JP2024114678A - 含フッ素シラン化合物 - Google Patents

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真也 高野
孝史 野村
裕介 渡邊
一樹 森本
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Abstract

【課題】新たな含フッ素シラン化合物の提供。【解決手段】下記式(1):[式中:Rf1は、それぞれ独立して、末端にCF3を有する基であり、ただし、前記末端CF3は、隣接位にCF2を有さず、XAは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、または2~10価の有機基であり、RSiは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、α1は、1~9の整数であり;およびα2は、1~9の整数である。]で表される含フッ素シラン化合物。TIFF2024114678000044.tif697【選択図】なし

Description

本開示は、含フッ素シラン化合物に関する。
ある種のシラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水撥油性を提供し得ることが知られている(特許文献1)。
特開2019-44179号公報
本開示は、新たな含フッ素シラン化合物を提供することを目的とする。
本開示は、以下の態様を含む。
[1] 下記式(1):
[式中:
Rfは、それぞれ独立して、末端にCFを有する基であり、
ただし、前記末端CFは、隣接位にCFを有さず、
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、または2~10価の有機基であり、
Siは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
α1は、1~9の整数であり;および
α2は、1~9の整数である。]
で表される含フッ素シラン化合物。
[2] Rfは、それぞれ独立して、
A1-X
[式中:
A1は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-であり、
は、
単結合、
2価のシロキサン基を含む基、または
-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1-(C(RA2e12-e1d1-(NRA3f1
(式中:
A2は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
A3は、水素原子、またはCF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
a1は、0~200の整数であり、
b1は、0~200の整数であり、
c1は、0~200の整数であり、
d1は、0~200の整数であり、
e1は、1または2であり、
f1は、0~200の整数であり、
符号a1、b1、c1、d1およびf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。)
で表される基である。]
で表される基である、上記[1]に記載の含フッ素シラン化合物。
[3] RA1は、CFO-、CFNH-、または(CFN-である、上記[2]に記載の含フッ素シラン化合物。
[4] RA2は、CFO-、CFNH-、または(CFN-を有する1価の基である、上記[2]または[3]に記載の含フッ素シラン化合物。
[5] RA3は、水素原子、または、CFO-を有する1価の基である、上記[2]~[4]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
[6] Xは、-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1
[式中:
a1は、0~200の整数であり、
b1は、0~200の整数であり、
c1は、0~10の整数であり、
符号a1、b1、およびc1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される基である、上記[2]または[3]に記載の含フッ素シラン化合物。
[7] Xは、-(CHb1
[式中、b1は、0~36の整数である。]
で表される基である、上記[2]または[3]に記載の含フッ素シラン化合物。
[8] Xは、-(CHg1-R-(CHg1
[式中:
g1は、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
は、下記式:
(式中:
は、それぞれ独立して、単結合、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、
は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、
は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、またはナフチレン基であり、
は、それぞれ独立して、単結合、またはC1-6アルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、単結合、または酸素原子であり、
は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
x+y+zは、1以上であり、
x、y、またはzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基である。]
で表される基である、上記[2]または[3]に記載の含フッ素シラン化合物。
[9] Xは、単結合、-(X52l5-、または式(XA1):
[式中:
52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-CONR54-、-NR54CO-、-O-CONR54-、-NR54CO-O-、-NR54CONR54-、-NR54-、および-(CHn5-からなる群から選択される基であり、
54は、それぞれ独立して、水素原子、または1価の有機基であり、
n5は、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
l5は、1~10の整数であり、
は、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基である。]
で表される基である、上記[1]~[8]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
[10] RSiは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)または(S5):
[式中:
11は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
12は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
11は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり、
13は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、
tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または-X11-SiR11 n112 3-n1であり、
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
22は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
23は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
1’は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
22’は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
1”は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
22”は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
b1は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
c1は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり、
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり、
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
34は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
35は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。
g1およびRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、または-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり、
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
k3は、1または2であり、
l3は、0または1であり、
ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、または(S5)中、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
で表される基である、上記[1]~[9]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
[11] Rfは、RA1-X-であり、
A1は、CF-又はCFO-であり、
は、単結合であり、
は、-(p-フェニレン)v1-(CHv2-R57 v3-(CHv4-であり、
57は、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-O-であり、
v1は、0又は1であり、
v2は、0~20の整数であり、
v3は、0又は1であり、
v4は、2~20の整数であり、
Siは、-SiR11 であり、
11は、メトキシ基であり、
α1は、1であり、
α2は、1である、
上記[1]~[10]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
[12] 下記化合物:
Figure 2024114678000005
から選択される、上記[1]~[11]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
[13] 上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物を含む、表面処理剤。
[14] さらに、上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物の縮合体を含む、上記[13]に記載の表面処理剤。
[15] さらに、R90-OH(ここで、R90は1価の有機基である。)で表されるアルコールを含む、上記[13]または[14]に記載の表面処理剤。
[16] 真空蒸着用である、上記[13]~[15]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[17] 湿潤被覆用である、上記[13]~[15]のいずれか1項に記載の表面処理剤。
[18] 上記[13]~[17]のいずれか1項に記載の表面処理剤を含有するペレット。
[19] 基材と、該基材上に上記[1]~[12]のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物から形成された層とを含む物品。
[20] 前記基材と前記層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含む、上記[19]に記載の物品。
[21] 前記中間層は、アルカリ金属原子を含む、上記[20]に記載の物品。
[22] 前記アルカリ金属原子の少なくとも一部がナトリウムである、上記[21]に記載の物品。
[23] 光学部材である、上記[19]~[22]のいずれか1項に記載の物品。
[24] ディスプレイである、上記[23]に記載の物品。
本開示によれば、新たな含フッ素シラン化合物を提供することができる。
本明細書において用いられる場合、「1価の有機基」とは、炭素を含有する1価の基を意味する。1価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基、または、その誘導体であり得る。炭化水素基の誘導体とは、炭化水素基の末端、または、分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有している基を意味する。
本明細書において用いられる場合、「2価の有機基」としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基であって、分子から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、炭素原子数1~20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状、または、環状のいずれであってもよく、飽和、または、不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。かかる炭化水素基は、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端、または、分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「加水分解性基」とは、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、または-NCO(これら式中、Rは、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rの例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
[含フッ素シラン化合物]
本開示の含フッ素シラン化合物は、下記式(1):
[式中:
Rfは、それぞれ独立して、末端にCFを有する基であり、
ただし、前記末端CFは、隣接位にCFを有さず、
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、または2~10価の有機基であり、
Siは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
α1は、1~9の整数であり;および
α2は、1~9の整数である。]
で表される含フッ素シラン化合物である。
Rfは、それぞれ独立して、末端にCFを有する基である。
Rfは、それぞれ独立して、好ましくは、
A1-X
[式中:
A1は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-であり、
は、
単結合、
2価のシロキサン基を含む基、または
-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1-(C(RA2e12-e1d1-(NRA3f1
(式中:
A2は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
A3は、水素原子、またはCF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
a1は、0~200の整数であり、
b1は、0~200の整数であり、
c1は、0~200の整数であり、
d1は、0~200の整数であり、
e1は、1または2であり、
f1は、0~200の整数であり、
符号a1、b1、c1、d1およびf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。)
で表される基である。]
で表される基であり得る。
A1は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-である。RA1は、好ましくはCFO-、CFNH-、(CFN-、CFS-、CFC(=O)-、CFC(=O)O-、CFOC(=O)-、CFCONH-、CFNHCO-、CFCON(CF)-、または(CFNCO-、さらに好ましくはCFO-、CFNH-、または(CFN-であり得る。
一の態様において、RA1は、CFO-であり得る。
別の態様において、RA1は、CFNH-または(CFN-、好ましくはCFNH-であり得る。
は、
単結合、
2価のシロキサン基を含む基、または
-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1-(C(RA2e12-e1d1-(NRA3f1
(式中:
A2は、CF-、CFO-、CFNH-、(CFN-、CFS-、CFC(=O)-、CFC(=O)O-、CFOC(=O)-、CFCONH-、またはCFCON(CF)-を有する1価の基であり、
A3は、水素原子、またはCF-、CFO-、CFNH-、(CFN-、CFS-、CFC(=O)-、CFC(=O)O-、CFOC(=O)-、CFCONH-、もしくはCFCON(CF)-を有する1価の基であり、
a1は、0~200の整数であり、
b1は、0~200の整数であり、
c1は、0~200の整数であり、
d1は、0~200の整数であり、
e1は、1または2であり、
f1は、0~200の整数であり、
符号a1、b1、c1、d1およびf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。)
で表される基である。
一の態様において、Xは、単結合である。
別の態様において、Xは、
-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1-(C(RA2e12-e1d1-(NRA3f1
(式中:
A2は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
a1は、0~200の整数であり、
b1は、0~200の整数であり、
c1は、0~200の整数であり、
d1は、0~200の整数であり、
e1は、1または2であり、
f1は、0~200の整数であり、
符号a1、b1、c1、d1およびf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。)
で表される基である。
A2は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-を有する1価の基である。
A2は、好ましくは、CFO-、CFNH-、(CFN-、CFS-、CFC(=O)-、CFC(=O)O-、CFOC(=O)-、CFCONH-、またはCFCON(CF)-を有する1価の基、より好ましくは、CFO-、CFNH-、または(CFN-を有する1価の基であり得る。
A2は、好ましくは
A2’-XA2
[式中:
A2’は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-、好ましくはCFO-、CFNH-、(CFN-、CFS-、CFC(=O)-、CFC(=O)O-、CFOC(=O)-、CFCONH-、またはCFCON(CF)-、より好ましくは、CFO-、CFNH-、または(CFN-であり、
A2は、単結合、または2価の基である。]
で表される基であり得る。
A2は、好ましくは、単結合、C1-36アルキレン基、-(CHy1-(O)y2-(式中、y1は、1~200の整数、例えば2~100、5~100、または10~50の整数であり、y2は、1~100の整数、例えば2~50、3~30、または5~10の整数である)、または、-(CHy3-フェニレン-(CHy4-(式中、y3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、y4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-36アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
一の態様において、RA2は、好ましくはCFO-、CFNH-、または(CFN-、より好ましくはCFO-であり得る。
A3は、水素原子、またはCF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-を有する1価の基である。
一の態様において、RA3は、水素原子である。
別の態様において、RA3は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-を有する1価の基である。
A3における1価の基は、好ましくは、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-を有する1価の基、より好ましくは、水素原子、または、CFO-、CFNH-、もしくは(CFN-を有する1価の基であり得る。
A3における1価の基は、好ましくは
A3’-XA3
[式中:
A3’は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-、好ましくはCFO-、CFNH-、(CFN-、CFS-、CFC(=O)-、CFC(=O)O-、CFOC(=O)-、CFCONH-、またはCFCON(CF)-、より好ましくは、CFO-、CFNH-、または(CFN-であり、
A3は、単結合、または2価の基である。]
で表される基であり得る。
A3は、好ましくは、単結合、C1-36アルキレン基、-(CHy1-(O)y2-(式中、y1は、1~200の整数、例えば2~100、5~100、または10~50の整数であり、y2は、1~100の整数、例えば2~50、3~30、または5~10の整数である)、または、-(CHy3-フェニレン-(CHy4-(式中、y3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、y4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-36アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
一の態様において、a1は0~6の整数である。
一の態様において、b1は0~30の整数である。
一の態様において、c1は0~10の整数であり、別の態様において、c1は0~3の整数である。
一の態様において、d1は0または1である。
一の態様において、e1は1であり、別の態様において、e1は2である。
一の態様において、f1は0または1である。
一の態様において、e1は1または2、d1は0または1、a1は0~200の整数、b1は0~200の整数およびc1は0~10の整数である。符号a1、b1、c1およびd1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。
一の態様において、e1は1または2、d1は0または1、a1は0~6の整数、b1は0~30の整数およびc1は0~3の整数である。符号a1、b1、c1およびd1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。
一の態様において、Xは、
-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1
[式中:
a1は、0~200の整数、好ましくは0~6の整数であり、
b1は、0~200の整数、好ましくは0~30の整数であり、
c1は、0~10の整数、好ましくは0~3の整数であり、
符号a1、b1、およびc1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
で表される基である。
一の態様において、Xは、-(C(RA2e12-e1d1-(CHb1-で表される基である。RA2、b1、d1およびe1は、上記と同意義である。
一の態様において、Xは、
-(CHb1
[式中、b1は、0~36の整数、好ましくは0~30の整数であり、一の態様においてより好ましくは1~9の整数であり、別の態様においてより好ましくは10~30の整数、例えば10~25の整数である。]
で表される基である。
一の態様において、Xは、-(CRA2 e12-e1d1-O-(CHb1-で表される基である。RA2、a1、b1、およびe1は、上記と同意義である。
一の態様において、Xは、-O-(CHb1-で表される基である。b1は、上記と同意義である。好ましくはb1は、0~30の整数である。
一の態様において、Xは、-(CRA2 e12-e1d1-(CHb1-O-で表される基である。RA2、e1、b1、およびd1は、上記と同意義である。
一の態様において、Xは、-(CHb1-O-で表される基である。b1は、上記と同意義である。一の態様において、b1は、0~30の整数であり、一の態様において、b1は0~10の整数である。
一の態様において、Xは、-(CHb10-O-(CHb10-で表される基である。b10は、それぞれ独立して、0~200の整数である。但し、2つのb10の合計は、0~200の整数である。
一の態様において、Xは、2価のシロキサン基を含む基である。即ち、Xは、酸素を介して2つのケイ素が結合した構造(-Si-O-Si-)を含む。
かかる態様において、Xは、より好ましくは、
-(CHg1-R-Si(R-(CHg1
[式中:
g1は、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
は、下記式:
(式中:
は、それぞれ独立して、単結合、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、
は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、
は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、またはナフチレン基であり、
は、それぞれ独立して、単結合、またはC1-6アルキレン基であり、
は、それぞれ独立して、単結合、または酸素原子であり、
は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
xは、0~200の整数であり、
yは、0~200の整数であり、
zは、0~200の整数であり、
x+y+zは、1以上であり、
x、y、またはzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
で表される基である。]
で表される基である。
g1は、それぞれ独立して、0~30の整数である。g1は、例えば1~30の整数、1~10の整数、または1~3の整数である。一の態様において、g1は0である。
は、それぞれ独立して、単結合、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、好ましくは、C1-12アルキレン基、または-R-O-R-である。
一の態様において、Rは、それぞれ独立して、単結合である。
別の態様において、Rは、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、好ましくは、C1-12アルキレン基、または-R-O-R-である。
は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-である。
一の態様において、Rは、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、または-R-O-R-である。
別の態様において、Rは、それぞれ独立して、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-である。
一の態様において、Rは、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、または-R-O-R-であり、Rは、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、または-R-O-R-である。
別の態様において、Rは、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、または-R-O-R-であり、Rは、それぞれ独立して、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-である。
上記C1-12アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。C1-12アルキレン基は、好ましくは、直鎖である。
上記C1-12アルキレン基は、好ましくはC2-8アルキレン基、より好ましくはC2-6アルキレン基である。
は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基である。上記C1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。C1-6アルキレン基は、好ましくは、直鎖である。
上記C1-6アルキレン基は、好ましくはC2-4アルキレン基、より好ましくはC2-3アルキレン基である。
好ましい態様において、複数のRを含む基において、すべてのRは、同じ基である。
は、それぞれ独立して、置換されていてもよいアリーレン基である。
一の態様において、Rは、それぞれ独立して、
である。
一の態様において、Rは、フェニレン基である。
別の態様において、Rは、ナフチレン基である。
上記アリーレン基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は、特に限定されず、例えば1~4個、好ましくは1または2個である。
一の態様において、上記フェニレン基およびナフチレン基は、置換基を有していてもよい。置換基の数は、特に限定されず、例えば1~4個、好ましくは1または2個である。置換されているフェニレン基としては、2,5-置換フェニレンが好ましい。
上記アリーレン基に関する置換基は、それぞれ独立して、-R41-R42である。
41は、単結合、酸素原子、または硫黄原子であり、好ましくは単結合または酸素原子であり、より好ましくは酸素原子である。
42は、ハロゲンにより置換されていてもよいC1-12アルキル基、-(O-R43、-R44-R45、-R44-OR46である。
上記ハロゲンは、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素であり、好ましくはフッ素である。
42におけるC1-12アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
43は、C1-6アルキレン基、好ましくはC2-4アルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
44は、C1-12アルキレン基、好ましくはC1-6アルキレン基である。かかるアルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。
45は、-CH=CH、または-OCOCH=CHである。
46は、水素原子、またはC1-6アルキル基である。かかるアルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはC1-2アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
は、それぞれ独立して、単結合、またはC1-6アルキレン基である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい
一の態様において、Rは、単結合である。
別の態様において、Rは、C1-6アルキレン基である。
は、それぞれ独立して、単結合、または酸素原子である。
一の態様において、Rは、単結合である。
別の態様において、Rは、酸素原子である。
は、それぞれ独立して、炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
は、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、またはハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
は、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-18アルキル基またはアリール基、より好ましくはC1-18アルキル基またはアリール基である。
上記C1-18アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。C1-18アルキル基は、好ましくはC1-10アルキル基、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはC1-4アルキル基、さらにより好ましくはメチル基である。
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
一の態様において、Rは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-4アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、Rは、フェニル基である。
別の態様において、Rは、それぞれ独立して、メチル基またはフェニル基、好ましくはメチル基である。
xは、0~200の整数、好ましくは0~100の整数、より好ましくは1~100の整数、さらに好ましくは5~50の整数、さらにより好ましくは10~30の整数である。
一の態様において、xは0である。
一の態様において、xは1~200、好ましくは1~100の整数、より好ましくは5~50の整数、さらに好ましくは10~30の整数である。
yは、0~200の整数、好ましくは0~100の整数、より好ましくは1~100の整数、さらに好ましくは5~50の整数、さらにより好ましくは10~30の整数である。
一の態様において、yは0である。
一の態様において、yは1~200、好ましくは1~100の整数、より好ましくは5~50の整数、さらに好ましくは10~30の整数である。
zは、0~200の整数、好ましくは0~100の整数、より好ましくは1~100の整数、さらに好ましくは5~50の整数、さらにより好ましくは10~30の整数である。
一の態様において、zは0である。
一の態様において、zは1~200、好ましくは1~100の整数、より好ましくは5~50の整数、さらに好ましくは10~30の整数である。
一の態様において、yは0であり、zは0である。
上記2価のシロキサン含有基は、ランダムポリマーであっても、ブロックポリマーであってもよい。
一の態様において、Xは、-(CHc11-(O(CHc12c13-で表される基である。
c11は0~200の整数、c12は0~200の整数、およびc13は0~200の整数である。但し、上記Xに含まれる炭素数は、0~200の整数である。例えば、c12およびc13は、それぞれ1以上の整数である。
例えば、c11は1~4の整数、c12は1~10の整数、c13は1~150の整数である。
一の態様において、上記Xに含まれる炭素数は、1~150の整数である。
一の態様において、c11は0~20の整数であり、c12は1~6の整数であり、c13は0~150の整数であり、好ましくは、c13は1~50の整数であり、上記Xに含まれる炭素数は、1~150の整数である。
一の態様において、c11は1~30の整数であり、c12は1~3の整数であり、c13は2~150の整数、例えば2~50の整数である。
α1は、1~9の整数であり、α2は、1~9の整数である。これらα1およびα2は、Xの価数に応じて変化し得る。α1およびα2の和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、α1およびα2の和は10であり、例えばα1が9かつα2が1、α1が5かつα2が5、またはα1が1かつα2が9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、α1およびα2は1である。
は、単結合、酸素原子、または2~10価の有機基である。なお、Xは、左側がRfに、右側がRSiに、それぞれ結合する。
一の態様において、Xに結合するRf中の元素が酸素原子である場合、Rfに結合するX中の元素は酸素ではない。
上記Xは、Rf部と基材との結合能を提供する部(RSi部)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(1)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、酸素原子であってもよく、いずれの有機基であってもよい。
上記Xは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、Xは、非置換である。
上記Xにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは2価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
一の態様において、Xは単結合である。
一の態様において、Xは酸素原子である。
一の態様において、Xは2~10価の有機基である。
一の態様において、Xは、単結合または2価の有機基であり、α1およびα2は1である。
一の態様において、上記Xは、2価の有機基であり、α1およびα2は1である。
一の態様において、Xは3~6価の有機基であり、α1は1であり、α2は2~5である。
一の態様において、Xは、3価の有機基であり、α1は1であり、α2は2である。
一の態様において、Xは、3価の有機基であり、α1は2であり、α2は1である。
一の態様において、上記Xは、単結合、-(X52l5-、または式(XA1):
で表される。
上記X52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-CONR54-、-NR54CO-、-O-CONR54-、-NR54CO-O-、-NR54CONR54-、-NR54-、および-(CHn5-から選択される基である。
上記R54は、それぞれ独立して、水素原子、または1価の有機基であり、好ましくは水素原子、フェニル基、C1-6アルキル基(好ましくはメチル基)または炭素数1~10のオキシアルキレン含有基である。
上記n5は、それぞれ独立して、1~200の整数である。n5は、例えば、1~30の整数、具体的には1~20の整数、さらに具体的には1~15の整数、1~10の整数、1~6の整数、例えば1~3の整数である。一の態様において、n5は10~200の整数であり、例えば、10~30の整数である。一の態様において、n5は1~9の整数である。一の態様において、n5は10~30の整数である。一の態様において、n5は16~26の整数である。
上記炭素数1~10のオキシアルキレン含有基は、-O-C1-10アルキレン-を含む基であり、例えば、-R55-(-O-C1-10アルキレン)-R56(式中、R55は、単結合または2価の有機基、好ましくはC1-6アルキレン基であり、nは任意の整数、好ましくは2~10の整数であり、R56は、水素原子または1価の有機基、好ましくはC1-6アルキル基である。)である。上記アルキレン基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
上記Xは、イソシアヌル環に直接結合する単結合または2価の連結基である。Xとしては、単結合、アルキレン基、または、エーテル結合、エステル結合、アミド結合およびスルフィド結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む二価の基が好ましく、単結合、炭素数1~10のアルキレン基、または、エーテル結合、エステル結合、アミド結合およびスルフィド結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む炭素数1~10の2価の炭化水素基がより好ましい。上記Xは、左側がイソシアヌル環に結合する。
1~2のXを有する基はRf基と結合し、1~2のXを有する基はRSi基と結合する。但し、Xを有する基の合計は3である。
上記Xとしては、下記式:
-(CX121122x1-(Xa11y1-(CX123124z1
[式中、
121~X124は、それぞれ独立して、H、OH、または、-OSi(OR121(式中、3つのR121は、それぞれ独立して、炭素数1~4のアルキル基である。)であり、
a11は、-C(=O)NH-、-NHC(=O)-、-O-、-C(=O)O-、-OC(=O)-、-OC(=O)O-、-NHC(=O)NH-、-NR122-、-C(=O)-NR122-、-NR122-C(=O)-、またはSであり(各結合の左側がCX121122に結合する。)、
122はC1-6の炭化水素鎖、好ましくはC1-6アルキル基であり、
x1は0~10の整数であり、y1は0または1であり、z1は1~10の整数である。]
で表される基が更に好ましい。
上記Xa11としては、-O-または-C(=O)O-が好ましい。
上記Xとしては、下記式で表される基が好ましい。
-(CHm12-O-(CHm13
(式中、m12は1~10の整数であり、m13は1~10の整数である。)
-(CHm15-O-CHCH(OH)-(CHm16
(式中、m15は1~10の整数であり、m16は1~10の整数である。)
-(CHm18
(式中、m18は1~10の整数である。)
または
-(CHm20-O-CHCH(OSi(OCH)-(CHm21
(式中、m20は1~10の整数であり、m21は1~10の整数である。)
上記Xとして、特に限定されないが、-CH-、-C-、-C-、-C-、-C-O-CH-、-CO-O-CH-CH(OH)-CH-、-S-、-NR121-、-(CHm22-C(=O)-O-(CHm23-、-(CHm22-O-C(=O)-(CHm23-、-(CHm22-C(=O)-NR121-(CHm23-、-(CHm22-NR121-C(=O)-(CHm23-CHOCHCH(OSi(OCH)CH
(式中R121は、C1-6炭化水素鎖であり、m22は1~10の整数であり、m23は1~10の整数である。)
等が挙げられる。
上記Xが、単結合、酸素原子または2価の有機基である場合、式(1)は下記式(1’)で表される。
上記Xが、好ましくは、単結合、または2価の有機基である。
一の態様において、上記Xは、それぞれ独立して、-(X52l5-R52-で表される。上記R52は、単結合、-(CHt5-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CHt5-である。上記t5は、1~30の整数、好ましくは2~20の整数、より好ましくは2~12、さらにより好ましくは2~3の整数である。ここに、R52(典型的にはR52の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R52は、これらの基により置換されていない。
例えば、上記Xとして、それぞれ独立して、
単結合、
-CONR54-(CHn5-、
-(CHn5-CONR54-(CHn5-、
-(CHn5-CONR54-、
-(CHn5-、
-OC(=O)-(CHn5-、
-(CHn5-OC(=O)-(CHn5
-C(=O)O-(CHn5-、
-(CHn5-C(=O)O-(CHn5
-C(=O)-(CHn5-、
-(CHn5-C(=O)-(CHn5
を挙げることができる。
一の態様において、上記Xとして、それぞれ独立して、
単結合、
-CONR54-(CHn5-、
-OC(=O)-(CHn5-、
-C(=O)-(CHn5-、
を挙げることができる。
一の態様において、上記X52は、それぞれ独立して、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-CONR54-、-O-CONR54-、-NR54CO-、-O-CONR54-、-NR54CO-O-、および-NR54-から選択される基である。
一の態様において、上記X52は、-(CHn5-CONR53-である。
一の態様において、上記Xは、
-(p-フェニレン)v1-(CHv2-R57 v3-(CHv4
[式中:
57は、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-O-であり、
v1は、0又は1であり、
v2は、0~20の整数であり、
v3は、0又は1であり、
v4は、2~20の整数である。]
で表される化合物である。
好ましい態様において、上記Xは、
-(p-フェニレン)v1-(CHv2-R57 v3-(CHv4
[式中:
57は、-NHCO-、又は-COO-であり、
v1は、1であり、
v2は、0~3の整数であり、
v3は、1であり、
v4は、8~16の整数である。]
で表される化合物である。
好ましい態様において、上記Xは、
-(CHv2-CONH-(CHv4
[式中:
v2は、10~22の整数であり、
v4は、1~3の整数である。]
で表される化合物である。
一の態様において、上記Xは、
-(CHv2-O-(CHv4
[式中:
v2は、1~3の整数であり、
v4は、10~22の整数である。]
で表される化合物である。
一の態様において、上記Xは、下記式で表される基が挙げられる。
Siは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基である。
Siは、好ましくは、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)または(S5)で表される基である。
11は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基である。
11は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
12は、それぞれ独立して、1価の有機基である。但し、R12は、加水分解性基を含まない。
12において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。但し、式(S1)において、n1が1~3である(SiR11 n112 3-n1)単位が少なくとも2つ存在する。換言すれば、式(S1)において、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
上記式中、X11は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基である。かかる2価の有機基は、好ましくは-R28-O-R29-(式中、R28およびR29は、それぞれ独立して、単結合またはC1-20アルキレン基であり、xは0または1である。)である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。かかるC1-20アルキレン基は、好ましくはC1-10アルキレン基、より好ましくはC1-6アルキレン基、さらに好ましくはC1-3アルキレン基である。
一の態様において、X11は、それぞれ独立して、-C1-6アルキレン-O-C1-6アルキレン-または-O-C1-6アルキレン-である。
好ましい態様において、X11は、それぞれ独立して、単結合または直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合または直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合または直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
13は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。
好ましい態様において、R13は、それぞれ独立して、水素原子または直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子または直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子またはメチル基である。
15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、C1-6アルキレン基またはC1-6アルキレンオキシ基である。
一の態様において、R15は、それぞれ独立して、酸素原子、C1-6アルキレン基またはC1-6アルキレンオキシ基である。
好ましい態様において、R15は、単結合である。
tは、それぞれ独立して、2以上の整数である。
好ましい態様において、tは、それぞれ独立して、2~10の整数、好ましくは2~6の整数である。
14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または-X11-SiR11 n112 3-n1である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
一の態様において、式(S1)は、下記式(S1-a)である。
[式中、
11、R12、R13、X11、およびn1は、上記式(S1)の記載と同意義であり、
t1およびt2は、それぞれ独立して、1以上の整数、好ましくは1~10の整数、より好ましくは2~10の整数、例えば1~5の整数または2~5の整数であり、
t1およびt2を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
好ましい態様において、式(S1)は、下記式(S1-b)である。
[式中、R11、R12、R13、X11、n1およびtは、上記式(S1)の記載と同意義である]
好ましい態様において、式(S2)において、-SiR11 n112 3-n1のSi原子はシロキサン結合を形成しない。
a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1である。
上記Zは、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR21 p122 q123 r1)に結合する。
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、Zが結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z-Si)は、シロキサン結合を含まない。
上記Zは、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z2は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z4は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz3-フェニレン-(CHz4-、好ましくは-フェニレン-(CHz4-である。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’である。
上記Z1’は、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)に結合する。
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
上記Z1’は、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz1’-O-(CHz2’-(式中、z1’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z2’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-(式中、z3’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z4’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基または-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-、好ましくは-フェニレン-(CHz4’-である。
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”である。
1”は、それぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR22” q1”23” r1”)に結合する。
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。好ましくは、式(S3)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
1”は、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz1”-O-(CHz2”-(式中、z1”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z2”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-(式中、z3”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z4”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基または-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-、好ましくは-フェニレン-(CHz4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
22”は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基である。
22”は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
23”は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
23”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q1”とr1”の合計は、(SiR22” q1”23” r1”)単位において、3である。
q1”は、(SiR22” q1”23” r1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
22’は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基である。
22’は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
23’は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
23’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p’、q1’およびr1’の合計は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位において、3である。
一の態様において、p1’は、0である。
一の態様において、p1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、または3であってもよい。好ましい態様において、p1’は、3である。
一の態様において、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、p1’は0であり、q1’は、(SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
22は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基である。
22は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
23は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
23において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p1、q1とr1の合計は、(SiR21 p122 q123 r1)単位において、3である。
一の態様において、p1は、0である。
一の態様において、p1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、または3であってもよい。好ましい態様において、p1は、3である。
一の態様において、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、p1は0であり、q1は、(SiR21 p122 q123 r1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
b1は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基である。
b1は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
c1は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
c1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m1は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1とm1の合計は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において、3である。
一の態様において、k1は、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は、3である。
式(S3)において、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
好ましい態様において、式(S3)の末端部分において、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
好ましい態様において、式(S3)で表される基は、-Z-SiR22 q123 r1(式中、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、r1は、0~2の整数である。)、-Z1’-SiR22’ q1’23’ r1’(式中、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、r1’は、0~2の整数である。)、または-Z1”-SiR22” q1”23” r1”(式中、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、r1”は、0~2の整数である。)のいずれか1つを有する。Z、Z1’、Z1”、R22、R23、R22’、R23’、R22”、およびR23”は、上記と同意義である。
好ましい態様において、式(S3)において、R21’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21’において、q1”は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S3)において、R21が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR21において、p1’は、0であり、q1’は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S3)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、p1は、0であり、q1は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S3)において、k1は2または3、好ましくは3であり、p1は0であり、q1は2または3、好ましくは3である。
d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2である。
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(CR31 p232 q233 r2)に結合する。
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
は、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz5-O-(CHz6-(式中、z5は、0~30の整数、例えば1~206の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z6は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz7-フェニレン-(CHz8-(式中、z7は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z8は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz7-フェニレン-(CHz8-、好ましくは-フェニレン-(CHz8-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’である。
2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR32’ q2’33’ r2’)に結合する。
好ましい態様において、Z2’は、シロキサン結合を含まない。
2’は、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz5’-O-(CHz6’-(式中、z5’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z6’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-(式中、z7’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z8’は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基または-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-、好ましくは-フェニレン-(CHz8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。
は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR34 n235 3-n2)に結合する。
一の態様において、Zは酸素原子である。
一の態様において、Zは2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
は、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z6”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z8”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
34は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基である。
34は、好ましくは、それぞれ独立して、加水分解性基である。
35は、それぞれ独立して、1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
35において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記式中、n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、式(S4)の末端部分においては、n2が1~3である(SiR34 n235 3-n2)単位が少なくとも2つ存在する。換言すれば、式(S4)の各末端部分において、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
n2は、(SiR34 n235 3-n2)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
上記R33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
上記R33’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基または-(C2st1-(O-C2st2(式中、sは、1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1または0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、R33’は、水酸基である。
別の態様において、R33’は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
上記q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、上記r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、q2’とr2’の合計は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位において、3である。
q2’は、(CR32’ q2’33’ r2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
33において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基または-(C2st1-(O-C2st2-H(式中、sは、それぞれ独立して1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1または0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、R33は、水酸基である。
別の態様において、R33は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、r2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、p2、q2およびr2の合計は、(CR31 p232 q233 r2)単位において、3である。
一の態様において、p2は、0である。
一の態様において、p2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、または3であってもよい。好ましい態様において、p2は、3である。
一の態様において、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、p2は0であり、q2は、(CR31 p232 q233 r2)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
上記Re1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2である。かかる-Z-SiR34 n235 3-n2は、上記R32’における記載と同意義である。
上記Rf1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解性基を除く1価の有機基である。
上記Rf1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基または-(C2st1-(O-C2st2-H(式中、sは、それぞれ独立して1~6の整数、好ましくは2~4の整数であり、t1は1または0、好ましくは0であり、t2は、1~20の整数、好ましくは2~10の整数、より好ましくは2~6の整数である。)であり、より好ましくはC1-20アルキル基、さらに好ましくはC1-6アルキル基、特に好ましくはメチル基である。
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
別の態様において、Rf1は、1価の有機基、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
上記k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2およびm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。
一の態様において、n2が1~3、好ましくは2または3、より好ましくは3である(SiR34 n235 3-n2)単位は、式(S4)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
好ましい態様において、式(S4)において、R32’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32’において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S4)において、R32が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR32において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S4)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、n2は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S4)において、k2は0であり、l2は2または3、好ましくは3であり、n2は、2または3、好ましくは3である。
上記Rg1およびRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2である。ここに、R11、R12、Ra1、Rb2、Rc1、Rd1、Re1、Rf1、n1、k1、l1、m1、k2、l2、およびm2は、上記と同意義である。
好ましい態様において、Rg1およびRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1である。
上記Zは、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR11 n112 3-n1)に結合する。
一の態様において、Zは酸素原子である。
一の態様において、Zは2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、シロキサン結合を含まない。
上記Zは、好ましくは、C1-30アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z6”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)または、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数であり、z8”は、0~30の整数、例えば1~20の整数、0~6の整数又は1~6の整数である)である。かかるC1-30アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-30アルキル基、C2-30アルケニル基、およびC2-30アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCH-であり得る。
好ましい態様において、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)および(S5)は、シロキサン結合を含まない。
一の態様において、RSiは、式(S3)、(S4)または(S5)で表される基である。
一の態様において、RSiは、式(S3)、または(S4)で表される基である。
一の態様において、RSiは、式(S4)、または(S5)で表される基である。
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される基である。好ましい態様において、式(S1)は、式(S1-b)で表される基である。好ましい態様において、式中、R13は、水素原子であり、X11は、単結合、または-R28-O-R29-(式中、R28およびR29は、それぞれ独立して、単結合またはC1-20アルキレン基であり、xは0または1である。)であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される基である。好ましい態様において、式(S2)は、-SiR11 12、または-SiR11 である。
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される基である。好ましい態様において、式(S3)は、-SiRa1 c1、または-SiRa1 であり、Ra1は、-Z-SiR22 q123 r1であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、または、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、q1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、RSiは、式(S4)で表される基である。好ましい態様において、式(S4)は、-CRe1 f1、または-CRe1 であり、Re1は、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n2は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、RSiは、式(S5)で表される基である。好ましい態様において、Rg1およびRh1は、-Z-SiR11 n112 3-n1であり、Zは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)、好ましくはC1-6アルキレン基であり、n1は1~3、好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
上記式(1)で表される含フッ素シラン化合物は、特に限定されるものではないが、1×10~1×10の数平均分子量を有し得る。上記式(1)で表される含フッ素シラン化合物は、好ましくは100~30,000、より好ましくは100~10,000の数平均分子量を有することが、摩擦耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「数平均分子量」は、H-NMRにより測定される値とする。
式(1)で表される含フッ素シラン化合物としては、例えば、以下の構造のものを挙げることができる。
53は、水素原子または1価の有機基である。例えば、水素原子、メチル基などが挙げられる。
Siは上記と同意義である。
式(T1)において、FC-Rk11-はRfに、-C(=O)NR53-Rk12-はXに、それぞれ該当する。
k11は、単結合またはC1-30アルキレン基(例えば、C1-9アルキレン基)であり、例えば、単結合である。
k12は、単結合またはC1-30アルキレン基であり、例えば、C1-10アルキレン基である。
式(T2)において、FC-Rk21-はRfに、-C(=O)NR53-Rk22-はXに、それぞれ該当する。
k21は、単結合またはC10-200アルキレン基であり、例えば、C10-30アルキレン基である。
k22は、単結合またはC1-200アルキレン基であり、例えばC1-10アルキレン基である。
式(T3)において、FC-[(CHg1-SiR O-(SiR O)n11-SiR ]-(CHg1-はRfに、-C(=O)NR53-Rk33-はXに、それぞれ該当する。
g1は、それぞれ独立して、0~30の整数である。

k33は、単結合またはC1-200アルキレン基であり、例えばC1-10アルキレン基である。
但し、炭素数とg1の合計は0~200である。
、n11は上記と同意義である。
式(T4)において、FC-(Rk41k411-(ORk42k412-はRfに、-C(=O)NR53-Rk43-はXに、それぞれ該当する。
k41およびRk42は、単結合またはアルキレン基である。
k411は0または1である。
k412は0~150の整数である。
但し、-(Rk41k411-(ORk42k412-に含まれる炭素原子数は、1~150の整数である。
k43は、単結合またはC1-30アルキレン基(例えば、C1-20アルキレン基)であり、例えば、C1-10アルキレン基である。
k41は単結合またはC1-30アルキレン基(例えば、C1-20アルキレン基)であり、例えばメチレン基、エチレン基であり、k411は1であり、Rk42はC1-6アルキレン基であり、例えばエチレン基であり、k412は1~50の整数である。
式(T5)において、FC-Rk51-はRfに、-OC(=O)NR53-Rk52-はXに、それぞれ該当する。
k51は、単結合またはC1-200アルキレン基であり、例えば、単結合またはC1-30アルキレン基である。
k52は、単結合またはC1-200アルキレン基であり、例えば、C10-30アルキレン基である。
式(T6)において、FC-Rk61-はRfに該当する。
k61は、C1-200アルキレン基であり、例えば、C1-30アルキレン基である。
式(T7)において、FC-Rk71-O-Rk72-はRfに該当する。
k71およびRk72は、それぞれ独立して、単結合またはC1-200アルキレン基である。但し、Rk71とRk72との合計炭素原子数は0~200の整数である。例えば、Rk71およびRk72は、それぞれ独立して、単結合またはC1-30アルキレン基である。
式(1)で表される含フッ素シラン化合物は、好ましくは、
Rfは、RA1-X-であり、
A1は、CF-又はCFO-であり、
は、単結合であり、
は、-(p-フェニレン)v1-(CHv2-R57 v3-(CHv4-であり、
57は、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-O-であり、
v1は、0又は1であり、
v2は、0~20の整数であり、
v3は、0又は1であり、
v4は、2~20の整数であり、
Siは、-SiR11 であり、
11は、メトキシ基であり、
α1は、1であり、
α2は、1である、
含フッ素シラン化合物である。
式(1)で表される含フッ素シラン化合物としては、具体的には、以下の構造のものを挙げることができる。
Figure 2024114678000016

Figure 2024114678000017

Figure 2024114678000018

Figure 2024114678000019

Figure 2024114678000020
[製造方法]
以下、本開示の含フッ素シラン化合物の製造方法を説明する。なお、本開示の含フッ素シラン化合物の製造方法は、以下の方法に限定されない。
C-(トリフルオロメチル基)を含む基の製造方法としては、FC-を有する化合物から誘導する方法と、官能基をフッ素化して導入する方法とがある。
(製造方法1)
本製造方法は、以下の工程を含む。
工程(I):化合物(11):FC-Rj111-NHを原料として用い、イソシアネート化合物(12):O=C=N-Rj112-RSiと混合し、含フッ素シラン化合物(13)を製造する。
j111は、単結合、アルキレン基、またはエーテル結合を含むアルキレン基である。Rj111は、例えば、単結合、C1-30アルキレン基、具体的にはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基、ノナデシレン基、またはエイコサデシレン基、あるいは、上記基の左端にO原子を有する基である。
化合物(11)としては、具体的には2,2,2-トリフルオロエチルアミン、3,3,3-トリフルオロプロピルアミンなどを挙げることができる。
j112は、単結合またはアルキレン基であり、例えば、アルキレン基、具体的にはC1-30アルキレン基である。
イソシアネート化合物(12)としては、具体的にはイソシアン酸3-(トリメトキシシリル)プロピルなどを挙げることができる。
Siは、上記と同意義である。例えば、RSiは式(S2)で表される。
上記反応は、溶媒中で行い得る。上記溶媒は、化合物(11)~化合物(13)を溶解できるものであることが好ましい。上記溶媒は、1種のみで用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記溶媒は、例えば、非フッ素系溶媒、または、フッ素系溶媒である。
非フッ素系溶媒としては、例えば、S原子含有溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、含ハロゲン系溶媒、炭化水素系溶媒を挙げることができる。
S原子含有溶媒としては、ジメチルスルホキシド、スルホラン、ジメチルスルフィド、二硫化炭素等を挙げることができる。
アミド系溶媒としては、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等を挙げることができる。
エステル系溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等を挙げることができる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等を挙げることができる。
エーテル系溶媒としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコール、モノグリム、ジグライム等を挙げることができる。
含ハロゲン系溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム等を挙げることができる。
炭化水素系溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン等を挙げることができる。
フッ素系溶媒は、1以上のフッ素原子を含む溶媒である。フッ素系溶媒としては、例えば、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロクロロフルオロカーボン、パーフルオロカーボン等の、炭化水素の水素原子の少なくとも1つがフッ素原子により置換された化合物;ハイドロフルオロエーテル等を挙げることができる。ここで、炭化水素とは、炭素原子と水素原子のみを含む化合物を示す。
ハイドロフルオロカーボンとしては、例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、具体的には1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン(m-XHF)、1,1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6-トリデカフルオロオクタン、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H)等を挙げることができる。
ハイドロクロロフルオロカーボンとしては、例えば、HCFC-225(例えば、AGC株式会社製のアサヒクリンAK-225)、HFO-1233zd(Z)(例えば、セントラル硝子株式会社製のセレフィン1233Z)等を挙げることができる。
パーフルオロカーボンとしては、例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン、パーフルオロベンゼン等を挙げることができる。
ハイドロフルオロエーテルとしては、例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)等のアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は、直鎖、または、分枝状であってよい);CFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000)等を挙げることができる。
フッ素系溶媒は、上記列挙のなかではm-XHF、HFE7100、HFE7200、HFE7300、AC-6000、パーフルオロヘキサン、および、パーフロベンゼンが好ましい。
溶媒は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、シクロペンチルメチルエーテル、エチレングリコール、ジクロロメタン、クロロホルム、ベンゼン、トルエン、および1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、および1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼンからなる群より選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
上記反応温度は、特に限定されない。例えば、反応温度は、0~100℃、0~50℃、0~30℃であってもよい。
(製造方法2)
本製造方法では、末端にCFを有するカルボニル基(-C(=O)-)含有化合物に、オレフィン(-CH=CH)含有アミン化合物を反応させることにより、オレフィン含有アミド化合物を製造し、このオレフィン含有アミド化合物から、本開示の含フッ素シラン化合物を合成できる。例えば、末端にオレフィンを含有するアミド化合物に下記式:
HSiRj27 m3j28 3-m3
[式中、
j27は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
j28は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
m3は、1~3である。]
で表される化合物と反応させることにより、含フッ素シラン化合物を得ることができる。上記1価の有機基は、加水分解性基を含まない。
オレフィン含有アミン化合物は、HN-と-CH=CHとを有する化合物であり、例えば、HN(CHx31Q((CHx32CH=CHx33x3 x34(式中:x31は0~30の整数、x32は0~6の整数、x33は1以上の整数、x34は0以上の整数、x33およびx34の合計はQの価数-1、Qは、N、SiまたはC、Rx3は水素原子、水酸基、または1価の有機基)である。
オレフィン含有アミン化合物としては、例えば、アリルアミン、ジアリルアミン、2-アリルペント-4-エン-1-アミン(HNCHCH(CHCH=CH)、2,2-ジアリルペント-4-エン-1-アミン(HN-CHC(CHCH=CH)、3-ブテン-1-アミン、4-ペンテン-1-アミン、5-ヘキセン-1-アミン、6-ヘプテン-1-アミン、7-オクテン-1-アミン、8-ノネン-1-アミン、9-デケン-1-アミン、10-ウンデケン-1-アミン、11-ドデケン-1-アミン、12-トリデケン-1-アミン、13-テトラデケン-1-アミン、14-ペンタデケン-1-アミン、15-ヘキサデケン-1-アミン、16-ヘプタデケン-1-アミン、17-オクタデケン-1-アミン、18-ノナデケン-1-アミン、19-イコセン-1-アミン、20-ヘンイコセン-1-アミン、23-テトラコセン-1-アミン、29-トリアコンテン-1-アミンなどが挙げられる。
カルボニル基含有化合物は、FC-と、C(=O)基とを含む化合物である。カルボニル基含有化合物としては、後述する合成方法で得られた化合物、または、式(21):
で表される化合物を挙げることができる。
式(21)において、Rj13は、単結合、アルキレン基、またはエーテル結合を含むアルキレン基であり、例えば単結合であり;Rj14は、水酸基、フッ素原子、塩素原子、または-O-低級アルキル基(即ち、アルコキシド基)であり、例えば、水素原子、メトキシド基、エトキシド基、具体的には水素原子またはメトキシド基である。
式(21)の化合物としては、具体的にはトリフルオロ酢酸、3、3、3-トリフルオロプロピオン酸、4,4,4-トリフルオロ酪酸、5,5,5-トリフルオロ吉草酸、6,6,6-トリフルオロカプロン酸、7,7,7-トリフルオロヘプタン酸、8,8,8-トリフルオロオクタン酸、9,9,9-トリフルオロノナン酸、10,10,10-トリフルオロデカン酸、12,12,12-トリフルオロラウリン酸、14,14,14-トリフルオロミリスチン酸、16,16,16-トリフルオロ-パルミチン酸、17,17,17-トリフルオロ-マルガリン酸、18,18,18-トリフルオロステアリン酸などのカルボキシル基を末端に有する化合物、および対応するメチルエステル、対応するエチルエステル、酸クロライドなどを挙げることができる。
カルボニル基含有化合物が酸クロライド(C(=O)Cl)を有する場合には、トリアルキルアミン存在下で、オレフィン含有アミン化合物と反応させることにより、オレフィン含有アミド化合物を得ることができる。トリアルキルアミンとしては、例えばトリエチルアミンなどを挙げることができる。
カルボニル基含有化合物がカルボン酸を有する場合には、縮合剤と反応させることにより、オレフィン含有アミド化合物を得ることができる。
縮合剤としては、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDC)、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HATU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドヘキサフルオロホスファート(HBTU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-1,2,3-トリアゾロ[4,5-b]ピリジニウム3-オキシドテトラフルオロボラート(TATU)、1-[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]-1H-ベンゾトリアゾリウム3-オキシドテトラフルオロボラート(TBTU)、(1-シアノ-2-エトキシ-2-オキソエチリデンアミノオキシ)ジメチルアミノモルホリノカルベニウムヘキサフルオロホスファート(COMU)、O-[(エトキシカルボニル)シアノメチレンアミノ]-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート(HOTU)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBOP)、1H-ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスファート(BOP)、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBroP)、ジフェニルホスホリルアジド(DPPA)、4-(4,6-ジメトキシ-1,3,5-トリアジン-2-イル)-4-メチルモルホリニウムクロリド(DMT-MM)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール(HOAt)を用いることが好ましく、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩、N,N’-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-ヒドロキシベンゾトリアゾールを用いることが好ましい。更に、触媒として4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)などを添加してもよい。
カルボニル基含有化合物がエステルを有する場合には、塩基存在下で反応させることにより、オレフィン含有アミド化合物を得ることができる。
塩基としては、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン(TBD)、1,2,4-トリアゾール,1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)、ナトリウムメトキシド、ナトリウムtert-ブトキシドを用いることが好ましく、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを用いることがより好ましい。
上記反応温度は、特に限定されない。例えば、反応温度は、0~150℃、0~100℃、0~50℃であってもよい。
溶媒は、製造方法1と同様のものを用いることができる。好ましくは、アセトニトリル、ジクロロメタン、クロロホルム、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランである。また、反応は無溶媒で実施してもよい。
(製造方法3)
本製造方法では、オレフィン基含有化合物を原料として用い、含フッ素シラン化合物を製造する。
オレフィン基含有化合物は、FC-とオレフィン基(-CH=CH)とを有する化合物である。オレフィン基含有化合物としては、後述する合成方法で得られる化合物を挙げることができる。
オレフィン基含有化合物としては、例えば3,3,3-トリフルオロプロペン、4,4,4-トリフルオロ-1-ブテン、5,5,5-トリフルオロ-1-ペンテン、6,6,6-トリフルオロ-1-ヘキセン、7,7,7-トリフルオロ-1-ヘプテン、8,8,8-トリフルオロ-1-オクテン、9,9,9-トリフルオロ-1-ノネン、10,10,10-トリフルオロ-1-デケン、11,11,11-トリフルオロ-1-ウンデケン、12,12,12-トリフルオロ-1-ドデケン、13,13,13-トリフルオロ-1-トリデケン、14,14,14-トリフルオロ-1-テトラデケン、15,15,15-トリフルオロ-1-ペンタデケン、16,16,16-トリフルオロ-1-ヘキサデケン、17,17,17-トリフルオロ-1-ヘプタデケン、18,18,18-トリフルオロ-1-オクタデケン、19,19,19-トリフルオロ-1-ノナデケン、20,20,20-トリフルオロ-1-イコセン、21,21,21-トリフルオロ-1-ヘンイコセン、24,24,24-トリフルオロ-1-テトラコセン、30,30,30-トリフルオロ-1-トリアコンテンなどが挙げられる。
例えば、オレフィン基に、HSiM(Mは、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基)を反応させ、更に得られた化合物に、
式:Hal-J-CH=CH(式中、Jは、Mg、Cu、PdまたはZnを表し、Halはハロゲン原子を表す。)
で表される化合物、および、所望により
式:R h’L(式中、Rは上記と同意義であり、Lは、Rと結合可能な基を表し、h’は1~3の整数である。)
で表される化合物と反応させて、以下の化合物:
(-Rj21-CHCH-は、Xに該当する。例えば、-Rj21-CHCH-は、アルキレン基、またはエーテル結合を含むアルキレン基、例えば、C1-30アルキレン基、またはエーテル結合を含むC1-30アルキレン基、具体的にはC10-25アルキレン基、またはエーテル結合を含むC10-25アルキレン基である)を得ること;および
上記化合物を、HSiM(式中、Mは、それぞれ独立して、ハロゲン原子またはC1-6アルコキシ基である)、および、所望により
式:R23 i’L’(式中、R23は上記と同意義であり、L’は、R23と結合可能な基を表し、i’は1~3の整数である。)
で表される化合物、および、所望により
式:R24 j’L”(式中、R24は上記と同意義であり、L”は、R24と結合可能な基を表し、j’は1~3の整数である。)
で表される化合物と反応させること、
を含む方法により、式:
C-Rj22-RSi
(Rj22は、2価の有機基であり、-Rj21-CHCH-に該当する。RSiは上記と同意義である。)
を製造することができる。なお、上記記載は他のオレフィン基含有化合物にも適用できる。
(製造方法4)
本製造方法では、カルボニル基含有化合物にアミン含有シラン化合物を反応させることにより、含フッ素シラン化合物を製造する。
カルボニル基含有化合物は、FC-とC(=O)とを含む化合物である。カルボニル基含有化合物としては、後述する合成方法で得られた化合物、または、式(21):
で表される化合物を挙げることができる。Rj13およびRj14は上記と同意義である。
アミン含有シラン化合物は、HN-基とRSi基とを有する化合物である。アミン含有シラン化合物としては、例えば、HN-Rj23-RSiを挙げることができ、具体的にはアミノプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。上記Rj23は、アルキレン基、例えば、C1-4アルキレン基、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基であり;上記RSiは、上記と同意義であり、例えば、RSiは式(S2)で表される。
含フッ素シラン化合物は、例えば、FC-Rj24-C(=O)NHRj23-RSiである。上記FC-Rj24-は、Rf-に該当する。Rj24は、アルキレン基、例えば、C1-4アルキレン基、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、あるいは、上記基の左端にOを有する基である。
反応温度は0℃~150℃が好ましく、20℃~100℃がより好ましい。
溶媒は、製造方法1と同様のものを用いることができ、好ましくはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノールを用いることができる。
(製造方法5)
本製造方法では、オレフィン基含有化合物を反応させることにより、含フッ素シラン化合物を製造する。
具体的には、オレフィン基含有化合物に下記式:
HSiRj25 m3j26 3-m3
[式中、
j25は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
j26は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
m3は、1~3である。]
で表される化合物を反応させることにより、含フッ素シラン化合物を得ることができる。なお、上記記載は他のオレフィン基含有化合物にも適用できる。
オレフィン基含有化合物は、FC-とオレフィン基とを有する化合物である。オレフィン基含有化合物としては、後述する合成方法で得られた化合物を挙げることができる。
反応温度は-20℃~150℃が好ましく、0℃~100℃がより好ましい。
溶媒は、製造方法1と同様のものを用いることができ、好ましくはトルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテルを用いることができる。
(合成方法1)
本方法では、FC-を含む基と水酸基とを有する化合物(31):FC-Rj33-OHを原料として用い、カルボニル基含有化合物を合成する。
j33は、アルキレン基、またはエーテル結合を含むアルキレン基、例えば、C1-30アルキレン基、またはエーテル結合を含むC1-30アルキレン基である。
化合物(31)としては、具体的には、トリフルオロエタノール、トリフルオロプロパノール、トリフルオロブタノールなどを挙げることができる。
化合物(31)の水酸基を、常法により-OTf(Tfはトリフルオロメチルスルホニル基)へと変換することで、化合物(32):FC-Rj33-OTfが得られる。
本方法は、以下の工程(I’)を含む。
(I’):上記化合物(32)と反応基を有する化合物(33)とを混合し、カルボニル基含有化合物(34)を得る。
ここで、反応基としては、水酸基、カルボキシル基、Cl、F、カルボキシル基をエステル化したエステル基を挙げることができる。
反応基を有する化合物(33)としては、具体的には、9-ヒドロキシ-4,7-ジオキサノナン酸tert-ブチル、12-ヒドロキシ-4,7,10-トリオキサドデカン酸 tert-ブチル、1-ヒドロキシ-3,6,9,12-テトラオキサペンタデカン-15-酸 tert-ブチル等の水酸基を末端に有する化合物;10-ヒドロキシデカン酸、11-ヒドロキシウンデカン酸、12-ヒドロキシドデカン酸、13-ヒドロキシトリデカン酸、14-ヒドロキシテトラデカン酸、15-ヒドロキシペンタデカン酸、16-ヒドロキシヘキサデカン酸、17-ヒドロキシヘプタデカン酸、18-ヒドロキシオクタデカン酸、19-ヒドロキシノナデカン酸、20-ヒドロキシエイコサン酸、21-ヒドロキシヘンエイコサン酸、22-ヒドロキシドコサン酸、23-ヒドロキシトリコサン酸、24-ヒドロキシテトラコサン酸、25-ヒドロキシペンタコサン酸、30-ヒドロキシトリアコンタン酸等のカルボキシル基を末端に有する化合物、およびそのメチルエステル、酸クロライドなどを挙げることができる。
j31は、2価の有機基であり、例えば、ポリエーテル基を有する基またはアルキレン基、具体的には、-(Rj35O)-Rj36-基またはC1-30アルキレン基である。
上記Rj35はC1-3アルキレン基、例えばエチレン基、上記Rj36はC1-3アルキレン基、例えばエチレン基である。
上記nは、2~150の整数、例えば、2~50の整数である。
j32は、低級アルキル基、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、tert-ブチル基であり、具体的にはメチル基、tert-ブチル基である。
上記反応温度は、特に限定されない。例えば、反応温度は、-80~200℃、例えば-50~100℃、具体的には-20~50℃で行い得る。
溶媒は、製造方法1と同様のものを用いることができる。
(合成方法2)
本方法では、FC-を含む基と水酸基とを有する化合物(31):FC-Rj33-OHを原料として用い、オレフィン含有化合物を合成する。各符号は上記と同意義である。
化合物(31)の水酸基を、常法により-OTf(Tfはトリフルオロメチルスルホニル基)へと変換し、化合物(32):FC-Rj33-OTfを製造する。
本方法は、以下の工程(I’)を含む。
(I’):上記化合物(32)と反応基を有する化合物(35):HO-Rj31-CH=CHとを混合し、オレフィン含有化合物(36)を得る。
j33およびRj31は上記と同意義である。
反応温度、および溶媒は、製造方法2と同意義である。
(合成方法3)
本方法では、ハロジフルオロ酢酸メチルと末端にハロゲン原子を有する化合物(41):X-(CH-Rj41(式中、Rj41は、CH=CH、COOH、COORj42、またはCORj43、Rj42は、C1-6アルキル基であり、Rj43は、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子であり、Xは、ハロゲン原子、好ましくは臭素原子であり、nは、任意の整数である。)をヨウ化銅などの銅塩と、フッ化カリウムなどのフッ化物イオンの存在下で反応させ、CF-(CH-Rj41を合成する。ハロジフルオロ酢酸メチルとしては、具体的にはクロロジフルオロ酢酸メチル、ブロモジフルオロ酢酸メチル、ジフルオロヨード酢酸メチルなどが挙げられる。末端にハロゲン原子を有するオレフィン化合物(41)を用いることによりRj41がCH=CHである化合物を得ることができる。末端にハロゲン原子を有するオレフィン化合物(41)としては、具体的には塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルなどが挙げられる。
(合成方法4)
本方法では、ジフルオロ(フルオロスルホニル)酢酸メチルと末端にハロゲン原子を有するオレフィン化合物(41):X-(CH-Rj41(式中、Rj41は、CH=CH、COOH、COORj42、またはCORj43、Rj42は、C1-6アルキル基であり、Rj43は、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子であり、Xは、ハロゲン原子、好ましくは臭素原子であり、nは、任意の整数である。)をヨウ化銅などの銅塩の存在下で反応させ、CF-(CH-Rj41を合成する。末端にハロゲン原子を有するオレフィン化合物(41)を用いることによりRj41がCH=CHである化合物を得ることができる。末端にハロゲン原子を有するオレフィン化合物(41)としては、具体的には塩化アリル、臭化アリル、ヨウ化アリルなどが挙げられる。
(合成方法5)
本方法では、(トリフルオロメチル)トリメチルシランと末端に官能基を有するアルデヒドを、テトラブチルアンモニウムフルオリドなどフッ化物イオン存在下で反応させ、CF-CH(OH)(CH-Rj41(式中、Rj41は、CH=CH、COOH、COORj42、またはCORj43、Rj42は、C1-6アルキル基であり、Rj43は、ハロゲン原子、好ましくは塩素原子であり、Xは、ハロゲン原子、好ましくは臭素原子であり、nは、任意の整数である。)を合成し、水酸基を酸化することでCF-C(=O)(CH-Rj41を合成する。末端にオレフィンを有するアルデヒドを用いることによりRj41がCH=CHである化合物を得ることができる。末端オレフィンを有するアルデヒドとしては、具体的には2-プロペナール、3-ブテナール、4-ペンテナール、5-ヘキセナール、6-ヘプテナール、7-オクテナール、8-ノネナール、9-デセナール、10-ウンデセナール、11-ドデセナール、12-トリデセナール、13-テトラデセナール、14-ペンタデセナール、15-ヘキサデセナール、16-ヘプタデセナール、17-オクタデセナール、18-ノナデセナール、19-イコセナール、20-ヘンイコセナール、23-テトラコセナール、29-トリアコンテナールなどが挙げられる。水酸基の酸化剤としては1,1,1-トリアセトキシ-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンズヨードキソール―3(1H)-オンなどが挙げられる。
(合成方法6)
本方法では、末端にハロゲンを有するカルボン酸またはエステルに対して、フッ化カリウムなどのフッ化物イオン存在下でチオホスゲンを反応させることでCF-S-(CH-C(=O)ORj51を合成する。(式中、Rj51は、水素原子、またはC1-4アルキル基である。)末端にハロゲンを有するエステルとしては、具体的には10-ブロモデカン酸メチル、11-ブロモウンデカン酸メチル、12-ブロモドデカン酸メチル、13-ブロモトリデカン酸メチル、14-ブロモテトラデカン酸メチル、15-ブロモペンタデカン酸メチル、16-ブロモヘキサデカン酸メチル、17-ブロモヘプタデカン酸メチル、18-ブロモオクタデカン酸メチル、19-ブロモノナデカン酸メチル、20-ブロモエイコサン酸メチル、21-ブロモヘンエイコサン酸メチル、22-ブロモドコサン酸メチル、23-ブロモトリコサン酸メチル、24-ブロモテトラコサン酸メチル、25-ブロモペンタコサン酸メチル、30-ブロモトリアコンタン酸メチル、10-ブロモデカン酸エチル、11-ブロモウンデカン酸エチル、12-ブロモドデカン酸エチル、13-ブロモトリデカン酸エチル、14-ブロモテトラデカン酸エチル、15-ブロモペンタデカン酸エチル、16-ブロモヘキサデカン酸エチル、17-ブロモヘプタデカン酸エチル、18-ブロモオクタデカン酸エチル、19-ブロモノナデカン酸エチル、20-ブロモエイコサン酸エチル、21-ブロモヘンエイコサン酸エチル、22-ブロモドコサン酸エチル、23-ブロモトリコサン酸エチル、24-ブロモテトラコサン酸エチル、25-ブロモペンタコサン酸エチル、30-ブロモトリアコンタン酸エチルなどを挙げることができる。
(合成方法7)
本方法では、末端にハロゲンを有するオレフィンに対して、フッ化カリウムなどのフッ化物イオン存在下でチオホスゲンを反応させることでCF-S-(CH-CH=CHを合成する。末端にハロゲンを有するオレフィンとしては、具体的には11-ブロモウンデセン、12-ブロモドデセン、13-ブロモトリデセン、14-ブロモテトラデセン、15-ブロモペンタデセン、16-ヘキサデセン、17-ヘプタデセン、18-ブロモオクタデセン、19-ブロモノナデセン、20-ブロモイコセン、21-ブロモヘンイコセン、24-ブロモテトラコセン、30-ブロモトリアコンテンなどを挙げることができる。
(合成方法8)
本方法ではハロゲンを有するカルボン酸またはエステルに対して、[(CHN][N(CF]を反応させることで(CFN-(CH-C(=O)ORj51を合成する。(式中、Rj51は、水素原子、またはC1-4アルキル基である。)末端にハロゲンを有するエステルとしては、具体的には10-ブロモデカン酸メチル、11-ブロモウンデカン酸メチル、12-ブロモドデカン酸メチル、13-ブロモトリデカン酸メチル、14-ブロモテトラデカン酸メチル、15-ブロモペンタデカン酸メチル、16-ブロモヘキサデカン酸メチル、17-ブロモヘプタデカン酸メチル、18-ブロモオクタデカン酸メチル、19-ブロモノナデカン酸メチル、20-ブロモエイコサン酸メチル、21-ブロモヘンエイコサン酸メチル、22-ブロモドコサン酸メチル、23-ブロモトリコサン酸メチル、24-ブロモテトラコサン酸メチル、25-ブロモペンタコサン酸メチル、30-ブロモトリアコンタン酸メチル、10-ブロモデカン酸エチル、11-ブロモウンデカン酸エチル、12-ブロモドデカン酸エチル、13-ブロモトリデカン酸エチル、14-ブロモテトラデカン酸エチル、15-ブロモペンタデカン酸エチル、16-ブロモヘキサデカン酸エチル、17-ブロモヘプタデカン酸エチル、18-ブロモオクタデカン酸エチル、19-ブロモノナデカン酸エチル、20-ブロモエイコサン酸エチル、21-ブロモヘンエイコサン酸エチル、22-ブロモドコサン酸エチル、23-ブロモトリコサン酸エチル、24-ブロモテトラコサン酸エチル、25-ブロモペンタコサン酸エチル、30-ブロモトリアコンタン酸エチルなどを挙げることができる。
(合成方法9)
本方法では末端にハロゲンを有するオレフィンに対して、[(CHN][N(CF]を反応させることで(CFN-(CH-CH=CHを合成する。末端にハロゲンを有するオレフィンとしては、具体的には11-ブロモウンデセン、12-ブロモドデセン、13-ブロモトリデセン、14-ブロモテトラデセン、15-ブロモペンタデセン、16-ヘキサデセン、17-ヘプタデセン、18-ブロモオクタデセン、19-ブロモノナデセン、20-ブロモイコセン、21-ブロモヘンイコセン、24-ブロモテトラコセン、30-ブロモトリアコンテンなどを挙げることができる。
(合成方法10)
本方法では水酸基とカルボニル基を有する化合物(101):HO-Rj33-COORj32を原料として用い、トリフルオロメトキシ基含有化合物を合成する。
j33は、アルキレン基、例えば、C1-30アルキレン基である。
化合物(101)としては、具体的には、3-ヒドロキシプロピオン酸、4-ヒドロキシ酪酸、5-ヒドロキシ吉草酸、6-ヒドロキシヘキサン酸、7-ヒドロキシヘプタン酸、8-ヒドロキシオクタン酸、9-ヒドロキシノナン酸、10-ヒドロキシデカン酸、12-ヒドロキシラウリン酸、14-ヒドロキシミリスチン酸、16-ヒドロキシパルミチン酸、17-ヒドロキシヘプタデカン酸、18-ヒドロキシステアリン酸、20-ヒドロキシエイコサン酸、21-ヒドロキシヘンエイコサン酸、22-ヒドロキシドコサン酸、23-ヒドロキシトリコサン酸、24-ヒドロキシテトラコサン酸、25-ヒドロキシペンタコサン酸、30-ヒドロキシトリアコンタン酸等のカルボキシル基を末端に有する化合物、およびそのメチルエステル、酸クロライドなどを挙げることができる。
化合物(101)の水酸基に、水素化ナトリウムなどの塩基存在下で二硫化炭素を作用させ、ヨードメタンを加えることで、キサントゲン酸エステル(102):HCS-C(=S)-O-Rj33-COORj32が得られる。上記キサントゲン酸エステル(102)に対してフッ化水素ピリジンと1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインを作用させることで目的とするトリフルオロメトキシ基含有化合物(103):FCO-Rj33-COORj32を得る。
また、別法として、化合物(101)の水酸基に、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの存在下、NMP、DMF、HMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)などの非プロトン極性溶媒中、アリールスルホン酸トリフルオロメチルエステルを作用させることで、目的とするトリフルオロメトキシ基含有化合物(103):FCO-Rj33-COORj32を得る。
(合成方法11)
本方法では水酸基とオレフィンを有する化合物(111):HO-Rj33-CH=CHを原料として用い、トリフルオロメトキシ基含有化合物を合成する。
j33は、アルキレン基、例えば、C1-30アルキレン基である。
オレフィン基含有化合物としては、例えば3-ヒドロキシプロペン、4-ヒドロキシ-1-ブテン、5-ヒドロキシ-1-ペンテン、6-ヒドロキシ-1-ヘキセン、7-ヒドロキシ-1-ヘプテン、8-ヒドロキシ-1-オクテン、9-ヒドロキシ-1-ノネン、10-ヒドロキシ-1-デケン、11-ヒドロキシ-1-ウンデケン、12-ヒドロキシ-1-ドデケン、13-ヒドロキシ-1-トリデケン、14-ヒドロキシ-1-テトラデケン、15-ヒドロキシ-1-ペンタデケン、16-ヒドロキシ-1-ヘキサデケン、17-ヒドロキシ-1-ヘプタデケン、18-ヒドロキシ-1-オクタデケン、19-ヒドロキシ-1-ノナデケン、20-ヒドロキシ-1-イコセン、21-ヒドロキシ-1-ヘンイコセン、24-ヒドロキシ-1-テトラコセン、30-ヒドロキシ-1-トリアコンテンなどが挙げられる。
化合物(111)の水酸基に、水素化ナトリウムなどの塩基存在下で二硫化炭素を作用させ、ヨードメタンを加えることで、キサントゲン酸エステル(112):HCS-C(=S)-O-Rj33-COORj32が得られる。上記キサントゲン酸エステル(102)に対してフッ化水素ピリジンと1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインを作用させることで目的とするトリフルオロメトキシ基含有化合物(113):FCO-Rj33-CH=CHを得る。
また、別法として、化合物(111)の水酸基に、フッ化セシウム、テトラブチルアンモニウムブロミドなどの存在下、NMP、DMF、HMPA(ヘキサメチルリン酸トリアミド)などの非プロトン極性溶媒中、アリールスルホン酸トリフルオロメチルエステルを作用させることで、目的とするトリフルオロメトキシ基含有化合物(113):FCO-Rj33-CH=CHを得る。
[表面処理剤]
以下、本開示の表面処理剤について説明する。
本開示の表面処理剤は、式(1)で表される少なくとも1種の含フッ素シラン化合物を含む。
本開示の表面処理剤は、さらに、含フッ素シラン化合物の縮合体を含んでいてもよい。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、含フッ素シラン化合物、および該含フッ素シラン化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体からなる化合物の少なくとも1つを含有する。
一の態様において、上記の式(1)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.1~50.0質量%、より好ましくは1.0~30.0質量%、さらに好ましくは5.0~25.0質量%、特に好ましくは10.0~20.0質量%であり得る。
別の態様において、上記の式(1)で表される化合物の含有量は、表面処理剤全体に対して、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.01~10質量%、さらに好ましくは0.05~5質量%、特に好ましくは0.05~2質量%であり得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、式(1)で表される化合物、および式(1)で表される化合物の少なくとも一部が縮合した縮合体を含有し得る。
上記の態様において、上記縮合体の含有量は、式(1)で表される化合物と上記縮合体の合計に対して、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下であり得る。ここで、上記縮合体の含有量は、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)におけるピーク位置と面積の存在比から求めることができる。
本開示の組成物は、溶媒、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、アミン化合物、アルコール類、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R90-OHで表される化合物を含む。
90は1価の有機基であり、好ましくはC1-20アルキル基またはC3-20アルキレン基であり、これらの基は1以上の置換基により置換されていてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、-OR91(ここで、R91はC1-10アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、例えばメチル基)を挙げることができる。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、R81OR82、R83 n86-n8、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89、および(OSiR8788m9
[式中
81~R89は、それぞれ独立して、炭素数1~10個の一価の有機基であり、
m8は、1~6の整数であり、
m9は、3~8の整数であり、
n8は、0~6の整数である。]
で表される化合物から選択される溶媒を含み得る。
上記炭素数1~10個の一価の有機基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよく、さらに環状構造を含んでいてもよい。
一の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、酸素原子、窒素原子、またはハロゲン原子を含んでいてもよい。
別の態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲン原子を含まない。
好ましい態様において、上記炭素数1~10個の一価の有機基は、ハロゲンにより置換されていてもよい炭化水素基、好ましくはハロゲンにより置換されていない炭化水素基である。
一の態様において、上記炭化水素基は、直鎖である。
別の態様において、上記炭化水素基は、分岐鎖である。
別の態様において、上記炭化水素基は、環状構造を含む。
一の態様において、上記溶媒は、R81OR82である。
81およびR82は、それぞれ独立して、好ましくは炭素数1~8の炭化水素基、より好ましくはC1-6のアルキル基、またはC5-8のシクロアルキル基であり得る。
一の態様において、上記溶媒は、R83 n86-n8である。
6-n8は、n8価のベンゼン環である。即ち、R83 n86-n8は、n8個のR83により置換されたベンゼンである。
83は、それぞれ独立して、ハロゲン、またはハロゲンにより置換されていてもよいC1-6のアルキル基であり得る。
n8は、好ましくは1~3の整数である。
一の態様において、上記溶媒は、R848586Si-(O-SiR8788m8-R89である。
一の態様において、上記溶媒は、(OSiR8788m9である。(OSiR8788m9は、複数のOSiR8788単位が環状に結合することにより形成される環状シロキサンである。
84~R89は、それぞれ独立して、水素原子、またはC1-6のアルキル基、好ましくはC1-6のアルキル基、より好ましくはC1-3のアルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
m8は、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~5の整数であり、さらに好ましくは1~2であ。
m9は、好ましくは3~6の整数、より好ましくは3~5の整数である。
一の態様において、上記溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C13H(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-2000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素炭化水素類;CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等の含フッ素アルコール類;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分岐状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、ハイドロフルオロオレフィン類;CFCH=CHCl(例えば、セントラル硝子株式会社製のCELEFIN(登録商標)1233Z)、CHFCF=CHCl(例えば、旭硝子株式会社製のAMOLEA(登録商標)AS-300)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類;ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、シロキサン類が好ましい。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、C13CHCH、C13H、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH、パーフルオロプロピルメチルエーテル、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテル、CFCHOCFCHF、CFCH=CHCl、CHFCF=CHClが好ましい。
シリコーンオイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3a):
1a-(SiR3a -O)a1-SiR3a -R1a ・・・(3a)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、
a1は、2~3000である。]
で表される化合物が挙げられる。
上記R3aは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基である。かかる炭化水素基は、置換されていてもよい。
3aは、それぞれ独立して、好ましくは非置換炭化水素基、またはハロゲン原子により置換されている炭化水素基である。かかるハロゲン原子は、好ましくはフッ素原子である。
3aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基またはアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基またはアリール基である。
上記C1-6アルキル基は、直鎖であっても、分岐鎖であってもよいが、好ましくは直鎖
である。C1-6アルキル基は、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
上記アリール基は、好ましくはフェニル基である。
一の態様において、R3aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、R3aは、フェニル基である。
別の態様において、R3aは、メチル基またはフェニル基、好ましくはメチル基である。
上記R1aは、それぞれ独立して、水素原子または炭化水素基であり、上記R3aと同意義である。
1aは、それぞれ独立して、好ましくはハロゲン原子により置換されていてもよいC1-6アルキル基またはアリール基、より好ましくはC1-6アルキル基またはアリール基である。
一の態様において、R1aは、それぞれ独立して、C1-6アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、より好ましくはメチル基である。
別の態様において、R1aは、フェニル基である。
別の態様において、R1aは、メチル基またはフェニル基、好ましくはメチル基である。
上記a1は、2~1500である。a1は、好ましくは5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは15以上、例えば30以上、または50以上であり得る。a1は、好ましくは1000以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは200以下、さらにより好ましくは150以下、例えば100以下、または80以下であり得る。
a1は、好ましくは5~1000、より好ましくは10~500、さらに好ましくは15~200、さらにより好ましくは15~150であり得る。
別のシリコーンオイルとしては、下記(3b):
1a-RSO2-R3a ・・・(3b)
[式中:
1aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
3aは、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
SO2は、2価のシロキサン含有基であり、式(1)のXにおける2価のシロキサン含有基と同意義である。]
で表される化合物が挙げられる。
上記シリコーンオイルは、500~1000000、好ましくは1000~100000の平均分子量を有していてよい。シリコーンオイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
上記シリコーンオイルとしては、例えば-(SiR3a -O)a1―のa1が30以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得ることができる。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
上記シリコーンオイルは、本開示の組成物に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0.001~30質量%、より好ましくは0.1~5質量%含まれ得る。
本開示の組成物中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示の化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは0~100質量部、より好ましくは0~50質量部、更に好ましくは0~10質量部で含まれ得る。
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコールが挙げられる。これらのアルコール類を組成物に添加することにより、組成物の安定性を向上させる。
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B、Si、Ta、Nb、Mo、W、Cr、Hf、V等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等が挙げられる。
上記脂肪族アミン化合物としては、例えば、ジエチルアミン、トリエチルアミン等を挙げることができる。上記芳香族アミン化合物としては、例えば、アニリン、ピリジン等を挙げることができる。
好ましい態様において、上記遷移金属は、M-R(式中、Mは、遷移金属原子であり、Rは加水分解性基である。)で表される遷移金属化合物として含まれる。遷移金属化合物を、遷移金属と加水分解性基とが結合した化合物とすることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
上記加水分解性基とは、上記化合物に関する加水分解性基と同様に、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、遷移金属原子から脱離し得る基を意味する。加水分解性基の例としては、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換のC1-4アルキル基を示す)などが挙げられる。
好ましい態様において、上記加水分解性基とは、-ORであり、好ましくはメトキシまたはエトキシである。加水分解性基としてアルコキシ基を用いることにより、より効率的に遷移金属原子を表面処理層に含ませることができ、表面処理層の摩擦耐久性および耐薬品性をさらに向上させることができる。
一の態様において、上記加水分解性基は、上記した化合物に含まれる加水分解性基と同じであってもよい。化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を同じ基とすることにより、かかる加水分解性基が相互に交換された場合であっても、その影響を小さくすることができる。
別の態様において、上記加水分解性基は、上記した化合物に含まれる加水分解性基と異なっていてもよい。化合物と遷移金属化合物における加水分解性基を異なるものとすることにより、加水分解の反応性を制御することができる。
一の態様において、上記加水分解性基と、上記化合物に含まれる加水分解性基は、組成物中において、相互に入れ替わっていてもよい。
好ましい態様において、上記遷移金属化合物は、Ta(OR(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基である。)であり、好ましくはTa(OCHCH、またはSi(OR1-m1m’ m1(式中、Rは置換または非置換のC1-4アルキル基であり、Rm’は、C1-4アルキル基であり、m1は、0または1である。)、好ましくはテトラエトキシシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、またはジメチルジメトキシシランであり得る。
上記触媒は、組成物全体に対して、例えば、0.0002質量%以上含まれ得る。上記触媒は、組成物全体に対して、0.02質量%以上含まれることが好ましく、0.04質量%以上含まれることがより好ましい。上記触媒は、組成物全体に対して、例えば、10質量%以下含まれてもよく、特に1質量%以下含まれる。本開示の組成物は、上記触媒が、上記のような濃度含むことによって、より耐久性の良好な表面処理層の形成に寄与し得る。
上記触媒の含有量は、本開示の化合物に対して0~10質量%が好ましく、0~5質量%がより好ましく、0~1質量%が特に好ましい。
触媒は、本開示の化合物の加水分解および脱水縮合を促進し、本開示の組成物により形成される層の形成を促進する。
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
本開示の組成物は、上記した成分に加え、不純物として、例えばPt、Rh、Ru、1,3-ジビニルテトラメチルジシロキサン、トリフェニルホスフィン、NaCl、KCl、シランの縮合物などを微量含み得る。
一の態様において、本開示の組成物は、乾燥被覆法、好ましくは真空蒸着用である。
一の態様において、本開示の組成物は、湿潤被覆法、好ましくは浸漬コーティング用である。
本開示の組成物は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
本開示の組成物は、好ましくは表面処理剤として、または表面処理剤の成分として用いられる。
以下、本開示の物品について説明する。
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示の表面処理剤より形成された層(表面処理層)とを含む。
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、衛生用品、任意の適切な材料で構成され得る。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、Ta,Nb、HfO、Si、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiOおよび/またはSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
上記基材の形状は、特に限定されず、例えば、板状、フィルム、その他の形態であってよい。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
一の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜または熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入または増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
別の態様において、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
好ましい態様において、上記基材はガラスである。かかるガラスとしては、サファイアガラス、ソーダライムガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス、クリスタルガラス、石英ガラス、結晶化ガラスが好ましく、化学強化したソーダライムガラス、化学強化したアルカリアルミノケイ酸塩ガラス、および化学結合したホウ珪酸ガラスが特に好ましい。
一の態様において、本開示の物品は、ガラスと表面処理層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含んでいてもよい。かかる中間層を設けることにより、ガラスと表面処理層との密着性が向上し、耐久性が向上する。
好ましい態様において、上記中間層は、酸化ケイ素に加え、アルカリ金属を含んでいてもよい。
上記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。上記アルカリ金属は、好ましくはナトリウムである。
中間層の厚さは、特に限定されないが、1~200nmが好ましく、1~20nmが特に好ましい。中間層の厚さを上記範囲の下限値以上とすることにより、中間層による接着性の向上効果がより大きくなる。
中間層におけるアルカリ金属原子濃度は各種表面分析装置、たとえばTOF-SIMS、XPS、XRFなどで測定できる。
中間層全体の全原子に占めるアルカリ金属原子の割合は、イオンスパッタリングによるXPS深さ方向分析で得ることができ、XPSによる測定とXPS装置に内蔵されたイオン銃を用いたイオンスパッタリングによる表面のエッチングとを交互に繰り返すことによって行われる。
中間層において、表面処理層と接する面からの深さが1nm以下の領域におけるアルカリ金属の濃度の平均値は、イオンスパッタリングによるTOF-SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析法)深さ方向分析により、アルカリ金属原子の濃度の深さ方向プロファイルを得た後、該プロファイルにおけるアルカリ金属原子濃度の平均値を算出することによって求められる。イオンスパッタリングによるTOF-SIMS深さ方向分析は、TOF-SIMSによる測定とTOF-SIMS装置に内蔵されたイオン銃を用いたイオンスパッタリングによる表面のエッチングとを交互に繰り返すことによって行われる。
本開示の物品は、上記基材の表面に、上記の本開示の表面処理剤の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の表面処理剤から層を形成することにより製造することができる。
本開示の表面処理剤の層形成は、上記表面処理剤を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティング、ワイプコーティング、スキージーコート法、ダイコート、インクジェット、キャスト法、ラングミュア・ブロジェット法および類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本開示の組成物の安定性及び溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、C13H(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-2000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の含フッ素炭化水素類;CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH等の含フッ素アルコール類;ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基及びアルキル基は直鎖又は分岐状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))、ハイドロフルオロオレフィン類;CFCH=CHCl(例えば、セントラル硝子株式会社製のCELEFIN(登録商標)1233Z)、CHFCF=CHCl(例えば、旭硝子株式会社製のAMOLEA(登録商標)AS-300)、シクロペンチルメチルエーテル等のエーテル類;ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等のシロキサン類;ジメチルスルホキシドなど。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等が挙げられる。なかでも、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、エステル類、グリコールエーテル類、アルコール類、エーテルアルコール類、シロキサン類が好ましい。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット、ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチルプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサエチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、オクタメチルシクロペンタシロキサン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、C13CHCH、C13H、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン、1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン、1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン、CFCHOH、CFCFCHOH、(CFCHOH、パーフルオロプロピルメチルエーテル、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、パーフルオロヘキシルメチルエーテル、CFCHOCFCHF、CFCH=CHCl、CHFCF=CHClが好ましい。
一の態様において、湿潤被覆法を使用する場合の溶媒としては、例えば、R90-OHで表される化合物を用いることができる。R90は1価の有機基であり、好ましくはC1-20アルキル基またはC3-20アルキレン基であり、これらの基は1以上の置換基により置換されていてもよい。置換基としては、例えば、水酸基、-OR91(ここで、R91はC1-10アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、例えばメチル基)を挙げることができる。
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の表面処理剤は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、または、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
表面処理剤の層形成は、層中で本開示の表面処理剤が、加水分解および脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の表面処理剤を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の表面処理剤の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の表面処理剤をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の表面処理剤を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸または塩基、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn、Zr、Al、B等)、分子構造内に非共有電子対を有する含硫黄化合物、または含窒素化合物(例えばスルホキシド化合物、脂肪族アミン化合物、芳香族アミン化合物、リン酸アミド化合物、アミド化合物、尿素化合物)等を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、スルホン酸、メタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン等の有機アミン類などを使用できる。遷移金属、脂肪族アミン化合物、および芳香族アミン化合物は、上記と同様のものが挙げられる。
本開示の物品に含まれる表面処理層は、高い摩耗耐久性を有し得る。また、上記表面処理層は、高い摩耗耐久性に加えて、使用する表面処理剤の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)、耐薬品性などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
従って、本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイまたはそれらのディスプレイの保護板、またはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
本開示の物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
また、本開示の物品は、医療機器または医療材料であってもよい。また、本開示によって得られる層を有する物品は、自動車内外装部材であってもよい。外装材の例には、次のものが挙げられる:ウィンドウ、ライトカバー、車外カメラカバー。内装材の例には、次のものが挙げられる:インパネカバー、ナビゲーションシステムタッチパネル、加飾内装材。
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、光学性能、摩耗耐久性および防汚性の点から、上記層の厚さは、例えば1~50nm、好ましくは1~30nm、より好ましくは1~15nmの範囲であり得る。
表面処理層の原子組成および構成原子の比率を測定するためのX線光電子分光分析法を行う装置としては、XPS,アルバック・ファイ社製 PHI5000VersaProbeIIを使用することができる。XPS分析の測定条件としては、X線源に単色化AlKα線を25W、光電子検出面積を1400μm×300μm,光電子検出角を20度~90度の範囲(例えば20度、45度、90度)、パスエネルギーを23.5eVなどとし、スパッタリングにはガスクラスターイオンビーム、Arイオンなどを用いることが可能である。上記装置、測定条件により、C1s、O1s、Si2pのピーク面積を観測し、炭素、酸素、ケイ素の原子比を算出することにより表面処理層および中間層の組成を求めることができる。
また、深さ方向の分析を実施することも可能である。XPS分析の測定条件としては、X線源に単色化AlKα線を25Wで用い、光電子検出面積を1400μm×300μm,光電子検出角を、20度~90度の範囲(例えば20度、45度、90度)、パスエネルギーを23.5eVなどとし、スパッタイオンにはArイオン、ガスクラスターイオン、C60イオンなどを用いることができる。スパッタリングによって1~100nmエッチングし、それぞれのエッチング後の深さにおいける塗膜中の組成を得ることもできる。
上記のXPS分析の光電子検出角を調整することにより、検出深さを適宜調整することができる。例えば、20度に近い浅い角度とすることにより、検出深さを3nm程度とすることができ、一方、90度に近い深い角度にすることにより、検出深さを10数nm程度とすることができる。
上記した酸化ケイ素を含む中間層は、酸化ケイ素前駆体を基材の表面に適用することにより形成することができる。中間層がアルカリ金属を含む場合、上記中間層は、酸化ケイ素前駆体とアルカリ金属源を含む組成物を基材の表面に適用することにより形成することができる。
上記酸化ケイ素前駆体としては、ケイ酸、ケイ酸の部分縮合物、アルカリ金属ケイ酸塩、ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物、該シラン化合物の部分加水分解縮合物等が挙げられる。ケイ酸やその部分縮合物は脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができ、アルカリ金属ケイ酸塩は酸や陽イオン交換樹脂によりケイ酸やその部分縮合物とし、生成したケイ酸やその部分縮合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物における加水分解性基としては、アルコキシ基、塩素原子等が挙げられる。該シラン化合物の加水分解性基を加水分解させて水酸基とし、生成するシラノール化合物を脱水縮合させて酸化ケイ素とすることができる。ケイ素原子に結合した加水分解性基を有するシラン化合物としては、テトラアルコキシシラン、アルキルトリアルコキシシラン等のアルコキシシランやテトラクロロシラン等が挙げられる。
上記アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物、水溶性アルカリ金属塩等が挙げられる。水溶性アルカリ金属塩としては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属塩酸塩、アルカリ金属硝酸塩等が挙げられる。アルカリ金属源としては、アルカリ金属水酸化物およびアルカリ金属炭酸塩が好ましい。
尚、アルカリ金属ケイ酸塩は酸化ケイ素前駆体かつアルカリ金属源として用いることができる。アルカリ金属ケイ酸塩はケイ酸を経て酸化ケイ素とすることができるが、その際に少量のアルカリ金属が生成する酸化ケイ素中に残留し得る。従って、残留するアルカリ金属の量を調整して、所定量のアルカリ金属原子を含む酸化ケイ素を得ることができる。
上記中間層の厚さは、特に限定されないが、例えば、1~50nm、好ましくは1~30nm、より好ましくは2~15nm、さらに好ましくは3~10nmの範囲である。
以上、本開示の化合物、組成物、および物品について詳述した。なお、本開示の化合物、組成物、および物品などは、上記で例示したものに限定されない。
以下、本開示の化合物について、実施例において説明するが、本開示は以下の実施例に限定されるものではない。
(合成例1)
4-(トリフルオロメトキシ)フェニル酢酸を3.00g、テトラヒドロフランを20g、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩を2.93g、4-ジメチルアミノピリジンを0.16g、および9-デセン-1-オールを2.34mL、それぞれ加えて、室温で終夜攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のトリフルオロメトキシ基含有化合物(1)CFOCCHCOO(CHCHCH=CH(4.50g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.241-1.388(m),1.576-1.645(t),2.009-2.077(m),3.617(s),4.072-4.107(t),4.916-5.023(m),5.760-5.862(m),7.162-7.180(m),7.293-7.322(m)
トリフルオロメトキシ基含有化合物(1)
(合成例2)
合成例1で得られたトリフルオロメトキシ基含有化合物(1)CFOCCHCOO(CHCHCH=CHを2.58g、トルエンを7.5g、トリアセトキシメチルシランを0.046g、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.35ml、それぞれ加えた後、トリクロロシランを1.41mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、メタノール0.67gおよびオルトギ酸トリメチル14.80gの混合溶液を加えた後、65℃に加熱し2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(2)CFOCCHCOO(CH10Si(OCH(2.54g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:0.628-0.669(m),1.255-1.428(m),1.589-1.623(m),3.569(s),3.614(s),4.068-4.102(t),7.157-7.178(m),7.290-7.325(m)
トリフルオロメトキシ基含有化合物(2)
(合成例3)
4-(トリフルオロメトキシ)アニリンを9.825g、トルエンを5g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを5.97g、および10-ウンデセン酸メチルを5.62ml、それぞれ加えて、100℃に加熱し30時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のトリフルオロメトキシ基含有化合物(3)CFOCNHCO(CHCHCH=CH(8.03g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.275-1.380(m),1.591-1.646(m),1.677-1.751(m),2.004-2.060(m),2.324-2.372(m),4.909-5.016(m),5.751-5.857(m),7.151-7.172(d),7.532-7.555(d)
トリフルオロメトキシ基含有化合物(3)
(合成例4)
合成例3で得られたトリフルオロメトキシ基含有化合物(3)CFOCNHCO(CHCHCH=CHを2.58g、トルエンを7.74g、トリアセトキシメチルシランを0.05g、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.38ml、それぞれ加えた後、トリクロロシランを1.52mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、メタノール0.72gおよびオルトギ酸トリメチル15.95gの混合溶液を加えた後、65℃に加熱し2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(4)CFOCNHCO(CH10Si(OCH(3.07g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:0.617-0.657(m),1.257-1.412(m),1.600-1.636(m),1.668-1.722(m),2.313-2.364(m)3.561(s),7.142-7.164(d),7.535-7.557(d)
トリフルオロメトキシ基含有化合物(4)
(合成例5)
16-ヒドロキシヘキサデカン酸を5.19g、トルエンを35.0ml、およびメタノールを35.0ml、それぞれ加え、次いで、氷浴下トリメチルシリルジアゾメタン10%ヘキサン溶液を41.28ml加えて室温で1時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のメチルエステル基含有アルコール化合物(5)HO(CH15COOCH(5.40g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.220-1.331(m),1.525-1.628(m),2.276-2.314(t),3.618-3.651(t),3.659(s)
メチルエステル基含有アルコール化合物(5)
(合成例6)
合成例5で得られたメチルエステル基含有アルコール化合物(5)HO(CH15COOCHを5.50g、テトラヒドロフランを50.7g、水素化ナトリウムを1.15g、および二硫化炭素を2.92g、それぞれ加えて、室温で3時間攪拌した。続いて、ヨードメタンを4.09g加えて、室温で2時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のキサントゲン酸エステル基含有化合物(6)CHSC(S)O(CH15COOCH(6.11g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.252-1.401(m),1.594-1.631(m),1.774-1.812(m),2.280-2.317(t),2.554(s),3.663(s),4.569-4.602(t)
キサントゲン酸エステル基含有化合物(6)
(合成例7)
合成例6で得られたキサントゲン酸エステル基含有化合物(6)CHSC(S)O(CH15COOCHを3.03g、ジクロロメタンを48.0ml、および1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントインを10.44g、それぞれ加えて、-78℃下で30分攪拌した。続いて、ピリジニウムポリ(ヒドロゲンフルオリド)を7.63g加えて、-78℃下で1時間、室温で5時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のトリフルオロメトキシ基含有化合物(7)CFO(CH15COOCH(2.53g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.243-1.382(m),1.568-1.700(m),2.271-2.308(t),3.653(s),3.917-3.949(t)
トリフルオロメトキシ基含有化合物(7)
(合成例8)
合成例7で得られたトリフルオロメトキシ基含有化合物(7)CFO(CH15COOCHを1.12g、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンを0.53g、およびアリルアミンを9.02g、それぞれ加えて、65℃に加熱し6時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記のトリフルオロメトキシ基含有化合物(8)CFO(CH15CONHCHCH=CH(1.05g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.250-1.391(m),1.598-1.710(m),2.169-2.208(t),3.875-3.888(t),3.927-3.960(t),5.116-5.202(m),5.456(brs),5.792-5.889(m)
トリフルオロメトキシ基含有化合物(8)
(合成例9)
合成例8で得られたトリフルオロメトキシ基含有化合物(8)CFO(CH15CONHCHCH=CHを1.05g、トルエンを3.15g、トリアセトキシメチルシランを0.02g、および1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.14ml、それぞれ加えた後、トリクロロシランを0.56mL仕込み、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、メタノール0.27gおよびオルトギ酸トリメチル5.87gの混合溶液を加えた後、65℃に加熱し2時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(9)CFO(CH15CONH(CHSi(OCH(1.17g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:0.620-0.661(m),1.242-1.384(m),1.591-1.686(m),2.117-2.156(t),3.211-3.261(q),3.563(s),3.919-3.952(t)
末端トリメトキシシリル基含有化合物(9)
(表面処理剤1)
上記で得られた化合物(9)を10wt%の1,3-ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン溶液となるよう希釈し、表面処理剤1を得た。
(合成例10)
トリフルオロエタノールを3.0g、18-ブロモ-1-オクタデセンを3.0g、24%水酸化カリウム水溶液を1.5g、テトラブチルアンモニウムブロミドを0.4g、およびジグライムを0.5g、それぞれ加えて、還流条件で24時間攪拌した。その後、精製を行うことにより、下記の1,1,1-トリフルオロエトキシ基含有化合物(10)CFCHO(CH16CH=CH(2.8g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:1.110-1.1.432(m),1.565-1.646(m),2.009-2.065(q),3.575-3.608(t),3.764-3.829(q),4.908-5.019(m),5.763-5.865(m)
トリフルオロエトキシ基含有化合物(10)
(合成例11)
合成例10で得られたトリフルオロエトキシ基含有化合物(10)CFCHO(CH16CH=CHを1.0g、トルエンを3.0g、トリアセトキシメチルシランを0.02g、1,3-ジビニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサンのPt錯体を2%含むキシレン溶液を0.2ml、およびトリクロロシランを1.2mL仕込み、55℃に加熱し3時間撹拌した。その後、減圧下で揮発分を留去した後、メタノール0.1gおよびオルトギ酸トリメチル1.8gの混合溶液を加えた後、60℃に加熱し3時間撹拌した。その後、精製を行うことにより、末端にトリメトキシシリル基を有する下記の化合物(11)CFCHO(CH18Si(OCH(1.74g)を得た。
H NMR(CDCl,400MHz)δ[ppm]:0.604-0.668(m),1.195-1.434(m),1.554-1.624(m),3.521-3.611(m),3.751-3.817(q)
トリフルオロエトキシ基含有化合物(11)
(表面処理剤2)
上記で得られた化合物(11)を10wt%のヘキサメチルジシロキサン溶液となるよう希釈し、表面処理剤2を得た。
(表面処理剤3)
化合物(X)CH(CH16CONH(CHSi(OCHを10wt%のエタノール溶液となるよう希釈し、表面処理剤3を得た。
(表面処理層の形成)
(実施例1、2、及び比較例1)
上記で調製した表面処理剤1~3を、化学強化ガラス(コーニング社製、ゴリラガラス、厚さ0.7mm)上に真空蒸着した。具体的には、真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに表面処理剤0.1gを充填し、真空蒸着装置内を圧力3.0×10-Pa以下に排気した。その後、7nmの厚さの二酸化ケイ素膜を形成し、続いて抵抗加熱方式によりボートを加熱することで表面処理層を形成した。その後、オーブンで150℃、2時間の加熱処理を行うことにより、表面処理層を得た。
<評価>
[撥油性評価]
表面処理層の形成後、表面上の余剰分を拭き上げたのちに、ノルマルヘキサデカンの静的接触角を測定した。接触角の測定は、25℃環境下において、全自動接触角計DropMaster700(協和界面科学社製)を用いた。具体的には、測定対象の表面処理層を有する基材を水平に静置し、その表面にマイクロシリンジからヘキサデカンをそれぞれ滴下し、滴下1秒後の静止画をビデオマイクロスコープで撮影することにより、それぞれの静的接触角を測定した。静的接触角は、基材の表面処理層の異なる5点において測定し、その平均値を算出した値を用いた。結果は表1に示す。
本開示の化合物は、種々多様な用途に好適に利用され得る。

Claims (24)

  1. 下記式(1):
    [式中:
    Rfは、それぞれ独立して、末端にCFを有する基であり、
    ただし、前記末端CFは、隣接位にCFを有さず、
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、または2~10価の有機基であり、
    Siは、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子を含む1価の基であり、
    α1は、1~9の整数であり;および
    α2は、1~9の整数である。]
    で表される含フッ素シラン化合物。
  2. Rfは、それぞれ独立して、
    A1-X
    [式中:
    A1は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-であり、
    は、
    単結合、
    2価のシロキサン基を含む基、または
    -(CFH)a1-(CHb1-(O)c1-(C(RA2e12-e1d1-(NRA3f1
    (式中:
    A2は、CF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-または(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
    A3は、水素原子、またはCF-、CFO-、CFNH-、CFCHNH-、(CFN-、(CFCHN-、CFS-、CFC(=O)-、CFCHC(=O)-、CFC(=O)O-、CFCHOC(=O)-、CFCONH-、CFCHCONH-、CFNHCO-、CFCHNHCO-、CFCON(CF)-、CFCHCON(CF)-、CFCON(CHCF)-、CFCHCON(CHCF)-、(CFNCO-、もしくは(CFCHNCO-を有する1価の基であり、
    a1は、0~200の整数であり、
    b1は、0~200の整数であり、
    c1は、0~200の整数であり、
    d1は、0~200の整数であり、
    e1は、1または2であり、
    f1は、0~200の整数であり、
    符号a1、b1、c1、d1およびf1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。)
    で表される基である。]
    で表される基である、請求項1に記載の含フッ素シラン化合物。
  3. A1は、CFO-、CFNH-、または(CFN-である、請求項2に記載の含フッ素シラン化合物。
  4. A2は、CFO-、CFNH-、または(CFN-を有する1価の基である、請求項2または3に記載の含フッ素シラン化合物。
  5. A3は、水素原子、または、CFO-を有する1価の基である、請求項2~4のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
  6. は、-(CFH)a1-(CHb1-(O)c1
    [式中:
    a1は、0~200の整数であり、
    b1は、0~200の整数であり、
    c1は、0~10の整数であり、
    符号a1、b1、およびc1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。]
    で表される基である、請求項2または3に記載の含フッ素シラン化合物。
  7. は、-(CHb1
    [式中、b1は、0~36の整数である。]
    で表される基である、請求項2または3に記載の含フッ素シラン化合物。
  8. は、-(CHg1-R-Si(R-(CHg1
    [式中:
    g1は、それぞれ独立して、0~30の整数であり、
    は、下記式:
    (式中:
    は、それぞれ独立して、単結合、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、
    は、それぞれ独立して、C1-12アルキレン基、-R-O-R-、-R-R-R-、-R-R-R-R-R-、-R-R-R-R-R-R-R-、または-R-R-R-R-R-R-R-であり、
    は、それぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
    は、それぞれ独立して、置換されていてもよい、フェニレン基、またはナフチレン基であり、
    は、それぞれ独立して、単結合、またはC1-6アルキレン基であり、
    は、それぞれ独立して、単結合、または酸素原子であり、
    は、それぞれ独立して、炭化水素基であり、
    xは、0~200の整数であり、
    yは、0~200の整数であり、
    zは、0~200の整数であり、
    x+y+zは、1以上であり、
    x、y、またはzを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。)
    で表される基である。]
    で表される基である、請求項2または3に記載の含フッ素シラン化合物。
  9. は、単結合、-(X52l5-、または式(XA1):
    [式中:
    52は、それぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-CO-、-C(O)O-、-OC(O)-、-CONR54-、-NR54CO-、-O-CONR54-、-NR54CO-O-、-NR54CONR54-、-NR54-、および-(CHn5-からなる群から選択される基であり、
    54は、それぞれ独立して、水素原子、または1価の有機基であり、
    n5は、それぞれ独立して、1~30の整数であり、
    l5は、1~10の整数であり、
    は、それぞれ独立して、単結合または2価の連結基である。]
    で表される基である、請求項1~8のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物。
  10. Siは、下記式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)または(S5):
    [式中:
    11は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
    12は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
    n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数であり、
    11は、それぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり、
    13は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり、
    tは、それぞれ独立して、2以上の整数であり、
    14は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子または-X11-SiR11 n112 3-n1であり、
    15は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基であり、
    a1は、それぞれ独立して、-Z-SiR21 p122 q123 r1であり;
    は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
    21は、それぞれ独立して、-Z1’-SiR21’ p1’22’ q1’23’ r1’であり;
    22は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
    23は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
    p1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    q1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    r1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    1’は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
    21’は、それぞれ独立して、-Z1”-SiR22” q1”23” r1”であり;
    22’は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
    23’は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
    p1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    q1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    r1’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    1”は、それぞれ独立して、2価の有機基であり、
    22”は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
    23”は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
    q1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    r1”は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    b1は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
    c1は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
    k1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    l1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    m1は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    d1は、それぞれ独立して、-Z-CR31 p232 q233 r2であり、
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
    31は、それぞれ独立して、-Z2’-CR32’ q2’33’ r2’であり、
    32は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
    33は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
    p2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    q2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    r2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    2’は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
    32’は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
    33’は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
    q2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    r2’は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
    34は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解性基であり、
    35は、それぞれ独立して、1価の有機基であり、
    n2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    e1は、それぞれ独立して、-Z-SiR34 n235 3-n2であり、
    f1は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり、
    k2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    l2は、それぞれ独立して、0~3の整数であり、
    m2は、それぞれ独立して、0~3の整数である。
    g1およびRh1は、それぞれ独立して、-Z-SiR11 n112 3-n1、-Z-SiRa1 k1b1 l1c1 m1、または-Z-CRd1 k2e1 l2f1 m2であり、
    は、それぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり、
    k3は、1または2であり、
    l3は、0または1であり、
    ただし、式(S1)、(S2)、(S3)、(S4)、または(S5)中、水酸基または加水分解性基が結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。]
    で表される基である、請求項1に記載の含フッ素シラン化合物。
  11. Rfは、RA1-X-であり、
    A1は、CF-又はCFO-であり、
    は、単結合であり、
    は、-(p-フェニレン)v1-(CHv2-R57 v3-(CHv4-であり、
    57は、-CONH-、-NHCO-、-COO-、又は-O-であり、
    v1は、0又は1であり、
    v2は、0~20の整数であり、
    v3は、0又は1であり、
    v4は、2~20の整数であり、
    Siは、-SiR11 であり、
    11は、メトキシ基であり、
    α1は、1であり、
    α2は、1である、
    請求項1に記載の含フッ素シラン化合物。
  12. 下記化合物:
    Figure 2024114678000043
    から選択される、請求項1に記載の含フッ素シラン化合物。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物を含む、表面処理剤。
  14. さらに、請求項1~12のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物の縮合体を含む、請求項11に記載の表面処理剤。
  15. さらに、R90-OH(ここで、R90は1価の有機基である。)で表されるアルコールを含む、請求項13または14に記載の表面処理剤。
  16. 真空蒸着用である、請求項13~15のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  17. 湿潤被覆用である、請求項13~15のいずれか1項に記載の表面処理剤。
  18. 請求項13~17のいずれか1項に記載の表面処理剤を含有するペレット。
  19. 基材と、該基材上に請求項1~12のいずれか1項に記載の含フッ素シラン化合物から形成された層とを含む物品。
  20. 前記基材と前記層との間に、酸化ケイ素を含む中間層を含む、請求項19に記載の物品。
  21. 前記中間層は、アルカリ金属原子を含む、請求項20に記載の物品。
  22. 前記アルカリ金属原子の少なくとも一部がナトリウムである、請求項21に記載の物品。
  23. 光学部材である、請求項19~22のいずれか1項に記載の物品。
  24. ディスプレイである、請求項23に記載の物品。
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