JP2024094878A - 車体の衝撃吸収構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロッカーにおける衝撃吸収構造において、衝突荷重を広い面で受けてエネルギ吸収部材に伝達することにより、ポールのように面積の小さいものに衝突した場合でも、エネルギ吸収部材が広い面積で変形し、エネルギ吸収部材において衝突荷重を効率的に吸収する。【解決手段】ロッカー10の閉断面構造内に車体幅方向外側からの衝突エネルギを吸収するエネルギ吸収部材20を備える車体の衝撃吸収構造であって、エネルギ吸収部材20は、車体幅方向の外側に配置された外側部材21と、車体幅方向の内側に配置された内側部材22とを備え、外側部材21及び内側部材22は、車体幅方向の衝突荷重を両者間で伝達可能に配置され、外側部材21は内側部材22に比べて車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度を強くされ、外側部材21及び内側部材22は、車体前後方向の長さを衝突対象物の同方向における大きさよりも長く設定されている。【選択図】図2

Description

本発明は、車体の衝撃吸収構造に関する。
閉断面構造のロッカー(一般にサイドシルともいう)内にエネルギ吸収部材を配置して側突時の衝撃を吸収する構造が知られている(特許文献1参照)。側突時には、エネルギ吸収部材が衝突荷重を受けて変形し、乗員を保護し、且つロッカーより車両幅方向の内側にあるバッテリなどを保護するように構成されている。
特許第6587707号公報
特許文献1の技術では、ロッカーの前後長に対してポールのように衝突面積の小さいものに側突した場合は、エネルギ吸収部材が衝突物の衝突面の大きさに相当する小さな面積で変形し、エネルギ吸収部材において効率的に衝突荷重を吸収できないおそれがある。
本発明の課題は、ロッカーにおける衝撃吸収構造において、衝突荷重を広い面で受けてエネルギ吸収部材に伝達することにより、ポールのように面積の小さいものに衝突した場合でも、エネルギ吸収部材が広い面積で変形し、エネルギ吸収部材において衝突荷重を効率的に吸収することにある。
本発明の第1発明は、車体両側部の下端部に車体前後方向を長手方向として延設されたロッカーを備え、該ロッカーを長手方向につながった中空構造とする閉断面構造内に車体幅方向外側からの衝突エネルギを吸収するエネルギ吸収部材を備える車体の衝撃吸収構造であって、前記エネルギ吸収部材は、車体幅方向の外側に配置された外側部材と、車体幅方向の内側に配置された内側部材とを備え、前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向の衝突荷重を両者間で伝達可能に配置され、前記外側部材は前記内側部材に比べて車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度を強くされ、前記外側部材及び前記内側部材は、車体前後方向の長さを衝突対象物の同方向における大きさよりも長く設定されている。
本発明の第2発明は、上記第1発明において、前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、前記外側部材は、前記内側部材に比べて前記変形部の数を多くされ、複数の前記変形部は、車体幅方向で互いに並列配置されている。
本発明の第3発明は、上記第1発明において、前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、前記変形部は、板面が車体幅方向に拡がる板部材により構成され、前記外側部材は、前記内側部材に比べて前記板部材の車体幅方向寸法が小さくされている。
本発明の第4発明は、上記第1発明において、前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、前記外側部材の前記変形部は、車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度を強くする補強構造を備える。
本発明の第5発明は、上記第1発明において、前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、前記内側部材の前記変形部は、車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度を弱くする弱体化構造を備える。
本発明の第6発明は、上記第1発明において、前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、前記外側部材は、前記内側部材に対して相対的に、前記変形部が車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度の強い素材で構成されている。
本発明の第7発明は、上記第1発明において、前記外側部材と前記内側部材との間には、車体幅方向に挟まれて中間部材を備え、前記外側部材、前記中間部材及び前記内側部材は、車体幅方向の衝突荷重を隣接する部材同士で相互に伝達可能に配置され、前記外側部材、前記内側部材及び中間部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度の関係を、前記外側部材は前記中間部材より強く、前記中間部材は前記内側部材より強くされている。
本発明によれば、ロッカーが車体幅方向外側の衝突対象物から衝突荷重を受けると、外側部材より先に内側部材を変形させることにより、エネルギ吸収部材の外側部材は、衝突対象物よりも車体前後方向で範囲を広げて衝突荷重を内側部材に伝達する。そのため、内側部材は、衝突対象物よりも広い範囲で変形して衝突エネルギを吸収する。従って、エネルギ吸収部材は、その性能を最大限に活用して効率的に衝突エネルギを吸収することができる。その結果、エネルギ吸収部材を軽量化することができる。
本発明の第1実施形態を示す概略構成図である。 第1実施形態のロッカーの垂直断面図である。 第1実施形態のロッカーの透視による斜視図である。 第1実施形態の側突によるロッカーの衝突変形状態を示す説明図である。 図4と同様の説明図であり、ロッカーを上方から見た変形状態を示す。 図5に対応する説明図であり、比較例における変形状態を示す。 本発明の第2実施形態におけるロッカーの垂直断面図である。 本発明の第3実施形態におけるロッカーのエネルギ吸収部材の斜視図である。 第3実施形態のエネルギ吸収部材の外側部材単体を内側から見た図である。 本発明の第4実施形態におけるロッカーのエネルギ吸収部材の斜視図である。 図10のIX―IX線断面図である。 本発明の第5実施形態におけるロッカーのエネルギ吸収部材の斜視図である。 本発明の第6実施形態におけるロッカーの垂直断面図である。 本発明の第7実施形態におけるロッカーの垂直断面図である。 第7実施形態の側突によるエネルギ吸収部材の衝突変形状態を示す説明図である。 図15に対応する説明図であり、比較例における変形状態を示す。
以下、本発明に係る衝撃吸収構造の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、電気自動車の電池に対する側突時の衝撃吸収構造である。なお、図の説明の方向表示におけるUPRは上側を示し、OUTは自動車の室内から見た外側を示し、FRは自動車の前側を示し、RRは自動車の後側を示す。従って、UPRで示される方向が車体上下方向、OUTで示される方向が車体幅方向、FR、RRで示される方向が車体前後方向である。
<第1実施形態の全体構成>
図1は第1実施形態が適用される衝撃吸収構造1の全体構成の主要部の垂直断面構成を模式的に示したものであり、ポール2が配置されたポール側突試験状態として示したものである。本実施形態は、電気自動車の電池3が電気自動車のフロア4の下部に配置された構成である。フロア4の外側の側部には、自動車の車体下部の骨格を形成するロッカー10が配設されており、更に、その外側には側部ドア5(通常フロントドア)が配置されている。ポール側突試験におけるポール2は、更に、その外側位置に配置される。本実施形態では、ポール2に側部ドア5が衝突した場合に、側部ドア5と電池3との間の範囲S内で、衝突におけるエネルギ吸収作用がなされて、電池3を保護するようになっている。特に、ロッカー10においてエネルギ吸収作用がなされるようになっている。
本実施形態では、ロッカー10内の車体前後方向の全域にエネルギ吸収部材20を配設して、ロッカー10の位置において、側突のエネルギ吸収作用がなされる構成がとられている。ロッカー10は、外側に配置される外側ロッカー部材11と、内側に配置される内側ロッカー部材12が、いわゆるハット型断面形状に形成されており、両部材11、12が重ね組合わされて閉断面構造が形成されている。その結果、ロッカー10は中空構造に形成されており、この中空構造は車体前後方向に空間が延びる形態となっている。なお、エネルギ吸収部材20の材質は、圧壊による変形によりエネルギ吸収作用を行うに適する鋼材とされている。アルミニウム等の他の材料を用いることもできる。
図2、3はロッカー10の詳細構造を示す。外側ロッカー部材11及び内側ロッカー部材12は、共にハット型断面形状に形成されて、それぞれ天板部11A、12A、縦壁部11B、12B、フランジ部11C、12Cを備える。外側ロッカー部材11及び内側ロッカー部材12は、互いにハット型の開放側が向い合うように組み合わされ、各一対のフランジ部11C、12Cが重なり合うようにされている。各一対のフランジ部11C、12C間には、板状の仕切部材13が挟持されている。従って、外側ロッカー部材11及び内側ロッカー部材12によって形成される閉断面構造内の空間は、車体幅方向で2つの空間に分割されている。
このように閉断面構造内の空間が2つの空間に分割されているため、エネルギ吸収部材20も2つの空間内に分散して設けられている。外側ロッカー部材11内には、エネルギ吸収部材20の外側部材21が設けられ、内側ロッカー部材12内には、エネルギ吸収部材20の内側部材22が設けられている。外側部材21及び内側部材22は、共にハット型断面形状に形成されている。これらのハット型断面形状の外側部材21及び内側部材22は、それぞれ天板部21A、22A、縦壁部21B、22B、フランジ部21C、22Cを備える。各天板部21A、22Aは互いに向い合せに組み合わされ、それぞれ仕切部材13の上下方向の中央部で反対側面に接合されている。また、各フランジ部21C、22Cは、それぞれ外側ロッカー部材11の内壁及び内側ロッカー部材12の内壁に接合されている。そのため、各縦壁部21B、22Bは、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部を成し、車体幅方向に拡がる板面を備えた板部材を構成している。縦壁部21Bは、縦壁部22Bに対して圧壊による曲げ変形に対する強度の高い鋼材により構成されている。このように縦壁部21Bと縦壁部22Bの強度に差を持たせることは、外側部材21と内側部材22の全体の強度に差を持たせることで容易に実現できる。このように強度に差を持たせることは、互いに強度の違う鋼材を使ってもよいし、同じ材料で板厚を互いに変えてもよい。また、互いに材質を変えてもよい。
<第1実施形態の作用効果>
図4、5は、ポール側突試験後におけるロッカー10及びエネルギ吸収部材20の変形状態を示す。上述のようにエネルギ吸収部材20は、外側部材21の強度が内側部材22の強度より高くされているため、ロッカー10の外側ロッカー部材11を介してエネルギ吸収部材20に衝突荷重が加えられたとき、図4のように、外側部材21が変形する前に内側部材22に衝突荷重が伝達されて内側部材22が先に変形する。そのため、図5のように車体前後方向では、ポール2が狭い範囲に衝突荷重を加えても、外側部材21を介して内側部材22の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材22を広範囲に変形させる。その結果、エネルギ吸収部材20は、その性能を最大限に活用して効率的に衝突エネルギを吸収することができる。図5において、Aで示す三角形は内側部材22の変形範囲を示している。
図6は、図5に対応させた比較例の変形状態を示す。本実施形態のように外側部材21と内側部材22の強度に差を持たせていない比較例の場合は、ロッカー10のエネルギ吸収部材20にポール2からの衝突荷重が加えられたとき、図6のように、衝突荷重が先に加えられる外側の部材がまず変形し、その変形を受けて内側の部材が変形する。そのため、ロッカー10はポール2の衝突範囲と同等の車体前後方向の狭い範囲で変形し、衝突荷重を効率的に吸収することができない。図6において、Aで示す三角形はエネルギ吸収部材20の変形範囲を示している。図6の三角形Aの車体前後方向の大きさはポール2の車体前後方向幅と同等である。それに対し、図5の三角形Aの大きさは、図6の三角形Aより大きく、エネルギ吸収部材20の車体前後方向の大きさは、ポール2の車体前後方向幅より大きくなっていることが判る。
<第2実施形態>
図7は第2実施形態を示す。第2実施形態が、第1実施形態に対して特徴とする点は、エネルギ吸収部材20の外側部材23の形状を、第1実施形態の外側部材21のハット型断面形状から変更した点である。その他の構成は、第2実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
第2実施形態のエネルギ吸収部材20の外側部材23は、天板部23Aの車体上下方向の中央部をフランジ部23Cと並ぶ位置まで移動させるように変形させて概ねW字形断面形状とされている。フランジ部23Cと並ぶ位置まで移動された底部23Dは、フランジ部23Cと共にロッカー10の外側ロッカー部材11の内壁面に接合されている。そのため、外側部材23の縦壁部23Bは互いに並列の4枚に増加されている。各縦壁部23Bは、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部を成し、車体幅方向に拡がる板面を備えた板部材により構成されている。
第2実施形態では、外側部材23において板部材を成す縦壁部23Bの枚数が4枚とされ、他方、内側部材22において板部材を成す縦壁部22Bの枚数は2枚のままとされている。ここでは、縦壁部23Bと縦壁部22Bの鋼材は同一強度のものが使用されている。そのため、外側部材23の縦壁部23Bの枚数が内側部材22の縦壁部22Bの枚数より多く、圧壊による曲げ変形に対する強度は、全体として外側部材23が内側部材22よりも高くされている。従って、第2実施形態においても第1実施形態の場合と同様に、図5のように車体前後方向では、ポール2がロッカー10の狭い範囲に衝突荷重を加えても、外側部材23を介して内側部材22の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材22を広範囲に変形させる。その結果、衝突荷重を効率的に吸収することができる。
<第3実施形態>
図8、9は第3実施形態を示す。第3実施形態が、第1実施形態に対して特徴とする点は、エネルギ吸収部材20の外側部材24に補強構造を備えた点である。その他の構成は、第3実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
第3実施形態では、ロッカー10内に設けられるエネルギ吸収部材20において外側部材24の縦壁部24Bに車体幅方向に延びるビード24Dが形成されている。ビード24Dは、車体前後方向に複数個形成されている。ビード24Dは、縦壁部24Bに対するプレス成形により図9のように形成されて、縦壁部24Bの補強構造を成している。即ち、車体幅方向に延びるビード24Dが形成されることにより縦壁部24Bは車体幅方向の強度が高められている。第3実施形態では、外側部材24と内側部材22の鋼材は同一強度のものが使用され、補強構造によって外側部材24の変形強度が内側部材22より強くされている。従って、第3実施形態においても第1実施形態の場合と同様に、図5のように車体前後方向では、ポール2がロッカー10の狭い範囲に衝突荷重を加えても、外側部材24を介して内側部材22の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材22を広範囲に変形させる。その結果、衝突荷重を効率的に吸収することができる。図9において、24Cは外側部材24のフランジ部を示す。
<第4実施形態>
図10、11は第4実施形態を示す。第4実施形態が、第1実施形態に対して特徴とする点は、エネルギ吸収部材20の内側部材25に弱体化構造を備えた点である。その他の構成は、第4実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
第4実施形態では、ロッカー10内に設けられるエネルギ吸収部材20において内側部材25の縦壁部25Bに車体前後方向に延びる段差25Dが形成されている。段差25Dは、縦壁部25Bに対するプレス成形により図11のように形成されて、縦壁部25Bの弱体化構造を成している。段差25Dは、縦壁部25Bの車体幅方向の中央部で、車体幅方向の内側を外側よりも車体上下方向の対向する縦壁部25B間の幅を広くするものである。このように縦壁部25Bに段差25Dが形成されることにより縦壁部25Bの車体幅方向の荷重に対する変形強度は弱くなる。第4実施形態では、外側部材24と内側部材22の鋼材は同一強度のものが使用され、弱体化構造によって内側部材25の変形強度が外側部材21より弱くされている。即ち、外側部材21の変形強度が内側部材25より強くされている。従って、第4実施形態においても第1実施形態の場合と同様に、図5のように車体前後方向では、ポール2がロッカー10の狭い範囲に衝突荷重を加えても、外側部材21を介して内側部材25の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材25を広範囲に変形させる。その結果、衝突荷重を効率的に吸収することができる。図11において、25Aは内側部材25の天板部を示し、25Cは内側部材25のフランジ部を示す。
<第5実施形態>
図12は第5実施形態を示す。第5実施形態が、第1実施形態に対して特徴とする点は、エネルギ吸収部材20の内側部材26に弱体化構造を備えた点である。その他の構成は、第5実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
第5実施形態では、ロッカー10内に設けられるエネルギ吸収部材20において内側部材26の縦壁部26Bにおける車体幅方向の中央部に円形の貫通孔26Dが形成されている。貫通孔26Dは、縦壁部25Bの車体前後方向に沿って複数個(図12では各縦壁部26Bに7個ずつ、全体で14個)形成されて、縦壁部26Bの弱体化構造を成している。このように縦壁部26Bに貫通孔26Dが形成されることにより縦壁部26Bの車体幅方向の荷重に対する変形強度は弱くなる。貫通孔26Dの形状及び大きさは、縦壁部26Bに要求される強度に応じて適宜決定される。第5実施形態では、外側部材21と内側部材26の母材である鋼材は同一強度のものが使用され、弱体化構造によって内側部材26の変形強度が外側部材21より弱くされている。即ち、外側部材21の変形強度が内側部材26より強くされている。従って、第5実施形態においても第1実施形態の場合と同様に、図5のように車体前後方向では、ポール2がロッカー10の狭い範囲に衝突荷重を加えても、外側部材21を介して内側部材26の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材26を広範囲に変形させる。その結果、衝突荷重を効率的に吸収することができる。
<第6実施形態>
図13は第6実施形態を示す。第6実施形態が、第1実施形態に対して特徴とする点は、エネルギ吸収部材20の内側部材27では、縦壁部27Bの車体幅方向の寸法を外側部材21の縦壁部21Bの車体幅方向の寸法に対し、大きくした点である。その他の構成は、第6実施形態においても第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
第6実施形態では、エネルギ吸収部材20の内側部材27の縦壁部27Bにおける車体幅方向の寸法が外側部材21の縦壁部21Bの車体幅方向の寸法より大きくされている。ハット型断面形状の内側部材27は、第1実施形態の内側部材22と同様、天板部27Aが仕切部材13に接合され、フランジ部27Cが内側ロッカー部材14に接合されている。そのため、車体幅方向外側から側突荷重を受けたとき、内側部材27の縦壁部27Bは、外側部材21の縦壁部21Bに比べて圧壊による曲げ変形強度が弱い。第6実施形態では、外側部材21と内側部材27の母材である鋼材は同一強度のものが使用され、縦壁部27Bと縦壁部21Bの寸法の差によって内側部材27の変形強度が外側部材21より弱くされている。即ち、相対的には外側部材21の変形強度が内側部材27より強くされている。従って、第6実施形態においても第1実施形態の場合と同様に、図5のように車体前後方向では、ポール2がロッカー10の狭い範囲に衝突荷重を加えても、外側部材21を介して内側部材27の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材27を広範囲に変形させる。その結果、衝突荷重を効率的に吸収することができる。
<第7実施形態>
図14は第7実施形態を示す。第7実施形態が、第1実施形態に対して特徴とする点は、エネルギ吸収部材20の外側部材29と内側部材22との間に、車体幅方向に挟まれた中間部材28を設けた点である。その他の構成は、第7実施形態においても基本的に第1実施形態と同一であり、同一部分についての再度の説明は省略する。
第7実施形態では、ロッカー10の外側ロッカー部材15に対し、内側ロッカー部材16の車体幅方向の寸法が大きくされている。そして、内側ロッカー部材16と仕切部材13とによって画定される空間内には、エネルギ吸収部材20の内側部材22及び中間部材28が設けられている。内側部材22及び中間部材28は、ハット型断面形状の開放側が互いに反対方向を向くように車体幅方向に隣接配置され、互いの天板部22A及び天板部28Aが接合されている。内側部材22の各フランジ部22Cは内側ロッカー部材16の内壁に接合され、中間部材28の各フランジ部28Cは仕切部材13の内側の壁面に接合されている。
外側ロッカー部材15と仕切部材13とによって画定される空間内には、エネルギ吸収部材20の外側部材29が設けられている。外側部材29は、天板部29Aの車体上下方向の中央部をフランジ部29Cと並ぶ位置まで移動させるように変形させて概ねW字形断面形状とされている。フランジ部29Cと並ぶ位置まで移動された底部29Dは、フランジ部29Cと共にロッカー10の仕切部材13の外側の壁面に接合されている。2つに分割された天板部29Aは、外側ロッカー部材15の内壁面に接合されている。その結果、エネルギ吸収部材20は、車体幅方向の外側から外側部材29、中間部材28、内側部材22の順に並んでいる。そして、各部材29、28、22の車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度は、外側部材29は中間部材28より強く、中間部材28は内側部材22より強く設定されている。具体的には、外側部材29は中間部材28と同じ鋼材が使用されているが、外側部材29では縦壁部29Bの車体幅方向の寸法が中間部材28の縦壁部29Bの車体幅方向寸法に対して小さくされ、且つ変形部を成す縦壁部29Bの枚数が縦壁部28Bに比べて多くされている。また、中間部材28と内側部材22は、縦壁部28Bの車体幅方向の寸法、並びに縦壁部28Bの枚数が、縦壁部22Bのそれらと同一とされているが、中間部材28に対して内側部材22は、車体幅方向の圧壊による曲げ変形に対する強度が強い鋼材により構成されている。
そのため、第7実施形態では、ロッカー10が車体幅方向外側からの衝突荷重を受けたとき、内側部材22、中間部材28、外側部材29の順番に変形する。従って、車体前後方向では、図15のようにポール2がロッカー10の狭い範囲に衝突荷重を加えると、外側部材29及び中間部材28を介して内側部材22の広い範囲に衝突荷重が伝達され、内側部材22を広範囲に変形させる。その結果、衝突荷重を効率的に吸収することができる。
図16は、図15に対応させた比較例の外側部材29、中間部材28、内側部材22の変形状態を示す。比較例では、車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度は、外側部材29は中間部材28より強く、中間部材28は内側部材22より弱く設定されている。その結果、外側部材29は車体前後方向の広い範囲で中間部材28に衝突荷重を伝達するが、中間部材28は外側部材29により押圧された部分が、その形状のまま変形して、図15の場合に比べて狭い範囲でしか内側部材22を変形させることができない。図15、16において、ハッチングで示す範囲は内側部材22が変形した範囲を示している。ここから明らかなように第7実施形態によれば、内側部材22を広範囲に変形させて、衝突荷重を効率的に吸収することができる。
<その他の実施形態>
以上、特定の実施形態について説明したが、本発明は、それらの外観、構成に限定されず、種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、上記実施形態では、エネルギ吸収部材をハット型断面形状の部材により構成したが、これに限定されない。また、上記実施形態では、エネルギ吸収部材が外側部材及び内側部材の2つの部材により構成される例、並びに外側部材、中間部材及び内側部材の3つの部材により構成される例を示したが、4つ以上の部材により構成されてもよい。更に、上記実施形態では、ロッカー内部に仕切部材を備えるものとしたが、仕切部材なしの構造としてもよい。
<各発明に対応する上記実施形態の作用効果>
最後に上述の「課題を解決するための手段」における第2発明以降の各発明に対応する上記実施形態の作用効果を付記しておく。
第2発明によれば、外側部材は、内側部材に比べて変形部の数を多くされることにより衝突荷重に対する変形強度を内側部材より強くされている。
第3発明によれば、外側部材は、内側部材に比べて変形部を成す板部材の車体幅方向寸法が小さくされることにより衝突荷重に対する変形強度を内側部材より強くされている。即ち、板部材の車体幅方向寸法が小さい外側部材は、板部材の車体幅方向寸法が大きい内側部材に比べて衝突荷重を受けた際の板部材の曲げ変形が起こり難い。
第4発明によれば、外側部材は、変形部が車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度を強くする補強構造を備えることにより衝突荷重に対する変形強度を内側部材より強くされている。
第5発明によれば、内側部材は、変形部が車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度を弱くする弱体化構造を備えることにより衝突荷重に対する変形強度を外側部材より弱くされている。相対的に外側部材は、内側部材に比べて衝突荷重に対する変形強度を強くされている。
第6発明によれば、外側部材は、内側部材に対して相対的に、変形部が車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度の強い素材で構成されることにより衝突荷重に対する変形強度を内側部材より強くされている。
第7発明によれば、ロッカーが車体幅方向外側の衝突対象物から衝突荷重を受けると、外側部材より先に中間部材を変形させることにより、エネルギ吸収部材の外側部材は、衝突対象物よりも車体前後方向で範囲を広げて衝突荷重を中間部材に伝達する。同様に、中間部材は、外側部材の広さで外側部材から伝達された衝突荷重を内側部材に伝達する。そのため、内側部材は、衝突対象物よりも広い範囲で変形して衝突エネルギを吸収する。従って、エネルギ吸収部材は効率的に衝突エネルギを吸収することができる。その結果、エネルギ吸収部材を軽量化することができる。
1 衝撃吸収構造
2 ポール
3 電池
4 フロア
5 側部ドア
10 ロッカー
11、15 外側ロッカー部材
12、14、16 内側ロッカー部材
11A、12A 天板部
11B、12B 縦壁部
11C、12C フランジ部
13 仕切部材
20 エネルギ吸収部材
21、23、24、29 外側部材
22、25、26、27 内側部材
28 中間部材
21A、22A、23A、25A、27A、28A、29A 天板部
21B、22B、23B、24B、25B、26B、27B、28B、29B 縦壁部
(変形部、板部材)
21C、22C、23C、24C、25C、27C、28C、29C フランジ部
23D、29D 底部
24D ビード(補強構造)
25D 段差(弱体化構造)
26D 貫通孔(弱体化構造)

Claims (7)

  1. 車体両側部の下端部に車体前後方向を長手方向として延設されたロッカーを備え、該ロッカーを長手方向につながった中空構造とする閉断面構造内に車体幅方向外側からの衝突エネルギを吸収するエネルギ吸収部材を備える車体の衝撃吸収構造であって、
    前記エネルギ吸収部材は、車体幅方向の外側に配置された外側部材と、車体幅方向の内側に配置された内側部材とを備え、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向の衝突荷重を両者間で伝達可能に配置され、
    前記外側部材は前記内側部材に比べて車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度を強くされ、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体前後方向の長さを衝突対象物の同方向における大きさよりも長く設定されている
    車体の衝撃吸収構造。
  2. 請求項1において、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、
    前記外側部材は、前記内側部材に比べて前記変形部の数を多くされ、複数の前記変形部は、車体幅方向で互いに並列配置されている
    車体の衝撃吸収構造。
  3. 請求項1において、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、
    前記変形部は、板面が車体幅方向に拡がる板部材により構成され、
    前記外側部材は、前記内側部材に比べて前記板部材の車体幅方向寸法が小さくされている
    車体の衝撃吸収構造。
  4. 請求項1において、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、
    前記外側部材の前記変形部は、車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度を強くする補強構造を備える
    車体の衝撃吸収構造。
  5. 請求項1において、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、
    前記内側部材の前記変形部は、車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度を弱くする弱体化構造を備える
    車体の衝撃吸収構造。
  6. 請求項1において、
    前記外側部材及び前記内側部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重により変形して衝突エネルギを吸収する変形部をそれぞれ含んで構成され、
    前記外側部材は、前記内側部材に対して相対的に、前記変形部が車体幅方向の衝突荷重に対する変形強度の強い素材で構成されている
    車体の衝撃吸収構造。
  7. 請求項1において、
    前記外側部材と前記内側部材との間には、車体幅方向に挟まれて中間部材を備え、
    前記外側部材、前記中間部材及び前記内側部材は、車体幅方向の衝突荷重を隣接する部材同士で相互に伝達可能に配置され、
    前記外側部材、前記内側部材及び前記中間部材は、車体幅方向外側からの衝突荷重に対する変形強度の関係を、前記外側部材は前記中間部材より強く、前記中間部材は前記内側部材より強くされている
    車体の衝撃吸収構造。
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