JP2023542878A - 多発性硬化症を治療するためのlou064 - Google Patents

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Abstract

本発明は、多発性硬化症(MS)の有効な治療において使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩に関する。

Description

本発明は、多発性硬化症(MS)の有効な治療において使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩に関する。
多発性硬化症(MS)は、炎症、脱髄、及び軸索/神経細胞破壊を特徴とする中枢神経系の慢性の免疫介在性疾患であり、最終的には重度の身体障害に至る。この疾患には治癒はないが、通常疾患の進行を遅くする、様々な疾患修飾療法(DMT)が利用可能である。
MSに対するほとんどの疾患修飾療法は、従来、T細胞ベースの機構によって機能するとして概念化されてきたが、増大するデータ本体により、これらのDMTは、B細胞に対しても実証可能な効果を有することが示されている。共通する主題には、記憶細胞又は形質芽細胞ではなくナイーブB細胞の促進(アレムツズマブ);B細胞サイトカインの抗炎症性方向へのシフト(ベータインターフェロン、酢酸グラチラマー、フィンゴリモド);B-regの増加(ベータインターフェロン、酢酸グラチラマー、フィンゴリモド及びフマル酸ジメチル);抗原提示に必要とされるB細胞上のクラスII MHC発現及び共刺激分子の減少(ベータインターフェロン及びフマル酸ジメチル);リンパ系器官におけるB細胞の隔離(フィンゴリモド);VLA-4媒介性のB細胞のCNSへの輸送の遮断(ナタリズマブ);又はB細胞の直接細胞溶解(アレムツズマブ、テリフルノミド、ミトキサントロン)が含まれる。Greenfield et al.,Ann.Neurol.2018 January;83(1):13-26を参照されたい。
これらのDMTは通常、再発率及びMRI疾患活動性を著しく低下させ、したがって、身体障害の悪化までの時間を遅延させるが、一般に、(重度の)有害事象は、これらのDMTのそれぞれに関連し得る。例えば、ナタリズマブは、致死性の日和見感染(すなわち、進行性多巣性白質脳症又はPML)のリスクの増大をもたらし得るが、いくつかの経口DMTは、S1P関連の安全性リスク、例えば、治療の開始時の徐脈性不整脈、黄斑浮腫、高血圧症、及び肝トランスアミナーゼ上昇に関連し得る。
MS患者の別の治療選択肢は、オファツムマブ、オクレリズマブ、リツキシマブ、オビヌツズマブ及びウブリツキシマブなどの、CD20発現B細胞を標的とするモノクローナル抗体の投与によるB細胞の非特異的枯渇である。Torke,S.and Weber,M.S.(2020),Expert Opinion on Investigational Drugs,29:10,1143-1150を参照されたい。
しかしながら、長期的な試験では、B細胞枯渇剤の生涯用量が増大すると、免疫系の重要な機能が損なわれ得ることが強調されている。
それにもかかわらず、液性応答能の低下などの持続的な免疫抑制療法の長期的な影響を考慮すると、特に医師に治療レジメンの柔軟性を与える、MS駆動性の病原性B細胞を制御するための持続可能で柔軟なアプローチが必要とされる。
近年、この目標の達成に向けた新規の戦略として、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の治療的阻害が提唱されている。
BTKは、B細胞受容体(BCR)シグナル伝達に中心的に関与する酵素であり、正常なB細胞の成熟に必須である。BTKの主な役割はBCRシグナル伝達を媒介すると説明されているが、Fc受容体(FcR)及びToll様受容体(TLR)シグナル伝達などの他の経路、並びに活性酸素種(ROS)の産生に関与することがその後示されている。BTKは、キナーゼのTEC(肝細胞癌で発現されるチロシンキナーゼ)ファミリーに属する。キナーゼのTECファミリーのメンバーの発現は、主に造血系に限定される。
BTKは、正常なB細胞の発生及び成熟に必須である。BTKの非存在により、例えばX連鎖無ガンマグロブリン血症(XLA)患者では、末梢B細胞及び形質細胞のほぼ完全な欠如が示され、結果として、循環免疫グロブリンのレベルが非常に低くなる。対照的に、xidマウスでは、末梢B細胞の成熟は特異的に停止しているが、骨髄(BM)で生成されるプレB細胞の数は正常である。BTKは、IL-7に駆動される大きい循環プレB細胞の増殖を制御すると共に、小さい休止プレB細胞への進行を促進することにより、プレB細胞の進行に重要である。その後、BTKは、最初の免疫グロブリン鎖の発現と、B細胞の濾胞構造への侵入とを制御する。最後に、BTKは、BCR媒介性のB細胞の活性化と、記憶細胞又は形質細胞への最終的な最終分化とに関与する。
したがって、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、B細胞の成熟に関与する重要な酵素を遮断するBTK阻害剤は、MSのような疾患における病原性B細胞を阻害することになる。
現在までに、いくつかのBTK阻害剤が開発されており、いくつかの疾患の治療のために試験されている。したがって、イブルチニブ(Imbruvica)は、慢性リンパ性白血病(CLL)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症の治療のために承認されており、マントル細胞リンパ腫(MCL)、辺縁帯リンパ腫、及び慢性移植片対宿主病の二次治療である。またMCLの治療のために、アカラブルチニブ(Calquence)及びザヌブルチニブ(Brukinsa)が承認されている。アカラブルチニブ及びザヌブルチニブ、並びに新規の化合物ONO-4059(Tirabrutinib)、HM71224(Poseltinib)及びABBV-105(Upadacitinib)は現在、B細胞悪性腫瘍及び/又は自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、シェーグレン症候群(SjS)及び全身性エリテマトーデス(SLE)におけるその有効性について試験されている。
現在までに、BTK阻害剤のエボブルチニブ、トレブルチニブ及びフェネブルチニブがMS患者において第III相研究に入っており、オレラブルチニブは第II相研究で試験されており、BIIB091は、MSの治療における有効性について第I相研究で試験された。
エボブルチニブ及びトレブルチニブは共有結合性不可逆的BTK阻害剤に分類されるが、フェネブルチニブのBTKi結合機構は、非供給結合性で可逆的であると説明されている。
トレブルチニブは、その中期段階の治験においてMS病変の発生を減少させ、頭痛及び風邪のような症状が最も頻度の高い有害事象であった(Dolgin,E.BTK blockers make headway in multiple sclerosis.Nat.Biotechnol.39,3-5(2021))。
エボブルチニブは、動物モデルと、RA、SLEの臨床試験、並びにRRMSの第II相安全性及び有効性研究とにおいて試験されている。
MSの動物モデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)において、エボブルチニブは3mg/kgの用量で有効であったが、10mg/kgの用量では効果がさらに改善されず、3mg/kgでの完全なBTK阻害という考えが支持された(Torke,S.et al.,Inhibition of Bruton’s tyrosine kinase interferes with pathogenic B-cell development in inflammatory CNS demyelinating disease,Acta Neuropathol.140,535-548(2020))。
RRMS(再発寛解型多発性硬化症)及び活動性二次進行型MSの単独療法としてのエボブルチニブの第II相治験において、3つの用量のエボブルチニブ(1日1回25mg、1日1回75mg又は1日2回75mg)をプラセボ又はフマル酸ジメチル(DMF)に対して試験した。1日1回又は2回のより高い75mgの用量のエボブルチニブを受けた再発性MS患者は、プラセボ又はフマル酸ジメチルを受けた患者と比較して、より少ない脳病変を発生し、より少ない再発を経験する傾向を示した。しかしながら、上咽頭炎は別として、1日1回及び1日2回のより高い75mgの用量のエボブルチニブは、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)及びリパーゼのより高頻度の上昇に関連し、したがって安全性の問題が生じた(Montalban X.et al.,2019,N Engl J Med;380(25):2406-17)。
現在、再発性多発性硬化症(RMS)を有する参加者において、1日2回経口投与されるエボブルチニブを1日1回経口投与されるテリフルノミドと比べて、有効性及び安全性を評価する第III相試験が進行中である。
これらのBTK阻害剤の潜在的な有害事象と、完全には確立されていない有効性とを考慮すると、特にMSの長期的治療において有効且つ安全であり得る、改善されたBTK阻害剤が必要とされる。
本発明の根底にある問題は、特に長期的治療のために、MS患者に対する改善された治療戦略を提供することである。特に、本発明の目的は、有利なMS療法、好ましくは非常に有効なMS療法を提供することである。
別の目的は、B細胞枯渇療法と同程度に有効である、特にCD19及び/又はCD20枯渇療法と同程度に有効であるMS療法を提供することである。
別の目的は、免疫グロブリンの血清レベルに望ましくない影響を与えることなく、B細胞枯渇療法と同程度に有効であるMS療法を提供することである。
さらなる目的は、年間再発率の低下において有効である、特に年間再発率の低下においてB細胞枯渇療法と同程度に有効であるMS療法を提供することである。
またさらなる目的は、身体障害の悪化を遅延させることができるMS療法を提供することである。
別の目的は、他の承認された経口疾患修飾療法及びB細胞枯渇療法と比較して、特にCD19/CD20枯渇療法と比較して、特に、改善された安全性及び許容性プロファイルを示す、改善されたMS療法を提供することである。
問題は、予想外に、LOU064又はその薬学的に許容される塩の投与によって解決された。
LOU064(=N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド、INN:レミブルチニブ)は、ブルトン型チロシンキナーゼの選択的阻害のための薬物候補として、国際公開第2015/079417A1号パンフレットに開示されている。この化合物は、強力で高選択的な不可逆的共有結合性BTK阻害剤である。BTKの不活性立体構造への結合に起因して、LOU064は精巧なキナーゼ選択性を示し、したがってキナーゼのオフターゲット結合を低減すると共に、共有結合性阻害に起因して、化合物は、長期にわたる高い全身化合物曝露を必要とせずに強力で持続的な薬力学的効果を示す(Angst,D.et al.,Discovery of LOU064(Remibrutinib),a Potent and Highly Selective Covalent Inhibitor of Bruton’S Tyrosine Kinase,J Med Chem.2020 May 28;63(10):5102-5118)。
慢性特発性蕁麻疹(CSU)(国際公開第2020/234782A1号パンフレット)及びシェーグレン症候群(SjS)(国際公開第号パンフレット2020/234781A1号パンフレット)の治療における使用のためにこれまでに提唱されたLOU064は、現在、CSU及びSjSの第II相臨床研究において試験されている。
国際公開第2020/234782A1号パンフレットでは、CSUにおいて最大有効性に達するために、一般的に10mg、25mg及び100mgの用量のb.i.d.投与が提唱された。
抗ヒスタミン薬により十分に制御されない少なくとも中程度に活動性のCSUを有する患者において12週間にわたってLOU064の有効性及び安全性を評価する、第2b相の無作為化二重盲検プラセボ対照試験において、LOU064 10mg q.d.(1日1回)、35mg q.d.、100mg q.d.、10mg b.i.d.(1日2回)、25mg b.i.d.、100mg b.i.d.、又はプラセボ(1:1:1:1:1:1:1比)を患者に受けさせた。25mg b.i.d.レジメンは、他の用量と比較して特に有効であることが見出された。
したがって、その後のCSUの第III相臨床研究のために、25mg b.i.d.の用量が選択された。
血液及び/又は組織中のBTK占有率は、CSU及びSjS研究などの臨床研究のために用量を選択するのに適したバイオマーカーであると報告されている(国際公開第2020/234782号パンフレット及び国際公開第2020/234781号パンフレット)。
さらに、BTK占有率及びBTK占有期間は、雌ラットの血液及び種々の組織中で異なることが報告されている(国際公開第2020/234781号パンフレット)。
LOU064のBTK占有率を評価する前臨床研究では、既に3mg/kgのLOU064の単回経口投与により、雌ラットの血液及び脾臓中で完全BTK占有率が得られた。LOU064の単回経口投与の後に、ラットにおいてBTK占有期間を決定すると、BTK占有半減期は血液中で約87時間であったが、脾臓中ではわずか約5時間であった。いかなる理論にも拘束されることを望まないが、血液中のBTK占有率がより長く持続することは、脾臓、リンパ節及び肺などの組織と比較して、末梢血中のBTK発現細胞が休止しており、代謝的に比較的不活性であることを反映し得ると仮定されている。
異なる組織におけるBTK占有率は、異なる徴候における有効性及び最適投薬量の選択に関連する。しかしながら、多発性硬化症の徴候に関連する全ての組織、したがって、MSを治療するためにどの組織に侵入する必要があるかについての全体像は、現在のところ同意を得られていない。ラットで報告されたように、BTK占有率及びBTK占有半減期は、血液及び種々の組織中で異なる。
BTK占有半減期は、代謝回転速度(BTK細胞が再生する能力)に依存する。このような代謝回転速度は各組織において異なり、種に特異的である。BTK占有率はさらに化合物のPK/PD特性に依存し、これも種に依存する。
血液中のBTK占有率は、MSの徴候に対して完全には相関しない可能性があることが発見された。
脾臓、リンパ節及び肺などの他の組織中のBTK占有率は、血液中のBTK占有率よりも、MSの徴候における有効性に相関し得る。加えて、脳におけるBTK占有率は、MSの治療における有効性に関連する別の要因であり得る。
脳におけるBTK占有率は、いくつかの要因に依存する。いくつかの要因は、化合物に特異的である。例えば、1つの要因は化合物の血液脳関門透過性であり、P糖タンパク質トランスポーターに対するその親和性は、脳から外への排出ポンプの程度を制御する。
ナイーブマウスの脳、特に脳梁ではBTKを検出することができなかったので、別の要因は、脳におけるBTKの発現に関する不確実性である(図19)。
したがって、MSの治療のためのBTK阻害剤の効果的な用量を決定するために、高レベルの予測不能性が存在する。
LOU064のインビボの有効性を評価するために、マウス実験的自己免疫性脳炎(EAE)モデルにおいて化合物を試験した。3mg/kg b.i.d.のLOU064の用量では、投与の1時間後に脾臓及びリンパ節において完全BTK占有率が観察された(図4及び5)。しかしながら、この3mg/kg b.i.d.のLOU064の用量は、脾臓及びリンパ節における完全BTK占有率がこの用量で達成されたにもかかわらず、神経学的症状及びEAE誘発性体重減少のかなり弱い低減しかもたらさなかった(図1)。
したがって、化合物曝露分析のために調製された脳ホモジネートにおいても、BTK占有率を評価した(図6)。脾臓及びリンパ節で観察されたこととは対照的に、3mg/kg用量は、驚くべきことに、1時間の時点で脳ホモジネートにおいて最小限のBTK占有率しかもたらさなかった。しかしながら、さらに驚くべきことに、30mg/kg b.i.d.のLOU064を受けた用量群では、最大BTK占有率が示された。
脳内の完全BTK占有率がより高い用量(30mg/kg b.i.d.)を必要とすることを考慮すると、本発明によると、30mg/kg b.i.d.の用量のLOU064は、マウスにおける神経学的症状及びEAE誘発性体重減少を大幅に低減することが見出された。
さらに、LOU064のb.i.d.経口投与の1、5及び8時間後に決定された脾臓におけるBTK占有率(図4)も、30mg/kgの投与後により持続的な占有率を示す。
理論に拘束されることなく、脳内のBTK占有率は、MSの治療により関連し得ると結論された。ナイーブマウスの脳、特に脳梁ではBTKを検出することができなかったので、これは完全に予想外であった(図19)。
動物とヒトの間の変換モデル(Journal of basic and clinical pharmacy,7(2)、27-31)に基づいて、30mg/kg b.i.d.に対して計算されたヒト等価用量(HED)は、70kgの人の場合、約170mgに相当する(Nair,A.B.,&Jacob,S.(2016)。
最後に、ヒトにおけるBTK占有率の予測モデルによると、b.i.d.投与は、より高いBTK占有率を達成するために、同じ用量のQD投与よりも有効であることが示された(図21)。したがって、臨床研究のために100mg b.i.d.のLOU064の用量を選択した。
特に驚くべきことに、LOU064は、1日2回100mgの用量で経口投与されたときに既に、多発性硬化症の治療において優れた有効性及び安全性を示す。
したがって、本発明の主題は、多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩に関する。
一般に、本発明は、多発性硬化症の治療に関する。本発明の好ましい実施形態では、LOU064は、好ましくは成人において、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、特に活動性SPMS、及び臨床的に孤立した症候群(clinically isolated syndrome)(CIS)を含む再発型の多発性硬化症(RMS)の治療のために投与される。
特に、本発明は、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)の治療に関する。代替的に、本発明は、二次進行型MS(SPMS)、特に活動性SPMSの治療に関する。さらに代替的に、本発明は、臨床的に孤立した症候群(CIS)の治療に関する。
一実施形態では、LOU064は、1日2回約10mg~約500mgの用量、又は1日2回約25mg~約400mgの用量、又は1日2回約50mg~約300mgの用量、又は1日2回約50mg~約250mgの用量、又は1日2回約50mg~約150mgの用量で経口投与される。
好ましくは、LOU064は、1日2回約50mg~約150mgの用量、より好ましくは1日2回約100mgの用量で経口投与される。
別の実施形態では、LOU064は、1日2回約100mg~約300mgの用量、より好ましくは1日2回約250mgの用量で経口投与される。
適切な医薬製剤において、LOU064は、任意の薬学的に許容される形態で存在し得る。LOU064は、ナノサイズ又はマイクロサイズの粒子として医薬製剤中に含まれるのが好ましいことがある。
LOU064がナノサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、平均粒径は1000nm未満であり得る。好ましくは、LOU064の平均粒径は、500nm未満、より好ましくは250nm未満であり得る。
好ましい実施形態では、LOU064の平均粒径は、約50nm~約1000nmの間、又は約50nm~約750nmの間、又は約60nm~約500nmの間、又は約70nm~約350nmの間、又は約100nm~約170nmの間であり得る。より好ましくは、LOU064の平均粒径は、約100nm~約350nmの間、又は約110nm~約200nmの間、又は約120nm~約180nmの間又は約120nm~約160nmの間でよく、好ましくは、LOU064の平均粒径は、約150nm~約200nmであり得る。
LOU064がナノサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、経口投与は、好ましくは、1日2回約50mg~約150mgの用量、より好ましくは1日2回約100mgの用量である。
LOU064がマイクロサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、平均粒径は1~5μm、又は好ましくは1.0~1.5μmであり得る。好ましくは、LOU064の平均粒径は、1.1~1.3μmであり得る。
LOU064がマイクロサイズ粒子の形態で医薬製剤中に存在する場合、経口投与は、好ましくは、1日2回約100mg~約300mgの用量、例えば1日2回約100mgの用量である。
好ましい実施形態では、多分散指数(PI)は0.01~0.5の間、より好ましくは0.1~0.2の間、特に0.12~0.14である。好ましい粒径分布は、図20に示される。
上記の平均粒径は、重み付けされた強度である。平均粒径は、動的光散乱を用いて決定することができる。好ましくは、平均粒径は、光子相関分光法(PCS)によって決定される。特に、平均粒径を決定するために、Malvern Panalytical Ltd.,UKからの装置「Zetasizer Nano ZS」、バージョン7.13を使用することができる。
好ましくは、測定は、精製水中の0.1mMのNaCl溶液(1:10)を使用する湿式分散法として実行され、減衰指数は2~9、特に5である。測定は好ましくは25℃で実行される。測定系のさらに好ましい設定は以下の通りである:
セル:ディスポーザブルサイジングキュベット
カウントレート(kcPs):315
持続時間:60秒
測定位置(mm):4.65。
本発明の一実施形態では、LOU064組成物は、ヒトへの経口投与に適した医薬組成物として、日常的な手順に従って製剤化される。通常、経口投与のための組成物は、カプセル又は錠剤である。
一実施形態では、LOU064の製剤は、参照によって本明細書中に援用される米国特許出願第63/141558号明細書又はそのファミリーメンバーに開示される処方に従って製剤化することができる。
本発明によると、経口投与に適した医薬組成物は、LOU064及び結合剤を含む。
適切な結合剤には、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒプロメロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、シェラック、ポリビニルアルコール-ポリエチレングリコールコポリマー、ポリエチレン-プロピレングリコールコポリマー、又はこれらの混合物が含まれる。好ましくは、結合剤は、ポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマーである。
LOU064及び結合剤の重量比は、約3:1~約1:3;例えば、約3:1、約2:1、約1:1であることができ、好ましくは、LOU064及び結合剤の重量比は、約2:1又は約1:1である。
好ましくは、経口投与に適した医薬組成物は、LOU064、結合剤及び界面活性剤を含む。
適切な界面活性剤には、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリソルベート、ペルフルオロブタンスルホネート、スルホコハク酸ジオクチル、又はこれらの混合物が含まれる。好ましくは、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウムである。
LOU064、結合剤及び界面活性剤の重量比は、約2:1:0.5、又は約2:1:0.1、又は約2:1:0.08、又は約2:1:0.05、又は約2:1:0.04、又は約2:1:0.03、又は約2:1:0.02である。好ましくは、LOU064、結合剤及び界面活性剤の重量比は、約2:1:0.08又は約1:1:0.05である。
特に好ましい実施形態では、経口投与に適した医薬組成物は、LOU064、結合剤及び界面活性剤を含み、ここで、結合剤はポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー(コポビドン)であり、界面活性剤はラウリル硫酸ナトリウム(SLS)であり、LOU064、コポビドン及びSLSの重量比は約2:1:0.08である。LOU064は、好ましくはPCSで測定したときに約100nm~約200nmの間の平均粒径を有するナノサイズ粒子の形態でこの医薬組成物中に存在することがさらに特に好ましい。
LOU064の投与を逃したら、好ましくは、次の投与予定日まで待たずにできるだけ早く投与すべきである。その後の投与は、推奨される間隔で行われるべきである。
第I相臨床研究において、600mgまでの単回用量、及びさらに100mg b.i.d.での最大18日間のLOU064の短期安全性が示された。しかしながら、長期安全性に関するデータは得られなかった。
共有結合性不可逆的BTK阻害剤であるエボブルチニブ及びトレブルチニブで観察された用量制限副作用(エボブルチニブは、第II相臨床研究において75mg b.i.d.の用量で既に用量制限の肝酵素の上昇を示し、トレブルチニブは、用量制限の下痢を示す)(Becker A.et al.,2019,Clin Transl Sci;13,325-336;Montalban X.et al.,2019,N Engl J Med;380(25):2406-17,Smith P.F.et al.,2019,ACTRIMS Forum、Feb 28,2019,P072)を考慮すると、長期間にわたるさらに高用量の100mg b.i.d.のLOU064がこのような有害作用を誘発しないことは非常に驚くべきことであり、LOU064は、特に長期的治療に適することになる。特に、LOU064は、長期間にわたって、100mg b.i.d.の用量で用量制限の肝酵素の上昇及び他のオフターゲット効果を誘発しない。
特に、驚くべきことに、LOU064は、他のDMT、特に他のBTK阻害剤よりも長い間、望ましくない副作用を防止するだけでなく、他のDMT、特に他のBTK阻害剤よりも長い間活性を保存する、すなわち有効性を維持することが見出された。
さらに驚くべきことに、LOU064は、他のDMT、特に他のBTK阻害剤よりも長い間、症状の悪化を遅延させていることが見出された。
したがって、本発明の好ましい実施形態では、MSの治療に使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩は、長期的治療で使用される。長期的治療という用語は、LOU064又はその薬学的に許容される塩が長期間にわたって使用されることを示す。例えば、LOU064又はその薬学的に許容される塩は、2年、3年、4年、5年、10年を超えて使用することができる。LOU064又はその薬学的に許容される塩は、5年、10年、15年、20年まで、又は生涯にわたって使用され得る。
多発性硬化症の治療は数十年に及ぶ可能性があるので、有害作用、治療の失敗、ブレイクスルー疾患、疾患の進行、併存疾患、ライフサイクルイベント(妊娠及び授乳など)、及び/又は患者の好みの変化などの状況変化に対応するために、治療計画を変更する必要性が生じることが多い。
薬物の切替え、又は免疫調節剤の完全な中止により、患者は再発又は疾患進行を受けやすい状態になり得る。場合によっては、治療離脱の後に臨床的及びMRIで重度のMS疾患活動性が認められる。この疾患活動性が治療の開始前に観察されたパターンと不釣り合いである場合、患者はリバウンドを経験したとされる。
本発明によると、LOU064は、再発を防止するために強力で効果的な治療戦略を提供する。LOU064はさらに、他のDMTによるブレイクスルー疾患に対する強力で効果的な治療戦略を提供する。さらに、LOU064は、別のDMTの休止後のリバウンドを防止するために強力で効果的な治療戦略を提供する。
したがって、一実施形態では、LOU064は、LOU064以外の疾患修飾療法で治療されていた患者において使用される。言い換えると、LOU064以外の以前の疾患修飾療法で治療されていた患者は、以前の疾患修飾治療からLOU064に切り替えられる
一実施形態では、LOU064以外の以前の疾患修飾療法の薬物は、B細胞及び/又はT細胞阻害剤、テリフルノミド、ミトキサントロン、フマル酸ジメチル、クラドリビン、フィンゴリモド、シポニモド、ポネシモド、酢酸グラチラマー及びベータインターフェロンから選択される。
好ましい実施形態では、LOU064は、重度の輸注関連反応又は反復感染などの副作用のために以前のDMT、例えば抗CD20療法を中止した患者に投与される。
好ましい実施形態では、患者は、以前の疾患修飾療法が有効性を欠いている場合に、以前の疾患修飾療法からLOU064に切り替えられる。有効性の欠如は、例えば、疾患修飾療法(DMT)を受けている患者が、再発又は病変などの疾患活動性の兆候を示す場合に存在する。有効性の欠如は、疾患の進行を停止させない、又は適切に減速させないことであると定義することができる。言い換えると、本発明は、以前のDMTに対する非応答者を治療するためのLOU064の使用に関する。
別の好ましい実施形態では、患者は、以前の疾患修飾療法に対して患者が許容性を欠いている場合に、以前の疾患修飾療法からLOU064に切り替えられる。好ましくは、許容性の欠如は、頭痛、眩暈、悪心、感染症(帯状疱疹など)、黄斑浮腫、輸注関連反応又は反復感染などの有害事象の存在に関連する。本発明の好ましい実施形態では、LOU064以外の以前の疾患修飾療法は、LOU064投与の開始前に中止される。
一般に、LOU064及び別の疾患修飾療法は同時に追求されてもよいが、LOU064治療は単独療法であることが好ましく、すなわちLOU064は、好ましくは、投与される唯一の疾患修飾薬物である。
したがって、一実施形態では、LOU064は、多発性硬化症の治療で使用するためのものであり、この治療は単独療法である。
LOU064は感受性CYP3A基質であることが予想され、強力なCYP3A4阻害薬と共に投与すると、その経口薬物曝露が数倍に増大され得ることを除外することができない。同様に、CYP3A4の強力な誘発剤により曝露が著しく低減され、有効性の低下につながり得る。LOU064のこれらの特性は、MSだけでなく、BTKに誘発されるあらゆる状態にも関連する。
強力なCYP3A4阻害剤及び/又は誘発剤との併用投与は、恐らくLOU064の薬物曝露に大幅な変化を引き起こす可能性があり、回避されるべきである。CYP3A4阻害剤には、ボセプレビル、クラリスロマイシン、コビシスタット、コニバプタン、ダノプレビル/リトナビル、ダルナビル/リトナビル、エルビテグラビル/リトナビル、グレープフルーツジュース、イデラリシブ、インジナビル、インジナビル/リトナビル、イトラコナゾール、ケトコナゾール、LCL161、ロピナビル/リトナビル、ミベフラジル、ネファゾドン、ネルフィナビル、ポサコナゾール、リトナビル、サキナビル、サキナビル/リトナビル、テラプレビル、テリスロマイシン、チプラナビル/リトナビル、トロレアンドマイシン、Viekiraパック、又は/及びボリコナゾールなどの強力なCYP3A4阻害剤が含まれる。
したがって、別の好ましい実施形態では、LOU064は、CYP3A4の強力な阻害剤及び/又は誘発剤と併用して投与されない。
さらに、LOU064は、その曝露及び有効性に大きな影響を与えることなく、エチニルエストラジオール又はレボノルゲストレルなどの経口避妊薬との同時投与が可能であることが見出された。したがって、好ましい実施形態では、LOU064は、経口避妊薬と同時投与される。
好ましい実施形態では、LOU064の初回投与の前に、前投薬は行われない。
共有結合性不可逆的BTK阻害剤として、LOU064は、新規のタンパク質合成によって相殺されるBTKの不可逆的な阻害によって作用する。したがって、いかなる理論にも拘束されることを望まないが、B細胞枯渇後のB細胞プールの再構成には数カ月かかる可能性あるが、BTK阻害後のB細胞機能の回復は、中止後間もなく、特に数日以内に達成することができると考えられる。したがって必要であれば、この療法を速やかに停止することができ、予期せぬ状況が生じたときに、臨床医及び患者はより容易且つより迅速に反応できることになる。
したがって、一実施形態では、患者が今後12カ月以内に妊娠することを計画している場合に、LOU064が有利に選択される。
別の実施形態では、患者が今後12カ月以内に化学療法を受けるつもりである場合に、LOU064が有利に選択される。
特に、2020年のCOVID-19パンデミックを考慮すると、B細胞が枯渇している患者はより高い感染リスクがある。さらに、完全に機能的な適応免疫応答が存在しないと、より重篤な経過につながる可能性がある。
しかしながら、LOU064はB細胞のプールの枯渇をもたらさないので、治療の休止により、完全なB細胞機能が迅速に回復する。これにより、患者及び治療する医師は、感染症又はワクチン接種、特に、生ワクチン及び弱毒ワクチンによるワクチン接種の要件に迅速に対応することが可能になる。
本発明によると、LOU064は、感染中、例えばCOVID-19感染中に投与することができる。したがって、LOU064投与は、感染中、例えばCOVID-19感染中に継続することができる。
代替的に、LOU064投与は、活動性感染を有する患者、例えばCOVID-19患者において感染が回復されるまで遅延される。
したがって、本発明の一実施形態は、多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064に関し、ここで、COVID-19に急性感染したか又は以前に感染した患者が治療される。
好ましい実施形態では、LOU064の治療は、COVID-19感染中に継続される。
さらなる実施形態では、LOU064の治療はCOVID-19感染中に中断され、感染を克服した後に継続される。
本発明のまたさらなる実施形態は、BTK媒介性の状態、特に多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064に関し、ここで、患者は、LOU064療法の間にワクチン接種される。代替的に、患者は、LOU064療法の間に、非生ワクチンによりワクチン接種され得る。
一実施形態では、患者は、LOU064療法の間に(例えば、LOU064療法の開始後15日目に)、4価インフルエンザワクチン、PPV-23ワクチン又はKLHネオアンチゲンワクチンによりワクチン接種される。この実施形態の一態様では、4価インフルエンザワクチンを受けている患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後に抗ヘマグルチニン(anti-hemmaglutinin)抗体価の4倍超の増大によって定義される応答を達成する。この実施形態の別の態様では、PPV-23ワクチンを受けている患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後にIgG力価の2倍超の増大を達成する。さらに別の実施形態では、KLHネオアンチゲンワクチンを受けている患者は、ワクチン接種の28日後に抗KLH IgG及びIgM力価によって測定されるT細胞依存性抗体応答を達成する。
本発明の別の実施形態は、BTK媒介性の状態、特に多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064に関し、ここで、LOU064治療はワクチン接種のために中止され、特に、LOU064治療は、ワクチン接種の5~10日(例えば、7又は8日)前、好ましくは6週間前に中止され、ワクチン接種後、例えば、ワクチン接種の5~20日後、好ましくは5~10日後、又は最も好ましくは10~15日日後に継続される。この実施形態の特定の態様では、患者は、LOU064治療の中止後(例えば、LOU064治療の中止から5~10日後又は7若しくは8日後)に、4価インフルエンザワクチン、PPV-23ワクチン又はKLHネオアンチゲンワクチンによりワクチン接種される。この実施形態の一態様では、4価インフルエンザワクチンを受けている患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後に抗ヘマグルチニン抗体価の4倍超の増大によって定義される応答を達成する。この実施形態の別の態様では、PPV-23ワクチンを受けている患者は、ベースラインと比較してワクチン接種の28日後にIgG力価の2倍超の増大を達成する。さらに別の実施形態では、KLHネオアンチゲンワクチンを受けている患者は、ワクチン接種の28日後に抗KLH IgG及びIgM力価によって測定されるT細胞依存性抗体応答を達成する。その後、ワクチン接種後29日目からLOU064治療が継続される。
代替の実施形態では、ワクチン接種は、生ワクチン及び/又は弱毒ワクチンによるワクチン接種である。好ましい実施形態では、LOU064は、体重、性別、年齢、人種又はベースラインB細胞数に関係なく投与することができる。例えば、体重60kgの35歳の女性は、体重90kgの50歳の男性と同じ用量を受けることが好ましい。特に、体重、性別、年齢、人種又はベースラインB細胞数は、LOU064の薬物動態に臨床的に意味のある影響を与えない。
本発明によると、LOU064治療は、あらゆる人種又は民族において同様に有効である。
したがって、本発明はさらに、多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064に関し、ここで、治療は民族の影響を受けない治療である。
本発明の一実施形態では、MSの治療のためにLOU064又はその薬学的に許容される塩を受けている患者は、以下の基準に従って選択される:
- 患者は、LOU064の初回投与前に、0~5.5のEDSSスコアを有する、
- 患者は、LOU064の初回投与前に、過去1年間に少なくとも1回の再発、又は過去2年間に2回の再発を経験している、及び
- 患者は、LOU064の初回投与前に、過去1年間/6カ月間に陽性Gd増強MRIスキャンを有していた。
本発明の好ましい実施形態では、LOU064は、再発後に投与される。
本発明の別の好ましい実施形態では、LOU064は、LOU064の初回投与前に、過去12カ月で少なくとも1つのGd+病変が検出された後に投与される。
本発明のさらに別の好ましい実施形態では、LOU064は、新しいT2病変又は拡大しているT2病変の検出後に投与される。
本発明の別の実施形態では、LOU064は、リスク/ベネフィット比があまり良くないためにS1Pモジュレーター治療を選択し得ない患者において、多発性硬化症の治療で使用するために選択される。このような患者は、例えば、心臓又は心拍リズム、呼吸機能、眼、肝機能に影響を与える1つ又は複数の疾患又は障害を患いやすいか、又は患っている患者である。特に、このような患者には、心拍数及び心伝導の一時的な低下などの有害事象をより受けやすい可能性のある患者が含まれる。
本発明において、予想外に、LOU064の投与は、以下のうちの少なくとも1つを有利にもたらすことが見出された:
- 未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、ガドリニウム増強病変の平均総数の減少、
- 未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロン(inteferon)から選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、年換算再発率の低下、
- インターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、3カ月持続する障害進行(3-month confirmed disability progression)に到達するまでの時間の長期化。
これに関して、本発明のさらなる主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー、フマル酸ジメチル、好ましくはインターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくはテリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、ガドリニウム増強病変の平均総数を減少させる。
さらに本発明のさらなる主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、年換算再発率の低下をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、インターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、3カ月持続する障害進行に到達するまでの時間の長期化をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、1つ又は複数の患者報告アウトカム(patient-reported outcom)(PRO)(すなわち、MSIS-29、PHQ-9、GAD-7、FSIQ-RMS及びBPI-SF)におけるスコアの減少によって測定されるMS症状の改善をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、1つ又は複数の患者報告アウトカム(PRO)(すなわち、MSIS-29、PHQ-9、GAD-7、FSIQ-RMS及びBPI-SF)におけるスコアの減少によって測定されるMS症状の改善をもたらす。この実施形態の一態様では、MS症状の改善は、LOU064(100mg bid)による治療の後、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、MSIS-29スコアの少なくとも6点(好ましくは、少なくとも8点)の減少によって達成される。この実施形態の別の態様では、MS症状の改善は、LOU064(100mg bid)による治療の後、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、PHQ9スコアの少なくとも2点(好ましくは少なくとも3点、より好ましくは少なくとも5点)の減少によって達成される。この実施形態のさらに別の態様では、MS症状の改善は、LOU064(100mg bid)による治療の後、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、GAD-7スコアの少なくとも2点(好ましくは、少なくとも3点)の減少によって達成される。この実施形態のさらに別の態様では、MS症状の改善は、LOU064(100mg bid)による治療の後、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、BPI-SFスコアの少なくとも1点(好ましくは、少なくとも2点)の減少によって達成される。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、HUI-III患者報告アウトカム(PRO)のスコアの増大によって測定されるMS症状の改善をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、HUI-III患者報告アウトカム(PRO)のスコアの増大によって測定されるMS症状の改善をもたらす。この実施形態の一態様では、MS症状の改善は、LOU064(100mg bid)による治療の後、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、HUIスコアの少なくとも0.02点(好ましくは、少なくとも0.03点)の増大によって達成される。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、SDMTスコアの減少によって測定されるMS症状の改善をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、SDMTの減少によって測定されるMS症状の改善をもたらす。この実施形態の一態様では、MS症状の改善は、LOU064(100mg bid)による治療の後、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、SDMTスコアの少なくとも3点(好ましくは、少なくとも5点)の減少によって達成される。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、T25FWによって測定される歩行速度の増大をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、T25FWによって測定される歩行速度の増大をもたらす。ベースラインのT25FW結果は、LOU064の初回投与より前の最後の評価と定義される。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、患者が9HPT試験を実施する速度の増大をもたらす。
本発明の別の主題は、再発性多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064であり、ここで、LOU064は、最大60カ月以内、又は最大30カ月以内、又は最大24カ月以内、好ましくは12~24カ月以内に、ベースラインと比較して、患者が9HPT試験を実施する速度の増大をもたらす。ベースラインの9HPT結果は、LOU064の初回投与より前の最後の評価と定義される。
本発明では、さらに予想外に、治療の12週目又は24週目までにLOU064を投与すると、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びリパーゼのレベルは、有利に、治療開始時のベースラインレベルと比較して、10%を超えて変化しないことが見出された。
本発明によると、予想外に、LOU064の投与は、有利に、以下のうちの少なくとも1つをもたらすことが見出された:
- テリフルノミドと比較して45~50%、好ましくは55~60%の、年換算再発率の相対的な低下、
- テリフルノミドと比較して60~75%、好ましくは90~95%の、ガドリニウム増強病変(Gd+T1)の平均総数の相対的な減少、
- テリフルノミドと比較して65~70%、好ましくは80~85%の、新しい/拡大するT2病変の相対的な減少、
- テリフルノミドと比較して約30%、好ましくは30~35%の、3カ月持続する障害進行(3mCDP)に到達するまでの時間の相対的な減少、
- テリフルノミドと比較して約30~35%、好ましくは35~40%の、6カ月持続する障害進行(6mCDP)に到達するまでの時間の相対的な減少、
- 12~60カ月、又は12~30カ月、又は12~24カ月で、最大6~7/10人の患者、好ましくは最大8~9/10人の患者の疾患能力(disease ability)の証拠がないこと(NEDA-3)、
- テリフルノミドと比較して少なくとも20%の、血清Nfl濃度の相対的な低下。
さらに予想外に、LOU064治療は、年間再発率の減少においてCD20枯渇療法と同程度に有効である、特に、年間再発率の減少においてCD20枯渇療法と比較して優れていることが見出された。
本発明はさらに、多発性硬化症の治療で使用するための薬剤を製造するためのLOU064に関し、ここで好ましくは、薬剤は、1日2回約50mg~約150mgの用量で経口投与される。
本発明のさらなる主題は、多発性硬化症を治療するための方法であり、前記治療は、このような治療を必要としている患者に、好ましくは、1日2回約50mg~約150mgの用量でLOU064を経口投与することを含む。
本発明のさらなる主題は、上記の治療において使用するための薬剤を製造するための方法である。
ヒトMOG EAEにおける毎日の神経学的欠損に対する予防的LOU064(3mg/kg 経口 b.i.d.及び30mg/kg 経口 b.i.d.)の効果。LOU064 30mg/kg 経口 b.i.d.処置により毎日の体重変化(A)は有意に改善され、炎症誘発性の悪液質の減少が示唆された。体重データと一致して、LOU064 30mg/kg 経口 b.i.d.によりEAEスコアが改善された(B)。群の大きさは、n=8~10/処置である。統計的有意性は、Dunn検定を伴うKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて決定した。 予防的LOU064 30mg/kg(b.i.d.)は、ヒトMOG EAEにおいて疾患発生率を有意に減少させた。LOU064 b.i.d.処置は、EAE発症の頻度及び速度を減少させた。群の大きさは、n=10/処置である。統計的有意性は、Kaplan-Meierノンパラメトリック検定を用いて決定した。 予防的LOU064は、ヒトMOG EAEにおいて疾病負荷を用量依存的に減少させた。LOU064 30mg/kg b.i.d.処置は、ピークEAEスコア(A)及び累積疾病負荷(B)を有意に減少させた。群の大きさは、n=10/処置である。統計的有意性は、Dunn検定を伴うKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて決定した。 LOU064の経口b.i.d.投与の最後の投与から1、5及び8時間後の脾臓におけるBTK占有率。個々の動物の占有率レベルが示される。群平均は中央バーで示され、標準偏差はひげ(whisker)エラーバーで示される。統計的有意性(ANOVA、続いてDunnett検定)は、p<0.0001の場合に****で示される。Grubbs検定の後にビヒクル群の1つの異常値(112%のBTK占有率)を除去した。 LOU064の経口b.i.d.投与の最後の投与から1、5及び8時間後のリンパ節におけるBTK占有率。個々の動物の占有率レベルが示される。群平均は中央バーで示され、標準偏差はひげエラーバーで示される。統計的有意性(ANOVA、続いてDunnett検定)は、p<0.0001の場合に****で示される。 LOU064の経口b.i.d.投与の最後の投与から1、5及び8時間後の脳ホモジネートにおけるBTK占有率。個々の動物の占有率レベルが示される。群平均は中央バーで示され、標準偏差はひげエラーバーで示される。統計的有意性(ANOVA、続いてDunnett検定)は、p<0.01の場合に**で示される。 ヒトMOG EAEにおける予防的LOU064(b.i.d.)処置は、MOG特異的免疫グロブリン応答を弱く調節するだけである。経口LOU064 b.i.d.処置は、血清中のMOG特異的IgM及びIgG応答を有意に減少させた;しかしながら、効果は非常に弱かった(A、B)。サブクラス解析により、IgG1(C)、IgG2a(D)及びIgG2b(E)が減少されることが明らかなった。IgG2cでは変化は検出されなかった(F)。群の大きさは、n=8~10/処置である。統計的有意性(Dunnett検定を伴うANOVA)は、p<0.05、**p<0.01、***p<0.001、****p<0.0001で示される。 ヒトMOG EAEにおける予防的LOU064(b.i.d.)処置は、炎症誘発性の悪液質を改善する。モデルの前EAE段階において神経学的症状は観察されなかった(A)。経口LOU064 b.i.d.処置(30mg/kg 1日2回)は、免疫化マウスの重量増加を改善し、炎症誘発性の悪液質が減少されることが示唆された(B)。群の大きさは、n=5/処置である。 ヒトMOG EAEにおける予防的LOU064(b.i.d.)処置は、(自己)抗原リコール増殖を阻害する。単離脾細胞及び排出リンパ節細胞をヒトMOGと共に48時間インビトロでインキュベートした。抗原特異的増殖は、[H]-チミジンの取込みによって決定した。インビボでLOU064を投与された動物は、MOG特異的増殖における用量依存性の減少を実証し(A、B)、抗CD3/CD28によるポリクローナル刺激は変化しなかった(C)。群の大きさは、n=5/処置である。 ヒトMOG EAEにおける予防的LOU064(b.i.d.)処置は、Th17細胞を減少させる。ヒトMOGで免疫化し、インビボでLOU064をb.i.d.投与したマウスは、B細胞集団の頻度における有意な変化を実証しなかった(A、B)。全CD4T細胞集団は変化しなかった(C);しかしながら、細胞内サイトカイン染色により、Th17(IL-17)細胞の有意な減少が明らかなった(D)。Th1又はTregでは、変化は観察されなかった(E、F)。群の大きさは、n=5/処置である。統計的有意性(Dunnett検定を伴うANOVA)は、p<0.05で示される。 ラットMOG EAEにおいてb.i.d.投与された予防的BTK阻害剤は、有害応答を示さない。BTK阻害剤(LOU064、イブルチニブの毎日のb.i.d.投与は、神経学的症状(A)又は体重変化の悪化(B)を誘発しなかった。シクロスポリンA(CsA)は、顕著な体重減少に関連した。群の大きさは、n=4~5/処置である。 ラットMOG EAEにおいてb.i.d.投与された予防的BTK阻害剤は、(自己)抗原リコール増殖を阻害できなかった。単離した排出リンパ節細胞をラットMOGと共にインビトロで48時間インキュベートした。抗原特異的増殖は、[H]-チミジンの取込みによって決定した。動物にインビボでBTK阻害剤(LOU064、イブルチニブ又はシクロスポリンA(CsA)を8日間投与した。群の大きさは、n=4~5/処置である。 LOU064は、ラットMOG EAE病態を減少させた。毎日の体重変化(A)は、LOU064 30mg/kg 経口 b.i.d.処置によって有意に減少され、炎症誘発性の悪液質の減少が示唆された。体重データと一致して、EAEスコアが改善された(B)。群の大きさは、n=10/処置である。統計的有意性は、Dunn検定を伴うKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて決定した。 LOU064は、ラットMOG EAEにおいて疾患発生率を有意に減少させた。LOU064 30mg/kg b.i.d.処置は、EAE発症の頻度及び時間を減少させた(臨床スコア≧1)。群の大きさは、n=10/処置である。統計的有意性は、Kaplan-Meierノンパラメトリック検定を用いて決定した。 LOU064は、ラットMOG EAEにおいて疾病負荷を減少させた。LOU064 30mg/kg b.i.d.処置は、ピークEAEスコア(A)及び累積疾病負荷(B)を有意に減少させた。群の大きさは、n=10/処置である。統計的有意性は、Dunn検定を伴うKruskal-Wallis検定(ノンパラメトリックANOVA)を用いて決定した。 脾臓、血液及び脳におけるトラフBTK占有率。脾臓及び血液におけるトラフBTK占有率は、ピーク時の最大標的占有率を示す。脳ホモジネートで評価されたBTK占有率は、脾臓(A)、血液(B)及び脳(C)において中間レベルを示し、有意であるが最大値以下の脳BTK占有率がピーク時に達成されることが示唆された。統計的有意性は、Welchの補正を伴う対応のない両側t検定により決定した。 LOU064は、ラットMOG EAEにおいてMOG特異的免疫グロブリン応答を調節しなかった。経口LOU064 b.i.d.処置は、ビヒクルと比較して、血清中のMOG特異的IgM(A)及びIgG(B)応答に影響を与えなかった。サブクラス解析により、IgG1(C)、IgG2a(D)及びIgG2b(E)、IgG2c(F)並びにIgG3(G)は、調節されないことが明らかなった。群の大きさは、n=4~5/処置である;p値は、ナイーブマウスとビヒクル処置マウスとの間で決定した。統計的有意性は、ANOVA(続いて、Dunnett検定)により解析した。 (上記の通り。) 血清中のNF-L濃度は、LOU064処置によりわずかに減少され(図18A)、EAE臨床スコアと相関する(図18B)。経口LOU064 b.i.d.処置は、ビヒクル処置群と比較して、平均血清NF-Lレベルをわずかに減少させた。血清中のNF-Lレベルは、終了時に観察された臨床スコアと相関していた。UDL=検出上限;LDL=検出下限。統計的な差異は、単純線形回帰検定を用いて決定した。 ナイーブマウスにおいて、BTKはリンパ節で発現され、脳では発現されない。ナイーブマウスのリンパ節及び脳の組織学的検査は、傍皮質に散在される、リンパ節(A)、特にB細胞濾胞(B)におけるBTK発現を示している。脳(C)及び脳梁(D)において、BTK発現は検出されなかった。ヘマトキシリン及びブルーイング対比染色によるBTK IHC染色。 ナノサイズLOU064の好ましい粒径分布。 (A)定常状態での24時間にわたるBTK占有率のトラフ。グラフは予測中央値を点で示し、垂直線は95%予測区間を示す。(B)定常状態での24時間にわたるBTK占有率の平均。グラフは予測中央値を点で示し、垂直線は95%予測区間を示す。 定常状態での脾臓のBTK占有率のシミュレーション。 LOU064で処置したラットMOG EAEマウスのscRNA配列解析:LOU06で処置したEAEマウスの脳及び脊髄からのミクログリアにおいて、神経炎症シグネチャは有意に下方制御される。
定義
本明細書で使用される場合、「BTK阻害剤」は、細胞質内チロシンキナーゼであり、TECキナーゼファミリーのメンバーであるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)を阻害することができる任意の物質である。BTKは、B細胞、マクロファージ、マスト細胞、好塩基球を含む適応免疫系及び自然免疫系の細胞において、及び血小板においても、選択的に発現される。BTK阻害剤の例としては、フェネブルチニブなどの非共有結合性可逆的BTK阻害剤と、エボブルチニブ、トレブルチニブ、リルザブルチニブ、チラブルチニブ、ブラネブルチニブ、オレラブルチニブ及びレミブルチニブ(LOU064)などの共有結合性不可逆的BTK阻害剤とが挙げられる。
本明細書で使用される場合、INNレミブルチニブを有する「LOU064」は、以下の構造式:
Figure 2023542878000001

を有する化合物N-(3-(6-アミノ-5-(2-(N-メチルアクリルアミド)エトキシ)ピリミジン-4-イル)-5-フルオロ-2-メチルフェニル)-4-シクロプロピル-2-フルオロベンズアミド、又はその薬学的に許容される塩、又はその遊離形態を指す。一実施形態では、LOU064は、参照によって本明細書中に援用される国際公開第2020/234779号パンフレットの実施例1に開示されるLOU064の結晶形態を指す。
LOU064は選択的で強力な不可逆的共有結合性BTK阻害剤であり、新世代の設計された共有結合性酵素阻害薬の1つである(Angst et al 2020)。この化合物は、2014年11月28日に出願された国際公開第2015/079417号パンフレットの実施例6において初めて開示された。
「治療」又は「治療する」という用語は、例えばLOU064の、患者への適用又は投与と定義することができ、その目的は、多発性硬化症(MS)などの疾患の症状を消失させる、低減する、又は軽減することである。特に、「治療」という用語は、患者にとって臨床的に意味のある効果の達成、例えば、RMSを治療する場合、臨床的に意味のある年間再発率の減少の達成を含む。この用語はさらに、MSの進行型への進行を遅延させることを含み得る。
「患者」という用語は、本明細書で使用される場合、哺乳類、例えば霊長類、好ましくは高等霊長類、特に好ましくはヒト(例えば、リスクのある患者、又は本明細書に記載される障害を有するリスクのある患者)であり得る。好ましくは、患者は成人である。理論的には、高齢患者も含まれるが、18歳~60歳の間の患者が好ましい。
本明細書で使用される場合、患者が医学的に又は生活の質に関して、このような治療から恩恵を受ける場合、このような患者は治療「を必要としている」可能性がある。
本明細書で使用される場合、LOU064を「投与すること」又はLOU064の「投与」という用語は、治療を必要としている患者にLOU064を提供すること意味することができる。1つ又は複数のさらなる治療薬「と組み合わせた」投与には、任意の順序及び任意の投与経路での、同時(並行)及び連続投与が含まれる。
本明細書で使用される場合、「治療的に有効な量/用量」は、有効である、すなわち臨床的に意味のある効果を達成するLOU064の量/用量を指すことができる。
「有害事象」(AE)という用語は、患者又は臨床試験における任意の有害な医学的事象に関連することができ、ここで、被験者は、必ずしもこの治療との因果関係を有さなくてもよい医薬品を投与される。したがって、有害事象(AE)は、医薬品(治験薬)に関連するかどうかに関わらず、医薬品(治験薬)の使用に時間的に関連する任意の好ましくなく意図的でない徴候(異常な検査所見を含む)、症状又は疾患であり得る。
「治療レジメン」又は「処置レジメン」という語句は、病気を治療するため、又は病状若しくは疾患の発生を予防するために使用されるレジメン、例えば、使用される投薬を意味することができる。治療レジメン又は処置レジメンは、導入レジメン、負荷レジメン及び維持レジメンを含み得る(例えば、負荷用量は、薬物の初期用量であり、好ましくは、維持用量で成功する前、好ましくはより低い維持用量まで急速に減少させる前に、治療過程(例えば、DMT)の開始時に与えることができる、初期のより高い用量である)。
本明細書で使用される場合、「多発性硬化症」は、一次性進行型多発性硬化症(PPMS)と、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、特に活動性SPMS(時折の再発及び/又は新しいMRI活性の証拠を伴う)、及び臨床的に孤立した症候群(CIS)を包含する再発性多発性硬化症(RMS)とを含む任意の形態の疾患を指す。
一次性進行型MS(PPMS)は、早期再発又は寛解することなく、症状の発症からの神経学的機能の悪化(身体障害の蓄積)を特徴とする。PPMSは、異なる時点において、活動的である(時折の再発及び/又は新しいMRI活性の証拠を伴う)か又は活動的でないか、及び進行がある(再発又は新しいMRI活性の有無に関わらず、経時的な変化の客観的尺度における疾患の悪化の証拠)か又は進行がないかで、さらに特徴付けることができる。Lublin 2014が参照される。
各人のPPMSの経験は独特であり得る。PPMSは、再発又は新しいMRI活性の有無に関わらず、疾患が安定している短い期間と、新しい再発又はMRI上の病変の有無に関わらず、身体障害の増大が起こる期間とを有することができる。
RMS(再発性多発性硬化症)という用語は、RRMS、SPMS、特に活動性SPMS、及びCISを包含する。
再発寛解型多発性硬化症(RRMS)は、例えば、発熱又は感染はないことが多いが、24時間よりも長く持続する、新しい神経障害又は神経学的悪化エピソードと定義される再発を特徴とする。
寛解期間中は、疾患の明らかな進行はない。異なる時点において、RRMSは、活動的である(再発及び/又は新しいMRI活性の証拠を伴う)か又は活動的でないか、及び悪化している(再発後の特定の期間にわたって確認された身体障害の増大)か又は悪化していないかで、さらに特徴付けることができる。Lublin 2014,Neurology:2014 Jul 15;83(3):278-286が参照される。
二次性進行型多発性硬化症(SPMS)は、最初の再発寛解過程の後に起こる。RRMSと診断されたほとんどの人は、最終的には二次進行型過程へ移行することになり、ここで、経時的に神経学的機能の進行性の悪化(身体障害の蓄積)が存在する。SPMSは、異なる時点において、活動的である(再発及び/又は新しいMRI活性の証拠を伴う)か又は活動的でないか、及び進行がある(再発の有無に関わらず、経時的な変化の客観的尺度における疾患の悪化の証拠)か又は進行がないかで、さらに特徴付けることができる。Lublin 2014,Neurology:2014 Jul 15;83(3):278-286が参照される。
各人のSPMSの経験は独特であり得る。SPMSは、再発寛解型MSの後に起こる。身体障害は、疾患活動性(再発又はMRIにおける変化)の証拠の有無に関わらず、時間と共に徐々に増大する。SPMSにおいて、時折の再発は、安定した期間にも起こり得る。本発明によると、SPMSという用語は特に、活動性SPMS、すなわち、再発及び/又はMRIにおける変化の存在によって決定される疾患活動性の証拠を有するSPMSを指す。
臨床的に孤立した症候群(CIS)は、多発性硬化症(MS)を示唆する、中枢神経系(CNS)の炎症性脱髄性症状の単一の臨床的発作を指すことができる。CIS症状は単巣性又は多巣性であることができ、通常、視神経、脳幹、小脳、脊髄又は大脳半球を含み得る。Miller et al,Clinically isolated syndromes,Lancet Neurol.2012;11:157-169が参照される。
再発は、好ましくは24時間よりも長く持続する、新しい神経障害又は神経学的悪化エピソードと定義することができる。言い換えると、再発は、好ましくは少なくとも24時間持続する、神経学的機能障害の別個のエピソード(当該技術分野では、「発作(attack)」、「再燃(flare-up)」又は「増悪(exacerbation)」とも呼ばれる)とみなすことができる。通常、再発の後に、完全又は部分的な回復、及び症状の進行又は身体障害の蓄積がない期間(寛解)が続く。
再発は、中枢神経系(CNS)内の炎症性事象の部位において、新しい又は拡大する脱髄斑によって引き起こされると推定される。
改訂されたMcDonald基準(Thompson et al 2018)
改訂されたMcDonald基準の下で、MRIで以下の通りに見られるように、ミエリン損傷が空間的に多発する(DIS)場合に、MS診断が可能である:
- 少なくとも2つ又は4つのCNS位置:脳の皮質近傍、脳室周囲(perventricular)及びテント下領域、並びに脊髄における少なくとも1つの明るいT2病変(T2は、MSを診断するため、並びに脳及び脊髄内で古い及び新しいミエリン損傷の領域を検出するために使用される最も一般的なMRIスキャンである)。
- これらの病変は、ガドリニウム増強(造影剤)されなくてもよい。
ミエリン損傷の時間的多発性(DIT)に関して、MRI証拠は以下の通りである:
- ベースラインスキャンと比較して(ベースラインからの時間に関係なく)、フォローアップMRIにおける新しいT2及び/又はガドリニウム増強損傷。2005年の改訂では、初期と最初の発作との間で少なくとも30日が経過することが必要とされた。
- どの時点でも、無症候のガドリニウム増強及び非増強損傷の同時存在。
一次性進行型MS(PPMS)は、特別な診断上の必要性を有する。具体的には、改訂されたMcDonald基準では、少なくとも1年間の進行の実証(先を見越して又は遡及的に行われる)に加えて、以下の3つの所見のうちの2つが必要とされる:
- 3つの重要な脳領域(脳室周囲、皮質近傍又はテント下)の少なくとも1つのT2病変において見られる、脳内のDISの証拠。
- 少なくとも2つのT2病変DIS(≧2 T2損傷)に基づいた、脊髄内のDISの証拠。
- オリゴクローナルバンド及び/又は高IgGインデックスの存在下で見られるように、陽性CSF関与。
Gd+病変
ガドリニウム(「造影剤」)は、MRIスキャンの間に人の静脈に注入される化学化合物である。ガドリニウムは通常、血液脳関門のために血流から脳又は脊髄内に入ることができない。しかしながら、MSの再発中のように、脳又は脊髄内の活動的な炎症中、血液脳関門は破壊され、ガドリニウムが通過できるようになる。次に、ガドリニウムは脳又は脊髄に入り、MS病変内に漏出し、光を発し、MRI上に強調されたスポットを作り出すことができる。このようなMS病変は、ガドリニウム増強病変又はGd+病変と呼ばれる。
T1及びT2病変
T1及びT2は、磁気共鳴画像を生成するために使用される異なるMRI法に関する。具体的には、T1及びT2は、磁気パルスと画像の記録との間でかかった時間を指す。これらの異なる方法は、中枢神経系において異なる構造又は化学物質を検出するために使用される。T1病変及びT2病変は、病変がT1法又はT2法のどちらを用いて検出されたかを指す。T1のMRI画像は、活動的な炎症の領域を強調することにより、現在の疾患活動性についての情報を供給する。T2のMRI画像は、疾病負荷又は病変負荷(古い病変及び新しい病変の両方の病変領域の総量)についての情報を提供する。
EDSS
総合障害度評価尺度(EDSS)は、多発性硬化症における身体障害を定量化し、身体障害レベルの変化を経時的にモニターする方法である。
EDSS尺度は、より高い身体障害レベルを表す0.5単位の増分で、0から10までの範囲である。スコアリングは、神経学者による検査に基づく。
EDSSステップ1.0~4.5は、補助を受けることなく歩行することができるMSを有する人々を指し、8つの機能システム(FS)における機能障害の尺度に基づく:
・ 錐体路機能-筋力低下又は四肢の動作困難
・ 小脳機能-運動失調、平衡消失、協調又は振戦
・ 脳幹機能-発話、嚥下及び眼振に関する問題
・ 感覚機能-しびれ又は感覚消失
・ 腸及び膀胱機能
・ 視覚機能-視覚に関する問題
・ 大脳機能-思考及び記憶に関する問題
・ その他。
機能システム(FS)は、特定の作業に責任のある脳内のニューロンネットワークを表す。各FSは、0(身体障害なし)~5又は6(より重度の身体障害)の尺度でスコア化される。Kurtzke JF.Rating Neurologic Impairment in Multiple Sclerosis:An Expanded Disability Status Scale(EDSS).Neurology:1983,Nov;33(11):1444-52が参照される。
多発性硬化症影響尺度(MSIS-29)
MSIS-29バージョン2は、身体的及び心理的の2つのドメインを含む、29項目の自己記入質問書である。回答は、1(全くない)から4(極めてある)までの範囲の4点順序尺度で記録されたものであり、より高いスコアは、日常生活へのより大きい影響を反映する。MSIS-29は完了するのに約5分かかり、質問は、過去2週間の間の日常生活に対するMSの影響について患者の見解を決定するように設計されている。Hobart J and Cano S(2009),“Improving the evaluation of therapeutic interventions in multiple sclerosis:the role of new psychometric methods”,Health Technol Assess;13(12):iii,ix-x,1-177.NS RO,to Hobart J,Lamping D,Fitzpatrick R,et al(2001),“The Multiple Sclerosis Impact Scale(MSIS-29):a new patient-based outcome measure”,Brain;124(Pt 5):962-73が参照される。
SDMT又は記号数字モダリティは、認知障害のあるMS参加者において通常影響を受ける処理速度を評価するための高感度で特異的な検査である(Benedict et al.2017,Mult Scler;23(5):721-733)。検査のスコアリングは、90秒間の正解数で計算される(最高は110であり、最低はゼロである)。より高いスコアは改善を示し、より低いスコアは悪化を示す。
T25FW又は時間25フィート歩行は、時限25フィート歩行検査において、少なくとも20%の6カ月持続する悪化までの時間である。T25FWは、神経機能の客観的な定量試験であり(Fischer et al 1999,Mult Scler;5:244-50)、歩行運動を評価するために臨床MS試験で広く使用されている。これは、25フィート(7.62メートル)を歩く時間(秒)である歩行速度を評価する歩行運動測定である。時間が長いほど、上肢機能の低下を示す。20%の改善は、時間(秒)が20%短いことであると定義される。
9HPT又は9ホールペグテスト(9HPT)は、神経機能の客観的な定量試験であり(Fischer et al.1999 Mult Scler;5:244-50)、器用さを評価するために臨床MS試験で広く使用されている。これは、右腕及び左腕の両方のスコアを評価するために測定され、測定基準は、9本のペグを抜き差しするのに必要とされる時間(秒)である。
Nfl又はニューロフィラメント軽鎖NfLは神経細胞骨格の成分であり、神経軸索損傷の後、脳脊髄液中に、次に血液中に放出される。これは、疾患活動性(Kuhle et al 2019,Ann Clin Transl Neurol;6(9):1757-1770)、疾患モニタリング(Akguen et al 2019,Neurol Neuroimmunol Neuroinflamm;6(3):e555)、治療応答(Hauser et al 2020,N Engl J Med;546-557)のバイオマーカーとして、及びMSを有する参加者において疾患活動性及び身体障害悪化を予測するために特定されている(Barro et al 2018,Brain 141:2382-2391、Kuhle et al 2019、Kapoor et al 2020 Neurology;95(10):436-444、Jakimovski et al 2019 Ann Clin Transl Neurol;6(9):1757-1770)。
GAD-7又は全般性不安障害-7は、7項目の自己評価尺度であり(Spitzer et al 2006,Arch Intern Med;166:1092-7により開発)、GADのスクリーニング手段及び重症度指標として使用されている。尺度の回答選択肢は、4点リッカート尺度:0:全くない;1:数日;2:半分を超える日数;3:ほぼ毎日からなる。0~21の範囲のグローバルスコアを有する。より高いスコアは、不安症状の重症度がより高いことを意味する。
PHQ-9又は患者健康質問書-9は、完全なPHQからの9項目の信頼できる有効なうつ病モジュールである。この自己記入ツールは、うつ病の重症度のスクリーニング、診断、モニタリング及び測定のために使用される。さらに、基準に基づいて抑うつ障害の診断を行うために使用される(Kroenke et al 2001,J Gen Intern Med;16:606-13)。
PHQ-9スコアは、9項目のそれぞれが0(まったくない)から3(ほぼ毎日)までにスコア化され得るので、0~27の範囲であり得る。5、10、15、及び20のPHQ-9スコアはそれぞれ、軽度、中程度、やや重度、及び重度のうつ病を表した。
BPI-SF又は簡易疼痛調査票-縮小版は、簡易疼痛調査票の15項目のより縮小版である(Cleeland and Ryan 1994,Ann Acad Med;23(2):129-59)。これは、痛みの重症度、及び日常機能への痛みの影響を評価するために使用される。過去24時間の痛みの重症度、痛みの位置、鎮痛薬、及び鎮痛の量と共に、BPI-SFは、痛みが、一般的な活動、気分、歩行、仕事、他者との関係、睡眠、及び人生の楽しみをどの程度妨げているかを評価するための7項目の妨害尺度も含む。0(妨げない)から10(完全に妨げる)までの範囲の10点回答選択肢を有する。グローバルスコアは0から10までの範囲であり、より低いスコアはより少ない痛みを表す。
FSIQ-RMS(商標)又は疲労症候群及び影響の質問書-再発性多発性硬化症は、RMSにおける疲労の症状及び影響を測定する。この信頼できる有効なツールは、2つの症状ドメイン(活力、筋力低下)と、7つの影響ドメイン(日常活動、認知、感情、身体的影響、セルフケア、睡眠及び社会的影響)とで構成される20項目を含む。症状を捕らえるために24時間及び影響を捕らえるために7日間の想起期間。ドメイン及びサブドメインによるFSIQ-RMSスコア。グローバルスコアは0から100までの範囲であり、より高いスコアは、より大きい疲労を表す(Hudgens et al 2019,Value Health;22:453-466)。
HUI-III(商標)又は健康効用指標(登録商標)は、健康状態を測定し、健康関連の生活の質を報告し、効用スコアを作成するための一般的健康プロファイル及び好みに基づくシステムの群である(Feeny et al 2002,Med Care;40(22):113-28)。HUI-IIIは、視覚、聴覚、発話、歩行運動/可動性、痛み、器用さ、感情、及び認知を含む8つのHRQoLドメイン領域を測定する。この研究は自己報告バージョンを実施し、参加者は、想起期間に関して、その「通常の健康状態」に回答することになる。HUI質問書への回答は、特定のレベルへの回答のマッピングを可能にする。HUI-IIIは、以下のドメイン(各ドメインのレベル)を有する:
・ 視覚(6レベル)
・ 聴覚(6レベル)
・ 発話(5レベル)
・ 歩行運動(6レベル)
・ 器用さ(6レベル)
・ 感情(5レベル)
・ 認知(6レベル)
・ 痛み(5レベル)
HUIスコアの減少は、状態が悪化したことを意味する。
疾患修飾療法(DMT)
「疾患修飾療法」という用語は、多発性硬化症(MS)に対する治癒的処置はまだ存在しないが、いくつかの疾患修飾薬物(DMD)がMSに対して承認されているので使用される。一般に、RMSに対するDMTは、再発の頻度及び/又は重篤度を低下させる。したがって、DMTはRMS患者のための治癒法ではないが、誰かが再発する回数及びその重篤度を低下させることができる。DMTには、インターフェロンベータ、酢酸グラチラマー、テリフルノミド、ミトキサントロン、フマル酸ジメチル、クラドリビン、フィンゴリモド、シポニモド、ポネシモド、アレムツズマブ、ダクリズマブ、ナタリズマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ及びリツキシマブなどのDMDによる治療が含まれるが、これらに限定されない。
本発明によると、DMTは、疾患の進行を停止させない、又は適切に減速させない場合に、「有効性の欠如」を有する。これは、例えば、DMTを受けている患者が再発又は病変などの疾患活動性の徴候を示す場合にそうである。
本発明によると、DMTの「許容性の欠如」は、頭痛、眩暈、悪心、感染症(帯状疱疹など)、黄斑浮腫、輸注関連反応又は反復感染などの有害事象の存在に関連する。
B細胞枯渇療法
本明細書で使用される「B細胞枯渇療法」という用語は、抗CD20mAbに基づくB細胞枯渇療法などのCD19/CD20枯渇療法を含む、B細胞の枯渇をもたらす任意の治療を指す。特に、抗CD20mAbに基づくB細胞枯渇療法において、B細胞の枯渇は、CD20発現B細胞を標的とするモノクローナル抗体、例えば、アレムツズマブ、ダクリズマブ、ナタリズマブ、オファツムマブ、オクレリズマブ及びリツキシマブの投与によって達成される。
負荷用量
負荷用量は、薬物の初期用量であり、好ましくは、維持用量で成功する前、好ましくはより低い維持用量まで急速に減少させる前に、治療過程(例えば、DMT)の開始時に与えることができる、初期のより高い用量である。
神経学的に安定
精神状態又は意識のレベルの変化の欠如を特徴とする臨床状態。この状態は、けいれんの制御;新しい神経学的欠損、例えば、失語症、運動失調、構音障害、不全麻痺、麻痺、視野欠損、又は失明の不在を含むことができ、神経学的に安定していると定義される。
リバウンド
患者のDMT前のベースラインを超える、DMTの離脱後の重度の疾患再活性化は、リバウンド事象と考えられる。Barry et al.,Fingolimod Rebound:A Review of the Clinical Experience and Management Considerations.Neurol Ther(2019)8:241-250が参照される。
ブレイクスルー疾患
本発明の目的のために、ブレイクスルー疾患は、DMT下で、以下のように定義される:
・ 過去1年間に少なくとも1回の実証された再発、又は過去2年間に2回の再発、
・ 過去12カ月以内のMRIスキャンにおける少なくとも1つのGd+病変の存在、及び/又は
・ 過去12カ月以内の新しいT2病変又は拡大しているT2病変の存在
本明細書で使用される「B細胞阻害剤」は、一般に、生物学的なB細胞機能を消失、減少又は減衰させる任意の物質を指すことができる。B細胞阻害剤は、生物学的なB細胞機能、例えば、サイトカイン分泌、又はシス及び/又はトランス刺激への応答に必要とされるシグナル伝達経路を遮断し得る。またB細胞阻害剤は、幹細胞/前駆細胞からのB細胞の生成を妨害し得る、或いはその成熟に悪影響を与え得る。さらに、B細胞阻害剤は、T細胞などの他の細胞集団とのクロストークを阻害することによって作用し得る。或いは、B細胞阻害剤は、隔離(例えば、脾臓などのリンパ系組織内への)により、又は溶解により、例えば、CDC、ADCC、食作用若しくは他のプロセスを介して、B細胞を枯渇させ得る。B細胞のいくつかのサブセットは、CD20を発現し得る。
本明細書で使用されるB細胞は、リンパ球サブタイプの白血球型に関連し得る。B細胞は、免疫グロブリン(例えば、IgG)などの抗体を分泌することにより、適応免疫系の液性免疫成分において機能する。さらに、B細胞は抗原を提示し、サイトカインを分泌し得る。B細胞は、T細胞及びナチュラルキラー細胞とは異なり、その細胞膜上にB細胞受容体(BCR)を発現する。BCRは、B細胞が抗体応答を開始し得る特定の抗原に結合することを可能にする。
本明細書で使用されるT細胞阻害剤は、生物学的なT細胞機能を消失、減少及び/又は減衰させる任意の物質を指すことができる。T細胞阻害剤は、生物学的なT細胞機能、例えば、サイトカイン分泌、又はシス及び/又はトランス刺激への応答に必要とされるシグナル伝達経路を遮断し得る。またT細胞阻害剤は、幹細胞/前駆細胞からのT細胞の生成を妨害し得る、或いはその成熟に悪影響を与え得る。さらに、T細胞阻害剤は、B細胞などの他の細胞集団とのクロストークを阻害することによって作用し得る。或いは、T細胞阻害剤は、隔離(例えば、脾臓などのリンパ系組織内への)により、又は溶解により、例えば、CDC、ADCC、食作用若しくは他のプロセスを介して、T細胞を枯渇させ得る。
本明細書で使用されるT細胞は、胸腺で発生するリンパ球のタイプに関連し得る。T細胞は、細胞表面上のT細胞受容体の存在によって他のリンパ球と区別することができる。
実施例1
ヒトMOG誘発性の実験的自己免疫性脳脊髄炎におけるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤LOU064
齧歯類又は非ヒト霊長類では天然に存在するMS様疾患は知られていない。完全フロイントアジュバント(CFA)中に乳化させたCNS特異的ミエリンタンパク質により感受性の齧歯類系統を免疫化した後に、誘発された疾患モデルが発生する。実験的自己免疫性脳炎(EAE)は、CNS白質の極限的な脱髄性病変を伴うMSの病理学的表現型の多くを模倣する。C57BL/6マウスでは、ヒト(ヒトMOG)又はラット(ラットMOG)組換えタンパク質配列のいずれが使用されるかに応じて、ミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質(MOG)誘発性EAEの2つの変異体が存在する(Lyons J.A.et al.(1999)European Journal of Immunology 29:3432-3439;Oliver A.R.et al.(2003)J Immunology 171:462-468)。小さいアミノ酸残基の違いの結果、ヒトMOG誘発性EAEは、APCとして極めてB細胞依存性であるが、ラットMOG誘発性EAEは、B細胞に依存せず、主要なAPC集団として樹状細胞を必要とする(Lyons et al 1999;Molnarfi N.et al.(2013)Journal of Experimental Medicine 210(13):2921-2937)。
ヒトMOG誘発性EAEにおいて、BTK阻害剤LOU064を、12時間間隔で1日2回(b.i.d.)、3mg/kg又を30mg/kgで投与した。LOU064の予防的投与は、MOG/CFA免疫化の6時間前に開始し、研究終了まで継続した。
表1に概説されるスコアリングシステムを用いて、EAEを評価した。実験を通して、臨床スコア及び体重を毎日評価した。処置開始の前に、全ての群が臨床プロファイル及び体重について同等になるように動物を無作為化した。
Figure 2023542878000002
動物規制に従って、EAEマウスの人道的終点は、スコア3(>7日)、スコア3.5(>3日)であり、又はスコア4に達した場合は直ちに終了した。
LOU064(30mg/kg 経口 b.i.d.)は炎症誘発性の悪液質を阻害し、EAEの臨床症状を有意に減少させた(図1)。化合物は、全ての動物において十分に許容された。
付加的な分析により、LOU064の有効性はEAE発症の頻度の減少に関連しており、多くの動物は完全に疾患から保護されることが明らかになった(図2)。
またBTK阻害は、全実験期間中のグループEAEスコア(ピーク神経学的麻痺)及び全疾病負荷も減少させた(図3)。
化合物のb.i.d.投与の1、5及び8時間後に血液中に存在するLOU064の濃度は、表2に示される。血液中の曝露は1時間の時点で予想レベルを示し、5時間及び8時間の時点にわたって急速に減少し、3~30mg/kg b.i.d.投与で用量に比例して増大する。全脳ホモジネート中の化合物レベルは非常に低く、主に初期の時点で検出可能である。同様に、脳脊髄液(CSF)中のレベルも低い。
Figure 2023542878000003
3及び30mg/kg b.i.d.の経口投与後のLOU064の血液、脳及びCSFレベル。LLOQは血液中で0.2nMであり、脳ホモジネート中で0.5pmol/gであり、CSF中で0.5nMであった。1時間の時点では4匹の動物からの平均±SD、5時間及び8時間の時点では3匹の動物からの平均±SDが示される。と共に示される場合、値は、3匹のうちLLOQを上回った1匹の動物から得た。
LOU064のb.i.d.経口投与の1、5及び8時間後に、脾臓におけるBTK占有率を決定した(図4)。脾臓中のBTK占有率は両方の用量で最大であり、3mg/kgの投与後に減衰を示し、30mg/kgの投与後に、より持続性の占有率を示した。これらのBTK占有率レベルは、マウスで実施された他の研究と同等であった。
鼠径リンパ節中のBTK占有率は図5に示される。BTK占有率は両方の用量で最大であり、3mg/kgの投与後に減衰を示し、30mg/kgの投与後に、より持続性の占有率を示した。これらのBTK占有率レベルは、LOU064によりマウスで実施された他の研究と同等であった。
化合物曝露分析のために調製した脳ホモジネートにおいて、BTK占有率を評価した(図6)。30mg/kg b.i.d.のLOU064を受けた用量群は最大BTK占有率を示し、投与間隔にわたって減少した。3mg/kg用量は、1時間の時点で最小限のBTK占有率しかもたらさなかった。脳のBTK占有率のばらつきは、化合物レベル評価のために調製されたホモジネートの残りで分析を実施したという事実に起因し得る。
血清中のMOG特異的抗体応答のエキソビボ分析により、ほんの少しであるが、統計的に有意なIgM及びIgGレベルの減少が明らかになった(図7)。ヒトMOG誘発性EAEモデルにおいて、(自己)抗体応答は弱病原性である。EAEスコアの有効性と、抗体のごくわずかな調節との間の矛盾は、B細胞抗原提示が神経炎症プロセスの重要な要素であることを示唆する。
8日間の短い(疾患発症前)EAEプロトコルを用いて、ヒトMOGモデル中の免疫プライミングメカニズムを調査した。LOU064による予防的処置は、体重増加の改善に関連しており、このモデルにおいて炎症誘発性の悪液質が調節されていることが示唆された(図8)。前述のように、いずれの用量群でも有害事象は観察されなかった。
免疫化後8日目に採取した単離脾細胞及び排出リンパ節細胞を用いて、エキソビボのMOG誘発性リコール増殖応答を研究した。インビボ処置の結果、両方の免疫細胞コンパートメントにおいて増殖の用量依存性の減少が生じた(図9)。対照的に、リンパ節細胞のプレート結合抗CD3/CD28ポリクローナル刺激は、インビボ処置による影響を受けなかった。このデータは、広範な免疫抑制ではなく、B細胞抗原提示機能の特異的な阻害を示唆する。
単離脾細胞、リンパ節細胞及び血液のエキソビボ分析により、全B細胞集団において有意な変化は見られなかった(図10)。CD4+T細胞の分析により、LOU064処置後にTh17集団のみが減少され、Th1及び制御性T細胞は変化しないことが明らかになった。
BTK阻害剤の有効性がB細胞抗原提示機能の低下に直接関係するかどうかをさらに解明するために、組換えラットMOG誘発性EAEモデルにおいて化合物を試験した。このEAEモデルは、組換えヒトMOG誘発性EAEの特徴の多くを共有しており、MOG特異的T細胞はCNSに浸潤し、神経学的麻痺をもたらす。しかしながら、ラットMOG誘発性EAEはB細胞に依存せず、樹状細胞が主要な抗原提示細胞型である。したがって、BTK阻害剤は、薬物処置がより広範で非特異的な免疫抑制に関連していない限り、ラットMOG誘発性EAEにおいて有意な有効性がないと予測され得る。1mg/kg、3mg/kg及び10mg/kgで使用されるLOU064に加えて、参照化合物のイブルチニブを試験した。シクロスポリンA(CsA)は、直接的なT細胞免疫抑制の陽性対照として機能した。8日間の短い(疾患前)EAEプロトコルを用いて、ラットMOGモデル中の免疫プライミングメカニズムを調査し、いずれのBTK阻害剤でも有害事象は観察されなかった。免疫化後8日目に採取した単離脾細胞を用いて、エキソビボのMOG誘発性リコール増殖応答を研究した。インビボBTK阻害剤処置は、リコール応答に影響を与えなかった(図12)。対照的に、CsAは、T細胞リコール増殖を大きく阻害した。このデータは、BTK阻害に媒介される免疫調節が高度に選択性であり、(自己)免疫プライミング段階で抗原提示細胞として機能するB細胞に直接的に関連することを示唆する。
結論及び考察
これらの研究は、C57BL/6マウスにおける2つの別個のEAEモデルを利用した。組換えヒトMOG誘発性EAEモデルはB細胞依存性であり、抗CD20B細胞の枯渇に感受性であるが、ラットMOG誘発性EAEモデルはB細胞に依存せず、樹状細胞が重要な抗原提示細胞として機能する。
低分子量のBTK不可逆的(共有結合性)阻害剤LOU064は、予想外に、ヒトMOG誘発性EAEの誘発の阻害において非常に有効であることが実証された。臨床スコア及び炎症誘発性の悪液質に対する有効性は、組織における持続的な高レベルのBTK占有率に密接に関係した。メカニズム的に、実験的所見は、免疫プライミング段階中のB細胞依存性(自己)抗原提示の抑制と一致し、病原性Th17細胞の頻度を低下させる。有意な臨床スコアの有効性と、(自己)抗体のわずかな減少との間のずれは、これが重要な発症メカニズムではないことを示唆する。
ラットMOG誘発性EAEモデルからの証拠は、BTK阻害が免疫プライミング段階で(自己)免疫T細胞応答に影響を与えないことを示した。したがって、BTK阻害剤(LOU064)有効性は、広範な(非選択的な)免疫抑制の結果ではないと結論付けることが可能である。
結論として、驚くべきことに、共有結合性BTK阻害剤LOU064は、ヒトの多発性硬化症の治療に非常に関連性のあることが知られている発病プロセスに対して予想外に良好で優れた有効性をもたらす、高度に選択性の作用メカニズムを実証した。
実施例2
ラットMOG誘発性の実験的自己免疫性脳脊髄炎におけるブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害剤LOU064
薬理学的BTK阻害又は遺伝的BTK欠損は、前臨床マウスEAEを改善することが報告されており、BTK阻害剤は、B細胞及び骨髄系細胞に対するその影響のために有効性を達成し得ることが示唆される(Torke S.&Weber M.S.(2020)Expert Opinion on Investigational Drugs 29:1143-1150;Mangla A.et al.(2004)Blood 104(4):1191-7、及び実施例1)。LOU064による以前の研究は、B細胞に駆動される実験的自己免疫性脳脊髄炎(EAE)モデルに焦点が合わせられていたが(実施例1)、本研究は、LOU064が、恐らく骨髄系細胞に対するその作用により、B細胞に依存しないラットMOG-EAEにおいて有効性を示すことを明らかにすることによって、この証拠をさらに拡張する。
LOU064処置EAE発生を減少させた
ラットMOG誘発性EAEにおいて、BTK阻害剤LOU064を、8/16時間間隔で1日2回(b.i.d.)、30mg/kgで投与した。LOU064の投与は、MOG/CFA免疫化の4時間前に開始し、研究終了まで1日2回継続した。LOU064は、EAEの炎症誘発性の臨床症状及び悪液質を阻害した(図13)。化合物は、全てのマウスにおいて十分に許容された。
付加的な分析により、LOU064の有効性は、EAEの発生率の低下及び発症の遅延に関連しており、研究の終了まで多くのマウスは完全に疾患から保護される(図14)ことが明らかになった(p値=0.018)。
またBTK阻害は、全実験期間中のグループEAEスコア(ピーク神経学的麻痺 p値=0.069)及び全疾病負荷(p値=0.013)も有意に低下させた(図15)。
LOU064処置はその薬理学的標的に達した
図16は、終了日に最後の投与から16時間後にマウスから採取された脾臓、血液及び脳における最終BTK占有率を示す。脾臓及び血液におけるトラフBTK占有率レベルは、ピークLOU064曝露時の最大BTK占有率を示す範囲内である。LOU064の全身曝露が弱まると、遊離BTKの再合成の影響を受けることが示された(Angst et al.2020)。これらのBTK占有率レベルは、マウスで実施された以前の研究と同等であった。
脳ホモジネートで評価されたBTK占有率は中間レベルを示し、ピーク血液曝露時に有意である(脾臓、血液及び脳について、p値<0.001)が、恐らく最大値以下の脳BTK占有率が達成されることが示唆された。
LOU064処置は自己抗体レベルに影響を与えなかった
図17は、終了日(21日目)の最後の投与から16時間後の血清中のMOG特異的自己抗体のレベルを示す。ビヒクル又はLOU064のいずれかで処置した免疫化マウスでは、MOG特異的自己抗体レベル、全IgM及びIgGサブクラスは、ナイーブマウスと比較して著しく高かった。LOU064処置は、ビヒクル処置マウスと比較して、血清中のMOG特異的IgM及びIgG応答に影響を与えなかった。これらの結果は、上記の実施例1に記載されるように、ヒトMOGEAEモデルで観察されたものと一致する。
LOU064処置は血清NF-Lレベルを低下させる傾向があった
図18は、血清中のNF-Lのレベルを示す。ビヒクル又はLOU064で処置された免疫化マウスでは、平均NF-Lレベルは、ナイーブマウスと比較して著しく高かった。さらに、ビヒクル処置群は、臨床スコアの増大と、血清NF-Lレベルとの間の有意な相関関係を示した(p値=0.0006)。これはLOU064処置群で観察され、ビヒクル処置群と比較して、平均NF-Lレベルの低下の傾向は有意ではなかった。
IHCによる組織中のBTK発現の証拠
図19は、ナイーブマウスのリンパ節(陽性対照;A及びB)及び脳(C及びD)におけるBTKの発現についてのIHC染色の代表的な例を示す。これらのマウスでは、BTKは、リンパ節のB細胞濾胞(A)、特に、リンパ節の傍皮質全体にわたる一部の散在される細胞(B)で発現される。ナイーブマウスの脳において、特に脳梁では、BTKを検出することができなかった(C及びD)。
結論及び考察
本研究の主要な目的は、B細胞非依存性EAEモデルにおいて、強力で選択的なBTK共有結合性阻害剤(LOU064)の有効性を評価することであった。この研究では、LOU064は30mg/kg b.i.d.の用量で与えられ、血液及び脾臓において完全BTK占有率が実証されたが、脳では、部分的なBTK占有率しか実証されなかった。
得られた結果は、LOU064が、並行するIgM及びIgG応答に影響を与えることなく、ラットMOG誘発性EAEの重症度を低減するのに実際に効果的であったことを示す。
全体として、これらの結果は、B細胞においてBTKを阻害するその能力とは関係なく、LOU064の治療有効性を示す。マクロファージ、好中球又はマスト細胞などの骨髄系細胞もBTKを発現することが知られている(Torke et al.,2020)ので、使用したモデルでは、これらの細胞について、重要な病原性役割を疑うことができる。これは、最近の前臨床及び臨床観察と一致しており、CNS炎症の制御のために末梢骨髄系細胞を標的とするのに有益な効果を明白に示す(Ifergan I.and Miller S.D.(2020)Front Immunology 11:571897)。
ラットMOG EAEモデルを用いた本研究におけるLOU064の有効性のための原動力は、マクロファージなどの骨髄型のBTK発現末梢免疫細胞の阻害であり得るが、予想外に、脳内で検出されるBTK占有率レベルも全体的な処置の有効性に寄与し得ることが示された。組織学的分析により、健康なマウスの脳内でのBTK発現は明らかにならなかったので、EAEマウスの脳内で測定されるBTK占有率レベルは、BTK発現細胞によるEAE誘発性のCNS浸潤を反映すると結論付けることができる。
本研究がEAE誘発性のIgM/IgG応答に対するLOU064の影響を示さないという事実は、抗MOG抗体応答のレベルに関する以前の観察(実施例1)と一致する。結論として、共有結合性BTK阻害剤LOU064は、ヒトの多発性硬化症の治療に非常に関連性のあることが知られている発病プロセスに対して予想外に優れた有効性を示した。特に有利な結果は、驚くべきことに、100mg b.i.d.のヒト用量に換算される30mg/kg b.i.d.のEAE投薬量で達成された。
実施例3:LOU064の脳透過性
イヌP-gpノックアウトMDCK細胞単層(MDCK-LE V2)を用いた受動的透過性測定
細胞ベースのアッセイを使用して、胃腸管吸収との関連における薬物候補の受動的透過性を評価した。P-gpをコードする内在性イヌMdr1(cMdr1)遺伝子がノックアウトされているMDCK細胞株を、96ウェルTranswellプレート上で成長させて、単層を形成する。化合物をそれぞれ10μMの濃度で3つのカセットにおいて頂端コンパートメントに装填し、2時間のインキュベーションの後、基底チャンバに現れる化合物の量をタンデム質量分析により定量する。
特に、内在性イヌMdr1(cMdr1)遺伝子をノックアウトすることにより、MDCK細胞株を作製した。この細胞株のサブクローンを使用し、吸収率が分かっている37の市販の化合物セットを用いて、受動的透過性をヒト腸での吸収率に関連させた。アッセイは、アッセイで測定されるPappに基づいて、ヒトでの吸収率を推定することができる。
方法
サンプルは、RapidFire/MS/MS分析及びLC/MS/MS分析を行った。Rapidfire及びLC/MS/MS条件は以下に記載される。
質量分析計:Sciex QTRAP5500
オートサンプラー:Shimadzu SIL-30ACmp
HPLCポンプ:Shimadzu LC-30AD
カラム:Phenomenex Kinetex Polar C18 2.1x30mm、2.6μm
オーブン温度:50℃
注入量:2μL注入
移動相A:0.1%(v/v)のギ酸を含有する水
移動相B:0.1%(v/v)のギ酸及び4%(v/v)の水を含有するアセトニトリル
Figure 2023542878000004
検出器:SCIEX API5500 QTrap Parameters:
源:ESI
イオンスプレー電圧:4500V(ネガティブモードでは-4500V)
イオン源ガス1:60psi
イオン源ガス2:40psi
温度:450℃
カーテンガス:30psi
衝突ガス:9psi
親質量、生成物質量、デクラスタリング電位(DP)、衝突エネルギー(CE)などの全てのMSパラメータは、自動調整アプリケーションDiscoveryQuant-Optimizeを用いて獲得される。スキャン時間は0.025秒である。
古典的なHPLCフロントエンド機器のより高速の代替手段は、C4(RFCP4A)カートリッジを備えたRapidFire 360システム(Agilent Technologies)である。デバイスは、HPLCと同様の方法でタンデム質量分析計に接続される。Rapid Fireは、最小限のクロマトグラフィで固相抽出を実施する。このアプローチは従来のLCよりもはるかに高速であるが、LLOQが増大することがあり、一部の化合物はカートリッジに十分に保持されないため、一部の化合物は、古典的なLCアプローチを用いた再処理が必要なこともある。
RapidFireパラメータ:
RapidFire:Agilent RF360パラメータ:
RapidFireサイクル期間:
吸引:500ms(約20μL)
負荷/洗浄:4000ms、流速1.5mL/分、水中0.1%(v/v)のギ酸を使用
溶離:3000ms、流速1.0mL/分、アセトニトリル中0.1%(v/v)のギ酸を使用
再平衡化:500ms、流速1.25mL/分、水中0.%(v/v)のギ酸を使用
RapidFireカートリッジカラム型:C4(RFCP4A)
結果
LOU064について、MDCKトランスウェルアッセイにおいて高い回収率と共に、Papp=37.3という高透過性が見出された。
実施例4
LOU064の安全性
LOU064の安全性は、第I相及び第II相の薬物動態学的及び臨床薬理学的な健常者研究と、MS以外の徴候、特に慢性特発性蕁麻疹(CSU)及びシェーグレン症候群(SjS)を患っている患者で行われた第II相/第III相臨床研究とで試験した。
第I相臨床研究におけるLOU064の短期安全性
0.5mg~600mgの用量範囲を含む最大18日間で最大18日間、並びにさらに100及び200mg b.i.d.で最大12日間の単回投与又は複数回投与としてのLOU064の短期安全性は、第I相臨床研究で示された(Kaul,M.et al.(2021).Remibrutinib(LOU064):A selective potent oral BTK inhibitor with promising clinical safety and pharmacodynamics in a randomized phase I trial.Clinical and Translational Science.10.1111/cts.13005)。
CSU被験者での第2b相研究における安全性及び許容性の概要(中間結果)
CSU被験者で行われる用量範囲設定研究において、以下の用量が12週間にわたって試験される:10、35及び100mg q.d.、10、25及び100mg b.i.d.並びにプラセボ。
LOU064は全用量範囲にわたって十分に許容され、ほとんどのAEは重症度が軽度であり、明白な用量依存性パターンは有さなかった。重篤なAE及び最も頻度の高いAEは、基本語及びプライマリー器官別大分類により表3に記載される。全体として、いずれかの用量のLOU064を服用する患者の58.1%が少なくとも1つのAEを有した:LOU064を受けた患者の38.6%は軽度のAEを有し、患者の16.9%は中程度のAEを有し、患者の2.6%は重度のAEを有した。プラセボ群では、患者の42.9%が少なくとも1つのAEを報告した:プラセボを受けた患者の33.3%は軽度のAEを有し、9.5%は中程度のAEを有し、0.0%は重度のAEを有した。研究中に、死亡はなかった。重篤なAEはいずれかのLOU064用量を受けた5人の患者(1.9%)によって報告され、プラセボを受けた患者(0.0%)ではなかったことと比較される:1人の患者により腎膿瘍が報告され、治療の中止に至った(29日目、25mg b.i.d.);1人の患者はリンパ節腫脹の悪化を報告した(研究の開始前に存在したが12日目に悪化した、10mg q.d.);1人の患者では無治療フォローアップ期間中に尿管結石症が報告された(87日目、10mg b.i.d.);2人の患者は、CSUの再燃/増悪を経験した(1人は30日目、中止に至る、10mg b.i.d.、1人は5日目、25mg b.i.d.)。
感染症及び寄生虫症はプライマリー器官別大分類による最も一般的なAEであり、いずれかのLOU064用量を受けた患者の24.0%であったのに対し、プラセボ受けた患者では21.4%であった。頭痛(いずれかのLOU064用量9.7%対プラセボ14.3%)及び上咽頭炎(nasopharyngytis)(8.6%対7.1%)が、最も高い頻度で報告されたAEであった(いずれかの治療群の患者の10%以上で発生)。
全体として、いずれかのLOU064用量の患者の2.6%(n=7)は、治験薬の中止に至るAEを有したのに対して、プラセボでは0.0%であった(n=0)。研究中の試験群のいずれにおいても、血球数を含む有意な検査所見はなかった。
検査データの分析により、有意な所見は明らかにならなかった。全体で、AE共通用語規準グレード3(それ以上はなし)の事象が3件存在し、全て無症候性であり、医療介入なしに解決された。1人の患者は、ケトン食療法の開始から8週目にクレアチニンが上昇した(10mg q.d.);ケトン食療法の停止後に値は正常化された。リンパ球減少症の病歴を有する患者では、12週目に好中球数が1つ減少した(35mg q.d.);無治療フォローアップ期間に値は改善された。8週目にアラニントランスアミナーゼの上昇が1件あった(100mg q.d.);治療を受けている間に値は正常に戻った。
Figure 2023542878000005
Figure 2023542878000006
CSU被験者での第2b相研究(延長相)における安全性の概要(中間結果)
第2b相研究に参加したCSUの適格被験者においてLOU064の長期安全性及び許容性を評価するための52週間の非盲検の延長研究において、使用した用量は100mg b.i.d.であった。
17.86週間(範囲:2.9週間~44.7週間)の曝露中央値で少なくとも1回のLOU064の投与を受けた100人の被験者の中間解析に基づいて、安全性のシグナルは観察されていない。カットオフの時点で、93人の被験者(93%)が継続中であり、7人の被験者は研究を中止していた;中止はいずれも、有害事象によるものではなかった。表4は、中間解析のためのカットオフ日までに第2b相研究で観察された安全性の概要を示す。
Figure 2023542878000007
58人の被験者(58%)が、少なくとも1つの治療により発生したAEを経験した。AEの大部分は重篤ではなく、治療の中止には至らず、重症度は軽度であった。最も高い頻度で影響を受けたSOCは感染症及び寄生虫症(14%)であり、次に皮膚及び皮下組織障害(13%)であり、特定の有害事象に関する傾向はなかった。最も一般的な有害事象の基本語(2%以上)は、頭痛(6%)、下痢(4%)、眩暈(3%)及び胃腸炎(3%)であった;出血事象(血小板凝集異常、血小板凝集低下、血小板凝集阻害、血小板機能障害、血小板機能検査異常及び血小板毒性を含む、出血SMQ広域及びPTにおける事象と定義される)又はSOCの血液及びリンパ系障害における事象は報告されなかった。3つのSAEが報告された:卵巣嚢胞、胸痛及び虫垂炎;いずれも治験薬に関連するとはみなされなかった。
第2b相研究及び対応する非盲検延長研究からの結論
まとめると、第2b相研究では、評価した全ての用量にわたって、新しい又は予想外の安全性の所見はなかった。さらに、非盲検でLOU064 100mg b.i.d.を使用する、対応するCSU延長研究では、2020年8月31日の時点で登録された100人の被験者において、安全性のシグナルは観察されなかった。提唱される100mg LOU064 b.i.d.の投与は十分に許容され、好ましい安全性プロファイルを有すると考えられる。
CSU被験者での第2b相研究(延長相)における安全性の概要(中間結果/35.14週間の中間曝露を受けた患者)
100mg b.i.d.の用量で第2b相研究に参加したCSUの適格被験者においてLOU064の長期安全性及び許容性を評価するための上記の52週間の非盲検延長研究では、35.14週間の中間曝露を受けた患者(N=183)による新しい中間解析を実施し、この結果を、レミブルチニブ10mg qd(1日1回)、35mg qd、100mg qd、10mg bid(1日2回)、25mg bid、若しくは100mg bid、又はプラセボ(1:1:1:1:1:1:1)を最大12週間(wks)受けた成人CSU患者での無作為化二重盲検プラセボ対照Ph2bコア研究における安全性結果(NCT03926611)と比較した(表5)。
ESの長期曝露(中央値35.14wks、N=183)では、レミブルチニブ治療で少なくとも1つの有害作用(AE)を有する患者の割合(57.4%[n=105])は、CS(任意のレミブルチニブ用量に対して提示される)(58.1%[n=155];中央値12.14wks、N=267)と同様であった。ESでは、4つの重篤な有害作用(SAE)があり、6つのAEが治療の中止に至り、死亡はなかった。ES及びCSで報告されたプライマリー器官別大分類(primary organ class)(SOC)によるAEの発生率は同様であった:感染症及び寄生虫症(23.0%及び24.0%)、次に、皮膚/皮下組織障害(17.5%及び16.9%)(表5)。基本語により報告されたAEの発生率はES及びCSにおいて同等であり、頭痛(6.6%及び9.7%)が最も一般的であった。感染症(23%)、出血(4.4%)及び血球減少(0.5%)などのESにおけるAESIの発生率は、CSと一致した。新たに発生する顕著なトランスアミナーゼの増大は、ES(単離したALT>3xULN、4週間以内に正常化、1人の患者において個人的な理由で早期に中止)及びCS(1人の患者でALT>5xULN、治療で正常化)の両方において1つだけであった。検査パラメータの分析により、有意な安全性の懸念は明らかにならず、臨床的に意味のあるバイタルサインの変化は観察されなかった。有意なECG所見又は500msを超えるQTはどの患者においても認められなかった。
結論
レミブルチニブは、全用量範囲にわたって好ましい安全性プロファイルを示し、CSU患者において最大52wksの100mg bid用量へのより長期の曝露を通して新しい安全性シグナルは観察されなかった。
Figure 2023542878000008
実施例5
以下に、好ましい医薬組成物(フィルムコート錠)が説明される。
Figure 2023542878000009
実施例6
以下には、別の好ましい医薬組成物(ハードゼラチンカプセル)が説明される。
Figure 2023542878000010
Figure 2023542878000011
ハードゼラチンカプセルは良好な安定性を示し、現在の有効期間は36カ月である。
実施例7
LOU064のトランスレーショナルPK/PDモデルを用いたBTK占有率の予測
血液中のBTK占有率は、LOU064の薬理学的特性(不可逆的結合)のために、用量選択の目的で有益なバイオマーカーではない。他のバイオマーカー(CD63、CD203c、皮膚プリックテスト)によって薬理学的活性を示す前に、低用量でも完全占有率に達する。組織内の占有率は、LOU064の有効性をよりよく表すことができる。
目的
この分析の目的は、健常志願者におけるLOU064の薬物動態(PK)を特徴付けることと、これまでに開発されたトランスレーショナル標的占有モデルを使用して、用量範囲及び投与レジメン(BID対QD)にわたってヒト脾臓/組織におけるBTK占有率をシミュレートすることであった。
データ
102人の患者を含む本研究において、Kaul et al.(2021)により報告された第I相臨床研究からの薬物動態学的データを使用した。
方法
2段階アプローチを用いて、脾臓/組織におけるBTK占有率をシミュレートするためのトランスレーショナル標的占有モデルを開発した。
第1段階では、Kaul et al.(2021)により報告された第I相臨床研究からLOU064のPKデータを記述するために集団PKモデルを確立した。第2段階では、集団PKモデルからのパラメータ推定値をBTK占有率モデルで使用して、血液及び脾臓/組織におけるBTK占有率を予測した。最終的に、BTK占有率モデルを使用して、異なる用量の異なる投与レジメン(QD、BID)に対して脾臓/組織におけるBTK占有率を予測した。
結果
Kaul et al.(2021)により報告された第I相臨床研究からの中間PKを記述するために、集団PKモデルが開発された。50mgよりも低い用量を繰返し投与した後のクリアランスの変化(1日目と比較して12日目の定常状態ではクリアランスが低く、より高い用量では差異はない)に対処するために、50mg未満の用量については指数関数的な時間減衰の関数として、50mgを超える用量では一定のクリアランスとして、クリアランスをモデル化した。全体として、得られた集団モデルは、PKデータを十分適度に記述した。
PKパラメータ推定値をトランスレーショナルBTK占有率モデルで使用して、定常状態におけるBTK占有率をシミュレートした。BTK占有率のシミュレーションは、より高いBTK占有率(24時間間隔にわたるトラフ又は平均)を達成するために、同じ用量ではBID投与がQD投与よりも有効であることを示した。
QD及びBIDレジメンにおいて選択される回数の用量に対して、24時間にわたるトラフ及び平均の定常状態BTK占有率は、図21A(定常状態でのBTK占有率の24時間にわたるトラフ)及び図21B(定常状態でのBTK占有率の24時間にわたる平均)に示されており、それぞれ、1日1回10mg、35mg、100mg、並びに1日2回10mg、25mg及び100mgの投与レジメンに対するものである。いずれの図も、末梢標的組織において80%以上のトラフBTK占有率を達成するために、最大200mg(100mg BID)の1日の用量が必要とされ得ることを示す。
異なる投与レジメンを比較するためにシミュレーションを実施した。100mg BID対100mg QDの、シミュレートした定常状態の脾臓BTK占有率の経時的な比較は、図22に示される。グラフは、BID投与からの占有率が、QDと比較して高く、あまり変動しないことを示す。
結論:
BTK占有率のシミュレーションは、より高いBTK占有率(24時間間隔にわたるトラフ又は平均)を達成するために、同じ用量ではBID投与がQD投与よりも有効であることを示した。
実施例8
RMS患者の治療におけるLOU064の有効性及び安全性を示す第III相臨床研究
目的
再発性MSを有する被験者での年換算再発率(ARR)で評価される再発確認の頻度を減少させるのに、LOU064(100mg 経口 b.i.d.)がテリフルノミド(14mg 経口 1日1回)よりも優れていることを実証するために、多発性硬化症患者をLOU064で治療する。
方法
RMS患者の治療とその長期非盲検安全性延長試験において、LOU064(100mg b.i.d.)対テリフルノミド(14mg)の有効性及び安全性を評価する、2つの同一の二重盲検、無作為化、ダブルダミー、活性比較薬対照(active comparator-controlled)、並行群、他施設研究が実施される。全体で、約1600人の被験者(研究ごとに800人)がこれらの第III相研究に参加する。
患者を無作為化(1:1)して、1日目から始めて最大30カ月間、LOU064 100mg 経口 b.i.d.又はテリフルノミド14mg(1日1回経口で)のいずれかを受けさせる。研究の期間はフレキシブルであり、盲検コア治療期において予め指定された基準に従って終了される。2017 McDonald診断基準(これは、再発寛解過程(RRMS)又は疾患活動性を伴う二次進行型(SPMS)過程を含み得る)に従って再発性MSと診断された18~55歳の患者であって、スクリーニング時に0~5.5の総合障害度評価尺度(EDSS)スコアKurtzke,Neurology:1983,Nov;33(11):1444-52に従う)を有し、過去1年間に1回以上の再発、若しくは過去2年間に2回以上の再発、又は無作為化前の6カ月間に陽性ガドリニウム増強(Gd+)MRIスキャンを経験しており、及び無作為化前の1カ月間、神経学的に安定している患者が含まれた。
この研究の主要評価項目は、年換算再発率(ARR)、すなわち1年当たり確認された再発の数である。主な副次的評価項目には、身体障害エンドポイント(プールされたCDP、すなわち、2つの研究のプールされたデータに基づいてEDSSでの3カ月持続する障害進行(3mCDP)及び6カ月持続する進行(6mCDP)で測定される、身体障害の進行までの時間)、MRIエンドポイント(すなわち、MRIスキャン当たりのT1ガドリニウム(Gd)増強病変の数、1年当たりのMRIにおける新しいT2病変又は拡大しているT2病変の数(年換算T2病変率))、血清中のニューロフィラメント軽鎖(NfL)濃度、2つの研究のプールされたデータに基づいて疾患活動性-3の証拠がないこと(NEDA3)、並びにベースラインからの脳容積変化率の評価に基づいた脳容積損失(BVL)の割合が含まれる。
ARR及びMRIエンドポイントは、NBモデルを用いて分析される;CDPエンドポイントは、Cox回帰モデルを用いて分析される。
各研究について合計約800人の被験者を1:1比(治療群当たり400人)で治験薬に対して無作為し、有意水準0.025の片側検定に基づいたレミブルチニブ(LOU064)によるARRの40%の相対的減少及び2年間のドロップアウト率20%を仮定して、各研究の主要評価項目(ARR)についてLOU064のテリフルノミドに対する優位性を実証するために90%を超える力を提供する。2つの研究から合わせて1600人の患者は、有意水準0.025の片側検定に基づいた40%のリスク減少及び2年間のドロップアウト率20%を仮定して、3mCDPにおいてLOU064のテリフルノミドに対する優位性を実証するために90%の力を提供する。さらに、RMS患者の治療において、テリフルノミド(14mg QD)と比較したLOU064(100mg bid)の有効性及びLOU064治療の優位性は、SDMT、T25FW及び9HPTなどの副次的評価項目を測定することによって、並びにMSIS-29、HUI-III、PHQ-9、GAD-7、FSIQ-RMS及びBPI-SFなどの患者報告アウトカムを測定することによっても評価される。
副次的アウトカム尺度の概要は以下の表に示される:
Figure 2023542878000012
Figure 2023542878000013
LOU064(100mg bid)の長期の安全性及び有効性を測定するために、延長パートを実行する。
延長パートは非盲検シングルアームの固定用量設計であり、適格参加者は、最大5年間LOU064で治療される。コア研究でLOU064を受けた参加者(最大30カ月)はLOU064(100mg bid)を継続し、コア研究でテリフルノミド(14mg QD)を受けた参加者はLOU064(100mg bid)に切り替えることになる。
Figure 2023542878000014
Figure 2023542878000015
実施例9
LOU064で処置したラットMOG EAEマウスのscRNA-seq解析
方法
scRNA-seqデータの処理及び品質管理
10X Genomics Chromiumの生の配列読取りデータをCell Rangerにより処理した[Zheng,G.et al.(2017),Nat Commun 8,14049]。その後の解析は全て、「Orchestrating single-cell analysis with Bioconductor」のガイドライン[Amezquita,R.A.et al(2020),Nat Methods 17,137-145]に大まかに従い、scuttle、scater[Davis J McCarthy et al.(2017),Bioinformatics,Vol 33、8、1179-1186]及びscran[Lun ATL et al.(2016),F1000 Research,5:2122;https://doi.org/10.12688/f1000research.9501.2]パッケージにより提供されるフレームワークを用いて、R v4.1及びBioconductor v3.14で実行した。1つのサンプルは、細胞当たりのUMIの数が少なく、周囲のRNAによる汚染が疑われたため、分析から除外した。適応的閾値品質管理を使用して、ライブラリサイズが小さい、検出遺伝子数が少ない、又はミトコンドリア読取り率が高い低品質細胞を除去した。scDblFinderを用いて、ダブレットを特定し、除去した[Germain PL et al.(2021)F1000Research 10:979;https://doi.org/10.12688/f1000research.73600.1]。合計で、76287個の細胞が品質管理に合格した。
正規化、特徴選択及び次元削減
ライブラリサイズ及び組成の偏りを補正するために、細胞をプールし、サイズ係数をデコンボリューションした後、log2変換することにより、正規化を実施した。遺伝子当たりの平均-分散関係を2つの組織に対して別々にモデル化した。遺伝子変異の生物学的要素がゼロに等しいという帰無仮説下で5%のFDR閾値を用いて、変動性の高い遺伝子を選択した。次にこれらの遺伝子を使用して主成分分析を実施し、遺伝子変異の生物学的要素に関連するPCのみを保持した。最後に、選択されたPCを使用して、データの次元削減表現を得た(UMAP)。
クラスタリング及び細胞型アノテーション
5つの最近傍、重み付けスキームとしてのJaccard係数、及びクラスタリング法としてのLouvainによる共有最近傍グラフベースのクラスタリングアプローチを使用して、同様の細胞のクラスタを特定した。SingleR[Aran D et al.(2019),Nat Immunol.20,163-172]と、2セットのマウス細胞型のバルクトランスクリプトミクスリファレンス[Heng TS et al.(2008),Nat.Immunol.9,1091-1094;Benayoun b et al.(2019),Genone Res.29,697-709]とを用いて、細胞クラスタを細胞型に割り当てた。UCell[Andreatta M.et al.(2021),Comput Struct Biotechnol J.19:3796-3798]と、マーカー遺伝子[Deczkowska A et al.(2018),Cell.17;173(5):1073-1081]とを用いて、ミクログリアをさらに、恒常性ミクログリア(HM)及び疾患関連ミクログリア(DAM)としてアノテートした。
差次的発現及びエンリッチメント解析
各細胞型について、edgeR[Robinson MD et al.(2010),Bioinformatics,26(1)、139-140]を用いて擬似バルク差次的発現解析を実施した後、fgsea[Gennady Korotkevich et al.,doi:https://doi.org/10.1101/060012]による遺伝子セットエンリッチメント解析、及びMSigDB[Arthur Liberson et al.,Bioinformatics,Vol 27,12:1739-1740]からの複数遺伝子セットコレクションを実施した。Human Phenotype Ontolog[Koehler S.et al.(2021)Nucleic Acids Res.49(D1):D1207-D1217.doi:10.1093/nar/gkaa1043]からの神経炎症シグネチャをUCell[Andreatta M.et al.(2021),Comput Struct Biotechnol J.19:3796-3798]によりスコア化し、その有意性を片側マン・ホイットニーのU検定で評価した。
結果
LOU064によるラットMOG EAEマウスのBtkの阻害は、ミクログリア細胞における神経炎症を弱める
scRNA-seqを用いて、LOU064又は通常の食物で処置したラットMOG EAEマウスの脳及び脊髄をプロファイリングすることにより、間質細胞(線維芽細胞、内皮細胞)、CNSで動員される全ての主要な免疫細胞型(B細胞、T細胞、DC、単球及びマクロファージ)、並びにCNSの常在細胞:ニューロン、神経上皮細胞、アストロサイト、オリゴデンドロサイト、及びミクログリア(HM及びDAMにさらに分類される)を含む、13の異なる細胞型が特定された。
13の細胞型にわたってLOU064処置動物と対照との間で差次的に発現される遺伝子の特定に続いて、神経炎症遺伝子シグネチャ(Human Phenotype Ontologから供給される)がミクログリア内のLOU064によって影響されるかどうかを調査し、ほとんどの条件にわたって有意な下方制御を観察した(図23)。
実施例10:健常者におけるレミブルチニブ投与の併用及び中断による、3つの異なるタイプのワクチンに対する免疫応答の調節の評価
Figure 2023542878000016
研究設計
全体設計
この無作為化二重盲検プラセボ対照研究は、並行群設計を有する。20%までの推定ドロップアウト率を考慮して、最低72人の評価可能な完了者を達成するために、約90人の健康な妊娠の可能性のない女性及び男性の参加者を3つの治療群のいずれに無作為化する。研究は、28日間のスクリーニング期間、43日間の治療期間、その後最後の治験薬投与から2週間以内の研究完了評価(57日目)からなるであろう。最後の治験薬投与の約30日後に安全性のフォローアップコールが実施される(73日目)。参加者は、-1~1日目及び14~17日目は居住している。全体で、各参加者の最大研究期間は85日間である。
インフルエンザ/Pneumovax(登録商標)23及びImmucothel(登録商標)のための併用及び中断されるレミブルチニブ治療シナリオの影響をプラセボに関して評価する。
研究の実施
スクリーニング&ベースライン
スクリーニングで適格性基準を満たす参加者は、-1日目にベースライン評価に入ることになる。ベースライン安全性評価結果は全て、初回投与の前に得られていなければならない。ベースラインにおいて、参加者は以下に記載される3つの治療群の1つに無作為化される。
治療
全ての参加者は1日目から42日目まで治験薬(レミブルチニブ100mg又はプラセボ b.i.d.)を受け、43日目に治療来院の終了のためにクリニックに戻る。全ての参加者は、15日目に4価インフルエンザワクチン、PPV-23ワクチン及びKLHネオアンチゲンワクチンも受ける。ワクチン接種は、治験薬投与の3時間後に行うべきである。
臨床来院中、及び居住中(-1日目~1日目及び14~17日目)、参加者は、クリニックで研究担当者により治験薬を投与される。治療期間中に臨床来院から帰る際、投薬日誌と共に、自宅での自己投与のために参加者に治験薬が提供される。
安全性評価には、身体検査、ECG、バイタルサイン、標準的な臨床検査の評価(血液学、血液化学、尿検査)有害事象及び重篤な有害事象のモニタリングが含まれ得る。
レミブルチニブの薬物動態を評価するために、8日目、15日目及び36日目に全ての参加者から複数の血液サンプルが採取され得る。
群A(レミブルチニブ併用治療):
参加者は1~7日目にプラセボ(b.i.d.)を受けた後、15日目に3種のワクチンを投与する前に、PK/PD定常状態を達成するために研究の8~15日目にレミブルチニブ(100mg b.i.d.)による治療を受けるであろう。参加者は、42日目までレミブルチニブ(100mg b.i.d.)の投与を継続し得る。
群B(レミブルチニブ治療の中断):
参加者は、PK/PD定常状態条件を達成するために1~7日目にレミブルチニブ100mg b.i.dにより治療された後、8~28日目にプラセボ(b.i.d.)投与を受け、15日目に3種のワクチンが投与されるであろう。レミブルチニブ100mg b.i.d.による治療は、29~42日目に再開され得る。
群C(プラセボ):
群Cの参加者は、1~42日目にプラセボ(b.i.d)を受け、15日目にプラセボ条件下で3種のワクチンによりワクチン接種されるであろう。
選択基準(key inclusion criteria)
・ 研究に参加する前に、署名されたインフォームドコンセントを得なければならない。
・ 18~55歳(包括的)の健康であるか又は軽度の肥満であるがその他の点では健康である男性及び妊娠の可能性のない女性の参加者。
・ 参加者は、表示されるスクリーニング及びベースライン来院時に既往歴、身体検査、バイタルサイン、ECG、及び臨床検査により決定されるように、良好な健康状態でなければならない。
・ スクリーニング及びベースライン時に、バイタルサイン(収縮期及び拡張期血圧並びに脈拍数)は座位で評価され、再度(評価スケジュールで必要とされる場合に)立位で評価され得る。座位のバイタルサイン(3分間座った後)は以下の範囲内でなければならない:
・ 鼓膜体温 35.0~37.5℃。
・ 収縮期血圧(SBP) 90及び139mmHg(包括的)。
・ 拡張期血圧(DBP) 50及び89mmHg(包括的)。
・ 脈拍数 45及び90bpm(包括的)。
・ 参加者は、研究に参加するために少なくとも50kgの体重でなければならず、18~34.9kg/m2の範囲内の肥満度指数(BMI)を有さなければならない。
・ 参加者は、プロトコルにより要求される通りに臨床現場に留まり、ICFに概説される要件/指示に従う意思がなければならない。
・ 本研究の要件を理解し、それに従うために、現地語を読み、話し、理解することができる。
除外基準(key exclusion criteria)
1.初回投与前の5半減期以内又は30日以内のいずれか長い方の期間の他の治験薬の使用。
2.臨床的に有意なECG異常の現在の証拠若しくは既往歴、又はQT間隔延長症候群若しくは他の心伝導の異常の家族歴(祖父母、両親、及び兄弟姉妹)、多形性心室頻拍(TdP)の付加的な危険因子(例えば、心不全、低カリウム血症)の病歴、及び/又は既知の病歴又は現在の臨床的に有意な不整脈。異常なECGは、PR>220msec、QRS複合>120msec、男女共にQTcF>450msec、又は早期再分極以外の任意の他の形態学的変化、非特異的S-T又はT波の変化と定義される。
3.局所再発又は転移の証拠の有無に関わらず、過去5年以内の治療又は未治療の任意の臓器系の悪性腫瘍(皮膚の限局性基底細胞癌又は子宮頸部上皮内癌以外)の病歴又は存在。
4.初期投与前の2週間以内に回復されなかった、心血管、肺、代謝、肝臓、腎臓、血液、内分泌、神経又は精神の疾患を含む(限定はされないが)任意の主要な器官別大分類の臨床的に有意な疾患病歴又は存在。
5.レミブルチニブ又は同じ化合物群からの薬物又はその賦形剤に対する過敏症。
6.急性感染症、発熱若しくは過敏性反応、又は本研究で投与されるワクチンの任意の関連成分(例えば、鶏卵又は貝類/KLH)に対する既知の過敏症を含む、Pneumovax 23、インフルエンザ又はKLHワクチンの使用の禁忌。
7.2022~2023年の季節性インフルエンザワクチンのワクチン接種歴、又は登録前の2022~2023年のインフルエンザの季節中のインフルエンザ感染の既知の臨床診断。
8.KLHによる過去の曝露又は免疫化の履歴。

Claims (39)

  1. 多発性硬化症の治療で使用するためのLOU064又はその薬学的に許容される塩。
  2. LOU064が、約50mg~約150mgの用量で1日2回経口投与される、請求項1に記載の使用のためのLOU064。
  3. LOU064が、約100mgの用量で1日2回経口投与される、請求項1又は2に記載の使用のためのLOU064。
  4. 前記治療が長期的治療である、請求項1~3のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  5. 前記多発性硬化症が、再発性多発性硬化症、特に臨床的に孤立した症候群(CIS)、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、及び二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、特に活動性SPMSから選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  6. 患者が、以前の疾患修飾療法の薬物からLOU064へ切り替えられる、請求項1~5のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  7. 前記以前の疾患修飾療法の薬物が、B細胞及び/又はT細胞阻害剤、テリフルノミド、ミトキサントロン、フマル酸ジメチル、クラドリビン、フィンゴリモド、シポニモド、ポネシモド、酢酸グラチラマー、及びインターフェロン(例えば、ベータインターフェロン)から選択される、請求項6に記載の使用のためのLOU064。
  8. 前記以前の疾患修飾療法が有効性を欠いている、請求項6又は7に記載の使用のためのLOU064。
  9. 前記患者が、前記以前の疾患修飾療法に対して許容性を欠いている、請求項6~8のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  10. 前記以前の疾患修飾療法が、LOU064の投与開始前に中止される、請求項6~9のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  11. 前記患者が今後12カ月以内に妊娠することを計画している場合に、LOU064が選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  12. 前記患者が今後12カ月以内に化学療法を受けるつもりである場合に、LOU064が選択される、請求項1~11のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  13. 前記治療が単独療法である、請求項1~12のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  14. LOU064がCYP3Aの強力な阻害剤と併用して投与されない、請求項1~13のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  15. LOU064がCYP3A4の強力な誘発剤と併用して投与されない、請求項1~14のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  16. COVID-19に急性感染したか又は以前に感染した患者が治療される、請求項1~15のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  17. 前記治療がCOVID-19感染中に継続される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  18. 前記治療がCOVID-19感染中に中断され、前記感染を克服した後に継続される、請求項1~16のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  19. 前記治療が民族の影響を受けない治療である、請求項1~18のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  20. LOU064が、再発後に投与される、請求項1~19のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  21. LOU064が、少なくとも1つのGd+病変の検出後に投与される、請求項1~20のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  22. LOU064が、新しいT2病変又は拡大しているT2病変の検出後に投与される、請求項1~21のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  23. 前記患者が成人である、請求項1~22のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  24. 前記患者が、最大24カ月、好ましくは12~24カ月の治療の中で、以下の:
    - 未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、ガドリニウム増強病変の平均総数の減少、
    - 未治療の患者と比較して、及び/又はインターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、年換算再発率の低下、
    - インターフェロン、テリフルノミド、酢酸グラチラマー及びフマル酸ジメチル、好ましくは、インターフェロン、テリフルノミド及びフマル酸ジメチル、より好ましくは、テリフルノミド又はインターフェロンから選択される別の疾患修飾治療を受けている患者と比較して、3カ月持続する障害進行に到達するまでの時間の長期化、
    のうちの少なくとも1つを達成する、請求項1~23のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  25. 治療の開始時のベースラインレベルと比較して、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びリパーゼのレベルが、治療の12週目まで又は24週目まで、10%を超えて変化しない、請求項1~24のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  26. 前記治療が、少なくともCD20枯渇療法と同程度に、年間再発率を低下させるのに有効である、請求項1~25のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  27. 前記患者がLOU064療法の間にワクチン接種される、特に、非生ワクチンを接種される、請求項1~26のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  28. LOU064が、LOU064のナノサイズ粒子を含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~27のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  29. LOU064が、PCSで測定したときに約50nm~約750nmの間の平均粒径を有するLOU064のナノサイズ粒子を含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~28のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  30. LOU064が、LOU064及び結合剤を約2:1の重量比で含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  31. LOU064が、LOU064、結合剤及び界面活性剤を約2:1:0.08の重量比で含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~30のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  32. LOU064が、LOU064及び結合剤を約1:1の重量比で含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~29のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  33. LOU064が、LOU064、結合剤及び界面活性剤を約1:1:0.05の重量比で含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~29及び32のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  34. LOU064が、LOU064、結合剤としてのポリビニルピロリドン-酢酸ビニルコポリマー、及び界面活性剤としてのラウリル硫酸ナトリウムを含む適切な経口医薬製剤の形態で投与される、請求項1~33のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  35. LOU064が経口避妊薬と同時投与される、請求項1~34のいずれか一項に記載の使用のためのLOU064。
  36. 多発性硬化症の治療における使用のための薬剤を製造するためのLOU064であって、好ましくは、前記薬剤が、約50mg~約150mgの用量で1日2回経口投与される、LOU064。
  37. 多発性硬化症を治療又は予防する方法であって、このような治療を必要としている患者に、治療的に有効な経口用量のLOU064を投与することを含む方法。
  38. 前記治療的に有効な用量が、1日2回約50mg~約150mgである、請求項37に記載の方法。
  39. 前記多発性硬化症が、再発性多発性硬化症、特に臨床的に孤立した症候群(CIS)、再発寛解型多発性硬化症(RRMS)、及び二次性進行型多発性硬化症(SPMS)、特に活動性SPMSから選択される、請求項37又は38に記載の方法。
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