JP2024509501A - 新規活性を持つhhla2結合剤 - Google Patents

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Abstract

本開示は新規の活性を持つHHLA2結合剤及びその使用に関する。【選択図】図1A

Description

関連出願の相互参照
本出願は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる、2021年1月28日に出願された米国仮特許出願第63/142,832号に対する優先権を主張するものである。
免疫療法は、がんを含む多くの疾患及び障害に対して研究されてきたが、まだ対処する必要がある機能上の限界に直面している。免疫系は共刺激及び共抑制のリガンド及び受容体のネットワークによって厳密に制御されている。免疫チェックポイントは複雑な相互作用に基づいて免疫応答の進行を負に制御する。現在利用可能な免疫チェックポイント阻害剤は一部の患者の免疫反応を調節できるが、免疫チェックポイントの発現及び天然の結合パートナーとの相互作用は患者ごとに異なり得る。
したがって、免疫チェックポイント経路を標的とするように最適化された新しい治療法の開発に対するニーズが存在する。
B7遺伝子ファミリーのメンバーであるHERV-H LTR-関連2(HHLA2)は種々の腫瘍及び抗原提示細胞で広く発現されている。HHLA2は、抑制性受容体及び刺激性受容体の双方と相互作用してT細胞機能を調節することが知られている。キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)タンパク質には、2つ(KIR2D)または3つ(KIR3D)の免疫グロブリン様細胞外ドメインが含まれており、KIR3DL3はT細胞及びNK細胞に見られる抑制性HHLA2受容体である。HHLA2のKIR3DL3への結合は、活性化T細胞の免疫応答及びNK細胞の細胞傷害活性を阻害することが示されている。
対照的に、膜貫通及び免疫グロブリンドメイン含有2(TMIGD2)はHHLA2の活性化受容体である。T細胞受容体(TCR)シグナル伝達と同時に、ナイーブT細胞上のTMIGD2はHHLA2と相互作用し、AKTリン酸化が関与する経路を介してT細胞の活性化を共刺激する。T細胞の活性化が繰り返されると、刺激性受容体TMIGD2の発現が徐々に失われ、抑制性受容体KIR3DL3の発現が優勢になる。
HHLA2結合剤は免疫療法として研究されてきたが、本開示は、とりわけ、(i)KIR3DL3へのHHLA2結合の阻害;及び/または(ii)TMIGD2へのHHLA2結合の増強をもたらす新規活性を持つ本明細書に記載されているHHLA2結合剤の発見を包含する。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は:(i)HHLA2のKIR3DL3への結合を阻害することができ;且つ(ii)HHLA2のTMIGD2への結合を増強することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤はHHLA2にアロステリック変化を引き起こし、それによって、HHLA2のTMIGD2への結合を増強するHHLA2の構造変化をもたらす。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、HHLA2上のTMIGD2に対する少なくとも1つの結合部位と直接競合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は初期段階の免疫応答及び/または後期段階の免疫応答を増強する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤はナイーブ免疫エフェクター細胞にてTMIGD2へのHHLA2結合を増強する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は疲弊した免疫エフェクター細胞にてHHLA2のKIR3DL3への結合を阻止する。いくつかの実施形態では、疲弊した免疫エフェクター細胞は、例えば、PD-1、CTLA-4、LAG-3、TIM-3、2B4/CD244/SLAMF4、CD160、及び/またはTIGITのような特定の細胞表面マーカーを含む、または発現する。
従って、本開示は、非小細胞肺癌(NSCLC)、腎細胞癌(RCC)、胆管癌、または乳癌のような固形癌、及び血液学的腫瘍を含む種々のがんを治療するのに特に有用であり、また対象における免疫応答を調節するために特に有用である、そのようなHHLA2結合剤のいくつかの例を提供する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、少なくとも1つの細胞傷害剤の腫瘍ターゲティングのために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、細胞傷害剤と共に投与される、または細胞傷害剤と同時製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、少なくとも1つの放射性核種を腫瘍(例えば、本明細書に記載されている腫瘍)に送達するために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、放射性核種と投与される、または放射性核種と同時製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、Fc受容体(FcR)に結合し、それによって抗体依存性細胞傷害(ADCC)に介在するモノクローナル抗体と組み合わせて、腫瘍(例えば、本明細書に記載されている腫瘍)を標的とするために使用される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、FcRに結合するモノクローナル抗体と投与される、またはそれと同時製剤化される。
一態様では、本開示は、(i)HHLA2のKIR3DL3への結合を阻害することができる、及び/または(ii)HHLA2のTMIGD2への結合を増強することができるHHLA2結合剤を提供する。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は、抗体もしくはその抗原結合断片、小分子、ポリペプチド、またはアプタマーである、またはそれを含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)キメラ抗体、ヒト抗体もしくはヒト化抗体、またはその抗原結合断片;(ii)単一特異性抗体もしくは二重特異性抗体、またはその抗原結合断片;及び/または(iii)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、ナノボディ、またはラクダ抗体を含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(i)IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域、及び/または(ii)カッパまたはラムダの軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域である、またはそれを含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:(a)表1のVH CDRとそれぞれ少なくとも約90%の同一性がある1、2、または3のVH CDR配列を含む重鎖可変領域(VH);及び/または(b)表1のVL CDRとそれぞれ少なくとも約90%の同一性がある1、2、または3のVL CDR配列を含む軽鎖可変領域(VL)である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は(a)表1のVH CDRに対してそれぞれ少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある1、2、または3のVH CDR配列を含むVH;及び/または(b)表1のVL CDRに対してそれぞれ少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある、1、2、または3のVL CDR配列を含むVLである、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(a)表1のVH CDRをそれぞれ含む、またはそれから成る1、2、または3のVH CDR配列を含むVH、及び/または(b)表1のVL CDRをそれぞれ含む、またはそれから成る1、2、または3のVL CDR配列を含むVLである、またはそれを含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:(a)表1のVHと少なくとも約90%以上の同一性があるVH;及び/または(b)表1のVLと少なくとも約90%以上の同一性があるVLである、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は(a)表1のVHに対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性があるVH;及び/または(b)表1のVLに対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性があるVLである、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(a)表1のVHを含む、またはそれから成るVH、及び/または(b)表1のVLを含む、またはそれから成るVLである、またはそれを含む。
いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は:(a)表1の重鎖と少なくとも約90%以上の同一性がある重鎖;及び/または(b)表1の軽鎖と少なくとも約90%以上の同一性がある軽鎖である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は(a)表1の重鎖に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある重鎖;及び/または(b)表1の軽鎖に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある軽鎖である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗体またはその抗原結合断片は、(a)表1の重鎖を含む、またはそれから成る重鎖、及び/または(b)表1の軽鎖を含む、またはそれから成る軽鎖である、またはそれを含む。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様または実施形態のHHLA2結合剤とHHLA2上の同じエピトープに結合する、及び/またはそれとの結合に関して競合する薬剤を提供する。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤はナイーブ免疫エフェクター細胞にてTMIGD2へのHHLA2の結合を増強する。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は疲弊した免疫エフェクター細胞にてKIR3DL3へのHHLA2の結合を阻止する。いくつかの実施形態では、免疫エフェクター細胞はT細胞及び/またはNK細胞を含む、またはT細胞及び/またはNK細胞である。いくつかの実施形態では、T細胞はCD4+T細胞及び/またはCD8+T細胞を含む、またはそれである。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は約5nM以下のKDでHHLA2を結合する。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は約15nM以下のKDでHHLA2を結合する。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤はバックグラウンドの少なくとも約50倍~約800倍の親和性でヒトHHLA2を結合する。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤はHHLA2のTMIGD2への結合を約2を超える比で増強する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様または実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤と、薬学的に許容される担体とを含む医薬組成物を提供する。
別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤、または本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の医薬組成物を投与することを含む、疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、治療有効量の本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤、または本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の医薬組成物を投与することを含む、対象にて免疫応答を調節する方法を提供する。
いくつかの実施形態では、対象は、がんを有する、またはがんを発症するリスクがある。いくつかの実施形態では、対象は固形腫瘍または血液癌を有する。いくつかの実施形態では、固形腫瘍は、腎癌、骨癌、皮膚癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、肺癌、卵巣癌、肝臓癌、胆管癌、または甲状腺癌のうちの1以上である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、血液癌は白血病またはリンパ腫を含む、またはそれである。いくつかの実施形態では、白血病は、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性白血病、または急性白血病を含む、またはそれである。いくつかの実施形態では、リンパ腫はホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む、またはそれである。
いくつかの実施形態では、疾患、障害、または状態は異常なHHLA2発現に関連している。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は非経口で投与される。いくつかの実施形態では、非経口投与は皮下、静脈内、筋肉内、または胸骨内の注射または注入である、またはそれを含む。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は第2の薬剤と併用して投与される。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様または実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤、またはその抗原結合断片をコードする核酸を提供する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様または実施形態の少なくとも1つの核酸を含む発現ベクターを提供する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む、もしくは発現する宿主細胞、本明細書に記載されている態様もしくは実施形態の少なくとも1つの核酸を含む宿主細胞、または本明細書に記載されている態様もしくは実施形態の少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞を提供する。
別の態様では、本開示は、(i)本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の少なくとも1つの核酸、または本明細書に記載されている任意の態様もしくは実施形態の少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞を、HHLA2結合剤の発現に好適な条件下で培養することと、(ii)HHLA2結合剤を回収することとを含む、HHLA2結合剤を作製する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様または実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤を使用して試料中のHHLA2ポリペプチドを検出することを含む、試料中のHHLA2ポリペプチドの存在またはレベルを検出する方法を提供する。
別の態様では、本開示は、本明細書に記載されている任意の態様または実施形態の少なくとも1つのHHLA2結合剤と、使用及び/または投与のための説明書とを含むキットを提供する。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤はHHLA2ポリペプチドと複合体を形成する。いくつかの実施形態では、複合体は酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射免疫アッセイ(RIA)、及び/またはウェスタンブロットを含むアッセイによって検出される。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は直接標識される。
本発明の他の特徴、目的、及び利点は以下の詳細な記載にて明らかである。しかしながら、本発明の実施形態を示しながら、詳細な説明が、限定ではなく、例示としてのみ与えられることを理解するべきである。本発明の範囲内での種々の変更及び修正は詳細な説明から当業者に明らかになるであろう。
以下に説明する図は、共に図面を構成するものであり、限定を目的とするものではなく、説明のみを目的とする。
例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665の重鎖可変ドメインのアラインメントを示す概略図である。 例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665の軽鎖可変ドメインのアラインメントを示す概略図である。
ForteBioのOctetシステムを使用した、組換えHHLA2-Fcに対する例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638の結合親和性を示すグラフである。 ForteBioのOctetシステムを使用した、組換えHHLA2-Fcに対する例示的な抗HHLA2抗体Ab-60665の結合親和性を示すグラフである。
アイソトープ対照と比べたヒトHHLA2を過剰発現する300.19細胞に対する例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638の結合を示すフローサイトメトリーヒストグラムのグラフである。 アイソトープ対照と比べたヒトHHLA2を過剰発現する300.19細胞に対する例示的な抗HHLA2抗体Ab-60665の結合を示すフローサイトメトリーヒストグラムのグラフである。 アイソトープ対照と比べたヒトHHLA2を過剰発現する300.19細胞に対する例示的な抗HHLA2抗体Ab-65885/Ab-65886/Ab-65887/Ab-65889/Ab-65890の結合を示すフローサイトメトリーヒストグラムのグラフである。
アイソタイプ対照と比べた、ヒトKIR3DL3を過剰発現する300.19細胞に対するヒトHHLA2-Fcの結合を阻止する例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665の能力を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。 アイソタイプ対照と比べた、ヒトHHLA2を過剰発現する300.19細胞に対するヒトTMIGD2-Fcの結合を増強する例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665の能力を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
アイソタイプ対照と比べた、ヒトKIR3DL3を過剰発現する300.19細胞に対するヒトHHLA2-Fcの結合を阻止する例示的な抗HHLA2抗体Ab-65885、Ab-65886、Ab-65887、Ab-65889及びAb-65890の能力を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。 アイソタイプ対照と比べた、ヒトHHLA2を過剰発現する300.19細胞に対するヒトTMIGD2-Fcの結合を増強する例示的な抗HHLA2抗体Ab-65885、Ab-65886、Ab-65887、Ab-65889及びAb-65890の能力を示すフローサイトメトリーデータのグラフである。
例示的な抗HHLA2抗体Ab-65885、Ab-65886、Ab-65887、Ab-65889及びAb-65890が、Jurkat細胞にてルシフェラーゼレポーターを使用して、隣接するTMIGD2発現Jurkat細胞上のHHLA2発現CHO細胞の活性を調節することを示す棒グラフである;このアッセイは、これら5つの例示的な抗体がTMIGD2を介したHHLA2介在性シグナル伝達を阻止しないだけでなく、TMIGD2を介したHHLA2介在性シグナル伝達を増強することを示している。
定義
本発明がさらに容易に理解されるために、特定の用語が先ず以下に定義される。以下の用語及び他の用語の追加の定義は本明細書全体に記載されている。本発明の背景を説明し、その実践に関するさらなる詳細を提供するために、本明細書で参照される刊行物及び他の参考資料は参照によって本明細書に組み込まれる。
冠詞「a」及び「an」は、本明細書では、冠詞の文法的対象の1以上(すなわち、少なくとも1)を指すのに使用される。例として、「an薬剤」は1つの薬剤または複数の薬剤を意味する。
約:本明細書で使用されるとき、関心の1つ以上の値に適用される「約」という用語は記述される参照値と類似する値を指す。いくつかの実施形態では、「約」という用語は、特に明記しない限り、または特に文脈から明らかでない限り、記載された基準値のいずれかの方向(上回るまたは下回る)で、25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%以内に収まる値の範囲を指す(そのような数値が取り得る値の100%を超える場合を除く)。
親和性成熟:本明細書で使用されるとき「親和性成熟」という用語は、これら1以上の変化を有しない親抗体と比べて、抗原に対する抗体の親和性で向上をもたらす、その1以上のCDR内に1以上の変化がある抗体を指す。いくつかの実施形態では、親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはさらにはピコモルの親和性を有するであろう。親和性成熟抗体は、当該技術分野において種々の既知の手順によって製造されてもよい。VH及びVLドメインシャフリングによる親和性成熟はMarks et al.,BioTechnology,10:779-783(1992)に記載されている。CDR及び/またはフレームワークの残基における無作為突然変異誘発は、Barbas et al.Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A,91:3809-3813(1994);Schier et al.,Gene,169:147-155(1995);Yelton et al.,J.Immunol.155:1994-2004(1995);Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310-9(1995)及びHawkins et al.,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
薬剤:本明細書で使用されるとき、「薬剤」という用語は、例えば、抗体またはその抗原結合断片、有機分子(例えば、小分子)、ペプチド(例えば、融合タンパク質)、アプタマー、核酸、キメラ抗原受容体、糖タンパク質、糖類、脂質、成長因子、酵素、合成分子、炭水化物、脂質、ホルモン、ポリマー、またはその誘導体、変形物、複合体、またはそれらの任意の組み合わせのような生物学的実体及び/または化合物を指す。適切な状況では、当業者には文脈から明らかになるように、この用語は、細胞もしくは生物、またはその画分、抽出物、もしくは成分である、またはそれを含む実体を意味するように利用されてもよい。代わりに、またはさらに、文脈から明らかになるように、この用語は天然産物を指すのに使用されてもよい。場合によっては、やはり文脈から明らかになるように、この用語は、ヒトの動作によって設計、操作、及び/または生成され、及び/または自然界に見いだされないという点で人工である1以上の実体を指すのに使用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤は単離形態または純粋形態で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤は粗製の形態で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、薬剤はコレクションまたはライブラリーとして提供され、その中の活性薬剤を同定または特徴付けるためにスクリーニングされてもよい。薬剤は、標的または標的細胞上に存在する受容体、抗原決定基、または他の結合部位のような任意の細胞部分を結合してもよい。種々の薬剤が本明細書に記載されている組成物及び方法において有用である。
抗体:本明細書で使用されるとき、「抗体」という用語は、特定の標的抗原への特異的結合を付与するのに十分であるカノニカルな免疫グロブリン配列要素を含むポリペプチドを指す。当該技術分野において知られているように、自然界で作り出されるようなインタクトな抗体は、互いに会合して「Y字型」構造と一般的に称されるものとなる、2つの同一の重鎖ポリペプチド(各約50kD)と2つの同一の軽鎖ポリペプチド(各約25kD)とから構成されている約150kDの四量体薬剤である。各重鎖は、少なくとも4つのドメイン(それぞれ約110アミノ酸長)から構成されている。すなわち、アミノ末端可変(VH)ドメイン(Y構造の先端に位置する)の後に、3つの定常ドメイン:CH1、CH2、及びカルボキシ末端CH3(Yの基部の底に位置する)が続いている。「スイッチ」として知られている短い領域が重鎖可変領域及び定常領域を接続する。「ヒンジ」はCH2及びCH3ドメインを抗体の残りに接続する。このヒンジ領域中の2つのジスルフィド結合はインタクトな抗体にて2つの重鎖ポリペプチドを互いに接続する。各軽鎖は2つのドメインから構成されている。すなわち、アミノ末端可変(VL)ドメインの後にカルボキシ末端定常(CL)ドメインが続き、これらは、別の「スイッチ」によって互いから分離されている。インタクトな抗体四量体は、2つの重鎖-軽鎖二量体から構成されており、これらの二量体において、重鎖及び軽鎖が1つのジスルフィド結合によって互いに連結され;2つの他のジスルフィド結合が重鎖ヒンジ領域を互いに接続するので、二量体同士が接続され、四量体が形成される。また、天然に産生される抗体は通常、CH2ドメインでグリコシル化されている。自然抗体の各ドメインは、2つのベータシート(例えば、3本鎖、4本鎖、または5本鎖のシート)同士がまとまって固まった逆平行ベータバレルになることから形成される「免疫グロブリンフォールド」によって特徴付けられる構造を有する。各可変ドメインは、「相補性決定領域」として知られる3つの超可変ループ(CDR1、CDR2、及びCDR3)、及び4つの若干不変の「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)を含有する。自然抗体が折り畳むとき、Y構造の先端に位置する1つの超可変抗原結合部位を作り出すように、FR領域がベータシートを形成してドメインの構造フレームワークとなり、重鎖と軽鎖の双方由来のCDRループ領域が三次元空間で結合する。天然に存在する抗体のFc領域は、補体系の要素に結合し、例えば細胞傷害性に介在するエフェクター細胞のようなエフェクター細胞の受容体にも結合する。Fc受容体に対するFc領域の親和性及び/または他の結合特性は、グリコシル化または他の修飾を介して調節することができる。いくつかの実施形態では、本発明に従って生成され、及び/または利用される抗体は、グリコシル化されたFcドメイン、例えば、修飾された、または操作されたグリコシル化があるFcドメインを含む。いくつかの実施形態では、自然抗体中に見いだされるような十分な免疫グロブリンドメイン配列を含む、任意のポリペプチド、またはポリペプチドの複合体は、そのようなポリペプチドが自然に産生されようと(例えば、抗原に反応する生物によって生成される)、または組換え操作、化学合成、もしくは他の人工システムもしくは方法論によって産生されようと、「抗体」と称することができ、及び/または「抗体」として使用することができる。いくつかの実施形態では、抗体はポリクローナルである。いくつかの実施形態では、抗体はモノクローナルである。いくつかの実施形態では、抗体は、マウス抗体、ウサギ抗体、霊長類抗体、またはヒト抗体に特有の定常領域配列を有する。いくつかの実施形態では、抗体配列要素は、当該技術分野において既知であるように、ヒト化されたもの、霊長類化されたもの、またはキメラである。さらに、本明細書で使用されるとき「抗体」という用語は、適切な実施形態(別段の記載がない限り、または文脈から明らかでない限り)では、代替的な提示にて抗体の構造的特徴及び機能的特徴を利用するための、当該技術分野におい既知である、または開発されている構築物または形式のいずれかを指すことができる。例えば、いくつかの実施形態では、本発明に従って利用される抗体は、インタクトなIgA、IgG、IgE、またはIgM抗体;二重特異性または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標));及び/または抗体断片(好ましくは、所望の抗原結合活性を示す抗体断片)から選択されるが、これらに限定されない形式のものである。本明細書に記載されている抗体は、免疫グロブリン、重鎖抗体、軽鎖抗体、LRRベースの抗体、または抗体様特性を持つ他のタンパク質足場、と同様に当該技術分野で知られている任意の他の免疫学的結合部分、例えば、Fab、Fab’、Fab’2、Fab2、Fab3、F(ab’)2、Fd、Fv、Feb、scFv、SMIP、抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ、DVD、BiTe、TandAb、または任意のそれらの組み合わせであることができる。異なるクラスの抗体のサブユニット構造及び三次元構成は当該技術分野で知られている。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に産生される場合に有するであろう共有結合修飾(例えば、グリカンの結合)を欠いてもよい。いくつかの実施形態では、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカンの結合、ペイロード(例えば、検出可能な部分、治療部分、触媒部分など)、または他のペンダント基(例えば、ポリエチレングリコールなど)を含有してもよい。
抗体剤:本明細書で使用されるとき、「抗体剤」という用語は、特定の抗原に特異的に結合する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、この用語は、特異的結合を付与するのに十分な免疫グロブリンの構造的要素を含む任意のポリペプチドまたはポリペプチド複合体を包含する。例示的な抗体剤には、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体が含まれるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、抗体剤は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒトの抗体に特有の1以上の定常領域配列を含んでもよい。いくつかの実施形態では、抗体剤は、当該技術分野で公知であるように、ヒト化されたもの、霊長類化されたもの、キメラである1以上の配列要素を含んでもよい。多くの実施形態では、「抗体剤」という用語は、代替的な提示にて抗体の構造的特徴及び機能的特徴を利用するための、当該技術分野において既知である、または開発されている構築物または形式のうちの1以上を指すのに使用される。例えば、本発明に従って利用される抗体剤は、インタクトなIgA、IgG、IgEまたはIgM抗体;二重特異性抗体または多重特異性抗体(例えば、Zybodies(登録商標)など);抗体断片、例えば、Fab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fd’断片、Fd断片、及び単離されたCDRまたはそれらのセット;単鎖Fv;ポリペプチド-Fc融合体;単一ドメイン抗体(例えば、IgNARのようなサメ単一ドメイン抗体またはその断片)、ラクダ抗体;マスク抗体(例えば、Probodies(登録商標));小分子免疫医薬剤(「SMIPs(商標)」);単鎖ダイアボディまたはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標));VHH;Anticalins(登録商標);Nanobodies(登録商標)ミニボディ;BiTE(登録商標)、アンリキンリピートタンパク質またはDARPINs(登録商標);Avimers(登録商標);DART;TCR様抗体;Adnectins(登録商標);Affilins(登録商標);Trans-bodies(登録商標);Affibodies(登録商標);TrimerX(登録商標);マイクロプロテイン;Fynomers(登録商標)、Centyrins(登録商標);またはKALBITOR(登録商標)を含むが、これらに限定されない形式である。いくつかの実施形態では、抗体は、天然に産生される場合にはそれが有している共有結合修飾(例えば、グリカンの結合)を欠いている。いくつかの実施形態では、抗体は、共有結合修飾(例えば、グリカンの結合、ペイロード、例えば、検出可能な部分、治療部分、または触媒部分)、または他のペンダント基(例えば、ポリエチレングリコールなど)を含有する。多くの実施形態では、抗体剤は、当業者によって相補性決定領域(CDR)として認識される1以上の構造的要素がアミノ酸配列に含まれるポリペプチドである、または該ポリペプチドを含む;いくつかの実施形態では、抗体剤は、参照抗体に見いだされるものと実質的に同一である少なくとも1つのCDR(例えば、少なくとも1つの重鎖CDR及び/または少なくとも1つの軽鎖CDR)がアミノ酸配列に含まれるポリペプチドである、または該ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRと比べて、配列が同一であるか、または1~5のアミノ酸置換を含有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRとの少なくとも85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性によって参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、参照CDRとの少なくとも96%、96%、97%、98%、99%、または100%の配列同一性によって参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が参照CDRと比べて欠失、付加、または置換されるが、含まれるCDRが参照CDRのものと他の点では同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の1~5のアミノ酸が参照CDRと比べて欠失、付加、または置換されるが、含まれるCDRが参照CDRと他の点では同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の少なくとも1つのアミノ酸が参照CDRと比べて置換されるが、含まれるCDRが参照CDRのものと他の点では同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、含まれるCDRは、含まれるCDR内の1~5のアミノ酸が参照CDRと比べて欠失、付加、または置換されるが、含まれるCDRが参照CDRと他の点では同一であるアミノ酸配列を有するという点で、参照CDRと実質的に同一である。いくつかの実施形態では、抗体剤は、アミノ酸配列が免疫グロブリン可変ドメインとして当業者に認識される構造的要素を含むポリペプチドである、または該ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態では、抗体剤は、免疫グロブリン結合ドメインと相同である、または大部分が相同である結合ドメインを有するポリペプチドタンパク質である。
抗体重鎖:本明細書で使用されるとき、「抗体重鎖」という用語は、天然に存在する立体配座にある全抗体に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうち大きい方を指す。
抗体軽鎖:本明細書で使用されるとき、「抗体軽鎖」という用語は、天然に存在する立体配座にある全抗体に存在する2つのタイプのポリペプチド鎖のうち小さい方を指す。
抗原:本明細書で使用されるとき、「抗原」または「Ag」という用語は免疫応答を誘発することができる分子を指す。この免疫応答には、抗体産生、特異的免疫学的適格細胞の活性化のいずれか、またはその双方が含まれてもよい。当業者は、事実上すべてのタンパク質またはペプチドを含む任意の高分子が抗原として機能することができることを理解するであろう。さらに、抗原は組換えDNAまたはゲノムDNAに由来することができる。当業者は、免疫応答を誘発するタンパク質をコードするヌクレオチド配列または部分ヌクレオチド配列を含む任意のDNAが、その用語が本明細書で使用されるときの「抗原」をコードすることを理解するであろう。さらに、当業者は、抗原が遺伝子の完全長ヌクレオチド配列のみによってコードされる必要がないことを理解するであろう。本発明は、1を超える遺伝子の部分的ヌクレオチド配列の使用を含むが、これらに限定されないこと、及びこれらのヌクレオチド配列が所望の免疫応答を誘発するために種々の組み合わせで配置されることは容易に明らかである。さらに、当業者は、抗原が「遺伝子」によってコードされる必要がまったくないことを理解するであろう。抗原は、合成して生成することができる、または生体試料に由来することができることは容易に明らかである。そのような生体試料には、組織試料、腫瘍試料、細胞または体液が含まれ得るが、これらに限定されない。
抗原結合断片:本明細書で使用されるとき、「抗原結合断片」という用語は、インタクトな抗体が結合する抗原を結合するインタクトな抗体の一部を指す。抗体の抗原結合断片には、抗原に特異的に結合して複合体を形成する、天然に存在する、酵素的に入手可能な、合成の、または遺伝子操作されたポリペプチドまたは糖タンパク質が含まれる。例示的な抗体断片には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2;ダイアボディ;線形抗体;単鎖抗体分子(例えば、scFv、VHH、ラクダ抗体、またはVHまたはVLドメインのみ);または抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体の抗原結合断片はscFvである。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗体の抗原結合断片はVHHドメインのみである。完全な抗体分子と同様に、抗原結合断片は単一特異性または多重特異性(例えば、二重特異性)であってもよい。抗体の多重特異性抗原結合断片は、少なくとも2つの異なる可変ドメインを含んでもよく、各可変ドメインは、別個の抗原または同じ抗原の異なるエピトープに特異的に結合することができる。抗原結合断片は任意の手段によって作り出されてもよい。例えば、いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、インタクトな抗体または抗体剤の断片化によって酵素的または化学的に生成される。あるいは、いくつかの実施形態では、抗原結合断片は組換えによって作り出される。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は全体的または部分的に合成で生成される。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、または200アミノ酸以上の長さを有する。
抗体依存性細胞傷害:本明細書で使用されるとき、「抗体依存性細胞傷害」または「ADCC」という用語は、抗体が結合した標的細胞が免疫エフェクター細胞によって殺傷される現象を指す。理論によって束縛されることを望まないが、ADCCは通常、抗体をコーティングした標的細胞(例えば、抗体が結合する特異的抗原を表面上に発現する細胞)を認識し、続いて殺傷するFc受容体(FcR)を持つエフェクター細胞が関与すると理解されている。ADCCに介在するエフェクター細胞には、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、好中球、及び好酸球を含むが、これらに限定されない免疫細胞が挙げられる。
アプタマー:本明細書で使用されるとき、「アプタマー」という用語は、特定の分子標的(例えば、アンブレラトポロジーグリカン)にしっかりと結合する核酸(例えば、RNA、DNA)から構成される高分子を指す。特定のアプタマーは、線形のヌクレオチド配列によって記載されてもよく、通常長さが約15~60のヌクレオチドである。理論によって束縛されることを望まないが、アプタマー内のヌクレオチドの鎖は、分子を複雑な三次元形状に折り畳む分子内相互作用を形成し、この三次元形状によってアプタマーがその標的分子の表面にしっかりと結合することができることが企図される。考えられるすべてのヌクレオチド配列の領域の範囲内に存在する分子形状の驚くべき多様性を考慮すると、タンパク質や小分子を含む幅広い分子標的に対してアプタマーが得られてもよい。高い特異性に加えて、アプタマーは通常、その標的に対して非常に高い親和性(例えば、タンパク質に対してピコモルから低ナノモル範囲の親和性)を有する。多くの実施形態では、アプタマーは化学的に安定であり、活性を失うことなく煮沸または凍結することができる。アプタマーは合成分子であるため、さまざまな修飾が可能であり、特定の用途に合わせてその機能を最適化することができる。たとえば、アプタマーは生体内用途で使用するために、血中の酵素による分解に対する感受性を劇的に低下させるように修飾することができる。加えて、アプタマーを修飾して、生体内分布や血漿滞留時間を変更することができる。
関連する:2つの事象または実体は、その用語が本明細書で使用されるとき、一方の存在、レベル、程度、タイプ及び/または形態が他方のそれと相関する場合、互いに「関連」している。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子特性、代謝物または微生物)は、その存在、レベル、及び/または形態が、(例えば、関連集団全体において)疾患、障害、または状態の発生率及び/または感受性と相関する場合、特定の疾患、障害、または状態と関連すると見なされる。いくつかの実施形態では、2以上の実体は、互いに物理的に近接する及び/または近接状態を保つように直接的または間接的に相互作用する場合、互いに物理的に「関連している」。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連している2以上の実体は互いに共有結合している。いくつかの実施形態では、互いに物理的に関連している2以上の実体は、互いに共有結合していないが、例えば、水素結合、ファン・デル・ワールス相互作用、疎水性相互作用、磁性、及びそれらの組み合わせの手段によって、非共有結合性に関連している。
結合:本明細書で使用されるとき「結合」という用語は2以上の実体の間での非共有結合性の関連を指す。「直接」結合には、実体または部分の間での物理的接触が含まれる。間接的結合は1以上の中間的実体との物理的接触による物理的相互作用を伴う。通常、2以上の実体間の結合は、相互作用する実体または部位を単独で、またはさらに複雑な系(例えば、担体実体と共有結合または他の方法で結合している間、及び/または生物学的系または細胞内)の文脈で研究する場合を含む、種々の文脈のいずれかで評価することができる。
がん:本明細書で使用されるとき「がん」、「悪性腫瘍」、「新生物」、「腫瘍」、及び「癌腫」という用語は、比較的異常な、無制御な、及び/または自律的な増殖を示すので、細胞増殖の制御の著しい喪失を特徴とする異常増殖表現型を示す細胞を指す。がん細胞は、局所性に、または血流及びリンパ系を介して身体の他の部分に広がることができる。いくつかの実施形態では、腫瘍は、前癌性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、及び/または非転移性の細胞である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、がんは固形腫瘍である、または固形腫瘍を含む。別の実施形態では、がんは血液腫瘍である、または血液腫瘍を含む。種々のがんの例は本明細書に記載されており、それらには、白血病、リンパ腫(ホジキンリンパ腫及び非ホジキンリンパ腫)、骨髄腫及び骨髄増殖性疾患を含む造血系のがん;固形組織の肉腫、黒色腫、腺腫、及び癌腫;口、喉、喉頭、及び肺の扁平上皮癌;肝臓癌;前立腺癌、子宮頸癌、膀胱癌、子宮癌、子宮内膜癌、及び腎細胞癌のような尿生殖器癌;骨癌;膵臓癌;皮膚癌;皮膚黒色腫または眼内黒色腫;内分泌系のがん;甲状腺のがん;副甲状腺のがん;頭頸部癌;乳癌;胃腸癌;神経系のがん;ならびに乳頭腫のような良性病変、と同様に本明細書の他の場所に記載されているものを含むいくつかの他のタイプが挙げられるが、これらに限定されない。
担体:本明細書で使用されるとき、「担体」という用語は、組成物を投与する際に用いられる希釈剤、アジュバント、賦形剤、またはビヒクルを指す。いくつかの例示的な実施形態では、担体には、例えば、水、及び、例えば、ピーナッツ油、ダイズ油、鉱油、ゴマ油などのような石油、動物、植物、または合成に由来する油を含む油のような無菌液体が含まれる。いくつかの実施形態では、担体は1以上の固体成分である、またはそれを含む。
CDR:本明細書で使用されるとき、「CDR」は抗体の可変領域内の相補性決定領域を指す。可変領域のそれぞれに対してCDR1、CDR2、及びCDR3と命名されている、重鎖及び軽鎖の可変領域のそれぞれに3つのCDRが存在する。「CDRのセット(set of CDRs)」または「CDRセット(CDR set)」は、抗原を結合することができる単一の可変領域、または抗原を結合することができる同族の重鎖及び軽鎖の可変領域のCDRのいずれかに存在する3つまたは6つのCDRの群を指す。正確な定義上のCDR境界及び長さはさまざまな分類及び番号付けシステムの影響を受ける。CDR境界を定義するための特定のシステムが当該技術分野で確立されている(例えば、Kabat、IMGT、Chothia、またはそれらの組み合わせ)。したがって、CDRはKabat、Chothia、IMGT、または当該技術分野で知られている他の境界定義によって参照されてもよい。境界が異なるにもかかわらず、これらのシステムのそれぞれは、可変配列内の「超可変領域」を構成するものにある程度の重複を有する。したがって、これらのシステムに係るCDRの定義は、隣接するフレームワーク領域に関して長さと境界領域が異なってもよい(たとえば、それぞれその全体が参照によって組み込まれるKabat et al.,“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Edition,U.S.Department of Health and Human Services,1992;Chothia et al.(1987),J.Mol.Biol.196,901;及びMacCallum et al.,J.Mol.Biol.(1996),262,732を参照のこと)。当業者は、これらのシステム間の差異を理解しており、本明細書の特許請求の範囲及び開示を理解し、且つ実践するのに必要な程度までCDRの境界を理解することができる。
化学療法剤:本明細書で使用されるとき「化学療法剤」という用語は、1以上のプロアポトーシス剤、細胞静止剤及び/または細胞傷害剤を指す当該技術分野で理解されている意味を有し、例えば、望ましくない細胞増殖に関連する1以上の疾患、障害または状態の治療での使用に利用される及び/または推奨される薬剤を具体的に含む。多くの実施形態では、化学療法剤はがんの治療に有用である。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、1以上のアルキル化剤、1以上のアントラサイクリン、1以上の細胞骨格破壊剤(例えば、タキサン、メイタンシン及びその類似体のような微小管標的化剤)、1以上のエポチロン、1以上のヒストンデアセチラーゼ阻害剤(HDAC)、1以上のトポイソメラーゼ阻害剤(例えば、トポイソメラーゼI及び/またはトポイソメラーゼIIの阻害剤)、1以上のキナーゼ阻害剤、1以上のヌクレオチド類似体またはヌクレオチド前駆体類似体、1以上のペプチド抗生物質、1以上の白金系薬剤、1以上のレチノイド、1以上のビンカアルカロイド、及び/または以下の1以上の1以上の類似体(すなわち、関連する抗増殖活性を共有する)であってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、アクチノマイシン、オールトランスレチノイン酸、アウリスタチン、アザシチジン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ボルテゾミブ、カルボプラチン、カペシタビン、シスプラチン、クロランブシル、シクロホスファミド、クルクミン、シタラビン、ダウノルビシン、ドセタキセル、ドキシフルリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、エポチロン、エトポシド、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシ尿素、イダルビシン、イマチニブ、イリノテカン、メイタンシン及び/またはそれらの類似体(例、DM1)、メクロレタミン、メルカプトプリン、メトトレキサート、ミトキサントロン、メイタンシノイド、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペメトレキセド、テニポシド、チオグアニン、トポテカン、バルルビシン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ビンデシン、ビノレルビンの1以上、またはそれらの組み合わせであってもよく、またはそれを含んでもよい。いくつかの実施形態では、化学療法剤は抗体薬物複合体と関連して利用されてもよい。いくつかの実施形態では、化学療法剤は、hLL1-ドキソルビシン、hRS7-SN-38、hMN-14-SN-38、hLL2-SN-38、hA20-SN-38、hPAM4-SN-38、hLL1-SN-38、hRS7-Pro-2-P-Dox、hMN-14-Pro-2-P-Dox、hLL2-Pro-2-P-Dox、hA20-Pro-2-P-Dox、hPAM4-Pro-2-P-Dox、hLL1-Pro-2-P-Dox、P4/D10-ドキソルビシン、ゲムツズマブ オゾガマイシン、ブレンツキシマブ ベドチン、トラスツズマブ エムタンシン、イノツズマブ オゾガマイシン、グレンバツモマブ ベドチン、SAR3419、SAR566658、BIIB015、BT062、SGN-75、SGN-CD19A、AMG-172、AMG-595、BAY-94-9343、ASG-5ME、ASG-22ME、ASG-16M8F、MDX-1203、MLN-0264、抗PSMA ADC、RG-7450、RG-7458、RG-7593、RG-7596、RG-7598、RG-7599、RG-7600、RG-7636、ABT-414、IMGN-853、IMGN-529、ボルセツズマブ マフォドチン、及び/またはロルボツズマブ メルタンシンを含む抗体薬物複合体である。
キメラ抗体:本明細書で使用されるとき、そのアミノ酸配列が、第1の種に見いだされるVH及びVL領域配列と、第1の種とは異なる第2の種に見いだされる定常領域配列とを含む抗体を指す。多くの実施形態では、キメラ抗体は、ヒト定常領域に連結されたマウスVH領域及びVL領域を有する。いくつかの実施形態では、非ヒト定常領域(例えば、マウス定常領域)に連結されたヒトVH領域及びVL領域を持つ抗体は「逆キメラ抗体」と呼ばれる。
組成物:当業者は、「組成物」という用語が1以上の特定の成分を含む物理的に独立した実体を指すのに使用されてもよいことを理解するであろう。一般に、特に明記されない限り、組成物は、例えば、ガス、ゲル、液体、または固体のような任意の形態であってもよい。
含むこと(Comprising):名前を挙げた要素または工程を1以上「含む(comprising)」として本明細書に記載されている組成物または方法は、オープンエンドであり、名前を挙げた要素または工程は必須であるが、他の要素または工程が組成物または方法の範囲内に追加されてもよいことを意味する。冗長さを避けるために、名前を挙げた要素または工程を1以上「含む(comprising)」(または「含む(comprises)」)と記載されている任意の組成物または方法はまた、名前を挙げた同じ要素または工程「から本質的になる(consisting essentially of)」(または「から本質的になる(consists essentially of)」)対応する、さらに限定された組成物または方法も記載し、これは、組成物または方法が名前を挙げた必須の要素または工程を含み、組成物または方法の基本的特性(複数可)及び新規特性(複数可)に実質的に影響を与えない追加の要素または工程を含んでもよいことを意味することも理解される。また、名前を挙げた要素または工程を1以上「含む(comprising)」またはそれら「から本質的になる(consisting essentially of)」として本明細書に記載されている任意の組成物または方法は、名前を挙げていない他のあらゆる要素または工程を除外する、名前を挙げた要素または工程「から成る(consisting of)」(または「から成る(consists of)」)対応する、さらに限定された、クローズエンドの組成物または方法も記載することが理解される。本明細書で開示されているあらゆる組成物または方法にて、名前を挙げた必須の要素または工程のいずれかの既知のまたは開示された均等物が、その要素または工程の代わりに使用されてもよい。
保存的配列修飾:本明細書で使用されるとき、「保存的配列修飾」という用語は、アミノ酸配列を含有する抗体またはその抗原結合断片の結合特性に有意に影響または変化を与えないアミノ酸修飾を指す。そのような保存的修飾にはアミノ酸の置換、付加及び欠失が含まれる。修飾は、部位特異的変異導入及びPCR介在性変異導入のような当該技術分野で知られている標準的な技術によって、種々の実施形態に適合する抗体に導入することができる。保存的アミノ酸置換は、アミノ酸残基が類似の側鎖を有するアミノ酸残基で置き換えられているものである。類似の側鎖を有するアミノ酸残基ファミリーは、当該技術分野にて定義されている。これらのファミリーには、塩基性側鎖を有するアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、ヒスチジン)、酸性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アスパラギン酸、グルタミン酸)、非荷電極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、グリシン、アスパラギン、グルタミン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、トリプトファン)、非極性側鎖を有するアミノ酸(例えば、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、フェニルアラニン、メチオニン)、ベータ分岐側鎖を有するアミノ酸(例えば、スレオニン、バリン、イソロイシン)及び芳香族側鎖を有するアミノ酸(例えば、チロシン、フェニルアラニン、トリプトファン、ヒスチジン)が含まれる。したがって、抗体CDR領域内の1以上のアミノ酸残基を、同じ側鎖ファミリーからの他のアミノ酸残基で置き換えることができ、変化した抗体を、本明細書に記載されている機能アッセイを使用して抗原に結合する能力について調べることができる。
併用療法:本明細書で使用されるとき、「併用療法」という用語は、対象が同時に双方の薬剤に曝露されるように2以上の異なる治療剤が重複した投薬計画にて投与される状況を指す。併用療法にて使用される場合、2以上の異なる治療剤は同時にまたは別個に投与されてもよい。併用でのこの投与は、同じ剤形での2以上の薬剤の同時投与、別個の剤形での同時投与、及び別個の投与を含むことができる。すなわち、2以上の治療剤は、同じ剤形にて一緒に製剤化され、同時に投与され得る。あるいは、2以上の治療剤は同時に投与されることができ、治療剤は別個の製剤に存在する。別の代替では、第1の治療剤に続いて、1以上の追加の治療剤が投与され得る。別個の投与プロトコールでは、2以上の治療剤は、数分間隔で投与、または数時間間隔、数日間隔、または数週間間隔で投与されてもよい。いくつかの実施形態では、2以上の治療剤は、数時間(例えば、約1時間、約2時間、約3時間、約4時間、または約5時間未満)の間隔以内にて投与されてもよい。
有効量:本明細書で使用されるとき「有効量」は、個体における疾患、障害または状態(例えば、がん)の少なくとも1つの徴候及び/または症状を予防する、または治療するのに十分である用量を指す。治療的なまたは予防的な使用に有効な量は、例えば、治療される疾患、障害または状態の段階及び重症度、患者の年齢、体重及び一般的な健康状態、ならびに処方医の判断に左右されるであろう。投与量の大きさはまた、選択される活性、投与方法、投与のタイミングと頻度、特定の活性物質の投与に伴い得る有害な副作用の存在、性質、及び程度、及び所望の生理的効果によっても決定されるであろう。種々の疾患または障害が複数回の投与を含む長期の治療を必要としてもよいことは、当業者には理解されるであろう。本開示の目的のために、投与される治療剤(例えば、本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤)の量または用量は、合理的な時間枠にわたって対象にて治療的応答または予防的応答(例えば、少なくとも1つの徴候または症状の重症度または持続期間の減少または他の軽減)をもたらすのに十分であるべきである。例えば、用量は、投与時から約2時間以上、例えば約12時間~約24時間以上の期間内にがんを検出、治療、または予防するのに十分であるべきである。いくつかの実施形態では、時間はさらに長い。用量は、1以上の特定の治療剤の有効性及び対象(例えば、ヒト)の状態、と同様に治療される対象(例えば、ヒト)の体重によって決定されるであろう。
コードする:本明細書で使用されるとき、「コードする」という用語は、ヌクレオチド(すなわち、rRNA、tRNAまたはmRNA)の定義された配列またはアミノ酸の定義された配列のいずれかを有する、生物学的プロセスにて他のポリマー及び高分子の合成のための鋳型として働く、遺伝子、cDNAまたはmRNAのようなポリヌクレオチドにおけるヌクレオチドの特定の配列の固有の特性ならびにそれに起因する生物学的特性を指す。したがって、遺伝子は、その遺伝子に対応するmRNAの転写及び翻訳によって細胞または他の生体系にてタンパク質が産生される場合、タンパク質をコードする。そのヌクレオチド配列がmRNA配列と同一であり、通常は配列表に示されるコード鎖、及び遺伝子またはcDNAの転写のための鋳型として使用される非コード鎖は双方とも、タンパク質、またはその遺伝子もしくはcDNAの他の産物をコードすると称することができる。
操作された:本明細書で使用されるとき「操作された」という用語はヒトの手によって操作されている態様を指す。例えば、自然界ではその順序で結合していない2以上の配列がヒトの手によって操作されて、操作されたポリヌクレオチド内で互いに直接連結される場合、ポリヌクレオチドは「操作された」と見なされる。例えば、いくつかの実施形態では、操作されたポリヌクレオチドは、第1のコード配列と操作上関連するが、第2のコード配列とは操作上関連しない自然界で見いだされる、第2のコード配列と操作可能に関連付けられるようにヒトの手によって連結される調節配列を含む、または該調節配列である。同等に、細胞または生物がその遺伝情報が変更されるように操作されている場合、その細胞または生物は「操作された」と見なされる(例えば、以前には存在しなかった新しい遺伝物質が、たとえば形質転換、交配、体細胞ハイブリッド形成、形質移入、形質導入、もしくは他の機構によって導入されている、または以前に存在していた遺伝物質が、例えば、置換または欠失変異、または交配プロトコールによって変更される、もしくは除去される)。いくつかの実施形態では、操作された抗体またはその抗原結合断片(例えば、操作されたモノクローナル抗体またはその抗原結合断片)は、非ヒト種(例えば、マウス)で産生された参照抗体に由来するVH及び/またはVLの領域の配列を含み、且つそれらの配列をさらに「ヒトらしく」、またはヒトの生殖系列可変配列にさらに類似させることを目的とした、参照抗体に対するそれらの配列の改変を含む。
一般的な慣例であり当業者には理解されているように、実際の操作が以前の実体に対して行われたとしても、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の子孫は通常、依然として「操作された」と呼ばれる。
エピトープ:本明細書で使用されるとき、「エピトープ」という用語は免疫グロブリン(例えば、抗体または受容体)結合成分によって特異的に認識される任意の部分を指す。いくつかの実施形態では、エピトープは抗原上の複数の化学原子または化学基から構成される。いくつかの実施形態では、そのような化学原子または化学基は、抗原が適切な三次元構造をとると表面に露出される。いくつかの実施形態では、そのような化学原子または化学基は、抗原がそのような構造をとるとき、空間内で互いに物理的に近接している。いくつかの実施形態では、少なくともいくつかのそのような化学原子または化学基は、抗原が代替の構造をとる(例えば、線状化される)とき、互いから物理的に分離される。
発現:本明細書で使用されるとき、核酸配列の「発現」という用語は、核酸配列(例えば、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片をコードする核酸配列)からの任意の遺伝子産物の生成を指す。いくつかの実施形態では、遺伝子産物は転写物であることができる。いくつかの実施形態では、遺伝子産物はポリペプチドであることができる。いくつかの実施形態では、核酸配列の発現は、以下:(1)DNA配列からのRNA鋳型の生成(例えば、転写による)、(2)RNA転写産物のプロセシング(例えば、スプライシング、編集、5’キャップ形成、及び/または3’末端形成による)、(3)ポリペプチドまたはタンパク質へのRNAの翻訳、及び/または(4)ポリペプチドまたはタンパク質の翻訳後修飾のうちの1以上を含む。
断片:本明細書で使用されるとき、「断片」という用語は、全体のうちの別個の部分を含むが、構造全体に見いだされる1以上の部分を欠いている構造を指す。いくつかの実施形態では、断片はそのような別個の部分から成る。いくつかの実施形態では、断片は、全体に見いだされる特徴的な構造要素または部分から成る、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、抗体全体に見いだされるような少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500もしくはそれ以上のモノマー単位(例えば、アミノ酸)を含む、またはそれらから成る。いくつかの実施形態では、抗原結合断片は、抗体全体に見いだされるモノマー単位(例えば、残基)の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上を含む、またはそれらから成る。いくつかの実施形態では、ヌクレオチド断片は、ヌクレオチド全体に見いだされるモノマー単位(例えば、残基)の少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、25%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上を含む、またはそれらから成る。
フレームワーク領域:本明細書で使用されるとき「フレームワーク領域」という用語はCDRを差し引いた可変領域の配列を指す。CDR配列は異なる系によって決定することができるので、同様にフレームワーク配列は対応して異なる解釈を受ける。6つのCDRは、重鎖及び軽鎖上のフレームワーク領域を各鎖上で4つのサブ領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)に分割し、CDR1は、FR1とFR2との間、CDR2はFR2とFR3との間、CDR3はFR3とFR4との間に位置する。FR1、FR2、FR3、またはFR4として特定のサブ領域を特定することなく、フレームワーク領域は、他において言及されるように、単一の、天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わされたFRを表す。本明細書で使用される、FRは、4つのサブ領域のうちの1つを表し、FR1は、例えば、CDR1に対して可変領域のアミノ末端及び5’に最も近い最初のフレームワーク領域を表し、複数のFRはフレームワーク領域を構成するサブ領域の2以上を表す。
遺伝子:本明細書で使用されるとき、「遺伝子」という用語は、産物(例えば、RNA産物及び/またはポリペプチド産物)をコードする染色体中のDNA配列を指す。いくつかの実施形態では、遺伝子はコード配列(すなわち、特定の産物をコードする配列)を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子は非コード配列を含む。いくつかの実施形態では、遺伝子は、コード(例えば、エキソン)配列と非コード(例えば、イントロン)配列との双方を含んでもよい。いくつかの実施形態では、遺伝子は、例えば、1以上の態様の遺伝子発現(例えば、細胞型特異的発現及び/または誘導性発現)を制御してもよい、またはそれに影響を与えてもよい、1以上の調節性要素を含んでもよい。
相同性:本明細書で使用されるとき、「相同性」という用語は、ポリマー分子間、例えば、核酸(例えば、DNA及び/またはRNA)間及び/またはポリペプチド間の全体的な関連性を指す。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%同一である場合に互いに「相同」であると見なされる。いくつかの実施形態では、ポリマー分子は、それらの配列が少なくとも25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または99%類似している(例えば、関連する化学的性質を持つ残基を対応する位置に含む)場合に互いに「相同」であると見なされる。当業者に理解されるように、相同性の程度を決定するために配列の比較を可能にする種々のアルゴリズムが利用可能であり、これは、例えば、異なる配列でどの残基が互いに「対応する」のかを検討する際に、ある配列で指定された長さの、別の配列に対するギャップの許容によることを含む。2つの核酸配列間の相同性パーセントの計算は、例えば、最適な比較目的のための2つの配列を整列させることによって実行され得る(例えば、最適なアラインメントのための第1及び第2の核酸配列の一方または双方にギャップを導入することができ、比較目的のためには非対応配列を無視することができる)。特定の実施形態では、比較目的のための整列した配列の長さは、参照配列の長さの少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、または実質的に100%である。次に、対応するヌクレオチド位置でのヌクレオチドが比較される。第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と同じヌクレオチドで占められている場合、分子はその位置で同一であり、第1の配列の位置が、第2の配列の対応する位置と類似のヌクレオチドによって占められている場合、分子はその位置で類似している。2つの配列間の相同性パーセントは、2つの配列の最適なアラインメントのために導入する必要があるギャップの数及び各ギャップの長さを考慮した、配列に共通する同一及び類似の位置の数の関数である。
宿主細胞:本明細書で使用されるとき、「宿主細胞」という用語は外因性DNA(組換えまたはその他)が導入されている細胞を指す。当業者は、本開示を読めば、そのような用語が特定の対象細胞だけでなく、そのような細胞の子孫も指すことを理解するであろう。突然変異または環境的影響のいずれかに起因して、後続の世代にて特定の修飾が存在してもよいので、そのような子孫は、実際には、親細胞と同一でなくてもよいが、本明細書で使用されるような宿主細胞という用語の範囲内に依然として含まれる。いくつかの実施形態では、宿主細胞には、外因性DNA(例えば、組換え核酸配列)を発現するのに好適な生命界のいずれかから選択される原核細胞及び真核細胞が含まれる。例示的な細胞には、原核生物及び真核生物のもの(単細胞または多細胞)、細菌細胞(例えば、E.coli、Bacillus spp.、Streptomyces spp.の株)、マイコバクテリア細胞、真菌細胞、酵母細胞(例えば、S.cerevisiae、S.pombe、P.pastoris、P.methanolica)、植物細胞、昆虫細胞(例えば、SF-9、SF-21、バキュロウイルス感染昆虫細胞、またはTrichoplusia ni)、非ヒト動物細胞、ヒト細胞、または細胞融合物(例えば、ハイブリドーマもしくはクアドローマ)が挙げられる。いくつかの実施形態では、細胞はヒト、サル、類人猿、ハムスター、ラット、またはマウスの細胞を含む、またはそれである。いくつかの実施形態では、細胞は、CHO(例えば、CHO Kl、DXB-1 1CHO、Veggie-CHO)、COS(例えば、COS-7)、網膜細胞、Vero、CV1、腎臓(例えば、HEK293、293EBNA、MSR293、MDCK、HaK、BHK)、HeLa、HepG2、WI38、MRC5、Colo205、HB8065、HL-60、(例えば、BHK21)、Jurkat、Daudi、A431(表皮)、CV-1、U937、3T3、L細胞、C127細胞、SP2/0、NS-0、MMT060562、セルトリ細胞、BRL3A細胞、HT1080細胞、骨髄腫細胞、腫瘍細胞、または前述の細胞に由来する細胞株から選択される真核細胞である。いくつかの実施形態では、細胞は1以上のウイルス遺伝子を含む。
ヒト抗体:本明細書で使用されるとき「ヒト抗体」という用語は、ヒト免疫グロブリン配列から生成される(または組み立てられる)可変領域及び定常領域を有する抗体を指す。抗体またはその抗原結合断片は、そのアミノ酸配列がヒト生殖細胞系列の免疫グロブリン配列にコードされていない残基または要素(例えば、試験管内での無作為なまたは部位特異的な変異誘発によって、あるいは生体内での体細胞変異によって導入され得た配列変異)を含んでいても、1以上のCDR、特にCDR3にて「ヒト」と見なされてもよい。
ヒト化:本明細書で使用されるとき「ヒト化」という用語は、そのアミノ酸配列が非ヒト種(例えば、マウス)で作製された参照抗体由来のVH及び/またはVL領域配列を含む抗体またはその抗原結合断片を指すが、さらに「ヒトらしく」またはヒト生殖細胞系列可変配列にさらに類似した配列にすることを意図した、参照抗体に対するそれらの配列の修飾も含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体またはその抗原結合断片は、目的の抗原に免疫特異的に結合し、実質的にヒト抗体のアミノ酸配列を持つFR領域と、実質的に非ヒト抗体のアミノ酸配列を持つCDRとを有するものである。ヒト化抗体は、CDR領域の全てまたは実質的に全てが非ヒト免疫グロブリン(例えば、ドナー免疫グロブリン)に相当し、フレームワーク領域の全てまたは実質的に全てがヒト免疫グロブリンコンセンサス配列に相当する、少なくとも1つ、通常2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)、FabC、Fv)の実質的に全てを含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は、通常ヒト免疫グロブリン定常領域のものである、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分も含む。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体は軽鎖と重鎖の少なくとも可変ドメインの双方を含む。抗体は、重鎖定常領域のCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び任意でCH4領域も含んでもよい。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体はヒト化VL領域のみを含有する。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体はヒト化VH領域のみを含有する。いくつかの特定の実施形態では、ヒト化抗体はヒト化VH及びVLの領域を含有する。
同一性:本明細書で使用されるとき、「同一性」という用語は、2つのポリマー分子間、特に2つのアミノ酸分子間、例えば2つのポリペプチド分子間のサブユニット配列同一性を指す。2つのアミノ酸配列が同じ位置に同じ残基を有する場合、例えば、2つのポリペプチド分子のそれぞれの位置がアルギニンによって占められている場合、それらはその位置で同一である。2つのアミノ酸配列がアラインメントにて同じ位置に同じ残基を有する同一性または程度は、パーセンテージとして表されることが多い。2つのアミノ酸配列間の同一性は、一致している位置または同一である位置の数の一次関数であり、例えば、2つの配列中の位置の半分(例えば、10アミノ酸長のポリマー中の5つの位置)が同一である場合、2つの配列は50%同一であり、位置の90%(例えば、10アミノ酸長のポリマー中のうち9つの位置)が同一である場合、2つのアミノ酸配列は90%同一である。
免疫細胞:本明細書で使用されるとき、「免疫細胞」という用語は免疫応答、例えば免疫応答の促進に関与する細胞を指す。免疫細胞の例には、T細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、単球、樹状細胞、好中球、好酸球、マスト細胞、血小板、大顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、またはB-リンパ球が挙げられるが、これらに限定されない。
免疫チェックポイント:本明細書で使用されるとき「免疫チェックポイント」という用語は、抗腫瘍免疫反応を下方調節または阻害することによって免疫応答を微調整する、CD4+及び/またはCD8+T細胞と同様にNK細胞の細胞表面上の分子群を指す。免疫チェックポイントタンパク質は当該技術分野で周知であり、HHLA2、KIRファミリー受容体、CTLA-4、PD-l、VISTA、B7-H2、B7-H3、PD-L1、B7-H4、B7-H6、ICOS、HVEM、PD-L2、CD160、gp49B、PIR-B、TIM-l、TIM-3、TIM-4、LAG-3、GITR、4-IBB、OX-40、BTLA、SIRPα、CD47、CD48、2B4(CD244)、B7.1、B7.2、ILT-2、ILT-4、TIGIT、CD226、CD155、CD112.ブチロフィリン、及びA2aRが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、NK細胞はTIGIT、CD226、及び/またはCD96を含む。この用語はさらに、生物学的に活性があるタンパク質断片、と同様に完全長免疫チェックポイントタンパク質及び生物学的に活性があるそのタンパク質断片をコードする核酸を包含する。いくつかの実施形態では、この用語はさらに、本明細書に提供されている相同性の説明による任意の断片を包含する。
免疫応答:本明細書で使用されるとき、「免疫応答」という用語は、リンパ球が抗原分子を異物と同定し、抗体の形成を誘導し、及び/またはリンパ球を活性化して抗原を除去する場合に発生する抗原に対する細胞応答及び/または全身応答を指す。いくつかの実施形態では、免疫細胞応答には、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)の増殖、免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)によるサイトカイン産生、及び/または免疫エフェクター細胞(例えば、T細胞)によるパーフォリン及び/またはグランザイムを含む細胞傷害性顆粒の放出を挙げることができる。
免疫グロブリン:本明細書で使用されるとき、「免疫グロブリン」または「Ig」という用語は、抗体として機能するタンパク質のクラスを指す。B細胞によって発現する抗体はBCR(B細胞受容体)または抗原受容体と称されることがある。このクラスのタンパク質に含まれる5つのメンバーはIgA、IgG、IgM、IgD、及びIgEである。IgAは唾液、涙液、母乳、胃腸分泌物、気道及び尿生殖路の粘液分泌物のような生体分泌物に存在する一次抗体である。IgGは最も一般的な循環抗体である。IgMはほとんどの対象の一次免疫応答で産生される主要な免疫グロブリンである。これは、凝集、補体結合、及びその他の抗体応答において最も効率的な免疫グロブリンであり、細菌及びウイルスに対する防御に重要である。IgDは抗体機能が判明していない免疫グロブリンであるが、抗原受容体として役立ってもよい。IgEは、アレルゲンに対する曝露時にマスト細胞及び好塩基球からのメディエーターの放出を引き起こすことによって即時型過敏症に介在する免疫グロブリンである。
「改善する」、「増加する」、「阻害する」または「低下する」:本明細書で使用されるとき、「改善する」、「増加する」、「阻害する」、「低下する」という用語、またはそれらの文法的均等物はベースラインまたは他の参照測定値に対して相対的な値を示す。いくつかの実施形態では、適切な参照測定値は、特定の薬剤または治療が存在しない場合(例えば、特定の薬剤または治療の前及び/または後)、または適切な比較可能な参照薬剤の存在下にて、そうでなければ比較可能な条件下で、特定の系(例えば、単一個体)における測定値である、またはそのような測定値を含む。いくつかの実施形態では、適切な参照測定値は、関連性のある薬剤または治療の存在下での、特定の様式で応答することが既知であるまたは期待される比較可能な系における測定値である、またはそのような測定値を含む。
単離された:本明細書で使用されるとき、「単離された」という用語は天然状態から変更または除去されたものを指す。例えば、生きている動物に天然に存在する核酸またはペプチドは、「単離されて」いないが、その天然状態の共存物質から部分的にまたは完全に分離された同じ核酸またはペプチドは「単離されて」いる。単離された核酸またはタンパク質は、実質的に精製された形態で存在することができ、または例えば、宿主細胞のような非天然環境で存在することができる。
:本明細書で使用されるとき、「K」という用語は、結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)とそのパートナー(例えば、抗体またはその抗原結合断片が結合するエピトープ)との複合体からの解離定数を指す。本明細書で使用されるとき「K」という用語はKoffをKonで割ったものに等しい。
off:本明細書で使用されるとき、「Koff」という用語は、結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)とそのパートナー(例えば、抗体またはその抗原結合断片が結合するエピトープ)との複合体からの解離のためのオフ速度定数を指す。
on:本明細書で使用されるとき、「Kon」という用語は、結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)とそのパートナー(例えば、抗体またはその抗原結合断片が結合するエピトープ)との会合のためのオン速度定数を指す。
調節する:本明細書で使用されるとき「調節する」という用語は、治療を受けていない対象または未治療の対象における反応のレベル及び/または性質と比較して、対象における反応のレベル及び/または性質の変化における検出可能な増加または減少に介在することを指す。この用語は対象、好ましくはヒトにて、天然のシグナルもしくは応答を撹乱させ、及び/またはそれに影響を与え、それによって有益な治療応答に介在することを包含する。
モノクローナル抗体:「モノクローナル抗体」または「mAb」は、実質的に均質な抗体の集団から得られる抗体を指すので、その集団の個々の抗体は、考えられる変異型抗体(例えば、天然に存在するまたはモノクローナルの生成中に生じる突然変異)を除いて同一であり、及び/または同じエピトープに結合するが、そのような変異型は一般に微量で存在する。異なる決定基(エピトープ)を指向する異なる抗体を通常含む、ポリクローナル抗体調製物とは対照的に、モノクローナル抗体調製物の各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基を指向する。
核酸:本明細書で使用されるとき、「核酸」という用語は少なくとも3つのヌクレオチドのポリマーを指す。いくつかの実施形態では、核酸はDNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸はRNAを含む。いくつかの実施形態では、核酸は一本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は二本鎖である。いくつかの実施形態では、核酸は一本鎖部分と二本鎖部分の双方を含む。いくつかの実施形態では、核酸は1以上のホスホジエステル結合を含む骨格を含む。いくつかの実施形態では、核酸はホスホジエステル結合及び非ホスホジエステル結合の双方を含む骨格を含む。例えば、核酸は、1以上のホスホロチオエートまたは5’-N-ホスホロアミダイト結合及び/または、例えば、ペプチド核酸におけるような、1以上のペプチド結合を含む骨格を含んでもよい。いくつかの実施形態では、核酸は、1以上の、またはすべての天然残基(例えば、アデニン、シトシン、デオキシアデノシン、デオキシシチジン、デオキシグアノシン、デオキシチミジン、グアニン、チミン、及び/またはウラシル)を含む。いくつかの実施形態では、核酸は1以上の、またはすべての非天然残基を含む。いくつかの実施形態では、非天然残基は、ヌクレオシド類似体(例えば、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、イノシン、ピロロ-ピリミジン、3-メチルアデノシン、5-メチルシチジン、C-5プロピニル-シチジン、C-5プロピニル-ウリジン、2-アミノアデノシン、C5-ブロモウリジン、C5-フルオロウリジン、C5-ヨードウリジン、C5-プロピニル-ウリジン、C5-プロピニル-シチジン、C5-メチルシチジン、2-アミノアデノシン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、0(6)-メチルグアニン、2-チオシチジン、メチル化塩基、インターカレート塩基、またはそれらの組み合わせ)を含む。いくつかの実施形態では、非天然残基は、天然残基のものと比べて、1以上の修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、リボース、2’-デオキシリボース、アラビノース、及び/またはヘキソース)を含む。いくつかの実施形態では、核酸はRNAまたはポリペプチドのような機能的遺伝子産物をコードするヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は1以上のイントロンを含むヌクレオチド配列を有する。いくつかの実施形態では、核酸は、天然源からの単離、酵素合成(例えば、相補的鋳型に基づく重合、例えば、生体内または試験管内での、組換え細胞もしくは系における複製、または化学合成による)によって調製されてもよい。いくつかの実施形態では、核酸は、少なくとも3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、20、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500、3000、3500、4000、4500、5000以上の残基長である。
操作可能に連結される:本明細書で使用されるとき、「操作可能に連結される」という用語は、例えば、調節配列と異種核酸配列との間の機能的連結を意味し、後者の発現をもたらす。例えば、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係にて配置される場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と操作可能に連結される。例えば、プロモーターは、そのプロモーターがコード配列の転写または発現に影響を及ぼす場合、コード配列に操作可能に連結される。一般に、操作可能に連結されたDNA配列は連続しており、2つのタンパク質コード領域を連結する必要がある場合には、同じリーディングフレーム内にある。
薬学的に許容される:本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される」という用語は、正当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー応答、または他の問題または合併症を生じることなく、ヒト及び動物の組織と接触させて使用するのに好適な、合理的な利益/リスクの比に見合う、化合物、材料、組成物、及び/または剤形を指す。
薬学的に許容される担体:本明細書で使用されるとき、「薬学的に許容される担体」という用語は、液体もしくは固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒カプセル化材料のような、ある器官または身体部分から別の器官または身体部分への対象化合物の搬送または輸送に関与する、薬学的に許容される材料、組成物、またはビヒクルを意味する。各担体は、製剤の他の成分と適合し、且つ対象に有害でないという意味において「許容される」ものでなければならない。薬学的に許容される担体として機能することができる材料のいくつかの例には、ラクトース、グルコース、及びスクロースのような糖;トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプンのようなデンプン;セルロース及びその誘導体、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;トラガント末;麦芽;ゼラチン;タルク;カカオバター及び坐剤ワックスのような賦形剤;ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油のような油;プロピレングリコールのようなグリコール;グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコールのようなポリオール;オレイン酸エチル及びラウリン酸エチルのようなエステル;寒天;水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムのような緩衝剤;アルギン酸;発熱因子を含まない水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝溶液;ポリエステル、ポリカーボネート及び/またはポリ酸無水物;ならびに医薬製剤に採用される他の非毒性の適合性物質が挙げられる。
ポリヌクレオチド:本明細書で使用されるとき、「ポリヌクレオチド」という用語はヌクレオチドの鎖を指す。さらに、核酸はヌクレオチドのポリマーである。したがって、本明細書で使用されるとき、核酸及びポリヌクレオチドは相互交換可能である。当業者は、核酸がポリヌクレオチドであり、加水分解されて単量体の「ヌクレオチド」になり得るという一般的な知識を有する。単量体ヌクレオチドはヌクレオシドに加水分解することができる。本明細書で使用されるとき、ポリヌクレオチドには、限定しないで、組換え手段、すなわち通常のクローニング技術及びPCR(商標)などを使用した組換えライブラリーまたは細胞ゲノムからの核酸配列のクローニングを含む、当該技術分野において利用可能な任意の手段によって、ならびに合成手段によって得られるすべての核酸配列が含まれるが、これらに限定されない。
ポリペプチド:本明細書で使用されるとき、「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は本明細書で相互交換可能に使用されるとき、通常ペプチド結合によって連結される残基(例えば、アミノ酸)の任意のポリマー鎖を指す。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは自然界に存在するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは自然界に存在しないアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは、ヒトの手の動作を通じて設計される及び/または生産されるという点で操作されるアミノ酸配列を有する。ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、またはその双方を含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。ポリペプチドは、天然アミノ酸のみまたは非天然アミノ酸のみを含んでもよく、またはそれらから成ってもよい。ポリペプチドは、D-アミノ酸、L-アミノ酸、または双方を含んでもよい。ポリペプチドは、N末端、C末端、または双方で、例えば、1以上のアミノ酸側鎖を修飾するまたはそれ連結する1以上のペンダント基または他の修飾を含んでもよい。いくつかの実施形態では、そのようなペンダント基または修飾は、それらの組み合わせを含むアセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、ペグ化から選択される。ポリペプチドは環状であってもよく、及び/または環状部分を含んでもよい。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは環状ではなく、及び/または環状部分を含まない。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは直鎖状である。ポリペプチドはステープルポリペプチドであってもよく、またはそれを含んでもよい。「ポリペプチド」という用語は、参照ポリペプチド、活性、または構造の名称に付け足されてもよく;そのような場合、これは、関連する活性または構造を共有し、したがってポリペプチドの同じクラスまたはファミリーのメンバーであると見なすことができるポリペプチドを指すのに本明細書で使用される。そのようなクラスごとに、本明細書はそのアミノ酸配列及び/または機能が知られているクラス内の例示的なポリペプチドを提供し、及び/または当業者はそれに気付くであろう;いくつかの実施形態では、そのような例示的なポリペプチドは、ポリペプチドのクラスまたはファミリーの参照ポリペプチドである。いくつかの実施形態では、ポリペプチドのクラスまたはファミリーのメンバーは、そのクラスの参照ポリペプチドと有意な配列相同性または同一性を示し、共通の配列モチーフ(例えば、特徴的な配列要素)を共有し、及び/または共通の活性(いくつかの実施形態では、同等のレベルで、または指定された範囲内で)を共有する。例えば、メンバーのポリペプチドは、少なくとも約30~40%であり、約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上であることが多い参照ポリペプチドとの全体的な程度の配列相同性または同一性を有してもよく、及び/または、90%、またはさらに95%、96%、97%、98%、または99%を超えることが多い非常に高い配列同一性を示す少なくとも1つの領域(例えば、特徴的な配列要素であってもよく、またはそれを含んでもよい保存された領域)を含む。このような保存された領域はふつう、少なくとも3~4の、最大20またはそれ以上であることが多いアミノ酸を包含し;いくつかの実施形態では、保存された領域は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15またはそれ以上の連続アミノ酸の区間を少なくとも1つ包含する。有用なポリペプチドは、親ポリペプチドの断片を含んでもよく、またはそれから成ってもよい。有用なポリペプチドは、複数の断片を含んでもよく、または複数の断片から成ってもよく、目的のポリペプチドがその親ポリペプチドの誘導体であるように、そのそれぞれは、目的のポリペプチドに見られるものとは互いに対して異なる空間配置で同じ親ポリペプチドに見られる(例えば、親にて直接連結されている断片は、目的のポリペプチドでは空間的に分離されてもよく、またはその逆であってもよく、及び/または断片は、親とは異なる順序で目的のポリペプチドに存在してもよい)。
単鎖抗体:本明細書で使用されるとき、「単鎖抗体」という用語は、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖断片が、操作されたアミノ酸の長さを介してFv領域に連結される組換えDNA技術によって形成された抗体を指す。単鎖抗体を生成する種々の方法が知られており、これには、米国特許第4,694,778号;Bird(1988),Science,242:423-442;Huston et al.(1988),Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85:5879-5883;Ward et al.(1989),Nature,334:54454;及びSkerra et al.(1988),Science,242:1038-1041に記載されているものが含まれる。
組換え:本明細書で使用されるとき、宿主細胞に形質移入された組換え発現ベクターを使用して発現されたポリペプチド、組換えコンビナトリアルヒトポリペプチドライブラリーから単離されたポリペプチド(Hoogenboom,TIB Tech,15:62,1997;Azzazy Clin.Biochem.35:425,2002;Gavilondo BioTechniques,29:128,2002;Hoogenboom,Immunology Today,21:371,2000)、ヒト免疫グロブリン遺伝子についてトランスジェニックである動物(例えば、マウス)から単離された抗体(例えば、Taylor Nuc.Acids Res.20:6287,1992;Little,Immunology Today,12:364,2000;Kellermann,Curr.Opin.Biotechnol,13:593,2002;Murphy,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,111:5153,2104)、または選択された配列要素を互いにスプライシングすることを含む任意の他の手段によって調製、発現、作製または単離されたポリペプチドのような、組換え手段によって設計、操作、調製、発現、作成、製造、及び/または単離されるポリペプチドを指すように意図される。いくつかの実施形態では、そのような選択された配列要素のうちの1以上は自然界に見いだされる。いくつかの実施形態では、そのような選択された配列要素のうちの1以上はコンピューター内で設計される。いくつかの実施形態では、1以上のそのような選択された配列要素は、例えば、天然または合成期限由来の既知の配列要素の突然変異誘発(例えば、生体内または試験管内)から生じる。例えば、いくつかの実施形態では、組換え抗体ポリペプチドは、目的の生物源(例えば、ヒト、マウスなど)の生殖細胞系に見いだされる配列から構成される。いくつかの実施形態では、組換え抗体は、突然変異誘発(例えば、試験管内または生体内で、例えばトランスジェニック動物における)によって生じたアミノ酸配列を有するので、組換え抗体のVH及びVL領域のアミノ酸配列は、生殖系列VH及びVL配列に由来し、それらに関連している一方で、生体内での生殖系列抗体レパートリー内に天然には存在しない配列である。
小分子:本明細書で使用されるとき、「小分子」という用語は、低分子量の有機化合物及び/または無機化合物を指す。一般に、「小分子」とはサイズが約5キロダルトン(kD)未満の分子である。いくつかの実施形態では、小分子は約4kD、3kD、約2kD、または約1kD未満である。いくつかの実施形態では、小分子は、約800ダルトン(D)、約600D、約500D、約400D、約300D、約200D、または約100D未満である。いくつかの実施形態では、小分子は、約2000g/モル未満、約1500g/モル未満、約1000g/モル未満、約800g/モル未満、または約500g/モル未満である。いくつかの実施形態では、小分子はポリマーではない。いくつかの実施形態では、小分子はポリマー部分を含まない。いくつかの実施形態では、小分子はタンパク質またはポリペプチドではない、及び/またはタンパク質またはポリペプチドを含まない(例えば、オリゴペプチドまたはペプチドではない)。いくつかの実施形態では、小分子はポリヌクレオチドではない、及び/またはポリヌクレオチドを含まない(例えば、オリゴヌクレオチドではない)。いくつかの実施形態では、小分子は多糖類ではない、及び/または多糖類を含まない。例えば、いくつかの実施形態では、小分子は糖タンパク質、プロテオグリカン、または糖脂質ではない。いくつかの実施形態では、小分子は脂質ではない。いくつかの実施形態では、小分子は調節剤である(例えば、阻害剤または活性化剤である)。いくつかの実施形態では、小分子は生物学的に活性がある。いくつかの実施形態では、小分子は検出可能である(例えば、少なくとも1つの検出可能部分を含む)。いくつかの実施形態では、小分子は治療剤である。当業者は、本開示を読めば、特定の小分子化合物が、例えば、結晶形態、塩形態、保護された形態、プロドラッグ形態、エステル形態、異性体形態(例えば、光学異性体及び/または構造異性体)、または同位体形態のような種々の形態のいずれかで提供されてもよく、及び/または利用されてもよいことを理解するであろう。当業者は、特定の小分子化合物が1以上の立体異性体形態で存在することができる構造を有することを理解するであろう。いくつかの実施形態では、そのような小分子は、本開示に従って、個々のエナンチオマー、ジアステレオマーもしくは幾何異性体の形態で利用されてもよく、あるいは立体異性体の混合物の形態であってもよく;いくつかの実施形態では、そのような小分子は、本開示に従ってラセミ混合物の形態で利用されてもよい。当業者は、特定の小分子化合物が1以上の互変異性体形態で存在することができる構造を有することを理解するであろう。いくつかの実施形態では、そのような小分子は、本開示に従って、個々の互変異性体の形態で、または互変異性体間で相互変換する形態で利用されてもよい。当業者は、特定の小分子化合物が同位体置換(例えば、HについてはHまたはH;12Cについては11C、13Cまたは14C、14Nについては13Nまたは15N)16Oについては17Oまたは18O、XXCについては36Cl、XXFについては18F、XXXIについては131Iなど)を可能にする構造を有することを理解するであろう。いくつかの実施形態では、そのような小分子は、本開示に従って、1以上の同位体修飾された形態、またはそれらの混合物で利用されてもよい。いくつかの実施形態では、特定の小分子化合物への言及はその化合物の特定の形態に関連してもよい。いくつかの実施形態では、特定の小分子化合物は、塩の形態で(例えば、化合物に応じて、酸付加塩または塩基付加塩の形態で)提供されてもよく、及び/または利用されてもよく;いくつかのそのような実施形態では、塩形態は薬学的に許容される塩形態であってもよい。いくつかの実施形態では、小分子化合物が自然界に存在する、または見いだされる化合物である場合、その化合物は、自然界に存在する、または見いだされる形態とは異なる形態で本開示に従って提供されてもよく、及び/または利用されてもよい。当業者は、いくつかの実施形態では、目的の参照調製物(例えば、生物学的または環境的供給源のような目的の供給源からの一次試料中)に存在する化合物または形態の絶対量または相対量(例えば、化合物の別の形態を含む調製物の別の成分に関して)とは異なる、化合物またはその特定の形態の絶対量または相対量を含有する特定の小分子化合物の調製物は、参照調製物または供給源中に存在する化合物とは異なることを理解するであろう。したがって、いくつかの実施形態では、例えば、小分子化合物の単一立体異性体の調製物は、化合物のラセミ混合物とは異なる形態の化合物であると見なされ;小分子化合物の特定の塩は、その化合物の別の塩の形態とは異なる形態であると見なされ;二重結合の1つの構造異性体((Z)または(E))を含有する化合物の形態のみを含有する調製物は二重結合の他の立体構造異性体((E)または(Z))を含有する化合物の形態とは異なると見なされ;または、1以上の原子が参照調製物に存在するものとは異なる同位体である調製物は異なる形態であると見なされる。
対象:本明細書で使用されるとき、「対象」という用語は、生物、例えば、哺乳類(例えば、ヒト、非ヒト哺乳類、非ヒト霊長類、霊長類、実験動物、マウス、ラット、ハムスター、スナネズミ、ネコ、またはイヌ)を指す。いくつかの実施形態では、ヒト対象は成人、青年、または小児の対象である。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または状態、例えば、本明細書で提供されるように治療することができる疾患、障害または状態、例えば、本明細書に列挙されるがんまたは腫瘍に罹患している。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態に感受性がある。いくつかの実施形態では、罹患しやすい対象は、疾患、障害、または病状に罹患しやすい素因を有し、及び/または(参照対象または参照集団で観察される平均リスクと比べて)疾患、障害、または病状を発症するリスクの増加を示す。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または状態の1以上の症状を示す。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害、または状態の特定の症状(例えば、疾患の臨床症状)または特徴を示さない。いくつかの実施形態では、対象は、疾患、障害または状態のいずれの症状または特徴も示さない。いくつかの実施形態では、対象は患者である。いくつかの実施形態では、対象は、診断及び/または療法が施される及び/または施された個体である。
実質的同一性:本明細書で使用されるとき、「実質的同一性」という用語は、アミノ酸配列間または核酸配列間の比較を指す。当業者に理解されるように、2つの配列は、それらが対応する位置に同一の残基を含有する場合、一般に「実質的に同一」であると見なされる。当該技術分野において周知であるように、アミノ酸配列または核酸配列は、ヌクレオチド配列用のBLASTN、アミノ酸配列用のBLASTP、ギャップBLAST、及びPSI-BLASTのような市販のコンピュータープログラムで利用可能なものを含む種々のアルゴリズムのいずれかを使用して比較してもよい。いくつかの実施形態では、対応する残基の少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%またはそれ以上が関連する残基の区間にわたって同一である場合、2つの配列は実質的に同一であると見なされる。いくつかの実施形態では、関連する区間は完全な配列である。いくつかの実施形態では、関連する区間は少なくとも10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、500またはそれ以上の残基である。CDRとの関係において、「実質的な同一性」への言及は通常、参照CDRのアミノ酸配列と少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有するCDRを指す。
実質的に:本明細書で使用されるとき、「実質的に」という用語は、目的の特徴または特性の全体またはほぼ全体の範囲または程度を示す定性的な状態を指す。生物学分野の当業者は、生物学的現象及び化学的現象が完了すること、及び/または完全な状態まで進むこと、または絶対的な結果を達成もしくは回避することは、あったとしてもまれであることを理解するであろう。従って「実質的に」という用語は、多くの生物学的現象及び化学的現象に固有の完全性の潜在的な欠如を捕捉するために本明細書で使用される。
に罹患している:疾患、障害、及び/または状態に「罹患している」個体は疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状があると診断されている、及び/または疾患、障害、または状態の1以上の症状を示す。
標的:本明細書で使用されるとき、「標的」という用語は、提供される方法、システム、及び/または組成物の対象である体内の細胞、組織、器官、または部位、例えば、治療を必要とする、または、例えば、本明細書に記載されているHHLA2結合剤によって優先的に結合される体内の細胞、組織、器官、または部位を指す。
治療的:本明細書で使用されるとき、「治療的」という用語は、治療及び/または予防を指す。治療効果は、例えば、疾患状態の抑制、寛解、または根絶によって得られる。
治療剤:本明細書で使用されるとき、「治療剤」という語句は、対象に投与された際に、治療効果を有し、及び/または所望の生物学的及び/または薬理学的な効果を誘発する任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態では、治療剤は、対象に投与された際に、望ましくない副作用を防ぐことができる薬剤であることができる。いくつかの実施形態では、治療剤は、疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状または特徴を緩和する、改善する、軽減する、抑制する、予防する、発症を遅延させる、重症度を低減させる、及び/または発生率を減らすのに使用することができる任意の物質である。治療剤には、本明細書に記載されているような少なくとも1つのHHLA2結合剤が含まれるが、これに限定されない。
治療有効量:本明細書で使用されるとき、「治療有効量」という用語は、治療投薬計画の一部として投与されたときに所望の生物学的応答を誘発する物質(例えば、治療剤、組成物、及び/または製剤)の量を意味する。いくつかの実施形態では、物質の治療有効量は、疾患、障害、及び/または状態に罹患しているまたは罹患しやすい対象に投与された場合に、疾患、障害、及び/または状態を治療する、診断する、予防する、及び/またはその発症を遅延させるのに十分な量である。当業者によって理解されているように、物質の有効量は、所望の生物学的評価項目、送達される物質、及び/または標的の細胞または組織のような因子に応じて変動してもよい。例えば、疾患、障害、及び/または状態を治療するための製剤中の化合物の有効量は、疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状または特徴を、緩和する、改善する、軽減する、抑制する、防止する、その発症を遅延させる、その重症度を低下させる及び/またはその発生率を低下させる量である。いくつかの実施形態では、治療有効量は単回用量で投与される。いくつかの実施形態では、治療有効量を送達するには複数回の単位用量が必要である。
治療する:本明細書で使用されるとき、「治療する」、「治療」、または「治療すること」という用語は、疾患、障害、及び/または状態の1以上の症状または特徴の部分的なまたは完全な緩和、改善、発症の遅延、抑制、防止、軽減、及び/または発生率及び/または重症度の低下を指す。いくつかの実施形態では、治療は、疾患、障害、及び/または状態の徴候または特徴を示さない対象に施される(例えば、予防的であってもよい)。いくつかの実施形態では、治療は、例えば、疾患、障害、及び/または状態に関連する病態を生じるリスクを減らす目的で、疾患、障害、及び/または状態の初期または軽度の徴候または特徴のみを呈する対象に施される。いくつかの実施形態では、治療は、疾患、障害、または状態の確立された、重度の、及び/または後期の徴候を示す対象に施される。いくつかの実施形態では、治療は、本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を対象に投与することを含む。
腫瘍:本明細書で使用されるとき、「腫瘍」という用語は細胞または組織の異常増殖を指す。腫瘍は、前癌性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、及び/または非転移性である細胞を含んでもよい。いくつかの実施形態では、腫瘍はがんに関連している、またはがんの兆候である。いくつかの実施形態では、腫瘍は分散性腫瘍または液状腫瘍である。いくつかの実施形態では、腫瘍は固形腫瘍である。
本開示の全体を通じて、本発明の種々の態様を範囲形式で提示することができる。範囲形式での説明は、単に便宜上及び簡潔にするためのものであり、本発明の範囲に対する柔軟性のない制限として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲の記述は、その範囲内の個々の数値だけでなく、すべての可能な部分範囲を具体的に開示したと考えるべきである。例えば、1から6までのような範囲の記述は、例えば、1、2、2.7、3、4、5、5.3、及び6のような、その範囲内の個々の数と同様に、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までなどのような、具体的に開示された部分範囲を有すると見なされるべきである。これは、範囲の幅に関係なく適用される。
詳細な説明
本開示は、とりわけ、(i)KIR3DL3へのHHLA2結合の阻害;及び/または(ii)TMIGD2へのHHLA2結合の増強をもたらすHHLA2結合剤を提供する。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は:(i)HHLA2のKIR3DL3への結合を阻害することができ、且つ(ii)HHLA2のTMIGD2への結合を増強することができる。HHLA2はNK細胞とT細胞の機能を調節するB7ファミリーのメンバーである。HHLA2は、種々の腫瘍及び抗原提示細胞で広く発現しており、NK細胞とT細胞の活性化リガンドと阻害性リガンドの双方として関与している。HHLA2はTMIGD2の特異的リガンドであり、HHLA2とTMIGD2の相互作用はT細胞の増殖及びサイトカイン産生を選択的に刺激する。HHLA2はT細胞及びNK細胞上の受容体であるKIR3DL3にも結合し、T細胞及びNK細胞の活性化を阻害する。本開示は、固形腫瘍及び血液腫瘍を含む種々のがんを治療するための、及び/または対象における免疫応答を調節するためのHHLA2結合剤を提供する。
HHLA2結合剤
本開示は、とりわけ、HHLA2結合剤を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、(i)免疫応答を阻害する1以上の受容体(例えば、TMIGD2)へのHHLA2の結合を阻害する能力、及び/または(ii)免疫応答を促進する1以上の受容体(例えば、TMIGD2)へのHHLA2の結合を増強する能力を示す。したがって、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、固形腫瘍及び血液腫瘍を含む種々のがんを治療するのに、と同様に対象における免疫応答を調節するのに特に有用である。
「HHLA2」または「ヒト内在性レトロウイルス-Hロングターミナルリピート関連タンパク質2」という用語はB7ファミリーのメンバーを指す。HHLA2はまた、HERV-H LTR関連2、B7y、B7H7、またはB7-H7としても知られている。HHLA2タンパク質は、正常なヒト組織では発現が限られているが、ヒトのがんでは広く発現されている。HHLA2は3つのIg様ドメイン(IgV-IgC-IgV)を持つ膜タンパク質であるのに対して、B7ファミリーの他のメンバーは一般に2つのIgドメイン(IgV-IgC)しか有さない。正常なヒト組織のHHLA2は、腎臓、腸、胆嚢、及び乳房の上皮、と同様に胎盤栄養膜細胞で発現されている。免疫系では、HHLA2はヒトの単球及びマクロファージで構成的に発現される。HHLA2は、例えばT細胞の増殖及びサイトカイン産生のようなヒトT細胞機能を調節する。HHLA2は結腸直腸、腎臓、肺、膵臓、卵巣、前立腺由来の広範囲のヒトのがんにて高レベルで発現される。HHLA2は、甲状腺、黒色腫、肝臓、膀胱、結腸、腎臓、乳房、及び食道のヒトのがんでも発現される。
「HHLA2」という用語には、その断片、変異型(例えば、対立遺伝子変異型)、及び誘導体が含まれる。代表的なヒトHHLA2のcDNA及びヒトHHLA2のタンパク質の配列はNational Center for Biotechnology Information(NCBI)から公的に入手可能である。ヒトHHLA2の変異型には、変異型1(NM_007072.3及びNP_009003.1、最長の転写物を示し、最長のアイソフォームaをコードする)、変異型2(NM_001282556.1及びNP_001269485.1、代替プロモーターの使用を示し、変異型1と比べて5’UTRが異なる)、変異型3(NM_001282557.1及びNP_001269486.1、代替プロモーターの使用を示し、変異型1と比べて5’UTRが異なる)、変異型4(NM_001282558.1及びNP_001269487.1、アイソフォームbをコードし、代替プロモーターの使用を示し、変異型1と比べて5’UTRが異なり、3’コード領域の代替インフレームエクソンを欠いているため、アイソフォームaよりも短いアイソフォームを生じる)、及び変異型5(NM_001282559.1及びNP_001269488.1、アイソフォームcをコードし、代替プロモーターの使用を示し、変異型2と比べて複数の差異があるため、別個の5’UTRを生じ、変異型1と比べて代替開始コドンで翻訳の開始を引き起こし、その結果、別個のN末端とアイソフォームaよりも短いアイソフォームを生じる)が挙げられる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤のHHLA2への結合は、例えば、生体層干渉法(BLI)、免疫組織化学(IHC)、ウェスタンブロット、細胞間流動、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、等温滴定熱量測定法(ITC)、または当該技術分野での他の既知の方法のようなアッセイを使用して評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、約20nM~約0.1nM、例えば、約10nM~約0.1nM、例えば、約5nM~約0.5nMのKでHHLA2に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、約20nM以下、約15nM以下、約10nM以下、約9nM以下、約8nM以下、約7nM以下、約6nM以下、約5nM以下、約4nM以下、約3nM以下、約2nM以下、約1nM以下、約0.5nM以下、または約0.1nM以下のKでHHLA2に結合する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤はHHLA2のKIR3DL3への結合を阻害する。本明細書で使用されるとき「KIR3DL3」または「キラー細胞免疫グロブリン様受容体3DL3」という用語は、NK細胞及びT細胞によって発現されるキラー細胞免疫グロブリン様受容体膜貫通型糖タンパク質ファミリーのメンバーを指す。KIR3DL3はKIRC1、CD158Z、KIR3DL7、及びKIR44としても知られている。キラー細胞免疫グロブリン様受容体(KIR)遺伝子は、1Mbの白血球受容体複合体(LRC)内の染色体19q13.4上のクラスターに見られる多型性で相同性が高い遺伝子である。いくつかの「フレームワーク」遺伝子はすべてのハプロタイプ(KIR3DL3、KIR3DL1、KIR3DL4、及びKIR3DL2)で見いだされるが、KIR遺伝子クラスターの遺伝子内容はハプロタイプ間で異なる。KIRタンパク質は、細胞外免疫グロブリンドメイン(2Dまたは3D)の数と、細胞質ドメインが長い(L)か短い(S)かによって分類される。長い細胞質ドメインを持つKIRタンパク質は、免疫チロシンベースの阻害モチーフ(ITIM)を介したリガンド結合時に抑制シグナルを伝達する一方で、短い細胞質ドメインを持つKIRタンパク質はITIMモチーフを欠き、代わりにTYROタンパク質チロシンキナーゼ結合タンパク質と会合して活性化シグナルを伝達する。いくつかのKIRタンパク質のリガンドは、HLAクラスI分子のサブセットである;したがってKIRタンパク質は免疫応答の調節にて重要な役割を担っていると考えられている。KIR3DL3タンパク質は、N末端シグナル配列と、3つのIgドメインと、正に荷電した残基を欠く膜貫通領域と、ITIMを含有する長い細胞質尾部とを有する。KIR3DL3は他のKIRに見られるストーク領域を欠いている。
「KIR3DL3」という用語にはその断片、変異型(例えば、対立遺伝子変異型)、及び誘導体が含まれる。代表的なヒトKIR3DL3のcDNA及びヒトKIR3DL3のポリペプチド配列はNCBIから公的に入手可能である。たとえば、少なくとも1つのヒトKIR3DL3アイソフォーム:転写物(NP_703144.3)によってコードされるヒトKIR3DL3(NM_153443.4)が知られている。チンパンジーKIR3DL3(XM_003316679.3及びXP_003316727.3)、アカゲザルKIR3DL3(NM_001104552.2及びNP_001098022.1)、マウスKIR3DL3(NM_001310690.1及びNP_001297619.1、NM_177749.4及びNP_808417.2、NM_177748.2及びNP_808416.1)、及びラットKIR3DL3(NM_181479.2及びNP_852144.1)を含むが、これらに限定されない、ヒト以外の生物におけるKIR3DL3オルソログの核酸配列及びポリペプチド配列も知られている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤によるKIR3DL3へのHHLA2結合の阻害は、細胞結合競合アッセイ(例えば、KIR3DL3発現細胞(例えば、KIR3DL3を発現している300.19マウス前駆B白血病細胞)への可溶性HHLA2結合のアッセイ)、表面プラズモン共鳴(SPR)、または当該技術分野で他の任意の既知の方法のようなアッセイを使用して評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、例えば、同位体対照と比べて、約0.8~約0.0の比でHHLA2のKIR3DL3への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、例えば、同位体対照と比べてHHLA2のKIR3DL3への結合を約0.8、約0.7、約0.6、約0.5、約0.4、約0.3、約0.2、約0.1、または約0.0の比で阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤はHHLA2のKIR3DL3への結合を無効にする。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤はTMIGD2へのHHLA2結合を増強する。本明細書で使用されるとき「TMIGD2」または「膜貫通及び免疫グロブリンドメイン含有2(TMIGD2)」という用語は、細胞外IgV様ドメインと、膜貫通領域と、2つのチロシンシグナル伝達モチーフを持つプロリンに富む細胞質ドメインとを有する膜タンパク質を指す。TMIGD2はナイーブT細胞及びナチュラルキラー(NK)細胞で構成的に発現されるが、制御性T細胞やB細胞では発現されない。TMIGD2発現はT細胞の反復刺激によってゆっくりと失われる。これと一致して、TMIGD2はメモリーT細胞の約半分のみで発現され、TMIGD2陰性T細胞は最終的に分化した老化表現型を有する。TMIGD2は内皮細胞及び上皮細胞でも発現され、血管新生中の細胞遊走を減らし、毛細管形成を促進するように機能する。
「TMIGD2」という用語はその断片、変異型(例えば、対立遺伝子変異型)、及び誘導体を含むように意図される。代表的なヒトMIGD2のcDNA及びヒトTMIGD2のタンパク質の配列はNCBIから公的に入手可能である。ヒトTMIGD2アイソフォームには、アイソフォーム1(NM_144615.2及びNP653216.2)、アイソフォーム2(NM_001169126.1及びNP001162597.1、変異型1と比べて、3’コード領域にて代替インフレームスプライス部位を使用するためアイソフォーム1と比べて短いアイソフォームになる)、及びアイソフォーム3(NM_001308232.1及びNP001295161.1、変異型1と比べて5’コード領域にて代替インフレームエクソンを欠くので、アイソフォーム1と比べて短いアイソフォームになる)が挙げられる。例えば、チンパンジーTMIGD2(XM_009434393.2及びXP_009432668.2、及びXM_OO1138228.4及びXP_001138228.3)、及びウシTMIGD2(XM_005208980.3及びXP005209037.1,XM_005208979.3及びXP_005209036.1,及びXM_002688933.5及びXP_002688979.1)を含む、ヒト以外の生物におけるTMIGD2オルソログの核酸及びポリペプチドの配列も知られている。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤によるTMIGD2へのHHLA2結合の増強は、細胞結合競合アッセイ(例えば、HHLA2発現細胞(例えば、HHLA2を発現している300.19マウス前駆B白血病細胞)への可溶性TMIGD2結合のアッセイ)、または当該技術分野で他の任意の既知の方法のようなアッセイを使用して評価される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、例えば、同位体対照と比べて約2.0~約8.0の比でHHLA2のTMIGD2への結合を増強する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤は、HHLA2のTMIGD2への結合を例えば、同位体対照と比べて、約2.0、約2.5、約3.0、約3.5、約4.0、約4.5、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、またはそれ以上の比で増強する。
いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は抗体もしくはその抗原結合断片である、または抗体もしくはその抗原結合断片を含む。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は有機分子(例えば、小分子)である、またはそれを含む。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤はポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)である、またはポリペプチド(例えば、融合ポリペプチド)を含む。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤はアプタマーである、またはアプタマーを含む。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は核酸である、または核酸を含む。いくつかの実施形態では、HHLA2結合剤は、キメラ抗原受容体(例えば、scFvのような、本明細書に記載されている抗HHLA2抗原結合断片を含むCAR)である、またはそれを含む。
抗HHLA2抗体及びその断片
本開示は、とりわけ、抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はHHLA2上のエピトープに特異的に結合する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、免疫グロブリン、重鎖抗体、軽鎖抗体、または抗体様特性を持つ他のタンパク質足場、と同様にFab断片、Fab’断片、F(ab’)2断片、Fv断片、ジスルフィド結合Fv断片、scFv断片、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、マキシボディ、タンダブ、BiTe、またはそれらの任意の組み合わせを含む、当該技術分野で既知の他の免疫的結合部分であることができ、またはそれを含むことができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はHHLA2のKIR3DL3への結合を阻害する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はHHLA2のTIMGD2への結合を増強する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はモノクローナル抗体を含む、またはモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、例えば免疫グロブリンFc領域を含む完全長抗体を含む、または完全長抗体である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、例えば、複数の免疫グロブリン可変ドメイン配列を含む多重特異性抗体を含む、または多重特異性抗体であり、その際、複数のうち第1の免疫グロブリン可変ドメイン配列は第1のエピトープに対する結合特異性を有し、且つ複数のうち第2の免疫グロブリン可変ドメイン配列は第2のエピトープに対して結合特異性を有する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、二重特異性抗体分子を含む、または二重特異性抗体分子である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、親和性成熟される、または親和性成熟されている。
抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、重鎖可変ドメイン配列(VH)及び軽鎖可変ドメイン配列(VL)を含むことができる。いくつかの実施形態では、抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、4つのポリペプチド鎖、例えば2つの重鎖及び2つの軽鎖の免疫グロブリン分子を含む。重鎖はVH及び重鎖定常ドメインが含むことができる。重鎖定常ドメインはCH1、ヒンジ、CH2、CH3、及び任意にCH4の領域も含むことができる。軽鎖はVL及び軽鎖定常ドメインを含むことができる。軽鎖定常ドメインにはCLドメインを含むことができる。
VH及び/またはVLはさらに、相補性決定領域(CDR)と呼ばれる可変性の領域、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる、散在するさらに保存された領域に細分することができる。そのようなVH及び/またはVLドメインはそれぞれ、以下の順序:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4でアミノ末端からカルボキシル末端に配置された3つのCDR及び4つのフレームワーク領域を含むことができ、そのうちの1以上は本明細書に記載されているように操作することができる。一般に、各VHには3つのCDR(HCDR1、HCDR2、及びHCDR3)があり、各VLには3つのCDR(LCDR1、LCDR2、及びLCDR3)がある。フレームワーク領域及びCDRの範囲は、多数の周知のスキームを使用して定義することができる(例えば、Kabat,E.A.,et al.(1991),Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91-3242;Chothia,C.et al.(1987),J.Mol.Biol.196:901-917;及びOxford Molecular’s AbMの抗体モデリングソフトウェアで使用されるAbMの定義を参照のこと、そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み込まれる)。
本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、IgG、IgA、IgM、IgD、及びIgEを含むが、これらに限定されない任意のクラスの抗体、ならびに任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4)の抗体に由来することができる。本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、ヒト抗体、ヒト化抗体、CDR移植抗体、または試験管内で生成された抗体であることができ、またはそれを含むことができる。本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域を有することができ、または含むことができる。抗HHLA2抗体または断片は、例えば、カッパまたはラムダから選択される軽鎖を有することができ、または含むことができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はモノクローナル抗体である、またはモノクローナル抗体を含む。通常、モノクローナル抗体は、実質的に均質の抗体の集団から得られるので、その集団を構成する個々の抗体は、微量で存在してもよい考えられる天然に存在する突然変異を除いて実質的に同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は本明細書で使用されるとき、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。いくつかの実施形態では、特定のエピトープに対するモノクローナル抗体は単一細胞株(例えば、B細胞株)に由来する。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はポリクローナル抗体である、またはポリクローナル抗体を含む。モノクローナル抗体とは対照的に、ポリクローナル抗体は通常、不均質抗体の集団から得られるので、特定の集団内の抗体は構造上の変動、例えば、特定の標的(例えば、HHLA2)上のさまざまなエピトープに対する親和性を含む。ポリクローナル抗体を産生するいくつかの方法が当該技術分野で知られており、これには、任意で1以上のアジュバントの同時投与を含む、関連抗原の動物への複数回の皮下及び/または腹腔内注射の使用が含まれる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)表1のVH CDRとそれぞれ少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある1、2、または3のVH CDR配列を含むVH;及び/または(b)表1のVL CDRとそれぞれ少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある1、2、または3のVL CDR配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、(a)表1のVHと少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性があるVH;及び/または(a)表1のVLと少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%の同一性があるVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、(a)表1の重鎖と少なくとも80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある重鎖;及び/または(a)表1の軽鎖と少なくとも約80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある軽鎖を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号1のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号2のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号3のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号14のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号15のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号16のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:それぞれ表1に開示されている(a)配列番号4のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号5のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号6のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号17のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号18のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号19のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:それぞれ表1に開示されている(a)配列番号7のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号8のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号9のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号20のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号21のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号22のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列、または配列番号10と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号23のアミノ酸配列、または配列番号23と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号10のアミノ酸配列を含むVHと配列番号23のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列、または配列番号12と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号25のアミノ酸配列、または配列番号25と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号12のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号25のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号27のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号28のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号29のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号40のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号41のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号42のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号30のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号31のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号32のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号43のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号44のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号45のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号33のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号34のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号35のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号46のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号47のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号48のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号36のアミノ酸配列、または配列番号36と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号49のアミノ酸配列、または配列番号49と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号36のアミノ酸配列を含むVHと配列番号49のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号38のアミノ酸配列、または配列番号38と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号51のアミノ酸配列、または配列番号51と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号38のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号51のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号53のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号54のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号55のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号66のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号67のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号68のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号56のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号57のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号58のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号69のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号70のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号71のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号59のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号60のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号61のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号72のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号73のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号74のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号62のアミノ酸配列、または配列番号62と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号75のアミノ酸配列、または配列番号75と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号62のアミノ酸配列を含むVHと配列番号75のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号64のアミノ酸配列、または配列番号64と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号77のアミノ酸配列、または配列番号77と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号64のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号77のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号79のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号80のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号81のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号92のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号93のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号94のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号82のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号83のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号84のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号95のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号96のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号97のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号85のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号86のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号87のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号98のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号99のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号100のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号88のアミノ酸配列、または配列番号88と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号101のアミノ酸配列、または配列番号101と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号88のアミノ酸配列を含むVHと配列番号101のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号90のアミノ酸配列、または配列番号90と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号103のアミノ酸配列、または配列番号103と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号90のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号103のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号105のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号106のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号107のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号118のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号119のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号120のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号108のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号109のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号110のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号121のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号122のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号123のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号111のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号112のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号113のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号124のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号125のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号126のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号114のアミノ酸配列、または配列番号114と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号127のアミノ酸配列、または配列番号127と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号114のアミノ酸配列を含むVHと配列番号127のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号116のアミノ酸配列、または配列番号116と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号129のアミノ酸配列、または配列番号129と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号116のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号129のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号131のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号132のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号133のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号144のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号145のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号146のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号134のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号135のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号136のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号147のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号148のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号149のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号137のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号138のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号139のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号150のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号151のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号152のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は配列番号140のアミノ酸配列、または配列番号140と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号153のアミノ酸配列、または配列番号153と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号140のアミノ酸配列を含むVHと配列番号153のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号142のアミノ酸配列、または配列番号142と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号155のアミノ酸配列、または配列番号155と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号142のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号155のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号157のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号158のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号159のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号170のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号171のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号172のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号160のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号161のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号162のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号173のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号174のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号175のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は:(a)配列番号163のVH CDR1アミノ酸配列と、配列番号164のVH CDR2アミノ酸配列と、配列番号165のVH CDR3アミノ酸配列とを含むVH;及び(b)配列番号176のVL CDR1アミノ酸配列と、配列番号177のVL CDR2アミノ酸配列と、配列番号178のVL CDR3アミノ酸配列とを含むVLを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号166のアミノ酸配列、または配列番号166と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVHを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号179のアミノ酸配列、または配列番号179と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含むVLを含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号166のアミノ酸配列を含むVHと配列番号179のアミノ酸配列を含むVLとを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号168のアミノ酸配列、または配列番号168と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む重鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号181のアミノ酸配列、または配列番号181と少なくとも85%、90%、95%、もしくは99%以上同一であるアミノ酸配列を含む軽鎖を含む。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、配列番号168のアミノ酸配列を含む重鎖と配列番号181のアミノ酸配列を含む軽鎖とを含む。
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抗原結合断片
本開示は、とりわけ、抗HHLA2抗原結合断片を提供する。本明細書で使用されるとき、「抗HHLA2抗原結合断片」は、VHもしくはVLの少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)を含有する免疫グロブリン分子の少なくとも一部、または本明細書に記載されている抗体のいずれかに由来するHHLA2結合部分を含む、任意のタンパク質またはペプチド含有分子を含む、またはそれである。抗体断片は、当業者に既知の従来の技術を使用して得られ、この断片は、インタクトな抗体と同じ様式で有用性についてスクリーニングされる。そのような機能的な抗体断片は、HHLA2と選択的に結合する能力を保持することができる。
本明細書に記載されている抗HHLA2抗原結合断片の例には、(i)VL、VH、CL、及びCH1ドメインを含む一価の断片であるFab断片;(ii)ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結される2つのFab断片を含む二価の断片であるF(ab’)2断片;(iii)VH及びCH1ドメインを含むFd断片;(iv)抗体の単一アームのVLドメインとVHドメインを含むFv断片;(v)VHドメインを含むダイアボディ(dAb)断片;(vi)ラクダまたはラクダ化可変ドメイン;(vii)VH領域とVL領域の融合タンパク質であるscFv、または(viii)単一ドメイン抗体を挙げることができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているその抗HHLA2抗原結合断片は、重鎖及び軽鎖を含む、または重鎖及び軽鎖である(例えば、半抗体)。
作製方法
本開示は、とりわけ、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片を作製する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、例えば、酵母ディスプレイ、ファージディスプレイ、またはリボソームディスプレイのようなディスプレイ技術を使用して同定される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は、ハイブリドーマライブラリー(例えば、哺乳類ハイブリドーマライブラリー、例えば、マウスハイブリドーマライブラリー)を使用し、後に続く上清スクリーニングによって同定される。
抗体を生成するためのコンビナトリアル法は当該技術分野で既知である(そのそれぞれが全体として参照によって本明細書に組み込まれる、例えば、Ladner et al.米国特許第5,223,409号;Kang et al.国際公開番号WO92/18619;Dower et al.国際公開番号WO91/17271;Winter et al.国際公開WO92/20791;Markland et al.国際公開番号WO92/15679;Breitling et al.国際公開WO93/01288;McCafferty et al.国際公開番号WO92/01047;Garrard et al.国際公開番号WO92/09690;Ladner et al.国際公開番号WO90/02809;Fuchs et al.(1991),Bio/Technology,9:1370-1372;Hay et al.(1992),Hum.Antibody Hybridomas,3:81-85;Huse et al.(1989),Science,246:1275-1281;Griffths et al.(1993),EMBO.J.12:725-734;Hawkins et al.(1992),J.Mol.Biol.226:889-896;Clackson et al.(1991),Nature,352:624-628;Gram et al.(1992),PNAS,89:3576-3580;Garrad et al.(1991),Bio/Technology,9:1373-1377;Hoogenboom et al.(1991),Nuc.Acid Res.19:4133-4137;及びBarbas et al.(1991),PNAS,88:7978-7982に記載されているように)。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片は他の種に由来してもよい。ヒト化抗体は、抗原結合に必要とされないヒト免疫グロブリン軽鎖または重鎖の一部またはすべてのアミノ酸(例えば、定常領域及び/または可変ドメインのフレームワーク領域)を使用して、同族の非ヒト抗体の軽鎖または重鎖に由来する対応するアミノ酸を置換する組換えDNA技術によって作り出される抗体である。例として、所与の抗原に対するマウス抗体のヒト化バージョンは、重鎖と軽鎖の双方に(1)ヒト抗体の定常領域;(2)ヒト抗体の可変ドメイン由来のFR;及び(3)マウス抗体由来のCDRを有する。ヒトFRはマウスFR配列に対する最も高い配列相同性に基づいて選択されてもよい。必要に応じて、標的に対するヒト化抗体の結合親和性を維持するために、ヒトFRの1以上の残基をマウス抗体の対応する位置の残基に変更することができる。この変化は「復帰変異」と呼ばれることもある。同様に、安定性または標的に対する親和性のような所望の理由によって、前進変異を作成してマウスの配列に戻すこともできる。ヒト化抗体は一般に、キメラヒト抗体に比べて、前者がかなり少ない非ヒト成分を含有するので、ヒトにて免疫応答を誘発しにくい。
非ヒト抗体をヒト化する方法は当該技術分野で周知である。本開示に従ってヒト化抗体を作製する好適な方法は、例えば、Winter,EP 0 239 400;Jones et al.,Nature,321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature,332:323-327(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534-1536(1988);Queen et al.,Proc.Nat.Acad.ScL.USA,86:10029(1989);米国特許第6,180,370号;及びOrlandi et al.,Proc.Natl.Acad.Sd.USA,86:3833(1989)に記載されており;そのそれぞれの開示はその全体が参照によって本明細書に組み込まれる。一般に、非ヒト(例えばマウス)CDRのヒト抗体への移植は次のように達成される。VH及びVLをコードするcDNAがハイブリドーマから単離され、CDRを含むVH及びVLをコードする核酸配列が配列決定によって決定される。CDRをコードする核酸配列は、ヒト抗体VHまたはVLのコード配列の対応する領域に挿入され、所望のアイソタイプ(例えば、CHについてはγ1、CLについてはκ)のヒト定常領域遺伝子セグメントに連結される。ヒト化重鎖及び軽鎖の遺伝子は、哺乳類宿主細胞(例えば、CHO細胞またはNSO細胞)で共発現され、可溶性ヒト化抗体を産生する。抗体の大規模生産を容易にするために、例えば、産生株にてDHFR遺伝子またはGS遺伝子を使用して高発現株を選択することが望ましいことが多い。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片はヒト抗体を含む、またはヒト抗体である。完全ヒト抗体は、ヒト対象の治療処置に特に望ましくてもよい。ヒト抗体は、ヒト免疫グロブリン配列に由来する抗体ライブラリーを使用する上記のファージディスプレイ法を含む、当該技術分野で既知の種々の方法によって作製することができる(例えば、米国特許第4,444,887号及び同第4,716,111号;ならびにPCT公開WO98/46645、WO98/60433、WO98/24893、WO98/16664、WO96/34096、WO96/33735、及びWO91/10741を参照のこと;そのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれる)。例えば、そのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれるCole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Riss,(1985);及びBoerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95,(1991)における技術もヒトモノクローナル抗体の調製に利用できる。
核酸
本開示は、とりわけ、本明細書に記載されているHHLA2結合剤(例えば、抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片)をコードする核酸を提供する。本開示には、本明細書に開示されている1以上の重鎖、VHドメイン、重鎖FR、重鎖CDR、重鎖定常ドメイン、軽鎖、VLドメイン、軽鎖FR、軽鎖CDR、軽鎖定常ドメイン、または他の免疫グロブリン様配列、抗体、またはその抗原結合断片をコードする核酸が含まれる。そのような核酸はベクター中に存在してもよい。そのような核酸は、細胞、例えば、治療を必要とする対象の細胞、または抗体産生のための細胞、例えば、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体もしくはその抗原結合断片を産生するための哺乳類細胞のゲノム中に存在してもよい。
本明細書に記載されているHHLA2結合剤(例えば、抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片)をコードする核酸は、特定の細胞型または生物体における発現について最適化されているコドンを含むように修飾されてもよい。コドン最適化配列は合成配列であり、好ましくは、コドンを最適化していない親ポリヌクレオチドによってコードされる同一のポリペプチド(または完全長ポリペプチドと実質的に同じ活性を有する完全長ポリペプチドの生物学的に活性がある断片)をコードする。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されているHHLA2結合剤をコードする核酸のコード領域の全部または一部は、特定の細胞型(例えば、真核細胞または原核細胞)のためのコドン使用を最適化するために改変された配列を含んでもよい。例えば、本明細書に記載されているヒト化重鎖(または軽鎖)可変領域のコード配列は、細菌細胞における発現のために最適化されてもよい。あるいは、コード配列は哺乳類細胞(例えば、CHO細胞)における発現のために最適化されてもよい。そのような配列はコドン最適化配列と記載されてもよい。
本開示の核酸構築物は、当該技術分野で知られている方法によって発現ベクターまたはウイルスベクターに挿入されてもよく、核酸は発現制御配列に操作可能に連結されてもよい。本明細書に記載されている任意の核酸またはその断片を含むベクターが本開示によってさらに提供される。本明細書に記載されている任意の核酸またはその断片は、任意の適切なベクターにクローニングすることができ、任意の好適な宿主で形質転換または形質移入するのに使用することができる。ベクターの選択及びそれを構築する方法は一般に当業者に知られている(例えば、“Recombinant DNA Part D,”Methods in Enzymology,Vol.153,Wu and Grossman,eds.,Academic Press(1987)を参照のこと)。
例えば、電気泳動、リン酸カルシウム沈殿、DEAE-デキストラン形質移入、またはリポフェクションを含む従来使用される技術を使用して、原核生物または真核生物の宿主細胞に外来核酸(例えばDNAまたはRNA)を導入してもよい。望ましくは、ベクターは、ベクターが導入される宿主の種類(例えば、細菌、真菌、植物、または動物)に特異的な、転写及び/または翻訳の開始コドン及び/または終止コドンのような調節配列を、適宜ベクターがDNAであるかRNAであるかを考慮して含んでもよい。いくつかの実施形態では、ベクターは宿主細胞の属に特異的な調節配列を含む。いくつかの実施形態では、ベクターは宿主の種に特異的な調節配列を含む。
複製システム及び挿入された核酸に加えて、核酸構築物は、形質転換または形質移入された宿主の選択を可能にする1以上のマーカー遺伝子を含むことができる。例示的なマーカー遺伝子には、例えば、殺生物剤耐性(例えば、抗生物質または重金属に対する耐性)、または原栄養性を提供するための栄養要求性宿主における補完が含まれる。
発現ベクターは、上記のように単離または精製された核酸に操作可能に連結された天然または非天然のプロモーターを含むことができる。プロモーター、例えば、強力な、弱い、誘導性の、組織特異的な、及び/または発生特異的なプロモーターの選択は当業者の技術の範囲内である。同様に、上記の核酸とプロモーターとの組み合わせも当業者の技術の範囲内である。
好適なベクターには伝播及び増殖及び/または発現のために設計されたものが含まれる。例えば、クローニングベクターはpUCシリーズ、pBluescriptシリーズ(Stratagene,LaJolla,Calif.)、pETシリーズ(Novagen,Madison,Wis.)、pGEXシリーズ(Pharmacia Biotech,Uppsala,Sweden)またはpEXシリーズ(Clontech,Palo Alto,Calif.)から選択されてもよい。λGT10、λGT11、λZapII(Stratagene)、λEMBL4、及びλNM1149のようなバクテリオファージベクターが使用されてもよい。使用することができる植物発現ベクターの例には、pBI110、pBI101.2、pBI101.3、pBI121、またはpBIN19(Clontech)が挙げられる。使用することができる動物発現ベクターの例には、pEUK-C1、pMAMまたはpMAMneo(Clontech)が挙げられる。TOPOクローニングシステム(Invitrogen、Carlsbad、Calif.)も、製造業者の推奨に従って使用することができる。
さらなる配列をそのようなクローニング及び/または発現配列に加えて、クローニング及び/または発現におけるそれらの機能を最適化し、本明細書に記載されているHHLA2結合剤をコードする核酸の単離を助け、または細胞への核酸の導入を改善することができる。クローニングベクター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は当該技術分野で周知である(例えば、そのそれぞれはその全体が参照によって本明細書に組み込まれるSambrook et al.,Molecular Cloning,a Laboratory Manual,2d edition,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989);及びAusubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates and John Wiley & Sons,New York,N.Y.(1994)を参照のこと)。
いくつかの実施形態では、本開示の核酸及びベクターは単離され、及び/または精製される。本開示はまた、任意でベクターの形態にて単離された、または精製された核酸を含む組成物も提供する。単離された核酸及びベクターは、例えば、アルカリ/SDS処理、CsCl結合、カラムクロマトグラフィー、アガロースゲル電気泳動、及び/または当該技術分野で周知の他の技術を含む、当該技術分野で既知の標準的な技術を使用して調製されてもよい。組成物は本明細書でさらに記載されているような他の成分を含むことができる。
ベクターに核酸を挿入するための当業者に既知の任意の方法を使用して、転写及び/または翻訳の制御シグナルの制御下で本明細書に記載されている抗ヒトHHLA2抗体またはその抗原結合断片をコードする発現ベクターを構築してもよい。これらの方法は試験管内組換えDNA及び合成技術、ならびに生体内組換えを含んでもよい(例えば、Ausubel、上記;またはSambrook、上記を参照のこと)。
同じエピトープに結合する抗体
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片には、表1に示すHHLA2結合抗体と同じエピトープに結合する抗体及び抗体断片が含まれる。したがって、追加の抗体及び抗体断片は、HHLA2結合アッセイにて本明細書に記載されている他の抗体と交差競合する(例えば、統計的に有意な様式でその結合を競合して阻害する)能力に基づいて同定することができる。本明細書に記載されている抗体及び抗体断片のHHLA2タンパク質(例えば、ヒトHHLA2)への結合を阻害する試験抗体の能力は、試験抗体がHHLA2への結合に関してその抗体または抗体断片と競合できることを実証しており;そのような抗体は、非限定的な理論によれば、競合する抗体または抗体断片と同じまたは関連する(例えば、構造的に類似する、または空間的に近接した)HHLA2タンパク質上のエピトープに結合してもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体またはその抗原結合断片と同じHHLA2上のエピトープに結合する抗体は、ヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体である。そのようなヒトモノクローナル抗体またはヒト化モノクローナル抗体は、本明細書に記載されているように調製する及び単離することができる。
治療方法
本開示は、とりわけ、本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物を投与することを含む、対象にて疾患、障害または状態(例えば、本明細書に記載されている疾患、障害または状態)を治療する方法を提供する。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている少なくとも1つの医薬組成物の治療有効量を、疾患、障害、または状態を有する対象に投与する。
本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物は、対象にて疾患、障害もしくは状態を治療するため、または対象にて免疫応答を刺激するための薬物の製造に使用するためのものであることができる。本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物は、本明細書に記載されている薬剤投与計画に従って、単独で、または1以上の治療剤、手順、もしくは治療方針と組み合わせて対象に投与することができる。
本明細書に記載されている方法で治療される対象は、哺乳類、例えば、霊長類、例えば、ヒト(例えば、本明細書に記載されている疾患、障害もしくは状態を有する、または有するリスクがある患者)であることができる。本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物を用いて、対象にてがんまたは腫瘍を治療する(例えば、軽減する、抑制する、またはその進行を遅延させることのうちの1以上)方法が提供される。対象はがんの成人型または小児型を有することができる。がんは、早期、中期、もしくは後期の段階にあってもよく、または転移性がんであってもよい。
本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物を用いて、対象にてがんの兆候または症状を治療する(例えば、軽減する、抑制する、またはその進行を遅延させることのうちの1以上)方法が提供される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は、がんの発症を遅延させる、その進行を遅らせる、またはその1以上の兆候もしくは症状を改善するのに有用である。いくつかの実施形態では、がんの生理的な兆候または症状は、腫瘍体積の増加、がん細胞数の増加、転移数の増加、平均余命の減少、がん細胞増殖の増加、及び/またはがん細胞の生存の増加を含む、またはそれである。いくつかの実施形態では、がんの物理的な兆候または症状は、皮膚病変(例えば、しこりまたはほくろ)、体重減少、消化器障害、不快感、疲労、疼痛、嚥下障害、咳、異常な出血及び/または排出物、腸及び/または膀胱の習慣の変化、及び/または精神錯乱を含む、またはそれである。
がんには、固形腫瘍、血液癌(例えば、白血病、リンパ腫、または多発性骨髄腫のような骨髄腫)、または転移病変を挙げることができるが、これらに限定されない。固形腫瘍の例としては、種々の器官系の悪性腫瘍、例えば、肉腫及び癌腫、例えば、腺癌、例として、肺、乳房、卵巣、リンパ系、胃腸(例えば結腸)、肛門、生殖器及び尿生殖路(例えば、腎臓、尿路上皮、膀胱細胞、前立腺)、咽頭、CNS(例えば、脳、神経またはグリア細胞)、頭頸部、皮膚(例えば、黒色腫、例えば皮膚黒色腫)、膵臓、及び骨(例えば、脊索腫)を侵すものなど、が挙げられる。
いくつかの実施形態では、がんは、肺癌(例えば、非小細胞肺癌(NSCLC)(例えば、扁平上皮及び/または非扁平上皮組織に関する非小細胞肺癌(NSCLC)、またはNSCLC腺癌)、または小細胞肺癌(SCLC))、皮膚癌(例えば、メルケル細胞癌または黒色腫(例えば、進行性黒色腫))、卵巣癌、中皮腫、膀胱癌、軟組織肉腫(例えば、血管周囲細胞腫(HPC))、骨癌(骨肉腫)、腎臓癌(例えば、腎癌(例えば、腎細胞癌))、肝臓癌(例えば、肝細胞癌)、胆管癌、肉腫、骨髄異形成症候群(MDS)、前立腺癌、乳癌(例えば、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、またはHer2/neuの1つ、2つまたはすべてを発現しない乳癌、例えば、トリプルネガティブ乳癌)、大腸癌(例えば、再発性大腸癌または転移性大腸癌、例えば、マイクロサテライト不安定性大腸癌、マイクロサテライト安定性大腸癌、ミスマッチ修復熟練(mismatch repair proficient)大腸癌、またはミスマッチ修復欠損大腸癌)、鼻咽頭癌、十二指腸癌、子宮内膜癌、膵臓癌、頭頸部癌(例えば、頭頸部扁平上皮細胞癌(HNSCC))、肛門癌、胃食道癌、甲状腺癌(例えば、甲状腺未分化癌)、子宮頸癌(例えば、子宮頸部扁平上皮細胞癌)、神経内分泌腫瘍(NET)(例えば、非定型肺カルチノイド腫瘍))、リンパ増殖性疾患(例えば、移植後リンパ増殖性疾患)、リンパ腫(例えば、T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、非ホジキンリンパ腫)、骨髄腫(例えば、多発性骨髄腫)、または白血病(例えば、骨髄性白血病またはリンパ性白血病)から選択される。いくつかの実施形態では、対象は腎細胞癌を有する。
いくつかの実施形態では、がんは、脳腫瘍、例えば膠芽腫、神経膠肉腫、または再発性脳腫瘍である。いくつかの実施形態では、がんは、膵臓癌、例えば、進行膵臓癌である。いくつかの実施形態では、がんは、皮膚癌、例えば、黒色腫(例えば、ステージII~IV黒色腫、HLA-A2陽性黒色腫、切除不能黒色腫、または転移性黒色腫)、またはメルケル細胞癌である。いくつかの実施形態では、がんは、腎癌、例えば腎細胞癌(RCC)(例えば、転移性腎細胞癌)である。いくつかの実施形態では、がんは、乳癌、例えば転移性乳癌またはステージIV乳癌、例えばトリプルネガティブ乳癌(TNBC)である。いくつかの実施形態では、がんは、ウイルス関連癌である。いくつかの実施形態では、がんは、肛門管癌(例えば、肛門管の扁平上皮癌)である。いくつかの実施形態では、がんは、子宮頸癌(例えば、子宮頸部の扁平上皮癌)である。いくつかの実施形態では、がんは、胃癌(例えば、エプスタインバーウイルス(EBV)陽性胃癌、または胃癌もしくは胃食道接合部癌)である。いくつかの実施形態では、がんは、頭頸部癌(例えば、HPV陽性及び陰性頭頸部扁平上皮癌(SCCHN))である。いくつかの実施形態では、がんは、鼻咽頭癌(NPC)である。いくつかの実施形態では、がんは、大腸癌、例えば、再発性大腸癌、転移性大腸癌、例えば、マイクロサテライト不安定性大腸癌、マイクロサテライト安定性大腸癌、ミスマッチ修復熟練大腸癌、またはミスマッチ修復欠損大腸癌、である。
いくつかの実施形態では、がんは血液癌である。いくつかの実施形態では、がんは、白血病、例えば、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ球性白血病、慢性白血病、または急性白血病である。いくつかの実施形態では、がんは、リンパ腫、例えば、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫、またはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)(例えば、再発性もしくは難治性HLまたはDLBCL)である。いくつかの実施形態では、がんは、骨髄腫、例えば、多発性骨髄腫である。
本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤の医薬組成物の投与は、任意の都合のよい方法(例えば、注射、摂取、輸液、吸入、埋込み、または移植)で行われてもよい。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は注射または注入によって投与される。本明細書に記載されている医薬組成物は、患者に、経動脈、皮下、静脈内、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、または腹腔内に投与することができる。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は、非経口で(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内に)投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は皮下、静脈内、筋肉内または胸骨下の注入または注射によって投与される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は、筋肉内または皮下の注射によって投与される。本明細書に記載されている医薬組成物は、対象の炎症部位、局所疾患部位、リンパ節、臓器、腫瘍、または感染部位に直接注射されてもよい。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤は、1以上の他の治療剤またはモダリティと組み合わせて利用される。いくつかの実施形態では、1以上の他の治療剤またはモダリティは抗がん剤または抗がんモダリティでもある。いくつかの実施形態では、この組み合わせはがんの治療にて相乗効果を示す。がんの治療にて治療効果を示す既知の化合物または治療法には、例えば、1以上の化学療法剤、アルキル化剤、代謝拮抗剤、抗微小管剤、トポイソメラーゼ阻害剤、細胞傷害性抗生物質、血管新生阻害剤、免疫調節剤、ワクチン、細胞に基づいた治療法(例えば、同種異系または自家の幹細胞移植)、臓器移植、放射線療法、及び/または手術が挙げられてもよい。
医薬組成物
本開示は、とりわけ、1以上の薬学的または生理学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と組み合わせた少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物を提供する。
「治療有効量」、「免疫的有効量」、「抗免疫応答有効量」、または「免疫応答阻害有効量」が示されている場合、本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤を含む医薬組成物の正確な量は、患者(対象)の年齢、体重、免疫応答、及び状態の個体差を考慮して医師が決定することができる。
本明細書に記載されている医薬組成物は、中性緩衝生理食塩水またはリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む緩衝液;グルコース、マンノース、スクロース、デキストラン、もしくはマンニトールのような炭水化物;タンパク質、ポリペプチド、またはアミノ酸(例えば、グリシン);酸化防止剤;EDTAまたはグルタチオンのようなキレート剤;アジュバント(例えば、水酸化アルミニウム);及び防腐剤を含んでもよい。いくつかの実施形態では、医薬組成物は汚染物質を実質的に含まない、例えば、検出可能なレベルの汚染物質(例えばエンドトキシン)は存在しない。
本明細書に記載されている医薬組成物は、治療または予防すべき疾患、障害、または状態に適した様式で投与されてもよい。適切な投与量は臨床試験によって決定されてもよいが、投与の量及び頻度は、患者の状態、ならびに患者の疾患、障害、または状態のタイプ及び重症度のような因子によって決定されるであろう。
本明細書に記載されている医薬組成物は種々の形態であってもよい。これらには、例えば、液体、半固体及び固体の剤形、例として、液体溶液(例えば、注射用及び注入用溶液)、分散系または懸濁液、リポソーム、及び座薬が含まれる。好ましい組成物は注射用または注入用の溶液であってもよい。本明細書に記載されている医薬組成物は、静脈内、皮下、皮内、腫瘍内、結節内、髄内、筋肉内、経動脈、または腹腔内の投与用に製剤化することができる。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は、非経口(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内)投与用に製剤化される。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は皮下、静脈内、筋肉内または胸骨下の注射または注入のために製剤化される。好ましい実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は皮下または静脈内の注入の注射のために製剤化される。本明細書に記載されている医薬組成物は、免疫療法で一般に知られる注入技術を使用して投与するために製剤化することができる(例えば、その全体が参照によって本明細書に組み込まれるRosenberg et al.,New Eng.J.of Med.319:1676,1988を参照のこと)。
本発明で使用されるとき、「非経口投与」及び「非経口で投与される」という用語は、通常は注射または注入による、経腸及び局所投与以外の投与様式を指し、限定しないで静脈内、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、腹腔内、経気管、皮下、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、腫瘍内、及び胸骨内の注射及び注入を含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は、化学療法剤(例えば、フルダラビン、外照射療法(XRT)、シクロホスファミド、またはリツキサン)を使用する骨髄移植またはリンパ球除去療法と併用して(例えば、その前、それと同時、またはその後に)投与される。特定の実施形態では、対象は高用量化学療法による標準治療とその後の末梢血幹細胞移植を受ける。特定の実施形態では、移植後、対象は本明細書に記載されている1以上の医薬組成物を受ける。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されている医薬組成物は手術前または手術後に投与されてもよい。
対象に投与される任意の前述の療法の投与量は、治療される疾患、障害、または状態によって、また特定の対象に基づいて変化するであろう。ヒトへの投与のための投与量のスケーリングは、当該技術分野で認められている慣行に従って行うことができる。
キット
本開示は、とりわけ、本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤と、使用及び/または投与のための説明書とを含むキットを提供する。いくつかの実施形態では、キットは本明細書に記載されている少なくとも1つのHHLA2結合剤と、薬学的に許容される担体と、使用及び/または投与のための説明書とを含む。
いくつかの実施形態では、キットは本明細書に記載されている任意の方法で使用するための説明書を含む。説明書は、対象にて意図された活性を達成するための、対象への第1及び第2の医薬組成物の投与の説明を含むことができる。キットはさらに、対象が治療を必要としているかどうかの特定に基づいて、治療に好適な対象を選択することの説明を含んでもよい。いくつかの実施形態では、説明書は治療を必要とする対象への第1及び第2の医薬組成物の投与の説明を含む。
本明細書に記載されている第1及び第2の医薬組成物に関する説明書には一般に、意図する治療のための投与量、投薬スケジュール、及び投与経路に関する情報が含まれる。容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数回用量包装)、またはサブユニット用量であってもよい。本開示のキットで供給される説明書は通常、ラベルまたは添付文書に書かれた説明書である。ラベルまたは添付文書は、医薬組成物が対象にて疾患、障害または症状を治療する、その発症の遅延させる、及び/または緩和するのに使用されることを示す。
本明細書で提供されるキットは好適な包装に入っている。好適な包装には、バイアル、ボトル、広口瓶、可撓性包装等が挙げられるが、これらに限定されない。また、注入装置のような特定の装置と組み合わせて使用するための包装も企図されている。キットは滅菌アクセスポートを有してもよい(例えば、容器は、皮下注射針によって穿刺可能なストッパーを有する静脈用溶液袋またはバイアルであってもよい)。容器はまた滅菌アクセスポートも有してもよい。
キットは任意で、緩衝液及び解釈情報のような追加の成分を提供してもよい。ふつう、キットは容器と、容器上のまたは容器と関連したラベルまたは添付文書(複数可)とを含む。いくつかの実施形態では、本開示は上記のキットの内容物を含む製造物品を提供する。
参照による組み込み
GenBankアクセッション番号を含む、本明細書で言及されているすべての刊行物、特許出願、特許、及び他の参考文献は、参照によってその全体が組み込まれる。加えて、材料、方法、及び実施例は例示にすぎず、限定であることは意図されない。別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語及び科学用語は、本発明の所属する技術分野における当業者によって一般に理解されるものと同一の意味を有する。本明細書において記載されているものと類似または同等の方法及び物質を本発明の実施または試験において使用することができるが、好適な方法及び物質を本明細書に記載する。
本開示は以下の実施例によってさらに説明される。本実施例は、説明のみを目的として提供されている。それらの実施例は、本開示の範囲または内容を何らかの形で限定するものと解釈されるべきではない。
以下の実施例は、本明細書に記載されている方法及び組成物をどのように作製し、且つ使用するかを当業者に説明するために提供され、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
実施例1:特定のHHLA2結合剤の特性評価
本実施例は、本明細書に記載されているHHLA2結合剤、特に抗HHLA2抗体及び/またはその抗原結合断片を特徴付ける方法を実証する。本実施例はさらに、本明細書に記載されているHHLA2結合剤の関連する機能活性を決定及び/または特徴付けるための種々の方法を提供する。本明細書に記載されている例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインのアラインメントを図1A~1Bに示す。
組換えHHLA2-Fcに対する抗HHLA2抗体の強力な親和性を検討した。ForteBioのOctetシステムを使用して、組換えHHLA2-Fcに対する抗HHLA2抗体の強力な親和性を測定した。各抗体をAHCセンサー上に捕捉し、続いて溶液中の100nMのHHLA2-Fc抗原を含むウェルに移すことによって強力な親和性を決定した。例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665に対する強力な親和性は、組換えHHLA2に対して一桁ナノモル以上の強力な親和性を示した(表2及び図2A~2B)。
Figure 2024509501000031
CytivaのBiacoreシステムを使用して、組換えHHLA2-Hisに対する例示的な抗HHLA2抗体Ab-65885、Ab-65886、Ab-65887、Ab-65889及びAb-65890の一価の親和性を測定した。一価の親和性は、CM5チップ上に各抗体を捕捉し、続いて種々の濃度のHHLA2-His分析物を捕捉することによって決定した。例示的な抗HHLA2抗体Ab-65885、Ab-65886、Ab-65887、Ab-65889及びAb-65890の組換えHHLA2に対する一価の親和性は約750pM~約15nMであった(表3)。
Figure 2024509501000032
ヒトHHLA2を過剰発現する300.19マウス前駆B白血病細胞を結合する抗HHLA2抗体の能力を検討した。300.19-ヒトHHLA2細胞を15μg/mlの各抗体とともに氷上で30分間インキュベートし、続いてPE結合抗ヒト二次抗体の1:10希釈とともにインキュベートした。フローサイトメトリーのヒストグラムは、例示的な抗HHLA2抗体Ab-60638及びAb-60665のヒトHHLA2を過剰発現する300.19細胞に結合する能力を実証した(表4及び図3A~3B)。データは、蛍光強度中央値(MFI)及びバックグラウンドに対する倍率(FOB)として示されている。
Figure 2024509501000033
HHLA2のKIR3DL3への結合を阻止し、HHLA2のTMIGD2への結合を増強する抗HHLA2抗体の能力を検討した。合計10μg/mLのIgGを4μg/mLのビオチン化ヒトHHLA2-FcまたはTMIGD2-Fcと共に氷上で30分間インキュベートし、その後、それぞれKIR3DL3またはHHLA2を発現している300.19マウス前駆B白血病細胞に添加し、氷上で30分間インキュベートを続けた。Alexa Fluor 633結合ストレプトアビジンを二次検出試薬として加えた。フローサイトメトリーデータは、例示的な抗HHLA2抗体が、KIR3DL3へのHHLA2の結合を完全に阻止する一方で、TMIGD2へのHHLA2の結合を増加させる能力を実証した(表5、図4A~4B及び5A~5B)。これらのデータは、本明細書に記載されている抗HHLA2抗体が(i)HHLA2のKIR3DL3への結合を阻害することができ;且つ(ii)HHLA2のTMIGD2への結合を増強することができることを示している。
Figure 2024509501000034
均等物
当業者は、本開示に対する様々な変更、修正、及び改良が当業者には容易に想起されることが理解されるべきである。そのような変更、修正、及び改良は、本開示の一部であることを意図しており、本発明の精神及び範囲内であることを意図している。したがって、前述の説明及び図面は例示に過ぎず、本開示に記載されている発明は、後に続く特許請求の範囲によってさらに詳細に説明される。
当業者は、本明細書に記載されているアッセイまたは他のプロセスで得られた値に起因する偏差または誤差の典型的な基準を理解するであろう。本発明の背景を説明し、その実践に関するさらなる詳細を提供するために本明細書で参照されている刊行物、ウェブサイト及び他の参考資料は、参照によってその全体が本明細書に組み込まれる。

Claims (44)

  1. HHLA2結合剤であって、
    (i)KIR3DL3へのHHLA2の結合を阻害することができ、
    (ii)TMIGD2へのHHLA2の結合を増強することができる、前記HHLA2結合剤。
  2. 前記HHLA2結合剤が、抗体またはその抗原結合断片、小分子、ポリペプチドまたはアプタマーである、またはそれを含む、請求項1に記載のHHLA2結合剤。
  3. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (i)キメラ抗体、ヒト抗体、またはヒト化抗体、またはその抗原結合断片;
    (ii)単一特異性抗体または二重特異性抗体、またはその抗原結合断片;及び/または
    (iii)モノクローナル抗体またはその抗原結合断片である、またはそれを含む、請求項2に記載のHHLA2結合剤。
  4. 前記抗原結合断片が、scFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、ナノボディ、またはラクダ抗体を含む、請求項2または3に記載のHHLA2結合剤。
  5. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (i)IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4から選択される重鎖定常領域、及び/または
    (ii)カッパまたはラムダの軽鎖定常領域から選択される軽鎖定常領域である、またはそれを含む、請求項2~4のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  6. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)それぞれが表1のVH CDRと少なくとも約90%の同一性がある1、2、または3のVH CDR配列を含む重鎖可変領域(VH);及び/または
    (b)それぞれが表1のVL CDRと少なくとも約90%の同一性がある1、2、または3のVL CDR配列を含む軽鎖可変領域(VL)である、またはそれを含む、請求項2~5のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  7. 前記抗体またはその抗原結合断片が
    (a)それぞれが表1のVH CDRと少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある1、2または3のVH CDR配列を含むVH;及び/または
    (b)それぞれが表1のVL CDRと少なくとも約91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある1、2または3のVL CDR配列を含むVLである、またはそれを含む、請求項6に記載のHHLA2結合剤。
  8. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)それぞれが表1のVH CDRを含む、またはそれから成る1、2、または3のVH CDR配列を含むVH;及び/または
    (b)それぞれが表1のVL CDRを含む、またはそれから成る、1、2、または3のVL CDR配列を含むVLである、またはそれを含む、請求項7に記載のHHLA2結合剤。
  9. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)表1のVHに対して少なくとも約90%以上の同一性があるVH;及び/または
    (b)表1のVLに対して少なくとも約90%以上の同一性があるVLである、またはそれを含む、請求項2~7のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  10. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)表1のVHに対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性があるVH;及び/または
    (b)表1のVLに対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性があるVLである、またはそれを含む、請求項9に記載のHHLA2結合剤。
  11. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)表1のVHを含む、または表1のVHから成るVH;及び/または
    (b)表1のVLを含む、または表1のVLから成るVLである、またはそれを含む、請求項10に記載のHHLA2結合剤。
  12. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)表1の重鎖に対して少なくとも約90%以上の同一性がある重鎖;及び/または
    (b)表1の軽鎖に対して少なくとも約90%以上の同一性がある軽鎖である、またはそれを含む、請求項2~11のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  13. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)表1の重鎖に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある重鎖;及び/または
    (b)表1の軽鎖に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、99.5%以上の同一性がある軽鎖である、またはそれを含む、請求項12に記載のHHLA2結合剤。
  14. 前記抗体またはその抗原結合断片が、
    (a)表1の重鎖を含む、または表1の重鎖から成る重鎖;及び/または
    (b)表1の軽鎖を含む、または表1の軽鎖から成る軽鎖である、またはそれを含む、請求項13に記載のHHLA2結合剤。
  15. 薬剤であって、上記請求項のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤とHHLA2上の同じエピトープに結合する、及び/またはそれとの結合に関して競合する、前記薬剤。
  16. ナイーブ免疫エフェクター細胞にてTMIGD2へのHHLA2の結合を増強する、上記請求項のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  17. 疲弊した免疫エフェクター細胞にてKIR3DL3へのHHLA2の結合を阻止する、上記請求項のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  18. 前記免疫エフェクター細胞がT細胞及び/またはNK細胞を含む、またはそれである、請求項16または17に記載のHHLA2結合剤。
  19. 前記T細胞がCD4+T細胞及び/またはCD8+T細胞を含む、またはそれである、請求項18に記載のHHLA2結合剤。
  20. 約15nM以下のKでHHLA2を結合する、上記請求項のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  21. バックグラウンドの少なくとも約50倍~約800倍の親和性でヒトHHLA2を結合する、上記請求項のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  22. 約2を超える比でTMIGD2に対するHHLA2の結合を増強する、上記請求項のいずれか1項に記載のHHLA2結合剤。
  23. 上記請求項のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤と薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物。
  24. 疾患、障害、または状態を有する対象を治療する方法であって、治療有効量の請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤、または請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  25. 対象にて免疫応答を調節する方法であって、治療有効量の請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤、または請求項23に記載の医薬組成物を投与することを含む、前記方法。
  26. 前記対象ががんを有する、またはがんを発症するリスクがある、請求項24または25に記載の方法。
  27. 前記対象が固形腫瘍または血液癌を有する、請求項26に記載の方法。
  28. 前記固形腫瘍が、腎癌、骨癌、皮膚癌、乳癌、子宮頸癌、結腸直腸癌、子宮内膜癌、肺癌、卵巣癌、肝臓癌、胆管癌、または甲状腺癌のうちの1以上である、またはそれを含む、請求項27に記載の方法。
  29. 前記血液癌が白血病もしくはリンパ腫を含む、または白血病もしくはリンパ腫である、請求項27に記載の方法。
  30. 前記白血病が、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性白血病、または急性白血病を含む、またはそれである、請求項29に記載の方法。
  31. 前記リンパ腫が、ホジキンリンパ腫(HL)、非ホジキンリンパ腫、リンパ球性リンパ腫、もしくはびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を含む、またはそれである、請求項29に記載の方法。
  32. 前記疾患、障害、または状態が異常なHHLA2発現に関連する、請求項24~31のいずれか1項に記載の方法。
  33. 前記HHLA2結合剤が非経口投与される、請求項24~32のいずれか1項に記載の方法。
  34. 前記非経口投与が、皮下、静脈内、筋肉内、もしくは胸骨内の注射もしくは注入である、またはそれを含む、請求項33に記載の方法。
  35. 前記HHLA2結合剤が第2の薬剤と併用して投与される、請求項24~32のいずれか1項に記載の方法。
  36. 請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤、またはその抗原結合断片をコードする核酸。
  37. 請求項36に記載の少なくとも1つの核酸を含む発現ベクター。
  38. 宿主細胞であって、請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤を含むもしくは発現する、請求項36に記載の少なくとも1つの核酸を含む、または請求項37に記載の少なくとも1つの発現ベクターを含む、前記宿主細胞。
  39. HHLA2結合剤を作製する方法であって、
    (i)前記HHLA2結合剤の発現に好適な条件下で、請求項36に記載の少なくとも1つの核酸または請求項37に記載の少なくとも1つの発現ベクターを含む宿主細胞を培養することと、
    (ii)前記HHLA2結合剤を回収することと、を含む、前記方法。
  40. 試料中のHHLA2ポリペプチドの存在またはレベルを検出する方法であって、請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤を使用して前記試料中の前記HHLA2ポリペプチドを検出することを含む、前記方法。
  41. キットであって、請求項1~22のいずれか1項に記載の少なくとも1つのHHLA2結合剤と、使用及び/または投与のための説明書とを含む、前記キット。
  42. 前記HHLA2結合剤がHHLA2ポリペプチドと複合体を形成する、請求項41に記載のキット。
  43. 前記複合体が、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、放射性免疫アッセイ(RIA)、及び/またはウェスタンブロットを含むアッセイによって検出される、請求項42に記載のキット。
  44. 前記HHLA2結合剤が直接標識される、請求項41~43のいずれか1項に記載のキット。
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