JP2024509823A - アムセネストラントおよびパルボシクリブによる乳がんの処置 - Google Patents

アムセネストラントおよびパルボシクリブによる乳がんの処置 Download PDF

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Abstract

本開示は、アムセネストラントとパルボシクリブとの組合せにより乳がんを処置する方法を提供する。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2021年3月2日に出願された、米国出願第63/155,687号;2021年5月18日に出願された、同第63/190,151号;2021年9月10日に出願された、同第63/242,869号;および2021年12月6日に出願された、同第63/286,457号による優先権を主張する。本出願は、2021年12月9日に出願された、欧州出願第21315270.5号に対する優先権を主張する。優先権出願の内容は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる、
乳がんは、米国の女性において、最も一般的に診断されるがんであり、2番目に多い死因である。エストロゲンおよびプロゲステロンなど、内因性ステロイドホルモンおよび外因性ステロイドホルモンのいずれもが、乳がんの発症機序に関与している。臨床的処置決定は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、およびヒト表皮増殖因子受容体2(HER2)の発現状態により駆動される。乳がんの、3つの臨床亜型:HER2+、ER+/HER2-、およびER-/PgR-/HER2-(トリプルネガティブ)が存在する。
乳がんの処置において鍵となるタンパク質標的は、ESR1遺伝子によりコードされ、乳腺腫瘍のうちの約75%において高レベルで発現されるホルモン転写調節因子である、エストロゲン受容体アルファ(ERα)である。ERαは、乳腺腫瘍が、エストロゲンの有糸分裂促進作用に応答することを可能とする。ER陽性乳がんは、アンタゴニストによる、ERへの競合的結合、またはアロマターゼ阻害剤(AI)による、エストロゲン産生の遮断を介して、ERシグナル伝達をターゲティングする治療への応答が良好である。逐次的ホルモン療法(単独または組合せにおける)は、現在のところ、進行が急速な内臓転位または症候的転移を伴わない、ER+/HER2-患者のための、転移性乳がん状況における標準治療である。この目的で使用される薬物の一般的クラスは、タモキシフェンなどの、選択的エストロゲン受容体モジュレータ(SERM);レトロゾール、アナストロゾール、およびエキセメスタンなどのAI;フルベストラントなどの、選択的エストロゲン受容体下方調節剤または選択的エストロゲン受容体分解薬(SERD);ならびにブセレリンおよびゴセレリンなどの、黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニストを含む。
残念ながら、一次耐性またはデノボ耐性を提示し、初期に応答する、一部の患者も、その後、乳がんを進行させる(獲得耐性)ので、全ての患者が、第一選択のホルモン療法に応答するわけではない。内分泌療法に対する耐性は、高頻度であるが、再発性腫瘍は、依然として、ERに依存し、これは、既往選択のホルモン療法の不奏効の後における、第二選択および第三選択の内分泌療法に対する、患者応答により強調される。エストロゲン受容体アルファシグナル伝達の再活性化は、リガンドの感受性および特異性の変化に起因して、またはエストロゲン受容体1(ESR1)の新たな突然変異により生じうる。近年の臨床研究では、エストロゲン受容体1遺伝子の突然変異が、AI療法後の再発患者において、高有病率(25%~40%)を伴うと評価され、現行の単剤療法による有用性を限定している。
SERDは、ユビキチン-プロテアソーム系を介して、ERの分解をもたらす、コンフォメーション変化もまた誘導する、競合的ERアンタゴニストである。SERDに固有の二重機能(ERのアンタゴニズムおよび枯渇)は、タモキシフェンまたはAIなど、他の内分泌剤が奏効しなかった細胞状況において、SERDが、ERシグナル伝達を遮断することを可能とする。フルベストラントは、SERDアプローチのための概念実証として用いられてきたが、この療法は、筋内投与を必須とし、適用される用量、曝露、および受容体の係合を制限する、その医薬特性不良により限定される。フルベストラントの500mgレジメン(1、14、28日目における500mg;以後、1カ月ごと)で処置された患者は、無進行生存および全生存の、当初市販された250mg投与を上回る改善を示した。しかし、処置患者のうちの38%において、18F-フルオルエストラジオール(18FES)ポジトロン断層撮影(PET)スキャンにおける取込みの阻害が不完全であったので、500mg投与のフルベストラントは、患者におけるERの結合を、十分に飽和しなかった。この受容体占有の欠如は、臨床的有用性の欠如と関連した。
したがって、投与経路(経口経路対筋内経路)、バイオアベイラビリティ、およびER受容体遮断の維持が改善された、効果的であり、かつ忍容性良好なSERD療法が、依然として必要とされている。
本開示は、それを必要とする患者における乳がんを処置する方法であって、患者へと、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩を、1日1回の用量200~400mgで経口投与する工程、および患者へと、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を、1日1回の用量75~125mgで経口投与する工程を含む方法を提供する。
一部の実施形態では、アムセネストラントの1日用量は、200mgである。一部の実施形態では、パルボシクリブの1日用量は、75、100、または125mgである。ある特定の実施形態では、パルボシクリブの1日用量は、125mgである。
一部の実施形態では、アムセネストラントおよびパルボシクリブ、または薬学的に許容されるそれらの塩は、患者へと、1つまたはそれ以上の処置サイクル(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、またはそれ以上の処置サイクル)で投与される。さらなる実施形態では、1つまたはそれ以上の処置サイクルの各々は、28日間を含むかまたはからなる。ある特定の実施形態では、患者は、1つまたはそれ以上の処置サイクルの各々の間、連続21日間に限り、アムセネストラントを毎日投与され、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を毎日投与される。ある特定の実施形態では、1つを超える処置サイクルが投与される場合、処置サイクルの直後に、後続の処置サイクルが投与される。特定の実施形態では、患者は、1つまたはそれ以上の28日間の処置サイクルにおいて、連続21日間に限り、1日200mgで毎日のアムセネストラント、および125mgで毎日のパルボシクリブにより処置される。
一部の実施形態では、患者が有する乳がんは、ホルモン受容体(HR)陽性、例えば、ER陽性かつ/またはPgR陽性である。さらなる実施形態では、乳がんは、HER2陰性である。ある特定の実施形態では、乳がんは、ER+/HER2-である。一部の実施形態では、乳がんは、進行性または転移性がんである。さらなる実施形態では、患者は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性である。
一部の実施形態では、患者におけるESR1遺伝子は、突然変異している。さらなる実施形態では、患者におけるESR1遺伝子は、突然変異である、E380Q、Y537N/S、および/またはD538Gを含有する。
一部の実施形態では、患者は、内分泌療法に不応性である。
一部の実施形態では、患者は、かつて、CDK4/6阻害剤、またはmTOR阻害剤で処置されていない。
一部の実施形態では、本処置は、患者において、部分奏効(PR)、または安定疾患(SD)を結果としてもたらす。一部の実施形態では、本処置は、患者において、無進行生存(PFS)、より特定すると、約14.7カ月間の中央値PFSを結果としてもたらす。
一部の実施形態では、本処置法は、患者を、好中球減少症または肺炎についてモニタリングする工程をさらに含む。
一部の実施形態では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩は、患者へと、カプセルまたは錠剤として提供される。
一部の実施形態では、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩は、患者へと、カプセルまたは錠剤として提供される。
別の態様では、本開示は、カプセルまたは錠剤1錠当たり200mgのアムセネストラントカプセルまたは錠、およびカプセルまたは錠剤1錠当たり125mgのパルボシクリブカプセルまたは錠を含む製造物品またはキットを提供する。一部の実施形態では、製造物品またはキットは、28錠のアムセネストラントカプセルまたは錠、および21錠のパルボシクリブカプセルまたは錠、ならびに、場合によって、ER+/HER2-乳がんを処置するための使用のための指示書を含む。
本明細書では、本明細書の方法において、乳がんを処置するために、アムセネストラントと組み合わせて使用するための、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩;および本明細書の方法において、乳がんを処置するために、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて使用するための、アムセネストラントが提供される。また、本方法において、乳がんを処置するために、アムセネストラントと組み合わせて使用される医薬の製造における、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩の使用;および本方法において、乳がんを処置するために、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて使用される医薬の製造における、アムセネストラントの使用も提供される。
本発明の、他の特色、目的、および利点は、後続の、「発明を実施するための形態」において明らかである。しかし、「発明を実施するための形態」は、本発明の実施形態および態様を指し示す一方、限定ではなく、例示だけを目的として示されることを理解されたい。当業者には、「発明を実施するための形態」から、本発明の範囲内における、多様な変化および改変が明らかとなろう。
パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラントの最適用量を決定するように企図された臨床研究を示す図である。 カットオフ日を、2021年3月30日とする、患者データベースの抽出に由来する、「プール集団活性」集団内における、BOR(最良総合効果:best overall response)、および患者の腫瘍サイズの、ベースラインからの最良相対変化を示す棒グラフである。各バーは、単一の患者を表し、星印は、データベース抽出時において、なおも処置を受ける、継続中の患者を強調する。最良総合効果は、以下:部分奏効(PR)、安定疾患(SD)、進行疾患(PD)の通りに記載される。最良相対変化は、腫瘍サイズの、ベースラインと比較した変化パーセントとして提示され、丸印は、腫瘍退縮が0%である患者を表す。BORおよび最良相対変化は、治験責任医師/地域の放射線科医師により査定された。 カットオフ日を、2021年10月4日とする、患者データベースの抽出に由来する、「プール集団活性」集団内における、BOR、および患者の腫瘍サイズの、ベースラインからの最良相対変化を示す棒グラフである。表示規則は、図2について記載された通りである。 治療効果評価可能集団(患者34例)、ならびに既往の治療、およびベースラインにおけるESR1突然変異状態に応じた亜群における組合せ処置の抗腫瘍活性を示すチャートである。
本開示は、乳がんの処置のための、アムセネストラントおよびパルボシクリブによる組合せ療法を提供する。パルボシクリブは、閉経後女性もしくは男性における、初期内分泌ベース療法としてのアロマターゼ阻害剤;または内分泌療法後に、疾患の進行を伴う患者における、フルベストラントと組み合わせた、ホルモン受容体(HR)陽性、HER2陰性である、進行性または転移性乳がんを有する成人患者の処置に適応である、キナーゼ阻害剤である。本発明者らは、ER+/HER2-進行性乳がんを有する患者において、パルボシクリブと組み合わせて、用量を200mgとして使用された場合に、SERDである、アムセネストラントが、好適な全体的な安全性プロファイルを示すことを発見した。本明細書で記載される、組合せレジメンは、ホルモン療法耐性患者中の32.4%において、客観的奏効率(ORR)を達成することが示され、患者のうちの32.4%において、部分奏効(PR)が観察され、患者のうちの64.7%において、安定疾患(SD)が観察された。臨床的有用率(CBR)は、73.5%であると測定され、疾患コントロール率(DCR)は、97.1%であると測定された。腫瘍退縮は、患者のうちの79.4%において観察され、このうち、患者2例は、標的病変の100%の退縮を示した。臨床的有用性は、ESR1突然変異を伴う患者のほぼ全て(患者8例中7例、87.5%のCBR)、および野生型ESR1を伴う患者26例中18例(69.2%のCBR)において観察された。
本明細書で記載される、組合せレジメンの、好適な安全性プロファイルは、下記でさらに詳述される。さらに、フルベストラントおよびパルボシクリブによる、既往の組合せ療法と比較して、本レジメンは、完全に、経口ベースである。したがって、本明細書における投与レジメンは、内分泌療法など、他の治療、に応答しなかったER+乳がん患者を含む、ER+乳がん患者のために、安全、活性であり、好都合な処置をもたらす。
I.治療剤
A.アムセネストラント
アムセネストラントは、化合物のSERDファミリーに属する、強力であり、経口バイオアベイラビリティを有する、選択的ER阻害剤である。アムセネストラントは、完全なエストロゲン受容体アンタゴニスト特性を有し、プロテアソームによるERの分解を加速化させる。アムセネストラント(別名:SAR439859)は、6-(2,4-ジクロロフェニル)-5-[4-[(3S)-1-(3-フルオロプロピル)ピロリジン-3-イル]オキシフェニル]-8,9-ジヒドロ-7H-ベンゾ[7]アヌレン-2-カルボン酸、または8-(2,4-ジクロロフェニル)-9-(4-{[(3S)-1-(3-フルオロプロピル)ピロリジン-3-イル]オキシ}フェニル)-6,7-ジヒドロ-5Hベンゾ[7]アヌレン-3-カルボン酸(C3130l2FNO)の化学名を有する。また、WO2017/140669も参照されたい。アムセネストラントは、以下の構造式(I)を有する:
Figure 2024509823000001
アムセネストラントは、さらなる対イオンを伴わない、双性イオン性(すなわち、1つの酸性基と、1つの塩基性基とを有することから、全体として中性の分子である)アムセネストラントとして提供される。アムセネストラントはまた、1つまたはそれ以上のさらなる酸性分子または塩基性分子を伴う塩の形態でも提供される。そうでないことが注記されない限りにおいて、患者へと投与される、アムセネストラントの用量は、投与される、遊離双性イオン性(すなわち、非帯電)アムセネストラントの用量を指し、対イオンの重量を含まない。
本明細書で使用される、アムセネストラントは、他の有効成分を伴うか、またはこれを伴わない、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物により提供される。医薬組成物は、典型的に、例えば、溶液、分散液、懸濁液、錠剤、カプセルなどの形態でありうる。医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤および/または担体である、不活性成分を含みうる。アムセネストラントは、典型的に、経口投与される。患者は、医薬を、食物と共に服用する場合もあり、食物を伴わずに服用する場合もある。
一部の実施形態では、アムセネストラントは、アムセネストラント100mgを含むカプセルとして製剤化された経口投与に適する。
B.パルボシクリブ
パルボシクリブは、サイクリン依存性キナーゼである、CDK4およびCDK6の阻害剤である。パルボシクリブは、Ibrance(登録商標)の商標名下で市販されており、また、6-アセチル-8-シクロペンチル-5-メチル-2-{[5-(ピペラジン-1-イル)ピリジン-2-イル]アミノ}ピリド[2,3-d]ピリミジン-7(8H)-オンとも称される。パルボシクリブの分子式は、C2429である。パルボシクリブの構造式を、下記に示す:
Figure 2024509823000002
また、WO2003/062236も参照されたい。
パルボシクリブは、pKaを、7.4(第二級ピペラジン窒素)~3.9(ピリジン窒素)とする、黄色~オレンジの粉末でありうる。pH4またはそれ以下において、パルボシクリブは、高可溶性化合物として挙動する。pH4を上回ると、原薬の可溶性は、著明に低減される。
本明細書で使用される、パルボシクリブは、他の有効成分を伴うか、またはこれを伴わない、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を含む医薬組成物により提供される。医薬組成物は、例えば、溶液、分散液、懸濁液、錠剤、カプセルなどの形態でありうる。医薬組成物は、薬学的に許容される賦形剤および/または担体である、不活性成分を含みうる。パルボシクリブは、典型的に、経口投与される。患者は、それぞれ、承認されたカプセル製剤または錠剤製剤についての表示に従い、医薬を、食物と共に服用する場合もあり、食物を伴わずに服用する場合もある。一部の実施形態では、パルボシクリブが、カプセルの形態で提供される場合、患者は、医薬を、食物と共に服用しうる。
一部の実施形態では、パルボシクリブは、経口投与に適し、カプセルまたは錠剤1錠当たりのパルボシクリブの有効性成分含量を、125mg、100mg、または75mgとする、カプセルまたは錠剤として製剤化される。一部の実施形態では、パルボシクリブカプセルは、以下の不活性成分:結晶セルロース、ラクトース一水和物、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸マグネシウム、および硬質ゼラチンカプセルシェルのうちの1つまたはそれ以上、例えば、全てを含みうる。一部の実施形態では、パルボシクリブ錠は、以下の不活性成分:結晶セルロース、コロイド状二酸化ケイ素、クロスポビドン、ステアリン酸マグネシウム、コハク酸、HPMC 2910/ヒプロメロース、二酸化チタニウム、トリアセチン、および着色剤(例えば、FD&C Blue#2、Indigo Carmine Aluminum Lake、赤酸化鉄、または黄酸化鉄)のうちの1つまたはそれ以上、例えば、全てを含みうる。
パルボシクリブは、さらなる対イオンを伴わない、遊離塩基形態で提供される場合もあり、1つまたはそれ以上のさらなる分子を伴う塩の形態で提供される場合もある。そうでないことが注記されない限りにおいて、患者へと投与される、パルボシクリブの用量は、投与された、遊離塩基(すなわち、非帯電)パルボシクリブの用量を指し、対イオンの重量を含まない。
II.処置レジメン
患者は、患者が、もはや処置から利益を得ないか、疾患の進行を示すか、または許容不可能な毒性を示すまで;少なくとも4、8、12、16、20、もしくは24週間またはそれ以上にわたり、本開示の処置レジメンを施される。
本明細書で使用される、アムセネストラントまたはパルボシクリブの投与は、患者による自己投与(例えば、患者による経口摂取)を含む。
一部の実施形態では、アムセネストラントは、1日の総量を200または400mgとして投与される。アムセネストラントは、1日1回(QD)(すなわち、24時間ごとに1回)経口投与される。一部の実施形態では、アムセネストラントは、各日の午前中、ほぼ同時(±3時間)に投与される。アムセネストラントを含むカプセルまたは錠剤は、全てが、グラス1杯の非炭酸水と共に嚥下される。アムセネストラントを服用した後で、患者は、口腔内をすすぐのにもまた使用される、2杯目の水を飲むことができる。一部の実施形態では、カプセルは、合計およそ240mLの水により嚥下される。
一部の実施形態では、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩は、各サイクルが、処置中の連続21日間(すなわち、3週間)に続き、7日間(すなわち、1週間)にわたる処置休止(パルボシクリブなし)を有し;このため、各処置サイクルが、28日間(すなわち、4週間)を有する、1つまたはそれ以上の処置サイクルで、患者へと投与される。サイクル内の処置日において、患者は、1日1回(QD)、単回投与用量のパルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を、経口により服用しうる。一部の実施形態では、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩は、ほぼ同時(±3時間)に服用される。パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩は、パルボシクリブ75mg、100mg、または125mgを含む、カプセルまたは錠剤として服用される。明確さのために述べると、用量を125mgとして処置された場合に、患者が、毒性および/または有害事象を経る場合、またはパルボシクリブについての表示において想定される通り、患者プロファイルおよび併用治療に従い、用量75および100mgが、患者へと投与されるものとする。一部の実施形態では、パルボシクリブは、グレープフルーツジュースと共に服用されない。
一部の実施形態では、患者は、各処置サイクルが、4週間(28日間)の長さにわたる、1つまたはそれ以上の処置サイクルにおける、アムセネストラント/パルボシクリブの組合せ療法により処置される。各処置サイクル(「4週間」サイクル)において、患者は、1日1回、200または400mgにおけるアムセネストラントを服用する一方で、1日1回、75、100、または125mgで、連続3週間(連続21日間)にわたる、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩の服用に続く、1週間(7日間)にわたる処置休止(パルボシクリブなし)(「3週間/1週間」)下に置かれる。ある特定の実施形態では、患者は、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおいて、1日1回のアムセネストラント200mg、および1日1回、3週間/1週間にわたる、パルボシクリブ125mgにより処置される。ある特定の実施形態では、患者は、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおいて、1日1回のアムセネストラント400mg、および1日1回、3週間/1週間にわたる、パルボシクリブ125mgにより処置される。両方の医薬が服用される当日において、2つの医薬は、併せて服用される場合もあり、逐次的に服用される場合もある。例えば、2つの医薬は、30分間を超える時間を隔てて、例えば、1時間、3時間、6時間、または12時間を超える時間を隔てて服用される。
ある特定の実施形態では、患者は、1つ、2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つ、10、11、12、またはそれ以上の処置サイクル(すなわち、1日1回のアムセネストラントによる4週間サイクル/1日1回のパルボシクリブによる3週間/1週間サイクル)処置される。一部の実施形態では、処置は、患者が、処置から、もはや利益を得なくなるまで継続される。他の一部の実施形態では、処置は、患者が、許容不可能な毒性を示すまで継続される。他の一部の実施形態では、処置は、患者が、疾患の進行を示すまで継続される。
処置期間中に、患者は、疾患状態について、かつ/または用量補正のために、定期的にモニタリングされる。
処置期間中に(すなわち、1つまたはそれ以上の処置サイクル)、患者は、毒性および有害事象を含む、可能な副作用についてもまたモニタリングされると有利である。特に、血液毒性(例えば、好中球減少症)、強力なCYP3A阻害剤の併用、または肝機能障害の場合に、パルボシクリブについての表示に従い、パルボシクリブまたは薬学的に許容されるその塩の用量の改変(例えば、投与の中断または軽減、または処置サイクルの開始の遅延)が実施される。例えば、好中球減少症および肺炎(例えば、間質性肺疾患または肺炎)などの肺問題の発生可能性について、患者の血球数および肺機能がモニタリングされる。組合せ療法の開始の前、各サイクルの開始時のほか、サイクル中に(例えば、最初の2つのサイクルの15日目に)、かつ臨床的に適応である通りに、患者の全血球数が測定される。
処置期間中に、患者は、強力なCYP3A阻害剤またはCYP3A誘導剤の併用を回避するように勧められる。
III.患者の選択
本組合せ療法は、ホルモン受容体(HR)陽性乳がん患者に対して使用される。一部の実施形態では、患者は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する。さらなる実施形態では、患者は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性である。ある特定の実施形態では、本組合せ療法は、閉経後女性、または内分泌療法の後に、疾患が進行した患者(例えば、≧18歳の成人患者)における、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを処置するのに使用される。さらなる実施形態では、このような患者のための治療は、1つまたはそれ以上の、3週間/1週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回のパルボシクリブ125mgによる経口投与を含む。
閉経後女性は、60歳を超える女性の場合もあり;≦60歳である女性の場合もあり、
(i)化学療法である、タモキシフェンおよび/またはトレミフェンの非存在下で、登録の>12カ月前に、月経が自発的停止した女性;
(ii)登録前に、月経停止の持続期間が、≦12カ月間であるか、もしくは子宮摘出に続発し、また、濾胞刺激ホルモン(FSH)レベルが、施設基準に従い、閉経後範囲内にもある女性;
(iii)ホルモン置換療法を施されたが、この処置が中断され、また、FSHレベルが、施設基準に従い、閉経後範囲内にもある女性;
(iv)両側卵巣摘出術後状態を経た女性;ならびに/または
(v)少なくとも6カ月間にわたり、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)類似体により処置されており、研究処置の開始前の妊娠検査、および処置期間中の間隔を毎月1回とする妊娠検査が陰性であった女性
の場合もある。一部の実施形態では、FSHレベルについての閉経後範囲は、>34.4IU/Lである。
一部の実施形態では、患者は、治癒を意図する放射線療法または手術に適さない、手術不可能性、転移性疾患、および/または局所進行性がんの証拠を伴う乳腺腺癌について、組織学的に、または細胞学的に実証された診断を有する。
一部の実施形態では、患者は、ERについて陽性であり、また、HER2を過剰発現させもしない、原発腫瘍または任意の転移性部位を有する。原発腫瘍または任意の転移性部位は、腫瘍細胞のうちの>1%が、免疫組織化学(IHC)により染色される場合に、ERについて陽性であると判断される。原発腫瘍または任意の転移性部位は、例えば、IHC(0、1+)、またはin situハイブリダイゼーション(米国臨床腫瘍学会のガイドラインに従い、細胞1個当たりのシグナル数<4.0個である、単一プローブによる平均HER2コピー数、もしくは平均HER2コピー数を、細胞1個当たりのシグナル数<4.0個とする、二重プローブによるHER2/17番染色体のセントロメア部分(CEP17)比<2に基づく陰性)を使用することにより、HER2を過剰発現させないと判断される。
一部の実施形態では、患者は、RECIST v1.1基準(固形がん治療効果判定基準;Eisenhauerら、Eur J Cancer.(2009年)、45(2):228~47頁を参照されたい)による、測定可能病変または測定可能悪性リンパ節を有する。測定可能病変とは、最小の最大直径を、
(i)CTスキャンによる10mm(CTスキャンのスライス厚を、5mm以下とする);
(ii)臨床検査によるキャリパー測定値10mm(キャリパーにより正確に測定されない病変は、測定不可能であると記録されるものとする);または
(iii)胸部X線による20mm
とする、少なくとも1つの次元(測定値が記録される平面内における)において、正確に測定される腫瘍病変を指す。測定可能悪性リンパ節とは、病理学的に肥大し、測定可能であるリンパ節である。悪性リンパ節は、CTスキャンにより査定される場合に、短軸が、≧15mm(CTスキャンのスライス厚は、5mm以下であることが推奨される)でなければならない。
一部の実施形態では、患者は、進行性/転移性疾患のための、既往の化学療法的レジメンを経ている。既往の化学療法処置は、抗体薬物コンジュゲート(ADC)による処置を含む。一部の実施形態では、患者は、1つ以下の既往の化学療法的レジメンを施されている。一部の実施形態では、患者は、進行性乳がんのための、少なくとも6カ月間にわたる、既往の内分泌療法を施されている。一部の実施形態では、患者は、2つ以下の既往の内分泌選択治療を経ている。一部の実施形態では、患者は、かつて、アジュバント内分泌療法施与中に、早期進行した患者、または処置期間の完了後12カ月間以内に、アジュバント内分泌療法施与中に進行した患者である。
IV.処置転帰および腫瘍応答の評価
本組合せ療法は、患者において、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、または安定疾患(SD)を結果としてもたらすことが可能であり、進行疾患(PD)を防止しうる。バイオイメージングは、治療に対する応答のレベルについて評価するのに使用される。細胞学および組織学もまた、必要に応じて(例えば、残留病変を位置特定するのに)使用される。一部の実施形態では、多様なレベルの応答が、下記の表1および2に従い評価される。
Figure 2024509823000003
Figure 2024509823000004
最初の腫瘍応答(CRまたはPR)までの時間は、研究処置の最初の投与日~CRまたはPR(その後、確認される)の最初の発生日の時間間隔として規定される。客観的奏効率(ORR)は、RECIST v1.1に従い決定され;確認されたCRまたはPRに対応する。臨床的有用率(CBR)として表される、臨床的有用性(≧24週間にわたるCR+PR+SD)は、RECIST v1.1に従い査定される(Eisenhauerら、Eur J Cancer.(2009年)、45(2):228~47頁)。疾患コントロール率(DCR)は、CR、PR、またはSDに対応する。PRまたはCRは、抗腫瘍性応答を確認するために、少なくとも4週間を隔てて行われる、2回目の検査において確認される。
最良総合効果(BOR)について評価するために、CRが、第1の時点において実際に満たされる場合、後続の時点において見られる、任意の疾患は、ベースラインと比べて、PR基準を満たす疾患であってもなお、第2の時点において、疾患を、PDとする(CRの後で、疾患が再出現したので)。最良効果は、SDについて、最小の持続期間が満たされたのかどうかに依存する。しかし、場合によって、後続のスキャンが、小型病変が、なおも存在する可能性が高いことを示唆し、実際、第1の時点において、患者が、CRではなく、PRを有した場合は、「PR」が主張される場合もある。これらの状況下では、元のCRは、PRへと変化され、最良効果は、PRとなる。最良総合効果は、患者についての全てのデータが知られたら決定される。一部の実施形態では、全奏効および最良総合効果を決定する基準は、それぞれ、表3および4に従い評価される。
Figure 2024509823000005
Figure 2024509823000006
一部の実施形態では、ORRおよび臨床的有用率(CBR)は、患者において、それらのESR1状態(突然変異ESR1または野生型ESR1)に基づき査定される。ESR1状態は、例えば、血漿循環DNAの抽出の後に、マルチプレックス液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)を使用することにより決定される。
一部の実施形態では、本治療(例えば、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブ)は、処置された患者のうちの、少なくとも20%、例えば、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30%において、客観的奏効をもたらす。さらなる実施形態では、治療は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性において、この結果を達成する。
一部の実施形態では、本治療(例えば、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブ)は、処置された患者のうちの、少なくとも20%、例えば、少なくとも21、22、23、24、25、26、27、28、29、または30%において、PRをもたらす。さらなる実施形態では、治療は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性において、この結果を達成する。
一部の実施形態では、本治療(例えば、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブ)は、処置された患者のうちの、少なくとも50%、例えば、少なくとも55、60、61、または62%において、SDをもたらす。さらなる実施形態では、治療は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性において、この結果を達成する。
一部の実施形態では、本治療(例えば、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブ)は、処置された患者のうちの、少なくとも60%(CBR)、例えば、少なくとも65、70、71、72、73、または74%において、臨床的有用性をもたらす。別の実施形態では、前記本治療は、それらのESR1突然変異状態に関わらず、患者において、臨床的有用性をもたらす。さらなる実施形態では、ESR1突然変異を伴う患者におけるCBRは、少なくとも80%、例えば、少なくとも85、86、または87%である。さらなる実施形態では、野生型ESR1を伴う患者におけるCBRは、少なくとも60%、例えば、少なくとも65、66、67、68、69、または70%である。さらなる実施形態では、治療は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性において、これらのCBRのうちの1つを達成する。
一部の実施形態では、本治療(例えば、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブ)は、処置された患者のうちの、少なくとも80%、例えば、少なくとも85、90、95、96、または97%において、疾患コントロールをもたらす。さらなる実施形態では、治療は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性において、この結果を達成する。
一部の実施形態では、本治療(例えば、1つまたはそれ以上の、4週間処置サイクルにおける、1日1回のアムセネストラント200mg/1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブ)は、例えば、約14.7カ月間など、約12~15カ月間、またはそれ以上の中央値無進行生存を結果としてもたらす。
V.製造物品およびキット
本開示はまた、製造物品、例えば、1回またはそれ以上の回数の投与のための投与量のアムセネストラントおよび/もしくはパルボシクリブ、または薬学的に許容されるそれらの塩、ならびに患者のための指示書(例えば、本明細書で記載される方法に従う処置のための)を含むキットも提供する。アムセネストラントおよび/またはパルボシクリブ錠またはカプセルは、ブリスター包装され、次いで、カード化される。一部の実施形態では、各アムセネストラントカプセルまたは錠は、アムセネストラント100mgを含有する。一部の実施形態では、各パルボシクリブカプセルまたは錠は、パルボシクリブ75、100、または125mgを含有する。本開示はまた、前記物品を製造するための方法も含む。アムセネストラントおよびパルボシクリブ、または薬学的に許容されるそれらの塩は、適切な包装で、併せてパッケージングされる場合もあり、個別にパッケージングされる場合もある。
一部の実施形態では、各パッケージまたはキットは、カプセルまたは錠剤1錠当たりの有効性成分含量を200mgとする、アムセネストラントのカプセルまたは錠剤28錠、およびカプセルまたは錠剤1錠当たりの有効性成分含量を125mgとする、パルボシクリブのカプセルまたは錠剤21錠を含有する。本発明はまた、前記物品を製造するための方法も含む。
VI.例示的実施形態
本開示は、いくつかの例示的実施形態を提供する。本明細書では、がんの処置における使用のための、アムセネストラント200mg、または薬学的に許容されるその塩と、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩とを含む組合せのほか、上記で記載された、医薬組成物およびキットが提供される。
本明細書では、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩との共投与によるがんの処置における使用のための、アムセネストラント200mg、または薬学的に許容されるその塩が提供される。
本明細書では、アムセネストラント200mg、または薬学的に許容されるその塩との共投与によるがんの処置における使用のための、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩が提供される。
別の実施形態では、がんは、ホルモン依存性がんである。
別の実施形態では、がんは、エストロゲン受容体依存性がんであり、特に、がんは、ERα依存性がんである。
本明細書では、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんを処置する方法であって、それを必要とする対象へと、上記で記載された医薬組成物を投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんを処置する方法であって、それを必要とする対象へと、上記で記載された組合せを投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんを処置する方法であって、それを必要とする対象へと、アムセネストラント200mg、または薬学的に許容されるその塩、およびパルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を共投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんを処置する方法であって、それを必要とする対象へと、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩、およびアムセネストラント200mg、または薬学的に許容されるその塩を共投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして投与する工程を含み、前記患者はまた、パルボシクリブ療法も受けている方法もまた提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして、1日用量を125mgとするパルボシクリブと組み合わせて投与する工程を含む方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、ヒト患者のためである方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、乳がんは、ER陽性がんである方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、乳がんは、ヒトHER2陰性がんである方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、乳がんは、ER陽性がん、ヒトHER2陰性がんである方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、患者は、女性である方法が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、患者は、閉経後女性である方法が提供される。
本明細書では、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんの処置において有用な医薬の製造のための、アムセネストラント200mg、または薬学的に許容されるその塩と、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩とを含む組合せが提供される。
本明細書では、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩との共投与による、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんの処置において有用な医薬の製造における、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩との共投与による、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんの処置において有用な医薬の製造における、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
本明細書では、転移性乳がんまたは進行性乳がんの処置における使用のために、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせた、1日用量を150~600mgとするアムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
本明細書では、1日用量を200mgとするアムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩は、1日用量を125mgとする使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、ヒト患者のためである使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、乳がんは、ER陽性がんである使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、乳がんは、ヒトHER2陰性がんである使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、乳がんは、ER陽性がん、ヒトHER2陰性がんである使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、患者は、女性である使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用であって、患者は、閉経後女性である使用が提供される。
本明細書では、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんの処置において有用な医薬の製造のための、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩と、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩とを含む組合せが提供される。
本明細書では、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩との共投与による、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんの処置において有用な医薬の製造における、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
本明細書では、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩との共投与による、上記で指し示された病理学的状態、特に、乳がんの処置において有用な医薬の製造における、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩の使用が提供される。
本明細書では、パッケージング材料;上記で規定された組合せ、医薬組成物、または医薬キット;および前記組合せ、医薬組成物、または医薬キットが、がんの処置のために、患者へと投与されることを指し示す、前記パッケージング材料内に含有された標識または添付文書を含む、製造物品、パッケージング、または投与単位が提供される。
本開示の、さらなる、非限定的な例示的実施形態は、下記に示される。
1.転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて投与する工程を含む方法。
2.転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして投与する工程を含み、前記患者はまた、パルボシクリブ療法も受けている方法。
3.転移性乳がんまたは進行性乳がんを処置する方法であって、それを必要とする患者へと、アムセネストラントを、1日用量を200mgとして投与し、パルボシクリブを、1日用量を125mgとして投与する工程を含む方法。
4.パルボシクリブは、1日用量を125mgとする、実施形態1または実施形態2に記載の方法。
5.ヒト患者のためである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
6.乳がんは、エストロゲン受容体陽性がんである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
7.乳がんは、ヒト表皮増殖因子受容体2陰性がんである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
8.乳がんは、エストロゲン受容体陽性がん、ヒト表皮増殖因子受容体2陰性がんである、実施形態1~4のいずれかに記載の方法。
9.患者は、女性である、実施形態1~8のいずれかに記載の方法。
10.患者は、閉経後女性である、実施形態1~9のいずれかに記載の方法。
11.転移性乳がんまたは進行性乳がんの処置における使用のために、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせた、1日用量を200mgとするアムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩。
12.パルボシクリブは、1日用量を125mgとする、実施形態11に記載の使用のための化合物。
13.前記使用は、ヒト患者のためである、実施形態11または12に記載の使用のための化合物。
14.乳がんは、エストロゲン受容体陽性がんである、実施形態11~13のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
15.乳がんは、ヒト表皮増殖因子受容体2陰性がんである、実施形態11~13のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
16.乳がんは、エストロゲン受容体陽性がん、ヒト表皮増殖因子受容体2陰性がんである、実施形態11~13のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
17.患者は、女性である、実施形態11~16のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
18.患者は、閉経後女性である、実施形態11~16のいずれか1項に記載の使用のための化合物。
本明細書で、そうでないことが規定されない限りにおいて、本開示との関連で使用される、学術用語および技術用語は、当業者により、一般に理解される意味を有するものとする。下記では、例示的な方法および材料が記載されるが、本開示の実施または試験では、本明細書で記載される方法および材料と同様であるか、または同等である、方法および材料もまた使用される。齟齬が生じた場合は、定義を含む、本明細書に従うものとする。一般に、当技術分野では、本明細書で記載される、神経科学、内科学、医用化学および創薬化学、ならびに細胞生物学との関連で使用される命名法、およびこれらの技法が周知であり、一般に使用される。酵素反応および精製技法は、製造元の仕様に従い、当技術分野で一般に達せられる通りに、または本明細書で記載される通りに実施される。さらに、文脈によりそうでないことが要求されない限りにおいて、単数形の用語は、複数形の用語を含み、複数形の用語は、単数形を含むものとする。本明細書および実施形態を通して、「~を有する(have)」および「~を含む(comprise)」という語、または「~を有する(has)」、「~を有すること」、「~を含む(comprises)」、または「~を含むこと」など、これらの変化形は、言明された整数または整数群の包含を含意するが、他の整数または整数群の除外を含意しないように理解されるものとする。本明細書で言及される、全ての刊行物、および他の参考文献は、参照によってそれらの全体が組み込まれる。本明細書では、いくつかの文献が引用されるが、この引用は、これらの文献のいずれかが、当技術分野において、共通の一般的知見の一部を形成することの容認を構成するわけではない。本明細書で使用される、目的の、1つまたはそれ以上の値へと適用される、「およそ」または「約」という用語は、言及された参照値と同様の値を指す。ある特定の実施形態では、用語は、そうでないことが言明されない限りにおいて、またはそうでないことが文脈から明らかでない限りにおいて、いずれの方向においても(それらを超える方向において、またはこれら未満の方向において)、言明された参照値から、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはこれ未満以内の値の範囲を指す。
本発明が、よりよく理解されるために、以下の例が明示される。これらの例は、例示だけを目的とするものであり、いかなる形であれ、本発明の範囲を限定するものとはみなされないものとする。
略号一覧
aBC:進行性乳がん
AE:有害事象
AI:アロマターゼ阻害剤
ALT:アラニンアミノトランスフェラーゼ
AST:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ
AUC:血漿濃度-時間曲線下面積
BID:1日2回
BOR:最良総合効果
CBR:臨床的有用率
CDK:サイクリン依存性キナーゼ
CDK4/6i:サイクリン依存性キナーゼ4/6阻害剤
cfDNA:循環遊離DNA
COD:カットオフ日
CR:完全奏効
DCR:疾患コントロール率
ddPCR:デジタル液滴ポリメラーゼ連鎖反応
DLT:用量制限毒性
ECOG:米国東海岸臨床試験グループ
ER:エストロゲン受容体
ER+:エストロゲン受容体陽性
ESR1:エストロゲン受容体1
ET:内分泌療法
FES-PET:フルオロエストラジオールポジトロン断層撮影
HER2:ヒト表皮増殖因子受容体2
HER2-:ヒト表皮増殖因子受容体2陰性
hr:時間
IB:治験薬概要書
MAD:最大投与用量
MedDRA PT:国際医薬用語集/基本語
mTORi:哺乳動物ラパマイシン標的タンパク質阻害剤
NCI-CTCAE:米国国立がん研究所有害事象共通用語基準
ORR:客観的奏効率
PET:ポジトロン断層撮影
PI3K:ホスホイノシチド3キナーゼ
PD:進行疾患
PDy:薬力学
PFS:無進行生存
PgR:プロゲステロン受容体
PgR+:プロゲステロン受容体陽性
PK:薬物動態
PR:部分奏効
QD:1日1回
RD:推奨用量
RDI:相対用量強度
RECIST:固形がんの効果判定のためのガイドライン
RP2D:フェーズ2推奨用量
SAE:重篤な有害事象
SD:安定疾患
SERD:選択的エストロゲン受容体分解薬
SERM:選択的エストロゲン受容体モジュレータ
SOC:器官別大分類
TEAE:処置下で発生した有害事象
TRAE:処置関連有害事象
臨床試験プロトコール
本実施例は、下記の実施例において記載される研究のために使用された、臨床試験プロトコールについて記載する。本研究は、エストロゲン受容体陽性進行性乳がんを有する閉経後女性における、パルボシクリブと組み合わせて経口投与された、アムセネストラントの、安全性、効能、薬物動態、および薬力学の評価についての、フェーズ1/2研究である。
研究目的
パルボシクリブを伴う、用量漸増組合せ研究(「パートC」)について、研究の主要目的は、エストロゲン受容体(ER)陽性かつヒト表皮増殖因子受容体2(HER2)陰性である、進行性乳がんを有する閉経後女性において、パルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントの、用量制限毒性(DLT)の発生率について査定し、最大耐量(MTD)のほか、推奨用量(RD)を決定することである(図1)。
アムセネストラントおよびパルボシクリブを伴う組合せ療法の用量拡大研究(「パートD」)について、研究の主要目的は、パルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントの、全体的な安全性プロファイルを特徴付けることである(図1)。
パートCおよびパートD(そうでないことが言及されない限りにおいて)の副次的目的は、
・パルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントの、全体的な安全性プロファイルを特徴付けること(パートC);
・パルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントの薬物動態(PK)プロファイルのほか、アムセネストラントと組み合わせたパルボシクリブのPKプロファイルを特徴付けること;
・RECIST v1.1に従い、パルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントについての臨床的有用率(≧24週間後における、CBR、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、および安定疾患(SD))、および無進行生存(PFS)である、ORRを使用して、抗腫瘍活性について評価すること;
・パートDにおいて、ベースラインおよび処置期間中における、エストロゲン受容体1(ESR1)の遺伝子突然変異状態(突然変異体ESR1および野生型ESR1)に従い、ORRおよびCBR(≧24週間後における、CR、PR、およびSD)について評価すること;ならびに
・パートDにおいて、最初の腫瘍応答(CRまたはPR)までの時間について評価すること
である。
探索目的は、アムセネストラントおよびパルボシクリブのPK/薬力学(PD)関係について評価し、循環遊離DNA(cfDNA)解析により、時間経過にわたる腫瘍遺伝子の突然変異プロファイル(すなわち、ベースラインと、処置終了(EOT)時との間の変化)を決定することである。
研究デザイン
これは、ER陽性かつHER2陰性である、進行性乳がんを有する閉経後女性における、パルボシクリブと組み合わせて経口投与されたアムセネストラントについての、オープンラベル、非比較であり、用量漸増および用量拡大を伴う、安全性、効能、PK、およびPDの評価研究である。パートCは、推奨標準投与量のパルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントの、安全性、PK、およびPDについて評価する、用量漸増研究である。パートDは、選択用量(複数可)(パートCから)で、パルボシクリブと組み合わせて投与された、アムセネストラントの、全体的な安全性、PK、およびPDを特徴付ける、用量拡大研究である。
パートCは、パルボシクリブが、固定用量で施される、3+3標準用量漸増デザインを使用して、2つのアムセネストラント用量レベルによるスケジュールについて査定することが期待される。必要とされる場合、さらなる、1日2回投与についても調べられるだろう。2つの薬物の用量レベルを、下記の表に示す。
Figure 2024509823000007
3~6例の評価可能患者を、各用量レベルで処置し、用量漸増の決定は、最初の3例の評価可能患者について、少なくとも1つのサイクル期間(すなわち、28日間)にわたり観察されたDLTに基づく。最初の評価可能患者3例中1例が、サイクル1において、DLTを経る場合、このコホートは、合計総6例の患者により拡大される。最初の患者3例が、DLTを経験しないか、またはDLTを経験した患者が、6例中2例未満である場合、用量漸増は、次の用量レベルへと進む。最初の患者が、1週間にわたり、アムセネストラントおよびパルボシクリブを施され、DLTを伴わなかった場合、所与のコホートのうちの、2例目および3例目の患者だけが登録される。現行用量レベルで処置された、少なくとも3例の患者が、少なくとも1つのサイクル期間(すなわち、28日間)にわたり追跡され、DLT査定について評価可能となる前に、次の用量レベルにおける登録には進むことはできない。
DLT観察期間の終了前の早期に、DLT以外の理由で研究処置を中断した患者は、置きかえなければならない。
原則として、用量漸増は、サイクル1において、評価可能患者のうちの、≧33%(最大6例中2例の患者)が、DLTを経た用量である、MADに到達した場合に停止される。MTDは、最大6例の評価可能患者中1例以下の患者が、DLTを経験した、最高用量レベルとして規定される。MTDは、MADを1用量レベル下回る用量レベル、またはMADに到達しなかった場合の被験最高用量である。
用量漸増工程は、処置のサイクル1中の安全性評価により導かれるが、後続の投与後に観察される、累積毒性または不可逆的毒性のほか、研究委員会からの推奨があれば、任意の関与性の情報もまた、用量漸増および用量選択決定(すなわち、中用量レベルである、所与の用量レベルの拡大)のために検討される。
研究のパートDについて述べると、用量漸増フェーズ(パートC)が終了したら、拡大コホート(パートD)のために、少なくとも1つの推奨用量を提起し、およそ28例の患者を、選択された(パートCから)各推奨用量で処置するものとする。
研究集団
研究の2つのパートのための組入れ基準は、以下:
I 01.以下:
a)>60歳の女性;または
b)≦60歳の女性:
・化学療法である、タモキシフェンおよびトレミフェンの非存在下で、登録の>12カ月前に、月経が自発的停止した女性;
・または登録前に、月経停止の持続期間が、≦12カ月間であるか、もしくは子宮摘出に続発し、濾胞刺激ホルモン(FSH)レベルが、施設基準(または施設による範囲が入手可能でない場合は、>34.4IU/L)に従い、閉経後範囲内にある女性;
・または登録前に、ホルモン置換療法を施されたが、この処置が中断され、FSHレベルが、施設基準(または施設による範囲が入手可能でない場合は、>34.4IU/L)に従い、閉経後範囲内にある女性;
・または両側卵巣摘出術後状態を伴う女性;
・または少なくとも6カ月間(研究処置期間中に継続される)にわたり、性腺刺激ホルモン放出ホルモン(GnRH)類似体を施与中の閉経前女性であり、研究処置の開始前の妊娠検査、および処置期間中の間隔を毎月1回とする妊娠検査が陰性である女性
の1つにより規定される、閉経後女性;
I 02.治癒を意図する放射線療法または手術に適さない局所進行性であり、手術不可能であり、かつ/または転移性疾患の証拠を伴う乳腺腺癌について、組織学的に、または細胞学的に実証された診断がなされた患者;
I 03.原発腫瘍または任意の転移性部位が、ERについて陽性(免疫組織化学(IHC)による腫瘍細胞染色が、>1%である)であること;
I 04.原発腫瘍または任意の転移性部位が、IHCによる、HER2非過剰発現性(0、1+)であるか、または米国臨床腫瘍学会のガイドラインに従い、細胞1個当たりのシグナル数<4.0個である、単一プローブによる平均HER2コピー数、もしくは平均HER2コピー数を、細胞1個当たりのシグナル数<4.0個とする、二重プローブによるHER2/17番染色体のセントロメア部分(CEP17)比<2に基づく、in situハイブリダイゼーション陰性であること;
I 05.進行性/転移性疾患のための、既往の化学療法は、許容される(研究内の化学療法と考えられる、抗体薬物コンジュゲートを含む)が、患者が施される、既往の化学療法レジメンは、1つ以下でなければならないこと;
I 06.組入れられる患者は、少なくとも6カ月間にわたり、進行性乳がんのための、既往の内分泌療法を施されていなければならない。パートDのために許容される、既往の内分泌選択治療は、2つ以下である。アジュバント内分泌療法施与中に早期進行した患者、または完了後12カ月間以内のアジュバント内分泌療法施与中に進行した患者は、適格であること;
I 07.組入れられる全ての患者は、≧18歳であること;
I 08.患者は、RECIST v1.1による、測定可能病変を有すること
の通りである。
患者選択のための除外基準は、以下:
研究方法と関連する除外基準:
E 01.米国東海岸臨床試験グループ(ECOG)パフォーマンスステータスが、≧2であること;
E 02.治験責任医師または治験依頼者の見解において、患者の研究への参加に有害な影響を及ぼす、精神科状態を含む、著明な併発疾病;
E 03.アムセネストラントおよび/またはパルボシクリブの吸収に、潜在的に影響を及ぼす、消化器障害の既往歴、または進行中の同消化器障害;
E 04.ヒト免疫欠損症ウイルス(HIV)または未解明のウイルス性肝炎と関連する任意の悪性腫瘍;
E 05.平均余命が、3カ月未満である患者;
E 06.いかなる理由であれ、医学的状態もしくは臨床状態、または潜在的に、研究手順不履行の危険性がある患者を含む、治験責任医師により判断される理由のために、参加に適さない患者;
E 07.初回の研究処置投与の4週間前以内における、大規模手術;
E 08.他の任意のがんを有する患者。しかし、十分に処置された皮膚基底細胞がんもしくは皮膚扁平上皮がんもしくは子宮頸部上皮内がん、または患者が、>3年間にわたり、非罹患である、他の任意のがんを有する患者は可能とする;
疾患と関連する除外基準:
E 11.脳転移、髄膜癌腫症、または/および脊髄圧迫を伴うことが既知である患者;4週間にわたる処置中に、進行または再発が観察されないことを条件として、脳転移を伴うが、既に、完全に切除されているか、または根絶されている患者は、適格である;
E 12.初回の研究処置投与の2週間未満(抗がん剤が、抗体である場合は、4週間未満)前における、抗がん剤(治験薬を含む)による処置;
E 13.初回の研究薬投与の前に、少なくとも6週間にわたる休薬期間が要求される、フルベストラントを除く、別の選択的ER下方調節剤(SERD)による既往の処置;
E 14.1L当たりの好中球<1.5×10個;1L当たりの血小板数<100×10個を含む、血液学機能の不全;
E 15.プロトロンビン時間:国際標準比が、正常上限値(ULN)の>1.5倍であるか、またはPT/INRに影響を及ぼす抗凝固剤を施される場合の治療範囲外であること;
E 16.血清クレアチニンが、≧1.5×ULNであるか、または、1.0~1.5×ULNの間である場合、簡易型MDRD(Modification of Diet in Renal Disease)式を使用して推定される、1.73m当たり、1分間当たりのeGFRが、<60mLである、腎機能不全;
E 17.肝機能:アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)が、>3×ULNであるか、またはアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)が、>3×ULNであること。骨転移および/または肝転移の存在と関連する場合に限り、グレード2まで(2.5~5×ULN)のアルカリホスファターゼ(ALP)、グレード2まで(2.5~5×ULN)のガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)であれば、許容可能である。総ビリルビンが、>1.5×ULNであること;
E 18.ジルベール病を伴う患者;
E 19.米国国立がん研究所有害事象共通用語基準(NCI-CTCAE)v4.03に従う、禿頭を除く、<グレード2までの、任意の既往処置関連毒性の未消散;
E 20.初回の研究処置投与の2週間前または5消失半減期のいずれか長い方の期間より短い期間における、アタザナビル、ロピナビル(抗ウイルス薬)、プロベネシド、ケトコナゾール(抗真菌剤)、およびケルセチン(抗酸化剤)による処置、ならびにP-gP基質(ダビガトラン、ジゴキシン、フェキソフェナジン)である処置;
E 21.初回の研究処置投与の2週間前または5消失半減期のいずれか長い方の期間以内における、強力~中程度のCYP3A誘導剤またはCYP2C8誘導剤による処置;
E 22.1つまでの、既往のCDK4/6阻害剤ベース療法は、許容される。アジュバント内分泌療法施与中に早期進行した患者、またはアジュバント内分泌療法の完了後12カ月間以内の、アジュバント内分泌療法施与中に進行した患者に、既往CDK4/6曝露は、要求されない;
E 23.初回の研究処置投与の2週間前または5消失半減期のいずれか長い方の期間以内における、強力なCYP3A阻害剤による処置;
E 24.CYP3Aにより代謝され、用量の軽減が検討できない、治療域が狭い医薬の併用投与を要求する医学的状態;
E 25.パートDだけについて述べると、進行性疾患のための、以下の既往治療:CDK4/6阻害剤、PI3K阻害剤、およびmTOR阻害剤は、許容されないこと
を含む。
投与レジメンおよび製剤
患者は、アムセネストラントを100mgとするカプセルを、経口経路により服用するものとする。アムセネストラントは、28日間のサイクル内、1日目から(2日目における割愛を伴わずに)、満腹または空腹状態において、割り当てられた用量レベルで、各日ほぼ同時(±3時間)に投与されるものとする。パートCでは、1日2回の単剤療法が、1日1回施される推奨用量と比較した利益を指し示すと仮定して、さらなる1日2回投与が調べられる場合もある。
パルボシクリブ(Ibrance(登録商標))は、125mg、100mg、および75mgとするカプセルで施され、経口経路により、患者へと投与される。パルボシクリブの推奨用量は、28日間にわたる、完全なサイクルを構成するように、連続21日間にわたり、1日1回服用される、125mgとするカプセルに続く、7日間の処置休止(パルボシクリブなし)である。パルボシクリブカプセルは、各日ほぼ同時に、食物と共に服用されるものとする。アムセネストラントおよびパルボシクリブは、併せて、すなわち、食物と共に服用される場合もあり、摂取の順序に関わらず、5分間隔てて服用される場合もある。薬物は、サイクル1の1日目および21日目に、十分なPK査定を伴って、併せて服用されるものとする。他の日において、アムセネストラントは、食物と共に服用される場合もあり、食物を伴わずに服用される場合もあるが、パルボシクリブは、食物と共に服用される。
臨床評価項目
パートCのための主要評価項目
研究のパートCのための主要評価項目は、サイクル1(1日目~28日目)における、研究処置関連DLTの発生率を決定することである。DLTは、NCI-CTCAE(v4.03)を使用して、研究治療と関連する、以下の処置下で発生した有害事象(TEAE):
・グレード≧3である、任意の非血液学的毒性(十分な抗嘔吐処置により、またはこれによらずに、48時間以内に、グレード≦1へと消散する、グレード3の悪心および嘔吐;および十分な抗下痢治療によりコントロールされ、持続時間が48時間未満である、グレード3の下痢を除く);
・グレード≧3である、任意の血液学的毒性(グレード3の貧血;<7日間にわたる、グレード4の好中球減少症;発熱または感染を伴わない、グレード3の好中球減少症;および出血を伴わない、グレード3の血小板減少症を除く)
・>2×ULNである、血清総ビリルビンの、任意の上昇;
・パートCにおいて、研究処置と関連し、サイクル1中における、7日間またはそれ以上にわたる、研究処置の割愛、またはサイクル2の、2週間を超える遅延を結果としてもたらす、任意の毒性;ならびに
・さらなる用量漸増が、患者を、許容不可能な危険性へと曝露するように、おそらく、またはことにより、研究処置と関連し、潜在的な臨床的重要性を有する、TEAE
のうちのいずれかの発生として規定されるものとする。反対の証拠、および疾患の進行と関連しない場合の証拠の非存在下では、これらのTEAEは、研究処置に関連すると考えられるものとする。複数の毒性が見られる場合、DLTの存在は、経験された最も重度の毒性に基づくものとする。
サイクル1の終了時に、各患者は、患者が、DLTを経験したのか、経験しなかったのかについて、治験責任医師により査定されなければならず、この情報は、電子症例報告書(eCRF)および電子DLT通知書(DLTまたはDLTなし)の適切な画面内に記録されなければならず、治験依頼者へと送信されるものとする。
患者は、有害事象(AE)の消失(≦グレード1)の後で、処置を継続する場合もあり、それらのベースライン状態まで処置を継続する場合もあった。
パートDのための主要評価項目
研究のパートDのための主要評価項目は、NCI-CTCAE v4.03に従い、有害事象(AE)または検査値異常の、種類、頻度、重症度、研究治療との関係、および重篤度など、安全性および忍容性について評価することである。
副次的評価項目
そうでないことが言及されない限りにおいて、パートCおよびDのいずれのための副次的評価項目も、以下:
・パートC:アムセネストラントについての、全体的な安全性プロファイル、および任意のAE、または身体所見、検査室検査、もしくは心電図(ECG)の異常の、種類、頻度、重症度、および研究治療との関係;AEに起因する、薬物の中断/割愛/軽減、およびサイクルの遅延;または重篤な有害事象(SAE)との関係における特徴付け;
・RECIST v1.1に従い、治験責任医師/地域の放射線科医師により査定されるORR;
・パートD:血漿循環DNAの抽出の後に、マルチプレックス液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)により解析される、患者における、それらのESR1状態(突然変異ESR1または野生型ESR1)に基づく、ORRおよびCBR;
・RECIST v1.1に従い、治験責任医師/地域の放射線科医師により査定される、臨床的有用性(≧24週間にわたるCR+PR+SD);
・治験責任医師/地域の放射線科医師により査定される、応答の持続期間;
・RECIST v1.1に従い、治験責任医師/地域の放射線科医師により査定される、最初の治験薬摂取日~最初の腫瘍進行日の時間間隔として規定される、無進行生存(PFS)、または死亡(任意の原因に起因する)の、いずれか先に生じる事象;
・パートD:最初の腫瘍応答(CRまたはPR)までの時間は、治験責任医師/地域の放射線科医師により査定される、最初の研究処置投与日~最初のCRまたはPRの発生日の時間間隔として規定されるものとする;
・サイクル1中における、アムセネストラントについてのPKパラメータ:
・1日目における単回投与後:少なくとも、tlag、tmax、Cmax、AUC0-24、またはAUC0-12
・22日目における反復投与後:少なくとも、tmax、Cmax、AUC0-24、またはAUC0-12;および
・Ctrough(T=0時間後、すなわち、1日ごとの投与の前に)はまた、サイクル1にわたっても得るものとする;
・パルボシクリブについてのPKパラメータ:サイクル1中における、初回投与後(1日目)、および1日1回投与の反復後(22日目);少なくとも、tmax、Cmax、およびAUC0-24
の通りである。
探索的評価項目
探索的評価項目は、患者のESR1突然変異状態について評価することである。ESR1遺伝子の、12の独立の突然変異は、全ての患者において、ベースライン、およびサイクル2の終了時(15日目~28日目)に、ddPCRにより、血漿から抽出されたcfDNAから決定される。
別の探索的評価項目は、患者の突然変異プロファイルについて評価することである。ベースラインおよびEOTの、全ての患者において、血漿が回収され、cfDNAが抽出される。限定数のがん遺伝子についての突然変異状態が、次世代シーケンシングにより決定され、アムセネストラント処置に対する、内因的耐性または獲得耐性を理解するように、特異的突然変異と、臨床転帰との潜在的な連関が探索される。
さらに別の探索的評価項目は、アムセネストラントの、ER占有とのPK/PD関係、PD評価項目および/もしくは効能評価項目、ならびに/またはKi67、Bcl-2、およびPgRなど、他の乳がんバイオマーカーについて評価することである。
本明細書下記の実施例2、実施例3、および実施例4で記載される、臨床試験結果は、2021年3月30日のカットオフ日における、患者データベースの抽出に由来する。実施例5および実施例6は、それぞれ、2021年5月30日および2021年10月4日を抽出日とする、その後における患者データベース抽出に由来する、最新の結果を提示する。実際、実施例1のプロトコールに従う、本明細書で記載される臨床試験からの結果は、研究の進展を、緊密にモニタリングするように、逐次的なカットオフ日における、段階的な患者データベース抽出により、徐々に増補された。
パートCのフェーズ1/2臨床試験結果
本実施例および後続の実施例を通して、処置「サイクル」とは、アムセネストラントが、4週間の全期間を通して、毎日投与される間、患者が、3週間にわたる、パルボシクリブを伴う処置に続き、1週間にわたる、パルボシクリブを伴わない処置を施される、4週間の期間を指す。そうでないことが注記されない限りにおいて、アムセネストラントおよびパルボシクリブ投薬当日の午前8:00(相対名目時間0時間後として規定される)に投与され、摂食と5分間を隔てて、併せて服用された。パルボシクリブが投与されない日に、アムセネストラントは、摂食を伴うか、またはこれを伴わずに服用された。アムセネストラントは、アムセネストラント100mgを含有するカプセルとして経口投与され、パルボシクリブは、パルボシクリブ125mgを含有するカプセルとして経口投与された。
研究処置は、各患者について、許容不可能な毒性、疾患の進行により、または患者の要望で除外されるまで継続された。パルボシクリブが、早期に恒久的に中断された場合、アムセネストラント処置は、処置終了(EOT)基準が満たされるまで継続された。この場合のEOT来院は、最後のアムセネストラント投与日の30日後とした。PDの記録の前に、処置を中断した患者は、疾患の進行、さらなる抗がん治療の開始、またはカットオフ日(COD)のいずれかに至るまで、2カ月ごとに追跡した。
患者集団
パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラントについての用量漸増研究(実施例1で記載されるパートC)では、合計15例の患者を処置した。1日1回、200mgおよび400mgとするアムセネストラントの2つの用量レベルを、用量を125mgとするパルボシクリブ(1日1回、連続21日間にわたる投与に続く、7日間にわたる処置休止(3週間/1週間))と組み合わせた。患者9例は、用量を200mgとするアムセネストラントで処置し、患者6例は、用量を400mgとして処置した。
パートC(ベースラインデータ)において、集団(N=15)内の平均値年齢は、62.9(9.7)歳であり、パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラント200mg、およびアムセネストラント400mgでは、それぞれ、62.0(10.9)および64.2(8.4)歳であった。米国東海岸臨床試験グループ(ECOG)ステータスは、患者のうちの33.3%で1であり、残りの患者についてのECOGは、0であった。最初の診断~最初の研究処置投与の中央値時間は、7.33(4.53)歳であった。
全ての患者は、ER陽性かつHER2陰性であり、患者のうちの66.7%は、プロゲステロン受容体陽性(PgR)であった。
全ての患者は、アムセネストラント200mgによる組合せ投与亜群内で、局所進行性疾患を有した患者1例を除き、転移性疾患を有した。研究登録時において観察された罹患臓器数の中央値は、3例(範囲:1~5例)であり;主要な罹患臓器は、リンパ節および骨(各々、60.0%ずつ)、肺(46.7%)、および肝臓(40%)であった。
1例(N=14;93.3%)を除き、全ての患者は、進行性疾患のための、少なくとも1つの既往の抗がん治療を施され(範囲:0~4例)、これらのうち、患者7例(50.0%)が、既往の化学療法を施された。合計10例の患者(66.7%)は、既往のターゲティング療法を施された:これらのうち、50.0%は、既往のCDK4/6阻害剤を施され、40.0%の患者は、既往のmTOR阻害剤を有施された。1例(N=14;93.3%)を除き、全ての患者は、既往のホルモン療法を施された:これらのうち、85.7%は、既往のアロマターゼ阻害剤(AI)を施され、28.6%は、既往のSERDベース療法を施され、35.7%は、既往のSERMを施された。
曝露
合計15例の患者が、用量を漸増させる、パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラントにより処置された(パートC)。本実施例のカットオフ日において、患者4例(26.7%)が、研究処置にとどまった。アムセネストラントによる処置の中央値持続期間は、24.3週間(範囲:8~101週間)であり、パルボシクリブによる処置の中央値持続期間は、24.0週間(範囲:8~101週間)であった。中央値相対用量強度(RDI)は、それぞれ、アムセネストラントについての98.1%、およびパルボシクリブについての96.8%であった。RDIは、実際の用量強度の、計画された用量強度に対する比として規定され、選び出された投与スケジュールの実行可能性についての指標である。合計53.3%の患者が、≧5サイクルにわたる研究処置を施された。患者2例(13.3%)が、アムセネストラントについて、少なくとも1回、用量を軽減され、患者5例(33.3%)が、パルボシクリブについて、少なくとも1回、用量を軽減された。患者5例(33.3%)が、少なくとも連続7日間にわたり、投与を割愛された。患者1例(6.7%)が、アムセネストラント200mg処置およびパルボシクリブ処置のいずれとも関連すると考えられる、重篤でない有害事象である、無力症に起因して、研究処置を中断した。
安全性
カットオフ日において、患者9例に、パルボシクリブと組み合わせた、1日1回のアムセネストラント200mgを施し、患者6例に、パルボシクリブ125mgと組み合わせた、1日1回のアムセネストラント400mgを施した。全ての患者は、用量制限毒性(DLT)観察期間を完了し;DLTは、パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラントについての、いずれの被験用量レベルでも報告されなかった。
研究のパートC(安全性集団、パートC)の、患者15例における安全性プロファイルを、下記の表6に提示する(TEAE:処置下で発生した有害事象;SAE:重篤な有害事象)。
Figure 2024509823000008
患者15例全て(100%)が、少なくとも1件のTEAEを経験した。グレード≧3のTEAEは、患者7例(46.7%)において報告された。アムセネストラントまたはパルボシクリブとの関係に関わらず、MedDRA PTにより、最も高頻度で報告された、非血液学的TEAEは、患者5例(33.3%)における悪心;患者4例ずつ(各々、26.7%ずつ)における、下痢および嘔吐、四肢末端における疼痛、腹痛、上部腹痛、ならびに無力症;患者3例ずつ(各々、20.0%ずつ)における、咳、疲労感、非心因性胸痛、関節痛、筋痙攣、回転性めまい、および体熱感;患者2例ずつ(各々、13.3%ずつ)における、尿路感染、めまい、便秘、禿頭、乾燥肌、倦怠感、インフルエンザ様疾病、食欲減退、眼浮腫、肺塞栓症、および掻痒であった。
グレードが≧3であるTEAEは、6例が、1日1回用量を200mgとして、アムセネストラントを施され、1例が、1日1回用量を400mgとして、アムセネストラントを施された、合計7例の患者(46.7%)において報告された。アムセネストラントまたはパルボシクリブとの関係に関わらない、グレード≧3の非血液学的TEAEは、患者1例ずつ(各々、6.7%ずつ)における、胃炎、発熱性好中球減少症、肺塞栓症、小腸閉塞、およびアラニントランスアミナーゼ(ALT)の増大であった。
全ての患者は、治験責任医師により、アムセネストラントと関連すると考えられるTEAEを経験した。少なくとも3例の患者において生じる、MedDRA PTにより最も高頻度で報告されたアムセネストラント関連非血液学的TEAEは、患者4例(26.7%)における無力症;各々、患者3例ずつ(各々、20.0%ずつ)における、下痢、体熱感、疲労感、および悪心であった。アムセネストラントと関連する、グレード≧3の非血液学的事象:発熱性好中球減少症は、患者1例(6.7%)において報告された。
合計12例の患者(80.0%)が、パルボシクリブと関連すると考えられるTEAEを経験した。少なくとも3例の患者において生じる、MedDRA PTにより最も高頻度で報告されたパルボシクリブ関連非血液学的TEAEは、患者4例(26.7%)における無力症;各々、患者3例ずつ(各々、20.0%ずつ)における、悪心および疲労感であった。パルボシクリブと関連する、グレード≧3の非血液学的事象:発熱性好中球減少症およびALTの増大は、患者2例(13.3%)において報告された。
一般に、TEAEプロファイルにおいて、用量依存性は、観察されなかった(アムセネストラントまたはパルボシクリブの患者用量に関わらず)。
4件の重篤なTEAEが、患者3例(20.0%)において報告された。重篤なTEAEは、全て、アムセネストラントまたはパルボシクリブと関連しないと考えられた。パルボシクリブを伴う、投与量アムセネストラント200mgでは、患者1例が、胃炎および小腸閉塞を示し、別の患者は、コロナウイルス感染を示した。パルボシクリブを伴う、投与量アムセネストラント400mgでは、患者1例において、腹痛が報告された。処置期間中に死亡する患者は、見られなかった。
アムセネストラントについての非血液学的処置関連有害事象(TRAE)、およびパルボシクリブについての非血液学的TRAEのさらなる詳細を、それぞれ、下記の表7および表8に提示し、研究のパートC、パートDの全例、およびパートC+Dのプール安全性集団についての、これらの事象をまとめる(「RP2D」:フェーズ2推奨用量)。
Figure 2024509823000009
Figure 2024509823000010
研究のパートCについての検査値異常に関して、グレード3またはグレード4の貧血は、観察されなかった。好中球数の減少は、患者13例(86.7%)において観察された。全ての患者は、処置期間中、ベースラインにおいて、グレード0であったが:患者7例(46.7%)は、グレード3へと増悪し;患者4例(26.7%)は、グレード2へと増悪し;患者2例(13.3%)は、グレード1へと増悪した。リンパ球数の減少は、処置期間中、患者12例(80%)において観察され、患者3例(20.0%)は、グレード3であり、患者7例(46.7%)は、グレード2であり、患者2例は、グレード1であった。グレード3のASTは、観察されなかった。患者1例(6.7%)は、ALT測定値の、ベースラインにおける正常~グレード3の変化を裏付けた。いずれの患者においても、血中ビリルビンの増大は、観察されなかった。
薬物動態
アムセネストラントおよびパルボシクリブのいずれについての薬物動態(PK)もまた、パルボシクリブ(連続21日間にわたる、1日1回125mgに続く、7日間にわたる処置休止(3週間/1週間))と組み合わせた、アムセネストラント(200または400mgとする連続投与)による、研究のパートCにおいて査定した。パルボシクリブと組み合わせた、21日間にわたる連続投与後の安定状態において得られた、アムセネストラントの曝露パラメータについての概要を、表9に提示する。参照のために、用量を400mgとして、単剤療法として使用されたアムセネストラントについてのPK結果もまた、表に提示する。要約統計量は、tmaxについての中央値(最小値~最大値)、Rac(蓄積比)についての幾何平均値[90%信頼区間]、他のPKパラメータについての算術平均値(CV%)[幾何平均値]である。
Figure 2024509823000011
1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブによる処置は、アムセネストラントのPKに対する大きな影響を示なかった。21日目における、アムセネストラントの全身クリアランスは、200mgにおける、1時間当たり10.7±3.38L~400mgにおける、1時間当たり13.5±5.36Lの間の範囲であり、これは、摂食状態に関わらず、1日1回400mgにおける単剤としてのアムセネストラントの反復投与の後に観察される全身クリアランスと同様であるか、またはこれよりわずかに高値(28%)(1時間当たり10.6±4.35L)である。
満腹状態下、アムセネストラントと組み合わせた投与後の安定状態において得られた、パルボシクリブについてのPKパラメータの概要を、表10に提示する。単剤療法として、またはレトロゾールと組み合わせて施された場合における、パルボシクリブについての薬物動態パラメータについて記載する公表曝露データもまた、参照のために提示する。パルボシクリブの既往データについての要約統計量は、算術平均値によるA5481001研究を除き、幾何平均値(CV%)を示す。本試験(「本研究」)について、要約統計量は、算術平均値(CV%)([幾何平均値])を示す。
Figure 2024509823000012
上記データは、増大用量のアムセネストラントと組み合わせた場合、1日1回、125mg、3週間/1週間にわたるパルボシクリブは、患者における曝露を低下させたことを示す。予備解析は、公表パルボシクリブデータを、参照として使用して、1日1回のアムセネストラント200mgと組み合わせた場合における23%(N=8)、および1日1回のアムセネストラント400mgと組み合わせた場合における57%(N=3)の、パルボシクリブ曝露の平均低下を示した。1日1回のアムセネストラント400mgにおける、2例のさらなる患者のデータを加えると(N=5)、低下は、60%であった。
アムセネストラント200mgで処置された患者における、パルボシクリブ曝露低下の程度は、パルボシクリブについての表示に従い、臨床的に関与性であるとは考えられなかった。Ibrance(登録商標)についての米国内の表示に従うと、パルボシクリブのクリアランスは、主に、代謝的であり、中程度のCYP3A誘導剤(モダフィニル)と組み合わせた場合に、32%の曝露の低下を示した。したがって、1日1回のアムセネストラント200mgの、1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブに対する影響は、臨床的に関与性であるとは考えられない。
抗腫瘍活性
パートCでは、患者15例全ては、RECIST v.1.1に従い、評価可能であった(表11)。いずれも、1日1回のアムセネストラント200mgで処置された、患者2例(13.3%)は、PRを確認した。患者7例(46.7%)は、SDを有し、これらのうち4例は、1日1回パルボシクリブを伴う、アムセネストラント200mgで処置された。パルボシクリブを伴う、アムセネストラント200mgで処置された患者3例を含む、患者6例(40.0%)は、PDを有した。
臨床的有用性(≧24週間後における、CR+PR+SD)は、パルボシクリブを伴う、アムセネストラント200mgで処置された患者4例を含む、患者7例(CBR=46.7%)において観察された。臨床的有用性は、ESR1突然変異を伴う患者6例中1例(CBR=16.7%)、および野生型ESR1を伴う患者9例中6例(CBR=66.7%)において観察された。
加えて、腫瘍退縮は、アムセネストラントを200mgとする患者5例を含む、患者9例(60.0%)において観察された。
Figure 2024509823000013
結論
全体的に、アムセネストラントおよびパルボシクリブによる組合せ療法は、忍容性良好であり、この用量漸増パートの間、2つの被験アムセネストラント用量レベルにおいて、好適な安全性プロファイルをもたらし;DLTは、観察されなかった。観察された有害事象は、一般に、グレード1またはグレード2のTEAEであった。アムセネストラントおよびパルボシクリブによる、好中球数の減少の発生率(86.7%)は、パルボシクリブについての文献において報告された値と同様であることが見出された。
しかし、パルボシクリブのCmaxおよびAUCの低下により、アムセネストラントの、パルボシクリブ曝露に対する、用量依存性の影響が観察された。PKデータは、パルボシクリブについての既往の公表データと比較した場合に、アムセネストラント200mgおよびアムセネストラント400mgと組み合わせた、パルボシクリブのAUCが、それぞれ、23%(N=8)および60%(N=5)低下したことを示した。
アムセネストラントの、400mgから、200mgへの用量の減少は、分子の抗腫瘍活性に対して、負の影響を及ぼすとは予測されない。18F-FES PETによる阻害は、かつて、単剤療法として使用された場合に、150mgからの用量のアムセネストラントが、90%を超える標的への係合を媒介するのに十分であることを裏付けた。パルボシクリブが、用量アムセネストラント200mgと共に投与された場合に観察された、パルボシクリブ曝露の低下は、臨床的に関与性であるとは考えられなかった。組合せ処置についての、これらの知見、および好適な安全性プロファイルに基づき、アムセネストラント200mgの、パルボシクリブ125mgを伴う組合せ処置の推奨用量を、さらに研究のために選び出した。
パートDのフェーズ1/2臨床試験結果
本実施例は、1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブと組み合わせた、1日1回のアムセネストラント200mgにより処置された患者に対して企図された用量拡大について記載する。合計30例の患者を処置した。全ての患者30例を、安全性について評価し、29例を、活性について評価した。カットオフ日は、最後の患者が、8サイクルにわたる処置を受けた時点、または研究を早期に中断した時点とした。
患者の特徴
平均値年齢は、59.5(範囲:33~86例)歳であった。ECOGステータスは、患者7例(23.3%)で1であり、残りの患者のECOGステータスは0であった。最初の診断~最初の研究処置投与の中央値時間は、6.52歳(範囲を、1.7~29.5歳とする)であった。全ての患者は、ER+/HER2-/PgR-である患者2例(7.1%)を除き、ER+/HER2-/PgR+であった。患者は、研究登録時における罹患臓器数の中央値が2例(1~6例の範囲)であり;主要な罹患臓器は、骨(46.7)、肺およびリンパ節(各々、43.3%ずつ)、肝臓(33.3%)、および胸膜(20.0%)であった。合計15例の患者(50.0%)が、進行状況において、少なくとも1つの、既往の抗がん処置を施され、これらのうち、患者4例(26.7%)が、既往の化学療法を施された。患者1例(6.7%)が、既往のターゲティング療法を施された。合計14例の患者(93.3%)が、既往のホルモン療法を施され、これらのうち、11例(78.6%)が、既往のAIを施され、3例(21.4%)が、SERMを施され、1例(7.1%)が、かつて、SERDベース療法を施された。残りの患者15例(50%)が、かつて、アジュバント療法において、AI療法またはSERM療法を施された期間に再発した。
安全性
パートDの全体的な安全性プロファイルを、表13に提示する。合計27例(90.0%)が、少なくとも1件のTEAEを経験した。グレード≧3のTEAEは、患者15例(50.0%)において報告された。患者少なくとも3例において生じる、アムセネストラントについての非血液学的TRAE、およびパルボシクリブについての非血液学的TRAEのさらなる詳細を、それぞれ、表7および表8に提示する。血液学的検査値異常に基づく、好中球数の減少は、患者の大部分(93.3%;56.7%が、グレード≧3である)において観察された。
パートCおよびDについて、パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラント200mgで処置された、全ての患者に由来する詳細を含む、グローバル安全性解析を、「プール集団安全性」節に提示する。
抗腫瘍活性
ORRは、患者10例(34.5%)において観察され、疾患コントロール率(DCR:CR+PR+SDと規定される)は、患者28例(96.6%;「効能集団:パートD」)において観察された(表14)。部分奏効(PR)は、患者10例(34.5%)において確認され、安定疾患(SD)は、患者18例(62.1%)において観察された。CR、PRを有するか、またはSDが延長された(安定疾患が24週間またはそれ以上にわたる)患者として規定される、臨床的有用性は、患者22例(CBR=75.9%)において観察された。
結論
拡大コホートからの結果は、アムセネストラント200mgおよびパルボシクリブによる組合せ処置が、内分泌耐性ER+/HER2-進行性/転移性乳がんを有する女性において、好適な全体的な安全性プロファイルを示し、有望な抗腫瘍活性を裏付けたことを示す(34.5%のORRおよび75.9%のCBR)。
パートCおよびDのプール集団
安全性解析は、アムセネストラント200mgの、パルボシクリブとの組合せの、少なくとも1回の投与を施された、全ての患者(「プール集団安全性」;n=39)(パートCおよびDにおける、それぞれ、患者9および30例)に対して行った。
アムセネストラント/パルボシクリブによる組合せ処置の抗腫瘍活性を、パートDの全ての患者、および「パートCのナイーブ患者」と名付けられる、CDK4/6阻害剤およびmTOR阻害剤による既往のターゲティング療法を受けていないパートCの患者において探索した。患者は、アジュバント療法施与中に、または転移性乳がんのための治療の後で進行した。抗腫瘍活性解析は、アムセネストラント200mgの、パルボシクリブとの組合せで処置された、評価可能患者35例(「プール集団活性」:パートCからの患者6例(パートCナイーブ患者)、およびパートDからの患者29例)における、RECIST1.1基準に基づいた。
研究の、「プール集団安全性」において処置された患者についての人口学を、表12に提示する。
Figure 2024509823000014
Figure 2024509823000015
「プール集団安全性」患者の特徴
「プール集団安全性」について評価された患者(N=39)において、平均値年齢は、59.0歳(33~86歳の範囲)であった。ECOGステータスは、患者のうちの74.4%で0であり、残りの患者のECOGステータスは1であった。最初の診断~最初の研究処置投与の中央値時間は、6.52歳(1.7~29.5歳の範囲)であった。全ての患者は、ER陽性かつHER2陰性であり;患者のうちの83.8%(37例中31例)は、PR陽性であった。患者は、研究登録時における罹患臓器数の中央値が2例(1~6例の範囲)であり;主要な罹患臓器は、骨(48.7%)、リンパ節(46.2%)、肺(41.0%)、肝臓(35.9%)、および胸膜(17.9%)であった。
患者39例中の、合計23例(59.0%)が、進行状況において、既往の化学療法を施された、39例中9例(23.1%)、既往のターゲティング療法(患者2例における、CDK4/6阻害剤処置、および患者1例における、既往のmTOR阻害剤処置)を施された、39例中6例(15.4%)を含む、少なくとも1つの、既往の抗がん処置を施された。患者39例中の、合計23例(59.0%)が、既往のホルモン療法を施された:39例中18例(46.2%)が、AI処置を施され、3例(7.7%)が、SERDベース療法を施され、39例中5例(12.8%)が、SERM処置を施された。残りの患者16例(41.0%)は、アジュバント療法時、AIまたはSERMを施される間に再発した。
曝露:「プール集団安全性」
患者39例中の、合計29例(66.7%)が、少なくとも8サイクルの処置を受けた。組合せ療法のための処置の中央値持続期間は、36(1~72)週間であった。患者39例中の、合計13例(33.3%)が、事前に、処置を中断し、39例中38例(97.4%)、39例中33例(84.6%)、および39例中29例(74.4%)が、それぞれ、サイクル2、サイクル4、およびサイクル6において、処置にとどまった。2021年3月30日現在、患者39例中23例(59%)が、研究処置にとどまっている(パートC:n=2;パートD:n=21)。
中央値相対用量強度(RDI)は、アムセネストラントについて、99.6%であり、パルボシクリブについて、約97.5%であった。アムセネストラントの用量軽減は、報告されなかったが;患者10例(25.6%)が、パルボシクリブの投与1回分の用量を、125mgから、100mgへと軽減され、患者4例(10.3%)が、パルボシクリブの投与1回分の用量を、100mgから、75mgへと軽減された。患者4例(10.3%)および11例(28.2%)が、それぞれ、≧連続7日間にわたり、アムセネストラントおよびパルボシクリブの投与を割愛された。患者28例(71.8%):アムセネストラントについての48.7%、およびパルボシクリブについての71.8%が、少なくとも1回、一時的に投与を割愛された。進行疾患に起因する12例(30.8%)を含む、合計16例の患者(41.0%)が、研究処置を、恒久的に中断した。
安全性:「プール集団安全性」
「プール集団安全性」についての、全体的な安全性プロファイルを、表13に提示する(TEAE:処置下で発生した有害事象;SAE:重篤な有害事象)。合計36例の患者(92.3%)が、少なくとも1件のTEAEを経験した。アムセネストラントまたはパルボシクリブとの関係に関わらず、MedDRA PTにより、最も高頻度で報告された、非血液学的TEAEは、疲労感(33.3%)、悪心(30.8%)、上部腹痛、関節痛、回転性めまい(各々、17.9%ずつ)、便秘、下痢、嘔吐、乾燥肌、無力症(各々、15.4%ずつ)、めまい、頭痛、咳、口内炎(各々、12.8%ずつ)、尿路感染、味覚障害、体熱感、腹痛、四肢末端における疼痛(各々、10.3%ずつ)であった。これらのTEAEの大半は、グレード1およびグレード2のTEAEであった。グレードが≧3であるTEAEは、患者39例中の、合計21例(53.8%)において報告された。アムセネストラントまたはパルボシクリブとの関係に関わらず、最も高頻度で報告された、グレード≧3の非血液学的TEAEは、アラニンアミノトランスフェラーゼの増大(5.1%)であった。他のTEAEは、観察されたグレード≧3のTEAE全てのうちの、5%未満を占めた。
Figure 2024509823000016
患者28例(71.8%)が、アムセネストラントと関連するTEAEを有し、患者35例(89.7%)が、パルボシクリブと関連するTEAEを有した。少なくとも3例の患者において生じる、MedDRA PTにより最も高頻度で報告されたアムセネストラント関連非血液学的TEAEは、グレード1またはグレード2のTEAE:悪心および疲労感(各々、17.9%ずつ)、関節痛、無力症、および体熱感(各々、10.3%ずつ)、下痢、味覚障害、乾燥肌、および胃食道逆流症(7.7%)であった。少なくとも3例の患者において生じる、MedDRA PTにより最も高頻度で報告されたパルボシクリブ関連非血液学的TEAEは、疲労感(30.8%)、悪心(25.6%)、無力症、味覚障害、および口内炎(各々、10.3%ずつ)、下痢、めまい、乾燥肌、上部腹痛、胃食道逆流症、および口渇(各々、7.7%ずつ)であった。
合計6例の患者(15.4%)が、非血液学的TEAE:患者1例(2.6%)における発熱性好中球減少症、および患者1例(2.6%)における、深部静脈血栓症を含む、少なくとも1つの、アムセネストラントと関連する、グレード≧3のTEAEを有した。合計18例の患者(46.2%)が、非血液学的TEAE:患者2例(5.1%)における、ALTの増大、患者1例(2.6%)における、発熱性好中球減少症を含む、少なくとも1つの、パルボシクリブと関連する、グレード≧3のTEAEを有した。
プール集団安全性では、10件の重篤なTEAEが、患者7例(17.9%)において報告された。それらのうち、アムセネストラント処置と関連することが決定されたのは、深部静脈血栓症の1件だけであった。合計5例の患者(12.8%)が、グレード≧3のSAE:患者1例における肺炎および胸膜炎、患者1例における十二指腸閉塞、患者1例における大規模な腸閉塞、患者1例における胃炎および小腸閉塞、ならびに患者1例における深部静脈血栓症および背部痛を提示した。加えて、パートCでは、1日1回のパルボシクリブ125mgと組み合わせた、1日1回のアムセネストラント200mgを施された患者1例は、コロナウイルスパンデミック時に生じた、グレード2のCOVID-19を有した。
「プール集団安全性」患者の、アムセネストラントについての非血液学的TRAE、およびパルボシクリブについての非血液学的TRAEのさらなる詳細を、それぞれ、表7および表8に提示する。
主要な血液学的検査値異常は、以下の通りである。グレード≧3の貧血は、見られなかった。好中球数の減少は、患者37例(94.9%):グレード1(5.1%)、グレード2(33.3%)、グレード3(48.7%)、およびグレード4(7.7%)において生じた。参照のために、パルボシクリブで処置された患者1666例において行われたプール解析では、患者のうちの95.2%が、好中球数を減少させ、グレード1、グレード2、グレード3、およびグレード4の好中球数の減少が、それぞれ、4.4%、23.8%、56.4%、および10.5%において観察された(2019年6月、パルボシクリブIB、表6.2~13)。血小板数の減少は、グレード2を伴う患者2例を除き、全てをグレード1とする、71.8%である、患者28例において観察された。白血球の減少は、患者38例(97.4%):グレード1(10.3%)、グレード2(53.8%)、グレード3(33.3%)において観察された。リンパ球数の減少は、患者26例(66.7%):グレード1(17.9%)、グレード2(30.8%)、グレード3(15.4%)、およびグレード4(2.6%)において生じた。
肝臓機能検査異常は、以下の通りに観察された:(i)ASTは、1例のグレード2、および1例のグレード3を除き、全てをグレード1とする、患者23例(59.0%)において増大し;(ii)ALTは、1例のグレード2、および2例のグレード3を除き、全てをグレード1とする、患者19例(48.7%)において増大し;(iii)血中ビリルビンは、1例をグレード3とする、患者1例(2.6%)において増大した。
プール集団安全性では、1日1回のアムセネストラント200mg、および1日1回125mgで、3週間/1週間にわたるパルボシクリブで処置された患者3例(7.7%):処置サイクル3の期間中に、グレード2の無力症が、いずれの化合物とも関連した患者1例、サイクル5の期間中に、処置と関連しない、グレード3の大規模な腸閉塞を伴った患者1例、サイクル2の期間中に増大した、グレード3のALTが、パルボシクリブと関連した患者1例は、研究処置から離脱した。
処置期間中において死亡する患者は見られず、処置期間後に、疾患の進行に起因して死亡する患者も見られなかった。
抗腫瘍活性:「プール集団活性」
パルボシクリブの、アムセネストラント200mgとの組合せによる、抗腫瘍活性を、上記で記載された、ターゲティング療法を受けていない、35例の評価可能な患者(「プール集団活性」:パートCからの患者9例中6例、およびパートDからの29例)において、RECIST1.1基準に基づき査定した(表14、図2)。最良総合効果(BOR)は以下の通りであった:12例の確認PR(34.3%)、22例のSD(62.9%)、および1例のPD(2.9%)であった。客観的奏効は、患者35例中12例(34.3%)において見られた。疾患コントロール率(DCR:CR+PR+SD)は、97.2%であり、臨床的有用性は、患者35例中26例(74.3%)において観察された。腫瘍退縮は、標的病変の100%の退縮を示す患者3例を含む、患者のうちの80%において観察された。35例中3例(8.6%)の患者では、ベースラインからの、腫瘍サイズの変化が見られなかった(図2)。臨床的有用性は、ESR1突然変異を伴う患者8例中7例(CBR=87.5%)、および野生型ESR1を伴う患者27例中19例(CBR=70.4%)において観察された。
Figure 2024509823000017
アムセネストラントおよびパルボシクリブによる組合せ処置(AMEERA-1研究)のORR、DCR、およびCBRは、34%、97%、および74%であった。参照のために、フルベストラントおよびパルボシクリブによる組合せ処置(PALOMA-3研究)のORR、DCR、およびCBRは、それぞれ、25%、78%、および64%であった(表15)。
Figure 2024509823000018
結論
「プール集団安全性」患者における、パルボシクリブを伴う、アムセネストラント200mgによる組合せ処置についての解析は、好適な安全性プロファイルを指し示す。組合せ療法において観察された、アムセネストラントと関連するTEAEは、アムセネストラント単剤療法により観察されたTEAEと同様であった。パルボシクリブと関連する、好中球減少症、または好中球数の減少の発生率は、文献に記載された、内分泌療法と組み合わせた、パルボシクリブについての、プール安全性データと符合した。
ER+/HER2-進行性/転移性乳がんを有し、CDK4/6阻害剤、またはmTOR阻害剤による既往処置を伴わない、ホルモン療法耐性患者において観察される、推奨用量におけるアムセネストラント(1日1回200mg)の、標準承認用量のパルボシクリブ(1日1回125mg、3週間/1週間)との組合せ療法の抗腫瘍活性は、極めて有望であり、74.3%について、臨床的有用率が観察された。
治療効果評価可能集団についての最新臨床試験結果
本実施例は、カットオフ日を、2021年5月30日とする、患者データベースの抽出に由来する臨床試験結果について記載する。表16は、患者全例数を34例とする、治療効果評価可能集団内における、ベースラインの人口学的特徴および疾患特徴(試験のパートCおよびD)を示す。
Figure 2024509823000019
図4は、この治療効果評価可能集団(患者34例)内における、全体的な抗腫瘍活性、ならびに既往の治療およびベースラインにおけるESR1突然変異状態に応じた、亜群ごとの抗腫瘍活性を示す。
表17および18は、それぞれ、治療効果評価可能患者(N=34)内の、客観的奏効および臨床的有用性を、ベースラインにおける、ddPCRによる、cfDNA内のESR1突然変異的解析について入手可能なデータと共に示す。
Figure 2024509823000020
Figure 2024509823000021
ddPCRによる、cfDNA内のベースラインにおけるESR1突然変異的解析についてのデータが入手可能な治療効果評価可能患者(N=34)では、客観的奏効(OR)は、ESR1突然変異を伴う患者8例中3例(37.5%)(患者2例は、E380Q突然変異を有し、患者1例は、D538G突然変異を有した)、および野生型ESR1を伴う患者26例中8例(30.8%)において観察された(表17)。臨床的有用性(CB)は、ベースラインにおいてESR1突然変異を伴う患者8例中7例(87.5%)(2例は、D538Gを伴い、2例は、E380Qを伴い、1例は、Y537Nを伴い、2例は、Y537Sを伴った)、および野生型ESR1を伴う患者26例中18例(69.2%)において観察された(表18)。
結論
本実施例で提示されたデータは、上記の実施例1~4で導かれた結論を確認する。ベースラインにおいてESR1突然変異を伴う腫瘍を伴う患者を含む、内分泌耐性ER+/HER2-進行性/転移性乳がんを有する患者の間では、標準承認用量のパルボシクリブと組み合わせた、1日1回のアムセネストラント200mgは、有望な抗腫瘍活性を裏付けた。
無進行生存結果およびゲノムデータを含む、最新臨床試験結果
本実施例は、カットオフ日を、2021年10月4日とする、患者データベースの抽出に由来する、最新の安全性/抗腫瘍活性結果、無進行生存(PFS)結果、およびゲノムデータについて記載する。表19は、患者全例数を39例とする、安全性集団内の、ベースラインにおける、人口学的特徴および疾患特徴を示す。全ての患者は、既往の内分泌耐性を有した。
Figure 2024509823000022
Figure 2024509823000023
2021年10月4日現在、患者39例中16例(41.0%)が、研究処置にとどまった(パートDにおける全例)。安全性集団の患者全例のうちの半数を超える例数の患者(39例中22例、56.4%)が、少なくとも14サイクル(56週間)にわたる処置を開始した。処置の持続期間の中央値(範囲)は、57.0(1~98)週間であった。
中央値相対用量強度(RDI)は、アムセネストラントについて、99.6%であり、パルボシクリブについて、97.4%であった。患者1例(2.6%)において、アムセネストラント用量が軽減された。患者13例(33.3%)が、≧1回にわたり、パルボシクリブ用量を、100mgへと軽減され、これらの患者のうちの4例(10.3%)は、その後、75mgへと軽減された。患者8例(20.5%)および17例(43.6%)が、それぞれ、≧連続7日間にわたり、アムセネストラントおよびパルボシクリブの投与を割愛された。
安全性は、パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラント200mgを施される患者として規定される、「安全性集団」(N=39:パートC、n=9;パートD、n=30)内で評価した。安全性査定は、国際医薬用語集(MedDRA)v23.1に従いコードされる、処置関連有害事象(TRAE)に基づいた。好中球数の減少は、処置期間中において、有害事象共通用語基準(CTCAE)v4.03に従い、血液学的検査値異常に基づき報告した。表20は、安全性集団内の患者のうちの、≧10%において生じる、非血液学的TRAEを示す。
Figure 2024509823000024
患者3例(7.7%)が、有害事象に起因して、処置を中断した:2例は、処置と関連し(1例は、アムセネストラントおよびパルボシクリブと関連し[無力症];1例は、パルボシクリブだけ[アラニンアミノトランスフェラーゼ値の上昇]と関連し)、1例は、処置と関連しなかった(大規模な腸閉塞)。
アムセネストラントおよびパルボシクリブと関連するTRAEは、それぞれ、全てのグレードの事象について、患者39例中27例(69.2%)および39例中36例(92.3%)において生じ、グレード≧3の事象について、39例中5例(12.8%)および患者39例中19例(48.7%)において生じた。血液学的検査値異常に基づく、好中球数の減少は、患者の大部分(全てのグレード、94.9%;グレード3、43.6%;グレード4、12.8%)において観察された。アムセネストラントおよびパルボシクリブについての、最も一般的な処置関連有害事象は、グレード1またはグレード2の、悪心および疲労感であった。アムセネストラントと関連する、グレード3の、重篤な有害事象である、深部静脈血栓症および血栓症は、患者1例(2.6%)において生じた。研究期間中に、臨床的に重要な心因性の安全性知見、または眼内の安全性知見、または死は、生じなかった。
抗腫瘍活性は、既往のCDK4/6i処置、またはmTORi処置を伴わず、パルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラント200mgを施された患者から構成される、「治療効果評価可能集団」(N=34:パートC、n=5;パートD、n=29)内で評価した。抗腫瘍活性は、客観的奏効率(ORR;確認完全奏効[CR]および確認部分奏効[PR])、臨床的有用率(CBR;≧24週間にわたるCR、PR、または安定疾患[SD])、および無進行生存(最初の処置服用~最初の腫瘍進行日または死亡日の時間)を使用して、治験責任医師/地域の放射線科医師により、固形がんの効果判定のためのガイドライン(RECIST)v1.1に従い査定した。表21、表22、および図3は、治療効果評価可能集団における抗腫瘍活性結果を示す。
Figure 2024509823000025
Figure 2024509823000026
治療効果評価可能集団内の活性に関して、客観的奏効率は、32.4%であり、臨床的有用率は、73.5%であった。最初の応答までの中央値時間は、16.3週間(範囲:8~32週間)であった。腫瘍退縮は、患者34例中27例(79.4%)において観察され、患者2例は、それらの標的病変の、100%の退縮を示した。14.8カ月間にわたる中央値追跡期間の後に、中央値無進行生存は、14.7カ月間であった。
参照のために、HR+/HER2-転移性乳がんを有する患者(内分泌療法後における進行疾患を伴い、進行性乳がんのための、既往の化学療法が≦1である患者521例)における、フルベストラントおよびパルボシクリブによる組合せ処置について、フルベストラントおよびプラセボと対比して評価する、フェーズ3のPALOMA-3研究では、組合せ処置により、9.5カ月間の中央値無進行生存が達成された(Cristofanilliら、前出)。
ゲノムデータは、Sysmex Inostics(Baltimore、MD、USA)製のOncoBEAM(商標)プラットフォームを使用する、病原性で、独立である、12のESR1突然変異における、液滴デジタルポリメラーゼ連鎖反応(ddPCR)、およびAmbry Genetics(Aliso Viejo、CA、USA)製のRoche AVENIO拡張型パネル(77遺伝子)を使用する、次世代シーケンシング(NGS)により、血漿循環遊離DNA(cfDNA)内において解析した:
・全処置集団(N=45)内、ベースライン(サイクル1の1日目:C1D1)、
・全処置集団(N=31)内、ベースラインおよび処置中(サイクル2の2日目:C2D28)において、
データが入手可能である患者における、ddPCRによる、ESR1突然変異プロファイリング;
・全処置集団(N=45)内、ベースラインにおいてデータが入手可能である患者における、ESR1を含む、77の遺伝子に対するNGSによる、突然変異プロファイリング。
全処置集団は、曝露患者の数である。最近の既往の抗がん治療が、進行状況下にあった、全処置集団内の患者の間では、患者30例中13例(43.3%)が、ベースラインにおいて、少なくとも1つのESR1突然変異を有した。ESR1以外の、最も高頻度の突然変異は、PI3KCAおよびTP53(各々、33%ずつ)であった。観察は、アムセネストラント単剤療法により処置された患者についてなされた観察と符合する。
最近の既往の抗がん治療が、(ネオ)アジュバント状況下にあった、全処置集団内の患者15例では、15例中1例(6.7%)だけが、ESR1突然変異を有した。ベースラインおよび処置中における、ddPCRによるESR1突然変異データが入手可能である、全処置集団内の患者(N=31)では、ベースラインにおいて、突然変異ESR1を伴った、患者9例中5例(55.6%)が、C2D28において、野生型ESR1を有したことから、D538G、E380Q、およびY537Sを含む突然変異が除去され;患者1例が、C2D28において検出された、新たな突然変異(Y537C)を有した。ベースラインにおいて、ESR1突然変異を伴う、大半の患者の間では、ベースライン~サイクル2の28日目において、突然変異ESR1の対立遺伝子頻度が減少した。
結論
本明細書で示される通り、内分泌耐性ER+/HER2-進行性乳がんを有する閉経後女性の間で、標準承認用量のパルボシクリブと組み合わせた、アムセネストラント200mgによる処置が、14.8カ月間の中央値追跡期間において、14.7カ月間の中央値無進行生存を結果としてもたらし、抗腫瘍活性(ORR:32.4%;CBR:73.5%)、および好適な安全性プロファイルを裏付けたことは、既往の結果と符合した。加えて、この組合せ処置は、2サイクルにわたる処置の後で、慣例的に抵抗性である、D538GおよびY537S突然変異を含む、cfDNA内の、いくつかのESR1突然変異の軽減を示した。
全体として、本明細書で提示されたデータから、CDK4/6iである、パルボシクリブ(125mg)と組み合わせた、用量を200mgとするアムセネストラントは、有望な安全性、およびCDK4/6阻害剤、またはmTOR阻害剤による既往処置を受けていない、ER+/HER2-進行性/転移性乳がんを有するホルモン療法耐性患者において、無進行生存との関係における抗腫瘍活性を含む、抗腫瘍活性を裏付けることが結論付けられる。

Claims (32)

  1. それを必要とする患者における乳がんを処置する方法であって、患者へと、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩を、1日1回の用量200~400mgで経口投与する工程、および患者へと、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を、1日1回の用量75~125mgで経口投与する工程を含む方法。
  2. アムセネストラントの1日用量は、200mgである、請求項1に記載の方法。
  3. パルボシクリブの1日用量は、75、100、または125mgである、請求項1または2に記載の方法。
  4. パルボシクリブの1日用量は、125mgである、請求項3に記載の方法。
  5. アムセネストラントおよびパルボシクリブ、または薬学的に許容されるそれらの塩は、患者へと、1つまたはそれ以上の処置サイクルで投与される、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 患者は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14またはそれ以上の処置サイクルで処置される、請求項5に記載の方法。
  7. 1つまたはそれ以上の処置サイクルの各々は、28日間を含むかまたはからなる、請求項5または6に記載の方法。
  8. 患者は、1つまたはそれ以上の処置サイクルの各々の間、連続21日間に限り、アムセネストラントを毎日投与され、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩を毎日投与される、請求項7に記載の方法。
  9. 1つを超える処置サイクルが投与される場合、処置サイクルの直後に、後続の処置サイクルが投与される、請求項5~8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 患者は、1つまたはそれ以上の28日間の処置サイクルにおいて、連続21日間に限り、1日200mgで毎日のアムセネストラント、および125mgで毎日のパルボシクリブにより処置される、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 乳がんは、ホルモン受容体(HR)陽性である、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
  12. HRは、エストロゲン受容体(ER)である、請求項11に記載の方法。
  13. HRは、プロゲステロン受容体(PgR)である、請求項11に記載の方法。
  14. 乳がんは、エストロゲン受容体陽性(ER+)かつプロゲステロン受容体陽性(PgR+)である、請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 乳がんは、ヒト表皮増殖因子受容体2陰性(HER2-)である、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 乳がんは、ER+かつHER2-である、請求項15に記載の方法。
  17. 乳がんは、進行性または転移性がんである、請求項11~16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 患者は、ER+/HER2-の進行性または転移性乳がんを有する閉経後女性である、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 患者におけるESR1遺伝子は、突然変異している、請求項11~18のいずれか1項に記載の方法。
  20. 患者は、内分泌療法に不応性である、請求項11~19のいずれか1項に記載の方法。
  21. 患者は、かつて、CDK4/6阻害剤、またはmTOR阻害剤で処置されていない、請求項1~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 患者において、部分奏効(PR)、または安定疾患(SD)を結果としてもたらす、請求項1~21のいずれか1項に記載の方法。
  23. 患者において、無進行生存、場合によって、約14.7カ月間の中央値無進行生存を結果としてもたらす、請求項1~22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 患者を、好中球減少症または肺炎についてモニタリングする工程をさらに含む、請求項1~23のいずれか1項に記載の方法。
  25. アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩は、カプセルまたは錠剤として提供される、請求項1~24のいずれか1項に記載の方法。
  26. パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩は、カプセルまたは錠剤として提供される、請求項1~25のいずれか1項に記載の方法。
  27. カプセルまたは錠剤1錠当たり200mgのアムセネストラントカプセルまたは錠、およびカプセルまたは錠剤1錠当たり125mgのパルボシクリブカプセルまたは錠を含む製造物品またはキット。
  28. 28錠のアムセネストラントカプセルまたは錠、および21錠のパルボシクリブカプセルまたは錠、ならびに、場合によって、ER+/HER2-乳がんを処置するための使用のための指示書を含む、請求項27に記載の製造物品またはキット。
  29. 請求項1~26のいずれか1項に記載の方法において、乳がんを処置するために、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて使用するための、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩。
  30. 請求項1~26のいずれか1項に記載の方法において、乳がんを処置するために、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて使用するための、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩。
  31. 請求項1~26のいずれか1項に記載の方法において、乳がんを処置するために、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて使用される医薬の製造における、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩の使用。
  32. 請求項1~26のいずれか1項に記載の方法において、乳がんを処置するために、パルボシクリブ、または薬学的に許容されるその塩と組み合わせて使用される医薬の製造における、アムセネストラント、または薬学的に許容されるその塩の使用。
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