JP2024512621A - 乳酸菌の生理活性効果増強用組成物 - Google Patents

乳酸菌の生理活性効果増強用組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、乳酸菌の効果増強用組成物に関し、より詳細には、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸を含むことにより、乳酸菌の生理活性、例えば乳酸菌の成長促進効果または腸損傷阻害効果を増強させることができる。【選択図】図1

Description

本発明は、乳酸菌の生理活性効果増強用組成物に関する。
乳酸菌(lactic acid bacteria)とは、糖をエネルギー源として利用して乳酸を作り出す細菌であり、ヒトや哺乳動物の消化器官や口腔などに存在し、各種発酵食品などの自然界に広く分布している。乳酸菌は人類が最も長い間、広く利用してきた微生物の一つであり、ヒトや動物の腸に有害な物質を生成せず、腸内での腐敗を防ぐ順機能を持っている微生物である。
乳酸菌は代表的なプロバイオティクスであり、抗菌効果だけでなく、宿主の腸内菌叢(microflora)を調節し、各種腸疾患の抑制や免疫力の増強などの様々な面で人間に有益な効果を示すため、様々な食品材料として開発するための関心が高まっている。このような乳酸菌は、発酵乳製品を中心に各種発酵食品、醤類、飲料、医薬品、家畜の飼料添加剤などに至るまで、人類の生活の中で広く利用されている。
一方、乳酸菌製品は、乳酸菌の効果を増大させる目的で、ビタミン、食物繊維などのプレバイオティクス(Prebiotics)添加物を共に使用する。従来または現在の乳酸菌関連製品は、単に複数の成分を組み合わせただけであるので、大きな効果を示すことができなくなったり、多く服用する場合、服用者の体内代謝にむしろ悪影響を及ぼしたりするなどの問題が生じることがあり、添加物が乳酸菌の生理活性にどのような影響を与えるかに関する研究が不足しているのが現状である。
本発明は、乳酸菌の効果増強用組成物を提供する。
本発明は、成長促進用または腸損傷阻害用の薬学組成物を提供する。
本発明は、成長促進用または腸損傷阻害用の食品組成物を提供する。
1.ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸(Branched-chain amino acid、BCAA)を含む乳酸菌の効果増強用組成物。
2.前記項目1において、前記ロイシン、イソロイシン及びバリンを含む、乳酸菌の効果増強用組成物。
3.前記項目1において、前記乳酸菌の効果は、個体の成長を促進すること、または腸損傷を阻害することである、乳酸菌の効果増強用組成物。
4.前記項目1において、前記乳酸菌の効果は、栄養欠乏個体の体重または骨密度の少なくとも1つを増加させること、または栄養欠乏個体の腸漏れを阻害することである、乳酸菌の効果増強用組成物。
5.前記項目1において、前記乳酸菌は、ラクトバチルス属(Lactobacillus spp.)、ラクトコッカス属(Lactococcus spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)及びビフィドバクテリウム属(Bififobacterium spp.)からなる群より選択される少なくとも1つである、乳酸菌の効果増強用組成物。
6.前記項目5において、前記ラクトバチルス属は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つである、乳酸菌の効果増強用組成物。
7.前記項目1~6のいずれかに記載の組成物と、乳酸菌とを含む、成長促進または腸損傷阻害用の薬学組成物。
8.前記項目7において、前記乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つである、薬学組成物。
9.前記項目1~6のいずれかに記載の組成物と、乳酸菌とを含む、成長障害、低成長症、骨粗しょう症、骨軟化症、骨減少症、環境性腸症および腸漏れ症候群からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の予防または治療用の薬学組成物。
10.前記項目1~6のいずれかに記載の組成物と、乳酸菌とを含む、成長促進または腸損傷阻害用の食品組成物。
本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、分岐鎖アミノ酸を含むことにより、乳酸菌の生理活性機能、例えば、乳酸菌の個体成長促進効果または腸損傷阻害効果を増強させることができる。
本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌に欠乏した分岐鎖アミノ酸の合成酵素によって合成される分岐鎖アミノ酸を含むことにより、乳酸菌の生理活性機能を増強させることができる。
本発明の薬学組成物または食品組成物は、乳酸菌と共に前記乳酸菌の効果増強用組成物を含むことにより、個体の成長促進効果及び/又は腸損傷改善効果を促進することができる。
図1は、タンパク質欠乏によって誘導されるショウジョウバエの摂食行動分析による栄養充足度を観測した結果を示す。図1Aは、ショウジョウバエを、タンパク質が欠乏していない培地とタンパク質が欠乏している培地に時間別に置いた後、L型必須アミノ酸(自然界に存在するアミノ酸の形態、L-form essential amino acid、L-EAA)とD型必須アミノ酸(L型必須アミノ酸の光学異性体、D-EAA)の餌の中でどのような餌を好むかを確認した結果である。タンパク質が欠乏している餌にさらされる時間が長いほど、L-EAAに対する摂食嗜好性(preference index)が増加することを確認した。図1Bは、タンパク質が欠乏している培地で48時間維持されたショウジョウバエの摂食嗜好性の結果を示す。自然界に存在するアミノ酸の形態であるL型アミノ酸を満たすための方向で行動することを確認した。図1Cは、タンパク質欠乏を補うために、ショウジョウバエはL型アミノ酸の中でもL型必須アミノ酸の摂取を好むことを確認した結果である。図1Dは、タンパク質が欠乏している状況においても、L型非必須アミノ酸(L-form Nonessential amino acid、L-NEAA)に対する摂食嗜好性は増加しないことを確認した結果を示す。図1Eは、同じ熱量に対してタンパク質の割合が異なるように構成した培地を食べたショウジョウバエのL-EAA摂食嗜好性を確認した結果である。L-EAAに対する摂食嗜好性は、摂取した餌のタンパク質含有量が高いほど減少した。図1Fは、従来、タンパク質を認識する味覚受容体として知られているIr76b細胞の活性を、TNT(tetanus toxin)過剰発現を誘導して阻害しても、タンパク質欠乏状況におけるショウジョウバエのL-EAA摂食嗜好性に影響を及ぼさないことを確認した結果である。これは、タンパク質欠乏を満たすための必須アミノ酸の摂取行動が、従来知られているシグナル伝達経路以外の経路により調節されることを示す。「AA deprivation」とはアミノ酸の欠乏を、「L-EAA」とは自然界に存在するL型の必須アミノ酸を、「D-EAA」とは光学異性体の形態の必須アミノ酸を、「L-NEAA」とは非必須アミノ酸を意味する。また、「Ir76b-LexA」は、味覚受容体として知られているIr76bの発現部位でLexAタンパク質を発現するショウジョウバエを使用したことを、「LexAop-TNT」は、LexAタンパク質が存在する場合、TNT毒素が発現して味覚受容体を阻害するショウジョウバエを使用したことを意味する。 図2は、タンパク質欠乏によって発現が誘導される腸ホルモンであるCNMaホルモンの発掘と、ショウジョウバエの腸におけるCNMaの発現位置を確認した結果を示す。図2Aは、ショウジョウバエにタンパク質が欠乏していない培地とタンパク質が欠乏している培地を与え、ショウジョウバエの腸を解剖して、各条件で11個の腸ホルモンのmRNA発現レベルをリアルタイム-qPCRによって確認した結果である。11個の腸ホルモンの中で、CNMaのみがタンパク質欠乏の条件下で発現が増加した。図2Bは、同じ熱量を有し、かつタンパク質(イースト)の含有量がそれぞれ異なる培地をショウジョウバエに提供し、各培地の条件下でショウジョウバエの腸におけるCNMa mRNA発現量を測定した結果である。培地中のタンパク質含有量が増加するほど、CNMaホルモンのmRNA発現は減少した。図2C~Dは、CNMa-Gal4>UAS-GFPショウジョウバエ・ラインを用いて、高タンパク質培地(High AAs)と低タンパク質培地(Low AAs)の条件下でショウジョウバエの腸で発現されるCNMaホルモンの発現程度を確認した結果である。ショウジョウバエの腸、特にR2領域の腸上皮細胞(enterocytes)においてCNMaの発現が特異的に増加した。 図3は、CNMa特異的抗体を作成して内因性CNMa(endogenous CNMa)の発現を確認し、CNMa-Gal4発現領域と同様に、ショウジョウバエの腸のR2領域の腸上皮細胞においてCNMaホルモンの発現が起こることを再確認した結果である。 図4は、単一の必須アミノ酸の欠乏によって誘導されるCNMaホルモンの発現増加およびL-EAA摂食嗜好性の変化を示す。図4Aは、ホリディックメディア(Holidic media(Chemical defined media))からアルギニン、トリプトファン、バリン、イソロイシン、ロイシンをそれぞれ除去した培地をショウジョウバエに提供し、ショウジョウバエの腸のR2領域におけるCNMaホルモンの発現変化を確認した結果である。CNMaホルモンの発現は単一の必須アミノ酸の欠乏のみによっても誘導されることを確認した。図4Bは、1種の必須アミノ酸のみが欠乏しても、ショウジョウバエのL-EAA摂食嗜好性が増加することを確認した結果である。 図5は、通常ショウジョウバエと無菌ショウジョウバエとのCNMaホルモンの発現レベル及びL-EAA摂食嗜好性の差を比較した結果を示す。図5Aは、タンパク質が欠乏していない培地とタンパク質が欠乏している培地に無菌ショウジョウバエを時間帯別に置いた後、L-EAA摂食嗜好性を観察した結果である。図5Bは、通常ショウジョウバエ(CV)と無菌ショウジョウバエ(GF)にイースト10%濃度の餌を与えた後、腸でのCNMa発現程度を確認した結果である。タンパク質含有量が同じ培地を与えたにもかかわらず、無菌ショウジョウバエのCNMaホルモンの発現が増加しており、このように増加したCNMaの発現は、培地にイーストをさらに添加したときに相殺された。図5Cは、通常ショウジョウバエ(CV)と無菌ショウジョウバエ(GF)にイースト10%濃度の餌を与えた後、腸でのL-EAA摂食嗜好性を確認した結果である。タンパク質含有量が同じ培地を与えたにもかかわらず、無菌ショウジョウバエのL-EAA摂食嗜好性が増加しており、このような結果は培地にイーストをさらに添加したときに相殺された。これらの結果は、腸内細菌がL-EAAの欠乏を相殺して宿主の栄養を満たそうとする摂食嗜好性に影響を与えることを意味する。 図6は、アセトバクター(Acetobacter)を導入したショウジョウバエとラクトバチルス(Lactobacillus)を導入したショウジョウバエとのCNMa発現レベルおよびL-EAA栄養充足行動の差異、及びアセトバクター科(Acetobacteraceae)、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)のアミノ酸生合成経路を比較分析した結果を示す。図6Aは、無菌ショウジョウバエ(+None)、アセトバクター・ポモラム(A.pomorum)を導入したショウジョウバエ(+A.pomorum)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum WJL)を導入したショウジョウバエ(+L.plantarum WJL)の腸内CNMaホルモンの発現程度を示す。図6Bは、無菌ショウジョウバエ(+None)、アセトバクター・ポモラム(A.pomorum)を導入したショウジョウバエ(+A.pomorum)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum WJL)を導入したショウジョウバエ(+L.plantarum WJL)のL-EAA栄養充足行動を観察した結果を示す。アセトバクター(Acetobacter)はL-EAA欠乏を相殺するが、ラクトバチルス(Lactobacillus)は相殺できず、宿主の栄養を満たそうとする摂食嗜好性を誘導することを確認した。図6Cは、アセトバクター科(Acetobacteraceae)、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)のアミノ酸生合成経路に関連する遺伝子を比較ゲノム解析(comparative genomic analysis)により解釈した結果である。アセトバクター・ポモラムDM001(A.pomorum DM001)の遺伝子を基準として、遺伝子の塩基配列類似度が高いほど青色で表示し、類似度が20%未満の場合は赤色で表示した。ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)は、共通に分枝鎖アミノ酸(branched-chain amino acid、BCAA)の生合成に関連する遺伝子が欠乏していることを確認した。 図7は、食品通知(Food Notice)のラクトバチルス(Lactobacillus)菌株のBCAA生合成経路遺伝子を比較分析した結果を示す。ラクトバチルス(Lactobacillus)の11種のアミノ酸生合成経路に関連する遺伝子を比較ゲノム解析(comparative genomic analysis)によって解析した。アセトバクター・ポモラムDM001(A.pomorum DM001)の遺伝子を基準として、遺伝子の塩基配列類似度が高いほど青色で表示し、類似度が20%未満の場合は赤色で表示した。11種のラクトバチルス(Lactobacillus)菌株は、共通に分枝鎖アミノ酸(branched-chain amino acid、BCAA)の生合成に関連する遺伝子が欠乏していることを確認した。 図8は、BCAAの一種であるロイシンを生合成できないように調節されたアセトバクター(Acetobacter)突然変異菌を導入したショウジョウバエのCNMaホルモン発現レベルとL-EAA栄養充足行動を確認した結果を示す。図8A~図8Bは、無菌ショウジョウバエ(+None)と対照群のアセトバクター(Acetobacter)を導入したショウジョウバエ(+AcetoWT)、ロイシンを生合成できないAcetoΔleuBを導入したショウジョウバエ(+AcetoΔleuB)、プロリンを生合成できないAcetoΔproCを導入したショウジョウバエ(AcetoΔproC)のCNMaホルモン発現レベル(A)とL-EAA摂食嗜好性(B)とを示す。AcetoΔleuBを導入したショウジョウバエのCNMa発現およびL-EAA摂食嗜好性は、培地にロイシンを添加した場合(+AcetoΔleuB+Leucine)、または欠乏したleuBを遺伝的に再導入した菌を作ってショウジョウバエに導入した場合(+AcetoΔleuB_leuB)に減少することを確認することができた。 図9は、BCAAの一種であるイソロイシンを生合成できないように調節されたアセトバクター(Acetobacter)突然変異菌を導入したショウジョウバエのCNMaホルモン発現レベルとL-EAA栄養充足行動を確認した結果を示す。図9A~図9Bは、無菌ショウジョウバエ(+None)と対照群のアセトバクターを導入したショウジョウバエ(+AcetoWT)、イソロイシンを生合成できないAcetoΔilvAを導入したショウジョウバエ(+AcetoΔilvA)のCNMaホルモン発現レベル(A)とL-EAA摂食嗜好性(B)とを示す。AcetoΔilvAを導入したショウジョウバエのCNMa発現およびL-EAA摂食嗜好性は、培地にイソロイシンを添加した場合(+AcetoΔleuB+Ile)に、AcetoWTを導入したショウジョウバエのレベルに回復した。 図10は、ラクトバチルス(Lactobacillus)のBCAA生合成能力によるCNMaホルモンの発現とL-EAA栄養充足行動指標の変化を示す。図10A~図10Bは、無菌ショウジョウバエ(+None)と対照群のラクトバチルスを導入したショウジョウバエ(+LactoWT)、BCAA生合成能力を獲得した突然変異ラクトバチルス(LactoBCAA)を導入したショウジョウバエ(+LactoBCAA)のCNMaホルモン発現レベル(A)とL-EAA栄養充足行動(B)とを観察した結果を示す。BCAA生合成能力を獲得したLactoBCAAを導入したショウジョウバエは、L-EAA欠乏を相殺し、宿主のCNMaホルモンの発現とL-EAA栄養充足行動指標が減少したことを確認できる。LactoWTを導入したショウジョウバエの培地にBCAA(イソロイシン、ロイシン、バリン)を添加すると、CNMa発現とL-EAA栄養充足行動指標がLactoBCAAを導入したショウジョウバエのレベルに減少した。 図11は、ショウジョウバエ・モデルにおいて、乳酸菌と共にBCAAを添加した場合、動物生長効果が増強されることを確認した結果を示す。無菌ショウジョウバエのEGGにBCAAを添加するか(+BCAA)、ラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum WJL)を単独導入するか(+WJL)、菌とBCAAを共に与えた場合(+WJL+BCAA)、プパエ(pupae)の形成を12時間ごとに観察して平均発生時間を測定した。養分であるBCAAを添加した場合(+BCAA)には、ショウジョウバエの成長に全く役に立たなかったことを確認でき、乳酸菌とBCAAを共に与えた場合(+WJL+BCAA)には、ショウジョウバエの成長が統計的に有意に向上したことを確認できる。 図12は、乳酸菌と、ロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも2種以上のBCAAとを併用した場合の成長促進効果を確認した結果を示す。具体的には、図12Aは、1種のアミノ酸のみを処理した場合、または1種のアミノ酸を乳酸菌と共に処理した場合の成長促進効果を示す。図12Bは、乳酸菌なしで2種以上のBCAAを処理した場合、または2種以上のBCAAを乳酸菌と共に処理した場合の成長促進効果を示す。 図13は、様々な種類の乳酸菌をBCAAと共に添加した場合、乳酸菌の成長促進効果が増加するかどうかを確認した結果を示す。 図14は、様々な種類の乳酸菌をBCAAと共に添加した場合、乳酸菌の成長促進効果が増加するかどうかを確認した結果を示す。 図15は、マウス動物モデルにおいて乳酸菌と共にBCAAを添加した場合、乳酸菌の成長促進効果または腸漏れ阻害効果が増加するかどうかを確認した結果を示す。図15Aは、若いマウスの12週間後の体重変化程度を測定した結果である。図15Bは、フルオレセインイソチオシアネート-デキストラン(Fluorescein isothiocyanate(FITC)-dextran)をマウスに与えて腸を通って血液に出る程度を測定した結果であり、数値が高いほど腸漏れの程度が激しいことを意味する。乳酸菌とBCAAを共に与えた場合(+WJL+BCAA)には、マウスの体重が増加し、腸漏れの程度が減少した結果を確認できる。体重増加と腸漏れ減少の程度は統計的に有意な結果を示す。 図16は、マウス動物モデルにおいて乳酸菌と共にBCAAを添加した場合における(Femur cortical)骨密度(Bone mineral density, BMD)を測定した結果である。乳酸菌とBCAAとを共に処理した場合(+WJL+BCAA)には、マウスの骨密度が統計的に有意に増加したことを確認できる。図16Bは、大腿骨(Femur)の代表写真を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分枝鎖アミノ酸(Branched-chain amino acid、BCAA)を含む乳酸菌の効果増強用組成物を提供する。
用語「乳酸菌の効果」とは、乳酸菌が特定の個体に作用する機能や効果を意味するものであり、「乳酸菌の生理活性機能」とも表現できる。用語「生理活性」とは、特定の薬品や物質が生物体に作用する性質を意味する。
乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌の成長促進効果増強用または乳酸菌の腸損傷阻害効果増強用であってもよい。
乳酸菌の効果は、個体の成長を促進すること、または腸損傷を阻害することであってもよい。具体的には、乳酸菌の効果は、個体の体重または骨密度の少なくとも1つを増加させること、または個体の腸漏れを阻害することであってもよい。
乳酸菌の効果は、栄養欠乏個体の体重または骨密度の少なくとも1つを増加させること、または栄養欠乏個体の腸漏れを阻害することであってもよい。
用語「乳酸菌の成長促進効果」とは、乳酸菌が他の生物体または個体の成長を促進する効果を意味する。例えば、本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌と併用処理する場合、乳酸菌が処理された個体において、乳酸菌の前記個体に対する成長促進効果を増加させることができる。具体的には、乳酸菌を単独で任意の個体に投与した場合に比べて、本発明の効果増強用組成物を乳酸菌と併用して任意の個体に投与した場合には、前記個体の成長促進効果が顕著に優れる。一実施形態によれば、乳酸菌のみを処理する場合に比べて、乳酸菌と本発明の乳酸菌の効果増強用組成物とを併用する場合には、これらを併用処理した個体において顕著に優れた骨密度増加、体重増加効果が示されることを確認した。高い骨密度は身長を大きくするのに役立ち、通常の技術者にとって骨密度は成長の重要な指標として活用される。
用語「乳酸菌の腸損傷阻害効果」とは、他の生物体または個体の腸損傷を阻害する乳酸菌の効果を意味する。例えば、本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌と併用処理する場合、乳酸菌が処理された個体において、乳酸菌の前記個体に対する腸損傷阻害効果を増加させることができる。具体的には、乳酸菌を単独で任意の個体に投与した場合に比べて、本発明の効果増強用組成物を乳酸菌と併用して任意の個体に投与した場合には、前記個体の腸損傷阻害効果が顕著に優れる。腸損傷は腸漏れおよび腸炎症であってもよいが、これらに限定されるものではない。
一実施形態によれば、乳酸菌のみを処理した場合に比べて、乳酸菌と本発明の乳酸菌の効果増強用組成物とを併用した場合、これらを併用処理した個体において顕著に優れた腸漏れ抑制効果が示されることを確認した。
乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌の効果(例えば、成長促進効果、腸損傷阻害効果)を増強できる補助剤としての役割を果たすことができる。
乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌と併用するものであってもよく、乳酸菌と併用して乳酸菌単独の効果を増強できる補助剤としての役割を果たすことができる。
乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌と同時に(simultaneous)、別々に(separate)、または順次に(sequential)処理することができる。
個体はヒトを含む動物であってもよく、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ウサギ、ヤギであってもよいが、これらに限定されるものではない。
個体は、栄養欠乏または栄養不均衡状態の個体であってもよい。例えば、個体はタンパク質の栄養が欠乏している個体であってもよい。
乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌と併用することにより、栄養欠乏または栄養不均衡の生物体または個体の体重または骨密度の少なくとも一つを増加させるか、または栄養欠乏個体の腸漏れを阻害するために処理することができる。「栄養欠乏」とは、1つ以上の必須栄養素またはカロリーが欠乏した状態を意味することができ、例えば、栄養素の摂取不足、吸収や処理障害などによって起こり得る。栄養欠乏個体の場合、体重未達、骨の突出、皮膚の乾燥および弾力性の低下、または髪の乾燥などの症状が現れることがある。「栄養不均衡」とは、身体に必要な栄養素と身体から得られる栄養素との間の不均衡を意味し、栄養過多と栄養欠乏の両方を含むことができる。
乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌が栄養欠乏または栄養不均衡な個体の成長を促進する効果を増強するか、または腸損傷を阻害する効果を増強することができる。
個体の年齢は、限定されるものではないが、例えば、小児、高齢者を除く成人、高齢者(elderly)であってもよい。
個体は小児期(childhood)の個体であってもよい。「小児期」とは、受精から出生を経て大人に達するまでの期間を意味する。小児期は、細胞期、胎児期、新生児期、幼児期、児童期および思春期を含むことができる。
乳酸菌の効果増強用組成物は、試験管内(in vitro)で乳酸菌の活性を増強することができる。例えば、乳酸菌の効果増強用組成物は、試験管内(in vitro)で乳酸菌が処理される細胞や組織などの成長を促進することができる。例えば、乳酸菌の効果増強用組成物は、試験管内(in vitro)で乳酸菌が処理される腸関連の細胞や組織の損傷を抑制することができる。
乳酸菌(lactic acid bacteria)とは、糖をエネルギー源として利用して乳酸を作り出す細菌であり、ヒトや哺乳動物の消化器官や口腔などに存在し、各種発酵食品などの自然界に広く分布している。乳酸菌は人類が最も長い間、広く利用してきた微生物の一つであり、ヒトや動物の腸に有害な物質を生成せず、腸内での腐敗を防ぐ順機能を持っている微生物である。乳酸菌は、乳酸(lactic acid)を生成できる有益菌を意味する。
乳酸菌は、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)、エンテロコッカス科(Enterococcaceae)、ストレプトコッカス科(Streptococcaceae)、ビフィドバクテリウム科(Bifidobacteriaceae)であってもよい。
乳酸菌は、ラクトバチルス属(Lactobacillus spp.)、ラクトコッカス属(Lactococcus spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)及びビフィドバクテリウム属(Bififobacterium spp.)からなる群より選択されるものであってもよい。
ラクトバチルス属は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択されるものであってもよく、これらに限定されるものではない。一実施形態によれば、本発明の組成物は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つの乳酸菌と併用処理する場合、乳酸菌の効果を増強することができる。
乳酸菌は、植物、発酵食品、哺乳類や節足動物を含む動物個体から分離されたもの、または個体の腸内に存在するものであってもよい。本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、分離された乳酸菌の作用効果を増強することもでき、個体の腸内に存在する乳酸菌の効果を増強することもできる。
乳酸菌は生菌でも死菌でもよく、その形態を限定しない。
一実施形態で使用するL.プランタラム(L.plantarum WJL)は、公知の製造方法で製造されたものであってもよい(Eun-Kyoung Kim et al., Genome Announcements, November/December 2013, Vol.1, no.6 e00937-13, GenBank AUTE00000000、Lactobacillus plantarum WJL、whole genome shotgun sequencing project)。L.プランタラム(L.plantarum WJL)は、ショウジョウバエから分離されたものであってもよい。L.プランタラム(L.plantarum WJL)は、寄託された菌株であってもよい(受託番号:KCTC14442BP、寄託機関:生物資源センター、寄託日:2021.1.11)。
本発明者らは、乳酸菌の遺伝子分析により、乳酸菌に分岐鎖アミノ酸生合成酵素関連の遺伝子が欠乏しており、乳酸菌が分岐鎖アミノ酸を合成できないことを考慮して、分岐鎖アミノ酸を乳酸菌と併用することによって乳酸菌の効果を増強できると考え、本発明の乳酸菌の効果増強用組成物の有効成分として選択した。乳酸菌の効果増強用組成物は、乳酸菌で生合成できない前記アミノ酸を併用することにより、乳酸菌の効能を増強する効果を発揮することができる。
用語「分岐鎖アミノ酸(Branched-chain amino acid、BCAA)」とは、3個以上の炭素原子に結合した中心炭素原子である分岐を有する脂肪族側鎖を有するアミノ酸を指す。タンパク質産生BCAAには、必須アミノ酸であるロイシン、イソロイシン、バリンが含まれ、非タンパク質BCAAには、2-アミノイソ酪酸(2-aminoisobutyric acid)が含まれる。分岐鎖アミノ酸は、フリーアミノ酸(free amino acid)であってもよい。「フリーアミノ酸」は、タンパク質の一部ではないアミノ酸を意味する。
乳酸菌の効果増強用組成物は、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸を含むことができる。
具体的には、乳酸菌の効果増強用組成物は、ロイシン及びイソロイシン;ロイシン及びバリン;イソロイシン及びバリン;またはロイシン、イソロイシン及びバリン;を含むことができる。
本発明の乳酸菌の効果増強用組成物がロイシン、イソロイシン及びバリンの2つ以上を全て含む場合には、これらを単独で含む場合に比べて、より効果的に乳酸菌の効果を増強することができる。
乳酸菌の効果増強用組成物(例えば、乳酸菌の成長促進効果増強用または乳酸菌の腸損傷阻害効果増強用の組成物)は、ロイシン、イソロイシン及びバリンを含むことができる。
本発明の乳酸菌の効果増強用組成物がロイシン、イソロイシン及びバリンをすべて含む場合には、最も効果的に乳酸菌の活性を増強することができる。
一実施形態によれば、ロイシン、イソロイシンまたはバリンを単独で含む組成物を乳酸菌と併用処理した場合に比べて、ロイシン、イソロイシン及びバリンの2つ以上を含む組成物を乳酸菌と併用処理した場合に、これらを処理した個体の成長が有意に増強することを確認できる。
本発明の組成物に含まれる分岐鎖アミノ酸は、単に個体の栄養補給のために含まれるものではなく、乳酸菌の腸内での機能を向上させるものとしての役割を果たすことができる。
前述のように、乳酸菌において合成が欠乏した分岐鎖アミノ酸を乳酸菌と併用する場合、乳酸菌の生理活性(例えば、成長促進効果または腸損傷阻害効果)が増強され、分岐鎖アミノ酸以外の他のタンパク質を併用しなくても、本発明の組成物だけで十分な効能増強効果を示すことができる。従って、本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、優れた乳酸菌の効能増強効果を示すと同時に、原料消耗の観点から経済的にも優れている利点がある。
例えば、乳酸菌の効果増強用組成物は、分岐鎖アミノ酸以外の他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質(whey protein))を含まなくてもよい。乳酸菌の効果増強用組成物は、前記以外の他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を含まなくても乳酸菌の効果を有意に増強することができる。この場合、他のタンパク質の原料コストを削減でき、経済的に優れている。また、他のタンパク質を含むことにより、分岐鎖アミノ酸の機能低下や予想外の副作用が発生する可能性を低減することができる。
「乳清タンパク質(whey protein)」は、カゼインを除去した乳タンパク質であり、乳清タンパク質の80%はラクトアルブミン及びラクトグロブリンからなっており、その他に、酸や熱によって凝固しないプロテオース及びペプトン等の成分を含む。乳清タンパク質は、運動後の回復速度の改善、満腹感および体重調節などの効果を示す利点があるが、乳糖分解酵素が欠乏した乳糖不耐症のある個体や牛乳アレルギーのある個体は、乳清タンパク質の摂取時に下痢や腹痛などの症状が現れることがあるので注意を要する。また、タンパク質の制限が必要である腎臓疾患や肝疾患を有する個体も乳清タンパク質の摂取に注意が必要である。
本発明の乳酸菌の効果増強用組成物は、乳清タンパク質を含まなくてもよい。従って、乳清タンパク質が含まれる場合に生じ得る問題(下痢、腹痛、アレルギーなど)がないと同時に、乳酸菌の成長促進または腸損傷阻害効果を増強することができる。
他の例では、乳酸菌の効果増強用組成物は、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸からなるものであってもよい。
また、本発明は、前述の乳酸菌の効果増強用組成物を個体に投与するステップを含む、乳酸菌の効果増強方法を提供する。
「乳酸菌の効果増強用組成物」、「乳酸菌」、「乳酸菌の効果」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
乳酸菌は、前記個体の腸内に存在するものであってもよい。
個体は、ヒトを含む動物であってもよく、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ウサギ、ヤギであってもよいが、これらに限定されるものではない。
個体は、成長が阻害された個体または腸損傷が発生した個体であってもよい。
個体は、栄養欠乏または栄養不均衡により、成長が阻害された個体または腸損傷が発生した個体であってもよい。
乳酸菌の効果増強方法は、分岐鎖アミノ酸と乳酸菌の他に、ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を投与することを含まなくてもよい。
また、本発明は、前述の乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とを含む、成長促進用または腸損傷阻害用の薬学組成物を提供する。
本発明の薬学組成物は、乳酸菌の成長促進効果および腸損傷阻害効果を増強する乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とをすべて含むことにより、薬学組成物が投与される個体の成長を促進するか、または腸損傷を阻害することができる。
「乳酸菌の効果増強用組成物」、「乳酸菌」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
成長促進効果は、薬学組成物が投与された、ヒトを含む個体の成長を促進する効果を意味し得る。
成長促進は、体重の増加、身長の増加および骨密度の増加の少なくとも1つであってもよい。
一実施形態によれば、本発明の乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とを併用した動物において、体重及び骨密度が増加することを確認した。
腸損傷阻害効果は、薬学組成物が投与された、ヒトを含む個体の腸損傷を阻害する効果を意味し得る。
腸損傷は、炎症性腸疾患、環境性腸症、または腸漏れ症候群であってもよいが、これらに限定されるものではない。
一実施形態によれば、本発明の乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とを併用投与した動物において、腸漏れが阻害されることを確認した。
また、本発明は、前述の乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とを含む、成長障害、低成長症、骨粗しょう症、骨軟化症、骨減少症、環境性腸症および腸漏れ症候群からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の予防または治療用組成物を提供する。これは、薬学組成物が投与された個体において乳酸菌の生理活性効果(例えば、成長促進効果および腸損傷阻害効果)が増強されて現れる効果であってもよい。
用語「予防」とは、乳酸菌の効果増強用組成物および乳酸菌の投与によって疾患を抑制するか、またはその進行を遅らせる全ての行為を意味する。用語「治療」とは、乳酸菌の効果増強用組成物および乳酸菌の投与によって疾患の症状が改善または有益に変化する全ての行為を意味する。
前記疾患は、栄養欠乏または栄養不均衡によって発生したものであってもよい。「栄養欠乏または栄養不均衡」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
前記疾患は、ヒトを含む動物で発生するものであってもよく、その年齢は限定しない。
前記疾患は、小児、高齢者を除く成人、高齢者(elderly)の個体で発生したものであってもよく、具体的には、小児期(childhood)の個体で発生した疾患であってもよい。「小児期」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
本発明の薬学組成物は、栄養欠乏または栄養不均衡の個体に投与することができる。
本発明の薬学組成物は、小児期の個体に投与することができる。
本発明の薬学組成物は、小児期(childhood)の個体の成長障害、低成長症、骨粗しょう症、骨軟化症、骨減少症、環境性腸症および腸漏れ症候群からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の予防または治療用であってもよい。
腸漏れ症候群とは、腸内壁を覆う膜に存在する細胞の間に空間が生じたときに発生する疾患であり、腸の機能が低下し、腸の透過性が増加して、水と養分の吸収と免疫システムに障害を誘発する疾患である。
環境性腸症(Environmental Enteropathy、EE)とは、栄養不足と腸内感染が同時に起こり、子供の低成長および知能低下を引き起こす疾患であり、単なる栄養供給だけでは環境性腸症の改善が容易ではない。
本発明の薬学組成物に含まれる分岐鎖アミノ酸は、単なる栄養供給の目的ではなく、乳酸菌の効果を改善して環境性腸症の改善に優れた効果を示すことができる。
一実施形態によれば、本発明の薬学組成物は、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸と、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つの乳酸菌とを含むことができる。
一実施形態によれば、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸と、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つの乳酸菌とを含む薬学組成物は、投与対象となる個体の体重および骨密度を増加させることができる。一実施形態によれば、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸と、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つの乳酸菌とを含む薬学組成物は、投与対象となる個体の腸漏れを阻害することができる。
本発明の薬学組成物は、分岐鎖アミノ酸と乳酸菌の以外に、他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を含まなくてもよく、前記他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を含まなくても分岐鎖アミノ酸と乳酸菌が投与される個体の成長を有意に促進するか、または腸損傷を有意に阻害することができる。この場合、他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)などのコストを削減でき、経済的に優れている。
本発明の薬学組成物は、さらに薬学的に許容可能な担体、賦形剤または希釈剤を含むことができる。薬学的に許容可能な担体は、製剤化に通常使用されるものであり、例えば、生理食塩水、滅菌水、リンガー液、緩衝生理食塩水、シクロデキストリン、デキストロース溶液、マルトデキストリン溶液、グリセロール、エタノール、リポソーム、抗酸化剤であってもよいが、これらに限定されるものではない。
本発明の薬学組成物は、注射用製剤、丸薬、カプセル、顆粒または錠剤に製剤化できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の薬学組成物は、目的とする方法によって経口投与または非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内または局所に適用)することができ、当業者により適宜選択できる。
本発明の薬学組成物は、薬学的に有効な量で投与することができる。
本発明の薬学組成物は、個々の治療剤として投与しても、他の治療剤と併用して投与してもよく、従来の治療剤と順次または同時投与することができ、単一または多重投与することができる。
本発明の薬学組成物の有効量は、患者の年齢、性別、状態、体重、体内での活性成分の吸収度、不活性率および排泄速度、疾患の種類、併用する薬物によって異なり、一般的には体重1kg当たりに0.001~150mg、好ましくは0.01~100mgを毎日または隔日投与するか、または1日1~3回に分けて投与することができる。しかし、投与経路、肥満の重症度、性別、体重、年齢等によって増減できるので、前記投与量はいかなる方法でも本発明の範囲を限定しない。
また、本発明は、個体に乳酸菌の効果増強用組成物および乳酸菌を投与するステップを含む、成長促進または腸損傷阻害方法を提供する。
「乳酸菌の効果増強用組成物」、「乳酸菌」、「成長促進」及び「腸損傷阻害」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
個体は、ヒトを含む動物であってもよく、例えば、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ウサギ、ヤギであってもよいが、これらに限定されるものではない。
個体は、成長が阻害された個体、または腸損傷が発生した個体であってもよい。
個体は、栄養欠乏または栄養不均衡により、成長が阻害された個体または腸損傷が発生した個体であってもよい。
乳酸菌の効果増強用組成物と乳酸菌は、同時に、別々に、または順次に投与することができる。
成長促進または腸損傷阻害方法は、分岐鎖アミノ酸と乳酸菌の他に、ポリペプチドまたはタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を投与することを含まなくてもよい。
また、本発明は、前述の乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とを含む、成長促進用または腸損傷阻害用の食品組成物を提供する。
本発明の食品組成物は、乳酸菌の成長促進効果および腸損傷阻害効果を増強させる乳酸菌の効果増強用組成物と、乳酸菌とをすべて含むことにより、食品組成物が投与される個体の成長を促進するか、または腸損傷を阻害することができる。
「乳酸菌の効果増強用組成物」、「乳酸菌」、「成長促進」、「腸損傷阻害」、「腸損傷」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
本発明の食品組成物は、成長障害、低成長症、骨粗しょう症、骨軟化症、骨減少症、環境性腸症および腸漏れ症候群からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の予防または改善用であってもよい。これは、食品組成物が投与された個体において乳酸菌の効果(例えば、成長促進効果および腸損傷阻害効果)が増強されて現れる効果であってもよい。
用語「改善」とは、前記食品組成物の摂取によって治療される状態に関連するパラメータ、例えば、疾患の症状程度を減少させる全ての行為を意味する。
「疾患」については前述の通りであるので、具体的な説明を省略する。
本発明の食品組成物は、栄養欠乏または栄養不均衡の個体に投与することができる。
本発明の食品組成物は、小児期の個体に投与することができる。
本発明の食品組成物は、小児期(childhood)の個体の成長障害、低成長症、骨粗しょう症、骨軟化症、骨減少症、環境性腸症および腸漏れ症候群からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の予防または改善用であってもよい。
一実施形態によれば、本発明の食品組成物は、ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸と、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つの乳酸菌とを含むことができる。
本発明の食品組成物は、分岐鎖アミノ酸と乳酸菌の以外に、他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を含まなくてもよく、前記他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)を含まなくても分岐鎖アミノ酸と乳酸菌が投与される個体の成長を有意に促進するか、または腸損傷を有意に阻害することができる。この場合、他のタンパク質(例えば、乳清タンパク質)などのコストを削減でき、経済的に優れている。
食品組成物は、食品として認められる製剤であれば、様々な形態の製剤に制限なく製造することができる。例えば、食品は肉、ソーセージ、パン、チョコレート、キャンディ類、スナック類、菓子類、ピザ、ラーメン、その他の麺類、ガム類、アイスクリーム類を含む酪農製品、各種スープ、飲料、茶、ドリンク剤、アルコール飲料、ビタミン複合剤、健康機能食品および健康食品などであってもよく、通常の意味での食品をすべて含む。
食品組成物は、当技術分野で通常使用される方法によって製造できる。
食品組成物は、さらに当技術分野で通常添加する原料および成分を含むことができる。例えば、食品組成物は、さらにビタミンA、C、D、E、B1、B2、B6、B12、ナイアシン(niacin)、ビオチン(biotin)、葉酸(folate)、パントテン酸(panthotenic acid)を含むことができる。例えば、食品組成物は、さらに亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、カルシウム(Ca)、クロム(Cr)、マグネシウム(Mg)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、クロム(Cr)などのミネラルを含むことができる。
以下、実施例を挙げて本発明の構成及び効果をより具体的に説明する。しかし、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするために例示目的のために提供されるものであり、本発明の範疇および範囲を限定するものではない。
本発明者らは、以下の実験により、栄養欠乏個体の栄養を満たすための有効成分として、乳酸菌と、乳酸菌の効果を増強する分岐鎖アミノ酸との組み合わせを導出した。乳酸菌と、乳酸菌の効果を増強する分岐鎖アミノ酸とが乳酸菌の効能増強効果を発揮するかどうかに関する結果に先立って、栄養欠乏個体に現れる特異な指標および栄養欠乏個体の栄養を満たすための一つの成分として乳酸菌を選択した過程から説明する。
対照群と実験群を比較して、乳酸菌の効能増強効果が統計的に有意であるかどうかを確認するために、1元配置分散分析(one-way ANOVA)(with Dunnett's multiple comparison post-test)による統計分析を行った。p value:***(p<0.001)、**(P<0.01)、(P<0.05)の場合、統計的に有意な結果を示した。p valueが高くて統計的に有意な結果が示されなかった実験群は「ns」と表示した。
1.栄養欠乏個体に現れる特異指標の確認
1-1.栄養欠乏個体に現れるL-EAA嗜好性
体内タンパク質が欠乏した状況で必須アミノ酸を特異的に摂取するショウジョウバエの摂食行動に基づいて、栄養欠乏個体の行動指標を観測した。具体的には、ショウジョウバエをタンパク質が欠乏していない培地とタンパク質が欠乏している培地(ブドウ糖のみを含む培地)に置き、L型必須アミノ酸(自然界に存在するアミノ酸の形態、L-form essential amino acid、L-EAA)とD型必須アミノ酸(L型必須アミノ酸の光学異性体、D-EAA)の餌の中でどのような餌を好むかを確認した。
その結果、タンパク質が欠乏している培地にさらされる時間が長い個体であるほど、L-EAAに対する摂食嗜好性(preference index)が増加することを確認した(図1A及び1Bを参照)。また、栄養が欠乏している個体では、L型アミノ酸の中でもL型必須アミノ酸の摂取を好むこと、およびタンパク質が欠乏している状況でもL型非必須アミノ酸(L-form Nonessential amino acid, L-NEAA)に対する摂食嗜好性が増加しないことを確認した(図1C~図1Dを参照)。また、同じ熱量を有し、かつタンパク質の割合だけが異なる餌を摂取させたショウジョウバエ個体のL-EAA摂食嗜好性を比較した結果、タンパク質含有量の高い餌を摂取した個体において、L-EAAに対する摂食嗜好性が減少することを確認することができた。このことから、タンパク質の栄養を満たすために、ショウジョウバエがL-EAAを補充する摂食行動が精巧に調節されていることを確認することができた(図1Eを参照)。さらに、従来、タンパク質を認識する味覚受容体として知られているIr76b細胞の活性を阻害した後、L-EAA摂食嗜好性を確認した。具体的には、TNT(tetanus toxin)の過剰発現を誘導してIr76b細胞を不活性化させたショウジョウバエと、対照群のショウジョウバエとをタンパク質欠乏状況に置いてL-EAA摂食嗜好性を確認した。その結果、Ir76b細胞を不活性化したショウジョウバエは、対照群のショウジョウバエと類似したレベルのL-EAA摂食嗜好性を示した(図1Fを参照)。このことから、体内栄養欠乏を認識する従来知られている信号伝達経路以外に、他の信号伝達経路があることが分かった。
1-2.栄養欠乏個体に現れるCNMaホルモンの過剰発現
体内栄養欠乏を認識する新しいシグナル伝達経路を究明するために、食物が消化、吸収される領域であり、かつ様々なホルモンが分泌される内分泌器官である腸(intestine)に注目した。タンパク質が欠乏していない培地とタンパク質が欠乏している培地をショウジョウバエに与え、腸を解剖して、各条件下で11個の腸ホルモンのmRNA発現レベルをリアルタイム-qPCRによって確認した。リアルタイム-qPCRに使用したプライマーを下記表1に示す。

その結果、栄養欠乏条件の個体において、前記表1の11個の腸ホルモン中のCNMa発現程度が増加した。このことから、タンパク質の欠乏がCNMaホルモンを誘導することを確認することができた(図2Aを参照)。また、同じ熱量を有し、かつタンパク質(イースト)の含有量がそれぞれ異なる培地をショウジョウバエに提供し、各培地の条件でショウジョウバエの腸内のCNMa mRNA発現量を測定したところ、培地中のタンパク質含有量が増加するほどCNMaホルモンのmRNA発現が減少することを確認した(図2Bを参照)。インビボ(in vivo)状態でのCNMaホルモンの発現レベルを確認するために、CNMaプロモーターによって発現が調節されるGal4ライン(CNMa-Gal4)ショウジョウバエを作成した。具体的には、CNMa遺伝子の最初のイントロン(intron)部分にMimicが挿入されているCNMa[MI10321](BDSC#54529)ショウジョウバエを、レコンビナーゼ仲介カセット交換(recombinase-mediated cassette exchange、RMCE)システムを用いて、Mimicをgal4で置換してCNMa-gal4を作成した。作成したショウジョウバエ・ラインのCNMa発現をGFPにより確認した結果、実際、ショウジョウバエの腸において、ショウジョウバエが摂取するタンパク質の量が少ないとCNMaホルモンの発現が顕著に増加し、高タンパク質の餌を摂取するとCNMaホルモンの発現が急減することを確認した(図2C及び図2Dを参照)。特に、ショウジョウバエの腸において、R2領域の腸上皮細胞(enterocytes)におけるCNMaの発現が特異的に増加することを確認した(図2C、図2Dを参照)。また、内因性CNMa(endogenous CNMa)の発現を確認するために、CNMa特異的抗体を作成して免疫組織化学染色法(immunohistochemistry)を行った。その結果、CNMa-Gal4ラインの発現と同様に、ショウジョウバエの腸のR2領域の腸上皮細胞においてCNMaホルモンが発現することを再確認した(図3を参照)。前記の実験結果により、個体におけるCNMaホルモンの発現程度から、体内必須アミノ酸の欠乏を認識できることを確認した。
本研究者らは、特定の種類の必須アミノ酸の欠乏がCNMaホルモンの発現を誘導するかどうかを確認するために、アルギニン、トリプトファン、バリン、イソロイシンまたはロイシンが単独で欠乏している培地をショウジョウバエに提供した。その結果、特定の必須アミノ酸の欠乏ではなく、単一の必須アミノ酸の欠乏だけでも腸上皮細胞においてCNMaホルモンの発現が誘導されることを確認した(図4Aを参照)。同様に、単一の必須アミノ酸の欠乏だけでショウジョウバエのL-EAAに対する摂食嗜好性の増加が誘導されることを確認した(図4Bを参照)。これは、単一の必須アミノ酸の欠乏だけでもショウジョウバエが栄養不足になることを示す。
2.腸内微生物が個体に与える影響の確認
個体内で腸内微生物が栄養充足に与える影響を確認するために、以下のような実験を行った。
通常ショウジョウバエ(conventionally reared fly, CV)が産んだ卵を集め、3%のNaClO溶液と70%のエタノール溶液で交互にすすいで卵に含まれている菌を除去し、無菌培地で発生を誘導して無菌ショウジョウバエを作成した。作成した無菌ショウジョウバエ(germ-free fly、GF)に対して、タンパク質が欠乏している培地と欠乏していない培地におけるL-EAAに対する嗜好性を確認した。その結果、無菌ショウジョウバエは、タンパク質が十分な条件下でも、通常ショウジョウバエ(CV)と比較して、基礎L-EAA嗜好性(basal L-EAA preference)が増加しており、時間が増加するほど摂食嗜好性が増加した。すなわち、無菌ショウジョウバエは、常に栄養欠乏を感じていることを確認した(図5Aを参照)。無菌ショウジョウバエの場合は、タンパク質欠乏ではない状況でも必須アミノ酸を好む摂食行動を示すことから、腸内細菌がL-EAA欠乏を相殺する上で重要な役割を果たすことが分かった。
さらに、通常ショウジョウバエと無菌ショウジョウバエにイースト10%濃度の餌を与えた後、腸内CNMaの発現程度を確認した。その結果、タンパク質含有量が同じ培地を与えたにもかかわらず、無菌ショウジョウバエのCNMaホルモンの発現が増加することを確認した。培地にイーストをさらに添加した場合(Yeast 15%)、増加したCNMaの発現が減少することを確認した(図5Bを参照)。タンパク質含有量が同じ培地を与えたにもかかわらず、通常ショウジョウバエに比べて無菌ショウジョウバエのL-EAA摂食嗜好性が増加することを確認した。さらに、培地にイーストをさらに添加した場合(Yeast 15%)、無菌ショウジョウバエにおいてL-EAA摂食嗜好性が減少した(図5Cを参照)。これらの結果から、腸内微生物がL-EAA欠乏を相殺し、ショウジョウバエのCNMaホルモンの発現とL-EAA栄養を満たそうとする行動に影響を与えることを確認した。
3.導入される腸内微生物の種類による栄養充足効果の確認
腸内微生物の中で最も代表的なアセトバクター・ポモラム(A.pomorum)(Science, 2008 Feb 8;319(5864):777-82. doi: 10.1126/science.1149357. Epub 2008 Jan 24; Appl Environ Microbiol. 2008 Oct; 74(20): 6171-6177. Published online 2008 Aug 22. doi: 10.1128/AEM.00301-08)とラクトバチルス・プランタラム(L.plantarum WJL)(KCTC14442BP)をそれぞれ無菌ショウジョウバエに導入して単独会合(mono-association)ショウジョウバエを作成した後、各個体における腸内CNMaホルモンの発現を確認した。その結果、A.pomorumを導入したショウジョウバエは、CNMaホルモンの発現程度が低かったが、L.plantarum WJLを導入したショウジョウバエは、CNMaホルモンの発現程度が無菌ショウジョウバエほど高いことを確認した(図6Aを参照)。本発明の説明に記載されているL.plantarum WJLは、公知の製造方法で製造されたものであってもよい(Eun-Kyoung Kim et al., Genome Announcements, November/December 2013, Vol.1, no. 6 e00937-13, GenBank AUTE00000000, Lactobacillus plantarum WJL, whole genome shotgun sequencing project)。L.plantarum WJLは、ショウジョウバエから分離されたものであってもよい。
また、各個体においてL-EAA栄養充足行動指標を確認したところ、A.pomorumを導入したショウジョウバエだけがL-EAA充足行動指標を減少させることを確認した(図6Bを参照)。さらに、L.plantarum WJLを単独で導入した場合、無菌ショウジョウバエよりも摂食嗜好性がより高くなる結果を示したが、これはL.plantarum WJLが宿主動物の腸内必須アミノ酸の欠乏を深刻化し得ることを意味する。これは、CNMaホルモンの発現様態と対応する。
本研究者らは、腸内微生物であるラクトバチルス・プランタラムを導入した個体において、CNMaホルモンの発現レベルおよびL-EAA摂食嗜好性が高い結果から、ラクトバチルス・プランタラム単独を栄養欠乏個体に投入しても栄養充足効果が発揮されないことを予測することができた。従って、A.pomorumが導入されたショウジョウバエとL.plantarum WJLが導入されたショウジョウバエとが、互いに異なるCNMa発現程度とL-EAA摂食嗜好性を示す原因を究明するために、ラクトバチルスおよびそれと類似した乳酸菌の遺伝子を分析した。
4.腸内微生物の遺伝子解析および腸内微生物の遺伝的形質による効果差
4-1.アセトバクター科(Acetobacteraceae)とラクトバチルス科(Lactobacillaceae)の遺伝子解析
比較ゲノム解析(Comparative genomic analysis)により、アセトバクター科(Acetobacteraceae)とラクトバチルス科(Lactobacillaceae)のアミノ酸生合成に関連する遺伝子を比較した。解釈の結果、アセトバクター科(Acetobacteraceae)は、分岐鎖アミノ酸(Branched-chain amino acid、BCAA)の生合成に関連する酵素がすべて存在するのに対して、ラクトバチルス科(Lactobacillaceae)は、BCAAの生合成に関連する酵素が欠乏していることを確認した(図6Cを参照)。全てのアミノ酸の生合成が可能なアセトバクター・ポモラムDM001(A.pomorum DM001)菌株の遺伝体を鋳型として、遺伝子の塩基配列類似度が高いほど青色で表示し、類似度が20%未満の場合は赤色で表示した。
4-2.様々な種の乳酸菌におけるBCAA合成関連遺伝子の欠乏の確認
ラクトバチルス・プランタラム(Lactobacillus plantarum)以外の様々な乳酸菌においてもBCAA合成関連遺伝子が欠乏しているかを確認するために、以下のような実験を行った。
食品や乳酸菌製品で汎用的に使用される乳酸菌(食品通知(Food Notice)の菌株)であるラクトバチルス・プランタラム(KCTC14442BP)、ラクトバチルス・アシドフィルス(ATCC 4796)、ラクトバチルス・カゼイ(ATCC 393)、ラクトバチルス・ガセリ(ATCC33323)、ラクトバチルス・ブルガリクス(ATCC 11842)、クトバチルス・ヘルベティカス(ATCC 15009)、ラクトバチルス・ファーメンタム(ATCC 14931)、ラクトバチルス・パラカゼイ(ATCC 334)、ラクトバチルス・ロイテリ(JCM 1112)、ラクトバチルス・ラムノサス(ATCC 8530)、ラクトバチルス・サリバリウス(DSM 20555)の全11種のラクトバチルス菌株を対象とし、比較ゲノム解析(Comparative genomic analysis)によってアミノ酸の生合成に関連する酵素を確認した。全てのアミノ酸を生合成できるA.pomorum菌株の遺伝体を鋳型として比較した(図7を参照)。比較ゲノム解析の結果、11種のラクトバチルス菌株は、いずれもBCAAの生合成に関連する遺伝子であるleuA、leuB、leuC、leuD、ilvA、ilvC、ilvDまたはilvEが欠乏していることを確認した(図7を参照)。
これらの結果から、ラクトバチルス・プランタラムの場合は、遺伝的形質により、それを個体に導入しても栄養充足効果を示さないことが分かった。
4-3.導入される腸内微生物の遺伝的形質によって個体に及ぼす栄養充足効果が変わり得ることの立証
腸内微生物の遺伝的形質によって宿主の腸内L-EAA欠乏(CNMaホルモンの発現)が誘発され得ることを明確にするために、以下のようにして、BCAAの合成に関する遺伝子に突然変異が発生したアセトバクター科(Acetobacteraceae)を作成し、宿主の腸内のL-EAA欠乏を確認した。アセトバクターの特定の遺伝子の突然変異菌株は、欠損させたい遺伝子の両側領域をPCRで増幅してpK18mobGIIベクターに挿入し、クローニングされたベクターを、ヘルパー株(helper starin)(Escherichia coli HB101)と共に野生型アセトバクター菌株に三親接合(triparental mating)方法で導入して作成した。
具体的には、BCAAの中のロイシンを生合成できない突然変異アセトバクター(ActoΔleuB)を作成した。無菌ショウジョウバエに対照群のアセトバクターを導入したショウジョウバエ(+AcetoWT)は、CNMaホルモンがほとんど発現されなかった。これに対して、AcetoΔleuBを導入したショウジョウバエ(+AcetoΔleuB)は、CNMaホルモンの発現が無菌ショウジョウバエのレベルに増加した。
さらに、非必須アミノ酸の一つであるプロリンを生合成できないproC突然変異アセトバクター(AcetoΔproC)を作成した。無菌ショウジョウバエにAcetoΔleuBを導入した場合と異なり、AcetoΔproC菌を導入したショウジョウバエ(+AcetoΔproC)の場合は、CNMaホルモンの発現が増加しなかった(図8Aの左を参照)。
一方、AcetoΔleuBを導入したショウジョウバエの培地にロイシンを添加するか(+AcetoΔleuB+Leucine)、またはAcetoΔleuB菌にleuBを遺伝的に再導入して得られたAcetoΔleuB_leuB菌を導入したショウジョウバエ(+AcetoΔleuB_leuB)では、CNMaホルモンの発現が減少した(図8Aの右を参照)。CNMaホルモンの発現様態と同様に、宿主である無菌ショウジョウバエのL-EAA栄養を満たそうとする行動も、無菌ショウジョウバエにAcetoWTを導入した場合に比べてAcetoΔleuB菌を導入した場合に増加することを確認した(図8Bを参照)。AcetoΔleuBを導入したショウジョウバエのL-EAA栄養を満たそうとする行動は、培地にロイシンを添加するか(+AcetoΔleuB+Leucine)、または欠乏したleuBを遺伝的に再導入した菌を作ってショウジョウバエに導入した場合(+AcetoΔleuB_leuB)に減少した(図6Bを参照)。これは、アセトバクターのロイシン生合成能力が腸上皮細胞のCNMaホルモンの発現と宿主であるショウジョウバエのL-EAA摂食行動に重要な役割を果たすことを意味する。
同様に、BCAAの中のイソロイシンを生合成できないAcetoΔilvA突然変異菌株を作成し、前述と同様の実験を行った(図9参照)。無菌ショウジョウバエ(+None)と、対照群のアセトバクターを導入したショウジョウバエ(+AcetoWT)、イソロイシンを生合成できないAcetoΔilvAを導入したショウジョウバエ(+AcetoΔilvA)のCNMaホルモン発現レベルと宿主のL-EAA栄養を満たそうとする行動指標を比較した結果、AcetoΔilvAを導入したショウジョウバエ(+AcetoΔilvA)は、無菌ショウジョウバエ(+None)と類似したCNMa発現程度とL-EAA栄養を満たそうとする行動を示した(図9Aを参照)。また、AcetoΔilvAを導入したショウジョウバエの培地にイソロイシンを添加すると(+AcetoΔleuB+Ile)、CNMaの発現およびL-EAA栄養を満たそうとする行動が、AcetoWTを導入したショウジョウバエのレベルに回復することを確認した(図9Bを参照)。
さらに、BCAA生合成に関連する遺伝子が欠乏しているラクトバチルスに、BCAA生合成に関連する7つの酵素を導入することにより、BCAAを生合成できる機能獲得(gain of function)突然変異菌株を作成した。遺伝的にBCAA生合成能力を獲得したLactoBCAA株は、BCAAの合成に必要なleuA、leuB、leuC、leuD、ilvA、ilvC、ilvDの7つの遺伝子をラクトバチルス・コリニフォーミス・トルクエンスDSM20004鎖(Lactobacillus coryniformis subsp. Torquens DSM 20004 strain)の遺伝体を鋳型として増幅してPGID023A/Bベクターに挿入し、このクローニングしたベクターを、電気穿孔法(electrophoration)を用いてLactoWT菌株に導入し、相同組換え(homologous recombination)で特定の遺伝子領域に挿入した。
無菌ショウジョウバエ(+None)と、対照群のラクトバチルスを導入したショウジョウバエ(+LactoWT)、遺伝的にBCAAの生合成能力を獲得した突然変異ラクトバチルス(LactoBCAA)を導入したショウジョウバエ(+LactoBCAA)のCNMaホルモンの発現レベルとL-EAA栄養を満たそうとする行動を観察した。その結果、LactoBCAAを導入したショウジョウバエは、LactoWTを導入したショウジョウバエに比べてCNMaホルモンの発現とL-EAA栄養を満たそうとする行動指標が減少したことを確認した(図10Aを参照)。また、LactoWTを導入したショウジョウバエの培地にBCAA(イソロイシン、ロイシン、バリン)を添加すると、CNMaの発現とL-EAA栄養を満たそうとする行動指標がLactoBCAAを導入したショウジョウバエのレベルに減少することを確認した(図10Bを参照)。
前述の結果から、宿主動物の栄養欠乏状況において、腸内微生物の遺伝的形質によって宿主の腸内L-EAAの欠乏を相殺するか、相殺しないことを確認した。特に代表的な乳酸菌であるラクトバチルスの場合は、BCAAの合成が難しく、宿主の腸内でL-EAAの欠乏を相殺できず、宿主の栄養を満たそうとする摂食嗜好性を誘導することを示した。ここにBCAAを補充すると、乳酸菌による宿主のホルモン変化および行動変化(摂食嗜好性)が消えることを確認できる。
5.栄養欠乏個体における乳酸菌とBCAAとの組合せの成長促進および腸損傷改善効果
前述の実験結果により、栄養欠乏個体は乳酸菌を摂取しても栄養補給が難しくなり、乳酸菌摂取時に乳酸菌で良好に合成されないBCAAを併用摂取することにより、前記個体の栄養要求度が満たされることを立証した。この結果に基づいて、乳酸菌とBCAAを共に処理すると、乳酸菌単独の効果を増強できると考え、ショウジョウバエ動物モデルおよびマウス動物モデルを対象として、栄養欠乏状況で乳酸菌とBCAAを共に補充する場合、乳酸菌が宿主(乳酸菌が投入された個体)の生理活性効果を増強できるかどうかを確認した。
5-1.栄養欠乏個体における乳酸菌とBCAAとの併用処理による成長促進効果の確認
5-1-1.乳酸菌とロイシン、イソロイシン及びバリンの3種のBCAAの組み合わせの効果
無菌ショウジョウバエモデルを対象として、タンパク質不足培地(1%イースト、10%スクロース、コーンミール培地)において無菌ショウジョウバエにラクトバチルス菌とBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリンをすべて含む。)を別々に又は共に添加して成長変化を観察した。具体的には、無菌ショウジョウバエEGGにBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)を添加した群(+BCAA);L.plantarum WJLを単独導入した群(+WJL);L.plantarum WJL菌とBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)とを共に導入した群(+WJL+BCAA)において12時間ごとにプパエ(pupae)の形成を観察し、発生に必要な平均期間(以下、平均発生期間)を測定した。
その結果、BCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリンの単独添加群は、対照群(+None)と平均発生期間が類似していた。これは養分の補充だけでは栄養欠乏状況で成長の不足を補うことができないことを意味する。乳酸菌を単独導入した群は、対照群およびBCAA単独添加群に比べて平均発生期間が短かったが、乳酸菌をBCAAと共に導入した群は、成長促進効果が統計的に有意に増加することを確認した(図11を参照、***(p<0.001)、**(P<0.01)、(P<0.05)、ns:統計的に有意ではない)。
5-1-2.乳酸菌とロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも2種のBCAAとの組み合わせの効果
さらに、栄養欠乏個体にロイシン(Leucine)、イソロイシン(Isoleucine)、バリン(Valine)の単独を乳酸菌と併用するか、または他のアミノ酸を乳酸菌と併用する場合にも成長促進効果が発揮されるかを確認するために、以下のような実験を行った。前述の「5-5-1.」の実験方法と同様にする一方、アミノ酸の種類が異なるように処理して、栄養が欠乏したショウジョウバエ個体の成長変化を観察した。
その結果、「5-5-1.」と同様に、アミノ酸のみを処理し、乳酸菌を処理しなかった群(None+3BCAA(=BCAA);None+Leucine;None+Isoleucine;None+Valine;None+Histidine;None+Leucine+Valine;None+Leucine+Isoleucine;None+Isoleucine+Valine)は、何も処理しなかった群(None+None)と平均発生期間が類似していた(図12A及び図12Bの左)。
一方、ロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも2つ以上を乳酸菌と共に処理した群(WJL+BCAA;WJL+Leucine+Valine;WJL+Leucine+Isoleucine;WJL+Isoleucine+Valine)は、乳酸菌またはアミノ酸単独処理群と比較して、統計的に有意に平均発生期間が短縮された(図12Bの右)。また、ロイシン、イソロイシンまたはバリンの単独を乳酸菌と共に処理した群(WJL+Leucine;WJL+Isoleucine;WJL+Valine)は、乳酸菌を単独で処理した群と比較して平均発生期間が統計的に有意な差を示さなかった(図12Aの右)。
前述の結果から、本発明のアミノ酸は、単に栄養補給のために併用するものではなく、2種以上のBCAAアミノ酸が乳酸菌に作用して乳酸菌の個体内での活性を増強させる役割を果たすものであることを確認できる。
5-1-3.BCAAと様々な乳酸菌との組み合わせの効果
ラクトバチルス・プランタラム菌株以外の他の種の乳酸菌も、栄養欠乏個体においてBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)によって成長促進効果が増強されるかどうかを確認した。
前述の「5-5-1.」の実験方法と同様にする一方、先に遺伝体の比較によってBCAA生合成が欠乏したことを確認したラクトバチルス・グループに属する11種の食品通知(Food Notice)の菌株(ラクトバチルス・プランタラムの3種(WJL、Nizo、Nc8)、ラクトバチルス・パラカゼイの2種(KCTC5058, IH30-12)、ラクトバチルス・ラムノサスの3種(KCTC3237, GG, IH37-25)、ラクトバチルス・ファーメンタムの2種(KCTC5467, IH37-57)、ラクトバチルス・カゼイの3種(IH37-55, IH37-56, IH37-9)、ラクトバチルス・アシドフィルスの1種(KCTC3594)、ラクトバチルス・ガセリの1種(KCTC3143)、ラクトバチルス・ブルガリクスの2種(IH37-37, IH37-19)、ラクトバチルス・ロイテリの1種(KCTC3594)、ラクトバチルス・ヘルベティカスの2種(KCTC3545, KCTC15060)及びラクトバチルス・サリバリウスの2種(KCTC3157, IH37-38))を用いて実験を行った。
その結果、ラクトバチルス・プランタラム以外の他の種の乳酸菌もまた、BCAAとの併用処理によって乳酸菌の成長促進効果が有意に増強されたことを確認した(図13及び図14を参照)。
5-2.栄養欠乏個体に乳酸菌とBCAAとを併用処理した場合における成長促進効果および腸損傷改善効果の確認
栄養欠乏個体において成長阻害または腸損傷が現れることがあることに基づき、乳酸菌とBCAAとを併用処理した場合、マウスモデルの成長促進および腸損傷阻害効果が示されるかどうかを確認した。
具体的には、離乳分離が終わった3週齢の若いマウス動物モデルを対象として栄養成分が不足した餌を与え、乳酸菌とBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)を単独または組み合わせて処理した後、成長および腸損傷改善の有無を確認した:対照群(None);L.plantarum WJL単独処理群(+WJL);L.plantarum WJLおよびBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)処理群(+WJL+BCAA)。1群当たり4~5匹のマウスを設定し、餌を毎日供給し、2日ごとに体重などの指標を追跡した。観察12週間後、マウスを解剖して腸漏れ(FITC)、骨成長の程度、骨密度(Born mineral density)、およびその他の臓器の症状指標を確認した。腸漏れを測定するために、蛍光を帯びる物質であるフルオレセインイソチオシアネート-デキストラン(Fluorescein isothiocyanate(FITC)-dextran、sigma#FD4)を用いて各マウスに同量のFITC-デキストランを与え、4時間後に血液中のFITC蛍光を測定した。マウスの骨密度を測定するために、マウスの大腿骨を解剖してサンプリングした後、70%エタノール溶液に移して4℃で保存した。マイクロ-CT機器(SkyScan 1276、Bruker)を用いるために、撮影の48時間前に骨を70%エタノール溶液から3次蒸留水に移して4℃で保存した。骨の画像はSkyScan 1276プログラムを用いて撮影した。撮影時、ボクセルサイズ(voxel size)を32μmに固定し、70kV、57μAの条件下で撮影した。撮影した画像を3Dで再構成するために、NReconプログラムを用いた。3Dで再構成した画像を用いてBMD(bone mineral density)、骨の長さ(Bone length)、皮質骨の厚さ(Cortical bone thickness)を測定するために、CTAnプログラムを用いた。BMDを測定するためには、0.25g/cm、0.75g/cmの密度を有する2つの骨密度ファントムを用いてBMD比例式を求めた後、大腿骨(femur)のmid-diaphysis部分を指定して測定した。大腿骨(femur)全体をドラッグして指定し、プログラムに内在されている計算方式で実際の骨の長さ(Bone length)を測定した。皮質骨の厚さ(Cortical bone thickness)は、大腿骨(femur)のmid-diaphysis部分の真ん中の断面を対象として測定した。
その結果、乳酸菌とBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)との両方を処理したマウス群において、統計的に有意な体重増加効果および腸漏れ阻害効果が奏された(図15を参照)。また、乳酸菌とBCAA(ロイシン、イソロイシン及びバリン)とを共に導入した場合は、これらのそれぞれを単独処理した場合に比べて、骨密度が統計的に有意に増加した(図16を参照)。一方、図16に示すように、乳酸菌を単独処理しても骨密度が増加して乳酸菌自体にも成長促進効果があると言えるが、このような乳酸菌の成長促進効果をBCAAが有意に増加させていることを確認することができた。
前述の実験により、乳酸菌のみまたはBCAA、特に乳酸菌を単独で処理した場合よりも、乳酸菌とロイシン、イソロイシン及びバリンの少なくとも2種以上とを併用処理した場合に栄養欠乏個体の成長が促進され、病症関連の指標が改善されることを確認した。
[微生物寄託証]

Claims (10)

  1. ロイシン、イソロイシン及びバリンからなる群より選択される少なくとも2つの分岐鎖アミノ酸(Branched-chain amino acid、BCAA)を含む、乳酸菌の効果増強用組成物。
  2. 前記ロイシン、前記イソロイシン及び前記バリンを含む、請求項1に記載の乳酸菌の効果増強用組成物。
  3. 前記乳酸菌の効果は、個体の成長を促進すること、または腸損傷を阻害することである、請求項1に記載の乳酸菌の効果増強用組成物。
  4. 前記乳酸菌の効果は、栄養欠乏個体の体重または骨密度の少なくとも1つを増加させること、または栄養欠乏個体の腸漏れを阻害することである、請求項1に記載の乳酸菌の効果増強用組成物。
  5. 前記乳酸菌は、ラクトバチルス属(Lactobacillus spp.)、ラクトコッカス属(Lactococcus spp.)、エンテロコッカス属(Enterococcus spp.)、ストレプトコッカス属(Streptococcus spp.)及びビフィドバクテリウム属(Bififobacterium spp.)からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項1に記載の乳酸菌の効果増強用組成物。
  6. 前記ラクトバチルス属は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項5に記載の乳酸菌の効果増強用組成物。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の組成物と、乳酸菌とを含む、成長促進または腸損傷阻害用の薬学組成物。
  8. 前記乳酸菌は、ラクトバチルス・プランタラム(Lactiplantibacillus plantarum)、ラクトバチルス・パラカゼイ(Lactobacillus paracasei)、ラクトバチルス・ラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)、ラクトバチルス・ファーメンタム(Lactobacillus fermentum)、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)、ラクトバチルス・アシドフィルス(Lactobacillus acidophilus)、ラクトバチルス・ガセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバチルス・ブルガリクス(Lactobacillus delbrueckii subsp.Bulgaricus)、ラクトバチルス・ロイテリ(Lactobacillus reuteri)、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)及びラクトバチルス・サリバリウス(Lactobacillus salivarius)からなる群より選択される少なくとも1つである、請求項7に記載の薬学組成物。
  9. 請求項1~6のいずれかに記載の組成物と、乳酸菌とを含む、成長障害、低成長症、骨粗しょう症、骨軟化症、骨減少症、環境性腸症および腸漏れ症候群からなる群より選択される少なくとも1つの疾患の予防または治療用の薬学組成物。
  10. 請求項1~6のいずれかに記載の組成物と、乳酸菌とを含む、成長促進または腸損傷阻害用の食品組成物。
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