JP2024038910A - 自動車の車体下部構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】構造部材による重量増加を抑えつつ、少ない衝突変形量で高い衝突エネルギー吸収特性が得られる車体下部構造を提供する。【解決手段】サイドシル1を含む特定の構成部材を備える車体下部構造であって、サイドシル1は、仕切部材2により閉断面空間3が車両幅方向で2つの閉断面空間3a,3bに仕切られた構造を有し、さらにサイドシルは、閉断面空間3a,3b内で、仕切部材2を両側から挟んだ状態で仕切部材2に接合され、仕切部材2との間でそれぞれ閉断面空間5a,5bを形成する1対の断面溝形部材4a,4bと、各閉断面空間5a,5b内に車両幅方向に沿って設けられることで閉断面空間5a,5bを仕切るバルクヘッド6とで構成される衝撃吸収構造体Aを有する。閉断面空間5a,5b内のバルクヘッド6は、所定の配置条件で設けられ、各バルクヘッド6は少なくとも断面溝形部材4a,4bに接合される。【選択図】図1

Description

本発明は、自動車の車体側部のサイドシルを含む車体下部構造であって、特に両サイドシル間のフロアパネルの下方にバッテリーモジュールを備えた自動車に好適な車体下部構造に関するものである。
一般的にバッテリー式電気自動車(BEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)等の大容量バッテリーを積載した自動車(以下、これらを総称して「電気自動車」という。)は、フロアパネル下方にバッテリーモジュールが搭載されている。バッテリーモジュールは、バッテリーセル(バッテリーパック)とこれを格納するためのバッテリーケースで構成されている。一般的にバッテリーケースはバッテリーセルを衝撃荷重から保護する役割を持っており、高剛性・高耐力の部材が使用されている。バッテリーケースの周囲には、部材自身が変形することでエネルギーを吸収する役割をもつ部材が配置される。特に側面衝突の場合には、車体側方からの衝撃荷重をサイドシルがエネルギー吸収し、残りの荷重をフロアクロスメンバまたはバッテリーケースサイドメンバで支える。この時、サイドシルのエネルギー吸収に必要な変形量が少なければエネルギー吸収部を縮小でき、代わりにバッテリーモジュールの体積を拡大できるため航続距離の増加につながる。以上のことから、エネルギー吸収性能に優れ、軽量なサイドシル構造およびこれを含む車体下部構造が求められている。
サイドシルの剛性を高め、側面衝突時のエネルギー吸収性能を高める技術として、特許文献1には、自動車の車両側面を形成する閉断面構造のサイドシルの内部(閉断面空間)に車両幅方向に沿ったバルクヘッドを設け、サイドシルの側面衝突時のサイドシルの断面崩れを防止する技術が開示されている。バルクヘッドの外周にはフランジが形成され、サイドシル内のリィンフォースメントに溶接固定されている。
また、特許文献2、3には、サイドシル内部を縦通する仕切部材を備え、この仕切部材によりサイドシル内の閉断面空間が車両幅方向で2つの閉断面空間に仕切られた構造において、サイドシル内の閉断面空間に車両幅方向に沿った複数のバルクヘッドを配設し、このバルクヘッドと仕切部材との組合せにより、側面衝突時のサイドシルの断面崩れを防止する技術が開示されている。これらの技術において、仕切部材は、側面衝突時にサイドシルが上下方向に開いて断面崩壊するのを防止するために設けられている。特許文献2では、バルクヘッドは、サイドシル内の閉断面空間において仕切部材を挟んだ一方の空間のみに配設される。一方、特許文献3では、バルクヘッドは、サイドシル内の閉断面空間において仕切部材を挟んだ両側に配設される。
さらに、特許文献4には、サイドシル内部を縦通する仕切部材を備え、この仕切部材によりサイドシル内の閉断面空間が車両幅方向で2つの閉断面空間に仕切られた構造において、仕切部材の両側(仕切部材の内側及び外側)にハット断面形状の衝撃吸収部材を配置する技術が開示されている。
また、特許文献5には、サイドシル内の閉断面空間に、車両幅方向に沿う稜線部を互いに間隔を空けて複数保有し、車体の前後方向に沿って上下する波形状を有する衝撃吸収部材を配置することで、衝撃吸収能力を保持しつつ局部的な変形を抑制する技術が開示されている。
また、特許文献6には、車両フレーム内の空洞を補強するためのシステムとして、複数の横断リブに相互接続された複数の長手リブを含み、空洞壁内に構造補強をもたらす剛体キャリアと、スチフナに相当する挿入部材と、空洞壁とキャリアとを接合する接合材料とで構成される構造補強システム(図2)が開示されている。
また、特許文献7には、天板と2つの縦壁と2つのフランジを有するハット部材と、クロージングプレートとを備えたサイドシルにおいて、ハット部材の縦壁に、ハット部材長手方向に対して垂直な方向に延びる複数の溝部を設けることにより、自動車の側面衝突時においてサイドシルの変形に要する荷重を大きくし、高いエネルギー吸収効率が得られるようにした技術が開示されている。
特開平10-59218号公報 特開2009-202620号公報 特開2013-49378号公報 特開2017-226353号公報 特開2021-146973号公報 特表2011-530450号公報 特許6703322号公報
特許文献1に開示された技術は、バルクヘッドが車両幅方向に長いために座屈しやすい構造であるため、側面衝突時にバルクヘッドの座屈が容易に発生し、バルクヘッドの座屈が発生し始めると、サイドシルの断面崩れが発生する問題がある。このため適切な衝突エネルギー吸収性能が得られない。
また、特許文献2、3のように、仕切部材を有するサイドシルにおいて、サイドシル内の閉断面空間にバルクヘッドを配設した場合も十分な衝突エネルギー吸収特性が得られない。ここで、特許文献2に開示された技術は、バルクヘッドが仕切部材を挟んだ一方の閉断面空間のみに配設されるため、その一方の閉断面空間の断面形状を維持する機能しか持たず、十分な衝突エネルギー吸収特性が得られない。また、特許文献3に開示された技術のように、仕切部材を挟んだ両方の空間にバルクヘッドが配設される場合も、得られる衝突エネルギー吸収特性は十分なものではない。
さらに、特許文献3に開示された技術は、バルクヘッドを差し込むために、仕切部材にスリットを設ける必要があり、サイドシルの長手方向に複数のバルクヘッドを設置する場合、スリットの付与による仕切部材の強度低下を避けるため、バルクヘッドの設置間隔を長くできない。このため、バルクヘッドの設置数が増加して重量増加を招くという問題がある。
また、特許文献4のように、仕切部材を有するサイドシルにおいて、単に仕切部材の両側(仕切部材の内側及び外側)にハット断面形状の衝撃吸収部材を配置しただけでは、十分な衝突エネルギー吸収特性が得られない。
また、特許文献5に開示された技術は、側面衝突時の衝撃荷重を、車両幅方向に垂直な断面に分散して一様に伝達できるので、高い衝突エネルギー吸収特性が得られるが、車両前後方向に一定な断面を持つサイドシル内補強材では、補強する必要のない部位にも補強部材が存在するため重量が過剰になる可能性がある。
また、特許文献6に開示された技術は、横断リブおよび長手リブの厚さおよび間隔について、厚さが2~8mm、間隔が20~40mmとしており、特許文献5と同様に補強する必要のない部位にも補強部材が存在するため重量が過剰になる可能性がある。
また、特許文献7に開示された技術では、ハット部材の縦壁に複数の溝部を設けたことにより、車両幅方向の車外側から衝突荷重が入力すると前記縦壁が蛇腹状に変形しやすくなり、その結果、サイドシルの車両幅方向の内側への変形量が大きくなる。このため、バッテリーモジュールに大きな荷重が入力することにより、バッテリーモジュールを変形させてしまい、バッテリーを守ることができない場合がある。そのため、両サイドシル間のフロアパネルの下方にバッテリーモジュールを備えた自動車(特に電気自動車)の側面衝突時において、サイドシルの変形によってバッテリーケースに入力する荷重を低減することが求められていた。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、サイドシルを含む自動車の車体下部構造において、構造部材による重量増加を抑えつつ、少ない衝突変形量で高い衝突エネルギー吸収特性が得られる車体下部構造を提供することにある。また、本発明の他の目的は、サイドシルの変形によってバッテリーモジュールに入力する荷重を低減することができる車体下部構造を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく検討を重ねた結果、サイドシル内の閉断面空間を縦通する仕切部材を利用し、その閉断面空間内に特定の構造の衝撃吸収構造体を設けることにより、上記の課題を解決できることが判った。具体的には、サイドシルの閉断面空間内に、仕切部材を両側から挟んで接合される1対の断面溝形部材と、これら断面溝形部材と仕切部材との間にそれぞれ形成される2つの閉断面空間内に所定の条件で設置される複数のバルクヘッドとで構成され、それらが構造上一体化された衝撃吸収構造体を設けることにより、構造部材による重量増加を抑えつつ、高いエネルギー吸収性能が得られることが判った。
また、衝撃吸収構造体の下部について、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方を他方よりも下方に延在させること、若しくは、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方にサイドシル内面と相対して凹陥部を形成することにより、サイドシルの変形によってバッテリーモジュールに入力する荷重を低減できることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]車体下部両側に車両長手方向に沿って配置されるサイドシル(1)と、該両サイドシル(1)間に配置され、両側部が両サイドシル(1)の上部に固定されるフロアクロスメンバ(8)と、該フロアクロスメンバ(8)の下方に配置され、両側部が両サイドシル(1)の下部と相対するバッテリーケース(9)を備えた車体下部構造であって、
サイドシル(1)は、サイドシル(1)内の閉断面空間(3)を縦通する仕切部材(2)を備え、該仕切部材(2)により閉断面空間(3)が車両幅方向で2つの閉断面空間(3a),(3b)に仕切られた構造を有し、
さらに、サイドシル(1)は、
閉断面空間(3a),(3b)内において、仕切部材(2)を両側から挟んだ状態で仕切部材(2)に接合され、仕切部材(2)との間でそれぞれ閉断面空間(5a),(5b)を形成する1対の断面溝形部材(4a),(4b)と、
各閉断面空間(5a),(5b)内に車両幅方向に沿って設けられることで閉断面空間(5a),(5b)を仕切る部材であって、閉断面空間(5a),(5b)内の車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられるバルクヘッド(6)とで構成される衝撃吸収構造体(A)を有し、
該衝撃吸収構造体(A)において、閉断面空間(5a)内のバルクヘッド(6)と閉断面空間(5b)内のバルクヘッド(6)は、仕切部材(2)を挟んで車両幅方向で対向して設けられるとともに、各バルクヘッド(6)は少なくとも断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)に接合されており、
衝撃吸収構造体(A)の上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材(2)を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ(8)の水平延長上に位置することを特徴とする自動車の車体側部構造。
[2]上記[1]の車体下部構造において、バルクヘッド(6)は、車両前後方向におけるフロアクロスメンバの幅内となる領域に設けられるバルクヘッド(6)と、フロアクロスメンバの幅外となる領域に設けられるバルクヘッド(6)とからなり、
車両前後方向において、フロアクロスメンバの幅内となる領域の2箇所以上にバルクヘッド(6)が設けられるとともに、フロアクロスメンバの幅外となる領域の1箇所以上にバルクヘッド(6)が設けられ、
隣り合う2つのバルクヘッド(6)の間隔をw1、バルクヘッド(6)とこれと隣り合うバルクヘッド(6)との間隔をw2とした場合、w1<w2とすることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[3]上記[2]の車体下部構造において、少なくとも一部のバルクヘッド(6)が、隣接して設けられる2つ以上のバルクヘッドで構成されるバルクヘッドセットからなることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの車体下部構造において、各バルクヘッド(6)は、断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)と仕切部材(2)にそれぞれ接合されることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[5]上記[1]~[4]のいずれかの車体下部構造において、衝撃吸収構造体(A)の下部は、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちの一方が他方よりも下方向に延在しており、
衝撃吸収構造体(A)の下部のうち、少なくとも、前記下方向に延在した部分(e)は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置していることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[6]上記[1]~[4]のいずれかの車体下部構造において、衝撃吸収構造体(A)の下部は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置しており、
衝撃吸収構造体(A)の高さ方向における下部領域または下部を含む領域であって、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちのいずれか一方に、サイドシル(1)の内面と相対して凹陥部(c)が形成されていることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[7]上記[1]~[6]のいずれかの車体下部構造において、各断面溝形部材(4a),(4b)の縦方向面部(40)と、これと相対するサイドシル(1)の縦方向面部(100)とが、(i)直に接合または当接している、(ii)他の部材を介して接合または当接している、(iii)接合または当接することなく、所定の間隙を空けて対向している、のいずれかであることを特徴とする自動車の車体下部構造。
[8]上記[1]~[7]のいずれかの車体下部構造において、衝撃吸収構造体(A)を構成する金属板は、降伏強度がフロアクロスメンバを構成する金属板の降伏強度以下であり、引張強度が500MPa級以上であること特徴とする自動車の車体下部構造。
本発明の自動車の車体下部構造は、サイドシル1内の閉断面空間3を縦通する仕切部材2を利用し、その閉断面空間3内に特定の構造の衝撃吸収構造体Aを設けたため、少ない衝突変形量で高い衝突エネルギー吸収特性が得られる。このため、電気自動車のように両サイドシル間にバッテリーモジュールを備えた自動車に適用した場合、エネルギー吸収に必要なスペースを小さくでき、バッテリーモジュールの体積を拡大できる利点がある。また、衝撃吸収構造体Aは、必要最小限の構成部材で高い曲げ剛性が得られるため、構成部材による車体の重量増加も抑えることができる。
また、本発明の自動車の車体下部構造において、衝撃吸収構造体Aの下部について、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方を他方よりも下方に延在させること、若しくは、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方にサイドシル1の内面と相対して凹陥部cを形成することにより、サイドシルの変形によってバッテリーモジュールに入力する荷重を低減できる。このため、衝突によるバッテリーモジュールの変形をより適切に防止することができる。
本発明の車体下部構造の一実施形態を模式的に示すもので、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図 図1の実施形態において、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の平面図 図1の実施形態におけるサイドシル構造のみを部分的に示すもので、サイドシル構造の車両幅方向での縦断面図 図3中のIV-IV線に沿う断面図 図3に示すサイドシルの部品展開図 車体下部構造において、両サイドシル間に配置されるフロアパネル、フロアクロスメンバ、バッテリーケースを展開して示す説明図 本発明の車体下部構造におけるサイドシルの他の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルの車両幅方向での縦断面図 図1の実施形態に関して、車両幅方向での衝撃吸収構造体Aの幅Weとサイドシル1の幅Wsを説明するための図面(サイドシルの断面図) 本発明の車体下部構造において、サイドシルを構成するバルクヘッドの配置形態例を示す説明図 本発明の車体下部構造におけるフロアクロスメンバの幅waを説明するための図面 本発明の車体下部構造において、サイドシルを構成するバルクヘッドの他の配置形態例を示す説明図 本発明の車体下部構造におけるサイドシルの他の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルの車両幅方向での縦断面図 本発明の車体下部構造の他の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図 図13の実施形態に関して、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分とアウタ側部分の車両高さ方向での高さ(厚さ)Hshort、Hlongを説明するための図面(サイドシルの断面図) 本発明の車体下部構造の他の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図 図15の実施形態に関して、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両高さ方向での高さ(厚さ)Hと車両幅方向での幅W、インナ側部分(またはアウタ側部分)に形成される凹陥部cの車両高さ方向での高さhと車両幅方向での幅(深さ)wを説明するための図面(サイドシルの断面図) 本発明の車体下部構造におけるサイドシルの水平断面において、側面ポール衝突時の変形の様子を段階的に示す説明図 本発明の車体下部構造におけるサイドシルの車両幅方向での縦断面において、側面ポール衝突時の変形の様子を模式的に示す説明図 本発明の車体下部構造におけるサイドシルが図18に示す側面ポール衝突で変形した際の衝突体(ポール)侵入量と吸収エネルギーとの関係を示すグラフ 本発明の車体下部構造の実施形態2と実施形態1について、サイドシルの側面衝突時の変形形態とひずみ分布を比較して示した説明図 図20に示した実施形態2と実施形態1のサイドシルについて、図18の条件で側面ポール衝突試験を実施し、その側面ポール衝突で変形した際の衝突体(ポール)侵入量と吸収エネルギーとの関係を比較して示したグラフ 本発明の車体下部構造の実施形態2について、側面ポール衝突時におけるバッテリーケースおよびフロアクロスメンバへの入力荷重を説明するための図面 本発明の車体下部構造の実施形態2と実施形態1について、側面ポール衝突時にバッテリーケースサイドメンバに生じる接触反力とフロアクロスメンバに生じる接触反力をそれぞれ示すグラフ 本発明の車体下部構造の実施形態3と実施形態1について、サイドシルの側面衝突時の変形形態とひずみ分布を比較して示した説明図 図24に示した実施形態3と実施形態1のサイドシルについて、図18の条件で側面ポール衝突試験を実施し、その側面ポール衝突で変形した際の衝突体(ポール)侵入量と吸収エネルギーとの関係を比較して示したグラフ 本発明の車体下部構造の実施形態3について、側面ポール衝突時におけるバッテリーケースおよびフロアクロスメンバへの入力荷重を説明するための図面 本発明の車体下部構造の実施形態3と実施形態1について、側面ポール衝突時にバッテリーケースサイドメンバに生じる接触反力とフロアクロスメンバに生じる接触反力をそれぞれ示すグラフ 実施例1の衝突試験において、発明例および比較例の車体下部構造のサイドシルと試験条件を示した説明図 実施例1(発明例)の衝突試験における衝突体(パンチ)侵入量とパンチ反力および吸収エネルギーとの関係を示すグラフ 実施例1(比較例)の衝突試験における衝突体(パンチ)侵入量とパンチ反力および吸収エネルギーとの関係を示すグラフ 実施例1(発明例および比較例)の衝突試験において、衝突体(パンチ)の最大侵入時の吸収エネルギーを示すグラフ 実施例2の衝突試験において、サイドシルを含む発明例の車体下部構造と試験条件を示した説明図 実施例2の衝突試験において、サイドシルを含む発明例の車体下部構造と試験条件を示した説明図 実施例2の衝突試験において、サイドシルを含む発明例の車体下部構造と試験条件を示した説明図 実施例2の衝突試験において、サイドシルを含む発明例の車体下部構造と試験条件を示した説明図 実施例2の衝突試験において、衝突体の最大侵入時の吸収エネルギーを示すグラフ 実施例2の衝突試験において、バッテリーケース接触反力を示すグラフ
<車体下部の基本構造>
図1~図5は、本発明の車体下部構造の一実施形態を模式的に示すものである。これらのうち、図1は、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図、図2は、同じく車体下部構造の平面図である。また、図3~図5はサイドシルを含むサイドシル構造のみを部分的に示すものであり、図3はサイドシル構造の車両幅方向での縦断面図、図4は図3中のIV-IV線に沿う断面図、図5はサイドシルの部品展開図である。また、図6は、車体下部構造において、両サイドシル間に配置されるフロアパネル、フロアクロスメンバ、バッテリーケースを展開して示す説明図である。
この車体下部構造は、車体下部両側に車両長手方向に沿って配置されるサイドシル1と、両サイドシル1間に配置され、両側部が両サイドシル1の上部に固定される(直接またはフロアパネルなどを介して固定される)フロアクロスメンバ8と、このフロアクロスメンバ8の下方に配置され、両側部が両サイドシル1の下部と相対するバッテリーケース9などを備えている。
以下、その具体的な構造を図1および図2に基づいて説明する。サイドシル1は、車体下部両側に配置される骨格構造部材であり、両サイドシル1間にはフロアパネル7が配置される。このフロアパネル7は、その両フランジ部70を介して両サイドシル1(図1ではサイドシルインナ1bの縦方向面部100の上部)に接合される。さらに、フロアパネル7の上に車両幅方向に沿った骨格構造部材であるフロアクロスメンバ8が配置され、その両端がフロアパネル7(フランジ部70)を介して両サイドシル1(図1ではサイドシルインナ1bの縦方向面部100の上部)に接合(固定)される。フロアクロスメンバ8は、車両前後方向で所定の間隔(例えば300mm程度)をおいた複数箇所に設けられる。なお、上述したフロアパネル7やフロアクロスメンバ8とサイドサイドシル1との接合(固定)は、通常、スポット溶接で行われる。
フロアパネル7およびフロアクロスメンバ8の下方には、バッテリーパック10を収納したバッテリーケース9が配置され、このバッテリーケース9の側部(バッテリーケースサイドメンバ90)が、所定の間隔をおいてサイドシル1の下部(サイドシルインナ1bの縦方向面部100の下部)と相対している。バッテリーケース9の底部(バッテリーケース底板91)には、サイドシル側に突出するように取付用フランジ92が連設されている。この取付用フランジ92とサイドシル1の下端(サイドシルインナ1bの下側の横方向面部101B)を固定用ボルト11で締結することにより、バッテリーケース9がサイドシル1に保持されている。このような構造により、側面衝突時にサイドシル1に入力された荷重は、フロアクロスメンバ8とバッテリーケース9の両方に入力される。これによって、広い範囲で荷重を受け持つことが可能となるとともに、バッテリーケース9よりも先にフロアクロスメンバ8に入力され、バッテリーケース9に入力する荷重が低減されることになる。
<サイドシルおよびその周辺部の基本構造>
サイドシル1は、断面溝形形状のサイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bが間に仕切部材2を挟んだ状態で接合されることで構成されている。したがって、このサイドシル構造は、サイドシル1内の閉断面空間3を仕切部材2が縦通し、この仕切部材2により閉断面空間3が車両幅方向で2つの閉断面空間3a,3bに仕切られた構造となっている。
サイドシル1を構成するサイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bは、金属板を成形して構成されたものであり、それぞれ、縦方向面部100とその上下端に連成された横方向面部101A,101Bからなる断面溝形形状の本体部と、その両端(横方向面部101A,101Bの端部)に連成されたフランジ部102を備えている。なお、縦方向面部100は垂直状でなくてもよく、適当な傾斜や曲面を有していてもよい。また、横方向面部101A,101Bは水平状でなくてもよく、適当な傾斜や曲面を有していてもよい。
仕切部材2も金属板で構成され、完全な平板ではなく、平板を曲げ成形したものを用いてもよい。
サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bは、それらのフランジ部102どうしを重ね合わせて接合(通常、スポット溶接による接合)されることにより、内部が閉断面空間3となるサイドシル1が構成される。その場合、サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bの間に仕切部材2を介在させ(挟み込み)、サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bのフランジ部102が、それらの間に挟み込んだ仕切部材2の上下端部とともに接合される。これにより、仕切部材2はサイドシル1内の閉断面空間3を縦通し、この仕切部材2により閉断面空間3が車両幅方向で2つの閉断面空間3a,3bに仕切られる。
仕切部材2は、その上下端部がサイドシル本体の上下端(サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bのフランジ部102)に接合されているため、側面衝突時にサイドシル1の断面が上下に開いて崩壊するのを抑制(断面崩壊の抑制)する高い耐力が得られ、衝突特性を高めるのに寄与する。
<サイドシル構造が備える衝撃吸収構造体A>
以上のようなサイドシル構造において、本発明では、サイドシル1内の閉断面空間3を縦通する仕切部材2を利用し、その閉断面空間3内に特定の構造の衝撃吸収構造体Aを設けること、すなわち、「仕切部材2を両側から挟んで接合される1対の断面溝形部材4a,4bと、これら断面溝形部材4a,4bと仕切部材2との間で形成される2つの閉断面空間内5a,5bに所定の条件で設けられる複数のバルクヘッド6とで構成され、それらが構造上一体化された衝撃吸収構造体A」を設けることが特徴である。これにより、少ない衝突変形量で高い衝突エネルギー吸収特性が得られるサイドシル構造とすることができる。また、衝撃吸収構造体Aは、必要最小限の構成部材(特に最小限のバルクヘッド設置数)で高い曲げ剛性が得られるため、構成部材による車体の重量増加も抑えることができる。
この衝撃吸収構造体Aは、車両前後方向においてサイドシルの少なくともバッテリーケースサイドメンバ90に沿った部分に設けられる。
衝撃吸収構造体Aの上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向に並んでいる。
断面溝形部材4a,4bは、金属板を曲げ成形して構成されたものであり、それぞれ、縦方向面部40とその上下端に連成された横方向面部41A,41Bからなる断面溝形形状の本体部と、その両端(横方向面部41A,41Bの端部)に連成されたフランジ部42を備えている。断面溝形部材4a,4bは、縦方向面部40が側突荷重を受ける受圧面部、横方向面部41A,41Bが側突荷重により変形して衝突エネルギーを吸収するエネルギー吸収面部を構成する。なお、フランジ部42は、断面溝形部材4a,4bの長手方向の一部にのみ形成(例えば、所定の間隔で間欠的に形成)してもよい。
断面溝形部材4a,4bは、閉断面空間3a,3b内において車両前後方向(サイドシル長手方向)に沿って配置され、仕切部材2を両側から挟んだ状態で、それぞれのフランジ部42を介して仕切部材2に接合(通常、スポット溶接による接合)され、仕切部材2との間でそれぞれ閉断面空間5a,5bを形成する。
バルクヘッド6は、各閉断面空間5a,5b内に車両幅方向に沿って設けられることで閉断面空間5a,5bを仕切る部材であり、閉断面空間5a,5b内の車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられている。このバルクヘッド6は、好ましくは閉断面空間5a,5bの車両幅方向の断面全体を仕切るようにして設けられる。
バルクヘッド6は、側面衝突時に仕切部材2と協働して断面溝形部材4a,4bの断面崩壊を抑えるとともに、バルクヘッド6自体が座屈して曲げ圧壊して、衝突エネルギーを吸収する。
閉断面空間5a内のバルクヘッド6と閉断面空間5b内のバルクヘッド6は、仕切部材2を挟んで車両幅方向で対向して(すなわち、車両前後方向で同じ位置に)設けられる。これにより、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分とインナ側部分の断面形状を維持する機能が適切に発揮でき、高い衝突エネルギー吸収特性を得ることができる。
各バルクヘッド6は、金属板を成形して構成されたものであり、その外周縁部が、少なくとも断面溝形部材4aまたは断面溝形部材4bに接合され、さらに好ましくは、仕切部材2にも接合される。本実施形態では、バルクヘッド6の本体(隔壁部)の外周縁にフランジ部61が形成され、このフランジ部61を介して断面溝形部材4aまたは断面溝形部材4bと仕切部材2に接合されている。通常、この接合はスポット溶接でなされる。なお、フランジ部61は、本体(隔壁部)の外周縁の一部にのみ形成(例えば、所定の間隔で間欠的に形成)してもよい。
バルクヘッド6は、閉断面空間5a,5b内の車両前後方向で等間隔に設けてもよいし、例えば、図4に示すように広い間隔と狭い間隔が交互になるよう設けてもよい。本発明では、後述するように、バルクヘッド6を車両前後方向の特定の領域ごとに異なる間隔で設ける。
以上のように、衝撃吸収構造体Aは、サイドシル1内の閉断面空間3内に仕切部材2を利用して設置され、仕切部材2を両側から挟んで接合された1対の断面溝形部材4a,4bと、この断面溝形部材4a,4b内部に形成される閉断面空間5a,5bに所定の条件で設けられるバルクヘッド6とが、仕切部材2とともに一体化した構造を有する。換言すると、車両前後方向で間隔をおいて配置されるバルクヘッド6を、仕切部材2を介して設けられる断面溝形部材4a,4bが内包し、これらが一体化した構造となる。これにより、後述するような高い衝撃エネルギー吸収特性を有することになる。
衝撃吸収構造体A(断面溝形部材4a,4bおよびバルクヘッド6)を構成する金属板の降伏強度は、フロアクロスメンバ8を構成する金属板の降伏強度以下であることが好ましい。これは、側面衝突時に、衝撃吸収構造体Aが確実にフロアクロスメンバ8よりも先に変形して衝突エネルギーを吸収し、フロアクロスメンバ8の変形が抑えられるようにするためである。このため、衝撃吸収構造体Aを構成する金属板の降伏強度が、フロアクロスメンバ8を構成する金属板の降伏強度と同じである場合には、衝撃吸収構造体Aを構成するバルクヘッド6に、後述する図12(イ)に示すようなビード60(クラッシュビート)等を付与して、衝撃吸収構造体Aの座屈耐力(=部材自体が座屈変形を開始する荷重。以下同様)を、フロアクロスメンバ8の座屈耐力よりも低くすることが好ましい。
また、衝撃吸収構造体A(断面溝形部材4a,4bおよびバルクヘッド6)に用いる金属板は、引張強度が500MPa級以上であることが好ましく、590MPa級以上であることがより好ましい。衝撃吸収構造体Aの衝突特性としては、側面衝突時における衝撃吸収構造体Aの変形開始直後の弾性変形を経て塑性変形に転じる際の荷重(以下「耐力」という。)が高いほど、衝突時の変形が生じにくく、衝突特性は良好となる。耐力は、衝撃吸収構造体Aに用いる金属板の引張強度が高いほど高くなるので、普通鋼よりも引張強度の高い500MPa級以上(より好ましくは590MPa級以上)の金属板とするのが好ましい。さらに、軽量化の観点から、衝撃吸収構造体Aに2mm未満の板厚の金属板を適用するためには、1180MPa級以上の金属板とするのが好ましい。
また、衝撃吸収構造体Aおよび仕切部材2に用いる素材に、高張力鋼板を用いると、サイドシル1の内部に配置される衝撃吸収構造体Aおよび仕切部材2は、サイドシルのリンフォースとしても機能する。したがって、衝撃吸収構造体Aおよび仕切部材2に用いる金属板は、1180MPa級以上の高張力鋼板とするのが特に好ましい。
<衝撃吸収構造体Aの機能・作用効果>
本発明の車体下部構造において、サイドシルが備える衝撃吸収構造体Aは、仕切部材2を両側から挟んで接合された断面溝形部材4a,4bと、この断面溝形部材4a,4b内部の閉断面空間5a,5bに設けられるバルクヘッド6とが、仕切部材2とともに一体化した構造を有する。換言すると、仕切部材2を介して設けられる断面溝形部材4a,4bがバルクヘッド6を内包し、これらが一体化した構造を有する。このような構造により、衝撃吸収構造体A全体が高い曲げ剛性(側面衝突荷重に対する曲げ変形抵抗)を有し、このため側面衝突荷重の入力箇所周辺での局所的な変形が抑制され、側面衝突時に衝撃吸収構造体A全体を変形させることにより、衝突エネルギー吸収(EA)を高めることができる。
また、衝撃吸収構造体Aの上部は、車両幅方向において、サイドシルインナ1bを介在させてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している(すなわち、フロアクロスメンバ8と車両幅方向に並んでいる)ので、サイドシルアウタ1aに入力された側面衝突荷重は、衝撃吸収構造体Aの上部およびサイドシルインナ1bを経由して、フロアクロスメンバ8に伝達される。衝撃吸収構造体Aはフロアクロスメンバ8からの反力を受け、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分から潰れて圧縮変形することにより、効率よく衝突エネルギーを吸収することができる。
側面衝突時には、サイドシルアウタ1aを介してアウタ側の断面溝形部材4aの縦方向面部40(受圧面部)が衝突荷重を受け、横方向面部41A(エネルギー吸収面部)が先に曲げ圧壊して衝突エネルギーを吸収する。その後、インナ側の断面溝形部材4bの横方向面部41B(エネルギー吸収面部)が曲げ圧壊して衝突エネルギーを吸収する。その際に、断面溝形部材4a,4bと一体化したバルクヘッド6は、仕切部材2と協働して断面溝形部材4a,4bの断面崩壊を抑えるとともに、バルクヘッド6自体が座屈(軸圧壊)して衝突エネルギーを吸収する。さらに、断面溝形部材4a,4bと一体化した仕切部材2も曲げ変形して衝突エネルギーを吸収する。また、この衝撃吸収構造体Aでは、バルクヘッド6は仕切部材2を挟んで個別に設置される(すなわち、車両幅方向においてバルクヘッド6が仕切部材2で分割されている)ため、座屈波長が短くなり、バルクヘッド6の耐荷重を向上させることができる。
<衝撃吸収構造体Aの他の実施形態>
本発明の車体下部構造のサイドシルにおいて、断面溝形部材4a,4b(縦方向面部40)は、図1に示すようにサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)との間で適当な間隔(スペース)を有していてもよいし、主に振動を防止するためにサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)の内側面に当接または接合されてもよい。したがって、具体的な態様としては、断面溝形部材4a,4b(縦方向面部40)とサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)とが、(i)直に接合または当接している、(ii)他の部材(例えば、振動を減衰させる防振部材)を介して接合または当接している、(iii)接合または当接することなく、所定の間隙を空けて対向している、などが挙げられる。また、衝突初期からフロアクロスメンバに側面衝突荷重が伝達されるようにすることで衝撃吸収性能が向上するので、構造上、衝撃吸収構造体A(EA部材)の幅がサイドシル全幅に近いほど衝撃吸収性能は高くなる。したがって、この点からは上記(i)または(ii)の構造が好ましい。
図7は、上記(i)、(ii)の構造とする場合の実施形態を模式的に示すものであり、サイドシルの車両幅方向での縦断面図である。図7(ア)は、断面溝形部材4aと断面溝形部材4bの各縦方向面部40がサイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bの各縦方向面部100の内側面に溶接(通常、スポット溶接)で接合された例(図中、12が接合部)を示している。また、図7(イ)は、断面溝形部材4aと断面溝形部材4bの各縦方向面部40がサイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bの各縦方向面部100の内側面に接着剤13(接着剤層)で接合された例を示している。このように接着剤13で接着する場合、接着剤は接合面の一部のみに塗布するようにしてもよい。この接着剤13(接着剤層)は振動を減衰させる防振部材として機能させてもよい。
上記(iii)の構造の場合、断面溝形部材4a,4b(縦方向面部40)とサイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1b(縦方向面部100)との間隔が狭すぎると、走行時の振動により両部材が接触し、騒音やさらなる振動が問題となることがあるので、両部材は、走行時の振動により接触しないような間隙を空けて対向することが好ましい。一方において、上述したように衝撃吸収構造体A(EA部材)の幅がサイドシル全幅に近いほど衝撃吸収性能は高くなるので、車両幅方向での衝撃吸収構造体Aの幅We(両断面溝形部材4a,4bの縦方向面部40間の間隔)は、サイドシル1の幅Ws(サイドシルアウタ1a,サイドシルインナ1bの縦方向面部100間の間隔)の60%以上とするのが好ましい。図8に衝撃吸収構造体Aの幅Weとサイドシル1の幅Wsを示す。ここで、衝撃吸収構造体Aの幅Weやサイドシル1の幅Wsが車両高さ方向での位置によって異なる場合には、最も幅が広い高さ位置での幅をWs、Weとする。
なお、断面溝形部材4aと断面溝形部材4bの各横方向面部41A,41Bとサイドシル1(サイドシルアウタ1aとサイドシルインナ1bの各横方向面部101A,101B)の間隔(スペース)は、縦方向面部40とフロアクロスメンバ8およびバッテリーケース9との高さ方向の重なり代を調整し、フロアクロスメンバ8とバッテリーケース9に入力する荷重が適当なバランスとなるように、調整すればよい。
図9は、本発明の車体下部構造の衝撃吸収構造体Aにおいて、車両前後方向におけるバルクヘッド6の他の配置形態例を示したものであり、バルクヘッド6を車両前後方向の領域ごとに異なる間隔で設けたものである。
これらの配置形態では、車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられるバルクヘッド6が、車両前後方向におけるフロアクロスメンバ8の幅wa内となる領域に設けられるバルクヘッド6と、それ以外の領域(フロアクロスメンバ8の幅外となる領域)に設けられるバルクヘッド6からなる。そして、車両前後方向において、フロアクロスメンバ8の幅wa内となる領域の2箇所以上(図9の実施形態では2箇所)にバルクヘッド6が設けられるとともに、フロアクロスメンバ8の幅外となる領域の1箇所以上にバルクヘッド6が設けられている。さらに、隣り合う2つのバルクヘッド6どうしの間隔をw1、バルクヘッド6とこれと隣り合うバルクヘッド6との間隔をw2とした場合、w1<w2としている。以上のようなバルクヘッド6の配置形態とするのは、フロアクロスメンバ8の幅wa内となる領域では、2箇所以上にバルクヘッド6を設けてバルクヘッド6どうしの間隔を小さくすることにより衝突特性を高めるとともに、それ以外の領域のバルクヘッド6とバルクヘッド6との間隔を大きくすることにより、バルクヘッド6の設置数を抑え、重量軽減を図るためである。なお、フロアクロスメンバ8の幅外となる領域の2箇所以上にバルクヘッド6を設ける場合、隣り合う2つのバルクヘッド6どうしの間隔w3についてもw1<w3とすることが好ましい。
ここで、フロアクロスメンバ8の幅waとは、フロアクロスメンバ幅方向における両側壁間の部分の幅とすればよい。図10は、一般的なフロアクロスメンバ8の幅方向断面を模式的に示したものである。この図10のように両縁部にフランジ部を有するフロアクロスメンバ8の場合、フロアクロスメンバ8の幅waとは、フロアクロスメンバ幅方向において、両縁部のフランジ部分を除く部分の幅(骨格部材として機能する主要部の幅)、すなわちフランジ部分のRが始まる箇所間の幅とすればよい。
フロアクロスメンバ8の幅wa内の複数箇所にバルクヘッド6を配置する場合、隣り合う2つのバルクヘッド6どうしの間隔w1が過度に小さいと、フロアクロスメンバ8の幅wa内での衝突特性を高める効果が低下したり、バルクヘッド6の設置数がいたずらに増加したりすることにつながるので好ましくない。このためバルクヘッド6は、間隔w1とフロアクロスメンバ4の幅waとの比w1/waが0.4以上1.0以下となるように配置することが好ましい。
一方、隣り合うバルクヘッド6とバルクヘッド6との間隔w2やバルクヘッド6どうしの間隔w3は、衝撃吸収構造体Aの軽量化の観点からは広いほどよいが、側面衝突時の衝撃吸収構造体Aの曲げ剛性を確保するために、254mm以下とすることが好ましい。この254mmは、側面衝突試験(Euro NCAPで規定する側面ポール衝突試験)で使用する衝突体(ポール)の直径である。間隔w2,w3をこの試験の衝突体(ポール)の直径以下とすることにより、側面衝突時の衝撃吸収構造体Aの曲げ剛性をより適切に確保することができる。また、同様の観点から、隣り合うバルクヘッド6とバルクヘッド6との間隔w2やバルクヘッド6どうしの間隔w3は、フロアクロスメンバ8の設置間隔(隣り合うフロアクロスメンバ8どうしの間隔wb)の1/4~1/2程度とするのが好ましい。例えば、フロアクロスメンバ8の設置間隔wbが260mmの場合、間隔w2や間隔w3は65mm~130mm程度とするのが好ましい。また、衝撃吸収構造体Aの軽量化の観点から、間隔w2や間隔w3は50mm以上とするのが好ましい。
図9(ア)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の1箇所にバルクヘッド6を設けた例であり、バルクヘッド6,6がw1<w2を満足する条件で設けられている。
また、図9(イ),(ウ)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の2~3箇所にバルクヘッド6を設けた例であり、バルクヘッド6,6がw1<w2、w1<w3を満足する条件で設けられている。
図11は、車両前後方向におけるバルクヘッド6の他の配置形態例を示したものである。この図11の実施形態は、図9の実施形態と同様に、バルクヘッド6を車両前後方向の領域ごとに異なる間隔で設けたものであるが、フロアクロスメンバ8間での衝撃吸収構造体Aの曲げ剛性をより高めるために、フロアクロスメンバ8の幅外となる領域に設けるバルクヘッド6を、隣接して設けられる2つ以上のバルクヘッド(図11の実施形態では2つのバルクヘッド)からなるバルクヘッドセットで構成したものである。したがって、図11の実施形態の各バルクヘッド6は、2枚のバルクヘッドを1セットとするバルクヘッドセットで構成される。このバルクヘッドセットを構成するバルクヘッドどうしの間隔w4の大きさは任意であるが、基本的に間隔w1とほぼ同様の観点から決められることになるので、上述した間隔w1と同じ条件とすればよい。なお、このようにバルクヘッド6を2つ以上のバルクヘッドからなるバルクヘッドセットで構成するのは、全部のバルクヘッド6を対象としてもよいし、一部のバルクヘッド6のみを対象としてもよい。
図11(ア)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の1箇所にバルクヘッド6(2枚のバルクヘッドを1セットとするバルクヘッドセット)を設けた例であり、バルクヘッド6,6がw1<w2を満足する条件で設けられている。
また、図11(イ),(ウ)の配置形態は、隣り合うフロアクロスメンバ8間であってフロアクロスメンバ8の幅外となる領域の2~3箇所にバルクヘッド6(2枚のバルクヘッドを1セットとするバルクヘッドセット)を設けた例であり、バルクヘッド6,6がw1<w2、w1<w3を満足する条件で設けられている。
また、バルクヘッド6には、その座屈耐力(剛性)を高めるため、或いは座屈耐力(剛性)を低くするため、その本体(隔壁部)にビード60を設けてもよい。
図12は、その場合の実施形態を模式的に示すものであり、サイドシルの車両幅方向での縦断面図である。図12(ア)は、座屈耐力を高くするためにバルクヘッド6の本体部(隔壁部)に車両幅方向に沿ったビード60を設けたものである。一方、図12(イ)は、逆に座屈耐力を低くするために、バルクヘッド6の本体部(隔壁部)に上下方向に沿ったビード60(クラッシュビード)を設けたものである。この図12(イ)のようなビード60を設ける理由は、先に説明した通りである。
さきに説明した図1などの実施形態では、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4a)とインナ側部分(断面溝形部材4b)は、車両高さ方向においてほぼ同じ高さ(厚さ)を有し、仕切部材2を挟んで相対している。特にそれらの実施形態では、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分とアウタ側部分は、車両幅方向において仕切部材2を挟んでほぼ対称な形状をしている。これに対して、衝撃吸収構造体Aの下部を、インナ側部分とアウタ側部分のうちの一方が他方よりも下方向に延在した構造(すなわち下方向に長く形成した構造)とすることができる。この場合、衝撃吸収構造体Aの下部のうち、少なくとも、前記下方向に延在した部分eは、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置する。すなわち、衝撃吸収構造体Aの下部のうち、少なくとも部分eは、サイドシル1を介してバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)と車両幅方向で並んでいる。そして、仕切部材2を挟んで部分eと相対する部分には、衝撃吸収構造体Aが占めない空間部sが形成される。
図13は、そのような構造を有する本発明の車体下部構造の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図である。
図13(a)の実施形態は、衝撃吸収構造体Aの下部を、アウタ側部分がインナ側部分よりも下方向に延在した構造(すなわち下方向に長く形成した構造)としたものである。
衝撃吸収構造体Aの上部は、アウタ側部分とインナ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の厚さ(高さ)方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向で並んでいる。一方、衝撃吸収構造体Aの下部は、アウタ側部分がインナ側部分よりも下方向に延在し、この下方向に延在した部分eは、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、下方向に延在した部分eは、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してバッテリーケース9と車両幅方向で並んでいる。そして、仕切部材2を挟んで部分eと相対するインナ側部分には、衝撃吸収構造体Aが占めない空間部s(閉断面空間3b内の空間部)が形成されている。
図13(b)の実施形態は、衝撃吸収構造体Aの下部を、インナ側部分がアウタ側部分よりも下方向に延在した構造(すなわち下方向に長く形成した構造)としたものである。
図13(a)の実施形態と同様、衝撃吸収構造体Aの上部は、アウタ側部分とインナ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の厚さ(高さ)方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向で並んでいる。一方、衝撃吸収構造体Aの下部は、インナ側部分がアウタ側部分よりも下方向に延在し、この下方向に延在した部分eは、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、下方向に延在した部分eは、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してバッテリーケース9と車両幅方向で並んでいる。そして、仕切部材2を挟んで部分eと相対するアウタ側部分には、衝撃吸収構造体Aが占めない空間部s(閉断面空間3a内の空間部)が形成されている。
図13のような衝撃吸収構造体Aの構造では、空間部s周辺の構造による座屈誘発効果によって衝突エネルギー吸収性能が確保されるため、衝撃吸収構造体Aの衝突エネルギー吸収性能を図1の構造よりも低下させることなく、空間部sの分だけ衝撃吸収構造体A(インナ側部分またはアウタ側部分)を軽量化することができる。より具体的に説明すると、例えば、図13(a)の場合には、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分における「断面溝形部材4bの横方向面部41Bとフランジ部42とで形成されるコーナーR部f」および「このコーナーR部fに接するバルクヘッド6の角部」が、仕切部材2を介してアウタ側部分のバルクヘッド6に当接している。このため、側面衝突時には、アウタ側部分のバルクヘッド6の当該当接部周辺からも座屈が誘発されるので(座屈誘発効果)、図13(a)のような構造の衝撃吸収構造体Aであっても、図1の構造よりも衝突エネルギー吸収性能が低くなることはない。一方において、空間部sの分だけ衝撃吸収構造体A(インナ側部分)を軽量化することができる。また、図13(b)の場合も同様であり、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分における「断面溝形部材4aの横方向面部41Bとフランジ部42とで形成されるコーナーR部f」および「このコーナーR部fに接するバルクヘッド6の角部」が、仕切部材2を介してインナ側部分のバルクヘッド6に当接している。このため、側面衝突時には、インナ側部分のバルクヘッド6の当該当接部周辺からも座屈が誘発されるので、図13(b)のような構造の衝撃吸収構造体Aであっても、図1の構造よりも衝突エネルギー吸収性能が低くなることはない。一方において、空間部sの分だけ衝撃吸収構造体A(アウタ側部分)を軽量化することができる。
ここで、図13のような衝撃吸収構造体Aの構造において、アウタ側部分(断面溝形部材4a)とインナ側部分(断面溝形部材4b)のうち高さが小さい方の部分、例えば図13(a)におけるインナ側部分の高さを小さくし過ぎると、側面衝突時に閉断面空間5b内のバルクヘッド6の面剛性が低下し、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の断面形状を維持する機能が低下するので、衝突エネルギー吸収性能が低下する。このため、図14に示す「高さが小さい方の部分」の高さHshortは、下方向に延在した部分eを有する「高さが大きい方の部分」の高さHlongに対して過度に小さくしない方がよく、具体的には、HshortはHlongの40%以上、望ましくは50%以上程度の大きさとするのが好ましい。一方、アウタ側部分(断面溝形部材4a)とインナ側部分(断面溝形部材4b)の高さの差(HshortとHlongの差)が小さ過ぎると、上述したようなバルクヘッド6の座屈誘発効果が相対的に低下する。つまり、図13のような衝撃吸収構造体Aの構造とすることによる座屈誘発効果と軽量化効果が相対的に低下することになる。このため、その効果を十分に享受するには、図14に示す「高さが小さい方の部分」の高さHshortと「高さが大きい方の部分」の高さHlongの差を過度に小さくしない方がよく、具体的には、HshortはHlongの80%以下、望ましくは65%以下程度の大きさとするのが好ましい。ここで、図14に示すように、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4a)やインナ側部分(断面溝形部材4b)の高さが、車両幅方向での位置によって異なる場合には、最も高さが大きい位置での高さを「高さが小さい方の部分」の高さHshort、「高さが大きい方の部分」の高さHlongとする。
さきに説明した図1などの実施形態では、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4a)とインナ側部分(断面溝形部材4b)は、車両幅方向での断面形状が四角形状(台形状など)であり、仕切部材2を挟んで相対している。特にそれらの実施形態では、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分とアウタ側部分は、車両幅方向において仕切部材2を挟んでほぼ対称な形状をしている。これに対して、衝撃吸収構造体Aの高さ方向における下部領域または下部を含む領域であって、仕切部材2を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちのいずれか一方に、サイドシル1(サイドシルインナ1bまたはサイドシルアウタ1a)の内面と相対して凹陥部cが形成された構造とすることができる。この場合、衝撃吸収構造体Aの下部とサイドシル1との間に車両幅方向で空間(凹陥部cによる空間)が確保され、凹陥部cが存在する衝撃吸収構造体Aの下部は、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置する。すなわち、凹陥部cが存在する衝撃吸収構造体Aの下部は、バッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)と車両幅方向で並んでいる。
凹陥部cは、衝撃吸収構造体Aの高さ方向における下部領域だけでなく、それよりも上の領域を含むように形成する(すなわち、衝撃吸収構造体Aの高さ方向で下部を含む領域に形成する)ことができる。
図15は、そのような構造を有する本発明の車体下部構造の実施形態を模式的に示すもので、サイドシルを含む車体下部構造(車体下部両側の構造部のうちの一方の構造部)の車両幅方向での縦断面図である。
図15の実施形態は、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の下部領域に、サイドシル1(サイドシルインナ1b)の内面と相対して凹陥部cを形成したものである。この凹陥部cは、閉断面空間3b内において衝撃吸収構造体Aとサイドシル1(サイドシルインナ1b)間に車両幅方向で空間(凹陥部cによる空間)が確保されるように、サイドシルインナ1b(縦方向面部100および横方向面部101B)に面した衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(断面溝形部材4b)の下部領域を段状に凹陥させることで形成されている。すなわち、この凹陥部cは、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の下部領域において、サイドシルインナ1bの縦方向面部100および横方向面部101Bに面して形成されている。この凹陥部cを含む衝撃吸収構造体Aの下部領域は、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、凹陥部cを含む衝撃吸収構造体Aの下部領域は、バッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)と車両幅方向で並んでいる。
図13の実施形態と同様、衝撃吸収構造体Aの上部は、アウタ側部分とインナ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8(少なくともフロアクロスメンバ8の厚さ方向の一部分)の水平延長上に位置している。すなわち、衝撃吸収構造体Aの上部は、サイドシル1(サイドシルインナ1b)を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向で並んでいる。
インナ側部分のバルクヘッド6は、凹陥部cが形成されたインナ側部分(断面溝形部材4b)の断面形状に合わせた形状に構成されている。
凹陥部cは、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分の高さ方向における下部領域または下部を含む領域に、サイドシル1(サイドシルアウタ1a)の内面と相対して形成してもよい。例えば、図15に準じた形態の凹陥部cを衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分の下部領域に形成する場合、凹陥部cは、閉断面空間3a内において衝撃吸収構造体Aとサイドシル1(サイドシルアウタ1a)間に車両幅方向で空間(凹陥部cによる空間)が確保されるように、サイドシルアウタ1a(縦方向面部100および横方向面部101B)に面した衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4a)の下部領域を段状に凹陥させることで形成される。すなわち、この凹陥部cは、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分の下部領域において、サイドシルアウタ1aの縦方向面部100および横方向面部101Bに面して形成される。この凹陥部cを含む衝撃吸収構造体Aの下部領域は、車両幅方向においてバッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)の水平延長上に位置する。すなわち、凹陥部cを含む衝撃吸収構造体Aの下部領域は、バッテリーケース9(少なくともバッテリーケース9の高さ方向の一部分)と車両幅方向で並んでいる。
図15のような衝撃吸収構造体Aの構造では、凹陥部c周辺の構造が座屈する座屈誘発効果によって衝突エネルギー吸収性能が確保されるため、衝撃吸収構造体Aの衝突エネルギー吸収性能を図1の構造よりも低下させることなく、凹陥部cの分だけ衝撃吸収構造体A(インナ側部分またはアウタ側部分)を軽量化することができる。これを、凹陥部cが衝撃吸収構造体Aのインナ側部分に形成された図15の場合を例に、より具体的に説明する。凹陥部cの形成により、閉断面空間5b内のバルクヘッド6にも凹陥部cの凹形状に沿った切欠き部が形成される。このため、側面衝突時にバルクヘッド6の当該切欠き部のコーナーR部gが座屈して折れ曲がり、切欠き部のコーナーR部gの周辺部分にも座屈が誘発されて衝突荷重を吸収する(座屈誘発効果)。このため、図15のような構造の衝撃吸収構造体Aであっても、図1の構造よりも衝突エネルギー吸収性能が低くなることはなく、一方において、凹陥部cの分だけ衝撃吸収構造体A(インナ側部分)を軽量化することができる。また、凹陥部cが衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分に形成された場合も同様であり、凹陥部cの形成により、閉断面空間5a内のバルクヘッド6にも凹陥部cの凹形状に沿った切欠き部が形成され、側面衝突時にバルクヘッド6の当該切欠き部のコーナーR部gからも座屈が誘発される。このため、凹陥部cが形成された衝撃吸収構造体Aであっても、図1の構造よりも衝突エネルギー吸収性能が低くなることはなく、一方において、凹陥部cの分だけ衝撃吸収構造体A(アウタ側部分)を軽量化することができる。
ここで、図15のような衝撃吸収構造体Aの構造において、凹陥部cの車両高さ方向(衝撃吸収構造体Aの高さ方向)での高さ(幅)が大き過ぎると、フロアクロスメンバ8と相対するインナ側部分の受圧面部(断面溝型部材4bの縦方向面部40)が狭くなり、衝撃吸収構造体Aの上部における衝突特性が低下する。このため、図16に示す凹陥部cの車両高さ方向における高さhは、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両高さ方向における高さ(厚さ)Hに対して過度に大きくしない方がよく、具体的には、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両高さ方向における高さ(厚さ)Hの90%以下、望ましくは75%以下程度とするのが好ましい。一方、凹陥部cの車両高さ方向での高さ(幅)が小さ過ぎると、フロアクロスメンバ8と相対するインナ側部分の受圧面部(断面溝型部材4bの縦方向面部40)が広くなり、衝突荷重が分散されることになる。これにより、凹陥部cに対応するバルクヘッド6の切欠き部のコーナーR部gにおける座屈が生じにくくなるので、凹陥部cを設けることによる衝突エネルギー吸収性能の向上効果が得られにくくなる。つまり、図15のような衝撃吸収構造体Aの構造とすることによる座屈誘発効果と軽量化効果が相対的に低下することになる。このため、その効果を十分に享受するには、図16に示す凹陥部cの車両高さ方向における高さhは、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両高さ方向における高さ(厚さ)Hに対して過度に小さくしない方がよく、具体的には、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両高さ方向における高さ(厚さ)Hの20%以上、望ましくは50%以上程度とするのが好ましい。
また、図15のような衝撃吸収構造体Aの構造において、凹陥部cの車両幅方向における幅(深さ)が大き過ぎると、凹陥部cに対応するバルクヘッド6の切欠き部のコーナーR部gが仕切部材2に近づき、コーナーR部gの周辺部分の座屈が生じにくくなるので、衝突エネルギー吸収性能が低下する。このため、図16に示す凹陥部cの車両幅方向における幅wは、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両幅方向における幅Wに対して過度に大きくしない方がよく、具体的には、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両幅方向における幅Wの90%以下程度とするのが好ましい。一方、凹陥部cの車両幅方向における幅(深さ)を小さくし過ぎると、凹陥部cで座屈して折れ曲がり、衝撃吸収構造体Aとサイドシル1間の空間が塞がれてサイドシル1に当接するため、バッテリーケースメンバ90に生じる接触反力を低く抑えることができない。このため、凹陥部cの車両幅方向における幅wは、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両幅方向における幅Wに対して過度に小さくしない方がよく、具体的には、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(またはアウタ側部分)の車両幅方向における幅Wの20%程度以上とするのが好ましい。
ここで、図16に示すように、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4a)やインナ側部分(断面溝形部材4b)の高さが車両幅方向での位置によって異なる場合には、最も高さが大きい位置での高さを高さHとする。また、アウタ側部分(断面溝形部材4a)やインナ側部分(断面溝形部材4b)の幅が車両高さ方向での位置によって異なる場合には、最も幅が大きい位置での幅を幅Wとする。また、凹陥部cの高さが車両幅方向での位置によって異なる場合には、最も高さが大きい位置での高さを凹陥部cの高さhとする。また、凹陥部cの幅が車両高さ方向での位置によって異なる場合には、最も幅が大きい位置での幅を凹陥部cの幅wとする。
<サイドシルの側面衝突時の衝突変形形態>
図17に基づいて、本発明の車体下部構造におけるサイドシルの側面衝突時の衝突変形形態について説明する。図17は、本発明の車体下部構造におけるサイドシル(図1の構造)の水平断面において、側面ポール衝突時の変形の様子を段階的に示したものであり、tは衝突開始からの時間(秒数)を示している。
まず、サイドシル1自体の断面変形の形態を説明すると、最初に、サイドシルアウタ1aの上下の横方向面部101A,101B(エネルギー吸収部)が外側に広がるように曲げ圧壊して潰れて衝突エネルギーを吸収する(0.002sec~)。このサイドシルアウタ1aが圧壊する過程において、仕切部材2によってサイドシル1の断面が上下に開いて崩壊(断面崩壊)するのが抑えられるので、以降0.006~0.014secまで、サイドシルアウタ1aの横方向面部101A,101B(エネルギー吸収部)は曲げ変形を継続して、完全につぶれるまで衝突エネルギーを吸収し続ける。
上記のようなサイドシルアウタ1aの潰れ変形に伴い、サイドシル1のフランジ部102を介してサイドシルインナ1bに衝突荷重が伝達され、仕切部材2によって断面が上下方向に開いて崩壊することなく、0.004sec以降、サイドシルインナ1bの横方向面部101A、101B(エネルギー吸収部)のフランジ部側がサイドシル1の閉断面の内側に凸状に曲げ圧壊する。
このようなサイドシル1自体の断面変形に伴い、衝撃吸収構造体Aが以下のように断面変形する。潰れたサイドシルアウタ1aと断面溝形部材4aの縦方向面部40とが接触して、衝突吸収構造体Aに衝突荷重が伝達され、そのアウタ側部分(断面溝形部材4aとバルクヘッド6)が蛇腹状に変形する圧壊(軸圧壊)が開始される(0.002sec~)。この衝突吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4aとバルクヘッド6)の圧壊に伴い、仕切部材2を介して連続する衝撃吸収構造体Aのインナ側部分(断面溝形部材4bとバルクヘッド6)は、サイドシルインナ1bを介してバッテリーケース9側に押し付けられ(0.004~0.006sec)、衝突吸収構造体Aのインナ側部分(断面溝形部材4bとバルクヘッド6)も圧壊を開始する(0.008~0.018sec)。
図18は、本発明の車体下部構造におけるサイドシル(図1の構造)に対して下記の条件で側面ポール衝突試験を実施した際に、側面ポール衝突時の車両幅方向での縦断面における変形の様子を模式的に示したものである。図19は、この側面ポール衝突時に変形した際の衝突体侵入量と吸収エネルギーとの関係を示したものである。試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。
衝突体:R127mm(直径254mm相当)の剛体ポール
衝突速度:30.9km/h
衝突エネルギー:32kJ
この試験では、衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分(断面溝形部材4aとバルクヘッド6)が主に変形することで、衝突体侵入量が100mm以内で衝突エネルギー32kJを吸収可能であることが示されている。
以上のような側面衝突時のサイドシル構造の断面変形では、仕切部材2を介してサイドシル1内に設置され、断面溝形部材4a,4bとバルクヘッド6が仕切り部材2とともに一体化した構造を有する衝撃吸収構造体Aが高い変形抵抗を有する。このためサイドシル1は、入力荷重に対して局所的に変形する(例えば、衝突部から折れ曲がるように変形する)ことなく、全体が一体となって変形するため、衝突エネルギーが効果的かつ適切に吸収されることになる。
したがって、本発明の車体下部構造におけるサイドシルでは、図1に示すように両サイドシル1間のフロアパネル7の下方にバッテリーモジュールを備えた自動車(特に電気自動車)において、衝撃吸収構造体Aが側面衝突時に車両幅方向から入力された荷重によって圧壊してエネルギー吸収しつつ、フロアクロスメンバ8やバッテリーケース9に荷重を伝達することで、バッテリーパック10に荷重が伝達しないようにし、衝突の衝撃から保護することができる。
<図13のサイドシルにおける衝撃吸収構造体Aの機能・作用効果>
本発明の車体下部構造のサイドシルのうち、図1に示すような基本的な構造の実施形態を「実施形態1」、図13(a)に示す構造を有する実施形態を「実施形態2」とし、「実施形態2」の機能・作用効果を「実施形態1」と比較検討した結果を以下に示す。いずれも、試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。なお、以下に示す結果は、図13(b)に示す構造を有する実施形態を「実施形態2」とした場合も同様であり、説明中の「インナ側」と「アウタ側」を逆にして理解すればよい。
・吸収エネルギーについて
図20は、実施形態2と実施形態1のサイドシルについて、側面衝突時の変形形態とひずみ分布を比較して示したものであり、図20(a)は実施形態2を、図20(b)は実施形態1をそれぞれ示している。図20(a)の実施形態2と図20(b)の実施形態1を比較すると、バルクヘッド6の座屈が生じている領域およびひずみが0.09以上(濃い色の領域)の領域の面積は同等レベルとなっている。
図21は、実施形態2と実施形態1のサイドシルについて、図18の条件で側面ポール衝突試験を実施し、この側面ポール衝突時に変形した際の衝突体(ポール)侵入量と吸収エネルギーとの関係を比較して示したものである。これによれば、いずれの実施形態の吸収エネルギーも32.0kJであり、衝突体侵入量もほぼ同等(実施形態2が91mm、実施形態1が89mm)であり、実施形態2は、実施形態1と同等レベルの衝突特性を有することが示されている。この理由は、実施形態2は、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の大きさが実施形態1よりも小さいものの、上述したような特定の構造(図13(a)における空間部s)によるバルクヘッドの座屈誘発効果が得られるため、衝突エネルギー吸収性能が実施形態1(図1の構造)よりも低下することなく、高いレベルに維持されるからである。
・バッテリーケースへの入力荷重の軽減効果について
実施形態2のサイドシルに対する側面ポール衝突時において、図22に示すようにバッテリーケース9側およびフロアクロスメンバ8側に衝突荷重が入力する際に、衝突過程においてバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力と、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力を求めた。また、実施形態1についても、同様の接触反力を求めた。図23(a)にバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力を、図23(b)にフロアクロスメンバ8に生じる接触反力をそれぞれ示す。
図23(a)に示す通り、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力は、実施形態2は実施形態1よりも立ち上がりが遅く、また、実施形態2は実施形態1よりも21%低くなっている(実施形態2:155kN、実施形態1:195kN)。一方、図23(b)に示す通り、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力は、実施形態2は実施形態1よりも立ち上がりが早く、また、実施形態2は実施形態1よりも15%高くなっている(実施形態2:261kN、実施形態1:227kN)。この図23の結果は、実施形態2において、バッテリーケースへの入力荷重の軽減効果が得られることを示している。
すなわち、車両幅方向の車外側からサイドシル1に衝突荷重が入力する側面衝突時において、実施形態2のサイドシルでは、以下のような作用効果が得られる。実施形態2の衝撃吸収構造体Aの下部は、そのアウタ側部分とバッテリーケースサイドメンバ90との間の車両幅方向の並びに空間部sが設けられている(すなわち、車両幅方向において、バッテリーケースサイドメンバ90の水平延長上に空間部sと衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分の下部が位置している)ので、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力の立ち上がりを遅くできる。一方、実施形態2の衝撃吸収構造体Aの上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材2を挟んで相対するとともに、サイドシル1を介してフロアクロスメンバ8と車両幅方向に並んでいる(すなわち、車両幅方向においてフロアクロスメンバ8の水平延長上に位置している)ので、サイドシル1に入力した衝突荷重をフロアクロスメンバ8に直接伝達する荷重伝達経路が形成され、フロアサイドメンバ8に生じる接触反力が早く立ち上がる。そして、フロアサイドメンバ8に生じる接触反力により、車両幅方向においてサイドシル1を介してフロアクロスメンバ8の水平延長上に位置する衝撃吸収構造体Aの上部側、特にアウタ側部分が最初に効率よく潰れて(図20(a)参照)、側面衝突荷重を吸収する。その後、側面衝突が進行してサイドシル1(衝撃吸収構造体Aの上部側)が変形した後に、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力が上昇し始めるので、バッテリーケース9に入力するピーク荷重が軽減され、バッテリーケース9の変形も抑制することができる。
<図15のサイドシルにおける衝撃吸収構造体Aの機能・作用効果>
本発明の車体下部構造のサイドシルのうち、図1に示すような基本的な構造の実施形態を「実施形態1」、図15に示す構造を有する実施形態を「実施形態3」とし、「実施形態3」の機能・作用効果を「実施形態1」と比較検討した結果を以下に示す。いずれも、試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。なお、以下に示す結果は、アウタ側部分に凹陥部cを形成した実施形態を「実施形態3」とした場合も同様であり、説明中の「インナ側」と「アウタ側」を逆にして理解すればよい。
・吸収エネルギーについて
図24は、実施形態3と実施形態1(図20(b)と同じ実施形態)のサイドシルについて、側面衝突時の変形形態とひずみ分布を比較して示したものであり、図24(a)は実施形態3を、図24(b)は実施形態1をそれぞれ示している。図24(a)の実施形態3と図24(b)の実施形態1を比較すると、バルクヘッド6の座屈の生じている領域およびひずみが0.09以上(濃い色の領域)の領域の面積は同等レベルとなっている。
図25は、実施形態3と実施形態1のサイドシルについて、図18の条件で側面ポール衝突試験を実施し、この側面ポール衝突時に変形した際の衝突体(ポール)侵入量と吸収エネルギーとの関係を比較して示したものである。これによれば、衝突体侵入量は実施形態3の方が若干長いものの(実施形態3が96mm、実施形態1が89mm)、いずれの吸収エネルギーも32.0kJであり、実施形態3は、実施形態1と同等レベルの衝突特性を有することが示されている。この理由は、実施形態3は、上述したような特定の構造(図15における凹陥部c)によるバルクヘッドの座屈誘発効果が得られるため、衝突エネルギー吸収性能が実施形態1(図1の構造)よりも低下することなく、高いレベルに維持されるからである。
・バッテリーケースへの入力荷重の軽減効果について
実施形態3のサイドシルに対する側面ポール衝突時において、図26に示すようにバッテリーケース9側およびフロアクロスメンバ8側に衝突荷重が入力する際に、衝突過程においてバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力と、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力を求めた。また、実施形態1についても、同様の接触反力を求めた。図27(a)にバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力を、図27(b)にフロアクロスメンバ8に生じる接触反力をそれぞれ示す。
図27(a)に示す通り、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力は、実施形態3は実施形態1よりも立ち上がりが遅い上に、実施形態3は実施形態1よりも66%も低くなっている(実施形態3:67kN、実施形態1:195kN)。一方、図27(b)に示す通り、フロアクロスメンバ8に生じる接触反力は、実施形態3は実施形態1よりも16%高くなっている(実施形態3:264kN、実施形態1:227kN)ものの、衝突体侵入量約80mmまではほぼ同程度である。この図27の結果は、実施形態3において、バッテリーケースへの入力荷重の軽減効果が得られることを示している。
すなわち、車両幅方向の車外側からサイドシル1に衝突荷重が入力する側面衝突時において、実施形態3のサイドシルでは、以下のような作用効果が得られる。実施形態3の衝撃吸収構造体Aの下部は、そのインナ側部分に凹陥部cが設けられているので、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力の立ち上がりを遅くできる。さらに、凹陥部cに対応するバルクヘッド6の切欠き部のコーナーR部gが座屈して折れ曲がり、コーナーR部gの周辺部分にも座屈が誘発されて衝突荷重を吸収し続けるので、側面衝突が進行してサイドシル1が変形しても、バッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力を低く抑え続けることができ、バッテリーケース9に入力する荷重を大幅に低減することができる。このため、バッテリーケース9の変形を抑制することができる。
本発明の車体下部構造におけるサイドシル構造の効果を確認するため、以下のようなFEM解析による衝突試験を行った。
[実施例1]
図28(a)~(e)に、発明例および比較例の試験体と試験条件を示す。図28(a)~(e)の各図において、左側の図はサイドシルの車両幅方向での断面図であり、右側の図はサイドシルの水平断面図であって、サイドシルに対する衝突体(ポール)の衝突位置とフロアクロスメンバの位置を示している。
この衝突試験では、車両側部構造のうちサイドシルおよび衝撃吸収部材(発明例では衝撃吸収構造体A)を試験体とし、衝突エネルギー吸収特性の評価を行った。また、サイドシルに隣接するフロアクロスメンバやバッテリーケースサイドメンバを試験体固定用の剛体治具とし、治具への伝達荷重を接触反力により評価した。
衝突試験においては、図28に示すように、試験体の長手方向に対して垂直に曲率半径R127mmの衝突体(ポール)を、初速度30.9km/h、最大侵入量100mmで衝突させた。この時の衝突エネルギーは32kJであった。衝突体の反対側のサイドシルの固定用治具は、図1に示す車体下部構造を模擬したフロアクロスメンバ模擬部(フロアクロスメンバ8に相当)、バッテリーケース壁部(バッテリーケースサイドメンバ90に相当)、バッテリーケース下部(バッテリーケース底板91および取付用フランジ92に相当)によって構成されており、バッテリーケース下部が固定用ボルト(固定用ボルト11に相当)によってサイドシルインナに固定されている。なお、フロアクロスメンバ模擬部の車両前後方向の幅waは80mmとした。
表1に、発明例および比較例の試験体の各部材に使用する鋼板の強度レベルと板厚を示す。
Figure 2024038910000002
図28(a)に示す発明例1の試験体は、その衝撃吸収構造体Aにおいて、フロアクロスメンバ模擬部(フロアクロスメンバ8に相当)の幅内となる領域の2箇所にバルクヘッド6を設けるとともに、その両側のフロアクロスメンバ模擬部の幅外となる領域に、隣接して設けられる2つ以上のバルクヘッドで構成されるバルクヘッドセットからなるバルクヘッド6を設けたものである。なお、隣り合う2つのバルクヘッド6どうしの間隔w1を35mmとし、間隔w1とフロアクロスメンバの幅waとの比w1/waを0.44とした。また、バルクヘッド6とこれと隣り合うバルクヘッド6との間隔w2は、w1よりも大きく、254mm以下であって、想定したフロアクロスメンバの設置間隔(隣り合うフロアクロスメンバどうしの間隔wb)260mmの1/2程度である125mmとした。さらに、バルクヘッド6であるバルクヘッドセットを構成するバルクヘッドどうしの間隔w4は間隔w1と同じ35mmとした。
図28(b)に示す発明例2の試験体は、発明例1のバルクヘッド6を取り除いたものであり、その衝撃吸収構造体Aにおいて、フロアクロスメンバ模擬部(フロアクロスメンバ8に相当)の幅内となる領域の2箇所にのみバルクヘッド6を設けたものである。
図28(c)に示す比較例1の試験体は、発明例2の衝撃吸収構造体Aの構造からバルクヘッド6を取り除いたものである。
図28(d)に示す比較例2の試験体は、サイドシルの内部にバルクヘッドのみを設けたものであり、フロアクロスメンバ模擬部の幅内となる領域の2箇所にバルクヘッドを設けたものである。
図28(e)に示す比較例3の試験体は、サイドシルの内部に仕切部材や衝撃吸収部材を配置せず、サイドシルのみの試験体としたものである。
図29(a)~(e)に、発明例および比較例について、衝突試験時のサイドシルへの衝突体(パンチ)侵入量と衝突体の受ける力(パンチ反力)との関係と、衝突体(パンチ)侵入量に対する吸収エネルギーの推移を示す。なお、パンチとは、さきに説明した側面ポール衝突試験(図18)における衝突体である剛体ポールのことである。また、吸収エネルギーは、衝突体の速度より算出した運動エネルギーを衝突エネルギー(32kJ)から差し引いて算出した。
衝突体のストロークは最大100mmであるところ、図29(a)に示す発明例1は、衝突体の最大侵入量100mmに到達する前(96mm)に衝突体が停止し、この発明例1のサイドシル構造による吸収エネルギーは32.0kJであった。
これに対して図29(b)~(e)に示す発明例2、比較例1~比較例3は、いずれも吸収エネルギー32.0kJ(発明例1の吸収エネルギー)に到達する前に、衝突体の最大ストローク100mmに到達した。
図30に、発明例および比較例について、衝突体の最大侵入時の吸収エネルギーを比較して示した。最大侵入量は発明例1が96mm、発明例2および比較例1~比較例3はいずれも100mm(衝突体の最大侵入量)であった。
発明例1の吸収エネルギーは、サイドシルのみの比較例3の6.7倍であり、また、バルクヘッドのない比較例1の3.0倍、バルクヘッドのみの比較例2の3.4倍であり、比較例1と比較例2の合計20.1kJに対しても、その約1.6倍となった。
また、発明例2は、発明例1よりも車両前後方向のバルクヘッドの設置数が少ないので、発明例1よりも吸収エネルギーは低下(▼19%)するものの、比較例3の6.0倍であり、また、比較例1の2.4倍、比較例2の2.7倍であり、比較例1と比較例2の合計の約1.3倍となった。
以上の発明例1,2と比較例1~比較例3の結果から、本発明のサイドシル構造(車体下部構造)では、比較例1(仕切部材を1対の断面溝形部材で両側から挟んで接合したサイドシル構造)と比較例2(サイドシル内にバルクヘッドを設置したサイドシル構造)の衝突エネルギー吸収性能を単純に合算した効果を上回る、極めて優れた衝突特性が得られることが確認できた。
さらに、発明例1と発明例2の結果から、車両前後方向において、フロアクロスメンバの幅内の領域だけでなく、そのほかの領域にも複数のバルクヘッドを配置することにより、衝突特性がさらに向上することが確認できた。
[実施例2]
本発明の車体下部構造のサイドシルのうち、図1に示すような基本的な構造の実施形態を「実施形態1」、図13(a)に示す構造を有する実施形態を「実施形態2」、図15に示す構造を有する実施形態を「実施形態3」とし、これらについて以下の衝突試験を行った。いずれも、試験体は、バルクヘッド6を図9(ア)に示すような配置形態とした。
試験体としては、上述した[実施例1]の試験体の衝撃吸収構造体Aの車両幅方向での縦断面の形状を、図31(a)~(k)(発明例3~発明例13)に示す形状に変更したものを用いた。試験条件は[実施例1]と同一とし、衝突試験体の衝突体侵入量(ストローク)0-100mmでの衝突吸収エネルギー(図32)とバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力(図33)を評価した。
図31(a)~(c)に示す、実施形態1に関する発明例3~5の試験体は、[実施例1]における発明例1の試験体の仕切部材2が垂直であるのに対して、仕切部材2を車両高さ方向で傾斜させたものである。また、発明例4および発明例5の試験体は、発明例3の試験体に対して衝撃吸収構造体Aの高さを小さくしたものであり、それぞれ発明例3の高さの75%(発明例4、図31(b))、50%(発明例5、図31(c))としたものである。
図31(d)~(f)に示す実施形態2に関する発明例6~8の試験体は、発明例3の試験体の衝撃吸収構造体Aのインナ側部分またはアウタ側部分の高さを小さくしたものである。すなわち、衝撃吸収構造体Aの下部において、仕切部材2を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちの一方が他方よりも下方向に延在した形態としたものである。発明例6および発明例7の試験体は、発明例3の試験体に対して衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の高さを小さくしたものであり、それぞれ発明例3の高さの75%(発明例6、図31(d))、50%(発明例7、図31(e))としたものである。また、発明例8の試験体は、発明例3の試験体に対して衝撃吸収構造体Aのアウタ側部分の高さを小さくしたものであり、発明例3の高さの50%(図31(f))としたものである。
図31(g)~(k)に示す、実施形態3に関する発明例9~13の試験体は、発明例3の試験体に対して、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分とサイドシル1との間に車両幅方向に空間を確保するように、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の高さ方向における下部領域または下部を含む領域にサイドシル1の内面と相対して凹陥部cを設けたものである。このうち発明例9~11の試験体は、凹陥部cの車両幅方向での幅(深さ)を、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の車両幅方向における幅の23%とし、凹陥部cの高さを、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の車両高さ方向における高さ(厚さ)の34%~66%とした。また、発明例12、13の試験体は、凹陥部cの車両幅方向の幅(深さ)を、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の車両幅方向における幅の41%とし、凹陥部cの高さを、衝撃吸収構造体Aのインナ側部分の車両高さ方向における高さ(厚さ)の34%、43%とした。
図32に、発明例3~13における衝突吸収エネルギーを示す。なお、比較のため、[実施例1]の発明例1、比較例1~3の衝突吸収エネルギーも併せて示す。図32の結果から、発明例3~13のいずれも、比較例1~3よりも衝突特性が向上することが確認できた。なお、実施形態1(発明例1、3~5)の平均は31.8kJ、実施形態2(発明例6~8)の平均は31.1kJ、実施形態3(発明例9~13)の平均は31.9kJであり、衝突エネルギー吸収量はいずれの実施形態でも同等レベルであった。
図33に、発明例3~13においてバッテリーケースサイドメンバ90に生じる接触反力の大きさを示す。なお、比較のため、[実施例1]の発明例1、比較例1~3の接触反力も併せて示す。図33の結果から、発明例3~13のいずれも、比較例1~3よりもバッテリーケース9に生じる接触反力を大幅に軽減できることを確認できた。また、実施形態1(発明例1、3~5)の平均は181kN、実施形態2(発明例6~8)の平均は131kN、実施形態3(発明例9~13)の平均は69kNであり、バッテリーケース9に生じる接触反力を、実施形態2は実施形態1よりも約30%軽減でき、実施形態3は実施形態2よりもさらに39%以上軽減できることが確認できた。
1 サイドシル
1a サイドシルアウタ
1b サイドシルインナ
2 仕切部材
3,3a,3b 閉断面空間
4a,4b 断面溝形部材
5a,5b 閉断面空間
6,6,6 バルクヘッド
7 フロアパネル
8 フロアクロスメンバ
9 バッテリーケース
10 バッテリーパック
11 固定用ボルト
12 接合部
13 接着剤
40 縦方向面部
41A,41B 横方向面部
42 フランジ部
60 ビード
61 フランジ部
70 フランジ部
90 バッテリーケースサイドメンバ
91 バッテリーケース底板
92 取付用フランジ
100 縦方向面部
101A,101B 横方向面部
102 フランジ部
A 衝撃吸収構造体
e 下方向に延在した部分
c 凹陥部
s 空間部
f,g コーナーR部

Claims (9)

  1. 車体下部両側に車両長手方向に沿って配置されるサイドシル(1)と、該両サイドシル(1)間に配置され、両側部が両サイドシル(1)の上部に固定されるフロアクロスメンバ(8)と、該フロアクロスメンバ(8)の下方に配置され、両側部が両サイドシル(1)の下部と相対するバッテリーケース(9)を備えた車体下部構造であって、
    サイドシル(1)は、サイドシル(1)内の閉断面空間(3)を縦通する仕切部材(2)を備え、該仕切部材(2)により閉断面空間(3)が車両幅方向で2つの閉断面空間(3a),(3b)に仕切られた構造を有し、
    さらに、サイドシル(1)は、
    閉断面空間(3a),(3b)内において、仕切部材(2)を両側から挟んだ状態で仕切部材(2)に接合され、仕切部材(2)との間でそれぞれ閉断面空間(5a),(5b)を形成する1対の断面溝形部材(4a),(4b)と、
    各閉断面空間(5a),(5b)内に車両幅方向に沿って設けられることで閉断面空間(5a),(5b)を仕切る部材であって、閉断面空間(5a),(5b)内の車両前後方向で間隔をおいた複数箇所に設けられるバルクヘッド(6)とで構成される衝撃吸収構造体(A)を有し、
    該衝撃吸収構造体(A)において、閉断面空間(5a)内のバルクヘッド(6)と閉断面空間(5b)内のバルクヘッド(6)は、仕切部材(2)を挟んで車両幅方向で対向して設けられるとともに、各バルクヘッド(6)は少なくとも断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)に接合されており、
    衝撃吸収構造体(A)の上部は、インナ側部分とアウタ側部分が仕切部材(2)を挟んで相対するとともに、車両幅方向においてフロアクロスメンバ(8)の水平延長上に位置することを特徴とする自動車の車体側部構造。
  2. バルクヘッド(6)は、車両前後方向におけるフロアクロスメンバの幅内となる領域に設けられるバルクヘッド(6)と、フロアクロスメンバの幅外となる領域に設けられるバルクヘッド(6)とからなり、
    車両前後方向において、フロアクロスメンバの幅内となる領域の2箇所以上にバルクヘッド(6)が設けられるとともに、フロアクロスメンバの幅外となる領域の1箇所以上にバルクヘッド(6)が設けられ、
    隣り合う2つのバルクヘッド(6)の間隔をw1、バルクヘッド(6)とこれと隣り合うバルクヘッド(6)との間隔をw2とした場合、w1<w2とすることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。
  3. 少なくとも一部のバルクヘッド(6)が、隣接して設けられる2つ以上のバルクヘッドで構成されるバルクヘッドセットからなることを特徴とする請求項2に記載の自動車の車体下部構造。
  4. 各バルクヘッド(6)は、断面溝形部材(4a)または断面溝形部材(4b)と仕切部材(2)にそれぞれ接合されることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。
  5. 衝撃吸収構造体(A)の下部は、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちの一方が他方よりも下方向に延在しており、
    衝撃吸収構造体(A)の下部のうち、少なくとも、前記下方向に延在した部分(e)は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置していることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。
  6. 衝撃吸収構造体(A)の下部は、車両幅方向においてバッテリーケース(9)の水平延長上に位置しており、
    衝撃吸収構造体(A)の高さ方向における下部領域または下部を含む領域であって、仕切部材(2)を挟んだインナ側部分とアウタ側部分のうちのいずれか一方に、サイドシル(1)の内面と相対して凹陥部(c)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体下部構造。
  7. 各断面溝形部材(4a),(4b)の縦方向面部(40)と、これと相対するサイドシル(1)の縦方向面部(100)とが、(i)直に接合または当接している、(ii)他の部材を介して接合または当接している、(iii)接合または当接することなく、所定の間隙を空けて対向している、のいずれかであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の自動車の車体下部構造。
  8. 衝撃吸収構造体(A)を構成する金属板は、降伏強度がフロアクロスメンバを構成する金属板の降伏強度以下であり、引張強度が500MPa級以上であること特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の自動車の車体下部構造。
  9. 衝撃吸収構造体(A)を構成する金属板は、降伏強度がフロアクロスメンバを構成する金属板の降伏強度以下であり、引張強度が500MPa級以上であること特徴とする請求項7に記載の自動車の車体下部構造。
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JP2018203029A (ja) * 2017-06-02 2018-12-27 本田技研工業株式会社 車体下部構造

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