JP2024504267A - Lou064を使用した治療の方法 - Google Patents

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Abstract

本開示は、1つ以上のアレルゲン、好ましくは、食物アレルゲンに対するIgE誘導アレルギー反応を、このような疾患又は病態を有する被験体において治療及び/又は予防する方法であって、治療的に有効な用量のLOU064を投与することを含む方法に関する。

Description

本発明は、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導アレルギー反応の有効な抑制に使用するための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩若しくは多形に関する。
食物アレルギーは、あらゆる国のあらゆる年齢の何百万もの人々を侵し、急増している罹患率は、それが新しく出現した公衆衛生上の優先事項であることを示唆する(Warren et al 2020)。食物アレルギーの根本的な原因は、アレルゲン特異的IgEがアレルゲン曝露に応答して合成され、肥満細胞及び好塩基球の表面膜においてそのFc領域を介してIgEに対する高親和性受容体(FcεRI受容体)に結合する免疫機構に関与する。(Sampson et al 2006)。食物アレルギーは、世界中の人々のほぼ10%を侵し、一貫した疫学的傾向が、北米、欧州、アジア及びオーストラリアにわたって観察されており;最も一般的なアレルゲンは、ピーナッツ、堅果、海産物、卵、牛乳、小麦、大豆及び種子類である(Warren et al 2020,Sicherer and Sampson 2017)。ピーナッツ、堅果及び海産物に対するアレルギーは、通常、生涯にわたる(Jones and Burks 2017,Sicherer and Sampson 2017)。さらに、成人を含む食物アレルギー患者の3分の1~2分の1が、2種以上の食物にアレルギーがある可能性が高い(Gupta et al 2011,Gupta et al 2019)。アナフィラキシーは、場合により、食物、薬物、又は刺咬昆虫毒などの物質に対する生命に関わる全身性アレルギー反応である。免疫療法を用いたこれらの物質に対するアレルギーを軽減する取り組みにもかかわらず、アナフィラキシーの罹患率は増加している(Lieberman P.et al.,Ann Allergy Asthma Immunol.2006;97(5):596-602)。残念ながら、それは、即座の包括的医療処置を施したとしても、致死性であることが多い(J.Allergy Clin.Immunol.2020;145(4):1082)。IgE介在性アナフィラキシーを予防することができる公知の治療法はない。
IgE経路は、食物アレルギー、薬物アレルギー、アレルギー性鼻炎、喘息、及び慢性じんましんを含むほとんどのアレルギー性疾患の発病に中心的な役割を果たす。アレルゲン特異的IgEが、アレルゲンに結合して、肥満細胞及び好塩基球の表面における高親和性受容体(FcεRI)を架橋するとき、活性化されたシグナル伝達カスケードが、兆候及び症状を誘発するのに関与する、ヒスタミン、プロスタグランジン、ロイコトリエン、及びサイトカインを含む多くのアレルギーメディエーターの放出を引き起こす。
これまで、アレルギー性疾患の治療は、特定のメディエーターの遮断(例えば、抗ヒスタミン剤又はロイコトリエン受容体アンタゴニストによる)及び/又はコルチコステロイドによる広い免疫抑制に大きく依存していた。
現在、アナフィラキシーを予防することが可能な有効な治療はなく、治療の中心は、トリガーの回避による予防である。しかしながら、特に、食物アレルギーの場合、厳密な回避が、必ずしも可能であるわけではないため、標準治療は、兆候及び症状の早期発見、並びに反応が発生した後の筋肉内注射されるエピネフリンの使用からなる。対照的に、患者が、皮膚試験、アレルゲン免疫療法(IT)、及び薬物脱感作(全ての手順は、重篤な全身性反応のリスクを有する)の際などに、アレルゲンに意図的に曝される状況がある。例えば食物アレルゲン又は薬剤などのアレルゲンに対する脱感作は、これらが、典型的に、生命に関わる可能性のある反応のリスクのため患者の入院を必要とするため、高コストで労力を要する。
経口免疫療法(OIT)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)、及び抗IgEモノクローナル抗体(オマリズマブ)と組み合わされたOITなどの、食物アレルギーについて試験された、いくつかの免疫療法が存在している。しかしながら、有効性及び安全性は、ピーナッツアレルギーについての1つの第III相試験において実証されたに過ぎない。さらに、オマリズマブ-OIT組合せの3つのランダム化比較試験があったのみであり、これらは、低出力の単施設試験であるため;これらの試験において、エビデンスレベルは低かった。長期の追跡観察を含む試験は稀であり、したがって、臨床的忍容性は、明確でなく、依然として不明である(Shoichiro T et al.EMJ.2019;4[4]:63-70)。
現在、ピーナッツアレルギー患者のための承認された経口免疫療法(OIT)(Palforzia(商標))は1つのみである。
BTKは、ヒト肥満細胞及び好塩基球におけるFcεRIを介したシグナル伝達のために不可欠なキナーゼである。それはまた、B細胞成熟のために重要であるため、BTKは、B細胞悪性腫瘍の治療のために薬理学的に標的とされている。米国において現在3つのFDAに承認されたBTK阻害剤(BTKis)がある。イブルチニブ(商標名Imbruvica(登録商標);Pharmacyclics、及びAbbVie)、アカラブルチニブ(Calquence(登録商標);Acerta及びAstraZeneca)、及びザヌブルチニブ(Brukinsa(登録商標);BeiGene)は全て、BTKの経口用共有結合小分子阻害剤である。
さらに、いくつかのBTK阻害剤(BTKis)は、関節リウマチ(RA)、多発性硬化症(MS)、及び全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患の治療のための臨床試験中である。例えば、アカラブルチニブ及びザヌブルチニブ並びに新規な化合物ONO-4059(チラブルチニブ)、HM71224(ポセルチニブ)及びABBV-105(ウパダシチニブ)は、B細胞悪性腫瘍並びに/又はRA、シェーグレン症候群(SjS)及びSLEなどの自己免疫疾患におけるそれらの有効性について現在試験されている。さらに、エボブルチニブ、トレブルチニブ及びフェネブルチニブは、MS患者において第III相試験に入っており、オレラブルチニブは、第II相試験において試験され、BIIB091は、MSの治療における有効性について第I相試験において試験された。
試験はまた、アレルギー患者における空気アレルゲン及び食物に対する皮膚プリックテスト反応性を低減するか又はなくすイブルチニブの能力(Dispenza et al.J.Allergy Clin Immunol.2018;141(5):1914-1916.e7)及び皮膚テストが、イブルチニブ停止の1週間後にベースラインに戻ったことを実証し、これは、有効性の短い持続時間を示唆している(2021)。しかしながら、皮膚プリックテストにおいて見られる阻害作用が、皮膚以外の器官における阻害作用につながるかどうかは不明である。肥満細胞が存在する様々な組織へのBTKisの浸透度は不明である。イブルチニブが、循環好塩基球のIgE介在性活性化を防止する際に急速な有効性を有することが実証されているが、BTKisが、肺、皮膚、及び消化管などの複数の器官における組織常在肥満細胞のIgE介在性活性化を十分に阻害し得るかどうかは不明である。
BTK阻害剤が、植物に対するアレルギー反応の予防及び/又は治療に使用され得るという示唆にもかかわらず、BTK阻害剤は、臨床的に関連するアレルギー反応を抑制し、及び/又はヒトにおけるアナフィラキシーを予防することがまだ示されていない。アカラブルチニブが、現在、ピーナッツアレルギーの成人におけるピーナッツアレルゲンに対するアレルギー反応の予防において第II相試験に入っているが、食物アレルギーに関連するBTK阻害剤の臨床的有効性データは、これまで報告されていない。
さらに、いくつかのより以前に開発されたBTK阻害剤(例えばアカラブルチニブ、イブルチニブ)の選択性の欠如のため、それらのBTK阻害剤は、特に、長期/慢性及び安全な使用を必要とする適応症の治療のために、及び/又は小児若しくは思春期の青年集団において、非悪性適応症に好適でないことがある。現在承認されているBTK阻害剤の最も一般的な副作用としては、吐き気、下痢、発疹、感染症、血球減少、出血及び不整脈が挙げられる。特に、ファースト・イン・クラスの阻害剤であるイブルチニブの長期の毒性プロファイルは、十分に特徴付けられ、不整脈、出血、感染症、下痢、関節痛、及び高血圧症の臨床的に有意な発生を含む。米国食品医薬品局(US Food and Drug Administration)からの承認を得る初期の第2世代BTKiであるアカラブルチニブは、BTKに対する改善されたキナーゼ選択性を実証するが、感染症、頭痛、及び下痢を含む一般的に観察される有害反応を伴う(Hematology Am Soc Hematol Educ Program.2020 Dec 4;2020(1):336-345)。
長期の安全性データは、現在開発中のBTK阻害剤について入手可能でないが、フェネブルチニブについての入手可能な安全性データは、BTK阻害剤が直面し得る最大の障害が、慢性使用中の副作用が許容可能であるかどうかであることを示唆し得る。例えば、フェネブルチニブの第IIa相試験で顕著な主要な事象は、高用量治療アームにおける被験体の8.3%及び6.3%におけるALT及び/又はASTの一時的なグレード3の増加であった。一部のBTKisについて既に観察された副作用のいくつかは、特に、長期の投与を必要とし得る場合、非悪性適応症を治療又は予防するためのそれらの使用を制限し得る。さらに、FDAに承認されたBTK阻害剤のいずれも、小児及び思春期の青年において承認されていない。したがって、小児における安全性データが入手可能になるまで、BTK阻害剤が、小児におけるIgE誘導アレルギー反応の治療又は予防における使用のための実行可能な選択肢であるかどうかは不明である。
上昇する罹患率(複数の食物に対するアレルギーを含む)のため、現在限られている治療選択肢、生命に関わる可能性のある結果、防御を与えるための単独での食物回避ができないこと、及び多くの場合、生涯にわたる疾病の負担のため、食物アレルギーに対する新規な安全な治療法を開発する大きな医療ニーズがある。
マウスにおける受動皮膚アナフィラキシー(PCA):LOU064は、皮膚浮腫を阻害する。 投与の2.5時間後のBALB/cマウスの脾臓におけるBTK占有率。 マウス皮膚における逆受身アルサス(RPA)反応:LOU064は、皮膚腫脹を阻害する。 投与の5時間後のC57B16マウスの脾臓におけるBTK占有率。 皮膚腫脹に対するLOU064の時間依存性薬理作用。 30mg/kgのLOU064の単回投与後の皮膚腫脹の薬理学的阻害に対する脾臓及び肺における時間依存性BTK占有率の比較。 1% w/vのOVA又は生理食塩水(エアロゾル、21~24日目)並びに16時間の時点でPBS及び16時間の時点でPBS(髄腔内(i.t.)群1及び2)又はポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C 100μg/動物、髄腔内(i.t.))を負荷された感作マウスにおける、LOU064(10mg/Kg及び30mg/kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d))による処置、又はビヒクル(10mL/Kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d.))処置の後の、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の細胞の総数に対する影響。BALFを、OVA負荷の24時間後に収集した。 1% w/vのOVA又は生理食塩水(エアロゾル、21~24日目)並びに16時間の時点でPBS及び16時間の時点でPBS(髄腔内(i.t.)群1及び2)又はポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C 100μg/動物、髄腔内(i.t.))を負荷された感作マウスにおける、LOU064(10mg/Kg及び30mg/kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d))による処置、又はビヒクル(10mL/Kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d.))処置の後の、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好酸球の数に対する影響。BALFを、OVA負荷の24時間後に収集した。 1% w/vのOVA又は生理食塩水(エアロゾル、21~24日目)並びに16時間の時点でPBS及び16時間の時点でPBS(髄腔内(i.t.)群1及び2)又はポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C 100μg/動物、髄腔内(i.t.))を負荷された感作マウスにおける、LOU064(10mg/kg及び30mg/kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d)による処置、又はビヒクル(10mL/Kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d.))処置の後の、気管支肺胞洗浄液(BALF)中の好中球の数に対する影響。BALFを、OVA負荷の24時間後に収集した。 1% w/vのOVA又は生理食塩水(エアロゾル、21~24日目)並びに16時間の時点でPBS及び16時間の時点でPBS(髄腔内(i.t.)群1及び2)又はポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C 100μg/動物、髄腔内(i.t.))を負荷された感作マウスにおける、LOU064(10mg/kg及び30mg/kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d)による処置、又はビヒクル(10mL/Kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d.))処置の後の、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のマクロファージの数に対する影響。BALFを、OVA負荷の24時間後に収集した。 1% w/vのOVA又は生理食塩水(エアロゾル、21~24日目)並びに16時間の時点でPBS及び16時間の時点でPBS(髄腔内(i.t.)群1及び2)又はポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C 100μg/動物、髄腔内(i.t.))を負荷された感作マウスにおける、LOU064(10mg/Kg及び30mg/kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d)による処置、又はビヒクル(10mL/Kg、経口(p.o.)、1日2回(b.i.d.))処置の後の、気管支肺胞洗浄液(BALF)中のリンパ球の数に対する影響。BALFを、OVA負荷の24時間後に収集した。 ナノサイズLOU064の好ましい粒度分布。 定常状態における脾臓BTK占有率のシミュレーション。 (A)定常状態におけるBTK占有率の24時間にわたるトラフ。点としての中央値予測及び95%の予測区間を示す垂直線を示すグラフ。(B)定常状態におけるBTK占有率の24時間にわたる平均。点としての中央値予測及び95%の予測区間を示す垂直線を示すグラフ。
本発明の根底にある課題は、IgE誘導アレルギー反応、例えば食物、薬物アレルギー又は毒アレルギー反応、特に、1つ以上のアレルゲン、例えば食物アレルゲンに対するIgE誘導アレルギー反応、より特に、例えば、IgE誘導アナフィラキシー反応の安全で有効な治療又は安全で有効な予防を提供することである。特に、本発明の目的は、IgE誘導食物アレルギー反応、例えばアナフィラキシー反応の安全で有効な長期の治療又は予防を提供することである。
したがって、本発明は、IgE誘導アレルギー反応、例えば食物、薬物、又は毒アレルギー反応、より特に、食物アレルギー反応の治療及び/又は予防に使用するための、BTK阻害剤、例えば可逆的又は不可逆的BTK阻害剤に関する。特に、本発明は、IgE誘導アレルギー反応、例えば食物、薬物又は毒アレルギー反応、より特に、食物アレルギー反応の治療及び/又は予防における長期使用(すなわち、慢性使用)のために安全で好適な選択的BTK阻害剤に関する。本発明に特に有用なのは、BMX、ITK及びTXKなどの他の構造的に類似したTecファミリーキナーゼに対して選択的であるBTK阻害剤である。より特に、本発明に有用なのは、tecよりBTKに対して選択的である(例えば、少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍のBTK/Tec選択性)BTK阻害剤である。
本発明の別の目的は、IgE誘導アレルギー反応、例えば食物、薬物、又は毒アレルギー反応、より特に、食物アレルギー反応の改善された治療及び/又は予防を提供することである。本発明の一態様は、例えば食物アレルゲンの1つ又は混合物によって誘発されるIgE誘導アナフィラキシーの改善された予防を提供することである。例えば、本発明の一目的は、他のBTK阻害剤(例えば、より選択的の低いBTK阻害剤)による治療より有効及び/又はより安全な、特に、アカラブルチニブ、又はイブルチニブによる治療より有効及び/又はより安全な治療である、IgE誘導アレルギーの治療又は予防を提供することである。また、本発明の一目的は、抗IgEモノクローナル療法による治療より有効な、より安全な及び/又はより好都合な、IgE誘導アレルギー反応、特に、食物アレルギー反応の治療及び/又は予防を提供することである。特に、本発明の目的は、作用発現に8~12週間かかる抗IgEモノクローナル療法と比較して、より速い作用発現(例えば、4週間未満、2週間未満又は1週間未満)を有する、IgE誘導アレルギー反応の治療及び/又は予防を提供すること、並びに自宅でより好都合に投与され、医療機関の使用を必要としない治療法を提供することである。
したがって、IgE誘導アレルギー反応、例えば食物、薬物、又は毒アレルギー反応、例えばアナフィラキシー反応を予防又は治療する方法、より特に、1つ以上の食物アレルゲン(例えばピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、大豆、卵、ゴマ、魚介類又はそれらの混合物)に対するIgE誘導アレルギー反応を予防又は治療する方法であって、治療的に有効な用量のLOU064を、それを必要としている被験体に投与することを含む方法が、本明細書に開示される。
本発明の別の態様は、1つ以上のアレルゲン(例えば、ピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、大豆、卵、ゴマ、魚介類又はそれらの混合物などの食物アレルゲン)に対するIgE誘導食物アレルギー反応を治療又は予防するため、好ましくは、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導食物アレルギー反応を予防するための、不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩に関する。
本発明のさらなる主題は、上述される治療に使用するための薬剤の製造のための方法である。
以下の実施形態E1~E39に要約される、本発明のさらなる態様、有利な特徴及び好ましい実施形態は、それぞれ単独で又は組み合わせて、本発明の目的を解決することに役立つ:
E1.必要としている被験体における、1つ以上のアレルゲン(例えば薬物、毒又は食物アレルゲン)に対するIgE誘導アレルギー反応を治療又は予防する方法であって、治療的に有効な用量の選択的BTK阻害剤、例えばLOU064を、患者に投与することを含む方法。
E2.1つ以上のアレルゲンが、食物アレルゲンを含むか又は食物アレルゲンである、E1に記載の方法。
E3.食物アレルゲンが、ピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、卵、大豆、ゴマ、魚介類、特に、ピーナッツから選択される、E2に記載の方法。
E4.LOU064の治療的に有効な用量が、毎日約20mg~約200mgである、E1、E2又はE3に記載の方法。
E5.LOU064の治療的に有効な用量が、1日2回約10mg~1日2回約100mgである、E4に記載の方法。
E6.LOU064の治療的に有効な用量が、1日2回約10mgである、E5に記載の方法。
E7.LOU064の治療的に有効な用量が、1日2回約25mgである、E5に記載の方法。
E8.LOU064の治療的に有効な用量が、1日2回約100mgである、E5に記載の方法。
E9.LOU064が、短期間、例えば6か月未満、好ましくは、3か月未満又は1か月未満にわたって投与される、E1~E8のいずれか1つに記載の方法。
E10.LOU064が、最大で18週間の間、例えば4、10、12、16又は18週間の間に投与される、E9に記載の方法。
E11.LOU064が、長期間、例えば6か月超、例えば1年、好ましくは、1年超にわたって投与される、E1~E8のいずれか1つに記載の方法。
E12.LOU064が、単独療法として投与される、E1~E11のいずれか1つに記載の方法。
E13.LOU064が、CYP3Aの強力な阻害剤、例えばCYP3A4の強力な阻害剤と同時に投与されない、E1~E12のいずれか1つに記載の方法。
E14.LOU064が、治療剤と共投与される、E1~E11及びE13のいずれか1つに記載の方法。
E15.LOU064が、コルチコステロイド及び/又は免疫抑制薬(例えば吸入コルチコステロイド)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、短時間作用性βアゴニスト(SABA)又は長時間作用性βアゴニスト(LABA)と共投与される、E14に記載の方法。
E16.LOU064が、経口免疫療法(OIT)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)、好ましくは、OITと共投与される、請求項E1~E11及びE13のいずれか1つに記載の方法。
E17.LOU064が、経口免疫療法(OIT)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)、好ましくは、OITの補助剤である、E16に記載の方法。
E18.経口免疫療法が、ピーナッツタンパク質(例えばPalforzia)である、E16又はE17に記載の方法。
E19.LOU064が、経口免疫療法の投与の少なくとも2日(例えば少なくとも2~14日)前に開始して投与される、E16~E18のいずれか1つに記載の方法。
E20.LOU064が、免疫療法治療の漸増期中に投与される、E19に記載の方法。
E21.方法が、IgE誘導アレルギー反応の予防である、E1~E20のいずれか1つに記載の方法。
E22.任意のアレルゲン又はそれらの混合物(例えば食物アレルゲン)への偶発的曝露後のアナフィラキシーを予防するための、E1~E21のいずれか1つに記載の方法。
E23.LOU064が、治療の最小で2日後(例えば2~14日後、好ましくは、2~7日後)に最大の予防を達成する、E21又はE22に記載の方法。
E24.患者が、以下の基準:
(a)男性及び女性患者、2歳以上(例えば2~5歳、又は6~11歳、12~17歳又は18~55歳);
(b)ピーナッツ、堅果、小麦、卵、牛乳、大豆、魚介類を含むがこれらに限定されない食物に対するアレルギーの確認された病歴;
(c)陽性アレルゲン特異的IgE(例えば、スクリーニング時にピーナッツsIgE≧6のkUA/L);及び
(d)患者がアレルギーを有するアレルゲンに対して皮膚プリックテストが陽性(例えば、陰性対照と比較して、平均直径(最長直径及び中点直交直径)≧4mmの膨疹として定義される)
のうちの1つ以上に従って選択される、E1~E23のいずれか1つに記載の方法。
E25.患者が、成人患者(18歳以上)又は思春期の青年(12~17歳)である、E1~E24のいずれかに記載の方法。
E26.患者が、2~11歳、例えば2~5歳又は6~11歳の小児である、E1~E24のいずれかに記載の方法。
E27.以下のうちの少なくとも1つに該当する:
LOU064による治療の最大で4週間後(例えば1週間後、又は2週間後、又は3週間後又は4週間後)、
a.治療された患者の少なくとも90%が、600mgのピーナッツタンパク質の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、
b.治療された患者の少なくとも90%が、1000mgのピーナッツタンパク質の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、
c.治療された患者の少なくとも80%が、3000mgのピーナッツタンパク質の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、E1~E26のいずれか1つに記載の方法。
E28.患者が、0.45~0.5の、合計ドメインスコアFAQLQのベースラインからの減少を達成する、E1~E27のいずれか1つに記載の方法。
E29.患者が、合計ドメインスコアFAIMのベースラインからの減少を達成する、E1~E28のいずれか1つに記載の方法。
E30.600mgのアレルゲン(例えば、ピーナッツアレルゲン)の二重盲検プラセボ対照食物負荷における、治療患者及び非治療患者の間の奏効率の実測差が、35%より優れており、ここで、奏効率が、600mgの経口食物負荷に対する軽度の応答以下であると定義される、E1~E29のいずれか1つに記載の方法。
E31.治療の12週目まで又は24週目までに、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びリパーゼのレベルが、治療の開始時のベースラインレベルと比較して、10%を超えて変化しない、E1~E30のいずれか1つに記載の方法。
E32.LOU064が、LOU064のナノサイズ粒子を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E31のいずれか1つに記載の方法。
E33.LOU064が、PCSによって測定した際の約50nm~約750nmの平均粒度を有するLOU064のナノサイズ粒子を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E32のいずれか1つに記載の方法。
E34.LOU064が、約2:1の重量比でLOU064及びバインダーを含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E33のいずれか1つに記載の方法。
E35.LOU064が、約2:1:0.08の重量比でLOU064、バインダー及び界面活性剤を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E34のいずれか1つに記載の方法。
E36.LOU064が、約1:1の重量比でLOU064及びバインダーを含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E33のいずれか1つに記載の方法。
E37.LOU064が、約1:1:0.05の重量比でLOU064、バインダー及び界面活性剤を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E33及びE36のいずれかに記載の方法。
E38.LOU064が、LOU064、バインダーとしてのポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー及び界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、E1~E37のいずれか1つに記載の方法。
E39.LOU064が、約25℃の温度及び1.5405ÅのX線波長、λで測定されるとき、7.8±0.2°2θ、9.2±0.2°2θ、12.0±0.2°2θ、13.6±0.2°2θ、15.6±0.2°2θ、16.0±0.2°2θ、17.8±0.2°2θ、18.3±0.2°2θ、18.7±0.2°2θ、19.2±0.2°2θ、19.9±0.2°2θ、22.1±0.2°2θ、23.4±0.2°2θ、23.9±0.2°2θ、24.8±0.2°2θ、25.2±0.2°2θ、25.5±0.2°2θ、27.2±0.2°2θ、及び29.6±0.2°2θからなる群から選択される2θに関して1つ以上の代表的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる無水遊離塩基の結晶形態である、E1~E38のいずれかに記載の方法。
定義
本明細書において使用される際、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)は、細胞質チロシンキナーゼ及びTECキナーゼファミリーのメンバーである。BTKは、B細胞、マクロファージ、肥満細胞/好塩基球及び血小板を含む、適応及び自然免疫系の選択された細胞において発現される。BTKは、Fcε受容体(IgEの場合FcεR1)及び活性化Fcγ受容体(IgGの場合FcγR)、並びにB細胞抗原受容体(BCR)及びBTK阻害剤を介したシグナル伝達のために不可欠である。イブルチニブのようなBTK阻害剤は、B細胞悪性腫瘍の治療のために承認されている(Hendriks et al 2014)。最近、BTKの阻害が、インビトロでの肥満細胞及び好塩基球活性化/脱顆粒の阻害並びにIgE介在性アレルギーを患う患者による皮膚プリックテストにおける膨疹サイズの減少をもたらすことが実証された(Smiljkovic et al 2017;Regan et al 2017;Dispenza et al 2018)。したがって、BTKの阻害は、関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、慢性じんましん、アトピー性皮膚炎、喘息、及び原発性シェーグレン症候群を含む様々な自己免疫及び慢性炎症性疾患を治療するための魅力的な治療コンセプトである(Tan et al 2013;Whang and Chang 2014)。BTK阻害剤の例としては、フェネブルチニブなどの非共有結合性、可逆的BTK阻害剤、並びにエボブルチニブ、トレブルチニブ、リルザブルチニブ、チラブルチニブ、ブラネブルチニブ、オレラブルチニブ及びレミブルチニブ(LOU064)などの、BTKの非共有結合性、不可逆的阻害剤が挙げられる。
本明細書において使用される際、IgEは、免疫グロブリンEを指す。
「含む(comprising)」という用語は、「含む(including)」並びに「からなる(consisting)」を包含し、例えば、Xを「含む(comprising)」組成物は、Xのみからなってもよく、又は何か追加のものを含んでいてもよく、例えば、X+Yであってもよい。
数値xに関連する「約」という用語は、例えば、+/-10%を意味する。数値範囲又は数値のリストの前に使用される場合、「約」という用語は、一連の各数値に適用され、例えば、「約1~5」という語句は、「約1~約5」として解釈されるべきであり、又は、例えば、「約1、2、3、4」という語句は、「約1、約2、約3、約4など」として解釈されるべきである。
本明細書において用いられる際に「薬学的に許容される」という語句は、妥当なベネフィット/リスク比に見合い、妥当な医学的判断の範囲内で、過度の毒性、刺激、アレルギー反応、又は他の問題若しくは合併症を伴わずに、ヒト及び動物の組織と接触して使用するのに好適な、化合物、材料、組成物、及び/又は剤形を指す。
「塩(salt)」」又は「塩(salts)」という用語は、本発明の化合物の酸付加塩を指す。「塩」としては、特に、「薬学的に許容される塩」が挙げられる。「薬学的に許容される塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的効果及び特性を保持し、典型的に、生物学的に又は他の形で有害でない塩を指す。多くの場合、本発明の化合物は、それに対するアミノ基の存在によって酸塩を形成することが可能である。塩の例は、参照により本明細書に援用される国際公開第2020/234779号パンフレット及び国際公開第2015/079417号パンフレットに開示されるものである。
本明細書において使用される際、「多形」という用語は、結晶を形成する分子、原子、及び/又はイオンの同じ化学組成を有するが空間配置の異なる結晶形態を指す。LOU064の結晶形態は、参照により本明細書に援用される国際公開第2020/234779号パンフレットに開示される。
化合物、例えば、LOU064に関連する「投与する」という語句は、任意の経路、好ましくは、経口投与による、被験体へのその化合物の送達を指すのに使用される。
本明細書において使用される際、本開示の化合物(すなわち、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形の「治療有効量又は用量」という用語は、被験体(対象の患者)の生物学的又は医学的応答、例えば、酵素若しくはタンパク質活性の低下若しくは阻害を誘発し、又は症状を改善し、病態を緩和し、疾患進行を減速するか若しくは遅延させ、又は疾患を予防するなどの、本開示の化合物の量を指す。化合物、医薬組成物、又はそれらの組合せの治療的に有効な投与量は、患者の種、体重、年齢、性別、及び個体の病態、治療される障害若しくは疾患又はそれらの重症度に依存する。投与の頻度は、使用される化合物及び治療又は予防される特定の病態に応じて変化する。
本明細書において使用される際、「薬学的に許容される担体」という用語は、当業者に公知であるように(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th Ed.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照)、あらゆる溶媒、分散媒、コーティング、界面活性剤、酸化防止剤、保存料(例えば、抗菌剤、抗真菌薬)、等張剤、吸収遅延剤、塩、保存料、薬物安定剤、バインダー、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味料、着香剤、染料など及びそれらの組合せを含む。任意の従来の担体が、有効成分と不適合でない限り、治療用又は医薬組成物におけるその使用が想定される。
「治療」又は「治療する」という用語は、被験体(好ましくは、ヒト)又は被験体から単離された組織若しくは細胞株への、BTK阻害剤、例えばLOU064若しくはその薬学的に許容される塩、又はLOU064若しくはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物の適用又は投与として本明細書において定義され、ここで、被験体は、特定の疾患(例えば、IgE誘導食物アレルギー)、疾患に関連する症状(例えば、IgE誘導食物アレルギー反応)、又は疾患を発症しやすい傾向(該当する場合)を有し、その目的は、疾患の1つ以上の症状を治癒させること(該当する場合)、重症度を軽減すること、そのような症状を緩和、改善すること、疾患を改善すること、疾患の任意の関連症状又は疾患を発症しやすい傾向を軽減若しくは改善することである。「治療」又は「治療する」という用語は、疾患を有する疑いのある被験体並びに病気であるか又は疾患若しくは病状を患っていると診断された被験体を治療することを含む。
本明細書において使用される際、疾患又は障害(IgE誘導食物アレルギー)の「予防」、「予防する」、「予防すること」という用語は、疾患若しくは障害の予防的処置;又は疾患若しくは障害の発現若しくは進行を遅延させ、及び若しくは抑制すること(例えばIgE誘導食物アレルギー反応を抑制すること)を指す。「予防」という用語は、前記アレルゲンに対するアレルギー反応に対する、患者被験体におけるアレルゲンに対する感受性を低下させること(すなわち、経口食物負荷によって評価した際に、アレルゲンに対する感受性の閾値を増加させること)を指す。この用語は、例えば、ベースラインから最小で80%(例えばベースラインから85%、90%)だけ、既知のアレルゲン(例えば食物アレルゲン)への経口曝露時の食物アレルギー反応を軽減することを含む。この用語は、生命に関わる可能性のあるIgE誘導アレルギー反応及びより特に、IgE誘導アナフィラキシーからの保護も含む。
本明細書において使用される際、「アナフィラキシー」という用語は、生命に関わる可能性のある気道、呼吸器、又は循環系障害を伴い発現が速いことを特徴とする重篤な、生命に関わる全身性過敏性反応として、World Allergy Organization Guidance 2020に従って定義され、必ずしもではないが、通常、皮膚及び粘膜変化を伴う。多種多様な分子が、アナフィラキシーを誘発し得る。これらは、IgE依存的にアナフィラキシーを誘発する最もよく見られるタンパク質又は肥満細胞を直接活性化する分子である。IgE介在性アナフィラキシーは、エフェクター細胞、主に、肥満細胞及び好塩基球において発現されるアレルゲン特異的IgE/高親和性受容体(FcεRI)複合体と相互作用するアレルゲン(通常、タンパク質)の相互作用によって引き起こされる。
本明細書において使用される際、「被験体の集団」という語句は、被験体の群を意味するのに使用される。
本明細書において使用される際、「被験体」という用語は、動物を指す。典型的に、動物は、哺乳動物である。被験体はまた、例えば、霊長類(例えば、ヒト、男性又は女性)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類などを指す。特定の実施形態において、被験体は、霊長類である。好ましい実施形態において、被験体は、ヒトである。「被験体」という用語は、それがヒトを指す場合、「患者」と同義的に使用される。
本明細書において使用される際、被験体が、処置から生物学的に、医学的に又はクオリティ・オブ・ライフに利益を得られる場合、このような被験体は、治療又は予防「を必要としている」。
開示される方法のある実施形態において、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩は、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導食物アレルギー反応を有する被験体の集団を治療するのに使用される。
本明細書において定義される際、「1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導アレルギー(若しくはアレルギー反応)」又は「IgE介在性アレルギー(若しくはアレルギー反応)」という用語は、同義的に使用され、例えば薬物アレルギー、毒アレルギー若しくは食物アレルギー(又はアレルギー反応)、好ましくは、ピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、大豆、卵、ゴマ、魚介類又はそれらの混合物などの食物アレルゲンに対するアレルギー反応を指す。ある実施形態において、食物アレルギーはまた、例えば、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導食物アレルギーの確定診断又は疑いの診断を有する成人及び2歳以上の小児患者における、食物アレルゲンに対する偶発的曝露後のアナフィラキシーを含むアレルギー反応の予防のための適応症を指す。「IgE誘導食物アレルギー反応」という用語は、食物に対する有害反応であり、非制御2型免疫応答によって引き起こされる。
ある実施形態において、薬物アレルギーは、例えば1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導アレルギーの確定診断又は疑いの診断を有する、例えば成人及び2歳以上の小児患者における、薬物アレルゲンへの曝露後のアナフィラキシーを含むアレルギー反応の予防のための適応症を指す。
IgE介在性反応は、通常、即時発症反応(食物摂取から2時間までに生じる)及び即時プラス後期(即時発症症状の後、長期の又は持続性の症状が続く)に分けられる。IgE介在性の薬物又は食物関連反応としては、皮膚症状(例えば血管性浮腫、急性じんましん);消化管反応(症状は、唇、舌及び口蓋の掻痒及び腫脹、喉頭水腫、吐き気、腹部けいれん、嘔吐及び下痢);呼吸器反応(例えばアレルギー性鼻炎結膜炎及び気管支収縮を含み得る);全身性反応(急速進行性のアナフィラキシー、典型的に、胃腸(GI)又は呼吸器症状と組み合わされ、心血管虚脱を含む多臓器系反応である)が挙げられる。
BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩を用いた治療に対する非レスポンダーは、ベースラインの少なくとも80%の改善を達成することができなかった又は症状の増悪を有していた被験体として定義される。LOU064又はその薬学的に許容される塩を用いた治療に対するレスポンダーは、ベースラインの最小で80%の改善を達成した被験体として定義される。
「経口免疫療法」又は「OIT」という用語は、アレルギーを有する患者が、前記アレルゲンに対するより安全な免疫応答を引き起こし、ある程度の脱感作を誘発するために、アレルギーがあるアレルゲン(例えば食物アレルゲン)を増加する量で何か月にもわたって徐々に摂取する治療法である。OIT療法は、2つのフェーズからなる:1.アレルゲンの量をゆっくりと増加させることからなる漸増期-このフェーズは、何か月もかかることがある;及び2.患者が同じ用量を維持する維持期。残念ながら、漸増期は、アナフィラキシーを含む重篤なアレルギー反応のリスクを示す。維持量に到達し得る患者は、一般に、OITを取る限り、偶発的曝露に起因する反応から保護される。
「舌下免疫療法」又はSLITという用語は、一般に毎日、舌下にアレルゲンを投与することを含む別の形態のアレルギー免疫療法である。現在、FDAによって承認されるSLITの唯一の形態は、ブタクサ、オオアワガエリのような北部の牧草及びチリダニに対する錠剤である。錠剤は、1~2分間にわたって舌下に置き、次に、それが溶解した際に飲み込む。このプロセスが、週に3日ないし毎日繰り返される。錠剤は、花粉への耐性を高め、時間と共に症状を軽減する。有効性の継続のために、治療は、3年以上にわたって必要とされ得る。ブタクサ及び草の花粉のみに対するアレルギー錠剤が現在入手可能である。
「経皮免疫療法」又はEPITという用語は、皮膚への繰り返される適用によってアレルゲンを送達することにある別の形態のアレルゲン免疫療法である。EPITは、パッチを使用し、皮膚への連続した(及び一定の)アレルゲン曝露によって持続的な感作又は耐性を生じることを目的とする。
本明細書において使用される際、患者に関連する「選択する」及び「選択された」は、特定の患者が、所定の基準を有する特定の患者に基づいて(によって)、患者のより大きい群から特異的に選択されることを意味するのに使用される。同様に、「選択的に治療する」又は「選択的に予防する」は、特定の疾患を有する患者(例えば、特定の食物アレルゲンに対するアレルギー反応を有することが分かっているか又は疑いのある患者)に治療又は予防を提供することを指し、ここで、その患者は、所定の基準を有する特定の患者に基づいて、患者のより大きい群から特異的に選択される。同様に、「選択的に投与する」は、所定の基準を有する特定の患者に基づいて(によって)、患者のより大きい群から特異的に選択される患者に薬物を投与することを指す。「選択する」、「選択的に治療する」及び「選択的に投与する」とは、患者がより大きい群の一員であることのみに基づいた標準的な治療計画が送達されるのではなく、患者の既往歴(例えば、過去の治療的介入、例えば、生物製剤による過去の治療)、生物学(例えば、特定の遺伝子マーカー)、及び/又は兆候(例えば、特定の診断基準を満たさない)に基づいた個別治療が患者に送達されることを意味する。本明細書において使用される治療の方法に関して、選択することは、特定の基準を有する患者の偶然の治療を指すのではなく、特定の基準を有する患者に基づいて、患者に治療を投与するための慎重な選択を指す。したがって、選択的な治療/投与は、患者の既往歴、疾患の症状、及び/又は生物学にかかわらず、特定の疾患を有する全ての患者に特定の薬物を送達する標準的な治療/投与と異なる。ある実施形態において、患者は、食物アレルゲンへの曝露に対する既知のアレルギー反応を有することに基づいて、治療のために選択された。
本明細書において使用される際の「医薬組合せ」という用語は、2つ以上の有効成分の使用又はそれを混合するか又は組み合わせることから得られる生成物を意味する。本明細書において使用される際の医薬組合せが、有効成分の固定された組合せ及び固定されていない組合せの両方を含むと理解されるべきである。「固定された組合せ(fixed combination)」という用語は、有効成分、例えば、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形)、及び1つ以上の組合せパートナーが、単一の実体又は剤形として同時に患者に投与されることを意味する。このような場合のこの用語は、1つの単位剤形(例えば、カプセル、錠剤、又はサシェ)における固定用量の組合せを指す。固定されていない組合せ(non-fixed combination)」又は「パーツのキット」という用語はいずれも、有効成分、例えば、本開示の化合物及び1つ以上の組合せパートナー及び/又は1つ以上の助剤が、特定の時間制限なしに、同時に、並行して又は連続してのいずれかで、別個の実体として独立して患者に投与又は共投与されることを意味し、このような投与は、特に、これらの時間間隔が、組合せパートナーが共同効果、例えば、相加又は相乗効果を示すのを可能にする場合、患者の体内で2つの化合物の治療的に有効なレベルを提供する。「固定されていない組合せ」という用語は、カクテル療法、例えば、3つ以上の有効成分の投与にも適用される。したがって、「固定されていない組合せ」という用語は、本明細書に記載される化合物が、互いに独立して、すなわち、同時に又は異なる時点で投与され得るという意味で、特に、投与、使用、組成物又は製剤を定義する。「固定されていない組合せ」という用語は、単剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩若しくは多形を、異なる量の有効成分をその中に含有するそれぞれの独立した製剤との1つ以上の固定された組合せ生成物と一緒に、使用することも包含することが理解されるべきである。本明細書に記載される組合せ生成物並びに「固定されていない組合せ」という用語は、有効成分(本明細書に記載される化合物を含む)を包含し、組合せパートナーが、互いに独立して販売されてもいる完全に別個の医薬剤形又は医薬製剤として投与されることがさらに理解されるべきである。固定されていない組合せの使用説明書が、包装、例えば、リーフレットなど、又は医師及び/若しくは医療スタッフに提供される他の情報で提供され、又は提供されてもよい。その際、独立した製剤又は製剤、生成物、若しくは組成物のパーツは、同時に又は時間をずらして投与され得、すなわち、パーツのキットの個々のパーツはそれぞれ、パーツのキットの任意のパーツについて、異なる時点で及び/又は等しい若しくは異なる時間間隔で投与され得る。特に、投与の時間間隔は、パーツの組み合わされた使用により治療される疾患に対する効果が、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形のみの使用によって得られる効果より大きい/高くなるように選択され;したがって、本明細書に記載される医薬組合せに使用される化合物は、共同で活性である。医薬組合せとして投与される第2の薬剤に対する、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形の総量の比率は、治療される特定の患者亜集団のニーズ、又は例えば、患者の年齢、性別、体重などにより得る単独の患者のニーズにより適合させるために、変更又は調整され得る。
本明細書において用いられる際の「共投与」又は「組み合わされた投与」などの用語は、本明細書に記載される1つ以上の化合物を、選択された組合せパートナーと一緒に、それを必要としている単独の被験体(例えば、患者又は被験体)に投与することを包含することを意味し、化合物が、必ずしも同じ投与経路によって及び/又は同時に投与されるわけではない治療計画を含むことが意図される。
「補助剤」又は「補助療法」又は「アジュバント療法」という用語は、有効性を最大にし、安全性を改善するために、一次療法又は初期治療に加えて与えられる治療法である。本発明に関して、補助療法は、経口免疫療法(OIT)の一次療法に加えた、BTK阻害剤(例えばLOU064)の使用である。例えば、補助療法(すなわち、BTK阻害剤又はLOU064)は、主な治療(例えばOIT)前、並びに漸増期中のアレルギー反応及び/又はアナフィラキシー反応を防止するために、OITの漸増期中に与えられる。
LOU064
LOU064(=N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド、INN:レミブルチニブ)は、ブルトン型チロシンキナーゼの選択的阻害のための薬物候補として国際公開第2015/079417 A1号パンフレットに開示される。この化合物は、強力な高選択的な不可逆的共有結合BTK阻害剤である。BTKの不活性な立体構造への結合のため、LOU064は、優れたキナーゼ選択性を示し、したがって、キナーゼオフターゲット結合を低減し、共有結合阻害により、化合物は、長期の高い全身性化合物曝露の必要なく、強力及び持続的な薬力学的効果を示す(Angst,D.et al.,Discovery of LOU064(Remibrutinib),a Potent and Highly Selective Covalent Inhibitor of Bruton’s Tyrosine Kinase,J Med Chem.2020 May 28;63(10):5102-5118)。
本発明の方法において使用するためのLOU064は、式(I):
Figure 2024504267000001

によって表される遊離塩基である。
他の実施形態において、N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミドは、参照により本明細書に援用される国際公開第2020/234779号パンフレット(実施例1)に開示されるように、遊離塩基の無水結晶形態Aである。
慢性自発性じんましん(CSU)(国際公開第2020/234782 A1号パンフレット)及びシェーグレン症候群(SjS)(国際公開第2020/234781 A1号パンフレット)の治療における使用のために既に提案されているLOU064は、SjS(第2相);CSU及びMS(第3相)についての臨床試験において現在試験されている。
国際公開第2020/234782 A1号パンフレットにおいて、10mg、25mg及び100mgの用量の1日2回(b.i.d.)投与が、CSUにおいて最大の有効性を達成することが一般に示唆された。
少なくとも中等度に活性なCSUを有する、H-抗ヒスタミン剤によるコントロール不十分な患者において12週間にわたってレミブルチニブの有効性及び安全性を評価する第2b相、無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、患者に、レミブルチニブ10mgをq.d.(1日1回)、35mgをq.d.、100mgをq.d.、10mgをb.i.d.(1日2回)、25mgをb.i.d.、100mgをb.i.d.、又はプラセボ(1:1:1:1:1:1:1の比率)を投与した。25mgをb.i.d.のレジメンが、特に有効であることが分かった。
血液及び/又は組織におけるBTK占有率は、CSU及びSjS試験などの臨床試験のための用量を選択するための好適なバイオマーカーであることが報告された(国際公開第2020/234782号パンフレット及び国際公開第2020/234781号パンフレット)。
さらに、BTK占有率及びBTK占有率の持続が、雌ラットの血液及び様々な組織において異なることが報告されている(国際公開第2020/234781号パンフレット)。
異なる組織におけるBTK占有率は、異なる適応症における有効性及び最適な投与量選択に関連する。しかしながら、食物アレルギーによって引き起こされる複数のアレルギー反応に関連する全ての組織、ひいてはIgE誘導食物アレルギー反応を治療又は予防するために浸透される必要がある組織についての現在一致する全体像はない。ラットにおいて報告されるように、BTK占有率及びBTK占有率半減期は、血液及び様々な組織において異なる。
さらに、BTK占有率半減期は、ターンオーバー速度(細胞内のBTKタンパク質が再生する能力)に依存する。このようなターンオーバー速度は、各組織で異なり、種特異的である。BTK占有率は、同様に種特異的である化合物のPK/PD特性にさらに依存する。
したがって、経口食物負荷における臨床反応は、CSU用量又は他の適応症について開示される任意の用量を用いて予想することはできない。
本発明の方法において使用するための医薬組成物
BTK阻害剤、すなわち、式(I)の化合物、又はその薬学的に許容される塩若しくは多形は、薬学的に許容される担体と組み合わせるときに、医薬組成物として使用され得る。このような組成物は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形に加えて、担体、様々な希釈剤、充填剤、塩、緩衝剤、安定剤、可溶化剤、及び当該技術分野において公知の他の材料を含有し得る。担体の特性は、投与経路に依存する。開示される方法に使用するための医薬組成物は、特定の標的とされる障害の治療のためのさらなる治療剤も含有し得る。例えば、医薬組成物は、抗炎症薬又は鎮痒剤も含み得る。このようなさらなる要因及び/又は薬剤は、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形との相乗効果を生じるため、又は式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形によって引き起こされる副作用を最小限に抑えるために、医薬組成物に含まれ得る。好ましい実施形態において、開示される方法において使用するための医薬組成物は、約10mg、約20mg、約25mg、約50mg又は約100mg、好ましくは、約25mg、約50mg又は約100mgの用量で、式(I)の化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは多形を含む。
経口投与用の好適な組成物は、錠剤、トローチ剤、水性若しくは油性懸濁液、分散性散剤若しくは顆粒剤、エマルジョン、硬又は軟カプセル剤、又はシロップ若しくはエリキシル剤の形態で、有効量の本発明の化合物を含む。経口用として意図された組成物は、医薬組成物の製造のための当該技術分野において公知の任意の方法に従って調製され、このような組成物は、薬学的に洗練された口当たりの良い製剤を提供するために、甘味料、着香剤、着色剤及び保存剤からなる群から選択される1つ以上の薬剤を含有し得る。錠剤は、錠剤の製造に好適な非毒性の薬学的に許容される賦形剤と混合して有効成分を含有し得る。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤;造粒剤及び崩壊剤、例えば、トウモロコシデンプン、又はアルギン酸;バインダー、例えば、デンプン、ゼラチン又はアカシア;及び滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクである。錠剤は、被覆されていないか、又は消化管における崩壊及び吸収を遅延させ、それによって、より長い期間にわたって持続的な活性をもたらすため、公知の技術によって被覆される。例えば、モノステアリン酸グリセリル又はジステアリン酸グリセリルなどの時間遅延材料が用いられ得る。経口用の製剤は、有効成分が、不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム若しくはカオリンと混合された硬ゼラチンカプセルとして、又は有効成分が、水又は油媒体、例えば、ピーナッツ油、流動パラフィン若しくはオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセルとして提供され得る。
開示される方法において使用するための医薬組成物は、従来の方法で製造され得る。一実施形態において、医薬組成物は、経口投与用に提供される。例えば、医薬組成物は、
a)希釈剤、例えば、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース及び/又はグリシン;
b)滑沢剤、例えば、シリカ、タルカム、ステアリン酸、そのマグネシウム又はカルシウム塩及び/又はポリエチレングリコール;さらに錠剤用に
c)バインダー、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及び/又はポリビニルピロリドン;必要に応じて
d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、アルギン酸若しくはそのナトリウム塩、又は発泡性混合物;及び/又は
e)吸収剤、着色剤、香料及び甘味料
と一緒に有効成分を含む錠剤又はゼラチンカプセルである。
したがって、本発明の方法において使用するための医薬組成物は、LOU064及び1つ以上の薬学的に許容される担体を含み、これはそれぞれ、独立して、充填剤、滑沢剤、バインダー、崩壊剤及び流動促進剤から選択される。
別の実施形態において、好適な医薬組成物、LOU064は、任意の薬学的に許容される形態で存在し得る。医薬組成物は、錠剤又はカプセル形態であることが好ましいであろう。錠剤は、当該技術分野において公知の方法に従ってフィルムコーティング又は腸溶コーティングされ得る。ナノサイズ又はマイクロサイズ粒子として医薬組成物/製剤中にLOU064を含むことも好ましいであろう。
LOU064が、ナノサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、平均粒度は、1000nm未満であり得る。好ましくは、LOU064の平均粒度は、500nm未満、より好ましくは、250nm未満であり得る。
好ましい実施形態において、LOU064の平均粒度は、約50nm~約1000nm、又は約50nm~約750nm、又は約60nm~約500nm、又は約70nm~約350nm、又は約100nm~約170nmであり得、より好ましくは、LOU064の平均粒度は、約100nm~約350nm、又は約110nm~約200nm、又は約120nm~約180nm又は約120nm~約160nmであり得、好ましくは、LOU064の平均粒度は、約150nm~約200nmであり得る。
LOU064が、ナノサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、経口投与は、好ましくは、1日2回約50mg~約150mgの用量で、より好ましくは、1日2回約100mgの用量である。
LOU064が、マイクロサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、平均粒度は、1~5μm又は好ましくは、1.0~1.5μmであり得る。好ましくは、LOU064の平均粒度は、1.1~1.3μmであり得る。
LOU064が、マイクロサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、経口投与は、好ましくは、1日2回約100mg~約300mgの用量、例えば1日2回約100mgの用量である。
好ましい実施形態において、多分散指数(PI)は、0.01~0.5、より好ましくは、0.1~0.2、特に、0.12~0.14である。好ましい粒度分布が、図12に示される。
上記の平均粒度は、強度で重み付けされる。平均粒度は、動的光散乱によって決定され得る。好ましくは、平均粒度は、光子相関分光法(PCS)によって決定される。特に、平均粒度を決定するために、Malvern Panalytical Ltd.(UK)製のデバイス「Zetasizer Nano ZS」、Version 7.13が使用され得る。
好ましくは、測定が、精製水中0.1mMのNaCl溶液(1:10)を用いて湿式分散方法として行われ、ここで、減衰指数(attenuator index)は、2~9、特に、5である。測定は、好ましくは、25℃で行われる。測定システムのさらなる好ましい設定は、以下の通りである:
セル:使い捨てサイジングキュベット
計数率(kcPs):315
持続時間:60秒
測定位置(mm):4.65。
本発明の一実施形態において、LOU064組成物は、ヒトへの経口投与のために適合された医薬組成物として、日常的な手順に従って製剤化される。典型的に、経口投与用の組成物は、カプセル剤又は錠剤である。
一実施形態において、LOU064のための製剤は、参照により本明細書に援用される米国仮特許出願第63/141558号明細書又はそのファミリーメンバー(例えば国際公開第2022/162513号パンフレット)に開示される製剤化に従って製剤化される。
本発明によれば、経口投与用の好適な医薬組成物は、LOU064及びバインダーを含む。
好適なバインダーとしては、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、セラック、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリエチレン-プロピレングリコールコポリマー、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、バインダーは、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーである。
LOU064及びバインダーの重量比は、約3:1~約1:3;例えば約3:1、約2:1、約1:1であり得、好ましくは、LOU064及びバインダーの重量比は、約2:1又は約1:1である。
好ましくは、経口投与用の好適な医薬組成物は、LOU064、バインダー及び界面活性剤を含む。
好適な界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ペルフルオロブタンスルホネート、スルホコハク酸ジオクチル、又はそれらの混合物が挙げられる。好ましくは、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウムである。
LOU064、バインダー及び界面活性剤の重量比は、約2:1:0.5、又は約2:1:0.1、又は約2:1:0.08、又は約2:1:0.05、又は約2:1:0.04、又は約2:1:0.03、又は約2:1:0.02である。好ましくは、LOU064、バインダー及び界面活性剤の重量比は、約2:1:0.08又は約1:1:0.05である。
特に好ましい実施形態において、経口投与用の好適な医薬組成物は、LOU064、バインダー及び界面活性剤を含み、ここで、バインダーは、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(コポビドン)であり、界面活性剤は、ラウリル硫酸ナトリウム(SLS)であり、LOU064、コポビドン及びSLSの重量比は、約2:1:0.08である。LOU064が、好ましくは、PCSによって測定した際に約100nm~約200nmの平均粒度を有するナノサイズ粒子の形態でこの医薬組成物中に存在することがさらに特に好ましい。
LOU064又はその薬学的に許容される塩若しくはその結晶形態を用いた治療又は予防の方法。
必要としている被験体における、1つ以上のアレルゲン、例えば毒、薬物又は食物、例えばピーナッツに対するIgE誘導アレルギー反応を予防、治療又はそれらの過程を修正するのに使用するための、方法、及びBTK阻害剤、例えば、不可逆的BTK阻害剤、例えば式(I)の化合物(すなわち、LOU064)又はその薬学的に許容される塩若しくは多形が開示され、本明細書において、治療的に有効な用量のLOU064又はその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む。この実施形態の一態様において、本発明は、必要としている被験体における、1つ以上のアレルゲン、例えばピーナッツに対するIgE誘導食物アレルギー反応を予防するのに使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩に関し、治療的に有効な用量のLOU064又はその薬学的に許容される塩を被験体に投与することを含む。開示される方法に使用するためのLOU064が、上述されるように、医薬組成物に組み込まれ得、毒、薬物又は食物アレルギー患者(すなわち、ヒト患者)を治療するためにインビボで投与され得る。
例えば、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導食物アレルギー反応は、食物アレルギー反応、例えばピーナッツアレルギー反応である。
さらに別の例において、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導食物アレルギー反応疾患又は障害は、ピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、大豆、卵、ゴマ、魚介類アレルギー反応を指す。
別の実施形態において、被験体は、食物アレルギー、例えばピーナッツアレルギーを患う。
定義されたアレルゲン反応を阻害するLOU064の能力を、ファースト・イン・ヒューマン試験の反復用量漸増(MAD)試験パートにおいて、健康なアトピー被験体における皮膚プリックテスト(SPT)によって評価した。7種のアレルゲンによるSPT(草花粉混合物、樺の木花粉、ハンの木花粉、ハシバミの木花粉、イエダニ、ネコ皮屑及びウマ皮屑)を、いずれの投与の前(ベースライン)にも、並びに第1の投与後及び11日間の1日1回の投与後の異なる時点で行った。試験は、100mgの用量まで膨疹サイズの用量依存的な減少を実証した。100mgを超えると、用量依存的な傾向は、明らかでないが、最も高い減少は、最も高い試験用量(600mg q.d.)で観察された。全ての試験にわたって、参加者は、100mg qd.以上の用量で膨疹サイズの平均で3mmの減少を示した(Kaul et al.Clin.Transl.Sci.2021;14(5),pp 1756-1768)。
FcεR1介在性好塩基球活性化の用量依存的な阻害も、ファースト・イン・ヒューマン試験中にLOU064で実証された。LOU064の単回投与漸増試験(SAD)において、CD63によって測定した際のエクスビボ血液好塩基球活性化は、60mgの用量でほぼ完全に阻害され(>89%)、投与の24時間後に高用量でほぼ100%の阻害に達した。100mg以上の用量は、ほぼ完全な阻害を実証した。対照的に、他の好塩基球活性化マーカー、CD203c+は、200mgのコホートにおいて8時間の時点で、最大で79.4%の阻害を示した。反復用量漸増試験(MAD)において、CD63発現によって測定される血液好塩基球活性化の完全な阻害は、50mg以上のLOU064の1日用量で、全治療期間(1~12日目)及びそれを超える数日にわたって達成された。投与の最終日におけるCD63のトラフレベル阻害は、10mg.q.d.(1日1回)の最も低い試験用量で80%であり;これは、いずれかの高用量でより強力であった。用量依存的な阻害は、CD63マーカーで観察され、投与の最終日の時点で100mg q.d.以上で、97%超のトラフ阻害に達した。CD203c+好塩基球の阻害は、それぞれ63%及び67%で、400mg q.d.及び200mg b.i.dで最も高かった(Kaul et al.Clin.Transl.Sci.2021;14(5),pp 1756-1768)。
さらに、本発明者らは、オボアルブミン誘発性アナフィラキシーマウスモデル(実施例3)において、LOU064(10mg/kg、30mg/Kg)による治療が、肺アナフィラキシーに関与する細胞(好酸球、好塩基球、マクロファージ及びリンパ球)の数を有意に減少させたことを実証した。それらの結果及び動物とヒトとの間の変換モデル(Journal of basic and clinical pharmacy,7(2),27-31)に基づいて、30mg/kgについての計算されたヒト等価用量(HED)は、70kgの人について約170mgに相当し、10mg/kgの最も低い有効用量についての計算されたヒト等価用量(HED)は、70Kgの人について約56mgに相当する(Nair,A.B.,& Jacob,S.(2016)。
最後に、ヒトにおける脾臓BTK占有率の社内予測モデル(実施例7)によれば、1日2回(b.i.d.)投与は、より高いBTK占有率を達成するために、同じ用量でのQD投与より有効であることが示された(図13)。したがって、25mg b.i.dのLOU064の用量は、最小ヒト有効用量であり、100mg b.i.d.の用量も、ヒトにおいて有効であることが示される。
適切な投与量は、例えば、LOU064の特定の薬学的に許容される塩、LOU064の特定の多形形態、宿主、投与方法、医薬組成物、並びに治療される病態の性質及び重症度、並びに被験体が受けた過去の治療の性質に応じて変化するであろう。
好ましい実施形態において、LOU064は、体重、性別、年齢又は人種に関係なく投与され得る。例えば、60kgの体重を有する35歳の女性が、90kgの体重を有する50歳の男性と同じ用量を投与されることが好ましい。特に、体重、性別、年齢又は人種は、LOU064の薬物動態に対する臨床的に有意な影響を与えない。
最終的に、担当の医療従事者が、各個々の被験体を治療するLOU064の量を決定するであろう。ある実施形態において、担当の医療従事者は、低用量のLOU064を投与し、被験体の反応を観察し得る。
本開示の一実施形態において、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、毎日約20mg~約200mgの用量で経口投与される。
別の実施形態において、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、毎日約25mg、又は毎日約50mg、又は毎日約75mg、又は毎日約100mgの用量で投与される。この実施形態の一態様において、LOU064は、約25mg QD(1日1回)、又は約50mg QD、又は約75mg QD、又は約100mg QDの用量で投与される。
本開示の一実施形態において、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、1日2回約10mg~1日2回約100mg、例えば、約10mgを1日2回(B.I.D)、約25mg B.I.D、約50mg B.I.D又は約100mg B.I.Dの用量で経口投与される。
別の実施形態において、LOU064は、1日2回約10mgの用量で経口投与される。
別の実施形態において、LOU064は、1日2回約25mgの用量で経口投与される。
別の実施形態において、LOU064は、1日2回約50mgの用量で経口投与される。
別の実施形態において、LOU064は、1日2回約75mgの用量で経口投与される。
別の実施形態において、LOU064は、1日2回約100mgの用量で経口投与される。
本開示の医薬組成物を使用する治療期間は、治療される疾患又は障害の重症度並びに各個々の被験体の病態及び個人的な反応に応じて変化するであろう。ある実施形態において、被験体は、短期間、例えば最大で4週間、例えば最大で6週間、例えば最大で8週間、例えば最大で10週間、例えば最大で12週間にわたってLOU064を投与される。LOU064は、例えば、出張及び/又は休暇中の重度の食物アレルギー反応並びにトリガーの回避、アレルゲンへの曝露が十分に制御されない任意の他の状況を防止するために、本明細書において上に定義されるように、例えば、短期間で投与され得る。
ある実施形態において、LOU064は、アレルゲン(例えば食物アレルゲン)への曝露の潜在的リスクの少なくとも2日前に投与される。別の実施形態において、LOU064は、アレルゲン(例えば食物アレルゲン)への曝露の潜在的リスクの前の少なくとも1週間以内、例えば1週間前、2週間前、3週間前又は4週間前に投与される。抗IgE治療を超えるLOU064の利点は、アレルギー反応の最大の保護/予防を達成するための速い作用発現である。
ある他の実施形態において、被験体は、長期間にわたってLOU064を投与される(例えばLOU064は、疾患が、その使用を正当化するよう存在する限り、例えば少なくとも6か月、例えば少なくとも10か月、例えば1年間、例えば、1年間、2年間、3年間、4、年間、10年間超にわたる全期間で無制限に使用される。LOU064又はその薬学的に許容される塩は、最大で2年間、5年間、10年間、15年間、20年間又は生涯にわたって使用され得る。ある実施形態において、LOU064による治療は、慢性治療である。
本開示の治療又は使用の方法のいくつかを実施する際、治療的に有効な用量のLOU064又はその薬学的に許容される塩が、被験体、例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)に投与される。開示される方法が、LOU064又はその塩を用いて、IgE誘導食物アレルギー反応の治療又は予防を提供することが理解される一方、これは、治療が必ずしも単独療法であることを意味しない。
本発明の一態様において、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、単独療法として被験体に投与される。
本発明の別の態様において、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、組合せ療法として被験体に投与される。
実際に、被験体が、LOU064による治療のために選択される場合、LOU064は、IgEに関与する疾患又は障害を患う被験体を治療するための他の薬剤及び治療法と組み合わせて、例えば、少なくとも1つのさらなる治療剤、例えば、抗IgE抗体(例えばオマリズマブ又はリゲリズマブ)、コルチコステロイド又は免疫抑制薬、例えば、全身性コルチコステロイド又は免疫抑制薬と組み合わせて、本開示の方法に従って投与され得る。
開示される使用、方法、及びキットのある実施形態において、被験体は、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導アレルギー反応を有し、ここで、アレルゲンは、薬物又は食物、例えば食物、例えばピーナッツである。ある実施形態において、被験体はまた、喘息及び/又はじんましんを有してもよく、例えば、喘息、アレルギー性喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、じんましん及びCSUから選択される疾患又は障害を有する。開示される使用、方法、及びキットのある実施形態において、被験体は、1つ以上のアレルゲン(例えば、ピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、大豆、卵、ゴマ、魚介類又はそれらの混合物などの食物アレルゲン)に対するIgE誘導食物アレルギー反応を有する。
開示される使用、方法、及びキットの他の実施形態において、被験体は、1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導食物アレルギー反応を有し、ここで、アレルゲンは、食物、例えばピーナッツである。
例えば、治療される被験体がアレルギーである場合、又は被験体がまた、喘息、じんましん、及び鼻炎から選択される、例えば、アレルギー性喘息、CSU、及びアレルギー性鼻炎から選択される別の疾患又は障害を患っている場合が該当し得る。
1つ以上のさらなる薬剤と共投与される場合、LOU064又はその薬学的に許容されるは、他の薬剤と同時に、又は連続して投与され得る。連続して投与される場合、担当医は、他の薬剤と組み合わせてLOU064又はその薬学的に許容される塩を投与する適切な順序及び共送達のための適切な投与量を決定するであろう。
様々な治療法が、本明細書に開示される、IgEに関与する疾患又は障害の治療の際に、開示されるLOU064と有益に組み合わされ得る。このような治療法としては、例えば抗IgE抗体(例えばオマリズマブ、リゲリズマブ)、コルチコステロイド(例えば、吸入若しくは全身性コルチコステロイド)、免疫抑制薬、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、短時間作用性βアゴニスト(SABA)又は長時間作用性βアゴニスト(LABA)が挙げられる。
開示される使用、方法、及びキットのある実施形態において、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、一次治療として処方されるか又は標準治療薬のいずれかに加えられ得る。
別の実施形態において、LOU064又は薬学的に許容される塩は、IgE誘導食物アレルギー反応を治療するための他の薬剤及び治療法と組み合わせて、本開示の方法に従って投与され得る。
一実施形態において、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、経口免疫療法(OIT)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)、好ましくは、OITと一緒に投与される。この実施形態の一態様において、LOU064は、OITの補助療法として投与される。
経口免疫療法(OIT)は、医学的管理下で与えられる漸増する量の食物アレルゲンを含む、食物アレルギーの潜在的な治療である。このような手順は、アレルゲンに対する脱感作をもたらす。OIT治療法は、これらが、典型的に、生命に関わる可能性のある反応のリスクのため患者の入院を必要とするため、高コストで労力を要する。
一実施形態において、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、本開示の方法に従って投与される場合、OIT、SLIT、EPIT、好ましくは、OITに関連する副作用(例えば、重篤な全身性反応、例えばアナフィラキシーなどのアレルギー反応)の頻度及び重症度を低下させる。
別の実施形態において、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、本開示の方法に従って投与される場合、OIT漸増(すなわち、OITの漸増期)を短縮して、例えば、より多くの患者が、首尾よくOITを完了させることを可能にする。
一実施形態において、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、ピーナッツタンパク質によるOIT治療法の補助療法として投与される。
これまで、ピーナッツアレルギー患者におけるアレルギー反応を軽減するための単一の現在承認されているOIT製品は、Palforzia(商標)である。したがって、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064 tは、ピーナッツタンパク質(例えばPalforzia(商標))の補助剤として、本開示の方法に従って投与され得る。
一実施形態において、本明細書に記載される方法に従って使用するためのBTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、経口免疫療法の投与の少なくとも2日前、又は少なくとも1週間(7日)前、又は少なくとも2週間(14日)前に開始して投与される。この実施形態の一態様において、本明細書に記載される方法に従って使用するためのBTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、好ましくは、LOU064は、免疫療法治療の漸増期の期間の間にさらに投与され、その後、OITの維持期の開始時にLOU064を中止する。
患者選択
一実施形態において、患者は、成人(18歳以上)である。
別の実施形態において、患者は、思春期の青年(12~17歳)である。
さらに別の実施形態において、患者は、小児患者(2~11歳又は6~11歳)である。
本発明の別の実施形態において、IgE誘導食物アレルギー反応の治療又は予防のためのBTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064を投与される患者は、以下の基準に従って選択される:
a)男性及び女性患者、2歳以上(例えば2~5歳又は6~11歳、12~17歳又は18~55歳);
b)ピーナッツ、堅果、小麦、卵、牛乳、大豆、魚介類を含むがこれらに限定されない食物に対するアレルギーの確認された病歴;
c)陽性アレルゲン特異的IgE(例えば、スクリーニング時にピーナッツsIgE≧6のkUA/L);
d)患者がアレルギーを有するアレルゲンに対して皮膚プリックテストが陽性(例えば、陰性対照と比較して、平均直径(最長直径及び中点直交直径)≧4mmの膨疹として定義される)。
上記の実施形態の一態様において、LOU064又はその薬学的に許容される塩を投与される患者は、以下の基準のうちの1つを有すると定義される非制御喘息を有する患者でない:
-最初のスクリーニング来院の時点での患者の予測正常値FEV1<80%
-スクリーニング来院前の12か月以内に喘息のための1回の入院。
有効性
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載される全ての方法において使用するためのBTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064に関し、ここで、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064は、治療のx週の時点で予防を達成する。この実施形態の一態様において、予防は、ベースラインからの最小で80%の減少、(例えば、ベースラインからの最小で85%の減少又は最小で90%の減少)として定義される。
一実施形態において、本発明は、本明細書に記載される方法において使用するためのBTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064に関し、ここで、以下のうちの少なくとも1つに該当する:
LOU064による治療の最大で4週間後(例えば1週間後、又は2週間後、又は3週間後又は4週間後)、
-治療された患者の少なくとも90%が、600mgの食物アレルゲン(例えば600mgのピーナッツタンパク質)の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、
-治療された患者の少なくとも90%が、1000mgの食物アレルゲン(例えば1000mgのピーナッツタンパク質)の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、
-治療された患者の少なくとも80%が、3000mgの食物アレルゲン(例えば3000mgのピーナッツタンパク質)の食物負荷時にアレルギー反応を示さない。
別の実施形態において、本発明は、患者が、0.45~0.5の合計ドメインスコアFAQLQにおいてベースラインからの減少を達成する、本明細書に記載される方法において使用するためのLOU064に関する。
FALQLQ(食物アレルギークオリティ・オブ・ライフ質問票)は、食物アレルギーを有する患者のための疾患特異的な健康関連クオリティ・オブ・ライフ(HRQoL)質問票である。それらは、成人質問紙(AF)、小児質問紙(CF)、及びティーンエージャー質問紙(TF)並びに食物アレルギーの小児の保護者によって記入される2つの質問紙(保護者質問紙PF及び保護者質問紙ティーンエージャーPFT)を含め、開発され、認められている。これらの質問紙は、HRQoL(健康関連クオリティ・オブ・ライフ)に対する食物アレルギーの影響を測定するための信頼性のある有効な手段である。より特定的に、食物アレルギークオリティ・オブ・ライフ質問票(FAQLQ)は、参加者のHRQoLに対する食物アレルギーの影響を評価する(すなわち、ドメインは、偶発的曝露のリスク、情動効果、アレルゲン回避及び食事制限からなる)。FAQLQ-小児質問紙(8~12歳)(Flokstra-de Blok BM et al(2009)Clinical.Exp.Allergy;39:(1)127-37)、FAQLQ-ティーンエージャー質問紙(13~17歳)(Flokstra-de Block BM et al.(2008)J.Allergy Clinical Immunology;122:139-44,144.e1-2)及びFAQLQ-成人質問紙(≧18歳)(Flokstra-de Blok BM et al(2009)Allergy;64(8):1209-17)は、自己記入式の有効な食物アレルギー特異的HRQoL質問票である。FAQLQ-保護者質問紙(FAQLQ-PF)は、食物アレルギーを有する0~12歳の小児の保護者によって記入される(Dunn Galvin et al(2008),Clin Exp Allergy,40(2010),476-485)。
項目及びドメインの数は、実施されるFAQLQ文書によって変化する。各質問は、1~7の7段階の尺度で採点される(すなわち、それぞれHRQoLの「なし」から「最大の」低下)。総スコアは、全ての欠測でない項目の算術平均である。ドメインスコアが、同様に計算される。
さらに別の実施形態において、本発明は、患者が、合計ドメインスコアFAIMのベースラインからの減少を達成する、本発明の方法において使用するためのLOU064に関する。
FAIM(食物アレルギー独立測定)は、患者の転帰予測を測定するための有効な信頼性の高い手段であり、小児(FAIM-CF)、思春期の青年(FAIM TF)及び成人(FAIM AF)のために開発された(Flokstra-de Block et al.Allergy 65(5):630-5)。食物アレルギー独立測定(FAIM)は、参加者の感知される食物アレルギー重症度及び食物アレルギー関連リスクを反映する。FAIMは、同様に0~6で採点される4つの質問を含み、より高いスコアは、アレルゲンが偶然に取り込まれる場合の有害転帰のより悪い予測(例えば、重篤な反応又は死亡)を示す。
さらに別の実施形態において、本発明は、600mgのアレルゲン(例えば、ピーナッツアレルゲン)の二重盲検プラセボ対照食物負荷における、治療患者及び非治療患者の間の奏効率の実測差が、35%より優れており、ここで、奏効率が、600mgの経口食物負荷に対する軽度の応答以下であると定義される、本明細書に記載される方法において使用するためのLOU064に関する。
さらなる実施形態において、本発明は、患者が、経口食物負荷に対する軽度の応答を有さない又は軽度の応答以下を有する(例えば、600mgのアレルゲン(例えばピーナッツタンパク質の用量を投与された後)、本明細書に記載される方法において使用するためのLOU064に関する。軽度の応答は、以下のうちの1つ以上を含む食物アレルギー調査のコンソーシアム(CoFAR:Sampson HA et al.J.Allergy Clin.Immunol;130(6):1260-74)に従って定義される:
・皮膚において-限られた(わずかな)又は限局性のじんましん、腫脹(例えば、軽度の唇浮腫)、皮膚潮紅(例えば、軽度の紅斑のいくつかの領域)又は軽度の掻痒(例えば、時折の引っ掻き)
・呼吸器-鼻漏(例えば、時折鼻をすする又はくしゃみ)、鼻詰まり、時折の咳、喉の不調
・GI-軽度の腹部不快感(低下した活性を伴うか又は伴わない軽度の吐き気を含む)、息の詰まり(gag)に続発すると考えられる孤発性嘔吐。
別の実施形態において、本発明は、患者が、経口食物負荷に対する中等度の反応も重度の反応も生じない(例えば600mgのアレルゲン(例えばピーナッツタンパク質)の用量を投与された後、本明細書に記載される方法において使用するためのLOU064に関する。中等度の反応は、以下のうちの1つ以上を含む食物アレルギー調査のコンソーシアム(CoFAR:Sampson HA et al.J.Allergy Clin.Immunol;130(6):1260-74)に従って定義される:
・皮膚-全身性じんましん(例えば、多くの若しくは広範囲のじんましん)、腫脹(例えば、著しい唇又は顔面浮腫)、持続的な引っ掻きを引き起こす掻痒、紅斑の数か所以上の領域又は顕著な紅斑
・呼吸器-嗄声を伴わない咽喉絞扼感、持続的な咳、呼吸困難を伴わない喘鳴
・GI-低下した活性を伴う持続的な中等度の腹痛/けいれん/吐き気、嘔吐
重度の反応は、以下のうちの1つ以上を含む食物アレルギー調査のコンソーシアム(CoFAR:Sampson HA et al.J.Allergy Clin.Immunol;130(6):1260-74)に従って定義される:
・皮膚-重度の全身性じんましん/血管性浮腫/紅斑
・呼吸器-喉頭浮腫、嗄声を伴う咽喉絞扼感、呼吸困難を伴う喘鳴(wheezing)、喘鳴(stridor)
・GI-重度の腹痛/けいれん/反復性嘔吐
・神経系-精神状態の変化
・循環系-臨床的に有意な血圧低下
安全性
最大で600mgの単回投与及びさらに最大で18日間にわたる100mg b.i.d.のLOU064の短期間の安全性が、第I相臨床試験において示された。しかしながら、長期の安全性に関連するデータは、現時点で入手可能でない。
共有結合不可逆的BTK阻害剤エボブルチニブ及びトレブルチニブで観察された用量制限副作用を考慮すると、エボブルチニブは、第II相臨床試験において75mg b.i.d.の用量で既に用量制限肝酵素上昇を示し、トレブルチニブは、用量制限下痢を示し(Becker A.et al.,2019,Clin Transl Sci;13,325-336;Montalban X.et al.,2019,N Engl J Med;380(25):2406-17,Smith P.F.et al.,2019,ACTRIMS Forum,Feb 28,2019,P072)、これらの有害事象の発生の有意な増加が、高用量でもLOU064で見られなかったことは有望なことである。本発明者らは、長期間(最大で52週間)にわたる100mg b.i.d.の高用量でも、LOU064が安全であることを実証した(実施例14)。特に、LOU064は、長期間(最大で52週間)にわたって100mg b.i.d.の用量でいずれの用量制限肝酵素上昇及び他のオフターゲット効果も誘発しない。したがって、LOU064は、長期の治療に適している。
したがって、本発明の一目的は、記載される方法において使用するためのLOU064であり、ここで、治療の12週まで、24週まで又は52週まで、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びリパーゼのレベルは、治療の開始時のベースラインレベルと比較して10%を超えて変化しない。
したがって、LOU064は、IgE誘導アレルギー反応(例えば食物アレルギー反応)を効率的に予防するだけでなく、特に、治療が長期間にわたって維持される場合、他のBTK阻害剤と比較して、特に、アカラブルチニブと比較して、より良好な安全性プロファイルも有することが特に意外であった。例えば、主に、血液悪性疾患の治療のために現在承認されているBTK阻害剤(イブルチニブ、アカラブルチニブ、及びザヌブルチニブ)は、既知の安全性の障害を有する。主要な安全性の障害としては、感染症、血小板機能に対する影響(出血のリスク)、及び血球減少が挙げられる。1つ以上の承認されたBTKisについての他の安全性への懸念としては、心不整脈(心房細動及び粗動)及び、イブルチニブのみについて、心不全及び高血圧症が挙げられる。
したがって、本発明の好ましい実施形態において、IgE誘導アレルギー反応(例えば食物アレルギー反応)を治療又は予防するのに使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩は、長期の治療に使用される。長期の治療という用語は、LOU064又はその薬学的に許容される塩が、長期間にわたって使用されることを示す。例えば、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、6か月、10か月、1年間、2年間、3年間、4年間、10年間超にわたって安全に使用され得る。LOU064又はその薬学的に許容される塩は、最大で2年間、5年間、10年間、15年間、20年間又は生涯にわたって使用され得る。
一実施形態において、LOU064は、IgE誘導アレルギー反応(例えば食物アレルギー反応)を効率的に予防するだけでなく、以下の特徴:
- 感染症のリスクの臨床的に関連する増加なし、
- 大量出血の臨床的に関連する増加なし、
- 肝酵素の臨床的に関連する上昇なし
のうちの1つ以上を含む安全性プロファイルを有し;このような長期の治療を可能にする。
LOU064経口薬物曝露が、CYP3A阻害剤、特に、強力なCYP3A阻害剤、例えば強力なCYP3A4阻害剤と共に投与される場合、数倍増加され得ることが予想される。同様に、CYP4Aの、例えばCYP3A4の強力な誘導剤は、曝露を著しく減少させ、LOU064の有効性の低下をもたらし得る。LOU064のこれらの特性は、IgE誘導アレルギー反応の治療及び/又は予防だけでなく、任意のBTK介在性の病態のための治療及び/又は予防にも関連する。強力なCYP3A阻害剤又はCYP3A誘導剤は、FDA 2020ガイドラインに従って定義される。したがって、強力なCYP3A阻害剤(例えばCYP3A4阻害剤)は、LOU064との共投与後、LOU064単独の投与と比較して、5倍超の曲線下面積(AUC)の増加又はクリアランスの80%超の減少をもたらす阻害剤である。強力なCYP3A誘導剤(例えば強力なCYP3A4誘導剤)は、LOU064との共投与後、LOU064単独の投与と比較して、AUCを80%以上だけ(例えば85%だけ、90%だけ、95%だけ)減少させる誘導剤である。
強力なCYP3A阻害剤及び/又は誘導剤、例えば強力なCYP3A4阻害剤及び/又は誘導剤との同時投与は、おそらくLOU064薬物曝露の大きな変化を引き起こし得、回避されるべきである。強力なCYP3A4阻害剤としては、ボセプレビル、クラリスロマイシン、コビシスタット、コニバプタン、ダノプレビル/リトナビル、ダルナビル/リトナビル、エルビテグラビル/リトナビル、イデラリシブ、インジナビル、インジナビル/リトナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、LCL161、ロピナビル/リトナビル、ミベフラジル、ネファゾドン、ネルフィナビル、ポサコナゾール、リトナビル、サキナビル、サキナビル/リトナビル、テラプレビル、テリスロマイシン、チプラナビル/リトナビル、トロレアンドマイシン、Viekira pack又は/及びボリコナゾールから選択される薬物が挙げられる。CYP3A4阻害剤は、グレープフルーツ果汁にも含まれ得る。
したがって、別の好ましい実施形態において、LOU064は、例えば、本明細書において上に定義されるように、CYP3A4の強力な阻害剤及び/又は誘導剤と同時に投与されない。
LOU064が、それらの曝露及び有効性に対する大きな影響なく、エチニルエストラジオール又はレボノルゲストレルなどの経口避妊薬と共投与され得ることがさらに分かっている。したがって、好ましい実施形態において、LOU064は、経口避妊薬と共投与される。
好ましい実施形態において、前投薬は、LOU064の第1の投与の前に投与されない。
共有結合不可逆的BTK阻害剤として、LOU064は、デノボタンパク質合成によって相殺されるBTKの不可逆的阻害によって作用する。したがって、何らかの理論によって制約されるのを望むものではないが、B細胞枯渇後のB細胞プールの再構成は、数か月かかり得るが、BTK阻害後のB細胞機能の回復は、中止の直後、特に、数日以内に達成され得ると考えられる。したがって、必要である場合、この治療法は、迅速に停止され得、それにより、予期せぬ状況が生じた場合に、臨床医及び患者に、より容易で及びより速い反応能力を与える。
別の実施形態において、患者が次の12か月以内に化学療法を受ける予定がある場合、LOU064は、有利に選択される。
特に、COVID-19パンデミックを考慮すると、B細胞枯渇患者は、感染症のより高いリスクを有する。さらに、完全に機能的な適応免疫応答がないことは、より重篤な経過につながる可能性が高い。
しかしながら、LOU064は、B細胞のプールの枯渇をもたらさないため、治療の停止は、完全なB細胞機能の迅速な回復につながる。これは、患者及び治療担当医師が、感染又はワクチン接種の要件、特に、生ワクチン及び弱毒化ワクチンによるワクチン接種に迅速に対応する可能性を与える。
本発明によれば、LOU064は、感染中、例えばCOVID-19感染中に投与され得る。したがって、LOU064投与は、感染中、例えばCOVID-19感染中に継続され得る。
好ましくは、LOU064投与は、感染が解消されるまで、活動性感染、例えばCOVID-19を有する患者において遅延される。
したがって、本発明の一実施形態は、COVID-19に急性感染したか又は以前に感染した患者が治療される、IgE誘導アレルギー反応(例えば食物アレルギー反応)の治療又は予防に使用するためのLOU064に関する。
さらなる実施形態において、LOU064治療は、COVID-19感染中に継続される。
好ましい実施形態において、LOU064治療は、COVID-19感染中に中断され、感染を克服した後、継続される。
本発明のさらに他の実施形態は、患者が、LOU064治療中にワクチン接種される、IgE誘導アレルギー反応(例えば食物アレルギー反応)の治療又は予防に使用するためのLOU064に関する。或いは、患者は、非生ワクチンにより、LOU064治療中にワクチン接種され得る。一実施形態において、患者は、LOU064治療中に(例えばLOU064治療を開始した15日後の時点で)4価インフルエンザワクチン、PPV-23ワクチン又はKLH新抗原ワクチンを接種される。この実施形態の一態様において、4価インフルエンザワクチンを投与される患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後の時点で、抗血球凝集素抗体力価の>4倍の増加によって定義されるような応答を達成する。この実施形態の別の態様において、PPV-23ワクチンを投与される患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後にIgG力価の>2倍の増加を達成する。さらに別の実施形態において、KLH新抗原ワクチンを投与される患者は、ワクチン接種の28日後に抗KLH IgG及びIgM力価によって測定した際にT細胞依存性抗体反応を達成する。
本発明の別の実施形態は、LOU064治療が、ワクチン接種のために中止され、特に、LOU064治療が、ワクチン接種の5~10日前、例えば7又は8日前、好ましくは、6週間前に中止され、ワクチン接種後、例えば、ワクチン接種の5~20日後、好ましくは、5~10日後、又は最も好ましくは、10~15日後に継続される、IgE誘導アレルギー反応(例えば食物アレルギー反応)の治療又は予防に使用するためのLOU064に関する。代替的な実施形態において、ワクチン接種は、生ワクチン及び/又は弱毒化ワクチンによるワクチン接種である。この実施形態の特定の態様において、患者は、LOU064治療を中止した後(例えばLOU064治療を中止した5~10日後又は7又は8日後)、4価インフルエンザワクチン、PPV-23ワクチン又はKLH新抗原ワクチンを接種される。この実施形態の一態様において、4価インフルエンザワクチンを投与される患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後の時点で抗血球凝集素抗体力価の>4倍の増加によって定義されるような応答を達成する。この実施形態の別の態様において、PPV-23ワクチンを投与される患者は、IgG力価ベースラインと比較してワクチン接種の28日後に>2倍の増加を達成する。さらに別の実施形態において、KLH新抗原ワクチンを投与される患者は、ワクチン接種の28日後に抗KLH IgG及びIgM力価によって測定した際にT細胞依存性抗体反応を達成する。その後、LOU064治療が、ワクチン接種の29日後に開始して継続される。
総則
本開示の1つ以上の実施形態の詳細が、上記の添付の説明に記載される。本明細書に記載されるものと同様又は同等の任意の方法及び材料が、本開示の実施又は試験において使用され得るが、好ましい方法及び材料がここで記載される。本開示の他の特徴、目的、及び利点が、本明細書及び特許請求の範囲から明らかであろう。本明細書及び添付の特許請求の範囲において、単数形は、文脈上特に明記されない限り、複数の指示対象を含む(例えば、反応は、いくつかの反応を含み得る)。特に定義されない限り、本明細書において使用される全ての専門用語及び科学用語が、本開示が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に引用される全ての特許及び刊行物は、参照により援用される。以下の実施例は、本開示の好ましい実施形態をより詳細に例示するために示される。
これらの実施例は、添付の特許請求の範囲によって規定される、開示される主題の範囲を限定するものと決して解釈されるべきではない。
実施例1:マウスにおける受身皮膚アナフィラキシー(PCA)
LOU064を、マウスPCAモデルにおいて試験した。モデルには、8~10週齢のBALB/cマウスを使用した。ハプテン特異的IgEによる受動感作のために、イソフルラン麻酔下のマウスに、右耳に生理食塩水中の20μlの抗DNP IgE及び左耳に20μlの生理食塩水の皮内注射を与えた。FcεR特異的PCAの場合、マウスに、低用量の3ngの抗DNP IgEを与えた。最大PCAの場合、マウスに、高用量の25ngの抗DNP IgEを与えた。
LOU064を、5ml/kg体重の体積で経口(p.o.)投与した。第1の用量を、負荷の前の夕方に、感作の4時間後に投与した。翌朝、ハプテン負荷の2時間前に、マウスに、LOU064の第2の経口投与を与えた。マウスを加熱されたチャンバーに入れることによって、第2の投与の2時間後に、マウスにハプテンを負荷した。次に、動物に、PBSで希釈された200μlの2%のエバンスブルー中の100μgのハプテンDNP-HSA(ジニトロフェニル-ヒト血清アルブミン)を静脈内(i.v.)注射した。次に、マウスを、ちょうど30分間にわたってケージに戻した。30分後、次に、動物に、イソフルランで麻酔をかけ、化合物曝露の分析のためのEDTA被覆採血管を用いて後眼窩で出血させた。次に、マウスを、頸椎脱臼によって殺処分した。6mmのパンチ生検を、左耳及び右耳の両方から採取し、100μlのホルマリン中に入れた。皮膚生検を、80℃で一晩インキュベートして、色素を抽出した。24時間後、80μlのホルマリン溶液を、透明平底96ウェルプレートに移し、光吸収を620nmで読み取った。分析を、右耳(IgE)から左耳(生理食塩水)を差し引くことによって行って、どのくらいの色素が生検の皮膚組織中に放出されたかを決定した。統計的有意性を、ANOVAによって決定した。脾臓を、BTK占有率分析のために取り出した。
血中濃度の分析:血液試料を、示されるように採取し、化合物測定を行った。血液試料に、アセトニトリル(4体積)と混合された構造的に類似した内部標準を添加し、約4000rpm(4℃)で遠心分離した。次に、上清を、マイクロタイタープレートに移した。各試料のアリコートを、親分子の濃度の決定のためにLC-MS/MSシステム中に注入した。
第2の化合物投与の2.5時間後の、マウス血液中に存在するLOU064の濃度が、表1中に低用量IgE感作について示される。
Figure 2024504267000002
脾臓におけるBTK占有率の分析(図2)
LOU064の投与後のBTK占有率のレベルを、総BTKタンパク質及び結合BTK(=遊離BTK)について別個のELISAにおいて決定した。BTKへの化合物の共有結合を、遊離BTK(すなわち、化合物によって共有結合的に占有されない)及び総BTKタンパク質について免疫測定法を用いて決定した。遊離BTK測定のために、試料を、ビオチン化共有結合BTKプローブ(Pulz R et al,ACS Med.Chem.Lett.2019,10,1467-1472)と共にインキュベートし、次に、試料を、ストレプトアビジンELISAプレートに加えて、プローブ結合BTKの結合を可能にした。BTKへのプローブの結合は、BTKへの化合物結合と互いに相容れない。プレート結合BTKを、抗BTK抗体(D3H5、Cell Signaling Technology)を用いて検出した。総BTK測定のために、ELISAプレートを、D3H5抗BTKで被覆して、総BTKを捕捉した。次に、異なるエピトープに指向された抗BTK抗体(no.53、BD Biosciences)を用いて、捕捉されたBTKを検出した。各試料についてのそれぞれの遊離BTKレベルを、同じ試料における総BTKレベルに対して正規化し、これらの比率を、ビヒクル対照試料のパーセンテージとして表した。
脾臓BTK占有率については、各脾臓を粉砕し、10分間氷上で、プロテアーゼ阻害剤混合液(Complete、Roche #11 836 170 001)及び5mMのEDTAを含有する0.4mlの冷Pierce IP溶解緩衝液(Thermo Scientific #87787)中で、GentleMACS(Miltenyi、#130-093-236)管中で溶解させた。脾臓溶解物を、遠心分離によって除去し、アリコートを、2時間にわたって室温で10μMの共有結合ビオチン化BTKプローブと共にインキュベートした。2つの別個のELISAアッセイを実行して、総BTKタンパク質及びBTK結合共有結合プローブの相対レベル(遊離非占有BTKに相当する)を決定した。
相対BTK占有率を、各試料についての総BTKに対する遊離BTK(結合BTKのシグナル)の比率:Ri=遊離BTK/総BTKとして計算した。次に、個々のRi値を、ビヒクル群に対して正規化し、パーセント占有率:(Riビヒクル群の平均-Ri)/(Riビヒクル群の平均)100%として表した。
図2は、LOU064の第2の経口投与の2.5時間後の脾臓における相対BTK占有率を示す。BTK占有率の高い及びほぼ最大レベルが、全ての用量レベルについて見られた。ビヒクル対照に対する占有レベルは、3mg/kgについて89.1%±1.7であり、10~100mg/kgの用量について98.4~99.7%であった。
結論:
上記の結果に基づいて、BTK阻害剤、LOU064は、皮膚の肥満細胞におけるFcεR応答を阻害するのに有効である(図1)。この試験は、アナフィラキシー反応のほぼ完全な阻害が、3mg/kg程度の用量で観察されたことを示した。第2の経口投与の2.5時間後のLOU064の血中濃度は、用量に比例した増加を示した。両方の実験における血液曝露は、同等であった。同じ時点で測定された脾臓BTK占有率は、より低い用量について比例性を有してほぼ完全な目標占有率を示した。結論として、LOU064は、2回の経口投与後に、マウスPCAモデルにおいて著しく皮膚アナフィラキシーを阻害することが実証された。
実施例2:マウス皮膚における逆受身アルサス(RPA)反応
LOU064の単回投与の効果を、急性マウス逆受身アルサス(RPA)モデルにおいて試験して、IgG免疫複合体によって引き起こされ、肥満細胞上のFcGRIIIによって媒介される皮膚アナフィラキシー反応に対するその効果を評価した。8~10週齢の雌C57Bl6マウス(Charles River,France)を使用した。マウスの背中を、皮膚注射の24時間前に剃毛した。これは、皮膚の何らかの潜在的な刺激を解消することを可能にした。アルサス反応が、用量反応試験における化合物の2時間後又は時間経過試験において示される時点で引き起こされた。アルサス反応を引き起こすために、PBS(C6534、Sigma)中30μgの濃度で50μlのPBS(対照部位)又はポリクローナルウサギ抗オボアルブミンIgGを、背面皮膚中で皮内(i.d.)注入した。皮内注射の直後に、生理食塩水(05450 Fluka)中の200μlのオボアルブミン(20mg/kg)の静脈内(i.v.)注入を行った。オボアルブミンの注入の3時間後、マウスを殺処分し、化合物濃度の監視のために出血させ、脾臓を、BTK占有率測定のために取り出した。注入された対照及び抗オボアルブミンIgG皮膚部位の厚さを、デジタルノギスを用いて測定し、次に、抗オボアルブミンIgG注入部位の厚さから生理食塩水対照部位を引いた厚さを、全ての治療群のマウスについて計算した。
3、10、30及び100mg/kgの単回の経口(p.o.)ナノ懸濁液強制投与として投与された、マウスにおける皮膚腫脹に対するLOU064治療の効果が、図3に示される。ビヒクル処置マウスと比較して、アルサス反応誘導の時間の2時間前に投与されたLOU064は、3時間の時点で皮膚腫脹反応の用量に関連する低下を実証した。アルサス反応の阻害は、30及び100mg/kgの2つの高用量でそれぞれ、73.0%±14.6及び61.2%±14.5で、統計的に有意であった。
血液中のLOU064レベルの分析
血液試料を、示されるように採取し、化合物測定を行った。血液試料に、アセトニトリル(4体積)と混合された構造的に類似した内部標準を添加し、約4000rpm(4℃)で遠心分離した。次に、上清を、マイクロタイタープレートに移した。各試料のアリコートを、親分子の濃度の決定のためにLC-MS/MSシステム中に注入した。LOU064投与の5時間後の、マウス血液中に存在するLOU064の濃度が、表2に示される。
Figure 2024504267000003
BTK占有率分析:
脾臓におけるBTK占有率について、実験を、PCA実施例に記載されるように行った。肺BTK占有率について、器官を生理食塩水でかん流させて、(溶解緩衝液体積が500μlであったことを除いて)脾臓の場合と同じように血液を除去した後、気管を含む完全な肺から溶解物を調製した。次に、肺溶解物を、別個のELISAにおいて遊離BTKについて分析した。これは、抗BTK(Cell Signaling Technologies、#8547、担体なし)を用いた捕捉工程からなっていた。次に、捕捉されたBTKタンパク質を、室温で1時間にわたって1μMの共有結合ビオチン化BTKプローブと共にインキュベートした。BTK結合ビオチン化プローブを、ストレプトアビジン-HRPコンジュゲート(Cell Signaling Technologies、#3999、1:1’000の希釈で使用される)及び化学発光基質(Supersignal ELISA Pico、Thermo Scientific、#37070)によって検出した。発光値を、総BTK ELISAについてBTK捕捉抗体の非存在下で及びBTK結合ELISAについてプローブの非存在下でそれぞれ測定された対照試料からのELISAバックグラウンド読み取りに対して補正した。相対BTK占有率を、各試料について総BTKに対する遊離BTKの比率(共有結合ビオチン化プローブ結合BTKのシグナル):R=遊離BTK/総BTKとして計算した。次に、個々のRi値を、ビヒクル群に対して正規化し、パーセント占有率:(Riビヒクル群の平均-Ri)/(Riビヒクル群の平均)100%として表した。
図4は、LOU064の経口投与の5時間後の脾臓における相対BTK占有率を示す。BTK占有率の用量依存的な増加が見られ、3mg/kgについて68.1%±10.0、10mg/kgについて82.1%±2.92、30mg/kgについて91.3%±3.62及び100mg/kgについて99.3%±0.7の平均BTK占有率を達成した。
その後の試験において、本発明者らは、皮膚におけるLOU064の薬理作用の持続時間を評価した。アルサス反応が、30mg/kgのLOU064の経口投与の2時間後の時点で、以前の試験と同じ時点で引き起こされた場合、皮膚腫脹の阻害は、65.7%(±14.6)で最大であった。この時点で、効果は、以前の試験と類似の範囲内であった。アルサス反応が、より後の時点で引き起こされた場合、皮膚におけるLOU064の薬理作用が、45時間の時点までにビヒクル群のレベルに戻ったことが明らかになった(図5)。
同じ動物から、脾臓及び肺におけるBTK占有率を、終了の時点(アルサス反応を引き起こした3時間後)で分析した。脾臓及び肺におけるBTK占有率は、皮膚腫脹に対する薬理作用と比較して、非常に類似した動態を辿った(図6)。
化合物曝露を、30mg/kgのLOU064の単回投与後の最初の時点で評価した(表3)。
Figure 2024504267000004
結論:
この実験は、IgG免疫複合体及び炎症性FcγRによって媒介される遅延型皮膚アナフィラキシーのモデルであるマウスRPAにおけるLOU064の効果を示した。RPA応答の誘導の2時間前の、3、10、30及び100mg/kgの単回用量のLOU064による経口治療は、免疫複合体負荷の3時間後に、用量依存的に皮膚腫脹を軽減した。皮膚腫脹阻害は、30及び100mg/kgの用量の両方で、統計的に有意であった。経口投与の5時間後のLOU064の血中濃度は、用量と共に増加し、いくらかの比例過剰(overproportionality)を示した。この限られた比例過剰が、Tmax又はAUCの変化を反映しているかどうかは不明である。投与の5時間後に測定された脾臓BTK占有率は、用量依存的な増加を示し、最大レベルに達した。3及び10mg/kgのより低い2つの用量で、脾臓占有率は、皮膚腫脹に対する効果を超えるようであった。これは、高度にかん流された脾臓と比較して、あまりかん流されない皮膚の単回投与後のわずかに遅い目標占有率動態を反映し得る。30mg/kgの単回投与後のLOU064の薬理作用は、アルサス反応が、経口投与の2時間後に引き起こされた場合に最大であった。アルサス反応が、より後の時点で引き起こされた場合、効果は減少し、投与の45時間後の時点でビヒクル群と同様のレベルに達した。最後の時点に向かう皮膚腫脹阻害のベースラインドリフトは、時間の経過に伴う、群にわたるアルサス負荷に対する増加した応答に起因し得る。ビヒクル群を、2及び5時間の化合物群と同時に、1日目に測定した。同じ時間経過にわたって、BTK占有率を、脾臓及び肺において監視した。両方の組織において、BTK占有率は、皮膚腫脹に対する薬理作用と比較して、非常に類似した動態を辿った。皮膚におけるBTK占有率を測定するのに十分に感度の高い方法がない場合、LOU064の単回経口投与後の皮膚BTK占有率が、脾臓占有率及び皮膚薬理学と同様の動態を辿ることが推測され得る。結論として、LOU064は、単回経口投与後のマウス逆受身アルサスモデルにおける皮膚腫脹を有意に及び用量依存的に阻害することが実証された。
実施例3:オボアルブミン誘導性アナフィラキシーマウスモデル
この実験を、ポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C)を注入されたOVA-感作マウスにおいてLOU064の抗炎症性効果(10mg及び30mg/Kgを調べるために行った。
Figure 2024504267000005
動物:
雄Balb/cマウス(20~30g、Charles Rivers UK Ltd)を、5つのケージで試験の開始前の7日間にわたって飼育し、12:12時間の明暗サイクルに供した。マウスに、標準的なマウス餌を供給し、水を自由に与えた。
アレルゲン曝露:
マウスを、0、7及び14日目に、オボアルブミン(15μg、皮下(s.c.))及び25μLのImject Alumで能動感作した。肺における局所炎症反応を引き起こすために、マウスを、21~24日目に、20分間にわたって超音波ネブライザー(Aerogen)により生成された、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)中1% w/vのオボアルブミンのエアロゾルに繰り返し曝露した。24日目のOVAへの最後の曝露の16時間後、ポリイノシン-ポリシチジル酸(ポリI:C、100μg/動物)又はビヒクル(PBS)を、ケタミン(100mg/Kg、腹腔内(i.p.))及びキシラジン(10mg/Kg、腹腔内(i.p.))による麻酔下で、FMJ-250高圧シリンジ、Penn-Century)と共にMicrosprayer(モデルIA-1Cを用いて気管内に送達した。
LOU064及びビヒクル処置:
マウスに、LOU064又はビヒクル(0.5%のTween80/0.5%のメチルセルロース(400cP)/99%の水)経口(p.o.)を1日2回(B.I.D)投与し、次に、ポリI:Cの1時間前に単回用量のビヒクル(67%のPEG200/33%のPBS)を与えた。
Figure 2024504267000006
気管支肺胞洗浄(BAL)及び細胞計数:
最後のOVA負荷の24時間後、血液試料を、静脈穿刺によって、予め冷却されたLi Hep管中に収集した。各試料を、穏やかに混合し、最大で15分間濡れた氷上に保持してから、遠心分離(1500g、4℃で10分間)にかけて、血漿を準備した。各試料を等分し、輸送まで-80℃で貯蔵した。血液採取の直後に、動物を、ペントバルビタールの過量投与により殺処分した。次に、気管を、首の正中切開及び筋層の分離によって分離した。気管を小さく切開し、プラスチックカニューレを挿入し、縫合糸で所定の位置に固定した。次に、0.5mLのリン酸緩衝生理食塩水を用いて肺をフラッシュすることによって気道を洗浄した。回復した体積が1.6mLになるまで、この手順を繰り返した。次に、分離されたBALFを、4℃で10分間にわたって1500rpmで遠心分離して、任意の今後のサイトカイン分析のために、-80℃で上清を等分した(400μL)。次に、細胞ペレットを、1.6mLのリン酸緩衝生理食塩水中で再度懸濁させ、BAL細胞を、総数及び差異数(differential number)について分析した。BAL流体試料の総及び差異細胞数を、XT-2000iV analyser(Sysmex)を用いて測定した。異なって分類される細胞型は、好酸球(図8)、好中球(図9)、又は単核細胞(マクロファージ(図10)及びリンパ球(図11)であった。
結論:LOU064(10mg/kg、30mg/Kg)による治療は、肺アナフィラキシーに関与する細胞(好酸球、好塩基球、マクロファージ及びリンパ球)の数を有意に減少させた。
実施例4:LAD2細胞におけるFcεR誘発性肥満細胞脱顆粒の阻害
論拠及び方法:ヒト肥満細胞症細胞株LAD2は、FcεRIを発現し、受容体の架橋時に、細胞は、脱顆粒し、β-トリプターゼ及びヘキソサミニダーゼのような炎症性メディエーターを放出する(Wernersson et al.2014,Immunology;14(7):478-94)。アッセイは、4-ヒドロキシ-3-ヨード-5-ニトロフェニル酢酸(NIP)ハプテン化ウシ血清アルブミン(BSA)及びNIP特異的キメラIgE抗体JW8を含む(Neuberger,M.S.et al.(1985),Nature 314(6008),pp 268-70.doi:10.1038/314268a0)。LAD2細胞を、JW8 IgE抗体で感作させ、次に、37℃で30分間にわたって連続化合物希釈物と共にインキュベートした。次に、脱顆粒を、ハプテン化NIP-BSAを加えて、FcεRを架橋させることによって引き起こした。1時間後、上清を収集し、β-トリプターゼレベルについて分析した。
結果:好塩基球活性化アッセイにおけるその強力な活性と一致して、LOU064は、7.0nM±2.6(n=3)のIC50で、LAD2細胞におけるIgE/FcεR誘発性肥満細胞脱顆粒の強力な阻害を示した。
実施例5:末梢血単核細胞(PBMC)誘導肥満細胞のFcεR誘発性脱顆粒の阻害
論拠及び方法:初代ヒト肥満細胞を、PBMCから分離されたCD34陽性前駆細胞から得た((Neuberger,M.S.et al.(1985),Nature 314(6008),pp 268-70.doi:10.1038/314268a0)。健康なボランティアからの血液が、インフォームドコンセントの下で提供され、Swiss Human Research Act及び責任ある倫理委員会による承認(Ethikkommission Nordwest-und Zentralschweiz)に従って、Novartis Tissue Donor Programによって収集された。簡潔に述べると、CD34陽性細胞を、正の選択によって末梢血から分離し、SCF、IL-6及びIL-3を含有する培地中で培養した。6週間の分化培養の後、肥満細胞を収集し、c-Kit(CD117)及びFcεRIの発現について表現型で特性評価した。脱顆粒は、NIPハプテン化BSA及びNIP特異的キメラIgE抗体JW8に基づいている(RD-2013-00412に記載される)。肥満細胞を、JW8 IgE抗体で感作させ、次に、37℃で30分間にわたって連続化合物希釈物と共にインキュベートした。次に、脱顆粒を、ハプテン化NIP-BSAを加えて、FcεRを架橋させることによって引き起こした。1時間後、上清を収集し、β-トリプターゼレベルについて分析した。
結果:他のFcεR阻害活性と同様に、LOU064は、5.7nM±2.4(n=7ドナー)のIC50で、初代ヒトPBMC由来肥満細胞のインビトロ脱顆粒を強力に及び完全に阻止した。
実施例6:皮膚由来ヒト肥満細胞の阻害。
論拠及び方法:皮膚組織を、初代ヒト組織肥満細胞の供給源として使用した。手術皮膚廃棄物試料が、インフォームドコンセントの下で提供され、Swiss Human Research Act及び責任ある倫理委員会による承認(Ethikkommission Nordwest und Zentralschweiz)に従って、University Hospital Baselによって収集された。皮膚組織を解離させ、無傷の肥満細胞を、Kulka and Metcalfeのプロトコル(Kulka et al.2010、Immunology;SUPPL.90:1-11における現行のプロトコル)に従って準備した。分離された肥満細胞を、表現型で特性評価し、上述されるように脱顆粒アッセイに使用した((Neuberger,M.S.et al.(1985),Nature 314(6008),pp 268-70.doi:10.1038/314268a0)。肥満細胞を、JW8 IgE抗体で感作させ、次に、37℃で30分間にわたって連続化合物希釈物と共にプレインキュベートした。次に、脱顆粒を、ハプテン化NIP-BSAを加えて、FcεRIを架橋させることによって引き起こした。30分後、上清を収集し、HTRFに基づく免疫測定法(Cisbio Bioassays)を用いてヒスタミンについて分析した。
結果:以前のタイプのFcεRI誘発性細胞シグナル伝達における活性と同様に、LOU064は、16.5nM±5.0(n=2ドナー)のIC50で、ヒト初代皮膚由来肥満細胞からのヒスタミン放出を強力に阻害した。
実施例4~6におけるいくつかの細胞型にわたって評価されたLOU064のインビトロ細胞内効力は、FcεR経路によって誘導されるアレルギー性疾患におけるその使用を裏付ける。
実施例7:LOU064の用量(論拠)
マウスPCAモデルにおいて、LOU064が、3mg/kg程度の用量で皮膚の肥満細胞におけるFcεR応答を阻害するのに有効であることが実証された(図1)。IgE誘導アレルギー反応(特に、食物アレルギー反応)の予防及び/又は治療における有効性を予測するためのより関連のあるバイオマーカーであり得る脾臓BTK占有率は、10及び100mg/kgでほぼ完全な占有率を示す。
マウスにおいて、脾臓及び肺におけるBTK占有率が、非常に類似した動態を辿ったことがさらに実証された(図6)。
LOU064が、主に高用量で(30mg/Kgで73%のアルサス反応の阻害で)、マウスRCAモデルにおける皮膚腫脹を軽減するのに有効であることも実証された。
重要なことに、オボアルブミン誘発性アナフィラキシーモデルにおけるマウスのLOU064治療が、10mg/kg及び30mg/kgの用量で肺アナフィラキシーに関与する細胞の数の有意な減少をもたらしたことも実証された。
全前臨床結果は、10mg/kg程度の、マウスにおけるLOU064のための有効な用量を裏付ける。30mg/kgも、マウスにおいて有効であることが示された。
ヒトの脾臓におけるさらなるBTK占有率は、用量選択をさらに補助するために、翻訳PK/PDモデルを用いて予測された。
LOU064についての翻訳PK/PDモデルを用いたBTK占有率の予測
血液におけるBTK占有率は、LOU064薬理学的特性(不可逆的結合)による用量選択のための有益なバイオマーカーでない。それは、他のバイオマーカー(CD63、CD203c、皮膚プリックテスト)によって薬理学的活性を示す前に、低用量でさえ完全占有率に達する。組織における占有率は、LOU064の予測される有効性をより代表し得る。
目的
この分析の目的は、健康なボランティアにおけるLOU064の薬物動態(PK)を特性評価し、以前に開発された、翻訳目標占有率モデルを用いて、ある範囲の用量及び投与計画(1日2回(B.I.D)対1日1回(QD))にわたるヒト脾臓/組織におけるBTK占有率をシミュレートすることであった。
データ
Kaul et al.(2021)によって報告された第I相臨床試験からの薬物動態データを、102人の患者を含め、本分析において使用した。
方法
脾臓/組織におけるBTK占有率をシミュレートするための翻訳目標占有率モデルを、2工程手法を用いて開発した。
第1の工程において、集団PKモデルが、Kaul et al.(2021)によって報告された第I相臨床試験からのLOU064 PKデータを説明するために確立された。第2の工程において、集団PKモデルからのパラメータ推定値を、BTK占有率モデルにおいて使用して、血液及び脾臓/組織におけるBTK占有率を予測した。最後に、BTK占有率モデルを用いて、異なる用量で、異なる投与計画(1日1回(QD)、1日2回(B.I.D))について脾臓/組織におけるBTK占有率を予測した。
結果
集団PKモデルが、Kaul et al.(2021)によって報告された第I相臨床試験からの中間PKを説明するために開発された。50mg未満の用量の反復投与後のクリアランスの変化に対処するために(高用量における差異を有さない1日目と比較した際の、12日目の定常状態におけるより低いクリアランス)、クリアランスを、50mg未満の用量について指数関数的時間減衰及び50mg超の用量について一定のクリアランスの関数としてモデル化した。概して、得られた集団モデルは、PKデータをある程度説明した。
PKパラメータ推定値を、翻訳BTK占有率モデルにおいて使用して、定常状態におけるBTK占有率をシミュレートした。BTK占有率シミュレーションは、1日2回(B.I.D)投与が、より高いBTK占有率を達成するために、同じ用量の1日1回(QD)投与より有効であることを示した(24時間区間にわたるトラフで又は平均して)。
1日1回(QD)及び1日2回(B.I.D)レジメンで選択された投与回数について、24時間の期間にわたるトラフ及び平均した定常状態BTK占有率が、1日1回10mg、35mg、100mg並びに1日2回10mg、25mg及び100mgの投与計画についてそれぞれ、図14A(定常状態におけるBTK占有率の24時間にわたるトラフ)及び図14B(定常状態におけるBTK占有率の24時間にわたる平均)に示される。両方の図は、最大で200mgの1日用量(100mgを1日2回(B.I.D))が、末梢標的組織においてトラフBTK占有率≧80%を達成するために必要とされ得ることを示す。
シミュレーションを、異なる投与計画を比較するために行った。経時的な100mgを1日2回(B.I.D)、対100mgを1日1回(QD)の定常状態におけるシミュレートされる脾臓BTK占有率の比較が、図13に示される。グラフは、基本原理から予想されるように、1日2回(B.I.D)投与からの占有率が、1日1回(QD)投与と比較して、より高く、より変化が少ないことを示す。
結論:
BTK占有率シミュレーションは、1日2回(B.I.D)投与が、より高いBTK占有率を達成するために、同じ用量の1日1回(QD)投与より有効であることを示した(24時間区間にわたるトラフで又は平均して)。
動物及びヒトの間の変換モデル(Journal of basic and clinical pharmacy,7(2),27-31)に基づいて、30mg/kgについての計算されるヒト等価用量(HED)は、70kgの人についての約170mgに相当し、10mg/kgの最小有効用量についての計算されたヒト等価用量(HED)は、70Kgの人についての約56mgに相当する(Nair,A.B.,& Jacob,S.(2016)。
最後に、ヒトにおける脾臓BTK占有率の予測モデルによれば、1日2回(b.i.d.)投与が、より高いBTK占有率を達成するために、同じ用量の1日1回(QD)投与より有効であることが示された(図13)。したがって、25mg b.i.dのLOU064の用量が、最小ヒト有効用量であり、100mg b.i.d.の用量も、ヒトにおいて有効であることが示される。
実施例8:臨床試験ピーナッツアレルギーフェーズ2
示されるピーナッツアレルギーを有する成人患者における3つの投与計画(LOU064 10mgを1日2回(B.I.D)、25mgを1日2回(B.I.D)及び100mgを1日2回(B.I.D))を評価する、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、4週間試験。
この「ピーナッツ試験」は、処置の4週間後に600mgのピーナッツタンパク質の二重盲検、プラセボ対照、経口食物負荷(DBPCFC)に対する客観的なアレルギー反応を示さない患者の割合で、プラセボと比較したLOU064(10mgを1日2回(B.I.D)、25mgを1日2回(B.I.D)、及び100mgを1日2回(B.I.D))の有効性を評価している。さらに、1週間のみのLOU064 25mgを1日2回(B.I.D)で処置される患者が、同様に、600mgのピーナッツタンパク質のDBPCFCに対する客観的なアレルギー反応を示さない患者の割合を評価して、プラセボと比較されるであろう。全ての治療アームの二次エンドポイントは、1000mg及び3000mgのピーナッツタンパク質に対する応答を含む。
実施例9:臨床試験ピーナッツアレルギーフェーズ3
示されるピーナッツアレルギーを有する約300人の成人及び思春期の青年(12~55歳)におけるLOU064を評価する、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、10~18週間試験。ピーナッツ試験は、1又は2週の時点で600mg、1000mg及び3000mgのピーナッツタンパク質のレベルの二重盲検、プラセボ対照、経口食物負荷(DBPCFC)に対する客観的なアレルギー反応を示さない参加者の割合で、プラセボと比較したLOU064の有効性を評価するであろう。
実施例10:臨床試験牛乳及び卵アレルギー
示される堅果、牛乳又はエビアレルギーを有する12~55歳の約450人の成人及び思春期参加者におけるLOU064を評価する、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照、10~18週間バスケット試験。
堅果、牛乳及びエビアレルゲンを評価するバスケット試験は、1又は2週の時点で1’000mg(非累積)及び3’000mg(非累積)の堅果/牛乳/エビタンパク質の複数のレベルのDBPCFCに対する客観的なアレルギー反応を示さない患者の割合で、プラセボと比較したLOU064の有効性を評価している。
実施例11:100mgのフィルムコート錠
以下に、好ましい医薬組成物(フィルムコート錠)が示される。
Figure 2024504267000007
実施例12:25mgのフィルムコート錠
以下に、好ましい医薬組成物(フィルムコート錠)が示される。
Figure 2024504267000008
実施例13:10mgのフィルムコート錠
以下に、好ましい医薬組成物(フィルムコート錠)が示される。
Figure 2024504267000009
実施例14:LOU064の安全性
LOU064の安全性が、MS以外の適応症、特に、慢性自発性じんましん(CSU)及びシェーグレン症候群(SjS)に罹患した患者で行われる第I相及び第II相薬物動態及び臨床薬理学健康被験体試験及び第II相/第III相臨床試験において試験された。
第I相臨床試験におけるLOU064の短期間の安全性
単回投与として、又は最大で18日間にわたる0.5mg~600mgの用量範囲をカバーする最大で18日間にわたる複数回投与として、及びさらに最大で12日間にわたる100及び200mgを1日2回(b.i.d.)でのLOU064の短期間の安全性が、第I相臨床試験において示された(Kaul,M.et al.(2021).Remibrutinib(LOU064):A selective potent oral BTK inhibitor with promising clinical safety and pharmacodynamics in a randomized phase I trial.Clinical and Translational Science.10.1111/cts.13005)。
CSU被験体における第2b相試験(延長期)における安全性の要約(中間結果)
第2b相試験に参加したCSUを有する適格な被験体におけるLOU064の長期の安全性及び忍容性を評価するための52週間の非盲検継続投与試験において、使用される用量は、100mgを1日2回(b.i.d.)であった。
安全性シグナルは、17.86週間の曝露中央値(範囲:2.9週間~44.7)でLOU064の少なくとも1回の投与を与えられた100人の被験体の中間分析に基づいて観察されなかった。カットオフの時点で、93人の被験体(93%)が、継続中であり、7人の被験体が、試験を中止しており;中止はいずれも有害事象によるものではなかった。表4は、中間分析のためのカットオフ日までに第2b相試験において観察された安全性の要約を示す。
Figure 2024504267000010
58人の被験体(58%)は、少なくとも1つの、治療中に発生したAEを生じた。AEの大部分は、重篤でなく、治療中止につながらず、重症度は軽度であった。最も高い頻度で罹患されるSOCは、感染症及び寄生虫症(14%)であり、続いて皮膚及び皮下組織障害(13%)であり、特定の有害事象に関する傾向はなかった。最もよく見られる有害事象基本語(≧2%)は、頭痛(6%)、下痢(4%)、目まい(3%)及び胃腸炎(3%)であり;出血事象(出血SMQ広域並びに血小板凝集異常、血小板凝集減少、血小板凝集阻害、血小板機能障害、血小板機能試験異常及び血小板毒性を含むPTの下での事象として定義される)又はSOC血液及びリンパ系障害の下での事象は報告されなかった。3つのSAE:卵巣嚢胞、胸部痛及び虫垂炎が報告され;いずれも、試験薬に関連していると見なされなかった。
第2b相試験及び対応する非盲検継続投与試験からの結論
統合すると、評価された全ての用量にわたって、第2b相試験における安全性に関する所見はなかった。さらに、LOU064 100mg 1日2回(b.i.d.)を非盲検で使用する対応するCSU継続投与試験において、安全性シグナルは、31-Aug-2020の時点で登録された100人の被験体において観察されなかった。提供される最も高い用量の100mg LOU064 1日2回(b.i.d.)は、忍容性良好であると見なされ、好ましい安全性プロファイルを有していた。
CSU被験体(中間結果/35.14週間の曝露中央値を有する患者)における第2b相試験(延長期)における安全性の要約
100mgを1日2回(b.i.d.)の用量で、第2b相試験に参加したCSUを有する適格な被験体におけるLOU064の長期の安全性及び忍容性を評価するための上記の52週間の非盲検継続投与試験において、新たな中間分析を、35.14週間の曝露中央値を有する患者(N=183)で行い、結果を、(1:1:1:1:1:1:1)レミブルチニブ10mg qd(1日1回)、35mg qd、100mg qd、10mg bid(1日2回)、25mg bid、若しくは100mg bid又はプラセボを最大で12週間(wks)(NCT03926611)を与えられた、CSUを有する成人患者におけるランダム化二重盲検、プラセボ対照Ph2bコア試験における安全性結果と比較した(表5)。
ES(中央値35.14週間、N=183)の長期の曝露において、レミブルチニブ治療(57.4%[n=105])に対して少なくとも1つの有害作用(AE)を有する患者の割合は、CSと同様であった(任意のレミブルチニブ用量によって示される)(58.1%[n=155];中央値12.14週間、N=267)。ESにおいて、4つの重篤な有害作用(SAE)、治療中止及び死亡につながる6つのAEがあった。ES及びCSにおいて報告された器官別大分類(SOC)によるAEの発生は、同様であった:感染症及び寄生虫症(23.0%及び24.0%)、続いて皮膚/皮下組織障害(17.5%及び16.9%)(表5)。基本語による報告されるAEの発生は、ES及びCSにおいて同等であり、頭痛(6.6%及び9.7%)が最も頻度が高かった。感染症(23%)、出血(4.4%)及び血球減少(0.5%)などのESにおけるAESIの発生は、CSと一致していた。新たに発生する顕著なアミノ基転移酵素の増加は、ES(個人的な理由で早期に中止した1人の患者において、4週間以内に正規化された、分離ALT>3×ULN)及びCS(治療に対して正規化された、1人の患者におけるALT>5×ULN)の両方において1つであった。検査パラメータの分析は、有意な安全性の懸念を示さず、バイタルサインの臨床的に有意な変化は観察されなかった。いずれかの患者において示される有意なECG所見又は>500msのQTはなかった。
結論
レミブルチニブは、全用量範囲にわたって好ましい安全性プロファイルを示し、CSUを有する患者における最大で52週間の100mg bidの用量へのより長い期間の曝露にわたって、新たな安全性シグナルは観察されなかった。
Figure 2024504267000011
実施例15:健康な被験体におけるレミブルチニブの同時及び断続的投与による3つの異なるタイプのワクチンに対する免疫応答の調節の評価
Figure 2024504267000012
試験デザイン
全体的な設計
このランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験は、並行群間比較設計を有する。最大で20%の推定中断率を考慮して最小で72人の評価可能な完了者を達成するために、約90人の、妊娠の可能性のない健康な女性及び男性参加者を、3つの治療群のいずれかにランダムに分ける。試験は、28日のスクリーニング期間、43日の治療期間、その後、最後の試験薬投与後の2週間以内に試験完了評価(57日目)からなるであろう。安全性フォローアップの電話を、最後の試験薬投与の約30日後(73日目)に行う。参加者は、-1日目から1及び14~17日目に定住している。全体で、各参加者の最大試験期間は、約85日間である。
インフルエンザのための同時及び断続的なレミブルチニブ治療シナリオ/Pneumovax(登録商標)23及びImmucothel(登録商標)の影響を、プラセボに対して評価する。
試験の実施
スクリーニング及びベースライン
スクリーニング時に適格基準を満たす参加者は、-1日目にベースライン評価を受けることになる。全てのベースライン安全性評価結果は、最初の投与前に入手可能でなければならない。ベースライン時に、参加者は、後述される3つの治療群のうちの1つにランダムに分けられる。
治療
全ての参加者は、1日目から42日目まで試験薬(レミブルチニブ100mg又はプラセボ1日2回(b.i.d.))を投与され、43日目に治療来院の終了のために診療所に戻る。全ての参加者は、15日目に4価インフルエンザワクチン、PPV-23ワクチン及びKLH新抗原ワクチンも投与される。ワクチン接種は、試験薬投与の3時間後に行われるべきである。
臨床来院中及び定住(-1日目から1及び14~17日目)中、参加者は、診療所で治験職員によって試験薬を投与される。治療期間中の臨床来院からの退院時は、服薬日誌と共に、自宅で自己投与するために試験薬が参加者に与えられる。
安全性評価は、身体検査、ECG、バイタルサイン、標準的な臨床検査評価(血液学、血液化学、尿検査)有害事象及び重篤な有害事象モニタリングを含む。
レミブルチニブ薬物動態を評価するために複数の血液試料が、8日目、15日目及び36日目に全ての参加者から得られた。
群A(同時のレミブルチニブ治療):
参加者は、15日目の3つのワクチンの投与前にPK/PD定常状態を達成するために、1~7日目にプラセボ(1日2回(b.i.d.))、続いて、試験8~15日目にレミブルチニブによる治療(100mgを1日2回(b.i.d.))を投与される。参加者は、42日目までレミブルチニブ(100mgを1日2回(b.i.d.))を投与され続ける。
群B(断続的なレミブルチニブ治療):
参加者は、PK/PD定常状態条件を達成するために、1~7日目にレミブルチニブ100mgを1日2回(b.i.d)で治療され、続いて、8~28日目にプラセボ(1日2回(b.i.d.))を投与され、15日目に3つのワクチンを投与されることになる。レミブルチニブ100mgを1日2回(b.i.d.)による治療は、29~42日目に再開される治療である。
群C(プラセボ):
群Cの参加者は、1~42日目にプラセボ(b.i.d)を投与され、プラセボ条件下で15日目に3つのワクチンを接種されることになる。
主要な適格基準
・署名入りのインフォームドコンセントが、試験への参加前に得られなければならない。
・健康な、又は軽度の肥満であるかそれ以外は健康な、18~55歳(端点を含む)の男性及び妊娠の可能性のない女性参加者。
・参加者は、示されるように、既往歴、スクリーニング及びベースライン来院時の身体検査、バイタルサイン、ECG、及び臨床検査によって決定した際に良好な健康状態であるべきである。
・スクリーニング及びベースライン時に、バイタルサイン(最高及び最低血圧及び脈拍数)が、座位で及び再度立位で(評価スケジュールによって必要とされる場合)評価される。座位バイタルサイン(3分間座った後)は、以下の範囲内であるべきである:
・35.0~37.5℃の鼓膜体温。
・90~139mmHg(端点を含む)の最高血圧(SBP)。
・50~89mmHg(端点を含む)の最低血圧(DBP)。
・45~90bpm(端点を含む)の脈拍数。
・参加者は、試験に参加するために体重が少なくとも50kgでなければならず、18~34.9kg/m2の範囲内の体格指数(BMI)を有さなければならない。
・参加者は、プロトコルによって必要とされる際に臨床現場に留まり、ICFにおいて概説される要件/指示に従う意思がなければならない。
・試験の要件を理解し、それに従うために、現地語を読み、話し、理解することができる。
主要な除外基準
1.5半減期以内又は最初の投与前の30日以内の、どちらか長い方の他の被験薬の使用。
2.臨床的に有意なECG異常の現在の証拠若しくは既往歴又はQT延長症候群若しくは心臓伝導における他の異常の家族歴(祖父母、両親、及び兄弟姉妹)、トルサード・ド・ポワント(TdP)(例えば心不全、低カリウム血症)のさらなるリスク要因の履歴及び/又は既知の病歴又は現在の臨床的に有意な不整脈。PR>220msec、QRS複合>120msec、男性及び女性についてQTcF>450msec、又は早期再分極、非特異的S-T又はT波変化以外の任意の他の形態学的変化として定義される異常なECG。
3.局所再発又は転移の証拠があるかどうかにかかわらず、過去5年以内の、治療された又は未治療の任意の器官系の悪性腫瘍(皮膚の限局性基底細胞癌又はインサイチュ子宮頸癌以外)の病歴又は存在。
4.最初の投与前の2週間以内に解消されていない、(限定はされないが)心臓血管、肺、代謝、肝臓、腎臓、血液、内分泌、神経系又は精神疾患を含む任意の器官別大分類の何らかの臨床的に有意な疾患の病歴又は存在。
5.レミブルチニブ若しくは同じ化合物クラスからの薬物又はその賦形剤に対する過敏性。
6.何らかの急性感染、発熱又はこの試験において投与されるワクチンの任意の関連成分(例えば、鶏卵又は甲殻類/KLH)に対する過敏性反応若しくは既知の過敏性を含む、Pneumovax 23、インフルエンザ又はKLHワクチンの使用についてのいずれかの禁忌。
7.2022~2023年の季節性インフルエンザワクチンのワクチン接種歴又は登録前に2022~2023年のインフルエンザの季節中のインフルエンザ感染の既知の臨床診断。
8.KLHによる過去の曝露又は免疫化の履歴。

Claims (41)

  1. 1つ以上のアレルゲンに対するIgE誘導アレルギー反応、例えば食物、薬物、又は毒アレルギー反応の治療又は予防、例えばアナフィラキシー反応の治療又は予防に使用するための、BTK阻害剤、例えば不可逆的BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  2. 1つ以上のアレルゲンが、食物アレルゲンを含むか又は食物アレルゲンである、請求項1に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  3. 食物アレルゲンが、ピーナッツ、堅果、牛乳、小麦、卵、大豆、ゴマ、魚介類、特に、ピーナッツから選択される、請求項2に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  4. LOU064が、毎日約20mg~約200mgの用量で投与される、請求項1、2又は3のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  5. LOU064が、1日2回約10mg~1日2回約100mgの用量で投与される、請求項4に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  6. LOU064が、1日2回約10mgの用量で投与される、請求項5に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  7. LOU064が、1日2回約25mgの用量で投与される、請求項5に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  8. LOU064が、1日2回約100mgの用量で投与される、請求項5に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  9. LOU064が、短期間、例えば6か月未満、好ましくは、3か月未満又は1か月未満にわたって投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  10. LOU064が、最大で18週間の間、例えば4、10、12、16又は18週間の間に投与される、請求項9に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  11. LOU064が、長期間、例えば6か月超、好ましくは、1年又は1年超にわたって投与される、請求項1~8のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  12. LOU064が、単独療法として投与される、請求項10又は11に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  13. LOU064が、CYP3Aの強力な阻害剤、例えばCYP3A4の強力な阻害剤と同時に投与されない、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  14. LOU064が、治療剤と共投与される、請求項1~11又は13のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  15. LOU064が、コルチコステロイド及び/又は免疫抑制薬(例えば吸入コルチコステロイド)、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト(LTRA)、短時間作用性βアゴニスト(SABA)又は長時間作用性βアゴニスト(LABA)と共投与される、請求項14に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  16. LOU064が、経口免疫療法(OIT)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)、好ましくは、OITと共投与される、請求項1~11又は13のいずれか一項に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  17. LOU064が、経口免疫療法(OIT)、)、舌下免疫療法(SLIT)、経皮免疫療法(EPIT)、好ましくは、OITの補助剤である、請求項16に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  18. 前記経口免疫療法が、ピーナッツタンパク質(例えばPalforzia(商標))である、請求項16又は17に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  19. LOU064が、経口免疫療法の投与の少なくとも2日(例えば少なくとも2~14日)前に開始して投与される、請求項16~18のいずれか一項に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  20. 前記BTK阻害剤、例えばLOU064が、前記免疫療法治療の漸増期中に投与される、請求項19に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  21. 前記方法が、IgE誘導アレルギー反応の予防である、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  22. 任意のアレルゲン(例えば食物アレルゲン)への偶発的曝露後のアナフィラキシーを予防するための、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のための、BTK阻害剤、例えばLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  23. LOU064が、治療の最小で2日後(例えば2~14日後、好ましくは、2~7日後)に最大の予防を達成する、請求項21又は22に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  24. 前記患者が、以下の基準:
    (e)男性及び女性患者、6歳以上(例えば6~11歳、12~17歳又は18~55歳);
    (f)ピーナッツ、堅果、小麦、卵、牛乳、大豆、魚介類を含むがこれらに限定されない食物に対するアレルギーの確認された病歴;
    (g)陽性アレルゲン特異的IgE(例えば、スクリーニング時にピーナッツsIgE≧6のkUA/L);及び
    (h)患者がアレルギーを有するアレルゲンに対して皮膚プリックテストが陽性(例えば、陰性対照と比較して、平均直径(最長直径及び中点直交直径)≧4mmとして定義される)
    のうちの1つ以上に従って選択される、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  25. 前記患者が、成人患者(18歳以上)又は思春期の青年(12~17歳)である、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  26. 前記患者が、2~11歳、例えば2~5歳又は6~11歳の小児である、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  27. 以下のうちの少なくとも1つに該当する:
    LOU064による治療の最大で4週間後(例えば1週間後、又は2週間後、又は3週間後又は4週間後)、
    d.治療された患者の少なくとも90%が、600mgのピーナッツタンパク質の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、
    e.治療された患者の少なくとも90%が、1000mgのピーナッツタンパク質の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、
    f.治療された患者の少なくとも80%が、3000mgのピーナッツタンパク質の食物負荷時にアレルギー反応を示さない、請求項1~26のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  28. 前記患者が、0.45~0.5の、合計ドメインスコアFAQLQのベースラインからの減少を達成する、請求項1~27のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  29. 前記患者が、合計ドメインスコアFAIMのベースラインからの減少を達成する、請求項1~28のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  30. 600mgのアレルゲン(例えば、ピーナッツアレルゲン)の二重盲検プラセボ対照食物負荷における、治療患者及び非治療患者の間の奏効率の実測差が、35%より優れており、ここで、前記奏効率が、600mgの経口食物負荷に対する軽度の応答以下であると定義される、請求項1~29のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  31. 治療の12週目まで又は24週目までに、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びリパーゼのレベルが、治療の開始時のベースラインレベルと比較して、10%を超えて変化しない、請求項1~30のいずれか一項に記載の使用のための、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  32. LOU064が、LOU064のナノサイズ粒子を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~31のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  33. LOU064が、PCSによって測定した際の約50nm~約750nmの平均粒度を有するLOU064のナノサイズ粒子を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~32のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  34. LOU064が、約2:1の重量比でLOU064及びバインダーを含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~33のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  35. LOU064が、約2:1:0.08の重量比でLOU064、バインダー及び界面活性剤を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~34のいずれか一項に記載の使用のためのそのLOU064。
  36. LOU064が、約1:1の重量比でLOU064及びバインダーを含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~33のいずれか一項に記載の使用のためのそのLOU064。
  37. LOU064が、約1:1:0.05の重量比でLOU064、バインダー及び界面活性剤を含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~34又は36のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  38. LOU064が、LOU064、バインダーとしてのポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー及び界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含む好適な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~37のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  39. LOU064が、約25℃の温度及び1.5405ÅのX線波長、λで測定されるとき、7.8±0.2°2θ、9.2±0.2°2θ、12.0±0.2°2θ、13.6±0.2°2θ、15.6±0.2°2θ、16.0±0.2°2θ、17.8±0.2°2θ、18.3±0.2°2θ、18.7±0.2°2θ、19.2±0.2°2θ、19.9±0.2°2θ、22.1±0.2°2θ、23.4±0.2°2θ、23.9±0.2°2θ、24.8±0.2°2θ、25.2±0.2°2θ、25.5±0.2°2θ、27.2±0.2°2θ、及び29.6±0.2°2θからなる群から選択される2θに関して1つ以上の代表的なピークを含むX線粉末回折パターンによって特徴付けられる無水遊離塩基の結晶形態である、請求項1~38のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  40. IgE誘導アレルギー反応の治療又は予防に使用するための薬剤の製造のためのLOU064又はその薬学的に許容される塩であって、好ましくは、LOU064が、1日2回約10mg~1日2回約100mgの用量で投与される、LOU064又はその薬学的に許容される塩。
  41. IgE誘導アレルギー反応の治療又は予防のためのLOU064又はその薬学的に許容される塩の使用であって、好ましくは、前記LOU064が、1日2回約10mg~1日2回約100mgの用量で投与される、使用。
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