JP2024038910A - 自動車の車体下部構造 - Google Patents
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Abstract
Description
また、特許文献2、3には、サイドシル内部を縦通する仕切部材を備え、この仕切部材によりサイドシル内の閉断面空間が車両幅方向で2つの閉断面空間に仕切られた構造において、サイドシル内の閉断面空間に車両幅方向に沿った複数のバルクヘッドを配設し、このバルクヘッドと仕切部材との組合せにより、側面衝突時のサイドシルの断面崩れを防止する技術が開示されている。これらの技術において、仕切部材は、側面衝突時にサイドシルが上下方向に開いて断面崩壊するのを防止するために設けられている。特許文献2では、バルクヘッドは、サイドシル内の閉断面空間において仕切部材を挟んだ一方の空間のみに配設される。一方、特許文献3では、バルクヘッドは、サイドシル内の閉断面空間において仕切部材を挟んだ両側に配設される。
また、特許文献5には、サイドシル内の閉断面空間に、車両幅方向に沿う稜線部を互いに間隔を空けて複数保有し、車体の前後方向に沿って上下する波形状を有する衝撃吸収部材を配置することで、衝撃吸収能力を保持しつつ局部的な変形を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献7には、天板と2つの縦壁と2つのフランジを有するハット部材と、クロージングプレートとを備えたサイドシルにおいて、ハット部材の縦壁に、ハット部材長手方向に対して垂直な方向に延びる複数の溝部を設けることにより、自動車の側面衝突時においてサイドシルの変形に要する荷重を大きくし、高いエネルギー吸収効率が得られるようにした技術が開示されている。
また、特許文献2、3のように、仕切部材を有するサイドシルにおいて、サイドシル内の閉断面空間にバルクヘッドを配設した場合も十分な衝突エネルギー吸収特性が得られない。ここで、特許文献2に開示された技術は、バルクヘッドが仕切部材を挟んだ一方の閉断面空間のみに配設されるため、その一方の閉断面空間の断面形状を維持する機能しか持たず、十分な衝突エネルギー吸収特性が得られない。また、特許文献3に開示された技術のように、仕切部材を挟んだ両方の空間にバルクヘッドが配設される場合も、得られる衝突エネルギー吸収特性は十分なものではない。
また、特許文献4のように、仕切部材を有するサイドシルにおいて、単に仕切部材の両側(仕切部材の内側及び外側)にハット断面形状の衝撃吸収部材を配置しただけでは、十分な衝突エネルギー吸収特性が得られない。
また、特許文献5に開示された技術は、側面衝突時の衝撃荷重を、車両幅方向に垂直な断面に分散して一様に伝達できるので、高い衝突エネルギー吸収特性が得られるが、車両前後方向に一定な断面を持つサイドシル内補強材では、補強する必要のない部位にも補強部材が存在するため重量が過剰になる可能性がある。
また、特許文献7に開示された技術では、ハット部材の縦壁に複数の溝部を設けたことにより、車両幅方向の車外側から衝突荷重が入力すると前記縦壁が蛇腹状に変形しやすくなり、その結果、サイドシルの車両幅方向の内側への変形量が大きくなる。このため、バッテリーモジュールに大きな荷重が入力することにより、バッテリーモジュールを変形させてしまい、バッテリーを守ることができない場合がある。そのため、両サイドシル間のフロアパネルの下方にバッテリーモジュールを備えた自動車(特に電気自動車)の側面衝突時において、サイドシルの変形によってバッテリーケースに入力する荷重を低減することが求められていた。
また、衝撃吸収構造体の下部について、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方を他方よりも下方に延在させること、若しくは、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方にサイドシル内面と相対して凹陥部を形成することにより、サイドシルの変形によってバッテリーモジュールに入力する荷重を低減できることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
サイドシル(1)は、サイドシル(1)内の閉断面空間(3)を縦通する仕切部材(2)を備え、該仕切部材(2)により閉断面空間(3)が車両幅方向で2つの閉断面空間(3a),(3b)に仕切られた構造を有し、
さらに、サイドシル(1)は、
閉断面空間(3a),(3b)内において、仕切部材(2)を両側から挟んだ状態で仕切部材(2)に接合され、仕切部材(2)との間でそれぞれ閉断面空間(5a),(5b)を形成する1対の断面溝形部材(4a),(4b)と、
各閉断面空間(5a),(5b)内に車両幅方向に沿って設けられることで閉断面空間(5a),(5b)を仕切る部材であって、閉断面空間(5a),(5b)内の車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられるバルクヘッド(6)とで構成される衝撃吸収構造体(A)を有し、
該衝撃吸収構造体(A)において、閉断面空間(5a)内のバルクヘッド(6)と閉断面空間(5b)内のバルクヘッド(6)は、仕切部材(2)を挟んで車両幅方向で対向して設けられるとともに、各バルクヘッド(6)は少なくとも断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)に接合されており、
衝撃吸収構造体(A)の上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材(2)を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ(8)の水平延長上に位置することを特徴とする自動車の車体側部構造。
車両前後方向において、フロアクロスメンバの幅内となる領域の2箇所以上にバルクヘッド(6x)が設けられるとともに、フロアクロスメンバの幅外となる領域の1箇所以上にバルクヘッド(6y)が設けられ、
隣り合う2つのバルクヘッド(6x)の間隔をw1、バルクヘッド(6x)とこれと隣り合うバルクヘッド(6y)との間隔をw2とした場合、w1<w2とすることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[3]上記[2]の車体下部構造において、少なくとも一部のバルクヘッド(6y)が、隣接して設けられる2つ以上のバルクヘッドで構成されるバルクヘッドセットからなることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの車体下部構造において、衝撃吸収構造体(A)の下部は、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちの一方が他方よりも下方向に延在しており、
衝撃吸収構造体(A)の下部のうち、少なくとも、前記下方向に延在した部分(e)は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置していることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[6]上記[1]~[4]のいずれかの車体下部構造において、衝撃吸収構造体(A)の下部は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置しており、
衝撃吸収構造体(A)の高さ方向における下部領域または下部を含む領域であって、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちのいずれか一方に、サイドシル(1)の内面と相対して凹陥部(c)が形成されていることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの車体下部構造において、衝撃吸収構造体(A)を構成する金属板は、降伏強度がフロアクロスメンバを構成する金属板の降伏強度以下であり、引張強度が500MPa級以上であること特徴とする自動車の車体下部構造。
また、本発明の自動車の車体下部構造において、衝撃吸収構造体Aの下部について、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方を他方よりも下方に延在させること、若しくは、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方にサイドシル1の内面と相対して凹陥部cを形成することにより、サイドシルの変形によってバッテリーモジュールに入力する荷重を低減できる。このため、衝突によるバッテリーモジュールの変形をより適切に防止することができる。
図1~図5は、本発明の車体下部構造の一実施形態を模式的に示すものである。これらのうち、図1は、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図、図2は、同じく車体下部構造の平面図である。また、図3~図5はサイドシルを含むサイドシル構造のみを部分的に示すものであり、図3はサイドシル構造の車両幅方向での縦断面図、図4は図3中のIV-IV線に沿う断面図、図5はサイドシルの部品展開図である。また、図6は、車体下部構造において、両サイドシル間に配置されるフロアパネル、フロアクロスメンバ、バッテリーケースを展開して示す説明図である。
この車体下部構造は、車体下部両側に車両長手方向に沿って配置されるサイドシル1と、両サイドシル1間に配置され、両側部が両サイドシル1の上部に固定される(直接またはフロアパネルなどを介して固定される)フロアクロスメンバ8と、このフロアクロスメンバ8の下方に配置され、両側部が両サイドシル1の下部と相対するバッテリーケース9などを備えている。
サイドシル1は、断面溝形形状のサイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bが間に仕切部材2を挟んだ状態で接合されることで構成されている。したがって、このサイドシル構造は、サイドシル1内の閉断面空間3を仕切部材2が縦通し、この仕切部材2により閉断面空間3が車両幅方向で2つの閉断面空間3a,3bに仕切られた構造となっている。
サイドシル1を構成するサイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bは、金属板を成形して構成されたものであり、それぞれ、縦方向面部100とその上下端に連成された横方向面部101A,101Bからなる断面溝形形状の本体部と、その両端(横方向面部101A,101Bの端部)に連成されたフランジ部102を備えている。なお、縦方向面部100は垂直状でなくてもよく、適当な傾斜や曲面を有していてもよい。また、横方向面部101A,101Bは水平状でなくてもよく、適当な傾斜や曲面を有していてもよい。
仕切部材2も金属板で構成され、完全な平板ではなく、平板を曲げ成形したものを用いてもよい。
仕切部材2は、その上下端部がサイドシル本体の上下端(サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bのフランジ部102)に接合されているため、側面衝突時にサイドシル1の断面が上下に開いて崩壊するのを抑制(断面崩壊の抑制)する高い耐力が得られ、衝突特性を高めるのに寄与する。
以上のようなサイドシル構造において、本発明では、サイドシル1内の閉断面空間3を縦通する仕切部材2を利用し、その閉断面空間3内に特定の構造の衝撃吸収構造体Aを設けること、すなわち、「仕切部材2を両側から挟んで接合される1対の断面溝形部材4a,4bと、これら断面溝形部材4a,4bと仕切部材2との間で形成される2つの閉断面空間内5a,5bに所定の条件で設けられる複数のバルクヘッド6とで構成され、それらが構造上一体化された衝撃吸収構造体A」を設けることが特徴である。これにより、少ない衝突変形量で高い衝突エネルギー吸収特性が得られるサイドシル構造とすることができる。また、衝撃吸収構造体Aは、必要最小限の構成部材(特に最小限のバルクヘッド設置数)で高い曲げ剛性が得られるため、構成部材による車体の重量増加も抑えることができる。
この衝撃吸収構造体Aは、車両前後方向においてサイドシルの少なくともバッテリーケースサイドメンバ90に沿った部分に設けられる。
衝撃吸収構造体Aの上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向に並んでいる。
断面溝形部材4a,4bは、閉断面空間3a,3b内において車両前後方向(サイドシル長手方向)に沿って配置され、仕切部材2を両側から挟んだ状態で、それぞれのフランジ部42を介して仕切部材2に接合(通常、スポット溶接による接合)され、仕切部材2との間でそれぞれ閉断面空間5a,5bを形成する。
バルクヘッド6は、側面衝突時に仕切部材2と協働して断面溝形部材4a,4bの断面崩壊を抑えるとともに、バルクヘッド6自体が座屈して曲げ圧壊して、衝突エネルギーを吸収する。
閉断面空間5a内のバルクヘッド6と閉断面空間5b内のバルクヘッド6は、仕切部材2を挟んで車両幅方向で対向して(すなわち、車両前後方向で同じ位置に)設けられる。これにより、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分とインナ側部分の断面形状を維持する機能が適切に発揮でき、高い衝突エネルギー吸収特性を得ることができる。
バルクヘッド6は、閉断面空間5a,5b内の車両前後方向で等間隔に設けてもよいし、例えば、図4に示すように広い間隔と狭い間隔が交互になるよう設けてもよい。本発明では、後述するように、バルクヘッド6を車両前後方向の特定の領域ごとに異なる間隔で設ける。
また、衝撃吸収構造体Aおよび仕切部材2に用いる素材に、高張力鋼板を用いると、サイドシル1の内部に配置される衝撃吸収構造体Aおよび仕切部材2は、サイドシルのリンフォースとしても機能する。したがって、衝撃吸収構造体Aおよび仕切部材2に用いる金属板は、1180MPa級以上の高張力鋼板とするのが特に好ましい。
本発明の車体下部構造において、サイドシルが備える衝撃吸収構造体Aは、仕切部材2を両側から挟んで接合された断面溝形部材4a,4bと、この断面溝形部材4a,4b内部の閉断面空間5a,5bに設けられるバルクヘッド6とが、仕切部材2とともに一体化した構造を有する。換言すると、仕切部材2を介して設けられる断面溝形部材4a,4bがバルクヘッド6を内包し、これらが一体化した構造を有する。このような構造により、衝撃吸収構造体A全体が高い曲げ剛性(側面衝突荷重に対する曲げ変形抵抗)を有し、このため側面衝突荷重の入力箇所周辺での局所的な変形が抑制され、側面衝突時に衝撃吸収構造体A全体を変形させることにより、衝突エネルギー吸収(EA)を高めることができる。
また、衝撃吸収構造体Aの上部は、車両幅方向において、サイドシルインナ1bを介在させてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している(すなわち、フロアクロスメンバ8と車両幅方向に並んでいる)ので、サイドシルアウタ1aに入力された側面衝突荷重は、衝撃吸収構造体Aの上部およびサイドシルインナ1bを経由して、フロアクロスメンバ8に伝達される。衝撃吸収構造体Aはフロアクロスメンバ8からの反力を受け、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分から潰れて圧縮変形することにより、効率よく衝突エネルギーを吸収することができる。
本発明の車体下部構造のサイドシルにおいて、断面溝形部材4a,4b(縦方向面部40)は、図1に示すようにサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)との間で適当な間隔(スペース)を有していてもよいし、主に振動を防止するためにサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)の内側面に当接または接合されてもよい。したがって、具体的な態様としては、断面溝形部材4a,4b(縦方向面部40)とサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)とが、(i)直に接合または当接している、(ii)他の部材(例えば、振動を減衰させる防振部材)を介して接合または当接している、(iii)接合または当接することなく、所定の間隙を空けて対向している、などが挙げられる。また、衝突初期からフロアクロスメンバに側面衝突荷重が伝達されるようにすることで衝撃吸収性能が向上するので、構造上、衝撃吸収構造体A(EA部材)の幅がサイドシル全幅に近いほど衝撃吸収性能は高くなる。したがって、この点からは上記(i)または(ii)の構造が好ましい。
なお、断面溝形部材4aと断面溝形部材4bの各横方向面部41A,41Bとサイドシル1(サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bの各横方向面部101A,101B)の間隔(スペース)は、縦方向面部40とフロアクロスメンバ8およびバッテリーケース9との高さ方向の重なり代を調整し、フロアクロスメンバ8とバッテリーケース9に入力する荷重が適当なバランスとなるように、調整すればよい。
これらの配置形態では、車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられるバルクヘッド6が、車両前後方向におけるフロアクロスメンバ8の幅wa内となる領域に設けられるバルクヘッド6xと、それ以外の領域(フロアクロスメンバ8の幅外となる領域)に設けられるバルクヘッド6yからなる。そして、車両前後方向において、フロアクロスメンバ8の幅wa内となる領域の2箇所以上(図9の実施形態では2箇所)にバルクヘッド6xが設けられるとともに、フロアクロスメンバ8の幅外となる領域の1箇所以上にバルクヘッド6yが設けられている。さらに、隣り合う2つのバルクヘッド6xどうしの間隔をw1、バルクヘッド6xとこれと隣り合うバルクヘッド6yとの間隔をw2とした場合、w1<w2としている。以上のようなバルクヘッド6の配置形態とするのは、フロアクロスメンバ8の幅wa内となる領域では、2箇所以上にバルクヘッド6xを設けてバルクヘッド6xどうしの間隔を小さくすることにより衝突特性を高めるとともに、それ以外の領域のバルクヘッド6yとバルクヘッド6xとの間隔を大きくすることにより、バルクヘッド6の設置数を抑え、重量軽減を図るためである。なお、フロアクロスメンバ8の幅外となる領域の2箇所以上にバルクヘッド6yを設ける場合、隣り合う2つのバルクヘッド6yどうしの間隔w3についてもw1<w3とすることが好ましい。
フロアクロスメンバ8の幅wa内の複数箇所にバルクヘッド6xを配置する場合、隣り合う2つのバルクヘッド6xどうしの間隔w1が過度に小さいと、フロアクロスメンバ8の幅wa内での衝突特性を高める効果が低下したり、バルクヘッド6xの設置数がいたずらに増加したりすることにつながるので好ましくない。このためバルクヘッド6xは、間隔w1とフロアクロスメンバ4の幅waとの比w1/waが0.4以上1.0以下となるように配置することが好ましい。
図9(ア)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の1箇所にバルクヘッド6yを設けた例であり、バルクヘッド6x,6yがw1<w2を満足する条件で設けられている。
また、図9(イ),(ウ)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の2~3箇所にバルクヘッド6yを設けた例であり、バルクヘッド6x,6yがw1<w2、w1<w3を満足する条件で設けられている。
また、図11(イ),(ウ)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の2~3箇所にバルクヘッド6y(2枚のバルクヘッドを1セットとするバルクヘッドセット)を設けた例であり、バルクヘッド6x,6yがw1<w2、w1<w3を満足する条件で設けられている。
図12は、その場合の実施形態を模式的に示すものであり、サイドシルの車両幅方向での縦断面図である。図12(ア)は、座屈耐力を高くするためにバルクヘッド6の本体部(隔壁部)に車両幅方向に沿ったビード60を設けたものである。一方、図12(イ)は、逆に座屈耐力を低くするために、バルクヘッド6の本体部(隔壁部)に上下方向に沿ったビード60(クラッシュビード)を設けたものである。この図12(イ)のようなビード60を設ける理由は、先に説明した通りである。
図13は、そのような構造を有する本発明の車体下部構造の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図である。
衝撃吸収構造体Aの上部は、アウタ側部分とインナ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の厚さ(高さ)方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向で並んでいる。一方、衝撃吸収構造体Aの下部は、アウタ側部分がインナ側部分よりも下方向に延在し、この下方向に延在した部分eは、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、下方向に延在した部分eは、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してバッテリーケース9と車両幅方向で並んでいる。そして、仕切部材2を挟んで部分eと相対するインナ側部分には、衝撃吸収構造体Aが占めない空間部s(閉断面空間3b内の空間部)が形成されている。
図13(a)の実施形態と同様、衝撃吸収構造体Aの上部は、アウタ側部分とインナ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の厚さ(高さ)方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向で並んでいる。一方、衝撃吸収構造体Aの下部は、インナ側部分がアウタ側部分よりも下方向に延在し、この下方向に延在した部分eは、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、下方向に延在した部分eは、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してバッテリーケース9と車両幅方向で並んでいる。そして、仕切部材2を挟んで部分eと相対するアウタ側部分には、衝撃吸収構造体Aが占めない空間部s(閉断面空間3a内の空間部)が形成されている。
凹陥部cは、衝撃吸収構造体Aの高さ方向における下部領域だけでなく、それよりも上の領域を含むように形成する(すなわち、衝撃吸収構造体Aの高さ方向で下部を含む領域に形成する)ことができる。
図15の実施形態は、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の下部領域に、サイドシル1(サイドシルインナ1b)の内面と相対して凹陥部cを形成したものである。この凹陥部cは、閉断面空間3b内において衝撃吸収構造体Aとサイドシル1(サイドシルインナ1b)間に車両幅方向で空間(凹陥部cによる空間)が確保されるように、サイドシルインナ1b(縦方向面部100および横方向面部101B)に面した衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(断面溝形部材4b)の下部領域を段状に凹陥させることで形成されている。すなわち、この凹陥部cは、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の下部領域において、サイドシルインナ1bの縦方向面部100および横方向面部101Bに面して形成されている。この凹陥部cを含む衝撃吸収構造体Aの下部領域は、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、凹陥部cを含む衝撃吸収構造体Aの下部領域は、バッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)と車両幅方向で並んでいる。
図13の実施形態と同様、衝撃吸収構造体Aの上部は、アウタ側部分とインナ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の厚さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向で並んでいる。
インナ側部分のバルクヘッド6は、凹陥部cが形成されたインナ側部分(断面溝形部材4b)の断面形状に合わせた形状に構成されている。
ここで、図16に示すように、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4a)やインナ側部分(断面溝形部材4b)の高さが車両幅方向での位置によって異なる場合には、最も高さが大きい位置での高さを高さHとする。また、アウタ側部分(断面溝形部材4a)やインナ側部分(断面溝形部材4b)の幅が車両高さ方向での位置によって異なる場合には、最も幅が大きい位置での幅を幅Wとする。また、凹陥部cの高さが車両幅方向での位置によって異なる場合には、最も高さが大きい位置での高さを凹陥部cの高さhとする。また、凹陥部cの幅が車両高さ方向での位置によって異なる場合には、最も幅が大きい位置での幅を凹陥部cの幅wとする。
図17に基づいて、本発明の車体下部構造におけるサイドシルの側面衝突時の衝突変形形態について説明する。図17は、本発明の車体下部構造におけるサイドシル(図1の構造)の水平断面において、側面ポール衝突時の変形の様子を段階的に示したものであり、tは衝突開始からの時間(秒数)を示している。
まず、サイドシル1自体の断面変形の形態を説明すると、最初に、サイドシルアウタ1aの上下の横方向面部101A,101B(エネルギー吸収部)が外側に広がるように曲げ圧壊して潰れて衝突エネルギーを吸収する(0.002sec~)。このサイドシルアウタ1aが圧壊する過程において、仕切部材2によってサイドシル1の断面が上下に開いて崩壊(断面崩壊)するのが抑えられるので、以降0.006~0.014secまで、サイドシルアウタ1aの横方向面部101A,101B(エネルギー吸収部)は曲げ変形を継続して、完全につぶれるまで衝突エネルギーを吸収し続ける。
このようなサイドシル1自体の断面変形に伴い、衝撃吸収構造体Aが以下のように断面変形する。潰れたサイドシルアウタ1aと断面溝形部材4aの縦方向面部40とが接触して、衝突吸収構造体Aに衝突荷重が伝達され、そのアウタ側部分(断面溝形部材4aとバルクヘッド6)が蛇腹状に変形する圧壊(軸圧壊)が開始される(0.002sec~)。この衝突吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4aとバルクヘッド6)の圧壊に伴い、仕切部材2を介して連続する衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(断面溝形部材4bとバルクヘッド6)は、サイドシルインナ1bを介してバッテリーケース9側に押し付けられ(0.004~0.006sec)、衝突吸収構造体Aのインナ側部分(断面溝形部材4bとバルクヘッド6)も圧壊を開始する(0.008~0.018sec)。
衝突体:R127mm(直径254mm相当)の剛体ポール
衝突速度:30.9km/h
衝突エネルギー:32kJ
この試験では、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4aとバルクヘッド6)が主に変形することで、衝突体侵入量が100mm以内で衝突エネルギー32kJを吸収可能であることが示されている。
したがって、本発明の車体下部構造におけるサイドシルでは、図1に示すように両サイドシル1間のフロアパネル7の下方にバッテリーモジュールを備えた自動車(特に電気自動車)において、衝撃吸収構造体Aが側面衝突時に車両幅方向から入力された荷重によって圧壊してエネルギー吸収しつつ、フロアクロスメンバ8やバッテリーケース9に荷重を伝達することで、バッテリーパック10に荷重が伝達しないようにし、衝突の衝撃から保護することができる。
本発明の車体下部構造のサイドシルのうち、図1に示すような基本的な構造の実施形態を「実施形態1」、図13(a)に示す構造を有する実施形態を「実施形態2」とし、「実施形態2」の機能・作用効果を「実施形態1」と比較検討した結果を以下に示す。いずれも、試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。なお、以下に示す結果は、図13(b)に示す構造を有する実施形態を「実施形態2」とした場合も同様であり、説明中の「インナ側」と「アウタ側」を逆にして理解すればよい。
・吸収エネルギーについて
図20は、実施形態2と実施形態1のサイドシルについて、側面衝突時の変形形態とひずみ分布を比較して示したものであり、図20(a)は実施形態2を、図20(b)は実施形態1をそれぞれ示している。図20(a)の実施形態2と図20(b)の実施形態1を比較すると、バルクヘッド6の座屈が生じている領域およびひずみが0.09以上(濃い色の領域)の領域の面積は同等レベルとなっている。
実施形態2のサイドシルに対する側面ポール衝突時において、図22に示すようにバッテリーケース9側およびフロアクロスメンバ8側に衝突荷重が入力する際に、衝突過程においてバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力と、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力を求めた。また、実施形態1についても、同様の接触反力を求めた。図23(a)にバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力を、図23(b)にフロアクロスメンバ8に生じる接触反力をそれぞれ示す。
図23(a)に示す通り、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力は、実施形態2は実施形態1よりも立ち上がりが遅く、また、実施形態2は実施形態1よりも21%低くなっている(実施形態2:155kN、実施形態1:195kN)。一方、図23(b)に示す通り、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力は、実施形態2は実施形態1よりも立ち上がりが早く、また、実施形態2は実施形態1よりも15%高くなっている(実施形態2:261kN、実施形態1:227kN)。この図23の結果は、実施形態2において、バッテリーケースへの入力荷重の軽減効果が得られることを示している。
本発明の車体下部構造のサイドシルのうち、図1に示すような基本的な構造の実施形態を「実施形態1」、図15に示す構造を有する実施形態を「実施形態3」とし、「実施形態3」の機能・作用効果を「実施形態1」と比較検討した結果を以下に示す。いずれも、試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。なお、以下に示す結果は、アウタ側部分に凹陥部cを形成した実施形態を「実施形態3」とした場合も同様であり、説明中の「インナ側」と「アウタ側」を逆にして理解すればよい。
・吸収エネルギーについて
図24は、実施形態3と実施形態1(図20(b)と同じ実施形態)のサイドシルについて、側面衝突時の変形形態とひずみ分布を比較して示したものであり、図24(a)は実施形態3を、図24(b)は実施形態1をそれぞれ示している。図24(a)の実施形態3と図24(b)の実施形態1を比較すると、バルクヘッド6の座屈の生じている領域およびひずみが0.09以上(濃い色の領域)の領域の面積は同等レベルとなっている。
実施形態3のサイドシルに対する側面ポール衝突時において、図26に示すようにバッテリーケース9側およびフロアクロスメンバ8側に衝突荷重が入力する際に、衝突過程においてバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力と、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力を求めた。また、実施形態1についても、同様の接触反力を求めた。図27(a)にバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力を、図27(b)にフロアクロスメンバ8に生じる接触反力をそれぞれ示す。
図27(a)に示す通り、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力は、実施形態3は実施形態1よりも立ち上がりが遅い上に、実施形態3は実施形態1よりも66%も低くなっている(実施形態3:67kN、実施形態1:195kN)。一方、図27(b)に示す通り、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力は、実施形態3は実施形態1よりも16%高くなっている(実施形態3:264kN、実施形態1:227kN)ものの、衝突体侵入量約80mmまではほぼ同程度である。この図27の結果は、実施形態3において、バッテリーケースへの入力荷重の軽減効果が得られることを示している。
[実施例1]
図28(a)~(e)に、発明例および比較例の試験体と試験条件を示す。図28(a)~(e)の各図において、左側の図はサイドシルの車両幅方向での断面図であり、右側の図はサイドシルの水平断面図であって、サイドシルに対する衝突体(ポール)の衝突位置とフロアクロスメンバの位置を示している。
この衝突試験では、車両側部構造のうちサイドシルおよび衝撃吸収部材(発明例では衝撃吸収構造体A)を試験体とし、衝突エネルギー吸収特性の評価を行った。また、サイドシルに隣接するフロアクロスメンバやバッテリーケースサイドメンバを試験体固定用の剛体治具とし、治具への伝達荷重を接触反力により評価した。
図28(c)に示す比較例1の試験体は、発明例2の衝撃吸収構造体Aの構造からバルクヘッド6を取り除いたものである。
図28(d)に示す比較例2の試験体は、サイドシルの内部にバルクヘッドのみを設けたものであり、フロアクロスメンバ模擬部の幅内となる領域の2箇所にバルクヘッドを設けたものである。
図28(e)に示す比較例3の試験体は、サイドシルの内部に仕切部材や衝撃吸収部材を配置せず、サイドシルのみの試験体としたものである。
衝突体のストロークは最大100mmであるところ、図29(a)に示す発明例1は、衝突体の最大侵入量100mmに到達する前(96mm)に衝突体が停止し、この発明例1のサイドシル構造による吸収エネルギーは32.0kJであった。
これに対して図29(b)~(e)に示す発明例2、比較例1~比較例3は、いずれも吸収エネルギー32.0kJ(発明例1の吸収エネルギー)に到達する前に、衝突体の最大ストローク100mmに到達した。
発明例1の吸収エネルギーは、サイドシルのみの比較例3の6.7倍であり、また、バルクヘッドのない比較例1の3.0倍、バルクヘッドのみの比較例2の3.4倍であり、比較例1と比較例2の合計20.1kJに対しても、その約1.6倍となった。
また、発明例2は、発明例1よりも車両前後方向のバルクヘッドの設置数が少ないので、発明例1よりも吸収エネルギーは低下(▼19%)するものの、比較例3の6.0倍であり、また、比較例1の2.4倍、比較例2の2.7倍であり、比較例1と比較例2の合計の約1.3倍となった。
さらに、発明例1と発明例2の結果から、車両前後方向において、フロアクロスメンバの幅内の領域だけでなく、そのほかの領域にも複数のバルクヘッドを配置することにより、衝突特性がさらに向上することが確認できた。
本発明の車体下部構造のサイドシルのうち、図1に示すような基本的な構造の実施形態を「実施形態1」、図13(a)に示す構造を有する実施形態を「実施形態2」、図15に示す構造を有する実施形態を「実施形態3」とし、これらについて以下の衝突試験を行った。いずれも、試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。
試験体としては、上述した[実施例1]の試験体の衝撃吸収構造体Aの車両幅方向での縦断面の形状を、図31(a)~(k)(発明例3~発明例13)に示す形状に変更したものを用いた。試験条件は[実施例1]と同一とし、衝突試験体の衝突体侵入量(ストローク)0-100mmでの衝突吸収エネルギー(図32)とバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力(図33)を評価した。
図31(a)~(c)に示す、実施形態1に関する発明例3~5の試験体は、[実施例1]における発明例1の試験体の仕切部材2が垂直であるのに対して、仕切部材2を車両高さ方向で傾斜させたものである。また、発明例4および発明例5の試験体は、発明例3の試験体に対して衝撃吸収構造体Aの高さを小さくしたものであり、それぞれ発明例3の高さの75%(発明例4、図31(b))、50%(発明例5、図31(c))としたものである。
図33に、発明例3~13においてバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力の大きさを示す。なお、比較のため、[実施例1]の発明例1、比較例1~3の接触反力も併せて示す。図33の結果から、発明例3~13のいずれも、比較例1~3よりもバッテリーケース9に生じる接触反力を大幅に軽減できることを確認できた。また、実施形態1(発明例1、3~5)の平均は181kN、実施形態2(発明例6~8)の平均は131kN、実施形態3(発明例9~13)の平均は69kNであり、バッテリーケース9に生じる接触反力を、実施形態2は実施形態1よりも約30%軽減でき、実施形態3は実施形態2よりもさらに39%以上軽減できることが確認できた。
1a サイドシルアウタ
1b サイドシルインナ
2 仕切部材
3,3a,3b 閉断面空間
4a,4b 断面溝形部材
5a,5b 閉断面空間
6,6x,6y バルクヘッド
7 フロアパネル
8 フロアクロスメンバ
9 バッテリーケース
10 バッテリーパック
11 固定用ボルト
12 接合部
13 接着剤
40 縦方向面部
41A,41B 横方向面部
42 フランジ部
60 ビード
61 フランジ部
70 フランジ部
90 バッテリーケースサイドメンバ
91 バッテリーケース底板
92 取付用フランジ
100 縦方向面部
101A,101B 横方向面部
102 フランジ部
A 衝撃吸収構造体
e 下方向に延在した部分
c 凹陥部
s 空間部
f,g コーナーR部
Claims (9)
- 車体下部両側に車両長手方向に沿って配置されるサイドシル(1)と、該両サイドシル(1)間に配置され、両側部が両サイドシル(1)の上部に固定されるフロアクロスメンバ(8)と、該フロアクロスメンバ(8)の下方に配置され、両側部が両サイドシル(1)の下部と相対するバッテリーケース(9)を備えた車体下部構造であって、
サイドシル(1)は、サイドシル(1)内の閉断面空間(3)を縦通する仕切部材(2)を備え、該仕切部材(2)により閉断面空間(3)が車両幅方向で2つの閉断面空間(3a),(3b)に仕切られた構造を有し、
さらに、サイドシル(1)は、
閉断面空間(3a),(3b)内において、仕切部材(2)を両側から挟んだ状態で仕切部材(2)に接合され、仕切部材(2)との間でそれぞれ閉断面空間(5a),(5b)を形成する1対の断面溝形部材(4a),(4b)と、
各閉断面空間(5a),(5b)内に車両幅方向に沿って設けられることで閉断面空間(5a),(5b)を仕切る部材であって、閉断面空間(5a),(5b)内の車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられるバルクヘッド(6)とで構成される衝撃吸収構造体(A)を有し、
該衝撃吸収構造体(A)において、閉断面空間(5a)内のバルクヘッド(6)と閉断面空間(5b)内のバルクヘッド(6)は、仕切部材(2)を挟んで車両幅方向で対向して設けられるとともに、各バルクヘッド(6)は少なくとも断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)に接合されており、
衝撃吸収構造体(A)の上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材(2)を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ(8)の水平延長上に位置することを特徴とする自動車の車体側部構造。 - バルクヘッド(6)は、車両前後方向におけるフロアクロスメンバの幅内となる領域に設けられるバルクヘッド(6x)と、フロアクロスメンバの幅外となる領域に設けられるバルクヘッド(6y)とからなり、
車両前後方向において、フロアクロスメンバの幅内となる領域の2箇所以上にバルクヘッド(6x)が設けられるとともに、フロアクロスメンバの幅外となる領域の1箇所以上にバルクヘッド(6y)が設けられ、
隣り合う2つのバルクヘッド(6x)の間隔をw1、バルクヘッド(6x)とこれと隣り合うバルクヘッド(6y)との間隔をw2とした場合、w1<w2とすることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。 - 少なくとも一部のバルクヘッド(6y)が、隣接して設けられる2つ以上のバルクヘッドで構成されるバルクヘッドセットからなることを特徴とする請求項2に記載の自動車の車体下部構造。
- 各バルクヘッド(6)は、断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)と仕切部材(2)にそれぞれ接合されることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。
- 衝撃吸収構造体(A)の下部は、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちの一方が他方よりも下方向に延在しており、
衝撃吸収構造体(A)の下部のうち、少なくとも、前記下方向に延在した部分(e)は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。 - 衝撃吸収構造体(A)の下部は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置しており、
衝撃吸収構造体(A)の高さ方向における下部領域または下部を含む領域であって、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちのいずれか一方に、サイドシル(1)の内面と相対して凹陥部(c)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。 - 各断面溝形部材(4a),(4b)の縦方向面部(40)と、これと相対するサイドシル(1)の縦方向面部(100)とが、(i)直に接合または当接している、(ii)他の部材を介して接合または当接している、(iii)接合または当接することなく、所定の間隙を空けて対向している、のいずれかであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の自動車の車体下部構造。
- 衝撃吸収構造体(A)を構成する金属板は、降伏強度がフロアクロスメンバを構成する金属板の降伏強度以下であり、引張強度が500MPa級以上であること特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の自動車の車体下部構造。
- 衝撃吸収構造体(A)を構成する金属板は、降伏強度がフロアクロスメンバを構成する金属板の降伏強度以下であり、引張強度が500MPa級以上であること特徴とする請求項7に記載の自動車の車体下部構造。
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