JP2013521338A - 小細胞肺癌を治療するための方法 - Google Patents

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Abstract

任意で最善の支持療法の治療計画と併せて、ピコプラチンの投与を含む、第一選択治療に反応しない、または第一選択有機白金化学療法の中止後に進行する小細胞肺癌(SCLC)の治療方法が提供される。複数回用量のピコプラチンが、投与されてもよい。ピコプラチンはまた、脳に転移したSCLCを治療することもできる。本発明は、SCLCに罹患しているヒトを、彼らに有効量のピコプラチンを、好ましくは追加の化学療法剤および/または苦痛緩和治療と併用して投与することによって、例えば、苦痛緩和治療のみを受けるSCLC患者と比較して、彼らの寿命が延命され、および/または無進行生存(PFS)が増大されるように、治療するための治療法を提供する。
【選択図】図1

Description

関連出願の相互参照
本願は、2010年3月5日に出願された米国仮出願第61/311,169号、2010年5月17日に出願された同第61/345,442号、2010年5月17日に出願された同第61/345,451号、および2010年5月20日に出願された同第61/346,777号の優先権を主張し、これらは全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。
小細胞肺癌(SCLC)は、全肺癌のうちの約14%を占める。2004年には、米国で約26,000の新規の症例があり、また欧州で約51,000の新規の症例があった(Jemal,2004)。未治療のSCLC患者の生存の中央値は、2〜4ヶ月間である(Clark,1998、Glisson,2003、Davies,2004)。併用化学療法は現在、SCLCに対する標準的な第一選択療法とされている。最も一般的な治療計画には、シスプラチンまたはカルボプラチン、およびエトポシド等の、白金(Pt)系薬が含まれる。あいにく、第一選択化学療法に対する40〜90%の反応率にも関わらず、患者は化学療法に対する耐性を生じ、再発するため、長期の生存は稀である(Sundstrom,2005、Jackman,2005)。更なる治療を伴わない場合、疾病再発後の総予測平均生存は、2〜4ヶ月間である(Huisman,1999)。
診断時において、SCLC患者の約30%は、指定の限局性疾病、同側胸部、縦隔、および鎖骨上窩リンパ節の範囲内にとどめられる腫瘍を有するであろう。初期には、これらの患者の70〜90%は化学療法に反応するであろうが、再発率は高い(75〜90%)。限局性疾病を患う患者の生存時間の中央値は、40%の2年生存率で、14〜20ヶ月にわたる。胸部および頭部への追加の放射線療法を併せても、患者の僅か6〜15%しか5年を超えて生存しない。より広範囲に広がった疾病を患う患者は、より悪い予後を有する。初期の化学療法に対する反応率は相対的に高く、すなわち、40〜70%に留まるにも関わらず、9〜11ヶ月という生存中央値は、極限性疾病を患う患者に対するよりも短く、また長期の生存は稀である。複数の薬剤、集中療法を併せても、2年を越えて生存するのは広範の疾病を患う患者の5%未満である。
シスプラチン、シスジクロロジアンミン白金(II)、第一の有機白金抗癌薬は、約40年前に導入され、異なる腫瘍型に対する幅広い活性を有し、またヒト患者内の種々の固形腫瘍の治療において依然広く使用されている。しかしながら、シスプラチンはまた、腎障害(腎臓毒性)および嘔気嘔吐等の多くの望ましくない副作用を示す。シスプラチンより副作用の少ない有機白金化合物の探求は、カルボプラチン(シス−ジアンミン−1,1−シクロブタンジカルボン酸プラチナ(II))の発見につながったが、この化合物も腎臓毒性および骨髄毒性を示し、また、骨髄回復の遅れをもたらす累積的な用量に関係する毒性を引き起こすことが既知である。より最近では、オキサリプラチン(トランス−1,2−シクロヘキサンジアミン(cyclohexanediammine)シュウ酸プラチナ(II))が同様に開発されたが、この化合物は、その腎臓毒性はカルボプラチンと比較して低減されたものの、著しい神経毒性を有する。研究されている他の白金含有薬には、サトラプラチンおよびロバプラチンが挙げられる。これらの望ましくない副作用に加え、これらの有機白金化合物は、全ての腫瘍型に対しては、また著しくは、これらの化合物に対する耐性または耐容性を生じるように突然変異することができる腫瘍に対して効果的ではなく、その結果、腫瘍はそれ以上これらの化合物で制御することができなくなる。
ピコプラチンまたは[SP−4−3]−アンミン(ジクロロ)−(2−メチルピリジン)プラチナ(II)(NX473、ZD0473、またはAMD473としても既知である)は、白金耐性(シスプラチン耐性等)細胞株に対して有効であるように開発された、また、ヒトの固形腫瘍の治療を目的とする、新規の白金薬剤である(Raynaud,1997、Holford,1998(どちらも)、Rogers,2002)。他の白金類似物同様、ピコプラチンは、細胞死につながる、DNA複製および転写を妨げるDNA内の共有結合架橋の形成によって、細胞死を引き起こす。
ピコプラチン、およびピコプラチンを作製するプロセス、および治療においてピコプラチンを使用するプロセスは、特許文献1(1997年9月9日発行)、および特許文献2(2003年2月11日発行)、および2001年5月10日に出願され、特許文献3として出版されたPCT/GB0102060号に開示および請求されており、それらは参照によりその全体が本明細書に援用される。
ピコプラチンによるフェーズIおよびIIの第二選択試験では、卵巣癌、前立腺癌、およびSCLCを含むいくつかの腫瘍型において、反応が見られた。実質的な腎毒性、神経毒性、または中毒性難聴は、動物実験において、ならびにフェーズIおよびII試験において、ピコプラチンとともに極めて稀に観察されている(Beale,2003;Treat,2002、Giaccone,2002、Gore,2002)。
現在、米国食品医薬品局(FDA)によって認可された、難治性SCLC患者の治療のための第二選択療法はない。経口トポテカン(topetecan)は、反応したが、その後第一選択治療の中止後45日以内に再発する患者における、再発性SCLCの治療に適応される。第一選択治療に対して難治性である患者は、極めて不良の予後を有し、かかる患者に対する認可薬はない。反応率は、難治性患者のあらゆる単一薬剤治療計画に対して、10%未満である(Davies,2004、Murray,2003、Sundstrom,2005、NCCN,2008)。全米癌総合ネットワーク(NCCN)2008ガイドラインは、イホスファミド、パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、またはトポテカンによる単剤療法を使用することができることを示唆している。しかしながら、これらの薬剤に伴う著しい反応率または生存利益を示す無作為試験はなく、この集団におけるこれらの使用は、著しい薬物関係毒性と関連付けられることが多い。難治性疾病を有する患者に著しい利益を提供する現在使用可能な療法はないということに関して、既刊文献では大いに意見が一致している。
米国特許第5,665,771号明細書 米国特許第6,518,428号明細書 国際公開第2001/087313号
したがって、SCLCに対する改善された化学療法への満たされていない要求は、明らかに残っている。
本発明は、SCLCに罹患しているヒトを、彼らに有効量のピコプラチンを、好ましくは追加の化学療法剤および/または苦痛緩和治療と併用して投与することによって、例えば、苦痛緩和治療のみを受けるSCLC患者と比較して、彼らの寿命が延命され、および/または無進行生存(PFS)が増大されるように、治療するための治療法を提供する。ピコプラチンは、その患者群がそれぞれ、化学療法未治療である、または第一選択化学療法が不成功であった、未治療の患者または第二選択療法におけるBSCのみの患者より、患者の寿命またはPFSを延長することができるSCLCに対する効果的な第一または第二選択療法である。かかる場合、ピコプラチンは特に、後述のように疾病進行後に更なる補助化学療法を受けられない、または受けない患者に対して有益である。
本発明はまた、第一選択療法に反応しない(第一選択療法を通して安定している、または進行する)、または第一選択療法には反応したが、その後、第一選択化学療法の中止後(すなわち、最終投薬後)90日以内に再発/進行したSCLCに罹患しているヒト患者に、ピコプラチンを投与することを含む、SCLCを治療するための方法を提供する。かかる患者は、本明細書で後述されるように、「難治性」SCLCに罹患していると称される。反応しない患者の小集団は、カルボプラチンおよび/もしくはシスプラチン等の他のPt含有抗癌剤、および/または、CAV、エトポシド、もしくはイリノテカン等の非Pt含有薬剤(後述の表9参照)の投与を含む、初期または「第一選択」化学療法を通して、またはそれらの間、SCLCが安定したままであるかまたは進行しているという点において、反応することができない。
この群はまた、他のかかる薬剤を含む初期または「第一選択」化学療法中、始めは反応し、その後、該治療終了後45日(1.5ヶ月)以内に再発/進行する難治性患者の小集団を含み、それらは「早期再発性」患者とされる。第一選択療法に反応しない、または初期療法に反応したがその後180日(3〜6ヶ月)以内に再発または進行する患者も同様に、本明細書に記載されるプロトコルに従ってピコプラチンで効果的に治療されることができる。したがって、本発明はまた、(a)SCLCに罹患しているヒト患者であって、その患者が、カルボプラチンまたはシスプラチン療法等の第一選択療法に反応しなかった、またはSCLCが該療法に反応したが、該療法の中止の約180日以内に再発した、患者を選択することと、(b)該患者に、有効量のピコプラチンを投与し、また任意で、ピコプラチンを投与される患者の寿命および/または無進行生存(PFS)が、ステップ(a)で選択され、BSCの治療計画のみを受ける患者の場合を超えて延長されるような最善の支持療法の治療計画を施与することと、を含む、小細胞肺癌(SCLC)を治療する方法を提供する。
初期には反応したが、その後、第一選択療法の中止後90〜180日以内に再発する患者は、本明細書において、「90〜180日進行性」のSCLCを有する、または第一選択療法に対してより敏感であると考えられるSCLCを有するとされる。
本方法の一実施形態において、ピコプラチンで治療された患者は、SCLCの進行後一定期間の間、例えば、SCLCの進行から最大約1年間、またはSCLCの進行から少なくとも最大約60日間、第三選択化学療法を必要としないか、または受けない。
初期療法に反応したが6ヶ月後に再発する患者は概して、第一選択療法に敏感であるとみなされ、第一選択療法で使用された薬物で再治療される。しかしながら、かかる患者はまた、化学療法未治療の患者と同様に、本明細書に開示されるピコプラチン治療計画によって治療されることもできる。
本方法は、SCLCの制御をもたらすことができ、また反応しない患者もしくは早期再発性の患者における寿命(例えば、生存時間の中央値もしくはMST)を、第一選択療法の失敗後に最善の支持療法(BSC)の治療計画のみを受けている、かかるSCLC患者の寿命と比較し、いずれかの患者群に後続補助化学療法(第三選択療法)の施与が伴っていないか、または両患者群が後続補助化学療法を受けている場合に、より延長することができる。
ピコプラチン第二選択療法は、患者の選択によって第三選択療法を受けない患者、または、第三選択療法が禁忌であるか、さもなくば使用されないまたは選択肢ではない者にとって、特に好まれる。50歳を超えない、または好ましくは50歳以下であり、および/または治療の開始前に0または1のECOG活動ステータスを示すピコプラチン治療群の患者にとって、本ピコプラチン治療は特に有益である。
本方法はまた、脳等の遠隔部位に転移したSCLCを効果的に治療することができる。
「疾病制御」とは、本明細書で後述されるように、放射線反応(完全な反応、または部分的反応「PR」)によって評価する際に進行がない、または安定した疾病として、定義される。ピコプラチンで治療され、また好ましくはBSCも受けている患者は、活性化学療法を受けていない群より延長された無進行生存(PFS)を示すことができる。
いかなる特定の理論によっても拘束されることを意図していないが、エトポシドおよびトポテカン等の特定の非白金含有抗癌剤に対するのと同様に、白金含有抗癌剤シスプラチンおよびカルボプラチンに対するSCLCの耐性の共有機構があると考えられ、細胞排出ポンプタンパク質PgPおよびMRP1の過剰発現と、酵素GST−pi1によって媒介されるグルタチオン依存性プロセス内のグルタチオンによる薬物の共輸送とを含む。ピコプラチンは、グルタチオンと結合することが不可能であり、または別の方法でグルタチオンと組み合わせることが不可能であり、したがって排出ポンプ輸送/耐性機構に敏感ではない。
したがって、第一選択シスプラチンおよび/またはカルボプラチンおよび/またはエトポシドに反応しない腫瘍、または、反応するが、かかる第一選択療法の中止後すぐに再発する腫瘍は、ピコプラチンに対して依然敏感であるか、または実質的に敏感である可能性があると考えられる。更に、トポテカンは同一のグルタチオン依存性耐性機構を共有するため、SCLCを含む腫瘍もまた、トポテカンに対して反応しないか、または反応を中断する。ピコプラチンに対する耐性は、恐らくはDNAレベルで動作する、未だ確定されていない他の機構を含む可能性がある。またこのことは、ピコプラチンを、これらの薬物が従来使用されている第二選択療法に加えて、第一選択において使用するための論拠を提供する。
エトポシドと併用して、または併用せずに、シスプラチン、またはカルボプラチンに反応を示した後に再発した腫瘍に関して、耐性は「白金無投与期間(Platinum−Free Interval)」(「PFI」)後に可逆であることがある。このことは、例えば、6〜15ヶ月の、6ヶ月を超える白金無投与期間後に、同一の白金で患者を再治療することを提言する結果になっている。これらの腫瘍はまた、第一選択治療に反応したが少なくとも45日後に再発した場合、トポテカンに敏感である可能性がある。
第一選択療法の失敗後に何らかの効果的な療法を提供することへの長年の満たされていない要望のため、例えば、他のPt含有抗癌薬による、第一選択療法の失敗後に、難治性の、反応しないまたは早期再発性のSCLC患者へ、任意でBSC治療計画を併用して、ピコプラチンを投与することは、第一選択療法の失敗後にBSCのみを受けている患者の場合よりも延長された寿命および無進行生存といった点に関して、患者に利益を提供するということが、予期せず見出された。したがって、本発明の実施形態は、ピコプラチンを本明細書に記載されるように第二選択療法として使用することによって、白金含有薬がPt感受性腫瘍を治療するのに効果的であるかもしれない療法期間を延長するための、方法を提供する。
また、反応しない患者に対して、または反応せず早期再発性である患者に対してピコプラチンを投与することは、より敏感であったが第一選択療法の中止から91〜180日で再発する患者にピコプラチンを投与することによって達成される場合よりも、大きい生存利益を提供することも、予期せず見出された。換言すると、この難治性SCLC患者の小集団は、第一選択療法により反応する患者、例えば、初めに他のPt含有抗癌剤により敏感である患者と同様に、ピコプラチンによる治療によって助けることができる。
したがって、本発明の実施形態は、(a)初期治療に反応できなかった(安定したままであった、または例えば、初期治療の2周期以上後に進行した等のような、進行した)、または、初期治療に反応し、かつその後初期治療の最終日から45日または180日以内に進行したSCLCに罹患し、任意で、50歳未満および/または2に対して0または1のECOG活動スコアを有する患者を含む、ヒト患者の集団を選択することと、(b)該患者に有効量のピコプラチンを投与することと、(c)任意で、ステップ(b)と併せて、ピコプラチンで治療された患者の寿命(OS)またはPFSが延長されるように、最善の支持療法(BSC)の治療計画を患者に提供することと、を含む、SCLCを治療するための方法を提供する。例えば、ピコプラチンで治療される患者の寿命またはPFSは、ピコプラチンまたは別の抗癌剤を受けていないが支持療法のみを受けている、反応しない、または早期再発性のSCLCを有するSCLC患者の場合を超えて、延長されることができる。
また、ピコプラチンで治療される該患者は、本明細書で後述されるように、疾病進行後、例えば、進行から最大約1年、または最大約60日間といった、一定期間の間、追加または補助化学療法を受けていなくてもよい。好ましくは、試用試験において、包括解析集団内のOSは、かかる試験後の補助化学療法が開始される時点で打ち切られる。BSCは、ピコプラチン療法後に、開始または一定期間の間継続されることもできる。好ましくは、本方法は、SCLCの疾病制御をもたらすこともできる。
本発明に従う方法の実施形態では、ピコプラチンは、治療のために選択される、患者に投与される唯一の化学療法抗癌剤であってよい。別の実施形態では、ピコプラチンは、少なくとも1つの有効量の非白金抗癌剤と併せて、該患者に投与される。
本発明の更なる実施形態では、ピコプラチンは、単独で投与されるか、または他の非Pt含有抗癌剤、もしくは放射線療法を含む療法と併用して投与される、SCLCのための初期治療として選択される。かかる化学療法剤には、ドセタキセル、パクリタキセル、エトポシド、イリノテカン、ペメトレキセド、シクロホスファミド、リポソームドキソルビシン(DL)を含むドキソルビシン、ゲムシタビン、ビンクリスチン、およびアムルビシンが挙げられる。
被験者へピコプラチンを静脈内または経口投与した後の、ピコプラチンのヒトプラズマおよびプラズマ限外濾過液内での半減期が予想外に長いため、患者が治療的に有効な抗癌量のピコプラチンに曝露される期間、および患者が治療的に有効な抗癌量のピコプラチンと第2の薬剤とに曝露される期間を提供するように、ピコプラチンは、補助の、または第2の抗癌剤に先行して投与されることができる。
例えば、約1時間の迅速な分布相後、120mg/mの静脈内用量のピコプラチンは、約100〜135時間のプラズマ消失半減期(t1/2)と、約60〜80時間のプラズマ限外濾過液(PUF)t1/2とを示すことが見出された。経口投与された固形ピコプラチンの消失t1/2は、プラズマで約100〜200である。例えば、2010年3月11日に出願された国際出願第PCT/US10/00735号、2008年2月8日に出願された第PCT/US08/001752号、および同第PCT/US08/001746号を参照されたく、それらは参照によって本明細書に援用される。
したがって、ピコプラチンは、静脈内に投与されることができ、その後最大約2日の、好ましくは、例えば、約50分±30分といった最大約1時間の抗癌薬が投与されない間隔をおき、続いて約20〜60mg/mの、例えば、Doxil(登録商標)が投与されることができる。Doxil(登録商標)(t1/2=約50時間)の投与後、患者は、その水準が治療的に有効な抗癌水準下に降下するまで、その血液内に有効抗癌量のピコプラチンおよびDoxil(登録商標)の双方を有することができる。したがって、治療的に有効量のピコプラチンは、例えば、Doxil(登録商標)濃度が、治療的に有効な水準以下に降下した後も、生体内に依然存在することが可能である。この手法は、どちらかの薬剤による、抗癌効力と副作用(例えば、AE)の制御または低減との双方において相乗効果をもたらすであろう。
そのSCLCが初期治療に反応できない患者、およびSCLCが初期治療に反応するが中止の45日以内に進行する患者は、ピコプラチン治療中のいかなる対象腫瘍反応にも関係なく、総生存(寿命)を増大させるように、ピコプラチンで有利に治療することができる。かかる実施形態において、患者は、シスプラチンもしくはカルボプラチン等の別の白金含有薬、および/または1つ以上の非白金含有薬による患者の初期の以前の治療(「第一選択療法」)に対して、少なくとも2周期(治療セッション)の第一選択治療を通して進行し、かつピコプラチン治療の開始まで進行するSCLCを含め、患者のSCLCが、少なくとも3周期の第一選択治療の間かつピコプラチン治療まで安定したままであるか、または第一選択治療の間に進行する、という点で、SCLCが第一選択治療に反応しないという観点から、極めて難治性であるSCLCに罹患している、患者の小集団を含む。
ピコプラチンは、約3、4、5、または6週の間隔、好ましくは、3週(21日)の間隔を空けて、2回の用量で投与することができる。本発明の一実施形態では、約60mg/m〜150mg/mの、または第2の実施形態では、好ましくは約150mg/mのピコプラチンが、各用量において投与される。用量は、経口もしくは非経口、または、経口と非経口経路との組み合わせを介して投与されてよい。一実施形態では、ピコプラチン用量は、ピコプラチン水溶液の静脈点滴によって投与される。1回量の点滴は典型的には、約1〜2時間かけて実施される。好ましくは、水溶液は、好適な塩によって等張であるように事前に調整された生理食塩水である。本発明の一実施形態では、約0.5mg/mlのピコプラチンが点滴溶液内に存在し、NaCl、MgCl、CaCl、KCl等の、少なくとも1つの薬剤学的に許容可能な等張調整物を含有する。好ましい投薬を達成するため、好ましくは、1回の用量につき、例えば、静脈点滴につき、約200〜300mgのピコプラチンが投与される。
癌の一連の治療にわたって、2〜15回のピコプラチン用量を施すことができ、典型的には、約21日(3週)の間隔で2〜4回の用量が投与される。例えば、副作用を低減するために治療スケジュールを修正することが必要であれば、例えば、3〜4週の、最大6週の間隔を採用することができる。
本明細書で使用される場合、「SCLCに罹患している」という用語は、組織学的混合性SCLC/非小細胞肺癌に罹患し、その癌が肺以外の部位に転移している患者を包含することを意図する。
本明細書で使用される場合、「SCLCに罹患している」という用語はまた、その癌が肺以外の部位に転移している患者も含む。
本発明の一実施形態において、少なくとも1.5×10/Lの絶対好中球数、および少なくとも100×10/Lの血小板数を有すると判定された、SCLCに罹患している患者に、約150mg/mのピコプラチンの初回用量が投与される。ピコプラチンが静脈内に投与される場合、好ましくは、1〜2時間かけて投与される。150mg/mのピコプラチンの第2の投薬が、初回投薬から約21日後に該患者に施され、血液学的パラメータが安定したままであれば、更なる投薬がこの水準で継続される。
SCLCに対する最善の支持療法(BSC)には、肺癌に対して限定された治療の有効性を有するかもしれないが治癒的とはみなされない、多数の苦痛緩和治療が含まれる。例えば、本発明の一実施形態では、BSCは、転移性癌の症状を制御するための放射線照射、疼痛を制御するための鎮痛剤の投与、便秘の管理、および呼吸困難の治療、およびヘモグロビンレベルを維持(すなわち、9g/L以上)するための、例えば、輸血による、貧血の治療のうちの、1つ以上、また好ましくは全てを含む。肺癌に対するBSCの他の特徴は、後述に記載される。本発明に従う一実施形態では、ピコプラチンは、最善の支持療法の治療計画と併せて投与される。別の実施形態では、ピコプラチンは、患者に投与される唯一の化学療法抗癌剤であることができる。肺癌は主に男性の疾病であるため、患者は男性患者である可能性がある。肺癌は、例えば、中国等のアジア諸国、ロシア、ならびに中央および東ヨーロッパで広く見られるため、患者は、これらの地理的地域を代表する民族集団から選択されることができる。好ましくは、患者は、ピコプラチン治療に対して0または1のECOG PSを呈し、および/または50歳未満である。患者は、ピコプラチン治療が開始される時点において、安定した疾病を有してもよく、または進行性の疾病を有してもよい。
本方法は更に、ステップ(c)の前に、患者に有効量の制吐用5−HT受容体拮抗薬、およびデキサメタゾンを投与することを、含むことができる。
本発明はまた、(a)水、(b)NaCl等の等張液を生じるのに有効な量の等張調整物、(c)約0.5mg/mlの溶解ピコプラチン、を含有する溶液を含む、ピコプラチンの静脈内投与に適した投薬形態を投与することを含み、該投薬形態の投与がSCLCの治療に有効である、方法を提供する。
したがって、本発明はまた、ピコプラチンを使用して、薬剤であって、SCLCに罹患している患者に、該薬剤を第一選択療法としてか、または第二選択療法として、該療法が本明細書で議論される通り、患者の寿命または患者のPFSが延長されるように、例えば、BSCと併用して、経口または非経口で投与することによって、SCLCの治療に有効であるような薬剤を、調製するための方法も提供する。薬剤は、上述の通り、単一で、または補助化学療法と併せて使用されることができる。
難治性または45日以内に再発した、未治療SCLC患者対被治療SCLC患者の総生存を比較するグラフである。 未治療SCLC患者対被治療SCLC患者の進行抑制期間を比較するグラフである。 未治療SCLC患者対被治療SCLC患者の無進行生存を比較するグラフである。 試験後の化学療法を受けなかった、被治療SCLC患者対未治療SCLC患者の総生存を比較するグラフである。 SCLC脳転移モデルにおける、ピコプラチン治療後の、FLT PET SUVおよびMRI腫瘍負荷量測定である。(A)一連の治療中にモニタリングされたFLT PET SUV。SUV値は、各動物について治療前SUV値に正規化された。PET造影が、各薬投与の24時間後に実施された。矢印は、各群における投薬日を示す。(B)時間を追ってモニタリングされた、賦形剤対照群における個々のマウスのMR腫瘍負荷量。赤線は、群に対する平均腫瘍負荷量を表す。黒矢印は、投薬時間を示す。MRI測定は、各治療の24時間後に実施され、また3〜4日後に再び実施された(1週間あたり2回)。(C)時間を追ってモニタリングされた、ピコプラチン治療群における個々のマウスのMRI腫瘍負荷量。緑点線は、ピコプラチン治療群に対する平均腫瘍負荷量を表す。Bからの赤線は、比較のために転置されている。赤矢印は、投薬時間を示す。エラーバーは、標準誤差を表す。1群あたり、N=12。 SCLC脳転移モデルにおける、ピコプラチン治療後の、FLT PET SUVおよびMRI腫瘍負荷量測定である。(A)一連の治療中にモニタリングされたFLT PET SUV。SUV値は、各動物について治療前SUV値に正規化された。PET造影が、各薬投与の24時間後に実施された。矢印は、各群における投薬日を示す。(B)時間を追ってモニタリングされた、賦形剤対照群における個々のマウスのMR腫瘍負荷量。赤線は、群に対する平均腫瘍負荷量を表す。黒矢印は、投薬時間を示す。MRI測定は、各治療の24時間後に実施され、また3〜4日後に再び実施された(1週間あたり2回)。(C)時間を追ってモニタリングされた、ピコプラチン治療群における個々のマウスのMRI腫瘍負荷量。緑点線は、ピコプラチン治療群に対する平均腫瘍負荷量を表す。Bからの赤線は、比較のために転置されている。赤矢印は、投薬時間を示す。エラーバーは、標準誤差を表す。1群あたり、N=12。 SCLC脳転移モデルにおける、ピコプラチン治療後の、FLT PET SUVおよびMRI腫瘍負荷量測定である。(A)一連の治療中にモニタリングされたFLT PET SUV。SUV値は、各動物について治療前SUV値に正規化された。PET造影が、各薬投与の24時間後に実施された。矢印は、各群における投薬日を示す。(B)時間を追ってモニタリングされた、賦形剤対照群における個々のマウスのMR腫瘍負荷量。赤線は、群に対する平均腫瘍負荷量を表す。黒矢印は、投薬時間を示す。MRI測定は、各治療の24時間後に実施され、また3〜4日後に再び実施された(1週間あたり2回)。(C)時間を追ってモニタリングされた、ピコプラチン治療群における個々のマウスのMRI腫瘍負荷量。緑点線は、ピコプラチン治療群に対する平均腫瘍負荷量を表す。Bからの赤線は、比較のために転置されている。赤矢印は、投薬時間を示す。エラーバーは、標準誤差を表す。1群あたり、N=12。
本明細書の発明の一実施形態は、反応しない、および/または早期再発性難治性のSCLCの治療に対して好適な、治療方法および投薬形態を提供する。例えば、第一選択化学療法治療計画が、シスプラチンまたはカルボプラチンの投与を含み、また腫瘍が、初期治療を通して安定したままである、もしくは進行するという点において、または、初期治療に反応するが、45日以内に再発するという点において、その治療に反応しない場合、かかる腫瘍は、本明細書に記述されるように、ピコプラチンで有効に治療されることができる。反応しない患者、または45日以内に再発する患者は、第一選択療法の中止後の白金無投与期間にあるとみなされ、その期間はピコプラチン以外のPt含有抗癌剤での更なる治療は、例えば、効果が全くないかもしれないといったように、効果がより低い。
ピコプラチンは、化学名シス−アンミンジクロロ(2−メチルピリジン)プラチナ(II)、また乃至は[SP−4−3]−アンミン(ジクロロ)−(2−メチルピリジン)プラチナ(II)の、細胞毒性白金化合物である。「ピコプラチン」という名称は、本製品に対する米国一般名(USAN)、英国一般名(BAN)、および国際的一般名称(INN)として、指定されている。ピコプラチンの分子式は、分子量376.14を有する、C10ClPtである。ピコプラチンの構造式は、
Figure 2013521338
である。
本発明は、好ましくは無菌で、好ましくは等張性の、静脈内(IV)投与に適合された水溶液を含む、ピコプラチン投薬形態を提供する。溶液は、水と、例えば、約0.75〜1.0重量%、または約0.5mg/mLの、約0.3〜0.75mg/mLの濃度のピコプラチンと、NaCl等の等張調整物とを含有する。好ましくは、溶液中に保存料は用いられない。溶液の密度は、1.005g/mLである。
Figure 2013521338
本発明の発明者は、第一選択有機白金療法に反応しない、または、反応したがその後第一選択療法の中止後45日以内に進行しているSCLC患者集団に、例えば、静脈内投与によって、ピコプラチンを投与することは、SCLCの更なる進行を抑制すること、および/または患者の寿命を延ばすことにおいて、有利であろうと認めている。実施例2において、第一選択治療に反応できなかった、または反応したがその後90日以内に進行しているSCLC患者は、「難治性SCLC」とされた。第一選択療法に初期には反応するが、45日以内に進行している難治性SCLCの小集団は、「早期再発性」SCLCと称される。また、第一選択療法に初期には反応するが、91〜180日間の間に進行する癌は、非難治性SCLCと称することができる。
ピコプラチンは、1用量あたり約60mg/mから最大約150mg/mにわたる用量で投与することができ、それは、初期白金薬療法に続く、SCLCの第二選択治療に関する最大耐性用量として決定される。これらの投与量単位は、体表面積1平方メートルあたりのミリグラム量について述べている。
本発明に従う別の実施形態では、SCLCに罹患している患者は、最善の支持療法(BSC)の治療計画と併せてピコプラチンで治療されることができ、またBSCは、ピコプラチン療法が完了した後、一定期間の間継続されることができる。本発明の一実施形態では、ピコプラチンで治療され、また進行性疾病に罹患している患者は、進行から約1年間、例えば、約60日間まで、第三選択補助療法によって治療されなかった。BSCを伴う患者に提供するために使用される一般的ガイドラインは、SCLCおよび苦痛緩和治療に関するNCCNガイドライン(NCCN Palliative Care Guidelines、2007)に基づく。別の実施形態では、ピコプラチンは、治療に関して選択された患者に投与される唯一のPt含有化学療法抗癌剤であってよく、また好ましくは、患者に投与される唯一の抗癌剤である。別の実施形態では、特にピコプラチンが第一選択または初期化学療法のために選択される場合、それは例えば、2003年9月4日に出願され、参照により本明細書に援用される米国特許出願第10/276,503号に開示されるように、他の非Pt含有抗癌剤と併せて使用されることができる。かかる薬剤には、本明細書で下に開示される「補助化学療法」において有用であると開示されているものが含まれてよい。
本発明は、有効量の制吐用5−HT受容体拮抗薬およびデキサメタゾンが、有機白金化合物の投与に付随する可能性がある嘔気嘔吐の副作用を低減するために、ピコプラチンの投与前に患者に投与される、SCLC治療方法を更に含む。本発明に従って使用することができる5−HT受容体拮抗薬の例は、オンダンセトロンである。
実施例1.フェーズII試験
ピコプラチン単剤療法のフェーズII試験が、反応しなかったSCLC、または第一選択療法に反応するが、その後第一選択療法の完了90日以内に進行しているSCLC、または本明細書に記述されるように、91〜180日進行性の疾病を有するSCLC罹患患者に対して集団的に行われた。SCLCが、第一選択有機白金化学療法(シスプラチン、カルボプラチン、またはオキサリプラチン)に無反応であった44名、およびSCLCが第一選択療法の中止後90日以内に再発した27名、および91〜180日進行性のSCLCを患う6名の患者を含む、測定可能な疾病を有する77名の患者群が、21日毎に1〜2時間にわたって静脈内に与えられる150mg/mの投与量で、ピコプラチンによって治療された。ピコプラチンは、IV点滴用の0.5mg/mLの無菌等張水溶液として提供された。
患者は、1〜10周期のピコプラチンを受けた。投与された投与量周期数の中央値は2、また投与量周期数の平均は3であった。有害事象(AE)は、NCI CTCAEを使用してグレード化された。あらゆる重篤度の最も多く報告されたAEが、下の表2に示される。グレード3または4の神経毒性、聴器毒性、または腎臓毒性はなかった。治療関連死はなかった。
Figure 2013521338
腫瘍反応が、RECIST基準を使用して6週毎に評価された。77名の患者のうち、3名(4%)が部分反応(PR)を有し、33名(43%)が安定した疾病(未確認PR+SD)を有し、また36名(47%)が進行性疾病を有した。疾病制御率は、77名の患者で47%であった。全生存の中央値は、27週(77名中63名の死亡事象;95%CI=21〜33週)であった。1年生存率は、16.9%(95%CI=11〜28)であった。無進行生存の中央値は、9.1週(77名中71名の進行事象;95%CI=7〜12週)であった。ピコプラチン単剤療法は、SCLCに関する他の報告されている治療の選択肢に匹敵する生存の中央値をもたらし、また低減された毒性プロフィールを有した。
用量の減量
白血球数(WBC)を、微分計数および血小板数、ならびにヘモグロビンとともに、血液学的毒性が発生していないかどうかを判定するために、周期1および2の第11〜15日の間で1回得た。毒性が観察される場合は、各被験者へのその後の投薬は、1周期あたり30mg/mずつの増分で減量される。ピコプラチンは、絶対好中球数(ANC)および血小板数に関する制限、または任意の他の毒性に関する制限が満たされない場合は、更に最大21日まで遅延され、また用量が減量される。ピコプラチン投薬は、後述のように、解消されていない血液学的毒性の場合には、遅延されてよい。ピコプラチンの用量は、後述の通り、前の周期における血液学的毒性、増加クレアチニン、または体重の変化がある場合には、減量される。被験者が用量の減量を受けた後は、用量は再び増やされることはできない。その後の治療は、毒性が再発する水準まで継続され、再発した場合、減量された用量の30mg/mの更なる減量が行われることがある。最大2回の用量減量が許容されるであろう。仮に、調査者が用量の減量の度合いがこれらのガイドラインに含まれるものを超えるべきであると判断する場合は、被験者の安全性を保護するために、調査者の判断が優先されるべきであろう。同様に、調査者が、用量の減量がこれらのガイドラインが提案するより早期に適用されるべきであると判断すれば、被験者の安全性を保護するために、調査者の判断が優先されるべきであろう。
次の血液学的値を、ピコプラチンを投与する前に得なくてはならない:絶対好中球数(ANC)≧1.5×10/L、および血小板数≧100×10/L。これらの基準が満たされない場合は、必要な検査値に到達するまで、臨床検査が最大1週間間隔で測定されるべきである。0.5×10/L未満の絶対好中球数、または25×10/L未満の血小板数の場合は、好中球および血小板数がこれらの水準を超えて改善されるまで、血液学的値を週に2回以上モニタリングすべきである。
投薬基準に合致しない事象の解決のため、最大21日が許容される(すなわち、周期の第42日まで)。第42日(計画された治療の21日後)までに再投薬基準に合致しない被験者は、毒性の理由のため、以降の治療から除かれるべきである。
次の基準のうちのいずれかが、その前の周期中に観察されなかった場合は、30mg/mの用量の減量は必須となる。
血液学的事象に関しては、絶対好中球数(ANC)が5日間以上0.5×10/L未満である、またはグレード2以上の発熱を伴っており、絶対好中球数が1.0×10/L未満である、または血小板数が25×10/L未満である、または第21日までに、100×10/Lを超える血小板数および1.5×10/Lを超える絶対好中球数に到達しない。非血液学的事象に関しては(嘔気嘔吐および脱毛を除く)、治療に関連したグレード3の毒性、または任意のグレード4の毒性。
異常血清クレアチニンを伴う患者に対しては、推定クレアチニンクリアランスが決定されるべきである。算出されたクレアチニンクリアランスが60mL/分未満の場合、被験者は、更なる腎機能低下がないことを確実にするために、モニタリングされるべきである。クレアチニンクリアランスの減少が見られる場合は、ピコプラチンの用量は、表3に従って修正されるべきである。用量の減量は、1回の投与につき30〜60mg/mの範囲である。
Figure 2013521338
*投薬量の減量により、患者が60mg/m未満のピコプラチンを受けることになる場合は、患者は試験治療から外されるべきである。
重量の、以前の体表面積算出で使用されたものから10%以上の変化は、体表面積の最算出および薬投与量の適切な修正を要する。
実施例2.フェーズIII試験
導入
フェーズIII臨床試験が、上述で定義されるように、難治性で敏感な患者を含む、反応しないSCLC患者、または180日以内に進行性の疾病を示した反応するSCLC患者において、最善の支持療法単独と比較して、最善の支持療法(BSC)を伴うピコプラチン単剤療法の生存中央値の優位性を実証するために行われた。
疾病の記録
疾病の放射線学的記録は、試験ベースラインでの疾病状態が、プロトコルの適格性および層別化目的に関して評価されることができるように、第一選択療法より前に得られていなくてはならない。調査者は、第一選択化学療法より前、その間、およびその後に得られた胸部X線またはコンピュータ断層(CT)スキャンの比較によって、適格性を判断した。スクリーニングの間、ベースラインCTまたは磁気共鳴画像法(MRI)スキャンが、腫瘍評価のために実施された。
骨条件を含むベースライン胸部および腹部コンピュータ断層(CT)スキャンが、放射線学的疾病状態、測定可能な疾病があるかどうかを確認するために、また、標的病変の、もしある場合はその後のCTスキャンに続くRECIST反応評価に対する同定を含む、試験への組み入れ時点での疾病の範囲を判定するために、放射線技師または調査者によって使用された。測定可能な疾病は、試験への組み入れにとっては必要ではなかったが、X線写真上で評価可能な(RE)集団の患者に対して、反応率の評価を可能にするために必要であった。
脳は、試験への組み入れの前に、頭部CTまたは磁気共鳴画像法(MRI)によって評価された。脳転移がスクリーニング検査中に同定された場合は、ランダム化の前に、頭蓋への放射線による治療が必要である。症候性脳転移を有する被験者は、試験への組み入れの前に、放射線療法によって治療されていなくてはならず、またベースライン評価の時点で無症候性でなくてはならない。
SCLCの病期分類
プロトコルに適格である被験者は、第一選択化学療法に反応しないか、または、第一選択療法に初期に反応した後、第一選択療法の中止90日以内に再発した、もしくは第一選択療法に反応した後、第一選択の白金含有化学療法の完了の91〜180日以内に進行した、SCLCを有していなくてはならない。
試験における患者の層別化の目的のため、被験者は、第一選択療法に対する反応によって次の通りに層別化された。
・難治性、その疾病が白金含有第一選択化学療法に対して反応できなかった被験者、または本明細書で上述される通り、反応した後、第一選択療法の完了の90日以内に再発した被験者が含まれる。
・非難治性、第一選択の白金含有化学療法に初期に反応した後、第一選択化学療法の中止後91〜180日以内に進行した被験者が含まれる。
被験者は、表4に示されるように、地理的地域(ヨーロッパ、インド、または南アメリカ)の中で、またECOG活動ステータス[PS、(2に対して、0または1)]によって、層別化された。
Figure 2013521338
進行の日付から試験への組み入れまでの、時間の制限はなかった。層別化後、被験者は中央ランダム化され、また2:1に割り付けられ、BSCに加えて3週毎にピコプラチンを受けるか、またはBSC単独を受けた。
ピコプラチン+BSC被験者
各治療周期の前に、血球数、血液生化学検査値、および算出クレアチニンクリアランスが評価された。ピコプラチンの初回投与量は、21日周期の第1日における1〜2時間の静脈点滴として、150mg/mであった。
ピコプラチン+BSC療法群にランダム化された被験者は、治験薬の投与に先行して5−HT受容体拮抗薬およびデキサメタゾンによる制吐療法を受け、また必要に応じて、治験薬の投与後に制吐剤を受けた。全被験者はBSCを受けた。白血球数(WBC)を、微分計数および血小板数とともに、周期1、2、および3の第11〜15日の間で1回、また用量の減量が血液学的毒性のために必要とされる全ての周期中に得た。ピコプラチンは、絶対好中球数(ANC)および血小板数に関する制限、または任意の他の毒性に関する制限が満たされない場合は、最大21日まで遅延され、また用量が減量された。
追跡CTスキャンまたは他の腫瘍反応評価が、疾病進行まで、6週毎に、またはピコプラチンを受けている間の1周期おきの周期後に、実施された。6周期のピコプラチンが推奨されるものの、被験者は、療法に高い耐性があり進行性疾病を有していない限り、6周期を超えてピコプラチンを受け続けた。
ピコプラチンの中断後、全被験者はBSCを継続して受け、死亡、試験の中断、または試験の終了まで、3週毎に評価された。
毒性は、NCI CTCAE v3を使用してグレード化された。絶対好中球数(ANC)および/または血小板数に関するプロトコル特異的な制限、または任意の他の毒性に関する制限が満たされない場合、療法は、最大21日(周期の第42日)まで遅延された。
何らかの理由によるピコプラチンの中断後、被験者は、調査者の判断で他の化学療法を受けてもよく、またその後、生存に関して追跡されることになる。
BSC単独被験者
全てのBSC単独被験者は、死亡、試験の中断、または試験の終了まで、3週毎に評価され、また疾病の進行に関わらず、BSCを継続して受けた。診察時毎に、検診が行われ、CBCおよび血液生化学検査値が評価された。追跡CTスキャンが、疾病の進行まで、6週毎に実施された。疾病進行後も含めて、試験全体を通したBSCの送達がモニタリングされた。
疾病が進行する場合、被験者は、調査者の判断で他の化学療法で治療されてよく、またその後、生存に関して追跡されることになる。BSC単独を受けるようにランダム化された被験者は、ピコプラチン療法を受けるように転向はしなかった。
全被験者
被験者は、SCLCの記録された放射線学的証拠を有していなくてはならない。測定可能な疾病か、または測定可能でない疾病を有する患者が、このプロトコルに含まれてよい。約6週間隔でのCTスキャンが、疾病状態をモニタリングするために使用された。
測定可能な病変
測定可能な疾病とは、少なくとも1つの測定可能な病変が存在することである。測定可能な病変は、従来技術を使用する20mm以上の最大寸法、またはスパイラルCTスキャンによる10mm以上の最大寸法を有する、少なくとも1つの寸法で正確に測定することが可能な、病変である。全てのベースライン評価は、治療開始に可能な限り近く、また治療開始より遡って3週以内に実施された。
臨床病変は、表層(例えば、皮膚小結節およびリンパ節)にある場合に、測定可能とみなされた。
全被験者は、ガイドラインに規定されたプロトコル毎に、BSCによる治療を受けた。これには、鎮痛薬、有痛性骨転移のための放射線療法、脳転移のための頭蓋放射線照射、胸部の病変からの閉塞症状の緩和のための放射線照射、栄養補給、ならびに、貧血、呼吸困難、感染症、腫瘍随伴症候群、および不安神経症の治療が含まれた。
BSC治療介入に対する必要性は、調査者の元への訪問時に、割り付けられた治療とは無関係に全被験者に対して3週毎に評価された。あらゆるAEに加えて、患者の全身状態が評価された。臨床検査(全血球数計測および血液生化学検査)が、定期的に評価された。これらの評価の結果として、全被験者に対して、BSCを提供するための迅速な苦痛緩和治療介入が処方または投与された。新規の化学療法が導入された場合は、被験者は生存に関して追跡された。
安全性は、SAEを含む、臨床的AEおよび非臨床的AEの発生から評価された。全AEの重篤度は、米国立癌研究所(National Cancer Institute)(NCI)の有害事象共通用語規準(Common Terminology Criteria for Adverse Events)(CTCAE)評価尺度(Grading Scale)、バージョン3に従って、評価された。
試験対象患者基準
試験に組み入れるためには、被験者は、下の表5に列挙される以下の基準の全てを満たしていなくてはならない。
Figure 2013521338
Figure 2013521338
除外基準
表6に列挙される次の基準のいずれかに合致する被験者は、試験への参加から除外された。
Figure 2013521338
治験薬の中断
被験者は、下の表7に列挙される次の理由のいずれかによって、ピコプラチンを中断された。
Figure 2013521338
試験の中断
被験者は、下の表8に列挙される理由のいずれかによって、試験への参加を中断されることができた。被験者が試験を中断されるときは、BSCが推奨され、また被験者は生存に関して追跡されるべきである。
Figure 2013521338
表7および8に参照されているような、ピコプラチン療法後の、またはBSCの治療計画後の「全身性化学療法」または「追加の化学療法」は、「第三選択療法」と称されることもある。かかる療法には、カルボプラチンおよびシスプラチンを含む、第一選択療法で使用される薬物による更なる治療が含まれる。カルボプラチンは、単一薬剤として、または、任意でアドリアマイシンおよび/もしくはビンクリスチンおよび/もしくはエピルビシンを伴うシクロホスファミド(Cy)、タキサン、タキソール、イリノテカン、ロムスチン、ゲムシタビン、ビンクリスチン、(例えば、CEV)、エトポシド(Ep)、もしくはそれらの組み合わせ等の、第二選択の非白金含有薬剤と併せて使用することができる。シスプラチンは、イリノテカン、Cy、ロムスチン、ゲムシタビン(Gem)、ニモツズマブ(nimoliezumab)、Ep、タキサン、タキソール、ナベルビン(Nv)、および/またはEpと併せて使用することができる。第三選択療法で使用される他の化学療法剤には、任意でエトポシドを併用して、ドキソルビシン(単剤で、およびCyと併せて、また任意でビンクリスチン(Vn)、Nv、FAU、ロムスチン、および/またはメトトレキサートと併せて)、イリノテカン、ロムスチン、ゲフィチニブ、硫酸ヒドラジン、メトトレキサート、タキサン(例えば、ドセタキセルおよび/またはパクリタキセル)、イリノテカン、トポテカン(および、他のトポイソメラーゼIまたはII阻害剤)、ニモツズマブ(例えば、シスプラチンを併用したニモツズマブ)、セツキシマブ、ゲムシタビン(gemcytabine)(Gem)、ビノレルビン、またはEp単独が含まれる。本明細書に提供される薬剤、または癌の治療に有用である任意の薬剤は、治療のために組み合わされても、または単独で使用されてもよく、例えば、Vnはアドリアマイシンと併せて投与してもよく、シクロホスファミドはアドリアマイシンおよびビンクリスチン(CAV)と併せて投与してもよく、シクロホスファミドはドキソルビシンおよびEp(CDE)と併せて、また任意でロムスチン(CCNUおよびCDE)と併せて、投与されてよく、シクロホスファミドはエピルビシンおよびビンクリスチンと併せて投与されてよく、ナベルビンはEpと併せて投与されてよく、または、シクロホスファミドはビンクリスチンと併せて投与されてよい。
かかる療法は、ある患者の平均余命を、第三選択療法を伴わずに使用される、第二選択ピコプラチンおよび/またはBSCによって達成される場合を超えて、増大させることができる。しかしながら、かかる化学療法は特定の患者にとって禁忌であることもあり、または、患者が追加の化学療法を受けることを選択しないこともある。
SCLCのための第一選択化学療法
患者の全員は、NCCNガイドラインに沿って第一選択の白金含有療法を受けた(表9)。
Figure 2013521338
*放射線療法が同時に施与される場合にのみ、局限期疾病に対して低用量シスプラチンが推奨される。さもなくば、化学療法の用量は、広範の疾病に対して推奨されるものであるべきである。プロトコルの適格性の目的のため、AUC=5のカルボプラチン用量が許容可能なことがあり(推奨されてはいない、または好ましくはないものの)、またエトポシドは、推奨される静脈内経路の2倍の用量で、第1〜3日に経口投与されていてもよい。
患者の全員は、シスプラチン系、および/またはカルボプラチン系の第一選択療法を受けた。
進行性疾病を有する患者は、難治性とみなされるためには、2周期以上の第一選択療法を受けている必要がある。
安定した疾病を有する患者は、難治性とみなされるためには、3周期以上の第一選択療法を受けている必要がある。
ランダム化
被験者は、中央2:1ブロック化および層別ランダム化スキームを使用してランダム化され、ピコプラチン+BSCか、またはBSC単独かを受けた。各被験者は、下の表10に記載されるように、被験者の地理的地域内で、第一選択療法に対する被験者の反応によって、およびECOG PSによって、層別化されるであろう。
Figure 2013521338
登録された集団の人工統計学的データおよび事前治療は、下の表11に示される。
Figure 2013521338
ピコプラチン
用量
これは、盲検ランダム化スキームによる非盲検試験であった。全被験者は、ピコプラチン+BSCを受けるためにランダム化され、第1の21日周期の第1日に、1〜2時間かけて投与される150mg/mのピコプラチンを受けた。各被験者に対する後続の用量は、後述に指定されるように、毒性に関して1周期あたり30mg/mずつの減分で減量されることがある。投与用量は、標的用量の5%以内でなければならない。減量された場合、ピコプラチン用量は、個々の全被験者に対して、その後に増加されることはなかった。
開始用量は、ベースライン時点での被験者の身長および体重から算出される体表面積(BSA)に基づいた。体表面積は、被験者の実体重を使用して小数第1位まで算出された。BSAは、治験薬の用量を算出するために、小数第2位まで記録された。次のように、Mostellerによる方程式が使用される。
Figure 2013521338
後続周期では、開始用量のために算出したBSAを使用した。被験者の体重が、10%以上変化する場合、BSAは再算出され、またそれに従って用量が調整された。
ピコプラチンの取扱および調製
ピコプラチンは、呼び容積200mLの中性(I型)注射用ガラスバイアルに入れられた、IV点滴用の無菌等張の0.5mg/mL水溶液として提供された。バイアルは、ETFEコポリマーコーティングされた塩素化ブチルゴム栓とフリップクリンプシールとで封止される。0.5mg/mLの製剤に対する1mLあたりの重量は、1.005gである。
ピコプラチンバイアルは、溶液を光から保護するために、個別包装容器で試験現場に供給された。輸送中、段ボール箱は臨床現場まで温度監視された。各バイアルは、1回使い切り用である。
安定性および保管
バイアル内のピコプラチン0.5mg/mLの規定保存可能期間は、20〜25℃の管理された室温の、USPによって定義される条件下で保管された場合、少なくとも24ヶ月である。USP管理室温条件は、15℃〜30℃の間の、薬局、病院、および倉庫内で通常経験される温度逸脱を許容している。温度が通常は許容範囲内に留まっているならば、継続して24時間を越えない限り、4℃〜40℃の過渡偏差は容認される。薬物は、保管中、光から保護しなくてはならない。
ピコプラチン投与
ピコプラチンは、使用準備済みの製剤として供給された。バイアルの中身は、投与に適したバッグに移された。製剤の、エチレン酢酸ビニル(EVA)点滴バッグ、ポリ塩化ビニル(PVC)点滴管、およびポリプロピレン注射器との適合性は、材料が光から保護されていれば、確立されている。典型的な投与設定との製剤の適合性は、覆われた点滴バッグで、8時間に設定されている。
本製品は光感受性が高く、バッグは、調製および投与の間、光から保護されなくてはならない。本製品は、1時間を越えて周辺光に曝露されるべきではない。他の白金錯体と同様に、アルミニウムとの接触は回避すべきである。
ピコプラチン製剤の中には、防腐剤または静菌剤は含まれない。したがって、ピコプラチンは、無菌条件下で移された。溶液は、バイアルから取り出された後8時間以内に、完全に使用されるか、または廃棄された。
水分補給の前治療は必須ではないが、ピコプラチンは、水分および電解質の適正なバランスを有する被験者にのみ付与される。
ピコプラチンは、末梢静脈またはセントラルラインによって投与された。臨床的に必要であれば(例えば、体液量過剰に対する懸念等)、医師の判断で2時間に延長されることもあるが、ピコプラチンには1時間の投与が推奨された。静脈への(IV)水分の併用投与(例えば、生理食塩水等)は、必須ではない。
制吐療法
ピコプラチンを受ける全被験者は、化学療法の直前に、IVへのオンダンセトロン8mg(または、同等の5−HT阻害剤)に加え、IVへの、または経口でのデキサメタゾン8または12mg(または、同等のコルチコステロイド)による、制吐療法を受けた。被験者はまた、嘔気および/または嘔吐の打開のために臨床的に必要であれば、必要に応じて治療後にも制吐療法を受け、経口ロラゼパム(Ativan(登録商標))、プロクロルペラジン(Compazine(登録商標))、または類似薬剤が含まることがある。嘔吐がこれらの量によって制御されない場合、第2の周期に対して、オンダンセトロンの用量を増加した。依然制御されない場合は、第3の周期の始めにアプレピタントを加えてもよい。
周期数
6周期の療法が推奨されたが、被験者は、進行しない限り、また療法に対する耐容性を有し続ける限り、治療周期を継続した。疾病が進行した、または許容可能でない毒性が発生した場合は、被験者は治療から除かれた。
ピコプラチン用量の修正
投薬遅延および減量
ピコプラチン用量は、本項および下の表12に説明されるように、毒性が解消されていない場合は遅延された。
Figure 2013521338
投薬基準に合致しない事象の解消のため、最大で21日の遅延が許容された(すなわち、周期の第42日まで)。第42日(計画された治療後21日)までに再投薬基準に合致しない被験者は、毒性の理由のため、治験薬による以降の治療から除かれたが、BSCを受けて試験は継続されるべきとされた。
用量の減量
ピコプラチン用量は、その前の周期における血液学的毒性、腎機能の低下、または著しい非血液学的毒性がある場合には、30mg/mずつの減分で減量された。
被験者が用量の減量を経験した後は、用量は、再び増加されることはできない。その後の治療は、その減量された用量水準で毒性が再発するまで継続され、毒性が再発した場合は、その減量された用量の30mg/mの更なる減量が行われてよい。
ピコプラチン治療の前に必要とされる血液学的値
次の血液学的値を、ピコプラチンが投与される前に得た:(a)ANC≧1.5×10/L、(b)血小板数≧100×10/L、およびヘモグロビン≧80g/L(8.0g/dL)。
これらの基準が満たされない場合は、その後、必要な臨床値が到達されたかを確認するために、臨床検査が最小1週の間隔で繰り返された。絶対好中球数が0.5×10/L未満、または血小板数が25×10/Lである場合、好中球および血小板数がこれらの水準を上回るまで、血液学的値が週に3回以上モニタリングされた。
投薬基準に合致しない毒性(血液学的、または非血液学的)の解消のため、最大で21日の遅延が許容された(すなわち、周期の第42日まで)。第42日(計画された治療後21日)までに再投薬基準に合致しなかった被験者は、毒性の理由のため、治験薬による以降の治療から除かれたが、BSCを受け続けて試験は継続されるべきとされた。
必要とされる用量の減量
以前の周期中に、表13に列挙される次の基準のうちのいずれかが観察された場合、30mg/mの用量の減量が必須とされた。
Figure 2013521338
Figure 2013521338
潜在毒性の管理
ピコプラチンは、潜在神経毒性および腎臓毒性に関して優れた安全性プロフィールを有する。しかしながら、ピコプラチンを与えられた患者は、これらの事象の潜在的な発生のために観察された。
臨床的に必要であれば、支持療法の方法および対症療法が、任意の薬物関連毒性に対して開始された。
ピコプラチンは、水分および電解質の適正なバランスを有する被験者にのみ与えられた。血液量が減少している患者は、水分補給されるべきであり、血清クレアチニンおよびBUN水準が反復された。減少したクレアチニンクリアランスが観察された場合、用量の減量が必要とされた。
血液学的毒性
血液学的毒性は、まず適当な支持的臨床療法によって、次に上述のように、その後の用量減量によって、管理されるべきものであった。
臨床的出血に付随して、血小板数が50×10/L未満である、または臨床的出血は伴わないで、血小板数が10×10/L未満である場合は、血小板輸血が推奨された。
重度の好中球減少症状の後は、ピコプラチンの用量の減量が主要な治療の選択肢であった。発熱性好中球減少は、ピコプラチン後には稀である。造血コロニー刺激因子(例えば、G−CSF)による治療は、NCCNガイドラインに要約されるように、感染症に関連する合併症のリスクが高い被験者に許可される。コロニー刺激因子が使用される場合、血球数は、3週毎にモニタリングされ、ANCが0.5×10/L未満に留まっている場合にのみ継続された。貧血治療のために、輸血は全被験者に対して、または、エリスロポエチンは、ピコプラチンを受けるようにランダム化された被験者に対してのみ、使用することができる。
併用薬
出血症状の一因と成る可能性のある併用薬(例えば、アセチルサリチル酸塩)は、標準的な臨床診療と一致して、回避されるべきとされた。
最善の支持療法(BSC)
下の表15に示されるように、次の一般的ガイドラインが、被験者にBSCを提供するために利用され、またこれはSCLCおよび苦痛緩和治療に関するNCCNガイドラインバージョン2(2006)に基づいている。
Figure 2013521338
上に列挙された分類にまとめられるように、BSCを伴う治療介入に値する可能性がある臨床事象の頻度が、全被験者に対して、割り付けられた治療に関係なく同程度に熱心かつ懸命な支持療法が提供されることを確実にするために、モニタリングされた。
試験評価
スクリーニング
スクリーニング手順が、下の表16に列挙される。全スクリーニング手順は、注記された場合を除き、ランダム化前14日以内に完了された。
Figure 2013521338
Figure 2013521338
ピコプラチン療法群の被験者に対する前周期1
治療に先行して、周期1の第1日にこれらの評価が完了されるべきである。
1.体重。
2.生命兆候。生命兆候は、点滴終了時に再測定される。
3.ECOG PS。
次の評価は、周期1の治療の3日以内にスクリーニング手順のために完了されている場合は、繰り返す必要はなかった。
1.簡略化された検診。これは、首、胸部、腹部、および以前の検査、中間期症状、兆候、臨床的またはX線写真データによって示唆される任意の異常領域の、検査から成る。
2.微分計数、Hgb数、および血小板数を含む、白血球数(WBC)。
3.血液生化学検査:BUN、クレアチニン、グルコース、ナトリウム、カリウム、塩化物、重炭酸塩、カルシウム、リン、マグネシウム、尿酸、総ビリルビン、アルカリホスファターゼ、LDH、SGOT/AST、SGPT/ALT、アルブミン、総タンパク質。
ピコプラチン療法群の被験者に対する療法中評価
周期1、2、および3、ならびに用量の減量が必要とされる任意の周期の周期中
白血球数(WBC)が、微分計数、Hgb数、および血小板数とともに、周期1、2、および3の第11日〜第15日の間で1度、ならびに血液学的毒性のために用量の減量が必要とされた任意の周期の間に、得られるべきとされた。
血小板数が100×10/L未満、またはANCが1.5×10/L未満の場合は、その後、必要とされる臨床値が到達されたかを確認するために、臨床検査が最低1週間隔で繰り返されるべきであった。ANCが0.5×10/L未満、または血小板数が<25×10/L未満の場合は、血液学的値は、好中球および血小板数がこれらの水準を上回るまで、週に3回以上モニタリングされるべきであった。
周期2以降の、各治療周期の前
表17内の評価を、3週毎に行うものとされた。毒性のために治療が遅延された場合は、評価は、当初に計画された通り、すなわち、最近のピコプラチン投薬の3週後に行われるべきとされた。項目1〜7は、その後、次のピコプラチン投薬の直前も含めて、週に1回以上繰り返されるべきとされた。血液生化学検査に関しては、異常であったもののみ繰り返す必要があった。
Figure 2013521338
隔治療周期の終了時点(周期3、5、7の前等)
Figure 2013521338
BSC単独療法群の患者に関する、および、何らかの理由のためピコプラチンを中断した患者に関する、評価
Figure 2013521338
進行が記録されるまでの、6週間隔の評価
Figure 2013521338
生存追跡
被験者が試験へ参加の中断を決定したか、本プロトコルに従うことが不可能であったか、または被験者が更なる化学療法の治療計画を開始した場合は、その被験者は生存追跡を検討された。彼らは、生存追跡に関する同意が明確に撤回されるまで、1ヶ月間隔で電話により接触された。生存追跡中は、被験者が受けている可能性のあるあらゆる抗癌療法に関する情報が収集され、被験者の生存状態が記録された。検診、臨床評価、有害事象、併用薬、および医学的手法はCRFには収集しなくてよく、また更なるCTスキャンも必要とされない。
エンドポイントの定義および一次エンドポイント評価のための基準
全生存は、ランダム化の日付から、何らかの原因による死亡の日付まで測定された。死亡したか否かが分からなかった各被験者に関しては、患者が生存していたことが分かる最後の日付において、全生存持続時間を打ち切ることとする。
二次エンドポイント
客観的反応を有する被験者の割合は、CRまたはPRの放射線学的証拠を得た被験者の割合としてとして測定された。この解析に対して、解析集団内の、CRまたはPRに関してRECISTによって定められるようには基準を満たさなかった全ての被験者は、反応を有さなかったものとして含まれることとする。反応の分類には、治験薬の開始から記録された最良総合反応を使用した。客観的反応は、少なくとも4週後における反応を記録した確認検査を必要とした。
疾病制御を有する被験者の割合は、CR、PR、またはSDの放射線学的証拠を得た被験者の割合として測定された。この解析に対して、CR、PR、またはSDに関してRECISTによって定められるようには基準を満たさなかった全ての被験者は、進行したものとして含まれた。完全な反応およびPRは、少なくとも4週後における反応を記録した確認検査を必要とした。安定した疾病は、試験への参加後、少なくとも最小で6週以上の間隔で、追跡CTスキャンによって記録され、これは確認検査を必要としなかった。
反応持続時間は、被験者が最初に反応基準を満たす日付から、被験者が進行した(放射線学的に、または症候的に)日付まで、または何らかの原因による死亡まで測定された。進行したか否かが分からなかった各被験者に関しては、患者が生存し、かつ無進行であったことが分かる最後の日付において、反応持続時間を打ち切った。
無進行生存は、ランダム化の日付から、被験者が進行した(放射線学的に、または症候的に)日付まで、または何らかの原因による死亡まで測定された。進行または死亡したかが分からなかった各被験者に関しては、患者が生存し、かつ無進行であったことが分かる最後の日付において、PFSを打ち切った。
治験薬の継続、および、反応または進行の解析のためのX線写真での疾病状態の判定は、RECISTを使用して、調査者および/または現場の放射線技師によって判定された。
安全性
有害事象(AE)
AEの定義は、ICH E6:GCP Step5,Consolidated Guideline1.5.96、1998年4月版に準拠した。
AEは、ランダム化後に発生したあらゆる不都合な医療上の出来事であり、治験薬との因果関係を必ずしも有していなくてもよかった。したがってAEは、あらゆる好ましくない、また意図しない兆候(異常な臨床検査値を含む)、症状、または、治験薬に関係するかどうかに関わらず、治験薬の使用に一時的に関連付けられる疾病であってよい。
予期せぬAEとは、その特異度または重篤度が最新の調査者用パンフレットと一致しない、治験薬の投与後に発生したあらゆるAEである。
臨床検査の異常は、それが臨床的続発症と関連付けられる、もしくは、ピコプラチン投与の遅延、または投与されるピコプラチン用量の減量を含む、治療介入を必要とする場合にのみ、AEとして報告されるものとした。
調査者またはその指定する者は、ランダム化から、死亡、試験の中断、または試験の終了まで、AEに関して被験者を追跡した。ピコプラチンの安全性は、AEの頻度、重篤度、および性質を「薬物安全性期間」中に2つの治療群の安全性集団間で比較することによって、評価された。
等級付け、および治験薬との関係
試験中に発生する有害事象は、NCI CTCAE v3.0を使用して等級付けされるものとする。CTCAEに含まれない有害事象は、次の表に従って等級付けされた。
Figure 2013521338
試験薬剤との関連または関係性は、次のように特定されるものとする。
・関係なし:調査製品への曝露は発生しなかった、またはAEの発生は時間の観点から合理的に関係していない、または事象は、患者の臨床的状態によって、もしくは患者に施与された療法の他の様式によって、容易に、またより確実に説明される。
・関係している可能性がある:薬物投与からの合理的な時系列に沿っているが、患者の臨床的状態によって、または患者に施与された療法の他の様式によって作られた可能性もある。
・関係している可能性が高い:試験治療とAEとが、時間の観点から合理的に関係しており、該AEは、他の原因よりも試験製品への曝露によってより確実に説明される、または調査製品が最も可能性の高いAEの原因であった。
重篤な有害事象(SAE)
SAEは、下の表22に列挙される結果のうちのいずれかをもたらす、任意のAEとして定義される。
Figure 2013521338
統計的および解析計画
欠測データおよび不完全データの取扱
欠測データは、照会されるものとする。データを得ることができない場合、欠陥データは、一次エンドポイントまたは二次エンドポイントの解析で使用されない全データについて事前に規定されるものとする。データは、欠側一次エンドポイントまたは二次エンドポイント変数については入力されない。
疾病の進行または死亡以外の理由のため試験を終了する被験者から得られる不完全データは、事象時間(time−to−event)解析に対して、打ち切られるものとする。調査者は、試験の中断理由に関わらず、全被験者に関して生存情報を得るために、可能な限りあらゆる合理的な努力を使用しなくてはならない。追跡から外れた、またはデータ中断の時点で死亡していることが分かっていない各被験者について、全生存持続時間は、彼/彼女が生存していることが分かっている最後の日付で、打ち切られるものとする。
解析のための集団
治療企図解析(ITT)集団には、被験者が治験薬を受けたかどうかに関わらず、彼らがランダム化された治療群に係る全てのランダム化された被験者が含まれた。
この集団は、全ての有効性のエンドポイントに関して使用された。
X線写真により評価可能な(RE)集団には、次の基準を満たす全てのランダム化された被験者が含まれた。(a)ベースライン時点で測定可能な疾病(RECISTを使用)を有した、および(b)少なくとも1つの評価可能なベースライン後の腫瘍評価を有した。この集団は、PFS以外の二次反応エンドポイントに関して使用されるものとする。
有効性の分析
表形式の結果は、主に治療群ごとに表示されるであろう。また、治療群内で、地域、周期、または層別因子ごとに情報が表示される表があることもある。カプラン・マイヤープロットが、事象時間解析に対して準備されるであろう。
一次エンドポイント
一次エンドポイントは、全生存である。このエンドポイントの一次解析は、ITT集団に関して実施された。全生存は、カプラン・マイヤー法を使用して治療群ごとにまとめられた。
2つの治療療法群間の全生存における差異についての一次検定は、中間解析に対して調節された有意水準α=0.05の両側層別ログランク試験を使用して評価された。検定は、(a)地理的地域(ヨーロッパvsインドvs南アメリカ)、(b)前の療法への反応(難治性vs91〜180日以内に進行した)、(c)ベースライン時点でのECOG PS(0または1vs2)、および/または(d)年齢が50歳以下、という特定の層別因子に従って層別化された。(a)第一選択療法に反応しなかった患者、(b)第一選択療法に反応しなかった、または第一選択療法に反応したが、その後45日以内に再発した患者、および(c)試験後(第三選択)化学療法を受けなかった患者、の患者小集団の活動も、評価された。
追加の補助解析には、層別因子のログランク検定、および、生存における層別因子の効果を調査するための全生存のコックス比例ハザード回帰分析が含まれるであろう。他の予後因子は、適当とみなれる場合は、探索的な性質において調査されることがある。全ての補助解析は、有意水準α=0.05の両側試験を使用して評価されるであろう。
二次エンドポイント
反応エンドポイントの解析は、RECISTを使用して調査者および/または現場の放射線技師によって判定される、疾病反応または進行の判定を使用するものとする。
客観的反応を達成する患者の割合、および疾病制御を達成する患者の割合は、ITTおよびRE集団内で評価されるものとする。これらのエンドポイントは、95%の信頼区間とともに、治療療法群ごとに示されるであろう。各割合は、フィッシャーの直接検定を使用して治療療法群間で比較されるであろう。
ロジスティック回帰が、これらのエンドポイントのそれぞれに対する層別因子の効果を調査するために使用されるであろう。他の予後因子は、適当とみなされる場合は、探索的な性質において調査されることがある。
反応持続時間は、ITTおよびRE集団において評価され、PFSは、ITT集団において評価されるものとする。これらの事象時間エンドポイントは、カプラン・マイヤー法を使用して評価され、2つの治療療法群間の差異は、層別ログランク試験を使用して比較されるものとする。
全統計的試験は、両側、α=0.05で評価されるものとする。
安全性解析
安全性は主に、「薬物安全性期間」間に2つの治療療法群の安全性集団間で、AEの頻度、重篤度、および性質を比較することによって評価されるものとする。ベースラインとのあらゆる比較には、試験薬の投薬開始の直前(ピコプラチン被験者に対して)、またはランダム化の日付の直前(BSC被験者に対して)における測定を使用するものとする。
治療療法群における本来的な差異(すなわち、BSC療法群には、治験薬の初回用量または最終用量がない)のため、「薬物安全性期間」は、安全性を評価するのに十分な長さの期間にわたって薬物の安全性の評価を実現し、また治療療法群間での妥当な比較を可能にするように定義された。「薬物安全性期間」は、ランダム化の日付から、被験者がその時間より前に試験を中断してない限り、治験薬投与の最終日の30日後、進行性疾病の記録の7日後、または試験の第12週(第84日)のうちで、遅く発生しているものまでとして定義する。
有害事象は、各治療群、周期、および診察について、基本語および身体組織によってまとめることとする。MedDRAのAE辞書を使用し、全逐語的AEを基本語および身体組織に位置付けることとする。全被験者によって経験されたAEの頻度は、事象発現時期の治療周期によって、また各治療群について全体的に計算されるものとする。作表は、各基本語を報告する被験者数と、1身体組織あたり1つ以上の事象を報告する被験者の総数とを計数するものとする。集計表は、AEを、治験薬、最大重篤度(毒性)、およびAE発現時期の治療周期との関係性によって、作表するものとする。被験者が同一の事象の発生を複数回経験している場合は、治験薬に「最も関係している」、または最も重度である事象を解析に使用することとする。
重篤有害事象、治験薬の中断につながるAE、および臨床的AEは、被験者一覧によってまとめることとし、また適切な箇所で注釈によって説明する。
併用薬
併用薬の使用は、治療群ごとに安全性集団についてまとめることとする。このまとめは、薬物安全性期間中に服用された全薬物治療を含むこととする。薬物治療のコード化には、WHODRUGの薬物辞書を使用することとする。
治験薬への曝露
治験薬曝露は、治療周期ごとによって、また全体的にまとめることとする。治験薬の開始を、周期1の第1日とみなすこととする。治験薬のその次の周期の間の投与日を、周期2の第1日とみなす等とする。薬物曝露情報には、用量情報、周期の長さ、および用量強度が含まれることとする。投薬の遅延および用量の減量の数を、まとめることとする。この情報は、記述統計学を使用してまとめることとする。
ECOG活動ステータス
活動ステータスは、ベースライン値と計画された各診察とを比較することによって、評価およびまとめることとする。値は、改善、維持、または悪化に分類し、頻度統計を使用して示すこととする。
結果
患者は、BSCを伴うピコプラチン(n=268)か、またはBSC単独(n=133)かを受けた。試験の各療法群において、登録された患者の約85%が、0〜1のECOG PSを有し、また約15%が2のECOGを有した。ピコプラチンを伴う周期(治療)数は、1〜15の範囲で、中央値が3であり、周期の長さ(治療間の時間)の中央値は21〜42日(中央値=22)であった。用量強度の中央値(mg/m/21日)は、120 mg/mであった。試験後の化学療法は、BSCのみの患者の40%、およびBSCとピコプラチンとを受けた患者の27%に施与された。進行の後、ピコプラチンvsBSCに対して28%vs41%の患者が、試験後の化学療法を受けた。最もよく見られた試験後の化学療法治療計画には、CAV、トポテカン、パクリタキセル、またはカルボプラチン/シスプラチン(単独で、または併用して)が含まれた。
疾病制御(PR+CR+SD)は、BSC単独群の27.4%に対してピコプラチン+BSC群の48.2%で観察された。ハザード比(HR)0.8で、生存時間の中央値(MST)は、ピコプラチンvsBSCに対して、20.57週(CI19〜25)vs19.71週(CI16〜24)(p=0.09)であった。しかしながら、全く反応しなかった、または45日以内に再発した難治性患者は、ピコプラチンおよびBSCで治療された場合に、BSCで治療された場合と比較して、MSTおける有意な改善(2.86週)を有した。ピコプラチン+BSCで治療されたこれらの患者に対する生存の中央値は、BSC単独患者に対する18.43週に対して、21.29週であった(図1参照)。第一選択療法に反応しなかった高度難治性患者は、ピコプラチン+BSCで治療された場合に2.14週の生存利益を達成し、これは彼らが0または1のECOG PSを有して試験に参加した場合に、4週超まで増加した。
ピコプラチン+BSCを受ける患者の中央TTPは、BSCを受ける患者については6.71週であったのに対して、11.29週であった(図2参照)。ピコプラチン+BSCを受ける患者のPFSは、BSCを受ける患者については6.57週であったのに対して、9.00週であった(図3参照)。したがって、これらの疾病制御の代用エンドポイントは、OSの一次エンドポイントは満たさなかったが、ピコプラチンを支持する統計的有意性を示した。
しかしながら、進行後、ピコプラチン+BSC治療vsBSC単独について、患者の28%vs41%が試験後の化学療法を受けている。試験後の化学療法を受けなかった患者では、MSTは、ピコプラチン(n=194)に対して18週(CI16〜20)、またBSC(n=79)に対して14週(CI11〜20)であった(図4参照)。したがって、試験後の化学療法が試験結果に影響する要因であった可能性もある。
BSC患者についての有害事象(AE)は、SCLCに関連付けられた。ピコプラチン群では、10%を超えるグレード3/4のAEは、血小板減少(44%)、貧血(29%)、好中球減少(18%)、無力(11%)であった。発熱性好中球減少は、2名の患者で発生した(<1%)。過敏性、または血液毒性によるピコプラチン治療関連死は見られなかった。
ピコプラチン投与に関係する有害事象は、下の表23にまとめられる。
Figure 2013521338
*出血事象は軽度であり、グレード1〜2の喀血、鼻出血(epitaxis)、点状出血、紫斑、および血尿であった。
**発熱性好中球減少は、2名の患者にのみ観察された。
治療された患者266名のうち、13名(4.9%)のみが有害事象のためピコプラチンを中断し、10名(3.8%)が血小板減少のため、3名(1.1%)が貧血のため、1名(0.4%)が汎血球減少症のため、1名(0.4%)がLDH増加のため、また1名(0.4%)が脳症のためであった。
実施例3.SCLC脳転移の治療
頭蓋内同所性SCLCモデル
ピコプラチンの有効性が、ミシガン州Ann Arborの、以前はMIR Preclinical Servicesとして既知であったCharles River Laboratories,Discovery and Imaging Servicesによって、SCLC脳転移の同所性モデルにおいて評価された。10DMS114ACLC細胞が、9〜10週齢の雌の無胸腺ヌードマウス(非近交系nu/nu)の頭蓋内に移植された。賦形剤またはピコプラチン(35mg/kg)による治療が、Q7D×4の投薬計画、平均腫瘍重量13mgで、第18日目に開始された。磁気共鳴画像法(MRI)を使用して、腫瘍体積および倍加時間(Td)が週2回評価された。[18F]フルオロチミジン陽電子放射断層撮影(FLT PET)が、腫瘍増殖指数を示すものとして使用され、次のように算出される標準摂取率(SUV)として表された。SUV=(平均腫瘍18F活性(μCi/g)×体重(g))÷減衰調節された注入量(μCi)。
PETに対する初期時間経過(24、48、および72時間)を実施して最適な治療後撮像時間を決定し、その後、投薬後PET撮像を、最適な時間(24時間)で実施した。この実験で実行された全ての手順は、MIR動物実験委員会(MIR’s Animal Care and Use Committee)の認可のもと、全ての法律、規制、および米国立衛生研究所(National Institutes of Health)(NIH)のガイドラインを遵守して行われた。ウイルコクソン順位和検定を使用して、MRI腫瘍容積およびPET SUVデータの統計的一対比較が実施された。P値は、ホルム法(ノンパラメトリック)を使用して調節された。
このSCLC脳転移モデルでは、細胞増殖における減少、腫瘍倍加時間における増加、ならびに、1動物で治療関連腫瘍状態および生存時間における増加が観察された。ピコプラチン治療群における減少した腫瘍負荷に対して観察された傾向は、統計的有意性には達していないが、統計的有意性よりむしろ、技術的要素が傾向の観察に影響した可能性がある。記号論理学的理由により、対照群のために、初期MRI腫瘍容積測定をピコプラチン(24時間)群の1日前に行い、動物はその後、等しい平均腫瘍容積に分類された。したがって、対照群の腫瘍は、同一時点でのピコプラチン群の腫瘍より実際に大きかったと考えられる。図5を参照。
加えて、対照群の4匹のマウスがMRI後に死亡している。死亡した4動物のうち3匹は、対照群内で3大腫瘍容積を有しており、これは対照群の平均腫瘍容積を低減させた。これらの要素を踏まえると、脳内で増大するSCLCにおけるピコプラチンの抗腫瘍活性の観察は、著しいものであったと考えられる。
参照文献
本明細書において言及される以下の全ての参照文献、ならびに他の全文書、特許、および出版物は、参照によりその全体が援用される。
Figure 2013521338
Figure 2013521338
Figure 2013521338
Figure 2013521338
これらは全て、参照によりその全体が本明細書に援用される。

Claims (20)

  1. 小細胞肺癌(SCLC)を治療する方法であって、
    (a)細胞内グルタチオン結合を含む機構によって不活性化される薬物を使用する初期療法には反応しなかった、または前記療法には反応したが、その後前記初期療法の中止の45日以内に再発した患者を選択することと、
    (b)前記反応しなかった、または再発した患者にある量のピコプラチンを投与し、前記薬物による更なる療法の効果が低い期間中、最善の支持療法(BSC)の治療計画を提供し、前記ピコプラチンが前記患者の無進行生存または平均余命を延ばすことに効果的であることと、
    を含む、方法。
  2. 前記患者は、初期療法に反応したが、その後前記療法の中止の45日以内に再発した、請求項1に記載の方法。
  3. 前記患者は前記初期療法に反応しない、請求項1に記載の方法。
  4. 前記薬物は、シスプラチンおよび/またはカルボプラチンである、請求項1、2、または3に記載の方法。
  5. 前記SCLCは、前記療法の2周期以上後で進行する、請求項1、2、または3に記載の方法。
  6. 前記SCLCは、前記療法の3周期後に安定している、請求項1、2、または3に記載の方法。
  7. ピコプラチンおよび追加の化学療法剤が、ステップ(b)中に投与される、請求項1、2、または3に記載の方法。
  8. BSCの治療計画が前記患者にステップ(b)中に提供され、前記SCLCが進行し、かつ前記患者が一定の期間、白金または非白金含有抗癌剤による後続療法で治療されないステップ(c)を更に含む、請求項1、2、または3に記載の方法。
  9. 前記患者は、前記進行の約60日以内は前記後続療法を受けない、請求項8に記載の方法。
  10. 前記SCLC患者は、前記ピコプラチンで治療される脳転移に罹患している、請求項1または2に記載の方法。
  11. 前記選択される患者は、0または1のECOG活動スコアを有する、請求項1または2に記載の方法。
  12. ステップ(b)において、少なくとも2周期のピコプラチンを投与することを含む、請求項1または2に記載の方法。
  13. Pt含有抗癌剤の投与を使用するSCLCの効果的な治療期間を延長するための方法であって、
    (a)シスプラチンおよび/またはカルボプラチンを含む白金含有抗癌薬に反応しなかったSCLC罹患患者であって、前記薬物の少なくとも3周期後に安定したままである、もしくは前記薬物の少なくとも2周期を通して進行している患者か、または前記薬物に反応したが、その後前記薬物を受けた45日以内に再発した患者、を選択することと、
    (b)前記患者に一定期間、有効量のピコプラチンを投与し、前記SCLC患者の寿命が、前記抗癌薬に反応しなかった、または反応し、その後前記薬物の治療中止から45日以内に再発したSCLCに罹患するSCLC患者で、その後ピコプラチンの投与は受けないが前記期間BSCを受ける、患者の寿命を超えて、延長されることと、
    を含む、方法。
  14. ステップ(a)の前記SCLC患者は、0または1のECOG活動スコアを有する、請求項12に記載の方法。
  15. ステップ(a)の前記SCLC患者は、ピコプラチンで治療される脳転移に罹患する、請求項12に記載の方法。
  16. 小細胞肺癌(SCLC)を治療する方法であって、
    (a)カルボプラチンもしくはシスプラチンを含む第一選択療法に反応しなかった、または、前記SCLCが前記療法には反応したが、前記療法の中止の約180日以内に再発した、SCLCに罹患するヒト患者を選択することと、
    (b)前記患者に、有効量のピコプラチンを投与し、最善の支持療法(BSC)の治療計画を施すことと、
    を含み、前記ピコプラチンを投与された前記患者の寿命および/または無進行生存(PFS)が、BSCの治療計画のみを受けるステップ(a)で選択される患者のものを超えて延長され、前記ピコプラチンで治療される患者が、一定期間の間、SCLCの進行後に第三選択化学療法を受けない、方法。
  17. ピコプラチンを投与された前記患者はまた、ピコプラチン投与の間およびピコプラチン投与後にBSCを受ける、請求項16に記載の方法。
  18. 前記期間は、SCLCの進行から最大で約1年である、請求項16または17に記載の方法。
  19. 前記期間は、SCLCの進行から最大で約60日である、請求項18に記載の方法。
  20. 前記SCLCは、第一選択療法の中止の約45日または90日以内に再発した、請求項16に記載の方法。
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