JP2024501491A - 塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの使用 - Google Patents

塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの使用 Download PDF

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Abstract

本発明は、卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療するための医薬の製造における塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの使用、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤を用いて卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療する方法、および卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療するための塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤を提供する。

Description

本出願は、2020年12月15日に提出された中国特許出願202011477966.6.6号の優先権を主張しており、当該出願のすべての内容は引用によって全体的に本明細書に組み込まれ、すべての目的に用いられる。
本発明は、概して医薬分野に関し、特に、卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌の治療における塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの使用に関する。
卵巣癌は女性によく見られる悪性腫瘍の1つであり、典型的な症状と徴候が不足するため、一旦発見されると、ほとんどは中期・末期にあり、生存時間は非常に短い。卵巣癌は多種の病理タイプがあり、その中で最もよく見られるのは卵巣癌の70%を占める上皮性卵巣癌であり、その次は悪性生殖細胞腫瘍と性索間質腫瘍である。
早期診断が困難であり、薬物耐性再発卵巣上皮癌については有効な治療がないため、卵巣上皮癌の全体的な予後は比較的に悪い。手術と化学療法の併用は卵巣悪性腫瘍の主要な治療手段であり、化学療法は補助治療、再発治療に重要な役割を発揮する。プラチナ類を主とする併用化学療法計画は進行性卵巣癌術後の化学療法の主な推奨手段である。進行期の患者は上記の治療を受けて完全奏効を実現しても、70%~80%が再発する。現在、進行期上皮性卵巣癌の初期治療のための標準化学治療計画は白金類薬物と化学治療を併用するのが主であり、具体的な計画(レジメンとも呼ばれ)を選択するときには、患者それぞれの特徴を総合的に考慮する必要があり、その他の推奨計画としてはカルボプラチンとアントラサイクリン類薬物であるドキソルビシンリポソ-ムを併用する治療計画が含まれる。また、ドキソルビシンリポソ-ムは同様に単剤またはベバシズマブと併用して再発耐性卵巣癌の治療に用いることを推奨されている。しかしながら、現在の白金耐性再発腫瘍に対する単剤治療薬の中で、他の薬物よりも安全性や有効性の面で優れている薬物はない。
胃癌は世界的に第5番目の多発性癌である。手術による根治の機会がない患者や転移性胃癌の患者には、現在、全身薬物治療を主とする総合治療の採用が認められ、よく使用されている全身化学療法薬は、5-フルオロウラシル(5-FU)、カペシタビン、ティ-エスワン(S-1:テガフ-ル・ギメラシル・オテラシルカリウム)、シスプラチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ドセタキセル、アブラキサン(一般名:パクリタキセル・アルブミン懸濁型)、イリノテカン、エピルビシンなどを含み、標的治療薬物は、トラスツズマブ、アパチニブを含む。進行再発(末期再発性)/転移性胃癌の治療は困難であり、特に二次治療(第二選択療法)と三次治療(第三選択療法)では治療効果が良くなく、選択は限られている。
頭頚部腫瘍の発病率は世界的に第6位であり、鼻腔、副鼻腔および鼻咽頭(上咽頭)、口腔咽頭(中咽頭)、喉頭咽頭(下咽頭)、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭、耳に原発する腫瘍を含む。90%の頭頚部腫瘍はすべて頭頚部扁平上皮癌(SCCHN)であり、全世界の毎年の発病者数は55万を超え、死亡者数は30万を超えている。大多数の患者は局所再発と転移のため治癒できず、5年生存率は50%未満であり、手術と放射線化学療法は満足のいく治療効果を達成できない。
再発性頭頸部腫瘍患者では、手術や放射線治療などの根治的局所治療を再び受ける可能性があるのはごく一部であり、大部分は転移性患者と同様に緩和的全身性療法(PS 0-1)または最適な支持療法(PS≧2)を受ける必要がある。シスプラチンと5-FU(PF計画)やパクリタキセル類との併用は一般的に使用される一次化学療法(第一選択化学療法)計画の選択であり、もし患者がシスプラチンを受けるのに適当でないならば、カルボプラチンで代替することができ、上記の計画はすべてセツキシマブと併用することができる。
プラチナ系薬物による一次治療(第一選択療法)が失敗した再発転移性頭頸扁平上皮癌に対して、現在標準的な治療計画がなく、よく使用されている薬物はメトトレキサ-ト、パクリタキセルまたはドセタキセル、セツキシマブ、免疫チェックポイント阻害剤である。プラチナ系薬物による一次治療が失敗した患者に対して、二次治療(第二選択療法)/救済療法において、PD-L1検査結果に基づいて、免疫治療薬または他の計画の選択を行うことができる。
そのため、卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌のような難治性癌に対しては、より良い治療ツ-ルと計画が早急に必要とされている。
第1態様によれば、本発明は、卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療するための薬物の製造における、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの使用を提供する。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは前記薬物中の唯一の有効成分である。
いくつかの実施形態において、医薬または塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、以下の1つまたは複数の特性を有し、すなわち
(i)塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径が約30~80nm、例えば約35~75nm、約40~70nm、約40~60nm、または約60nmである特性、
(ii)塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の対イオン(multivalent counter ion)(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)とが難溶解性沈殿物を形成する特性、
(iii)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含み、これにより、リポソ-ムの相転移温度が体温よりも高い特性であって、前記リン脂質は、例えば、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチン、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる特性、ならびに
(iv)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、水添大豆レシチン、コレステロ-ルおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を含む特性からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、前記塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオン(multivalent acid ion)とが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである。
いくつかの実施形態において、卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である。
いくつかの実施形態において、胃癌は進行胃癌である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、一次治療が失敗した再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌であり、例えば、前記一次治療は、シスプラチン/カルボプラチンと5-FUまたはパクリタキセル薬との併用治療であり、任意選択的にセツキシマブとをさらに併用する治療である。
いくつかの実施形態において、医薬は、液体注射剤、注射用粉末剤または注射用錠剤などの注射剤形である。
いくつかの実施形態において、医薬は液体注射剤である。
いくつかの実施形態において、医薬の有効成分の含有量は、ミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mL、例えば1~2mg/mL、または1mg/mLである。
第2の態様によれば、本発明は、治療有効量の塩酸ミトキサントロンリポソ-ムを含む医薬組成物を個体に投与することを含む、個体における卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療する方法を提供する。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、医薬組成物中の唯一の有効成分である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物または塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、次の1つまたは複数の特性を有し、すなわち
(i)塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径が約30~80nm、例えば約35~75nm、約40~70nm、約40~60nm、または約60nmである特性、
(ii)塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の対イオン(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)とが難溶解性沈殿物を形成する特性、
(iii)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含み、これにより、リポソ-ムの相転移温度が体温よりも高く、リン脂質は、例えば、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチン、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる特性、
(iv)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、水添大豆レシチン、コレステロ-ルおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を含む特性からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオンとが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである。
いくつかの実施形態において、卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である。
いくつかの実施形態において、胃癌は進行胃癌である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、一次治療が失敗した再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌であり、前記一次治療は、例えば、シスプラチン/カルボプラチンと5-FUまたはパクリタキセル薬との併用治療であり、任意選択的にセツキシマブとをさらに併用する治療である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、液体注射剤、注射用粉末剤(粉末注射剤)または注射用錠剤などの注射剤形である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は液体注射剤である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物の有効成分の含有量が、ミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mL、例えば1~2mg/mL、または1mg/mLである。
いくつかの実施形態において、静脈内投与により医薬組成物を投与し、例えば、1回の静脈内投与において、前記医薬組成物の点滴投与時間は30min~120min、例えば60min~120min、または60±15minである。
いくつかの実施形態において、投与周期は4週間または3週間ごとに1回、例えば3週間ごとに1回である。
いくつかの実施形態において、治療有効量は、ミトキサントロンを基準として8~30mg/m、例えば12~20mg/mまたは20mg/mである。
第3の態様によれば、本発明は、卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌の治療における、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムを含む医薬組成物の使用を提供する。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、医薬組成物中の唯一の有効成分である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物または塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、次の1つまたは複数の特性を有し、すなわち
(i)塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径が約30~80nm、例えば約35~75nm、約40~70nm、約40~60nm、または約60nmである特性、
(ii)塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の対イオン(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)とが難溶解性沈殿物を形成する特性、
(iii)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含み、これにより、リポソ-ムの相転移温度が体温よりも高く、リン脂質は、例えば、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチン、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる特性、
(iv)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、水添大豆レシチン、コレステロ-ルおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を含む特性からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオンとが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである。
いくつかの実施形態において、卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である。
いくつかの実施形態において、胃癌は進行胃癌である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、一次治療が失敗した再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌であり、前記一次治療は、例えば、シスプラチン/カルボプラチンと5-FUまたはパクリタキセル薬との併用治療であり、任意選択的にセツキシマブとをさらに併用する治療である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は、液体注射剤、注射用粉末剤または注射用錠剤などの注射剤形である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物は液体注射剤である。
いくつかの実施形態において、医薬組成物の有効成分の含有量は、ミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mL、例えば1~2mg/mL、または1mg/mLである。
塩酸ミトキサントロンはアントラキノン抗腫瘍薬である。FDAが承認している適応症は多発性硬化症、前立腺癌、および急性骨髄性白血病であり、臨床研究によれば、悪性リンパ腫、乳癌、急性骨髄性白血病、肺癌、黒色腫、軟組織肉腫、多発性骨髄腫、肝臓癌、大腸癌、腎臓癌、前立腺癌、子宮内膜癌、精巣腫瘍、卵巣癌および頭頸部癌などに対して一定の治療効果があることを示している。例えば、骨髄抑制、白血球と血小板減少(用量制限毒性となり)、動悸、早期収縮および心電図異常などの重篤な副作用が存在するため、塩酸ミトキサントロンの臨床投与量は制限され、いつも併用する必要となっている。しかしながら、従来の研究では、これらの医薬併用の治療計画(併用レジメン)の有効性は高くないことが示されている。如何に深刻な毒性や副作用を招くことなく、抗腫瘍治療効果をさらに改善するかは塩酸ミトキサントロンの臨床応用が直面する難題である。
リポソ-ムは新しい薬物担持形態である。薬剤学の定義では、リポソ-ム薬物は一般的に薬物をリピドイド二分子層内に封入して形成された微小小胞体を指す。研究により、リポソ-ム薬物は封入薬物の生体内分布を変え、薬物を主に肝臓、脾臓、肺や骨髄などの組織器官に蓄積させ、薬物の治療指数を高め、薬物の治療用量を減らし、薬物の毒性を低減させることは示されている。これらの特性により、抗腫瘍薬研究におけるリポソ-ム担持薬物の応用は非常に重要視されている。本発明の出願人である研究者は、ミトキサントロンリポソ-ム製剤に対する研究を行っている。例えば、2006年12月29日に提出された中国特許出願200610102339.8号および2007年12月29日に提出されたPCT出願WO2008/080367A1は、ミトキサントロンリポソ-ムを開示しており、上記特許出願で開示された全ての内容は全体的に本明細書に組み込まれ、全ての目的に用いる。
ミトキサントロンリポソ-ム製剤は、通常のミトキサントロン注射剤とは異なる特殊な製剤で、生体内に入った後の両方の吸収、分布、代謝状況が明らかに異なるため、異なる適応症の治療、特に異なる腫瘍の治療に対しても、化合物自身の適応症に基づいて導き出すこと、あるいは異なる腫瘍タイプ間で導き出すことが困難である。そのため、ミトキサントロンリポソ-ム製剤の治療効果および適応症について独立に研究すべきである。本発明の発明者は、この目的のために、難治性の卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌におけるミトキサントロンリポソ-ム製剤の効能を深く研究し、本発明の各発明を完成したに至った。
以下の詳細な説明では、別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての科学用語および技術用語は、当業者によって通常理解されるものと同じ意味を有する。
本発明の広義の範囲に示される数値範囲およびパラメ-タ近似値にかかわらず、具体的な実施形態に示される数値は可能な限り正確に記載される。しかしながら、いずれの数値も本来一定の誤差を含んでいるのは、それぞれの測定に存在する標準偏差によるものである。また、本明細書に開示されたすべての範囲は、当該範囲に含まれるすべてのサブ範囲をカバ-するものとして理解されるべきである。例えば、記載された「1~10」の範囲は、最小値1と最大値10との間(端点を含む)の任意およびすべてのサブ範囲、すなわち、最小値が1以上で始まるすべてのサブ範囲、例えば1~6.1、および最大値が10以下で終わるサブ範囲、例えば5.5~10を含むものとみなすべきである。本願明細書では、数値または数値範囲において「約」を使用する場合、当該分野が許容できる数値変動の程度を表し、通常、±9%、または±8%、または±7%、または±6%、または±5%、または±4%、または±3%、または±2%、または±1%のように、その数値または数値範囲から±10%以内であることを表す。
本明細書で使用される用語「医薬組成物」は、ある薬学的目的を達成するために一緒に組み合わせられる少なくとも1つの医薬と、任意の薬剤的に許容される担体または補助物質との組み合わせを意味する。本発明のリポソ-ム製剤の技術背景において、薬剤的に許容される担体は、通常、水、緩衝水溶液、等張塩溶液(例えば、生理食塩水、リン酸緩衝液(PBS))、糖溶液などの水性担体である。本発明の技術的背景において、注射剤は適切な剤形である(さらに、それに適合する薬剤的に許容される担体のタイプもある)が、当業者は、他の剤形が選ばれる可能性がある場合(例えば、経口)には、他のタイプの薬剤的に許容される担体を選択してもよいことを理解できる。
本明細書で使用される「治療有効量」または「有効量」とは、投与対象(個体)にとってその利点を示すのに十分な用量を意味する。実際に投与される量、投与の速度および時間経過は、治療対象自身の状態および重症度によって異なる。治療のための処方(例えば、用量の決定など)は、最終的には専門医および他の医師の責任であり、専門医および他の医師によって決定され、一般的には、治療される疾患、患者個体の状態、送達部位、投与方法、および医師に知られている他の要因が考慮される。
本明細書に記載された「個体」、「被験者」、「患者」は、哺乳類(例えば、マウス、ラット、猫、サル、犬、馬、豚など)およびヒトが挙げられるが、これらに限定されない動物界のすべてのメンバ-を含む。好ましくは、個体はヒト個体である。明示されていない限り、用語「患者」、「被験者」、または「個体」は、交換して使用することができる。
1.塩酸ミトキサントロンリポソ-ムおよび製剤
塩酸ミトキシアントラキノン(Mitoxantrone HCl)はアントラキノン抗腫瘍薬であり、その構造は以下の通りである。
広義に言えば、リポソ-ム(liposome)は人工膜である。リン脂質分子の親水性頭部を水中に挿入し、リポソ-ムの疎水性尾部を空気に向けて伸ばし、撹拌して二層脂質分子の球状リポソ-ムを形成する。バイオ医薬分野では、リポソ-ムはランスジェニック技術や薬物の調製によく用いられ、細胞膜と融合できるというリポソ-ムの特徴を利用して、細胞内に薬物を送達する。薬剤学の定義では、リポソ-ム薬物は一般的に薬物をリピドイド二分子層内に封入して形成された微小小胞体を指す。リポソ-ムの化学組成には、リン脂質(天然リン脂質と合成リン脂質を含む)とコレステロ-ルが含まれることが多い。
リポソ-ム医薬製剤の調製技術は当分野で多く報告されており、当業者は関連技術指導を参考に塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤を調製することができる。
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、医薬中の唯一の有効成分である。
本発明の技術的背景において、本発明の発明者は、中国特許出願200610102339.8号またはPCT出願WO2008/080367A1に開示された方法を用いて調製された塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤が良好な効能を有することを発見した。
特定の理論に拘束されることなく、本発明の発明者は、次の特性の1つまたは複数または全部が塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤に有利であることを発見した。
I.リポソ-ム製剤/医薬では、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約30~80nm、例えば約30、25、40、45、50、55、60、65、70、75、または80nmである。より好適な範囲は、約35~75nm、約40~70nm、約40~60nmである。一例(後述の実施例を参照)において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである。粒径測定の方式は、NanoZSを含むがこれに限定されるものではない。
II.塩酸ミトキサントロンは、リポソ-ム内の多価の対イオン(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)と難溶解性沈殿物を形成する。
III.塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含む(例えば、36~38℃)ことにより、リポソ-ムの相転移温度は体温よりも高い。リン脂質分子はリポソ-ムに必須な構成要素であり、リン脂質分子の種類が異なると、これらによって形成されたリポソ-ムは、異なる温度で固体-ゲル-液体の相転移特性を有し、リン脂質の組成がリポソ-ムの相転移温度を大きく決定する。本発明の所望の相転移温度を達成するのに適したリン脂質の種類には、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチンまたはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、当業者は、相転移温度試験に基づいて、他の適切なリン脂質の種類および配合割合を選択することもできる。いくつかの実施形態において、コレステロ-ルに加えて、本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層に含まれるリン脂質分子は、水添大豆レシチンおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)である。
いくつかの具体的な実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオンとが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである。
リポソ-ム医薬製剤において、「脂質/薬物比」とは、リポソ-ム中のリン脂質二分子層の組成成分(リン脂質およびコレステロ-ルを含む)と薬物(本発明ではミトキサントロン)との質量比を意味する。例えば、本発明の例示的なリポソ-ム医薬製剤処方では、リポソ-ム中のリン脂質二分子層の組成成分(HSPC、DSPE-PEG2000およびCholを含む)とミトキサントロンとの質量比を意味する。
非限定的な例として、本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤は、以下の方法で調製することができる。
水添大豆レシチン(HSPC)、コレステロ-ル(Chol)およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアリルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を3:1:1の質量比で計量し、95%エタノ-ルに溶解し、澄明な溶液(リン脂質のエタノ-ル溶液)を得る。リン脂質のエタノ-ル溶液に300mMの硫酸アンモニウム溶液を混合し、60~65℃でlh振とう水和し、不均一な多層リポソ-ムを得る。その後、マイクロジェット装置を用いてリポソ-ムの粒度を低下させる。得られた試料を濃度0.9%のNaCl溶液で200倍に希釈した後、NanoZSで検出したところ、粒子の平均粒径は約60nmであり、主ピ-クは40~60nmに集中している。その後、限外濾過装置を用いてブランクリポソ-ムの外相である硫酸アンモニウムを除去し、外相を290mMスクロ-スおよび10mMグリシンに置換して膜貫通硫酸アンモニウム勾配を形成する。ブランクリポソ-ムに塩酸ミトキサントロン溶液(ミトキサントロンを基準として10mg/mL)を脂質/薬物比16:1の割合で添加し、60~65℃で約lhインキュベ-トした後、ゲル排除クロマトグラフィ-を行ったところ、封入効率が約100%であることが証明された。このようにして得られた製品はPLM60と命名され、後述する実施例で使用される。PLM60中のHSPC:Chol:DSPE-PEG2000:ミトキサントロンの重量比は9.58:3.19:3.19:1であり、スクロ-スグリシン溶液の浸透圧は生理値に近い。
なお、上記した例示的な調製方法における複数の技術的詳細およびパラメ-タは、当業者が合理的な範囲内で調整し、決定することができる。例えば、膜貫通硫酸アンモニウム勾配を形成する外相中のグリシン置換可能なアミノ酸の種類としては、ヒスチジン、アスパラギン、グルタミン酸、ロイシン、プロリン、アラニンが含まれるが、これらに限定されるものではない。また、例えば、HSPC、CholおよびDSPE-PEG2000の質量比を適切に調整することができる。また、例えば、特定のリポソ-ム医薬製剤の調製における脂質/薬物比のパラメ-タについては、当業者は、薬物担持量をできるだけ増加させるとともに、薬物の漏出を減少させるために、適切な脂質/薬物比を設計し、試験し、最終的に取得することができ、本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤については、使用可能な脂質/薬物比は広範囲であり、例えば、2:1以下、30:1、40:1または50:1以上であってもよく、より適切な脂質/薬物比は、約(15~20):1、例えば、約15:1、16:1、17:1、18:1、19:1または20:1であり得る。そのため、前述した塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤のいくつかの有利な特性はより重要であり、これらの特性を実現する方法論は多様である。
2.適応症
本発明において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適性は、卵巣癌、胃癌、頭頸部扁平上皮癌を含む。本発明において、卵巣癌、胃癌、頭頸部扁平上皮癌の治療に使用される第一選択薬、第二選択薬または第二選択薬以上の医薬とは、中国およびその他の国や地域(例えば、米国、欧州連合、日本国、韓国等)の医薬管理部門が卵巣癌、胃癌、頭頸部扁平上皮癌の治療に使用することを承認した第一選択薬、第二選択薬または第二選択薬以上の医薬を意味し、これには、FDAが承認したベバシズマブ、PD-1阻害剤、トラスツズマブ、アパチニブなどが含まれるが、これらに限らない。
2.1 卵巣癌
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適応性は卵巣癌である。いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、卵巣癌を治療するための本発明の医薬/医薬組成物中の唯一の有効成分として使用される。
いくつかの実施形態において、卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である。白金難治性または白金耐性再発卵巣癌とは、少なくとも標準白金に基づく計画による治療に失敗した白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である。
好適な医薬剤形は、液体注射剤、注射用粉末剤、注射用錠剤を含む注射剤形である。医薬が液体注射剤である場合、医薬の有効成分の含有量はミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mLであり、より好適には1~2mg/mLまたは1mg/mLの範囲である。
治療中、個体の表面積を基準とし、ミトキサントロンを基準として、治療有効量は通常8~30mg/mであり、より適切な範囲は12~20mg/m、例えば、12mg/m、14mg/m、16mg/m、18mg/m、20mg/mを含む。
本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適切な投与方法は静脈内投与である。いくつかの実施形態において、投与周期は4週間または3週間ごとに1回投与される。いくつかの具体的な実施形態において、静脈内投与1回当たりのリポソ-ム医薬製剤の点滴投与時間は30min~120minであり、より適切な範囲は60min~120minおよび90±15minを含む。
2.2 胃癌
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適応性は胃癌である。いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、胃癌を治療するための本発明の医薬/医薬組成物中の唯一の有効成分として使用される。
いくつかの実施形態において、前記胃癌は進行胃癌である。進行胃癌とは病理組織学的に確定診断された、転移した進行胃癌を指し、胃食道接合部癌を含む。
好適な医薬剤形は、液体注射剤、注射用粉末剤、注射用錠剤を含む注射剤形である。医薬が液体注射剤である場合、医薬の有効成分の含有量はミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mLであり、より好適は1~2mg/mLまたは1mg/mLを含む。
治療中、個体の表面積を基準とし、ミトキサントロンを基準として、治療有効量は通常8~30mg/mであり、より適切な範囲は12~20mg/m、例えば、12mg/m、14mg/m、16mg/m、18mg/m、20mg/mを含む。
本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適切な投与方法は静脈内投与である。いくつかの実施形態において、投与周期は4週間または3週間ごとに1回投与される。いくつかの具体的な実施形態において、静脈内投与1回当たりのリポソ-ム医薬製剤の点滴投与時間は30min~120minであり、より適切な範囲は60min~120minおよび90±15minを含む。
2.3. 頭頸部扁平上皮癌
いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適応性は頭頸部扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、頭頸部扁平上皮癌を治療するための本発明の医薬/医薬組成物中の唯一の有効成分として使用される。
頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌を含み、鼻咽頭癌(上咽頭癌)は本発明明細書に記載の癌の種類である。
いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は再発/転移性頭頸部扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、頭頸部扁平上皮癌は、少なくとも一次治療が失敗した再発/転移性頭頸部扁平上皮癌である。いくつかの実施形態において、シスプラチンと5-フルオロウラシル(5-FU)との併用(PF計画)またはシスプラチンとパクリタキセル類との併用は、第一選択化学療法計画の一般的な選択肢である。患者がシスプラチンの投与に適さない場合、カルボプラチンで代用することができる。上記の一次治療計画はすべてセツキシマブと併用することができる。
好適な医薬剤形は、液体注射剤、注射用粉末剤、注射用錠剤を含む注射剤形である。医薬が液体注射剤である場合、医薬の有効成分の含有量はミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mLであり、より好適な範囲は1~2mg/mLまたは1mg/mLを含む。
治療中、個体の表面積を基準とし、ミトキサントロンを基準として、治療有効量は通常8~30mg/mであり、より適切な範囲は12~20mg/m、例えば、12mg/m、14mg/m、16mg/m、18mg/m、20mg/mを含む。
本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の適切な投与方法は静脈内投与である。いくつかの実施形態において、投与周期は4週間または3週間ごとに1回投与される。いくつかの具体的な実施形態において、静脈内投与1回当たりのリポソ-ム医薬製剤の点滴投与時間は30min~120minであり、より適切な範囲は60min~120minおよび90±15minを含む。
3.投与計画
上記のように、リポソ-ム医薬製剤は特殊な医薬タイプであり、遊離薬物と比べて、リポソ-ム薬物が体内に入った後の吸収、分布、代謝状況が変化する。したがって、遊離薬物の設計および試験に基づいて得られた投与計画は、必ずしも同じ医薬のリポソ-ム製剤に適合するとは限らない。同様に、ある種の癌におけるリポソ-ム薬製剤の設計および試験から得られた投与計画は、他の種類の癌におけるリポソ-ム医薬製剤の適用にも必ずしも適合しない。
既存の研究により、同一医薬が異なる適応症を治療する際に、その安全有効用量には比較的大きな差が存在する可能性があることが示されている。
Doxil(塩酸ドキソルビシンリポソ-ム)はFDAで3つの適応症を承認しており、それぞれ、以下のとおりである。(1)卵巣癌であって、推奨用量は50mg/mであり、4週間ごとに1回静脈内投与する。(2)カポジ肉腫であって、推奨用量は20mg/mであり、3週間ごとに静脈内投与する。(3)多発性骨髄腫であって、推奨用量は30mg/mであり、ボルテゾミブを投与後4日目に静脈内投与する。
Abraxane(注射用パクリタキセル[アルブミン結合型])の場合も、FDAで承認された3つの適応症の投与計画も異なる。(1)転移性乳癌:推奨用量は260mg/mであり、30分間の静脈点滴を3週間ごとに1回投与する。(2)非小細胞肺癌:推奨用量は100mg/mであり、静脈点滴は30min行い、21日ごとに1周期とし、それぞれ1日目、8日目および15日目に投与し、1日目にはパクリタキセル(アルブミン結合型)を投与した直後にカルボプラチンを投与し、21日ごとに投与する。(3)膵臓癌:推奨用量は125mg/mであり、静脈点滴は30~40分間行い、28日ごとに1周期とし、1日目、8日目、15日目に1回ずつ投与し、ゲムシタビンは注射用パクリタキセル(アルブミン結合型)を投与直後に投与する。
AmBisome(注射用アンホテリシンBリポソ-ム)は、以下の適応症を治療するときに、開始用量がそれぞれ以下のとおりである。(1)経験治療:推奨用量は3mg/kg/日である。(2)全身性真菌感染症(麹菌、カンジダ、クリプトコッカス):推奨用量は3~5mg/kg/日である。(3)HIV感染者のクリプトコッカス性髄膜炎:推奨用量は6mg/kg/日(1~5日目)、3mg/kg/日(4日目、21日目)である。免疫機能が低下した内臓リ-シュマニア症患者:4mg/kg/日(1~5日目)、4mg/kg/日(10日目、17日目、24日目、31日目、38日目)である。このことから、同一種類の医薬による異なる適応症の治療の安全有効用量には差があることがわかる。用量と投与デ-タは、最大の薬効と最小の毒性または副作用を達成し、安全かつ有効に疾患を治療する効果を得るために、具体的な病種と患者の実際状況に基づいて個性的に決定される。
したがって、本発明の塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤の場合、異なる種類の癌に対しても異なる最適な投与方法が存在する可能性がある。
以下、具体的な実施例を参照して、さらに本発明を説明する。なお、これらの実施例は、本発明を説明するためにのみ使用され、本発明の範囲を限定するためには使用されない。以下の実施例に具体的な条件が記載されていない実験方法は、通常、一般的な条件に従うか、製造業者が提案する条件に従う。
実施例1
本願発明者らは、卵巣癌、胃癌および頭頸部扁平上皮癌の動物モデル実験において、塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤(PLM60)の効果を試験した結果(本願明細書には示されていない)、PLM60が卵巣癌、胃癌および頭頸部扁平上皮癌の治療に有効であることを明らかにした。
実施例2 白金難治性または白金耐性再発性卵巣癌の治療のための塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の臨床研究
本実施例は、単群、非盲検、多施設第Ib相研究であって、白金難治性または白金耐性再発性卵巣癌の被験者における塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の安全性および有効性を評価するために、組み入れられた被験者が塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液(PLM60)による治療を受ける。
本実施例およびその後の実施例では、完全奏効(CR)、部分奏効(PR)、疾患安定化(SD)、客観的奏効率(ORR)、病勢コントロ-ル率(DCR)と略記する。
一、試験設計
1.試験の流れ
試験群に入った被験者はすべて塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の単剤治療を受け、投与量は20mg/mであり、3週間に1回(q3w)投与した。本研究では、30例以上の被験者を試験群に入れる予定である。スクリ-ニング関連検査を投与28日前に完了し、ベ-スライン評価を行い、入選/除外基準を決定した後、被験者を試験群に入れて投与した。試験群に入ったすべての被験者は8周期の治療を受け、以下の情況が現れた場合、治療を中止することができる。疾患進行(PD)、耐えることのできない毒性反応、死亡、研究者により引き続き利益を得ることができないと判定。すでに8つの治療周期の投与を終えた被験者に対して、もしまだ治療が利益を得て、しかも耐えることができるならば、研究者と招致者が共同で検討した後に治療を続けることができるかどうかを確定し、初歩的な治療効果と安全性を観察と評価することができる。
各被験者の試験の流れはスクリ-ニング期間、治療期間およびフォロ-アップ期間のようなアサインした。
被験者がインフォ-ムドコンセントに署名し、スクリ-ニング期間内にすべてのベ-スライン検査を完備した後、入選条件を満たす被験者は、試験群に入る順番に従って、塩酸ミトキサントロン注射液による治療を受けた。すべての被験者は治療計画に基づいて治療期間の全試験過程において治療計画に規定された関連検査を完備し、安全性を観察した。
2.研究期間
本研究では、スクリ-ニング期間4週間(28日)、治療期間8周期(24週間)、最後の安全フォロ-アップ、投与終了後4週間(28日)、その後6週間ごとにPFSフォロ-アップ、進行後6週間ごとに生存フォロ-アップを実施し、各患者の持続期間は約12ヶ月と予測されている。
本研究は30例以上の被験者を試験群に入れて、本研究の全期間は24~36ヶ月を予定している。
二、被験者:
以下のすべての入選基準を満たし、いずれの除外基準もない被験者しか、本臨床研究に入選することができない。
(一)入選基準:
被験者は、次のすべての基準を満たす必要がある。
1)被験者が自発的に研究に参加し、インフォ-ムドコンセントに署名すること、
2)年齢が満18歳以上の女性の被験者、
3)病理組織学的に確定診断された上皮性卵巣癌、卵管癌または原発性腹膜癌(低悪性度の漿液性および粘液性癌を除く)、
4)少なくとも標準的なプラチナ含有治療計画による治療に失敗した、プラチナ難治性またはプラチナ耐性の再発患者、
5)ベ-スラインに、RECIST 1.1の定義に適合する測定可能な病巣が少なくとも1つ存在すること、
6)ECOGスコア0~2、
7)生存期間が3ヶ月以上であること、
8)過去の抗腫瘍治療の毒性がレベル1(一級)以下に回復したこと(脱毛、色素沈着、または研究で被験者に安全性のリスクがないと認められたその他の毒性は除く)、
9)被験者の実験室検査値は次の要件を満たしていること:
好中球の絶対値(ANC)≧1.5×10/L(実験室検査前の1週間以内に、G-CSFの白血球増加治療を受けなかった)、
ヘモグロビン(Hb)≧9.0g/dL(実験室検査前1週間以内に、赤血球注入治療を受けなかった)、
血小板≧75×10/L(実験室検査前1週間以内に、血小板輸血、トロンボポエチン、インタ-ロイキン-11または血小板上昇のための他の医薬療法を受けなかった)、
クレアチニン≦1.5×ULN、
総ビリルビン≦1.5×ULN(肝転移患者に対しては≦3×ULN以下)、
アラニンアミノトランスフェラ-ゼ(AST)/アスパラギン酸アミノトランスフェラ-ゼ(ALT)≦2.5×ULN(肝転移患者に対しては、≦5×ULN)、
アルブミン≧3.0g/dL、
凝固機能:プロトロンビン時間(PT)、国際標準化比(INR)≦1.5×ULN、
10)女性被験者の尿または血中HCGは陰性であり(閉経または子宮摘出を除く)、出産適齢期の女性被験者とその配偶者は、試験期間中と最後の投薬終了後6ヶ月以内に効果的な避妊措置をとる(例えば、複合ホルモン(エストロゲンとプロゲステロンを含む)と排卵抑制との組み合わせ、プロゲステロン避妊と排卵抑制との組み合わせ、子宮内避妊器具、子宮内ホルモン放出システム、両側卵管結紮術、精管切除術、性行為の回避など)、
11)被験者が研究者と良好なコミュニケ-ションを行い、かつ本研究の諸要件を理解し、自発的に遵守することができる者。
(二)除外基準:
次のいずれかの基準を満たす被験者は、この試験から除外される。
1)ミトキサントロンまたはリポソ-ムに対する重篤なアレルギ-があること、
2)脳または髄膜転移、
3)臨床症状のある心嚢液貯留、
4)異体臓器移植または異体骨髄移植の履歴、
5)活動性B型肝炎(HbsAgまたはHBcAb陽性、HBV DNA≧2000 IU/mL)、活動性C型肝炎(HCV抗体陽性、HCV RNAが研究センタ-の検出値下限値を上回る)、HIV抗体陽性の患者、
6)初回投与の1週間前に、系統的な治療を必要とする活動性細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症、または間質性肺炎にかかっていること、
7)初回投与前の4週間以内に抗腫瘍治療を受けること、
8)初回投与前の4週間以内に他の臨床研究薬による治療を受けたこと、
9)初回投与前の3ヶ月以内に重大な手術(手術等級:レベル3~4手術、静脈ポ-ト移植手術を除く)を受けたことがあるか、研究期間中に重大な手術を計画していること、
10)過去6ヶ月以内に、脳血管障害(一過性脳虚血発作を含む)、肺塞栓症などの血栓形成または塞栓症が発生したこと、
11)既往3年以内に他の悪性活動性腫瘍に罹患し(すでに治癒した局所治療可能性癌を除く)、例えば、基底細胞または扁平上皮細胞癌、表在膀胱癌または原位置前立腺、子宮頸部または乳癌、
12)次のような心臓機能の異常:
長いQTc症候群あるいはQTc間隔が480msより大きいこと、
完全性左脚ブロック、II度またはIII度房室ブロック、
医薬治療を必要とする重度で制御されていない不整脈、
NYHA≧3級、
心臓駆出率が50%未満であるか、または研究センタ-の実験室検査値の範囲の下限を下回っていること、
CTCAE>2級の心臓弁膜症、
制御不能な高血圧(医薬制御下で、150mmHgを超える収縮期血圧または90mmHgを超える拡張期血圧を複数回測定することと定義される)、
スクリ-ニング前6ヶ月以内に心筋梗塞、不安定狭心症、深刻な心膜疾患の病歴、急性虚血性または活動性伝導系異常の心電図証拠が出現したこと、
13)ドキソルビシンまたは他のアントラサイクリン系治療を受けたことがあり、ドキソルビシンの累積用量が350mg/mを超える(アントラサイクリン類の等価分量計算:1mgドキソルビシン=2mgエピノルビシン=2mgダウノマイシン=0.5mgデメトキシダウノマイシン=0.45mgミトキサントロン)こと、
14)妊娠中または授乳中の女性、
15)研究者の判断により、患者の本研究への参加に影響を及ぼす可能性のある重症および/または制御不能な疾患(有効に制御されていない糖尿病、透析を必要とする腎疾患、重篤な肝臓疾患、生命にかかわる自己免疫系疾患や出血性疾患、医薬乱用、神経系の病気などを含むがこれに限定されない)に罹患していること、
16)他の研究者が参加不適格と判断したこと。
(三)退出/終了基準
被験者は、研究中に次のいずれかの状況が発生した場合には、研究薬による治療の継続を中止しなければならない。
1)被験者には耐性のない毒性が見られ、研究者は研究薬による治療を継続することのほうが利得よりもリスクが大きいと考えていること、
2)画像学的に評価された疾患の進行、
3)臨床的に評価された疾患進行、重大な計画違反、または被験者のコンプライアンスが悪く、研究者の判定から研究薬による治療を継続して受けても利益が得られないと判断されたこと、
4)被験者の妊娠、
5)死亡、
6)研究退出基準のいずれかを満たすこと。
治療を退出したすべての被験者は、治療中止の原因が死亡であるか、または下記のいずれかの研究中止基準を満たしている被験者を除き、研究計画に従って継続的なフォロ-アップを行う必要がある。
被験者は、いつでも、いかなる理由であれ、研究から退出する権利を有する。次のいずれかの状況が発生すると、被験者は研究の流れを終了する。
1)訪問を失ったこと、
2)被験者がインフォ-ムドコンセントを取り下げるか、被験者若しくは家族が試験からの退出を要求したこと、
3)研究終了、
4)その他。
三、研究結果
RECIST 1.1基準に基づいて被験者の治療効果を評価し、CTCAE 5.0基準に基づいて被験者に発生したすべての有害事象を評価した。
本発明の発明者らは、ミトキサントロンリポソ-ムを使用し、医薬は静脈内投与により人体に入った後、徐放、標的化、弱毒化、効能増加の作用があり、投与量が通常の注射剤より高いだけでなく、単剤治療であり、有効性を高めることができると同時に、副作用の発生確率を下げることができる。
2021年10月31日(本研究は継続中)までに、白金難治例13例、白金耐性例34例の計47例の被験者が対象となっている。39例の被験者は少なくとも1回の治療効果評価を受け、全体的にORRは17.9%(7/39)、DCRは59.0%(23/39)であった。白金耐性で既往の治療法の数が三次治療(第三選択療法)以上の被験者の中で、計24例は少なくとも1回の治療効果評価を受け、ORRは29.2%(7/24)、DCRは62.5%(15/24)であった。すべての被験者に耐え難い副作用は見られなかった。
現在の実験結果から見ると、本発明に係る塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤は卵巣癌の治療計画を改善でき、後続の併用投薬による一次治療、二次治療に基礎を打ち立てることができる。
実施例3 塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液による進行胃癌の治療のための臨床研究
本実施例は、単群、非盲検、多施設第Ib相研究であって、進行胃癌の被験者における塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の安全性および有効性を評価するために、組み入れられた被験者が塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液(PLM60)による治療を受ける。
一、試験設計
1.試験の流れ
試験群に入った被験者はすべて塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の単剤治療を受け、投与量は20mg/mであり、3週間に1回(q3w)投与した。本研究では、30~60例の進行胃癌の被験者(男女を問わず)を試験群に入れる予定である。スクリ-ニング関連検査を投与28日前に完了し、ベ-スライン評価を行い、入選/除外基準を決定した後、被験者を試験群に入って投与した。試験群に入ったすべての被験者は最大8周期の治療を受け、以下の情況が現れた場合、治療を中止することができる。疾患進行(PD)、耐えることのできない毒性反応、死亡、研究者により引き続き利益を得ることができないと判定。第2周期後の遅延投与は許容されるが、遅延は3週間を超えてはならない。第2周期後に投与量の調整を受けることができ、最低12mg/mまで低下させることができる。投与後は治療計画に沿って安全性評価、治療効果評価を行った。最後の投薬後28日間にフォロ-アップを行った。早期に試験の流れから退出した被験者はできるだけ最後の投薬終了後のフォロ-アップを完了しなければならない。治療が終了した被験者はフォロ-アップ期間に入る。画像学的に評価された疾患の進行、新たな抗腫瘍治療を受けた被験者を除き、他の原因による治療の継続中止は、疾患の進行まで6週間ごとに腫瘍評価を行った。被験者が画像学的に評価された疾患進行を示した場合、または新たな腫瘍治療を開始した場合には、6週間ごとに生存フォロ-アップが行われる。
各被験者の試験の流れはスクリ-ニング期間、治療期間およびフォロ-アップ期間のようなアサインした。
被験者がインフォ-ムドコンセントに署名し、スクリ-ニング期間内にすべてのベ-スライン検査を完備した後、入選条件を満たす被験者は、試験群に入る順番に従って、塩酸ミトキサントロン注射液による治療を受けた。すべての被験者は治療計画に基づいて治療期間の全試験過程において治療計画に規定された関連検査を完備し、安全性を観察した。
2.研究期間
本研究では、スクリ-ニング期間4週間(28日間)、治療期間最大8周期(24週間)、最後の安全フォロ-アップ、投与終了後4週間(28日間)、その後6週間ごとにPFSフォロ-アップ、進行後6週間ごとに生存フォロ-アップを実施し、各患者の持続期間は約12ヶ月と予測されている。
本研究は30~60例の被験者をグレ-プに入れて、本研究の全期間は24~36ヶ月を予定している。
二、被験者:
以下のすべての入選基準を満たし、いずれの除外基準もない被験者しか、本臨床研究に入選することができない。
(1)入選基準:
被験者は、次のすべての基準を満たす必要がある。
1)被験者が自発的に研究に参加し、インフォ-ムドコンセントに署名すること、
2)年齢が満18歳以上であり、男女を問わず、
3)病理組織学的に確定診断された、転移した進行胃癌(胃食道接合部癌を含む)の被験者、
4)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液による治療を受けることが適切であると研究者が評価すること、
5)ベ-スラインに、RECIST 1.1の定義に適合する測定可能な病巣が少なくとも1つ存在すること、
6)ECOGスコア0~2、
7)生存期間が3ヶ月以上であること、
8)過去の抗腫瘍治療の毒性がレベル1以下に回復したこと(脱毛、色素沈着、または研究で被験者に安全性のリスクがないと認められたその他の毒性は除く)、
9)被験者の実験室検査値は次の要件を満たしていること:
好中球の絶対値(ANC)≧1.5×10/L(実験室検査前の1週間以内に、G-CSFの白血球増加を受けなかった)、
ヘモグロビン(Hb)≧9.0g/dL(実験室検査前1週間以内に、赤血球注入を受けなかった。2週間以内に、エリスロポエチン治療を受けなかった。)、
血小板≧75×10/L(実験室検査前1週間以内に、血小板輸血を受けなかった。2週間以内に、トロンボポエチン、インタ-ロイキン-11または血小板を上昇させる他の医薬療法を受けなかった。)、
クレアチニン≦1.5×ULN以下、
総ビリルビン≦1.5×ULN(肝転移患者に対しては3×ULN以下)、
アラニンアミノトランスフェラ-ゼ(AST)/アスパラギン酸アミノトランスフェラ-ゼ(ALT)≦2.5xULN(肝転移患者に対しては、≦5xULN)、
アルブミン≧3.0g/dL、
凝固機能:プロトロンビン時間(PT)、国際標準化比(INR)≦1.5×ULN、
10)女性被験者の尿または血中HCGは陰性であり(閉経または子宮摘出を除く)、出産適齢期の女性被験者は試験期間と最後の投薬終了後6ヶ月以内に効果的な避妊措置を取る(例えば、複合ホルモン(エストロゲンとプロゲステロンを含む)と排卵抑制との組み合わせ、プロゲステロン避妊と排卵抑制との組み合わせ、子宮内避妊器、子宮内ホルモン放出システム、両側卵管結紮術、精管切除術、性行為を避けるなど)、
11)男性被験者およびその配偶者が、第10条に規定する避妊措置のいずれかをとることに同意すること、
12)被験者が研究者と良好なコミュニケ-ションを行い、かつ本研究の諸要件を理解し、自発的に遵守することができる者。
(二)除外基準:
次のいずれかの基準を満たす被験者は、この試験から除外される。
1)ミトキサントロンまたはリポソ-ムに対する重篤なアレルギ-があること、
2)脳または髄膜転移の被験者、
3)胃癌が根治的切除に適している可能性がある患者、
4)明らかな臨床症状がある胸腔、心膜液貯留あるいは腹腔液貯留の被験者(スクリ-ニング前1ヶ月以内にドレナ-ジ治療を受けたことがあり、明らかな臨床症状がなく、画像学的に少量の液貯留を示しただけの者を除く)、
5)明らかな臨床症状があり、かつ介入が必要なイレウス患者、
6)初回投与前の3ヶ月以内にCTCAE 3~4級胃腸出血が発生したこと、
7)異体臓器移植または異体骨髄移植の履歴、
8)活動性B型肝炎(HbsAgまたはHBcAb陽性、HBV DNA≧2000 IU/mL)、活動性C型肝炎(HCV抗体陽性、HCV RNAが研究センタ-の検出値下限値を上回る)、HIV抗体陽性の患者、
9)最初投与前の1週間以内に、系統的な治療を必要とする活動性細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症、または間質性肺炎にかかっていること、
10)初回投与前の4週間以内に抗腫瘍治療を受けた者、
11)最初投与前の4週間以内に他の臨床研究薬による治療を受けたこと、
12)初回投与前の3ヶ月以内に重大な手術(手術等級:レベル3~4手術、静脈ポ-ト移植手術を除く)を受けたことがあるか、研究期間中に重大な手術を計画していること
13)過去6ヶ月以内に、脳血管障害(一過性脳虚血発作を含む)、肺塞栓症などの血栓形成または塞栓症が発生した場合、
14)既往3年以内に他の悪性活動性腫瘍に罹患し(すでに治癒した局所治療可能性癌を除く)、例えば、基底細胞または扁平上皮癌、表在膀胱癌または原位置前立腺、子宮頸部または乳癌、
15)次のような心臓機能の異常:
長いQTc症候群あるいはQTc間隔が480msより大きいこと、
完全性左脚ブロック、II度またはIII度房室ブロック、
医薬治療を必要とする重度で制御されていない不整脈、
NYHA≧3級、
心臓駆出率が50%未満であるか、または研究センタ-の実験室検査値の範囲の下限を下回っていること、
CTCAE>2級の心臓弁膜症、
制御不能な高血圧(医薬制御下で、150mmHgを超える収縮期血圧または90mmHgを超える拡張期血圧を複数回測定することと定義される)、
スクリ-ニング前6ヶ月以内に心筋梗塞、不安定狭心症、深刻な心膜疾患の病歴、急性虚血性または活動性伝導系異常の心電図証拠が出現したこと、
16)ドキソルビシンまたは他のアントラサイクリン系治療を受けたことがあり、ドキソルビシンの累積用量が350mg/mを超える(アントラサイクリン類の等価分量計算:1mgドキソルビシン=2mgエピノルビシン=2mgダウノマイシン=0.5mgデメトキシダウノマイシン=0.45mgミトキサントロン)こと、
17)妊娠中または授乳中の女性、
18)重篤な疾患および/または制御不能な疾患に罹患している場合、研究者の判定により、患者の本研究への参加に影響を及ぼす可能性のあるその他の疾患(有効にコントロ-ルされていない糖尿病、透析を必要とする腎臓疾患、重篤な肝臓疾患、生命にかかわる自己免疫系疾患や出血性疾患、医薬乱用、神経系疾患などを含むがこれに限定されない)こと、
19)他の研究者が参加不適格と判断したこと。
(三)退出/終了基準
被験者は、研究中に次のいずれかの状況が発生した場合には、研究薬による治療の継続を中止しなければならない。
1)被験者には耐性のない毒性が見られ、研究者は研究薬による治療を継続することのほうが利得よりもリスクが大きいと考えていること、
2)画像学的に評価された疾患の進行、
3)臨床的に評価された疾患進行、重大な計画違反、または被験者のコンプライアンスが悪く、研究者の判定から研究薬による治療を継続して受けても利益が得られないと判断されたこと、
4)被験者の妊娠、
5)死亡、
6)研究退出基準のいずれかを満たすこと。
治療を退出したすべての被験者は、治療中止の原因が死亡であるか、または下記のいずれかの研究中止基準を満たしている被験者を除き、研究計画に従って継続的なフォロ-アップを行う必要がある。
被験者は、いつでも、いかなる理由であれ、研究から退出する権利を有する。次のいずれかの状況が発生すると、被験者は研究の流れを終了する。
1)訪問を失ったこと、
2)被験者がインフォ-ムドコンセントを取り下げるか、被験者または家族が試験からの退出、
3)研究終了、
4)その他。
三、研究結果
RECIST 1.1基準に基づいて被験者の治療効果を評価し、CTCAE 5.0基準に基づいて被験者に発生したすべての有害事象を評価した。本発明の発明者は、ミトキサントロンリポソ-ムを使用し、医薬は静脈内投与により人体に入った後、徐放、標的化、弱毒化、効果増加の作用があり、投与量が通常の注射剤より高いだけでなく、単剤治療であり、有効性を高めると同時に、副作用の発生確率を下げることができる。
実施例4 再発/転移性頭頸部扁平上皮癌を治療するための塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の臨床研究
本実施例は、単群、非盲検、多施設第Ib相研究であって、再発/転移性頭頸部扁平上皮癌の被験者における塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の安全性および有効性を評価するために、被験者が塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液(PLM60)による治療を受ける。
一、試験設計
1.試験の流れ
試験群に入った被験者はすべて塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液の単剤治療を受け、投与量は20mg/mであり、3週間に1回(q3w)投与した。本研究では、30例以上の再発/転移性頭頸部扁平上皮癌の被験者(男女を問わず)を試験群に入れる予定である。スクリ-ニング関連検査を投与28日前に完了し、ベ-スライン評価を行い、入選/除外基準を決定した後、被験者を試験群に入れて投与した。試験群に入ったすべての被験者は8周期の治療を受け、以下の情況が現れた場合、治療を中止することができる。疾患進行(PD)、耐えることのできない毒性反応、死亡、研究者により引き続き利益を得ることができないと判定。第2周期後の遅延投与は許容されるが、遅延は3週間を超えてはならない。第2周期後に投与量の調整を受けることができ、最低12mg/mまで低下させることができる。投与後は治療計画に沿って安全性評価、治療効果評価を行った。最後の投薬後28日間にフォロ-アップを行った。早期に試験の流れから退出した被験者はできるだけ最後の投薬終了後のフォロ-アップを完了しなければならない。
治療が終了した被験者はフォロ-アップ期間に入る。画像学的に評価された疾患の進行、新たな抗腫瘍治療を受けた被験者を除き、他の原因による治療の継続中止は、疾患の進行まで6週間ごとに腫瘍評価を行った。被験者が画像学的に評価された疾患進行を示した場合、または新たな腫瘍治療を開始した場合には、6週間ごとに生存フォロ-アップが行われる。
各被験者の試験の流れはスクリ-ニング期間、治療期間およびフォロ-アップ期間のようなアサインした。
被験者がインフォ-ムドコンセントに署名し、スクリ-ニング期間内にすべてのベ-スライン検査を完備した後、入選条件を満たす被験者は、試験群に入る順番に従って、塩酸ミトキサントロン注射液による治療を受けた。すべての被験者は治療計画に基づいて治療期間の全試験過程において治療計画に規定された関連検査を完備し、安全性を観察した。
2.研究期間
本研究では、スクリ-ニング期間4週間(28日間)、治療期間8周期(24週間)、最後の安全フォロ-アップ、投与終了後4週間(28日間)、その後6週間ごとにPFSフォロ-アップ、進行後6週間ごとに生存フォロ-アップを実施し、各患者の持続期間は約12ヶ月と予測されている。
本研究は30例以上の被験者を試験群に入れて、本研究の全期間は24~36ヶ月を予定している。
二、被験者:
以下のすべての入選基準を満たし、いずれの除外基準もない被験者しか、本臨床研究に入選することができない。
(1)入選基準:
被験者は、次のすべての基準を満たす必要がある。
1)被験者は自発的に研究に参加し、インフォ-ムドコンセントに署名したこと、
2)年齢は満18歳以上、男女を問わず、
3)病理組織学的に確定診断された場合、頭頸部扁平上皮癌(鼻咽頭癌を含む)、
4)少なくとも一次治療に失敗した再発/転移性頭頸部扁平上皮癌患者、
5)ベ-スラインには、RECIST 1.1の定義に適合する少なくとも1つの測定可能な病巣が存在すること、
6)ECOGスコア0~1、
7)過去の抗腫瘍治療の毒性がレベル1以下に回復したこと(脱毛、色素沈着、または研究で被験者に安全性のリスクがないと認められたその他の毒性を除く)、
8)被験者の実験室検査数値は以下の要件を満たしていること:
好中球の絶対値(ANC)≧1.5×10/L(実験室検査前の1週間以内に、G-CSFの白血球増加を受けなかった)、
ヘモグロビン(Hb)≧8.0g/dL(実験室検査前3ヶ月以内に、赤血球またはエリスロポエチンの注入治療を受けなかった)、
血小板≧75×10/L(実験室検査の前1週間以内に、血小板輸血、トロンボポエチン、インタ-ロイキン-11または血小板上昇のための他の医薬療法を受けなかった)、
クレアチニン≦1.5×ULN、
総ビリルビン≦1.5×ULN(肝転移患者に対しては3×ULN)、
アラニンアミノトランスフェラ-ゼ(AST)/アスパラギン酸アミノトランスフェラ-ゼ(ALT)≦2.5×ULN(肝転移患者に対しては、≦5×ULN)、
アルブミン≧3.0g/dL、
凝固機能:プロトロンビン時間(PT)、国際標準化比(INR)≦1.5×ULN、
9)女性被験者の尿または血中HCGは陰性であり(閉経または子宮摘出を除く)、出産適齢期の女性被験者は試験期間と最後の投薬終了後6ヶ月以内に効果的な避妊措置(例えば、複合ホルモン(エストロゲンとプロゲステロンを含む)と排卵抑制との組み合わせ、プロゲステロン避妊と排卵抑制との組み合わせ、子宮内避妊器、子宮内ホルモン放出システム、両側卵管結紮術、精管切除術、性行為の回避など)、
10)男性被験者およびその配偶者が、第9条に規定する避妊措置のいずれかをとることに同意したこと。
(二)除外基準:
次のいずれかの基準を満たす被験者は、この試験から除外される。
1)ミトキサントロンまたはリポソ-ムに重篤なアレルギ-があること、
2)脳または髄膜転移の被験者、
3)既往異体臓器移植あるいは異体骨髄移植、
4)生存予想期間<3ヶ月、
5)活動性B型肝炎(HbsAgまたはHBcAb陽性、HBV DNA≧2000 IU/mL)、活動性C型肝炎(HCV抗体陽性、HCV RNAが研究センタ-の検出値下限値を上回る)、HIV抗体陽性の患者、
6)初回投与前の1週間以内に、系統的な治療を必要とする活動性細菌感染症、真菌感染症、ウイルス感染症または間質性肺炎にかかっていること、
7)初回投与前の4週間以内に抗腫瘍治療を受けたこと、
8)初回投与前の4週間以内に他の臨床研究薬による治療を受けたこと、
9)初回投与前の3ヶ月間以内に重大な手術を受けたことがあるか、研究期間中に重大な手術を予定していること、
10)過去6ヶ月以内に血栓形成または塞栓症の発生、例えば脳血管障害(一過性脳虚血発作を含む)、肺塞栓症、
11)過去3年以内に他の悪性活動性腫瘍に罹患し(すでに治癒した局部治療可能性癌を除く)、例えば、基底細胞または扁平上皮細胞癌、表在膀胱癌または原位前立腺、子宮頸部または乳癌、
12)次のような心臓機能の異常:
長いQTc症候群あるいはQTc間隔が480msより大きいこと
完全性左脚ブロック、II度またはIII度房室ブロック、
医薬治療を必要とする重度で制御されていない不整脈、
慢性うっ血性心不全の病歴があり、しかもNYHA≧3級、
過去の心臓駆出率が50%を下回っているか、または研究センタ-の実験室検査値の範囲の下限を下回っていること、
CTCAE>2級の心臓弁膜症、
制御不能な高血圧(医薬制御下で、150mmHgを超える収縮期血圧または90mmHgを超える拡張期血圧が測定されることと定義される)、
スクリ-ニング前6ヶ月以内に心筋梗塞、不安定狭心症、深刻な心膜疾患の病歴、急性虚血性または活動性伝導系異常の心電図証拠が出現したこと。
13)ドキソルビシンまたは他のアントラサイクリンによる治療を受けたことがあり、ドキソルビシンの累積用量が350mg/mを超える(アントラサイクリン類の等価分量計算:1mgドキソルビシン=2mgエピノルビシン=2mgダウノマイシン=0.5mgデメトキシダウノマイシン=0.45mgミトキサントロン)、
14)妊娠中または授乳中の女性、
15)深刻な病気や制御不能な病気を患っている場合、研究者の判定により、患者の本研究への参加に影響を及ぼす可能性のあるその他の疾患(有効にコントロ-ルされていない糖尿病、透析を必要とする腎臓疾患、重篤な肝臓疾患、生命にかかわる自己免疫系疾患や出血性疾患、医薬乱用、神経系疾患などを含むがこれに限定されない)、
16)他の研究者が参加不適格と判定したこと。
(三)退出/終了基準
被験者は、研究中に次のいずれかの状況が発生した場合には、研究薬による治療の継続を中止しなければならない。
1)被験者には耐性のない毒性が見られ、研究者は研究薬による治療を継続することのほうが利得よりもリスクが大きいと考えていること、
2)画像学的に評価された疾患の進行、
3)臨床的に評価された疾患進行、重大な計画違反、または被験者のコンプライアンスが悪く、研究者の判定から研究薬による治療を継続して受けても利益が得られないと判断されたこと、
4)被験者の妊娠、
5)死亡、
6)研究退出基準のいずれかを満たすこと。
治療を退出したすべての被験者は、治療中止の原因が死亡であるか、または下記のいずれかの研究中止基準を満たしている被験者を除き、研究計画に従って継続的なフォロ-アップを行う必要がある。
被験者は、いつでも、いかなる理由であれ、研究から退出する権利を有する。次のいずれかの状況が発生すると、被験者は研究の流れを終了する。
1)訪問を失ったこと、
2)被験者がインフォ-ムドコンセントを取り下げるか、被験者または家族が試験からの退出を要求したこと、
3)研究終了、
4)その他。
三、研究結果
RECIST 1.1基準に基づいて被験者の治療効果を評価し、CTCAE5.0基準に基づいて被験者に発生したすべての有害事象を評価した。
本発明の発明者らは、ミトキサントロンリポソ-ムを使用し、医薬は静脈内投与により人体に入った後、徐放、標的化、弱毒化、効果増加の作用があり、投与量が通常の注射剤より高いだけでなく、単剤治療であり、有効性を高めると同時に、副作用の発生確率を下げることができる。
2021年11月5日(本研究は継続中)までに、鼻咽頭癌23例、非鼻咽頭癌11例(舌癌5例、下咽頭癌2例、扁桃癌2例、喉頭癌と歯肉癌各1例)を含む、試験群に入った計34例の被験者は、すべて塩酸ミトキサントロンリポソ-ム注射液20mg/mを投与され、3週間ごとに1回(q3w)投与した。2周期ごとに投与後に治療効果の評価を行った。19例の被験者は、少なくとも1回の治療効果評価を受けた(鼻咽頭癌18例と非鼻咽頭癌(下咽頭癌)1例の被験者を含む)。治療効果の分析結果は以下の通りである。全体ORRは42.1%(8/19)、DCRは78.9%(15/19)であった。鼻咽頭癌では、ORRは38.8%(7/18)、DCRは77.8%(14/18)であった。1例の下咽頭癌では、治療効果はPRと評価された。すべての被験者に耐え難い副作用は見られなかった。
現在の実験結果から見ると、本発明で提供した塩酸ミトキサントロンリポソ-ム製剤は頭頸扁平上皮癌の二次治療の空白を埋め、後続の併用薬による一次治療に基礎を打ち立てる見込みがある。
上記で説明されたのは、本発明の実施に必要な特徴の組み合わせを限定するものではなく、例としてのみ使用される好ましい実施形態に過ぎない。提示された表題は、本発明を限定する様々な実施形態を意味するものではない。例えば、「含む」、「含んでいる」、および「含有」という用語は、限定されることを意図していない。さらに、別段の記載がない限り、数詞修飾がない場合は、複素数形を含み、「もしくは」、「または」、「あるいは」、「および/または」、「ならびに/あるいは」を意味する。本明細書に別段の定義がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。本願明細書に記載されているすべての開示および特許は、引用によって本明細書に組み込まれている。本発明の範囲および精神から逸脱することなく、本願明細書に記載された方法および組成物の様々な改変および変形は、当業者にとって自明である。本発明は、特定の好ましい実施形態によって説明されているが、請求項に係る本発明は、これらの特定の実施形態に不当に限定されるべきではないことが理解されるべきである。実際、当業者にとって自明である、本願明細書に記載された態様を実施するための様々な変形は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。

Claims (33)

  1. 卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療するための医薬の製造における、塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの使用。
  2. 前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムを医薬中の唯一の有効成分とする、請求項1に記載の使用。
  3. 前記医薬または前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、
    (i)塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径が約30~80nm、例えば約35~75nm、約40~70nm、約40~60nm、または約60nmである特性、
    (ii)塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の対イオン(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)とが難溶解性沈殿物を形成する特性、
    (iii)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含み、これにより、リポソ-ムの相転移温度が体温よりも高い特性であって、前記リン脂質は、例えば、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチン、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる特性、ならびに
    (iv)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、水添大豆レシチン、コレステロ-ルおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を含む特性からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する、
    請求項1または2に記載の使用。
  4. 前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオンとが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の使用。
  5. 前記卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
  6. 前記胃癌は進行胃癌である、請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
  7. 前記頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌であり、ならびに/あるいは
    前記頭頸部扁平上皮癌は、一次治療が失敗した再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌であり、前記一次治療は、例えば、シスプラチン/カルボプラチンと5-FUまたはパクリタキセル薬との併用治療であり、任意選択的にセツキシマブとをさらに併用する治療である、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の使用。
  8. 前記医薬は、液体注射剤、注射用粉末剤、または注射用錠剤のような注射剤形である、請求項1~7のいずれか1項に記載の使用。
  9. 前記医薬は液体注射剤である、請求項8に記載の使用。
  10. 前記医薬の有効成分の含有量は、ミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mL、例えば1~2mg/mL、または1mg/mLである、請求項9に記載の使用。
  11. 治療有効量の塩酸ミトキサントロンリポソ-ムを含む医薬組成物を個体に投与することを含む、個体における卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療する方法。
  12. 前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは前記医薬組成物中の唯一の有効成分である、請求項11に記載の方法。
  13. 前記医薬組成物または前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、
    (i)塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径が約30~80nm、例えば約35~75nm、約40~70nm、約40~60nm、または約60nmである特性、
    (ii)塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の対イオン(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)とが難溶解性沈殿物を形成する特性、
    (iii)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含み、これにより、リポソ-ムの相転移温度が体温よりも高く、リン脂質は、例えば、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチン、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる特性、ならびに
    (iv)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、水添大豆レシチン、コレステロ-ルおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を含む特性からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する、
    請求項11または12に記載の方法。
  14. 前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオンとが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである、
    請求項11~13のいずれか1項に記載の方法。
  15. 前記卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記胃癌は進行胃癌である、請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 前記頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌であり、ならびに/あるいは
    前記頭頸部扁平上皮癌は、一次治療が失敗した再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌であり、前記一次治療は、例えば、シスプラチン/カルボプラチンと5-FUまたはパクリタキセル薬との併用治療であり、任意選択的にセツキシマブとをさらに併用する治療である、
    請求項11~14のいずれか1項に記載の方法。
  18. 前記医薬組成物は、液体注射剤、注射用粉末剤、または注射用錠剤のような注射剤形である、請求項11~17のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記医薬組成物は液体注射剤である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記医薬組成物の有効成分の含有量が、ミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mL、例えば1~2mg/mL、または1mg/mLである、請求項19に記載の方法。
  21. 静脈内投与により前記医薬組成物を投与し、例えば、1回の静脈内投与において、前記医薬組成物の点滴投与時間は30min~120min、例えば60min~120min、または60±15minである、請求項11~20のいずれか1項に記載の方法。
  22. 投与周期は4週間または3週間ごとに1回、例えば3週間ごとに1回である、請求項21に記載の方法。
  23. 前記治療有効量は、ミトキサントロンを基準として8~30mg/m、例えば12~20mg/mまたは20mg/mである、請求項22に記載の方法。
  24. 塩酸ミトキサントロンリポソ-ムを含む医薬組成物であって、卵巣癌、胃癌または頭頸部扁平上皮癌を治療するための、医薬組成物。
  25. 前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは前記医薬組成物中の唯一の有効成分である、請求項24に記載の医薬組成物。
  26. 前記医薬組成物または前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムは、
    (i)塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径が約30~80nm、例えば約35~75nm、約40~70nm、約40~60nm、または約60nmである特性、
    (ii)塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の対イオン(例えば、硫酸イオン、クエン酸イオンまたはリン酸イオン)とが難溶解性沈殿物を形成する特性、
    (iii)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、体温よりも高い相転移温度(Tm)を有するリン脂質を含み、これにより、リポソ-ムの相転移温度が体温よりも高く、リン脂質は、例えば、水添大豆レシチン、ホスファチジルコリン、水添卵黄レシチン、ジパルミチン酸レシチン、ジステアリン酸レシチン、またはそれらの任意の組み合わせから選ばれる特性、ならびに
    (iv)塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層が、水添大豆レシチン、コレステロ-ルおよびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミン(DSPE-PEG2000)を含む特性からなる群から選ばれる1つまたは複数の特性を有する、
    請求項24または25に記載の医薬組成物。
  27. 前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ム中のリン脂質二分子層は、質量比で約3:1:1の水添大豆レシチン、コレステロ-ル、およびポリエチレングリコ-ル2000修飾ジステアロイルホスファチジルエタノ-ルアミンを含み、塩酸ミトキサントロンとリポソ-ム内の多価の酸イオンとが難溶解性沈殿物を形成し、医薬中の前記塩酸ミトキサントロンリポソ-ムの粒径は約60nmである、
    請求項24~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  28. 前記卵巣癌は白金難治性または白金耐性再発卵巣癌である、請求項24~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  29. 前記胃癌は進行胃癌である、請求項24~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  30. 前記頭頸部扁平上皮癌は、鼻腔、副鼻腔、鼻咽頭、口腔咽頭、喉頭咽頭、頸部食道、甲状腺、唾液腺、口腔、喉頭および/または耳に発生する扁平上皮癌であり、ならびに/あるいは
    前記頭頸部扁平上皮癌は、一次治療が失敗した再発性または転移性頭頸部扁平上皮癌であり、前記一次治療は、例えば、シスプラチン/カルボプラチンと5-FUまたはパクリタキセル薬との併用治療であり、任意選択的にセツキシマブとをさらに併用する治療である、
    請求項24~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  31. 前記医薬組成物は液体注射剤、注射用粉末剤、または注射用錠剤のような注射剤形である、請求項24~30のいずれか1項に記載の医薬組成物。
  32. 前記医薬組成物は液体注射剤である、請求項31に記載の医薬組成物。
  33. 前記医薬組成物の有効成分の含有量が、ミトキサントロンを基準として0.5~5mg/mL、例えば1~2mg/mL、または1mg/mLである、請求項32に記載の医薬組成物。

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