場合、ステップ(i)における、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物の、アルキル化される非置換PANAに対するモル比は、約2.5:1~約3.5:1、多くの場合、約2.8:1~約3.2:1の範囲である。多くの場合、ステップ(i)における、酸性アルキル化触媒と、アルキル化される非置換PANAとの質量比は、約0.2:1~約1:1、多くの場合約0.4:1~約0.8:1の範囲である。
ステップ(i)における、アルケン異性体の混合物を用いた非置換PANAのアルキル化反応のための好適な反応温度は、多くの場合約100~約200℃、多くの場合約130~約160℃の範囲である。
そのプロセスは、その反応混合物を調製するためのいかなる特定の技術にも限定される訳ではない。反応成分は、単回仕込み又は複数回の添加として、反応混合物の中への一定速度又は可変速度での計量添加、又はその他の添加方法などで添加することができる。
非置換のPANAと、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物との反応は、先に述べたように、目標としている比率の非置換PANAがアルキル化されるまで進行させることができる。
ステップ(ii)のアルキル化反応において、多くの場合、その少なくとも1種の第2のオレフィンと、その中間反応混合物の中の残存の非置換PANAとのモル比は、約2:1~約7:1、多くの場合、約3:1~約5:1の範囲である。そのプロセスは、その中間反応混合物に、少なくとも1種の第2のオレフィンを添加するためのいかなる特定の方法にも限定される訳ではない。第2のオレフィンは、単回仕込み又は複数回の添加として、中間反応混合物の中への一定速度又は可変速度での計量添加、又はその他の添加方法などで添加することができる。
多くの場合、その酸性アルキル化触媒と、その中間反応混合物の中の残存の非置換PANAとの質量比は、約0.4:1~約1:1、多くの場合、約0.6:1~約0.8:1の範囲である。
ステップ(ii)における、少なくとも1種の第2のオレフィンを用いた残存の非置換PANAのアルキル化反応に適した反応温度は、多くの場合、約100~約160℃、多くの場合、約110~約140℃の範囲である。
中間反応混合物の中の残存する非置換PANAと第2のオレフィンとの反応は、その反応生成物の中の非置換PANA濃度が、その反応生成物の中の置換及び非置換のPANAの合計質量を基準にして、1質量%未満、たとえば、0.7質量%未満又は0.5質量%未満になるまで進行させることができる。
本開示のアルキル化反応は、特定のタイプの反応容器に限定される訳ではなく、開放反応容器中、たとえば還流条件下において、又は密閉反応容器中加圧下で、多くの場合60psig未満、たとえば40psig未満、又は20psig未満の圧力を用いて実施することができる。その反応は、添加した有機溶媒の存在下で実施してもよいが、多くの場合、添加する溶媒無しで実施される。
先に、アルキル化されたPANA組成物における成分(b)と(a)との質量比について記述したのと同様に、プロピレンのオリゴマーによりアルキル化された非置換PANAと、少なくとも1種の第2のオレフィンによってアルキル化された残りの非置換PANAとの比率を調節して、その組成物の液性及び性能(特に、酸化制御性)を最適化させうる。たとえば、特定のプロピレンのオリゴマー、触媒、及び第2のオレフィンの所定の反応系で、上述の性能を最適化させて、所望の液状の組成物を達成させながらも、最適な酸化制御性のために、そのようにして得られるアルキル化されたPANA組成物の中での高い窒素含量(N質量%)を維持又は最大化しうる。
酸性アルキル化触媒は、濾過法又はその他の公知の分離方法により、そのアルキル化されたPANA組成物から除去することができる。未反応のオレフィン(及びオレフィンの副生成物)は、公知の方法、たとえばストリッピング又は蒸留(多くの場合真空下)により、アルキル化されたPANA組成物から除去することができる。未反応のプロピレンのオリゴマー及び第2のオレフィンをリサイクルして、そのプロセスで再利用しうる。
本開示のアルキル化されたPANA組成物は、たとえば潤滑剤及びポリマーのための抗酸化剤として有用である。具体的には、そのアルキル化されたPANA組成物は、産業用、船舶、航空機、自動車、及びグリース用途における潤滑剤において、具体的には、たとえばモーター、エンジン、タービン、チェーン、ギア、油圧機器、コンプレッサー、及びその他の潤滑油及び流体において、さらには産業用及び自動車用のグリース用途において、優れた抗酸化活性を与える。
1つの実施形態においては、潤滑油組成物に、(A)潤滑油及び(B)本開示のアルキル化されたPANA組成物が抗酸化力を与えるに有効な量で含まれている。その潤滑油は、目的の用途に適した潤滑粘度の、天然、合成、又はそれらの混合物など、いかなる潤滑油であってもよく、広く各種の潤滑油が、当該技術分野では公知である。多くの実施形態においてはその潤滑油が主成分である、すなわち、その潤滑油組成物の質量を基準にして、50質量%を超える量、たとえば、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、又は98質量%以上の量で存在している。
多くの実施形態においては、ここで開示されたアルキル化されたPANA組成物は、潤滑油組成物の中に、その潤滑油組成物の合計質量を基準にして、約0.1~約10質量%、多くの場合約0.2~約5質量%、約0.2~約3質量%、又は約0.5~2質量%の量で存在させる。
その潤滑油組成物には、そのような組成物に一般的に使用される、各種のその他の添加剤が含まれていてよく、そのようなものとしてはたとえば、以下のものが挙げられる:分散剤、清浄剤、腐食/さび抑制剤、他の抗酸化剤、抗摩耗剤、消泡剤、摩擦調節剤、シール膨潤剤、乳化剤、VI向上剤、流動点降下剤など。これらの添加剤のタイプと使用は、公知であり、たとえば米国特許出願公開第2019/01277656号明細書(この明細書を参照により引用して本明細書に援用する)に記載され、潤滑油組成物の配合で有用なそのような追加の添加剤が開示されている。
一般的に、潤滑油組成物には、典型的には、約0.2~約30質量%、たとえば約0.2~約20質量%、約0.2~約15質量%、約0.5~約10質量%、又は約0.5~約5質量%の範囲の合計濃度で添加剤が含まれている。
分析手順
ガスクロマトグラフィー:
製品の組成、及び反応操作の際に反応器から抜き出した反応混合物の組成は、キャピラリーカラムガスクロマトグラフィーにより分析して、それらの化学組成を求めた。下記の表で示す、非置換の及びアルキル化されたPANA成分についての質量パーセントは、それぞれの組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にしたものである。
窒素含量:
窒素含量(質量%)は、デュマ法に従い、元素分析により測定した。
物性解析:
動粘度は、ウベローデ法に従い、規定温度100℃において測定した。
性能試験
耐油酸化性は、ASTM D2272に準拠して、150℃において回転圧力容器式酸化試験法(RPVOT)で測定した。酸化誘導時間は、分の単位で報告した。耐油酸化性はさらに、ASTM D6186に準拠し、195℃において圧力差走査熱量測定法(PDSC)でも測定した。酸化誘導時間は、分の単位で報告した。
比較例1
Irganox(登録商標)L06の名称で粉体として市販されている高純度のN-p-t-オクチルフェニル-α-ナフチルアミンの製品の組成を、ガスクロマトグラフィーで測定し、その結果を表1(比較例1参照)に示す。
比較例2
Naugalube(登録商標)APANの名称で液体として市販されている、アルキル化されたPANA組成物の製品の組成をガスクロマトグラフィーで測定し、その結果を表1(比較例2参照)に示す。Naugalube(登録商標)APANは、公知の、プロピレンのテトラマーと用いてのPANAのアルキル化によって誘導されている。
比較例3(国際公開第01/23343A号の実施例3を参照し、スケールアップファクター2を使用)
Parr反応器に、45.1グラムのN-フェニル-1-ナフチルアミン及び9.7グラムのF-20X(EP Engineered Clays製)を仕込み、その反応器を、Nを用いて50psigに加圧し、3回ベントした。その反応器を加熱して55℃とし、その時点で攪拌を開始した。温度約105℃となるまで、その反応器の加熱を続けた。その反応器をベントしてから密閉した。その反応器に、132.1グラムのプロピレンのトリマー(Imperial oil,Sarnia,Ontario CA)を、30分かけて添加したが、その際、反応器の温度を15分かけて150℃まで昇温させ、さらに15分間、温度150℃に保持した。プロピレンのトリマーの添加が完了したら、反応器温度を142℃に設定し、142℃で4時間保持した。その反応が完了したら、濾過法により酸性クレーを除去し、そのようにして得られた濾液を、徐々に減圧しながら加熱して、未反応のプロピレンのトリマーを除去した。最終的な蒸留温度は170℃、真空は2mmHgであった。透明で淡黄色の粘稠液状物(66.5g)が得られ、さらなる精製は行わなかった。約91グラムの留出物が受器に採取された。その留出物のガスクロマトグラフィー組成では、PANAが検出されないことを示した。粘稠液状物の組成をガスクロマトグラフィーにより測定し、それらの結果を表1(比較例3参照)に示す。
実施例1~4 - 一般的な合成方法:
実施例1
Parr反応器に、周囲温度において、80.1g(0.37モル)のフェニル-α-ナフチルアミン(PANA)、40.1gの酸性クレーF-20X(EP Engineered Clays)、及び50.5g(0.30モル)のプロピレンのテトラマーを仕込んだ。その反応器を密閉してから、撹拌しながら加熱して145℃とした。その反応器に、145℃で3時間かけて、32.0g(0.19モル)のプロピレンのテトラマーを添加した。PANAの55%が転化されるまで、その反応を145℃に保持した。PANAの転化率は、所定の時間間隔で採取したインプロセスサンプルをGC組成分析することにより測定した。
次いでその反応器を冷却して120℃とした。圧力を開放し、その反応器に、蒸留ヘッド、凝縮器、受器、及び真空/Nマニホールドを取り付けた。その反応器に撹拌しながら、真空をかけ、圧力を徐々に下げて20torrとした。真空蒸留(約90分間)により、未反応のプロピレンのテトラマーを除去した。
を用いて真空を開放し、その反応器を蒸留塔から切り離し、66.6グラム(0.59モル)のジイソブチレンを反応器に添加した。反応器を再び密閉し、120℃で1.3時間保持した。追加の9.0g(0.08モル)のジイソブチレンを反応器に、120℃で約45分間かけて添加した。PANAの転化率が99%を超えるまで、その反応を、120℃で維持した。
その反応が完了したら、濾過法により酸性クレーを除去し、そのようにして得られた濾液を、徐々に減圧しながら蒸留して、未反応のオレフィンを除去した。透明で黄色の粘稠液状物(101.6g)が得られたが、さらなる精製は行わなかった。
その生成物の組成を、ガスクロマトグラフィーにより測定し、それらの結果を表1に示す。その反応生成物の混合物のサンプルを、周囲温度及び0~5℃で3ヶ月間に渡って観察したところ、液状の形態に留まっていた。
実施例2
Parr反応器に、周囲温度において、75.2g(0.34モル)のフェニル-α-ナフチルアミン(PANA)、37.6gの酸性クレーF-20X(EP Engineered Clays)、及び49.5g(0.30モル)のプロピレンのテトラマーを仕込んだ。その反応器を密閉してから、撹拌しながら加熱して145℃とした。その反応器に、47.1g(0.28モル)のプロピレンのテトラマーを、145℃で2.7時間かけて添加した。PANAの67%が転化されるまで、その反応を、145℃に保持した。
次いでその反応器を冷却して120℃とした。圧力を開放し、その反応器に、蒸留ヘッド、凝縮器、受器、及び真空/Nマニホールドを取り付けた。その反応器に撹拌しながら、真空をかけ、圧力を徐々に下げて20torrとした。真空蒸留(約90分間)により、未反応のプロピレンのテトラマーを除去した。
を用いて真空を開放し、その反応器を蒸留塔から切り離し、65.8グラム(0.59モル)のジイソブチレンを反応器に添加した。反応器を再び密閉し、120℃で1.5時間保持した。その反応器に、追加の16.0g(0.14モル)のジイソブチレンを、100~120℃の間の温度で、約1.2時間かけて添加した。PANAの転化率が99%を超えるまで、その反応を100℃で維持した。
その反応が完了した後、濾過法により酸性クレーを除去し、そのようにして得られた濾液を、徐々に減圧しながら蒸留して未反応のオレフィンを除去した。透明で黄色の粘稠液状物(94.4g)が得られたが、さらなる精製は行わなかった。
その生成物の組成をガスクロマトグラフィーによって測定し、それらの結果を表1に示す。その反応生成物の混合物のサンプルを、周囲温度及び0~5℃で3ヶ月間に渡って観察したところ、液状の形態に留まっていた。
実施例3
Parr反応器に、周囲温度において、70.5g(0.32モル)のフェニル-α-ナフチルアミン(PANA)、35.2gの酸性クレーF-20X(EP Engineered Clays)、及び60.1g(0.36モル)のプロピレンのテトラマーを仕込んだ。その反応器を密閉し、撹拌しながら加熱して145℃とした。その反応器に、145℃で3時間かけて、42.0g(0.25モル)のプロピレンのテトラマーを添加した。PANAの80%が転化されるまで、その反応を145℃に保持した。
次いでその反応器を冷却して120℃とした。圧力を開放し、その反応器に、蒸留ヘッド、凝縮器、受器、及び真空/Nマニホールドを取り付けた。その反応器に撹拌しながら、真空をかけ、圧力を徐々に下げて20torrとした。真空蒸留(約90分間)により、未反応のプロピレンのテトラマーを除去した。
を用いて真空を開放し、その反応器を蒸留塔から切り離し、46.3グラム(0.41モル)のジイソブチレンを反応器に添加した。反応器を再び密閉し、120℃で1.5時間保持した。その反応器に、追加の14.5g(0.13モル)のジイソブチレンを、105~120℃の間の温度において約1.3時間かけて添加した。PANAの転化率が99%を超えるまで、その反応を120℃で維持した。
その反応が完了した後、濾過法により酸性クレーを除去し、そのようにして得られた濾液を徐々に減圧しながら蒸留して、未反応のオレフィンを除去した。透明で黄色の粘稠液状物(96.1g)が得られたが、さらなる精製は行わなかった。
その生成物の組成をガスクロマトグラフィーにより測定し、それらの結果を表1に示す。その反応生成物の混合物のサンプルを、周囲温度及び0~5℃で3ヶ月間に渡って観察したところ、液状の形態に留まっていた。
実施例4
Parr反応器に、周囲温度において、80.2g(0.37モル)のフェニル-α-ナフチルアミン(PANA)、32gの酸性クレーF-20X(EP Engineered Clays)、及び50g(0.39モル)のプロピレンのトリマーを仕込んだ。その反応器を密閉してから、撹拌しながら加熱して145℃とした。その反応器に、145℃で3時間かけて、30g(0.23モル)のプロピレンのトリマーを添加した。PANAの85%が転化されるまで、その反応を145℃で維持した。転化率は、ガスクロマトグラフィーにより、インサイチュでモニターした。
次いでその反応器を冷却して120℃とした。圧力を開放し、その反応器に、蒸留ヘッド、凝縮器、受器、及び真空/Nマニホールドを取り付けた。その反応器に撹拌しながら、真空をかけ、圧力を徐々に下げて20torrとした。真空蒸留(約60分間)により、未反応のプロピレンのテトラマーの95%超を除去した。
を用いて真空を開放し、その反応器を蒸留塔から切り離し、25グラム(0.22モル)のジイソブチレンを反応器に添加した。反応器を再び密閉し、120℃で1.3時間保持した。その反応器に、追加の32g(0.28モル)のジイソブチレンを、120℃で1時間かけて添加した。PANAの転化率が99%を超えるまで、その反応を120℃で保持した。PANAの転化率は、所定の時間間隔で採取したインプロセス(in-process)サンプルをガスクロマトグラフィー組成分析することにより測定した。
その反応が完了した後、濾過法により酸性クレーを除去し、そのようにして得られた濾液を徐々に減圧しながら蒸留して未反応のオレフィンを除去した。透明で黄色の粘稠液状物(96.1g)が得られたが、さらなる精製は行わなかった。
その生成物の組成をガスクロマトグラフィーによって測定し、それらの結果を表1に示す。その反応生成物の混合物のサンプルを、周囲温度及び0~5℃で3ヶ月間に渡って観察したところ、液状の形態に留まっていた。
表1に見られるように、本発明の実施例1~4の生成物の組成のそれぞれは、周囲温度において液体であった。重要なことは、比較例2の組成物と比較して、本発明の実施例1~4の組成物には、その組成物の中の非置換の及び置換されたPANAの合計質量を基準にして、顕著に高い濃度のモノアルキル化されたPANA(少なくとも95質量%)及び顕著に低い濃度の非置換PANA(この場合、1質量%未満)が含まれていたということである。それに加えて、顕著に低い濃度の非置換PANAを含んでいながらも、本発明の実施例1及び2の組成物は、比較例2における組成物のN質量%と同等又はそれより高い窒素含量(N質量%)を有している。このことは、本発明の組成物における、顕著に高い濃度のモノアルキル化されたPANA(及び、低い濃度のジアルキル化されたPANA)、並びに、うまく設計された、式Iの成分と式IIの成分との比率の結果である。
比較例1の生成物は高純度のモノアルキル化されたPANAであるが、それは、周囲温度において固体である。
高純度のモノ-ノニルPANA及びジ-ノニルPANAの調製及び単離
Parr反応器に、65g(0.30モル)のフェニルα-ナフチルアミン(PANA)、32gの酸性クレーF-20X、及び57g(0.45モル)のプロピレンのトリマー(ノネン)を充填した。その反応器を密閉してから、撹拌しながら加熱して140~145℃とし、30g(0.23モル)のプロピレンのトリマーを2.5時間かけて添加した。次いで、プロピレンのトリマーの添加が完了したところで、その反応を停止させた。PANAの転化率は85%であった。
次いで、濾過により酸性クレー触媒を除去し、そのようにして得られた濾液を減圧下で蒸留して未反応のオレフィンを除去すると、透明で黄色の粘稠液状反応生成物(80g)が得られた。その製品の組成物を、クライゼンヘッド及びビグルーカラムを備えた3口の250mL丸底フラスコに移した。その組成物を、真空(1.5torr)下で、蒸留塔頂温度235℃になるまで分別蒸留すると、塔底に50gの物質が残った。その塔底物質(表2では、「モノ-ノニルPANA」と称する)の組成をガスクロマトグラフィーで測定し、それらの結果を表2に示す。
ジ-ノニル化されたPANAを、先に挙げたのと同じ構成及び類似の手順を使用して、分別蒸留により単離した。その最終の蒸留塔の塔頂温度は270℃で、真空は1.5torrであった。70グラムの蒸留フィード(約13%のノネンダイマー、2.7%のPANA、42%のモノ-ノニルPANA、並びに41.8%のジ-ノニルPANA及びその他の過ノニル化されたPANAの組合せを含む)から、塔底に残った22グラムの物質が得られた。その塔底物質(表2では、「ジ-ノニルPANA」と称する)の組成をガスクロマトグラフィーで測定し、それらの結果を表2に示す。
上記のアルキル化されたPANAの反応生成物を、グループIIの潤滑油の中に配合し、圧力差走査熱量測定法(PDSC)及び回転圧力容器式酸化試験法(RPVOT)を使用して酸化誘導活性の試験をした。それらの結果を、以下の表2に示す。
グループII油中1質量%の処理比では、PDSC試験で測定した酸化誘導時間が、表面酸化抵抗性において、ジ-ノニル及び他の過ノニル化されたPANAが、モノ-ノニルPANAよりも、はるかに悪い性能を有しているということを示している。グループII油中0.5質量%の処理比では、RPVOT試験で測定した酸化誘導時間が、バルク酸化抵抗性において、ジ-ノニル及び他の過ノニル化されたPANAが、モノ-ノニルα-PANAよりも、はるかに悪い性能を有しているということを示している。ジ-及び他の過アルキル化されたPANAは明らかに、市場価値を有するアルキル化されたPANA組成物の中では望ましくない成分である。実施例4で調製された、オクチル化及びノニル化されたPANA混合物の組成物、並びにオクチル化及びドデシル化されたPANA混合物の組成物は、本明細書に開示されている本発明のプロセスにより調製された。いずれの組成物も安定な液状物であり、市販の液状のアルキル化されたPANA、たとえば、Naugalube(登録商標)APANとは、より活性の高い抗酸化剤成分のPANAの含量が約6質量%も低いにもかかわらず、同等の性能を示す。
Naugalube(登録商標)APANをIrganox(登録商標)L06と高温でブレンドし、そのブレンド物を0~5℃と周囲温度とで保存した。そのブレンド物の中での、Irganox(登録商標)L06対Naugalube(登録商標)APANの質量比は50:50及び30:70であった。その液状のブレンド製品の初期の製品組成を、ガスクロマトグラフィーにより測定し、それらの結果を以下の表3に示す。
比較例4
60.6gのNaugalube(登録商標)APAN(粘稠液状物)及び26.0gのIrganox(登録商標)L06(結晶性粉体)をガラス容器に仕込んだ。その容器を加熱して100℃とし、Nブランケット下で30分間保持した。加熱を停止し、周囲温度に達するまで、その液状のサンプルを攪拌した。その混合物を、周囲温度で8日間放置し、観察した。目に見えるような分離の兆候は観察されなかった。その混合物のサンプルを、0~5℃及び室温において2年間にわたって保存したが、液状に留まっていた。
そのブレンド生成物の製品組成をガスクロマトグラフィーにより測定し、それらの結果を以下の表3(比較例4参照)に示す。
比較例5
40.0gのNaugalube(登録商標)APAN(粘稠液状物)及び40.2gのIrganox(登録商標)L06(結晶性粉体)をガラス容器に仕込んだ。その容器を加熱して100℃とし、Nブランケット下で30分間保持した。加熱を停止し、周囲温度に達するまでその液状のサンプルを攪拌した。その混合物を室温において放置した。8日間以内に、その混合物は沈降固形分のために分離した。
そのブレンド生成物の組成をガスクロマトグラフィーにより測定し、それらの結果を以下の表3(比較例5を参照されたい)に示す。
市販の液状の製品Naugalube(登録商標)APAN(比較例2)には、低いモノ-C含量、高いジ-C含量、及び高いPANA含量が含まれていた。比較例4のブレンド物は、比較例2よりも高いモノ-C含量を与え、安定な液体として留まったが、PANAの質量パーセントが1質量%よりもかなり高いままであり、そしてモノアルキル化されたPANAの分析値が95質量%よりも低かった。比較例5のブレンド物は、95質量%に等しいモノアルキル化されたPANAの含量を与えたが、その混合物は沈降固形分のために分離し、PANA含量が3質量%よりも高かった。
上記の特定の実施例も含めて、本発明の特定の実施形態を記述してきたが、それらは限定的な意味で構成されていることを意味していない。当業者には自明であろうが、上述の明細書の記載から、添付した特許請求の範囲によって定義される本発明の原理及び範囲から逸脱することなく様々な変形態様を作ることが可能である。

Claims (24)

  1. アルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物であって、
    組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%の、
    (a)式Iで表されるモノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの異性体の混合物、
    (式中、Rは、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物から誘導される分岐状のアルキルを表す)、及び
    (b)式IIで表される少なくとも1種のモノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン、
    [式中、Rは、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物からは誘導されていない下記式IIIの基であるか、又は、下記式IVの基である
    (式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC1~12アルキルであり、かつ、Rは、H又は直鎖状若しくは分岐状のC1~12アルキルである)]
    の混合物;並びに、
    組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして1質量%未満の非置換N-フェニル-α-ナフチルアミン
    を含み、
    組成物が、周囲温度において液体である、N-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  2. 前記組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして、少なくとも97質量%が、成分(a)及び成分(b)の混合物である、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  3. 組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして、0.7質量%未満が非置換のN-フェニル-α-ナフチルアミンである、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  4. が式IIIの基であり、かつ、RがC1~4アルキルから選択される、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  5. がt-ブチルから選択される、請求項4に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  6. が式IVの基であり、かつ、RがHである、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  7. が、次式:
    から選択される、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  8. 式I中のRが、プロピレンのトリマー及びプロピレンのテトラマーから選択されるアルケン異性体の混合物から誘導される分岐状のアルキルを表す、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  9. 式I中のRが、プロピレンのテトラマーから誘導される分岐状のアルキルを表す、請求項8に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  10. 成分(b)と成分(a)の質量比が約1:1~約0.15:1である、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  11. がプロピレンのテトラマーから誘導される分岐状のアルキルを表し、Rがt-オクチル及び2-フェニル-2-プロピルから選択され、かつ、成分(b)と成分(a)の質量比が約0.85:1~約0.25:1である、請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物。
  12. アルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物を製造するためのプロセスであって、
    (i)非置換のN-フェニル-α-ナフチルアミン、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物、並びに酸性アルキル化触媒を含む反応混合物を反応させて、モノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの異性体の混合物及び残存する非置換N-フェニル-α-ナフチルアミンを含む中間反応混合物を形成させるステップ、並びに
    (ii)下記式Va、Vb、及びVI
    (式中、Rは、直鎖状又は分岐状のC1~12アルキルであり、かつ、Rは、H又は直鎖状若しくは分岐状のC1~12アルキルである)
    のオレフィンから選択される少なくとも1種の第2のオレフィン
    を前記の中間反応混合物に添加して、酸性アルキル化触媒の存在下で前記中間反応混合物を反応させて、アルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物を製造するステップ、を含み、
    ステップ(i)における、前記アルケン異性体の混合物によってアルキル化された前記反応混合物の中の非置換N-フェニル-α-ナフチルアミンの比率、及びステップ(ii)において、前記少なくとも1種の第2のオレフィンによってアルキル化された残存する非置換N-フェニル-α-ナフチルアミンの量を制御して、その結果得られるアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物が、
    (1)前記組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして、少なくとも95質量%のモノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの混合物を含み、かつ
    (2)前記組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニルα-ナフチルアミンの合計質量を基準にして、1質量%未満の非置換N-フェニル-α-ナフチルアミンしか含まず、かつ
    (3)周囲温度において液体である、
    となるようにする、プロセス。
  13. 前記のようにして得られるアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物が、前記組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして、少なくとも97質量%のモノアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの混合物を含む、請求項12に記載のプロセス。
  14. 前記のようにして得られるアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物が、前記組成物の中の非置換の及び置換されたN-フェニル-α-ナフチルアミンの合計質量を基準にして0.7質量%未満の非置換N-フェニル-α-ナフチルアミンしか含まない、請求項12に記載のプロセス。
  15. 前記少なくとも1種の第2のオレフィンが前記式Va及びVbのオレフィンから選択され、かつ、RがC1~4アルキルから選択される、請求項12に記載のプロセス。
  16. がt-ブチルから選択される、請求項15に記載のプロセス。
  17. 前記少なくとも1種の第2のオレフィンが前記式VIのオレフィンであり、かつ、RがHである、請求項12に記載のプロセス。
  18. 前記少なくとも1種の第2のオレフィンが、ジイソブチレン及びα-メチルスチレンから選択される、請求項12に記載のプロセス。
  19. 前記のアルケン異性体の混合物が、プロピレンのトリマー及びプロピレンのテトラマーから選択される、請求項12に記載のプロセス。
  20. 前記のアルケン異性体の混合物がプロピレンのテトラマーである、請求項19に記載のプロセス。
  21. 前記反応混合物の非置換N-フェニル-α-ナフチルアミンの少なくとも40%、且つ80%以下が、プロピレンのトリマー、プロピレンのテトラマー、及びプロピレンのペンタマーから選択されるアルケン異性体の混合物によってアルキル化される、請求項1に記載のプロセス。
  22. ステップ(i)及び(ii)のそれぞれにおいて前記酸性アルキル化触媒が酸性クレー触媒である、請求項12に記載のプロセス。
  23. (A)潤滑油、及び(B)抗酸化活性をもたらすのに有効な量の請求項1に記載のアルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物を含む潤滑油組成物。
  24. 前記アルキル化されたN-フェニル-α-ナフチルアミン組成物が、前記潤滑油組成物中に、前記潤滑油組成物の合計質量を基準にして約0.1~約10質量%の量で存在する、請求項23に記載の潤滑油組成物。
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