JP2024118691A - 空気入りタイヤ及び加硫成型金型 - Google Patents

空気入りタイヤ及び加硫成型金型 Download PDF

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Abstract

【課題】トレッドの偏摩耗を抑制し、型開き時のトレッド欠損やサイプブレード破損等の不具合を防ぐ。【解決手段】タイヤ周方向CDに間隔をあけて設けられた細溝50と、セクタの分割位置に設けられた分割跡19とをトレッドに備え、細溝が、タイヤ軸方向Dに延びるサイプと、サイプの接地面8aへの開口端の幅を広げる面取りとを備える。タイヤ周方向に隣り合う分割跡で挟まれた領域のうち、分割跡からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度θ1までの範囲を第1周方向端領域R1、第1周方向端領域の間に挟まれた領域を中央領域Rmとすると、第1周方向端領域に設けられた細溝のうち、面取りがサイプの中央領域側の溝壁53Aaに設けられた第1細溝50Aの面取り54Aとサイプ53Aとの接続位置PAが、第2細溝50B1,B2の面取り54B1,B2とサイプ53B1,B2との接続位置PB1,PB2よりタイヤ径方向外側に位置する。【選択図】図9

Description

本発明は、空気入りタイヤ及び加硫成型金型に関する。
通常、空気入りタイヤを加硫成型する金型は、タイヤ周方向に分割された複数のセクタを備える。このような金型は、複数のセクタが中心から径方向外側へ離れた型開き状態においてグリーンタイヤを金型内に配置した後、複数のセクタが中央方向へ移動して環状に合体した型閉め状態とすることで内部のグリーンタイヤを加硫成型する。そして、加硫成型が完了した後、複数のセクタを径方向外側へ移動させて型開き状態とし、加硫済みの空気入りタイヤを取り出す。
ところで、サイプと、サイプの接地面への開口端の幅を広げる面取りとを備える細溝をトレッドに設けた空気入りタイヤが知られている。このような細溝を備えた空気入りタイヤを加硫成型する金型では、面取りを形成する面取り形成突起がサイプを形成するサイプブレードの付け根に接触させて設けられている。
セクタの周方向端領域(つまり、セクタの分割位置の近傍領域)に設けられたサイプブレードは、セクタの型面からの突出方向が型開き時にセクタが移動する方向に対して平行ではない。そのため、セクタの周方向端領域に設けられたタイヤ軸方向に延びるサイプブレードが、型開き時に比較的大きな抵抗を受けて変形し、加硫成型されるタイヤの形状不良を引き起こすことがある。
これに対して、セクタの周方向端領域に設けられたサイプをセクタの他の領域に設けられたサイプより浅くすることで、型開き時にサイプブレードに発生する抵抗を抑え、上記のような不具合を解消することが知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開平2020-100002号公報
しかしながら、加硫成型金型において、面取りを形成する面取り形成突起がサイプを形成するサイプブレードの付け根に接触させて設けられている場合、型開き時にサイプブレードを面取り形成突起から引き離す方向の力がサイプブレードに作用して、サイプブレードと面取り形成突起との間に隙間が生じ、加硫成型されるタイヤの形状不良を引き起こすことがある。
本発明はこのような実情に鑑みてなされたものであり、型開き時にサイプブレードと面取り形成突起との間に隙間が生じにくい空気入りタイヤ及び加硫成型金型を提供することを目的とする。
本実施形態の空気入りタイヤは、トレッドがタイヤ周方向に分割された複数のセクタによって形成された空気入りタイヤにおいて、前記トレッドは、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられた細溝と、前記セクタの分割位置に設けられた分割跡とを備え、前記細溝は、タイヤ軸方向に延びるサイプと、前記サイプの接地面への開口端の幅を広げる面取りとを備え、タイヤ周方向に隣り合う前記分割跡で挟まれた領域のうち、前記分割跡からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度までの範囲を第1周方向端領域とし、前記第1周方向端領域の間に挟まれた領域を中央領域とすると、前記第1周方向端領域に設けられた複数の前記細溝は、前記面取りが前記サイプの前記中央領域側の溝壁に設けられた第1細溝と、前記面取りが前記サイプの前記分割跡側の溝壁に設けられた第2細溝とを含み、前記第1細溝の前記面取りと前記サイプとの接続位置が、前記第2細溝の前記面取りと前記サイプとの接続位置よりタイヤ径方向外側に位置するものである。
また、本実施形態の加硫成型金型は、タイヤ周方向に分割された複数のセクタと、前記セクタにおけるトレッド成型面に設けられた複数の細溝形成突起とを備えた加硫成型金型において、前記細溝形成突起は、タイヤ軸方向に延びるサイプを形成するサイプブレードと、前記サイプブレードの付け根に接触させて設けられた面取り形成突起とを備え、1つの前記セクタにおいて、セクタ周方向端からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度までの範囲を第1セクタ端領域とし、前記第1セクタ端領域の間に挟まれた領域をセクタ中央領域とすると、前記第1セクタ端領域に設けられた複数の前記細溝形成突起は、前記面取り形成突起が前記サイプブレードの前記セクタ中央領域側に設けられた第1細溝形成突起と、前記面取り形成突起が前記サイプブレードの前記セクタ周方向端側に設けられた第2細溝形成突起とを含み、前記第1細溝形成突起の前記面取り形成突起は、前記第2細溝形成突起の前記面取り形成突起より、前記トレッド成型面からの突出量が小さいものである。
上記の空気入りタイヤでは、型開き時にサイプブレードと面取り形成突起との間に隙間が生じにくく、加硫成型による形状不良の発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤの断面図 図1の空気入りタイヤのトレッドパターンを示す展開図 トレッドゴムの表面に形成された分割跡の位置を模式的に示す空気入りタイヤの側面図 図2の要部拡大図 図4のA-A線での内側センター細溝の断面図 (a)は図4のB-B線での外側センター細溝の断面図、(b)は図4の図C-C線での外側センター細溝の断面図 (a)は図4のD-D線での内側ショルダー細溝の断面図、(b)は図4の図E-E線での内側ショルダー細溝の断面図 図2の要部拡大図 図8のF-F線での外側ショルダー細溝の断面図 端部近傍細溝のサイプを示す図であって、(a)はタイヤ表面から見た図、(b)は該サイプの一方の壁面を示す図、(c)は(b)のG-G線の位置での断面図 分割端細溝のサイプを示す図であって、(a)はタイヤ表面から見た図、(b)は該サイプの一方の壁面を示す図、(c)は(b)のH-H線の位置での断面図 図1の空気入りタイヤを加硫する加硫成型金型の半断面図 セクタを模式的に示す図 図13の要部拡大図 本発明の変更例1に係る外側ショルダー細溝の断面図 本発明の変更例2に係る外側ショルダー細溝の断面図 本発明の変更例3に係る外側ショルダー細溝の断面図
実施形態について図面に基づき説明する。なお、以下の実施形態は例示であり、発明の範囲を限定することは意図していない。
本明細書において、接地状態とは、空気入りタイヤ1が正規リムにリム組みされ正規内圧にされ正規荷重が負荷された状態のことである。ここで正規リムとは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRA、及びETRTOであれば"Measuring Rim"である。
「正規荷重」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている荷重であり、JATMAであれば ”最大負荷能力” 、TRAであれば表”TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES” に記載の最大値、ETRTOであれば ”LOAD CAPACITY” である。タイヤが乗用車用の場合には、前記荷重の88%に相当する荷重である。タイヤがレーシングカート用の場合、正規荷重は392Nである。
正規内圧とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、トラックバス用タイヤ、ライトトラック用タイヤの場合は、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表"TIRE LOAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES"に記載の最大値、ETRTOであれば"INFLATION PRESSURE"である。
また、図中、符号CLは、タイヤ軸方向中心に相当するタイヤ赤道面を示す。符号WDは、タイヤ軸方向(タイヤ幅方向とも称される)を示す。タイヤ軸方向内側WDiとはタイヤ赤道面CLに近づく方向をいい、タイヤ軸方向外側WDoとはタイヤ赤道面CLから離れる方向をいう。符号CDはタイヤ回転軸を中心とした円周上の方向であるタイヤ周方向を示す。符号RDはタイヤ径方向(タイヤ回転軸に垂直な方向)を示す。タイヤ径方向内側RDiとはタイヤ回転軸に近づく方向であり、タイヤ径方向外側RDoとはタイヤ回転軸から離れる方向である。
(1)空気入りタイヤ1の断面構造
図1に示す一実施形態に係る空気入りタイヤ1は、左右一対のビード2と、ビード2からタイヤ径方向外方に延びる左右一対のサイドウォール4と、サイドウォール4のタイヤ径方向外方端同士を繋いで接地面8aを構成するトレッド3とを備える。
一対のビード2には、それぞれリング状のビードコア2aが埋設されている。ビードコア2aのタイヤ径方向外側RDoには、タイヤ径方向外側RDoに向かって先細り状をなす硬質ゴム製のビードフィラー2bが設けられている。
空気入りタイヤは、一対のビード2間に跨がってトロイダル状に延びるカーカス層5を備える。カーカス層5は、トレッド3から両側のサイドウォール4を経てビード2に至り、ビード2においてビードコア2aの周りにタイヤ軸方向内側から外側に折り返されることにより、カーカス層5の両端が係止されている。
カーカス層5は、少なくとも1枚のカーカスプライからなり、この例では2枚のカーカスプライで構成されている。カーカス層5を構成するカーカスプライは、タイヤ周方向CDに対して実質上直角になるように配列した有機繊維コードからなるカーカスコードをゴムで被覆してしたゴム部材である。カーカス層5の内側には空気の透過性の低いゴムからなるシート状のインナーライナー6が貼り付けられている。
トレッド3は、カーカス層5の外周側に設けられたベルト7と、路面と接する接地面8aを有するトレッドゴム8とを備える。ベルト7は、ベルトコードをタイヤ周方向CDに対して10°~35°の傾斜角度で配列した、少なくとも2枚の交差ベルトプライからなる。なお、ベルト7のタイヤ径方向外側RDo、すなわち、ベルト7とトレッドゴム8との間にベルト補強層9が設けられても良い。ベルト補強層9は、タイヤ周方向CDに対して実質的に平行に延びるコードを有するキャッププライにより構成されている。
トレッドゴム8の表面には、図2に示すように、トレッドパターンを構成する主溝10、12や細溝20、30、40、50と、タイヤの加硫成型金型の分割位置に対応した筋状の分割跡19とが形成されている。
(2)分割跡19
分割跡19は、後述するタイヤ加硫成型工程において用いる加硫成型金型100が有するセクタ102の分割位置102aの跡である(図12~図14参照)。分割跡19は、例えば、幅が0.01mm以上2mm以下、高さが0.01mm以上5mm以下の範囲でトレッドゴム8の表面から突出するタイヤ軸方向に延びる線状の突起である。分割跡19は、図3に示すように、加硫成型金型100が有するセクタ102の数と同じ数だけタイヤ周方向CDに間隔をあけてトレッドゴム8の表面に形成されている。
トレッドゴム8の表面は、図2及び図3に示すように、複数の分割跡19を基準として複数の領域が設定されている。具体的には、トレッドゴム8の表面は、タイヤ周方向CDに隣り合う分割跡19で挟まれた領域R0のうち、分割跡19からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度θ1までの範囲が第1周方向端領域R1、分割跡19からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度θ1より小さい第2の角度θ2までの範囲が第2周方向端領域R2、第1周方向端領域R1の間に挟まれた領域が中央領域Rmに設定されている。つまり、第2周方向端領域R2は第1周方向端領域R1の分割跡19側と重複する領域である。
例えば、第1の角度θ1は10度以上15度以下、第2の角度θ2は3度以上5度以下とすることができる。
(3)トレッドパターンの構成
トレッドゴム8の表面に形成されたトレッドパターンには、タイヤ周方向CDに延びる複数本(本実施形態では、3本)の主溝がタイヤ軸方向WDに間隔をあけて設けられている。図2に例示するように、3本の主溝が設けられている場合、タイヤ軸方向中央に配されたセンター主溝10と、センター主溝10のタイヤ軸方向外側WDoに設けられた一対のショルダー主溝さ2とがトレッドゴム8の表面に設けられている。
センター主溝10は、タイヤ径方向外側RDoから見てジグザグ状である。より具体的には、図2及び図4に示すように、センター主溝10は、タイヤ周方向CDに対して傾斜して延びる長い溝10aと、タイヤ周方向CDに対して傾斜し、かつ、長い溝10aとは別の方向へ延びる短い溝10bとからなる。センター主溝10は、長い溝10aと短い溝10bとが交互に配置されることによって形成されている。ショルダー主溝12は、ジグザグ状ではなく、タイヤ周方向CDに沿ってストレート状に延びている。
上記の3本の主溝10、12、12により、トレッドゴム8の表面には、センター主溝10とショルダー主溝12とに挟まれたセンターリブ14と、ショルダー主溝12と接地端18とに挟まれたショルダーリブ16とが設けられている。なお、リブとはタイヤ周方向CDに連続する陸のことである。ここで陸とは、溝によって区画されて形成された部分であって、接地面8aを有する部分のことである。また接地端18とは負荷状態における接地面8aのタイヤ軸方向端のことである。
センターリブ14には、内側センター細溝20及び外側センター細溝30が設けられている。また、ショルダーリブ16には、内側ショルダー細溝40及び外側ショルダー細溝50が設けられている。これらの細溝20、30、40、50は、それぞれタイヤ周方向CDに等間隔又は略等間隔で並んで列を構成している。具体的には、複数の内側センター細溝20はセンターリブ14に間隔をあけてタイヤ周方向に並んだ内側センター細溝列を構成している。複数の外側センター細溝30はセンターリブ14に間隔をあけてタイヤ周方向に並んだ外側センター細溝列を構成している。複数の内側ショルダー細溝40はショルダーリブ16に間隔をあけてタイヤ周方向に並んだ内側ショルダー細溝列を構成している。複数の外側ショルダー細溝50はショルダーリブ16に間隔をあけてタイヤ周方向に並んだ外側ショルダー細溝列を構成している。これらの細溝20、30、40、50の構造については後述する。
なお、細溝20、30、40、50は、図2に示すように、それぞれタイヤ軸方向両側に設けられている。ただし、細溝20、30、40、50は、タイヤ軸方向WDの一方側と他方側とでタイヤ周方向CDに反対向きであって、かつ、タイヤ周方向CDにずれている。すなわち、タイヤ軸方向WDの一方側の内側センター細溝20の位置と他方側の内側センター細溝20の位置とがタイヤ軸方向WDに一致せず、タイヤ軸方向WDの一方側の外側センター細溝30の位置と他方側の外側センター細溝30の位置とがタイヤ軸方向WDに一致せず、タイヤ軸方向WDの一方側の内側ショルダー細溝40の位置と他方側の内側ショルダー-細溝40の位置とがタイヤ軸方向WDに一致せず、タイヤ軸方向WDの一方側の外側ショルダー細溝50の位置と他方側の外側ショルダー細溝50の位置とがタイヤ軸方向WDに一致しない。
(4)内側センター細溝20
図2及び図4に示すように、内側センター細溝20はセンター主溝10からタイヤ軸方向外側WDo(接地端18の方向)へ延びている。内側センター細溝20の一端はセンター主溝10に開口し、他端はセンターリブ14内で終端している。内側センター細溝20は屈曲せずストレート状に延びている。
図2及び図5に示すように、内側センター細溝20は、細幅のサイプ23と面取り24とを有する。
サイプ23とは、接地状態において対向する溝壁23aの少なくとも一部が当接する溝のことであり、例えば、幅が2mm未満の狭い溝のことを意味する(図5参照)。
面取り24は、サイプ23を形成する一対の溝壁23aのいずれか一方に設けられている。面取り24は、サイプ23の接地面8aへの開口端の幅を広げるように接地面近傍において溝壁23aに対して傾斜する面を備える。面取り24は、接地面8aからサイプ23の奥側にかけて連続する面である。なお、面取り24は接地面8aに到達していても良いが、面取り24と接地面8aとの間に僅かな高さ(例えば0.5mm程度)の段差壁24aが形成されていても良い。
また、面取り24は内側センター細溝20の底には到達していない。面取り24が設けられることにより、内側センター細溝20の幅が接地面8aに近づくにつれ徐々に広がっている。面取り24のサイプ23の溝壁23aに対する面取り24の角度は例えば40°以上50°以下である。面取り24の幅は、センター主溝10からタイヤ軸方向外側へ向かうにつれて徐々に狭くなっている。
なお、本実施形態では、内側センター細溝列を構成する複数の内側センター細溝20が同一形状に形成されている。
(5)外側センター細溝30
図2及び図4に示すように、外側センター細溝30はショルダー主溝12からタイヤ軸方向中央(タイヤ赤道面CLの方向)へ延びている。外側センター細溝30の一端はショルダー主溝12に開口し、他端はセンターリブ14内で終端している。
外側センター細溝30は屈曲点31を備え、タイヤ径方向外側RDoから見て屈曲点31において屈曲している。
外側センター細溝30は、屈曲点31よりもショルダー主溝12側に設けられた比較的幅の広いスリット32と、屈曲点31よりも先端側(センター主溝10側)に設けられたサイプ33及び面取り34とを備える。
スリット32は、接地状態において対向する溝壁32aが当接することのない溝のことであり、例えば、幅が2mm以上の溝のことを意味する(図6(a)参照)。サイプ33とは、接地状態において対向する溝壁33aの少なくとも一部が当接する溝のことであり、例えば、幅が2mm未満の狭い溝のことを意味する(図6(b)参照)。
面取り34は、サイプ33を形成する一対の溝壁33aのうち外側センター細溝30の屈曲の内側(劣角を形成する側)に面する溝壁33a1に設けられている。面取り34は、サイプ33の接地面8aへの開口端の幅を広げるように、接地面8a近傍において溝壁31aに対して傾斜する面を備える。面取り34は、接地面8aからサイプ33の奥側にかけて連続する面である。
なお、面取り34は接地面8aに到達していても良いが、面取り34と接地面8aとの間に僅かな高さ(例えば0.5mm程度)の段差壁34aが形成されていても良い。また面取り34は外側センター細溝30の底には到達していない。面取り34が設けられることにより、外側センター細溝30の幅が接地面8aに近づくにつれ徐々に広がっている。
面取り34の幅は、外側センター細溝30の先端から屈曲点31へ向かうにつれて徐々に広くなっており、屈曲点31で最も広くなっている。図4及び図6(a)に示すように、スリット32には面取り34が設けられていない。
なお、本実施形態では、外側センター細溝列を構成する複数の外側センター細溝30が同一形状に形成されている。
(6)内側ショルダー細溝40
図2及び図4に示すように、内側ショルダー細溝40はショルダー主溝12からタイヤ軸方向外側へ延びている。内側ショルダー細溝40の一端はショルダー主溝12に開口し、他端はショルダーリブ16内で終端している。
内側ショルダー細溝40は屈曲点41を備え、タイヤ径方向外側RDoから見て屈曲点41において屈曲している。内側ショルダー細溝40は、屈曲点41よりもショルダー主溝12側に設けられた比較的幅の広いスリット42と、屈曲点41よりも先端側(接地端18側)に設けられたサイプ43及び面取り44とを備える。
スリット42は、接地状態において対向する溝壁42aが当接することのない溝のことであり、例えば、幅が2mm以上の溝のことを意味する(図7(a)参照)。サイプ43とは、接地状態において対向する溝壁43aの少なくとも一部が当接する溝のことであり、例えば、幅が2mm未満の狭い溝のことを意味する(図7(b)参照)。
面取り44は、サイプ43を形成する一対の溝壁43aのうち内側ショルダー細溝40の屈曲の内側(劣角を形成する側)に面する溝壁43a1に設けられている。面取り44は、サイプ43の接地面8aへの開口端の幅を広げるように、接地面8a近傍において溝壁43aに対して傾斜する面を備える。面取り44は、接地面8aからサイプ43の奥側にかけて連続する面である。
なお、面取り44は接地面8aに到達していても良いが、面取り44と接地面8aとの間に僅かな高さ(例えば0.5mm程度)の段差壁44aが形成されていても良い。また面取り44は内側ショルダー細溝40の底には到達していない。面取り44が設けられることにより、内側ショルダー細溝40の幅が接地面8aに近づくにつれ徐々に広がっている。
面取り44の幅は、内側ショルダー細溝40の先端から屈曲点41へ向かうにつれて徐々に広くなっており、屈曲点41で最も広くなっている。図4及び図7(a)に示すように、スリット42には面取り44が設けられていない。
なお、本実施形態では、内側ショルダー細溝列を構成する複数の内側ショルダー細溝40が同一形状に形成されている。
(7)外側ショルダー細溝50
図2及び図8に示すように、外側ショルダー細溝50はショルダーリブ16においてタイヤ軸方向Wへ延びている。外側ショルダー細溝50の一端はショルダーリブ26内で閉塞し、他端は接地端18からタイヤ軸方向外側へ開口している。
図2及び図8に示すように、外側ショルダー細溝50は、サイプ53と面取り54とを備える。サイプ53は、接地状態において対向する溝壁53aの少なくとも一部が当接する溝のことであり、例えば、幅が2mm未満の狭い溝のことを意味する(図9参照)。サイプ53は、そのタイヤ軸方向内側部分に屈曲点51を備え、タイヤ径方向外側RDoから見て屈曲点51において屈曲している。サイプ53の屈曲点51よりもタイヤ軸方向外側部分はタイヤ軸方向Wへ延びている。ここで、タイヤ軸方向WDへ延びているとは、サイプ53の延長方向が、タイヤ軸方向WDに平行な場合だけでなく、タイヤ軸方向WDに対する角度が5度以下の場合も含まれる。
面取り54は、サイプ53を形成する一対の溝壁53aのうちサイプ53の屈曲の内側(劣角を形成する側)に面する溝壁53aのタイヤ軸方向WD全体にわたって設けられている。面取り54は、図9に示すように、サイプ53の接地面8aへの開口端の幅を広げるように、接地面8a近傍において溝壁53aに対して傾斜する面を備える。面取り54は、接地面8aからサイプ53の奥側にかけて連続する面である。
なお、面取り54は接地面8aに到達していても良いが、面取り54と接地面8aとの間に僅かな高さ(例えば0.5mm程度)の段差壁54aが形成されていても良い。また面取り54は外側ショルダー細溝50の底には到達していない。面取り54が設けられることにより、外側ショルダー細溝50の幅が接地面8aに近づくにつれ徐々に広がっている。
面取り54の幅は、接地端18から屈曲点51に向かうにつれて徐々に広くなっており、屈曲点51で最も広くなっている。サイプ53の屈曲点51よりもタイヤ軸方向内側にも屈曲点51から連続して面取り54が設けられている。
このような外側ショルダー細溝50は、トレッドゴム8の表面に形成された分割跡19との位置関係によってサイプ53及び面取り54の深さや形状が異なっている。
具体的には、外側ショルダー細溝50は、図2、図3、図8及び図9に示すように、サイプ53A及び面取り54Aを備える第1外側ショルダー細溝50Aと、サイプ53B1及び面取り54B1を備える分割端細溝50B1と、サイプ53B2及び面取り54B2を備える端部近傍細溝50B2と、サイプ53C及び面取り54Cを備える第3外側ショルダー細溝50Cとを含んでいる。
第1外側ショルダー細溝50Aは、第1周方向端領域R1に設けられ、面取り54Aがサイプ53Aの中央領域Rm側の溝壁53Aaに設けられた外側ショルダー細溝50である。
分割端細溝50B1は、第2周方向端領域R2に設けられ、面取り54B1がサイプ53B1の分割跡19側の溝壁53B1aに設けられた外側ショルダー細溝50である。
端部近傍細溝50B2は、第2周方向端領域R2の外側における第1周方向端領域R1に設けられ、面取り54B2がサイプ53B2の分割跡19側の溝壁53B2aに設けられた外側ショルダー細溝50である。
分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2は、いずれも第2外側ショルダー細溝を構成する外側ショルダー細溝50である。第2外側ショルダー細溝とは、第1周方向端領域R1に設けられ、面取り54B1、54B2がサイプ53B1、53B2の分割跡19側の溝壁53B1a、53B2aに設けられた外側ショルダー細溝50である。
第3外側ショルダー細溝50Cは、中央領域Rmに設けられた外側ショルダー細溝50である。第3外側ショルダー細溝50Cは、面取り54Cがサイプ53Cの一方の溝壁53Caに設けられている。
第1外側ショルダー細溝50Aの面取り54Aの深さは、分割端細溝50B1の面取り54B1、端部近傍細溝50B2の面取り54B2、及び第3外側ショルダー細溝50Cの面取り54Cの深さより浅い。つまり、第1外側ショルダー細溝50Aの面取り54Aとサイプ53Aとの接続位置PAは、分割端細溝50B1の面取り54B1とサイプ53B1との接続位置PB1や、端部近傍細溝50B2の面取り54B2とサイプ53B2との接続位置PB2や、第3外側ショルダー細溝50Cの面取り54Cとサイプ53Cとの接続位置PCよりも接地面8aからの距離が短く、タイヤ径方向外側に位置する。
分割端細溝50B1の接続位置PB1、端部近傍細溝50B2の接続位置PB2、及び第3外側ショルダー細溝50Cの接続位置PCは、接地面8aからの距離が等しく、タイヤ径方向RDに同じ位置にある。
また、第1外側ショルダー細溝50A、端部近傍細溝50B2、及び第3外側ショルダー細溝50Cのサイプ53A,53B2、53Cは、屈曲点51よりも接地端18側の部分が図9及び図10に例示するような三次元サイプになっている。分割端細溝50B1のサイプ53B1は、屈曲点51よりも接地端18側の部分が、図9及び図11に例示するような二次元サイプになっている。
なお、第1外側ショルダー細溝50A、分割端細溝50B1、端部近傍細溝50B2、及び第3外側ショルダー細溝50Cの各面取り54A,54B1,54B2,54Cの幅(面取り54A,54B1,54B2,54Cのタイヤ周方向CDの長さ)は等しい。また、各面取り54A,54B1,54B2,54Cはサイプ53A,53B1,53B2,53Cに近づくほど深くなるように傾斜する平面をなしている。また、各サイプ53A,53B1,53B2,53Cの深さ(接地面8aからサイプ53A,53B1,53B2,53Cの底面までの距離)は等しい。
ここで、三次元サイプとは、サイプ長さ方向に垂直な断面視にて、サイプ軸方向に屈曲した形状のサイプ内壁面を有するサイプをいう。つまり、サイプの深さ方向に形状が変化するサイプである。
本実施形態の三次元サイプは、図10(c)に示すように、面取り54A、54B2、54Cとサイプ53A、53B2、53Cとの接続位置PA、PB2、PCよりも深い場所において、接地面8aに平行な面による断面上で山57と谷58とからなる波状になっている。そして図10(b)に示すように、山57と谷58とが、三次元サイプの深さ方向にジグザグ状に延びている。三次元サイプは、二次元サイプと比較して、対向するサイプ内壁面の噛合力が強いため、トレッドの陸部分の剛性を高めることができる。
二次元サイプとは、サイプ長さ方向に垂直な断面視にて、直線形状のサイプ内壁面を有するサイプをいう。本実施形態の二次元サイプは、図11(c)に示すように、面取り54B1とサイプ53B1との接続位置PB1において、接地面8aに平行な面による断面上で山59と谷60とからなる波状になっている。そして図11(b)に示すように、山59と谷60とが、サイプの深さ方向において変化せずに延びている。
なお、本実施形態では、図2に示すように、外側ショルダー細溝50はタイヤ軸方向WDの両側でタイヤ周方向CDに反対向きに配置されている。そのため、1つの第1周方向端領域R1の中で、タイヤ軸方向WDの一方側に第1外側ショルダー細溝50Aが設けられ、タイヤ軸方向WDの他方側に分割端細溝50B1と端部近傍細溝50B2とが設けられている。
(8)加硫成型金型100
次に、本実施形態の加硫成型金型100について、図12~図14を主に参照して説明する。なお、以下の説明では、空気入りタイヤ1のタイヤ径方向RD、タイヤ軸方向WD、及びタイヤ周方向CDを、加硫成型金型100においてもタイヤ径方向RD、タイヤ軸方向WD、及びタイヤ周方向CDとして説明する。
加硫成型金型100は、未加硫のグリーンタイヤ(生タイヤ)を上記した空気入りタイヤ1のような形状に加硫成型する金型である。加硫成型金型100はコンテナを介して加硫機に取り付けられ、タイヤ加硫装置を構成するものである。
加硫成型金型100は、円周状に並べられた複数のセクタ102と、タイヤ軸方向WDの両側に設けられた一対のサイドプレート104と、同じく一対のビードリング106とを備える。加硫成型金型100は、複数のセクタ102、一対のサイドプレート04、及び一対のビードリング106の内側に空気入りタイヤ1の成型空間であるキャビティ108を形成する。
セクタ102は、空気入りタイヤ1のトレッド3を形成する金型であり、タイヤ周方向CDに複数に分割されている。なお、図13において、加硫成型金型100が6つのセクタ102から成る形態を図示しているが、加硫成型金型100の分割数は、これに限定されない。
セクタ102はタイヤ放射方向(タイヤ径方向RD)に拡縮変位可能に設けられている。各セクタ102が型閉め位置に配置した型閉め状態では、セクタ102が互いに寄り集まってセクタ102の周方向端102aが接触して環状をなしている。つまり、セクタ102の周方向端102aがセクタ102の分割位置となっている。
1つのセクタ102は、一定のピッチまたは任意のピッチで分割されたトレッドパターンの一部分に対応し、トレッドパターンの一部分を形成するためのトレッド成型面110を有している。
また、セクタ102には、図13に示すように、空気入りタイヤ1のトレッドゴム8の表面に設定された第1周方向端領域R1、第2周方向端領域R2、及び中央領域Rmに対応して、第1セクタ端領域SR1、第2セクタ端領域SR2、及びセクタ中央領域SRmが設定されている。つまり、1つのセクタ102において、セクタ102の周方向端102aからタイヤ周方向CDの中央へ向かって第1の角度θ1までの範囲が第1セクタ端領域SR1に設定され、セクタ102の周方向端102aからタイヤ周方向CDの中央へ向かって第1の角度θ1より小さい第2の角度θ2までの範囲が第2セクタ端領域SR2に設定され、第1セクタ端領域SR1の間に挟まれた領域がセクタ中央領域SRmに設定されている。
セクタ102のトレッド成型面110には、空気入りタイヤ1のトレッド3に主溝10、12、12を形成するためのタイヤ周方向CDに繋がった突起(不図示)や、内側センター細溝20、外側センター細溝30及び内側ショルダー細溝40を形成するための突起(不図示)や、外側ショルダー細溝50を形成する細溝形成突起120が設けられている。
細溝形成突起120は、サイプ53を形成するサイプブレード121と、面取り54を形成する面取り形成突起122とを備え、タイヤ周方向CDに間隔をあけて複数設けられている。
サイプブレード121は、図14に示すように、金属材料からなる板状の部材からなり、その一部がセクタ102のトレッド成型面110に形成された溝111に嵌め込まれることによって、トレッド成型面110から突出するようにセクタ102に取り付けられている。
面取り形成突起122は、セクタ102と一体に設けられた突起である。面取り形成突起122は、サイプブレード121の付け根に接触するように設けられ、サイプブレード121に近づくほどトレッド成型面110からの突出量が大きくなっている。
このような細溝形成突起120は、セクタ102の周方向端(分割位置)102aとの位置関係によってサイプブレード121及び面取り形成突起122の形状が異なっている。
具体的には、細溝形成突起120は、図13及び図14に示すように、サイプブレード121Aと面取り形成突起122Aを備える第1細溝形成突起120Aと、サイプブレード121B1と面取り形成突起122B1を備えるセクタ端細溝形成突起120B1と、サイプブレード121B2と面取り形成突起122B2を備える端部細溝形成突起120B2と、サイプブレード121Cと面取り形成突起122Cを備える第3細溝形成突起120Cとを有している。
第1細溝形成突起120Aは、第1セクタ端領域SR1に設けられ、面取り形成突起122Aがサイプブレード121Aのセクタ中央領域SRm側に設けられた細溝形成突起120である。
セクタ端細溝形成突起120B1は、第2セクタ端領域SR2に設けられ、面取り形成突起122B1がサイプブレード121B1のセクタの周方向端102a側に設けられた細溝形成突起120である。
端部細溝形成突起120B2は、第2セクタ端領域SR2の外側における第1セクタ端領域SR1に設けられ、面取り形成突起122B2がサイプブレード121B2のセクタの周方向端102a側に設けられた細溝形成突起120である。
セクタ端細溝形成突起120B1及び端部細溝形成突起120B2は、いずれも第2細溝形成突起を構成する細溝形成突起120である。第2細溝形成突起とは、第1セクタ端領域SR1に設けられ、面取り形成突起122B1、122B2がサイプブレード121B1、121B2のセクタの周方向端102a側に設けられた細溝形成突起120である。
第3細溝形成突起120Cは、セクタ中央領域SRmに設けられ、面取り形成突起122Cがサイプブレード121Cの一方側に設けられた細溝形成突起120である。
第1細溝形成突起120Aの面取り形成突起122Aは、セクタ端細溝形成突起120B1の面取り形成突起122B1、端部細溝形成突起120B2の面取り形成突起122B2、及び第3細溝形成突起120Cの面取り形成突起122Cよりも、トレッド成型面110からの突出量が小さい。つまり、サイプブレード121Aと接触する位置における面取り形成突起122Aの突出量が、サイプブレード121B1と接触する位置における面取り形成突起122B1の突出量や、サイプブレード121B2と接触する位置における面取り形成突起122B2の突出量や、サイプブレード121Cと接触する位置における面取り形成突起122Cの突出量より小さい。
第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aは、面取り形成突起122Aよりキャビティ108へ突出する部分が、突出方向に垂直な断面視にてサイプブレード121Aの延長方向(タイヤ軸方向WD)に延びる波形をなし、突出方向に形状が変化する三次元形状部分となっている。端部細溝形成突起120B2及び第3細溝形成突起120Cのサイプブレード121B、121Cは、第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aと同様、面取り形成突起122B2、122Cよりキャビティ108へ突出する部分が、突出方向に垂直な断面視にてサイプブレード121B2、121Cの延長方向に延びる波形をなし、突出方向に形状が変化する三次元形状部分となっている。これらのサイプブレード121A,121B2、121Cは、トレッド3に三次元サイプを形成するためのものである。
セクタ端細溝形成突起120B1のサイプブレード121B1は、面取り形成突起122B1よりキャビティ108へ突出する部分が、突出方向に垂直な断面視にてサイプブレード121B1の延長方向(タイヤ軸方向WD)に延びる波形をなし、突出方向に形状が変化せず直線状に延びる二次元形状部分となっている。セクタ端細溝形成突起120B1のサイプブレード121B1は、トレッド3に二次元サイプを形成するためのものである。
また、第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aは、セクタ端細溝形成突起120B1のサイプブレード121B1や端部細溝形成突起120B2のサイプブレード121B2や第3細溝形成突起120Cのサイプブレード121Cよりも耐力が高い材料によって形成されている。ここで、耐力とは、JIS Z 2241:2022(金属材料引張試験方法)の「3.10.3 耐力(オフセット法)、Rp(proof strength, plasticextension)」に規定されている、「塑性伸びが、伸び計標点距離Le(3.5)に対する規定の百分率に等しくなったときの応力」のことである。
第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aの材料は、セクタ端細溝形成突起120B1のサイプブレード121B1や端部細溝形成突起120B2のサイプブレード121B2や第3細溝形成突起120Cのサイプブレード121Cの材料より耐力が300%以上大きいものであることが好ましい。例えば、サイプブレード121Aの材料をSUS631又はそれと同程度の組成の合金とし、他のサイプブレード121B1、121B2、121Cの材料をSUS304又はそれと同程度の組成の合金とすることができる。具体的数値としては、第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aの耐力が205N/mm2以上であることが好ましい。セクタ端細溝形成突起120B1のサイプブレード121B1や端部細溝形成突起120B2のサイプブレード121B2や第3細溝形成突起120Cのサイプブレード121Cの耐力が1080N/mm2以上であることが好ましい。
(9)空気入りタイヤ1の製造方法
次に、実施形態に係る加硫成型金型100を用いた空気入りタイヤ1の製造方法について説明する。
空気入りタイヤ1を構成する各種ゴム部材とカーカスプライやベルトプライ等の各種補強部材を組み合わせて未加硫のグリーンタイヤを作製する。そして、図12に示すように、加硫成型金型100内に作製したグリーンタイヤをセットして型閉めした後、内側に配置したブラダー109を膨張させて、グリーンタイヤを金型内側面に押し当て、加熱状態に保持することにより未加硫タイヤが加硫成型される。
そして、グリーンタイヤが加硫成型されると、複数のセクタ102をタイヤ径方向外側へ移動させて加硫成型金型100を型開きして加硫成型された空気入りタイヤ1を取り出す。
(10)効果
本実施形態の空気入りタイヤでは、加硫成型された空気入りタイヤを加硫成型金型100から取り出す型開き時に、比較的大きな引き抜き抵抗が生じる第1周方向端領域R1に設けられた第1外側ショルダー細溝50A及び第2外側ショルダー細溝50B(分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2)のうち、第1外側ショルダー細溝50Aの面取り54Aとサイプ53Aとの接続位置PAが、分割端細溝50B1の面取り54B1とサイプ53B1との接続位置PB1や端部近傍細溝50B2の面取り54B2とサイプ53B2との接続位置PB2よりタイヤ径方向外側RDoに位置する。
これにより、本実施形態では、型開き時にサイプブレード121と面取り形成突起122との間に隙間が生じにくくなり、加硫成型による形状不良の発生を抑えることができる。
すなわち、加硫成型金型100の型開きの際、セクタ102の周方向端102a近傍では、セクタ102の移動方向後方(セクタ102に対する空気入りタイヤ1の相対的な移動方向前方)が、サイプブレード121の突出方向(タイヤ径方向)に対してセクタ102の周方向端102a側へ傾斜している。そのため、サイプブレード121の先端部分は、加硫された空気入りタイヤ1によってセクタ102の周方向端102aへ押圧される。セクタ102の周方向端102aの近くに設けられているサイプブレード121ほど、型開き時にサイプブレード121に作用する押圧力が大きくなるため、第1セクタ端領域SR1に設けられたサイプブレード121A、121B1、121B2は、型開き時に比較的大きな押圧力を受ける。
第1セクタ端領域SR1に設けられたサイプブレード121A、121B1、121B2のうち、面取り形成突起122がセクタ中央領域SRm側に設けられた第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aは、型開き時に面取り形成突起122Aから離される方向へ押圧される。この押圧力を受けてサイプブレード121Aは、トレッド成型面110の溝111に嵌まり込んだ部分を支点にして変形する。その結果、トレッド成型面110からサイプブレード121Aの突出方向へ離れるほど、サイプブレード121Aと面取り形成突起122Aとの間に生じる隙間が大きくなる。
本実施形態では、第1細溝形成突起120Aの面取り形成突起122Aが、セクタ端細溝形成突起120B1の面取り形成突起122B1や、端部細溝形成突起120B2の面取り形成突起122B2よりも、トレッド成型面110からの突出量が小さい。そのため、第1細溝形成突起120Aのサイプブレード121Aが、型開き時に面取り形成突起122Aから離される方向へ押圧されても、サイプブレード121Aと面取り形成突起122Aとの間に比較的小さい隙間しか形成されず、この隙間にゴムが入り込むといった不具合を抑えることができる。
一方、面取り形成突起122がセクタ102の周方向端102a側に設けられた第2細溝形成突起のサイプブレード121B1、121B2は、型開き時に面取り形成突起122B1、122B2に押し付けられる方向へ押圧されるため、サイプブレード121B1、121B2と面取り形成突起122B1、122B2との間に隙間が生じることがない。また、サイプブレード121B1、121B2は、空気入りタイヤ1から受ける押圧力を面取り形成突起122B1、122B2に分散することができ、変形を抑えることができる。
本実施形態では、第1外側ショルダー細溝50Aの面取り54Aの幅(面取り54Aのタイヤ周方向CDの長さ)は、分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2の面取り54B1,54B2の幅と等しいため、第1外側ショルダー細溝50Aの面取り54Aとサイプ53Aとの接続位置PAを、分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2の接続位置PB1,PB2よりタイヤ径方向外側に設けても、第1外側ショルダー細溝50Aの溝容積を確保して排水性能を維持することができる。
本実施形態では、第1外側ショルダー細溝50Aのサイプ53Aを三次元サイプにすることで、サイプ53Aを形成するサイプブレード121Aを三次元形状として剛性を高めてサイプブレード121Aの変形を抑えることができる。また、第2外側ショルダー細溝50Bのうち第2周方向端領域R2に設けられた分割端細溝50B1のサイプ53B1を二次元サイプにすることで、脱型時にサイプブレード121B1を空気入りタイヤ1から引き抜くときの抵抗が小さく、ゴムの欠損を抑制することができる。
(11)変更例
次に変更例について説明する。以上の実施形態に対し、発明の趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更を行うことができる。以下では複数の変更例について説明するが、上記の実施形態に対して、以下に説明する複数の変更例のうちいずれか1つを適用しても良いし、以下に説明する変更例のうちいずれか2つ以上を組み合わせて適用しても良い。また、以下の変更例の他にも発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。
(11-1)変更例1
上記した本実施形態では、第1外側ショルダー細溝50Aの面取り54Aの幅を、分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2の面取り54B1,54B2の幅と等しくしたが、図15に示すように、分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2の面取り54B1,54B2の幅より狭くてもよい。
(11-2)変更例2
上記した本実施形態では、外側ショルダー細溝50A,50B1,50B2,50Cの面取り54A,54B1,54B2,54Cを平面としたが、図16に示すように、接地面8aへ膨らむ湾曲面としてもよい。面取り54A,54B1,54B2,54Cを湾曲面とすることで、型開き時の抵抗を低減することができる。
(11-3)変更例3
上記した本実施形態では、外側ショルダー細溝50A,50B1,50B2,50Cのサイプ53A,53B1,53B2,53Cについて、接地面8aからサイプ底面までの距離(サイプ深さ)を等しく設けたが、図17に示すように、第2外側ショルダー細溝(分割端細溝50B1及び端部近傍細溝50B2)のサイプ53B1、53B2より第1外側ショルダー細溝50Aのサイプ53Aのサイプ深さを浅く設定してもよい。
第1外側ショルダー細溝50Aのサイプ53Aのサイプ深さ浅くすることで、サイプ53Aを成型するサイプブレード121Aのトレッド成型面110からの突出量を小さくすることができる。これにより、サイプブレード121Aが、型開き時に面取り54Aを形成する面取り形成突起122Aから離される方向へ押圧されても変形しにくくなり、サイプブレード121Aと面取り形成突起122Aとの間に隙間が発生しにくくなる。
(11-4)変更例4
上記した実施形態では、第1外側ショルダー細溝50A、端部近傍細溝50B2、及び第3外側ショルダー細溝50Cにサイプ53A、53B2、53Cを三次元サイプとし、分割端細溝50B1のサイプ53B1を二次元サイプとしたが、サイプ53A、53B1、53B2、53Cを、全て三次元サイプとしたり、二次元サイプとしたり、あるいは、突出方向及び延長方向に形状が変化しないサイプとしてもよい。
(11-5)変更例5
上記した実施形態では、外側ショルダー細溝50について、トレッドゴム8の表面に形成された分割跡19との位置関係によってサイプ53の深さや形状を変化させたが、他の細溝20、30、40についても外側ショルダー細溝50と同様、分割跡19との位置関係によってサイプ23、33、43の深さや形状を変化させてもよい。
すなわち、第1周方向端領域R1に設けられた細溝20、30、40のサイプと面取りの接続位置を、第2周方向端領域R2や中央領域Rmに設けられた細溝20、30、40のサイプと面取りの接続位置よりタイヤ径方向外側に位置してもよい。また、第1周方向端領域R1に設けられた細溝20、30、40のサイプを三次元サイプとし、第2周方向端領域R2に設けられた細溝20、30、40のサイプを二次元サイプとしてもよい。
また、タイヤ軸方向WDに対するサイプの延長方向の角度が5度以下のサイプを有する細溝について、分割跡19との位置関係によってサイプと面取りの接続位置を変化させ、タイヤ軸方向WDに対するサイプの延長方向の角度が5度より大きいサイプを有する細溝について、サイプと面取りの接続位置をタイヤ周方向で変化させず同一形状に形成してもよい。
1…空気入りタイヤ、8…トレッドゴム、8a…接地面、10…センター主溝、12…ショルダー主溝、14…センターリブ、16…ショルダーリブ、18…接地、19…分割跡、20…内側センター細溝、30…外側センター細溝、40…内側ショルダー細溝、50…外側ショルダー細溝、50A…第1外側ショルダー細溝、50B…第2外側ショルダー細溝、50B1…分割端細溝、50B2…端部近傍細溝、50C…第3外側ショルダー細溝、51…屈曲点、53…サイプ、54…面取り、100…加硫成型金型、102…セクタ、102a…分割位置、104…上側サイドプレート、106…下側サイドプレート、108…キャビティ、110…トレッド成型面、111…サイプブレードの溝、120…細溝形成突起、120A…第1細溝形成突起、120B…第2細溝形成突起、120B1…セクタ端細溝形成突起、120B2…端部細溝形成突起、120C…細溝形成突起、121…サイプブレード、121A…サイプブレード、121B1…サイプブレード、121B2…サイプブレード、121C…サイプブレード、122…面取り形成突起、R1…第1周方向端領域、R2…第2周方向端領域、Rm…中央領域、SR1…第1セクタ端領域、SR2…第2セクタ端領域、SRm…中央領域

Claims (6)

  1. トレッドがタイヤ周方向に分割された複数のセクタによって形成された空気入りタイヤにおいて、
    前記トレッドは、タイヤ周方向に間隔をあけて複数設けられた細溝と、前記セクタの分割位置に設けられた分割跡とを備え、
    前記細溝は、タイヤ軸方向に延びるサイプと、前記サイプの接地面への開口端の幅を広げる面取りとを備え、
    タイヤ周方向に隣り合う前記分割跡で挟まれた領域のうち、前記分割跡からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度までの範囲を第1周方向端領域とし、前記第1周方向端領域の間に挟まれた領域を中央領域とすると、
    前記第1周方向端領域に設けられた複数の前記細溝は、前記面取りが前記サイプの前記中央領域側の溝壁に設けられた第1細溝と、前記面取りが前記サイプの前記分割跡側の溝壁に設けられた第2細溝とを含み、
    前記第1細溝の前記面取りと前記サイプとの接続位置が、前記第2細溝の前記面取りと前記サイプとの接続位置よりタイヤ径方向外側に位置する、空気入りタイヤ。
  2. 前記第1細溝の前記面取りは、前記第2細溝の前記面取りと同一幅に設定されている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記第1細溝の前記面取りは、平面または接地面側へ膨らむ湾曲面に設けられている、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記第1細溝の前記サイプは前記第2細溝の前記サイプより浅い、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  5. タイヤ周方向に分割された複数のセクタと、前記セクタにおけるトレッド成型面に設けられた複数の細溝形成突起とを備えた加硫成型金型において、
    前記細溝形成突起は、タイヤ軸方向に延びるサイプを形成するサイプブレードと、前記サイプブレードの付け根に接触させて設けられた面取り形成突起とを備え、
    1つの前記セクタにおいて、セクタ周方向端からタイヤ周方向中央へ向かって第1の角度までの範囲を第1セクタ端領域とし、前記第1セクタ端領域の間に挟まれた領域をセクタ中央領域とすると、
    前記第1セクタ端領域に設けられた複数の前記細溝形成突起は、前記面取り形成突起が前記サイプブレードの前記セクタ中央領域側に設けられた第1細溝形成突起と、前記面取り形成突起が前記サイプブレードの前記セクタ周方向端側に設けられた第2細溝形成突起とを含み、
    前記第1細溝形成突起の前記面取り形成突起は、前記第2細溝形成突起の前記面取り形成突起より、前記トレッド成型面からの突出量が小さい、タイヤ加硫成型金型。
  6. 前記第1細溝形成突起の前記サイプブレードは、前記第2細溝形成突起の前記サイプブレードよりも耐力が高い材料からなる、請求項5に記載の加硫成型金型。
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