JP2024078923A - 芳香族ポリアミド系樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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雅行 杉本
Masayuki Sugimoto
昌宏 山田
Masahiro Yamada
邦生 木村
Kunio Kimura
慎一 山崎
Shinichi Yamazaki
史紀 新
Hironori Atarshi
颯斗 垣原
Hayato Kakihara
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Abstract

【課題】再生可能な資源を利用し、熱的特性、透明性および成形性に優れた芳香族ポリアミド系樹脂を提供する。【解決手段】少なくとも2,5-フランジカルボン酸成分を含むジカルボン酸成分と、少なくとも9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン成分を含むジアミン成分とを反応させて芳香族ポリアミド系樹脂を製造する。前記ジカルボン酸単位は、2,5-フランジカルボン酸単位を10~100モル%の割合で含んでいてもよい。前記芳香族ポリアミド系樹脂は、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドからなる群より選択された少なくとも一種の溶媒に可溶であってもよく、非晶性であってもよい。【選択図】なし

Description

本発明は、ジカルボン酸成分として少なくともバイオマス由来のフランジカルボン酸を含む芳香族ポリアミド系樹脂およびその製造方法に関する。
ケブラー(登録商標)に代表される芳香族ポリアミド(アラミド)は、耐薬品性、耐水性、耐熱性などの優れた特徴を有しており、タイヤの補強材、光ケーブルの補強材、プリント基板、防弾チョッキなどに加えて、建設分野でも幅広く利用されている。また、光ケーブルの補強材やプリント基板などの光学分野では透明性も要求されるが、アラミドは分子間の凝集力が強いことなどにより、透明性を向上させるのが困難であった。さらに、アラミドは、成形性が低く、後加工が難しいことも課題として知られている。特開2004-114474号公報(特許文献1)においても、金属成分を含む濃硫酸溶液にアラミドポリマーを溶解させてアラミド成形物を製造する方法が開示されている。
これに対して、特開2018-24867号公報(特許文献2)には、透明性が高く、かつ無機塩の存在を必要とすることなく極性非プロトン溶媒に溶解できる芳香族コポリアミドが開示されており、実施例として、テレフタル酸ジクロライド、4,4’-ジアミノ-2,2’-ビストリフルオロメチルベンジシンおよび9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(100モル%/80モル%/20モル%)を用いてコポリアミドが合成されている。
一方、近年、地球環境問題が逼迫しており、地球環境を壊さずに経済を持続可能な形で発展させるために、世界的に共通な開発目標として、SDGs(Sustainable Development Goals)が広く認知されている。
これに対して、生物由来の(メタ)アラミドとして、特許第6185981号公報(特許文献3)には、m-フェニレンジアミンと、2,5-フランジカルボン酸またはその誘導体およびイソフタル酸またはその酸クロライドとから得られるポリ(m-フェニレンフランカルボキシルアミド)を含むポリマー組成物およびこれから作製される物品が開示されている。
特開2004-114474号公報 特開2018-24867号公報 特許第6185981号公報
しかし、地球環境に優しい再生可能なバイオマス原料は、優れた分解性を有するという特徴の必然として、耐薬品性や耐熱性、機械的特性を向上させるのは困難である。すなわち、バイオマス原料の利用と高度な樹脂特性とはトレードオフの関係にあるが、なかでも芳香族ポリアミドであるアラミドは、極めて高い耐熱性や機械的特性を要求されるスーパーエンジニアリングプラスチックに分類される樹脂であるため尚更である。そのため、特許文献2および3の芳香族ポリアミドにおいても、バイオマス原料の利用と、耐熱性などのアラミドに要求される特性とを両立する迄には至っていない。
従って、本発明の目的は、再生可能な資源を利用し、熱的特性、透明性および成形性(溶剤溶解性)に優れた芳香族ポリアミド系樹脂およびその製造方法を提供することにある。
本発明者等は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、芳香族ポリアミド系樹脂のジカルボン酸単位およびジアミン単位として2,5-フランジカルボン酸単位および9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン単位を用いることにより、再生可能な資源を利用しても、熱的特性、透明性および成形性に優れた芳香族ポリアミド系樹脂が得られることを見出し、発明を完成した。
すなわち、本発明の態様[1]の芳香族ポリアミド系樹脂は、
ジカルボン酸単位とジアミン単位との繰り返し単位を有する芳香族ポリアミド系樹脂であって、
前記ジカルボン酸単位が、少なくとも2,5-フランジカルボン酸単位を含み、かつ
前記ジアミン単位が、少なくとも9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン単位を含む。
本発明の態様[2]は、前記態様[1]において、前記フルオレン含有ジアミン単位が、下記式(I)で表される単位である態様である。
Figure 2024078923000001
(式中、環Z1aおよびZ1bは独立してアレーン環を示し、R1a、R1b、R2aおよびR2bは独立して置換基を示し、m1およびm2は独立して0以上の整数を示し、n1およびn2は独立して0~4の整数を示す)。
本発明の態様[3]は、前記態様[2]の式(I)において、環Z1aおよびZ1bが独立してベンゼン環またはナフタレン環である態様である。
本発明の態様[4]は、前記態様[1]~[3]のいずれかの態様において、前記ジカルボン酸単位が、前記2,5-フランジカルボン酸単位を10~100モル%の割合で含む態様である。
本発明の態様[5]は、前記態様[1]~[4]のいずれかの態様の芳香族ポリアミド系樹脂が、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドからなる群より選択された少なくとも一種の溶媒に対して、25℃、1質量%濃度において可溶である態様である。
本発明の態様[6]は、前記態様[1]~[5]のいずれかの態様の芳香族ポリアミド系樹脂が、非晶性である態様である。
本発明には、態様[7]として、ジカルボン酸クロライドとジアミンとを反応させて芳香族ポリアミド系樹脂を製造する方法であって、前記ジカルボン酸クロライドが2,5-フランジカルボン酸クロライドを含み、かつ前記ジアミンが9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するジアミンを含む、芳香族ポリアミド系樹脂の製造方法も含まれる。
本発明には、態様[8]として、前記態様[1]~[6]のいずれかの態様の芳香族ポリアミド系樹脂で形成された成形体も含まれる。
本発明には、態様[9]として、前記態様[1]~[6]のいずれかの態様の芳香族ポリアミド系樹脂を含む溶液をキャストして成形体を製造する方法も含まれる。
本発明では、芳香族ポリアミド系樹脂のジカルボン酸単位およびジアミン単位が2,5-フランジカルボン酸単位および9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン単位を含むため、再生可能な資源を利用しても、熱的特性、透明性および成形性を向上できる。特に、耐熱性が高く、透明性も優れる上に、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの溶媒に可溶であるため、キャスト法によって後加工が可能であり、成形性にも優れている。
図1は、実施例で得られた芳香族ポリアミド系樹脂の光線透過率を比較したグラフである。 図2は、実施例1で得られた芳香族ポリアミド系樹脂の広角X線回折の測定結果を示すグラフである。 図3は、比較例1で得られた芳香族ポリアミド系樹脂の広角X線回折の測定結果を示すグラフである。 図4は、比較例2で得られた芳香族ポリアミド系樹脂の広角X線回折の測定結果を示すグラフである。
[芳香族ポリアミド系樹脂]
芳香族ポリアミド系樹脂(または全芳香族ポリアミド系樹脂)は、2,5-フランジカルボン酸単位を含むジカルボン酸単位と、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン単位を含むジアミン単位との繰り返し単位で形成されている。なお、以下の説明において、ジカルボン酸単位はジカルボン酸成分に由来し、ジアミン単位はジアミン成分に由来するため、ジカルボン酸単位をジカルボン酸成分と同義に用い、ジアミン単位をジアミン成分と同義に用いる場合がある。
[ジカルボン酸単位(または成分)]
ジカルボン酸単位に対応するジカルボン酸成分(A)は、2,5-フランジカルボン酸単位に対応する2,5-フランジカルボン酸成分(A1)を含んでいればよく、2,5-フランジカルボン酸成分(A1)は、遊離の2,5-フランジカルボン酸、低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステルなどのC1-4アルキルエステルなど)または酸無水物であってもよいが、反応性の点から、2,5-フランジカルボン酸クロライドが好ましい。
なお、2,5-フランジカルボン酸(FDCA)は、慣用の方法、例えば、セルロース、グルコースやフルクトースから(5-ヒドロキシメチル)フルフラールを経由して調製でき、エンジニアリングプラスチックやスーパーエンジニアリングプラスチックの原料として利用できる数少ないバイオマス由来の芳香族ジカルボン酸である。
ジカルボン酸成分(A)は、2,5-フランジカルボン酸成分(第1のジカルボン酸成分)(A1)に加えて、さらに2,5-フランジカルボン酸成分以外の芳香族ジカルボン酸成分(他の芳香族ジカルボン酸成分)、脂肪族ジカルボン酸成分および脂環族ジカルボン酸成分から選択された少なくとも一種の第2のジカルボン酸成分(A2)を含んでいてもよい。これらのジカルボン酸成分も、反応性の点から、ジカルボン酸クロライドが好ましい。
他の芳香族ジカルボン酸成分は、単環式ジカルボン酸成分と多環式ジカルボン酸成分とに大別される。
単環式ジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アルキルイソフタル酸(例えば、4-メチルイソフタル酸などのC1-4アルキルテレフタル酸)、無水フタル酸、フタル酸などのC6-10アレーンジカルボン酸などが挙げられる。単環式ジカルボン酸成分としては、2,5-フランジカルボン酸以外の芳香族複素環式ジカルボン酸成分、例えば、2,5-チオフェンジカルボン酸なども挙げられる。
多環式ジカルボン酸成分としては、例えば、縮合多環式ジカルボン酸[例えば、ナフタレンジカルボン酸(例えば、1,6-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、2,7-ナフタレンジカルボン酸など)、アントラセンジカルボン酸などの縮合多環式C10-16アレーン-ジカルボン酸、さらに好ましくは縮合多環式C10-14アレーン-ジカルボン酸];ビフェニルジカルボン酸(2,2’-ビフェニルジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸など)などのC6-10アリールC6-10アレーンジカルボン酸];ジアリールアルカンジカルボン酸[例えば、ジフェニルアルカンジカルボン酸(例えば、4,4’-ジフェニルメタンジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)プロパンなどのジフェニルC1-4アルカン-ジカルボン酸など)などのジC6-10アリールC1-6アルカン-ジカルボン酸];ジアリールケトンジカルボン酸[例えば、ジフェニルケトンジカルボン酸(4,4’-ジフェニルケトンジカルボン酸など)などのジC6-10アリールケトン-ジカルボン酸]などが例示できる。多環式ジカルボン酸成分には、9,9-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(カルボキシC6-10アリール)フルオレン、下記式(IIa)または(IIb)で表されるフルオレンジカルボン酸成分も含まれる。
Figure 2024078923000002
(式中、A1aおよびA1bは独立してアルキレン基を示し、R3aおよびR3bは独立して置換基を示し、k1およびk2は独立して0~4の整数を示し、Aはアルキレン基を示し、pは0~4の整数を示し、R4aおよびR4bは独立して置換基を示し、s1およびs2は独立して0~4の整数を示す)。
前記式(IIa)および(IIb)において、基R3a、R3b、R4aおよびR4bとしては、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基などのC1-6アルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6-10アリール基)などが挙げられる。これらのうち、C1-4アルキル基(特に、メチル基)が好ましい。なお、基R3aおよびR3bの種類は、同一または異なっていてもよく、置換数k1およびk2が2以上である場合、基R3aおよびR3bの種類は、それぞれ、フルオレン環のベンゼン環上において、同一または異なっていてもよい。基R4aおよびR4bも同様である。
置換数k1、k2、s1およびs2は、それぞれ0~4の整数から選択でき、好ましくは0~1、特に0である。なお、置換数k1およびk2は、互いに同一または異なっていてもよい。置換数s1およびs2も同様である。また、基R3aおよびR3bの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2-位乃至7-位(2-位、7-位、2-および7-位など)であってもよい。基R4aおよびR4bも同様である。
前記式(IIa)および(IIb)において、A1a、A1bおよびAで表されるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、1,2-ブタンジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-8アルキレン基が挙げられる。これらのうち、直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキレン基が特に好ましい。さらに、A1aおよびA1bとしては、直鎖状または分岐鎖状C2-4アルキレン基が好ましく、直鎖状または分岐鎖状C2-3アルキレン基がさらに好ましく、エチレン基が最も好ましい。Aとしては、直鎖状または分岐鎖状C1-3アルキレン基が好ましい。
前記式(IIb)において、メチレン基の繰り返し数pは、例えば0~4程度の整数、好ましくは0~3の整数、さらに好ましくは0~2の整数、より好ましくは0または1であってもよい。
前記式(IIa)で表されるジカルボン酸成分として、具体的には、例えば、A1aおよびX1bが直鎖状または分岐鎖状C2-6アルキレン基である化合物、9,9-ビス(2-カルボキシエチル)フルオレン、9,9-ビス(2-カルボキシプロピル)フルオレンなどの9,9-ビス(カルボキシC2-6アルキル)フルオレンなどが挙げられる。
前記式(IIb)で表されるジカルボン酸成分として、具体的には、例えば、p=0であり、かつAが直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキレン基である化合物、例えば、9-(1-カルボキシ-2-カルボキシエチル)フルオレン;p=1であり、かつAが直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキレン基である化合物、例えば、9-(2,3-ジカルボキシプロピル)フルオレンなどの9-(ジカルボキシC2-8アルキル)フルオレンなどが挙げられる。
前記式(IIa)または(IIb)で表されるフルオレンジカルボン酸成分は、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。
前記芳香族ジカルボン酸成分において、単環式芳香族ジカルボン酸成分および多環式芳香族ジカルボン酸成分は、それぞれ、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。また、単環式芳香族ジカルボン酸成分と多環式芳香族ジカルボン酸成分とを組み合わせてもよい。
脂肪族ジカルボン酸成分としては、例えば、アルカンジカルボン酸[例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、プラリシン酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸などの直鎖状または分岐鎖状C2-30アルカンジカルボン酸(好ましくはC6-12アルカンジカルボン酸)など]、マレイン酸などのアルケンジカルボン酸などが挙げられる。脂肪族ジカルボン酸成分は、単独でまたは2種以上組み合わせてもよい。
脂環族ジカルボン酸成分としては、例えば、シクロアルカンジカルボン酸(例えば、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などのC5-10シクロアルカン-ジカルボン酸);シクロアルケンジカルボン酸(テトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物など);ビまたはトリシクロアルカンジカルボン酸または橋架け環式シクロアルカンジカルボン酸(例えば、無水ヘット酸、無水ハイミック酸、デカリンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、アダマンタンジカルボン酸、トリシクロデカンジカルボン酸など)などが挙げられる。
これらの第2のジカルボン酸成分(A2)は単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらの第2のジカルボン酸成分(A2)のうち、芳香族ポリアミド系樹脂の耐熱性、機械的特性を向上できる点から、芳香族ジカルボン酸成分(例えば、テレフタル酸、イソフタル酸などの単環式アレーンジカルボン酸成分、ナフタレンジカルボン酸、前記式(IIa)または(IIb)で表されるフルオレンジカルボン酸成分などの多環式アレーンジカルボン酸成分など)が好ましい。
第1のジカルボン酸成分(A1)と第2のジカルボン酸成分(A2)との割合は、前者/後者(モル比)=100/0~10/90、好ましくは100/0~50/50、さらに好ましくは100/0~70/30、より好ましくは100/0~80/20、最も好ましくは100/0~90/10である。耐熱性の点から、ジカルボン酸成分(A)は脂肪族ジカルボン酸および脂環族ジカルボン酸は含まないのが好ましいため、前記割合は、第1のジカルボン酸成分(A1)と、芳香族ジカルボン酸成分および/または芳香族複素環式ジカルボン酸成分との割合であってもよい。
ジカルボン酸単位(または成分)は、2,5-フランジカルボン酸単位(または成分)を含んでいればよく、例えば、2,5-フランジカルボン酸単位[または第1のジカルボン酸成分(A1)]の割合は、ジカルボン酸単位(または成分)全体[(A1)+(A2)]に対して、10~100モル%(例えば20~98モル%)、好ましくは25~100モル%(例えば30~95モル%)、さらに好ましくは40~100モル%(例えば50~90モル%)であってもよく、より好ましくは60~100モル%(例えば75~100モル%)であってもよい。ジカルボン酸単位は2,5-フランジカルボン酸単位(100モル%)であってもよい。
[ジアミン単位(または成分)]
ジアミン単位に対応するジアミン成分(B)は、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン単位に対応するフルオレン含有ジアミン成分(B1)を含んでいればよい。
フルオレン含有ジアミン成分(B1)は、9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するジアミンであれば特に限定されないが、前記式(I)で表される単位に対応するジアミンが好ましい。
前記式(I)において、環ZおよびZで表されるアレーン環には、単環式または多環式アレーン環が含まれ、多環式アレーン環には、縮合多環式アレーン環および環集合アレーン環が含まれる。
単環式アレーン環としては、例えば、ベンゼン環が例示でき、縮合多環式アレーン環としては、例えば、縮合二環式アレーン環(例えば、ナフタレンなどの縮合二環式C10-16アレーン環)、縮合三環式アレーン環(例えば、アントラセン、フェナントレンなどの縮合三環式C12-16アレーン環)などの縮合二ないし四環式C10-20アレーン環などが挙げられる。好ましい縮合多環式芳香族炭化水素環は、縮合二ないし三環式C10-16アレーン環、例えば、ナフタレン環、アントラセン環、特に、ナフタレン環であってもよい。
環集合芳香族炭化水素環(環集合アレーン環)としては、例えば、ビアレーン環、例えば、ビフェニル環、ビナフチル環、フェニルナフタレン環(1-フェニルナフタレン環、2-フェニルナフタレン環など)などのビC6-12アレーン環、テルアレーン環、例えば、テルフェニレン環などのテルC6-12アレーン環などが挙げられる。好ましい環集合芳香族炭化水素環は、環集合C12-18アレーン環、例えば、ビC6-10アレーン環、特にビフェニル環などであってもよい。
これらのうち、ベンゼン環、多環式C10-20アレーン環(例えば、C10-14アレーン環、特に、ナフタレン環およびビフェニル環)が好ましく、ベンゼン環が特に好ましい。環ZおよびZは、同一または異なって、ベンゼン環またはナフタレン環である場合が多い。なお、2つの環ZおよびZは同一のまたは異なる環であってもよく、通常、同一の環であってもよい。
置換基R1aおよびR1bは、ジカルボン酸成分(A)との反応に不活性な置換基であればよく、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルキル基、好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基、さらに好ましくは直鎖状または分岐鎖状C1-4アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5-10シクロアルキル基など)、アリール基[フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル(またはトリル)基、ジメチルフェニル(またはキシリル)基など)、ビフェニル基、ナフチル基などのC6-12アリール基]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6-10アリール-C1-4アルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n-ブトキシ基、イソブトキシ基、t-ブトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-10アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(例えば、シクロへキシルオキシ基などのC5-10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基などのC6-10アリールオキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルオキシ基など)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、n-ブチルチオ基、t-ブチルチオ基などのC1-10アルキルチオ基など)、シクロアルキルチオ基(例えば、シクロへキシルチオ基などのC5-10シクロアルキルチオ基など)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ基などのC6-10アリールチオ基など)、アラルキルチオ基(例えば、ベンジルチオ基などのC6-10アリール-C1-4アルキルチオ基など)、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのC1-6アルキル-カルボニル基など)、アシル基(例えば、アセチル基などのC1-6アシル基など)、ニトロ基、シアノ基、ジアルキルアミノ基(例えば、ジメチルアミノ基などのジC1-4アルキルアミノ基など)、ジアルキルカルボニルアミノ基(例えば、ジアセチルアミノ基などのジC1-4アルキル-カルボニルアミノ基など)などが挙げられる。
これらのうち、代表的な基R1aおよびR1bには、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アシル基、ニトロ基、シアノ基、置換アミノ基などが挙げられる。好ましい基R1aおよびR1bとしては、アルキル基(メチル基などの直鎖状または分岐鎖状C1-6アルキル基など)、アリール基(フェニル基などのC6-10アリール基)、アルコキシ基(メトキシ基などの直鎖状または分岐鎖状C1-4アルコキシ基など)など、特にC1-4アルキル基(例えば、メチル基)が挙げられる。なお、基R2aおよびR2bがアリール基であるとき、基R2aおよびR2bは、それぞれ、環ZおよびZとともに、前記環集合アレーン環を形成してもよい。基R2aおよびR2bの種類は、同一のまたは異なる環ZおよびZにおいて、同一または異なっていてもよい。
置換数m1およびm2は、環ZおよびZの種類などに応じて、0または1~4の整数、例えば0~3(例えば0~2)、好ましくは0または1(例えば0)であってもよい。特に、m1およびm2が1または2である場合、環Z1aおよびZ1bがベンゼン環、R2aおよびR2bがメチル基であってもよく、m1およびm2が1である場合、環Z1aおよびZ1bがナフタレン環またはビフェニル環、R1aおよびR1bがメチル基であってもよい。なお、基R1aおよびR1bの置換位置は、特に限定されない。
基R2aおよびR2bとしては、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基などのC1-6アルキル基)、アリール基(例えば、フェニル基などのC6-10アリール基)などが挙げられる。これらの基R3aおよびR3bのうち、C1-4アルキル基(特に、メチル基)が好ましい。なお、基R3aおよびR3bの種類は、同一または異なっていてもよく、置換数n1およびn2が2以上である場合、基R2aおよびR2bの種類は、それぞれ、フルオレン環のベンゼン環上において、同一または異なっていてもよい。
置換数n1およびn2は0~4の整数から選択でき、好ましくは0~1、特に0である。なお、置換数n1およびn2は、互いに同一または異なっていてもよい。また、基R2aおよびR2bの置換位置は、特に限定されず、例えば、フルオレン環の2-位ないし7-位(2-位、7-位、2-および7-位など)であってもよい。
前記式(I)で表されるジアミン単位に対応する代表的なジアミン成分としては、以下のような化合物が挙げられる。
前記式(I)で表され、環ArおよびArがベンゼン環である単位に対応する化合物としては、例えば、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン;9,9-ビス(4-アミノ-2-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(3-アミノ-6-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(2-アミノ-4-メチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3-t-ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(C1-6アルキルアミノフェニル)フルオレンなど;9,9-ビス(4-アミノ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-2,6-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-アミノ-3,5-ジ-t-ブチルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(ジC1-6アルキルアミノフェニル)フルオレンなど;9,9-ビス(4-アミノ-3-シクロヘキシルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(C5-10シクロアルキルアミノフェニル)フルオレンなど;9,9-ビス(4-アミノ-3-フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9-ビス(C6-10アリールアミノフェニル)フルオレンなどが挙げられる。
前記式(I)で表され、環ArおよびArがナフタレン環である単位に対応する化合物としては、例えば、9,9-ビス(2-アミノ-6-ナフチル)フルオレン、9,9-ビス[1-アミノ-5-ナフチル)]フルオレンなどの9,9-ビス(アミノナフチル)フルオレンなどが挙げられる。
ジアミン成分(B)は、フルオレン含有ジアミン成分(第1のジアミン成分)(B1)に加えて、さらにフルオレン含有ジアミン成分以外の芳香族ジアミン成分(他の芳香族ジアミン成分)、脂肪族ジアミンおよび脂環族ジアミンからなる群より選択された少なくとも一種の第2のジアミン成分(B2)を含んでいてもよい。
他の芳香族ジアミン成分としては、例えば、アレーンジアミン(例えば、m-フェニレンジアミン、p-フェニレンジアミンなどのC6-10アレーンジアミン)、アミノアルキル-アミノアレーン[例えば、α-(3-アミノフェニル)エチルアミンなどのアミノC1-4アルキル-アミノC6-10アレーンなど]、ビス(アミノアルキル)アレーン[例えば、m-キシリレンジアミン、p-キシリレンジアミンなどのビス(アミノC1-4アルキル)C6-10アレーン]などが挙げられる。これらの芳香族ジアミン成分は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
脂肪族ジアミン成分としては、例えば、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、2-メチルオクタメチレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミンなどの直鎖状または分岐鎖状C2-20アルキレンジアミンなどが挙げられる。
脂環族ジアミン成分としては、例えば、ジアミノシクロヘキサンなどのジアミノシクロアルカン(ジアミノC5-10シクロアルカンなど);ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ビス(4-アミノ-3-メチルシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(4’-アミノシクロヘキシル)プロパンなどのビス(アミノシクロアルキル)アルカン[ビス(アミノC5-8シクロアルキル)C1-3アルカンなど];水添キシリレンジアミンなどが挙げられる。
これらの第2のジアミン成分(B2)は単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、C6-10アレーンジアミンなどの芳香族ジアミン成分が好ましい。
第1のジアミン成分(B1)と第2のジアミン成分(B2)との割合は、前者/後者(モル比)=100/0~10/90、好ましくは100/0~50/50、さらに好ましくは100/0~70/30、より好ましくは100/0~80/20、最も好ましくは100/0~90/10である。ジアミン単位(または成分)は、前記式(I)で表される単位に対応するジアミンを含むのが特に好ましく、前記割合は、前記式(I)で表される単位に対応するジアミンと第2のジアミン成分(B2)の割合であってもよい。
ジアミン単位(または成分)は、フルオレン含有ジアミン単位(または成分)を含んでいればよく、例えば、フルオレン含有ジアミン単位[または第1のジアミン成分(B1)]の割合は、ジアミン単位(または成分)全体[(B1)+(B2)]に対して、10~100モル%(例えば20~98モル%)、好ましくは25~100モル%(例えば30~95モル%)、さらに好ましくは40~100モル%(例えば50~90モル%)であってもよく、より好ましくは60~100モル%(例えば75~100モル%)であってもよい。ジアミン単位はフルオレン含有ジアミン単位(100モル%)であってもよく、前記式(I)で表される単位(100モル%)であってもよい。
[他の単位]
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、必要であれば、アミノカルボン酸成分[アミノカルボン酸(例えば、6-アミノカプロン酸、12-アミノドデカン酸など)、ラクタム(ε-カプロラクタムなど)など]を重合成分として含んでいてもよい。このようなアミノカルボン酸成分の割合は、例えば、ジカルボン酸成分(A)1モルに対して0.5モル以下、好ましくは0.3モル以下、さらに好ましくは0.2モル以下、特に0.1モル以下であってもよい。
[芳香族ポリアミド系樹脂]
芳香族ポリアミド系樹脂において、ジカルボン酸単位(A)とジアミン単位(B)との割合(モル比)は、前者/後者=10/90~90/10程度の範囲から選択できるが、反応性の点から、例えば20/80~80/20、好ましくは40/60~60/40であり、実質的に等モルが特に好ましい。なお、前記ジカルボン酸単位(A)とジアミン単位(B)との割合は、反応系への仕込みモル比に対応させてもよい。
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂の還元粘度nsp/c(dL/g)は、温度30℃でオストワルド粘度計を用いて測定したとき、0.05~10程度の範囲から選択でき、例えば0.1~3、好ましくは0.2~2、さらに好ましくは0.3~1、より好ましくは0.5~0.8である。還元粘度が小さく、分子量が低すぎると、機械的特性が低下する虞があり、逆に高すぎると、生産性が低下する虞がある。
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、結晶性が低く、粉末X線回折装置を用いて測定すると、非晶性であることを示すハローが観察される場合が多い。特に、2,5-フランジカルボン酸成分(A1)の割合が高い芳香族ポリアミド系樹脂や、フルオレン含有ジアミン成分(B1)の割合が高い芳香族ポリアミド系樹脂は、非晶性である。
芳香族ポリアミド系樹脂は、耐熱性が高く、例えば、窒素雰囲気下、熱重量測定器(TGA)で測定したとき、芳香族ポリアミド系樹脂の5%重量減少温度(Td5)は、250℃以上(例えば250~550℃)であってもよく、好ましくは300~530℃、さらに好ましくは400~520℃、より好ましくは450~500℃である。また、芳香族ポリアミド系樹脂の10%重量減少温度(Td10)は、300℃以上(例えば300~600℃)であってもよく、好ましくは350~550℃、さらに好ましくは400~530℃、より好ましくは430~520℃、最も好ましくは450~510℃である。さらに、芳香族ポリアミド系樹脂の900℃での重量残存率は10質量%以上であってもよく、好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、高い透明性を有しており、厚み20μmのフィルムにおいて、480nm以上の波長で20%以上(例えば20~100%)、好ましくは30%以上(例えば30~90%)、さらに好ましくは40%以上(例えば40~80%)の透過率を示す。
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、芳香環を有していても、複素芳香環として2,5-フランジカルボン酸単位を有するため、有機溶媒に対する溶解性が高く、2,5-フランジカルボン酸単位とフルオレン含有ジアミン単位とを組み合わせると、有機溶媒に対する溶解性をより向上できる。本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、例えば、25℃、1質量%の濃度において、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなど)および/またはスルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)に可溶であるのが好ましく、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドからなる群より選択された少なくとも一種の溶媒に可溶であるのがさらに好ましく、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドに可溶であるのがより好ましい。
また、本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、特定の溶媒に対して溶媒溶解性を有するとともに、耐薬品性に優れるため、汎用の溶媒に対する耐溶剤性にも優れ、例えば、水、アルコール(メタノール、エタノール、イソプロパノールなど)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロエタンなど)、鎖状エーテル類(ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテルなど)、環状エーテル類(テトラヒドロフランなど)、ケトン類(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのジアルキルケトン、シクロヘキサノンなどのシクロアルカノンなど)、エステル類(酢酸エチル、酢酸ブチルなどの酢酸エステルなど)、炭化水素(例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、シクロヘキサンなどの脂環族炭化水素、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素など)に不溶であるのが好ましい。
[芳香族ポリアミド系樹脂の製造方法]
前記芳香族ポリアミド系樹脂は、2,5-フランジカルボン酸ジクロライド(A1)を含むジカルボン酸成分(A)と、芳香族ジアミン成分(B1)を含むジアミン成分(B)とを反応(重合または縮合)させることにより製造できる。
重合方法(製造方法)としては、慣用の方法、例えば、溶融重合法(または溶融重縮合法、ジカルボン酸成分(A)とジアミン成分(B)とを溶融混合下で重合させる方法)、溶液重合法(または溶液重縮合法)、界面重合法(または界面重縮合法)などが挙げられる。これらのうち、溶液重合法が好ましい。
反応は、重合促進剤、例えば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)、アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウム、バリウムなど)、遷移金属(マンガン、亜鉛、カドミウム、鉛、コバルトなど)、周期表第13族金属(アルミニウムなど)、周期表第14族金属(ゲルマニウムなど)、周期表第15族金属(アンチモンなど)などを含む化合物の存在下で行ってもよい。金属化合物としては、アルコキシド、有機酸塩(酢酸塩など)、無機酸塩(ホウ酸塩、炭酸塩など)、金属塩化物、金属酸化物などが挙げられる。これらの重合促進剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
これらのうち、芳香族ポリアミド系樹脂の分子量を安定的に向上できる点から、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウムなどの金属塩化物、酸化カルシウムなどの金属酸化物が好ましく、塩化リチウムなどのアルカリ金属塩化物が特に好ましい。
重合促進剤は、予め不活性ガス(窒素、ヘリウムなど)雰囲気中で乾燥処理してもよい。乾燥温度は、例えば50~200℃、好ましくは80~150℃、さらに好ましくは100~140℃である。乾燥処理は減圧下で行ってもよい。
重合促進剤の割合は、ジカルボン酸成分(A)およびジアミン成分(B)の合計100質量部に対して、例えば1~100質量部、好ましくは5~80質量部、さらに好ましくは10~50質量部、より好ましくは20~45質量部である。なお、重合促進剤の使用量が多くなると、高分子量の芳香族ポリアミド系樹脂が生成し易くなる場合がある。
反応は、重合方法に応じて、溶媒の存在下または非存在下で行ってもよいが、溶液重合などにおいて、溶媒の存在下で反応するのが好ましい。溶媒としては、ジカルボン酸成分(A)およびジアミン成分(B)を溶解可能であれば特に限定されないが、極性溶媒が好ましい。極性溶媒としては、例えば、エーテル類(例えば、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサンなどの環状エーテル類など)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトンなどの鎖状ケトン類;シクロヘキサノンなどの環状ケトン類など)、ハロゲン含有溶媒(例えば、ジクロロメタン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素類)、アミド類(例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドンなど)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド)などが挙げられる。これらの溶媒は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。これらのうち、アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)、スルホキシド類(ジメチルスルホキシドなど)がさらに好ましく、ジメチルアセトアミドなどのアミド類がより好ましい。
反応温度は、例えば-20℃~120℃、好ましくは0~100℃、さらに好ましくは30~90℃、より好ましくは40~80℃、最も好ましくは50~70℃である。反応時間は、ジカルボン酸成分とジアミン成分との組み合わせにより、任意に設定できるが、例えば0.1~12時間、好ましくは0.5~10時間、さらに好ましくは1~5時間、より好ましくは2~4時間である。
反応は、必要に応じて、安定剤(酸化防止剤など)などの添加剤の存在下で行ってもよい。反応は、空気中で行ってもよく、不活性ガス(窒素、ヘリウムなど)雰囲気中で行ってもよい。また、反応における圧力は、常圧下および減圧下のいずれでもよい。
このようにして生成した芳香族ポリアミド系樹脂は、慣用の分離方法、例えば、有機溶媒に溶解した状態で、貧溶媒に投入する再沈殿法など方法で精製してもよい。
[用途]
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、所定の有機溶媒に対する溶解性が高い。そのため、本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、有機溶媒を含む組成物、例えば、コーティング剤、塗料、インキなどとして利用できる。さらに、本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、必要により添加剤とともに、樹脂組成物(または樹脂成形体)を構成し、成形体を形成できる。そのため、本発明は、前記芳香族ポリアミド系樹脂またはその組成物で形成された成形体も含む。
なお、添加剤としては、種々の添加剤、例えば、充填剤または補強剤、着色剤(染顔料)、可塑剤、滑剤、安定剤(酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤など)、離型剤、帯電防止剤、導電剤、難燃剤、分散剤、流動調整剤、レベリング剤、表面改質剤、消泡剤、低応力化剤(シリコーンオイル、シリコーンゴム、各種プラスチック粉末、各種エンジニアリングプラスチック粉末など)、耐熱性改良剤(硫黄化合物やポリシランなど)、炭素材などが例示できる。これらの添加剤は、単独でまたは二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂または樹脂組成物は、所定の有機溶媒に可溶であるため、慣用の成膜方法、流延法またはキャスティング法(溶剤キャスト法)などの方法によって、成膜(または成形)することにより、二次元的構造(フィルム状、シート状、板状など)に成形してもよい。フィルムは、延伸フィルムであってもよい。なお、このような延伸フィルムは、一軸延伸フィルムまたは二軸延伸フィルムのいずれであってもよい。
前記成形体の形状は、二次元的構造に限定されず、用途に応じて選択でき、例えば、一次元的構造(繊維状など)や、三次元的構造(管状、チューブ状、棒状、中空状、ハウジング状、ケーシング状など)などであってもよい。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、得られた芳香族ポリアミド系樹脂の特性および評価は以下のようにして測定した。
(1)赤外分光分析(FT-IR)
赤外分光光度計(JASCO社製「FT/IR-400」)を使用して4000cm-1から500cm-1までの波数範囲でKBr錠剤法で測定した。
(2)核磁気共鳴分光分析(NMR)
核磁気共鳴分光分析器(日本電子(株)製「AL300 SC-NMR」、H共鳴周波数300MHz)で測定した。
(3)還元粘度nsp/c(dL/g)
温度30℃でオストワルド粘度計(柴田科学(株)製「オストワルドNo.1」)を用いて測定した。
(4)熱重量分析(TGA)
熱重量測定計(パーキンエルマー(株)製「TGA-7」)を用い窒素雰囲気中、50℃から900℃まで昇温速度10℃/minで昇温し、5%重量減少温度、10%重量減少温度および900℃での残存重量を測定した。
(5)溶解性試験
濃度1質量%、25℃で試料の溶解性を以下の基準で評価した。
+:芳香族ポリアミドが溶媒に完全に溶解し、透明であった
±:芳香族ポリアミドが溶媒に一部溶解したが、表面に粉が浮き、フィルム成形しても使用できるレベルではなかった
-:芳香族ポリアミドが溶媒に溶解せず、不透明であった。
(6)可視・紫外分光測定(UV-Vis測定)
溶液キャスト法によって、厚さ20μmのフィルムを調製した。これらのフィルムを可視紫外分光光度計(日本分光社製「V-700型」)に固定し、300cm-1から800cm-1までの波数範囲で測定した。
(7)広角X線回折測定(WAXS)
試料板に0.1g程の試料を測定表面が平らになるように充填し、粉末X線回折装置(RIGAKU社製の「Gaiger Flex」)を用いて回折角度2θを5°から50°まで検出速度1°/minで測定を行った。35kV、15mAで発生させたX線をグラファイトモノクロメーターで単色化したCuKα線を用いて強度プロファイルを得た。
実施例1
50mL三口フラスコの主管に栓をし、側管を窒素ボンベ、ロータリーポンプと接続した。三口フラスコにLiCl 1.06gを入れ、窒素で置換し、減圧にした後、120℃で4日間乾燥した。窒素気流下で撹拌子を入れ、側管のポンプとの接続をはずし、温度計に切り替え、三口フラスコに、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン(BAF)1.74g(5.0mmol)およびジメチルアセトアミド(DMAc)10mLを添加した。固体の溶解を確認した後、氷浴で5℃以下に冷却し、2,5-フランジカルボン酸ジクロライド(FDCC)0.96g(5.0mmol)を添加し、スターラーで攪拌しながら60℃に加熱し、3時間で反応を終了した。フラスコに、DMAc 20mLを入れて溶解させ、メタノール500mLで再沈殿し、析出物をろ過し、減圧下120℃で6時間乾燥し、芳香族ポリアミド(PFBAF)を得た。得られた芳香族ポリアミドの特性を以下に示す。
FT-IR(KBr)(ν/cm-1);3160-2900(芳香環、C-H伸縮)、1664(アミド、C=O伸縮、N-H変角)、1600(芳香環、C=C環伸縮)、1510(芳香環、C=C環伸縮)、1404(C-N伸縮)、1254(フラン環、C-O-C逆対称伸縮)、1018(フラン環、C-O-C対称伸縮)、749(芳香環、C-H面外変角)。
H-NMR(DMSO-d,δ/ppm);10.32(s,2H)、7.93(s,2H)、7.63-7.62(d,4H)、7.47-7.32(t,8H)、7.14-7.2(d,4H)。
還元粘度nsp/c;0.6dL/g。
比較例1
BAF 1.74g(5.0mmol)をパラフェニレンジアミン(PPD)0.54g)(5.0mmol)に変更する以外は実施例1と同様の条件で重合を行うことで、芳香族ポリアミド(PTBAF)を合成した。
比較例2
2,5-フランジカルボン酸ジクロライド(FDCC)0.96g(5.0mmol)をテレフタル酸ジクロライド1.02g(5.0mmol)に変更する以外は実施例1と同様の条件で重合を行うことで、芳香族ポリアミド(PFPPD)を合成した。
実施例1および比較例1~2で得られた芳香族ポリアミドの5%重量減少温度(Td5)、10%重量減少温度(Td10)および900℃での残存重量を測定した結果を表1に示す。
Figure 2024078923000003
表1の結果から明らかなように、実施例1で得られた芳香族ポリアミドは、高い耐熱性を示し、市販される汎用のアラミド繊維と比較しても遜色のない値であった。
実施例1および比較例1~2で得られた芳香族ポリアミドについて、ジメチルスルホキシド(DMSO)、DMAc、ジメチルホルムアミド(DMF)、テトラヒドロフラン(THF)、クロロホルム、エタノール(EtOH)、アセトン、トルエン、水に対する溶解性試験の結果を表2に示す。
Figure 2024078923000004
表2の結果から明らかなように、実施例1で得られた芳香族ポリアミドは、DMSO、DMAcおよびDMFの所定の溶媒に対して高い溶媒溶解性を有し、成形に優れる一方で、クロロホルムなどの汎用の溶媒に対しては溶解せず、耐薬品性にも優れていることが判明した。
実施例1および比較例1~2で得られた芳香族ポリアミドについて、DMAcに溶解し、キャスト法によって厚さ約20μmのフィルムを作製し、UV-Vis測定した結果を図1に示す。なお、比較例2の芳香族ポリアミドは表面に溶解しない粉が浮いていたため、ろ過して強引にフィルムを製造した。図1の結果から明らかなように、実施例1で得られた芳香族ポリアミドは、比較例1および2で得られた芳香族ポリアミドと比較して広範な波長範囲において高い透明性を有することが明らかとなった。特に、比較例2との差は顕著であった。
実施例1および比較例1~2で得られた芳香族ポリアミドの広角X線回折スペクトルを図2~4に示す。図2~4のハローから明らかなように、いずれの芳香族ポリアミドも非晶性であった。
本発明の芳香族ポリアミド系樹脂は、例えば、コーティング剤、塗料、インキ、電気・電子材料(プリント基板、光ケーブルの補強材など)、繊維材料(タイヤの補強材、ベルトの補強材、防弾チョッキなど)、建築材料(建材の補強材など)などに利用できる。

Claims (9)

  1. ジカルボン酸単位とジアミン単位との繰り返し単位を有する芳香族ポリアミド系樹脂であって、
    前記ジカルボン酸単位が、少なくとも2,5-フランジカルボン酸単位を含み、かつ
    前記ジアミン単位が、少なくとも9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するフルオレン含有ジアミン単位を含む、芳香族ポリアミド系樹脂。
  2. 前記フルオレン含有ジアミン単位が、下記式(I)で表される単位である請求項1記載の芳香族ポリアミド系樹脂。
    Figure 2024078923000005
    (式中、環Z1aおよびZ1bは独立してアレーン環を示し、R1a、R1b、R2aおよびR2bは独立して置換基を示し、m1およびm2は独立して0以上の整数を示し、n1およびn2は独立して0~4の整数を示す)
  3. 前記式(I)において、環Z1aおよびZ1bが独立してベンゼン環またはナフタレン環である請求項2記載の芳香族ポリアミド系樹脂。
  4. 前記ジカルボン酸単位が、前記2,5-フランジカルボン酸単位を10~100モル%の割合で含む請求項1~3のいずれか一項に記載の芳香族ポリアミド系樹脂。
  5. ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミドおよびジメチルホルムアミドからなる群より選択された少なくとも一種の溶媒に対して、25℃、1質量%濃度において可溶である請求項1~3のいずれか一項に記載の芳香族ポリアミド系樹脂。
  6. 非晶性である請求項1~3のいずれか一項に記載の芳香族ポリアミド系樹脂。
  7. ジカルボン酸クロライドとジアミンとを反応させて芳香族ポリアミド系樹脂を製造する方法であって、前記ジカルボン酸クロライドが2,5-フランジカルボン酸クロライドを含み、かつ前記ジアミンが9,9-ビスアリールフルオレン骨格を有するジアミンを含む、芳香族ポリアミド系樹脂の製造方法。
  8. 請求項1~3のいずれか一項に記載の芳香族ポリアミド系樹脂で形成された成形体。
  9. 請求項1~3のいずれか一項に記載の芳香族ポリアミド系樹脂を含む溶液をキャストして成形体を製造する方法。
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