JP2022113456A - 光学用粘着シート、積層体、及び、貼り合わせ構造物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ディレイバブルの発生が抑制され、厚膜であり、被着体に対する高い追従性を有し、かつ、光学部材の貼り合わせに用いた場合に適度な透過率を維持しつつ、意匠性を損なわない光学用粘着シート、上記光学用粘着シートを備えた積層体及び貼り合わせ構造物を提供する。【解決手段】第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有し、上記第一の表面アクリル粘着剤層及び上記第二の表面アクリル粘着剤層の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有する光学用粘着シート。【選択図】図1
Description
本発明は、光学用粘着シート、上記光学用粘着シートを備えた積層体、及び、上記光学用粘着シートを備えた貼り合わせ構造物に関する。
光学用粘着シートは、光学部材の貼り合わせに利用される粘着シートである。光学用粘着シートの使用例としては、表示装置内において、液晶パネル等の表示パネルと表示装置の最表面に設けられるカバーパネルとの貼り合わせに用いられることがある。光学用粘着シートによって、表示パネルとカバーパネルとの間の空間が埋められることで、表示パネルの画面の視認性を向上することができる。光学用粘着シートには、通常、優れた透明性が要求され、透明な光学用粘着シートを光学透明粘着(OCA:Optically Clear Adhesive)シートともいう。
光学用粘着シートの関連分野における先行技術を開示した文献としては、例えば、下記特許文献が挙げられる。特許文献1には、重量平均分子量20万~200万の粘着性樹脂(A)と、顔料(B)と、分散剤(C)と、硬化剤(D)とを含む光学用粘着剤、上記光学用粘着剤から形成してなる粘着剤層を備えた光学用粘着シートが開示されており、上記光学用粘着剤等は、ディスプレイ等の光学部材の色調を調整する色調補正機能を有しながら、薄膜化が容易であり、長期間高温・高湿環境に晒される場合でも高い粘着力及び顔料の分散性の維持が可能であり、さらに透明性に優れることが開示されている。
表示パネル、カバーパネル、タッチパネル等の光学部材の貼り合わせに用いられる光学用粘着シートには、高い接着力に加え、ベゼルによって形成される段差を被覆できる程度の厚み、及び、上記段差に追従して変形できる程度の優れた柔軟性が要求される。
表示パネルと、カバーパネル、タッチパネル等とを光学用粘着シートにより貼り合わせ、例えば、温度85℃、湿度85%の高温・高湿環境下に放置すると、ディレイバブルが発生し、光学用粘着シートと被着体との接着界面が剥離することがあった。光学用粘着シートを被着体に貼り合わせた直後には存在せず、後発的に光学用粘着シートと被着体との接着界面に生成する気泡を、遅れ泡(ディレイバブル)と言う。ディレイバブルは、樹脂パネル等のカバーパネル等の被着体から発生した水蒸気の圧力によって接着力の弱い面が剥離する現象により生じると考えられる。
また、透明な光学用粘着シートを、表示パネル、カバーパネル、タッチパネル等の光学部材の貼り合わせに用いると、特に、表示パネルの非点灯時に、表示パネルの額縁領域と表示画面との境界が目立ちやすいことがあった。本発明者は、顔料を添加することで、可視光線透過率を抑えた光学用粘着シートを作製し、上記表示パネルの額縁領域と表示画面との境界を目立ち難くすることを検討した。しかしながら、顔料を添加して光学用粘着シートの可視光線透過率を調整しても、光学用粘着シートの色調が変化することがあり、表示パネルの意匠性に影響がある場合があることが分かった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、ディレイバブルの発生が抑制され、厚膜であり、被着体に対する高い追従性を有し、かつ、光学部材の貼り合わせに用いた場合に適度な透過率を維持しつつ、意匠性を損なわない光学用粘着シート、上記光学用粘着シートを備えた積層体、及び、上記を備えた貼り合わせ構造物を提供することを目的とする。
本発明者は、被着体への追従性とディレイバブルの抑制効果とを有する、厚膜の光学用粘着シートを実現する方法を検討し、中間層をポリウレタン層とすることで厚膜にでき、更に、上記ポリウレタン層の表面にアクリル粘着剤層を配置することで、ディレイバブルの発生を抑制できることに着目した。
本発明者は、上記ポリウレタン層の表面にアクリル粘着剤層が配置された光学用粘着シートに関し、可視光線透過率を調整する方法を検討した。まずは、表面のアクリル粘着剤層に、黒色顔料としてカーボンブラックを添加することを検討した。しかしながら、上記アクリル粘着剤層にカーボンブラックを添加すると、光学用粘着シートの可視光線透過率を調整できるものの、黄味が増し、意匠性が低下することが確認された。本発明者の検討によると、一般的に、表示パネルの額縁領域には、加飾印刷等により遮光部が設けられており、上記遮光部は青味がかった黒色であることが多い。そのため、表示パネル等の貼り合わせに用いられる光学用粘着シートも、青味がかっている方が好ましく、黄味が高いと額縁領域と表示画面との境界が目立ちやすく意匠性が低下することを見出した。本発明者は、更に検討を重ね、黒色顔料として複合酸化物系顔料を用いることで、黄味を上げずに可視光線透過率を調整できることを見出し、本発明を完成した。
本発明の光学用粘着シートは、第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有し、上記第一の表面アクリル粘着剤層及び上記第二の表面アクリル粘着剤層の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有することを特徴とする。
上記複合酸化物系顔料は、黒色顔料であることが好ましい。
上記複合酸化物系顔料は、鉄及びマンガンの少なくとも一方を含むことが好ましい。
可視光線透過率は、30%以上、80%以下であることが好ましい。
総厚は、200μm以上、2000μm以下であることが好ましい。
本発明の積層体は、本発明の光学用粘着シートと、上記光学用粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、上記光学用粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする。
本発明の貼り合わせ構造物は、第一の被着体と、第二の被着体と、上記第一の被着体及び上記第二の被着体を貼り合わせる本発明の光学用粘着シートとを備えることを特徴とする。
本発明によれば、ディレイバブルの発生が抑制され、厚膜であり、被着体に対する高い追従性を有し、かつ、光学部材の貼り合わせに用いた場合に適度な透過率を維持しつつ、意匠性を損なわない光学用粘着シート、上記光学用粘着シートを備えた積層体及び貼り合わせ構造物を提供することができる。
[光学用粘着シート]
本発明の光学用粘着シートは、第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有し、上記第一の表面アクリル粘着剤層及び上記第二の表面アクリル粘着剤層の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有することを特徴とする。
本発明の光学用粘着シートは、第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有し、上記第一の表面アクリル粘着剤層及び上記第二の表面アクリル粘着剤層の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有することを特徴とする。
図1は、本発明の光学用粘着シートの一例を模式的に示した断面図である。図1に示したように、本発明の光学用粘着シート10は、第一の表面アクリル粘着剤層11と、中間ポリウレタン層12と、第二の表面アクリル粘着剤層13とをこの順に有する。中間ポリウレタン層12は、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13よりも厚いことが好ましい。
光学用粘着シート10は、中間ポリウレタン層12により、光学用粘着シート10の柔軟性や追従性を確保しつつ、中間ポリウレタン層12の表面に第一及び第二の表面アクリル粘着剤層を配置することで、ディレイバブルの発生を抑制することができる。特に、車載用の表示パネルは高温環境下で使用されることがあり、ディレイバブルが発生しやすいが、本発明の光学用粘着シートを車載用の表示パネル等の貼り合わせに用いることで、高温環境下においてもディレイバブルの発生を抑制することができる。
本発明の光学用粘着シート10の厚み(総厚)は、200μm以上、2000μm以下であることが好ましい。上記総厚を200μm以上とすることで、被着体の段差を被覆できることに加え、表示画面が湾曲した曲面ディスプレイの貼り合わせにも好適に用いることができる。上記厚みが200μm未満である場合には、光学用粘着シート10の柔軟性が低下し、光学用粘着シートの一方の面を光学部材の表面に貼り付けたときに、光学用粘着シートによって光学部材の表面に存在する凹凸又は段差を被覆することができず、光学用粘着シートの他方の面と他の光学部材の表面とを充分な接着力で貼り合わせることができないことがある。光学用粘着シート10の厚みの、より好ましい下限は300μmであり、更に好ましい下限は500μmであり、特に好ましい下限は700μmである。なお、各層の厚み及び総厚は、例えば、オムロン社製の変位センサーZW-S20を用いて測定できる。
光学用粘着シート10の可視光線透過率は、30%以上、80%以下であることが好ましい。上記可視光線透過率が30%以上、80%以下であることで、光学用粘着シート10を表示パネル等の光学部材の貼り合わせに用いた場合に、表示パネルの点灯時における画像表示への影響を抑えつつ、表示パネルの消灯時において、表示パネルの額縁領域と表示画面との境界を目立ち難くすることができる。上記可視光線透過率が30%未満であると、表示パネルの点灯時における表示画像が視認し難くなり、表示装置の光源の輝度を高くする必要がある場合がある。また、着色剤の添加量を増やす必要があることから、粘着力の低下等が懸念される。一方で、上記可視光線透過率が80%を超えると、上記表示パネルの額縁領域と表示画面との境界が視認されやすくなる。上記可視光線透過率は、JIS A 5759に規定された「可視光線透過率試験」に準拠した方法で測定した透過率である。なお、本試験における可視光線の波長範囲は、波長380~780nmである。
光学用粘着シート10は、L*、a*、b*表色系で表されるb*が1以下であることが好ましい。上記b*が1以下であると、黄味が低く青味がかった色調として視認され、光学用粘着シート10を表示パネル等の光学部材の貼り合わせに用いた場合に、額縁領域と表示画面との境界を目立ち難くすることができる。一方で、上記b*が1を超えると、黄味が強く視認され、上記額縁領域と表示画面との境界が目立ちやすく、意匠性が低下することがある。なお、上記L*、a*、b*表色系は、JIS K 7105に準拠した方法で測定された値である。また、上記L*、a*、b*表色系は、色差計(コニカミノルタ社製、CM-3700A)を用いて測定することができる。
<表面アクリル粘着剤層>
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13は、ともに光学用粘着シート10の最表面を構成する層である。第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有する。上記複合酸化物系顔料は、二種以上の金属酸化物が高熱等により化学的に結びついた無機顔料である。第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13一方のみが複合酸化物系顔料を含有してもよいし、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の両方が複合酸化物系顔料を含有してもよい。光学用粘着シート10の可視光線透過率を低くしたい場合に、第一の表面アクリル粘着剤層11と第二の表面アクリル粘着剤層13に分けて複合酸化物系顔料を添加することができるため、複合酸化物系顔料の噴き出しを抑制できるという観点からは、第一の表面アクリル粘着剤層11と第二の表面アクリル粘着剤層13の両方が複合酸化物系顔料を含有することが好ましい。
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13は、ともに光学用粘着シート10の最表面を構成する層である。第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有する。上記複合酸化物系顔料は、二種以上の金属酸化物が高熱等により化学的に結びついた無機顔料である。第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13一方のみが複合酸化物系顔料を含有してもよいし、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の両方が複合酸化物系顔料を含有してもよい。光学用粘着シート10の可視光線透過率を低くしたい場合に、第一の表面アクリル粘着剤層11と第二の表面アクリル粘着剤層13に分けて複合酸化物系顔料を添加することができるため、複合酸化物系顔料の噴き出しを抑制できるという観点からは、第一の表面アクリル粘着剤層11と第二の表面アクリル粘着剤層13の両方が複合酸化物系顔料を含有することが好ましい。
本発明の光学用粘着シート10は、中間ポリウレタン層12を厚く形成できることで段差追従性を得ることができるが、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の少なくとも一方に複合酸化物系顔料を添加することで、中間ポリウレタン層12の厚みの影響を受けることなく、光学用粘着シート10の可視光線透過率、色調を調整することができる。また、着色剤として、複合酸化物系顔料を用いることで、光学用粘着シート10の黄味(L*、a*、b*表色系で表した場合のb*値)を上げずに、可視光線透過率を制御することができる。複合酸化物系顔料は、複数種の金属酸化物を含むことで、黄味を抑制できるものと考えられる。一方で、カーボンブラックは、短波長(青色領域)の吸収が大きいため、黄味が強く視認されると考えられる。
上記複合酸化物系顔料は、黒色顔料であることが好ましい。光学用粘着シート10を表示パネル等の光学部材の張り合わせに用いる場合、表示パネルの点灯時の表示画像の色調への影響が少ないことや、表示パネルの消灯時の表示画面と額縁領域との調和を考慮すると、無彩色である黒色顔料を用いることが好ましい。
上記複合酸化物系顔料は、鉄及びマンガンの少なくとも一方を含むことが好ましい。上記複合酸化物系顔料としては、鉄及びマンガンを含む複合酸化物系顔料、鉄、コバルト及びクロムを含む複合酸化物系顔料、銅、クロム及びマンガンを含む複合酸化物系顔料等が挙げられる。なかでも、鉄及びマンガンの両方を含む複合酸化物系顔料がより好ましい。上記鉄及びマンガンを含む複合酸化物系顔料を含有する着色剤の具体例としては、日弘ビックス株式会社製の「NSP-AY 805B BLACK」が挙げられる。上記着色剤は、複合酸化物系顔料の他に、樹脂、溶媒、添加物等を含有してもよい。
アクリル系樹脂100重量部に対する上記複合酸化物系顔料の含有量は、0.1重量部以上、1.5重量部以下であることが好ましい。アクリル系樹脂100重量部に対する上記複合酸化物系顔料の含有量のより好ましい下限は0.3重量部であり、より好ましい上限は0.9重量部である。
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13は、アクリル系樹脂を含有する層である。上記アクリル系樹脂は、アクリル系樹脂組成物を硬化させたものである。上記アクリル系樹脂組成物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、又は、これらの共重合体(以下、(メタ)アクリル系共重合体ともいう)と、架橋剤とを含有するものが挙げられる。
上記(メタ)アクリル系共重合体としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、カルボキシル基含有モノマーとの共重合体が挙げられる。
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(CH2=CR1-COOR2;R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数1~18のアルキル基である)であるものが挙げられ、上記アルキル基の炭素数は4~12が好ましい。
上記アルキル基の炭素数が1~18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデカ(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸β-カルボキシエチル、(メタ)アクリル酸5-カルボキシペンチル、コハク酸モノ(メタ)アクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
上記架橋剤としては、例えば、上記(メタ)アクリル系共重合体が有する、架橋性官能基含有モノマー由来の架橋性官能基と架橋反応を起こすことができる成分を用いることができ、具体的には、イソシアネート化合物、金属キレート化合物、エポキシ化合物等が挙げられる。上記架橋剤は1種単独で用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13は透湿性を有することが好ましい。第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13が透湿性を有することにより、ディレイバブルの発生原因と考えられる水蒸気が被着体との接着界面に溜まりにくくなり、ディレイバブルの発生をより抑制できるためである。
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の透湿度は、400~800g/m2・hであることが好ましい。透湿度が上記範囲にあることで、長時間(例えば、1000時間)の高温・高湿環境下(温度85℃、湿度85%)に、光学用粘着シート10を用いた貼り合わせ構造物を置いた場合に、ディレイバブルの発生を充分に抑制できるためである。上記透湿度のより好ましい下限は500g/m2・hであり、より好ましい上限は750g/m2・hである。
上記透湿度は、JIS L1099(2012)「繊維製品の透湿度試験方法」のA-1法(塩化カルシウム法)に基づき測定される。透湿度の測定では、吸湿剤(塩化カルシウム)約33gを入れた試験用カップに試験片を装着して封止した試験体を用意し、温度40℃±2℃、湿度90±5%RHの恒温恒湿装置内で、約10mm上方の風速が0.8m/sを超えない位置に試験体を置き、1時間後に取り出してから直ちに、試験体の質量a1(単位:g)を測定する。質量a1の測定後、再び恒温恒湿装置内の同じ位置に試験体を置き、1時間後に取り出してから直ちに、試験体の質量a2(単位:g)を測定する。そして、下記式により透湿度を算出する。
透湿度[単位:g/m2・h]=(a2-a1)/透湿面積[単位:m2]
透湿度[単位:g/m2・h]=(a2-a1)/透湿面積[単位:m2]
上記透湿度は、第一の表面アクリル粘着剤層11及び上記第二の表面アクリル粘着剤層13を構成するアクリル系樹脂の組成によって調整することができ、例えば、アクリル系樹脂を共重合体で構成し、透湿性に寄与する成分の割合を調整する方法が一般的に知られている(特開2015-227395号公報、特許第5920519号明細書参照)。
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の厚みは、10μm以上、100μm以下であることが好ましい。上記厚みが10μm未満であると、遅れ泡を充分に抑制するのに充分な接着力が得られないおそれがある。一方で、上記厚みが100μmを超えると、上記光学用粘着シートを貼り付ける被着体の表面に存在する段差に追従して変形できる程度の柔軟性(段差追従性)が得られなくなるおそれがある。また、ガラス基材と樹脂基材との貼り合わせのように、環境変化時の伸縮性が異なる基材同士の貼り合わせに上記光学用粘着シートを用いた場合には、上記光学用粘着シートが環境変化時の基材の寸法変化に追従できず剥離するおそれがある。ディレイバブルの発生をより抑制できるという観点からは、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の厚みは、20μm以上であることがより好ましい。柔軟性を考慮すると、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の厚みのより好ましい上限は80μmであり、更に好ましい上限は50μmである。
<中間ポリウレタン層>
中間ポリウレタン層12は、ポリウレタンを含有する層である。中間ポリウレタン層12がポリウレタンを含有することで、透明性及び追従性に優れた中間ポリウレタン層12を得ることができる。ポリウレタンは、柔軟であるため、本発明の光学用粘着シート10は、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。さらに、ポリウレタンは誘電率が高いため、光学用粘着シート10は高い静電容量が得られるため、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適に用いることができる。
中間ポリウレタン層12は、ポリウレタンを含有する層である。中間ポリウレタン層12がポリウレタンを含有することで、透明性及び追従性に優れた中間ポリウレタン層12を得ることができる。ポリウレタンは、柔軟であるため、本発明の光学用粘着シート10は、引っ張り応力が加わったときに、良く伸び、非常に千切れにくい。このため、糊残りすることなく、引き剥がすことが可能である。さらに、ポリウレタンは誘電率が高いため、光学用粘着シート10は高い静電容量が得られるため、静電容量方式のタッチパネルの貼り合わせに好適に用いることができる。
中間ポリウレタン層12は、ポリオール成分と、ポリイソシアネート成分とを含む熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物であることが好ましい。熱硬化ポリウレタンは、溶剤を用いずに成膜できるため、中間ポリウレタン層12の厚膜化が可能となる。また、中間ポリウレタン層12が熱硬化ポリウレタンを含有することで、厚膜に形成しても、優れた柔軟性及び透明性を有し、かつ、高温・高湿環境下においても白化が起こり難い信頼性の高い中間ポリウレタン層12を得ることができる。上記熱硬化ポリウレタンは、例えば、ポリオール成分とポリイソシアネート成分とを反応させることにより得られ、下記式(A)に示した構造を有することが好ましい。
上記式(A)中、Rは、ポリイソシアネート成分のNCO基を除いた部位を表し、R’は、ポリオール成分のOH基を除いた部位を表し、nは、繰り返し単位数を表す。
上記熱硬化ポリウレタンは、アクリル変性されていないことが好ましく、主鎖中にアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等に由来する部位が含まれないことが好ましい。熱硬化ポリウレタンがアクリル変性されると、疎水化されるため、高温・高湿環境下において水分の凝集が生じやすくなる。この水分の凝集は、白化、発泡等を引き起こし、光学特性を損なうことがある。したがって、熱硬化ポリウレタンをアクリル変性されていないものとすることで、高温・高湿環境下において白化、発泡等による光学特性の低下を防止することができる。上記熱硬化ポリウレタンは、ポリオール成分に由来する単量体単位と、ポリイソシアネート成分に由来する単量体単位との合計量が、熱硬化ポリウレタン全体を構成する単量体単位の80モル%以上であることが好ましい。
上記ポリオール成分及び上記ポリイソシアネート成分としては、いずれも常温(23℃)で液体のものを用いることができ、溶剤を用いずに熱硬化ポリウレタンを得ることができる。タッキファイヤー等の他の成分は、ポリオール成分及びポリイソシアネート成分のいずれかに添加することができ、好ましくは、ポリオール成分に添加される。中間ポリウレタン層12を作製する際には、溶剤の除去が必要ないため、均一なシートを厚く形成することができる。また、中間ポリウレタン層12は、厚膜化できるとともに柔軟であることから、耐衝撃性に優れる。
中間ポリウレタン層12を備えた光学用粘着シートは、透明導電膜を表層に有する透明部材とカバーパネルとの貼り合わせに用いることができ、更に他の部材を用いる場合には、表示パネル、又は、透明導電膜を表層に有する透明部材と、他の部材との貼り合わせにも用いることができる。中間ポリウレタン層12を備えた光学用粘着シートを、表示パネルと透明導電膜を表層に有する透明部材(タッチパネル)との貼り合わせに用いる場合、表示パネルの外縁上に配置されたベゼルによって形成された段差を光学用粘着シートによって被覆することができる。
熱硬化ポリウレタンを含む中間ポリウレタン層12は、厚く形成しても光学特性を維持することができることから、中間ポリウレタン層12を厚く成形することで、可視光線透過率、色味を変化させずに、厚さのある光学用粘着シート10を作成することができる。一方で、熱硬化ポリウレタンは無溶剤系であるため、粉末の着色剤と均一に混合することが困難である。また、溶剤を含む着色剤は、上記溶剤が熱硬化ポリウレタン組成物と分離するため、中間ポリウレタン層12に添加することは困難である。これらのことからも、本発明では、中間ポリウレタン層12ではなく、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の少なくとも一方に着色剤を添加している。
上記ポリオール成分としては、例えば、ポリオレフィンポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。なかでも、ポリオレフィンポリオール等を用いることが好ましい。上記ポリオレフィンポリオールの具体例としては、エポール(出光興産社製)等が挙げられる。
上記ポリオール成分は、オレフィン骨格を有するポリオール成分を50重量%以上含むことが好ましく、より好ましくは、オレフィン骨格を有するポリオール成分のみからなる。
上記ポリオレフィンポリオールは、オレフィン骨格を有する。すなわち主鎖がポリオレフィン又はその誘導体によって構成されていることが好ましい。上記ポリオレフィンポリオールは、少なくともオレフィン骨格を有するポリオール成分を含む。上記オレフィン骨格を有するポリオール成分としては、例えば、1,2-ポリブタジエンポリオール、1,4-ポリブタジエンポリオール、1,2-ポリクロロプレンポリオール、1,4-ポリクロロプレンポリオール等のポリブタジエン系ポリオールや、ポリイソプレン系ポリオール、それらの二重結合を水素又はハロゲン等で飽和化したものが挙げられる。また、上記オレフィン骨格を有するポリオール成分は、ポリブタジエン系ポリオール等に、スチレン、エチレン、酢酸ビニル、アクリル酸エステル等のオレフィン化合物を共重合させたポリオールやその水添物であってもよい。上記オレフィン骨格を有するポリオール成分は、直鎖構造を有するものであってもよく、分岐構造を有するものであってもよい。上記オレフィン骨格を有するポリオール成分は、1種類のみ用いられてもよいし、2種類以上用いられてもよい。
上記ポリイソシアネート成分としては、親水性ポリイソシアネート、及び、疎水性ポリイソシアネートのいずれか一方、又は、両方を用いてもよい。上記親水性ポリイソシアネートは、親水性ユニットを有するポリイソシアネートであり、上記疎水性ポリイソシアネートは、上記親水性ユニットを有さないポリイソシアネートである。なお、上記親水性ユニットを有する親水性ポリイソシアネートとは、イソシアヌレート構造やビウレット構造のようにイソシアネート基に由来する構造のみによって親水性を向上させたものではなく、親水性を高める官能基(親水性ユニット)が付加されたポリイソシアネートを意味する。上記ポリイソシアネート成分中に親水性ユニットが含まれることで、吸湿による白化を抑制する作用が得られる。
上記ポリイソシアネート成分は、親水性ポリイソシアネートと疎水性ポリイソシアネートとを含むことが好ましい。熱硬化性ポリウレタン組成物が親水性ポリイソシアネートと疎水性ポリイソシアネートの両方を含むことで、中間ポリウレタン層12の親水性と疎水性のバランスを調整することができる。疎水性ポリイソシアネートのみを用いた場合、光学用粘着シートの製造後に、外部から吸湿した水分により中間ポリウレタン層12が白化することがある。一方で、親水性ポリイソシアネートのみを用いた場合、吸湿による白化は抑制できるものの、ポリオール成分と混ざり難くなり、透明性が低下することがある。
上記親水性ポリイソシアネートに含まれる親水性ユニットとしては、ポリアルキレンオキシドユニットが好適である。ポリアルキレンオキシドユニットとしては、例えば、ポリエチレンオキシドユニットおよびポリプロピレンオキシドユニットが挙げられる。
ポリアルキレンオキシドユニット以外の親水性ユニットとしては、例えば、カルボン酸基、カルボン酸のアルカリ金属塩基、スルホン酸基、スルホン酸のアルカリ金属塩基、ヒドロキシル基、アミド基、アミノ基等を含むユニットが挙げられる。さらに詳しくは、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸のアルカリ金属塩、スルホン酸基含有共重合体、スルホン酸基含有共重合体のアルカリ金属塩、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
親水性ポリイソシアネートは、イソシアネート基を有する脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートと、ポリアルキレンオキシドユニットを有するエーテル化合物とを反応させて得られる、エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートであることが好ましい。脂肪族及び/又は脂環族ポリイソシネートを用いることにより、着色や変色がより発生しにくく、長期に渡って光学用粘着シートの透明性をより確実に確保することができる。また、ポリアルキレンオキシドユニットを有するエーテル化合物を反応させた変性体とすることによって、ポリイソシアネート成分は、親水性部分(ポリアルキレンオキシドユニット)の作用によって白化を抑制することができ、疎水性部分(その他のユニット)の作用によって低極性のタッキファイヤー、可塑剤等との相溶性を発揮することができる。
エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネートの具体例としては、東ソー社製のコロネート4022、アクアネート130、アクアネート140等が挙げられる。
疎水性ポリイソシアネートとしては、IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート、HDI(ヘキサメチレンジイソシアネート)系ポリイソシアネート等が挙げられる。IPDI系ポリイソシアネートの具体例としては、住化バイエルウレタン社製のデスモジュールI等が挙げられる。HDI系ポリイソシアネートの具体例としては、日本ポリウレタン工業社製のHC-247等が挙げられる。
中間ポリウレタン層12のα比(ポリオール成分由来のOH基のモル数/ポリイソシアネート成分由来のNCO基のモル数)は、1.0以上、1.8以下であることが好ましい。上記α比が低いほど中間ポリウレタン層12は硬くなり、上記α比が高いほど中間ポリウレタン層12は柔らかくなる。中間ポリウレタン層12のα比を1.0以上、1.8以下とすることで、ディレイバブルの発生の抑制と光学用粘着シートの柔軟性とを両立させることができる。上記α比のより好ましい上限は1.5である。α比が1.0未満である場合には、ポリイソシアネート成分の配合量が、ポリオール成分の配合量に対して過剰であるため、中間ポリウレタン層が硬くなる。中間ポリウレタン層が硬くなると、光学用粘着シートに要求される柔軟性を確保することが困難となることがある。また、α比が1.0未満であると、光学用粘着シートに要求される接着力を確保することができないおそれがある。α比が1.8を超える場合には、熱硬化性ポリウレタン組成物が充分に硬化しないことがある。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、可塑剤を含有してもよい。上記可塑剤としては、熱硬化ポリウレタンに柔軟性を付与するために用いられる化合物であれば特に限定されないが、相溶性及び耐候性の観点から、カルボン酸系可塑剤を含むことが好ましい。
上記熱硬化性ポリウレタン組成物は、更に、触媒を含有してもよい。触媒としては、ウレタン化反応に用いられる触媒であれば特に限定されず、例えば、ジラウリル酸ジ-n-ブチル錫、ジラウリル酸ジメチル錫、ジブチル錫オキシド、オクタン酸錫等の有機錫化合物;有機チタン化合物;有機ジルコニウム化合物;カルボン酸錫塩;カルボン酸ビスマス塩;トリエチレンジアミン等のアミン系触媒が挙げられる。
中間ポリウレタン層12の厚みは、100μm以上、2000μm以下であることが好ましい。中間ポリウレタン層12はポリウレタンを含むことで厚膜化することができ、タッチパネル等の貼り合わせに用いた場合に、ベゼル等の段差があっても充分に被覆することができる。上記厚みが100μm未満である場合には、光学用粘着シート全体の柔軟性が低下し、光学用粘着シートの一方の面を光学部材の表面に貼り付けたときに、光学部材の表面に存在する凹凸又は段差を被覆することができず、光学用粘着シートを介して上記光学部材と他の部材とを充分な接着力で貼り合わせることができないことがある。中間ポリウレタン層12の厚みの、より好ましい下限は200μmであり、更に好ましい下限は300μm、特に好ましい下限は500μmである。中間ポリウレタン層12の厚みの、より好ましい上限は1800μmであり、更に好ましい上限は1500μmであり、特に好ましい上限は1000μmである。
光学用粘着シート10は、第一の表面アクリル粘着剤層11と中間ポリウレタン層12と第二の表面アクリル粘着剤層13とをこの順に有していればよく、第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13は、それぞれ光学用粘着シート10の最表面(被着体と接する面)に位置すればよい。光学用粘着シート10は、更に他の層を有してもよいが、第一の表面アクリル粘着剤層11と中間ポリウレタン層12と第二の表面アクリル粘着剤層13の三層構造であることが好ましい。すなわち、第一の表面アクリル粘着剤層11と中間ポリウレタン層12とは互いに接することが好ましく、第二の表面アクリル粘着剤層13と中間ポリウレタン層12とは互いに接することが好ましい。
熱硬化性ポリウレタン組成物には、光学用粘着シートの要求特性を阻害しない範囲で、必要に応じて、タッキファイヤー(粘着付与剤)、安定剤、酸化防止剤、防徽剤、難燃剤等の各種添加剤が添加されていてもよい。
<光学用粘着シートの製造方法>
第一の表面アクリル粘着剤層11と、中間ポリウレタン層12と、第二の表面アクリル粘着剤層13とをこの順に積層する方法としては特に限定されず、例えば、第一の表面アクリル粘着剤層11、第二の表面アクリル粘着剤層13及び中間ポリウレタン層12を個別に作製した後、これらを貼り合わせる方法が挙げられる。
第一の表面アクリル粘着剤層11と、中間ポリウレタン層12と、第二の表面アクリル粘着剤層13とをこの順に積層する方法としては特に限定されず、例えば、第一の表面アクリル粘着剤層11、第二の表面アクリル粘着剤層13及び中間ポリウレタン層12を個別に作製した後、これらを貼り合わせる方法が挙げられる。
第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13の製法は特に限定されず、例えば、アクリル樹脂、複合酸化物系顔料等を混合してアクリル系樹脂組成物を得た後、上記アクリル系樹脂組成物を各種コーティング装置、バーコート、ドクターブレード等の汎用の成膜装置や成膜方法を用いて成膜するものであってもよい。また、遠心成形法を用いて第一の表面アクリル粘着剤層11及び第二の表面アクリル粘着剤層13を作製してもよい。
中間ポリウレタン層12の製法は特に限定されず、例えば、中間ポリウレタン層12が熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物である場合、好ましくは、ポリオール成分、及び、ポリイソシアネート成分を攪拌混合して熱硬化性ポリウレタン組成物を調製する工程と、熱硬化性ポリウレタン組成物を硬化する工程とを含む。熱硬化性ポリウレタン組成物は、更にタッキファイヤーを含有してもよい。
中間ポリウレタン層12が熱硬化性ポリウレタン組成物の硬化物である場合の製法の具体例としては、ポリオール成分、ポリイソシアネート成分、及び、必要に応じて触媒等の他の成分を混合し、ミキサー等で攪拌することによって、液状又はゲル状の熱硬化性ポリウレタン組成物を得る。タッキファイヤーを含有する場合は、予め、タッキファイヤーをポリオール成分に添加し、加温及び攪拌して溶解させることによって、マスターバッチを調製し、他の材料と混合する。その後、即座に熱硬化性ポリウレタン組成物を成形装置に投入し、一対の離型フィルムによって挟んだ状態で熱硬化性ポリウレタン組成物を移動させながら硬化反応(架橋反応)させることで、熱硬化性ポリウレタン組成物が半硬化され、上記一対の離型フィルムと一体化されたシートを得る。その後、炉で一定時間架橋反応させることで、中間ポリウレタン層12が得られる。
[積層体]
本発明の光学用粘着シートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。図2は、本発明の積層体の一例を模式的に示した断面図である。本発明の光学用粘着シート10と、光学用粘着シート10の一方の面を覆う第一の離型フィルム21と、光学用粘着シート10の他方の面を覆う第二の離型フィルム22とが積層された積層体20(以下、「本発明の積層体」ともいう)もまた、本発明の一態様である。本発明の積層体によれば、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムによって、本発明の光学用粘着シートの両面を、被着体に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、本発明の光学用粘着シートに対する、粘着性の低下、及び、異物の付着が防止される。また、本発明の光学用粘着シートが被着体以外に貼り付いてしまうことも防止されるため、取り扱い性が高まる。
本発明の光学用粘着シートの両面には離型フィルムが貼り付けられてもよい。図2は、本発明の積層体の一例を模式的に示した断面図である。本発明の光学用粘着シート10と、光学用粘着シート10の一方の面を覆う第一の離型フィルム21と、光学用粘着シート10の他方の面を覆う第二の離型フィルム22とが積層された積層体20(以下、「本発明の積層体」ともいう)もまた、本発明の一態様である。本発明の積層体によれば、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムによって、本発明の光学用粘着シートの両面を、被着体に貼り付ける直前まで保護することができる。これにより、本発明の光学用粘着シートに対する、粘着性の低下、及び、異物の付着が防止される。また、本発明の光学用粘着シートが被着体以外に貼り付いてしまうことも防止されるため、取り扱い性が高まる。
第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムとしては、例えば、PETフィルム等が挙げられる。第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムの材質及び厚みは、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。
本発明の光学用粘着シート及び第一の離型フィルムの貼り合わせ強度(剥離強度)と、本発明の光学用粘着シート及び第二の離型フィルムの貼り合わせ強度(剥離強度)とは、互いに異なることが好ましい。このように貼り合わせ強度が互いに異なることにより、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムのうちの一方(貼り合わせ強度が低い方の離型フィルム)のみを本発明の積層体から剥離し、露出させた光学用粘着シートの第一の面と第一の被着体とを貼り合わせ、その後、第一の離型フィルム及び第二の離型フィルムのうちの他方(貼り合わせ強度が高い方の離型フィルム)を剥離し、露出させた光学用粘着シートの第二の面と第二の被着体とを貼り合わせることが容易になる。
第一の離型フィルムの本発明の光学用粘着シートと接する側の表面、及び、第二の離型フィルムの本発明の光学用粘着シートと接する側の表面のうちの少なくとも一方には、易剥離処理(離型処理)が施されていてもよい。易剥離処理としては、例えば、シリコン処理等が挙げられる。
[貼り合わせ構造物]
第一の被着体と、第二の被着体と、上記第一の被着体及び上記第二の被着体を貼り合わせる本発明の光学用粘着シートとを備える貼り合わせ構造物(以下、「本発明の貼り合わせ構造物」ともいう)もまた、本発明の一態様である。
第一の被着体と、第二の被着体と、上記第一の被着体及び上記第二の被着体を貼り合わせる本発明の光学用粘着シートとを備える貼り合わせ構造物(以下、「本発明の貼り合わせ構造物」ともいう)もまた、本発明の一態様である。
本発明の貼り合わせ構造物の用途は特に限定されず、液晶パネル等の表示パネルとカバーパネルとを光学用粘着シートによって貼り合わせたものであってもよい。表示パネルとカバーパネルとを光学用粘着シートによって貼り合わせ、表示パネルとカバーパネルとの間に存在する空気層をなくすことで、表示パネルの視認性を向上することができる。表示部に開口が設けられた筐体(ベゼル)内に表示パネルが配置される場合、表示パネルの外縁上にベゼルが配置されることになる。そのため、ベゼルの厚みに対応する段差が形成される。表示パネルの中央だけでなく、ベゼルが配置された領域にも光学用粘着シートを重ねて表示パネルとカバーパネルとの貼り合わせを行う方式を「ベゼルオン貼合」ともいう。ベゼルオン貼合により形成される貼り合わせ構造を「ベゼルオン貼合構造」ともいう。
本発明で使用される光学用粘着シートは、柔軟であり、かつ厚膜化が可能であることから、ベゼルオン貼合に適している。本発明の貼り合わせ構造物は、ベゼルオン貼合構造を有するものであってもよく、例えば、光学用粘着シート及び支持部材を第一の被着体と第二の被着体との間に備える構造を有し、上記支持部材は、上記第一の被着体の外縁上に配置された段差形成部を有し、上記光学用粘着シートは、上記第一の被着体と上記第二の被着体とを接着する厚膜部と、上記段差形成部と上記第二の被着体との間に挟み込まれた端部とを含むものであってもよい。上記樹脂基材は、第一の被着体であってもよいし、第二の被着体であってもよい。
図3は、本発明の光学用粘着シートを用いたタッチパネル付き表示装置の一例を模式的に示した断面図である。上記タッチパネル付き表示装置は、ベゼルオン貼合構造を有する貼り合わせ構造物である。図3に示した貼り合わせ構造物50は、第一の被着体51及び第二の被着体52との間に、光学用粘着シート10及び上ベゼル(支持部材)41が設けられた構成を有し、例えば、表示装置等の電子機器の一部であってもよい。上ベゼル41は、下ベゼル42と一体化され、第一の被着体51を収容する筐体(ベゼル)を構成する。
貼り合わせ構造物50において、光学用粘着シート10は、第一の被着体51と第二の被着体52とを接着する厚膜部と、上ベゼル41の段差形成部と第二の被着体52との間に挟み込まれた端部とを含む。光学用粘着シート10の端部は、第二の被着体52と上ベゼル41の段差形成部との間に挟み込まれているため、剥がれにくい。また、光学用粘着シート10が上ベゼル41の段差形成部まで到達していることから、第一の被着体51の上面は全て、上ベゼル41の段差形成部又は光学用粘着シート10によって被覆されており、第一の被着体51の吸湿を防止できる。第一の被着体51の上面に偏光板が位置する場合には、偏光板の吸湿を防止できる。偏光板が吸湿すると、性能劣化が早まったり、高温環境下で吸湿された水分が蒸発することで遅れ泡を引き起こしたりすることがある。
第一の被着体51と第二の被着体52との組み合わせは特に限定されず、例えば、表示パネル、タッチパネル(ITO透明導電膜付きガラス基板)、カバーパネル(カバーガラス)等の表示装置を構成する各種部材が挙げられる。第一の被着体51が表示パネル又はタッチパネルであり、第二の被着体52がカバーパネルであってもよいし、第一の被着体51が表示パネルであり第二の被着体52がタッチパネルであってもよい。
表示パネルの種類は特に限定されず、例えば、液晶パネル、有機エレクトロルミネッセンスパネル(有機ELパネル)等が挙げられる。また、表示パネルの光学用粘着シート10が貼り付けられる面には、偏光板、位相差フィルム等が配置されていてもよい。光学用粘着シート10を用いて表示装置内の各種部材を貼り合わせれば、表示装置内の空気層(エアギャップ)を無くすことができ、表示画面の視認性を向上することができる。また、偏光板が配置されている場合には、光学用粘着シート10によって偏光板の吸湿を効果的に防止することができる。
上ベゼル41は、平面視したときに、光学用粘着シート10の周囲に配置された枠状の部材であり、少なくとも一部が第一の被着体51の外縁上に配置されている。第一の被着体51の外縁上に配置された部分(段差形成部)の側面が段差を形成する。段差形成部の側面の形状は特に限定されず、第一の被着体51の上面に対して段差形成部の側面が垂直であってもよい。第一の被着体51が表示パネルである場合には、上ベゼル41が表示装置の額縁領域に配置されるが、表示装置の使用者から上ベゼル41が見えないように、第一の被着体51の外縁に遮光部52Aが設けられてもよい。上ベゼル41の材質は特に限定されず、例えば、金属、樹脂等が挙げられる。
上ベゼル41の厚み(段差の大きさ)は特に限定されないが、例えば、200~1000μmとされる。上ベゼル41の厚みが200μmを超えると、光学用粘着シート10の厚みを300μm(0.3mm)以上にすることが必要となるため、通常の光学用粘着シートよりも厚い光学用粘着シートが用いられる。
光学用粘着シート10の厚膜部の厚みは、上ベゼル41の段差形成部の厚みの1.5倍以上であり、2倍以上であることがより好ましい。これにより、上ベゼル41の段差形成部と第二の被着体52との間に挟み込まれた光学用粘着シート10の端部において充分な厚みを確保することができ、端部の剥離を防止できる。なお、貼り合わせ構造物50における光学用粘着シート10の厚膜部の厚みは、光学用粘着シート10の貼り合わせ前の厚みと実質的に同じである。すなわち、光学用粘着シート10の貼り合わせ前の厚みは、上ベゼル41の厚みの1.5倍以上であることが好ましく、2倍以上であることがより好ましい。
以下、本発明について実施例を掲げて更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
(配合原料)
下記の実施例及び比較例において、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料は以下の通りである。
(A)ポリオール成分
ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」)
(B)ポリイソシアネート成分
(B-1)親水性ポリイソシアネート
エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)
(B-2)疎水性ポリイソシアネート
IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン社製の「デスモジュールI」)
(B-3)イソシアネート系硬化剤(綜研化学社製の「DY-70」)
(C)タッキファイヤー
出光興産社製の「アイマーブP-100」
(D)触媒
ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL-28」)
(E)アクリル系樹脂
(E-1)綜研化学社製の「SK1838」
(E-2)綜研化学社製の「SK1875」
(F)着色剤
(F-1)複合酸化物系顔料を含有する着色剤(日弘ビックス株式会社製の「NSP-AY 805B BLACK」)(複合酸化物系顔料の含有量:10~15重量%)
(F-2)カーボンブラック系顔料(溶剤分散型)(御国色素株式会社製の「MHIブラック#220」
下記の実施例及び比較例において、熱硬化性ポリウレタン組成物を調製するために用いた配合原料は以下の通りである。
(A)ポリオール成分
ポリオレフィンポリオール(出光興産社製の「EPOL(エポール、登録商標)」)
(B)ポリイソシアネート成分
(B-1)親水性ポリイソシアネート
エチレンオキシドユニットを含む変性ポリイソシアネート(東ソー社製の「コロネート4022」)
(B-2)疎水性ポリイソシアネート
IPDI(イソホロンジイソシアネート)系ポリイソシアネート(住化バイエルウレタン社製の「デスモジュールI」)
(B-3)イソシアネート系硬化剤(綜研化学社製の「DY-70」)
(C)タッキファイヤー
出光興産社製の「アイマーブP-100」
(D)触媒
ジラウリル酸ジメチル錫(Momentive社製の「Fomrez catalyst UL-28」)
(E)アクリル系樹脂
(E-1)綜研化学社製の「SK1838」
(E-2)綜研化学社製の「SK1875」
(F)着色剤
(F-1)複合酸化物系顔料を含有する着色剤(日弘ビックス株式会社製の「NSP-AY 805B BLACK」)(複合酸化物系顔料の含有量:10~15重量%)
(F-2)カーボンブラック系顔料(溶剤分散型)(御国色素株式会社製の「MHIブラック#220」
<中間ポリウレタン層>
(製造例1)
ポリオール成分(A)100重量部、親水性ポリイソシアネート(B-1)4.7重量部、疎水性ポリイソシアネート(B-2)4.7重量部、タッキファイヤー(C)10重量部及び触媒(D)0.01重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比が1.5である熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。
(製造例1)
ポリオール成分(A)100重量部、親水性ポリイソシアネート(B-1)4.7重量部、疎水性ポリイソシアネート(B-2)4.7重量部、タッキファイヤー(C)10重量部及び触媒(D)0.01重量部を、往復回転式撹拌機アジターを用いて攪拌混合し、α比が1.5である熱硬化性ポリウレタン組成物を調製した。
なお、東ソー社製の「コロネート4022」は、ヘキサメチレンジイソシアネート及び/又はヘキサメチレンジイソシアネートモノマーを出発物質とするポリイソシアネートに対して、エチレンオキシドユニットを1分子当たり平均3個以上有するエーテルポリオールを反応させて得られたものである。
その後、得られた熱硬化性ポリウレタン組成物を一対の離型フィルム(表面に離型処理が施されたPETフィルム)によって挟んだ状態で搬送しつつ、炉内温度50~90℃、炉内時間数分間の条件で架橋硬化させ、離型フィルム付きのシートを得た。その後、加熱装置で10~15時間架橋反応させ、両面に離型フィルムが設けられた、中間ポリウレタン層(熱硬化ポリウレタン層)を作製した。
(製造例2)
熱硬化性ポリウレタン組成物に、複合酸化物系顔料を添加したこと以外は製造例1と同様にして、離型フィルム付きの製造例2に係る中間ポリウレタン層を作成した。なお、無溶剤系の熱硬化性ポリウレタン組成物と混合させるために、NSP-AY 805B BLACKに含まれる溶媒を揮発させて乾燥させたものを複合酸化物系顔料として、ポリイソシアネート成分100重量部に対して、0.01重量部添加した。
熱硬化性ポリウレタン組成物に、複合酸化物系顔料を添加したこと以外は製造例1と同様にして、離型フィルム付きの製造例2に係る中間ポリウレタン層を作成した。なお、無溶剤系の熱硬化性ポリウレタン組成物と混合させるために、NSP-AY 805B BLACKに含まれる溶媒を揮発させて乾燥させたものを複合酸化物系顔料として、ポリイソシアネート成分100重量部に対して、0.01重量部添加した。
<アクリル粘着剤層>
(製造例3)
(E-1)と(E-2)とを固形分比5:5となるようにブレンドしたものアクリル系樹脂とし、上記アクリル系樹脂100重量部に、イソシアネート系硬化剤(B-3)を0.6重量部及び複合酸化物系顔料を含有する着色剤(F-1)を3重量部添加し、アクリル系樹脂組成物を作製した。得られたアクリル系樹脂組成物を離型フィルムにコンマコーターにて塗工し、80~120℃の乾燥炉において乾燥した後、塗工面に離型フィルムを重ねた。その後、40℃で1週間加熱することにより硬化を完了させ、離型フィルム付きの製造例3に係るアクリル粘着剤層を作製した。
(製造例3)
(E-1)と(E-2)とを固形分比5:5となるようにブレンドしたものアクリル系樹脂とし、上記アクリル系樹脂100重量部に、イソシアネート系硬化剤(B-3)を0.6重量部及び複合酸化物系顔料を含有する着色剤(F-1)を3重量部添加し、アクリル系樹脂組成物を作製した。得られたアクリル系樹脂組成物を離型フィルムにコンマコーターにて塗工し、80~120℃の乾燥炉において乾燥した後、塗工面に離型フィルムを重ねた。その後、40℃で1週間加熱することにより硬化を完了させ、離型フィルム付きの製造例3に係るアクリル粘着剤層を作製した。
(製造例4)
上記アクリル系樹脂100重量部に対して、複合酸化物系顔料を含有する着色剤(F-1)を6重量部添加したこと以外は製造例3と同様にして、離型フィルム付きの製造例4に係るアクリル粘着剤層を作製した。
上記アクリル系樹脂100重量部に対して、複合酸化物系顔料を含有する着色剤(F-1)を6重量部添加したこと以外は製造例3と同様にして、離型フィルム付きの製造例4に係るアクリル粘着剤層を作製した。
(製造例5)
複合酸化物系顔料を含有する着色剤を添加しなかったこと以外は製造例3と同様にして、離型フィルム付きの製造例5に係るアクリル粘着剤層を作製した。
複合酸化物系顔料を含有する着色剤を添加しなかったこと以外は製造例3と同様にして、離型フィルム付きの製造例5に係るアクリル粘着剤層を作製した。
(製造例6)
複合酸化物系顔料を含有する着色剤に変えて、上記アクリル系樹脂100重量部に対して、カーボンブラック系顔料(F-2)を0.24重量部添加したこと以外は製造例3と同様にして、離型フィルム付きの製造例6に係るアクリル粘着剤層を作製した。
複合酸化物系顔料を含有する着色剤に変えて、上記アクリル系樹脂100重量部に対して、カーボンブラック系顔料(F-2)を0.24重量部添加したこと以外は製造例3と同様にして、離型フィルム付きの製造例6に係るアクリル粘着剤層を作製した。
JIS L1099(2012)のA-1法に基づき測定した製造例3~6に係るアクリル粘着剤層の透湿度は、560g/m2・hであった。
[実施例1]
上記離型フィルム付きの製造例1に係る中間ポリウレタン層(厚さ450μm)一枚と、上記離型フィルム付きの製造例3に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を二枚準備した。離型フィルム付き中間ポリウレタン層の両面に配置された剥離フィルムを剥離し、離型フィルム付きアクリル粘着剤層の一方の離型フィルムをそれぞれ剥離した。その後、上記アクリル粘着剤層の離型フィルムを剥離した面と、中間ポリウレタン層の表面とが接するように、上記中間ポリウレタン層の両面にそれぞれ、一方の離型フィルムを剥離した離型フィルム付きアクリル粘着剤層を積層した。これにより、第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有する総厚が500μmの実施例1に係る光学用粘着シート、及び、光学用粘着シートの両面に離型フィルムが配置された実施例1に係る積層体を作製した。
上記離型フィルム付きの製造例1に係る中間ポリウレタン層(厚さ450μm)一枚と、上記離型フィルム付きの製造例3に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を二枚準備した。離型フィルム付き中間ポリウレタン層の両面に配置された剥離フィルムを剥離し、離型フィルム付きアクリル粘着剤層の一方の離型フィルムをそれぞれ剥離した。その後、上記アクリル粘着剤層の離型フィルムを剥離した面と、中間ポリウレタン層の表面とが接するように、上記中間ポリウレタン層の両面にそれぞれ、一方の離型フィルムを剥離した離型フィルム付きアクリル粘着剤層を積層した。これにより、第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有する総厚が500μmの実施例1に係る光学用粘着シート、及び、光学用粘着シートの両面に離型フィルムが配置された実施例1に係る積層体を作製した。
[実施例2]
中間ポリウレタン層の厚みを950μmに変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
中間ポリウレタン層の厚みを950μmに変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
[実施例3]
表面アクリル粘着剤層の一枚を、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
表面アクリル粘着剤層の一枚を、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)に変えたこと以外は実施例1と同様にして、実施例3に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
[実施例4]
中間ポリウレタン層の厚みを950μmに変えたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
中間ポリウレタン層の厚みを950μmに変えたこと以外は実施例3と同様にして、実施例4に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
[実施例5]
表面アクリル粘着剤層として、製造例4に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)と、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を一枚ずつ用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
表面アクリル粘着剤層として、製造例4に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)と、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を一枚ずつ用いたこと以外は実施例1と同様にして、実施例5に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
[比較例1]
複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を二枚用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を二枚用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例1に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
[比較例2]
表面アクリル粘着剤層として、カーボンブラック系顔料を含む製造例6に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)と、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を一枚ずつ用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
表面アクリル粘着剤層として、カーボンブラック系顔料を含む製造例6に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)と、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を一枚ずつ用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例2に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
[比較例3]
中間ポリウレタン層として、カーボンブラック系顔料を添加した製造例2に係る中間ポリウレタン層(厚さ450μm)一枚と、表面アクリル粘着剤層として、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を二枚用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
中間ポリウレタン層として、カーボンブラック系顔料を添加した製造例2に係る中間ポリウレタン層(厚さ450μm)一枚と、表面アクリル粘着剤層として、複合酸化物系顔料を含まない製造例5に係るアクリル粘着剤層(厚さ25μm)を二枚用いたこと以外は実施例1と同様にして、比較例3に係る光学用粘着シート及び積層体を作製した。
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートについて、以下の方法で評価を行い、結果を下記表1にまとめた。
<分散性>
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートを目視にて確認し、着色剤の凝集がない場合を〇、着色剤の凝集が観察された場合を×とした。
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートを目視にて確認し、着色剤の凝集がない場合を〇、着色剤の凝集が観察された場合を×とした。
<色調評価>
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートを一対の透明な板ガラスで挟持した試験片をそれぞれ準備し、JIS K 7105に準拠した方法で、色差計(コニカミノルタ社製、CM-3700A)を用いて各試験片の色調を測定した。色調は、L*、a*、b*表色系で表され、b*が1以下である場合を○、b*が1を超える場合を×とした。
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートを一対の透明な板ガラスで挟持した試験片をそれぞれ準備し、JIS K 7105に準拠した方法で、色差計(コニカミノルタ社製、CM-3700A)を用いて各試験片の色調を測定した。色調は、L*、a*、b*表色系で表され、b*が1以下である場合を○、b*が1を超える場合を×とした。
<可視光線透過率>
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートを一対の透明な板ガラスで挟持した試験片をそれぞれ準備し、分光光度計(Thermo Scientific社製、Nicolet6700FTIR)を用いて、JIS A 5759に準拠した方法で、各試験片の可視光線透過率を測定した。
実施例及び比較例に係る光学用粘着シートを一対の透明な板ガラスで挟持した試験片をそれぞれ準備し、分光光度計(Thermo Scientific社製、Nicolet6700FTIR)を用いて、JIS A 5759に準拠した方法で、各試験片の可視光線透過率を測定した。
表1に示したように、第一及び第二の表面アクリル粘着剤層の少なくとも一方に複合酸化物系顔料を添加した実施例1~5は、適度な可視光線透過率を備えつつ、黄味が抑制された色調であった。実施例1と実施例2、実施例3と実施例4とをそれぞれ比較すると、中間ポリウレタン層の厚みを変えても、色調及び可視光線透過率への影響がないことが確認された。
一方で、表面アクリル粘着剤層に酸化物系顔料を添加しなかった比較例1は、可視光線透過率が高すぎるため、光学部材の貼り合わせに用いた場合には、表示パネルの表示領域と額縁領域の境界が目立ってしまう。表面アクリル粘着剤層の一方にカーボンブラック系顔料を添加した比較例2は、可視光線透過率を抑制できたものの、b*の値が高かった。中間ポリウレタン層に複合酸化物系顔料を添加した比較例3は、熱硬化性ポリウレタン組成物と複合酸化物系顔料とを均一に混合することができず、複合酸化物系顔料の凝集がみられた。
10:光学用粘着シート
11:第一の表面アクリル粘着剤層
12:中間ポリウレタン層
13:第二の表面アクリル粘着剤層
20:積層体
21:第一の離型フィルム
22:第二の離型フィルム
41:上ベゼル(支持部材)
42:下ベゼル
50:貼り合わせ構造物
51:第一の被着体
52:第二の被着体
52A:遮光部
11:第一の表面アクリル粘着剤層
12:中間ポリウレタン層
13:第二の表面アクリル粘着剤層
20:積層体
21:第一の離型フィルム
22:第二の離型フィルム
41:上ベゼル(支持部材)
42:下ベゼル
50:貼り合わせ構造物
51:第一の被着体
52:第二の被着体
52A:遮光部
Claims (7)
- 第一の表面アクリル粘着剤層と、中間ポリウレタン層と、第二の表面アクリル粘着剤層とをこの順に有し、
前記第一の表面アクリル粘着剤層及び前記第二の表面アクリル粘着剤層の少なくとも一方は、複合酸化物系顔料を含有することを特徴とする光学用粘着シート。 - 前記複合酸化物系顔料は、黒色顔料であることを特徴とする請求項1に記載の光学用粘着シート。
- 前記複合酸化物系顔料は、鉄及びマンガンの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の光学用粘着シート。
- 可視光線透過率は、30%以上、80%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光学用粘着シート。
- 総厚は、200μm以上、2000μm以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の光学用粘着シート。
- 請求項1~5のいずれかに記載の光学用粘着シートと、前記光学用粘着シートの一方の面を覆う第一の離型フィルムと、前記光学用粘着シートの他方の面を覆う第二の離型フィルムとが積層されたものであることを特徴とする積層体。
- 第一の被着体と、第二の被着体と、前記第一の被着体及び前記第二の被着体を貼り合わせる請求項1~5のいずれかに記載の光学用粘着シートとを備えることを特徴とする貼り合わせ構造物。
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