JP2024097613A - 光学透明粘着シート - Google Patents

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Abstract

【課題】 ロール圧着痕が抑制された光学透明粘着シートを提供する。【解決手段】 熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む光学透明粘着シートであって、上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有し、上記ポリオール成分は、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含み、20℃における損失正接は0.1以上、0.4以下である光学透明粘着シート。【選択図】図1

Description

以下の開示は、光学透明粘着シートに関する。
光学透明粘着(OCA:Optically Clear Adhesive)シートは、光学部材の貼り合わせに利用される透明な粘着シートである。近年、スマートフォン、タブレットPC、携帯型ゲーム機、カーナビゲーション装置等の分野でタッチパネルの需要が急速に伸びており、これに伴い、タッチパネルを他の光学部材に貼り合わせるために用いられるOCAシートの需要も増加している。タッチパネルを備えた表示装置は、通常では、液晶パネル等の表示パネル、ITO(酸化インジウムスズ)等からなる透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル本体)、及び、透明導電膜を保護するカバーパネル等の光学部材が積層された構造を有し、光学部材間の貼り合わせにOCAシートが用いられている。
光学部材の貼り合わせには、例えば、(メタ)アクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物(例えば、特許文献1)や、二液熱硬化型ポリウレタン樹脂組成物(例えば、特許文献2)等を用いることも検討されている。
特許文献1には、下記に示される化合物(A)と化合物(B)、化合物(C)、化合物(D)及び化合物(E)の反応物であるポリウレタン化合物(F)が開示されている。
化合物(A):水添ポリブタジエンポリオール化合物
化合物(B):3官能基以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物
化合物(C):ジイソシアネート化合物
化合物(D):化合物(A)以外のポリオール化合物
化合物(E):少なくとも1つ以上の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物
特許文献2には、水添ダイマージオール(a-1)と水酸基末端水添ポリブタジエン(a-2)とを含有するポリオール(A)と、ポリイソシアネート(B)とを含有し、前記ポリオール(A)中における、水添ダイマージオール(a-1)と水酸基末端水添ポリブタジエン(a-2)との質量割合が、水添ダイマージオール(a-1)/水酸基末端水添ポリブタジエン(a-2)=99.5/0.5~80/20であることを特徴とする二液熱硬化型ポリウレタン樹脂組成物が開示されている。
特開2017-057349号公報 特開2013-018856号公報
光学部材の貼り合わせには、透明性、ベゼル等の段差に追従する柔軟性に加え、ベゼル等の厚みを被覆できるような厚膜のOCAシートが求められている。特許文献1に記載されたような、(メタ)アクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物は、光学部材を貼り合わせる際に紫外線等の光照射により重合させて硬化(光硬化)させるため、ブラックマトリクス等の遮光部材で遮光されたり、プラスチックカバーで光が吸収されたりし、充分に光硬化できないことがあった。
ここで、OCAシートは室温環境下で貼り付け作業が行われることが一般的であり、貼り付け方法の一つとして、ローラーで圧力をかけながら貼り付ける方法がある。ロールで圧力をかけながら貼り付けた場合、貼り付けに用いたローラーの跡(以下、ロール圧着痕ともいう)が残ることがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ロール圧着痕が抑制された光学透明粘着シートを提供することを目的とする。
(1)本発明の一実施形態は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む光学透明粘着シートであって、上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有し、上記ポリオール成分は、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含み、20℃における損失正接は0.1以上、0.4以下である光学透明粘着シート。
(2)本発明の他の実施形態は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む光学透明粘着シートであって、上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有し、上記ポリオール成分は、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含み、下記式で表される光学透明粘着シートの厚み変化率は、0.75%以下である光学透明粘着シート。
厚み変化率(%)=[(Y-X)/Y]×100
X:20℃の環境下で、直径12mmのゴム製の円柱を用いて、圧力50Nで2分間加圧後、30分間静置した後の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
Y:加圧前の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
(3)また、本発明のある実施形態は、上記(1)の構成に加え、下記式で表される光学透明粘着シートの厚み変化率は、0.75%以下である光学透明粘着シート。
厚み変化率(%)=[(Y-X)/Y]×100
X:20℃の環境下で、直径12mmのゴム製の円柱を用いて、圧力50Nで2分間加圧後、30分間静置した後の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
Y:加圧前の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
(4)また、本発明のある実施形態は、上記(2)の構成に加え、上記光学透明粘着シートの20℃における損失正接は、0.1以上、0.4以下である光学透明粘着シート。
(5)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(4)のいずれかの構成に加え、上記ポリウレタン層は、下記式で表されるα比が、1.0以上、1.2以下である光学透明粘着シート。
α比=ポリオール成分由来の水酸基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のイソシアネート基のモル数
(6)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(5)のいずれかの構成に加え、上記ポリウレタン層の厚さは、200μm以上、1500μm以下である光学透明粘着シート。
(7)また、本発明のある実施形態は、上記(1)~(6)のいずれかの構成に加え、上記ポリウレタン層と、上記ポリウレタン層の一方の面に配置された第一の表面粘着剤層と、上記ポリウレタン層の他方の面に配置された第二の表面粘着剤層とを備える光学透明粘着シート。
本発明によれば、ロール圧着痕が抑制された光学透明粘着シートを得ることができる。
実施形態に係る光学透明粘着シートの一例を示した断面模式図である。 実施形態に係る光学透明粘着シートの他の例を示した断面模式図である。 ロール圧着痕の測定方法を説明した第1の説明図である。 ロール圧着痕の測定方法を説明した第2の説明図である。 厚み変化率の測定方法を説明した説明図である。 実施例1~7及び比較例1~3に係る光学透明粘着シートの20℃のtanδと厚み変化率の関係を示したグラフである。
以下に実施形態を掲げ、本発明について更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
実施形態に係る光学透明粘着シートは、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む光学透明粘着シートであって、上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有し、上記ポリオール成分は、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含む。
光学透明粘着シート(以下、OCAシート)は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む。熱硬化性ポリウレタン組成物は、溶剤を用いずに成膜できるため、得られるポリウレタン層を厚膜化することができる。また、(メタ)アクリレート化合物を含む感光性樹脂組成物のように、硬化の際に紫外線照射を必要としないことからも、厚膜化に適している。実施形態に係るOCAシートは、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。ポリウレタン層の組成について後述する。
OCAシートを用いて一対の基板を貼り合わせる場合、一般的に、一方の基板にOCAシートを貼り付けた後、OCAシートの反対側に他方の基板を貼り合わせる。また、OCAシートの貼り付け方法の一つとしては、ローラーで圧力をかけながら貼り付ける方法がある。ロール圧着痕が残った状態で、他方の基板を貼り合わせると、基板とOCAシートとの間にエアーが入り、接着力が低下するおそれがあった。ロール圧着痕の発生を抑制することで、基板とOCAシートとの間にエアーが入り難くすることができる。
本発明の一実施形態において、OCAシートの20℃における損失正接(以下、20℃のtanδ)は0.1以上、0.4以下である。上記20℃のtanδを0.1以上、0.4以下とすることで、被着体への貼り付けに適した柔軟性を有しつつ、ロール圧着痕の発生を抑制することができる。上記20℃のtanδが0.4を超えると、粘性の影響が大きくなり、元に戻り難くなるため、ロール圧着痕が付きやすくなる。20℃のtanδが0.1未満であると、OCAシートが変形し難く、被着体へ貼り付ける際の段差追従性等の柔軟性が得られなくなる可能性がある。より優れた段差追従性が得られる観点からは、20℃のtanδは0.2以上が好ましい。より効果的にロール圧着痕の発生を抑制する観点からは、上記20℃のtanδは、0.27以下が好ましい。
OCAシートの85℃における損失正接(以下、85℃のtanδ)は、0.1以上、0.6以下であってもよく、0.2以上、0.55以下であってもよい。
上記損失正接(tanδ)は、貯蔵弾性率(G´)と損失弾性率(G´´)の比(G´´/G´)で表される。tanδの値が低いほどOCAシートが弾性体(剛体)に近づき、外力に対して変形し難くなり、tanδの値が高いほどOCAシートが粘性体に近づき、柔らかくなる。上記損20℃及び85℃における失正接は、例えば、アントンパール社(Anton Paar Germany GmbH)製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて測定することができる。
OCAシートの20℃のtanδは、熱硬化性ポリウレタン組成物のα比、ポリイソシアネート成分の構造や官能基数、ポリオール成分の主剤の構造や官能基数を変更すること、ポリオールの分子量等により調整することができる。
本発明の他の実施形態において、下記式で表される光学透明粘着シートの厚み変化率は、0.75%以下である。測定に用いるOCAシートは、縦25mm、横25mmに切り出す。加圧装置は、例えば、アントンパール社製のMCR302を用いる。ゴム製の円柱は、JISK 6253に規定のデュロメータータイプAで測定したゴム硬度が30°のものを用いる。加圧、及び、ゴム製の円柱を外した後の静置は、ともに20℃の環境下で行う。厚みの測定は、レーザー変位計(例えば、キーエンス社製のCL-P30)を用いる。
厚み変化率(%)=[(Y-X)/Y]×100
X:20℃の環境下で、直径12mmのゴム製の円柱を用いて、圧力50Nで2分間加圧後、30分間静置した後の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
Y:加圧前の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
OCAシートは室温環境下で貼り付け作業が行われることが一般的であることから、20℃でのOCAシートの厚み変化率が大きいと、一方の基板にOCAシートを貼り付けた後、他方の基板を貼り合わせる側の表面にロール圧着痕が残り易くなる。OCAシートの厚み変化率を0.75%以下とすることで、OCAシートを用いて基板を貼り合わせる際に、ロール圧着痕の発生を抑制することができる。上記厚み変化率は0.65%以下がより好ましく、0.45%以下が更に好ましく、0.25%以下が特に好ましく、0.15%以下が最も好ましい。OCAシートの厚みは、加圧前後で変化しないことが好ましく、上記厚み変化率の好ましい下限は0%である。
上記OCAシートの厚み変化率は、熱硬化性ポリウレタン組成物のα比、ポリイソシアネート成分の構造や官能基数、ポリオール成分の主剤の構造や官能基数を変更すること、ポリオールの分子量等により調整することができる。
OCAシートは、ヘイズが1%以下であることが好ましい。また、全光線透過率が90%以上であることが好ましい。ヘイズ及び全光線透過率は、例えば、日本電色工業社製の濁度計「HazeMeter NDH2000」を用いて測定することができる。ヘイズは、JIS K 7136に準拠した方法で測定され、全光線透過率は、JIS K 7361-1に準拠した方法で測定される。
OCAシート全体の厚みは200μm以上であることが好ましい。OCAシート全体の厚みの上限は特に限定されないが、例えば、3000μmである。上記厚みのより好ましい下限は300μmであり、更に好ましい下限は500μmである。上記厚みのより好ましい上限は2500μmであり、更に好ましい下限は2000μmである。
<ポリウレタン層>
上記ポリウレタン層は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られ、例えば、化学式(A)に示した構造を有することが好ましい。
Figure 2024097613000002
化学式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のイソシアネート基(NCO基)を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分の水酸基(OH基)を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物(熱硬化ポリウレタン)は、アクリル変性されていないことが好ましく、ポリウレタンの主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。熱硬化ポリウレタンがアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。また、アクリル変性されていると、高温により黄変することがある。したがって、熱硬化ポリウレタンをアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿下における光学特性の低下、黄変を防止することができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有する。上記熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層は、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、熱硬化ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましく、90モル%以上であることがより好ましい。
上記ポリオール成分及び上記ポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずに熱硬化ポリウレタンを得ることができる。粘着付与剤等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。熱硬化ポリウレタンは、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができ、柔軟であるとともに厚膜のポリウレタン層を作製することができる。また、ポリウレタン層を厚く形成しても光学特性を維持することができる。
[ポリオール成分]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分として、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含む。水素化ポリブタジエン系ポリオールは、水素化ポリブタジエン由来の構造を含むポリオールである。ポリオール成分として、水素化ポリブタジエン系ポリオールを用いることで、エステル系ポリオール、エーテル系ポリオールよりも優れた耐熱性が得られる。また、ポリブタジエン系ポリオールは、ポリイソプレン系ポリオールに比べると粘度が低いため、薄膜(例えば、300μ~500μm)のOCAシートも作製することができる。
上記水素化ポリブタジエン系ポリオールとしては、例えば、1,2-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリブタジエンポリオール等が挙げられる。上記水素化ポリブタジエン系ポリオールの具体例としては、例えば、Cray Valley(クレイバレー)社製のクレイソール(登録商標)HLBHP3000、クレイソールHLBHP2000、日本曹達株式会社のGI1000、GI2000、GI3000等が挙げられる。
水素化ポリブタジエン系ポリオールは、化学式(B-1)に示した構造を有してもよい。
Figure 2024097613000003
(式中、x、y及びzは、繰り返し単位数を表す。)
水素化ポリブタジエン系ポリオールは、オレフィン骨格を有するポリオールである。オレフィン骨格を有するポリオールを含有することで、アクリル系、エステル系又はポリエーテル系のポリオールを用いた場合と比較して、熱安定性に優れたポリウレタン層を得ることができる。例えば、95℃で1000時間放置した場合でも、ポリウレタン層が溶解したり、黄変したりしないポリウレタン層を得ることができる。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、上記水素化ポリブタジエン系ポリオールに加え、更に他のポリオールを含有してもよい。
上記他のポリオールは、オレフィン骨格を有するポリオールであることが好ましい。上記オレフィン骨格を有するポリオールは、主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されている。上記オレフィン骨格を有するポリオールとしては、例えば、1,2-ポリクロロプレンポリオール、1,4-ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記ポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール、ポリイソプレン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記ポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。上記ポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。
なかでも、水素化ポリブタジエン系ポリオールとの相溶性に優れることから、上記他のポリオールとしては、ポリイソプレン系ポリオールが好ましい。ポリイソプレン系ポリオールは、ポリイソプレン由来の構造を含むポリオールである。上記ポリイソプレン系ポリオールとしては、例えば、出光興産社製のエポール(登録商標)等が挙げられる。ポリイソプレン系ポリオールは、ブタジエン系ポリオールと比較すると粘度が高いため、で、厚膜(例えば1000μm以上)のOCAシートも成形できるという観点からは、ポリイソプレン系ポリオールを併用してもよい。
上記ポリイソプレン系ポリオールは、化学式(B-2)に示した構造を有してもよい。
Figure 2024097613000004
(式中、x、y及びzは、繰り返し単位数を表す。)
ポリオール成分全体に対するオレフィン骨格を有するポリオールの含有量は、80モル%以上であることが好ましい。熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分として、オレフィン骨格を有するポリオールのみを含むことがより好ましい。上記オレフィン骨格を有するポリオールの含有量とは、ポリオール成分として水素化ポリブタジエン系ポリオールのみを含む場合は、ポリオール成分全体に対する水素化ポリブタジエン系ポリオールの含有量をいい、ポリオール成分として水素化ポリブタジエン系ポリオールと他のオレフィン骨格を有するポリオールを含む場合は、ポリオール成分全体に対する、水素化ポリブタジエン系ポリオールと他のオレフィン骨格を有するポリオールとを合計した含有量をいう。
上記ポリオール成分は、水酸基の官能基数が2.5以下のポリオールを含んでもよい。上記水酸基の官能基数とは、ポリオール1モル当たりの水酸基の平均官能基数である。上記ポリオール成分の水酸基の官能基数が2.5を超えると、水酸基量が多くなり、反応させるNCO基量が多くなることから、発泡が生じるおそれがある。上記水酸基数は2.3以下であることがより好ましい。
上記ポリオール成分は、水酸基の官能基数が2未満のポリオールを含んでもよい。水酸基の官能基数が2未満のポリオール成分を用いる場合、ポリイソシアネート成分として、3官能基以上のポリイソシアネートを用いることが好ましい。上記水酸基の官能基数が2未満であると、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化させる際に枝分かれ構造が形成され難く、ポリウレタン層が柔らかくなり過ぎたり、硬化速度が遅くなったりすることがあるが、3官能基以上のポリイソシアネートを用いることで、硬化速度を速めつつ、粘弾性を調整することができる。
ポリオール成分全体の水酸基の官能基数は、1.8~2.0であってもよい。複数種類のポリオール成分を含み、各ポリオール成分の配合比率と各ポリオール成分の水酸基の官能基数が分かっている場合には、ポリオール成分全体の水酸基の官能基数は、各ポリオール成分の配合比率と水酸基の官能基数から計算することができる。また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、各ポリオール成分に対応するピーク面積から、ポリオール成分全体に含まれる各ポリオール成分の配合比率を算出し、別途、滴定によってポリオール成分全体の水酸基の官能基数を算出し、ポリオール成分全体の水酸基の官能基数を算出することもできる。
[ポリイソシアネート成分]
上記ポリイソシアネート成分は、脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートを含有してもよい。上記脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、テトラメチレンジイソシアネート、2-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、3-メチル-ペンタン-1,5-ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、トリオキシエチレンジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。上記脂環族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキシルジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネート、水素添加キシレンジイソシアネート、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネート、これらの変性体等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
なかでも、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びそれらの変性体が好ましく、イソホロンジイソシアネート及びその変性体が特に好ましい。なお、イソホロンジイソシアネートの変性体としては、例えば、イソホロンジイソシアネートをイソシアヌレート変性、アロファネート変性、及び/又は、ウレタン変性したもの等が挙げられる。IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネートの具体例としては、コベストロ社製のデスモジュールI、デスモジュールH等が挙げられる。
上記ポリイソシアネート成分は、更に、アルキレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートを含有してもよい。アルキレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートは、親水性部分(ポリアルキレンオキシドユニット)の作用によって吸湿による白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性の粘着付与剤、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。アルキレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートは、親水性のポリイソシアネートであるため、疎水性のポリイソシアネートである脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと併用することで、ポリウレタン層の親水性と疎水性のバランスを調整し、長期に渡ってOCAシートの透明性を維持しつつ、吸湿による白化を抑制することができる。
上記アルキレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートは、上述の脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと、ポリアルキレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られるものであってもよい。上記アルキレンオキシドユニットとしては、例えば、エチレンオキシドユニット、プロピレンオキシドユニットが挙げられる。エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートの具体例としては、東ソー社製のHC266、コロネート4021、コロネート4022、アクアネート130、アクアネート140等が挙げられる。
上記脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシアネートと、アルキレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートとの質量比は、2:1~1:2であることが好ましい。上記質量比の範囲とすることで、ポリイソシアネート成分とポリオール成分との相溶性、ポリウレタン層の吸湿性を調整することができる。上記質量比のより好ましい範囲は、1:1~1:1.5である。
上記ポリイソシアネート成分は、イソシアネート基の官能基数が3以上のポリイソシアネート(以下、「3官能基以上のポリイソシアネート」ともいう)を含有してもよい。3官能基以上のポリイソシアネートを用いることで、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化させる際に枝分かれ構造を多く形成し、ポリウレタン層の剛直性を高めることができるため、ポリイソシアネート成分の添加量を少なくしても、所望の粘弾性を得ることができる。また、上記枝分かれ構造を多く形成できることから、ポリウレタンの成長反応を良好に進め、ポリウレタン層の硬化速度を早くすることができる。
上記イソシアネート基の官能基数とは、3官能基以上のポリイソシアネート1モル当たりのイソシアネート基の平均官能基数である。上記3官能基以上のポリイソシアネートのイソシアネート基の官能基数は、例えば4.0以下であってもよい。
上記3官能基以上のポリイソシアネートは、上述の脂肪族ポリイソシアネートを用いて合成されるものであってもよい。上記3官能基以上のポリイソシアネートの具体例としては、コベストロ社製のデスモジュールN3900(イソシアネート基の官能基数=3.2)、デスモジュールN3600(イソシアネート基の官能基数=3.2)、デスモジュールN3300(イソシアネート基の官能基数=3.5)、デスモジュールN3800(イソシアネート基の官能基数=3.2)、住化バイエルウレタン社製の「スミジュールN3300」(イソシアネート基の官能基数=3.5)等が挙げられる。上記3官能基以上のポリイソシアネートは、脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレートであってもよい。
上記ポリイソシアネート成分全体に対する、上記3官能基以上のポリイソシアネートの含有量は、2質量%以上、10質量%以下であることが好ましい。上記3官能基以上のポリイソシアネートの含有量を上記範囲とすることで、損失正接等の粘弾性を調整でき、透明性を維持しつつポリウレタン層の柔軟性を調整することができる。上記3官能基以上のポリイソシアネートの含有量は、3質量%以上、7質量%以下であることがより好ましい。ポリウレタン層の白化をより抑制するという観点からは、上記3官能基以上のポリイソシアネートの含有量は、5質量%以下であることが更に好ましい。
上記ポリイソシアネート成分全体のイソシアネート基の官能基数は、2以上であってもよい。上記ポリイソシアネート成分全体のイソシアネート基の官能基数は、例えば4以下であってもよい。複数種類のポリイソシアネート成分を含み、各ポリイソシアネート成分の配合比率と各ポリイソシアネート成分のイソシアネート基の官能基数が分かっている場合には、上記ポリイソシアネート成分全体のイソシアネート基の官能基数は、各ポリイソシアネート成分の配合比率とイソシアネート基の官能基数から計算することができる。また、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリイソシアネート成分に含まれる各多量体の成分率を算出し、ポリイソシアネート成分の官能基数を算出することができる。
[粘着付与剤]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、粘着付与剤を含有してもよい。上記粘着付与剤としては、例えば、石油樹脂系、炭化水素樹脂系、ロジン系、テルペン系の粘着付与剤が挙げられる。上記オレフィン骨格を有するポリオール等との相溶性に優れることから、石油樹脂系粘着付与剤が好適に用いられる。上記石油樹脂系粘着付与剤の中でも、ジシクロペンタジエンと芳香族化合物の共重合体を水素添加して得られる水添石油樹脂が好ましい。上記水添石油樹脂のうち公知のものとしては、例えば、出光興産社製の「アイマーブP-100」が挙げられる。
上記粘着付与剤の含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、5質量部以上、30質量部以下が好ましく、10質量部以上、20質量部以下が好ましい。上記粘着付与剤の含有量が30質量部を超える場合は、ポリウレタン層のヘイズが高くなるおそれがある。
[触媒]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ-n-ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
上記触媒の含有量は、ポリオール成分100質量部に対して、50ppm以上、200ppm以下であってもよい。
[光安定剤]
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、光安定剤を含有してもよい。上記光安定剤としては、ヒンダードアミン系光安定剤を好適に用いることができる。
OCAシートを紫外線照射環境下、例えば、メタルハライドランプ照射下に暴露すると、ポリウレタン層が溶解することがある。上記ポリウレタン層の溶解は、光活性化した酸素分子、ヒドロキシラジカル等と、ポリウレタンのエーテル結合部分とが反応することが原因であると考えられる。更に、高温環境下では、上記ラジカル等が発生しやすいため、ポリウレタン層の溶解が起こりやすい傾向がある。ヒンダードアミン系光安定剤は、上記ラジカルを補足することができるため、OCAシートを高温かつ紫外線照射環境下で放置しても、ポリウレタン層の溶解を抑制することができる。
上記ヒンダードアミン系光安定剤としては特に限定されず、例えば、ビス-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、[コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン]縮合物、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル-トリデシル-1,2,3,4-ブタンテトラカルボキシレート、1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジノール、3,9-ビス(2-ヒドロキシ-1,1-ジメチルエチル)-2,4,8,10-テトラスピロ[5,5]ウンデカンとブタンテトラカルボン酸とのエステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
上記ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、例えば、ADEKA社製のアデカスタブLA-81、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-72等が挙げられる。
アデカスタブLA-81は、下記化学式(1)で表される化合物を含む。
Figure 2024097613000005
アデカスタブLA-63Pは、下記化学式(2)で表される化合物を含む。
Figure 2024097613000006
(式(2)中、nは自然数である。)
アデカスタブLA-72は、下記化学式(3)で表される化合物を含む。
Figure 2024097613000007
上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、上記ポリオール成分100質量部に対して、0.1質量部以上、1質量部以下であってもよい。上記ヒンダードアミン系光安定剤の含有量が1質量部を超えると、ポリウレタン層から光安定剤がブリードすることがある。
上記ポリウレタン層は、下記式で表されるα比が、1.0以上、1.2以下であることが好ましい。
α比=ポリオール成分由来の水酸基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のイソシアネート基のモル数
α比が、1.0以上、1.2以下であると、ポリウレタン層の柔軟性を得つつ、ポリウレタン層のtanδを調整することができる。α比が1.0未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量がポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、熱硬化ポリウレタンが硬くなり、OCAシート全体の柔軟性が低下することがある。
上記ポリウレタン層の厚さは、200μm以上、1500μm以下であることが好ましい。厚さが200μm以上の場合、段差追従性が優れる傾向にある。1500μm以下の場合、表示部の面積を広くすることが出来る傾向にある。上記ポリウレタン層の厚さのより好ましい下限は300μmである。上記ポリウレタン層は、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であり、溶剤を用いずに成膜できるため、光学特性を維持しつつ、厚膜化することができる。
OCAシートは、少なくとも、熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含んでいればよく、他の層を備えてもよい。図1は、実施形態に係る光学透明粘着シートの一例を示した断面模式図である。図2は、実施形態に係る光学透明粘着シートの他の例を示した断面模式図である。図1に示したように、OCAシート10は、ポリウレタン層11のみからなってもよい。また、図2に示したように、OCAシート10は、ポリウレタン層11と、ポリウレタン層11の一方の面に配置された第一の表面粘着剤層12と、上記ポリウレタン層11の他方の面に配置された第二の表面粘着剤層13とを備えてもよい。
<第一の表面粘着剤層及び第二の表面粘着剤層>
第一の表面粘着剤層12及び第二の表面粘着剤層13は、それぞれOCAシート10の最表面(被着体と接する面)に位置すればよい。第一の表面粘着剤層12とポリウレタン層11との間、及び、第二の表面粘着剤層13とポリウレタン層11との間に、他の層を有してもよいが、第一の表面粘着剤層12とポリウレタン層11とが接し、第二の表面粘着剤層13とポリウレタン層11とが接することが好ましい。
上記第一及び第二の表面粘着剤層は、ポリウレタンを含有してもよい。上記ポリウレタンは、ポリウレタン組成物の硬化物であり、ポリウレタン組成物としては、上述のポリウレタン層に用いる熱硬化性ポリウレタン組成物と同様のものを用いることができる。
上記第一及び第二の表面粘着剤層は、アクリル系樹脂を含有してもよい。ポリウレタン層の表面にアクリル系樹脂を含有する表面粘着剤層を配置することで、ポリウレタン層により柔軟性を得つつ、アクリル系樹脂を含有する表面粘着剤層により被着体への接着力を向上させることができる。アクリル系樹脂を含有する表面粘着剤層は、アクリル系樹脂組成物を硬化させることで作製することができる。
上記アクリル系樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、又は、これらの共重合体(以下、(メタ)アクリル系共重合体ともいう)と、架橋剤とを含有するもの挙げられる。上記(メタ)アクリル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カルボキシル基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH2=CR1-COOR2;R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数1~18のアルキル基である)であるものが挙げられ、上記アルキル基の炭素数は4~12が好ましい。
上記アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5-カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記架橋剤としては、上記(メタ)アクリル系共重合体が有する、架橋性官能基含有モノマー由来の架橋性官能基と架橋反応を起こすことができる成分であれば特に限定されず、例えば、イソシアネート化合物、金属キレート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。
上記第一及び第二の表面粘着剤層の厚みは、3μm以上、100μm以下であることが好ましい。上記厚みが100μmを超えると、OCAシートの柔軟性が低下することがある。上記第一及び第二の表面粘着剤層の厚みは、3μm以上、50μm以下であることがより好ましい。
OCAシートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。すなわち、OCAシートと、OCAシートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、OCAシートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層された積層体としてもよい。
第一及び第二の離型フィルムとしては、例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム等が挙げられる。第一及び第二の離型フィルムのOCAシートと接する側の表面は、それぞれ、シリコーン処理等の易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。
本実施形態に係るOCAシートは光学部材の貼り合わせに好適に用いることができる。OCAシートの被着体としては、例えば、表示パネル、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)、カバーパネル(カバーガラス)、偏光板、位相差フィルム等の表示装置を構成する各種部材が挙げられる。本実施形態に係るOCAシートは、ガラスと樹脂パネルの貼り合わせにも好適に用いることができる。なお、実施形態に係るOCAシートは、感圧性の粘着シートであり、被着体への使用時に、加熱、光照射等の硬化処理を必要とせず、圧力を加えることで被着体と貼り合わせることができる。
上記樹脂パネルの材質としては、例えば、ポリカーボネート、ポリエチレンフタレート、アクリル等が挙げられる。樹脂パネルの厚さが厚くなるほど、OCAシートの厚さも厚くする方が好ましい。一例としては、ポリカーボネート基板の厚さが0.5mm、1.0mm、1.5mmの場合、OCAシートの厚さは、それぞれ0.3mm以上、1.0mm以上、1.5mm以上とすることが好ましい。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<使用成分>
下記実施例及び比較例で用いた成分を以下に示した。
(A)ポリオール成分
A―1:ポリイソプレン系ポリオール、出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」、水酸基の官能基数=2.3
A―2:ポリブタジエン系ポリオール、Cray Valley(クレイバレー)社製の「Krasol(クレイソール、登録商標)HLBHP3000」、水酸基の官能基数=1.9
(B)ポリイソシアネート成分
B-1:IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(コベストロ社製の「デスモジュールI」)、イソシアネート基の官能基数=2.0
B-2:エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「HC266」)、イソシアネート基の官能基数=2以上、3未満
B-3:エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4021」)、イソシアネート基の官能基数=2.0
B-4:エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)、イソシアネート基の官能基数=2以上、3未満
B-5:HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン社製の「スミジュールN3300」)、イソシアネート基の官能基数=3.5、HDIのポリイソシアヌレート
触媒:ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL-28」)
粘着付与剤:水添石油樹脂(出光興産社製の「アイマーブP-100」)
光安定剤:ヒンダードアミン系光安定剤(ADEKA社製の「アデカスタブLA-81」)
上記IPDI系ポリイソシアネートは、脂環族ポリイソシアネートであり、疎水性のポリイソシアネートである。上記B-2、B-3,B-4は、親水性ポリイソシアネートであり、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発物質とするポリイソシアネートに対して、エチレンオキシドユニットを1分子当たり平均3個以上有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである。
(実施例1)
<ポリウレタン層の作製>
ポリオール成分100質量部に対して、ポリイソシアネート成分、触媒、粘着付与剤、光安定剤を表1に示した配合で添加し、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合して熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。表1中、触媒の含有量は、ジラウリル酸ジメチル錫の含有量を表す。
得られたポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度120℃、炉内時間数分間の条件で架橋硬化させた。その後、加熱装置を用いて、110℃で2時間架橋反応(熱硬化)させ、両面に離型フィルムが設けられたポリウレタン層を作製した。ポリウレタン層の厚み及びα比は、表1に示した。
<第一及び第二の表面粘着剤層の作製>
アクリル系樹脂(東洋インキ社製の「BITF-2」)に、アクリル系樹脂組成物全体に対して、1.5質量%となるようにエポキシ系硬化剤(綜研化学社製の「E-AX」)を添加し、アクリル系樹脂組成物を作製した。得られたアクリル系樹脂組成物を離型フィルムにコンマコーターにて塗工し、80~120℃の乾燥炉において乾燥し、アクリル粘着剤層を作製した。アクリル粘着剤層の厚みは25μmであった。
<積層OCAシートの作製>
上記離型フィルム付き表面粘着剤層を二枚と、上記離型フィルム付きポリウレタン層を一枚とを準備した。離型フィルム付きの第一及び第二の表面粘着剤層から、それぞれ一方の離型フィルムを剥離し、離型フィルムを剥離したポリウレタン層の両面に積層した。これにより、離型フィルム、第一の表面粘着剤層、ポリウレタン層、第二の表面粘着剤層及び離型フィルムがこの順で積層された離型フィルム付きのOCAシートを作製した。
(実施例2~7、比較例1~4)
表1に示したように配合を変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリウレタン組成物を調製し、実施例1と同様の方法で熱硬化を行い、ポリウレタン層を作製した。その後、実施例1と同様にして、第一及び第二の表面粘着剤層を作製し、積層して、それぞれ離型フィルム、第一の表面粘着剤層、ポリウレタン層、第二の表面粘着剤層及び離型フィルムがこの順で積層された離型フィルム付きのOCAシートを作製した。
実施例1~7、比較例1~4のOCAシートについて、損失正接を測定し、ロール圧着痕の抑制効果を評価して、結果を表1に示した。
(損失正接)
各OCAシートの損失正接は、アントンパール社製の粘弾性測定装置「Physica MCR301」を用いて測定した。測定プレートは、PP12を用い、測定条件は、ひずみ0.1%、周波数1Hz、セル温度20℃~100℃(昇温速度3℃/分)とし、20℃での損失正接を記録した。
(ロール圧着痕の抑制効果)
実施例及び比較例のOCAシートから、縦100mm、横150mm(7インチサイズ)の試験片を切り出し、試験片を作製した。以下に図3A及び図3Bを用いて、ロール圧着痕の測定方法を説明について説明する。図3A及び図3Bは、それぞれ、ロール圧着痕の測定方法を説明した第1及び第2の説明図である。
各試験片につき、7インチサイズの透明なガラス板を二枚準備し、図3Aに示したように、一枚目のガラス板101上に各試験片(OCAシート)10を配置し、ゴムローラー100を回転させながらOCAシートの端から端まで移動させ、一枚目のガラス板101とOCAシート10とを貼り合わせた。上記貼り付けは、室温環境下(23℃、0.1MPa)で行った。ゴムローラー100としては、直径が40mmで、JIS K 6253に規定のデュロメータータイプAで測定したゴム硬度が30°のものを用いた。
一枚目のガラス板とOCAシートとを貼り合わせ後、図3Bに示したように、OCAシート10の反対側に二枚目のガラス板102を貼り合わせ、二枚目のガラス板102側から、目視にて観察し、以下の基準でロール圧着痕の抑制効果を評価した。
◎:貼り付け直後からエアーが確認されなかった
〇:貼り付け直後にはエアーが確認されたが、温度23℃、圧力0.4MPaに設定したオートクレーブに30分間入れると、エアーが消失した
×:温度23℃、圧力0.4MPaに設定したオートクレーブに30分間入れても、エアーが消えなかった
(厚み変化率)
実施例1~7及び比較例1~3のOCAシートについて、以下の方法で厚み変化率を測定した。図4は、厚み変化率の測定方法を説明した説明図である。実施例1~7及び比較例1~3のOCAシートから、縦25mm、横25mmの試験片を切り出し、予め、加圧する部分の室温20℃での厚みを測定した。厚み測定には、レーザー変位計(例えば、キーエンス社製のCL-P30)を用いた。
図4に示したように、各試験片(OCAシート)10について、アントンパール社製のMCR302を用いて、直径12mmのゴム製の円柱103で、20℃、圧力50Nで2分間圧力をかけた。ゴム製の円柱103は、JIS K 6253に規定のデュロメータータイプAで測定したゴム硬度が30°のものを用いた。
装置から取り出した後、20℃で30分間静置し、静置後の各試験片の厚みを測定した。加圧前後のOCAシートの厚みから、下記式にもとづき、実施例1~7及び比較例1~3のOCAシートの厚み変化率を算出した。
厚み変化率(%)=[(Y-X)/Y]×100
X:の環境下で、直径12mmのゴム製の円柱を用いて、圧力50Nで2分間加圧後、30分間静置した後の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
Y:加圧前の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
結果を表1及び図5に示した。図5は、実施例1~7及び比較例1~3に係る光学透明粘着シートの20℃のtanδと厚み変化率の関係を示したグラフである。なお、比較例4については、厚み測定に適したサンプルが得られなかった。
Figure 2024097613000008
表1に示したように、実施例1~7のOCAシートは全て、20℃のtanδが0.1以上、0.4以下であり、ロール圧着痕が抑制されていた。また、実施例1~7のOCAシートは全て、厚み変化率が0.75%以下であり、ロール圧着痕が抑制されていた。特に、20℃のtanδが0.27以下であると、よりロール圧着痕が残り難くなることが分かった。表1には記載していないが、実施例は全て全光線透過率が90%以上、ヘイズが1.0%以下であった。
一方で、比較例1~4のOCAシートは、20℃のtanδが0.4を超え、厚み変化率が0.75%を超えており、ロール圧着痕が残ってしまった。
また、図5に示したように、20℃のtanδと厚み変化率との間には、一方の値が増加すると他方の値も増加する関係があることが分かった。一対の基板を貼り合わせる際に、後で貼り付ける基板とOCAシートとの間にエアーが残り難いことから、20℃のtanδを0.1以上、0.4以下とするか、厚み変化率が0.75%以下であることが好ましいことが分かった。
10:光学透明粘着シート(OCAシート)
11:ポリウレタン層
12:第一の表面粘着剤層
13:第二の表面粘着剤層
100:ゴムローラー
101、102:ガラス板
103:ゴム製の円柱

Claims (7)

  1. 熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む光学透明粘着シートであって、
    前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有し、
    前記ポリオール成分は、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含み、
    20℃における損失正接は0.1以上、0.4以下であることを特徴とする光学透明粘着シート。
  2. 熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物からなるポリウレタン層を含む光学透明粘着シートであって、
    前記熱硬化性ポリウレタン組成物は、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを含有し、
    前記ポリオール成分は、水素化ポリブタジエン系ポリオールを含み、
    下記式で表される光学透明粘着シートの厚み変化率は、0.75%以下であることを特徴とする光学透明粘着シート。
    厚み変化率(%)=[(Y-X)/Y]×100
    X:20℃の環境下で、直径12mmのゴム製の円柱を用いて、圧力50Nで2分間加圧後、30分間静置した後の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
    Y:加圧前の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
  3. 下記式で表される光学透明粘着シートの厚み変化率は、0.75%以下であることを特徴とする請求項1に記載の光学透明粘着シート。
    厚み変化率(%)=[(Y-X)/Y]×100
    X:20℃の環境下で、直径12mmのゴム製の円柱を用いて、圧力50Nで2分間加圧後、30分間静置した後の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
    Y:加圧前の光学透明粘着シートの厚さ(μm)
  4. 前記光学透明粘着シートの20℃における損失正接は、0.1以上、0.4以下であることを特徴とする請求項2に記載の光学透明粘着シート。
  5. 前記ポリウレタン層は、下記式で表されるα比が、1.0以上、1.2以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学透明粘着シート。
    α比=ポリオール成分由来の水酸基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のイソシアネート基のモル数
  6. 前記ポリウレタン層の厚さは、200μm以上、1500μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学透明粘着シート。
  7. 前記ポリウレタン層と、前記ポリウレタン層の一方の面に配置された第一の表面粘着剤層と、前記ポリウレタン層の他方の面に配置された第二の表面粘着剤層とを備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学透明粘着シート。
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