JP5545172B2 - 結晶性ポリイミドの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は高分子量を有する溶媒可溶な結晶性ポリイミドの製造方法に関する。
ポリイミド樹脂は分子鎖の剛直性、共鳴安定化、強い化学結合によって、高熱安定性、高強度、高耐溶媒性を有する有用なエンジニアリングプラスチックであり、幅広い分野で応用されている。また結晶性を有しているポリイミドはその耐熱性、強度、耐薬品性をさらに向上させることができることから、金属代替等としての利用が期待されている。
しかし、ポリイミドの合成方法として多く用いられるものに、高温溶液重合や化学重合、あるいは原料を溶媒に仕込んだ後に、昇温し、ポリマーが析出してもそのままイミド化を進行させる懸濁重合(特許文献1参照)がある。しかしながら、高温溶液重合や化学重合では、ポリイミドの分子構造の高い安定性から、しばしば溶液中での不溶化が見られるため合成が困難となる。また、上記重合方法では、いずれも酸無水物を使用するため、反応仕込みの際の水分の徹底した除去が必要となるという問題もある。
これを改善するため、水を多量に含有した溶媒を用いた、ポリイミドの合成方法も開発されている (特許文献2参照)。しかしながら、この方法では水を多量に使用する(溶媒の80%以上)必要があるため、イミド化を行うための高温時に圧力の上昇を伴うという問題がある。
そこで、ポリイミドの合成には、固相で重合する方法が有効となる場合がある(非特許文献1参照)。固相重合では溶媒を必要としないため、溶媒の選定は必要とならず、さらに固相重合に用いるナイロン塩型モノマーの原料としては、テトラカルボン酸やそのジエステル体を使用することができるため、非常に簡便である。
ところが固相重合によって得られるポリイミドは本来溶媒に溶解するような構造を有していながら濃硫酸にすらも不溶化するという問題がしばしば発生した。この現象は、分子間相互作用の強いポリイミドが、固相という、より接近した状態で存在するために、平面状のイミド基が直線的または平面的に配列し、剛直分子を形成し、分子の会合状態を解くことが不可能な程、強固な固まりとなっているためと考えられる(非特許文献2参照)。また、固相重合では分子の運動が制御されるため、構造によって分子量が増加しないという問題も見られた。
一方で、ポリイミドに高い結晶性を付与することは、その耐熱性、機械物性をより向上させることが可能となる。長直鎖の脂肪族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸からなるポリイミドは、直鎖脂肪族部位がソフトセグメント、芳香族部位がメソゲンとなり液晶性を示し、さらに冷却時にも規則的な配列は保たれ、高結晶性ポリイミドとなり得る(非特許文献1参照)。
しかしながら明確にソフトセグメントを有していないポリイミドに、成型時にも即座に結晶化するような速い結晶化速度を発現させるには、精密な分子設計を行うことが必要となり (特許文献3参照)、また、結晶性を有していても結晶化速度が遅いポリイミドの場合には、結晶化に長時間のアニールや(特許文献4参照)、早い結晶化速度をもともと有しているポリイミドの添加(特許文献5参照)等が必要となることも問題となる。
特許第2950489号公報 特開平2001−181389号公報 特開昭62―236858号公報 特開平10―152558号公報 特許第3708348号公報
Macromolecules, 28, 6368, 1995 「次世代のエレクトロニクス・電子材料に向けた新しいポリイミドの開発と高機能付与技術」, 技術情報協会,p53, 2003
本発明の目的は、従来技術における上記したような課題を解決し、結晶性で溶媒可溶であり、高分子量となるポリイミドを簡便に得ることが可能な製造方法を提供することにある。
本発明者らは、前記の三つの特徴(高結晶性、溶媒可溶性、高分子量)について鋭意研究を重ねた結果、ナイロン塩型モノマーを、第一段階として固相重合を行った後、続いて第二段階において懸濁重合させることで、目的とする特徴を発現しうることを見いだし本発明に到達した。
すなわち、本発明は、テトラカルボン酸あるいはそのアルキルエステル体(アルキル基は炭素数1〜5)とジアミンとからなるナイロン塩型モノマーを、第一段階として固相重合を行った後、続いて第二段階において貧溶媒中で、固相重合温度より高い温度において懸濁重合させるポリイミドの製造方法である。
さらに本発明は、ピロメリット酸と脂肪族環を有するジアミンとから得られる下記(1)〜(3)の性状を有するポリイミドである。
(1)示差走査型熱量計で測定される20℃/minにおける降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以上である。
(2)25℃において濃硫酸(96%)20mlに0.1g以上溶解する。
(3)濃硫酸(96%)を溶媒として用い、濃度0.5g/dl、30℃で測定した対数粘度の値が1.0dl/g以上である。
本発明の製造方法によって、結晶性を付与し、溶媒溶解性を向上させ、また分子量を増加させることが可能となった。
本発明ではテトラカルボン酸あるいはそのアルキルエステル体(アルキル基は炭素数1〜5)とジアミンとからなるナイロン塩型モノマーをポリイミド原料として用いる。ナイロン塩型モノマーは再結晶により精製されたものであることが好ましい。
テトラカルボン酸としては脂肪族テトラカルボン酸、芳香族テトラカルボン酸のいずれも使用できるが、脂肪族環あるいは芳香族環を含んでいることが好ましい。テトラカルボン酸のアルキルエステル体(アルキル基は炭素数1〜5)を用いる場合、アルキル基の炭素数は1〜3が好ましい。また、テトラカルボン酸のアルキルエステル体(アルキル基は炭素数1〜5)としてはジアルキルエステル体が好ましい。
例えば、シクロブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロペンタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、ピロメリット酸、3, 3’,4, 4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ナフタレン-1,4,5,8-テトラカルボン酸等が推奨され、それらのアルキルエステル体を使用することも可能である。これらのうち、ピロメリット酸、シクロヘキサン-1,2,4,5-テトラカルボン酸、3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が好適に使用できる。
ジアミンとしては、直鎖脂肪族ジアミン、その他の脂肪族ジアミン、芳香族ジアミンのいずれも使用できるが、脂肪族環あるいは芳香族環を含んでいることが好ましい。
例えば、1,4-フェニレンジアミン、1,3-フェニレンジアミン、2,4-トルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、α,α’-ビス(4-アミノフェニル)1,4-ジイソプロピルベンゼン、α,α’-ビス(3-アミノフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、2,6-ジアミノナフタレン、1,5-ジアミノナフタレン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、デカンジアミン、ドデカンジアミン、ポリエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、ポリプロピレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、p-キシリレンジアミン、m-キシリレンジアミン、シロキサンジアミン類、4, 4’-ジアミノジシクロヘキシルメタン、4,4'-メチレンビス(2-メチルシクロヘキシルアミン)、イソフォロンジアミン、ノルボルナンジアミン、ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等が推奨される。これらのうち、1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ヘキサメチレンジアミン、ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン等が好適に使用できる。
第一段階の固相重合条件としてはTG/DTA(10℃/分)測定において、イミド化が進行し重量減少が開始する温度からイミド化が完結する温度の範囲内で行うのが好ましい。固相重合における加熱温度が高すぎると溶媒可溶性が低下する傾向が見られるため好ましくない。固相重合時間は10〜120分行うのが好ましく、特に40〜80分行うのがより好ましい。加熱雰囲気としては空気中で行うことも可能であるが、好ましくは窒素雰囲気、真空下等の酸素を含まない状態で行う。
第二段階において貧溶媒中で、固相重合温度より高い温度、好ましくは前記イミド化が完結する温度以上において懸濁重合を行う。貧溶媒は固相重合後に得られる固体が常温で溶解しない溶媒であり、より好ましくは懸濁重合温度においても固体が溶解しない溶媒であり、さらに好ましくは固相重合後に得られる固体と親和性の高い溶媒である。貧溶媒としては2種類以上の混合溶媒系とすることも可能であり、貧溶媒が親水性である場合には本来ポリイミドの重合に悪影響を与える水を添加することも可能となる。また、高沸点溶媒を用いることも可能であるため、200℃を超えるような高温においても、反応容器内の圧力を低く抑えることが可能である。これら貧溶媒の例としては水、ベンゼン、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、メチルグリコール、メチルトリグリコール、ヘキシルグリコール、フェニルグリコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノイソブチルエーテル、メチルプロピレングリコール、メチルプロピレンジグリコール、プロピルプロピレングリコール、フェニルプロピレングリコール、N-メチル-2-ピロリドン、N, N-ジメチルアセトアミド、N, N-ジエチルアセトアミド、N, N-ジメチルホルムアミド、N, N-ジエチルホルムアミド、N-メチルカプロラクタム、ヘキサメチルホスホルアミド、テトラメチレンスルホン、ジメチルスルホキシド、m-クレゾール、フェノール、p-クロルフェノール、2-クロル-4-ヒドロキシトルエン、ジグライム、トリグライム、テトラグライム、ジオキサン、γ-ブチロラクトン、ジオキソラン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、ジブロモメタン、トリブロモメタン、1,2-ジブロモエタン、1,1,2-トリブロモエタン等が挙げられるが、これらに限定されない。
上記懸濁重合において、加圧系で重合を行うことも可能であり、沸点がイミド化完結温度以下の貧溶媒を使用する際に有用であるが、懸濁重合中は溶媒とポリイミドが接触していないと本発明の特徴が発現しにくい傾向がある。すなわち、強い疎水性を持つポリイミドに水単独溶媒という組み合わせは、使用することは可能であるが好ましくはない。
本願発明の製造方法をピロメリット酸と脂肪族環を有するジアミンとから得られるポリイミドの製造に適用すると下記の(1)〜(3)の性状を有するポリイミドを得ることができる。
(1)示差走査型熱量計で測定される20℃/minにおける降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以上である。
(2)25℃において濃硫酸(96%)20mlに0.1g以上溶解する。
(3)濃硫酸(96%)を溶媒として用い、濃度0.5g/dl、30℃で測定した対数粘度の値が1.0dl/g以上である。
次に実施例を挙げて本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。また、各実施例における物性の評価は以下に示す方法により測定した。
対数粘度μは得られたポリイミドを140〜180℃で2時間乾燥した後、ポリイミド0.1gを濃硫酸(96%、関東化学品)20mlに溶解し、キャノンフェンスケ粘度計を使用して30℃において測定を行った。対数粘度の値を分子量の指標とし、対数粘度が上昇した場合に分子量が上昇したと判断した。対数粘度μは下記式により求めた。
μ=ln(ts/t0)/C
t0: 溶媒の流れる時間
ts : 希薄高分子溶液の流れる時間
C : 0.5g/dl
結晶性についてはエスアイアイ・ナノテクノロジー製示差走査熱量計装置(DSC-6220)において評価を行い、その測定条件は窒素雰囲気下、昇温10℃/min、冷却20℃/min、再昇温10℃/minの1サイクルである。なお、基本的な考えとして、結晶化し結晶化度の高いポリマーは非晶部分が少なくなるためTgが観測されにくくなる。また、本発明によって合成直後に結晶化しているポリマーでも、結晶化速度が遅いものは、本DSC測定においては一度溶融すると再びTcが観測されることは無い。
イミド化開始温度およびイミド化完結温度はエスアイアイ・ナノテクノロジー製示差熱・熱重量同時測定装置(TG/DTA-6200)において、窒素雰囲気下、昇温10℃/minで測定を行った際に、重量減少が初めに観測される温度および重量減少が見られなくなる温度を示している。
[実施例1]
反応器中でピロメリット酸(三菱ガス化学製)70.0g(0.28mol)をメタノール(三菱ガス化学製)/水=1/1の混合溶媒500ml中に溶解し65℃とした。1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学製)39.2g(0.28mol)をメタノール/水=1/1の混合溶媒300mlに溶解させたものを反応器中に滴下し、発熱がとまった後に室温まで冷却した。析出してきた結晶をろ過し、80℃で加熱乾燥し、ナイロン塩型モノマー(ナイロン塩型モノマー1)102g(収率93%)を得た。イミド化開始温度は210℃、イミド化完結温度は249℃であった。
得られたナイロン塩型モノマー1、150gを熱風乾燥機の中に入れ、空気雰囲気下で220℃まで昇温した。220℃まで昇温してから1時間後に反応物を取り出し、3lオートクレーブ中に投入した。
さらに貧溶媒として2-(2-メトキシエトキシ)エタノール(キシダ化学製)1200gとイオン交換水300gを加え、密閉した後に、窒素置換を行った。250℃まで昇温し、ゲージ圧2.2MPaとなったところから2時間反応を行った後、回収、ろ過、洗浄を行い、さらに乾燥機で140℃、2時間乾燥を行い、116gのポリイミド1を得た。このポリイミド1をDSC測定した結果、昇温1度目にはTmが400℃に観測されるのみであり、Tg、Tcは観測されなかった(高い結晶化度を有している)。冷却時にはTcが340℃(発熱量18.6J/g)に観測され、高い結晶性を有していることが確認された。また、昇温2度目ではTgが260℃、Tmが400℃に観測された。また、対数粘度を測定したところ、1.6dl/gであった。
[比較例1]
ナイロン塩型モノマー1を固相重合のみを行った場合の比較例を以下に示す。
ナイロン塩型モノマー1、150gを加熱乾燥機の中に入れ、窒素雰囲気下とした後に250℃まで昇温した。2時間後に反応物を取り出し(ポリイミド1-2)、物性を評価した。対数粘度はポリイミド1-2が濃硫酸にも不溶化するため測定が不可能であった。DSC測定では昇温1度目にはTgが260℃、Tcが340℃、Tmが400℃に観測されるがTc、Tmは微弱なものであった。また、冷却時にTcは観測されなかった。昇温2度目では昇温1度目同様のピークが観測された。本発明の製造方法である実施例1で得られたポリイミド1に比べ結晶性、溶解性に顕著な差が見られた。
[比較例2]
ピロメリット酸二無水物(三菱ガス化学製) 196g(0.899mol)とイソプロピルアルコール(関東化学製) 505gを3lオートクレーブ中に投入した。80℃、3時間、加熱攪拌した後、50℃まで冷却した。冷却後、シリンジによって1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン128g(0.899mol)とイオン交換水 252gを導入し、220℃まで昇温した後、2時間攪拌した。室温まで冷却後、回収、ろ過、洗浄を行い、さらに真空乾燥機で100℃、18時間乾燥を行い、243gのポリイミド1-3を得た。DSC測定した結果、昇温1度目ではTg、Tcが観測されず、Tmが400℃であった。冷却時にはTcは観測されず、また、昇温2度目においてもTc、Tmは観測されずに、Tgのみが観測されたため、本発明の製造方法で得られたポリイミド1に比べ結晶性の顕著な差が確認された。対数粘度は、1.7dl/gであった。
[実施例2]
反応器中でピロメリット酸5.16g(0.0443mol)をメタノール30ml中に溶解した。ビス(アミノメチル)トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン(セラニーズケミカルズ品)7.50g(0.0443mol)をメタノール30mlに溶解させたものを反応器中に滴下し、発熱がとまった後に室温まで冷却した。得られた溶液をエタノール(関東化学製)300ml中に滴下して固体を析出させ、ろ過によって回収した。回収した固体をエタノール/水=2/1混合溶媒95mlによって再結晶し、析出してきた結晶をろ過した後、80℃で加熱乾燥し、目的とするナイロン塩型モノマー(ナイロン塩型モノマー2)4.43g(収率35%)を得た。イミド化開始温度は204℃、イミド化完結温度は241℃であった。
得られたナイロン塩型モノマー2、1.0gを加熱乾燥機の中に入れ、窒素雰囲気下とした後に220℃まで昇温した。220℃まで昇温してから1時間後に反応物を取り出し、20mlオートクレーブ中に投入した。
さらに貧溶媒として2-(2-メトキシエトキシ)エタノール8gとイオン交換水1gを加え、密閉した後に、窒素置換を行った。250℃まで昇温し、ゲージ圧1.5MPaとなったところから2時間反応を行った後、回収、ろ過、洗浄を行い、さらに乾燥機で180℃、2時間乾燥を行い、ポリイミド2を得た。このポリイミド2をDSC測定した結果、昇温一度目ではTg、Tcは観測されずTmが360℃に観測されたことから結晶化したポリイミドが得られたことが確認された。冷却時にはTcは観測されず、昇温二度目にはTgのみが272℃に観測された。また、対数粘度を測定したところ、0.74dl/gであった。
[比較例3]
ナイロン塩型モノマー2を固相重合のみを行った場合の比較例を以下に示す。ナイロン塩型モノマー2を使用した以外は比較例1と同様の方法でポリイミド2-2を合成し、物性を評価した。対数粘度はポリイミドが濃硫酸にも不溶化するため測定が不可能であった。DSC測定では昇温一度目、冷却時、昇温二度目の各段階においても、Tgが270℃に観測されるのみでありTm、Tcは存在せず、本発明の製造方法で得られたポリイミド2に比べ結晶性、溶解性に顕著な差が見られた。
参考例1
反応器中でピロメリット酸5.0g(0.0197mol)をメタノール40ml中に溶解した。1,6-ヘキサメチレンジアミン(和光純薬製)2.3g(0.0197mol)をメタノール40mlに溶解させたものを反応器中に滴下し、ナイロン塩型モノマーを析出させ、発熱がとまった後に室温まで冷却した。得られた固体をろ過によって回収し、80℃で2時間乾燥した。回収した固体を水60ml、90℃まで加熱し溶解させ再結晶を行った。ろ過によって結晶を回収し、80℃で加熱乾燥し、目的とするナイロン塩型モノマー(ナイロン塩型モノマー3)6.9g(収率95%)を得た。イミド化開始温度は237℃、イミド化完結温度は267℃であった。
ナイロン塩型モノマー3を用い、固相重合温度を230℃とした以外は実施例2と同様の方法で合成を行い、ポリイミド3を得た。得られたポリイミド3をDSC測定した結果、昇温一度目ではTg、Tcは観測されずTmが455℃に観測された。冷却時には389℃にピークトップを持つTc(発熱量21.5J/g)ピークが観測された。昇温2度目にはTgは観測されず、Tmが413℃に観測された。また、対数粘度を測定したところ、2.1dl/gであった。
参考例2
ナイロン塩型モノマー3を固相重合のみを行った場合の参考例を以下に示す。ナイロン塩型モノマー3を使用した以外は比較例1と同様の方法でポリイミド3-2を合成し、物性を評価した。濃硫酸に溶解させたものを対数粘度測定したところ、0.94dl/gと本発明の製造方法で得られたポリイミド3に比べ顕著な差が見られた。DSC測定した結果、昇温一度目ではTg、Tcは観測されずTmが455℃に観測され、冷却時には389℃にピークトップを持つTc(発熱量15.3J/g)が観測された。昇温2度目にはTgは観測されず、Tmが413℃に観測された。熱的性質は本発明の製造方法によるポリイミド3と同等のものであることが確認された。
参考例3
ピロメリット酸二無水物1.50g(0.00687mol)とイソプロピルアルコール10.0gを20mlオートクレーブ中に投入した。80℃、3時間、加熱攪拌した後、室温まで冷却した。冷却後、1,6-ヘキサメチレンジアミン0.799g(0.00687mol)とイオン交換水 5.0gを導入し、220℃まで昇温した後、2時間攪拌した。室温まで冷却後、回収、ろ過、洗浄を行い、さらに真空乾燥機で100℃、18時間乾燥を行い、1.60g(収率89%)のポリイミド3-3を得た。ポリイミド3-3を濃硫酸に溶解させようとしたところ不溶化し、本発明の製造方法で得られたポリイミド3に比べ顕著な差が見られた。DSC測定した結果、分解温度と融点が極端に近かったため、正確な熱物性を得ることができなかった。

Claims (2)

  1. ピロメリット酸と脂肪族環を有するジアミンとから得られる下記(1)〜(3)の性状を有するポリイミド。
    (1)示差走査型熱量計で測定される20℃/minにおける降温時結晶化発熱ピークの熱量が5J/g以上である。
    (2)25℃において濃硫酸(96%)20mlに0.1g以上溶解する。
    (3)濃硫酸(96%)を溶媒として用い、濃度0.5g/dl、30℃で測定した対数粘度の値が1.0dl/g以上である。
  2. 脂肪族環を有するジアミンが1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンである請求項記載のポリイミド。
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