JP2024511999A - ヒスチジン酸銅組成物及びその使用 - Google Patents

ヒスチジン酸銅組成物及びその使用 Download PDF

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Abstract

メンケス病は、必須の哺乳類銅トランスポーター遺伝子、ATP7Aにおける変異によって引き起こされる脳銅代謝のX連鎖劣性障害であり、米国でおおよそ200~400人に影響を及ぼしている。銅補充療法が、メンケス病を治療するために使用されている。本開示は、メンケス病のその治療を示す。本開示は、メンケス病患者をヒスチジン酸銅で治療すると、患者の生存期間が延長することを示している。【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月18日に出願された米国通し番号第63/162,975号の米国連邦法典第35編第119条(e)に基づく優先権の利益を主張し、その内容全体は参照により本明細書に組み込まれる。
発明の分野
本発明は、一般的に、血清銅レベルを増加させる方法に関し、より具体的には、ヒスチジン酸銅の投与による対象におけるメンケス病又は銅欠乏症の治療に関する。
背景情報
メンケス病は、必須の哺乳類銅トランスポーター遺伝子、ATP7Aの変異によって引き起こされる脳銅代謝のX連鎖劣性障害であり、米国でおおよそ200~400人に影響を及ぼしている。推定発生率は、生児10万人に1人である。治療を受けていない罹患者は、発作、筋緊張低下、成長障害、及び通常6~8週齢で始まる神経発達遅延などの重大な神経学的症状に苦しんでいる。未治療の場合、3歳までに死亡するのが障害の通常の転帰である。
過去25年間にわたり、銅輸送ATPase、ATP7Aの多様な変異によって引き起こされる銅輸送のX連鎖劣性障害であるメンケス病の暗い自然史が間近に観察されてきた。出生時及び生後2ヶ月間健康に見える乳児は、初期の発達マイルストーン(笑顔、頭を持ち上げる、目で追う)を失い始め、発作を発症し、通常3歳までの夭逝につながる避けられない身体的な衰えが始まる。
この状態の臨床的及び病理学的特徴は、補因子として銅を通常必要とする酵素の欠乏を反映している。これらには、ドーパミンβ-ヒドロキシラーゼ(DBH)、シトクロムcオキシダーゼ(CCO)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、リシルオキシダーゼ(LO)、及びチロシナーゼが含まれる。影響を受けた乳児は、通常、出生時に健康に見え、3~4ヶ月間正常に進行するが、その後の神経発達は停止し、初期のマイルストーン(笑顔、視覚追跡、頭部制御、寝返り)の喪失が一般的である。大脳及び小脳の萎縮、髄鞘形成異常が起こり、しばしば発作を伴う。追加の臨床的特徴としては、成長障害、及び普通ではない結合組織異常(LO欠乏症に起因する):皮膚及び関節の弛緩、尿路膀胱憩室、漏斗胸、全身血管蛇行、及び複数の肋骨骨折が含まれる。皮膚及び髪の色素沈着の減少は、チロシナーゼ欠乏症に関連して、しばしば存在する。加えて、症状を呈する罹患した乳児の髪の毛は、スチールウールのような質感を有し、個々の毛軸は、光学顕微鏡で検査すると、捻転毛(180°ねじれ)を示す。この後者の特徴の基礎は不明であり、ケラチン架橋に必要なまだ記載されていない銅酵素が関連している可能性がある。
メンケス病の生化学的現象としては、腸の吸収障害による血漿中の銅の低濃度、及び肝臓及び脳の銅の低濃度が挙げられる。しかし、特定の他の組織(十二指腸粘膜、腎臓、脾臓、膵臓、骨格筋、胎盤)は、この障害で銅を蓄積する傾向がある。銅の蓄積表現型は、培養された線維芽細胞及びリンパ芽細胞においても顕著であり、ここで、放射性標識された銅の過剰な保持は、パルスチェイス実験において実証可能である。この生化学的及び細胞的表現型は、銅の排出における主要な欠陥を示し、トランス・ゴルジ網及び形質膜の両方へのメンケスタンパク質の細胞内局在化に関する証拠と一致する。トランス・ゴルジ局在化は、メンケス病患者における銅酵素欠損のある特定の説明に役立ち、例えば、DBH、LO、及びチロシナーゼは、小胞体において合成され、トランス・ゴルジ分泌経路を介して処理される。アポ酵素による銅の取り込みは、この処理中に起こる可能性が高い。正常細胞の銅装填後のATP7Aの形質膜への再局在化は、銅の脱出が通常この遺伝子産物によってどのように媒介されるかを示している。より最近のデータは、ATP7Aが、通常、脳内のN-メチル-D-アスパラギン酸受容体活性化に応答し、応答の障害がメンケス病の神経病理に寄与する可能性が高いことを示す。
メンケス病の治療戦略を構成する際には、いくつかの問題に対処する必要がある:(a)回復不能な神経変性が発生する前に、影響を受けた乳児を特定し、治療を非常に早期に開始する必要がある、(b)銅の腸内吸収のブロックをバイパスする必要がある、(c)循環銅を脳に送達する必要がある、(d)銅は、それを補因子として必要とする細胞内の酵素に利用可能でなければならない。血漿カテコール濃度が、そうでなければ無症状の新生児におけるメンケス病の信頼できる診断マーカーとなることが最近認識され、早期発見に大いに役立っており、消化管レベルでの主要な輸送ブロックは、銅の注射投与によって克服することができる。しかしながら、血液脳関門はより困難な障害を提起し、脳内の銅酵素活性の回復を伴う脳への銅の送達は、依然として重要な障害である。メンケス同族体の発現は、血液脳関門に(脳毛細血管内皮細胞とともに)貢献している細胞である、げっ歯類のアストロサイトで証明されているので、脳内への銅の輸送は通常メンケス・トランスポーターを利用していると思われる。
本発明は、ヒスチジン酸銅を用いるメンケス病の対象の治療が対象の生存を増加させるという独創性に富んだ発見に基づいている。具体的には、ヒスチジン酸銅による、生後4週間以内の対象におけるメンケス病又は他の銅欠乏症の診断及び治療(「早期治療」)、又はその後治療(「後期治療」)は、対象の生存率を増加する。ヒスチジン酸銅は、銅の恒常性を回復させる薬学的療法であり、メンケス病患者又は銅欠乏症患者の胃腸管を介する銅吸収の欠陥をバイパスするために、皮下(SC)に注射することができる。
一実施形態において、本発明は、約zの用量でヒスチジン酸銅を対象に投与することによって、例えば、メンケス病を有する対象において、生存率を少なくとも約50%増加させる方法を提供する。一態様において、対象は、初回投与時に4週齢以下である。一態様において、対象は、4週齢以下、1歳未満、又は1歳を超える。別の態様において、投与は1日1回又は2回である。更なる態様において、ヒスチジン酸銅は、約1450で、1日1回又は2回投与される。更なる態様において、対象は、ATP7A遺伝子に変異を有する。様々な態様において、ATP7A遺伝子の変異は、ナンセンスバリアント(ストップゲインド)、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、又はそれらの組み合わせである。一態様において、生存率は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%増加する。追加の態様において、生存期間の増加は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9 10、11、12、13、14、15、16、17、18年又はそれよりも長くなる。
追加の実施形態において、本発明は、対象に約1000~8900μg/日の用量でヒスチジン酸銅を投与することによって、対象における血清銅レベルを増加させる方法を提供し、対象は、初回投与時に4週齢以下であり、それによって血清銅レベルを増加させる。一態様において、対象は、4週齢以下、1歳未満、又は1歳を超える。別の態様において、投与は1日1回又は2回である。更なる態様において、ヒスチジン酸銅は、1日1回投与の場合には約1450μg/日、1日2回投与の場合には2900μg/日で投与される。更なる態様において、投与は、皮下注射による。一態様において、対象は、メンケス疾患を有する。更なる態様において、対象は、ATP7A遺伝子に変異を有する。様々な態様において、ATP7A遺伝子の変異は、ナンセンスバリアント(ストップゲインド(stop gained))、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、又はそれらの組み合わせである。ある特定の態様において、対象の血清銅、血清セルロプラスミン、血清重炭酸塩、血清クレアチニン及び/又は尿β-2ミクログロブリンレベルをモニターする。様々な態様において、ヒスチジン酸銅の投与前の対象の血清銅レベルは、約75ug/dl未満である。一態様において、ヒスチジン酸銅の投与後、患者の血清銅レベルは、少なくとも約85μg/dlとなる。
更なる実施形態において、本発明は、凍結乾燥ヒスチジン酸銅及び薬学的に許容される担体の医薬組成物を提供する。一態様において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水である。更なる態様において、凍結乾燥ヒスチジン酸銅を生理食塩水で再構成する。更なる態様において、再構成されたヒスチジン酸銅は、約2900μg/mlの濃度を有する。
一実施形態において、本発明は、ヒスチジン酸銅の安定凍結乾燥医薬製剤を提供し、水溶液を凍結乾燥することによって作られる該製剤は、2モルのL-ヒスチジン及び1モルの塩化第二銅を含み、かつ水溶液において約7.0~7.5、例えば、7.35のpHに調整され、続いて溶液は凍結乾燥される。一態様において、ヒスチジン酸銅は、水溶液中に約2900μg/mLで存在する。更なる態様において、製剤は、2カ月を超えて、好ましくは少なくとも約18カ月間安定である。
追加の実施形態において、本発明は、ヒスチジン酸銅の製剤と、薬学的に許容される担体とを含むバイアルを提供し、製剤は水溶液を凍結乾燥することにより作られ、水溶液は2モルのL-ヒスチジン及び1モルの塩化第二銅を含み、かつ水溶液において約7.0~7.5のpHに調整され、続いて溶液を凍結乾燥される。一態様において、pHは、約7.35である。一態様において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水である。更なる態様において、製剤は、2mlの生理食塩水中で約2900μg/mlの濃度に再構成される。更なる態様において、製剤は、バイアル内に、500μgの元素銅/mlの濃度で生理食塩水中に再構成された凍結乾燥ヒスチジン酸銅を含む。ある特定の態様において、バイアルは、凍結乾燥ヒスチジン酸銅を生理食塩水中で再構成し、メンケス病の対象に、対象が1歳になるまで1日2回(1450μg)、対象が1歳になった後は1日1回、1回の投与当たり0.5ml(又はcc)の用量で皮下投与するための指示書を更に備える。一態様において、凍結乾燥ヒスチジン酸銅は、室温で少なくとも24時間、又は約2~8℃で少なくとも約7日間、2週間、1ヶ月、2ヶ月、又は2ヶ月を超えて安定である。ある特定の態様において、凍結乾燥ヒスチジン酸銅は、室温で少なくとも24時間、又は約4℃で安定である。ある特定の態様において、凍結乾燥製剤は、約-10~-20℃、2~8℃、又は室温(15~30℃)で約18カ月間安定である。ある特定の態様において、メンケス病を有する対象は、ナンセンスバリアント、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、同義バリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、カノニカルスプライス部位変異、又はそれらの組み合わせから選択されるATP7A変異を有する。
別の実施形態において、経皮投与経路を介してヒスチジン酸銅を対象に投与することによって、対象における血清銅レベルを増加させる方法が提供される。例として、ヒスチジン酸銅は、クリーム、ゲル、粉末、ローション、軟膏、リニメント、懸濁液、ミクロエマルション、ナノエマルション、及び/又はリポソーム内に組み込まれる。好ましい態様において、投与経路は、経皮パッチによる。一態様において、経皮パッチは、シクロデキストリンを含む。
いくつかの態様において、経皮パッチは、1種以上の経皮透過性剤を含む。一態様において、経皮的に送達される銅の量は、約100μg~3000μgの元素銅に等しい。一態様において、送達される銅の量は、約100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、又は3000μgの元素銅から選択される。一態様において、投与量は、1日当たり約1000~8900μgのヒスチジン酸銅、例えば、1日当たり1450又は2900μgのヒスチジン酸銅である。
別の実施形態では、本発明は、ヒスチジン酸銅と、薬学的に許容される担体とを含む経皮剤形を提供する。一態様において、剤形は、約100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、又は3000μgの元素銅を送達するのに十分な濃度で存在するヒスチジン酸銅を含む。一態様において、経皮剤形は、経皮パッチである。一態様において、投与量は、1日当たり約1000~8900μgのヒスチジン酸銅、例えば、1日当たり1450又は2900μgのヒスチジン酸銅である。
更に別の実施形態において、本発明は、2つのチャンバを有する容器を提供し、この容器の外部に固定された針を通して、混合された成分を対象に注射する前に、粉末医薬品、この例では凍結乾燥させたヒスチジン酸銅と、生理食塩水などの希釈剤とを混合する。容器は、注射器、バイアル、アンプル等であり得る。
別の実施形態において、本開示は、対象における血清ヒスチジン酸銅レベルを増加させる方法を提供し、この方法は、投与後1/2時間~1時間の血清中のヒスチジン酸銅のピーク検出可能レベルで、皮下投与経路を介して対象にヒスチジン酸銅を投与し、それによって対象の血清ヒスチジン酸銅レベルを増加させることを含む。一態様において、対象は、メンケス病等の銅欠乏症を有する。一態様において、ヒスチジン酸銅分布相半減期は、約2~3時間である。一態様において、終末排出相半減期t1/2は、約30~150時間である。一態様において、終末排出相半減期t1/2は、約75時間である。一態様において、対象は、初回投与時に4週齢以下である。一態様において、投与は、約100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、3000μgの元素銅、3500μgの元素銅、4000μgの元素銅、4500μgの元素銅、又は5000μgの元素銅である。別の態様において、ヒスチジン酸銅の投与は、対象が1歳未満の場合は1日に約1450μgを2回であり、対象が1歳を超える場合は1日に約1450μgを1回である。
健康な成人男性対象(薬物動態集団)において、3.0mg(約500nCi)の[14C]-ヒスチジン酸銅を単回皮下ボーラス投与した後の算術平均全血及び血清の総放射能プロファイル並びに血清[14C]-ヒスチジン酸銅濃度-時間プロファイル(半対数目盛)を示す。
発明の詳細な説明
本発明は、ヒスチジン酸銅を用いてメンケス病の対象を早期治療することによって対象の生存が増加するという重要な発見に基づいている。一態様において、生後4週間以内のメンケス病患者のヒスチジン酸銅による治療は、全生存期間の中央値の顕著な増加をもたらすが、生後4週間後の治療は、銅欠乏症を有する患者の生存期間の増加ももたらす。
本発明の組成物及び方法が記載される前に、本発明は、記載される特定の組成物、方法、及び実験条件に限定されず、そのような組成物、方法、及び条件は変化し得ることを理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲にのみ限定されるため、本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明することのみを目的とし、限定することを意図するものではないことも理解されるべきである。
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈により明らかにそうではないと指示されない限り、複数の参照を含む。したがって、例えば、「方法」への言及は、本明細書に記載されるタイプの1種以上の方法、及び/又はステップを含み、これらは本開示等を読むと当業者に明らかになるであろう。
本明細書に記載されている全ての刊行物、特許、及び特許出願は、各個々の刊行物、特許、又は特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。
別段の定義がない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものと同様又は均等の任意の方法及び材料は、本発明の実施又は試験で使用され得るが、変更及び変形は、本開示の趣旨及び範囲内に包含されることを理解されたい。ここで、好ましい方法及び材料を説明する。
メンケス病は、X連鎖劣性遺伝的形質を有する神経変性疾患である。経口投与された銅は腸内に蓄積し、銅を吸収できない。腸内の銅蓄積を引き起こす一次代謝欠損は、ほぼ全ての肝外組織に存在する。血液、肝臓、及び脳は、銅欠乏状態にあり、それは銅の吸収不良に起因する。したがって、一態様において、ヒスチジン酸銅は、静脈内投与又は皮下投与によって投与される。一実施形態において、本発明は、約1450~8900μgの用量でヒスチジン酸銅を対象に投与することによって、メンケス病を有する対象において生存率を少なくとも約50%増加させる方法を提供し、対象は、初回投与時に4週齢以下である。一態様において、対象は、4週齢以下、1歳未満、又は1歳を超える。別の態様において、投与は1日1回又は2回である。追加の態様において、ヒスチジン酸銅は、対象が12ヶ月未満の場合には約1450μg/1日2回、対象が1歳を超える場合には1450μg/1日で投与される。更なる態様において、該対象は、ATP7A遺伝子に変異を有する。様々な態様において、ATP7A遺伝子の変異は、ナンセンスバリアント(例えば、ストップゲインド)、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、又はそれらの組み合わせである。一態様において、生存率は、少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%増加する。追加の態様において、生存期間の増加は、少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18年又はそれよりも長くなる。
メンケス病は、銅の代謝及び/又は輸送に影響を与える遺伝性障害である。この病気を有する患者は、身体的及び/又は精神的に障害がある。メンケス病の発症は、通常、生後2~3ヶ月で起こる。この病気を患って生まれた乳児は、成長障害があり、低体温を経験し、発達が遅れており、発作を経験している。これらの乳幼児には、髪や顔の変化などの特徴的な身体的特徴もある。女性患者は、髪及び肌の色にも変化があり得る。
一態様において、メンケス病の早期診断及び治療は、対象の生存の可能性を増加させる。メンケス病は、通常、ATP7A遺伝子の変化についての臨床的特徴、医学的検査、及び遺伝子検査に基づいて診断される。臨床的特徴には、発作などの神経学的症状、異常な口蓋形態、腹壁筋組織の形成不全/低形成、発達退行、膨張、及び乾燥肌が含まれる。有用であり得る他のタイプの試験としては、血液中のカテコールアミン及び銅レベルの分析が挙げられる。一態様において、対象は、出生後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、60、70、80,90日若しくは100日又はそれ以上後に、メンケス病と診断される。別の態様において、対象は、出生後少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、若しくは24週又はそれ以後に、メンケス病と診断される。更なる態様において、対象は、少なくとも約0.5、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、18、24、30、若しくは36ヶ月又はそれ以上の年齢で、メンケス病と診断される。
メンケス病の適切な治療には、不可逆的な脳損傷が発生する前に、病気を早期に診断し、治療を開始する必要がある。生後1年は、脳の発達にとって特に重要である。治療の目的は、胃腸管を通る銅の正常な吸収経路をバイパスすることである。その後、銅は、脳細胞に送達され、酵素によって使用するために利用可能でなければならない。追加の態様において、対象は、出生後約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、50、60、70、80、90若しくは100日又はそれ以上後に、ヒスチジン酸銅の初回用量を投与される。更なる態様において、対象は、出生後約1週間、2週間、3週間、4週間、5週間、6週間、7週間、8週間、素敵な週、10週間、11週間、12週間に、ヒスチジン酸銅の初回用量を投与される。更なる態様において、対象は、生後後約0.5、1.0、1.5、2、2.5、3、3.5、4、4.5、5、5.5、6、6.5、7、7.5、8、8.5、9、9.5、10、10.5、11、11.5、12、18、24、30、又は36ヶ月以上に、ヒスチジン酸銅の初回用量を投与される。一態様において、対象は、ヒスチジン酸銅を、少なくとも約0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、1、1.5、2、2.5、3、4、5、6、7、8、9、10又は10年間以上投与される。更なる態様において、対象は、毎日2用量のヒスチジン酸銅を投与される。ある特定の態様において、対象は、生後12ヶ月間毎日2用量のヒスチジン酸銅を投与される。更なる態様において、対象は、毎日1回用量のヒスチジン酸銅を投与される。一例として、1歳になる前に、対象は、約1450μgのヒスチジン酸銅を1日に2回、又は1日に約2900μg投与され、対象が約1歳になると、1450μgのヒスチジン酸銅を1日に投与される。
本明細書に記載の医薬組成物中の活性物質であるヒスチジン酸銅は、おおよそ7.0~7.5のpHを有する。分子式は、C1218CuNであり、分子量は373.86g/molである。その一方、ヒスチジン酸銅は、胃腸管を通る吸収を回避するために、体内に直接注射することができる。しかしながら、研究は、メンケス病を引き起こす遺伝的異常は、銅置換注射によって単純に修正されないことを示している。本明細書に記載の研究において、1450μgのヒスチジン酸銅は、250μgの元素銅と同等であり、5800μgのヒスチジン酸銅は、約1000μgの元素銅と同等であり、8850μgのヒスチジン酸銅は、約1500μgの元素銅と同等である。
本明細書で使用される場合、「生存」又は「全生存」という用語は交換可能に使用され、メンケス病などの疾患の生年月日、診断日、又は治療開始日のいずれかから、その疾患を患っていると診断された患者が生存している発症期間の長さを指す。臨床検査では、全生存期間を測定することは、新しい治療法がどれほどうまく機能するかを確認する1つの方法である。具体的には、生存の増加は、ヒスチジン酸銅を受けなかったメンケス患者と比較して、ヒスチジン酸銅治療を受けた患者が生存している時間の長さの増加を指す。生存中央値は、コホート内の患者の50%が死亡し、50%が生存した後の時間量である。
ある特定の態様において、生存率は、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%増加する。追加の態様において、生存率の増加は少なくとも約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18又はそれ以上の年である。
用語「の投与」及び/又は「投与すること」は、治療を必要とする対象に治療上有効な量の医薬組成物を提供することを意味すると理解されるべきである。投与経路は、経腸、局所、又は非経口であり得る。そのため、投与経路としては、皮内、皮下、静脈内、腹腔内、動脈内、髄腔内、関節内、眼窩内、心臓内、皮内、経皮、経気管、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内及び胸骨下内、経口 舌下、口腔、直腸、膣、鼻 眼投与、及び注入、吸入、及び噴霧が挙げられるが、これらに限定されない。一態様において、投与は、皮下投与による。
投与されるヒスチジン酸銅の用量及び頻度は、対象の年齢に依存する。一態様において、対象は、1歳未満であり、ヒスチジン酸銅を1日2回投与する。追加の態様において、対象は12ヶ月齢未満であり、ヒスチジン酸銅を1日2回投与する。追加の態様において、対象は1歳を超えており、ヒスチジン酸銅を1日1回投与する。更なる態様において、対象は12ヶ月齢を超えており、ヒスチジン酸銅を1日1回投与する。ある特定の態様において、患者は、1450~8900μgのヒスチジン酸銅を投与される。特定の態様において、対象は、1450μgのヒスチジン酸銅を毎日投与される。別の態様において、対象は、5800μgのヒスチジン酸銅を毎日投与される。更なる態様において、対象は、8850μgのヒスチジン酸銅を毎日投与される。いくつかの態様において、対象は、250μgの元素銅、1000μgの元素銅、又は1500μgの元素銅に相当する量のヒスチジン酸銅を毎日投与される。
経皮又は経粘膜薬物送達は、いくつかの理由から、薬物送達の魅力的な経路である。胃腸薬物分解及び肝臓初回通過効果が回避される。加えて、経皮及び経粘膜薬物送達は、制御された持続的送達に十分に適している(例えば、Elias,In Percutaneous Absorption:Mechanisms-Methodology-Drug Delivery,Bronaugh&Maibach,Eds.,pp 1-12,Marcel Dekker,New York,1989.)。多くの用途では、薬物の初期濃度が非常に高いため、薬物を投与する従来の方法は最適ではない。経皮送達は、薬物のより均一でより遅い送達速度を可能にすることができる。更に、そのような送達方法は、使いやすく、快適で、便利で、非侵襲的であるため、患者の薬剤服用順守が奨励される。
薬物の経皮輸送を増強するいくつかの方法が提案されている。例えば、化学エンハンサー(Burnette,R.R.In Developmental Issues and Research Initiatives;Hadgraft J.,Ed.,Marcel Dekker:1989;pp.247-288)、イオン導入などが使用されている。
通常、イオン導入は、薬物が輸送される場所に、皮膚と接触する、イオン性薬物溶液を含む電極を配置することによって、実施される。第2の電極は、第1の電極の近くの皮膚上に配置され、電圧は、電流が皮膚を通過するように印加され、それによって電極間の電気回路を完成させる。電流が流れるにつれて、イオン性薬物分子は、第2の電極の影響下で、皮膚を通じて移動する。電極設計の1種の一般的な種類は、薬物溶液が導入される区画又は袋と関連する導電性要素の使用に関連する。袋の1方の壁は、通常、透過性バリアを含み、これは、溶液を収容するのに役立つが、薬物イオンがそこを通過することは可能にする。このような電極の例は、とりわけ、米国特許第4,250,878号、同第4,419,092号、及び同第4,477,971号に見ることができる。
電極設計の第2の種類は、袋を使用することなく、イオン化された薬物を含有するためのゲル材料に関連する導電性要素の使用に関連する。このような生体電極の例は、米国特許第4,383,529号、同第4,474,570号、及び同第4,747,819号に見出される。通常、これらのゲル型電極は、製造時にイオン化された薬物をゲルに組み込む。
電極設計の第3のタイプは、一般に、水和性要素に関連する導電性要素を利用する。水和性要素は、通常、架橋ポリエチレンオキシド(PEO)などの乾燥架橋ヒドロゲルのシートの積層体から形成される。Alzaに割り当てられた米国特許第6,169,920号及び同第6,317,629号は、イオン導入薬物送達デバイスを開示している。Iomedに割り当てられた米国特許第5,087,242号、同第5,374,241号、同第5,730,716号、同第6,731,977号は、薬剤のイオン導入送達のための電極及びデバイスを開示する。Samsung Electro-Mechanics Co.に割り当てられた米国特許第5,681,580号は、インスリンのイオン導入経皮投薬のためのパッチ型デバイスを開示している。異なる種類の経皮送達デバイスが、Avrahamiに対する米国特許第6,148,232号に開示されている。デバイスは、対象の皮膚上のそれぞれの点に適用される複数の電極と、電極のうちの2個以上の間に電気エネルギーを印加して、主にそれぞれの電極の下で角質層の焼灼を引き起こし、マイクロチャネルを生成する電源とを含む。電極の間隔及び隣接する電極間の皮膚の電気抵抗をモニターすることを含む、角質層への焼灼を制限するための様々な技術が記載されている。Sintov et al.(J.Controlled Release 89:311-320,2003)並びにAvrahamiに対する米国特許第6,597,946号、同第6,611,706号、同第6,708,060号、及び同第6,711,435号は、角質層を焼灼し、マイクロチャネルを生成して、皮膚を通過する物質の経皮通過を容易にするための改善及び追加のデバイスを開示している。このデバイスは、マイクロチャネル生成中に感覚を低減し、角質層の下にある皮膚への損傷を最小限に抑えることを目的としている。
受動的な経皮送達の間、活性剤は、バリアを横切る濃度勾配を使用して(例えば、皮膚を通る手動拡散によって)哺乳動物内に送達される。例えば、高濃度の薬物を含むパッチを患者の皮膚に付着させることができる。電気を使用して、皮膚バリアを通る薬物輸送を容易にすることができる。電気補助具において、薬物輸送を容易にするために、電位(電圧)が膜に印加される。経皮イオン浸透療法では、イオン化された薬物は、適用された電位差勾配によって皮膚に移される。アニオン性薬物は負極(負に帯電した電極)の下で皮膚に送達され、カチオン性薬物は正極(正に帯電した電極)の下で送達される。イオン浸透圧療法は、皮膚へのイオン物質の透過性を高めることができ、より良く制御できる。イオン導入デバイスの最も一般的な設計は、電源(例えば、電池)、電気制御機構、及び2個の別個の導電電極を含む。
本発明によれば、ヒスチジン酸銅の経皮送達は、様々な形態のいずれかで達成され得る。いくつかの実施形態において、ヒスチジン酸銅を含むナノ粒子又は他の組成物は、クリーム、ゲル、粉末、又はローション内に組み込まれ、ヒスチジン酸銅が皮膚に塗布されることによって対象に投与される。いくつかの実施形態では、ヒスチジン酸銅を含む組成物は、軟膏及び/又は塗布剤内に組み込まれ、治療剤が皮膚に塗布されることによって対象に投与される。いくつかの実施形態において、ヒスチジン酸銅を含む組成物は、懸濁液、ミクロエマルション、ナノエマルション、及び/又はリポソーム内に組み込まれ、ヒスチジン酸銅が皮膚に塗布されることによって対象に投与される。いくつかの実施形態において、組成物は、経皮パッチ内に組み込まれ、ヒスチジン酸銅がパッチから対象に投与される。本発明の実施形態は、治療有効量のヒスチジン酸銅を含む組成物の経皮送達のためのパッチも提供する。一実施形態では、本発明は、治療上有効な量のヒスチジン酸銅を含むヒスチジン酸銅の経皮送達のためのパッチを提供し、組成物はシクロデキストリンを更に含む。
ある特定の実施形態において、本発明のパッチは、1種以上の経皮透過性剤を含むヒスチジン酸銅含有組成物を更に含む。したがって、様々な実施形態において、本発明は、ヒスチジン酸銅からの銅を治療有効量含む、本発明の医薬組成物の経皮送達のためのパッチを提供する。更に、これら及び関連する実施形態において、パッチは、様々な医薬組成物のイオン導入経皮送達のために構成され得、電極及び医薬組成物のリザーバを含み得る。いくつかの実施形態において、経皮的に送達される銅の量は、約100μg~3000μgの元素銅、例えば、100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、又は3000μgの元素銅に等しい。
メンケス病は、ATP7A遺伝子の病原性変異によって引き起こされる。ATP7A遺伝子は、体内の銅レベルを調節するために重要な銅輸送タンパク質を作るための指示を提供する。銅は多くの細胞機能に必要であるが、過剰な量で存在すると毒性がある。ATP7Aタンパク質は、肝細胞を除いて全身で見出される。小腸において、このタンパク質は食物からの銅の吸収を制御するのに役立つ。他の細胞において、ATP7Aタンパク質は二重の役割を持ち、2つの細胞部位の間を往復する。このタンパク質は、通常、ゴルジ装置と呼ばれる細胞構造に存在し、ゴルジ装置は酵素を含む新しく生成されたタンパク質を修飾する。ゴルジ装置において、ATP7Aタンパク質は、骨、皮膚、髪、血管、神経系の構造と機能に重要な特定の酵素に銅を供給する。しかしながら、細胞環境中の銅レベルが上昇すると、ATP7Aタンパク質は細胞膜に移動して、細胞から過剰な銅を排出する。
遺伝子変異は、遺伝子を構成するDNA配列の永続的な変化であり、その配列はほとんどの人に見られるものとは異なる。変異の大きさは様々で、単一のDNAビルディングブロック(塩基対)から複数の遺伝子を含む染色体の大きなセグメントまで、どこにでも影響を及ぼす可能性がある。遺伝子変異の種類の例としては、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、ナンセンス(ストップゲインド)、インフレーム欠失、全欠失、複製、及び染色体転座が挙げられる。
ミスセンス変異又はバリアントは、一塩基の変化により、タンパク質配列中の異なるアミノ酸残基をコードするコドンが生じる点変異である。
イントロン変異又はバリアントは、遺伝子のイントロン領域で生じる変異である。イントロンは、遺伝子の全長の平均で約40%を占め、これは、ほとんどのランダムに発生する変異がイントロン領域に分類され、タンパク質配列及び機能に影響を与えないことを意味する。
スプライス領域変異又はバリアントは、エクソンとイントロンの境界(スプライス部位)で発生するDNA配列の遺伝的変化である。この変化によってメッセンジャーRNAのスプライシングが破壊され、エクソンが失われたり、イントロンが組み込まれたりして、タンパク質をコードする配列が変化する。
フレームシフト変異又はバリアントは、DNA配列中のヌクレオチドが3で割り切れない数のインデル(挿入又は欠失)によって引き起こされる遺伝子変異である。コドンによる遺伝子発現がトリプレットである性質のため、挿入又は欠失は、リーディングフレーム(コドンのグループ化)を変更することができ、元のものとは完全に異なる翻訳をもたらす。配列の欠失又は挿入が早期に起こるほど、タンパク質はより変化する。フレームシフト変異は、一般に、変異後にコドンの読み取りが異なるアミノ酸をコードするようになる。フレームシフト変異はまた、配列で出会う最初の終止コドン(「UAA」、「UGA」又は「UAG」)を変化させる。作製されるポリペプチドは、異常に短い、又は異常に長い場合があり、おそらく機能しないであろう。
5’UTR変異又はバリアントは、変異を指す5’非翻訳領域(5’UTR)(リーダー配列又はリーダーRNAとしても知られる)は、開始コドンから直接上流にあるmRNAの領域である。この領域は、ウイルス、原核生物、及び真核生物における異なるメカニズムによって、転写物の翻訳の制御のために重要である。5’UTRは、代謝に関連するタンパク質と相互作用することが見出されており、タンパク質は、5’UTR内の配列を翻訳する。加えて、この領域は、転写調節に関与している。5’UTR内の調節エレメントもmRNAの核外輸送に関係している。
スプライス部位変異は、前駆体メッセンジャーRNAから成熟メッセンジャーRNAへの処理中にスプライシングが行われる特定の部位において、いくつかのヌクレオチドを挿入、欠失、又は変化させる遺伝子変異である。エクソン認識を駆動するスプライス部位コンセンサス配列は、イントロンの末端に位置する。スプライシング部位の欠失は、成熟mRNAに1個以上のイントロンが残り、異常なタンパク質の産生につながり得る。スプライス部位変異が生じると、mRNA転写物は、通常は含まれるべきではないこれらのイントロンからの情報を有する。エクソンが発現されている間、イントロンは除去されることになっている。
ナンセンス(ストップゲイン)は、翻訳の終了を知らせる、早期終了コドン(停止が得られた)をもたらす変異である。この中断により、タンパク質が異常に短縮される。失われたアミノ酸の数は、タンパク質の機能性への影響と、それが何らかの機能を果たすかどうかを決める。
インフレーム欠失は、少なくとも3つのDNA塩基(それはより多くなり得、通常は3の倍数である)のコドン全体を除去を伴い、タンパク質からアミノ酸の欠失、例えばインフレーム欠失をもたらし得る。
更に、遺伝子は、染色体転座により変異し得、染色体転座は染色体異常の一種であり、そこでは、染色体が破断し、その一部が異なる染色体又はその一部に再結合する。
追加の実施形態において、本発明は、対象に毎日約1450~8900μgの用量でヒスチジン酸銅を投与することによって、対象における血清銅レベルを増加させる方法を提供し、対象は、初回投与時に4週齢以下であり、それによって血清銅レベルを増加させる。一態様において、対象は、4週齢以下、1歳未満、又は1歳を超える。別の態様において、投与は1日1回又は2回である。更なる態様において、ヒスチジン酸銅は、約1450μgで1日1回又は2回投与される。更なる態様において、投与は、皮下注射によるものである。一態様において、対象は、メンケス病を有する。更なる態様において、該対象は、ATP7A遺伝子に変異を有する。様々な態様において、ATP7A遺伝子の変異は、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、同義バリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、ナンセンス(ストップゲインド)、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、又はそれらの組み合わせである。ある特定の態様において、対象の血清銅、血清セルロプラスミン、血清重炭酸塩、血清クレアチニン及び/又は尿β-2ミクログロブリンレベルをモニターする。様々な態様において、ヒスチジン酸銅の投与前の対象の血清銅レベルは、75ug/dl未満である。一態様において、対象にヒスチジン酸銅を投与した後、対象の血清銅レベルは、少なくとも約85μg/dlとなる。
一態様において、対象は、正常レベルの血清銅を有し、ヒスチジン酸銅の投与は、血清銅のレベルを正常レベルを上回るまで増加させる。追加の態様において、対象は、低レベルの血清銅を有し、ヒスチジン酸銅の投与は、血清銅のレベルを正常レベルまで、又は正常レベルを上回るまで増加させる。一態様において、正常な血清銅レベルは、約85~180μg/dlである。追加の態様において、対象は、85μg/dl未満の低レベルの血清銅を有する。特定の態様において、対象は、75μg/dl未満の血清銅レベルを有する。更なる態様において、対象は、低血清銅レベルを引き起こす、又はその結果として生じる疾患又は障害を有する。ある特定の態様において、疾患又は障害は、メンケス病である。
ヒスチジン酸銅の投与後、血清銅、血清セルロプラスミン、血清重炭酸塩、血清クレアチニン及び/又は尿β-2ミクログロブリンレベルのレベルをモニターする。ある特定の態様において、ヒスチジン酸銅のレベル、血清銅のレベル、血清重炭酸塩、血清セルロプラスミン、血清クレアチニン及び/又は尿β-2ミクログロブリンレベルを測定して、レベルが正常レベルよりも高い又は低いことを決定する。一態様において、正常な血清銅レベルは、約85~180μg/dlである。更なる態様において、低レベルの血清銅は、85μg/dl未満である。特定の態様において、対象は、75μg/dl未満の血清銅レベルを有する。いくつかの態様において、血清重炭酸塩の正常レベルは22~29mmol/Lである。特定の態様において、血清重炭酸塩の低レベルは22mmol/L未満であり、血清重炭酸塩の高レベルは29mmol/L超である。一態様において、血清重炭酸塩の低レベルは12mmol/L未満である。一態様において、血清クレアチニンの正常レベルは0.2~0.4mg/dlである。様々な態様において、低レベルの血清クレアチニンは0.2mg/dl未満であり、高レベルの血清クレアチニンは0.4mg/dl超である。いくつかの態様において、高レベルの血清クレアチニンは、0.5mg/dl超である。ある特定の態様において、尿β-2ミクログロブリンの正常レベルは、約0~0.3mg/Lである。様々な態様において、血清セルロプラスミンの正常レベルは、20~35mg/dlである。一態様において、低レベルのセルロプラスミンは、20mg/dl未満である。ある特定の態様において、高レベルの血清セルロプラスミンは、30mg/dl超である。いくつかの態様において、高レベルの尿β-2ミクログロブリンは、3mg/L超である。一態様において、高レベルの尿β-2ミクログロブリンは、75mg/dl超である。
更なる実施形態において、本発明は、凍結乾燥ヒスチジン酸銅及び薬学的に許容される担体の医薬組成物を提供する。一態様において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水である。追加の態様において、凍結乾燥ヒスチジン酸銅を生理食塩水又は他の担体で再構成する。生理食塩水は緩衝できる(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))。更なる態様において、再構成された銅ヒスチジンは、約500μg/ml~3000μg/ml、例えば、2900μg/mlの濃度を有する。
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容される担体」という語句は、薬学的投与と適合性のある任意の及び全ての溶媒、溶液、緩衝液、分散媒、コーティング、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などを含む。かかる組成物は、本発明の抗体及び担体に加えて、様々な希釈剤、充填剤、塩、緩衝液、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野で周知の他の材料を含有し得る。「薬学的に許容される」という用語は、活性成分の生物活性の有効性を妨げない非毒性材料を意味する。担体の特性は、投与経路に依存することになる。そのような媒体及び薬学的に活性な物質のための薬剤の使用は、当該技術分野で周知である。組成物はまた、補完的、追加的、又は強化された治療機能を提供する他の活性化合物を含有してもよい。医薬組成物はまた、容器、パック、又はディスペンサーに、投与のための指示書とともに含まれてもよい。一態様において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水、例えば、0.9%の生理食塩水である。
更に別の実施形態において、本発明は、凍結乾燥ヒスチジン酸銅を伴うキット、及び指図書を提供する。一態様において、凍結乾燥させたヒスチジン酸銅は、生理食塩水で再構成される。追加の態様において、凍結乾燥ヒスチジン酸銅を、0.2~2mlの生理食塩水で再構成する。更なる態様において、再構成されたヒスチジン酸銅は、約2℃~37℃で保存される。一態様において、凍結乾燥生成物は、約-10~-20℃で保存される。ある特定の態様において、キットは、ヒスチジン酸銅を再構成するための指図書又は指示書を含む。様々な態様において、キットは、ヒスチジン酸銅を再構成する装置を含む。特定の態様において、ヒスチジン酸銅を再構成する装置は、皮下注射針を備えた、注射器、バイアル、又はアンプルである。更なる態様において、ヒスチジン酸銅を2.0mlの生理食塩水で再構成する。更なる態様において、再構成されたヒスチジン酸銅の濃度は、約100~3000μg/mlの元素銅濃度に等しい。様々な態様において、再構成されたヒスチジン酸銅の濃度は、100μg/ml、150μg/ml、200μg/ml、250μg/ml、300μg/ml、350μg/ml、400μg/ml、450μg/ml、500μg/ml、550μg/ml、600μg/ml、650μg/ml、700μg/ml、750μg/ml、800μg/ml、850μg/ml、900μg/ml、950μg/ml、1000μg/ml、1500μg/ml、2000μg/ml、2500μg/ml、又は3000μg/mlの元素銅濃度に等しい。ある特定の態様において、再構成されたヒスチジン酸銅の濃度は、500μg/mlの元素銅協調に等しい。一態様において、キットは、再構成されたヒスチジン酸銅を対象に投与するための指図書又は指示書を含有する。様々な態様において、0.5mlの再構成されたヒスチジン酸銅溶液を対象に投与する。追加の態様において、250μgの再構成されたヒスチジン酸銅溶液を対象に投与する。更なる態様において、キットは、再構成されたヒスチジン酸銅溶液を保存するための指図書又は指示書を含有する。
一実施形態において、例として、本発明は、ヒスチジン酸銅の安定凍結乾燥医薬製剤を提供し、水溶液を凍結乾燥することにより作られる該製剤は、2モルのL-ヒスチジン及び1モルの塩化第二銅(例えば、塩化銅(II)二水和物)を含み、かつ水溶液において約7.35のpHに調整され、続いて溶液を凍結乾燥させられる。一態様において、ヒスチジン酸銅は、水溶液中に約2900μg/mLで存在する。追加の態様において、製剤は、少なくとも約18カ月間安定である。一態様において、18ヶ月安定した製剤は、約-10~-20℃、2~8℃、又は室温(15~30℃)で保管される。追加の実施形態において、本発明は、ヒスチジン酸銅及び薬学的に許容される担体の製剤を含むバイアルを提供し、製剤は、2モルのL-ヒスチジン及び1モルの塩化第二銅(例えば、塩化第二銅二水和物)を含む水溶液を凍結乾燥させ、かつ水溶液において約7.35のpHに調整し、続いて溶液を凍結乾燥させることによって作られる。一態様において、薬学的に許容される担体は、生理食塩水である。更なる態様において、製剤は、2mlの生理食塩水中で約2900μg/mlの濃度に再構成される。更なる態様において、製剤は、バイアル内に、500ug元素銅/mlの濃度で生理食塩水中に再構成された凍結乾燥ヒスチジン酸銅を含む。ある特定の態様において、バイアルは、凍結乾燥したヒスチジン酸銅を生理食塩水中で再構成し、メンケス病を有する対象に、対象が1歳になるまでは1日2回、対象が1歳になった後は1日1回、投与当たり0.5ml(又はcc)の用量で皮下投与するための指示書を更に備える。一態様において、凍結乾燥ヒスチジン酸銅は、約2~8℃、例えば、4℃で、少なくとも約7日間、2週間、1ヶ月、又は2ヶ月を超える間、安定である。ある特定の態様において、メンケス病を有する対象は、ナンセンスバリアント、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、同義バリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、カノニカルスプライス部位変異、又はそれらの組み合わせから選択されるATP7A変異を有する。
一態様において、本発明のバイアルは、凍結乾燥したヒスチジン酸銅を生理食塩水中で再構成し、メンケス病を有する対象に、対象が1歳になるまでは1日2回、対象が1歳になった後は1日1回、投与当たり0.5mlの用量で皮下投与するための指示書を備える。一態様において、メンケス病を有する対象は、ナンセンスバリアント、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、同義バリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、カノニカルスプライス部位変異、又はそれらの組み合わせから選択されるATP7A変異を有する。別の態様において、指示書は、対象におけるATP7A変異を同定するために遺伝子検査を実施することを含む。
更に別の実施形態において、本発明は、2つのチャンバを有する容器を提供し、この容器の外部に固定された針を通して、混合された成分を対象に注射する前に、粉末医薬品、この例では凍結乾燥させたヒスチジン酸銅と、生理食塩水などの希釈剤とを混合する。容器は、注射器、バイアル、アンプル等であり得る。
max(ピーク血漿濃度時間)は、薬物投与後、血漿中の薬物濃度が最大に達するまでに必要な時間である。Tmaxは、ピーク血漿時間である。簡単に言えば、TmaxはCmaxに達するまでの時間である。Cmaxは、薬物の経口投与後に得られる最大(ピーク)血漿薬物濃度である。また、Tmaxでは、薬物吸収速度は薬物排出速度と完全に等しくなる。
他方では、t1/2(排出半減期)は、排出中に体内の薬物濃度を半減させるのに必要な時間である。すなわち、t1/2(排出半減期)は、薬物の量又は濃度が半減するのに必要な時間である。薬物動態学では、排出半減期、t1/2は、投与された薬物の投与量の半分が体から排出されるのに必要な時間を指す。Tmaxは、排出速度(k)及び吸収速度定数(ka)に依存する。一方、t1/2は、排出速度(k)及び分布体積(Vd)に依存する。Tmaxでは、薬物の濃度はピークである。t1/2である間、薬物の濃度はピークであってもピークでなくてもよい。例えば、https://pharmaeducation.net/difference-between-tmax-and-t1-2/#:~:text=On%20the%20other%20hand%2C%20t%201%2F2%20%28elimination%20half-life%29,of%20a%20drug%20to%20decrease%20by%20one-half%20%5B1%5Dを参照。
本明細書の例示的な例において、本開示は、対象の血清ヒスチジン酸銅のレベルを増加させる方法を提供し、この方法は、投与後約1/2時間~1時間の血清中のヒスチジン酸銅のピーク検出可能レベルで、皮下投与経路を介して対象にヒスチジン酸銅を投与し、それによって対象の血清ヒスチジン酸銅のレベルを増加させる。ヒスチジン酸銅の検出可能なレベルのピークは、投与後1/4時間~2時間であり得る。更に、ヒスチジン酸銅分布相半減期は、約1~5時間、約1~4時間、約1~3時間、約2~5時間、約2~4時間、又は約2~3時間である。
一態様において、終末排出相半減期t1/2は、約30~150時間である。他の態様において、終末排出相半減期t1/2は、約30~125時間、約30~100時間、約30~75時間、又は約75時間である。以下の実施例は、本発明の実施形態を更に例示するために示されるが、本発明の範囲を限定することを意図するものではない。これらは使用される可能性のあるものの典型であるが、当業者に公知の他の手順、方法論、又は技術を代替的に使用することもできる。
実施例1
メンケス患者のヒスチジン酸銅治療
この研究の目的は、現在登録されている参加者が、以前のプロトコルの下で皮下ヒスチジン酸銅治療の3年間のコースを完了できるようにすることであった。この薬物の皮下注射は、登録された参加者の血清銅レベル及びセルロプラスミンレベルを上昇させ、神経発達及び神経学的転帰を改善し、未治療の罹患対象と比較して死亡率を低減すると仮定された。この治療研究の広範な全体的な仮説は、皮下ヒスチジン酸銅注射が循環銅レベルを正常化し、古典的なメンケス病などの遺伝的異常又は原因不明の銅欠乏症を有する個人に健康上の利点を提供することである。この試験は、非盲検デザインを表し、登録された全ての対象がヒスチジン酸銅の皮下注射を受ける。古典的なメンケス病におけるヒスチジン酸銅治療の即時の潜在的な利点としては、発作活動に対する保護及び年齢に適した方法での神経発達能力の獲得が挙げられる。ヒスチジン酸銅で治療された古典的なメンケス病を有する他の対象で指摘されたように、長期的な潜在的利益には、寿命と生活の質の向上が含まれる。
活性物質であるヒスチジン酸銅は、銅(II)とL-ヒスチジンとの1:2の複合体であり、1モルの塩化第二銅を2モルのL-ヒスチジンと水溶液中で反応させ、かつおおよそpH7.35に調整した場合にインサイチューで形成される。IUPACの化学名は、(2S)-2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-5-イル)プロパン酸、銅である。分子式は、C1218CuN(分子量:373.86g/mol)である。特定の実施形態において、本発明は、以下のように処方される用量のヒスチジン酸銅の投与による研究介入を提供する:生後12ヶ月までの乳児には1450μgを皮下に1日2回(BID)、及び12ヶ月以上の乳児及び小児には1450μgを皮下に1日1回(QD)。例示的な一例において、ヒスチジン酸銅治療の総持続時間は、3年を超えない。ヒスチジン酸銅は、例として、#27ゲージ針を備える注射器を使用して、0.5mlを超えない体積で皮下注射によって投与される。古典的メンケス病に対する標準的な投与レジメンは、生後12ヵ月未満の患者にはヒスチジン酸銅1450μg(0.5ml)を皮下BID、及び生後12ヵ月を超える患者には1450μgを皮下QDである。このレジメンは、通常、血清銅レベルをそのような対象についての正常範囲に維持する。
患者の参加基準には、古典的メンケス病、後角症候群(OHS)、又は原因不明の銅欠乏症と診断されていること、血清銅レベルが0~75mg/dl(正常範囲は80~180μg/dl)であること、及び所定のヒスチジン酸銅皮下注射レジメンを遵守できることが含まれた。
患者の除外基準には、肝臓病(例えば、肝炎、胆道閉鎖症、肝硬変)又は腎臓病(例えば、血清クレアチニン>1.0mg/dL)の既往症;出血体質の既往歴;妊娠又は授乳;ウィルソン病の診断;患者が本試験を完了できない可能性が高い、又は本試験の要件を適切に遵守できない、若しくは遵守する意志のない、疾患又は状態;本試験のスクリーニング前30日以内に治験薬又はデバイスを受けた他の治験への参加;過去3年以内に診断された薬物又はアルコール依存症の病歴;消化管吸収に悪影響を及ぼす可能性のある任意の疾病過程;心不全、不整脈、徐脈、低血圧を含むがこれらに限定されない、臨床検査に参加することが身体的に負担となる可能性のある慢性/重度の心疾患(成人被験者にのみ適用される)、ただし、OHSのように他の自律神経失調症を伴う場合はこの限りではない;対象の臨床検査への参加を困難にする可能性のある脳血管障害の既往歴(成人対象のみに適用される)が含まれた。
血清銅レベルを追跡して、銅レベルが異常に高いかどうかを判断し、それに応じて介入を調整した。加えて、血清重炭酸塩、血清クレアチニン、及び尿β-2-ミクログロブリン(尿細管機能のマーカー)も追跡し(表1)、必要に応じて、ヒスチジン酸銅用量の変化を研究するために使用した。
(表1)
Figure 2024511999000002
腎銅過負荷の差し迫った危険は、重炭酸塩の損失の増加による酸塩基不均衡を引き起こす。これは、ヒスチジン酸銅投与を1週間停止し、更に3週間用量を低下させてから、検査値を再測定することによって対処される。潜在的な長期危険は、透析又は腎移植を必要とする永久的な腎障害である。しかしながら、ヒスチジン酸銅によって引き起こされる古典的なメンケス病患者における腎管損傷が可逆的であるという証拠は存在する。
この研究の最後に、患者は、生存、神経学的発達、及び患者の生活の質を決定するために、長期研究に移された。
実施例2
メンケス病のヒスチジン酸銅治療の長期研究
この研究は、古典的なメンケス病と診断された患者及び新たに診断されたメンケス病患者に対する皮下ヒスチジン酸銅治療の臨床効果及び安全性を調査した。
研究中、患者は以下のようにヒスチジン酸銅の用量を投与された:12カ月齢までの乳児において1450μgの皮下BID、及び12カ月齢以上の乳児及び小児において1450μgの皮下QD。一実施例において、新たに診断されたメンケス病患者に対するヒスチジン酸銅治療の総持続時間は、3年を超えなかった。
以前に診断された患者は、臨床的、生化学的及び分子基準に基づいて診断が確認されていた。臨床基準には、髪の色及び/又は質感の異常、及び/又は発作、及び/又は筋緊張低下、及び/又は発達遅滞が含まれた。生化学的基準には、低血清銅レベル(75μg/dl未満)及び/又はセルロプラスミン及び/又は異常な血漿カテコールアミンレベルが含まれた。分子基準には、ATP7A遺伝子の変異(欠失/重複、ナンセンス、ミスセンス、又はカノニカル若しくはノンカノニカルスプライス接合部変異)が含まれた。新たに診断された患者は、血清銅レベルが75μg/dl未満であり、ATP7A遺伝子変異について検査した。
肝臓(例えば、肝炎、胆道閉鎖症、肝硬変)又は腎臓病(例えば、血清クレアチニンが1.0mg/dl超)の既往歴、出血体質の病歴、又はウィルソン病の診断を受けた任意の患者は、研究から除外された。
新たに診断された患者は、最初の6ヵ月間は6週間ごとに、基礎代謝パネル(BMP)、血清銅、セルロプラスミン、及び尿中β-2ミクログロブリン濃度を含む実験室分析によって、銅毒性についてモニターされた。患者は、最初の3~4ヶ月間は毎月診療所で評価され、その後2~3ヶ月ごとに評価された。患者は、電話接触及び/又は訪問のいずれかによって、おおよそ3ヶ月ごとに生存状態を決定するために評価された。BMPパネルには、アルブミン、アルカリホスファターゼ、ALT、AST、重炭酸塩、ビリルビン(総及び直接)、BUN、カルシウム、塩化物、クレアチニン、クレアチニンキナーゼ、グルコース、LDH、マグネシウム、リン、カリウム、総タンパク質、及びナトリウムが含まれる。
以前に診断された患者は、最初に登録したとき最初に、及びその後3年の治療を完了するまで3~4ヶ月ごとに、BMP、血清銅、セルロプラスミン、及び尿β-2ミクログルブリン濃度を含む実験室分析によって、銅毒性についてモニターされた。患者は、電話による接触及び/又は訪問のいずれかによっておおよそ3ヶ月ごとに生存状態を決定するために評価された。
ヒスチジン酸銅の用量に対するいかなる変化も、表2に示す安全性パラメータによって決定した。
(表2)
Figure 2024511999000003
実施例3
ヒスチジン酸銅で治療されたメンケス病患者の長期フォローアップ
この研究は、ヒスチジン酸銅によるメンケス病治療に関する先行研究で同定及び/又は登録された患者、及び未治療患者に対する長期追跡調査として計画され、生存期間、神経学的発達、生活の質の状態、有害事象を決定した。この研究は、長期フォローアップのために、以前の実施例からの患者を追跡した。
ヒスチジン酸銅によるメンケス病の治療のための臨床試験に以前登録した患者を、生存状態、神経学的発達状態、及び生活の質について評価した。この研究中に薬物は投与されなかった。
その結果、ヒスチジン酸銅による早期治療を受けたメンケス病の対象は、未治療の履歴対照と比較して、死亡の危険(ハザード比=0.21、p<0.00001)が80%近く低減したことが示された。早期治療コホートの生存期間の中央値は、14.8年(177.1ヵ月であったのに対し、未治療の履歴対照群では1.3年(15.9ヵ月)であった。
実施例4
薬物動態研究
本試験は、第I相非盲検単回投与研究であり、健康な男性ボランティアにおける皮下投与後のヒスチジン酸銅の薬物動態、安全性及び忍容性を評価する。
メンケス患者を対象とした以前の研究では、1歳未満の小児は1450μgのヒスチジン酸銅(250μgの元素銅に相当)を1日2回受け、一方、1歳以上の小児は1450μgのヒスチジン酸銅(250μgの元素銅に相当)を1日1回受けた。この用量は、メンケス小児における適切な血清銅曝露を目標にするために選択されている。
銅補充療法を受けているメンケス小児は、正常小児の最低3パーセンタイル以下の体重であると予想される。銅欠乏症のない健康なボランティアにおける皮下ヒスチジン酸銅の安全性は不明であるため、3歳のメンケス小児からのより低い体重調整用量が目標とされる。体重が3パーセンタイルの3歳の男性は11.8kgの重さがあると予想され、一方で通常の男性は70kgの重さがある。
指数0.75の相対成長率を使用すると、等価成人用量はヒスチジン酸銅約5800μg(1000μgの元素銅に相当であり、これはたまたま正常な状態下で腸を通って吸収できる銅の最大量でもある。したがって、5800μgのヒスチジン酸銅(1000μgの元素銅に相当)の単回皮下投与を検討する。相対成長指数を1と仮定すると、等価成人用量は、8850μgのヒスチジン酸銅(1500μgの元素銅に相当)である。したがって、8850μgのヒスチジン酸銅(1500μgの元素銅に相当)が、この研究において考慮される最大用量となる。
この研究は、28日間のスクリーニングフェーズ、臨床研究ユニット(CRU)でのおおよそ96時間の滞在、及びCRU退院後4(±1)日後のフォローアップ電話で、構成されている。合計9人の健康な男性に、5800μgのヒスチジン酸銅(1000μgの元素銅に相当)を、皮下投与で、二回の別々の注射で、それぞれ異なる腕に、2日目に、単回投与する。各1mLの注射には、2900μgのヒスチジン酸銅(500μgの元素銅に相当)が含まれる。
対象は、CRUへの入院前28日以内(-29日目から-2日目)にスクリーニングを受ける。対象は、-1日目の午後遅くにCRUに入院し、夕食を提供され、その後一晩断食する。対象は、既知の一貫した銅含有量を伴う標準化された食事スケジュールに従い、-1日目から4日目のCRU退院まで固定された睡眠-覚醒スケジュールに従う。第1の皮下ヒスチジン酸銅注射の開始は、2日目の時間0として定義される。
ベースライン評価は、1日目に開始し、2日目のスケジュールに対応して採血を含み、血清銅、セルロプラスミン、及びヒスチジン酸銅レベルのベースライン日周変動を評価する。1日目の薬物動態分析のための血液は、おおよそ午前7時に目覚めてから1時間後に採取し、次に、最初の1日目の薬物動態試料後、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、14、16、及び24時間(投与前2日目)に採取する。2日目に、ヒスチジン酸銅皮下注射前15分以内(最初の1日目の薬物動態試料の24時間後に使用されたものとは異なるチューブ内)、次いで、ヒスチジン酸銅皮下注射後、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、14、16、24、28、32、36、及び48時間に、試料を採取する。2日目の時間0時は、おおよそ午前8時に対応する。投与は、投与前試料を収集した後、できるだけ早く(15分以内)開始する必要がある。
尿試料は、薬物動態分析のために、1日目から4日目まで所定の時間間隔で収集される。尿は、1日目(ヒスチジン酸銅皮下注射前)の最初の薬物動態血液試料の0~6、6~12、及び12~24時間後に採取する。皮下ヒスチジン酸銅を注射した後、尿は、薬物投与後0~6時間、6~12時間、12~24時間、及び24~48時間に採取する。
重篤な有害事象/有害事象(AE/SAE)、安静時バイタルサイン、ECG、検査室評価、身体検査、及び併用薬物を含む安全性パラメータは、研究を通して収集される。AEは、それらが発生したときに、研究を通していつでも単純に報告される。ヒスチジン酸銅の皮下注射前及び各血液試料採取時に、対象は、注射部位の反応について評価される。バイタルサインは、スクリーニング時、1日目のベースライン評価前、2日目の投与前、及び皮下ヒスチジン酸銅注射後0.5、1、2、4、12、24、及び48時間に測定する。ECGは、スクリーニング時、2日目の投与前、及び投与後1、2、4、及び24時間に測定する。臨床検査パネルは、スクリーニング時、CRUチェックイン時、及び皮下ヒスチジン酸銅投与の24時間(3日目)及び48時間(4日目)後に採取する。完全な身体検査は、スクリーニング時、CRUチェックイン時、及び皮下ヒスチジン酸銅投与の24時間(3日目)及び48時間(4日目)後に実施し、2日目の投与2時間後に簡単な身体検査を実施する。
活性物質であるヒスチジン酸銅は、おおよそ7.0~7.5、例えば、7.35のpHを有し、銅補充療法のための薬物の分類に属する。分子式は、C1218CuNであり、分子量は373.86g/molである。皮下注射用の薬物製品であるヒスチジン酸銅を凍結乾燥する 凍結乾燥粉末製品を皮下注射用の生理食塩水で再構成する。各対象について、ヒスチジン酸銅凍結乾燥粉末の2つのバイアルを使用する。投与前に、各5mLバイアルを2mLの注射用0.9%生理食塩水で再構成する。
5800μgのヒスチジン酸銅(1000μgの元素銅に相当)の単回投与は、異なる腕で2回の皮下注射を介して投与される。医薬品の2つのバイアルを、それぞれ2mLの0.9%生理食塩水で再構成する。各バイアルから、再構成された医薬品の1mLを別々の皮下注射として投与し、合計2回の注射を行う。2回の注射は、各対象に対して、異なる腕に約5分以内に行う必要がある。
最大8850μgのヒスチジン酸銅(1500μgの元素銅に相当)の追加の単回投与は、異なる腕で2回の皮下注射を介して追加のコホートにおいて投与してもよい。医薬品の2つのバイアルを、それぞれ2mLの0.9%生理食塩水で再構成する。各バイアルから、1.5mLの再構成された医薬品を別々の皮下注射として投与し、合計2回の注射を行う。2回の注射は、対象に対して、異なる腕に5分以内に行う必要がある。
薬物動態評価:血清銅、セルロプラスミン、及びヒスチジン酸銅の薬物動態分析のための血液試料を、1日目の覚醒後1時間(1日目の時間0時)、及び最初の1日目の薬物動態試料後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、14、16、及び24時間(投与前2日目)に収集する。2日目に、試料を、ヒスチジン酸銅皮下注射前15分以内(最初の1日目の薬物動態試料の24時間後に使用されたチューブとは異なるチューブ内)、及びヒスチジン酸銅皮下注射後0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、6、8、10、12、14、16、24、28、32、36、及び48時間に収集する。
尿試料を、銅の薬物動態分析のために、1日目から4日目まで所定の時間間隔で収集する。対象は、1日目の0時のベースライン評価の開始のおおよそ30分前に、膀胱を空にするべきである(試料は捨てることができる)。尿は、0時(ヒスチジン酸銅皮下注射前)の後、0~6時間、6~12時間、及び12~24時間に採取する。皮下ヒスチジン酸銅を注射した後、尿は、薬物投与後0~6時間、6~12時間、12~24時間、及び24~48時間に採取する。
完全な身体検査は、スクリーニング時、CRUチェックイン時、及び皮下ヒスチジン酸銅投与の24時間(3日目)及び48時間(4日目)後に実施し、2日目の投与2時間後に簡単な身体検査を実施する。
標準的なノンコンパートメント分析(NCA)法を使用して、観察された血清及び尿の濃度データから導出された、皮下ヒスチジン酸銅の単回投与後の、日内変動調整後の血清銅、セルロプラスミン、及び血清ヒスチジン酸銅についての薬物動態パラメータには、以下が含まれる:ピーク濃度(Cmax);ピーク濃度までの時間(Tmax);時間0から最後の定量化可能な濃度まで(AUClast)の濃度-時間曲線下面積(AUC);時間0から無限大までのAUC(AUCinf);見かけの全身クリアランス(CL);見かけの腎クリアランス(CLr);排出半減期(t1/2);皮下注射後の時間0から6時間(Ae0-6)、14時間(Ae0-14)、24時間(Ae0-24)、及び48時間(Ae0-48)まで、並びに時間0から無限大(Aeinf)で、尿中に排出される銅の累積量(μg及び用量の百分率として)(Ae)。
定常投与時の日内変動調整をした血清銅、セルロプラスミン、ヒスチジン酸銅の予測ピーク曝露量及び総曝露量(Cmax及びAUCtau)も分析する。
実施例5
成人ヒトにおける薬物動態研究
以下の実施例は、健康な成人男性ボランティア6人に3000μg(3.0mg)(約500nCi)[14C]-CuHis溶液を1日1回皮下注射した研究によって決定されたヒスチジン酸銅の薬物動態を説明する。
この研究の主な目的は、健康な成人男性対象における[14C]CuHisの単回皮下(SC)投与後の、全血、血清、及びサイズ排除高速液体クロマトグラフィー(SEC-HPLC)カラムからの非標識ヒスチジン酸銅(CuHis)が混ぜられた血清の溶出画分における、総放射能(TRA)を定量することであった。更に、この研究は、経時的に全血中の細胞成分に関連する14C放射能の割合(例えば、全血:血清の分配濃度比)を決定するように設計された。
健康な成人男性対象における[14C]CuHisの単回SC投与後の安全性及び忍容性を評価するため。これは、米国の1つの試験施設で実施された非盲検、単回投与、1期間、PK試験であった。6人の健康な成人男性対象が登録された。対象のスクリーニングは、投与前28日以内に行われた。
1日目に、単回SC3.0mg(約500nCi)の[14C]-CuHisを投与した。全血及び血清中のTRAを決定するための薬物動態(PK)試料、並びにSEC-HPLCカラムからの非標識CuHisが混ぜられた血清の溶出画分中の[14C]CuHisを、投与前及び投与後最大168時間(対象1~5)又は投与後504時間(対象6)まで収集した。
対象は、-1日目の臨床研究ユニット(CRU)によって示された時刻から、168時間の採血及び/又は試験手順の後まで収容され、可能であれば504時間の採血のために戻された。安全性は、臨床及び検査室での繰り返しの評価によって試験を通してモニターされた。CRUは、投与からおおよそ14日後に、試験薬を投与された全対象者に標準的な手順で連絡を取り、最後の来院時以降に有害事象(AE)が発生したかどうかを確認した。
14Cヒスチジン酸銅の初期薬物動態結果は以下の通りであった:
●AUC0-24(ng・hr/mL)=185.6(20.6)
●AUC0-last(ng・hr/mL)=249.3(10.6)
●AUC0-∞(ng・hr/mL)=296.0(15.3)
●Cmax(ng/mL)=67.14(35.9)
●Tmax(hr)=0.747(0.50,0.76)**
AUC0-24、AUC0-last、AUC0-∞、及びCmax値を幾何平均(幾何パーセント変動係数)として提示する。
**max値は、中央値(最小値、最大値)として提示される。
投与後0.75時間でピークに達した後、血清[14C]-CuHis濃度は、初期の急速な減少(分布相;t1/2=約2~3時間)を示し、その後、より遅い平衡期及び/又は終末排出相(t1/2=約75時間)を示した。
SCボーラス注射のための3.0mg(約500nCi)[14C]-CuHis(約500μgの元素銅に相当)の単回投与を、1日目の時間0に各対象の上腕に投与した。時間0は、1日目のボーラスSC投与の開始に対応した。対象は、注射部位をこすらないように指示された。各対象に投与されるCuHisの実際の用量及び放射能を以下の表3に提示する。
(表3)投与されたヒスチジン酸銅及び放射能の実際の用量(目標用量:3.0mg(約500nCi)[14C]-ヒスチジン酸銅)(安全集団)
Figure 2024511999000004
薬物動態:
全血及び血清中のTRAを決定するための血液試料、並びにSEC-HPLCカラムからの非標識CuHisが混ぜられた血清の溶出画分中の[14C]-CuHisを、投与前及び投与後最大168時間(対象1~5)、又は投与後最大504時間(対象6)まで収集した。
全血及び血清中のTRA CuHis濃度当量を、Pharmaron ABS,Inc.(Germantown,Maryland,USA)でアクセラレータ質量分析(AMS)を使用して決定した。全血及び血清中のTRA CuHis濃度当量の定量下限(LLOQ)は、異なる対象において、それぞれ0.711~0.770ng当量CuHis/mL及び0.239~0.284ng当量CuHis/mLの範囲であった。
SEC-HPLCカラムからの血清画分中の[14C]-CuHis濃度を、Pharmaron ABS,Inc.(Germantown,Maryland,USA)のAMSを使用して測定した。血清中の[14C]-CuHis濃度のLLOQは、0.270ng/mLであった。
全血:血清のTRA分配比を、全血TRA CuHis濃度当量と血清TRA CuHis濃度当量との間の比として、各対象の各投与後時点で計算した。可能であれば、全血及び血清TRA、並びに血清[14C]-CuHisについて、以下のパラメータを計算した:AUC0-24、AUC0-last、AUC0-∞、AUC%extrap、Cmax、tmax、tlag、Kel、及びt1/2。血清[14C]-CuHis対血清TRAについて、AUC0-24比を算出した。血清[14C]-CuHisについて、CL/F及びV/Fを算出した。
統計方法:
全てのPK濃度及びPKパラメータ記述統計量は、SAS(登録商標)バージョン9.4を使用して生成した。
全血及び血清TRA CuHis濃度当量、血清[14C]-CuHis濃度、及び全血:血清のTRA分配比を、PK集団における全ての対象について、時点別に列挙し、要約した。各公称時点における上記データについて、試料サイズ(n)、算術平均値(Mean)、標準偏差(SD)、変動係数(CV%)、平均値の標準誤差(SEM)、最小値、中央値、及び最大値を含む要約統計を計算した。
全血及び血清TRA PKパラメータ、並びに血清[14C]-CuHis PKパラメータを、各対象について列挙し、PK集団の全ての対象について要約した。要約統計量(n、平均値、SD、CV%、SEM、最小値、中央値、最大値、幾何平均[ジオム(Geom)平均]、及び幾何CV% [ジオムCV%])を、全てのPKパラメータについて計算した。
算術平均値及び個々の全血及び血清TRA CuHis濃度当量対時間及び血清[14C]-CuHis濃度対時間のプロファイルを、線形及び半対数目盛で提示した。算術平均及び個々の全血:血清のTRA分配比対時間のプロファイルを線形スケールで提示した。線形平均プロットは、SDの有無にかかわらず提示した。
薬物動態結果
全血及び血清の総放射能ヒスチジン酸銅濃度当量、血清[14C]-ヒスチジン酸銅濃度、及び全血:血清の総放射能分配比
健康な成人男性対象における3.0mg(約500nCi)[14C]-CuHisの単回SCボーラス投与後の算術平均全血及び血清TRA CuHis濃度当量対時間プロファイル並びに血清[14C]-CuHis濃度対時間プロファイルを半対数目盛で示す(図1)。
健康な成人男性対象における3.0mg(約500nCi)[14C]-CuHis)の単回SCボーラス投与後の算術平均全血及び血清TRA CuHis濃度当量対時間プロファイル並びに血清[14C]-CuHis濃度対時間プロファイルを半対数目盛で示す(図1)。
データは、図1に例示され、図1は、健康な成人男性対象(薬物動態集団)における3.0mg(約500nCi)[14C]-ヒスチジン酸銅の単回皮下ボーラス投与後の算術平均全血及び血清の総放射能プロファイル並びに血清[14C]-ヒスチジン酸銅濃度-時間プロファイル(半対数目盛)を示す。
全血TRA CuHis濃度当量は、全ての対象において、投与後0.25時間(すなわち、最初のスケジュールされた投与後試料)まで定量化可能であり、全ての対象において、それらの最後の採取時点、すなわち、対象1~5の投与後168時間、及び対象6の投与後504時間まで定量化可能であり続けた。算術平均全血TRA CuHis濃度当量は、投与後4時間まで上昇し、投与後48時間まで56.33~63.90ng当量CuHis/mLの範囲に留まり、その後、投与後72時間から投与後168時間での100.9ng当量CuHis/mLの最高レベルまで再び上昇した。投与後504時間における66.3ng当量CuHis/mLに相当する全血TRA CuHis濃度は、対象6について得られたものである。
血清TRA CuHis濃度当量は、全ての対象において、投与後0.25時間まで定量化可能であり、全ての対象において、最後の採取時点、すなわち、対象1~5の場合は投与後168時間、対象6の場合は投与後504時間まで定量化可能であり続けた。算術平均血清TRA CuHis濃度当量-時間プロファイルは、投与後8時間で97.43ng当量CuHis/mLでピークに達し、その後、多面的な仕方で低下した。投与後504時間での30.7ng当量CuHis/mLに相当する血清TRA CuHis濃度当量は、対象6について得られたものである。
血清[14C]-CuHis濃度は、全ての対象において、投与後0.25時間までに定量化可能であり、投与後24時間までは全ての対象において定量化可能であり、投与後168時間までは対象の少なくとも半数において定量化可能であり続けた。算術平均血清[14C]-CuHis濃度-時間プロファイルは、投与後0.75時間で63.47ng/mLでピークに達し、その後、多面的な仕方で低下した。表示されたように、多面的な減少は、半減期がおおよそ2~3時間と推定される最初の急速な減少(分布相)と、それに続く、t1/2がおおよそ75時間と推定される、より緩慢な見かけ上の終末排出相からなる。
健康な成人男性対象における3.0mg(約500nCi)[14C]-CuHisの単回SCボーラス投与後の算術平均全血:血清のTRA分配比率対時間プロファイルを以下の図に線形スケールで提示し、各投与後時点における算術平均(SD)比を以下の表4に提示する。
(表4)健康な成人男性対象(薬物動態集団)における3.0mg(約500nCi)[14C]-ヒスチジン酸銅の単回皮下ボーラス投与後の全血:血清の総放射能分配比の要約。
Figure 2024511999000005
TRA CuHis濃度当量は、全ての対象者について、投与後0.25~168時間の全ての試料採取時刻において、全血及び血清の両方で定量化可能であり、算術平均全血:血清のTRA分配比は0.5856~2.392の範囲であった。分配比は、投与後0.25~36時間の0.5856~0.7498の範囲であり、次いで、投与後36時間の0.7498から、投与後168時間の2.392まで増加した。対象6についてのみ、投与後504時間で試料を採取した。この時点での対象6の分配比は、2.16であった。
全血及び血清の総放射能、並びに血清[14C]-ヒスチジン酸銅の薬物動態パラメータ
健康な成人男性対象における3.0mg(約500nCi)の[14C]-CuHisの単回SCボーラス投与後の全血及び血清のTRA及び血清[14C]-CuHisのPKパラメータの要約を以下の表5に提示する。
(表5)健康な成人男性対象(薬物動態集団)における3.0mg(約500nCi)[14C]-ヒスチジン酸銅の単回皮下ボーラス投与後の、全血及び血清の総放射能並びに血清[14C]-ヒスチジン酸銅の薬物動態パラメータの要約
Figure 2024511999000006
投与後最初の24時間におけるTRAへの曝露(AUC0-24)は、全血中が血清中よりもおおよそ34%低かった。投与後168時間まで、TRAへの曝露(AUC0-last)は、全血中が血清中よりおおよそ29%高かった。TRA(Cmax)へのピーク曝露は、全血及び血清において類似していたが、tmax値は異なり、血清(中央値=約8時間)よりも全血(中央値=約168時間)においてはるかに遅く生じた。
投与後最初の24時間における血清中のTRAへの曝露のおおよそ9%は、[14C]-CuHisと関連していた(ジオム平均AUC0-24比=0.09317)。血清[14C]-CuHis(約75時間)の算術平均見かけ終端t1/2は、血清TRA(約253時間)よりも短かった。
実施例6
幼若ラット毒物動態試験
この研究の目的は、出生後日数(PND)7から21までの幼若Crl:CD(SD)Sprague-Dawleyラットに1日2回皮下注射を行った場合のヒスチジン酸銅の忍容性を決定すること、及びその後の幼若毒性試験で使用する用量レベルの選択に関する情報を提供することであった。加えて、ヒスチジン酸銅の毒性動態特性を決定した。
この研究のための試験品は、ヒスチジン酸銅であり、以下の表6に記載される。
(表6)
Figure 2024511999000007
ビヒクル対照品は、塩化ナトリウムであり、以下の表7に記載される。
(表7)
Figure 2024511999000008
この研究のための動物は、Crl:CD(SD)Sprague Dawleyラットである。研究のA相には6匹の母獣(5匹の幼獣/性別/同腹の子)が必要であり、研究のB相には28匹の母獣(6匹の幼獣/性別/同腹の子)が必要であった。
表8及び9で以下に示すように、研究-A相及びB相に割り当てられた動物の数。
(表8)研究-A相に割り当てられた動物の数
Figure 2024511999000009
(表9)研究-B相に割り当てられた動物の数
Figure 2024511999000010
A相の実験設計を以下の表10に示す。
(表10)
Figure 2024511999000011
B相(14日)の実験設計を以下の表11に示す。
(表11)
Figure 2024511999000012
投薬経路:皮下注射。刺激を最小限に抑えるために注射部位を回転させ、この手順の文書化を生データに記録した。背中の2つのおおよそ等しい領域に注射を行った(領域1と2;領域1は肩に最も近い、領域2は尾に最も近い)。各用量を、各動物について順番にこれらの領域に注射した(すなわち、第1の用量を領域1、第2の用量を領域2、第3の用量を領域1など)。
頻度:A相:グループ1とグループ3~5:1日2回(おおよそ8時間間隔)グループ2:1日1回。B相:全てのグループ:1日2回(おおよそ8時間間隔)。
所要時間:A相:PND7のみ。B相:PND10から24。
特別な手順:本研究のA相における用量投与は、各投与群について少なくとも5日間ずらして行われ、第1群と第2群の用量投与は同日に開始された。
実生活での手順、観察、測定。F0世代の母獣については、生存能力観察を少なくとも1日2回記録した。臨床観察は、少なくとも週に1回記録した。母性行動(例えば、巣作り、看護)は、検査施設に到着した当日又は翌日から毎日記録した。母親の体重は、少なくとも毎週及び安楽死の前(末期体重)に記録した。食物摂取量は測定されなかったが、食物をモニターして必要に応じて補充し、動物の健康と幸福をモニターした。F0世代のデータは報告されなかった。
以下に列挙する実生活での手順、観察、及び測定を、表8及び9に従って、F1世代の幼獣/ラットについて行った。本研究のB相に割り当てられた動物の食物摂取量は記録されなかったが、食物をモニターして必要に応じて補充し、動物の健康と幸福をモニターした。
A相-一般実生活での評価
(表12)
Figure 2024511999000013
B相-一般実生活での評価
(表13)
Figure 2024511999000014
生物分析的試料解析:血清試料は、認定された分析手順を使用して、総銅及びセルロプラスミンの濃度について分析される。
毒物動態評価:パラメータ推定には、皮下投与経路に合致した非区画的アプローチを使用する。全てのパラメータは、実用的な限りPND10及び24の総銅及びセルロプラスミン平均濃度から生成される。
(表14)推定されるパラメータ
Figure 2024511999000015
解釈を助けるために、部分的なAUC(定義された2つのサンプル時間の間)、及び対応する用量正規化値を導き出し、報告することができる。記述統計(例えば、数、算術平均、中央値、標準偏差、標準誤差、変動係数)は、適切とみなされるように報告される。TKテーブル及びグラフも生成される。
本発明は、上記の実施例を参照して記載されているが、変更及び変形は、本発明の趣旨及び範囲内に包含されることを理解されたい。したがって、本発明は、以下の特許請求の範囲によってのみ限定される。

Claims (40)

  1. 凍結乾燥ヒスチジン酸銅と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
  2. 前記薬学的に許容される担体は、生理食塩水である、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記凍結乾燥ヒスチジン酸銅は、約2900μg/mlの濃度に再構成される、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. ヒスチジン酸銅と、薬学的に許容される担体とを含む、皮下剤形。
  5. 前記ヒスチジン酸銅は、約2900μg/mlの濃度に再構成される、請求項4に記載の剤形。
  6. ヒスチジン酸銅の安定凍結乾燥医薬製剤であって、
    水溶液を凍結乾燥することにより作られる前記製剤は、2モルのL-ヒスチジン及び1モルの塩化第二銅を含み、かつ水溶液において約7.0~7.5のpHに調整され、続いて前記溶液が凍結乾燥される、
    安定凍結乾燥医薬製剤。
  7. 前記ヒスチジン酸銅は、前記水溶液中に約2900μg/mLで存在する、請求項6に記載の安定凍結乾燥医薬製剤。
  8. 前記製剤は、約-10~-20℃、2~8℃、又は室温(15~30℃)で約18カ月間安定である、請求項6に記載の安定凍結乾燥医薬製剤。
  9. 請求項6に記載の製剤と、薬学的に許容される担体とを含む、バイアル。
  10. 前記薬学的に許容される担体は、生理食塩水である、請求項9に記載のバイアル。
  11. 前記製剤は、2mlの生理食塩水中で約2900μg/mlの濃度に再構成される、請求項10に記載のバイアル。
  12. 前記製剤は、前記バイアル内に、500ug元素銅/mlの濃度で生理食塩水中に再構成された凍結乾燥ヒスチジン酸銅を含む、請求項10に記載のバイアル。
  13. 前記凍結乾燥ヒスチジン酸銅を生理食塩水中で再構成し、かつメンケス病又は銅欠乏症を有する対象に、前記対象が1歳になるまでは1日2回、前記対象が1歳になった後は1日1回、投与当たり0.5mlの用量で皮下投与するための、指示書又はラベル
    を更に備える、請求項9~12のいずれか一項に記載のバイアル。
  14. 前記再構成された凍結乾燥ヒスチジン酸銅は、室温で少なくとも24時間、又は2~8℃で少なくとも約7日間安定である、請求項9~13のいずれか一項に記載のバイアル。
  15. 前記メンケス病を有する対象は、ナンセンスバリアント、ミスセンスバリアント、イントロンバリアント、同義バリアント、スプライス領域バリアント、フレームシフトバリアント、スプライスアクセプターバリアント、5’UTRバリアント、スプライスドナーバリアント、重複バリアント、インフレーム欠失、全欠失、染色体転座、カノニカルスプライス部位変異、又はそれらの組み合わせから選択されるATP7A変異を有する、請求項13に記載のバイアル。
  16. 前記指示書は、前記対象におけるATP7A変異を同定するための遺伝子検査を実施することを含む、請求項13に記載のバイアル。
  17. 請求項6に記載の製剤と、薬学的に許容される担体とを含む、容器。
  18. 前記担体は、生理食塩水である、請求項17に記載の容器。
  19. 前記凍結乾燥製剤及び前記生理食塩水は、前記容器内で分離されている、請求項17に記載の容器。
  20. 前記容器は、混合製剤を対象に注射する前に、前記製剤と、前記担体とを混合して前記混合製剤を形成するための2つのチャンバを備える、請求項17に記載の容器。
  21. 前記容器は、注射器、アンプル、又はバイアルである、請求項20に記載の容器。
  22. 対象における血清銅レベルを上昇させる方法であって、皮下又は経皮投与経路を介して前記対象にヒスチジン酸銅を投与することを含み、前記対象は、初回投与時に4週齢以下であり、それによって血清銅レベルを上昇させる、方法。
  23. ヒスチジン酸銅は、皮下注射されるか、又は経皮投与のためにクリーム、ゲル、粉末、ローション、軟膏、リニメント、懸濁液、ミクロエマルション、ナノエマルション、及び/若しくはリポソーム内に組み込まれる、請求項22に記載の方法。
  24. 前記投与経路は、経皮パッチによる、請求項22に記載の方法。
  25. シクロデキストリンを更に含む、請求項22に記載の方法。
  26. 1種以上の経皮透過性剤を更に含む、請求項22に記載の方法。
  27. 皮下的又は経皮的に送達される前記銅の量は、約100μg~3000μgの元素銅に等しい、請求項22に記載の方法。
  28. 前記送達される銅の量は、約100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、3000μgの元素銅、3500μgの元素銅、4000μgの元素銅、4500μgの元素銅、又は5000μgの元素銅から選択される、請求項27に記載の方法。
  29. ヒスチジン酸銅と、薬学的に許容される担体とを含む、経皮剤形。
  30. 前記ヒスチジン酸銅は、約100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、3000μgの元素銅、3500μgの元素銅、4000μgの元素銅、4500μgの元素銅、又は5000μgの元素銅から送達するのに十分な濃度で存在する、請求項29に記載の剤形。
  31. 前記剤形は、経皮パッチである、請求項29に記載の経皮剤形。
  32. 前記剤形は、電気刺激又はイオン導入とともに投与される、請求項29に記載の経皮剤形。
  33. 対象の血清ヒスチジン酸銅レベルを増加させる方法であって、投与後約1/2時間~1時間の血清中のヒスチジン酸銅のピーク検出可能レベルで、皮下投与経路を介して前記対象にヒスチジン酸銅を投与し、それによって前記対象の血清ヒスチジン酸銅レベルを増加させることを含む、方法。
  34. 前記ヒスチジン酸銅分布相半減期は、約2~3時間である、請求項33に記載の方法。
  35. 前記終末排出相半減期t1/2は、約30~150時間である、請求項33に記載の方法。
  36. 前記終末排出相半減期t1/2は、約75時間である、請求項35に記載の方法。
  37. 前記対象は、初回投与時に4週齢以下である、請求項33に記載の方法。
  38. 投与は、約100μgの元素銅、250μgの元素銅、500μgの元素銅、1000μgの元素銅、1500μgの元素銅、2000μgの元素銅、2500μgの元素銅、3000μgの元素銅、3500μgの元素銅、4000μgの元素銅、4500μgの元素銅、又は5000μgの元素銅である、請求項33に記載の方法。
  39. ヒスチジン酸銅の投与は、前記対象が1歳未満の場合は1日に約1450μgが2回であり、前記対象が1歳を超える場合は1日に約1450μgが1回である、請求項33に記載の方法。
  40. 前記対象は、メンケス病又は他の銅欠乏症を有する、請求項33に記載の方法。
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