JP2024511346A - Sars-cov-2 mrnaドメインワクチンの治療的使用 - Google Patents

Sars-cov-2 mrnaドメインワクチンの治療的使用 Download PDF

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Abstract

コロナウイルスリボ核酸(RNA)ワクチン、ならびにこれらのワクチンを使用する方法、及びこれらのワクチンを含む組成物が本開示に記載される。これらのRNAワクチンは、コロナウイルスのドメイン及びサブユニットをコードする。

Description

関連出願
本出願は、米国特許法第119条(e)の定めにより、2021年3月15日に出願された米国仮出願第63/161,429号、及び2021年11月18日に出願された米国仮出願第63/281,021号の利益を主張しており、当該仮出願の各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
テキストファイルとして提出した配列表の援用
本出願は、ASCIIフォーマットで提出した配列表を含んでおり、及び、参照によりその全内容が本明細書に組み込まれる。当該ASCIIコピーは、2022年3月14日に作成したものであり、名称が、M137870175WO00-SEQ-JXVであり、432,622バイトの大きさである。
ヒトコロナウイルスは、Coronaviridae科の伝染性の高いエンベロープを持ったプラス鎖RNAウイルスである。Coronaviridae科の2つの亜科は、ヒトの疾患を引き起こすことが公知である。最も重要なのはβ-コロナウイルス(ベータコロナウイルス)である。いくつかの従前の公知のβ-コロナウイルスは、軽度から中等度の上気道感染症の一般的な病因である。しかし、近年、SARSやMERSなど、より致命的なコロナウイルスが相次いで発生している。最新の新規コロナウイルスは、2019年12月に中国の武漢市で最初に確認され、高い死亡率と関連している。この最近同定されたコロナウイルスは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)と呼ばれ(元は「2019新型コロナウイルス」または「2019-nCoV」と呼ばれていた)、何百万人もの人々に急速に感染し、世界的大流行を引き起こした。SARS-CoV-2ウイルスが引き起こすパンデミック疾患は、世界保健機関(WHO)によってCOVID-19(Coronavirus isease 2019)と名付けられた。SARS-CoV-2分離株(武漢-Hu-1;USAーWA1/2020分離株)の最初のゲノム配列は、2020年1月10日に、北京の中国CDCの研究者により、ウイルス分子の進化及び疫学の分析及び解釈のための英国を拠点とするディスカッションフォーラムであるVirologicalでリリースされた。その後、この配列は、2020年1月12日に、GenBankアクセッション番号MN908947.1でGenBankに寄託された。
最初の治療法とワクチンは、中国の武漢で最初に配列決定された初期株に基づいていた。しかし、パンデミックの間、ウイルスの進化が衰えることはなく、ワクチンは、パンデミックによって変化する性質に対応するために進化させないといけない。現在、COVID-19の特定の治療法またはSARS-CoV-2感染に対するワクチンはない。コロナウイルス感染症、特にSARS-CoV-2のパンデミックに関連する継続的な健康問題及び死亡率は、国際的に大きな懸念事項である。SARS-CoV-2によって引き起こされた公衆衛生危機は、これらのウイルスに対する効果的で安全なワクチン候補を迅速に開発することの重要性を強調している。
本明細書で提供されるのは、いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2抗原に対して強力な中和抗体応答を誘発し得る高度に免疫原性の抗原(複数可)をコードする1つのメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を含む組成物(例えば、ワクチン)の治療用量を投与する方法である。本明細書に記載のmRNA分子を使用して、天然ウイルスによる感染から人を保護するか、及び/または感染した場合の症状を軽減する、免疫原性組成物またはワクチンとして、個々にまたは組み合わせて使用される場合、防御免疫を誘導するのに効果的である、SARS-CoV-2コロナウイルススパイク(S)タンパク質の重要な中和ドメインを発現する。
公知のベータコロナウイルスのエンベロープSタンパク質は、ウイルスの宿主指向性及び宿主細胞への侵入を決定し、SARS-CoV-2感染に重要である。Sタンパク質の構成は、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、HKU1-CoV、MHV-CoV、及びNL63-CoVなどのベータコロナウイルス間で類似しており、それぞれが、付着及び膜融合を媒介する2つのサブユニットS1及びS2を含む。S1サブユニットには、N末端ドメイン(NTD)及び受容体結合ドメイン(RBD)が含まれる。
サブユニット抗原の発現は、免疫応答を、他の関連するウイルスと共有される抗原の他のドメインに特異的なメモリーB及びT細胞の刺激を最小限に抑えつつ、特定のサブユニットに対して焦点を合わせる。
さらに、NTD及びRBDの両方とも、ウイルス活性を中和する抗体の結合部位であることが公知である。SARS-CoV-2の場合のRBDは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合するスパイクタンパク質の受容体結合部位である。NTDは、その機能が完全には理解されていないが、糖部分を結合すること、及びスパイクタンパク質の融合前から融合後の高次構造への高次構造変化を促進することに、役割を果たしているようである。とにかく、NTDドメイン及びRBDドメインの両方とも、高結合抗体及び中和抗体力価を誘導する。
したがって、本開示のいくつかの態様は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質の少なくとも2つのドメイン、及び全長未満のスパイクタンパク質を含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を含む、治療用量の組成物を、ヒト対象に投与する方法を提供するものであって、当該mRNAは、脂質ナノ粒子内にある。
いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の2.5μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の5μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の30μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の10μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の10μg~30μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の10μg~20μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の少なくとも10μgかつ25μg未満である。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の5μg~30μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の少なくとも5μgかつ25μg未満である。いくつかの実施形態において、治療用量は、組成物の100μgである。いくつかの実施形態において、当該方法は、組成物の少なくとも2つの用量(例えば、10μg用量を2つ、30μg用量を2つ)を、対象に対して投与することを含む。いくつかの実施形態において、組成物の第1の用量が対象に投与されてから少なくとも28日後かつ第1の用量の1年以内に、対象に対して組成物の第2の用量を投与する。
いくつかの実施形態において、組成物は、トリス緩衝剤をさらに含む。いくつかの実施形態において、トリス緩衝剤は、スクロース、及び酢酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態において、組成物は、75mg/mL~95mg/mLスクロース、及び5mM~15mM酢酸ナトリウムを含む10mM~30mMトリス緩衝剤を含み、任意選択で、組成物のpHは、6~8である。いくつかの実施形態において、組成物は、87mg/mLスクロース、及び10.7mM酢酸ナトリウムを含む20mMトリス緩衝剤を含み、任意選択で、組成物のpHは、7.5である。
いくつかの実施形態において、組成物は、0.5mg/mLのmRNAを含む。
いくつかの実施形態において、組成物は、筋肉内、任意選択で、対象の腕の三角筋に投与される。
いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、配列番号92の配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、配列番号92のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態において、ORFは、配列番号91の配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ORFは、配列番号91のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、mRNAは、配列番号90の配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、mRNAは、配列番号90のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は:イオン化可能なアミノ脂質、中性脂質、ステロール、及びPEG修飾脂質を含む。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は、40~55mol%のイオン化可能なアミノ脂質、5~15mol%の中性脂質、35~45mol%ステロール、及び1~5mol%のPEG修飾脂質を含む。いくつかの実施形態において、脂質ナノ粒子は:47mol%のイオン化可能なアミノ脂質、11.5mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、3.0mol%のPEG修飾脂質、48mol%のイオン化可能なアミノ脂質、11mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び2.5mol%のPEG修飾脂質、49mol%のイオン化可能なアミノ脂質、10.5mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び、2.0mol%のPEG修飾脂質、50mol%のイオン化可能なアミノ脂質、10mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、1.5mol%のPEG修飾脂質、または51mol%のイオン化可能なアミノ脂質、9.5mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び1.0mol%のPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態において、イオン化可能なアミノ脂質は、ヘプタデカン-9-イル8((2ヒドロキシエチル)(6-オキソ6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(化合物1)である。いくつかの実施形態において、中和脂質は、1,2-ジステアロイルsnグリセロ-3ホスホコリン(DSPC)である。いくつかの実施形態において、ステロールは、コレステロールである。いくつかの実施形態において、PEG修飾脂質は、平均分子量が2000のポリエチレングリコール(PEG2000 DMG)を有する1-モノメトキシポリエチレングリコール-2,3-ジミリスチルグリセロールである。
いくつかの実施形態において、対象の年齢は、18~54歳、または55歳以上である。いくつかの実施形態において、対象は、免疫不全症である。いくつかの実施形態では、対象は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息などの慢性肺疾患を有する。いくつかの実施形態において、対象は、肥満、心疾患、糖尿病、及び肺疾患から任意選択で選択される基礎併存疾患を有する。
本開示のいくつかの態様は、脂質ナノ粒子内にSARS-CoV-2スパイクタンパク質のドメインをコードする用量のmRNAを含む組成物を提供するものであって、当該用量は、少なくも5μg、かつ、20μg未満である。いくつかの実施形態において、用量は10μgである。
本開示のいくつかの態様は、脂質ナノ粒子内のSARS-CoV-2スパイクタンパク質のドメインをコードする30μg用量のmRNAを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態において、ドメインは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミノ(N)末端ドメインを含む。いくつかの実施形態において、ドメインは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む。
本開示のいくつかの態様は、治療用量の本明細書に記載の組成物を、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のドメインに対する免疫応答を生成する有効量で、ヒト対象に対して投与することを含む方法を提供する。
いくつかの実施形態では、対象におけるSARS-CoV-2(D614G)に対して誘導された中和抗体力価の幾何平均力価(GMT)は、2回投与後の少なくとも45日目、任意選択で、2回投与後の45~100日目では、少なくとも1,000である。いくつかの実施形態において、対象におけるSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価のGMTは、2回投与後の少なくとも45日後、任意選択で、2回投与後の45~100日後では、少なくとも110である。
いくつかの実施形態では、二重プロリン安定化変異を含むSARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするmRNAを投与した第2の対象でのSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導される中和抗体力価と比較して、対象におけるSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価の幾何平均比(GMR)は、2回投与後の少なくとも45日目、任意選択で、2回投与後の45~100日目では、少なくとも1.05である。
いくつかの実施形態では、組成物の投与前の対象でのSARS-CoV-2(D614G)に対して誘導された中和抗体力価と比較して、SARS-CoV-2(D614G)に対して誘導された中和抗体力価の幾何平均上昇倍率(GMFR)は、2回投与後の少なくとも45日後、任意選択で、2回投与後の45~100日目では、少なくとも90である。いくつかの実施形態では、組成物の投与前の対象でのSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価と比較して、2回投与して少なくとも45日後、任意選択で、2回投与後の45~100日後の対象でのSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価のGMFRでは、少なくとも8である。
本発明の1つ以上の実施形態の詳細は、以下の記述で説明される。本発明の他の特徴及び利点は、以下の図面、及びいくつかの実施形態の詳細な説明、ならびにまた添付の特許請求の範囲からも明らかになるであろう。
本発明のmRNAによってコードされる野生型及び2Pスパイクタンパク質抗原の概略図;シグナルペプチド(SP)、塗りつぶしなし、N末端ドメイン(NTD)、点線;受容体結合ドメイン(RBD)、下向きの斜めの縞模様;サブドメイン1(SD1)、横縞;サブドメイン2(SD2)、ウェーブ;融合ペプチド(FP)、上向きの斜めの縞模様;ヘプタッドリピート1(HR1)ウィーブ;ヘプタッドリピート2(HR2)斜めレンガ模様;(TM)、縦縞;及び細胞質テール(CT)、レンガ模様。 mRNA-1283(SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミノ(N)末端ドメインを含む第1のドメインと、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む第2のドメインとを含む融合タンパク質をコードするmRNA;配列番号90;ORF配列番号91;コード配列番号92)(2回投与)が、mRNA-1273(配列番号123;ORF配列番号124;コード配列番号125)と比較して、全ての用量レベルで、典型的偽ウイルス中和抗体と匹敵するレベルを誘発していることを示すデータ。 mRNA-1283(2回投与)が、1273と比較して、全ての用量レベルで、B.1.351中和抗体と匹敵するレベルを誘発していることを示すデータ。 mRNA-1283(2回投与)が、1273と比較して、全ての用量レベルで、野生型スパイク結合抗体と匹敵するレベルを誘発していることを示すデータ。 mRNA-1283(2回投与)が、1273と比較して、全ての用量レベルで、野生型RBD結合抗体と匹敵するレベルを誘発していることを示すデータ。
重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は、罹患率と死亡率が高い、新たに出現した呼吸器ウイルスである。SARS-CoV-2は、2002年に出現したSARS-CoV、及び2012年に出現した中東呼吸器症候群コロナウイルス(MERS-CoV)と比較して、世界中に急速に伝播している。世界保健機関(WHO)の報告によると、2021年3月の時点で、COVID-19の現在のアウトブレイクにより、世界中で約1億2000万人の確定症例が発生し、265万人超が死亡している。COVID-19感染の新しい症例は増加しており、依然として急速に増加している。したがって、COVID-19を予防及び治療し、COVID-19が世界中に及ぼす深刻な影響を軽減するために、さまざまな安全かつ効果的なワクチン及び薬物を開発することが重要である。さまざまなモダリティを使用して製造されたワクチンと薬物、及び安全性と有効性が改善されたワクチンが不可欠である。コロナウイルス疾患(coronavirus disease)2019(COVID-19)に対するワクチン及び治療薬の高度な設計及び開発を加速する必要が残っている。
2020年1月7日、中国湖北省武漢市で2019年12月に発生した新規肺炎の病因として、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)が特定された(Lu H.et al.(2020)J Med Virol.Apr;92(4):401-402.)。その後まもなく、このウイルスは中国でアウトブレイクを引き起こし、世界中に伝播した。SARS-CoV-2のゲノム構造の分析によれば、それはβ-コロナウイルス(CoV)に属している(Chan et al.2020 Emerg Microbes Infect.;9(1):221-236)。
コロナウイルスの表面にある重要なタンパク質は、スパイクタンパク質である。多種多様なmRNA構築物が設計されており、本明細書に開示されている。スパイク抗原をコードするmRNAを適切な送達ビヒクルに製剤化すると、そのサブユニット及びドメインは、SARS-CoV-2に対する強力な免疫応答を誘導し得るので、効果的かつ強力なmRNAワクチンが生成される。さまざまなスパイクタンパク質抗原、特にスパイクタンパク質サブユニット及びドメイン抗原をコードするmRNAの投与は、免疫組織及び免疫系の細胞へのmRNAの送達をもたらし、そこでmRNAは迅速にタンパク質抗原に翻訳される。次に、他の免疫細胞、例えばB細胞及びT細胞が認識してマウントし得、免疫応答が、コードされたタンパク質に対する免疫応答を発生させ、最終的にコロナウイルスに対する長期的な防御応答を生み出し得る。免疫原性の低さ、免疫系への不十分な提示または抗原の誤った折り畳みに起因するタンパク質ワクチン開発の欠点は、本明細書に開示されるスパイクタンパク質、サブユニット及びそのドメインをコードする非常に効果的なmRNAワクチンの使用によって回避される。
本開示は、コロナウイルス抗原に対する強力な中和抗体を誘発する組成物(例えば、mRNAワクチン)を提供する。いくつかの実施形態では、組成物は、SARS-CoV-2抗原などの少なくとも1つ(例えば、1つ、2つ、またはそれ以上)のコロナウイルス抗原をコードするmRNAを含む。いくつかの実施形態では、mRNAは、例えば、スパイクタンパク質ドメイン、例えば、受容体結合ドメイン(RBD)、N末端ドメイン(NTD)、またはRBDとNTDとの組合せをコードする。
本開示は、かつては場合によっては治療量以下であると考えられていた低用量でコロナウイルス抗原に対して強力な中和抗体を誘発するワクチン組成物及びワクチン接種方法を提供する。いくつかの実施形態において、組成物は、SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質の少なくとも2つのドメイン、及び全長未満のスパイクタンパク質を含む融合タンパク質をコードするメッセンジャーRNA(mRNA)を脂質ナノ粒子(LNP)に含む。いくつかの実施形態において、融合タンパク質は、N末端ドメイン(NTD)及び受容体結合ドメイン(RBD)などの高力価の中和抗体の誘導に関連するドメインを含む。
本明細書では、対象におけるSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質に対する中和抗体応答を誘導するための組成物(例えば、ワクチン組成物)を提供する。本明細書で提供する組成物は、治療的または予防的に使用することができる。本明細書で提供する組成物は、NTD及びRBDドメインなどのSARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質の少なくとも2つのドメイン、及び全長未満のスパイクタンパク質を含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を含み、当該mRNAは、脂質ナノ粒子にある。
NTDとRBDの双方は、ウイルス活性を中和する抗体の結合部位であることが知られている。SARS-CoV-2の事例でのRBDは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に結合するスパイクタンパク質の受容体結合部位である。NTDは、その機能は十分に解明されていないが、糖部分に結合し、スパイクタンパク質の融合前から融合後の立体配座への構造遷移を促す役割を果たしているようである。NTD及びRBDドメインの双方は、本明細書に開示している低用量で強力な結合抗体及び大きな中和抗体力価を誘導する。
例えば、膜結合RBD抗原(RBD-TM)または膜結合NTD抗原(NTD-TM)の融合タンパク質をコードするmRNAの治療用量は、SARS-CoV-2 S1/S2スパイクタンパク質に対する免疫応答を生成させるために、本明細書では使用する。本明細書で使用する治療用量は、対象に中和抗体を誘導する、または存在を押し上げるのに十分な用量である。このような用量は、血清陽性または血清陰性の対象に対して投与することができる。例えば、対象はナイーブであり、SARS-CoV-2と反応する抗体を持っていない、または、対象が、以前にSARS-CoV-2に感染したことがある、または、SARS-CoV-2に対する抗体を誘導する用量のワクチン(例えば。mRNAワクチン)を以前に投与していた可能性があるので、SARS-CoV-2に対する抗体を事前に持ち得る。いくつかの実施形態において、治療用量は、2.5μg~100μgの用量、またはその間の任意の整数用量である。いくつかの実施形態では、非常に驚くべきことに、治療用量は、ヒト対象において中和抗体応答を誘導する上で十分であることが実証されたことのない低用量であり、例えば、2.5μg~35μg未満、または5μg~25μg未満、またはその間の任意の整数である。いくつかの実施形態において、用量は、2.5μg~30μg、2.5μg~25μg、2.5μg~20μg、2.5μg~2.15μg、2.5μg~10μg、2.5μg~5μg、5μg~30μg、5μg~25μg、5μg~20μg、5μg~15μg、5μg~10μg、10μg~30μg、10μg~25μg、10μg~20μg、約2.5μg、約5μg、約10μg、または約30μgである。いくつかの実施形態において、治療用量は、対象に対して投与される第1の用量、対象に対して投与される第2の用量、または対象に対して投与される第1及び第2の用量の両方である。
本開示のいくつかの態様は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)及びタンパク質膜貫通ドメイン、例えば、天然に存在するか、または異種の膜貫通ドメインを含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。
いくつかの実施形態では、タンパク質膜貫通ドメインは、インフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインである。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号77のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号77のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号77のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列に対し少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列を含む。
本開示の他の態様は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミノ(N)末端ドメイン及び膜貫通ドメインを含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。
いくつかの実施形態では、膜貫通ドメインは、インフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインである。
一部の実施形態では、融合タンパク質は、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号47のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号47のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列に対し少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列を含む。
本開示のさらに他の態様は、任意選択でリンカーを介して、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミノ(N)末端ドメインに連結されたSARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供する。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、膜貫通ドメインをさらに含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号92のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号92のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、配列番号92のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号91のヌクレオチド配列に対し少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号91のヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号91のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、任意選択で配列番号131または2のヌクレオチド配列を含む、5’非翻訳領域(UTR)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、任意選択で配列番号132または4のヌクレオチド配列を含む、3’非翻訳領域(UTR)をさらに含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、5’キャップ、任意選択で7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpをさらに含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、任意選択で約100ヌクレオチドの長さがある、ポリAテールをさらに含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、化学修飾、任意選択で1-メチルシュードウリジンを含む。
本開示のいくつかの態様は、前の段落のいずれか1つのmRNAを含む組成物を提供する。
本開示の他の態様は、前の段落のいずれか1つのmRNAのうち少なくとも2つを含む組成物を提供する。
本開示の他の態様は、以下:(a)SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)及びタンパク質膜貫通ドメインを含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA);ならびに(b)SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミノ(N)末端ドメイン及び膜貫通ドメインを含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレームを含むmRNA、を含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、(a)のmRNA、対(b)のmRNAの比は、約1:1、例えば、1:2、1:3、2:1、または3:1である。いくつかの実施形態では、組成物のmRNAの少なくとも50%は、(a)のmRNAである。例えば、組成物のmRNAのうち少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または、95%が(a)のmRNAである。いくつかの実施形態では、組成物のmRNAの少なくとも50%は、(b)のmRNAである。例えば、組成物のmRNAのうち少なくとも55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、または、95%が(b)のmRNAである。
いくつかの実施形態では、タンパク質膜貫通ドメインは、インフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインである。
いくつかの実施形態では、(a)の融合タンパク質は、配列番号77のアミノ酸配列に少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、(a)の融合タンパク質は、配列番号77のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、(a)の融合タンパク質は、配列番号77のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、(a)のオープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列に対し少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、(a)のオープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、(a)のオープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、(b)の融合タンパク質は、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、(b)の融合タンパク質は、配列番号47のアミノ酸配列に対して、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、(b)の融合タンパク質は、配列番号47のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、(b)のオープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列に対し少なくとも70%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、(b)のオープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列に対して、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、(b)のオープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、脂質ナノ粒子中で製剤化される。
いくつかの実施形態では、組成物はさらに脂質ナノ粒子を含む。
いくつかの実施形態では、(a)のmRNAは脂質ナノ粒子中に製剤化され、(b)のmRNAは脂質ナノ粒子中に製剤化される。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質を含む。いくつかの実施形態では、カチオン性脂質は、イオン化可能なアミノ脂質である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、中性の脂質をさらに含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、ステロールをさらに含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、ポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質をさらに含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、イオン化可能なアミノ脂質、中性脂質、ステロール、及びPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、イオン化可能なアミノ脂質は、ヘプタデカン-9-イル8((2ヒドロキシエチル)(6オキソ6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(化合物1)である。
いくつかの実施形態では、中性脂質は、1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)である。
いくつかの実施形態では、ステロールはコレステロールである。
いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、1,2ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG2000 DMG)である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、20~60mol%のイオン化可能なアミノ脂質、5~25mol%の中性脂質、25~55mol%のステロール、及び0.5~15mol%のPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、以下を含む:47mol%のイオン化可能なアミノ脂質;11.5mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び3.0mol%のPEG修飾脂質;48mol%のイオン化可能なアミノ脂質;11mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び2.5mol%のPEG修飾脂質;49mol%のイオン化可能なアミノ脂質;10.5mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び2.0mol%のPEG修飾脂質;50mol%のイオン化可能なアミノ脂質;10mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び1.5mol%のPEG修飾脂質;または51mol%のイオン化可能なアミノ脂質;9.5mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び1.0mol%のPEG修飾脂質。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、以下を含む:47mol%の化合物1;11.5mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び3.0mol%のPEG2000 DMG;48mol%の化合物1;11mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び2.5mol%のPEG2000 DMG;49mol%の化合物1;10.5mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び2.0mol%のPEG2000 DMG;50mol%の化合物1;10mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び1.5mol%のPEG2000 DMG;または51mol%の化合物1;9.5mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び1.0mol%のPEG2000 DMG。
本開示のさらなる態様は、SARS-CoV-2に対する中和抗体応答を対象に誘導するのに有効な量の、前述の請求項のいずれか1つのmRNAまたは組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
本開示の他の態様は、SARS-CoV-2に対するT細胞免疫応答を対象に誘導するのに有効な量の、前述の請求項のいずれか1つのmRNAまたは組成物を対象に投与することを含む方法を提供する。
本開示のいくつかの態様は、SARS-CoV-2に対する中和抗体応答などの免疫応答を誘導し得るコロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を提供し、この抗原は、SARS-CoV-2のタンパク質フラグメントまたは機能性タンパク質ドメインを含み、任意選択で、RNAは脂質ナノ粒子中で製剤化される。
いくつかの実施形態では、抗原は、機能的なタンパク質ドメインである。
いくつかの実施形態では、タンパク質ドメインは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のN末端ドメイン(NTD)である。
いくつかの実施形態では、NTDは、膜貫通ドメイン、任意選択でインフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインに連結されている。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号47のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号47のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号46のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号46のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、タンパク質ドメインは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメイン(RBD)である。
いくつかの実施形態では、RBDは可溶性である。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号62のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号62のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号61のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号61のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、RBDは、膜貫通ドメイン、任意選択でインフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインに連結されている。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号77のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号77のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号76のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号76のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、NTDは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のRBDに連結されて、NTD-RBD融合タンパク質を形成する。
いくつかの実施形態では、NTD-RBD融合物は、膜貫通ドメイン(TM)、任意選択でインフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインに連結されて、NTD-RBD-TMタンパク質を形成する。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号92のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号92のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号91のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号91のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、NTD-RBD融合物は、C末端短縮を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号107のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号107のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号106のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号106のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、NTD及び/またはRBDには拡張領域が含まれる。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号59、86、89、116、119または122のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号59、86、89、116、119または122のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号58、85、88、115、118または121のいずれか1つのヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号58、85、88、115、118または121のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、タンパク質ドメインは、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS1サブユニットドメインである。
いくつかの実施形態では、S1サブユニットは可溶性である。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号5のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号5のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号3のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号3のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、S1サブユニットは、膜貫通ドメイン、任意選択でインフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインに連結されている。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号17のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号17のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号16のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号16のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、S1サブユニットは、Sタンパク質のRBDまたはRBDの一部を除去するように改変されている。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号20、23、26、29、32または35のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号20、23、26、29、32または35のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号19、22、25、28、41または34のいずれか1つのヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号19、22、25、28、31または34のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、S1サブユニットは、Sタンパク質のS2サブユニットに連結されている。
いくつかの実施形態では、S2サブユニットは、SARS-CoV-2 Sタンパク質に由来する。
いくつかの実施形態では、S1サブユニットは、HKU1 Sタンパク質に由来する。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号38のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号38のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号37のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号37のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、S1サブユニットは、OC43 Sタンパク質に由来する。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号41のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号41のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号40のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号40のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、フェリチン、ルマジンシンテターゼ及びフォールドンから任意選択で選択される足場ドメインをさらに含む。
いくつかの実施形態では、足場ドメインはフェリチンである。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号8または65のアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号8または65のアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号7または64のヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号7または64のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、足場ドメインは、ルマジンシンテターゼである。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号11、14、68または71のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号11、14、68または71のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号10、13、67、または70のいずれか1つのヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号10、13、67、または70のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、足場ドメインはフォールドンである。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号44、50、74、80、83、101、104または113のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号44、50、74、80、83、101、104または113のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号43、49、73、79、82、100、103、または112のいずれか1つのヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号43、49、73、79、82、100、103、または112のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、抗原はさらに、マクロファージマーカー、任意選択でCD86、CD11B及び/またはVSVGctから任意選択で選択される輸送シグナルを含む。
いくつかの実施形態では、抗原は、配列番号95、98、または110のいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列を含み、任意選択で、この抗原は、配列番号95、98、または110のいずれか1つのアミノ酸配列を含む。
いくつかの実施形態では、オープンリーディングフレームは、配列番号94、97、または109のいずれか1つのヌクレオチド配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有するヌクレオチド配列を含み、任意選択で、このオープンリーディングフレームは配列番号94、97、または109のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、脂質ナノ粒子中に製剤化される。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、カチオン性脂質、任意選択でイオン化可能なアミノ脂質、中性脂質、ステロール、及び/またはポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質を含む。イオン化可能なアミノ脂質は、本明細書では、イオン化可能なアミノ脂質及びイオン化可能なカチオン性脂質と交換可能に使用され、イオン化可能な脂質を指す。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、40~50mol%のイオン化可能なアミノ脂質、任意選択で45~50mol%、例えば、45~46mol%、46~47mol%、47~48mol%、48~49mol%、または49~50mol%、例えば約45mol%、45.5mol%、46mol%、46.5mol%、47mol%、47.5mol%、48mol%、48.5mol%、49mol%、または49.5mol%を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、30~45mol%のステロール、任意選択で35~40mol%、例えば、30~31mol%、31~32mol%、32~33mol%、33~34mol%、35~35mol%、35~36mol%、36~37mol%、38~38mol%、38~39mol%、または39~40mol%を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、5~15mol%のヘルパー脂質、任意選択で10~12mol%、例えば、5~6mol%、6~7mol%、7~8mol%、8~9mol%、9~10mol%、10~11mol%、11~12mol%、12~13mol%、13~14mol%、または14~15mol%を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1~5%のPEG脂質、任意選択で1~3mol%、例えば、1.5~2.5mol%、1~2mol%、2~3mol%、3~4mol%、または4~5mol%を含む。
いくつかの実施形態では、イオン化可能なアミノ脂質は、ヘプタデカン-9-イル8((2ヒドロキシエチル)(6オキソ6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(化合物1)であり、中性脂質は、1,2ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)であり、ステロールはコレステロールであり、及び/またはPEG修飾脂質は、1,2ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(PEG2000 DMG)である。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、20~60mol%のイオン化可能なアミノ脂質、5~25%の中性脂質、25~55mol%のステロール、及び約0.5~15mol%のPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、以下を含む:47mol%のイオン化可能なアミノ脂質;11.5mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び3.0mol%のPEG修飾脂質;48mol%のイオン化可能なアミノ脂質;11mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び2.5mol%のPEG修飾脂質;49mol%のイオン化可能なアミノ脂質;10.5mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び2.0mol%のPEG修飾脂質;50mol%のイオン化可能なアミノ脂質;10mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び1.5mol%のPEG修飾脂質;または51mol%のイオン化可能なアミノ脂質;9.5mol%の中性脂質;38.5mol%のステロール;及び1.0mol%のPEG修飾脂質。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、以下を含む:47mol%の化合物1;11.5mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び3.0mol%のPEG2000 DMG;48mol%の化合物1;11mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び2.5mol%のPEG2000 DMG;49mol%の化合物1;10.5mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び2.0mol%のPEG2000 DMG;50mol%の化合物1;10mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び1.5mol%のPEG2000 DMG;または51mol%の化合物1;9.5mol%のDSPC;38.5mol%のコレステロール;及び1.0mol%のPEG2000 DMG。
国際出願番号PCT/US2016/058327(公報番号WO2017/070626)及び国際出願番号PCT/US2018/022777(公報番号WO2018/170347)の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
SARS-CoV-2
SARS-CoV-2のゲノムは一本鎖プラス鎖RNA(+ssRNA)であり、約9860アミノ酸をコードする29.8~30kbのサイズである(Chan et al.2000,上掲;Kim et al.2020 Cell,May 14;181(4):914-921.e10.)。SARS-CoV-2は、5’キャップ及び3’ポリAテールを有するポリシストロン性mRNAである。SARS-CoV-2ゲノムは、構造タンパク質及び非構造タンパク質(Nsp)をコードする特定の遺伝子に編成されている。ゲノム内の構造タンパク質の順序は、5’-レプリカーゼ(オープンリーディングフレーム(ORF)1/ab)-構造的タンパク質[スパイク(S)-エンベロープ(E)-メンブレン(M)-ヌクレオカプシド(N)]-3’である。コロナウイルスのゲノムとしては、アクセサリータンパク質、非構造タンパク質、及び構造タンパク質をコードするさまざまな数のオープンリーディングフレームが挙げられる(Song et al.2019 Viruses;11(1):p.59)。ほとんどの抗原ペプチドは構造タンパク質に位置する(Cui et al.2019 Nat.Rev.Microbiol.17(3):181-192)。スパイク表面糖タンパク質(S)、小さなエンベロープタンパク質(E)、マトリックスタンパク質(M)、及びヌクレオカプシドタンパク質(N)は、4つの主要な構造タンパク質である。Sタンパク質は細胞指向性に寄与して、中和抗体(NAb)及び防御免疫を誘導し得るので、他の全ての構造タンパク質の中でコロナウイルスワクチン開発における最も重要な標的の1つと見なされ得る。さらに、アミノ酸配列分析は、Sタンパク質がコロナウイルスの中で保存された領域を含むことを示しており、これは、普遍的なワクチン開発の基礎となり得る。
抗原
本発明の組成物、例えば、ワクチン組成物は、目的の抗原、例えば、ベータコロナウイルス構造タンパク質に由来する抗原、特に、SARS-CoV-2スパイクタンパク質に由来する抗原をコードするように設計された核酸、特に、mRNAを特徴とする。本発明の組成物、例えば、ワクチン組成物は、それ自体が抗原を含まず、むしろ、細胞、組織、または対象に一旦送達されると抗原または抗原配列をコードする核酸、特にmRNA(複数可)を含む。核酸分子、特にmRNA(複数可)の送達は、細胞、組織または対象への投与時に核酸が細胞によって取り込まれるように、適切な担体または送達ビヒクル(例えば、脂質ナノ粒子)中に当該核酸分子を製剤化することによって達成され、次に、細胞が、核酸、例えば、mRNAによってコードされるタンパク質(複数可)を発現する。本明細書で使用される「抗原」という用語は、免疫応答を誘発する、例えば、対象に存在する場合(例えば、ヒトまたは哺乳動物の対象に存在する場合)に免疫応答を誘発する、タンパク質(例えば、糖タンパク質)、ポリペプチド、ペプチドなどの物質を指す。本発明は、少なくとも部分的に、細胞または対象に投与されたmRNAから発現される場合、mRNAにコードされる抗原が、発現された抗原に対する免疫応答を免疫系に生じ得、例えば、発現された抗原に対する抗体の産生を誘発し得、例えば結合抗体及び/または中和抗体は、発現された抗原に特異的なB細胞及び/またはT細胞の応答を引き起こし得、最終的には、抗原または抗原が関連する病原体とのその後の遭遇に対して防御的または予防的応答を引き起こし得るという理解に基づく。好ましいmRNAにコードされた抗原は「ウイルス抗原」である。本明細書で使用される場合、「ウイルス抗原」という用語は、ウイルス、例えば病原性ウイルスに由来する抗原を指す。本明細書で使用される抗原という用語は、全長タンパク質、例えば、全長ウイルスタンパク質を指し得、またはタンパク質のフラグメント(例えば、ポリペプチドまたはペプチドフラグメント)、タンパク質のサブユニットまたはドメイン、例えば、ウイルスタンパク質のサブユニットまたはドメインを指し得る。
多くのタンパク質は、オリゴマー分子に会合する複数のポリペプチドまたはいくつかのポリペプチド鎖からなる四次構造または三次元構造を有する。本明細書で使用される場合、「サブユニット」という用語は、単一のタンパク質分子、例えば、発生期のタンパク質分子のプロセシングから生じるポリペプチドまたはポリペプチド鎖を指し、このサブユニットは、他のタンパク質分子(例えば、サブユニットまたは鎖)とアセンブル(または「同時アセンブル」して)タンパク質複合体を形成する。タンパク質は、比較的少数のサブユニットを有し得るので、「オリゴマー」として説明されてもよく、または多数のサブユニットからなり得、したがって「マルチマー」として記述されてもよい。オリゴマーまたはマルチマータンパク質のサブユニットは、同一、相同、または完全に異なって、異なるタスク専用である場合もある。
タンパク質またはタンパク質サブユニットは、さらにドメインを含んでもよい。本明細書で使用される場合、「ドメイン」という用語は、タンパク質内の別個の機能及び/または構造単位を指す。通常、「ドメイン」は特定の機能または相互作用に関与し、タンパク質の全体的な役割に貢献する。ドメインは、さまざまな生物学的状況で存在し得る。類似のドメイン(すなわち、構造的、機能的及び/または配列相同性を共有するドメイン)は、単一のタンパク質内に存在してもよく、または類似もしくは異なる機能を有する別個のタンパク質内に存在してもよい。タンパク質ドメインは、多くの場合、特定のタンパク質の三次構造または配列の保存された部分であり、残りのタンパク質またはそのサブユニットとは独立して機能し、存在し得る。
構造生物学及び分子生物学では、SARS-CoV-2ウイルスゲノム配列の公開直後に行われたように、同一、相同、または類似のサブユニットまたはドメインが、新たに同定されたタンパク質または新規タンパク質の分類に役立ち得る。
本明細書で使用される場合、抗原という用語は、抗原の下部構造、例えば、抗原結合部位によって認識され得るが免疫応答を誘導するには不十分であるポリペプチドまたは炭水化物構造である「エピトープ」という用語とは異なる。当該技術分野は、単離された形態で対象または免疫細胞に送達されるタンパク質抗原、例えば、単離されたタンパク質、ポリペプチドまたはペプチド抗原を記載しているが、タンパク質抗原の設計、試験、検証、及び産生は、特にタンパク質を大規模に生産する場合、費用及び時間がかかる場合がある。対照的に、mRNAテクノロジーは、さまざまな抗原をコードするmRNA構築物の迅速な設計及び試験に適している。さらに、適切な送達ビヒクル(例えば、脂質ナノ粒子)での製剤と組み合わせたmRNAの迅速な産生は、迅速に進行し得、大規模でmRNAワクチンを迅速に産生し得る。本発明のmRNAによってコードされる抗原が対象の細胞によって発現され、例えば、人体によって発現され、したがって、対象、例えば、人体は、「工場」として機能して、抗原を生成し、それが次に、所望の免疫応答を誘発するという事実からも潜在的な利益が生じる。
好ましい態様では、抗原とは、免疫応答を誘導する(例えば、抗原に対する抗体を免疫系に産生させる)ことが可能なタンパク質である。本明細書において、「抗原」という用語の使用は、免疫原性タンパク質、ならびに免疫原性タンパク質に由来するポリペプチドまたはペプチド、例えば、免疫原性フラグメント(別段述べない限り、抗原に対する免疫応答を誘導する(または誘導することができる)免疫原性フラグメント)を包含する。「タンパク質」という用語がポリペプチド及びペプチドを包含し、「抗原」という用語が抗原フラグメントを包含することを理解されたい。他の分子は、細菌多糖類またはタンパク質と多糖構造との組合せなどの抗原性である可能性があるが、本明細書に含まれるウイルスワクチンの場合、ウイルスタンパク質、ウイルスタンパク質のフラグメント、及びベータコロナウイルスSARS-CoV-2に由来する設計及び/または変異タンパク質が本明細書の特色となる抗原である。
核酸/mRNA
本明細書に記載のワクチン技術は、核酸、特に目的の抗原、例えば、ベータコロナウイルススパイクタンパク質抗原、それらのサブユニット、ドメインまたはフラグメント(例えば、抗原フラグメント)をコードするように設計されたメッセンジャーRNA(mRNA)を特徴とする。本発明の核酸、例えば、mRNAは、好ましくは、核酸、例えば、mRNAがin vivoでの使用に適しているように、適切な担体または送達ビヒクル(例えば、脂質ナノ粒子)に処方される。適切に処方された場合、核酸、例えば、mRNAは、対象、例えば、ヒト対象の細胞及び/または組織に送達されて、これらの核酸によってコードされるタンパク質の翻訳を達成し得る。
核酸分子は、遺伝子情報を運ぶ連結されたヌクレオチドで構成される高分子であり、タンパク質合成のプロセスを指示することにより、全てではないにしてもほとんどの細胞機能を指示する。核酸は、ヌクレオチド(ヌクレオチド単量体)のポリマーを含む。したがって、核酸はポリヌクレオチド(ポリヌクレオチド鎖とも呼ばれる)とも呼ばれる。核酸の2つの主要なクラスは、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)である。DNAは、全ての自由生活性生物及びほとんどのウイルスの遺伝物質を構成している。RNAは特定のウイルスの遺伝物質であるが、全ての生細胞にも見られ、細胞プロセス、特にタンパク質の生成に重要な役割を果たしている。
ヌクレオシドは、DNA及びRNAなどの核酸の構造サブユニットである。ヌクレオシドは、窒素塩基(核酸塩基)、通常はピリミジン(シトシン、チミン、またはウラシル)またはプリン(アデニンまたはグアニン)のいずれかで構成され、五炭素炭水化物リボースまたはリボースもしくはデオキシリボースである「糖」に共有結合されている。ヌクレオチドは、窒素塩基、糖(リボースまたはデオキシリボース)、及び1~3つのリン酸基からなる。本質的に、ヌクレオチドは、追加のリン酸基(複数可)を有する単なるヌクレオシドである。
核酸分子であるDNA及びRNAは、あるヌクレオチドの糖塩基と隣接するヌクレオチドのリン酸基との間のエステル結合と呼ばれる化学結合によって鎖状に互いに連結されているヌクレオチドで構成されている。この糖は3’末端であり、リン酸は各ヌクレオチドの5’末端である。あるヌクレオチドの糖の5’炭素に結合したリン酸基は、次のヌクレオチドの3’炭素の遊離ヒドロキシルとのエステル結合を形成する。これらの結合は、ホスホジエステル結合と呼ばれ、糖リン酸骨格は、分子が合成されるときに5’から3’の方向に伸びるか、または成長するものとして記述される。
核酸の核酸塩基部分は、プリン塩基、アデニン(A)及びグアニン(G)、ならびにピリミジン塩基、シトシン(C)、DNAのチミン(T)、及びRNAのウラシル(U)を特徴としている。核酸の糖部分は、DNAのデオキシリボース、RNAのリボースを特徴としている。5つのヌクレオシドは、通常、それぞれ1文字のコードA、G、C、T、及びUと略される。ただし、チミジンは、ウリジンに見られるリボフラノース環ではなく2’-デオキシリボフラノース部分を含むので、より一般的には「dT」(「d」は「デオキシ」を表す)と表記される。これは、チミジンがリボ核酸(RNA)ではなくデオキシリボ核酸(DNA)に見出されるからである。逆に、ウリジンはDNAではなくRNAに見出される。残りの3つのヌクレオシドはRNA及びDNAの両方に見出され得る。RNAでは、それらはA、C、及びGとして表されるが、DNAでは、それらはdA、dC、及びdGとして表される。
当業者であれば、別段の記載がある場合を除き、本出願に記載の核酸配列が代表的なDNA配列内で「T」を列挙し得るが、配列が、mRNAに相当する場合、「T」が「U」で置き換えられることを理解しよう。したがって、本明細書で開示され、特定の配列識別番号によって特定される任意のDNAは、そのDNAに相補的な対応するmRNA配列も開示しており、その場合、DNA配列の各「T」は「U」に置き換えられる。
核酸は、例えば、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、例えば、mRNA、トレオース核酸(TNA)、グリコール核酸(GNA)、ペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA類、例としては、β-D-リボ構成を有するLNA、α-L-リボ構成を有するα-LNA(LNAのジアステレオマー)、2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-LNA、及び2’-アミノ官能化を有する2’-アミノ-α-LNA)、エチレン核酸(ENA)、シクロヘキセニル核酸(CeNA)、及び/またはこれらのキメラ及び/または組合せであってもよく、これらを含んでもよい。
本発明において特徴とされるのは、メッセンジャーRNA(mRNA)、特に目的の抗原、例えば、ベータコロナウイルススパイクタンパク質抗原、サブユニット、ドメインまたはそれらのフラグメント(例えば、抗原フラグメント)をコードするように設計されたmRNAである。RNAのサブタイプであるメッセンジャーRNA(mRNA)は、ある遺伝子の遺伝子配列に対応するRNAの一本鎖分子である。mRNAは転写の過程で作られ、DNAの一本鎖がRNAポリメラーゼによって解読され、mRNAが合成され、すなわち、転写される。mRNAは、タンパク質を合成する過程、すなわち翻訳の過程でリボソームによって読み取られる。したがって、メッセンジャーRNA(mRNA)とは、(少なくとも1つの)タンパク質(アミノ酸の天然、非天然、または修飾ポリマー)をコードするRNAであり、in vitro、in vivo、in situ、またはex vivoで翻訳されてコードされたタンパク質を産生し得る。
本開示の組成物は、コロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を有する(少なくとも1つの)mRNAを含む。いくつかの実施形態では、mRNAはさらに、5’UTR、3’UTR、ポリ(A)テール、及び/または5’キャップもしくはキャップ類似体を含む。オープンリーディングフレーム(ORF)とは、開始コドン(例えば、メチオニン(ATGまたはAUG))で始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAG、もしくはTGA、またはUAA、UAG、もしくはUGA)で終わるDNAまたはRNAの連続的なストレッチである。ORFは、典型的にはタンパク質をコードする。本明細書に開示する配列はさらに、追加のエレメント(例えば、5’及び3’UTR)を含んでもよいが、これらのエレメントは、ORFとは異なり、本開示のmRNAには必ずしも存在する必要はないことが理解されよう。また、本発明の、例えば、本開示のベータコロナウイルスワクチン中で特徴づけられるmRNAが、任意の5’非翻訳領域(UTR)及び/または任意の3’UTRを含み得ることも理解されたい。例示的なUTR配列は、配列表に示されている(例えば、配列番号2、4、131及び132);しかし他のUTR配列を使用してもよいし、または本明細書に記載の任意のUTR配列と交換してもよい。また、UTRは、本明細書で提供するmRNAから省いてもよい。
いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号45、75、または90のいずれか1つのヌクレオチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むmRNAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、表1~15の配列のいずれか1つのヌクレオチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するヌクレオチド配列を含むmRNAを含む。
いくつかの実施形態では、組成物は、配列番号46、76または91のいずれか1つのヌクレオチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するORFを含むmRNAを含む。いくつかの実施形態では、組成物は、表1~15の配列のいずれか1つのヌクレオチド配列と少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の同一性を有するORFを含むmRNAを含む。
本開示の組成物のコロナウイルス抗原の例示的な配列及びコロナウイルス抗原をコードするmRNAを表1~15に示す。
本明細書に記載のmRNAによってコードされる抗原のいずれか1つがシグナル配列を含む場合も含まない場合もあることを理解されたい。
コードされたコロナウイルススパイク(S)タンパク質抗原
公知のベータコロナウイルスのエンベロープスパイク(S)タンパク質は、ウイルスの宿主指向性及び宿主細胞への侵入を決定する。コロナウイルススパイク(S)タンパク質は、中和抗体及び防御免疫を誘導し得るので、ワクチン設計に最適な抗原である。Sタンパク質はSARS-CoV-2感染に重要である。Sタンパク質の構成は、SARS-CoV-2、SARS-CoV、MERS-CoV、HKU1-CoV、MHV-CoV、及びNL63-CoVなどのベータコロナウイルス間で類似している。
本明細書で使用される場合、「スパイクタンパク質」という用語は、ベータコロナウイルスを含むウイルスのエンベロープ(ウイルス表面)から突出するホモ三量体を形成する糖タンパク質を指す。三量体化したスパイクタンパク質は、宿主細胞の表面にある受容体に結合し、続いてウイルス膜と宿主細胞膜を融合させることにより、ビリオンの宿主細胞への侵入を促進する。Sタンパク質は、ウイルスの種類に応じて1,160~1,400のアミノ酸で構成される、高度にグリコシル化された大きなI型膜貫通型融合タンパク質である。ベータコロナウイルススパイクタンパク質は、約1100~1500アミノ酸を含み、図1に示すような構造(すなわち、ドメインの組成及び構成)を含む。SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質は、中和抗体及び防御免疫を誘導し得るので、ワクチン設計に最適な抗原である。本発明のmRNAは、SARS-CoV-2スパイクタンパクを産生するように(すなわち、mRNAが細胞または組織、例えば対象の細胞または組織に送達されるときにスパイクタンパク質が発現されるようにスパイクタンパク質をコードする)、同様にその抗原変異体を産生するように、設計されている。当業者は、ウイルス、例えばベータコロナウイルスが宿主細胞へのウイルス侵入を促進するという意図された機能を実行するために、本質的に全長または完全なスパイクタンパク質が必要であり得るが、スパイクタンパク質の構造及び/または配列におけるある量の変動が、主にスパイクタンパク質に対する免疫応答を誘発しようとする場合、許容されることを理解するであろう。例えば、コードされたスパイクタンパク質、例えば、コードされたスパイクタンパク質抗原のN末端またはC末端からの、例えば、1~数個、おそらく最大5または最大10のアミノ酸というわずかな短縮は、タンパク質の抗原特性を変化することなく許容され得る。同様に、コードされたスパイクタンパク質、例えば、コードされたスパイクタンパク質抗原の1~数個、おそらく最大5または最大10アミノ酸(またはそれ以上)の変動(例えば、保存的置換)は、タンパク質の抗原特性を変えることなく許容され得る。例示的な実施形態では、スパイクタンパク質、例えば、コードされたスパイクタンパク質抗原は、表1~15の配列のいずれか1つに示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号125として示されるアミノ酸配列に由来する)を有する。他の実施形態では、スパイクタンパク質、例えば、コードされたスパイクタンパク質抗原は、表1~15の配列のいずれか1つに示されるアミノ酸配列を有する(例えば、配列番号125として示されるアミノ酸配列に由来する)スパイクタンパク質と比較した場合(それと配列した場合)100以下、90以下、80以下、70以下、60以下、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、または5以下のアミノ酸の置換及び/または欠失を有する。コードされたスパイクタンパク質配列にわずかな変化が生じる場合、バリアントは、好ましくは、参照スパイクタンパク質配列と同じ活性を有するか、及び/または例えば、イムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISAアッセイ))で決定されるとおり、参照スパイクタンパク質と同じ免疫特異性を有する。
コロナウイルスのSタンパク質は、2つの重要な機能サブユニットに分けられ得、そのうち、Sタンパク質の球状頭部を形成するN末端S1サブユニット、及びタンパク質の茎を形成するC末端S2領域があり、ウイルスエンベロープに直接埋め込まれている。潜在的な宿主細胞と相互作用すると、S1サブユニットは宿主細胞上の受容体、特にアンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体を認識して結合するが、Sタンパク質の最も保存された成分であるS2サブユニットは、ウイルスのエンベロープを宿主細胞膜と融合させることを担う。(例えば、Shang et al.,PLoS Pathog.2020 Mar;16(3):e1008392を参照のこと)。三量体Sタンパク質三量体の各モノマーには、付着及び膜融合をそれぞれ媒介する2つのサブユニットS1及びS2が含まれている。例えば、図1を参照のこと。インビボでの感染プロセスの一部として、2つのサブユニットは酵素的切断プロセスによって互いに分離される。Sタンパク質は、感染細胞のS1/S2部位で、インビボで、フューリンを介した切断によって最初に切断され、その後のセリンプロテアーゼ媒介性切断事象が、S1内のS2’部位で起こる。SARS-CoV2では、S1/S2切断部位は
にある(配列番号127を参照)。S2’切断部位はアミノ酸811-KPSKR/SFI-818(配列番号126を参照)にある。
本明細書で使用される場合、例えば、本発明の核酸、例えば、mRNAによってコードされるSARS-CoV-2 Sタンパク質抗原を設計する文脈において、「S1サブユニット」(例えば、S1サブユニット抗原)という用語は、Sタンパク質のN末端で始まり、S1/S2切断部位で終わるスパイクタンパク質のN末端サブユニットを指し、一方で「S2サブユニット」(例えば、S2サブユニット抗原)という用語は、S1/S2切断部位で開始し、スパイクタンパク質のC末端で終了するスパイクタンパク質のC末端サブユニットを指す。上記のように、当業者は、本質的に全長または完全なスパイクタンパク質S1またはS2サブユニットがそれぞれ受容体結合または膜融合に必要であるが、S1またはS2の構造及び/または配列におけるある程度の変動は、スパイクタンパク質サブユニットに対する免疫応答を主に誘発しようとする場合、許容されることを理解する。例えば、コードされたサブユニット、例えば、コードされたS1またはS2タンパク質抗原のN末端またはC末端からの、例えば、1~数個、おそらく最大4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸というわずかな短縮は、タンパク質の抗原特性を変化することなく許容され得る。同様に、コードされたスパイクタンパク質サブユニット、例えば、コードされたS1またはS2タンパク質抗原の1~数個、おそらく最大4、5、6、7、8、9または10個のアミノ酸(またはそれ以上)の変動(例えば、保存的置換)は、タンパク質(複数可)の抗原特性を変えることなく許容され得る。例示的な実施形態では、スパイクタンパク質、例えば、コードされたスパイクタンパク質抗原は、表1~15の配列のいずれか1つに示されるアミノ酸配列(例えば、配列番号125として示されるアミノ酸配列に由来する)を有する。他の実施形態では、スパイクタンパク質サブユニット、例えば、コードされたS1またはS2タンパク質抗原は、配列番号125に示されるようなアミノ酸配列を有する、スパイクタンパク質のアミノ酸1~685を含むかもしくはそれからなるスパイクタンパク質S1サブユニット、またはアミノ酸686~1273を含むかもしくはそれからなるスパイクタンパク質S2サブユニットと比較した場合(またはそれと整列させた場合)、50以下、40以下、30以下、20以下、10以下、または5以下のアミノ酸置換及び/または欠失を有する。コードされたスパイクタンパク質サブユニット配列にわずかな変化が生じる場合、そのバリアントは、好ましくは、参照スパイクタンパク質サブユニット配列と同じ活性を有するか、及び/または例えば、イムノアッセイ(例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISAアッセイ))で決定されるとおり、参照スパイクタンパク質サブユニットと同じ免疫特異性を有する。
SARS-CoV-2スパイクタンパク質のS1及びS2サブユニットは、構造及び機能によって容易に識別可能なドメインをさらに含み、これは、次に、核酸ワクチン、特に本発明のmRNAワクチンによってコードされる抗原を設計する際に特徴づけられ得る。S1サブユニット内で、ドメインは、N末端ドメイン(NTD)及び受容体結合ドメイン(RBD)を含み、当該RBDドメインは、受容体結合モチーフ(RBM)をさらに含んでいる。野生型S1サブユニットには、シグナルペプチド(SD)、NTDドメインのN末端、ならびに及び第1サブドメイン(SD1)及び第2サブドメイン(SD2)も含まれる。S2サブユニット内のドメインには、融合ペプチド(FP)、ヘプタッドリピート1(HR1)、ヘプタッドリピート2(HR2)、膜貫通ドメイン(TM)、及び細胞質テール(CT)としても公知の細胞質ドメインが含まれる(Lu R.et al.,上掲;Wan et al.,J.Virol.Mar 2020,94(7)e00127-20)。HR1及びHR2ドメインは、SARS-CoV-2の「融合コア領域」と呼ばれることもある(Xia et al.,2020 Cell Mol Immunol.Jan;17(1):1-12.)。図1は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のドメイン構造を示している。S1サブユニットは、N末端ドメイン(NTD)、リンカー領域、受容体結合ドメイン(RBD)、第1のサブドメイン(SD1)、及び第2のサブドメイン(SD2)を含む。S1サブユニットは、C末端膜貫通ドメイン(TM)を追加するように改変してもよく、可溶性であってもよい。S2サブユニットは、とりわけ、第1のヘプタッドリピート(HR1)、第2のヘプタッドリピート(HR2)、膜貫通ドメイン(TM)、及び細胞質テールを含む。可溶性S2サブユニットはTMドメインなしで生成されてもよい。
S1のNTD及びRBDは、これらのドメインがベータコロナウイルス感染個体における中和抗体の標的であることが示されているので、本発明のワクチン設計アプローチのための優れた抗原である。本明細書で使用される場合、例えば、抗原設計(本発明のmRNAによってコードされ、例えば、本発明のmRNAワクチンから発現される当該抗原)の文脈において、「N末端ドメイン」または「NTD」という用語は、配列番号125として示されるアミノ酸配列を有するスパイクタンパク質のS1サブユニットのアミノ酸1~290と同一性を有する、長さが約290アミノ酸を含むSARS-CoV-2 S1サブユニット内のドメインを指す。本明細書で使用される場合、例えば、抗原設計(本発明のmRNAによってコードされ、例えば、本発明のmRNAワクチンから発現される当該抗原)の文脈において、「受容体結合ドメイン」または「RBD」という用語は、配列番号125として示されるアミノ酸配列を有するスパイクタンパク質のS1サブユニットのアミノ酸316~517と同一性を有する、長さが約175~225のアミノ酸を含むSARS-CoV-2のS1サブユニット内のドメインを指す。本明細書で使用される場合、「受容体結合モチーフ」という用語は、ACE2受容体に直接接触するRBDの部分を指す。発現したRBDは、アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)に対してその受容体として特異的に結合するか、及び/またはRBD結合及び/または中和抗体、例えば、CR3022と特異的に反応すると予測されている。
本明細書で提供される組成物は、いずれか1つ以上の全長または部分的(配列の短縮または他の欠失)Sタンパク質サブユニット(例えば、S1またはS2サブユニット)、Sタンパク質サブユニットの1つ以上のドメインまたはドメインの組合せ(例えば、NTD、RBD、またはNTD-RBD融合物、SD1及び/またはS2が有りまたは無し)、または全長もしくは部分的及びS2タンパク質サブユニットのキメラ、をコードし得るmRNAを含む。その他のSタンパク質サブユニット及び/またはドメイン構成は、本明細書で企図されている。
コードされたサブユニット抗原
本開示のいくつかの態様は、SARS-CoV-2 Sタンパク質の(少なくとも1つの)サブユニットをコードするmRNAを含む組成物を提供する。いくつかの実施形態では、mRNAは、S1サブユニット(例えば、全長または部分的)をコードする。他の実施形態では、mRNAは、S2サブユニット(例えば、全長または部分的)をコードする。さらに他の実施形態では、mRNAはキメラS1-S2タンパク質をコードし、サブユニットの1つはSARS-CoV-2 Sタンパク質に由来し、他のサブユニットは別の生物、例えば、インフルエンザウイルスなどのウイルスに由来する。本開示のmRNAによってコードされるSARS-CoV-2サブユニット(S1及び/またはS2)は、可溶性または膜結合型(例えば、膜貫通ドメインに連結されている)であり得る。
可溶性サブユニット抗原
可溶性タンパク質は、細胞の細胞質に存在するか、細胞から分泌される(例えば、膜に結合しない)。細胞によって分泌される可溶性抗原は、補体によってオプソニン化され、リンパ節の濾胞樹状細胞によって捕捉され、発現されたタンパク質に存在するエピトープに特異的なB細胞によって認識され得る。サブユニット抗原の発現によってさらに、特定のサブユニットに対する免疫応答に焦点を合わせることが可能になり、他の関連するウイルスと共有される抗原の他のドメインに特異的なメモリーB及びT細胞の刺激は最小限に抑えられている。理論に拘束されることはないが、NTD、RBD、及び場合によっては、SARS-CoV-2 S1サブユニットの介在ポリペプチドを含むSARS-CoV-2 S1サブユニットの可溶性形態での提示は、S1サブユニット特異的免疫応答を生成することが考えられる。したがって、いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、可溶性SARS-CoV-2 S1サブユニット抗原及び/または可溶性SARS-CoV-2 S2サブユニット抗原をコードする。可溶性SARS-CoV-2 S1サブユニット抗原及びそれをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表1A及び1Bに示す。可溶性SARS-CoV-2サブユニット抗原の他の例が本明細書に示されている。
膜結合サブユニット抗原
膜結合タンパク質は膜貫通ドメインを有する細胞膜に固定されており、及び、それ故に、可溶性ではない。理論に拘束されるものではないが、抗原提示細胞は埋め込まれた抗原を流入領域リンパ節に運び、強力な免疫応答を生成すると考えられている。流入領域リンパ節で発生する胚中心反応には、CD4+ TFH細胞とB細胞との間の長期接触が含まれ、提示された抗原に特異的なB細胞の複製及びIgG1の産生へのクラスのスイッチを促進するIL-4及びIL-21などの共刺激及び局所サイトカインシグナルが可能になり、それぞれが長寿命の形質細胞及びメモリーB細胞の生成を促進し得る。したがって、いくつかの実施形態では、mRNAは、膜結合SARS-CoV-2 S1サブユニット抗原及び/または膜結合SARS-CoV-2 S2サブユニット抗原をコードする。いくつかの実施形態では、膜結合抗原(例えば、S1サブユニット、S2サブユニット、NTD、RBD、またはそれらの任意の組合せ)は、膜貫通ドメイン、例えば、天然に存在する膜貫通ドメインまたは異種膜貫通ドメイン(異種タンパク質由来)に連結され、これは細胞膜にタンパク質を固定する役割を果たす。膜結合SARS-CoV-2 S1サブユニット抗原及びSARS-CoV-2 S2サブユニット抗原の非限定的な例及びそれらをコードするmRNAを以下の表2A及び2Bに提供する。他の膜結合SARS-CoV-2 S1サブユニット抗原が本明細書で企図されている。
サブユニット抗原の短縮及びRBDの欠失
いくつかの実施形態では、組成物は、RBDまたはRBDの一部を除去するように改変されたS1サブユニットをコードするmRNAを含む。S1サブユニットの短縮は、免疫系が認識するエピトープを少なくし、それによって残りのエピトープに対する免疫応答にバイアスをかけ、これにより、ウイルス中和に重要な特定のエピトープに対する抗体が選択され得る。RBDの短縮または部分的な欠失は、発現したタンパク質またはそれを運ぶ細胞が受容体ACE2と相互作用することを妨げ得、リンパ節に到達して所望の免疫応答を刺激する可能性を高める。さらに、RBDを除去すると、関連するウイルスに対して以前に生成された交差反応性抗体によるエピトープマスキングが防止される可能性があり、したがって、誘発された免疫応答を目的の抗原に特異的に集中し得る。さらに、RBDの除去は、発現されたサブユニットの高次構造を変化させ得、これらの代替高次構造エピトープに特異的なB細胞が線状ペプチドを取り込んで、T細胞に提示することを可能にし、それによってCD4T細胞応答を、天然の構成にまだ存在するこれらのエピトープに対して間接的に増強する。
いくつかの実施形態では、組成物は、RBDまたはRBDの一部を除去するように改変されたS1サブユニット(ここでS2サブユニットはグリカンを含む)をコードするmRNAを含む。グリカンは、アスパラギン残基を介したN-結合型グリコシル化、またはセリンもしくはスレオニン残基のO-結合型グリコシル化によってタンパク質に結合される。タンパク質の一部の成分にグリカンシールドが存在すると、ペプチドエピトープがマスクされ得、それによって抗体応答が他の露出したペプチドエピトープに集中し得る。さらに、グリコシル化タンパク質は、コーティンググリカンを認識する抗体も誘発する。グリカンエピトープを認識するB細胞は、線形ペプチドエピトープを取り込み、CD4+ T細胞に提示し、それによって、タンパク質全体に見られる線状エピトープに対するCD4+ T細胞の応答を促進する。
短縮型SARS-CoV-2 S1サブユニット抗原及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表3A及び3Bに示す。
RBD欠失を有するSARS-CoV-2 S1サブユニット及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例は、以下の表4A及び4Bに示す。
キメラS1-S2サブユニット抗原
いくつかの実施形態では、組成物は、キメラタンパク質、例えば、1つのウイルスのSタンパク質由来のS1サブユニット及び別の異なるウイルスのSタンパク質由来のS2サブユニットを有するキメラS1-S2タンパク質をコードするmRNAを含む。例えば、S2サブユニットはSARS-CoV-2に由来する場合があり、S1サブユニットはHKU1に由来する場合がある。別の例として、S2サブユニットは、SARS-CoV-2に由来する場合があるが、S1サブユニットはOC43に由来する場合がある。これらのキメラタンパク質は、以前の曝露によって生成されたHKU1またはOC43のS1サブユニットに特異的な循環抗体によってオプソニン化される可能性が高く、マクロファージ及び樹状細胞による、SARS-CoV-2 S2サブユニットペプチドのCD4+ T細胞への効率的な取込み及び交差提示を促進する。循環抗体によるオプソニン作用はまた、SARS-CoV-2 S2サブユニットエピトープに特異的な受容体を有するB細胞への提示のための濾胞樹状細胞による捕捉を促進する。キメラS1/S2サブユニット構築物及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を以下の表5A及び5Bに示す。
コードされたドメイン抗原
本開示の他の態様は、Sタンパク質のSARS-CoV-2 S1サブユニットの(少なくとも1つの)サブドメインをコードするmRNAを含む組成物を提供する。サブドメインは、N末端ドメイン(NTD)であっても、または受容体結合ドメイン(RBD)(SD1及び/またはSD2有りまたは無し)であってもよい。いくつかの実施形態では、mRNAは、NTD及びRBD(SD1及び/またはSD2有りまたは無し)の組合せ(例えば、非天然の組合せ)をコードする。いくつかの実施形態では、NTD及び/またはRBDは、膜貫通ドメインに連結されている(SD1及び/またはSD2有りまたは無し)。いくつかの実施形態では、mRNAは、システイン残基を含むように変異されたSタンパク質のSARS-CoV-2 S1サブユニットの2つのサブドメイン(NTD及びRBD)をコードする。いくつかの実施形態では、そのような変異は、ジスルフィド結合の形成をもたらす。一例として、mRNAは、F43C変異を含むNTD及びQ563C変異を含むRBDをコードし得、最終的に、ジスルフィド結合を介してRBDに連結されたNTDをもたらす。
N末端ドメイン(NTD)構築物
いくつかの実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS1サブユニットのNTDをコードする。特定のベータコロナウイルスのNTDは、防御レベルの抗体を誘発する。MERSなどの他のベータコロナウイルスのNTDに特異的な抗体は、膜融合及びウイルス侵入を防ぐことによって作用し(Zhou H et al.Nat Commun.2019;3068)、ACE2へのウイルス付着を防ぐこととは異なる中和の第2の機構を提供する。本開示のmRNAによってコードされるSARS-CoV-2 NTDは、可溶性であってもまたは膜結合性であってもよい。膜結合SARS-CoV-2 NTD抗原及びそれをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表6A及び6Bに示す。
受容体結合ドメイン(RBD)構築物
他の実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、SARS-CoV-2 Sタンパク質のS1サブユニットのRBDをコードする。RBDは、宿主細胞のACE2受容体に結合し、細胞へのウイルスの付着を媒介する。ウイルスが細胞に侵入して複製するには、付着が必要である。したがって、細胞へのウイルスの付着を阻止するRBD標的抗体応答は、細胞外ウイルス粒子を効果的に中和し、増殖を防ぎ、中和されたウイルス粒子の他の成分に対するさらなる免疫応答を促進する。本開示のmRNAによってコードされるSARS-CoV-2 RBDは、可溶性であっても、または膜結合型(例えば、膜貫通ドメインに連結されている)であってもよい。
可溶性RBD抗原
いくつかの実施形態では、mRNAは、可溶性SARS-CoV-2 RBDをコードする。樹状細胞は飲作用によって可溶性タンパク質をサンプリングし、流入領域リンパ節に移動する際に、サンプリングされたタンパク質を構成する線状ペプチドをCD4+ T細胞に提示する。これらのCD4+ T細胞は、RBD由来のエピトープを認識し、取り込み、そして提示したB細胞に増殖シグナルを提供するため、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の他の成分を含まないRBDを特異的に投与すると、免疫応答をRBDに存在するエピトープに向けて集中させると予想される。可溶性SARS-CoV-2 RBD及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を以下の表7A及び7Bに示す。
膜結合RBD抗原
いくつかの実施形態では、mRNAは、膜結合SARS-CoV-2 RBDをコードする。膜結合RBDを発現する細胞は、これらの膜結合抗原を流入領域リンパ節に運び、RBD特異的B細胞によるエピトープの効率的な認識を促進すると期待される。B細胞表面には多くの表面結合抗体が含まれ、発現細胞には膜結合RBDのコピーが多数含まれているので、B細胞による抗原の最初の認識に続いてB細胞受容体が架橋し、親和性効果を通じて強力な応答が刺激されると期待される。膜結合型SARS-CoV-2 RBD及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を以下の表8A及び8Bに示す。
ドメイン融合抗原
さらに他の実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、SARS-CoV-2 NTD-RBD融合タンパク質をコードする。例えば、Sタンパク質のSARS-CoV-2 S1サブユニットのNTD及びRBDは、短いアミノ酸(例えば、グリシン-セリン)リンカーなどのリンカーを介して互いに連結されて、ドメイン間の可塑性/ヒンジ化及びスペースが可能になる場合がある。別の実施形態では、抗原性エピトープ、例えば、PADREなどのクラスIIユニバーサルT細胞エピトープを含むリンカーを使用してもよい。いくつかの実施形態では、膜貫通領域は、例えば、可塑性のために、そして膜と抗原との間の合理的な距離を可能にするために、別の短いアミノ酸(例えば、グリシン-セリンまたはPADRE)リンカーを通じて、NTD-RBD融合物に連結される。理論に拘束されることはないが、この膜結合タンデム構成は、全てではないにしても、ほとんどの既知の中和エピトープ及び保護エピトープを1つのオープンリーディングフレームで提示すると考えられている。次に、この融合タンパク質の投与により、免疫応答が既知の保護エピトープに向かって集中し、非保護エピトープに特異的な抗体及びT細胞の不必要な生成が減少するはずである。さらに、異なるドメインに対する抗体は、宿主細胞への付着をブロックすること、または結合したウイルスが膜融合を受けて宿主細胞に侵入するのを防ぐことなど、異なる機構を通じてウイルス粒子を中和し得る。したがって、異なるドメインを含む融合タンパク質によって誘発される幅広い応答は、より進化的にロバストであり、ワクチン誘発免疫を回避するために複数の別個の変異を必要とする場合がある。SARS-CoV-2 NTD-RBD融合タンパク質及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例は、以下の表9A及び9Bに示している。
リンカー
本開示に従って、さまざまなリンカーを使用してもよい。本明細書で提供されるリンカーは、他の2つのアミノ酸配列を人工的に一緒に連結する単なるアミノ酸配列である。本明細書で使用されるリンカーは、切断可能であっても、または切断不可能であってもよい。切断可能なリンカーは、mRNAをポリペプチドに翻訳することを可能にし、その後、リンカーの切断によって、個々の成分が独立して放出されることが可能になる。切断不可能なリンカーは、1つ以上のタンパク質サブユニットの接続を維持し、タンパク質全体がコンポーネントサブユニットの近接を必要とする機能を実行することを可能にする。そのようなリンカーの非限定的な例としては、グリシン-セリン(GS)リンカー(切断不可能);及びF2Aリンカー、P2Aリンカー、T2Aリンカー、及びE2Aリンカー(切断可能)が挙げられる。本明細書では他のリンクを使用してもよい。
いくつかの実施形態では、リンカーは、GSリンカーである。GSリンカーは、グリシン及びセリンのアミノ酸リピートを含むポリペプチドリンカーである。それらは可塑性かつ親水性の残基を含み、タンパク質ドメインの折り畳み及び機能に干渉することもなく、また二次構造を形成することもなく、タンパク質サブユニットの融合を実行するために使用され得る。いくつかの実施形態では、mRNAは、3から20アミノ酸長であるGSリンカーを含む融合タンパク質をコードする。例えば、GSリンカーは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または20アミノ酸の長さを有してもよい(または少なくともその長さを有してもよい)。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、15アミノ酸長(例えば、GGSGGSGGSGGSGGG(配列番号133))である(または少なくとも15アミノ酸長である)。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、8アミノ酸長(例えば、GGGSGGGS(配列番号134))である(または少なくとも8アミノ酸長である)。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、7アミノ酸長(例えば、GGGSGGG(配列番号135))である(または少なくとも7アミノ酸長である)。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、4アミノ酸長(例えば、GGGS(配列番号136))である(または少なくとも4アミノ酸長である)。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、(GGGS)n(配列番号136)を含み、ここで、nは、1~5の任意の整数である。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、4アミノ酸長(例えば、GSGG(配列番号152)である(または少なくとも4アミノ酸長である)。いくつかの実施形態では、GSリンカーは、(GSGG)n(配列番号152)を含み、ここで、nは、1~5の任意の整数である。
いくつかの実施形態では、リンカーは、例えば、3アミノ酸(例えば、GGG)の長さ(または少なくとも3アミノ酸の長さ)を有するグリシンリンカーである。
いくつかの実施形態では、mRNAワクチンによってコードされるタンパク質は、2つ以上のリンカーを含み、これらは、同じであっても、またはお互いに異なってもよい(例えば、同じSタンパク質構築物におけるGGGSGGG(配列番号135)及びGGGS(配列番号136)。
いくつかの実施形態では、リンカーは、汎HLA DR結合エピトープ(PADRE)(例えば、AKFVAAWTLKAAA(配列番号148))をコードするmRNAを含む。PADREは、免疫優勢ヘルパーCD4 T細胞エピトープであり、強力な免疫原である(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Alexander J.et al.J of Immuno.164(3):1625-33を参照のこと)。
輸送シグナル
いくつかの実施形態では、mRNAは、ゴルジ輸送シグナルに連結されたSARS-CoV-2 Sタンパク質ドメイン(例えば、NTD、RBD、またはNTD-RBD融合物)をコードする。このようなシグナルの非限定的な例としては、高度に発現しており、細胞内領域がゴルジ装置から細胞表面への効率的な輸送を制御し得る、CD86及び/またはCD11bなどのマクロファージマーカーが挙げられる。他の細胞輸送シグナル(配列)、例えば、VSV-G細胞質テール(VSVGct)を本明細書で使用してもよい。コードされたタンパク質の細胞表面へのより効率的な輸送は、B細胞認識のための抗原の利用可能性を高め、したがって、コードされたSARS-CoV-2Sタンパク質ドメインに対する抗体の生成を促進すると予想される。輸送シグナルに連結されたSARS-CoV-2抗原及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表10A及び10Bに示す。
ドメイン融合C末端の短縮
他の実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、C末端ドメインの一部が短縮/欠失されているSARS-CoV-2 NTD-RBD融合タンパク質をコードする。一実施形態では、13個(または少なくとも13個)のアミノ酸が、NTD-RBD融合タンパク質のC末端ドメインから欠失されている。これらのアミノ酸の欠失は、抗体へのエピトープの曝露を増加させ、それにより、NTD及びRBDドメインに存在する保護エピトープに対する、よりロバストな免疫応答を刺激することが予想される。
C末端短縮を有するSARS-CoV-2ドメイン融合抗原及びそれをコードするmRNAの非限定的な例は、以下の表11A及び11Bに示されている。
ドメイン拡張
いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2 Sタンパク質ドメイン抗原は、当該技術分野でNTDドメインまたはRBDドメインであると理解されているものに隣接するか、及び/または隣り合う配列を含む「拡張」領域を含む。RBD_EXTシリーズにはSD1(サブドメイン1)が含まれる。NTD_EXTシリーズには、NTDのC末端ヘリックスを含む。一部のB細胞及び抗体は、SARS-CoV-2 Sタンパク質NTD及びRBDの適切に折り畳まれた、ただし変性されていない形態でのみ見られる立体構造エピトープを認識する。NTD及びRBDドメインに隣接するか及び/または隣り合う配列の包含は、抗原に追加のB細胞エピトープを提供できるだけでなく、潜在的にこれらのドメインのより最適な折り畳みをもたらし、いずれかのドメインの端に見出され得るエピトープに特異的な抗体でB細胞を刺激し得る。さらに、これらの伸長配列を含めると、NTDまたはRBDと発現細胞膜との間の距離が長くなり、発現タンパク質が細胞表面に近すぎる場合に結合効率が低下し得る抗体への両方のドメインの曝露が増大する。最後に、伸長配列を含めると、NTDまたはRBDエピトープを認識したB細胞による、CD4+T細胞に提示される可能性のあるペプチドのプールが増大し、次いで、抗原提示のためにタンパク質全体がプロセシングされ、それによってNTDまたはRBD特異的B細胞が十分なT細胞の助けを得る機会が増大する。SARS-CoV-2ドメイン伸長及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例は、以下の表12A及び12Bに提供されている。

ドメイン混合物
本開示は、いくつかの態様では、SARS-CoV-2 Sタンパク質サブドメインをコードするmRNAの混合物を含む組成物を提供する。一例では、組成物は、NTDをコードするmRNA(SD1、SD2、及び/または膜貫通ドメイン有りまたは無し)及びRBDをコードするmRNA(SD1、SD2、及び/または膜貫通ドメイン有りまたは無し)の混合物を含む。いくつかの実施形態では、組成物は、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号47)に連結されたNTDをコードするmRNA(例えば、配列番号45または46)及び膜貫通ドメイン(例えば、配列番号77)に連結されたRBDをコードするmRNA(例えば、配列番号75または76)を含む。
組成物中のあるmRNAと別のmRNAの濃度の比率は、1:1(50:50)、1:2、1:3、1:4、または1:5であり得る。いくつかの実施形態では、この比率は1:1である。例えば、組成物は、1:1の比率の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号47)に連結されたNTDをコードするmRNA(例えば、配列番号45または46)対、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号77)に連結されたRBDをコードするmRNA(例えば、配列番号75または76)を含み得る。いくつかの実施形態では、比率は1:2である。例えば、組成物は、1:2の比率の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号47)に連結されたNTDをコードするmRNA(例えば、配列番号45または46)対、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号77)に連結されたRBDをコードするmRNA(例えば、配列番号75または76)を含み得る。別の実施例、組成物は、1:2の比率の膜貫通ドメイン(例えば、配列番号77)に連結されたRBDをコードするmRNA(例えば、配列番号75または76)対、膜貫通ドメイン(例えば、配列番号47)に連結されたNTDをコードするmRNA(例えば、配列番号45または46)を含み得る。異なる抗原をコードする異なるmRNAは、さまざまな強度の免疫応答を刺激し得る(Magini Det al.PLoS ONE.2016;11:e0161193)、そして、2つの異なる抗原をコードする2つのmRNAの等モル比の投与は、一方に対して免疫応答をもたらし得るが、他方に対しては免疫応答をもたらさない場合がある(John S et al.Vaccine.2018;36:1689-1699)。同時送達されたmRNAの比率の操作は、同等の効力で所望の抗原を標的とする幅広い免疫応答を誘発するために有用であり得る。
コードされたナノ粒子抗原
本明細書で提供されるmRNAワクチンは、いくつかの実施形態では、足場ドメインに連結されたコロナウイルス抗原を含む融合タンパク質をコードする。いくつかの実施形態では、足場ドメインは、本開示のmRNAによってコードされる抗原に所望の特性を付与する。例えば、足場ドメインは、例えば、抗原の構造を変更すること、抗原の取込み及びプロセシングを変更すること、及び/または抗原を別の分子に結合させることによって、抗原の免疫原性を改善し得る。いくつかの実施形態では、抗原に連結された足場ドメインは、ウイルスナノ粒子またはより大きなタンパク質折り畳み免疫原への抗原の自己集合を促進する。本明細書で提供されるように使用され得る足場ドメインの非限定的な例としては、フェリチンドメイン、ルマジンシンテターゼドメイン、フォールドンドメイン、及びエンカプスリンドメインが挙げられる。他の足場ドメインを使用してもよい。
フェリチン
いくつかの実施形態では、フェリチンドメインは、足場ドメインとして使用される。フェリチンはタンパク質であり、その主な機能は細胞内の鉄の貯蔵である。フェリチンは二十四(24)個のサブユニットで構成されており、各サブユニットは、正八面体対称性を有する四次構造に自己組織化する4つのアルファヘリックスバンドルで構成されている(Cho K.J.et al.J Mol Biol.2009;390:83-98;(Granier T.et al.J Biol Inorg Chem.2003;8:105-111;及びLawson D.M.et al.Nature.1991;349:541-544)。フェリチンは、ロバストな熱的及び化学的安定性を備えたナノ粒子に自己集合する。このようにフェリチンナノ粒子内に抗原を封入すると、抗原の分解を遅らせ、かつ個々の抗原を凝集させることが期待され、各ナノ粒子は二十四(24)個の抗原サブユニットを含んでいる。同じ抗原の複数のコピーの凝集は、樹状細胞による抗原の取込み及び移動の両方、ならびによりロバストなCD4+及びCD8+ T細胞応答を増強する(Kastenmuller K et al.J Clin Invest.2011;121(5):1782-96)。したがって、フェリチンナノ粒子は、抗原提示及びワクチン開発に最適なプラットフォームである。
本明細書で提供されるmRNAは、いくつかの実施形態では、例えば、グリシン(例えば、GGG)リンカードメインを通じて、フェリチンドメインに連結されたRBDをコードする。他のリンカーを使用してもよい。
他の実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、例えば、グリシン(例えば、GGG)リンカーを通じて、フェリチンドメインに連結されたSタンパク質のS1ドメインをコードする。本明細書の他の場所に示されているように、他のリンカーを使用してもよい。
フェリチンドメインに連結されたSARS-CoV-2抗原及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表13A及び13Bに示す。
ルマジンシンテターゼ
いくつかの実施形態では、ルマジンシンテターゼドメインは、足場ドメインとして使用される。ルマジンシンテターゼは、古細菌、細菌、真菌、植物、及び真正細菌などのさまざまな生物体におけるリボフラビンの生合成の最後から2番目の触媒ステップを担う酵素である。ルマジンシンテターゼはホモオリゴマーで構成されており、これは、その起源の種に応じて、五量体、十量体、及び二十面体の60量体など、サイズ及びサブユニット数が異なる。ルマジンシンテターゼモノマーは150アミノ酸の長さで、隣接するタンデムアルファヘリックスのベータシートが含まれている。ルマジンシンテターゼについては、さまざまな四次構造が報告されており、その形態学的多様性を示している(ホモ五量体から、直径150Åのキャプシドを形成する十二(12)個の五量体の対称アセンブリまで)。ルマジンシンテターゼの表面に抗原が提示されると、局所的に高い濃度の抗原が規則正しい配列で表示される。このような反復構造は、B細胞受容体の架橋を可能にし、親和性効果を通じて強力な免疫応答をもたらす。
本明細書で提供されるmRNAは、いくつかの実施形態では、例えば、グリシン-セリン(例えば、GGS)を介して、ルマジンシンテターゼドメインに連結されたRBDをコードする。他のリンカーを使用してもよい。
他の実施形態では、本明細書で提供されるmRNAは、例えば、グリシン-セリン(例えば、GGS)リンカーを介して、ルマジンシンテターゼドメインに連結されたSタンパク質のS1ドメインをコードする。本明細書の他の場所に示されているように、他のリンカーを使用してもよい。
フォールドンドメインに連結されたSARS-CoV-2抗原及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表14A及び14Bに示す。
フォールドン
いくつかの実施形態では、フォールドンドメインは、足場ドメインとして使用される。T4フィブリチン(フォールドン)のC末端ドメインは、フィブリチン三量体構造の形成に必須であり、人工三量体化ドメインとして使用され得る(例えば、Meier S.et al.Journal of Molecular Biology 2004 Dec 3;344(4):1051-1069;Tao Y et al.Structure 1997 Jun 15;5(6):789-98を参照のこと)。Sタンパク質のエクトドメインに融合すると、フォールドンドメインはSタンパク質の正しい三量体化を促進し、タンパク質の誤った折り畳みを回避する。Sタンパク質の融合前高次構造の生成をもたらすそのようなプロセスは、発現の増大、高次構造の均一性、及び強力な中和抗体応答の誘発をもたらす。
理論に拘束されるものではないが、この構成は、タンパク質の細胞内領域で主に免疫原的にサイレントであるフォールドンをもたらすと考えられている。フォールドンドメインに連結されたSARS-CoV-2抗原及びそれらをコードするmRNAの非限定的な例を、以下の表15A及び15Bに示す。
エンカプスリン
いくつかの実施形態では、エンカプスリンドメインは、足場ドメインとして使用される。エンカプスリンは、好熱菌Thermotoga maritimaから分離されたタンパク質ケージナノ粒子である。エンカプスリンは、薄い正二十面体のT=1対称ケージ構造(内径及び外径がそれぞれ20nmと24nmを有する)を有する同一の31kDaモノマーの60コピーからアセンブルされる(Sutter M.et al.Nat Struct Mol Biol.2008;15:939-947)。T.maritimaにおけるエンカプスリンの正確な機能はまだ明確に理解されていないが、その結晶構造は最近解明され、その機能は、DyP(色素脱色ペルオキシダーゼ)及びFlp(フェリチン様タンパク質)(酸化ストレス応答30に関与している)などのタンパク質をカプセル化する細胞内コンパートメントとして仮定された(Rahmanpour R.et al.FEBS J.2013;280:2097-2104)。ナノ粒子の構築物にエンカプスリンを使用すれば、ナノ粒子の表面にタンパク質抗原を表示することと、ナノ粒子自体の中にmRNAなどのカーゴを封入することの両方が可能になる。以前のエンカプスリンナノ粒子ベースのワクチンは、表面に表示された抗原及びカーゴタンパク質自体の両方に対して強い免疫応答を誘発した(Lagoutte P.et al.Vaccine.2018;36(25):3622-3628)。
本明細書で提供されるmRNAは、いくつかの実施形態では、エンカプスリンドメインに連結されているSタンパク質ドメイン(例えば、S1、S2、RBD、及び/またはNTD)をコードする。
融合タンパク質
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、抗原性融合タンパク質をコードするmRNAを含む。したがって、コードされた抗原(複数可)は、一緒に結合された2つ以上のタンパク質(例えば、タンパク質及び/またはタンパク質フラグメント)を含み得る。あるいは、タンパク質抗原が融合しているタンパク質は、それ自体に対する強力な免疫応答を促進するのではなく、コロナウイルス抗原に対する強力な免疫応答を促進する。抗原融合タンパク質は、いくつかの実施形態では、各々の起源のタンパク質からの機能的特性を保持している。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質からの受容体結合ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、SARS-CoV-2スパイクタンパク質からのN末端ドメインを含む。
いくつかの実施形態では、融合タンパク質は、膜貫通ドメインを含む。膜貫通ドメインは、いくつかの実施形態では、SARS-CoV-2ではないウイルスに由来し得る。例えば、膜貫通ドメインは、インフルエンザ血球凝集素膜貫通ドメインに由来し得、これは、タンパク質を細胞表面に効果的に固定することが実証されている。
バリアント
いくつかの実施形態では、本開示の組成物は、コロナウイルス抗原バリアントをコードするRNAを含む。抗原バリアントまたは他のポリペプチドバリアントは、野生型、ネイティブ、または参照配列とはアミノ酸配列が異なる分子を指す。抗原/ポリペプチドバリアントは、ネイティブ配列または参照配列と比較して、アミノ酸配列内の特定の位置に置換、欠失、及び/または挿入を有し得る。通常、バリアントは、野生型、ネイティブ、または参照配列に対し少なくとも50%の同一性を有する。いくつかの実施形態では、バリアントは、野生型、ネイティブ、または参照配列と少なくとも80%または少なくとも90%の同一性を共有する。
本開示の核酸によってコードされるバリアント抗原/ポリペプチドは、多数の望ましい特性、例えば、その免疫原性を強化する、その発現を強化する、及び/または対象におけるその安定性もしくはPK/PD特性を改善する特性のいずれかを付与するアミノ酸変化を含んでもよい。バリアント抗原/ポリペプチドは、慣用的な変異誘発技法を用いて作製し、適宜アッセイして、所望の特性を有するか否かを評価し得る。発現レベル及び免疫原性を決定するためのアッセイは、当該技術分野で周知であり、例示的なそのようなアッセイは実施例のセクションに記載されている。同様に、タンパク質バリアントのPK/PD特性も、当該技術分野で認識されている技法を用いて(例えば、ワクチン接種した対象内の抗原の発現を経時的に評価することにより、及び/または誘導された免疫応答の持続性を確認することにより)測定し得る。バリアント核酸によってコードされるタンパク質(複数可)の安定性は、熱安定性もしくは尿素変性時の安定性を分析することによって測定してもよく、またはin silico予測を用いて測定してもよい。このような実験及びin silico評価のための方法は、当該技術分野で公知である。
いくつかの実施形態では、組成物は、本明細書で提供する配列のいずれか1つのヌクレオチド配列を含む(例えば、配列表を参照)mRNAもしくはmRNA ORFを含むか、または本明細書で提供される配列のいずれか1つのヌクレオチド配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、もしくは少なくとも99%同一であるヌクレオチド配列を含む。
「同一性」という用語は、2つ以上のポリペプチド(例えば、抗原)またはポリヌクレオチド(核酸)の配列間の関係であって、これらの配列を比較することにより決定される関係を指す。また、同一性とは、配列間のまたは配列内の配列関連性の程度であって、2つ以上のアミノ酸残基または核酸残基の鎖間のマッチ数により決定される配列関連性の程度を指す。同一性は、特定の数学的モデルまたはコンピュータープログラム(例えば、「アルゴリズム」)によって対処される、ギャップアラインメント(もしあれば)を有する2つ以上の配列の小さい方の間の完全な一致のパーセントを測定する。関連する抗原または核酸の同一性は、既知の方法によって容易に計算され得る。ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列に適用される「同一性パーセント(%)」とは、候補アミノ酸または核酸の配列内で、第2の配列のアミノ酸配列または核酸配列内の残基と同一である残基(アミノ酸残基または核酸残基)のパーセンテージであって、その配列をアラインメントし、必要に応じてギャップを導入して最大の同一性パーセントを達成した後のパーセンテージとして定義される。アラインメントのための方法及びコンピュータープログラムは、当該技術分野では周知されている。同一性は、同一性パーセントの計算に依存するが、この計算に導入されるギャップ及びペナルティーのために値が異なる場合があることが理解されている。概して、特定のポリヌクレオチドまたはポリペプチド(例えば、抗原)のバリアントは、本明細書に記載され当業者に公知である配列アラインメントプログラム及びパラメーターによる定量において、その特定の参照ポリヌクレオチドまたはポリペプチドに対し、少なくとも40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%ただし100%未満の配列同一性を有する。このようなアラインメント用のツールとしては、BLASTスイート(Stephen F.Altschul,et al(1997),“Gapped BLAST and PSI-BLAST:a new generation of protein database search programs”,Nucleic Acids Res.25:3389-3402)のツールが挙げられる。別のよく知られたローカルアラインメント技法は、Smith-Watermanアルゴリズム(Smith,T.F.& Waterman,M.S.(1981)“Identification of common molecular subsequences.”J.Mol.Biol.147:195-197)に基づく。動的プログラミングに基づく一般的なグローバルアラインメント技法は、Needleman-Wunschアルゴリズム(Needleman,S.B.& Wunsch,C.D.(1970)“A general method applicable to the search for similarities in the amino acid sequences of two proteins.” J.Mol.Biol.48:443-453)である。より最近では、Fast Optimal Global Sequence Alignment Algorithm(FOGSAA)が開発されており、これは、Needleman-Wunschアルゴリズムを含めた他の最適グローバルアラインメント法よりも速く、ヌクレオチド及びタンパク質配列を網羅的にアラインメントするとされている。
そのため、参照配列、とりわけ本明細書で開示するポリペプチド(例えば、抗原)配列に関する置換、挿入、及び/または付加、欠失、及び共有結合修飾を含むペプチドまたはポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本開示の範囲内に含まれる。例えば、配列タグまたはアミノ酸(例えば、1つ以上のリジン)をペプチド配列に(例えば、そのN末端またはC末端に)付加してもよい。配列タグは、ペプチドの検出、精製、または局在化に使用し得る。リジンを使用して、ペプチド溶解性を増大してもよいし、またはビオチン化を可能にしてもよい。代替的に、ペプチドまたはタンパク質のアミノ酸配列のカルボキシ及びアミノ末端領域に位置するアミノ酸残基を任意選択で欠失させて、短縮配列をもたらしてもよい。ある特定のアミノ酸(例えば、C末端またはN末端残基)は、代替的に、配列の用途に応じて欠失させてもよい(例えば、溶解性である、より大きな配列の一部としてのまたは固体支持体に結合した配列の発現)。いくつかの実施形態では、シグナル配列、終止配列、膜貫通ドメイン、リンカー、多量体化ドメイン(例えば、フォールドオン領域)などのための(またはこれらをコードする)配列は、同じまたは類似の機能を達成する代替的な配列で置き換えてもよい。いくつかの実施形態では、タンパク質のコア内の空洞は、例えば、より大きなアミノ酸を導入することにより、充填して安定性を改善してもよい。他の実施形態では、埋没した(buried)水素結合ネットワークは、安定性を改善するために疎水性残基で置き換えてもよい。また他の実施形態では、グリコシル化部位を除去し、適切な残基で置き換えてもよい。このような配列は、当業者には容易に識別可能である。また、本明細書で提供する配列のいくつかは、例えば、mRNAワクチンの調製で使用する前に、欠失させ得る配列タグまたは末端ペプチド配列を(例えば、N末端またはC末端に)含むことも理解されたい。
当業者には認識されるように、タンパク質フラグメント、機能タンパク質ドメイン、及び相同タンパク質も、目的のコロナウイルス抗原の範囲内であると考えられる。例えば、本明細書では、参照タンパク質の任意のタンパク質フラグメント(参照抗原配列より少なくとも1アミノ酸残基短いがそれ以外は同一であるポリペプチド配列を意味する)であって、免疫原性であり、コロナウイルスに対する防御免疫応答を付与することを条件とする、タンパク質フラグメントを提供する。参照タンパク質と同一であるが短縮されているバリアントに加えて、いくつかの実施形態では、抗原は、本明細書で提供または言及するいずれかの配列に対し2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上の変異を含む。抗原/抗原ポリペプチドの長さは、約4、6、または8アミノ酸から全長タンパク質までの範囲をとり得る。
安定化エレメント
天然の真核mRNA分子は、他の構造的特徴(例えば、5’キャップ構造または3’ポリ(A)テール)に加えて、安定化エレメント(限定されるものではないが、その5’末端(5’UTR)及び/またはその3’末端(3’UTR)の非翻訳領域(UTR)を含む)を含み得る。5’UTRと3’UTRはいずれも、典型的にはゲノムDNAから転写され、未成熟mRNAのエレメントである。成熟mRNAに特有の構造的特徴、例えば、5’キャップ及び3’ポリ(A)テールは、通常はmRNAのプロセシング中、転写された(未成熟)mRNAに付加される。
いくつかの実施形態では、組成物は、少なくとも1つの修飾を有する少なくとも1つの抗原ポリペプチドをコードするオープンリーディングフレームを有するmRNA、少なくとも1つの5’末端キャップを含み、脂質ナノ粒子内で製剤化される。ポリヌクレオチドの5’キャップは、以下の化学RNAキャップアナログ:3’-O-Me-m7G(5’)ppp(5’)G[ARCAキャップ];G(5’)ppp(5’)A;G(5’)ppp(5’)G;m7G(5’)ppp(5’)A;m7G(5’)ppp(5’)Gを用いてin vitro転写反応中に同時に完了させて、製造業者のプロトコルに従って5’グアノシンキャップ構造を生成してもよい(New England BioLabs,Ipswich,MA)。修飾RNAの5’キャッピングは、ワクシニアウイルスキャッピング酵素を用いて転写後に完了させて、「キャップ0」構造:m7G(5’)ppp(5’)Gを生成し得る(New England BioLabs,Ipswich,MA)。キャップ1構造は、ワクシニアウイルスキャッピング酵素及び2’-Oメチルトランスフェラーゼの両方を用いて生成して、m7G(5’)ppp(5’)G-2’-O-メチルを生成してもよい。キャップ2構造は、キャップ1構造から、次に2’-Oメチルトランスフェラーゼを用いて5’末端から3番目のヌクレオチドを2’-Oメチル化することにより、生成し得る。キャップ3構造は、キャップ2構造から、次に2’-Oメチルトランスフェラーゼを用いて5’末端から4番目のヌクレオチドを2’-Oメチル化することにより、生成し得る。酵素は、組換え供給源に由来し得る。
3’ポリ(A)テールは、典型的には、転写されたmRNAの3’末端に付加されるアデニンヌクレオチドのストレッチである。これは、場合によっては最大約400個のアデニンヌクレオチドを含み得る。いくつかの実施形態では、3’ポリ(A)テールの長さは、個々のmRNAの安定性に関して必須のエレメントであり得る。
いくつかの実施形態では、組成物は安定化エレメントを含む。安定化エレメントは、例えば、ヒストンステムループを含み得る。32kDaのタンパク質であるステムループ結合タンパク質(SLBP)が特定されている。これは、核及び細胞質の両方におけるヒストンメッセージの3’末端にあるヒストンステムループと関連している。その発現レベルは細胞周期によって調節され、S期にピークに達し、このときヒストンmRNAレベルも上昇する。このタンパク質は、U7 snRNPによるヒストンプレmRNAの効率的な3’末端プロセシングに必須であることが示されている。SLBPはプロセシング後も引き続きステムループと会合し、次いで、細胞質中での成熟ヒストンmRNAからヒストンタンパク質への翻訳を促進する。SLBPのRNA結合ドメインは、後生動物及び原生動物の全体にわたり保存されており、ヒストンのステムループとの結合は、ループの構造に依存する。最小結合部位は、ステムループに対し少なくとも3つのヌクレオチド5’及び2つのヌクレオチド3’を含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、コード領域と、少なくとも1つのヒストンステムループと、任意選択でポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルとを含む。ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルは、概して、コードされたタンパク質の発現レベルを強化するはずである。コードされたタンパク質は、いくつかの実施形態では、ヒストンタンパク質、レポータータンパク質(例えば、ルシフェラーゼ、GFP、EGFP、β-ガラクトシダーゼ、EGFP)でもなく、またはマーカーもしくは選択タンパク質(例えば、アルファ-グロビン、ガラクトキナーゼ、及びキサンチン:グアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(GPT))でもない。
いくつかの実施形態では、mRNAは、ポリ(A)配列またはポリアデニル化シグナルと少なくとも1つのヒストンステムループとの組合せであって、いずれも本来は代替的機構に相当するが、相乗的に作用して、個々のエレメントのいずれかで観察されるレベルを上回ってタンパク質発現を増大させる組合せを含む。ポリ(A)と少なくとも1つのヒストンステムループとの組合せによる相乗効果は、エレメントの順序にも、ポリ(A)配列の長さにも依存しない。
いくつかの実施形態では、mRNAは、ヒストン下流エレメント(HDE)を含まない。「ヒストン下流エレメント(HDE)」は、天然に存在するステムループの3’にある約15~20ヌクレオチドのプリンリッチなポリヌクレオチドのストレッチを含み、これはヒストンプレmRNAから成熟ヒストンmRNAへのプロセシングに関与するU7 snRNAの結合部位に相当する。いくつかの実施形態では、この核酸はイントロンを含まない。
mRNAは、エンハンサー及び/またはプロモーター配列を含んでも含まなくてもよく、これらは、修飾されても修飾されなくてもよく、活性化されても活性化されなくてもよい。いくつかの実施形態では、ヒストンステムループは、概してヒストン遺伝子に由来し、短い配列からなるスペーサーによって隔てられた2つの隣接する部分的または全体的に逆相補的な配列の分子内塩基対を含み、これがこの構造のループを形成する。不対ループ領域は、典型的には、ステムループエレメントのいずれとも塩基対形成することができない。これは、多くのRNA二次構造の重要な構成要素であるので、RNAに存在する場合が多いが、一本鎖DNAにも存在し得る。ステムループ構造の安定性は、概して、長さ、ミスマッチまたはバルジの数、及び対となる領域の塩基組成に依存する。いくつかの実施形態では、ゆらぎ塩基対(非ワトソン・クリック塩基対)が結果的に生じ得る。いくつかの実施形態では、少なくとも1つのヒストンステムループ配列は、15~45ヌクレオチドの長さを含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、1つ以上のAUリッチの配列が除去されている。これらの配列(AURESと称されることがある)は、3’UTRに見られる不安定化配列である。AURESはRNAワクチンから除去されてもよい。あるいは、AURESはRNAワクチン中に残存していてもよい。
シグナルペプチド
いくつかの実施形態では、組成物は、コロナウイルス抗原と融合したシグナルペプチドをコードするORFを有するmRNAを含む。シグナルペプチドは、タンパク質のN末端側の15~60アミノ酸を含み、典型的には、分泌経路上の膜を横断した転位に必要であるので、真核生物及び原核生物の両方でほとんどのタンパク質が分泌経路に侵入するのを普遍的に制御している。真核生物においては、新生前駆体タンパク質(プレタンパク質)のシグナルペプチドが、リボソームを粗面小胞体(ER)膜に誘導し、プロセシングのために、成長ペプチド鎖の膜横断輸送を開始する。ERプロセシングにより成熟タンパク質が生成され、シグナルペプチドは、典型的には、宿主細胞のER常駐シグナルペプチダーゼにより、前駆体タンパク質から切断されるか、または切断されないまま保たれ、膜アンカーとして機能する。また、シグナルペプチドは、タンパク質を細胞膜に標的化するのも促進し得る。
シグナルペプチドは15~60アミノ酸の長さであってもよい。例えば、シグナルペプチドの長さは、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、または60アミノ酸長であってもよい。いくつかの実施形態では、シグナルペプチドの長さは、20~60、25~60、30~60、35~60、40~60、45~60、50~60、55~60、15~55、20~55、25~55、30~55、35~55、40~55、45~55、50~55、15~50、20~50、25~50、30~50、35~50、40~50、45~50、15~45、20~45、25~45、30~45、35~45、40~45、15~40、20~40、25~40、30~40、35~40、15~35、20~35、25~35、30~35、15~30、20~30、25~30、15~25、20~25、または15~20アミノ酸長である。
異種遺伝子由来のシグナルペプチド(事実上コロナウイルス抗原以外の遺伝子の発現を調節する)が当該技術分野で公知であり、これを所望の特性について試験し、次いで本開示の核酸に組み込んでもよい。
配列最適化
いくつかの実施形態では、本開示の抗原をコードするORFは、コドン最適化されている。コドン最適化の方法は、当該技術分野で公知である。例えば、本明細書で提供する配列のいずれか1つ以上のORFがコドン最適化されてもよい。いくつかの実施形態では、コドン最適化を用いて、標的及び宿主生物におけるコドン頻度を一致させて、適切な折り畳みを確保するか;GC含量にバイアスをかけてmRNAの安定性を増加するか、もしくは二次構造を低減するか;遺伝子構成もしくは発現を損ない得るタンデムリピートコドンもしくは塩基の連続を最小にするか;転写及び翻訳制御領域をカスタマイズし:タンパク質輸送配列を挿入もしくは除去するか;コードされるタンパク質内の翻訳後修飾部位(例えば、グリコシル化部位)を除去/付加するか;タンパク質ドメインを付加、除去、もしくはシャッフルするか;制限酵素認識部位を挿入もしくは欠失させるか;リボソーム結合部位及びmRNA分解部位を修飾するか;翻訳速度を調節してタンパク質のさまざまなドメインが適切に折り畳まれるようにするか;またはポリヌクレオチド内の問題のある二次構造を低減もしくは取り除いてもよい。コドン最適化ツール、アルゴリズム、及びサービスは、当該技術分野で公知であり、非限定的な例としては、GeneArt(Life Technologies)、DNA2.0(Menlo Park CA)のサービス、及び/または独自方法が挙げられる。いくつかの実施形態では、このオープンリーディングフレーム(ORF)配列は、最適化アルゴリズムを用いて最適化される。
いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然または野生型の配列ORF(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し95%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然に存在するかまたは野生型の配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し90%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然または野生型の配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し85%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然または野生型の配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し80%未満の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然または野生型の配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し75%未満の配列同一性を共有する。
いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然または野生型の配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し65%~85%(例えば、約67%~約85%または約67%~約80%)の配列同一性を共有する。いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、天然または野生型の配列(例えば、コロナウイルス抗原をコードする天然または野生型のmRNA配列)に対し65%~75%または約80%の配列同一性を共有する。
いくつかの実施形態では、コドン最適化配列は、非コドン最適化配列によってコードされるコロナウイルス抗原と免疫原性が同じか、またはそれよりも免疫原性が高い(例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも100%、または少なくとも200%以上高い)抗原をコードする。
修飾mRNAは、哺乳動物宿主細胞にトランスフェクションされた場合、12~18時間、または18時間超、例えば、24、36、48、60、72時間、または72時間超の安定性を有し、哺乳類宿主細胞による発現が可能である。
いくつかの実施形態では、コドン最適化RNAは、G/Cレベルが強化されたRNAであり得る。核酸分子(例えば、mRNA)のG/C含量は、RNAの安定性に影響を及ぼし得る。グアニン(G)及び/またはシトシン(C)残基の量が増加したRNAは、大量のアデニン(A)及びチミン(T)またはウラシル(U)ヌクレオチドを含むmRNAより機能的に安定している場合がある。例として、WO02/098443は、翻訳領域内の配列修飾によって安定化されたmRNAを含む医薬組成物を開示している。遺伝子コードの縮退に起因して、この修飾は、既存のコドンを、得られるアミノ酸を変更することなく、より高いRNA安定性を促進するコドンに置き換えることによって機能する。このアプローチは、RNAのコード領域に限定される。
化学修飾されていないヌクレオチド
いくつかの実施形態では、mRNAは、化学的に修飾されておらず、アデノシン、グアノシン、シトシン、及びウリジンからなる標準的なリボヌクレオチドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のヌクレオチド及びヌクレオシドは、標準的なヌクレオシド残基、例えば、転写RNA内に存在する残基(例えば、A、G、C、またはU)を含む。いくつかの実施形態では、本開示のヌクレオチド及びヌクレオシドは、標準的なデオキシリボヌクレオシド、例えば、DNA内に存在するデオキシリボヌクレオシド(例えば、dA、dG、dC、またはdT))を含む。
化学修飾
本開示の組成物は、いくつかの実施形態では、コロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmNAを含み、当該核酸は、標準的(非修飾)であっても当該技術分野で知られているように修飾されてもよいヌクレオチド及び/またはヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、本開示のヌクレオチド及びヌクレオシドは、修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドを含む。このような修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドは、天然に存在する修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドであってもよく、または天然には存在しない修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドであってもよい。このような修飾としては、当該技術分野で認識されているヌクレオチド及び/またはヌクレオシドの糖、骨格、または核酸塩基部分での修飾が挙げられ得る。
いくつかの実施形態では、本開示の天然に存在する修飾ヌクレオチドまたはヌクレオチドは、当該技術分野で一般に知られているかまたは認識されているものである。そのような天然に存在する修飾ヌクレオチド及びヌクレオチドの非限定的な例は、とりわけ、広く認識されているMODOMICSデータベースに見出すことができる。
いくつかの実施形態では、本開示の非天然の修飾ヌクレオチドまたはヌクレオシドは、当該技術分野で一般的に公知であるか、または認識されているものである。このような天然には存在しない修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドの非限定的な例は、とりわけ、公開された米国特許出願番号PCT/US2012/058519、PCT/US2013/075177、PCT/US2014/058897、PCT/US2014/058891、PCT/US2014/070413、PCT/US2015/36773、PCT/US2015/36759、PCT/US2015/36771、またはPCT/IB2017/051367(これらの全てが参照により本明細書に援用される)に見出すことができる。
したがって、本開示の核酸(例えば、DNA核酸及びRNA核酸、例えば、mRNA核酸)は、標準的なヌクレオチド及びヌクレオシド、天然に存在するヌクレオチド及びヌクレオシド、天然には存在しないヌクレオチド及びヌクレオシド、またはそれらの任意の組合せを含み得る。
本開示の核酸(例えば、DNA核酸及びmRNA核酸などのRNA核酸)は、いくつかの実施形態では、さまざまな(2つ以上の)異なるタイプの標準及び/または修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む。いくつかの実施形態では、核酸の特定の領域は、1つ、2つ、またはそれ以上の(任意選択で異なる)タイプの標準的及び/または修飾ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む。
いくつかの実施形態では、細胞または生物に導入された修飾RNA核酸(例えば、修飾mRNA核酸)は、標準ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む非修飾核酸と比較して、それぞれ、細胞または生物における分解の減少を示す。
いくつかの実施形態では、細胞または生物体に導入された修飾RNA核酸(例えば、修飾mRNA核酸)は、標準ヌクレオチド及びヌクレオシドを含む非修飾核酸に比べて、それぞれ細胞または生物体において免疫原性の低減を呈し得る(例えば、生得的応答の低減)。
いくつかの実施形態では、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)は、核酸の合成中または合成後に導入されて、所望の機能または特性を達成する非天然の修飾ヌクレオチドを含む。修飾は、ヌクレオチド間結合、プリンもしくはピリミジン塩基、または糖に存在し得る。修飾は、化学合成により導入されてもよく、または鎖の末端もしくは鎖の他の箇所にあるポリメラーゼ酵素により、導入されてもよい。核酸の任意の領域を化学的に修飾してもよい。
本開示は、核酸(例えば、RNA核酸(例えば、mRNA核酸))の修飾ヌクレオシド及びヌクレオチドを提供する。「ヌクレオシド」とは、糖分子(例えば、ペントースもしくはリボース)またはその誘導体を、有機塩基(例えば、プリンもしくはピリミジン)またはその誘導体(本明細書では「核酸塩基」とも呼ばれる)と組み合わせて含む化合物を指す。「ヌクレオチド」とは、リン酸基を含むヌクレオシドを指す。修飾ヌクレオチドは、任意の有用な方法によって(例えば、化学的に、酵素的に、または組換え的に)合成して、1つ以上の修飾または非天然ヌクレオシドを含めてもよい。核酸は、連結されたヌクレオシドの領域(複数可)を含んでもよい。かかる領域は、可変骨格結合を有し得る。この結合は、標準的なホスホジエステル結合であり得、この場合、この核酸はヌクレオチドの領域を含む。
修飾ヌクレオチド塩基対合は、標準的アデノシン-チミン、アデノシン-ウラシル、またはグアノシン-シトシン塩基対だけでなく、非標準的または修飾塩基を含むヌクレオチド及び/または修飾ヌクレオチド間で形成される塩基対も包含し、このとき、水素結合供与体及び水素結合受容体の配置により、例えば、少なくとも1つの化学的修飾を有する核酸内で、非標準的塩基と標準的塩基との間、または2つの相補的な非標準的塩基構造間の水素結合が可能となる。このような非標準的塩基対合の一例は、修飾ヌクレオチドイノシンとアデニン、シトシン、またはウラシルとの間の塩基対合である。塩基/糖またはリンカーの任意の組合せを本開示の核酸に組み込んでもよい。
いくつかの実施形態では、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)中の修飾された核酸塩基は、1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)、1-エチル-シュードウリジン(e1ψ)、5-メトキシ-ウリジン(mo5U)、5-メチル-シチジン(m5C)、及び/またはシュードウリジン(ψ)を含む。いくつかの実施形態では、核酸(例えば、mRNA核酸などのRNA核酸)中の修飾された核酸塩基は、5-メトキシメチルウリジン、5-メチルチオウリジン、1-メトキシメチルシュードウリジン、5-メチルシチジン及び/または5-メトキシシチジンを含む。いくつかの実施形態では、ポリリボヌクレオチドは、前述の任意の修飾核酸塩基(限定されるものではないが、化学修飾を含む)のうちの少なくとも2つ(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上)の組合せを含む。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、核酸の1つ以上または全てのウリジン位置に1-メチル-シュードウリジン(m1ψ)置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、核酸の1つ以上または全てのウリジン位置に1-メチルシュードウリジン(m1ψ)置換、及び核酸の1つ以上または全てのシチジン位置に5-メチルシチジン置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、核酸の1つ以上または全てのウリジン位置にシュードウリジン(ψ)置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、核酸の1つ以上または全てのウリジン位置にシュードウリジン(ψ)置換、及び核酸の1つ以上または全てのシチジン位置に5-メチルシチジン置換を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、核酸の1つ以上または全てのウリジン位置にウリジンを含む。
いくつかの実施形態では、mRNAは、特定の修飾について一様に修飾される(例えば、完全に修飾される、配列全体にわたり修飾される)。例えば、核酸は1-メチル-シュードウリジンで一様に修飾されてもよく、これは、mRNA配列内の全てのウリジン残基が1-メチル-シュードウリジンで置き換えられることを意味する。同様に、核酸は、修飾残基(例えば、上記の残基)で置き換えることにより、配列内に存在する任意のタイプのヌクレオシド残基について一様に修飾されてもよい。
本開示の核酸は、分子の全長に沿って部分的に修飾されても、または完全に修飾されてもよい。例えば、本開示の核酸内、またはその所定の配列領域内(例えば、ポリ(A)テールを含むまたは除くmRNA内)で、1つ以上または全てまたは所与のタイプのヌクレオチド(例えば、プリンもしくはピリミジン、またはA、G、U、Cのいずれか1つ以上もしくは全て)が一様に修飾されてもよい。いくつかの実施形態では、本開示の核酸(またはその配列領域)内の全てのヌクレオチドXが、修飾ヌクレオチドであり、Xは、ヌクレオチドA、G、U、Cのいずれか1つであってもよく、または以下の組合せA+G、A+U、A+C、G+U、G+C、U+C、A+G+U、A+G+C、G+U+C、もしくはA+G+Cのいずれか1つであってもよい。
核酸は、約1%~約100%の修飾ヌクレオチド(全体的なヌクレオチド含量に関して、または1つ以上のタイプのヌクレオチド(すなわち、A、G、U、もしくはCのいずれか1つ以上)に関して)、または任意の範囲のパーセンテージ(例えば、1%~20%、1%~25%、1%~50%、1%~60%、1%~70%、1%~80%、1%~90%、1%~95%、10%~20%、10%~25%、10%~50%、10%~60%、10%~70%、10%~80%、10%~90%、10%~95%、10%~100%、20%~25%、20%~50%、20%~60%、20%~70%、20%~80%、20%~90%、20%~95%、20%~100%、50%~60%、50%~70%、50%~80%、50%~90%、50%~95%、50%~100%、70%~80%、70%~90%、70%~95%、70%~100%、80%~90%、80%~95%、80%~100%、90%~95%、90%~100%、及び95%~100%)を含み得る。任意の残りのパーセンテージが、非修飾A、G、U、またはCの存在によって説明されることが理解されよう。
mRNAは、1%以上100%までの修飾ヌクレオチド、または任意の範囲のパーセンテージ(例えば、少なくとも5%の修飾ヌクレオチド、少なくとも10%の修飾ヌクレオチド、少なくとも25%の修飾ヌクレオチド、少なくとも50%の修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の修飾ヌクレオチド、もしくは少なくとも90%の修飾ヌクレオチド)を含み得る。例えば、核酸は、修飾ピリミジン(例えば、修飾ウラシルまたはシトシン)を含んでもよい。いくつかの実施形態では、核酸内のウラシルの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が、修飾ウラシル(例えば、5-置換ウラシル)で置き換えられる。修飾ウラシルは、単一の固有の構造を有する化合物で置き換えられてもよいし、または異なる構造(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の固有の構造)を有する複数の化合物で置き換えられてもよい。いくつかの実施形態では、核酸内のシトシンの少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも50%、少なくとも80%、少なくとも90%、または100%が、修飾シトシン(例えば、5-置換シトシン)で置き換えられる。修飾シトシンは、単一の固有の構造を有する化合物で置き換えられてもよいし、または異なる構造(例えば、2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の固有の構造)を有する複数の化合物で置き換えられてもよい。
非翻訳領域(UTR)
本開示のmRNAは、非翻訳領域として作用または機能する1つ以上の領域または部分を含み得る。mRNAが少なくとも1つの目的抗原をコードするように設計されている場合、核酸はこれらの非翻訳領域(UTR)のうちの1つ以上を含み得る。核酸の野生型非翻訳領域は、転写されるが翻訳はされない。mRNAでは、5’UTRは転写開始点で開始し、開始コドンまで続くが、開始コドンは含まない。一方、3’UTRは終止コドンの直後から開始して転写終結シグナルまで続く。UTRが核酸分子の安定性及び翻訳に関して調節的役割を担っていることについてのエビデンスが増えている。UTRの調節機能は、特に分子の安定性を高めるために、本開示のポリヌクレオチドに組み込むことができる。また、転写産物が望ましくない臓器部位に誤って向けられた場合に備え、転写産物の下方調節の制御を確保するための特定の機能も組み込むことができる。さまざまな5’UTR及び3’UTR配列が公知であり、当該技術分野で利用可能である。
5’UTRは、開始コドン(リボソームによって翻訳されるmRNA転写産物の最初のコドン)からすぐ上流(5’)にあるmRNAの領域である。5’UTRはタンパク質をコードしない(ノンコーディングである)。天然5’UTRは、翻訳開始で役割を果たす機能を有する。それらは、リボソームが多くの遺伝子の翻訳を開始するプロセスに関与することが一般的に知られているKozak配列のようなシグネチャーを有する。Kozak配列は、コンセンサスCCR(A/G)CCAUGG(配列番号128)を有し、Rは開始コドン(AUG)の3塩基上流のプリン(アデニンまたはグアニン)であり、この後に別の「G」が続く。5’UTRは、伸長因子の結合に関与する二次構造を形成することも知られている。
本開示のいくつかの実施形態では、5’UTRは、異種UTRであり、すなわち、異なるORFに関連する自然界で見出されるUTRである。別の実施形態では、5’UTRは合成UTRであり、すなわち、自然界には存在しない。合成UTRとしては、その特性を改善する(例えば、遺伝子発現を増大する)ために変異させたUTR、及び完全に合成のUTRが挙げられる。例示的な5’UTRとしては、Xenopusまたはヒト由来のa-グロビンまたはb-グロビン(米国特許第8278063号、同第9012219号)、ヒトシトクロムb-245 aポリペプチド、及びヒドロキシステロイド(17b)デヒドロゲナーゼ、及びタバコエッチウイルス(米国特許第8278063号、同第9012219号)が挙げられる。CMV早初期1(IE1)遺伝子(米国特許出願公開第20140206753号、WO2013/185069)、配列GGGAUCCUACC(配列番号129)(WO2014144196)も使用してもよい。別の実施形態では、TOP遺伝子の5’UTRは、5’TOPモチーフ(オリゴピリミジントラクト)が欠如したTOP遺伝子の5’UTRであり(例えば、WO/2015101414、WO/2015101415、WO/2015/062738、WO2015024667、WO2015024667;リボソームタンパク質ラージ32(L32)遺伝子に由来する5’UTRエレメント(WO/2015101414、WO2015101415、WO/2015/062738)、ヒドロキシステロイド(17-β)デヒドロゲナーゼ4遺伝子(HSD17B4)の5’UTRに由来する5’UTRエレメント(WO2015024667)、またはATP5A1の5’UTRに由来する5’UTRエレメント(WO2015024667)が使用され得る。いくつかの実施形態では、5’UTRの代わりに内部リボソーム進入部位(IRES)を使用する。
いくつかの実施形態では、本開示の5’UTRは、配列番号131及び配列番号2から選択される配列を含む。
3’UTRは、終止コドン(翻訳終了をシグナル伝達するmRNA転写産物のコドン)のすぐ下流(3’)にあるmRNAの領域である。3’UTRはタンパク質をコードしない(ノンコーディングである)。天然または野生型の3’UTRには、アデノシン及びウリジンのストレッチが埋め込まれていることが知られている。これらのAUリッチシグネチャーは、高い回転率を有する遺伝子内で特に広く見られる。配列の特徴及び機能的特性に基づいて、AUリッチエレメント(ARE)は3つのクラスに分類することができ(Chen et al,1995)、クラスI AREは、Uリッチ領域内にAUUUAモチーフのいくつかの分散コピーを含む。C-Myc及びMyoDはクラスI AREを含む。クラスII AREは、2つ以上の重複するUUAUUUA(U/A)(U/A)(配列番号130)九量体を有する。このタイプのAREを含む分子としては、GM-CSF及びTNF-aが挙げられる。クラスIII AREはそれほど十分には定義されていない。これらのUリッチ領域は、AUUUAモチーフを含まない。c-Jun及びMyogeninはこのクラスで十分に研究されている2つの例である。AREに結合するほとんどのタンパク質はメッセンジャーを不安定にすることが公知であり、一方ELAVファミリーのメンバー、とりわけHuRはmRNAの安定性を増大させることが実証されている。HuRは、3つ全てのクラスのAREに結合する。HuR特異的結合部位を核酸分子の3’UTRに組み込むと、HuR結合が生じ、これによって、in vivoでのメッセージが安定する。
3’UTR AUリッチエレメント(ARE)の導入、除去、または修飾を使用して、本開示の核酸(例えば、RNA)の安定性を調節してもよい。特定の核酸を操作する場合、AREの1つ以上のコピーを導入して、本開示の核酸の安定性を低下させ、それによって翻訳を抑制し、得られるタンパク質の産生を減少し得る。同様に、AREを特定して除去または変異させることで、細胞内の安定性を増大し、これによって、結果として得られるタンパク質の翻訳及び産生を増大し得る。トランスフェクション実験は、本開示の核酸を使用して、関連する細胞株で実施し得、タンパク質産生は、トランスフェクション後のさまざまな時点でアッセイされ得る。例えば、細胞にさまざまなAREエンジニアリング分子をトランスフェクトし、ELISAキットを関連タンパク質に使用して、トランスフェクションの6時間後、12時間後、24時間後、48時間後、及び7日後に生成されたタンパク質をアッセイしてもよい。
3’UTRは、異種であっても合成であってもよい。3’UTRについては、グロビンUTR(Xenopus β-グロビンUTR及びヒトβ-グロビンUTRを含む)が当該技術分野で公知である(米国特許第8278063号、同第9012219号、米国特許出願公開第20110086907号)。2つの連続したヒトβグロビン3’UTRをヘッドトゥーテールでクローニングすることにより、いくつかの細胞タイプでの安定性が強化された修飾βグロビン構築物が開発されており、当該技術分野で周知である(米国特許出願公開第2012/0195936号、WO2014/071963)。加えて、a2-グロビン、a1-グロビン、UTR及びこれらの変異体も当該技術分野で公知である(WO2015101415、WO2015024667)。非特許文献においてmRNA構築物で説明されている他の3’UTRとしては、CYBA(Ferizi et al.,2015)及びアルブミン(Thess et al.,2015)が挙げられる。他の例示的な3’UTRとしては、ウシまたはヒト成長ホルモン(野生型または修飾)(WO2013/185069、米国特許出願公開第20140206753号、WO2014152774)、ウサギβグロビン及びB型肝炎ウイルス(HBV)のUTRが挙げられ、αグロビン3’UTR及びウイルスVEEV 3’UTR配列も当該技術分野で公知である。いくつかの実施形態では、配列UUUGAAUU(WO2014144196)が使用される。いくつかの実施形態では、ヒト及びマウスリボソームタンパク質の3’UTRが使用される。他の例としては、rps9 3’UTR(WO2015101414)、FIG4(WO2015101415)、及びヒトアルブミン7(WO2015101415)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本開示の3’UTRは、配列番号132及び配列番号4から選択される配列を含む。
当業者であれば、異種または合成の5’UTRが、任意の所望の3’UTR配列と共に使用され得ることを理解するであろう。例えば、異種5’UTRを、合成3’UTRと、異種3”UTRと共に使用してもよい。
非UTR配列はまた、核酸内の領域またはサブ領域として使用されてもよい。例えば、イントロンまたはイントロン配列の一部を本開示の核酸の領域に組み込んでもよい。イントロン配列を組み込むと、タンパク質の産生と核酸の発現レベルを増大し得る。
特徴の組合せを隣接する領域に含めてもよく、他の特徴の中に含めてもよい。例えば、ORFには、強力なKozak翻訳開始シグナルを含み得る5’UTR及び/またはポリAテールを鋳型的に付加するためのオリゴ(dT)配列を含み得る3’UTRが隣接し得る。5’UTRは、同じ及び/または異なる遺伝子からの第1のポリヌクレオチドフラグメント及び第2のポリヌクレオチドフラグメントを含み得る(例えば、参照によりその全体が本明細書に援用される、米国特許出願公開第20100293625号及びPCT/US2014/069155に記載の5’UTR)。
任意の遺伝子由来の任意のUTRが核酸の領域に組み込まれ得ることを理解されたい。さらに、任意の公知の遺伝子の複数の野生型UTRを利用してもよい。野生型領域のバリアントではない人工UTRを提供することも本開示の範囲内である。これらのUTRまたはその一部は、それらが選択された転写産物と同じ方向に配置してもよく、または方向もしくは位置を変更してもよい。したがって、5’または3’UTRは、反転、短縮、延長されても、または1つ以上の他の5’UTRまたは3’UTRで作成されてもよい。本明細書で使用される場合、UTR配列に関連する「変更された」という用語は、UTRが参照配列に関連して何らかの方法で変更されたことを意味する。例えば、3’UTRまたは5’UTRは、上記のように配向もしくは位置の変化によって野生型またはネイティブUTRと比較して変化されてもよいし、または追加のヌクレオチドの包含、ヌクレオチドの欠失、ヌクレオチドの交換または転位によって変化されてもよい。「変更された」UTR(3’または5’)を生成するこれらの変更のいずれかは、バリアントUTRを含む。
いくつかの実施形態では、5’UTRまたは3’UTRなどの二重、三重または四重UTRを使用してもよい。本明細書で使用される場合、「二重」UTRとは、同じUTRの2つのコピーが直列または実質的に直列のいずれかでコードされているUTRである。例えば、二重ベータグロビン3’UTRは、米国特許公開第20100129877号に記載されているように使用してもよく、その内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
パターン化されたUTRを有することもまた、本開示の範囲内である。本明細書で使用される場合「パターン化UTR」とは、ABABABまたはAABBAABBAABBまたはABCABCABCまたはそのバリアントが1回、2回、または3回を超えて繰り返されるような繰り返しパターンまたは交互のパターンを反映するUTRである。これらのパターンでは、各文字A、B、またはCは、ヌクレオチドレベルで異なるUTRを表す。
いくつかの実施形態では、隣接する領域は、そのタンパク質が共通の機能、構造、特徴、または特性を共有する転写物のファミリーから選択される。例えば、目的のポリペプチドは、特定の細胞、組織、または発生中のある時点で発現されるタンパク質のファミリーに属し得る。任意のこれらの遺伝子由来のUTRを、同じまたは異なるタンパク質ファミリーの任意の他のUTRと交換して、新しいポリヌクレオチドを作成してもよい。本明細書で使用される場合、「タンパク質のファミリー」とは、少なくとも1つの機能、構造、特徴、局在化、起源、または発現パターンを共有する2つ以上の目的のポリペプチドを含むグループを指すために最も広い意味で使用される。
非翻訳領域には、翻訳エンハンサーエレメント(TEE)も含まれてもよい。非限定的な例として、TEEとしては、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許出願第20090226470号に記載されているTEE、及び当該技術分野で公知のTEEを含み得る。
RNAのin vitro転写
本明細書に記載のポリヌクレオチドをコードするcDNAは、in vitro転写(IVT)システムを用いて転写され得る。RNAのin vitro転写は当該技術分野で公知であり、国際公開第WO 2014/152027号(その全体が参照により本明細書に援用される)に記載されている。いくつかの実施形態では、本開示のRNAは、WO2018/053209及びWO 2019/036682(これらのそれぞれは、参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている方法のいずれか1つ以上に従って調製される。
いくつかの実施形態では、RNA転写産物は、RNA転写産物を生成するためのin vitro転写反応で、増幅されていない直鎖化されたDNA鋳型を用いて生成される。いくつかの実施形態では、鋳型DNAは単離されたDNAである。いくつかの実施形態では、鋳型DNAはcDNAである。いくつかの実施形態では、cDNAは、mRNA、例えば、限定されるものではないが、コロナウイルスのmRNAの逆転写によって形成される。いくつかの実施形態では、細胞、例えば、細菌細胞、例えば、E.coli、例えば、DH-1細胞に、プラスミドDNA鋳型を用いてトランスフェクションする。いくつかの実施形態では、トランスフェクトされた細胞を、プラスミドDNAを複製するために培養し、次いで単離及び精製する。いくつかの実施形態では、DNA鋳型は、RNAポリメラーゼプロモーター、例えば、目的遺伝子の5’側に位置し、目的遺伝子に作用可能に連結されているT7プロモーターを含む。
いくつかの実施形態では、in vitro転写鋳型は、5’非翻訳(UTR)領域をコードし、オープンリーディングフレームを含み、3’UTR及びポリAテールをコードする。in vitro転写鋳型の特定の核酸配列組成及び長さは、鋳型によってコードされるmRNAに依存する。
「5’非翻訳領域」UTRとは、ポリペプチドをコードしない開始コドン(すなわち、リボソームによって翻訳されるmRNA転写産物の最初のコドン)からすぐ上流(すなわち5’)にあるmRNAの領域を指す。RNA転写産物が生成されている場合、5’UTRはプロモーター配列を含んでもよい。このようなプロモーター配列は、当該技術分野で公知である。本開示のワクチンにはこのようなプロモーター配列が存在しないことを理解されたい。
「3’非翻訳領域」(UTR)とは、ポリペプチドをコードしない終止コドン(すなわち、翻訳終了をシグナル伝達するmRNA転写産物のコドン)のからすぐ下流(すなわち3’)にあるmRNAの領域を指す。
「オープンリーディングフレーム」(ORF)とは、開始コドン(例えば、メチオニン(ATG))で始まり、終止コドン(例えば、TAA、TAG、もしくはTGA)で終わるDNAの連続的なストレッチであり、ポリペプチドをコードする。
「ポリ(A)テール」とは、複数の連続したアデノシン一リン酸を含む3’UTRの下流、例えば、すぐ下流(すなわち、3’)にあるmRNAの領域である。ポリ(A)テールは、10~300個のアデノシン一リン酸を含み得る。例えば、ポリ(A)テールは、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、または300個のアデノシン一リン酸を含み得る。いくつかの実施形態では、ポリ(A)テールは、50~250個のアデノシン一リン酸を含む。関連する生物学的環境(例えば、細胞内、in vivo)において、ポリ(A)テールは、(例えば、細胞質での)酵素分解からmRNAを保護し、転写終結、及び/または核からのmRNAの輸送及び翻訳で補助するように機能する。
いくつかの実施形態では、核酸は200~3,000ヌクレオチドを含む。例えば、核酸は、200~500、200~1000、200~1500、200~3000、500~1000、500~1500、500~2000、500~3000、1000~1500、1000~2000、1000~3000、1500~3000、または2000~3000ヌクレオチドを含み得る。
in vitroの転写系は、典型的には、転写緩衝液、ヌクレオチド三リン酸(NTP)、RNase阻害剤、及びポリメラーゼを含む。
NTPは、社内で製造されてもよく、供給業者から選択されてもよく、または本明細書に記載されるように合成されてもよい。NTPは、限定するものではないが、天然及び非天然(改変)NTPを含む、本明細書に記載されているものから選択されてもよい。
本開示の方法では、いずれの数のRNAポリメラーゼまたはバリアントを使用してもよい。ポリメラーゼは、ファージRNAポリメラーゼ、例えば、T7 RNAポリメラーゼ、T3 RNAポリメラーゼ、SP6 RNAポリメラーゼ及び/または変異型ポリメラーゼ、例えば、限定するものではないが、化学的に修飾された核酸及び/またはヌクレオチドを含む修飾された核酸及び/または修飾ヌクレオチドを組み込むことができるポリメラーゼから選択され得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態は、DNaseの使用を除外している。
いくつかの実施形態では、RNA転写産物は、酵素キャッピングを介しキャッピングされる。いくつかの実施形態では、RNAは、5’末端キャップ、例えば、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNpを含む。
化学合成
固相化学合成。本開示の核酸は、固相技術を使用して全体的または部分的に製造してもよい。核酸の固相化学合成は、分子が固体支持体に固定化され、反応物溶液中で段階的に合成される自動化された方法である。固相合成は、核酸配列への化学修飾の部位特異的導入に役立つ。
液相化学合成。モノマービルディングブロックの連続添加による本開示の核酸の合成は、液相で実施され得る。
合成法の組合せ。上記で考察した合成方法には、それぞれ独自の利点及び制限がある。これらの方法を組み合わせて制限を克服する試みが行われてきた。このような組合せ方法もまた本開示の範囲内である。固相または液相の化学合成を酵素的ライゲーションと組み合わせて使用すると、化学合成だけでは得られない長鎖核酸が効率的に生成される。
核酸領域またはサブ領域のライゲーション
リガーゼによる核酸のアセンブリもまた使用され得る。DNAまたはRNAリガーゼは、ホスホジエステル結合の形成を通じて、ポリヌクレオチド鎖の5’及び3’末端の分子間ライゲーションを促進する。キメラポリヌクレオチドなどの核酸及び/または環状核酸は、1つ以上の領域またはサブ領域のライゲーションによって調製され得る。DNAフラグメントは、リガーゼ触媒反応によって結合され、さまざまな機能を有する組換えDNAを作成し得る。一方は5’ホスホリル基を有し、もう一方は遊離3’ヒドロキシル基を有する、2つのオリゴデオキシヌクレオチドがDNAリガーゼの基質として機能する。
精製
本明細書に記載の核酸の精製には、限定するものではないが、核酸のクリーンアップ、品質保証及び品質管理が含まれ得る。クリーンアップは、当該技術分野で公知の方法、例えば、限定するものではないが、AGENCOURT(登録商標)ビーズ(Beckman Coulter Genomics,Danvers,MA)、poly-Tビーズ、LNATMオリゴTキャプチャープローブ(EXIQON(登録商標)Inc,Vedbaek,Denmark)またはHPLCベースの精製方法、例えば、限定するものではないが、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)などで実施され得る。「精製された核酸」などの核酸に関して使用される場合の「精製された」という用語は、少なくとも1つの汚染物質から分離されたものを指す。「汚染物質、混入物」とは、別の物質を不適合、不純、または劣悪にする任意の物質である。したがって、精製された核酸(例えば、DNA及びRNA)は、それが自然界に見られるものとは異なる形態もしくは設定で、またはそれを処理もしくは精製方法に供する前に存在していたものとは異なる形態もしくは設定で存在する。
品質保証及び/または品質管理チェックは、限定するものではないが、ゲル電気泳動、UV吸光度、または分析用HPLCなどの方法を使用して実施され得る。
いくつかの実施形態では、核酸は、逆転写酵素-PCRを含むがこれに限定されない方法によって配列決定され得る。
定量化
いくつかの実施形態では、本開示の核酸は、エクソソームにおいて、または1つ以上の体液に由来する場合に定量化され得る。体液には、末梢血、血清、血漿、腹水、尿、脳脊髄液(CSF)、痰、唾液、骨髄、滑膜液、痰性体液、羊膜液、耳垢、母乳、気管支肺胞洗浄液、精液、前立腺液、カウパー液または尿道球腺液、汗、糞便、髪、涙、嚢胞液、胸膜及び腹水、心膜液、リンパ液、粥状液、乳び、胆汁、間質液、月経、膿汁、皮脂、嘔吐物、膣分泌物、粘膜分泌物、便水、膵液、副鼻腔からの洗浄液、気管支肺吸引液、胚盤葉腔液、及び臍帯血が挙げられる。あるいは、エクソソームは、肺、心臓、膵臓、胃、腸、膀胱、腎臓、卵巣、精巣、皮膚、結腸、乳房、前立腺、脳、食道、肝臓、及び胎盤からなる群より選択される器官から回収され得る。
アッセイは、構築物特異的プローブ、サイトメトリー、qRT-PCR、リアルタイムPCR、PCR、フローサイトメトリー、電気泳動、質量分析、またはそれらの組合せを使用して実行してもよく、一方、エクソソームは、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)法などの免疫組織化学的方法を使用して単離され得る。エクソソームは、サイズ排除クロマトグラフィー、密度勾配遠心分離、分画遠心分離、ナノメンブレン限外濾過、免疫吸収剤捕捉、アフィニティー精製、マイクロ流体分離、またはそれらの組合せによっても単離され得る。
これらの方法により、研究者は、残っているかまたは送達された核酸のレベルをリアルタイムでモニターする能力が得られる。本開示の核酸は、いくつかの実施形態では、構造的または化学的修飾に起因して内因性形態とは異なるので、これが可能である。
いくつかの実施形態では、核酸は、限定するものではないが、紫外可視分光法(UV/Vis)などの方法を使用して定量化され得る。UV/Vis分光計の非限定的な例は、NANODROP(登録商標)分光計(ThermoFisher,Waltham,MA)である。定量化された核酸を分析して、核酸が適切なサイズであるか否かを決定し、核酸の分解が起こっていないことを確認してもよい。核酸の分解は、限定するものではないが、アガロースゲル電気泳動、HPLCベースの精製方法、例えば、限定するものではないが、強陰イオン交換HPLC、弱陰イオン交換HPLC、逆相HPLC(RP-HPLC)、及び疎水性相互作用HPLC(HIC-HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)、キャピラリー電気泳動(CE)及びキャピラリーゲル電気泳動(CGE)などの方法によって確認され得る。
脂質ナノ粒子(LNP)
いくつかの実施形態では、本開示のmRNAは、脂質ナノ粒子(LNP)中に製剤化される。脂質ナノ粒子は、典型的には、イオン化可能なアミノ脂質、非カチオン性脂質、ステロール、及びPEG脂質構成要素を、目的の核酸カーゴと共に含む。本開示の脂質ナノ粒子は、当該技術分野で一般的に公知である構成要素、組成物、及び方法(例えば、全てその全体が参照により本明細書に援用される、PCT/US2016/052352;PCT/US2016/068300;PCT/US2017/037551;PCT/US2015/027400;PCT/US2016/047406;PCT/US2016000129;PCT/US2016/014280;PCT/US2016/014280;PCT/US2017/038426;PCT/US2014/027077;PCT/US2014/055394;PCT/US2016/52117;PCT/US2012/069610;PCT/US2017/027492;PCT/US2016/059575及びPCT/US2016/069491を参照)を用いて生成され得る。
本開示のワクチンは、通常は、脂質ナノ粒子内に製剤化される。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、少なくとも1つのイオン化可能なアミノ脂質、少なくとも1つの非カチオン性脂質、少なくとも1つのステロール、及び/または少なくとも1つのポリエチレングリコール(PEG)修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、40~50mol%のイオン化可能な脂質を、任意選択で45~50mol%、例えば、45~46mol%、46~47mol%、47~48mol%、48~49mol%、または49~50mol%、例えば約45mol%、45.5mol%、46mol%、46.5mol%、47mol%、47.5mol%、48mol%、48.5mol%、49mol%、または49.5mol%含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、30~45mol%のステロール、任意選択で35~40mol%、例えば、30~31mol%、31~32mol%、32~33mol%、33~34mol%、35~35mol%、35~36mol%、36~37mol%、38~38mol%、38~39mol%、または39~40mol%を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、5~15mol%のヘルパー脂質、任意選択で10~12mol%、例えば、5~6mol%、6~7mol%、7~8mol%、8~9mol%、9~10mol%、10~11mol%、11~12mol%、12~13mol%、13~14mol%、または14~15mol%を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1~5%のPEG脂質、任意選択で1~3mol%、例えば、1.5~2.5mol%、1~2mol%、2~3mol%、3~4mol%、または4~5mol%を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、20~60mol%のイオン化可能なアミノ脂質を含む。例えば、脂質ナノ粒子は、20~50mol%、20~40mol%、20~30mol%、30~60mol%、30~50mol%、30~40mol%、40~60mol%、40~50mol%、または50~60mol%のイオン化可能なアミノ脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、20mol%、30mol%、40mol%、50mol%、または60mol%のイオン化可能なアミノ脂質を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は35mol%、36mol%、37mol%、38mol%、39mol%、40mol%、41mol%、42mol%、43mol%、44mol%、45mol%、46mol%、47mol%、48mol%、49mol%、50mol%、51mol%、52mol%、53mol%、54mol%、または55mol%のイオン化可能なアミノ脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、5~25mol%の非カチオン性脂質を含む。例えば、脂質ナノ粒子は、5~20mol%、5~15mol%、5~10mol%、10~25mol%、10~20mol%、10~25mol%、15~25mol%、15~20mol%、または20~25mol%の非カチオン性脂質を含み得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、5mol%、10mol%、15mol%、20mol%、または25mol%の非カチオン性脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、25~55mol%のステロールを含む。例えば、脂質ナノ粒子は、25~50mol%、25~45mol%、25~40mol%、25~35mol%、25~30mol%、30~55mol%、30~50mol%、30~45mol%、30~40mol%、30~35mol%、35~55mol%、35~50mol%、35~45mol%、35~40mol%、40~55mol%、40~50mol%、40~45mol%、45~55mol%、45~50mol%、または50~55mol%のステロールを含み得る。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、25mol%、30mol%、35mol%、40mol%、45mol%、50mol%、または55mol%のステロールを含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、0.5~15%のPEG修飾脂質を含む。例えば、脂質ナノ粒子は、0.5~10mol%、0.5~5mol%、1~15mol%、1~10mol%、1~5mol%、2~15mol%、2~10mol%、2~5mol%、5~15mol%、5~10mol%、または10~15mol%を含む。いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、0.5mol%、1mol%、2mol%、3mol%、4mol%、5mol%、6mol%、7mol%、8mol%、9mol%、10mol%、11mol%、12mol%、13mol%、14mol%、または15mol%のPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、20~60mol%のイオン化可能なアミノ脂質、5~25mol%の中性脂質、25~55mol%のステロール、及び0.5~15mol%のPEG修飾脂質を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のイオン化可能なアミノ脂質は、式(I):
の化合物またはその塩もしくは異性体を有し、式中、
は、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群より選択され、
及びRは、独立して、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-Y-R”、及び-ROR”からなる群より選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
は、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群より選択され、ここで、Qは、炭素環、複素環、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-N(R)、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(R)N(R)C(O)ORから選択され、各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rは、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rは、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、
-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
は、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
は、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
は、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
各Rは、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各R’は、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群より選択され、
各R”は、独立して、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群より選択され、
各Rは、独立して、C1-12アルキル及びC2-12アルケニルからなる群より選択され、
各Yは、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xは、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群より選択され、
mは、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットは、Rが-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、または-CQ(R)であるならば(i)nが1、2、3、4、もしくは5の場合、Qは-N(R)ではないか、または、(ii)nが1もしくは2の場合、Qは5、6、もしくは7員のヘテロシクロアルキルではない。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットとしては、
が、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群より選択され、
及びRが、独立して、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群より選択されるか、またはR及びRが、それらが結合される原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
が、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群より選択され、ここでQは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員のヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、ならびにN、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有し、オキソ(=O)、OH、アミノ、モノアルキルアミノもしくはジアルキルアミノ及びC1-3アルキルから選択される1つ以上の置換基で置換される5~14員のヘテロシクロアルキルから選択され、各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
M及びM’が独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
が、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
が、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
が、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各R’が、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群より選択され、
各R”が、独立して、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-12アルキル、及びC2-12アルケニルからなる群より選択され、
各Yが、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xが、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群より選択され、
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、化合物、
またはそれらの塩もしくは異性体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットとしては、
が、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群より選択され、
及びRが、独立して、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群より選択されるか、またはR及びRが、それらが結合される原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
が、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群より選択され、ここでQはC3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員のヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR、-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(=NR)N(R)から選択され、及び各nが、1、2、3、4、及び5から独立して選択され、及びQが5~14員の複素環であり、(i)Rが-(CHQであり、nが1または2である場合、または(ii)Rが-(CHCHQRであり、nが1である場合、または(iii)Rが-CHQR及び-CQ(R)である場合、Qは5~14員のヘテロアリールまたは8~14員の複素環式アルキルであり、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
M及びM’は独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
が、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
が、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
が、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各R’が、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群より選択され、
各R”が、独立して、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-12アルキル、及びC2-12アルケニルからなる群より選択され、
各Yが、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xが、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群より選択され、
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、化合物、
またはそれらの塩もしくは異性体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットとしては、
が、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群より選択され、
及びRが、独立して、H、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群より選択されるか、またはR及びRが、それらが結合される原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
が、C3-6炭素環、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、-CQ(R)、及び非置換C1-6アルキルからなる群より選択され、ここでQは、C3-6炭素環、N、O、及びSから選択される1つ以上のヘテロ原子を有する5~14員のヘテロアリール、-OR、-O(CHN(R)、-C(O)OR、-OC(O)R、-CX、-CXH、-CXH、-CN、-C(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)C(O)N(R)、-N(R)C(S)N(R)、-CRN(R)C(O)OR、-N(R)R、-O(CHOR、-N(R)C(=NR)N(R)、-N(R)C(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、-N(OR)C(O)R、-N(OR)S(O)R、-N(OR)C(O)OR,-N(OR)C(O)N(R)、-N(OR)C(S)N(R)、-N(OR)C(=NR)N(R)、-N(OR)C(=CHR)N(R)、-C(=NR)R、-C(O)N(R)OR、及び-C(=NR)N(R)から選択され、各nは、独立して、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
M及びM’が独立して-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、
-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
が、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
が、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
が、H、CN、NO、C1-6アルキル、-OR、-S(O)R、-S(O)N(R)、C2-6アルケニル、C3-6炭素環及び複素環からなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各R’が、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群より選択され、
各R”が、独立して、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルから選択され、
各Rが、独立して、C1-12アルキル、及びC2-12アルケニルからなる群より選択され、
各Yが、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xが、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群より選択され、
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、化合物、またはそれらの塩もしくは異性体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットとしては、
が、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群より選択され、
及びRが、独立して、H、C2-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-Y-R”、及び-ROR”からなる群より選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
が-(CHQまたは-(CHCHQRであり、ここでQは-N(R)であり、nは3、4、及び5から選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
M及びM’が独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基及びヘテロアリール基から選択され;
が、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各R’が、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群より選択され、
各R”が、独立して、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群より選択され;
各Rが、独立して、C1-12アルキル及びC1-12アルケニルからなる群より選択され、
各Yが、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xが、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群より選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、化合物、
またはそれらの塩もしくは異性体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物の別のサブセットとしては、
が、C5-30アルキル、C5-20アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-R”M’R’からなる群より選択され、
及びRが、独立して、C1-14アルキル、C2-14アルケニル、-RYR”、-YR”、及び-ROR”からなる群より選択されるか、またはR及びRは、それらが結合している原子と一緒になって、複素環もしくは炭素環を形成し、
が、-(CHQ、-(CHCHQR、-CHQR、及び-CQ(R)からなる群より選択され、式中、Qが-N(R)であり、nは、1、2、3、4、及び5から選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
M及びM’が独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-N(R’)C(O)-、-C(O)-、-C(S)-、-C(S)S-、-SC(S)-、-CH(OH)-、-P(O)(OR’)O-、-S(O)-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、
が、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-3アルキル、C2-3アルケニル、及びHからなる群より選択され、
各R’が、独立して、C1-18アルキル、C2-18アルケニル、-RYR”、-YR”、及びHからなる群より選択され、
各R”が、独立して、C3-14アルキル及びC3-14アルケニルからなる群より選択され、
各Rが、独立して、C1-12アルキル、及びC1-12アルケニルからなる群より選択され、
各Yが、独立して、C3-6炭素環であり、
各Xが、独立して、F、Cl、Br、及びIからなる群より選択され、かつ
mが、5、6、7、8、9、10、11、12、及び13から選択される、化合物、
またはそれらの塩もしくは異性体が挙げられる。
いくつかの実施形態では、式(X)の化合物のサブセットとしては、式(IA):
の化合物またはその塩もしくは異性体が挙げられ、式中、Iは、1、2、3、4、及び5から選択され、mは、5、6、7、8、及び9から選択され、Mは、結合またはM’であり、Rは、非置換C1-3アルキル、または-(CHQであり、ここで、Qは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)R、-NHC(=NR)N(R)、-NHC(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され、R及びRは、独立して、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットとしては、式(II):
の化合物またはその塩もしくは異性体が挙げられ、式中Iは、1、2、3、4、及び5から選択され;Mは、結合またはM’であり;Rは、非置換C1-3アルキルであるか、または-(CHQであり、ここでnは、2、3、または4であり、かつQは、OH、-NHC(S)N(R)、-NHC(O)N(R)、-N(R)C(O)R、-N(R)S(O)R、-N(R)R、-NHC(=NR)N(R)、-NHC(=CHR)N(R)、-OC(O)N(R)、-N(R)C(O)OR、ヘテロアリールまたはヘテロシクロアルキルであり、M及びM’は、独立して、-C(O)O-、-OC(O)-、-C(O)N(R’)-、-P(O)(OR’)O-、-S-S-、アリール基、及びヘテロアリール基から選択され;かつR及びRは、独立して、H、C1-14アルキル、及びC2-14アルケニルからなる群より選択される。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットとしては、式(IIa)、(IIb)、(IIc)、または(IIe):
またはその塩もしくは異性体が挙げられ、Rは、本明細書に記載のとおりである。
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物のサブセットとしては、式(IId):
の化合物、またはその塩もしくは異性体が挙げられ、式中、nは、2、3、または4であり、かつm、R’、R”、及びR~Rは、本明細書に記載のとおりである。例えば、R及びRの各々は、独立して、C5-14アルキル及びC5-14アルケニルからなる群より選択され得る。
いくつかの実施形態では、本開示のイオン化可能なアミノ脂質は、以下の構造を有する化合物:
を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のイオン化可能なアミノ脂質は、以下の構造を有する化合物:
を含む。
いくつかの実施形態では、本開示の非カチオン性脂質は、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DSPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DLPC)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DMPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DPPC)、1,2-ジウンデカノイル-sn-グリセロ-ホスホコリン(DUPC)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(POPC)、1,2-ジ-O-オクタデセニル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(18:0ジエーテルPC)、1-オレオイル-2-コレステリルヘミスクシノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(OChemsPC)、1-ヘキサデシル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(C16 Lyso PC)、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(ME16.0PE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジリノレノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジアラキドノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジドコサヘキサエノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホ-rac-(1-グリセロール)ナトリウム塩(DOPG)、スフィンゴミエリン、及びこれらの混合物を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のPEG修飾脂質は、PEG修飾ホスファチジルエタノールアミン、PEG修飾ホスファチジン酸、PEG修飾セラミド、PEG修飾ジアルキルアミン、PEG修飾ジアシルグリセロール、PEG修飾ジアルキルグリセロール、及びこれらの混合物を含む。いくつかの実施形態では、PEG修飾脂質は、DMG-PEG、PEG-c-DOMG(PEG-DOMGとも称される)、PEG-DSG、及び/またはPEG-DPGである。
いくつかの実施形態では、本開示のステロールは、コレステロール、フェコステロール、シトステロール、エルゴステロール、カンペステロール、スチグマステロール、ブラシカステロール、トマチジン、ウルソール酸、アルファ-トコフェロール、及びそれらの混合物を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPは、化合物1のイオン化可能なアミノ脂質を含み、このとき、非カチオン性脂質はDSPCであり、構造脂質はコレステロールであり、PEG脂質はDMG-PEGである。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、45~55モルパーセント(mol%)のイオン化可能なアミノ脂質を含む。例えば、脂質ナノ粒子は、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、または55mol%のイオン化可能なアミノ脂質を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は5~15mol%、5~10mol%、または10~15mol%のDSPCを含む。例えば、脂質ナノ粒子は、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、または15mol%のDSPCを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、35~40mol%のコレステロールを含む。例えば、脂質ナノ粒子は、35、35.5、36、36.5、37、37.5、38、38.5、39、39.5または40mol%のコレステロールを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、1~2mol%、1~3mol%、1~4mol%、または1~5mol%のDMG-PEGを含む。例えば、脂質ナノ粒子は、1、1.5、2、2.5、3または3.5mol%のDMG-PEGを含んでもよい。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、50mol%のイオン化可能なアミノ脂質と、10mol%のDSPCと、38.5mol%のコレステロールと、1.5mol%のDMG-PEGとを含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、49mol%のイオン化可能なアミノ脂質と、10mol%のDSPCと、38.5mol%のコレステロールと、2.5mol%のDMG-PEGとを含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、49mol%のイオン化可能なアミノ脂質と、11mol%のDSPCと、38.5mol%のコレステロールと、1.5mol%のDMG-PEGとを含む。
いくつかの実施形態では、脂質ナノ粒子は、48mol%のイオン化可能なアミノ脂質と、11mol%のDSPCと、38.5mol%のコレステロールと、2.5mol%のDMG-PEGとを含む。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPは、約2:1~約30:1のN:P比を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPは、約6:1のN:P比を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPは、約3:1のN:P比を含む。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPが含むイオン化可能なアミノ脂質構成要素、対RNAのwt/wt比は約10:1~約100:1である。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPが含むイオン化可能なアミノ脂質構成要素、対RNAのwt/wt比は約20:1である。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPが含むイオン化可能なアミノ脂質構成要素、対RNAのwt/wt比は約10:1である。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPの平均直径は約50nm~約150nmである。
いくつかの実施形態では、本開示のLNPの平均直径は約70nm~約120nmである。
多価ワクチン
本明細書で提供する組成物は、同じまたは異なるウイルス種の2つ以上の抗原をコードするRNAを含んでも、または複数のRNAを含んでもよい。いくつかの実施形態では、組成物は、2つ以上のコロナウイルス抗原をコードする1つのmRNAまたは複数のmRNAを含む。いくつかの実施形態では、RNAは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、またはそれ以上のコロナウイルス抗原をコードし得る。
いくつかの実施形態では、抗原をコードする2つ以上の異なるmRNAを、同じ脂質ナノ粒子内に製剤化してもよい。他の実施形態では、抗原をコードする2つ以上の異なるRNAが、別々の脂質ナノ粒子内に製剤化されてもよい(各RNAが単一の脂質ナノ粒子内に製剤化される)。脂質ナノ粒子は、次に、組み合わせて単一のワクチン組成物(例えば、複数の抗原をコードする複数のRNAを含むワクチン組成物)として投与されてもよく、または別々に投与されてもよい。
併用ワクチン
本明細書で提供する組成物は、同じまたは異なるウイルス株の2つ以上の抗原をコードする1つのmRNAを含んでも、または複数のRNAを含んでもよい。1つ以上のコロナウイルス及び異なる生物の1つ以上の抗原(複数可)をコードするRNAを含む併用ワクチンも本明細書で提供される。したがって、本開示のワクチンは、同じ株/種の1つ以上の抗原、または異なる株/種の1つ以上の抗原、例えば、コロナウイルス感染のリスクが高い同じ地理的地域に見られる生物体、またはコロナウイルスに曝露されたときに個人が曝露される可能性が高い生物体に対する免疫を誘導する抗原、を標的とする併用ワクチンであり得る。
医薬製剤
本明細書では、例えば、ヒト及び他の哺乳動物におけるコロナウイルスの予防及び/または処置のための組成物(例えば、医薬組成物)、方法、キット、及び試薬を提供する。本明細書で提供される組成物は、治療剤または予防剤として使用され得る。これらは、コロナウイルス感染を予防及び/または処置するための医薬で使用され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のRNAを含むコロナウイルスワクチンは、対象(例えば、ヒト対象などの哺乳類対象)に投与してもよく、mRNAはin vivoで翻訳されて抗原ポリペプチド(抗原)が産生される。
組成物(例えば、RNAを含む)の「有効量」は、少なくとも部分的には、標的組織、標的細胞タイプ、投与手段、RNAの物理的特性(例えば、長さ、ヌクレオチド組成、及び/または修飾ヌクレオシドの程度)、ワクチンの他の構成要素、ならびに他の決定因子、例えば、対象の年齢、体重、身長、性別、及び全体的健康状態に基づく。典型的には、組成物の有効量は、対象の細胞内での抗原産生の関数として、誘導または促進された免疫応答を提供する。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの化学修飾を有するmRNAを含む組成物の有効量は、同じ抗原またはペプチド抗原をコードする対応する非修飾ポリヌクレオチドを含む組成物よりも効率的である。抗原産生の増大は、細胞トランスフェクションの増大(RNAワクチンでトランスフェクトされた細胞のパーセンテージ)、ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳及び/または発現の増大、核酸分解の減少(例えば、修飾ポリヌクレオチドからのタンパク質翻訳の持続時間の増大によって示される)、または宿主細胞の抗原特異的免疫応答の変化によって実証され得る。
「医薬組成物」という用語は、活性薬剤と、組成物をin vivoまたはex vivoでの診断または治療用途に特に適したものにする、不活性または活性の担体との組合せを指す。「医薬的に許容される担体」は、対象に投与した後でもまたは投与した際にも、望ましくない生理学的作用を引き起こさない。医薬組成物中の担体は、有効成分に適合性であり、それを安定化させることが可能であるという意味においても「許容」されなければならない。1つ以上の可溶化剤を活性薬剤の送達のための医薬担体として利用してもよい。医薬的に許容される担体の例としては、限定されるものではないが、剤形として使用可能な組成物を達成するための生体適合性のビヒクル、アジュバント、添加剤、及び希釈剤が挙げられる。他の担体の例としては、コロイド状酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、セルロース、及びラウリル硫酸ナトリウムが挙げられる。追加の好適な医薬用担体及び希釈剤、ならびにそれらを使用するための医薬的必需品については、Remington’s Pharmaceutical Sciencesに記載されている。
いくつかの実施形態では、本開示に従う組成物(ポリヌクレオチド及びそのコードされたポリペプチドを含む)は、コロナウイルス感染症の処置または予防のために使用され得る。ある組成物は、健康な個体または潜伏期間中の感染初期または症状発現後の活動性感染中に、積極的な免疫化スキームの一環として予防的に投与されても、または治療的に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、細胞、組織、または対象に提供されるRNAの量は、免疫予防に有効な量であり得る。
組成物は、他の予防または治療化合物と共に投与され得てもよい。非限定的な例として、予防または治療化合物は、アジュバントであっても、または追加免疫(ブースター)であってもよい。本明細書で使用する場合、予防組成物(例えば、ワクチン)に言及する場合、「追加免疫(ブースター)」という用語は、予防(ワクチン)組成物の追加投与を指す。追加免疫(ブースター)(またはブースターワクチン)は、予防組成物を先に投与した後に投与されてもよい。いくつかの実施形態では、対象は、少なくとも1つの追加のブースター用量、例えば、対象が1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、またはそれ以上のブースター用量を投与されるように、投与される。予防組成物の最初の投与と追加免疫との間(またはブースター用量の間)の投与時間は、限定するものではないが、1分、2分、3分、4分、5分、6分、7分、8分、9分、10分、15分、20分 35分、40分、45分、50分、55分、1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、12時間、13時間、14時間、15時間、16時間、17時間、18時間、19時間、20時間、21時間、22時間、23時間、1日、36時間、2日、3日、4日、5日、6日、1週間、10日、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、1年、18ヶ月、2年、3年、4年、5年、6年、7年、8年、9年、10年、11年、12年、13年、14年、15年、16年、17年、18年、19年、20年、25年、30年、35年、40年、45年、50年、55年、60年、65年、70年、75年、80年、85年、90年、95年、または99年超であってもよい。例示的な実施形態では、予防的組成物の最初の投与と追加免疫との間の投与時間は、限定するものではないが、1週間、2週間、3週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、または1年であってもよい。いくつかの実施形態では、ブースター用量は、組成物の第1用量を対象に対して投与してから少なくとも28日後かつ第1用量から1年以内に投与される。
いくつかの実施形態では、組成物は、当該技術分野で公知の不活化ワクチンの投与と同様に、筋肉内、経鼻、または皮内に投与され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、筋肉内、例えば、対象の三角筋に投与される。
組成物は、感染の有病率または満たされていない医療ニーズの程度もしくはレベルに応じて、さまざまな設定で利用され得る。非限定的な例として、RNAワクチンは、さまざまな感染性疾患を治療及び/または予防するために利用され得る。RNAワクチンは、市販のワクチンよりもはるかに大きな抗体力価、より良好な中和免疫をもたらし、より持続性のある免疫応答を生じるか、及び/またはより早期の応答をもたらすという点において優れた特性を有する。
本明細書で提供されるのは、RNA及び/または任意選択で、1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と組み合わせた複合体を含む医薬組成物である。
RNAは、単独で、または1つ以上の他の構成要素と組み合わせて、製剤化されても、または投与されてもよい。例えば、組成物は、限定するものではないが、アジュバントを含む他の構成要素を含んでもよい。
いくつかの実施形態では、組成物はアジュバントを含まない(アジュバントフリーである)。
RNAは、1つ以上の医薬的に許容される賦形剤と組み合わせて製剤化されてもまたは投与されてもよい。いくつかの実施形態では、ワクチン組成物は、例えば、治療活性物質、予防活性物質、または両方の組合せなどの少なくとも1つの追加の活性物質を含む。ワクチン組成物は、無菌、パイロジェンフリーであっても、または無菌かつパイロジェンフリーの両方であってもよい。医薬薬剤、例えば、ワクチン組成物の製剤化及び/または製造における全般的考慮事項は、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy 21st ed.,Lippincott Williams & Wilkins,2005(参照によりその全体が本明細書に援用される)に見出され得る。
いくつかの実施形態では、組成物は、ヒト、ヒトの患者または対象に投与される。本開示の目的において、「有効成分」という表現は、概して、RNAワクチンまたはそれに含まれるポリヌクレオチド、例えば、抗原をコードするmRNAを指す。
本明細書に記載のワクチン組成物の製剤は、薬理学の分野で公知であるかまたは今後開発される任意の方法によって、調製され得る。概して、このような調製方法は、活性成分(例えば、mRNA)を、賦形剤及び/または1つ以上の補助成分と会合させるステップと、次いで必要に応じて及び/または所望により、生成物を所望の単回または多回用量単位に分割、成形、及び/またはパッケージングするステップとを含む。
本開示に従う医薬組成物中の活性成分、医薬的に許容される賦形剤、及び/または任意のさらなる成分の相対量は、治療される対象の固有性、サイズ、及び/または状態に応じて、またさらにはその組成物が投与される経路に応じて変動する。例として、組成物は、0.1%~100%、例えば、0.5~50%、1~30%、5~80%、少なくとも80%(w/w)の活性成分を含み得る。
いくつかの実施形態では、mRNAは、(1)安定性を高めるために、(2)細胞トランスフェクションを増大するために、(3)(例えば、デポ剤からの)持続放出または遅延放出を可能にするために、(4)体内分布を変化させる(例えば、特定の組織もしくは細胞タイプに標的化する)ために、(5)コードされたタンパク質のin vivoでの翻訳を増大するために、及び/または(6)in vivoでのコードされたタンパク質(抗原)の放出プロファイルを変化させるために、1つ以上の賦形剤を用いて製剤化される。ありとあらゆる溶媒、分散媒体、希釈剤、または他の液体ビヒクルなどの従来の賦形剤に加えて、分散剤または懸濁助剤、界面活性剤、等張剤、増粘剤または乳化剤、保存剤、賦形剤としては、限定されないが、リピドイド、リポソーム、脂質ナノ粒子、ポリマー、リポプレックス、コアシェルナノ粒子、ペプチド、タンパク質、RNAでトランスフェクトされた細胞(例えば、対象への移植用)、ヒアルロニダーゼ、ナノ粒子模倣物、及びそれらの組合せが挙げられる。
投薬/投与
本明細書では、ヒト及び他の哺乳類におけるコロナウイルス感染症の予防及び/または治療のための組成物(例えば、RNAワクチン)、方法、キット、及び試薬を提供する。免疫化組成物は、治療剤または予防薬剤として使用され得る。いくつかの実施形態では、組成物は、コロナウイルス感染からの予防的保護を提供するために使用される。いくつかの実施形態では、組成物は、コロナウイルス感染を処置するために使用される。いくつかの実施形態では、組成物は、免疫エフェクター細胞のプライミングで、例えば、末梢血単核球(PBMC)をex vivoで活性化し、次にこれを対象に注入(再注入)するために、使用される。
対象は、任意の哺乳類(非ヒト霊長類及びヒトを含む)であってもよい。典型的には、対象とはヒト対象である。
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、RNAワクチン)は、抗原特異的免疫応答を誘導するのに有効な量で対象(例えば、ヒト対象などの哺乳類対象)に投与される。コロナウイルス抗原をコードするRNAがin vivoで発現及び翻訳されて抗原が産生され、次にこれが対象における免疫応答を刺激する。
コロナウイルスからの予防的保護は、本開示の組成物の投与後に達成され得る。免疫化組成物は1回、2回、3回、4回、またはそれ以上投与されてもよいが、ワクチンを1回投与するだけで十分であり得る(任意選択で1回の追加免疫が続く)。望ましいものではないが、感染した個体にある組成物を投与して治療応答を達成することも可能である。用量設定を適宜調整する必要がある場合がある。
コロナウイルス抗原(または多重抗原)に対する対象における免疫応答を誘発する方法を、本開示の態様で提供する。いくつかの実施形態では、本方法は、1つのコロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレームを有する1つのmRNAを含む組成物を対象に投与することを含み、それにより、対象においてコロナウイルス抗原に特異的な免疫応答を誘導し、対象内の抗抗原抗体力価は、ワクチン接種後、その抗原に対する従来のワクチンの予防有効用量をワクチン接種した対象における抗抗原抗体力価よりも増大される。「抗抗原抗体」とは、抗原に特異的に結合する血清抗体である。
予防有効用量とは、臨床的に許容されるレベルでウイルス感染を予防する有効用量である。いくつかの実施形態では、有効用量とは、ワクチンの添付文書に列記されている用量である。本明細書で使用する場合、従来のワクチンとは、本開示のmRNAワクチン以外のワクチンを指す。例えば、従来のワクチンとしては、限定されるものではないが、微生物生ワクチン、微生物不活化ワクチン、サブユニットワクチン、タンパク質抗原ワクチン、DNAワクチン、ウイルス様粒子(VLP)ワクチンなどが挙げられる。例示的な実施形態では、従来のワクチンは、国の薬物規制機関(例えば、米国の食品医薬品局(FDA)または欧州医薬品庁(EMA))によって規制上の承認を達成し、及び/または登録されているワクチンである。
いくつかの実施形態では、対象内の抗抗原抗体力価は、ワクチン接種後、コロナウイルスに対する従来のワクチンの予防有効用量をワクチン接種した対象またはワクチン未接種の対象における抗抗原抗体力価よりも1log~10log増大している。いくつかの実施形態では、対象における抗抗原抗体力価は、ワクチン接種後、コロナウイルスに対する従来のワクチンの予防有効用量をワクチン接種した対象またはワクチン未接種の対象における抗抗原抗体力価よりも1log、2log、3log、4log、5log、または10log増大している。
対象におけるコロナウイルスに対する免疫応答を誘発する方法は、本開示の他の態様で提供される。本方法は、コロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレームを含むmRNAを含む組成物を対象に投与することを含み、それにより、対象においてコロナウイルスに特異的な免疫応答を誘導し、この対象での免疫応答は、この組成物に対し2倍~100倍の薬用量レベルで、コロナウイルスに対する従来のワクチンを接種した対象での免疫応答と同等である。
いくつかの実施形態では、対象における免疫応答は、本開示の組成物に対し2倍の薬用量レベルで従来のワクチンを接種した対象における免疫応答と同等である。いくつかの実施形態では、対象における免疫応答は、本開示の組成物に対し3倍の薬用量レベルで従来のワクチンを接種した対象における免疫応答と同等である。いくつかの実施形態では、対象における免疫応答は、本開示の組成物に対し4倍、5倍、10倍、50倍、または100倍の薬用量レベルで従来のワクチンを接種した対象における免疫応答と同等である。いくつかの実施形態では、対象における免疫応答は、本開示の組成物に対し10倍~1000倍の薬用量レベルで従来のワクチンを接種した対象における免疫応答と同等である。いくつかの実施形態では、対象における免疫応答は、本開示の組成物に対し100倍~1000倍の薬用量レベルで従来のワクチンを接種した対象における免疫応答と同等である。
他の実施形態では、免疫応答は、対象における[タンパク質]抗体力価を決定することによって評価される。他の実施形態では、免疫化された対象由来の血清または抗体の能力を、ウイルスを中和する能力に対して試験する。他の実施形態では、ロバストなT細胞応答(複数可)を促進する能力は、当該技術分野で認識されている技法を用いて測定される。
本開示の他の態様は、コロナウイルス抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを含む組成物を対象に投与して、対象においてコロナウイルス抗原に特異的な免疫応答を誘導することにより、対象においてコロナウイルスに対する免疫応答を引き出す方法を提供し、この対象における免疫応答は、コロナウイルスに対する従来のワクチンの予防有効量を接種した対象において誘導される免疫応答よりも2日~10週間早く誘導される。いくつかの実施形態では、対象における免疫応答は、本開示の組成物に対し2倍~100倍の薬用量レベルで従来のワクチンの予防有効用量を接種した対象において誘導される。
また、本明細書では、第1の抗原をコードするオープンリーディングフレームを有するmRNAを対象に投与することにより、コロナウイルスに対する対象における免疫応答を誘発する方法であって、RNAが安定化エレメントを含まず、アジュバントがワクチンと同時製剤化または同時投与されない、方法を提供する。
組成物は、治療的に有効な転帰をもたらす任意の経路で投与され得る。このような経路としては、限定されるものではないが、皮内、筋肉内、鼻腔内、及び/または皮下の投与が挙げられる。本開示は、RNAワクチンを投与することを、それを必要とする対象に行うことを含む方法を提供する。必要とされる正確な量は、対象の人種、年齢、及び概況、疾患の重症度、特定の組成物、その投与様式、その活性様式などに応じて対象ごとに異なる。RNAは、典型的には、投与しやすさ及び薬用量の均一性のために、単位剤形で製剤化される。ただし、RNAの1日合計使用量は妥当な医学的判断の範囲内で主治医によって決定され得ることが理解されよう。いかなる特定の患者に対する具体的な治療有効用量レベル、予防有効用量レベル、または適切なイメージング用量レベルも、治療する障害、障害の重症度、用いる具体的化合物の活性、用いる具体的組成物、患者の年齢、体重、全体の健康状態、性別、及び食事、用いる具体的化合物の投与時間、投与経路、及び排泄率、治療の期間、用いる具体的化合物と組合せでまたは同時に使用する薬物、ならびに医学分野で周知されている類似の因子を含めたさまざまな因子に依存する。
本明細書で提供されるように、有効量(例えば、治療用量)のRNAは、本明細書で提供するように、20μg程度の少量であり、例えば、単回投与または10μgを2回投与し得る。いくつかの実施形態では、有効量(例えば、治療用量)は、10μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量(例えば、治療用量)は、5μg~30μg、5μg~25μg、5μg~20μg、5μg~15μg、5μg~10μg、10μg~30μg、10μg~25μg、10μg~20μg、10μg~15μg、15μg~30μg、15μg~25μg、15μg~20μg、20μg~30μg、25μg~30μg、または、25μg~300μgの総用量である。いくつかの実施形態では、治療用量(例えば、有効量)は、組成物の少なくとも10μg及び25μg未満である。いくつかの実施形態では、治療用量(例えば、有効量)は、組成物の少なくとも5μg及び25μg未満である。例えば、有効量は、5μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、40μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、110μg、120μg、130μg、140μg、150μg、160μg、170μg、180μg、190μg、200μg、250μg、または300μgの総用量であってもよい。いくつかの実施形態では、有効量は、20μg(例えば、10μg用量を2回)の総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、25μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、30μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、50μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、60μgの総用量(例えば、30μg用量を2回)である。いくつかの実施形態では、有効量は、75μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、100μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、150μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、200μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、250μgの総用量である。いくつかの実施形態では、有効量は、300μgの総用量である。
本明細書に記載のRNAは、本明細書に記載の剤形、例えば、鼻腔内、気管内、または注射用(例えば、静脈内、眼内、硝子体内、筋肉内、皮内、心臓内、腹腔内、及び皮下)の剤形で製剤化され得る。
ワクチン有効性
本開示のいくつかの態様は、組成物(例えば、RNAワクチン)の製剤であって、RNAが、対象において抗原特異的免疫応答(例えば、コロナウイルス抗原に特異的な抗体の産生)をもたらすのに有効な量で製剤化される、製剤を提供する。「有効量」とは、抗原特異的免疫応答をもたらすのに有効なRNAの用量である。また、本明細書では、対象内の抗原特異的免疫応答を誘導する方法も提供する。
本明細書で使用する場合、本開示のワクチンまたはLNPに対する免疫応答とは、ワクチン中に存在する(1つ以上の)コロナウイルスタンパク質(複数可)に対する対象における液性及び/または細胞性免疫応答の発生である。本開示の目的において、「液性」免疫応答とは、抗体分子(例えば、分泌(IgA)またはIgG分子を含む)によって媒介される免疫応答を指し、一方、「細胞性」免疫応答とは、T-リンパ球(例えば、CD4+ヘルパー及び/またはCD8+ T細胞(例えば、CTL)及び/または他の白血球)によって媒介される免疫応答を指す。細胞性免疫における1つの重要な態様は、細胞溶解性T細胞(CTL)による抗原特異的応答を含む。CTLは、主要組織適合複合体(MHC)によってコードされたタンパク質と共に提示され細胞表面に発現するペプチド抗原に対し特異性を有する。CTLは、細胞内微生物の破壊またはこのような微生物に感染した細胞の溶解を誘導及び促進する一助となる。細胞性免疫の別の態様は、ヘルパーT細胞による抗原特異的応答に関与する。ヘルパーT細胞は、ペプチド抗原をMHC分子と共にその表面に提示した細胞に対する非特異的エフェクター細胞の機能を刺激し、その活性に焦点を合わせる一助となるように作用する。細胞性免疫応答はまた、活性化T細胞及び/または他の白血球(CD4+及びCD8+ T細胞由来のものを含む)によって産生されるサイトカイン、ケモカイン、及び他のこのような分子の産生も引き起こす。
いくつかの実施形態では、抗原特異的免疫応答は、本明細書で提供する組成物を投与された対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価を測定することにより、特性評価される。抗体力価とは、対象内にある抗体、例えば、特定の抗原または抗原のエピトープに特異的な抗体の量の測定値である。抗体力価は、典型的には、陽性結果をもたらす最大希釈度の逆数として表される。例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、例えば、抗体力価を定量するための一般的なアッセイである。
さまざまな血清学的検査を使用して、コードされた目的の抗原、例えば、SAR-CoV-2ウイルスまたはSAR-CoV-2ウイルス抗原、例えば、SAR-CoV-2スパイクまたはSタンパク質(そのドメインの)に対する抗体を測定し得る。これらの試験には、赤血球凝集阻害試験、補体結合試験、蛍光抗体試験、酵素免疫測定法(ELISA)、及びプラーク減少中和試験(PRNT)が含まれる。これらの各試験は、さまざまな抗体活性を測定する。例示的な実施形態では、プラーク減少中和試験、またはPRNT(例えば、PRNT50またはPRNT90)は、保護の血清学的相関物として使用される。PRNTは、in vitroウイルス中和の生物学的パラメーターを測定し、特定のクラスのウイルスの中で最も血清学的にウイルス特異的な試験であり、ウイルス感染からの保護の血清レベルとよく相関する。
PRNTの基本設計では、試験管またはマイクロタイタープレートでウイルスと抗体の相互作用を行うことを可能にし、これによってウイルス感受性細胞、好ましくは哺乳類由来の細胞に混合物をプレーティングすることで、ウイルス感染性に対する抗体の影響を測定する。細胞は、子孫ウイルスの伝播を制限する半固体培地で覆われている。生産的な感染を開始する各ウイルスは、さまざまな方法で検出され得る局所的な感染領域(プラーク)を生成する。プラークを数え、ウイルスの開始濃度に戻って比較して、ウイルスの総感染力の低下率を決定する。PRNTでは、通常、試験される血清試料は、標準化された量のウイルスと混合する前に段階希釈される。ウイルスの濃度は一定に保たれているため、感受性の高い細胞に添加して半固形培地をかぶせると、個々のプラークを識別して数えることができる。このようにして、PRNTエンドポイント力価は、ウイルス活性の任意の選択されたパーセント減少で各血清試料に対して計算され得る。
ワクチンの免疫原性を評価することを目的とした機能アッセイでは、抗体滴定の血清試料希釈系列は、理想的には「血清防御」閾値力価未満で開始する必要がある。SARS-CoV-2中和抗体に関しては、「血清防御」閾値力価は不明のままである。しかし、1:10という血清陽性の閾値は、特定の実施形態では、血清保護閾値と見なすことができる。
PRNTエンドポイント力価は、プラーク数の望ましい減少率を示す最後の血清希釈の逆数として表される。PRNT力価は、プラーク数の50%以上の減少(PRNT50)に基づいて計算できる。PRNT50力価は、ワクチン血清に対してより高いカットオフ(例えば、PRNT90)を使用する力価よりも優先され、滴定曲線の線形部分からより正確な結果を提供する。
PRNT力価を計算する方法にはいくつかある。力価を計算するための最も簡単で最も広く使用されている方法は、プラークを数え、最後の血清希釈の逆数として力価を報告して、入力プラークの逆滴定に基づく入力プラーク数の50%超の減少を示すことである。いくつかの血清希釈からのカーブフィッティング法を使用すると、より正確な結果を計算できる場合がある。これに利用可能なさまざまなコンピューター分析プログラムがある(例えば、SPSSまたはGraphPad Prism)。
いくつかの実施形態では、抗体力価は、対象が感染症に罹ったか否かを評価するため、または免疫化が必要か否かを判断するために使用される。いくつかの実施形態では、抗体力価は、自己免疫応答の強さを定量するため、追加免疫が必要か否かを判断するため、以前のワクチンが有効だった否かを判断するため、及び最近または過去の感染を確認するために使用される。本開示によれば、抗体力価は、組成物(例えば、RNAワクチン)によって対象において誘導された免疫応答の強さを定量するために使用してもよい。
いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも1log増大される。例えば、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも1.5、少なくとも2、少なくとも2.5、または少なくとも3log増大され得る。いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも1、1.5、2、2.5、または3log増大される。いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも1~3log増大される。例えば、対象に産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも1~1.5、1~2、1~2.5、1~3、1.5~2、1.5~2.5、1.5~3、2~2.5、2~3、または2.5~3log増大され得る。
いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも2倍増大される。例えば、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、または少なくとも10倍増大され得る。いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも2、3、4、5、6、7、8、9、または10倍増大される。いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも2~10倍増大される。例えば、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも2~10、2~9、2~8、2~7、2~6、2~5、2~4、2~3、3~10、3~9、3~8、3~7、3~6、3~5、3~4、4~10、4~9、4~8、4~7、4~6、4~5、5~10、5~9、5~8、5~7、5~6、6~10、6~9、6~8、6~7、7~10、7~9、7~8、8~10、8~9、または9~10倍増大され得る。
いくつかの実施形態では、抗原特異的免疫応答は、コロナウイルスに対する血清中和抗体力価の幾何平均力価(GMT)の比(幾何平均比(GMR)と称される)として測定される。幾何平均力価(GMT)とは、全ての値を掛け合わせ、その数値のn乗根(nは利用可能なデータを有する対象数である)をとることによって算出される、対象の群における平均抗体力価である。
いくつかの実施形態では対照は、組成物(例えば、RNAワクチン)を投与されていない対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価である。いくつかの実施形態では、対照は、組換えまたは精製されたタンパク質ワクチンを投与された対象において産生された抗コロナウイルス抗原抗体力価である。組換えタンパク質ワクチンは、通常、異種発現系(例えば、細菌または酵母)で産生されたか、または大量の病原性生物から精製されたタンパク質抗原を含む。
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、RNAワクチン)が有効となる能力は、マウスモデルで測定される。例えば、組成物を、マウスモデルに投与してもよく、マウスモデルを中和抗体力価の誘導について評価してもよい。また、ウイルスチャレンジ研究も、本開示のワクチンの効果を評価するために使用してもよい。例えば、組成物をマウスモデルに投与し、そのマウスモデルをウイルスでチャレンジし、そのマウスモデルを生存及び/または免疫応答(例えば、中和抗体応答、T細胞応答(例えば、サイトカイン応答))について評価してもよい。
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、RNAワクチン)の有効量は、組換えタンパク質ワクチンの標準治療用量と比較して低減された用量である。本明細書で使用する「標準治療」とは、医学的または心理学的な治療ガイドラインを指し、一般的であっても、特定的であってもよい。「標準治療」とは、科学的根拠に基づいた適切な治療及び所与の条件の治療に関与する医療従事者間の協力を規定する。それは、医師/臨床医がある特定のタイプの患者、疾患、及び臨床状況に対し従うべき診断及び治療のプロセスである。本明細書で使用する「標準治療用量」とは、医師/臨床医または他の医療専門家が、コロナウイルス感染、または関連する状態を治療または予防するための標準治療ガイドラインに従いながら、コロナウイルス感染、または関連する状態を治療または予防するために対象に投与する、組換えもしくは精製タンパク質ワクチン、または弱毒生もしくは不活化ワクチン、またはVLPワクチンの用量を指す。
いくつかの実施形態では、有効量の組成物を投与された対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、組換えもしくは精製タンパク質ワクチン、または弱毒生もしくは不活化ワクチン、またはVLPワクチンの標準治療用量を投与された対照の対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価と同等である。
ワクチン効果は、標準的な解析を用いて評価され得る(例えば、Weinberg et al.,J Infect Dis.2010 Jun 1;201(11):1607-10を参照)。例えば、ワクチン有効性は、二重盲検ランダム化対照臨床試験で測定することができる。ワクチン有効性は、ワクチン非接種試験コホートの罹患率(ARU)とワクチン接種試験コホートの罹患率(ARV)との間の疾患罹患率(AR)の比例的減少として表してもよく、以下の式を用いてワクチン接種群の疾患の相対リスク(RR)から算出することができる。
有効性=(ARU-ARV)/ARU×100;及び
有効性=(1-RR)×100
同様に、ワクチン有効性は標準的解析を用いて評価され得る(例えば、Weinberg et al.,J Infect Dis.2010 Jun 1;201(11):1607-10を参照)。ワクチンの有効性とは、ワクチン(高いワクチン効果を有することが既に判明している場合もある)が集団の中でどのように疾患を低減するかを評価するものである。この尺度は、対照臨床試験ではなく自然のフィールド条件下で、ワクチン自体にとどまらず、ワクチン接種プログラムの利益及び有害作用の本質的なバランスを評価し得る。ワクチン有効性はワクチンの有効性(効力)に比例するが、集団内の標的群がどの程度免疫化しているか、及び「実世界」の転帰に影響を及ぼすワクチンとは無関係な要因(例えば、入院、外来受診、または費用)による影響も受ける。例えば、レトロスペクティブなケースコントロール解析を使用して、感染症例のセット及び適切な対照におけるワクチン接種率を比較してもよい。ワクチン有効性は、ワクチン接種したにもかかわらず感染症を発症したオッズ比(OR)の使用により、割合の差として表すことができる。
有効性=(1-OR)×100
いくつかの実施形態では、組成物(例えば、RNAワクチン)の有効性は、ワクチン未接種対照の対象に対し少なくとも60%である。例えば、組成物の有効性は、ワクチン未接種対照の対象に対し少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも98%、または100%であり得る。
殺菌免疫。殺菌免疫とは、宿主への有効な病原体感染を防止する固有の免疫状態を指す。いくつかの実施形態では、本開示の組成物の有効量は、少なくとも1年間、対象における殺菌免疫をもたらすのに十分である。例えば、本開示の組成物の有効量は、少なくとも2年間、少なくとも3年間、少なくとも4年間、または少なくとも5年間、対象内の殺菌免疫をもたらすのに十分である。いくつかの実施形態では、本開示の組成物の有効量は、対照よりも少なくとも5倍低い用量で対象内の殺菌免疫をもたらすのに十分である。例えば、有効量は、対照よりも少なくとも10倍、15倍、または20倍低い用量でも対象における殺菌免疫をもたらすのに十分であり得る。
検出可能な抗原。いくつかの実施形態では、本開示の組成物の有効量は、投与してから1~72時間後の対象の血清中の測定において、検出可能なレベルのコロナウイルス抗原を産生するのに十分である。
力価。抗体力価とは、対象内の抗体、例えば、特定の抗原(例えば、抗コロナウイルス抗原)に特異的な抗体の量の測定値である。抗体力価は、典型的には、陽性結果をもたらす最大希釈度の逆数として表される。例えば、酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)は、抗体力価を定量するための一般的なアッセイである。
いくつかの実施形態では、本開示の組成物の有効量は、投与してから1~72時間後の対象の血清中の測定において、コロナウイルス抗原に対する中和抗体によって産生される1,000~10,000の中和抗体力価を産生するのに十分である。いくつかの実施形態では、有効量は、投与してから1~72時間後の対象の血清中の測定において、コロナウイルス抗原に対する中和抗体によって産生される1,000~5,000の中和抗体力価を産生するのに十分である。いくつかの実施形態では、有効量は、投与してから1~72時間後の対象の血清中の測定において、コロナウイルス抗原に対する中和抗体によって産生される5,000~10,000の中和抗体力価を産生するのに十分である。
いくつかの実施形態では、中和抗体力価は、少なくとも100NT50である。例えば、中和抗体力価は、少なくとも200、300、400、500、600、700、800、900、または1000NT50であり得る。いくつかの実施形態では、中和抗体力価は、少なくとも10,000NT50である。
いくつかの実施形態では、中和抗体力価は、少なくとも100中和単位/ミリリットル(NU/mL)である。例えば、中和抗体力価は、少なくとも200、300、400、500、600、700、800、900、または1000NU/mLであり得る。いくつかの実施形態では、中和抗体力価は、少なくとも10,000NU/mLである。
いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも1log増大される。例えば、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9または10 log増大され得る。
いくつかの実施形態では、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも2倍増大される。例えば、対象において産生される抗コロナウイルス抗原抗体力価は、対照よりも少なくとも3、4、5、6、7、8、9、または10倍増大される。
いくつかの実施形態では、n個の数の積のn乗根である幾何平均を、比例増殖を説明するために一般的に使用する。幾何平均は、いくつかの実施形態では、対象において産生される抗体力価を特性評価するために使用される。
対照とは、例えば、ワクチン接種されていない対象、または弱毒化生ウイルスワクチン、不活化ウイルスワクチン、またはタンパク質サブユニットワクチンを投与された対象であってもよい。
実施例1.第I相臨床試験
試験研究の設計と方法論
この研究は、健康で、かつ全ての適格要件を満たしている18歳~55歳の健常成人参加者を対象とした第1相無作為化オブザーバーブラインド試験である。この研究は、SARS-CoV-2 mRNAワクチンの安全性、反応原性、及び免疫原性を評価するために使用する(配列番号90;ORFは配列番号91;配列番号92をコードする;本明細書では「mRNAワクチン」と称する)。全ての参加者は、スクリーニング期間、治療期間、及びフォローアップ期間に参加する。
mRNAワクチンの3つの用量レベル(10μg、30μg、及び100μg)(アーム1~3)、及び、mRNAワクチンの1用量レベル(100μg)(アーム5)を、それぞれ2回投与のレジメンで評価を行い、それらの用量で、28日間隔で投与する。mRNAワクチンの1回の投与レベル(100μg)は、単回投与レジメンで評価する(アーム4)。約125名の参加者を、1:1:1:1:1の比率で無作為化して、治験薬(IP)を与えて、約25名の参加者を無作為に各研究群に分ける。全ての研究アームは、並行して登録する。参加者は、1日目及び/または29日目に、0.5mLの筋肉内(IM)注射でIPを2回投与されるが、アーム4(mRNAワクチンの単回投与)の参加者は、1日目にプラセボ注射を行い、29日目にIPを注射する点が異なる。それぞれの注射は、0.5mLの量を、三角筋に筋肉内注射する。投与スケジュールを以下に示す。
Balb/cマウスを使う非臨床試験では、結合抗体(bAb)及び中和抗体(nAb)応答、ならびにTh1指向性CD4+及びmRNAワクチンが誘発するCD8+応答を評価することにより免疫原性を評価した。mRNAワクチンは、Balb/cマウスで免疫原性を示しており、このことは、bAb応答と中和活性を実証している。S1またはS2ペプチドプールで再刺激したmRNAワクチン誘発CD4+ T細胞は、特に、より高い免疫原用量で、Th1優性応答(インターフェロン-γ、インターロイキン-2、腫瘍壊死因子-αの産生)を示した。スパイク1とS2の組み合わせは、SARS-CoV-2 Sタンパク質全体に及ぶペプチドプールを表している;これらのペプチドは、安定性を高めるために2つのプールに分割した。さらに、mRNAワクチンは、S1ペプチドプールに対するロバストなCD8+ T細胞応答を誘導した。これらの結果は、CD8+ T細胞及びTh1指向性CD4+ T細胞応答を誘導したサイトカイン発現プロファイルを示す。これらのデータは、mRNAワクチンの臨床的進歩を裏付けている。
ワクチン、用量、及び投与経路
SARS-CoV-2 mRNAワクチン(配列番号90;ORFは配列番号91;配列番号92をコードする)は、4つの脂質(50mol% イオン化可能な脂質ヘプタデカン-9-イル8((2-ヒドロキシエチル)(6オキソ6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(化合物1);10mol% 1,2ジステアロイルsnグリセロ-3ホスホコリン(DSPC);38.5mol% コレステロール;及び、平均分子量が2000のポリエチレングリコール(PEG2000 DMG)を有する1-モノメトキシポリエチレングリコール-2,3-ジミリスチルグリセロール 1.5mol%)からなるLNP中mRNAの脂質ナノ粒子(LNP)分散液である。当該SARS-CoV-2 mRNAワクチンは、注射用無菌液体として提供され、外観は白色からオフホワイトの分散液であり、0.5mg/mLの濃度で、87mg/mLのスクロースと10.7mMの酢酸ナトリウムを含む20mMトロメタモール(トリス)緩衝剤、pH 7.5に含まれている。
希釈剤は、0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水)注射、United States Pharmacopeia(USP)である。このUSPグレードの0.9%NaClまたは注射用生理食塩水は、無菌、非発熱性の等張溶液である。mLあたり9mgのNaClが含まれている。静菌剤、抗菌剤、防腐剤、または添加緩衝剤は含まれておらず、単回投与容器でしか供給されない。この溶液は、pH調整(pH5.3、範囲4.5~7.0)のための塩酸及び/または水酸化ナトリウムを含み得る。この物質は、ワクチンを、所望の濃度に希釈するために使用すべきである。
SARS-CoV-2 mRNAワクチンは、1日目と29日目の2回のワクチン接種スケジュールで、三角筋へ筋肉内注射して投与を行い、投与の間は、少なくとも28日間あける。各ワクチン接種には、注射用0.9%NaCl(USP)で希釈した0.5mLのSARS-CoV-2 mRNAワクチンが含まれており、0.5mL用量ごとに、10μg、30μg、または100μgのmRNAワクチンが含まれる。
目的
主な目的は、mRNAワクチン(配列番号90;ORFは配列番号91;配列番号92をコードする)を2回投与するワクチン接種スケジュールを、28日間隔で、3つの用量(10μg、30μg、または100μg)で与える;及び、健康な成人に単回用量で1つの高用量レベル(100μg)のmRNAワクチンを与えた場合の安全性と反応原性を評価することにある。
二次的目的は、中和抗体と結合抗体の力価またはレベルを評価することであり、3つの異なる投与スケジュールでのmRNAワクチンの免疫原性を評価することにある。
探索的目的は、(1)SARS-CoV-2 Sに特異的な細胞媒介性応答を評価すること;(2)体液性免疫応答の特徴をさらに決定すること;及び、(3)当該研究の期間内にSARS-CoV-2に感染した参加者の免疫応答の特徴決定を行うこと、である。
研究の全体的構成は、予定した研究施設での8回の診察:スクリーニング、1日目、8日目、29日目(1ヶ月目)、36日目、57日目(2ヶ月目)、209日目(7ヶ月目)、及び394日目(13ヶ月目)からなる。重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)ウイルスの存在を試験するために、1日目、29日目、57日目、209日目、及び394日目に、綿棒で試料を得る。参加者は、イムノアッセイで検出された抗ヌクレオカプシド抗体に関する後続の試験のために、スクリーニング時と、1日目、29日目、57日目、及び394日目に、血清を回収した。全ての参加者は、安全性と反応原性について観察を受け、IPの最後の投与後の12ヶ月を通して免疫原性に関する注射前後の血液検体を提供する。
免疫原性は、SARS CoV 2 Sタンパク質、及び受容体結合ドメイン(RBD)に特異的な酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用してSARS-CoV-2に対する血清結合抗体レベルを測定して測定する。加えて、SARS-CoV-2に対する血清中和抗体レベルは、偽ウイルス及び/または生ウイルス中和アッセイで測定する。さらに、SARS-CoV-2感染の血清学的マーカーの検査は、イムノアッセイで検出した抗ヌクレオカプシド抗体を測定して行う。
参加者からは、SARS-CoV-2試験のために、1、29、57、209、及び394日目に鼻咽頭(NP)試料も得た。参加者が、次のいずれかの兆候:CDCが定めたSARS-CoV-2感染の兆候または症状;SARS-CoV-2の感染が確認された個人への曝露;診察を要した有害事象(MAAE)がSARS-CoV-2感染を示唆している場合には、逆転写酵素PCRを介して、SARS-CoV-2の存在を確認するために、NPまたは鼻腔スワブ試料を得て、24時間以内に、または可及的速やかに、研究の病気の診察または相談を行う。加えて、臨床情報を収集して、臨床症事例の重症度を評価する。
実施例2.中間解析結果
無作為化した参加者104名について中間解析を実施した。プロトコルごとの免疫原性分析では、研究用ワクチンを2回接種し、57日目の診察で完了する86名が参加しており、ベースライン時に抗NP抗体陰性、及びRT-PCR陰性であり、プロトコルに大きな偏差は無かった。安全性の追跡調査は、2回投与して127日(>4ヶ月)後の中央値で行った。これまでにSAEまたはAESIは報告されておらず、及び、研究一時停止規則にも該当していない。57日目の免疫原性の結果は、28日間隔で、2回投与するmRNA-1283の全ての用量レベル(10、30、及び100μg)が、プロトタイプSARS-CoV-2(D614G)のmRNA-1273と比較して、同様の中和及び結合抗体力価またはレベルを誘導し、B.1.351(ベータ)変異体に対して同様の偽ウイルス中和抗体力価を誘導することを示している。特に発熱と悪寒に対する全身性の有害事象が、mRNA-1273と比較して高用量レベルのmRNA-1283用量で頻繁に認められた。しかしながら、10μgのmRNA-1283は、mRNA-1273よりも耐性が大きいようである。これらの結果は、mRNA-1283が、mRNA-1273よりも強力であり、より低い用量レベルで同様の有効性を達成し得ることを示している。結果を、以下の表16及び17にまとめる。

追加の配列
本明細書に記載の任意のmRNA配列が5’UTR及び/または3’UTRを含み得ることを理解されたい。UTR配列は、以下の配列から選択してもよいが、その他の既知のUTR配列を使用してもよい。また、本明細書に記載の任意のmRNA構築物はさらに、ポリAテール及び/またはキャップ(例えば、7mG(5’)ppp(5’)NlmpNp)を含んでもよいことも理解のこと。さらに、本明細書に記載の多数のmRNA及びコードされた抗原配列がシグナルペプチド及び/またはペプチドタグ(例えば、C末端Hisタグ)を含むが、示されたシグナルペプチド及び/またはペプチドタグが、異なるシグナルペプチド及び/またはペプチドタグに置換されても、シグナルペプチド及び/またはペプチドタグが省略されてもよいことを理解されたい。
5’UTR:GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGAGCCACC(配列番号131)
5’UTR:GGGAAAUAAGAGAGAAAAGAAGAGUAAGAAGAAAUAUAAGACCCCGGCGCCGCCACC(配列番号2)
3’UTR:UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCAUGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号132)
3’UTR:UGAUAAUAGGCUGGAGCCUCGGUGGCCUAGCUUCUUGCCCCUUGGGCCUCCCCCCAGCCCCUCCUCCCCUUCCUGCACCCGUACCCCCGUGGUCUUUGAAUAAAGUCUGAGUGGGCGGC(配列番号4)
オープンリーディングフレームのいずれか1つ及び/または本明細書に記載の対応するアミノ酸配列は、シグナル配列を含んでもよいし、または除外してもよいことも理解されるべきである。
本明細書に開示される全ての参考文献、特許、及び特許出願は、各々が引用されている主題に関し、参照によって本明細書に援用され、場合によってはそれが文書全体を包含することもある。
本明細書において、明細書中及び請求項中の「a」及び「an」という不定冠詞は、反対のことが明確に示されない限り、「少なくとも1つの」を意味するものと理解すべきである。
また、明確に反対のことが示されない限り、本明細書で特許請求される2つ以上のステップまたは行為を含む任意の方法において、当該方法のステップまたは行為の順序は、必ずしも当該方法のステップまたは行為が記載されている順序に限定されるとは限らない。
請求項及び上記明細書において、全ての移行句、例えば、「含む(comprising)」「含む(including)」「保有する」「有する」「含有する」「伴う」「保持する」「~から構成される」などはオープンエンドであること、すなわち後に続くものを含むがそれに限定されないことを意味するものと理解されるべきである。「~からなる」「~から本質的になる」という移行句のみが、米国特許商標庁審査基準の2111.03節に記載のように、それぞれクローズドまたはセミクローズドな移行句であるものとする。
数値の手前にある「約」及び「実質的に」という用語は、記載された数値の±10%を意味する。
値の範囲が示される場合、範囲の上端と下端との間の各値は、本明細書において具体的に企図され記載されている。
国際出願番号PCT/US2015/02740、PCT/US2016/043348、PCT/US2016/043332、PCT/US2016/058327、PCT/US2016/058324、PCT/US2016/058314、PCT/US2016/058310、PCT/US2016/058321、PCT/US2016/058297、PCT/US2016/058319、及びPCT/US2016/058314の全内容は参照により本明細書に組み込まれる。

Claims (45)

  1. SARS-CoV-2スパイク(S)タンパク質の少なくとも2つのドメイン、及び全長未満のスパイクタンパク質を含む融合タンパク質をコードするオープンリーディングフレーム(ORF)を含むメッセンジャーリボ核酸(mRNA)を含む、治療用量の組成物をヒト対象に対して投与する方法であって、前記mRNAが、脂質ナノ粒子内にある、前記方法。
  2. 前記治療用量が、前記組成物の30μgである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記治療用量が、前記組成物の10μgである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記治療用量が、前記組成物の50μgである、請求項1に記載の方法。
  5. 前記治療用量が、前記組成物の100μgである、請求項1に記載の方法。
  6. 前記治療用量が、前記組成物の2.5μgである、請求項1に記載の方法。
  7. 前記治療用量が、前記組成物の少なくとも10μgかつ25μg未満である、請求項1に記載の方法。
  8. 前記治療用量が、前記組成物の少なくとも5μgかつ30μg未満である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記治療用量が、前記組成物の少なくとも5μgかつ25μg未満である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記方法が、前記対象に対して前記組成物を少なくとも2回投与することを含む、請求項3~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記組成物の第1の用量を前記対象に対して投与して少なくとも28日後かつ前記第1用量の1年以内に、前記組成物の第2の用量を投与する、請求項10に記載の方法。
  12. 前記組成物が、トリス緩衝剤をさらに含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  13. トリス緩衝剤を含む前記組成物が、スクロース及び酢酸ナトリウムをさらに含む、請求項12に記載の方法。
  14. 前記組成物が、75mg/mL~95mg/mLのスクロース、及び5mM~15mMの酢酸ナトリウムを含む10mM~30mMのトリス緩衝剤を含み、任意選択で、前記組成物は、6~8のpHを有する、請求項13に記載の方法。
  15. 前記組成物が、87mg/mLのスクロース、及び10.7mMの酢酸ナトリウムを含む約20mMのトリス緩衝剤を含み、任意選択で、前記組成物は、7.5のpHを有する、請求項14に記載の方法。
  16. 前記組成物が、約0.5mg/mLの前記mRNAを含む請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記組成物を、前記対象の腕の筋肉内、任意選択で、三角筋に投与する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記融合タンパク質が、配列番号92の配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、または、少なくとも98%の同一性を有するアミノ酸配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記融合タンパク質が、配列番号92のアミノ酸配列を含む、請求項18に記載の方法。
  20. 前記ORFが、配列番号91の配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、または、少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  21. 前記ORFが、配列番号91のヌクレオチド配列を含む、請求項20に記載の方法。
  22. 前記mRNAが、配列番号90の配列に対して、少なくとも90%、少なくとも95%、または、少なくとも98%の同一性を有するヌクレオチド配列を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  23. 前記mRNAが、配列番号90のヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記脂質ナノ粒子が、イオン化可能なアミノ脂質、中性脂質、ステロール、及びPEG修飾脂質を含む、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  25. 前記脂質ナノ粒子が、40~55mol%のイオン化可能なアミノ脂質、5~15mol%の中性脂質、35~45mol%のステロール、及び1~5mol%のPEG修飾脂質を含む、請求項24に記載の方法。
  26. 前記脂質ナノ粒子が、
    47mol%のイオン化可能なアミノ脂質、11.5mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び3.0mol%のPEG修飾脂質、
    48mol%のイオン化可能なアミノ脂質、11mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び2.5mol%のPEG修飾脂質、
    49mol%のイオン化可能なアミノ脂質、10.5mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び2.0mol%のPEG修飾脂質、
    50mol%のイオン化可能なアミノ脂質、10mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び1.5mol%のPEG修飾脂質、または
    51mol%のイオン化可能なアミノ脂質、9.5mol%の中性脂質、38.5mol%のステロール、及び1.0mol%のPEG修飾脂質を含む、請求項25に記載の方法。
  27. 前記イオン化可能なアミノ脂質が、ヘプタデカン-9-イル8((2ヒドロキシエチル)(6オキソ6-(ウンデシルオキシ)ヘキシル)アミノ)オクタノエート(化合物1)である、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 前記中性脂質が、1,2ジステアロイルsnグリセロ-3ホスホコリン(DSPC)である、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記ステロールが、コレステロールである、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
  30. 前記PEG修飾脂質が、平均分子量2000のポリエチレングリコール(PEG2000 DMG)を有する1-モノメトキシポリエチレングリコール-2,3-ジミリスチルグリセロールである、請求項24~26のいずれか1項に記載の方法。
  31. 前記対象の年齢が、18~54歳または55歳以上である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  32. 前記対象が、免疫不全症である、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記対象が、慢性肺疾患、例えば、慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記対象が、肥満、心疾患、糖尿病、及び肺疾患から任意選択で選択される基礎併存疾患を有する、先行請求項のいずれか1項に記載の方法。
  35. 脂質ナノ粒子内のSARS-CoV-2スパイクタンパク質のドメインをコードする用量のmRNAを含む組成物であって、前記用量は、少なくとも5μgかつ20μg未満である、前記組成物。
  36. 前記用量が、10μgである、請求項35に記載の組成物。
  37. 脂質ナノ粒子内のSARS-CoV-2スパイクタンパク質のドメインをコードする30μg用量のmRNAを含む組成物。
  38. 前記ドメインが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質のアミノ(N)末端ドメインを含む、請求項35~37のいずれか1項に記載の組成物。
  39. 前記ドメインが、SARS-CoV-2スパイクタンパク質の受容体結合ドメインを含む、請求項35~37のいずれか1項に記載の組成物。
  40. 治療用量の請求項35~39のいずれか1項に記載の組成物を、前記SARS-CoV-2スパイクタンパク質の前記ドメインに対する免疫応答を生成する有効量でヒト対象に対して投与することを含む、方法。
  41. 前記対象におけるSARS-CoV-2(D614G)に対して誘導された中和抗体力価の幾何平均力価(GMT)は、2回投与後の少なくとも45日目、任意選択で、2回投与後の45~100日目では、少なくとも1,000である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記対象におけるSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価のGMTは、2回投与後の少なくとも45日後、任意選択で、2回投与後の45~100日後では、少なくとも110である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  43. 二重プロリン安定化変異を含むSARS-CoV-2スパイクタンパク質をコードするmRNAを投与した第2の対象でのSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導される中和抗体力価と比較して、前記対象におけるSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価の幾何平均比(GMR)は、2回投与後の少なくとも45日目、任意選択で、2回投与後の45~100日目では、1.05である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  44. 前記組成物の投与前の前記対象でのSARS-CoV-2(D614G)に対して誘導された中和抗体力価と比較して、前記対象でのSARS-CoV-2(D614G)に対して誘導された中和抗体力価の幾何平均上昇倍率(GMFR)は、2回投与後の少なくとも45日後、任意選択で、2回投与後の45~100日目では、少なくとも90である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
  45. 前記組成物の投与前の前記対象でのSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価と比較して、2回投与して少なくとも45日後、任意選択で、2回投与後の45~100日後の前記対象でのSARS-CoV-2(B.1.351)に対して誘導された中和抗体力価のGMFRは、少なくとも8である、請求項1~34のいずれか1項に記載の方法。
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